JP2016153487A - 特定の工程によるエチレン共重合体の製造方法 - Google Patents

特定の工程によるエチレン共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エチレンをオリゴマー化させてエチレンのみを用いる、エチレン−αオレフィン共重合体の製造方法の提供。【解決手段】重合工程(1)及び重合工程(2)を、逐次又は同時に行うエチレン共重合体の製造方法。重合工程(1):重合触媒成分Aの存在下、エチレンのオリゴマーを製造する。重合工程(2):重合触媒成分Bの存在下、該オリゴマーとエチレンを共重合し、エチレン共重合体を製造する。重合触媒成分A:2,6−ジイミノピリジン系配位子及び周期表第3〜11族の遷移金属を含むオレフィン重合触媒。重合触媒成分B:チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒を用いて2段目オレフィン重合触媒【選択図】なし

Description

本発明は、特定の工程によるエチレン共重合体の製造方法に関し、詳しくは、ジイミノピリジン系触媒とチーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒を用いる特定の重合工程により、エチレンがオリゴマー化する際に反応溶媒に可溶なオリゴマー成分生成の選択性が高く、製造したポリマーの取り扱いが工業プロセスで容易なことを特徴とする、エチレン共重合体の製造方法に係わるものである。
エチレン重合体は、製造が容易で安価であり、基本的な物性と成形性に優れ、資源再利用性や環境問題適合性も良好なので、包装材料や建材及び車両用資材やその他の多分野の材料などの工業用資材として重用されている。
エチレン重合体の性能を更に向上させるために共重合体とすることも多用されているが、昨今では、製造工程の簡易化と経済性の向上のために、エチレン以外のオレフィンモノマーを用いずに、エチレンモノマーのみからエチレンとα−オレフィンの共重合体を製造する方法が注目され精力的に検討されている。
このような製造方法として、クロム塩、金属アミド、エーテルの混合物を形成することによる特定の触媒及びエチレン重合触媒の存在下でエチレンを重合する、エチレンと1−ヘキセンの共重合体の製造方法(特許文献1を参照)、エチレン重合触媒と、クロムアミド化合物、無機酸化物固体及びアルモキサンからなる、エチレンから1−ヘキセンを生成させる触媒とを共存させてエチレンを重合させる、エチレン/1−ヘキセン共重合体の製造方法(特許文献2を参照)、1種類のモノマーから分岐ポリオレフィン類を製造するのに有用である、ジイミノピリジン系触媒(特許文献3を参照)などが知られている。
しかし、このような製造方法においては、エチレンがオリゴマー化する際に、反応溶媒に可溶なオリゴマー成分のみが生成せずに溶媒に不溶な固体成分も副生し、工業プロセスでの取り扱いが困難となる欠点が避けられない。
一方、このようなエチレンのオリゴマー化に関連しては、エチレンのオリゴマー化で得られる、炭素原子数4〜20を有する直鎖状α−オレフィンは、界面活性剤や可塑剤など及びポリオレフィンの製造における主原料として有用なので、エチレンのオリゴマー化のための触媒も精力的に検討されている。
かかる触媒及びそれによるオリゴマー化としては、ポストメタロセン触媒を用いる方法(特許文献4を参照)、クロム系触媒を用いる方法(特許文献5を参照)、ジイミノピリジン−Fe系触媒を用いる方法(特許文献6を参照)、遷移金属がインターカレートされたイオン交換性層状化合物とジイミノピリジン−Co系触媒を用いる方法(非特許文献1,2を参照)などが提示されている。
しかし、このようなオリゴマー化の方法においては、更にオレフィン重合触媒と組み合わせてエチレン共重合体を製造することについては何も開示されていない。
なお、遷移金属がインターカレートされたイオン交換性層状化合物とジイミノピリジン系触媒を用いる、エチレンの共重合体の製造方法も開示されているが(特許文献7を参照)、エチレンをオリゴマー化させてエチレンのみを用いるエチレン共重合体の製造に係るものではない。
こうした背景技術の状況下を鑑みて、エチレンをオリゴマー化させてエチレンのみを用いるエチレン共重合体の製造方法においては、エチレンがオリゴマー化する際に、反応溶媒に可溶なオリゴマー成分のみが生成せずに溶媒に不溶な固体成分も副生し、工業プロセスでの取り扱いが困難となる欠点を解決する技術の開発が求められている。
特開平03−115406号公報 特開平10−060043号公報 特開2001−302679号公報 特開2013−166735号公報 特表2013−517938号公報 特開2014−210920号公報 特開2008−274142号公報
Chem.Lett,Vol.41, No.4, 2012, 461-463 Chem.Lett,Vol.43, No.8, 2014, 1365-1367
本発明は、上記した従来技術の問題点を鑑み、エチレンをオリゴマー化させてエチレンのみを用いるエチレン共重合体の製造方法において、エチレンがオリゴマー化する際に、反応溶媒に可溶なオリゴマー成分のみが生成せずに溶媒に不溶な固体成分も副生し、工業プロセスでの取り扱いが困難となる欠点を解決することを、発明が解決すべき課題とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく、エチレンをオリゴマー化させてエチレンのみを用いるエチレン共重合体の製造方法において、メタロセン触媒やポストメタロセン触媒などの各種触媒の検討、オリゴマー化の反応条件の検討、オリゴマー化と重合プロセスの相互関連の検討、重合プロセスの反応条件の検討などを重ね、特定のオリゴマー化触媒と重合触媒を用い、特定のプロセスとを組み合わせることにより、上記の課題を解決する方法を見い出し、本発明を創作するに至った。
