WO2020203274A1 - オレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及び、オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及び、オレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、工程(3):平均粒径0.03~0.4μm、及び粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数n≧1.5を満たすイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを噴霧乾燥により造粒し、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を得る工程、並びに、工程(4):得られた前記第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を酸類と接触させて、化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を得る工程、を含むオレフィン重合用触媒成分の製造方法に関する。

Description

オレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及び、オレフィン重合体の製造方法
 本発明は、オレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及び、オレフィン重合体の製造方法に関し、詳しくは、特定の構造を有しているイオン交換性の層状ケイ酸塩からなり、固体成分あたりの活性が高く、分子量の高い重合体を得ることができるオレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及び、オレフィン重合体の製造方法に関する。
 粘土、粘土鉱物または層状ケイ酸塩化合物を触媒成分として利用したオレフィン重合用触媒は、公知である(例えば、特許文献1参照)。また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物を触媒成分とするオレフィン重合用触媒の技術分野において、触媒活性の向上を課題とし、その解決手段は種々提案されている(例えば、特許文献2~4参照)。例えば、酸処理、塩類処理または酸と塩類との共存下に化学処理を行った、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物を触媒成分として含むオレフィン重合用触媒が知られている。
 また、粉砕された粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物を用いることによって、触媒活性を向上させる手法が開示されている(特許文献5参照)。
 さらに、イオン交換性層状珪酸塩の特定の構造に着目した技術として、イオン交換性層状珪酸塩の微小細孔の量を規定したものや、イオン交換性層状珪酸塩を無機酸で化学処理する際に脱離する金属原子の脱離速度を規定したものが、開示されている(特許文献6、7参照。)。
 これらは、イオン交換性層状珪酸塩の化学処理時に、その特徴の1つである膨潤という作用の制御により、処理面を増やし、微小細孔径の細孔量が多い高活性なイオン交換性層状珪酸塩とする技術である。
 また、オレフィン重合用触媒成分に関する技術についても開示されている(特許文献8~10)。
日本国特開平5-301917号公報 日本国特開平7-309907号公報 日本国特開平8-127613号公報 日本国特開平10-168109号公報 日本国特開2000-264912号公報 日本国特開2012-214745号公報 日本国特開2012-206910号公報 日本国特開平10-324708号公報 日本国特開2012-126084号公報 日本国特開2008-162857号公報
 しかしながら、上記のようなこれまでの技術では、実用に耐えうる触媒活性が得られるものではなかったり、また、重合活性を向上すると共に、より高分子量の重合体を得るためには、未だ十分でなく、更なる技術向上が望まれている。
 本発明の目的は、上記従来技術の状況や問題点に鑑み、高活性、かつより高分子量の重合体を得ることができるオレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及び、オレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の構造を持ったイオン交換性の層状ケイ酸塩に然るべき化学処理を施した、化学処理されたイオン交換性の層状ケイ酸塩造粒粒子を得る工程を含む製造方法により得られたオレフィン重合用触媒成分を用いると、触媒活性が顕著に向上するとの知見を得た。より詳しくは、本発明者らは、上記イオン交換性の層状ケイ酸塩の水スラリーの基本粒子が、特定の平均粒径および粒度分布を有し、かつ酸類との接触による化学処理を施した化学処理されたイオン交換性の層状ケイ酸塩造粒粒子を得る工程を含む製造方法により得られたオレフィン重合用触媒成分を用いると、触媒活性が顕著に向上すると共に高分子量の重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
 本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
 〔1〕下記工程(3)及び下記工程(4)を含む、オレフィン重合用触媒成分の製造方法。
 工程(3):下記特性(b1)及び特性(b2)を満たすイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを噴霧乾燥により造粒し、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を得る工程。
  特性(b1):平均粒径が0.03~0.4μm。
  特性(b2):粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数nが1.5以上。
 工程(4):得られた前記第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を酸類と接触させて、化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を得る工程。
 〔2〕前記第2層状ケイ酸塩(B)がスメクタイトを含む、前記〔1〕に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
 〔3〕前記第2層状ケイ酸塩(B)がモンモリロナイトを含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
 〔4〕前記第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)は比表面積が350m/g以上である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
 〔5〕更に、下記工程(5)を含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
 工程(5):得られた前記第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を、塩基類及び塩類の少なくとも一方に接触させて、化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得る工程。
 〔6〕前記工程(3)の前に、更に下記工程(2)を含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
 工程(2):イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)を粉砕機で粉砕し、前記第2層状ケイ酸塩(B)を得る工程。
 〔7〕前記工程(3)の前に、更に下記工程(1)を含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
 工程(1):イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の水スラリーを湿式ビーズミルによって粉砕し、前記第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを得る工程。
 〔8〕前記第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)が、下記特性(c1)を満たす、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
 特性(c1):X線回折(XRD)において、2θ=19.0~20.0度の第1範囲にピーク(x)を、2θ=5.0~10.0度の第2範囲にピーク(y)を、それぞれ有し、かつ前記第1範囲における最大のピーク強度をX、前記第2範囲における最大のピーク強度をYとしたときに、0.27≦(Y/X)の関係を満たす。
 〔9〕下記成分(I)及び下記成分(II)を接触させる、オレフィン重合用触媒の製造方法。
 成分(I):前記〔1〕~〔8〕のいずれか1に記載の製造方法により得られるオレフィン重合用触媒成分。
 成分(II):メタロセン化合物。
 〔10〕前記成分(I)及び前記成分(II)に、更に下記成分(III)を接触させる、前記〔9〕に記載のオレフィン重合用触媒。
 成分(III):有機アルミニウム化合物。
 〔11〕前記成分(I)及び前記成分(II)に、更に炭素数2~20のα-オレフィンを接触させる、前記〔9〕又は〔10〕に記載のオレフィン重合用触媒。
 〔12〕前記〔9〕~〔11〕のいずれか1に記載の製造方法により得られるオレフィン重合用触媒の存在下、炭素数2~20のα-オレフィンを単独重合または共重合する、オレフィン(共)重合体の製造方法。
 本発明のオレフィン重合用触媒成分の製造方法によれば、活性点の数が増加して高活性に、かつより高分子量のオレフィン重合体を製造可能なオレフィン重合用触媒成分を製造できる。
 本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法によれば、高活性かつ高分子量であるオレフィン重合用触媒を製造できる。
 オレフィン(共)重合体の製造方法では、高活性かつ高分子量であるオレフィン重合体を製造できる。
図1は、MFRと触媒活性との関係を示したグラフである。 図2は、MFRと触媒活性との関係を示したグラフである。 図3は、実施例及び比較例における第2層状ケイ酸塩(B)の粒度分布を示す図である。
 以下、本発明について、項目毎に具体的かつ詳細に説明する。
 なお、本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。
1.オレフィン重合用触媒成分の製造方法
 オレフィン重合用触媒成分の製造方法は、少なくとも下記工程(3)及び下記工程(4)を含むことを特徴とする。
  工程(3):下記特性(b1)及び特性(b2)を満たすイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを噴霧乾燥により造粒し、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を得る工程。
  特性(b1):平均粒径が0.03~0.4μm。
  特性(b2):粒度分布から求めるロジン・ラムラー(Rosin-Rammler)分布定数nが1.5以上。
 工程(4):得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を酸類と接触させて、化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を得る工程。
 オレフィン重合用触媒成分の製造方法は、上述の工程(3)及び工程(4)に加えて、工程(3)の前に、下記の工程(1)又は工程(2)を更に備えていてもよい。
 工程(1):イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の水スラリーを湿式ビーズミルによって粉砕し、第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを得る工程。
 工程(2):イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)を粉砕機で粉砕し、第2層状ケイ酸塩(B)を得る工程。
 なお、工程(1)は、湿式粉砕であり、工程(2)は、乾式粉砕又は湿式粉砕である。この工程(1)で得られた水スラリーを構成する第2層状ケイ酸塩(B)、又は工程(2)で得られた第2層状ケイ酸塩(B)は、工程(3)における特性(b1)及び特性(b2)を満たす。
 オレフィン重合用触媒成分の製造方法は、工程(4)の後に、さらに、下記の工程(5)を備えていてもよい。
 工程(5):得られた第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を、塩基類及び塩類の少なくとも一方に接触させて、化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得る工程。
 以下、第1層状ケイ酸塩(A)、第2層状ケイ酸塩(B)、第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)、第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)、第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)、工程(1)、工程(2)、工程(3)、工程(4)、工程(5)について、詳細に説明する。
(1)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)、及びイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)
 本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分の製造方法に使用される第1層状ケイ酸塩(A)、及び第2層状ケイ酸塩(B)は、ケイ素と酸素とが四面体状に平面的につながっている構造(四面体シート)、並びに、アルミニウと、酸素及び水酸基の少なくとも一方とが八面体状に平面的につながっている構造(八面体シート)を基本として有している。単位構造として、四面体シートと八面体シートを1枚ずつ含むもの(1:1型)及び該四面体シートを2枚と該八面体シートを1枚含むもの(2:1型)が存在する。さらに、1:1型および2:1型は各々単一である場合だけでなく1:1型および2:1型が任意の割合で混合して存在している場合もある。1:1型および2:1型いずれも、単位構造が平行に繰り返された積層した構造を取るが、交換可能な陽イオンを挟んで積層していてもよい。
 前記四面体シートは、ケイ素の一部がアルミニウムに置換されている場合もある。前記八面体シートは、アルミニウムの一部がマグネシウム及び鉄等から選ばれる少なくとも1種類で置換されている場合もある。さらに、前記八面体シートはアルミニウムの代わりにマグネシウムが、酸素及び水酸基の少なくとも一方と八面体状に平面的につながっていて、該マグネシウムの一部はアルミニウムに置換されている場合もある。
 本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分の製造に使用される第1層状ケイ酸塩(A)、及び第2層状ケイ酸塩(B)の具体例としては、例えば、「粘土鉱物学」(白水春雄著、朝倉書店、1995年)等に記載される(i)1:1型構造や(ii)2:1型構造をもつ層状ケイ酸塩が挙げられる。
 (i)1:1型構造を主要な構成層として有する第1層状ケイ酸塩(A)、及び第2層状ケイ酸塩(B)の具体的な例は、カオリナイト、ディッカライト、ハロサイト、クリソタイル、リザーダイト、アメサイトなどのカオリナイト-蛇紋石族などが挙げられる。
 (ii)2:1型構造を主要な構成層として有する第1層状ケイ酸塩(A)、及び第2層状ケイ酸塩(B)の具体的な例は、パイロフィライト、タルクなどのパイロフィライト-タルク族;白雲母、パラゴナイト、イライト、金雲母、黒雲母、レピドライトなどの雲母族;マーガライト、クリントナイト、アナンダイトなどの脆雲母族;ドンバサイト、クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイトなどの緑泥石族;バーミキュライトなどのバーミキュライト族;モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト族などが挙げられる。
 本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分の製造に使用される第1層状ケイ酸塩(A)、及び第2層状ケイ酸塩(B)は、上記(i)および(ii)の混合層を形成したものであってもよい。その中でも、上記(ii)の2:1型構造を有するイオン交換性の層状ケイ酸塩が好ましい。第1層状ケイ酸塩(A)、及び第2層状ケイ酸塩(B)は、より好ましくはスメクタイトを含み、すなわち、スメクタイト族ケイ酸塩であり、さらに好ましくは、モンモリロナイトを含むである。
 本実施形態で用いるスメクタイト族ケイ酸塩は、2:1型のイオン交換性の層状ケイ酸塩であって、八面体シートが2八面体であり、下記の式(1)で示される。
 (M、M2+ 0.5x+y(Y3+ 2-y、Y2+ )(Si4-x、Al)O10(OH)  ・・・式(1)
 MはNaイオン及びKイオンの少なくとも一方を表し、M2+はCaイオンを表し、Y3+はAl、Fe、Mn及びCrのうちいずれか1種類以上の3価の金属イオンを表し、Y2+はMg、Fe、Mn、Ni及びZnのうちいずれか1種類以上の2価の金属イオンを表す。
 ここで、式(1)において、(M、M2+ 0.5)は層間イオンを、(Y3+ 2-y、Y2+ )は八面体シートを、(Si4-x、Al)は四面体シートを表しており、これは粘土ハンドブック第3版(日本粘土学会、技報堂出版、2009年4月30日発行、第65ページ)に記載されている。
 2:1型のイオン交換性の層状ケイ酸塩は、1枚の八面体シートを2枚の四面体シートが挟んで組み合った場合のイオン交換性の層状ケイ酸塩のことを言う。また、イオン交換性の層状ケイ酸塩は、層間に含まれる水分子を式(1)に追加して示される場合もあるが、ここでは省略している。層間に含まれる水分子の量は、層間金属の種類により異なり、さらに外的環境の影響により常に変化する。そのため、nHOと記載され、定性的な量として示されることは少なく、nの範囲も不確定である。しかしながら、nの値はイオン交換性の層状ケイ酸塩を粉体として取り扱うことが可能な範囲にあると考えることもでき、最大でも20又は10程度であることが好ましい。
(2)第2層状ケイ酸塩(B)の特性(b1)、特性(b2)
 第2層状ケイ酸塩(B)の平均粒径は、0.03μm以上0.4μm以下であり(特性(b1))、かつイオン交換性の層状ケイ酸塩の水スラリーの粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数nが1.5以上である(特性(b2))。
 ロジン・ラムラー分布定数nは下記式(2)に表されるロジン・ラムラー(Rosin-Rammler)式によって算出することができる。分布定数nは粒度の均一性の度合いを表し、nの数値が大きいほど粒度の均一性に優れていると判断される。
 R=100exp{-(D/De)}  ・・・式(2)
 式中、Dは第2層状ケイ酸塩(B)の粒径を表し、RはD(粒径)より大きな粒子の全粒子に対する質量百分率であり、Deは粒度特性数である。
 なお、特性(b1)及び特性(b2)を充足する層状ケイ酸塩は、従来、全く知られていなかった。従来から知られている湿式ビーズミル等の粉砕機によって得られる層状ケイ酸塩は、平均粒径が0.03μm以上0.4μm以下の範囲外、ロジン・ラムラー分布定数nが1.5未満、又はその両方であった。
 本発明では、特性(b1)及び特性(b2)という新規な特性を有する第2層状ケイ酸塩(B)を用いたことに特徴を有する。特性(b1)及び特性(b2)を満たす第2層状ケイ酸塩(B)は、天然のものでもよく、水簸、遠心分離などの精製工程や、後述する粉砕工程を経て得られるものであってもよい。粉砕工程については、例えば、後述するように、アシザワ・ファインテック社製「ムゲンフロー」というビーズミルを用いた湿式粉砕で達成できるが、これらの特性を満たすように粉砕する手段は特に限定されない。特性(b1)及び特性(b2)を充足させるために、アシザワ・ファインテック社製「ムゲンフロー」以外の装置を用いてもよいことは勿論である。
 本実施形態で規定する粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数nは、具体的には次のように求める。
 上記式(2)を変形すると下記式(3)が得られる:
 log{log(100/R)}=nlogD+C   ・・・式(3)
 式中、Cは定数を表す(C=log・loge-nlogDe)。
 上記式(3)から、x軸にlogD、y軸にlog{log(100/R)}の目盛をつけたロジン・ラムラー(RR)線図にそれらの関係をプロットするとほぼ直線となる。この直線の勾配の値がロジン・ラムラー分布定数nとなる。最小二乗法によって直線の勾配を算出し、その値をnとした。本実施形態において、前記Dが平均粒径であり、前記直線の勾配の値nが特性(b2)に当たる。
 本実施形態における平均粒径とは、第2層状ケイ酸塩(B)を水に分散させ、次の方法で測定したメジアン径のことを示す。
 まず、第2層状ケイ酸塩(B)を0.05g量りとり、これを蒸留水9.95gにスターラーで撹拌させながらゆっくり加え、均一な0.5重量%の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを調製する。これを液温が20~60℃の範囲で12時間以上放置した後、10分間超音波処理し、この第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーをサンプルとしてレーザー回折散乱式の粒度測定装置(例えば、堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-920、LA-960V2)や動的光散乱式の粒度測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル社製動的光散乱式粒子径分布測定装置Nanotrac WaveIIシリーズ)を用いて測定する。詳しい測定条件は、実施例に記載した。また、粒度分布においても、同一の機器および方法で測定し、上記DとRのデータを取得することができる。
 イオン交換性の層状ケイ酸塩は、その積層構造の端面にオレフィン重合の活性点(酸点)となる部分を有していると考えられている。したがって、本発明者らは、平均粒径の小さい、すなわち単位重量当たりの端面積が増大したイオン交換性の層状ケイ酸塩を用いれば、端面積の増大に伴って、オレフィン重合の活性点が増加し、高活性なオレフィン重合用触媒成分が得られるものと考えた。検討の結果、平均粒径が小さく、かつその粒度分布が狭いイオン交換性の層状ケイ酸塩が、高活性なオレフィン重合用触媒成分となることを見出した。更に、本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分を用いると、分子量の高い重合体が得られることを見出した。
 平均粒径が小さくても、粒度分布が広い、すなわち平均粒径よりも大きい粒子や小さい粒子を多く含む場合、以下に挙げるような現象が起こり、高活性なオレフィン重合用触媒成分を得ることができないと考えている。
 平均粒径よりも大きい粒子を多く含む場合、平均粒径より大きい粒子は、層状ケイ酸塩の端面積の増加への寄与が小さく、活性点(酸点)となりうる部分が少ないため、高活性なオレフィン重合用触媒成分を得ることができないと考えている。
 一方で、本発明は、後述するように工程(4)における酸類との接触の段階が活性発現に必須である。そのため、平均粒径よりも小さい粒子を多く含む場合、これらの粒子は大きさが小さいゆえに酸類との接触の段階で、八面体シートを構成する金属成分が、著しく溶出してしまい、オレフィン重合用触媒成分としての機能が損なわれてしまうと考えている。
 以上のような現象により、粒度分布が広いイオン交換性の層状ケイ酸塩(B)では、高活性なオレフィン重合用触媒成分を製造することはできないと考えている。
 また、分子量の高い重合体を得ることができる作用については、未解明であるが、以下のように推定できる。
 端面の少ない、言い換えるとオレフィン重合の活性点となるための酸点の少ないイオン交換性の層状ケイ酸塩では、後述するメタロセン化合物との接触の段階で、活性化されないメタロセン化合物の割合が増えてしまう。そして、それらがすでに活性化されているメタロセン化合物と副反応を引き起こし、低分子量の重合体を与えるような活性点が形成されるのではないかと考えている。また、上記副反応を抑制するために、メタロセン化合物の量を低減させると、今度は活性点が少なくなってしまい低活性となってしまう。
