JP2016204525A - オレフィン重合用触媒成分およびそれを用いたオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 2:1型のイオン交換性層状珪酸塩であって、八面体シートが2八面体であり、下記一般式(1)の組成式中に示されるxの値が0〜0.1であることを特徴とするイオン交換性層状珪酸塩、該イオン交換性層状珪酸塩を含むオレフィン重合用触媒成分、及び該オレフィン重合用触媒成分を含むオレフィン重合用触媒を用いる方法による。
(M+、M2+ 0.5)x+y(Y3+ 2−y、Y2+ y)(Si4−x、Alx)O10(OH)2・・・(1)
(式中、M+はNa及び/又はKイオンを表し、M2+はCaイオンを表し、Y3+はAl、Fe、Mn、Crのいずれか1種類以上の3価の金属イオンを表し、Y2+はMg、Fe、Mn、Ni、Znのいずれか1種類以上の2価の金属イオンを表す。xは0≦x≦0.1、yはx/((M++0.5M2+)/Y2+−1)である。)
【選択図】なし
Description
しかしながら、上記のようなこれまでの技術では、オレフィン重合用触媒成分の性能としては未だ充分でなく、さらなる技術向上が望まれている。
(M+、M2+ 0.5)x+y(Y3+ 2−y、Y2+ y)(Si4−x、Alx)O10(OH)2・・・(1)
(式中、M+はNa及び/又はKイオンを表し、M2+はCaイオンを表し、Y3+はAl、Fe、Mn、Crのいずれか1種類以上の3価の金属イオンを表し、Y2+はMg、Fe、Mn、Ni、Znのいずれか1種類以上の2価の金属イオンを表す。xは0<x≦0.1、yはx/((M++0.5M2+)/Y2+−1)である。)
また、本発明の第2の発明によれば、イオン交換性層状珪酸塩が膨潤性を有するイオン交換性層状珪酸塩であるオレフィン重合用触媒成分が提供され、さらに、本発明の第3の発明によれば、イオン交換性層状珪酸塩がスメクタイト族であり、スメクタイト含量が80%以上であるオレフィン重合用触媒成分が提供される。
1.イオン交換性層状珪酸塩
本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩は、2:1型のイオン交換性層状珪酸塩であって、八面体シートが2八面体であり、下記一般式(1)の組成式中に示されるxの値が0を超えて0.1以下である。
(M+、M2+ 0.5)x+y(Y3+ 2−y、Y2+ y)(Si4−x、Alx)O10(OH)2・・・(1)
M+はNa及び/又はKイオンを表し、M2+はCaイオンを表し、Y3+はAl、Fe、Mn、Crのいずれか1種類以上の3価の金属イオンを表し、Y2+はMg、Fe、Mn、Ni、Znのいずれか1種類以上の2価の金属イオンを表す。xは0<x≦0.1、yはx/((M++0.5M2+)/Y2+−1)である。ただし,yを表す式において、M+、M2+およびY2+は式中の元素M+、M2+およびY2+の存在量(mmol/g)を指す。
一般式(1)中のxは、四面体シート内のAlイオンの数を示している。四面体シートは、理想的にはSiイオンに4つのOイオンが配位してSiO4四面体を形成し、このSiO4四面体が4つのOイオンの内3つのOイオンをとなりの四面体と共有して六角網状につながった構造をしている。しかしながら、このSiイオンが3価のAlイオンに置き換わっていることが一般的であり、この置き換わっている現象を同形置換という。そのため、xはSiO4四面体シート中でどれだけのSiイオンがAlイオンに同形置換されているか、つまり同形置換の量を示している。イオン交換性層状珪酸塩がオレフィン重合用触媒成分として高い性能を発現するためには、四面体シート由来のSiと八面体シート由来のAlによる構造から形成されるルイス酸部位(平面的に記すと−O−Si−O−Al−O−のような構造)が必要であり、またそれが強酸を示すことが好ましいと考えられる。
次に、本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩の製造法について説明する。本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩は、天然のものに限らず、人工合成物であってもよい。具体例としては、例えば「粘土鉱物学」(白水晴雄著、朝倉書店、1995年)に記載されている次のようなものが挙げられる。パイロフィライト、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族珪酸塩、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイトなどのクロライト、2八面体型バーミキュライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等のスメクタイト族珪酸塩。
これらは、混合層を形成していてもよい。また、多くのイオン交換性層状珪酸塩は、天然には、粘土鉱物の混合物として産出されるため、夾雑物(石英やクリストバライト等が挙げられる)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。例えば,一般的にはベントナイトの名称もあげられる。複数の粘土鉱物の混合物である場合の主成分は、2八面体型バーミキュライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等のスメクタイト族珪酸塩であることが好ましい。また、これらの天然物を水簸により精製することがより好ましい。水簸を行うことで、比重の大きな石英や長石などの不純物が取り除かれる他、膨潤しない珪酸塩も取り除くことができ、本発明に好ましいイオン交換性層状珪酸塩を得ることができる。水簸方法としては、通常用いられる水簸方法を用いることができる。本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩は,水簸による不純物除去を行うことで得られる。