本発明は、発明の主要な特徴として、(1)ジイミノピリジン系触媒によるエチレンオリゴマーの製造工程と、(2)チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒によりオリゴマーとエチレンを共重合し、エチレン共重合体を製造する工程とを組み合わせる手法であり、かかる工程の(1)と(2)は、逐次に又は同時に行う。
ジイミノピリジン系触媒は、一般式(1)で示される配位子及び周期表第3〜11族の遷移金属を含むエチレンオリゴマー化触媒である。
Figure 2016153487
(式中、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素基を表し、R〜Rは、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素基を表す。また、隣接するRは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。)
上記した基本的な発明(請求項1の独立請求項の発明)に対して、基本発明に付随する付帯発明或いは実施の態様発明(従属請求項の各発明)としては、R及びRが更に特定され(請求項2)、R及びR12が更に特定され(請求項3)、工程(2)の成分が更に特定され(請求項4)、オリゴマーの生成割合が特定され(請求項5)、工程(1)及び(2)の順序が特定され(請求項6,7)、工程(1)の成分が更に特定される(請求項8,9)発明である。
本発明は前記したとおり、(1)ジイミノピリジン系触媒によるエチレンオリゴマーの製造工程と、(2)チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒によりオリゴマーとエチレンを共重合し、エチレン共重合体を製造する工程とを組み合わせる手法である。(1)のジイミノピリジン系触媒及びそれによるエチレンオリゴマーの製造工程は、背景技術において前記したとおり既に知られた技術であり、(2)の各触媒は周知の触媒であるが、本発明は、かかる工程の(1)と(2)とを新たに組み合わせて、逐次に又は同時に行うことを格別な特徴とし、このような新規で特異な手法により、エチレンがオリゴマー化する際に、反応溶媒に可溶なオリゴマー成分のみが実質的に生成し、即ちかかる成分生成の選択性が特別に高く、溶媒に不溶な固体成分の副生がなく、工業プロセスでのポリマー回収が容易など、製造ポリマーの取り扱いが良好となる効果を奏している。
かかる特異な手法と効果は、背景技術に記載した各文献はもとよりその他の文献を精査しても見い出すことはできない。
以上においては、本発明が創作される経緯と、本発明の基本的な構成要素と特徴について概観的に記述したので、ここで本発明の全体を俯瞰すると、本発明は次の発明の単位群から構成されるものであって、[1]の発明を基本発明とし、それ以下は、基本発明の付帯的発明又は実施態様化発明である。なお、発明群の全体をまとめて、「本発明」という。
[1]下記の工程(1)及び工程(2)を、逐次又は同時に行うことを特徴とするエチレン共重合体の製造方法。
工程(1):成分Aの存在下、エチレンのオリゴマーを製造する工程。
工程(2):成分Bの存在下、該オリゴマーとエチレンを共重合し、エチレン共重合体を製造する工程。
成分A:一般式(1)で示される配位子及び周期表第3〜11族の遷移金属を含むオレフィン重合触媒
成分B:チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒
Figure 2016153487
(式中、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素基を表し、R〜Rは、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素基を表す。また、隣接するRは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。)
[2]一般式(1)において、R,Rが一般式(2)で表される基であることを特徴とする、[1]におけるエチレン共重合体の製造方法。
Figure 2016153487
(R〜R12は、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素基を表す。また、隣接するRは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。)
[3]一般式(2)において、R,R12の少なくとも一つが、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基又はトリブロモメチル基であることを特徴とする、[1]又は[2]におけるエチレン共重合体の製造方法。
[4]前記成分Bがメタロセン触媒であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるエチレン共重合体の製造方法。
[5] 前記工程(1)において、工程(1)で生成する重合体に対するオリゴマーの生成割合が90重量%以上であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるエチレン共重合体の製造方法。
[6]前記工程(1)の後に、前記工程(2)を行うことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかにおけるエチレン共重合体の製造方法。