 一方で、本実施形態におけるイオン交換性の層状ケイ酸塩は端面が増大した、すなわち酸点の量が増大したイオン交換性の層状ケイ酸塩である。したがって、このイオン交換性の層状ケイ酸塩と、メタロセン化合物とを接触させると、活性化されるメタロセン化合物の量が増大するものと考えられる。その結果、低分子量の重合体を与えるような活性点の形成が抑制されるため、分子量の高い重合体を得ることができるものと考えられる。
 以上の検討の結果、第2層状ケイ酸塩(B)の平均粒径は、0.03~0.4μmであることが必要であり、0.07μm以上が好ましく、0.10μm以上がより好ましく、0.12μm以上がさらに好ましく、また、0.35μm以下が好ましく、0.30μm以下がさらに好ましく、0.29μm以下がさらに好ましい。平均粒径が上記範囲内であると、高活性なオレフィン重合用触媒成分が得られる。
 また、第2層状ケイ酸塩(B)の粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数nは、1.5以上であり、2.0以上が好ましく、2.41以上がより好ましく、2.5以上がさらに好ましい。粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数nが上記範囲内であると、高活性なオレフィン重合用触媒成分が得られる。粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数nの上限については特に設けないが、15.0以下が好ましく、10.0以下がより好ましく、7.0以下がさらに好ましく、5.49以下がよりさらに好ましい。
(3)工程(1)、工程(2)について(第2層状ケイ酸塩(B)の調製)
 本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分の製造に使用する第2層状ケイ酸塩(B)は、第1層状ケイ酸塩(A)を、粉砕や分級などの操作によって形状を加工してもよく、特に粉砕されていることが好ましい。すなわち、上記工程(1)ではイオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の水スラリーを湿式ビーズミルによって粉砕することで、工程(2)ではイオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)を粉砕機で粉砕することで、第1層状ケイ酸塩(A)から、第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリー又は第2層状ケイ酸塩(B)をそれぞれ調製してもよい。
 粉砕様式としては、乾式粉砕、湿式粉砕等が挙げられる。粉砕機としては、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、ロールクラッシャー、エッジランナー、ハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等が上げられる。工程(2)は、ここに列挙されたいずれの粉砕機も用いることができる。
 本実施形態では、粉砕機としては、特に湿式ボールミル、湿式ビーズミルが好ましく、さらに湿式ビーズミルが好ましい。工程(1)は、ここに挙げられた湿式ビーズミルを用いる。
 湿式ビーズミルを用いることにより、平均粒子径が小さく、かつ粒度分布の狭い第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを得ることができる。湿式ビーズミルでは、イオン交換性の層状ケイ酸塩を水に分散させた状態で粉砕するため、イオン交換性の層状ケイ酸塩(第1層状ケイ酸塩(A))の基本粒子に効率よく粉砕応力が加わり、端面が増大しやすい粉砕が進行するものと考えている。また、湿式ビーズミルを用いることにより、さらに、粉砕による結晶性の低下を抑えることも可能であると考えている。
 なお、湿式ビーズミルは、被粉砕物(第1層状ケイ酸塩(A))とメディアとしてのビーズとを、液体からなる分散媒とともにベッセルと呼ばれる円筒型の粉砕室に装入し、ベッセル内で回転可能な撹拌部材(アジテータ)を高速回転させることによりビーズを撹拌し、ビーズにより生じる摩擦力やせん断力等を被粉砕物に加えることで、被粉砕物を微細化するものである。
 本実施形態における粉砕工程が湿式ビーズミルを用いて行われる場合、使用されるビーズは、ジルコニア及びアルミナの少なくとも1方であることが好ましく、中でもジルコニアを用いることが好ましい。
 湿式ビーズミルの粉砕効率に影響を与える因子として、ビーズ径、ビーズ充填率、アジテータ周速、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の固形分濃度、スラリー流量などがある。
 ビーズの粒径は、得られるイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の平均粒径を、効率的に0.4μm以下にするために、30~2000μmであることが好ましく、50μm以上がより好ましく、また、500μm以下がより好ましい。ビーズ充填率は、一般的には70~95体積%であり、75体積%以上が好ましく、また、90体積%以下が好ましい。アジテータ周速は、一般的に5~20m/sであり、好ましくは7m/s以上であり、また、好ましくは18m/s以下である。イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の固形分濃度は、0.1~70重量%が好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらに好ましく、また、50重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。また、分散媒としては、水、又はメタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒を用いる。好ましくは、水が分散媒として用いられる。
 上記特性(b1)および特性(b2)を満たすような、すなわち平均粒径が小さく、かつ粒度分布の狭い粒子を得るには、ベッセル内を粉砕スラリーがパスする回数を増した方がよい。また、同じ滞留時間でのパスする回数を増やすためには、スラリーの管内流速流量を増やすような運転が好ましいとされる(コンバーテック 2014年12月号 P74~77((株)加工技術研究会)に記載)。管内流速とは、ベッセル内を通過するスラリーの速度のことであり、スラリー供給速度/断面積(L/min)から求めることができる。好ましい管内流速は0.03~1.00L/minであり、より好ましくは0.10L/min以上、さらに好ましくは0.20L/min以上であり、また、より好ましくは0.80L/min以下、さらに好ましくは0.60L/min以下である。上記範囲で粉砕を実施することで、目的とする平均粒径が小さく、かつ粒度分布の狭い粒子を得ることが可能になる。
 過去に、粉砕されたイオン交換性の層状ケイ酸塩を使用したオレフィン重合用触媒成分が開示されているが、本実施形態におけるイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)のような水分散スラリーの基本粒子の粒子径が小さく、かつ粒度分布が狭いイオン交換性の層状ケイ酸塩は得られていない。
 例えば、特許文献8~10では、粘土鉱物の乾式粉砕を実施している。乾式粉砕は凝集している粘土鉱物に粉砕応力を加えるため、いずれも粘土鉱物の凝集状態を粉砕するのみで、水分散スラリーの基本粒子を効率よく粉砕する様式にはなっていない。そのため、本実施形態の好ましい粉砕様式ではないと考えられる。
 また、特許文献5では、湿式粉砕ではあるものの、乳鉢での粉砕であるため、粘土粒子に過度な応力が加わり、かつ応力の制御も容易ではない。そのため、得られる粉砕粒子の水スラリーの基本粒子が過度に小さくなる可能性がある。実際に、特許文献5で明示されている基本粒子の好ましい範囲も0.01~20nmとされている。
 前述したように、このような粒子を用いて、後に詳述する本実施形態に必須の工程(4)における酸類との接触を実施すると、イオン交換性の層状ケイ酸塩の八面体シートを構成する金属成分が著しく溶出してしまい、オレフィン重合用触媒成分としての機能が損なわれてしまう。そのため、本実施形態のような高活性なオレフィン重合用触媒成分は得られないものと考えられる。さらに、乳鉢での粉砕は工業的に実用に耐えうる粉砕方式ではない。
 粉砕時間は目的の粒子が得られる範囲であれば特に制限されないが、5~1200分が好ましく、10分以上がより好ましく、15分以上がさらに好ましく、また、600分以下がより好ましく、240分以下がさらに好ましい。上記の範囲内であると、イオン交換性の層状ケイ酸塩の結晶性を損なうことなく、平均粒径が小さくかつ粒度分布の狭い粒子を得ることができる。
 粉砕装置として目的の粉砕が可能な湿式ビーズミルとしては、例えばアシザワ・ファインテック社製スターミルやムゲンフロー、Willy.A.Bachofen社製ダイノーミル、アイメックス社製Neoアルファミルやビスコミル、日本コークス工業社製MSCミルやSCミル、淺田鉄工社製ナノミル、広島メタル&マシナリー社製ウルトラアペックスミルが市販されている。特にアシザワ・ファインテック社製ムゲンフローが好ましい。
(4)工程(3)について
 工程(3)は、特性(b1)及び特性(b2)を満たすイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを噴霧乾燥により造粒し、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を得る工程である。
 イオン交換性の層状ケイ酸塩は、水の含有量によって力学的性質が著しく変化する。噴霧乾燥して造粒する原料スラリー液中におけるイオン交換性の層状ケイ酸塩濃度と、スラリー粘度との間には一定の相関が見られる。イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリー粘度は0.1~1000cpであることが好ましく、1cp以上がより好ましく、2cp以上がさらに好ましく、また、700cp以下がより好ましく、200cp以下がさらに好ましい。水スラリー粘度は、特に水溶媒中では2~200cpが好ましい。
 工程(3)における、第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーのスラリー濃度(第2層状ケイ酸塩(B)の濃度)は、特に制限はないが、0.1~70重量%が好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらに好ましく、また、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下が更に好ましい。
 工程(1)又は工程(2)を備える場合には、上記範囲内であれば、工程(1)又は工程(2)で得られる粉砕スラリーをそのまま使用してもよく、濃縮又は希釈して、濃度、粘度を調節してもかまわない。噴霧乾燥して造粒する際の、熱風の入口の温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると、80~260℃が好ましく、100℃以上がより好ましく、また、220℃以下がより好ましい。
 造粒の際には、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダーが用いられてもよい。バインダーとしては、例えば、砂糖、デキストローズ、コーンシロップ、ゼラチン、グルー、カルボキシメチルセルロース類、ポリビニルアルコール、水ガラス、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルコール類、グリコール、澱粉、カゼイン、ラテックス、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、タール、ピッチ、アルミナゾル、シリカゲル、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等が挙げられる。
 噴霧乾燥して造粒する際、原料スラリーの分散媒として、水を少なくとも用いる。分散媒に、メタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒が混合していてもよい。上記「水スラリー」とは、分散媒として水が90重量%以上含まれているものを意味し、水以外の他の分散媒が含まれているものを排除する意味ではない。
 第2層状ケイ酸塩(B)の形状については、上述した特性(b1)および特性(b2)を満たす限り特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、前述したような粉砕や、分級などの操作によって形成又は選択された形状でもよい。また、造粒前には、原料の第2層状ケイ酸塩(B)が膨潤性であることが望ましい。膨潤性は、水を加えたときに層間距離が変化するか否かで判定できる。なお、造粒前の第2層状ケイ酸塩(B)には、酸処理、塩処理などの化学処理が施されない方が好ましい。但し、化学処理であっても、原料の第2層状ケイ酸塩(B)の精製のために固体状で行う塩処理はされていても構わない。
(5)第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の特性(c1)
 第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)は、下記特性(c1)を有することが好ましい。
 特性(c1):X線回折(XRD)において、2θ=19.0~20.0度の第1範囲にピーク(x)を、2θ=5.0~10.0度の第2範囲にピーク(y)を、それぞれ有し、かつ前記第1範囲における最大のピーク強度をX、前記第2範囲における最大のピーク強度をYとしたときに、0.27≦(Y/X)の関係を満たす。
 上記特性(c1)は、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の形態を示している。前述したように、イオン交換性の層状ケイ酸塩は、その積層構造の端面にオレフィン重合の活性点(酸点)となりうる部分を有しており、端面積が増大するにつれて活性点(酸点)が増加し、活性が向上するものと推測される。従って、理想的な端面積の大きい粒子とは、結晶の積層方向に結晶が大きく、かつ層が広がる面方向には結晶が小さいものであると推測され、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)もこの構造を有している。
 第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)のXRDにおいて、2θ=19.0~20.0度の第1範囲に現れるピーク(x)は、スメクタイトに分類される種類のイオン交換性の層状ケイ酸塩の結晶面(110)を示し、これは、層の広がり方向、すなわち平面方向の結晶性に由来する。また。2θ=5.0~10.0度の第2範囲に現れるピーク(y)は、スメクタイトに分類される種類のイオン交換性の層状ケイ酸塩の結晶面(001)を示し、これは、積層方向、すなわち垂直方向の結晶性に由来する。
 従って、ピーク(x)、(y)のそれぞれの最大のピーク強度をX、Yとしたとき、そのピーク強度比(Y/X)が大きくなるほど、理想とする端面の多いイオン交換性の層状ケイ酸塩粒子であるといえる。第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)のピーク強度比(Y/X)は0.27以上が好ましく、0.28以上がより好ましく、0.29以上がさらに好ましい。上記範囲であれば、高活性なオレフィン重合用触媒成分を得ることができる。ピーク強度比(Y/X)の上限については特に限定しないが、5.00以下が好ましく、2.00以下がより好ましい。
(6)第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の特性(c2)
 第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)は、次の特性(c2)を有することが好ましい。
 特性(c2):X線回折(XRD)において、2θ=15.0~25.0度(ただし第1範囲である19.0~20.0度は除く)の第3範囲にピーク(z)が存在しない、又はピーク(z)が存在した場合に、該ピーク(z)の最大のピーク強度をZとしたときに前記ピーク強度Xとの関係が、0<(Z/X)≦1.6を満たす。但し、該ピーク(z)は、複数個あってもよく、複数個(n個)存在する場合は、n個それぞれのピーク強度をZnとして、Xとの各ピーク強度比(Zn/X)の総和に対して、0<[(Zn/X)の総和]≦1.6を満たす。
 なお、特性(c2)における第3範囲は、「2θ=15.0度以上19.0度未満及び20.0度超25.0度以下」と同内容である。
 上記特性(c2)は、本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分の製造方法に使用する第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)に、どの程度不純物が含まれているかを示している。
 前記ピーク(x)は、オレフィン重合用触媒として性能を示すために、必要なイオン交換性の層状ケイ酸塩の成分の存在の有無も表している。その成分を例示すると、雲母、バーミキュライト、スメクタイトがある。この中で好ましいのは、雲母とスメクタイトであり、特に好ましいのはスメクタイトである。さらに、スメクタイトの中でも、モンモリロナイト、バイデライトが好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。
 一方、前記ピーク(z)は、オレフィン重合用触媒として性能を示すために必要なイオン交換性の層状ケイ酸塩の成分以外のものを示し、いわゆる不純物として含まれている成分の存在の有無を表すものと推測される。そのため、このピーク(z)が存在しないか、又はピーク(z)が存在しても、このピーク(z)の最大のピーク強度をZとしたときに、ピーク(x)の最大のピーク強度であるXとの比(Z/X)が、0<[(Z/X)の総和]≦1.6の関係にあることが、高性能を維持する上では好ましい。
 ここで、ピーク(z)が存在しない場合は、ピーク(x)とのピーク強度比(Z/X)は、0で示される。ピーク(z)は、単独の場合も、また複数の場合もある。ピーク強度比(Z/X)は、ピーク(z)が単独の場合は、そのピークに関して求めたピーク強度比(Z/X)となる。ピーク(z)がn個(nは2以上の整数)と、複数存在する場合は、それぞれのピーク(z)nに関しての最大のピーク強度(Zn)とピーク(x)の最大のピーク強度(X)の比である各ピーク強度比(Zn/X)を求め、その総和がピーク強度比(Z/X)となる。例えば、3個のピークが存在する場合、上述の各ピーク強度比(Zn/X)は次のようになる。
 それぞれの最大のピーク強度が(Z1)、(Z2)、(Z3)であった場合、ピーク強度比(Z/X)として示される数値は、下記式で求めることができる。
{(Z1/X)+(Z2/X)+(Z3/X)}
 好ましいピーク強度比(Z/X)の上限は1.6であり、より好ましくは1.4以下であり、さらに好ましくは1.2以下であり、よりさらに好ましくは1.0以下であり、特に好ましくは0.95以下であり、最も好ましくは0.9以下である。また、ピーク強度比(Z/X)の値は小さいほど好ましい。具体的には、ピーク強度比(Z/X)の下限は0.5以上であってもよく、0.1以上であってもよく、0.05以上であってもよく、0.01以上であってもよく、0.001以上であってもよく、0に近いほど好ましく、0が最も好ましい。
 次に、特性(c1)および特性(c2)を求めるためのXRDの測定方法と、そこから得た結果からピーク強度を求める方法について、説明する。
 XRD測定方法は、X線源にCu-Kα線(Kβ吸収板使用)を用い、管電圧40kV、管電流30mAとする。光学系は、集中法とする。発散スリット2/3度、散乱スリット2/3度、受光スリット0.300mm、スキャンモード2θ/θスキャン、2θスキャン範囲3.0000~55.0000度、角度ステップ幅0.0200度、スキャン速度4.0000度/分、検出器シンチレーションカウンタとし、サンプルホルダとして深さ0.2mmのガラス製ホルダを使用する。装置は、リガク社製X-rayDiffractometer Smartlabを用いる。
 上記条件により得られた測定結果から、各ピーク(x)、(y)、(z)の最大のピーク強度X、Y、Zを求める手順を説明する。
 X線回折強度は、2θに対するシンチレーションカウンタのカウント数として得られる。2θ=19.0~20.0度の第1範囲に現れるピーク(x)の最大のピーク強度Xは以下の方法で求めた。
 回折強度のベースラインとして、2θ=15.0度及び25.0度で、それぞれ周囲±0.1度(角度ステップが0.02度なのでそれぞれ11点の平均となる)の範囲の強度平均値をとり、これを2θ=15.0度、25.0度での強度とする。この2点を結ぶように、直線を引き、ベースラインとする。
 もし、2θ=15.0±0.1度、25.0±0.1度の範囲に、サンプルからの何らかの回折ピークが現れている場合は、そのピークを避けるようにそれぞれ周辺の数度の範囲でピークの無い2θ位置を探し、その位置でベースラインの2θ位置と強度を定めるものとする。なお、ピークの有無の判定については、測定回折強度を2θ=14.0~26.0度の範囲に対してプロットし、ポイント数20の局所最大法のピーク検索を適用することで、行うものとする。
 上記で求めたベースラインを差し引いた回折強度を2θ=15.0~25.0度の範囲に対してプロットし、ポイント数20の局所最大法、しきい値20%フィルター(強度最大値の20%に満たないものは、ピークとみなさない。)にて、ピーク検索を行う。この検索によって得られた2θ=19.0~20.0度の第1範囲における最大のピーク強度をピーク(x)のピーク強度Xとし、第1範囲を除く2θ=15.0~25.0度の第3範囲における全て(n個)のピークをピーク(z1)~(zn)とし、各ピークの最大のピーク強度をピーク(z1)~(zn)のピーク強度Z1~Znとする。
 2θ=5.0~10.0度の第2範囲に現れるピーク(y)の最大のピーク強度Yは以下の方法で求めた。
 回折強度のベースラインとして、2θ=4.0度及び10.0度で、それぞれ周囲±0.1度(角度ステップが0.02度なのでそれぞれ11点の平均となる)の範囲の強度平均値をとり、これを2θ=4.0度、10.0度での強度とする。この2点を結ぶように、直線を引き、ベースラインとする。
 もし、2θ=4.0±0.1度、10.0±0.1度の範囲に、サンプルからの何らかの回折ピークが現れている場合は、そのピークを避けるようにそれぞれ周辺の数度の範囲でピークの無い2θ位置を探し、その位置でベースラインの2θ位置と強度を定めるものとする。なお、ピークの有無の判定については、測定回折強度を2θ=3.0~11.0度の範囲に対してプロットし、ポイント数20の局所最大法のピーク検索を適用することで、行うものとする。
(7)第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の特性(c3)
 本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分の製造方法に使用される第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)は、さらに、次の特性(c3)を有することが好ましい。
 特性(c3):蛍光X線分析から定量したSi、Al、Mg、Fe、Naと、ICP発光分光分析から定量したCa、Kを用いて、2八面体型スメクタイトの化学組成の一般式:(M,M2+ 1/2x+y(Y3+ 2-y,Y2+ )(Si4-x,Al)O10(OH)・nHOにおける原子数の比を示すxおよびyを求め、一般式を完成させたとき、一般式中のSi成分の量(Si(s))と定量した全Si成分の量(Si(t))の比、Si(s)/Si(t)が0.50~1.00である。
 なお、一般式中の原子数の比とは、元素の右下に記されている数である。また、Si(s)/Si(t)の詳細な求め方は、日本国特開2018-111841号公報に記載されている。
(8)第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の特性(c4)
 本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分の製造方法に使用される第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)は、さらに、次の特性(c4)を有することが好ましい。
