JP2006257255A - オレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
新規なオレフィン重合用触媒及びこれを用いたオレフィン重合体の製造法の提供。
【解決手段】
粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの粘土鉱物等を、クロム酸及びその塩、重クロム酸及びその塩、又は、クロムの陽イオンと、ハロゲンイオン、無機酸及び有機酸の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなるクロム化合物の均一溶液と接触させることにより得られた固体生成物であって、該固体生成物に含まれるクロムの少なくとも一部が6価であることを特徴とするオレフィン重合用触媒。

Description

本発明は、オレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィン重合体の製造方法に関するものである。特に、本発明は、高分子量のポリエチレンを高活性で生成可能なオレフィン重合用触媒及びその製造方法に係り、特にフィリップス触媒に比べてクロム当たりの重合活性に優れたオレフィン重合用触媒及びその製造方法に関する。
オレフィン重合体は、各種の成形品の樹脂材料として、一般的に広く用いられているが、その成形方法と用途によって要求される特性が異なっている。例えば、ポリエチレンは、射出成形法によって成形される製品には分子量が比較的低く、狭い分子量分布を有する重合体が適しているが、ブロー成形やインフレーション成形などによって成形される製品には、分子量が比較的高く、分子量分布の広い重合体が適している。
従来から、シリカ又はこれを主体とする複合酸化物に担持され、酸素の存在下で焼成活性化することにより少なくともクロム原子の一部が6価であるクロム触媒成分(フィリップス触媒)を用いることにより、ブロー成形、特に大型ブロー成形に適した広い分子量分布のポリエチレンが得られることはよく知られている。
このフィリップス触媒の改良技術として、例えば、「無機酸化物担体に担持され、非還元性雰囲気下で焼成し活性化された少なくともクロム原子の一部が6価であるクロム触媒成分に、不活性炭化水素溶媒中で有機マグネシウムを担持し、さらに溶媒を除去し乾燥して得られる有機マグネシウム担持クロム触媒」を用いてエチレンを重合する発明が開示されている(特許文献1参照)。
フィリップス触媒以外にも、オレフィン重合用触媒として、粘土鉱物を特定の方法で処理したものが利用できることが知られている(例えば、特許文献2〜3参照)。特許文献2では、「(a)クロム塩及び塩基を水に溶解することにより、加水分解した第一溶液を調製し、その第一溶液を約20〜約100℃の範囲の温度に、溶液が約1.5〜約2.5の範囲のpHに達するまで連続的に攪拌しながら加熱し、それによってマスターバッチを形成し、(b)前記マスターバッチを水で希釈して希釈第二溶液を生成させ、前記希釈第二溶液を加熱して加熱第二溶液を生成させ、(c)二八面体又は三八面体スメクタイトである固体フィロ珪酸塩粘土を前記加熱第二溶液に添加し、そして加熱を継続し、(d)支柱型フィロ珪酸塩粘土を回収し、そして(e)前記支柱型フィロ珪酸塩粘土を乾燥して第一生成物を形成する、ことからなる支柱型フィロ珪酸塩粘土の製造方法」が開示されている。
しかしながら、この方法は、クロム塩の溶解、加水分解、加熱、pH調節、希釈、加熱、接触等の工程を経て、層状粘土の層間にポリヒドロキシ性のクロムオリゴマーを、支柱型に生成させるもので、処理工程が長く、複雑である。更にこれを酸化性雰囲気中で活性化して、トリエチルアルミニウム、トリエチル硼素、トリエチルシランのような共触媒とともにオレフィン重合用触媒として使用することが開示されているが、共触媒のない状態での利用については記載されていない。
あるいは特許文献3では、「(I)粘土、粘土鉱物およびイオン交換性層状化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を、周期表第4〜6族遷移金属原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンイオン、無機酸および有機酸の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオン、とからなる水溶性又は酸性水溶液に可溶性の塩と接触させて固体生成物を得る工程、(II)該固体生成物を洗液のpHが3〜7となるまで水で洗浄する工程、(III)水洗した固体生成物を乾燥する工程、及び(IV)乾燥した固体生成物を有機アルミニウム化合物と接触させて触媒を得る工程を順次実施することにより製造されるオレフィン重合用触媒」が開示されている。
しかしながら、この方法も有機アルミニウム化合物との接触工程を必須とするもので、(III)工程で得られた固体生成物をそのまま重合用触媒として利用することは記載されていない。事実、本発明者らの知見によれば、オレフィンの重合活性は殆ど認められない。