[7]前記工程(1)及び前記工程(2)を、単一の反応器中で同時に行うことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかにおけるエチレン共重合体の製造方法。
[8]前記成分Aの周期表第3〜11族の遷移金属が、コバルトであることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかにおけるエチレン共重合体の製造方法。
[9]前記成分Aが、粘土層間にイオン交換により導入したコバルトを含有する層状ケイ酸塩を含むオレフィン重合触媒であることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかにおけるエチレン共重合体の製造方法。
本発明によれば、エチレンをオリゴマー化させてエチレンのみを用いるエチレン共重合体の製造方法において、エチレンがオリゴマー化する際に、反応溶媒に可溶なオリゴマー成分のみが生成せずに溶媒に不溶な固体成分も副生し、工業プロセスでの取り扱いが困難となる欠点を解決することができる。
即ち、かかる製造方法において、反応溶媒に可溶なオリゴマー成分生成の選択性が格別に高く、工業プロセスでの取り扱いが容易となり、また、得られるオリゴマーをエチレンと共重合させることで、低コストでエチレン共重合体を製造することができる。
本発明は、前記したとおり、(1)ジイミノピリジン系触媒によるエチレンオリゴマーの製造工程と、(2)チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒によりオリゴマーとエチレンを共重合し、エチレン共重合体を製造する工程とを組み合わせる、エチレン共重合体の製造方法であり、かかる工程の(1)と(2)は、逐次に又は同時に行うことを特徴とする。
以下において、エチレン共重合体の製造方法における各工程及び各触媒を詳細に説明する。
[I]エチレン共重合体を製造する方法
(i)基本的な構成
当方法は、下記の工程(1)及び工程(2)を、逐次又は同時に行うことを特徴とするエチレン共重合体の製造方法である。
工程(1):成分Aの存在下、エチレンのオリゴマーを製造する工程。
工程(2):成分Bの存在下、該オリゴマーとエチレンを共重合し、エチレン共重合体を製造する工程。
成分A:一般式(1)で示される配位子及び周期表第3〜11族の遷移金属を含むオレフィン重合触媒
成分B:チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒
Figure 2016153487
(式中、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素基を表し、R〜Rは、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素基を表す。また、隣接するRは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。)
(ii)工程の順序
工程(1)及び工程(2)は、逐次又は同時に行うが、逐次に工程を行う場合は、(イ)エチレンのオリゴマー化反応をし、次いで反応系を別の反応器に移送してエチレンオリゴマーとエチレンとを共重合する、(ロ)エチレンのオリゴマー化反応をし、次いで同じ反応器にオレフィン重合触媒を追加で添加して、エチレンオリゴマーとエチレンとを共重合する。同時に工程(1)及び(2)を行う場合は、(ハ)同じ反応器にオリゴマー化触媒と重合触媒を添加した後、エチレンを導入してエチレン共重合体を製造する。なお、(イ)〜(ハ)は、バッチ式で行ってもよいし連続的な処理で行ってもよい。
(iii)工程(1)
工程(1)は、成分Aの存在下、エチレンのオリゴマーを製造する工程であり、工程(1)の反応条件は特に制限はないが、反応温度は、20℃〜300℃、好ましくは20℃〜120℃、更に好ましくは40℃〜110℃であり、反応圧力は0.1MPa〜10MPa、好ましくは1〜5MPaである。エチレン及び触媒の供給方法も特に制限はないが、逐次に或いは全量を一時に供給してもよい。
ここで、反応温度が20℃より低過ぎると高分子量体ができ易くなるため最終的に生成するポリマーの品質が悪化する。また、反応温度が300℃より高過ぎると触媒成分が分解するためオリゴマーの生成量が少なくなる。
オリゴマーを製造する工程は、溶媒の存在下モノマーを供給する方法やモノマーのみを供給する方法など、任意の方法で行うことができるが、触媒成分が変質し難いことと生成するオリゴマーが溶解する点から、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素溶媒の存在下で行うことが好ましい。
エチレンオリゴマーは、エチレンのみからの反応で生成されるが、エチレン重合鎖に炭素数4〜20程度の鎖が分岐したオリゴマーとなる。後述の工程(2)の結果、エチレンが炭素数4〜20程度のα−オレフィンと重合する結果となる。特に、エチレン共重合体は代表的にはエチレンと1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが反応し重合した共重合体となっている。
(iv)オリゴマーの生成量
工程(1)で生成するエチレン重合体に対して、オリゴマーの生成割合は90重量%以上になることが好ましく、更に好ましくは95重量%以上である。
オリゴマーの生成割合が90重量%より低い場合は、固体状のポリエチレンが多く生成することを示すため、プロセス上、好ましくない。