 特性(c4):第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)は、同形置換量が高い。
 例えば、イオン交換性の層状ケイ酸塩の八面体シートに含まれるMgの量とAlの量とのモル比(Mg/Al)は、0.28以上が好ましく、0.285以上がより好ましく、0.287以上がさらに好ましく、0.29以上がよりさらに好ましく、0.292以上が特に好ましい。また、かかるモル比は3.5以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましく、1.5以下がよりさらに好ましく、1以下がことさらに好ましく、0.8以下が特に好ましく、0.5以下が最も好ましい。
 上記のように、3価のアルミニウムが2価のマグネシウムに置換されている場合、負の層電荷を有していることになる。さらに、この負の層電荷が、メタロセン触媒の性能(活性)に対して、メタロセン触媒の活性点前駆体であるメタロセン化合物(錯体)のカチオン種を活性点として安定して存在させるためのカウンターアニオンとして作用し、オレフィン重合用触媒としての安定性を高めることができると、本発明者らは考えている。
 このMg/Alモル比は、化学構造式から求めることができる。化学構造式は、含まれている原子を蛍光X線分析法(XRF)やICP、吸光光度法などの一般的な化学分析法にて定量し、それを基に求める。
 計算方法は、一般的に、粘土ハンドブック第3版(日本粘土学会、技法堂出版、2009年発行、P272~P274)に記載される方法にて行われる。このような方法にて化学構造式を求めることで、それぞれのシートの陽イオンおよびその陽イオンを同形置換する陽イオンの種類が明らかとなる。
 計算方法の1つとして、多く用いられる陰イオンの電荷数を基準とする計算方法を、次に説明する。
 化学分析により求めた各成分の分子比にその原子の酸化物中に含まれている陽イオンの電荷数(例えば、Siであれば電荷は4)を掛けて陽イオン数を求め、陽イオン数の総和を求める。次に、陽イオン電荷と陰イオン電荷を釣り合わせるための係数を求めるために、構造中の負電荷数(粘土鉱物に含まれているO)22をこの陽イオン数の総和で割る。このようにして得られた係数に先に求めた各原子の陽イオン数を掛けることで、構造中に含まれる原子の割合を算出することができ、構造式を完成することができる。このようにして、八面体シートのアルミニウムとマグネシウムのモル比Mg/Alを求めることができる。
(9)工程(4)について
 工程(4)は、工程(3)で得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を酸類と接触させて、化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を得る工程である。
 この工程(4)で用いる酸類は、特に限定されない。酸類の中でも、無機酸類が好ましい。
 工程(4)で起きる現象について、詳細に説明する。
 イオン交換性の層状ケイ酸塩は、酸類と接触することで、表面の不純物が酸洗浄される。また、イオン交換性の層状ケイ酸塩は、酸洗浄されることの他に、酸によって、層間イオンが溶出して、水素陽イオンとの交換が起こり、次いで、八面体シートを構成する陽イオンが溶出していくようになる。この溶出の過程において、酸点、細孔構造、比表面積等の特性が変化する。特に、この工程(4)を経ることで、メタロセン化合物を活性化させるのに必要な酸点の量が著しく増大することは、すでに明らかとなっている(Clay Science,20,49-58(2016))。
 そのため、本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分の製造方法では、第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を、酸類と接触させることは必須である。溶出の程度は、酸の濃度、処理時間、酸の種類によって異なるが、マグネシウムを多く含むものが一般に大きく、次いで鉄の多いもの、アルミニウムの多いものの順になる。また、結晶度が高く粒子の大きいものほど、溶出性が低いが、これは、酸が結晶層間や結晶構造内に侵入することに関係している。
 また、溶出の機構については、結晶格子の全ての八面体シートにミクロな空隙を有する均一な構造が生成すると考えられる均一溶出の機構と、ある特定の部位の金属陽イオンが溶出して生成したケイ酸と層状ケイ酸塩の複合体が生成する不均一溶出の機構が、考えられる。
 酸類と接触処理させる酸処理の条件として、温度は特に限定されないが、40~102℃が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましく、また、100℃以下がより好ましく、95℃以下がさらに好ましい。あまり温度を低下させると、極端に陽イオンの溶出速度が低下し、製造効率が低下する。一方、温度を上げ過ぎると、操作上の安全性が低下する。
 酸処理時の酸濃度、すなわち反応系の全体重量に対する酸の重量百分率は特に限定されないが、3~30重量%が好ましく、5重量%以上がより好ましく、7重量%以上がさらに好ましく、また、25重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。濃度が低くなり過ぎると、陽イオンの溶出速度が低下し、製造効率が低下する。
 イオン交換性の層状ケイ酸塩の濃度は、特に限定されないが、3~50重量%が好ましく、5重量%以上がより好ましく、また、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。濃度が低くなり過ぎると、工業的に生産する場合は大きな設備が必要となってしまう。一方、濃度が高過ぎる場合には、スラリーの粘度が上昇してしまい、均一な攪拌混合が困難になり、やはり製造効率が低下する。
 酸処理の回数は特に限定されず、1回でも、複数回に分けて行ってもよい。
 使用する酸類である酸化合物は、特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピリオン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸などの無機酸、及び有機酸が好適に例示される。その中でも、無機酸が好ましく、無機酸の中でも塩酸、硝酸、硫酸がより好ましく、塩酸、硫酸がさらに好ましく、硫酸が特に好ましい。
 酸処理である化学処理によって、八面体シートを構成する金属陽イオンを、化学処理前の含有量に対して、10~65モル%溶出させることが好ましく、溶出量は15モル%以上がより好ましく、17モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上がよりさらに好ましく、また、60モル%以下がより好ましく、55モル%以下がさらに好ましく、50モル%以下が特に好ましい。この範囲内であると、十分な細孔量が確保され、表面積も十分に大きくなり、所望の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)が得られやすい。
 ここで、溶出する金属陽イオンの割合(モル%)は、例えば、金属陽イオンがアルミニウムの場合では、以下の式で表される。
[化学処理前のアルミニウム/珪素(モル比)-化学処理後のアルミニウム/珪素(モル比)]/[化学処理前のアルミニウム/珪素(モル比)]×100
 上記化学処理を実施した後に、続けて後述する工程(5)の処理を行ってもよいし、洗浄を行ってもよい。洗浄には、一般的には、水や有機溶媒などの液体を使用する。洗浄は必須ではなく、洗浄をしてもよく、洗浄をしなくてもよい。
 洗浄する場合には、洗浄倍率が1/1000以下の洗浄をしてもよく、1/1000超の洗浄をしてもよい。洗浄倍率とは、「(希釈前の酸類の量+希釈剤の量-除去した希釈剤の量)÷(希釈前の酸類の量+希釈剤の量)」で表される値のことをいう。例えば、希釈前の酸類の量が1であり、洗浄操作として99の希釈剤(溶媒)を加えて、均一に希釈した後、99の希釈した溶液を除去すれば、洗浄倍率は、1/100ということになる。洗浄後は脱水を行うことが好ましい。
 洗浄及び脱水後は、後述する工程(5)の処理を行ってもよいし、乾燥を行ってもよい。乾燥は、第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の構造破壊を起こさないように行うことが好ましい。乾燥温度は、特に限定されないが、100~800℃が好ましく、150℃以上がより好ましく、また、600℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましい。乾燥温度を800℃以下とすることで、第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の構造破壊が起こりにくいため好ましい。
 一般的にイオン交換性の層状ケイ酸塩は、構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)においても用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。
 乾燥時間は、通常1分~24時間であり、5分以上が好ましく、また、4時間以下が好ましい。乾燥雰囲気は、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。
 乾燥方法は、特に限定されず、各種方法で実施可能である。
 さらに、一般的に、イオン交換性の層状ケイ酸塩には、吸着水および層間水が含まれる。本実施形態においては、これらの吸着水および層間水を除去して使用するのが好ましい。
 水の除去には、通常加熱処理が用いられる。その方法は、特に制限されないが、付着水、層間水が残存しない条件、または、構造破壊が生じない条件を選ぶことが好ましい。
 加熱時間は、特に限定されないが、0.1時間以上が好ましく、0.2時間以上がより好ましい。その際、除去した後の層状ケイ酸塩の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましい。
(10)第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の特性
 工程(4)で得られる第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)は、比表面積が350m/g以上であることが好ましい。
 比表面積は、活性点前駆体がイオン交換性の層状ケイ酸塩に担持されて、活性点として重合反応が進行していくために、必要な空間的な広さを表しており、大きい方が好ましい。比表面積が大きくなると、活性点前駆体が十分担持され、また、重合反応が進行するための反応面が十分確保できるようになるために、さらに活性が向上する。一方、比表面積が大きすぎると、粒子が脆くなって、形状を保てなくなり、粉体性状が悪化してしまうおそれがあり、さらに、重合中に触媒が破砕や崩壊すると、微粉や塊の発生を引き起こし、プラントの運転安定性の低下につながるおそれがある。
 比表面積の下限は、好ましくは350m/g、より好ましくは360m/g、さらに好ましくは375m/g、特に好ましくは390m/gである。一方、比表面積の上限は、特に定めは無いが、好ましくは800m/g、より好ましくは700m/g、さらに好ましくは600m/gである。
 比表面積は、上限及び下限としては、前記の好ましい下限値と好ましい上限値とを任意に組み合わせた範囲を例示することができる。例えば、350~800m/g、350~700m/g、350~600m/g、375~800m/g、375~600m/g、390~800m/g、390~600m/gである。
 ここで窒素吸着法による細孔径および細孔容量の測定方法について、以下に示す。
 固体への気体の吸着量は、温度一定の場合、固体と気体が決まれば、吸着相互作用のポテンシャルは、ほぼ一定であると考えることができるので、吸着量は、圧力のみの関数となり、これを一般的に吸着等温線と呼ぶ。
 本実施形態においては、比表面積を評価する際に最も一般的に使用されている窒素を吸着ガスとして使用し、液体窒素温度下(温度77K)で、相対圧P/P0(P0は、大気圧を示す)が0.025~0.995の範囲で吸着等温線を測定する。
 比表面積は、上述のようにして得られた吸着等温線を用いて、BET多点法解析を実施することにより求める。一般的に、相対圧P/P0(P0は大気圧)=0.05~0.35付近の良好な直線が得られる範囲で解析され、BETプロットを確認しながら、解析範囲を決める。
(11)工程(5)について
 オレフィン重合用触媒成分の製造方法では、下記工程(5)を含むことが好ましい。
 工程(5):得られた前記第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を、塩基類及び塩類の少なくとも一方に接触させて、化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得る工程。
 第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)と、塩基類及び塩類の少なくとも一方との接触の回数は、1回でも、複数回に分けて行ってもよい。
 第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)と、塩基類及び塩類の少なくとも一方との接触による共通の影響として、層間陽イオンの交換を行うことが挙げられる。また、それ以外に各種化学処理は次のような種々の効果がある。
 塩基類によるアルカリ処理では、イオン交換性の層状ケイ酸塩の結晶構造が破壊され、イオン交換性の層状ケイ酸塩の構造の変化をもたらす。
 インターカレーションや塩類処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンに置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることもできる。すなわち、嵩高いイオンが、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、ピラーと呼ばれる。
 以下に、塩基類、塩類の具体例を示す。なお、本実施形態では、以下の塩類、及び塩基類からなる群から選ばれる2種以上を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら塩類、アルカリ類、及びイオン交換性の層状ケイ酸塩の層間にインターカレーションし得る化合物は、それぞれが2種以上の組み合わせであってもよい。
(i)塩類
 塩類としては、有機陽イオン、無機陽イオン、及び金属イオンからなる群から選ばれる陽イオンと、有機陰イオン、無機陰イオン、及びハロゲン化物イオンからなる群から選ばれる陰イオンとから構成される塩類が例示される。例えば、周期表第1~14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンの陰イオン、無機ブレンステッド酸、及び有機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから構成される化合物が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、陰イオンが無機ブレンステッド酸やハロゲンからなる化合物である。
 塩類の具体例は以下に挙げられるが、塩類は、これらに限定されるものではない。
 塩類の具体例としては、LiCl、LiBr、LiSO、Li(PO)、LiNO、Li(OCOCH)、NaCl、NaBr、NaSO、Na(PO)、NaNO、Na(OCOCH)、KCl、KBr、KSO、K(PO)、KNO、K(OCOCH)、CaCl、CaSO、Ca(NO、Ca(C、Ti(OCOCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Zr(OCOCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrBr、ZrI、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、Hf(OCOCH、Hf(CO、Hf(NO、Hf(SO、HfOCl、HfF、HfCl、HfBr、HfI等が挙げられる。
 また、他の塩類の具体例としては、Cr(OCOCHOH、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、MoOCl、MoCl、MoCl、MoCl、MoF、MoI、WCl、WCl、WF、WBr、Mn(OCOCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、MnBr、MnI、Fe(OCOCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、MnBr、FeI、FeC、Co(OCOCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、CoBr、CoI、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等も挙げられる。
 また、他の塩類の具体例としては、CuCl、CuBr、Cu(NO、CuC、Cu(ClO、CuSO、Cu(OCOCH、Zn(OCOCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnI、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、Sn(OCOCH、Sn(SO、SnF、SnCl等も挙げられる。
 塩類を構成する有機陽イオンの例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、N,N-ジメチルアニリニウム、N,N-ジエチルアニリニウム、N,N-2,4,5-ペンタメチルアニリニウム、N,N-ジメチルオクタデシルアンモニウム、オクタドデシルアンモニウム、N,N-ジメチル-p-n-ブチルアニリニウム、N,N-ジメチル-p-トリメチルシリルアニリニウム、N,N-ジメチル-1-ナフチルアニリニウム、N,N,2-トリメチルアニリニウム、2,6-ジメチルアニリニウム等のアンモニウム化合物やピリジニウム、キノリニウム、N-メチルピペリジニウム、2,6-ジメチルピリジニウム、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニウム等の含窒素芳香族化合物、ジメチルオキソニウム、ジエチルオキソニウム、ジフェニルオキソニウム、フラニウム、オキソラニウム等のオキソニウム化合物、トリフェニルホスホニウム、トリ-o-トリルホスホニウム、トリ-p-トリルホスホニウム、トリメシチルホスホニウム等のホスホニウム化合物やホスファベンゾニウム、ホスファナフタレニウム等の含リン芳香族化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(ii)塩基類
 塩基類とは、例えば水溶液にした場合にアルカリ性を示す物質のことを指す。アルカリ性の定義としては、pHメーターで測定したpHの値が7超であることや、または、赤色のリトマス紙に接触すると青色に変色する性質をいう。塩基類とは、アルカリ性を有する物質、広義的にはアレニウスの定義による塩基に相当する物質のことを言う。より具体的には、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属等、金属の水酸化物、アンモニア、アミン等が挙げられる。塩基類は、金属の水酸化物であることが好ましく、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物がより好ましい。
 塩基類の具体例が以下に挙げられるが、塩基類は、これらに限定されるものではない。
 塩基類の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化セシウム、水酸化ストロンチウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等が挙げられる。その中でも好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムであり、より好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムである。
 塩類や塩基類は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、塩類は、塩基類と組み合わせて用いてもよいし、さらに、塩類、塩基類は、酸類、イオン交換性の層状ケイ酸塩の層間にインターカレーションする化合物等と組み合わせて用いてもよい。処理開始時に予め上記組合せとした処理剤を用いてもよく、処理の途中で組み合わせる成分を添加してもよい。
 上述の塩基類及び塩類の少なくとも一方を含んだ処理剤による化学処理には、塩基類及び塩類の少なくとも一方を適当な溶剤に溶解させた処理剤溶液を用いてもよいし、塩基類を溶媒とした処理剤溶液を用いてもよい。
 処理剤溶液は、固体よりも液体の状態にあることが好ましい。これは、化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)が固体であるため、固体-固体の反応では、均一に進行し難いからである。効率よく、均一に反応させることを考えると、反応は、固体(層状ケイ酸塩)-液体(塩基類の溶液)のスラリーの状態で行うことが好ましい。
 処理剤に使用できる溶剤としては、特に限定されないが、水、アルコール類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、フラン類、アミン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。好ましくは、水、アルコール類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル類、エーテル類であり、より好ましくは水、アルコール類、脂肪族炭化水素、エーテル類であり、特に好ましくは水、アルコール類である。また、処理剤中の塩基類及び塩類の合計濃度は0.1~100重量%程度が好ましく、より好ましくは5重量%以上程度、また、より好ましくは50重量%以下程度である。この濃度がこの範囲内であれば処理に要する時間が短くなり効率的に生産が可能になるという利点がある。
 工程(5)を行う際の温度の下限は、特に限定されないが、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは40℃以上、特に好ましくは55℃以上である。一方、温度の上限は、特に限定されないが、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下、特に好ましくは62℃以下である。この温度範囲内では、目的とする反応が円滑に進行する。
 工程(5)を行う際の時間の下限は、特に限定されないが、好ましくは30分以上、より好ましくは60分以上、さらに好ましくは90分以上である。時間の上限は、特に限定されないが、好ましくは720分以下、より好ましくは600分以下、さらに好ましくは480分以下、特に好ましくは240分以下である。
 工程(5)を行った後には、洗浄を行うことが好ましい。洗浄に使用する溶媒は、反応に用いた溶媒と同様の種類を使用することが好ましく、水やアルコール類を使用することがより好ましい。洗浄率としては、1/5~1/1000が好ましく、1/10以下がより好ましく、また、1/100以上がより好ましい。洗浄後は脱水を行うことが好ましい。
 洗浄及び脱水後は、乾燥を行う。乾燥は、イオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)の構造破壊を起こさないように行うことが好ましく、一般的には、乾燥温度は100~800℃であり、好ましくは150℃以上、特に好ましくは150℃以上、また、好ましくは600℃以下、特に好ましくは300℃以下である。
 化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)は、構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。
 乾燥時間は、通常1分~24時間であり、好ましくは5分以上、また、好ましくは4時間以下である。乾燥雰囲気は、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。乾燥方法に関しては、特に限定されず、各種方法で実施可能である。
(12)イオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)の特性(e1)
 本実施形態に係るオレフィン重合用触媒成分の製造方法における第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)は、下記特性(e1)を満たすことが好ましい。
 特性(e1):酸点を持つ。