一方、フィリップス触媒は、得られるオレフィン重合体(ポリマー)の分子量分布の広さとポリマー鎖中に長鎖分岐が存在することから、主に、高密度ポリエチレンのブロー成形分野を中心に使用されている触媒である。また、重合条件の面から言えば、一般的には重合時にスカベンジャーとしての有機アルミニウム化合物を用いない点や、得られるポリマーの分子量を主に重合温度により制御する点が特徴として挙げられる。これらの特徴は、いわゆるチーグラー触媒やメタロセン触媒とは全く異なっており、分子量や分子量分布の制御範囲を広げるために、異なるタイプの触媒を組み合わせるという手法をとることは困難である。従って、フィリップス触媒と同様な重合面での特徴を持ち、得られるポリマーの分子量が大きく異なる触媒が簡便な手法で得られれば、従来のフィリップス触媒との併用も可能となり、分子量や分子量分布の制御範囲がさらに広がり、材料設計の幅が広がることが期待される。しかしながら、これらの観点からすると、従来公知のフィリップス触媒の改良技術に対しても、更なる改良が必要であった。
特開2002−80520号公報 特開平5−238723号公報 特開平9−194517号公報
本発明は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、簡便な手法により得られる特定のクロム原子を含有する粘土鉱物からなるオレフィン重合用触媒が、従来のフィリップス触媒より高分子量のポリエチレンを高活性で生成することを見出し完成されたものである。
本発明の要旨は、粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの粘土鉱物等を、クロム酸及びその塩、重クロム酸及びその塩、又は、クロムの陽イオンと、ハロゲンイオン、無機酸及び有機酸の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなるクロム化合物の均一溶液と接触させることにより得られた固体生成物であって、該固体生成物に含まれるクロムの少なくとも一部が6価であることを特徴とするオレフィン重合用触媒にある。
また、本発明の他の要旨は、固体生成物に含まれるクロムが、酸素の存在下、400〜900℃に加熱することにより6価に変換されたものであることを特徴とする前記オレフィン重合用触媒にある。
また、本発明の他の要旨は、粘土鉱物等が、クロムを含有する均一溶液と接触させる前あるいは同時に、酸溶液により処理されたものであることを特徴とする前記オレフィン重合用触媒にある。
また、本発明の他の要旨は、固体生成物に含まれるクロムの含有量が0.01〜2.0重量%であることを特徴とする前記オレフィン重合用触媒にある。
また、本発明の他の要旨は、固体生成物に含まれるクロムの50〜100重量%が6価のクロムであることを特徴とする前記オレフィン重合用触媒にある。
また、本発明の他の要旨は、前記オレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法にある。
また、本発明の他の要旨は、前記オレフィン重合用触媒及び有機アルミニウム化合物の存在下、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法にある。
本発明の触媒を使用すれば、現行のフィリップス触媒に対して、同一のプロセスが使用可能であり、また、得られるポリマーの分子量は現行フィリップス触媒で得られるものよりも高分子量体となるため、分子量分布の設計に幅が広がり、ブロー成形分野を中心に材料設計が行いやすくなる。また、オレフィン重合体を高活性で製造することが可能であり、特に、フィリップス触媒に比べてクロム当たりの重合活性に優れたオレフィン重合体を製造することができる。更に本発明の触媒を有機アルミニウム化合物と共に使用することにより、より一層高分子量の重合体を製造することができる。
本発明において、粘土、粘土鉱物およびイオン交換性層状化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの粘土鉱物等が使用される。ここで、「粘土鉱物等」とは、粘土、粘土鉱物およびイオン交換性層状化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの総称である。特定の粘土鉱物等は、「粘土」、「粘土鉱物」および「イオン交換性層状化合物」の三者に、それぞれ重複して分類されることがあるが、本発明に使用されるものは、これらのいずれかに少なくとも分類されるものである。粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものを言う。大部分の粘土はイオン交換性層状化合物である。また、これら、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらのうち好ましくはディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物が挙げられる。特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイトが挙げられる。また、人工の合成物として、合成ヘクトライト、合成雲母(マイカ)、合成サポナイト等が挙げられる。
イオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライトなど)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
イオン交換性層状化合物としては、各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。2:1型鉱物類としては、例えば、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族、パイロフィライト、タルクなどのパイロフィライト−タルク族、Mg緑泥石などの緑泥石族が挙げられる。2:1リボン型鉱物類としては、例えば、セピオライト、パリゴルスカイトなどが挙げられる。また、人工の合成物として、例えば、合成ヘクトライト、合成雲母(マイカ)、合成サポナイト等が挙げられる。本発明で原料として使用されるイオン交換性層状化合物としては、上記の混合層を形成した層状珪酸塩を用いることができる。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることがさらに好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。
イオン交換性層状化合物は、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2 型、CdI2 型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物等を例示することができる。イオン交換性層状化合物の具体例としては、α−Zr(HAsO4 2 ・H2 O、α−Zr(HPO4 2 、α−Zr(KPO4 2 ・3H2 O、α−Ti(HPO4 2 、α−Ti(HAsO4 2 ・H2 O、α−Sn(HPO4 2 ・H2 O、γ−Zr(HPO4 2 、γ−Ti(HPO4 2 、γ−Ti(NH4 PO4 2 ・H2 O等の多価金属の結晶性酸性塩があげられる。
これら粘土鉱物等は、特に処理を行うことなくそのまま用いてもよいし、ボールミル、ジェットミルなどによる粉砕、更に要すれば、ふるい分け、水ひ(水中での沈降速度を利用した分級方法)、造粒等の処理による粒子形状の制御を行った後に用いてもよい。また、粘土鉱物等は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で使用するイオン交換性層状化合物の珪酸塩は、天然品または工業原料として入手したもの、或いは人工の合成物をそのまま用いることができるが、予め、酸処理を行うことが好ましい。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造に含まれるAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させる効果がある。8面体イオンの溶出の程度は酸処理前を基準として、1〜90%、好ましくは3〜80%である。結晶構造に含まれる陽イオンが溶出することにより、結晶構造は部分的に崩壊することになるが、このことは、後述するように、高温での加熱操作が必要となってくる場合においては、かえって、加熱による結晶構造変化に伴う細孔容積や表面積の変化を抑制する効果をもたらすものと期待される。また、固体中での粘土鉱物等の分散性が向上することから、含有されるクロム当たりの重合活性は向上する傾向にある。
上記酸処理で用いられる酸としては、無機酸または有機酸を使用することができる。例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸等の有機酸が挙げられる。好ましくは硫酸、塩酸、硝酸、酢酸又はシュウ酸が使用される。これらは2種以上併用することも可能である。酸処理条件は、公知の方法を特に制限なく使用できる。例えば、酸濃度は水溶液等の溶媒中の濃度で0.1〜50重量%、処理温度は室温〜使用溶媒の沸点の間の温度、処理時間は5分〜24時間、それぞれ採用できる。この酸処理は、粘土鉱物等を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。
本発明において、酸処理以外の予備処理として、アルカリ処理や有機物処理、酸化剤処理、還元剤処理等の他の化学処理を併用してもよい。
このようにして得られる予備処理した粘土鉱物等は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1ml/g以上、特には0.3〜5ml/gのものを使用することが好ましい。また、これら粘土鉱物等には、通常吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。