本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩は,xが0<x≦0.1である。このようなイオン交換性層状珪酸塩は,天然のものでもよく合成したものでも良い。特に合成したものである場合は,温度範囲が200〜450℃,Na2O,MgO,Al2O3,SiO2,H2Oの混合物がそれぞれモル比でNa2O:MgO:Al2O3:SiO2:H2O=1〜1.5:1〜1.5:5〜7.5:12〜18:30〜40の任意の範囲にある水熱合成などによっても合成できる。このとき,Al2O3が5.5〜7であることが好ましい。このようにして,本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩は製造することができる。
本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩は、膨潤性を有するイオン交換性層状珪酸塩であることが好ましい。膨潤性を有することで水簸により好ましいイオン交換性層状珪酸塩のみを精製したイオン交換性層状珪酸塩として得ることができる。さらに、酸類による化学処理を行う場合、イオン交換性層状珪酸塩が膨潤性を有していることにより、珪酸塩が凝集しにくく均一な処理が進行しやすくなると考えられ、好ましい触媒成分として得ることができる。
イオン交換性層状珪酸塩において、蛍光X線分析から定量したSi(t)は、先に述べたようにイオン交換性層状珪酸塩全体、つまり夾雑物を含んだものとして得られるものである。イオン交換性層状珪酸塩中に占めるスメクタイトの割合を表すスメクタイト含量とは、Si(t)に対するSi(s)の割合であり、Si(s)/Si(t)%で表すことができる。Si(t)は分析から求めることができ、Si(s)は、一般式(1)から求められる式2のなかで次の式16を用いて求めることができる。
本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩は、オレフィン重合用触媒成分の原料として用いることが好ましい。
また本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩は、水分散径が0.05〜0.6μmであることが好ましい。この水分散径とは、次の方法で測定したメジアン径のことを示す。測定方法は、まず、イオン交換性層状珪酸塩を0.05g量りとり、これを蒸留水9.95gにスターラーで撹拌させながら、ゆっくり加え、均一な0.5wt%の水分散液を調製する。これを液温が20〜60℃の範囲で12時間以上放置した後、10分間超音波処理し、この分散液をサンプルとしてレーザー回折散乱式の粒度測定装置(例えば、堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒子測定装置LA−920)を用い、分散媒を水、屈折率1.3、形状係数1.0の条件で測定する。
本発明で用いるイオン交換性層状珪酸塩は、オレフィン重合用触媒成分の原料として用いられることが好ましく、この場合無機酸または有機酸などの酸類で処理をしていることが好ましい。酸類で処理する酸処理について、詳しく説明すると、次のようなことが起こる。
酸類で行う化学処理の条件として、温度は、40〜102℃がよく、好ましくは50〜100℃である。さらに好ましくは、60〜95℃である。あまり温度を低下させると、極端に陽イオンの溶出速度が低下し、製造効率が低下する。一方、温度を上げ過ぎると、操作上の安全性が低下する。
また、イオン交換性層状珪酸塩の溶媒中の濃度は、3〜50重量%で調製できる。好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。濃度が低くなると、工業的に生産する場合は大きな設備が必要となってしまう。一方、濃度が高い場合には、スラリーの粘度が上昇してしまい、均一な攪拌混合が困難になり、やはり製造効率が低下する。
使用する酸化合物は、塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピリオン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸などの無機酸および有機酸が例示される。その中でも、無機酸が好ましく、塩酸、硝酸、硫酸が好ましい。さらに好ましくは塩酸、硫酸であり、特に好ましくは硫酸である。
化学処理、特に酸処理によって、八面体シートを構成する金属陽イオンを、化学処理前の含有量に対して、10〜65%溶出させることが好ましく、より好ましくは15〜60%、さらに好ましくは17〜55%、特に好ましくは20〜50%溶出させる。溶出割合が小さいと、十分な細孔量が確保できず、表面積も小さくなり、本発明に好ましい触媒成分となるイオン交換性層状珪酸塩は、得られない。
[化学処理前のアルミニウム/珪素(モル比)−化学処理後のアルミニウム/珪素(モル比)]÷化学処理前のアルミニウム/珪素(モル比)×100
上記化学処理を実施した後に、反応溶液中の反応物もしくは未反応物が残存することで、活性低下を招く可能性があるため、洗浄することが好ましい。この際、一般的には、水や有機溶媒などの液体を使用する。
酸類による化学処理を行った後は、洗浄を行うことが好ましい。洗浄に使用する溶媒は、反応に用いた溶媒と同様の種類を使用することが好ましく、水やアルコール類を使用することがより好ましい。洗浄率としては、1/5〜1/1000、1/10〜1/100が好ましい。
Ti(OOCCH3)4、Ti(CO3)2、Ti(NO3)4、Ti(SO4)2、TiF4、TiCl4、TiBr4、TiI4、Zr(OOCCH3)4、Zr(CO3)2、Zr(NO3)4、Zr(SO4)2、ZrF4、ZrCl4、ZrBr4、ZrI4、ZrOCl2、ZrO(NO3)2、ZrO(ClO4)2、ZrO(SO4)、Hf(OOCCH3)4、Hf(CO3)2、Hf(NO3)4、Hf(SO4)2、HfOCl2、HfF4、HfCl4、HfBr4、HfI4等が挙げられ、