 好ましい酸点の量の下限は、第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)1gにつき、pKaが-8.2以下の強酸点が20μmol以上であり、30μmol以上がより好ましく、35μmol以上がさらに好ましい。
 pKaが-8.2以下の酸点の量は、後述する実施例のように指示薬の着色を可視紫外スペクトルで定量しながら機器的に定量できる。酸とは、物質の分類のカテゴリーの一つであり、ブレンステッド酸又はルイス酸である物質を指すと定義する。また、酸点とはその物質が酸としての性質を示す構成単位であると定義し、その量は、滴定法などの分析手段により、単位重量あたりの指示薬溶液滴定量のモル量で把握される。pKaが-8.2以下の酸点は、「強酸点」と呼ばれる。
 前記強酸点の測定は、次の方法で行うことが好ましい。窒素雰囲気下で、試験管中にサンプル0.2gとトルエン2mLを加えスラリーとする。pKaが-8.2以下の酸量の指示薬であるアントラキノン0.01mol/Lトルエン滴定溶液を別途調製し、自動滴定装置(ダイヤインスルメンツ製GT-100)により上記アントラキノン0.01mol/Lトルエン滴定溶液を50μLずつ添加する。紫外可視吸光光度計(浜松ホトニクス社製PMA-11)により、指示薬の酸性色である黄色の吸光ピーク(430nm)のピーク強度が変化しなくなるまでに要したアントラキノンの量をpKaが-8.2以下の酸点の量とする。
(13)オレフィン重合用触媒成分の製造方法の好適例
 オレフィン重合用触媒成分の製造方法の好適な2例について記載する。なお、オレフィン重合用触媒成分の製造方法では、工程(3)及び工程(4)のみが必須の工程であり、他の工程(工程(1)、工程(2)、工程(5))は任意工程である。
(i)好適例A
 好適例Aは、下記の工程(1)、工程(3)、工程(4)、工程(5)を順に行うオレフィン重合用触媒成分の製造方法である。
 工程(1):イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の水スラリーを湿式ビーズミルによって粉砕し、第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを得る工程。
 工程(3):下記特性(b1)及び特性(b2)を満たすイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを噴霧乾燥により造粒し、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を得る工程。
  特性(b1):平均粒径が0.03~0.4μm。
  特性(b2):粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数nが1.5以上。
 工程(4):得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を酸類と接触させて、化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を得る工程。
 工程(5):得られた第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を、塩基類及び塩類の少なくとも一方に接触させて、化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得る工程。
(ii)好適例B
 好適例Bは、下記の工程(2)、工程(3)、工程(4)、工程(5)を順に行うオレフィン重合用触媒成分の製造方法である。
 工程(2):イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)を粉砕機で粉砕し、第2層状ケイ酸塩(B)を得る工程。
 工程(3):下記特性(b1)及び特性(b2)を満たすイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを噴霧乾燥により造粒し、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を得る工程。
  特性(b1):平均粒径が0.03~0.4μm。
  特性(b2):粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数nが1.5以上。
 工程(4):得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を酸類と接触させて、化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を得る工程。
 工程(5):得られた第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を、塩基類及び塩類の少なくとも一方に接触させて、化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得る工程。
2.オレフィン重合用触媒の製造方法
 オレフィン重合用触媒の製造方法は、下記成分(I)及び下記成分(II)を接触させることを特徴とする。
 成分(I):上述の「1.オレフィン重合用触媒成分の製造方法」に記載の方法により得られる前記オレフィン重合用触媒成分。
 成分(II):メタロセン化合物。
 成分(I)における方法の好ましい態様は、上記「1.オレフィン重合用触媒成分の製造方法」の好ましい態様と同様である。
 オレフィン重合用触媒の製造方法は、成分(I)及び成分(II)に、更に下記成分(III)を接触させることができる。
 成分(III):有機アルミニウム化合物。
 オレフィン重合用触媒の製造方法は、成分(I)及び成分(II)に、更に炭素数2~20のα-オレフィンを接触させることができる。
(1)成分(II):メタロセン化合物
 成分(II)であるメタロセン化合物は、周期表第4族遷移金属のメタロセン化合物が好ましく、共役五員環配位子を少なくとも一個有するメタロセン化合物が好ましい。かかる遷移金属化合物として好ましいものは、下記一般式(1)~(4)で表される化合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 上記一般式(1)~(4)中、AおよびA’はそれぞれ独立して、置換基を有してもよい共役五員環配位子を示す。Qは、二つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示す。Zは、窒素原子、酸素原子、珪素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を示す。Q’は、共役五員環配位子の任意の位置とZを架橋する結合性基を示す。Mは、周期表第4族から選ばれる金属原子を示す。XおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基または珪素含有炭化水素基を示す。
 AおよびA’としては、例えば、シクロペンタジエニル基を挙げることができる。シクロペンタジエニル基は、水素原子を五個有するもの[C-]であってもよく、また、その誘導体、すなわちその水素原子のいくつかが置換基で置換されているものであってもよい。
 この置換基の例としては、炭素数1~40、好ましくは炭素数1~30の炭化水素基である。この炭化水素基は、一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、また、これが複数存在するときに、その内の2個がそれぞれ他端(ω-端)で結合してシクロペンタジエニルの一部と共に環を形成していてもよい。後者の例としては、2個の置換基がそれぞれω-端で結合して、該シクロペンタジエニル基中の隣接した2個の炭素原子を共有して縮合六員環を形成しているもの、即ちインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、および縮合七員環を形成しているもの、即ちアズレニル基、テトラヒドロアズレニル基が挙げられる。
 AおよびA’で示される共役五員環配位子の好ましい具体的例としては、置換または非置換の、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基等が挙げられる。この中で、特に好ましいものは、置換または非置換の、インデニル基またはアズレニル基である。
 シクロペンタジエニル基上の置換基としては、前記の炭素数1~40、好ましくは炭素数1~30の炭化水素基に加え、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、炭素数1~12のアルコキシ基、例えば、-Si(R)(R)(R)で示される珪素含有炭化水素基、-P(R)(R)で示されるリン含有炭化水素基、または-B(R)(R)で示されるホウ素含有炭化水素基が挙げられる。これらの置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同一でも異なっていてもよい。上述のR、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、炭素数1~24、好ましくは炭素数1~18のアルキル基を示す。
 さらに、シクロペンタジエニル基上の置換基として、少なくとも1つの第15~16族元素(すなわち、ヘテロ元素)を有してもよい。この場合、ヘテロ元素自身を活性点近傍に、しかも金属と結合、配位することなく存在させて、活性点の性質を向上させようという思想から、第15~16族元素と共役五員環配位子とを結合する原子数が1以下であるメタロセン化合物がさらに好ましい。
 第15~16族元素の配位子上の位置は、特に制限は無いが、2位の置換基上に有することが好ましい。さらに好ましくは2位の置換基が、5員環又は6員環中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びリン原子よりなる群から選択されるヘテロ原子を含有する単環式又は多環式であることが好ましい。また、好ましくはケイ素もしくはハロゲンを含んでもよい炭素数4~20のヘテロ芳香族基であり、ヘテロ芳香族基は、5員環構造が好ましく、ヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましく、酸素原子、硫黄原子がより好ましく、酸素原子がさらに好ましい。
 Qは、二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を、Q’は、共役五員環配位子の任意の位置とZで示される基を架橋する結合性基をそれぞれ表す。
 QおよびQ’の具体例としては、次の基が挙げられる。
(a)メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、フェニルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキシレン基等のアルキレン基類
(b)ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル-t-ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基等のシリレン基類
(c)ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基類
 さらに、具体的には、(CHGe、(CGe、(CH)P、(C)P、(C)N、(C)N、(C)B、(C)B、(C)Al、(CO)Alで示される基等である。好ましいものは、アルキレン基類およびシリレン基類である。
 またQおよびQ’は、QおよびQ’に結合する置換基同士が連結して新たな環構造を形成してもよい。この具体例としては、次の基が挙げられる。
 シクロブチレン基、シクロペンチレン基等のシクロアルキレン基類、シラシクロブチレン基、シラシクロペンチレン基等のシラシクロアルキレン基類。
 Mは、金属原子のことで、特に周期表第4族から選ばれる遷移金属原子を示し、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等である。特に、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
 Zは、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を示す。好ましい具体例としては、酸素原子、イオウ原子、炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~12のチオアルコキシ基、炭素数1~40、より好ましくは炭素数1~18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1~40、より好ましくは炭素数1~18の窒素含有炭化水素基、炭素数1~40、より好ましくは炭素数1~18のリン含有炭化水素基、水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~20の炭化水素基である。
 XおよびYは、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基または珪素含有炭化水素基である。炭化水素基は、好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10である。アルコキシ基は、好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10である。リン含有炭化水素基は、好ましくはジフェニルフォスフィノ基等が挙げられ、また、好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~12である。珪素含有炭化水素基は、好ましくは、トリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等が挙げられ、また、好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~12である。
 XとYは同一でも異なってもよい。これらのうちハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、および炭素数1~12のアミノ基が特に好ましい。
 一般式(1)で表される化合物としては、例えば、
(1)ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)ビス(1-n-ブチル-3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)ビス(1-メチル-3-トリフルオロメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)ビス(1-メチル-3-トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)ビス(1-メチル-3-フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)ビス(2-メチル-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
等が挙げられる。
 一般式(2)で表される化合物としては、例えば、
(1)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-イソプロピル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(3)ジメチルシリレンビス〔1-{2-メチル-4-(4-フルオロフェニル)-4H-アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(4)ジメチルシリレンビス[1-{2-メチル-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、
(5)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4,6-ジイソプロピル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(6)ジフェニルシリレンビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(7)ジメチルシリレンビス{1-(2-エチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(8)エチレンビス{1-[2-メチル-4-(4-ビフェニリル)-4H-アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、
(9)ジメチルシリレンビス{1-[2-エチル-4-(2-フルオロ-4-ビフェニリル)-4H-アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、
(10)ジメチルシリレンビス{1-[2-メチル-4-(2’,6’-ジメチル-4-ビフェニリル)-4H-アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、
(11)ジメチルシリレン{1-[2-メチル-4-(4-ビフェニリル)-4H-アズレニル]}{1-[2-メチル-4-(4-ビフェニリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、
(12)ジメチルシリレン{1-(2-エチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}{1-(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(13)ジメチルシリレンビス{1-(2-エチル-4-フェニル-7-フルオロ-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(14)ジメチルシリレンビス{1-(2-エチル-4-インドリル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(15)ジメチルシリレンビス[1-{2-エチル-4-(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)-4H-アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、
(16)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホン酸)、
(17)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(18)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(19)ジメチルシリレンビス〔1-{2-メチル-4-(1-ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(20)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4,6-ジイソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(21)ジメチルシリレンビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(22)エチレン-1,2-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(23)エチレン-1,2-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(24)イソプロピリデンビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(25)エチレン-1,2-ビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(26)イソプロピリデンビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(27)ジメチルゲルミレンビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(28)ジメチルゲルミレンビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(29)フェニルホスフィノビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(30)ジメチルシリレンビス[3-(2-フリル)-2,5-ジメチル-シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、
(31)ジメチルシリレンビス[2-(2-フリル)-3,5-ジメチル-シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、
(32)ジメチルシリレンビス[2-(2-フリル)-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(33)ジメチルシリレンビス[2-(2-(5-メチル)フリル)-4,5-ジメチル-シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、
(34)ジメチルシリレンビス[2-(2-(5-トリメチルシリル)フリル)-4,5-ジメチル-シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、
(35)ジメチルシリレンビス[2-(2-チエニル)-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(36)ジメチルシリレン[2-(2-(5-メチル)フリル)-4-フェニルインデニル][2-メチル-4-フェニルインデニル]ジルコニウムジクロリド、