ここで、吸着水とは、粘土鉱物等の粒子の表面あるいは結晶破面に吸着された水で、層間水は結晶の層間に存在する水である。吸着水および層間水の加熱除去方法は特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水および有機溶媒との共沸脱水等の方法が用いられる。加熱の際の温度は、層間水が残存しないように、100℃以上、好ましくは150℃以上であるが、構造破壊を生じるような800℃を越える高温条件は好ましくない。好ましくは350℃以下である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上、12時間程度である。その際、脱水乾燥した後の塩処理固体生成物の水分含有量が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有量を0重量%としたとき、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、下限は0重量%以上である。
本発明においてクロム化合物として、下記3種のいずれかが用いられる。ただし、下記(3)に属する化合物の中には重複して分類されるものも含まれている。
(1)クロム酸もしくはその塩、
(2)重クロム酸もしくはその塩、又は、
(3)クロムの陽イオンと、ハロゲンイオン、無機酸及び有機酸の陰イオンからなる郡より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなるクロム塩。
(1)クロム酸塩としては、クロム酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
(2)重クロム酸塩としては、重クロム酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。クロム酸塩の場合と同様である。
(3)クロムの陽イオンとしては、2価、3価、4価、5価又は6価のクロムイオンが用いられるが、2価又は3価のクロムイオンが好ましい。ハロゲンイオンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の陰イオンが用いられる。無機酸及び有機酸の陰イオンとしては、ハロゲン酸イオン、過ハロゲン酸イオン、亜ハロゲン酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、シュウ酸イオン、アセチルアセトナートなどが挙げられる。具体的には、クロムのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、塩化クロミル、臭化クロミル、硝酸クロム、硫酸クロム、リン酸クロム、酢酸クロム、シュウ酸クロム、クロム−1,3−ジケト化合物、クロム酸エステル、トリス(2−エチルヘキサノエート)クロム、クロムアセチルアセトネート、ビス(t−ブチル)クロメート等が挙げられる。
これらの中でも、硝酸クロム、酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートが好ましい。さらに好ましくは水溶性又は酸性水溶液に可溶性の化合物である。ここで、酸性水溶液とは、pH6以下、好ましくは、pH3以下の水溶液を意味する。また、これら塩は2種以上、混合して使用してもよい。酢酸クロム、クロムアセチルアセトネート、クロム酸エステルのような有機基を有するクロム化合物を用いた場合、後に述べる非還元性雰囲気での焼成活性化によって有機基部分は燃焼し、最終的には少なくとも一部のクロム原子は6価となると考えられる。初めから6価のクロム化合物を出発原料とした場合は、焼成活性化の工程は不要であるが、好ましくは、2〜5価のクロム化合物を粘土鉱物等に接触させた固体生成物を、その後焼成して6価とする方法である。
クロム化合物を溶解させる溶媒は特に限定されないが、一般的には、水、アルコール、エーテル、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素が用いられる。これらの中で、粘土鉱物等の層状構造を膨潤させ、層間イオンの交換を起こしやすくするという観点から、好ましくは、水、アルコール、エーテル、ケトンが用いられ、さらに好ましくは、水が用いられる。
粘土鉱物等とクロム化合物の均一溶液とを接触させる方法としては、
(1)はじめ溶媒を使用することなく粘土鉱物等及びクロム化合物を固体で接触させ、その後、クロム化合物が均一に溶解するのに十分な量の溶媒を添加し、クロム化合物を均一に溶解させて接触させる方法
(2)固体状の粘土鉱物等に、クロム化合物の均一溶液を添加して接触させる方法
(3)固体状のクロム化合物に、クロム化合物が溶解する溶媒に懸濁させた粘土鉱物等を添加して接触させる方法、
(4)任意の溶媒を用いた粘土鉱物等の懸濁液に、クロム化合物の均一溶液を添加して接触させる方法(ただし、クロム化合物が再析出しないこと)
などが挙げられる。なお、ここで用いる溶媒は、クロム化合物を溶解させる溶媒として記載したものと同じものが好ましく、通常、水が用いられる。