上述の塩類による化学処理は、適当な溶剤を使用しそこに処理剤を溶解させて処理剤溶液として用いても良いし、処理剤自身を溶媒として用いてもよい。使用できる溶剤としては、水、アルコール類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、フラン類、アミン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。好ましくは、水、アルコール類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル類、エーテル類であり、より好ましくは水、アルコール類、脂肪族炭化水素、エーテル類であり、特に好ましくは水、アルコール類である。また、処理剤溶液中の処理剤濃度は0.1〜100重量%程度が好ましく、より好ましくは5〜50重量%程度である。処理剤濃度がこの範囲内であれば処理に要する時間が短くなり効率的に生産が可能になるという利点がある。
洗浄および脱水後は、乾燥を行う。乾燥は、イオン交換性層状珪酸塩の構造破壊を起こさないように行うことが好ましく、一般的には、乾燥温度は100〜800℃、好ましくは150〜600℃で実施可能であり、特に好ましくは150〜300℃で実施することが好ましい。
これらのイオン交換性層状珪酸塩は、構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。乾燥方法に関しては、特に限定されず、各種方法で実施可能である。
水の除去には、通常、加熱処理が用いられる。その方法は、特に制限されないが、付着水、層間水が残存しない、また、構造破壊を生じないような条件を選ぶことが好ましい。
加熱時間は、0.1時間以上、好ましくは0.2時間以上である。その際、除去した後の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下であることが好ましい。
本発明で用いるオレフィン重合用触媒は、上記のイオン交換性層状珪酸塩及びメタロセン遷移金属化合物および有機アルミニウム化合物を含むものである。以下に各構成成分を詳述する。
本発明で使用するメタロセン遷移金属化合物は、共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期表第3〜12族のメタロセン化合物である。第4族遷移金属のメタロセン遷移金属化合物が好ましい。かかる遷移金属化合物として好ましいものは、(I)〜(VI)で表される化合物である。
(C5H5−aR1 a)(C5H5−bR2 b)MXY ・・・(I)
Q(C5H4−cR1 c)(C5H4−dR2 d)MXY ・・・(II)
Q’(C5H4−eR3 e)ZMXY ・・・(III)
(C5H5−fR3 f)ZMXY ・・・(IV)
(C5H5−fR3 f)MXYW ・・・(V)
Q”(C5H5−gR4 g)(C5H5−hR5 h)MXY ・・・(VI)
R1〜R5はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR1、2個のR2、2個のR3、2個のR4、又は2個のR5が、それぞれ結合して炭素数4〜10個の環を形成していてもよい。a、b、c、d、e、f、g、及びhは、それぞれ0≦a≦5、0≦b≦5、0≦c≦4、0≦d≦4、0≦e≦4、0≦f≦5、0≦g≦5、0≦h≦5、を満足する整数である。
ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4、5ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビスフルオレニルジルコニウムジクロリド、ビス(4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド。
ジメチルシリレンビス(1、1’−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1、1′−(2−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1、1′−(2−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレンビス{1、1′−(2−メチル−4、5ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1、1′−(2−メチル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1、1′−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1、1′−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1、1′−(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレンビス{1、1′−(2−メチル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド。
(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1、2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)−(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1、2−エタンジイル−ジルコニウムジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−メチレンジルコニウムジクロライド、(第3級ブチルアミド)ジメチル−(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(フエニルホスフイド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル。
(シクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(2、3−ジメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(2、6−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2、6−ジ−i−プロピルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド。
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(2、3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド。
エチレンビス(7、7’−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7、7’−(1−メチル−3−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[7、7’−{1−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7、7’−(1−エチル−3−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7、7’−(1−イソプロピル−3−(4−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド。
有機アルミニウム化合物としては、一般式(AlRnX3−n)mで表される有機アルミニウム化合物が使用される。式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン、水素、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1〜3の、mは1〜2の整数を各々表す。有機アルミニウム化合物は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、m=1、n=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記のイオン交換性層状珪酸塩、メタロセン遷移金属化合物、有機アルミニウム化合物を含み、これらは必要に応じて重合槽内で、あるいは重合槽外で接触させオレフィンの存在下で予備重合を行ってもよい。予備重合としては、オレフィンを任意の方法で接触させてもよい。オレフィンとは炭素間二重結合を少なくとも1個含む炭化水素をいい、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチルブテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン等が例示されるが、特に種類に制限はなく、これらと他のオレフィンとの混合物を用いてもよい。好ましくは炭素数3以上のオレフィンがよい。
イオン交換性層状珪酸塩、メタロセン遷移金属化合物、有機アルミニウム化合物の使用量は任意であるが、メタロセン遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物との比が、イオン交換性層状珪酸塩1gあたり、0.1〜1000(μmol):0〜100000(μmol)となるように接触させることが好ましい。
その接触方法は、特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。この接触は、モノマーの不存在化で行っても、モノマーの存在下で行ってもよい。これらの接触において、接触を充分に行うため溶媒を用いてもよい。溶媒としては、脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素やこれらのハロゲン化物、また予備重合モノマーなどが例示される。
(ii)イオン交換性層状珪酸塩と有機アルミニウム化合物を接触させた後に、メタロセン遷移金属化合物を接触する。
(iii)メタロセン遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物を接触させた後に、イオン交換性層状珪酸塩を接触する。
(iv)三成分を同時に接触させる。
好ましい接触方法は、イオン交換性層状珪酸塩と有機アルミニウム化合物を接触させた後、未反応の有機アルミニウム化合物を洗浄等で除去し、その後再度必要最小限の有機アルミニウム化合物をイオン交換性層状珪酸塩に接触させ、その後、メタロセン遷移金属化合物を接触させる方法である。この場合のAl/遷移金属のモル比は、0.1〜1、000、好ましくは2〜100、さらに好ましくは4〜50の範囲である。
また、メタロセン遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物を接触させる(その場合、イオン交換性層状珪酸塩が存在していてもよい)場合には、有機溶媒を溶媒として存在させることが好ましい。この場合のメタロセン遷移金属化合物の有機溶媒中での濃度は、高い方が好ましい。好ましいメタロセン遷移金属化合物の有機溶媒中での濃度の下限は、好ましくは3mmol/L、より好ましくは4mmol/L、さらに好ましくは6mmol/Lである。下限未満では、反応が遅く、十分に反応が進行しないおそれがある。
イオン交換性層状珪酸塩1gにつき、メタロセン遷移金属化合物が0.001〜10mmol、好ましくは0.001〜1mmolの範囲である。
オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