(37)ジメチルシリレンビス(2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(38)ジメチルシリレンビス(2,3-ジメチル-5-エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(39)ジメチルシリレンビス(2,5-ジメチル-3-フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(40)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(41)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(42)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(4,5-ジメチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(43)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(44)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-フェニル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(45)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(2-チエニル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(46)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-チエニル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(47)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-フルオロフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(48)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(49)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-メチルフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(50)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(51)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(52)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジt-ブチルフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(53)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(1-ナフチル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(54)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(2-ナフチル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(55)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-ビフェニリル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(56)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(57)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(58)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(4,5-ジメチル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(59)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(60)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-フェニル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(61)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(2-チエニル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(62)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-チエニル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(63)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-フルオロフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(64)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-クロロフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(65)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-メチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(66)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(67)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(68)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジt-ブチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(69)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(1-ナフチル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(70)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(2-ナフチル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(71)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-ビフェニリル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(72)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(73)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(74)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(4,5-ジメチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(75)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(76)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-フェニル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(77)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(2-チエニル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(78)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-チエニル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(79)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-フルオロフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(80)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-クロロフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(81)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-メチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(82)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(83)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(84)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジt-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(85)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(1-ナフチル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(86)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(2-ナフチル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(87)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-ビフェニリル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(88)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-5,5,7,7-テトラメチル-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(89)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-5,5,7,7-テトラメチル-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(90)ジクロロシラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2,5-ジメチル-4-フェニル-1-インデニル]ジルコニウム、
(91)ジクロロシラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(92)ジクロロシラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(93)ジクロロシラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1-インデニル]ジルコニウム、
(94)ジクロロシラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(95)ジクロロシラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(96)ジクロロシラシクロペンチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(97)ジクロロシラシクロペンチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウム、
(98)ジクロロシラシクロペンチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
(99)ジクロロシラシクロペンチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム、
等が挙げられる。
 一般式(3)で表される化合物としては、例えば、
(1)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスt-ブチルアミド)ジクロリド、
(2)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスイソプロピルアミド)ジクロリド、
(3)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスシクロドデシルアミド)ジクロリド、
(4)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム{ビス(トリメチルシリル)アミド)}ジクロリド、
(5)(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)チタニウム{ビス(トリメチルシリル)アミド}ジクロリド、
(6)(2-メチルインデニル)チタニウム(ビスt-ブチルアミド)ジクロリド、
(7)(フルオレニル)チタニウム(ビスt-ブチルアミド)ジクロリド、
(8)(3,6-ジイソプロピルフルオレニル)チタニウム(ビスt-ブチルアミド)ジクロリド、
(9)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(フェノキシド)ジクロリド、
(10)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(2,6-ジイソプロピルフェノキシド)ジクロリド、
等が挙げられる。
 一般式(4)で表される化合物としては、例えば、
(1)ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(2)ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(3)ジメチルシランジイル(2-メチルインデニル)(t-ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(4)ジメチルシランジイル(フルオレニル)(t-ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
等が挙げられる。
 これらの例示化合物のジクロリドは、ジブロマイド、ジフルオライド、ジメチル、ジフェニル、ジベンジル、ビスジメチルアミド、ビスジエチルアミド等に置き換えた化合物も、同様に例示される。さらに、例示化合物中のジルコニウムは、ハフニウムまたはチタニウムに、チタニウムは、ハフニウムまたはジルコニウムに置き換えた化合物も、同様に、例示される。
 本実施形態で使用する遷移金属化合物としては、一般式(2)で示される化合物が好ましく、さらに、置換基に縮合七員環を形成しているもの、即ちアズレニル基、テトラヒドロアズレニル基を有する化合物が特に好ましい。
 なお、メタロセン化合物は、一種類を用いることも、二種類以上を併用して用いることもできる。
 二種類以上を併用して用いる場合は、上記一般式(1)~(4)のうちいずれか一つの一般式に含まれる化合物群の中から二種類以上を選ぶことができ、一つの一般式に含まれる化合物群の中から選ばれる一種または二種以上と他の一般式に含まれる化合物群の中から選ばれる一種または二種以上とを選ぶこともできる。
 例えば、オレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物であり、オレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物とは、70℃でプロピレン単独重合を行った場合に、末端ビニル率が0.5以上を満たすプロピレン単独重合体を形成するメタロセン化合物(II-1)と、一般式(4)で表されるメタロセン化合物(II-2)との併用を挙げることができる。成分(II-2)に対する成分(II-1)のモル比(II-1)/(II-2)は、1.0~99.0とすることができる。
(2)成分(III):有機アルミニウム化合物
 成分(III)は、有機アルミニウム化合物である。
 本実施形態において成分(III)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:(AlR3-nで表される有機アルミニウム化合物が使用される。
 式中、Rは、炭素数1~20のアルキル基を表し、Xは、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1~3の整数を表し、mは1または2を表す。
 有機アルミニウム化合物は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
 有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
 これらのうち、好ましくは、m=1、n=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1~8であるトリアルキルアルミニウムである。
(3)オレフィン重合用触媒の製造方法:炭素数2~20のα-オレフィンを接触(予備重合)
 上述した、成分(I)、成分(II)、必要に応じて成分(III)を接触させることによって得られるオレフィン重合用触媒は、さらに必要に応じて炭素数2~20のα-オレフィンを接触させて、少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。
 使用する炭素数2~20のα-オレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用することが好ましい。
 予備重合時のα-オレフィンの供給方法は、α-オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
 予備重合時間は、特に限定されないが、5分~24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が、成分(I)1gに対し、好ましくは0.01~100gであり、さらに好ましくは0.1g以上、また、さらに好ましくは50g以下である。
 また、予備重合温度は、特に制限は無いが、0℃~100℃が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましく、30℃以上が特に好ましく、また、70℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましく、50℃以下が特に好ましい。この範囲を下回ると、反応速度が低下したり、活性化反応が進行しないという弊害が生じる可能性がある。一方、上回ると、予備重合ポリマーが溶解したり、予備重合速度が速すぎて粒子性状が悪化したり、副反応のため活性点が失活するという弊害が生じる可能性がある。
 予備重合は、有機溶媒等の液体中で実施することもでき、かつこれが好ましい。予備重合時の触媒の濃度には、特に制限は無いが、10g/L以上が好ましく、20g/L以上がより好ましく、特に好ましくは30g/L以上である。濃度が高い方がメタロセン化合物の活性化が進行し、高活性触媒となり好ましいが、上限は通常80g/L以下である。
 さらに、上記各成分の接触の際、又は接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
 予備重合後の触媒は、そのまま使用してもよいし、乾燥してもよい。乾燥方法には、特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いてもよいし、2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし、静置させてもよい。
(4)オレフィン重合用触媒の製造方法における接触方法
 オレフィン重合用触媒の製造方法では、成分(I)と成分(II)及び必要に応じて成分(III)を接触させた後、さらに必要であれば炭素数2~20のα-オレフィンを接触させて、オレフィン重合用触媒としている。
 その成分(I)、成分(II)、成分(III)の接触方法は、特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。この接触は、α-オレフィンとして示したオレフィンの不存在下で行っても、存在下で行ってもよい。これらの接触において、接触を充分に行うため溶媒を用いてもよい。溶媒としては、脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素やこれらのハロゲン化物、また予備重合モノマーなどが例示される。
(i)成分(I)と成分(II)を接触させる。
(ii)成分(I)と成分(II)を接触させた後に、成分(III)を接触する。
(iii)成分(I)と成分(III)を接触させた後に、成分(II)を接触する。
(iv)成分(II)と成分(III)を接触させた後に、成分(I)を接触する。
(v)三成分を同時に接触させる。
 好ましい接触方法は、成分(I)と成分(III)を接触させた後、未反応の成分(III)を洗浄等で除去し、その後、再度必要最小限の成分(III)を成分(I)に接触させ、その後、成分(II)を接触させる方法である。この場合のAl/遷移金属のモル比は、特に限定されないが、0.1~1000の範囲が好ましく、2以上がより好ましく、4以上がさらに好ましく、また、100以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。
 成分(I)と成分(III)を接触させる温度は、特に限定されないが、0℃~100℃が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましく、また、80℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましい。この範囲内では、十分な反応速度が得られるとともに、副反応が抑制される。また、この場合、成分(II)が存在していてもよい。
 成分(II)と成分(III)を接触させる場合には、有機溶媒を溶媒として存在させることが好ましい。この場合の成分(II)の有機溶媒中での濃度は、高い方が好ましい。好ましい成分(II)の有機溶媒中での濃度の下限は、好ましくは3mmol/L、より好ましくは4mmol/L、さらに好ましくは6mmol/Lである。下限値以上であると、所望の反応速度を確保でき、十分に反応が進行する。この場合、成分(I)が存在していてもよい。
 成分(I)1gにつき、成分(II)の量は、0.001~10mmolの範囲が好ましく、0.001~1mmolの範囲がより好ましい。
3.オレフィン(共)重合体の製造方法
 オレフィン(共)重合体の製造方法は、オレフィン重合用触媒の存在下、炭素数2~20のα-オレフィンを単独重合または共重合することを特徴とする。すなわち、この製造方法では、1種類のα-オレフィンを重合、又は2種類以上のα-オレフィンを共重合させる。なお、本明細書において(共)重合体とは、単独重合体及び共重合体の少なくとも一方を意味する。
 共重合の場合、反応系中の各モノマーの量比は、経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも可能である。また。供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
 重合し得るα-オレフィンとしては、炭素数2~20が好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、スチレン、ジビニルベンゼン、7-メチル-1、7-オクタジエン、シクロペンテン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。好ましくは炭素数2~8のα-オレフィンであり、さらに好ましくはエチレン、プロピレンである。
 共重合の場合、用いられるコモノマーの種類は、前記α-オレフィンとして挙げられるものの中から、主成分となるもの以外のα-オレフィンを1種、又は2種以上選択して用いることができる。好ましいコモノマーの主成分はプロピレンである。
 重合様式は、触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる方法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いずモノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。 スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は、例えば0~150℃が好ましい。また、分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。重合圧力は、例えば、0~2000kg/cmGであり、好ましくは0~60kg/cmGが適当である。
 オレフィン(共)重合体の製造方法によって得られるオレフィン(共)重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン/エチレン-α-オレフィン系共重合体などが好適に挙げられる。
 次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、物性測定に使用した分析機器および測定方法は、以下の通りである。
1.各種物性測定法
(1)イオン交換性の層状ケイ酸塩の組成分析:
 JIS法による化学分析により検量線を作成し、蛍光X線測定にて定量した。
 装置は、理学電機工業(株)ZSX-100eを使用した。試料は、700℃で1時間焼成後、0.5gを分け取り、融剤(Li)4.5g、剥離剤(KBr)0.03gと混合し、ガラスビードを作製することで調製した。
 それぞれの原子についての検量線範囲は、以下のとおりである。
 Si:19.8~44.22%、Al:2.01~19.4%、Mg:0.22~3.02%、Na:0.21~3.62%、Fe:0.53~5.83%。
 CaおよびKについては、ICP発光分光法により求めた。700℃で1時間焼成した試料に、硫酸とフッ化水素酸を加えて、加熱溶解した後、その溶液をICP-OES(堀場製作所製ULTIMA2型)にて測定した。
(2)細孔分布測定および比表面積測定:
 窒素吸着法による細孔分布および比表面積を測定した。液体窒素温度下で吸着等温線を測定した。得られた吸着等温線を用いてBET多点法解析を実施し、比表面積を求めた。
 装置:カンタークローム社製オートソーブ3B
 測定手法:窒素ガス吸着法
 前処理条件:試料を200℃、真空下(1.3MPa以下)で2時間減圧加熱
 試料量:約0.2g
 ガス液化温度:77K
(3)粒径および粒度分布の測定:
(3-1)造粒品の測定
 堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-920を用い、分散溶媒をエタノール、屈折率1.3、形状係数1.0の条件で測定した。粒径は、メジアン径のことを言う。