粘土鉱物等とクロム化合物を接触させる条件は特に限定されないが、通常、接触時間は5分〜24時間、接触温度は室温〜溶媒の沸点の間、用いる溶媒に対する各成分の濃度は、0.1〜30重量%で行われる。また、これらの条件での接触は、撹拌して行うことが好ましい。用いたクロム化合物が6価のクロム原子を含むものである場合は、粘土鉱物等との接触混合物(固体生成物)をそのままオレフィンの重合反応に適用することも出来るが、水、アルコールなど有機金属化合物に対して反応性を有する溶媒が使用された場合には、該溶媒は、オレフィンの重合反応において不都合であるから、洗浄により有機金属化合物に対して反応性の無い溶媒に置換するか、乾燥により除去しておく必要がある。
粘土鉱物等とクロム化合物の均一溶液の接触生成物は、粘土鉱物等に担持されないクロム化合物を除去するために、クロム化合物が可溶な溶媒を用いて洗浄することが好ましい。洗浄することにより、粘土鉱物中にクロム化合物はより均一に存在することになり、その結果、重合活性種の均一性が増し、高分子量のポリマーが得やすくなる。クロム化合物を粘土鉱物中に均一に分散し担持する最も好ましい方法は、粘土鉱物等が膨潤可能な溶媒を用い、粘土鉱物等の層間イオンとイオン交換性のあるクロム化合物の均一溶液とを接触させ、その後、粘土鉱物等が膨潤可能な溶媒で余分なクロム化合物を洗浄により除去することが挙げられる。
粘土鉱物等とクロム化合物の均一溶液との接触生成物の洗浄操作としては、遊離したクロム化合物を除去可能であれば任意の方法が可能であるが、クロム化合物が可溶である溶媒により、一旦、クロム化合物を溶解させた後、ろ過又は上澄み除去によりクロム化合物を除去する方法が用いられる。一回の操作で用いる溶媒の量は、遊離したクロム化合物が全量溶解可能な量、すなわちクロム化合物の溶媒に対する濃度が飽和溶解度以下となる量を用いることが好ましい。このような溶媒としては、水、アルコール、エーテル、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素が用いられ、特に水が好ましい。
上記洗浄するときの温度は、室温〜使用溶媒の沸点の間から選択される。溶媒を添加し溶解させるまでの時間は1分〜24時間であり、クロム化合物を溶解させている間は、撹拌やスラリー循環を実施して濃度分布が生じることを抑制することが好ましい。溶媒に溶解した、すなわち遊離したクロム化合物を除去する方法としては、ろ過による除去や静置後に上澄みを除去する方法が一般的に用いられるが、溶媒が水である場合にはろ過が好ましい。洗浄操作は通常、1〜10回、好ましくは、2〜5回繰り返される。
粘土鉱物等とクロム化合物を接触させるときに、溶媒と共に更に0.1〜50重量%の酸性化合物を含有する溶液を共存させて行うことが出来る。この場合も洗浄は上述の手法により実施することが可能である。洗浄の程度としては、洗液のpHが3〜7になるまで中性の溶媒で洗浄することが好ましい。洗浄が不足すると重合活性の低下を起こすことがある。
上記の方法により得られるクロム化合物を含む粘土鉱物(固体生成物)は、クロム原子の少なくとも一部を6価に変換する操作を実施する前に、余分な溶媒を除去するための乾燥を実施することが出来る。乾燥とは、使用した溶媒を除去することを示すので、後述するクロム原子の価数の変換を目的とした加熱など、化学変化を目的とした操作とは区別される。乾燥は300℃以下、好ましくは200℃以下の温度で、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上、12時間以内程度で実施される。
上記の方法により得られるクロム化合物を含む粘土鉱物に含有されるクロム化合物の含有量は、固体生成物に対してクロム原子として0.01〜2.0重量%、好ましくは0.03〜1.7重量%、さらに好ましくは0.05〜1.5重量%である。上記範囲を外れると、重合活性、重合体の分子量等、充分な効果を発揮することが難しい。
本発明において、クロム化合物のクロム原子の少なくとも一部を6価に変換させるため、酸素の存在下、400〜900℃、特に450〜850℃の温度で加熱を行ことが好ましい。これは、高分子量の重合体を生成させる活性種を生成させ、しかも重合活性種を均一にするという観点から、酸素存在下での加熱操作を実施することが好ましい。この加熱操作は、「賦活」とも呼ばれる。上記の加熱操作の際、水分を実質的に含まない非還元性雰囲気下(例えば、酸素または空気下)は好ましく、不活性ガスが共存していてもよい。好ましくはモレキュラーシーブス等を流通させた十分に乾燥した空気を用い、流動状態下で焼成を行うとよい。このとき、酸素は存在していれば濃度は特に限定されないが、好ましくは、1〜100容積%の濃度の雰囲気下で行われ、さらに好ましくは、5〜50容積%の濃度の雰囲気下で行われる。また、加熱温度は更に好ましくは500〜800℃の範囲である。加熱時間は通常1〜50時間、好ましくは2〜30時間で行なわれる。
本発明の触媒に含まれる6価クロム原子の含有量は、通常0.01〜2.0重量%、好ましくは0.03〜1.7重量%、さらに好ましくは0.05〜1.5重量%である。上記範囲を外れると、重合活性、重合体の分子量等、充分な効果を発揮しにくくなる。固体生成物を賦活することにより、その中に含有されるクロムの大部分は6価に変換される。通常、50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%が変換されるように、賦活の温度及び時間が調節される。