なお、工程(1)における、オリゴマーの生成割合は、次のようにして算出した。エチレン重合終了後、重合槽の気相部と液相部のサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィーにより、各サンプルに含有されるオリゴマー成分(炭素数4〜20程度の成分)を定量し、重合槽に存在するオリゴマーの生成量を算出する。工程(1)の重合反応終了後の液相部に存在する固体成分(ポリエチレン)をろ過で回収し、重合体生成量を測定する。オリゴマー成分の生成量と固体生成量(重合体生成量)を足した重量を工程(1)の全体の重合量として、オリゴマー成分の重量%を算出した。
(v)工程(2)
工程(2)は、成分Bの存在下、エチレンオリゴマーとエチレンを共重合し、工程(1)で反応系に生成した炭素数4〜20程度のα−オレフィンとエチレンとの共重合体を製造する工程である。
工程(2)の重合条件は特に制限はないが、重合温度は、20℃〜300℃、好ましくは20℃〜120℃、更に好ましくは40℃〜110℃であり、重合圧力は0.1MPa〜10MPa、好ましくは1〜5MPaである。
重合温度が20℃より低過ぎると触媒反応が効率的に進行しない。また、重合温度が300℃より高過ぎると触媒成分が分解するため、やはり重合反応が効率的に進行しない。
エチレン及び触媒の供給方法も特に制限はないが、逐次に或いは全量を一時に供給してもよい。重合方式は、スラリー重合、溶液重合、気相重合など公知の方式を用いることができるが、スラリー重合又は溶液重合が好ましい。溶媒を用いる場合は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
工程(1)及び工程(2)では、重合系中の水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えても何ら支障なく実施することができる。
なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物などが使用される。これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、などのトリアルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物が好ましく、更には、トリアルキルアルミニウム化合物が好ましい。
なお、水素濃度、モノマー量、重合圧力、重合温度などの重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合方式にも、支障なく適用することができる。
[II]成分A
(i)基本的な規定
成分Aは、以下の一般式(1)で表される配位子及び周期表第3〜11族の遷移金属を含むオレフィン重合触媒(オリゴマー化触媒)である。
Figure 2016153487
(式中、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素基を表し、R〜Rは、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素基を表す。また、隣接するRは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。)
(ii)配位子及び遷移金属
一般式(1)で表される配位子は、ジイミノピリジン系配位子であり、次の配位子が例示される。なお、ジイミノピリジン系配位子及びその合成方法は、背景技術に記載したとおり、特許文献6,7及び非特許文献1,2などに記載されている。
2,6−[(2−(CH)Ph)−N=C(CH)−)]
2,6−[(2−(F)Ph)−N=C(CH)−)]
2,6−[(2−(CF)Ph)−N=C(CH)−)]
2,6−[(2,4,6−(CFPh)−N=C(CH)−)]
{2−[(2,4,6−(CFPh)−N=C(CH)−)]}[6−(Ph−N=C(CH)−)]C
{2−[(2,4,6−(CFPh)−N=C(CH)−)]}{6−[(2−(CF)Ph)−N=C(CH)−)]}C
周期表第3〜11族の遷移金属は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Pdなどであり、V、Cr、Fe、Co、Ni、Pdが好ましく、特にCoが好ましい。
一般式(1)における、R及びRとR及〜Rにおいては、炭素数1〜20の炭化水素基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、トリル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素基としては、フルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、クロロエチルなど、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、フェノキシ、メチルフェノキシ、ペンタメチルフェノキシなど、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルシリルエチル、トリメチルシリルエチル、ビス(トリメチルシリル)アミノなど、メチルチオアルコキシ、フェニルチオアルコキシなどが挙げられる。
ここで、R及びRとしては、特にフェニル基若しくは炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素基を有するフェニル基が好ましい。
また、R及びRとしては、次の一般式(2)で表される基であることが、特に好ましい。
Figure 2016153487
(R〜R12は、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素基を表す。また、隣接するRは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。)