また、予備重合温度は、特に制限は無いが、0℃〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜70℃、特に好ましくは20〜60℃、さらに好ましくは30〜50℃である。この範囲を下回ると、反応速度が低下したり、活性化反応が進行しないという弊害が生じる可能性があり、一方、上回ると、予備重合ポリマーが溶解したり、予備重合速度が速すぎて粒子性状が悪化したり、副反応のため活性点が失活するという弊害が生じる可能性がある。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
予備重合後の触媒は、そのまま使用してもよいし、乾燥してもよい。乾燥方法には、特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いてもよいし、2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし、静置させてもよい。
前記イオン交換性層状珪酸塩、メタロセン遷移金属化合物、有機アルミニウム化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いておこなう重合は、オレフィン単独あるいは該オレフィンと他のコモノマーとを混合接触させることにより行われる。共重合の場合、反応系中の各モノマーの量比は経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも便利であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
重合し得るオレフィンとしては、炭素数2〜20程度のものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン、ジビニルベンゼン、7−メチル−1、7−オクタジエン、シクロペンテン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。好ましくは炭素数2〜8のα−オレフィンであり、さらに好ましくはエチレン、プロピレンである。共重合の場合、用いられるコモノマーの種類は、前記オレフィンとして挙げられるものの中から、主成分となるもの以外のオレフィンを1種、或いは2種以上選択して用いることができる。好ましくは主成分がプロピレンである。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は0〜150℃であり、また分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。重合圧力は0〜2000kg/cm2G、好ましくは0〜60kg/cm2Gが適当である。
本発明の製造方法によって得られるオレフィン重合体としては、特に限定されないが、以下に例を挙げるとすれば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン/エチレン−α−オレフィン系共重合体などが挙げられる。
なお、物性測定に使用した分析機器および測定方法は、以下の通りである。
(1)イオン交換性層状珪酸塩の組成分析:
JIS法による化学分析により検量線を作成し、蛍光X線測定にて定量した。
装置は、理学電機工業(株)ZSX−100eを使用した。試料は、700℃で1時間焼成後、0.5gを分け取り、融剤(Li2B4O7)4.5g、剥離剤(KBr)0.03gと混合し、ガラスビードを作成することで調製した。
それぞれの原子についての検量線範囲は、以下のとおり。
Si:19.8〜44.22%、Al:2.01〜19.4%、Mg:0.22〜8.0%、Na:0.21〜3.62%、Fe:0.53〜5.83%。
CaおよびKについては、ICP発光分光法により求めた。700℃で1時間焼成した試料に、硫酸とフッ化水素酸を加えて、加熱溶解した後、その溶液をICP−OES(堀場製作所製ULTIMA2型)にて測定した。
イオン交換性層状珪酸塩を0.05g量りとり、これを蒸留水9.95gにスターラーで撹拌させながら、ゆっくり加え、均一な0.5wt%の水スラリーを調製し、一晩放置(12時間以上)放置する。このとき、液温は20〜60℃の範囲にあることを確認する。この水スラリーは、10分間超音波処理させた後、レーザー回折散乱式の粒度測定装置(例えば、堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒子測定装置LA−920)を用い、分散媒を水、屈折率1.3、形状係数1.0の条件で測定した。粒径はメジアン径のことを言う。
タカラ社製メルトインデクサーを用い、JIS K7210の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法」の試験条件:230℃、2.16kg荷重に準拠して、測定した。
1.造粒モンモリロナイト
2:1層のイオン交換性層状珪酸塩として、次の化学組成(mmol/g)を有するモンモリロナイト(水澤化学工業(株)「ベンクレイKK」)を使用した。Al:3.636、Si:11.221、Na:1.209、Mg:1.304、Fe:0.338、K:0.064、Ca:0.107。このモンモリロナイトのxは、0.009であり、スメクタイト含量は93.5%であった。造粒前のモンモリロナイトを0.5wt%水スラリーで調製した際の平均粒径は、0.44μmであった。水スラリーの調製方法および測定方法は、前記(2)に従う。
このモンモリロナイトを以下の条件で造粒した。
・噴霧前スラリー濃度:4wt%(濃度wt%=粘土原料重量÷(粘土原料重量+蒸留水重量)×100
・噴霧前の均一化処理:ホモジナイザーを使用し、10分間処理
・噴霧条件:大川原化工機社製噴霧造粒装置(LT−8)を用いて噴霧造粒を実施。運転条件は、以下の通りである。
アトマイザー回転数:20,000rpm
給液量=1.0L/h
入り口温度=200℃
出口温度=120〜90℃
サイクロン差圧=80mmH2O