クロム原子の総量は、通常一般の金属分析法、例えば、プラズマ発光分析、蛍光X線法により測定することができる。クロムの価数は固体生成物の色変化(一般的には、6価は黄色からオレンジ色、3価は緑色、2価は青色)を肉眼観察することにより概略を知ることができるが、定量を行うには、簡便な手法として、キレート滴定法や吸光光度法が知られている。具体的には、日本化学会編「実験化学講座15 分析」丸善(1991年)P.246〜248に記載がある。例えば、3価のクロムの場合は、酸性溶液中の3価のクロムに対して過剰の濃度既知のEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を加え5〜10分煮沸し、3価の鉄の標準液で滴定することにより定量できる。また、6価のクロムの場合は、アルカリ性溶液ではCrO4 2-として存在することを利用し、366nmの波長の吸光度を測定することにより定量が可能である。
以上により粘土鉱物等に6価クロムが担持された固体生成物が得られる。以下、この固体生成物を重合触媒とするオレフィン重合体の製造方法について説明する。本発明に用いられるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体が挙げられる。また、上記オレフィンの単独重合のほか上記オレフィンの2種以上の混合物を用いるランダム共重合や2種以上のオレフィンを用いるブロック共重合にも好適に適用できる。重合反応は、チーグラー触媒等を使用する公知の重合方法が採用でき、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは不存在下に1段又は多段で行われる。重合温度は−50〜250℃、重合圧力は特に制限されないが、好ましくは常圧〜約200MPaの範囲が例示できる。また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。更に、重合温度、分子量調節剤の濃度等を変えて多段階で重合させてもよい。
重合に際しては、スカベンジャーとして有機アルミニウム化合物を使用することも出来る。有機アルミニウム化合物は、スカベンジャーとしての役割の他にも、本触媒においては、得られるポリマーの分子量を高くしたり、分子量調節剤としての水素がより効きやすくなるという効果も併せ持っている。使用される有機アルミニウム化合物には特に制限はないが、好ましくは下記一般式で表されるものが挙げられる。
AlRa 3-a
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基を示し、aは0<a≦3の数を示す。)
上記の有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類等も使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。これらの有機アルミニウム化合物を使用する場合には、固体触媒1gあたり0.001〜100mmol、好ましくは0.01〜10mmolの比率である。
本発明においては、固体生成物を本重合の触媒として使用する前にエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンと予備的に接触させて重合し、必要に応じて前記の不活性炭化水素溶媒で洗浄することもできる。この予備的な重合は、不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体触媒1gあたり、0.01〜1000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うことが望ましい。
本発明の触媒は、いわゆるフィリップス触媒に比べて、固体触媒当たりの重合活性はほとんど変わらないものの、クロム当たりの重合活性が著しく高く、しかも得られる重合体の分子量が高いものが得られる。この理由は必ずしも明確ではないが、触媒活性種である6価クロム原子の立体的及び電子的環境に起因し、特にクロムが粘土鉱物等に担持されると立体的な制約が働くためと考えられる。
本発明の触媒は、エチレンの単独重合体又はエチレンを主体(80モル%以上)とするエチレン系重合体の製造に好適に用いられる。エチレン系重合体のHLMIとしては、0.1〜1000g/10分、好ましくは0.5〜500g/10分であるが、ブロー成形製品用樹脂としては1〜100g/10分、特に大型ブロー成形製品用樹脂としては1〜15g/10分である。また、エチレン系重合体の密度としては、0.900〜0.980g/cm3、好ましくは0.920〜0.970g/cm3であるが、ブロー成形製品用樹脂としては0.935〜0.955g/cm3、特に大型ブロー成形製品用樹脂としては0.940〜0.950g/cm3である。