ここで、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素基としては、一般式(1)において例示された内容(段落0045)と同等のものが挙げられる。R、R12においては、R、R12の少なくとも一つが、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基又はトリブロモメチル基であることが好ましく、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
及びRが結合している窒素原子(N)は、周期表第3〜11族の遷移金属(M)に配位する。Nの配位状態はMの電子状態や立体障害に影響を及ぼし、その結果として重合性能を変化させる。本発明においては、R及びRは一般式(2)で表されるような基であり、又、R、R12が特にトリフルオロメチル基であることで、N上の電子密度を制御しMへの配位状態のバランスをとっているものと考えられる。
[III]成分B
成分Bは、通常に知られた、チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒が用いられ、特に制限はない。
(i)チーグラー・ナッタ触媒
チーグラー・ナッタ触媒としては、通常のオレフィン重合用のチーグラー・ナッタ触媒が使用され、原料としてマグネシウム化合物及び四価チタニウム化合物を使用して製造されたオレフィン重合用のチーグラー・ナッタ触媒である。
原料として使用されるマグネシウム化合物としては、従来公知の化合物が使用可能であるが、金属マグネシウム、酸化マグネシウム、過酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝化マグネシウム、硝酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、亜リン酸マグネシウム、硫化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸水素マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウムなどを例示することができる。これらは複数を併用することも可能である。
原料として使用される四価チタニウム化合物としては、従来公知の化合物が使用可能であるが、酸化チタン(IV)、ほう化チタン(IV)、ホウ酸チタン(IV)、ハロゲン化チタン(IV)、チタニウム(IV)アルコキシド、チタニウム(IV)アルコキシドオリゴマー、チタン(IV)カーバイド、チタン(IV)アセチルアセトナートやチタン(IV)オキシアセチルアセトナートなどのキレート塩、硫化チタン(IV)、硫酸チタン(IV)、オキシ硫酸チタン(IV)、トリフルオロメタンスルホン酸チタン(IV)などのスルホン酸塩、硝酸チタン(IV)、亜硝酸チタン(IV)、リン酸チタン(IV)、リン酸水素チタン(IV)、亜リン酸チタン(IV)、酢酸チタン(IV)やトリフルオロ酢酸チタン(IV)などのカルボン酸塩、過塩素酸チタン(IV)などのハロゲン酸塩、モリブデン酸チタン(IV)、過マンガン酸チタン(IV)などの金属酸塩などを例示することができる。これらは複数を併用することも可能である。
オレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒として、上記マグネシウム化合物に上記四価チタニウム化合物を担持させて得られる固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を組み合わせたMg−Ti系チーグラー触媒を用いる。
有機アルミニウム化合物としては、一般的なハロゲン化アルミニウム、アルキル化アルミニウム、アルコキシアルミニウムなどが任意に適宜用いられる。
これらアルミニウム化合物は、上記マグネシウム化合物に上記四価チタニウム化合物を担持させて得られる固体触媒成分を製造する際に原料として使用されるが、その方法は任意であり、例えば、マグネシウム化合物と四価チタニウム化合物を接触する際に共存させて固体触媒成分中に内包させたり、最初にマグネシウム化合物と四価チタニウム化合物で固体触媒成分を製造してから該固体触媒成分とアルミニウム化合物を接触させたり、マグネシウム化合物又は四価チタニウム化合物と最初に接触させたりすることができる。これらアルミニウム化合物の使用は、予備重合の工程中であってもよく、予備重合後に実施してもよい。
(ii)メタロセン触媒
メタロセン触媒としても、通常に知られた各種のメタロセン触媒が適宜に使用される。メタロセン系触媒としては、メタロセン錯体と呼ばれる、シクロペンタジエン骨格を有する配位子が遷移金属に配位してなる錯体と助触媒とを組み合わせたものが基本的に例示される。
具体的なメタロセン触媒としては、Ti、Zr、Hfなどを含む遷移金属に、メチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、インデン或いはアズレンなどのシクロペンタジエン骨格を有する配位子が配位してなる錯体触媒と、助触媒として、アルミノキサンやホウ素イオン化合物を組み合わせたものや、これらの錯体触媒をシリカなどの担体に担持させた担持型のものが基本的に挙げられる。
即ち、より例示的には、本発明で用いられるメタロセン触媒は、以下の(A)及び成分(B)を含むものであり、必要に応じて成分(C)と組み合わせてなる触媒である。
成分(A):メタロセン錯体
成分(B):成分(A)と反応して、カチオン性メタロセン化合物を形成する化合物
成分(C):微粒子担体
ここで、成分(A)、成分(B)、成分(C)については、従来公知(例えば、特開2014−177543段落0043〜段落0106に記載)の化合物や触媒製造方法を用いることができる。