上記で得られた造粒モンモリロナイトを使用してイオン交換性層状珪酸塩の酸処理を行った。撹拌翼と還流装置を取り付けた1Lフラスコに、蒸留水645gを投入し、96%硫酸82.9gを滴下した。内温が95℃になるまでオイルバスで加熱し、目標温度に到達したところで、さらに、上記1の造粒モンモリロナイトを100.1g添加後撹拌した。その後95℃を保ちながら480分反応させた。この反応溶液を500gの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、さらに、このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、その後1000gの蒸留水で3回洗浄した。洗浄後は、ケーキ状のまま次工程に用いた。最終洗浄後のケーキ重量は、274.4gであった。
1Lプラスチックビーカーで蒸留水193.5gに、硫酸リチウム水和物27.3gを溶解させた水溶液を調製した。ここに先のケーキを全量加え、90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、0.6Lの蒸留水で3回洗浄し、回収したケーキ151.7gを120℃で終夜乾燥した。
その結果、66.8gの化学処理モンモリロナイトを得た。この化学処理モンモリロナイトは、Al(mol)/Si(mol)が0.179で、Li含量が0.42wt%であった。
以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。
上記で調製した化学処理モンモリロナイトを目開き53μmの篩にかけ、篩通過分のみ容積200mlのフラスコに入れ、200℃でおよそ3時間(突沸がおさまってから2時間以上)減圧乾燥した。次に、内容積1Lのフラスコにこの乾燥モンモリロナイト9.99gを秤量し、ヘプタン65ml、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液35ml(25.3mmol、濃度143.4g/l)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を50mlに調製した。これに、ヘプタン85mlとトリノルマルオクチルアルミニウム(TnOA)のヘプタン溶液1.53ml(濃度143.6mg/ml、599μmol)を加え、室温で15分撹拌した。
窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに、上記で調製したモンモリロナイト/メタロセン錯体を導入した。オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを5g/時間の速度で供給し、温度40℃を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに1時間維持して予備重合を行った。
予備重合終了後、残存プロピレンをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を150ml抜き出した。続いてTiBAのヘプタン溶液4.14ml(2.96mmol)を室温にて加え、その後、40℃にて1時間減圧乾燥した。これにより、触媒1g当たりポリプロピレン2.13g含む予備重合触媒が31.70g得られた。
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、TiBAのヘプタン溶液5.6ml(4.04mmol)を加え、水素90ml、液体プロピレン750gを導入し、70℃に昇温し、その温度を維持した。予備重合触媒をヘプタンでスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)25mgを圧入し重合を開始した。内温を70℃に維持したまま、1時間重合を継続した。その後、エタノール5mlを加え重合反応を停止させた。残ガスをパージしてポリマーを得た。得られたポリマーを90℃で1時間乾燥した。
その結果、246gのポリマーが得られた。触媒活性は、9,840g−PP/g−触媒/hrであった。MFRは1.1g/10分であった。結果を表2に示す。
1.造粒モンモリロナイト
2:1層のイオン交換性層状珪酸塩として、次の化学組成(mmol/g)を有するモンモリロナイト(水澤化学工業(株)「ベンクレイKK」)を使用した。Al:3.625、Si:11.317、Na:1.278、Mg:1.277、Fe:0.326、K:0.065、Ca:0.071。このモンモリロナイトのxは、0.039であり、スメクタイト含量は89.7%であった。造粒前のモンモリロナイトを0.5wt%水スラリーで調製した際の平均粒径は、0.47μmであった。水スラリーの調製方法および測定方法は、前記(2)に従う。
2.イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
得られた造粒モンモリロナイトを使用してイオン交換性層状珪酸塩の酸処理を行った。造粒モンモリロナイト添加後の95℃維持時間を315分とした以外は、実施例1同様に行った。その結果、68.8gの化学処理モンモリロナイトを得た。この化学処理モンモリロナイトは、Al(mol)/Si(mol)が0.210で、Li含量が0.49wt%であった。
3.触媒調製
上記化学処理モンモリロナイトを10.0g使用した以外は、実施例1同様に行った。触媒1g当たりポリプロピレン2.10g含む予備重合触媒が31.42g得られた。
上記触媒を、予備重合ポリマーを除いた触媒量として21.6mg使用した以外は、実施例1同様に行った。その結果、233gのポリマーが得られた。触媒活性は、10,787g−PP/g−触媒/hrであった。MFRは1.5g/10分であった。結果を表2に示す。
1.イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