本発明の触媒により得られるエチレン系重合体は、常法により触媒を失活させた後、さらに混練することにより一層均一化されたエチレン系重合体となるので好ましい。均一化操作は単軸もしくは二軸の押出機または連続式混練機を用いて行うことができる。混練の際には従来公知の添加剤等を配合することができる。得られたエチレン系重合体から、常法によりブロー成形して容易にブロー成形品を得ることができ、大型のブロー成形品も同様に得ることができる。かくして得られるブロー成形品、特に大型ブロー成形品は剛性、耐環境応力亀裂性等に優れるという特徴を有する。
次に実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。以下の実施例、比較例の結果を後記[表1]にまとめた。なお、実施例中、物性評価は下記に従った。
(1)HLMI:ASTM−D−1238−57Tに準拠し、190℃、21.6kg荷重で測定した。
(2)ポリマー密度:JIS−K6760に準拠して密度勾配管法で測定した。
(3)クロム含有量:プラズマ発光分析法
(4)6価のクロムの含有量:NaOH水溶液(0.1M)を触媒成分に添加し、6価のクロムを溶解させ、溶液の一部をとり波長366nmの吸光度を測定することにより定量した。
[実施例1]
(1)粘土鉱物の酸による処理
30重量%の硫酸水溶液、500mlにモンモリロナイト(水澤化学社製;ベンクレイSL)を100g添加し撹拌した。オイルバスにより加熱し、5時間還流した。加熱終了後、吸引ろ過により酸処理モンモリロナイトと水溶液を分離した。回収した酸処理モンモリロナイトに純水を1000ml加え3分間撹拌し、再び吸引ろ過を実施する操作を4回繰り返した。
(2)酸処理モンモリロナイトのクロム化合物による処理
純水490mlにCr(NO33・9H2O(和光純薬社製)を48g溶解させた。その溶液を、実施例1(1)で得られた酸処理モンモリロナイトに添加し撹拌した。オイルバスにより90℃に加熱し、そのまま5時間保持した。加熱終了後、吸引ろ過によりクロム化合物処理モンモリロナイトと水溶液とを分離した。回収したクロム化合物処理モンモリロナイトに純水を1000ml加え3分間撹拌し、再び吸引ろ過を実施する操作を4回繰り返した。4回目の操作で得られた洗液のpHをpH試験紙により測定したところ、pH=6であった。得られた固体生成物(クロム化合物処理モンモリロナイト)を110℃の乾燥機で一晩乾燥した。クロム含有量は、0.1重量%であった。
(3)クロム化合物処理モンモリロナイトの賦活
実施例1(2)で得られた固体生成物50gを、空気気流下、730℃に昇温し、6時間保持することにより賦活を行った。その後、空気雰囲気から窒素雰囲気に置換した。回収後も窒素雰囲気下で保管した。賦活により、クロム化合物処理モンモリロナイトは薄い青色から薄いオレンジ色へ色が変化した。このことからクロム原子が6価に変換したことが判り、6価クロム含有量は0.09重量%であった。3価クロムは実質的に90重量%が6価に変換されていた。
(4)エチレン重合
精製窒素で十分置換された内容積2.0Lのオートクレーブに、実施例1(3)で得られたクロム化合物処理モンモリロナイトの賦活触媒を149mg添加した。次いで、イソブタンを800ml導入し100℃へ昇温した。さらにエチレン圧を1.4MPaかけ、定圧重合を開始した。エチレン吸収量が410gになるまで80分間重合を行った。その結果、413gのポリマーを得た。触媒活性は2772g/g触媒(2772kg/gクロム)、得られた重合体のHLMIは0.12g/10分(重量平均分子量換算で約60万)、密度は0.952g/cm3であった。実施例1で得られた重合体は、後述の比較例2で得られた重合体に比べ、HLMIが1桁低く、高分子量の重合体が得られ、しかもクロム当たりの重合活性が優れていることがわかる。
[実施例2]
(1)エチレン重合
重合温度を105℃とし、実施例1と同一の触媒を145mg用いて重合時間を78分とした以外は実施例1と同様に行った。その結果、403gの重合体を得た。触媒活性は2772g/g触媒(2772kg/gクロム)、得られた重合体のHLMIは0.41g/10分、密度は0.953g/cm3であった。実施例2で得られた重合体は、後述の比較例2で得られた重合体に比べ、HLMIが1桁低く、高分子量の重合体が得られ、しかもクロム当たりの重合活性が優れていることがわかる。実施例1と比較すると、重合温度が5℃高く、結果としてHLMIが約3.4倍になっている。
[実施例3]
(1)エチレン/1−ヘキセン共重合
精製窒素で十分置換された内容積2.0Lのオートクレーブに、実施例1(3)で得られたクロム化合物処理モンモリロナイトの賦活触媒を148mg添加した。次いで、イソブタンを800ml導入し100℃へ昇温した。さらにエチレン圧を1.4MPaかけた後、1−ヘキセンを5g添加して定圧重合を開始した。エチレン吸収量が410gになるまで93分間重合を行った。その結果、406gの重合体を得た。触媒活性は2743g/g触媒(2743kg/gクロム)、得られたポリマーのHLMIは0.26g/10分、密度は0.945g/cm3であった。実施例3で得られた重合体は、後述の比較例2で得られた重合体に比べ、HLMIが1桁低く、高分子量の重合体が得られ、しかもクロム当たりの重合活性が優れていることがわかる。実施例1,2におけるエチレンの単独重合とエチレン・ヘキセン共重合とを比較するに、同等レベルの重合活性であることが判る。