(3-2)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)、又はイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の平均粒径及び粒度分布の測定
 イオン交換性の層状ケイ酸塩を0.05g量りとり、これを蒸留水9.95gにスターラーで撹拌させながら、ゆっくり加え、均一な0.5重量%の水スラリーを調製し、一晩放置(12時間以上)放置した。この水スラリーは、10分間超音波処理させた後、レーザー回折散乱式の粒度測定装置(堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-920)を用い、分散媒を水、屈折率1.3、形状係数1.0の条件で測定した。粒径はメジアン径のことを言う。また、ロジン・ラムラーの分布定数を求めるための粒度分布も同時に測定した。
(4)MFR(メルトマスフローレート):
 タカラ社製メルトインデクサーを用い、JIS K7210:1999年の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法」の試験条件:230℃、2.16kg荷重に準拠して、測定した。
(5)X線回折:
 以下の条件によりX線回折測定を実施した。
・装置:リガク社製X-ray Diffractometer Smartlab
・X線源:Cu-Kα線(Kβ吸収板使用)、管電圧40kV、管電流30mA
・光学系:集中法
・発散スリット2/3度、散乱スリット2/3度、受光スリット0.300mm
・スキャンモード:2θ/θスキャン
・2θスキャン範囲:3.0000~55.0000度
・角度ステップ幅:0.0200度
・スキャン速度:4.0000度/分
・検出器:シンチレーションカウンタ
・サンプルホルダ:深さ0.2mmのガラス製ホルダ
 また、各ピークのデータ処理方法(強度の求め方)は前述した方法で実施した。
(6)強酸点(pKa:-8.2以下)の量の測定(ハメット指示薬を使った滴定(ハメット滴定))
 窒素雰囲気下で、試験管中にサンプル0.2gとトルエン2mLを加えスラリーとした。pKaが-8.2以下の酸量の指示薬であるアントラキノン0.01mol/Lトルエン滴定溶液を別途調製し、自動滴定装置(ダイヤインスルメンツ製GT-100)により上記アントラキノン/Lトルエン滴定溶液を50μLずつ添加した。紫外可視吸光光度計(浜松ホトニクス社製PMA-11)により、指示薬の酸性色である黄色の吸光ピーク(430nm)のピーク強度が変化しなくなるまでに要したアントラキノンの量をpKaが-8.2以下の酸点の量とした。
2.成分(II)(メタロセン化合物)の合成
(1)rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(錯体I)の合成
 ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムは、日本国特開2012―149160号公報の合成例1に記載の方法と同様に、合成した。
(2)rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}]ハフニウム(錯体II)の合成
 rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、日本国特開平11―240909号公報の実施例7に記載の方法と同様に、合成した。
(3)ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム(錯体III)の合成
 ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムの合成は、日本国特開2015-193605号公報の実施例7に記載の方法と同様に、合成した。
3.実施例
(1)実施例1-1A
工程(1-1)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の粉砕-工程(1)、工程(2)
 原料となるイオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)として、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイトを主成分とする水澤化学工業社製「ベンクレイKK」を使用した。
 この原料モンモリロナイトの化学組成(重量%)はAl=10.0、Si=31.1、Fe=1.80、Mg=3.03、Na=3.04、K=0.31、Ca=0.19であった。Si(s)/S(t)は0.907、Mg/Alは0.302であった。水溶媒中に分散させたスメクタイトの平均粒径は0.54μmであった。また、ロジン・ラムラー分布定数nは1.46であった。この水スラリーの調製方法および測定方法は、前述した方法に従う。
 この原料0.72kgを精製水17.28kgに分散させ、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の水スラリー18kg、固形分濃度4重量%を調製した。この水スラリー全量を、粉砕容積1.7Lの湿式ビーズミルである粉砕機のムゲンフローMGF2(アシザワ・ファインテック(株)社製)で、粉砕媒体として0.1mmジルコニアビーズを粉砕容積に対し充填率85%で使用し、周速度15m/s、流量14L/min、管内流速0.34m/minで水スラリーを循環しながら30分粉砕し、イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを得た。
 この水スラリーをよく撹拌した状態で粒径測定用に200mL抜出し、それをテフロン(登録商標)製バットに入れ、110℃に設定した恒温乾燥機で約12時間乾燥した。この乾燥サンプルを、水溶媒中に再び分散させ、粒径測定を行った結果、スメクタイトの平均粒径は0.16μmであった。また、ロジン・ラムラー分布定数nは3.53であり、粒子径が小さく、粒度分布の狭い粒子が得られていることを確認した。この水スラリーの調製方法および測定方法は、前述した方法に従う。
工程(1-2)イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の噴霧乾燥造粒-工程(3)
 前記工程(1-1)で得られたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーをよく撹拌した状態で4L抜出した。この水スラリーの粘度は5.45cpであった。噴霧乾燥造粒装置(大川原化工機社「L-8」)を使用し、次の条件下で上記のスメクタイト/水スラリーの噴霧乾燥造粒を行った。
・アトマイザー形式:M type ロータリーディスク
・アトマイザー回転数:28000rpm
・サイクロン差圧:0.8kPa
・スラリー供給速度:0.8kg/h
・入り口温度:150℃
・出口温度:110~120℃
 噴霧乾燥造粒の結果、平均粒径13.4μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を147g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)のXRD測定を行ったところ、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)に相当するピークが1種類ずつ検出されたが、ピーク(z)に相当する明瞭なピークは検出できなかった。この結果を表1にまとめた。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の化学組成(重量%)はAl=10.0、Si=31.2、Fe=1.80、Mg=3.03、Na=3.00、K=0.31、Ca=0.19であった。Si(s)/Si(t)は0.911、Mg/Al=0.335であった。
工程(1-3)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の酸類との接触-工程(4)
 撹拌翼と還流装置を取り付けた2Lセパラブルフラスコに、蒸留水650gを投入し、98%硫酸83.3gを滴下した。内温が95℃になるまでオイルバスで加熱し、目標温度に到達したところで、さらに、前記工程で得られたイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を100g添加し、撹拌を継続した。
 その後95℃を保ちながら480分反応させた。この反応溶液を500gの蒸留水に加えることで反応を停止し、さらに、このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過した。上記のろ過後のケーキ状の化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を250gの蒸留水でリンスした。ここから得られたケーキは、4gサンプリングし、95℃のオーブンにて2時間以上、乾燥させることで、ケーキ中の固体分を求めた。ケーキ1g中の固体分は0.31gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の化学組成(重量%)は、Al=7.18、Si=38.95(Al/Si=0.192)、Mg=1.96であり、この処理により溶出したAlは40.4%であった。洗浄倍率は0.11であった。比表面積は429m/gであった。
工程(1-4)化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)のケーキに、モンモリロナイト濃度が16.5重量%となるように、蒸留水を加えた。この時のスラリーのpHは1.03だった。40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は202.2gであった。40℃を維持したまま90分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは5.95だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、750gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、65gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)のpKaが-8.2以下の強酸点は50μmol/gであった。
(1)’実施例2-1
工程(1-5)オレフィン重合用触媒の製造方法
 以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。
(1-5-1)触媒調製
 3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記工程(1-4)で得られた化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を10g入れ、ヘプタン(66mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(TiBA、25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を34.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を50mLとした。
 また、別のフラスコ(容積200mL)中で、rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}]ハフニウム(錯体I、54μmol)をトルエン(9mL)に溶解した(溶液1)。更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(錯体II、126μmol)をトルエン(21mL)に溶解した(溶液2)。
 先ほどの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)が入った1Lフラスコを50℃に加熱したオイルバスにつけ、5分後に、トリイソブチルアルミニウム(0.21mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.3mL)を加えた後、上記溶液1(9mL)を加えて、50℃で60分間で撹拌した。
 その後、トリノルマルオクチルアルミニウム(1.76mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を4.5mL)を加えた後上記溶液2加えて、50℃で20分攪拌した。
(1-5-2)予備重合
 上記反応スラリーにヘプタンを165mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを5g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて5分攪拌した。
 この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒30.8gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.05であった。
(1)’’実施例3-1
工程(1-6)プロピレンの重合
 内容積3Lの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液5.6mL(4.04mmol)を加え、水素44mL、液体プロピレン750gを導入し、70℃に昇温しその温度を維持した。上記(1-5-2)で得られた乾燥予備重合触媒をヘプタンでスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)40mgを圧入し、重合を開始した。内温を70℃に維持したまま、1時間重合を継続した。その後、エタノール5mLを加え重合反応を停止させた。残ガスをパージしてポリマーを得た。得られたポリマーを90℃で1時間乾燥した。
 その結果、253.1gのポリマーが得られた。触媒活性は、6328g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは0.85g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(2)実施例1-2A
工程(2-1)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の粉砕-工程(1)、工程(2)
 湿式ビーズミルによる粉砕で、粉砕時間を165分としたこと以外は、実施例1-1Aにおける工程(1-1)と同様に実施し、イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを得た。この結果を表1にまとめた。
工程(2-2)イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の噴霧乾燥造粒-工程(3)
 前記工程(2-1)で得られたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーをよく撹拌した状態で4L抜出した。この水スラリーの粘度は5.05cpであった。噴霧乾燥造粒は実施例1-1Aの工程(1-2)と同様に実施し、平均粒径13.2μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を140g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)のXRD測定を行ったところ、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)に相当するピークが1種類ずつ検出されたが、ピーク(z)に相当する明瞭なピークは検出できなかった。この結果を表1にまとめた。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の化学組成(重量%)はAl=9.99、Si=31.2、Fe=1.80、Mg=3.03、Na=2.99、K=0.31、Ca=0.19であった。Si(s)/Si(t)は0.909、Mg/Al=0.337であった。
工程(2-3)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の酸類との接触-工程(4)
 上記工程(2-2)から得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を用いた以外は、実施例1-1Aの工程(1-3)と同様にして酸類との接触を実施した。ケーキ1g中の固体分は0.31gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の化学組成(重量%)は、Al=7.44、Si=39.3(Al/Si=0.197)、Mg=2.00であり、この処理により溶出したAlは38.8%であった。洗浄倍率は0.11であった。比表面積は417m/gであった。
工程(2-4)化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)のケーキに、モンモリロナイト濃度が16.5重量%となるように、蒸留水を加えた。この時のスラリーのpHは0.93だった。40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は205.3gであった。40℃を維持したまま90分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは5.90だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、750gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、64gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)のpKaが-8.2以下の強酸点は47μmol/gであった。
(2)’実施例2-2
工程(2-5)オレフィン重合用触媒の製造方法
 上記工程(2-4)から得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を使用した以外は、実施例2-1である工程(1-5)と同様に実施し、乾燥予備重合触媒30.6gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.04であった。
(2)’’実施例3-2
工程(2-6)プロピレンの重合
 上記工程(2-4)から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-1である工程(1-6)と同様に実施した。その結果、248.0gのポリマーが得られた。触媒活性は、6200g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは0.75g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(3)実施例1-3A
工程(3-1)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の粉砕-工程(1)、工程(2)
 湿式ビーズミルによる粉砕で、粉砕時間を15分としたこと以外は、実施例1-1Aにおける工程(1-1)と同様に実施し、イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを得た。この結果を表1にまとめた。
工程(3-2)イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の噴霧乾燥造粒-工程(3)
 前記工程(3-1)で得られたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーをよく撹拌した状態で4L抜出した。この水スラリーの粘度は6.05cpであった。噴霧乾燥造粒は実施例1-1Aの工程(1-2)と同様に実施し、平均粒径14.0μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を135g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)のXRD測定を行ったところ、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)に相当するピークが1種類ずつ検出されたが、ピーク(z)に相当する明瞭なピークは検出できなかった。この結果を表1にまとめた。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の化学組成(重量%)はAl=10.0、Si=31.2、Fe=1.79、Mg=3.03、Na=3.00、K=0.31、Ca=0.19であった。Si(s)/Si(t)は0.911、Mg/Al=0.335であった。
工程(3-3)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の酸類との接触-工程(4)
 上記工程(3-2)から得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を用いた以外は、実施例1-1Aの工程(1-3)と同様に実施して酸類との接触を実施した。ケーキ1g中の固体分は0.31gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の化学組成(重量%)は、Al=7.08、Si=38.68(Al/Si=0.190)、Mg=1.82であり、この処理により溶出したAlは40.8%であった。洗浄倍率は0.11であった。比表面積は399m/gであった。
工程(3-4)化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)のケーキに、モンモリロナイト濃度が16.5重量%となるように、蒸留水を加えた。この時のスラリーのpHは0.93だった。40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は203.0gであった。40℃を維持したまま90分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは6.01だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、750gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、69gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)のpKaが-8.2以下の強酸点は46μmol/gであった。
(3)’実施例2-3
工程(3-5)オレフィン重合用触媒の製造方法
 上記工程(3-4)から得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を使用した以外は、実施例2-1である工程(1-5)と同様に実施し、乾燥予備重合触媒31.0gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.07であった。
(3)’’実施例3-3
工程(3-6)プロピレンの重合
 上記工程(3-5)から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-1である工程(1-6)と同様に実施した。その結果、240.8gのポリマーが得られた。触媒活性は、6020g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは0.92g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(4)実施例1-4A
工程(4-1)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の粉砕-工程(1)、工程(2)
 実施例1-1Aと同じイオン交換性の層状ケイ酸塩(A)を使用した。
 この原料0.16kgを精製水3.84kgに分散させ、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の水スラリー4kg、固形分濃度4重量%を調製した。この水スラリー全量を、粉砕容積1.5Lの湿式ビーズミルである粉砕機のスターミルZRS2(アシザワ・ファインテック(株)社製)で、粉砕媒体として0.1mmジルコニアビーズを粉砕容積に対し充填率85%で使用し、周速度14m/s、流量2.7L/min、管内流速0.06L/minで水スラリーを循環しながら90分粉砕し、イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを得た。
 この水スラリーをよく撹拌した状態で粒径測定用に200mL抜出し、それをテフロン(登録商標)製バットに入れ、110℃に設定した恒温乾燥機で約12時間乾燥した。この乾燥サンプルを、水溶媒中に再び分散させ、粒径測定を行った結果、スメクタイトの平均粒径は0.29μmであった。また、ロジン・ラムラー分布定数nは2.41であり、粒度分布の狭い粒子が得られていることを確認した。この水スラリーの調製方法および測定方法は、前述した方法に従う。