実施例2から得られた造粒モンモリロナイトを使用してイオン交換性層状珪酸塩の酸処理を行った。撹拌翼と還流装置を取り付けた1Lフラスコに、蒸留水967gを投入し、96%硫酸123.4gを滴下した。内温が95℃になるまでオイルバスで加熱し、目標温度に到達したところで、さらに、造粒モンモリロナイトを150g添加後撹拌した。その後95℃を保ちながら220分反応させた。この反応溶液を750gの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、さらに、このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、その後1500gの蒸留水で3回洗浄した。洗浄後は、ケーキ状のまま次工程に用いた。最終洗浄後のケーキ重量は、439.5gであった。
1Lプラスチックビーカーで蒸留水424.9gに、硫酸リチウム水和物168.8gを溶解させた水溶液を調製した。ここに先のケーキを全量加え、90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、1500Lの蒸留水で3回洗浄し、回収したケーキ416gを120℃で終夜乾燥した。
その結果、114.1gの化学処理モンモリロナイトを得た。この化学処理モンモリロナイトは、Al(mol)/Si(mol)が0.235で、Li含量が0.51wt%であった。
上記化学処理モンモリロナイトを10.2g使用した以外は、実施例1同様に行った。触媒1g当たりポリプロピレン2.01g含む予備重合触媒が31.07g得られた。
3.プロピレン重合
上記触媒を、予備重合ポリマーを除いた触媒量として20.0mg,水素を135mL使用した以外は実施例2と同様に行った。その結果、248gのポリマーが得られた。触媒活性は、12,400g−PP/g−触媒/hrであった。MFRは2.1g/10分であった。結果を表2に示す。
1.造粒モンモリロナイト
2:1層のイオン交換性層状珪酸塩として、次の化学組成(mmol/g)を有する特許文献6に使用されているモンモリロナイト(水澤化学工業(株)「ベンクレイSL」)を使用した。Al:3.288、Si:11.983、Na:1.063、Mg:0.839、Fe:0.356、K:0.060、Ca:0.200。このモンモリロナイトのxは、0.187であり、スメクタイト含量は65.2%であった。造粒前のモンモリロナイトを0.5wt%水スラリーで調製した際の平均粒径は、0.63μmであった。水スラリーの調製方法および測定方法は、前記(2)に従う。
このモンモリロナイトを実施例1同様の造粒条件で造粒した。
蒸留水2268g、96%硫酸290.6gを混合した、硫酸水溶液を95℃まで昇温し、そこに上記で調製した造粒モンモリロナイト351gを添加した。添加後の95℃で360分間処理を継続した。反応停止に875gの蒸留水と1回の洗浄用の蒸留水を2500gとした以外は、実施例1同様に行った。その結果、258.8gの化学処理モンモリロナイトを得た。この化学処理モンモリロナイトは、Al(mol)/Si(mol)が0.168で、Li含量が0.25wt%であった。
上記化学処理モンモリロナイトを9.99g使用した以外は、実施例1同様に行った。触媒1g当たりポリプロピレン2.16g含む予備重合触媒が31.96g得られた。
4.プロピレン重合
予備重合ポリマーを除いた触媒量として25mg使用した以外は、実施例1同様に行った。その結果、215gのポリマーが得られた。触媒活性は、8,600g−PP/g−触媒/hrであった。MFRは2.6g/10分であった。結果を表2に示す。
1.造粒モンモリロナイト
2:1層のイオン交換性層状珪酸塩として、次の化学組成(mmol/g)を有する特許文献2に使用されているモンモリロナイト(クニミネ工業(株)「クニピアF」)を使用した。Al:4.522、Si:11.000、Na:1.174、Mg:0.864、Fe:0.269、K:0.332、Ca:0.013。このモンモリロナイトのxは、0.260であり、スメクタイト含量は85.1%であった。造粒前のモンモリロナイトを0.5wt%水スラリーで調製した際の平均粒径は、1.45μmであった。水スラリーの調製方法および測定方法は、前記(2)に従う。
このモンモリロナイトを実施例1同様の造粒条件で造粒した。
得られた造粒モンモリロナイトを使用してイオン交換性層状珪酸塩の酸処理を行った。撹拌翼と還流装置を取り付けた0.5Lフラスコに、蒸留水281.7gを投入し、96%硫酸82.7gを滴下した。内温が90℃になるまでオイルバスで加熱し、目標温度に到達したところで、さらに、上記1の造粒モンモリロナイトを50.1g添加後撹拌した。その後90℃を保ちながら300分反応させた。この反応溶液を250gの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、さらに、このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、その後500gの蒸留水で3回洗浄した。洗浄後は、ケーキ状のまま次工程に用いた。最終洗浄後のケーキ重量は、67.8gであった。
0.5Lプラスチックビーカーで蒸留水79.6gに、硫酸リチウム水和物27.4gを溶解させた水溶液を調製した。ここに先のケーキを全量加え、90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、500gの蒸留水で3回洗浄し、回収したケーキ84.1gを120℃で終夜乾燥した。
その結果、22.5gの化学処理モンモリロナイトを得た。この化学処理モンモリロナイトは、Al(mol)/Si(mol)が0.296で、Li含量が0.25wt%であった。
上記化学処理モンモリロナイトを9.99g使用した以外は、実施例1同様に行った。触媒1g当たりポリプロピレン1.99g含む予備重合触媒が30.24g得られた。
4.プロピレン重合