代表的な成分(A)のメタロセン錯体を例示すると、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4,5ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビスフルオレニルジルコニウムジクロリド、ビス(4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、(2−メチル−4H−アズレニル)シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(1,1’−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’−(2−メチル−4,5ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチル−4−ヒドロアズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(7,7’−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−(1−メチル−3−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−[1−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[7,7’−(1−エチル−3−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−[1−イソプロピル−3−(4−クロロフェニル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
[IV]インターカレート触媒
本発明の成分Aの実施態様である、インターカレート触媒は、成分Aが、粘土層間にイオン交換により導入した周期表第3族〜第11族元素を含有する層状ケイ酸塩を含むオレフィン重合触媒である。
かかる触媒は、背景技術に前記した特許文献7や非特許文献1,2に記載されているように、既に知られた触媒であり、例えば、従来においては、「成分:メタロセン錯体のような遷移金属を有する均一系重合触媒成分、成分:(B−1)成分と(B−2)成分とを接触して得られる触媒成分であり、ここで(B−1)成分:周期表第3〜11族の遷移金属イオン又は当遷移金属錯イオンが、インターカレートされたイオン交換性層状化合物、(B−2)成分:分子量1,000以下の化合物であって、分子内に非共有電子対を有する第15族又は第16族の元素を少なくとも2個有し、当第15族又は第16族の元素は1〜6個の第14族元素を介して連結されている、有機化合物からなる触媒」である。
本発明においては、代表例としてはCo2+イオン交換モンモリロナイトに、2,6−[(2−(CF)Ph)−N=C(CH)−)]N配位子がインターカレートされた触媒が挙げられる。
なお、オリゴマー化触媒の錯体とメタロセン錯体を同じ粘土に共担持した触媒も使用可能である。
イオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライトなど)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
珪酸塩は、各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
即ち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族;バーミキュライトなどのバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族;パイロフィライト、タルクなどのパイロフィライト−タルク族;Mg緑泥石などの緑泥石族;セピオライト、パリゴルスカイトなどである。
珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であるのが好ましく、スメクタイト族であることがより好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。
珪酸塩については、天然品又は工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すのが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。好ましくは酸処理である。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水及び層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。なお、これらの化学処理の程度によってはイオン交換性が小さくなっている場合があるが、化学処理前の原料がイオン交換性層状珪酸塩であれば、特に問題ない。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の実施例と参考例との対照において、本発明の構成要件の合理性と有意性及び本発明の有用性と卓越性を実証するものである。
[実施例1]
1.触媒成分Aの合成
1−(1)Co2+イオン交換マイカの調製
市販のマイカ(「ソマシフME−100」、コープケミカル社製)1.0gを、純水25.0gと市販の硫酸コバルト・7水和物2.1gの混合溶液中に分散させ30℃で50時間撹拌した。これをろ過し、エタノール20mlで3回洗浄して風乾した。得られた固体を150℃で3時間予備乾燥し、更に200℃で3時間減圧乾燥してCo2+イオン交換マイカを得た。