工程(4-2)イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の噴霧乾燥造粒-工程(3)
 前記工程(4-1)で得られたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーをよく撹拌した状態で4L抜出した。この水スラリーの粘度は5.45cpであった。噴霧乾燥造粒は実施例1-1Aの工程(1-2)と同様に実施し、平均粒径14.1μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を135g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)のXRD測定を行ったところ、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)に相当するピークが1種類ずつ検出されたが、ピーク(z)に相当する明瞭なピークは検出できなかった。この結果を表1にまとめた。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の化学組成(重量%)はAl=10.0、Si=31.2、Fe=1.79、Mg=3.03、Na=3.04、K=0.31、Ca=0.19であった。Si(s)/Si(t)は0.911、Mg/Al=0.336であった。
工程(4-3)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の酸類との接触-工程(4)
 上記工程(4-2)から得られた第2層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を用いた以外は、実施例1-1Aの工程(1-3)と同様に実施して酸類との接触を実施した。ケーキ1g中の固体分は0.31gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の化学組成(重量%)は、Al=7.05、Si=40.5(Al/Si=0.179)、Mg=1.79であり、この処理により溶出したAlは43.7%であった。洗浄倍率は0.11であった。比表面積は374m/gであった。
工程(4-4)化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)のケーキに、モンモリロナイト濃度が16.5重量%となるように、蒸留水を加えた。この時のスラリーのpHは、0.85だった。40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は204.0gであった。40℃を維持したまま90分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、6.05だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、750gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、65gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)のpKaが-8.2以下の強酸点は34μmol/gであった。
(4)’実施例2-4
工程(4-5)オレフィン重合用触媒の製造方法
 上記工程(4-4)から得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を使用した以外は、実施例2-1である工程(1-5)と同様に実施し、乾燥予備重合触媒31.0gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.07であった。
(4)’’実施例3-4
工程(4-6)プロピレンの重合
 上記工程(4-5)から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-1である工程(1-6)と同様に実施した。その結果、221.0gのポリマーが得られた。触媒活性は、5525g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは1.15g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(5)実施例1-5A
工程(5-1)イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)
 原料イオン交換性の層状ケイ酸塩として、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイトを主成分とする水澤化学工業社製の精製モンモリロナイトを使用した。この原料イオン交換性の層状ケイ酸塩を水溶媒中に再び分散させ、粒径測定を行った結果、スメクタイトの平均粒径は0.18μmであった。また、ロジン・ラムラー分布定数nは4.29であり、粒子径が小さく、粒度分布の狭い粒子が得られていることを確認したため、粉砕処理は実施せずにイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)として次の工程に供した。この水スラリーの測定方法は、前述した方法に従う。
工程(5-2)イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の噴霧乾燥造粒-工程(3)
 前記工程(5-1)で得られたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーをよく撹拌した状態で1.2L抜出した。この水スラリーの粘度は19.0cpであった。噴霧乾燥造粒装置(大川原化工機社「L-8」)を使用し、次の条件下で上記のスメクタイト/水スラリーの噴霧乾燥造粒を行った。
・アトマイザー形式:M type ロータリーディスク
・アトマイザー回転数:28000rpm
・サイクロン差圧:0.8kPa
・スラリー供給速度:0.8kg/h
・入り口温度:150℃
・出口温度:110~120℃
 噴霧乾燥造粒の結果、平均粒径12.6μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を50g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)のXRD測定を行ったところ、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)に相当するピークが1種類ずつ検出されたが、ピーク(z)に相当する明瞭なピークは検出できなかった。この結果を表1にまとめた。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の化学組成(重量%)はAl=9.11、Si=30.5、Fe=2.05、Mg=4.40、Na=2.37、K=0.46、Ca=0.65であった。Si(s)/Si(t)は0.998、Mg/Al=0.537であった。
工程(5-3)イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)の酸類との接触-工程(4)
 撹拌翼と還流装置を取り付けた2Lセパラブルフラスコに、蒸留水325gを投入し、98%硫酸41.7gを滴下した。内温が95℃になるまでオイルバスで加熱し、目標温度に到達したところで、さらに、前記工程で得られたイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を50g添加し、撹拌を継続した。
 その後95℃を保ちながら270分反応させた。この反応溶液を250gの蒸留水に加えることで反応を停止し、さらに、このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過した。上記のろ過後のケーキ状の化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を125gの蒸留水に入れスラリー化し、再度このスラリーを濾過する操作を5回繰り返し、洗浄した。ここから得られたケーキは、2gサンプリングし、95℃のオーブンにて2時間以上、乾燥させることで、ケーキ中の固体分を求めた。ケーキ1g中の固体分は0.31gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の化学組成(重量%)は、Al=6.25、Si=38.13(Al/Si=0.171)、Mg=2.07であり、この処理により溶出したAlは45.2%であった。洗浄倍率は0.01であった。比表面積は534m/gであった。
工程(5-4)化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)のケーキに、モンモリロナイト濃度が14.3重量%となるように蒸留水を加え、内温が40℃になるように加熱した。この時のスラリーのpHは3.43だった。ここに硫酸リチウム一水和物を32.5g加え、40℃を維持したまま120分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは3.55だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、400gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、35gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)のpKaが-8.2以下の強酸点は45μmol/gであった。
(5)’実施例2-5
工程(5-5)オレフィン重合用触媒の製造方法
 上記工程(5-4)から得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を使用した以外は、実施例2-1である工程(1-5)と同様に実施し、乾燥予備重合触媒22.3gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.18であった。
工程(5-6)プロピレンの重合
 上記工程(5-5)から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-1である工程(1-6)と同様に実施した。その結果、225.0gのポリマーが得られた。触媒活性は、5625g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは1.05g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(6)実施例2-6
工程(6-5)オレフィン重合用触媒の製造方法
 以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。
(6-5-1)触媒調製
 3つ口フラスコ(容積1L)中に、実施例1-1Aから得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)10gを入れ、ヘプタン(66mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(TiBA、25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を34.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を50mLとした。
 また、別のフラスコ(容積200mL)中で、ジクロロシラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウム(錯体III、300μmol)をトルエン(30mL)に溶解した(溶液3)。
 先ほどの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)が入った1Lフラスコを40℃に加熱したオイルバスにつけ、5分後に、トリノルマルオクチルアルミニウム(1.76mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を31mL)を加えた後、上記溶液3(30mL)を加えて、40℃で60分間で撹拌した。
(6-5-2)予備重合
 上記反応スラリーにヘプタンを189mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の速度でフィードし、2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて5分攪拌した。
 この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒33.9gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.29であった。
(6)’実施例3-6
工程(6-6)プロピレンの重合
 内容積3Lの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2.8mL(2.02mmol)を加え、水素506mL、液体プロピレン750gを導入し、65℃に昇温しその温度を維持した。上記(6-5-2)で得られた乾燥予備重合触媒をヘプタンでスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)10mgを圧入し、重合を開始した。内温を65℃に維持したまま、1時間重合を継続した。その後、エタノール5mLを加え重合反応を停止させた。残ガスをパージしてポリマーを得た。得られたポリマーを90℃で1時間乾燥した。
 その結果、380.0gのポリマーが得られた。触媒活性は、38000g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは12.5g/10分であった。重合結果を表3に示す。
(7)実施例2-7
工程(7-5)オレフィン重合用触媒の製造方法
 実施例1-3Aの第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を用いた以外は、実施例2-6における工程(6-5)と同様にして触媒調製及び予備重合操作を行い、乾燥予備重合触媒33.5gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.24であった。
(7)’実施例3-7
工程(7-6)プロピレンの重合
 上記工程(7-5)から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-6である工程(6-6)と同様に重合を実施した。その結果、422.7gのポリマーが得られた。触媒活性は、42270g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは21.2g/10分であった。重合結果を表3に示す。
(8)実施例2-8
工程(8-5)オレフィン重合用触媒の製造方法
 実施例1-5Aの第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を用いた以外は、実施例2-6における工程(6-5)と同様にして触媒調製及び予備重合操作を行い、乾燥予備重合触媒29.1gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.83であった。
(8)’実施例3-8
工程(8-6)プロピレンの重合
 上記工程(8-5)から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-6である工程(6-6)と同様に重合を実施した。その結果、422.7gのポリマーが得られた。触媒活性は、42270g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは21.2g/10分であった。重合結果を表3に示す。
4.比較例
(1)比較例1-1C
工程(1-1)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(B)’
 実施例1-1Aの工程(1-1)で使用した粘土と同じイオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)を使用したが、粉砕は実施しなかった。すなわち、かかるイオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)を、そのままイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’として次の工程に供した。したがって、水溶媒中に分散させたスメクタイトの平均粒径は0.54μmである。また、ロジン・ラムラー分布定数nは1.46である。この水スラリーの調製方法および測定方法は、前述した方法に従う。
工程(1-2)’イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の噴霧乾燥造粒-工程(3)’
 前記工程(1-1)’におけるイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の4重量%蒸留水スラリー4Lを調製し、一日静置させた。この水スラリーの粘度は4.05cpであった。噴霧乾燥造粒は実施例1-1Aにおける工程(1-2)と同様に実施し、平均粒径13.5μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’を133g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’のXRD測定を行ったところ、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)、(z)に相当するピークが1種類ずつ検出された。この結果を表1にまとめた。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の化学組成(重量%)はAl=10.0、Si=31.1、Fe=1.80、Mg=3.03、Na=3.04、K=0.31、Ca=0.19であった。このスメクタイトのSi(s)/S(t)は0.907、Mg/Alは0.335であった。
工程(1-3)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の酸類との接触-工程(4)’
 上記工程(1-2)’から得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’を用いた以外は、実施例1-1Aにおける工程(1-3)と同様にして酸類との接触を実施した。ケーキ1g中の固体分は0.31gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’の化学組成(重量%)は、Al=7.13、Si=38.50(Al/Si=0.193)、Mg=1.80であり、この処理により溶出したAlは40.1%であった。洗浄倍率は0.11であった。比表面積は330m/gであった。
工程(1-4)’化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)’
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’のケーキに、モンモリロナイト濃度が16.5重量%となるように、蒸留水を加えた。この時のスラリーのpHは0.90だった。40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は204.1gであった。40℃を維持したまま90分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは6.00だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、750gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、62gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’のpKaが-8.2以下の強酸点は29μmol/gであった。
(1)’比較例2-1
工程(1-5)’オレフィン重合用触媒の製造方法
 上記工程(1-4)’から得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を使用した以外は、実施例2-1である工程(1-5)と同様に実施し、乾燥予備重合触媒32.0gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.14であった。
(1)’’比較例3-1
工程(1-6)’プロピレンの重合
 上記工程(1-5)’から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-1である工程(1-6)と同様に実施した。その結果、180.8gのポリマーが得られた。触媒活性は、4520g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは1.50g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(2)比較例1-2C
工程(2-1)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(B)’
 原料となるイオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)として、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイトを主成分とする水澤化学工業社製「ベンクレイKK」を使用した。なお、実施例1-1Aにおける工程(1-1)で使用したイオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)とは生産ロットが異なる。
 この原料モンモリロナイトの化学組成(重量%)はAl=9.93、Si=32.18、Fe=1.80、Mg=2.72、Na=1.87、K=0.41、Ca=0.20であった。水溶媒中に分散させたスメクタイトの平均粒径は0.47μmであった。また、ロジン・ラムラー分布定数nは3.55であった。この水スラリーの調製方法および測定方法は、前述した方法に従う。このイオン交換性の層状ケイ酸塩の粉砕は実施しなかったため、そのままイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’として次の工程に供した。
工程(2-2)’イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の噴霧乾燥造粒-工程(3)’
 前記工程(2-1)’のイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の4重量%蒸留水スラリー4Lを調製し、一日静置させた。この水スラリーの粘度は4.52cpであった。噴霧乾燥造粒は実施例1-1Aにおける工程(1-2)と同様に実施し、平均粒径14.1μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’を130g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’のXRD測定を行ったところ、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)、(z)に相当するピークが1種類ずつ検出された。この結果を表1にまとめた。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の化学組成(重量%)はAl=9.93、Si=32.18、Fe=1.80、Mg=2.72、Na=1.87、K=0.41、Ca=0.20であった。Si(s)/Si(t)は0.942、Mg/Al=0.304であった。
工程(2-3)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の酸類との接触-工程(4)’
 上記工程(2-1)’から得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’を用いた以外は、実施例1-1Aにおける工程(1-3)と同様に実施して酸類との接触を実施した。ケーキ1g中の固体分は0.31gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’の化学組成(重量%)は、Al=7.31、Si=37.50(Al/Si=0.203)、Mg=1.83であり、この処理により溶出したAlは36.8%であった。洗浄倍率は0.11であった。比表面積は340m/gであった。