予備重合ポリマーを除いた触媒量として29.8mg使用した以外は、実施例1同様に行った。その結果、168gのポリマーが得られた。触媒活性は、5,638g−PP/g−触媒/hrであった。MFRは2.9g/10分であった。結果を表2に示す。
1.造粒モンモリロナイト
2:1層のイオン交換性層状珪酸塩として、次の化学組成(mmol/g)を有するモンモリロナイト(Southern Clay Products Inc.「BP Collidual Clay」)を使用した。Al:3.858、Si:11.520、Na:0.831、Mg:0.584、Fe:0.530、K:0.031、Ca:0.041。このモンモリロナイトのxは、0.127であり、スメクタイト含量は78.6%であった。造粒前のモンモリロナイトを0.5wt%水スラリーで調製した際の平均粒径は、1.44μmであった。水スラリーの調製方法および測定方法は、前記(2)に従う。
このモンモリロナイトを実施例1同様の造粒条件で造粒した。
蒸留水169.1g、96%硫酸49.9gを混合した、硫酸水溶液を95℃まで昇温し、そこに上記で調製した造粒モンモリロナイト29.7gを添加した。添加後の95℃で300分間処理を継続した。反応停止に100gの蒸留水と1回の洗浄用の蒸留水を300gとした以外は、実施例1同様に行った。洗浄後は、ケーキ状のまま次工程に用いた。最終洗浄後のケーキ重量は、45.8gであった。
0.5Lプラスチックビーカーで蒸留水76.5gに、硫酸リチウム水和物22.52gを溶解させた水溶液を調製した。ここに先のケーキを全量加え、90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、200gの蒸留水で3回洗浄し、回収したケーキ49.2gを120℃で終夜乾燥した。
その結果、18gの化学処理モンモリロナイトを得た。この化学処理モンモリロナイトは、Al(mol)/Si(mol)が0.228で、Li含量が0.22wt%であった。
上記化学処理モンモリロナイトを10.1g使用した以外は、実施例1同様に行った。触媒1g当たりポリプロピレン2.15g含む予備重合触媒が31.94g得られた。
4.プロピレン重合
予備重合ポリマーを除いた触媒量として25.1mg使用し、水素を112.5mLとした以外は、実施例1同様に行った。その結果、196gのポリマーが得られた。触媒活性は、7,809g−PP/g−触媒/hrであった。MFRは3.3g/10分であった。結果を表2に示す。
具体的には,実施例2と比較例2を比較することにより,一般式(1)のxが0.039である(つまり、0.1よりも小さい)イオン交換性層状珪酸塩は,同じくxが0.260である(つまり、0.1よりも大きな)イオン交換性層状珪酸塩よりもオレフィン重合用触媒として用いた際の活性と比較することにより本発明の優位性が分かる。すなわち、前者は1gからMFR1.5g/10分のポリマーが1時間に10,787gを製造できるのに対し,後者は1gからMFRがより高い2.9g/10分のポリマーが1時間に5,638gを製造する。このように本発明のイオン交換性層状珪酸塩を用いて調製されるオレフィン重合用触媒ではMFRが低いにもかかわらず,およそ2倍のポリマーを製造することができる。
したがって,本実験例のようにイオン交換性層状珪酸塩において,一般式(1)のxの範囲が0を超えて0.1以下である場合,一般式(1)のxの範囲が0.1よりも大きなイオン交換性層状珪酸塩を含むオレフィン重合用触媒よりも高活性であり,優れた結果が得られているといえる。
Claims (7)
- 2:1型のイオン交換性層状珪酸塩であって、八面体シートが2八面体であり、下記一般式(1)の組成式中に示されるxの値が0を超えて0.1以下であるイオン交換性層状珪酸塩を用いて調製されることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分。
(M+、M2+ 0.5)x+y(Y3+ 2−y、Y2+ y)(Si4−x、Alx)O10(OH)2・・・(1)
(式中、M+はNa及び/又はKイオンを表し、M2+はCaイオンを表し、Y3+はAl、Fe、Mn、Crのいずれか1種類以上の3価の金属イオンを表し、Y2+はMg、Fe、Mn、Ni、Znのいずれか1種類以上の2価の金属イオンを表す。xは0<x≦0.1、yはx/((M++0.5M2+)/Y2+−1)である。) - 前記イオン交換性層状珪酸塩が膨潤性を有するイオン交換性層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン重合用触媒成分。
- 前記イオン交換性層状珪酸塩がスメクタイト族であり、スメクタイト含量が80%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合用触媒成分。
- 層間の交換性陽イオンがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属イオンから選ばれる1種類以上の陽イオンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン交換性層状珪酸塩であることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分。
- 前記イオン交換性層状珪酸塩を酸類で処理する工程を含んで調製されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分、メタロセン遷移金属化合物及び有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
- 請求項6に記載のオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィン重合を行うことを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
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