[実施例4]
(1)エチレン重合
精製窒素で十分置換された内容積2.0Lのオートクレーブに、実施例1(3)で得られたクロム化合物処理モンモリロナイトの賦活触媒を350mg添加した。次いで、トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.5mmolAl/ml)を2ml添加した。イソブタンを800ml導入し100℃へ昇温した。さらにエチレン圧を1.4MPaかけ、定圧重合を開始した。重合を開始して150分後に反応を停止した。その結果、156gの重合体を得た。触媒活性は446g/g触媒(446kg/gクロム)、得られたポリマーのHLMIは0.01g/10分、密度は0.944g/cm3であった。実施例4はクロム含有固体生成物とともに有機アルミニウム化合物を使用した重合例である。実施例4で得られた重合体は、後述の比較例2で得られた重合体に比べ、HLMIが1桁低く、高分子量の重合体が得られ、しかもクロム当たりの重合活性が優れていることがわかる。
[比較例1]
(1)クロム化合物処理モンモリロナイトの乾燥
実施例1(2)で得られたクロム化合物処理モンモリロナイト5gをフラスコにとり、200℃で2時間減圧乾燥を実施し、窒素にて常圧に戻した。乾燥後のクロム化合物処理モンモリロナイトの色は薄い青色であり、クロム原子は3価のままであった。
(2)エチレン重合
精製窒素で十分置換された内容積2.0Lのオートクレーブに、比較例1(1)で得られたクロム化合物処理モンモリロナイトの200℃乾燥触媒を200mg添加した。次いで、イソブタンを800ml導入し100℃へ昇温した。さらにエチレン圧を1.4MPaかけ、重合を開始した。3時間重合したがエチレンの重合反応による発熱はなく、その後オートクレーブを開放して内容をチェックしたが、オートクレーブ内には重合体は無かった。3価クロムでは触媒活性を有しないことが判る。
[比較例2]
(1)フィリップス触媒の賦活
フィリップス触媒として市販されている969MS触媒(W.R.Grace社製、クロム原子含有量=1.0重量%)50gを、空気気流下、730℃に昇温し、6時間保持することにより賦活を行った。その後、空気雰囲気から窒素雰囲気に置換した。回収後も窒素雰囲気下で保管した。
(2)エチレン重合
精製窒素で十分置換された内容積2.0Lのオートクレーブに、比較例2(1)で得られた969MSの賦活触媒を186mg添加した。次いで、イソブタンを800ml導入し100℃へ昇温した。さらにエチレン圧を1.4MPaかけ、定圧重合を開始した。エチレン吸収量が510gになるまで約82分間重合を行った。その結果、519gの重合体を得た。触媒活性は2746g/g触媒(275kg/gクロム)、得られたポリマーのHLMIは3.3g/10分(重量平均分子量換算で約25万)、密度は0.955g/cm3であった。固体触媒当りの触媒活性は大きいが、クロム当りでは実施例1〜3の10分の1レベルに過ぎないことが判る。
Figure 2006257255

Claims (7)

  1. 粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの粘土鉱物等を、クロム酸及びその塩、重クロム酸及びその塩、又は、クロムの陽イオンと、ハロゲンイオン、無機酸及び有機酸の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなるクロム化合物の均一溶液と接触させることにより得られた固体生成物であって、該固体生成物に含まれるクロムの少なくとも一部が6価であることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  2. 固体生成物に含まれるクロムが、酸素の存在下、400〜900℃に加熱することにより6価に変換されたものであることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
  3. 粘土鉱物等が、クロムを含有する均一溶液と接触させる前あるいは同時に、酸溶液により処理されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合用触媒。
  4. 固体生成物に含まれるクロムの含有量が0.01〜2.0重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  5. 固体生成物に含まれるクロムの50〜100重量%が6価のクロムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒及び有機アルミニウム化合物の存在下、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。

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