1−(2)ビス(イミノ)ピリジン配位子の反応
次に1−(1)で得られたCo2+イオン交換マイカ0.30gを窒素雰囲気下で30mlフラスコに分取し、そこに、ビス(イミノ)ピリジン配位子である、2,6−[(2−(CF)Ph)−N=C(CH)−)]N54mgを脱水アセトニトリル3mlに溶かした溶液を全量加え、5分間撹拌後、70℃に保ったオイルバス中で、100時間反応させた。
反応時間終了後、室温まで冷却してから、上澄み液を可能な限り抜き出し、更に脱水アセトニトリル10mlを加えて1分間撹拌して洗浄した。静置後、触媒成分が沈降したら上澄み液を可能な限り、抜き出した。この脱水アセトニトリルによる洗浄操作を3回行った。次に脱水トルエン10mlを加え洗浄し、触媒成分の沈降後、上澄み液を可能な限り、抜き出した。この脱水トルエンによる洗浄操作を3回行った。続いて脱水n−ヘキサンによる洗浄操作を3回行った。最後に室温にて減圧乾燥し、目視にて溶媒が確認されなくなってから更に30分間減圧乾燥を行って触媒成分Aとした。
ここで得られた触媒成分Aは、トルエンスラリー(2mg−触媒成分A/mL−トルエン)として重合評価に用いた。
2.触媒成分Bの合成
2−(1)酸処理担体の調製
撹拌翼と還流装置を取り付けた100mlの丸底三口フラスコに純水34gを投入し、98%硫酸10gを滴下し、内部温度を90℃にした。そこへ、ベンクレイSL(水澤化学社製)を6g添加後撹拌した。その後、90℃で3.5時間反応させた。このスラリーを30mlの純水に注いで反応を停止しヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置を用いてろ過し20mlの純水で洗浄した。得られたケーキを60mlの純水に分散させ撹拌後ろ過した。この操作を3回繰り返した。
回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果4.5gの酸処理担体を得た。この酸処理担体を容積100mlのフラスコに入れ、200℃で減圧乾燥させ、ガスの発生が収まってから更に2時間減圧乾燥を行った。乾燥後は窒素雰囲気下で保存した。
2−(2)酸処理担体の有機アルミニウム処理
次に、2−(1)で得られた酸処理担体1gを容積100mlのフラスコに分取し、ヘプタン3.6ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液6.4ml(2.5mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。静置後、触媒成分が沈降したら上澄み液を可能な限り、抜き出した。次に脱水トルエン30mlを加えて1分間撹拌して洗浄した。静置後、触媒成分が沈降したら上澄み液を可能な限り、抜き出した。この脱水トルエンによる洗浄操作を3回行った。
2−(3)メタロセン錯体の担持
次に、2−(2)で得られた有機アルミニウム処理担体に、脱水トルエンを5ml添加し、更に(n−BuCp)ZrClのトルエン溶液(10μmol/mL)を10ml加え、室温で1時間撹拌した。静置後、触媒成分が沈降したら上澄み液を可能な限り、抜き出した。次に脱水トルエン30mlを加えて1分間撹拌して洗浄した。静置後、触媒成分が沈降したら上澄み液を可能な限り、抜き出した。この脱水トルエンによる洗浄操作を3回行った。最後に室温にて減圧乾燥し、目視にて溶媒が確認されなくなってから更に30分間減圧乾燥を行って触媒成分Bとした。
ここで得られた触媒成分Bは、トルエンスラリー(2mg−触媒成分B/mL−トルエン)として重合評価に用いた。
[エチレン重合]
内容積120mlのオートクレーブにトルエンを50ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2ml(0.8mmol−Al)及び触媒成分Aのトルエンスラリー0.5ml(1mg−触媒成分A)を添加し60℃に昇温した。次いで、エチレンで0.7MPaまで昇圧し、20分間重合を行った。その間、エチレン供給を続け0.7MPaを維持した。20分後、エチレンをパージし、オートクレーブ内のエチレンを窒素に置換した。このとき、オートクレーブの内温は60℃を維持した。続いて、触媒成分Bのトルエンスラリー2ml(4mg−触媒成分B)をオートクレーブに追添し、オートクレーブの内圧をエチレンで0.7MPaまで昇圧し、20分間重合を行った。その間、エチレン供給を続け0.7MPaを維持した。オートクレーブにエタノールを添加して重合を停止し、生成したポリマーをろ過で回収し乾燥した。
得られたポリマーの収量は0.58g、ポリマーの融点は121℃であった。ポリマーの融点測定で、136℃の領域に融点を示す明確なピークは無かった。このことは、得られたポリマー中に、オリゴマー製造の副生物として生成するエチレン重合体が実質的に含まれていないことを示す。これらの結果及び実施例2,3と各参考例の結果を表1にまとめて掲載した。
[実施例2]
エチレンの重合で、触媒成分Aを2mg、触媒成分Bを2mg使用する以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリマーは0.69g、ポリマーの融点は115℃であった。ポリマーの融点測定で、136℃の領域に融点を示す明確なピークは無かった。
[実施例3]
1.触媒成分A/Bの合成
1−(1)Co2+イオン交換酸処理担体の調製
実施例1の2−(1)で得られた酸処理担体1.0gを、純水25.0gと市販の硫酸コバルト・7水和物2.1gの混合溶液中に分散させ30℃で50時間撹拌した。これをろ過し、エタノール20mlで3回洗浄して風乾した。得られた固体を150℃で3時間予備乾燥し、更に200℃で3時間減圧乾燥してCo2+イオン交換酸処理担体を得た。