工程(2-4)’化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)’
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’のケーキに、モンモリロナイト濃度が16.5重量%となるように、蒸留水を加えた。この時のスラリーのpHは、0.95だった。40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は203.3gであった。40℃を維持したまま90分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは5.98だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、750gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、65gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’のpKaが-8.2以下の強酸点は29μmol/gであった。
(2)’比較例2-2
工程(2-5)’オレフィン重合用触媒の製造方法
 上記工程(2-4)’から得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を使用した以外は、実施例2-1である工程(1-5)と同様に実施し、乾燥予備重合触媒31.3gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.09であった。
(2)’’比較例3-2
工程(2-6)’プロピレンの重合
 上記工程(2-5)’から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-1である工程(1-6)と同様に実施した。その結果、182.6gのポリマーが得られた。触媒活性は、4,565g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは1.55g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(3)比較例1-3C
工程(3-1)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の粉砕-工程(1)’、(2)’
 湿式ビーズミルによる粉砕において、流量0.9L/min、管内流速0.02L/minの条件で1300分粉砕したこと以外は実施例1-4Aにおける工程(4-1)と同様に実施してイオン交換性の第1層状ケイ酸塩(B)’を得た。粒径測定を行った結果、スメクタイトの平均粒径は0.04μmであった。また、ロジン・ラムラー分布定数nは1.10であり、粒度分布の広い粒子が得られていることを確認した。この水スラリーの調製方法および測定方法は、前述した方法に従う。
工程(3-2)’イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の噴霧乾燥造粒-工程(3)’
 前記工程(3-1)’で得られたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の水スラリーの粘度は6.50cpであった。噴霧乾燥造粒は実施例1-1Aにおける工程(1-2)と同様に実施し、平均粒径14.5μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’を128g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’のXRD測定を行ったところ、過度に粉砕が進行し、スメクタイトの結晶構造が失われてしまったためか、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)、(z)に相当する明瞭なピークは検出されなかった。したがってピーク強度比はいずれも算出しなかった。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の化学組成(重量%)はAl=10.0、Si=31.2、Fe=1.79、Mg=2.98、Na=2.97、K=0.31、Ca=0.18であった。Si(s)/Si(t)は0.901、Mg/Al=0.331であった。
工程(3-3)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の酸類との接触-工程(4)’
 上記工程(3-2)’から得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’を用いた以外は、実施例1-1Aにおける工程(1-3)と同様にして酸類との接触を実施した。ケーキ1g中の固体分は0.29gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’の化学組成(重量%)は、Al=7.02、Si=39.6(Al/Si=0.184)、Mg=1.76であり、この処理により溶出したAlは42.7%であった。洗浄倍率は0.11であった。比表面積は240m/gであった。
工程(3-4)’化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)’
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’のケーキに、モンモリロナイト濃度が16.5重量%となるように、蒸留水を加えた。この時のスラリーのpHは1.20だった。40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は200.5gであった。40℃を維持したまま90分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは5.87だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、750gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、61gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’のpKaが-8.2以下の強酸点は20μmol/gであった。
(3)’比較例2-3工程(3-5)’オレフィン重合用触媒の製造方法
 上記工程(3-4)’から得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を使用した以外は、実施例2-1である工程(1-5)と同様に実施し、乾燥予備重合触媒30.7gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.05であった。
(3)’’比較例3-3
工程(3-6)’プロピレンの重合
 上記工程(3-5)’から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-1である工程(1-6)と同様に実施した。その結果、168.6gのポリマーが得られた。触媒活性は、4215g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは2.08g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(4)比較例1-4C
工程(4-1)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の粉砕-工程(1)’、(2)’
 湿式ビーズミルによる粉砕で、粉砕時間を600分としたこと以外は、比較例1-3Cにおける工程(3-1)’と同様に実施し、イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’を得た。粒径測定を行った結果、スメクタイトの平均粒径は0.14μmであった。また、ロジン・ラムラー分布定数nは1.40であり、粒度分布の広い粒子が得られていることを確認した。この水スラリーの調製方法および測定方法は、前述した方法に従う。
工程(4-2’イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の噴霧乾燥造粒-工程(3)’
 前記工程(4-1)’で得られたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の水スラリーの粘度は6.25cpであった。噴霧乾燥造粒は実施例1-1Aにおける工程(1-2)と同様に実施し、平均粒径14.2μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’を130g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’のXRD測定を行ったところ、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)、(z)に相当するピークが1種類ずつ検出された。この結果を表1にまとめた。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の化学組成(重量%)はAl=10.0、Si=31.2、Fe=1.80、Mg=2.99、Na=2.99、K=0.31、Ca=0.18であった。Si(s)/Si(t)は0.902、Mg/Al=0.331であった。
工程(4-3)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の酸類との接触-工程(4)’
 上記工程(4-2)’から得られた第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’を用いた以外は、実施例1-1Aにおける工程(1-3)と同様に実施して酸類との接触を実施した。ケーキ1g中の固体分は0.30gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’の化学組成(重量%)は、Al=7.10、Si=38.7(Al/Si=0.191)、Mg=1.77であり、この処理により溶出したAlは42.8%であった。洗浄倍率は0.11であった。比表面積は325m/gであった。
工程(4-4)’化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)’
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’のケーキに、モンモリロナイト濃度が16.5重量%となるように、蒸留水を加えた。この時のスラリーのpHは1.15だった。40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は201.3gであった。40℃を維持したまま90分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは5.89だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、750gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、65gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’のpKaが-8.2以下の強酸点は25μmol/gであった。
(4)’比較例2-4
工程(4-5)’オレフィン重合用触媒の製造方法
 上記工程(4-3)’から得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を使用した以外は、実施例2-1である工程(1-5)と同様に実施し、乾燥予備重合触媒30.9gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.07であった。
(4)’’比較例3-4
工程(4-6)’プロピレンの重合
 上記工程(4-5)’から得られた触媒を使用した以外は、実施例3-1である工程(1-6)と同様に実施した。その結果、180.4gのポリマーが得られた。触媒活性は、4510g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは1.60g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(5)比較例1-5C
工程(5-1)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(B)’
 原料となるイオン交換性の層状ケイ酸塩(A)として、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイトを主成分とする水澤化学工業社製「ベンクレイSL」を使用したが、粉砕は実施しなかった。そのため、そのままイオン交換性の第1層状ケイ酸塩(B)’として次の工程に供した。
 この原料モンモリロナイトの化学組成(重量%)はAl=8.87、Si=33.66、Fe=1.99、Mg=2.04、Na=2.55、K=0.66、Ca=0.20であった。水溶媒中に分散させたスメクタイトの平均粒径は0.41μmであった。また、ロジン・ラムラー分布定数nは3.88であった。この水スラリーの調製方法および測定方法は、前述した方法に従う。
工程(5-2)’イオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の噴霧乾燥造粒-工程(3)’
 前記工程(5-1)’のイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)’の4重量%蒸留水スラリー4Lを調製し、一日静置させた。この水スラリーの粘度は5.20cpであった。噴霧乾燥造粒は実施例1-1Aにおける工程(1-2)と同様に実施し、平均粒径13.6μmのイオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’を130g回収した。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’のXRD測定を行ったところ、2θ=5.0~25.0度の範囲に、ピーク(x)、(y)、(z)に相当するピークが1種類ずつ検出された。この結果を表1にまとめた。
 イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の化学組成(重量%)はAl=8.87、Si=33.66、Fe=1.99、Mg=2.04、Na=2.55、K=0.66、Ca=0.20であった。Si(s)/Si(t)は0.671、Mg/Al=0.243であった。
工程(5-3)’イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)’の酸類との接触-工程(4)’
 上記工程(5-2)’から得られた第1層状ケイ酸塩(C)’を使用した以外は、実施例1-1Aにおける工程(1-3)と同様に実施して酸類との接触を実施した。ケーキ1g中の固体分は0.32gであった。この化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’の化学組成(重量%)は、Al=5.6、Si=40.1(Al/Si=0.145)、Mg=1.2であり、この処理により溶出したAlは47.0%であった。洗浄倍率は0.11であった。比表面積は290m/gであった。
工程(5-4)’化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’の塩類及び/又は塩基類による化学処理-工程(5)’
 上記化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)’のケーキに、モンモリロナイト濃度が16.5重量%となるように、蒸留水を加えた。この時のスラリーのpHは1.23だった。40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は199.5gであった。40℃を維持したまま90分間反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは5.78だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、750gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、200℃減圧乾燥を5時間実施して、67gの化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を得た。この化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’のpKaが-8.2以下の強酸点は17μmol/gであった。
(5)’比較例2-5
工程(5-5)’オレフィン重合用触媒の製造方法
 上記工程(5-4)’から得られた第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を使用した以外は、実施例2-1である工程(1-5)と同様に実施し、乾燥予備重合触媒32.0gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.14であった。
(5)’’比較例3-5
工程(5-6)’プロピレンの重合
 上記工程(5-5)’から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-1である工程(1-6)と同様に実施した。その結果、163.8gのポリマーが得られた。触媒活性は、4095g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは2.02g/10分であった。重合結果を表2に示す。
(6)比較例2-6工程(6-5)’オレフィン重合用触媒の製造方法
 比較例1-1Cから得られたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)’を用いた以外は、実施例2-6における工程(6-5)と同様にして触媒調製及び予備重合操作を行い、乾燥予備重合触媒32.8gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.18であった。
(6)’’比較例3-6
工程(6-6)’プロピレンの重合
 上記工程(6-5)’から得られた乾燥予備重合触媒を使用した以外は、実施例3-6である工程(6-6)と同様に重合を実施した。その結果、233.8gのポリマーが得られた。触媒活性は、23380g-PP/g-触媒/hrであった。MFRは49.3g/10分であった。重合結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
5.実施例と比較例の対比による考察
 重合活性はポリマーの分子量に依存するため、重合活性の優劣を比較する場合には、分子量の指標であるMFRに対して評価する必要がある。図1及び図2は、実施例及び比較例において、得られたポリマーのMFRに対して、固体成分あたりの重合活性をプロットした図である。図1及び図2を参照すると、本実施形態に係る製造方法で得られた触媒成分を利用した実施例は、MFRに対する重合活性が比較例より高いレベルにあり、重合活性が優れていることが明らかにされている。また、本実施形態に係る触媒成分を利用した実施例は、比較例に比べて、同じ水素量でより低いMFRのポリマー、すなわち、より高分子量のポリマーを高活性に製造することが可能であり、ポリマーのインデックスを拡大することが可能であることが明らかにされている。
 本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2019年3月29日出願の日本特許出願(特願2019-067540)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
 本発明のオレフィン重合用触媒成分の製造方法によれば、活性点の数が増加して、高活性にオレフィン重合体を製造可能なオレフィン重合用触媒成分を製造できる。このオレフィン重合用触媒成分を用いたオレフィン重合用触媒によれば、重合活性が向上すると共に、より高分子量の重合体を得ることができ、産業上、利用可能性が高い。

Claims (12)

  1.  下記工程(3)及び下記工程(4)を含む、オレフィン重合用触媒成分の製造方法。
     工程(3):下記特性(b1)及び特性(b2)を満たすイオン交換性の第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを噴霧乾燥により造粒し、イオン交換性の第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を得る工程。
      特性(b1):平均粒径が0.03~0.4μm。
      特性(b2):粒度分布から求めるロジン・ラムラー分布定数nが1.5以上。
     工程(4):得られた前記第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)を酸類と接触させて、化学処理されたイオン交換性の第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を得る工程。
  2.  前記第2層状ケイ酸塩(B)がスメクタイトを含む、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
  3.  前記第2層状ケイ酸塩(B)がモンモリロナイトを含む、請求項1又は2に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
  4.  前記第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)は比表面積が350m/g以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
  5.  更に、下記工程(5)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
     工程(5):得られた前記第2層状ケイ酸塩造粒粒子(D)を、塩基類及び塩類の少なくとも一方に接触させて、化学処理されたイオン交換性の第3層状ケイ酸塩造粒粒子(E)を得る工程。
  6.  前記工程(3)の前に、更に下記工程(2)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
     工程(2):イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)を粉砕機で粉砕し、前記第2層状ケイ酸塩(B)を得る工程。
  7.  前記工程(3)の前に、更に下記工程(1)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
     工程(1):イオン交換性の第1層状ケイ酸塩(A)の水スラリーを湿式ビーズミルによって粉砕し、前記第2層状ケイ酸塩(B)の水スラリーを得る工程。
  8.  前記第1層状ケイ酸塩造粒粒子(C)が、下記特性(c1)を満たす、請求項1~7のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分の製造方法。
     特性(c1):X線回折(XRD)において、2θ=19.0~20.0度の第1範囲にピーク(x)を、2θ=5.0~10.0度の第2範囲にピーク(y)を、それぞれ有し、かつ前記第1範囲における最大のピーク強度をX、前記第2範囲における最大のピーク強度をYとしたときに、0.27≦(Y/X)の関係を満たす。
  9.  下記成分(I)及び下記成分(II)を接触させる、オレフィン重合用触媒の製造方法。
     成分(I):請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法により得られるオレフィン重合用触媒成分。
     成分(II):メタロセン化合物。
  10.  前記成分(I)及び前記成分(II)に、更に下記成分(III)を接触させる、請求項9に記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
     成分(III):有機アルミニウム化合物。
  11.  前記成分(I)及び前記成分(II)に、更に炭素数2~20のα-オレフィンを接触させる、請求項9又は10に記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
  12.  請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法により得られるオレフィン重合用触媒の存在下、炭素数2~20のα-オレフィンを単独重合または共重合する、オレフィン(共)重合体の製造方法。
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