1−(2)ビス(イミノ)ピリジン配位子の反応
実施例3の1−(1)で得られたCo2+イオン交換酸処理担体0.30gを用いる以外は、実施例1−(2)と同様に行い、ビス(イミノ)ピリジン配位子の反応を行った。
1−(3)有機アルミニウム処理
実施例3の1−(2)で得られた処理担体0.3gを容積50mlのフラスコに分取し、ヘプタン3.6ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2.1ml(0.8mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。静置後、触媒成分が沈降したら上澄み液を可能な限り、抜き出した。次に脱水トルエン10mlを加えて1分間撹拌して洗浄した。静置後、触媒成分が沈降したら上澄み液を可能な限り、抜き出した。この脱水トルエンによる洗浄操作を3回行った。
1−(4)メタロセン錯体の担持
次に、実施例3の1−(3)で得られた有機アルミニウム処理担体に、脱水トルエンを2ml添加し、更に(n−BuCp)ZrClのトルエン溶液(10μmol/mL)を3ml加え、室温で1時間撹拌した。静置後、触媒成分が沈降したら上澄み液を可能な限り、抜き出した。次に脱水トルエン10mlを加えて1分間撹拌して洗浄した。静置後、触媒成分が沈降したら上澄み液を可能な限り、抜き出した。この脱水トルエンによる洗浄操作を3回行った。最後に室温にて減圧乾燥し、目視にて溶媒が確認されなくなってから更に30分間減圧乾燥を行って触媒成分A/Bとした。
ここで得られた触媒成分A/Bは、トルエンスラリー(2mg−触媒成分A/B/mL−トルエン)として重合評価に用いた。
[エチレン重合]
内容積120mlのオートクレーブにトルエンを50ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2ml(0.8mmol−Al)及び触媒成分A/Bのトルエンスラリー2ml(4mg−触媒成分A/B)を添加し60℃に昇温した。
次いで、エチレンで0.7MPaまで昇圧し、20分間重合を行った。その間、エチレン供給を続け0.7MPaを維持した。20分後、オートクレーブにエタノールを添加して重合を停止し、生成したポリマーをろ過で回収し乾燥した。
得られたポリマーの収量は0.42g、ポリマーの融点は122℃であった。
[参考例1]
エチレン重合を、触媒成分Aのみ添加して実施した。すなわち、内容積120mlのオートクレーブにトルエンを50ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2ml(0.8mmol−Al)及び触媒成分Aのトルエンスラリー0.5ml(1mg−触媒成分A)を添加し60℃に昇温した。
次いで、エチレンで0.7MPaまで昇圧し、20分間重合を行った。その間、エチレン供給を続け0.7MPaを維持した。20分後、エタノールを添加して重合を停止した。オートクレーブ中の気相部及び液相部の成分をガスクロマトグラフィーで分析し、炭素数4〜20のオリゴマーの生成量を算出した。ろ過により固体成分と溶液成分を分離し固体成分の量を定量した。その結果、全体の重合量に対する炭素数4から20のオリゴマーの生成量の割合は96.7重量%、固体成分の生成量の割合は3.3重量%であった。
しかして、本発明の触媒成分Aは、オリゴマーの選択性が高い触媒であることがわかる。
[参考例2]
エチレン重合を、触媒成分Bのみ添加して実施した。即ち、内容積120mlのオートクレーブにトルエンを50ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2ml(0.8mmol−Al)及び触媒成分Bのトルエンスラリー2ml(4mg−触媒成分B)を添加し60℃に昇温した。
次いで、エチレンで0.7MPaまで昇圧し、20分間重合を行った。その間、エチレン供給を続け0.7MPaを維持した。20分後、オートクレーブにエタノールを添加して重合を停止し、生成したポリマーをろ過で回収し乾燥した。その結果、1.95gのポリマーを分取した。
オートクレーブ中の気相部及び液相部からオリゴマーの生成は検出されなかった。また、ポリマーの融点は136℃であった。これに対して実施例1〜3で得られたポリマーの融点は低く、共重合体が生成していることが判る。
Figure 2016153487
以上の結果として、上記の表1から明らかなように、本発明のエチレン共重合体の製造方法を用いた実施例1〜3では、本発明の製造工程を満足しているため、エチレンをオリゴマー化させてエチレンのみを用いるエチレン共重合体の製造方法において、エチレンがオリゴマー化する際に、反応溶媒に可溶なオリゴマー成分のみが生成せずに溶媒に不溶な固体成分も副生し、生成したポリマーの工業プロセスでの取り扱いが困難となる欠点を解決することができることが示されている。
即ち、メタロセン触媒のみを用いた参考例2に比して、実施例1〜3で得られたポリマーの融点は低く、参考例2ではエチレン単独重合体が生成し、実施例1〜3では共重合体が生成していることが判る。なお、参考例1からして、本発明の触媒成分Aは、オリゴマー選択性が高い触媒であることが判る。
よって、本発明の製造方法においては、反応溶媒に可溶なオリゴマー成分生成の選択性が非常に高く、生成したポリマーの工業プロセスでの取り扱いが容易となり、また、得られるオリゴマーをエチレンと共重合させることで、原料モノマーのα−オレフィンを用いることなく、低コストでα−オレフィンとのエチレン共重合体を製造することができることが明らかにされている。
したがって、本発明の構成要件の合理性と有意性及び本発明の有用性と卓越性が実証されている。
以上のとおり、本発明のエチレン共重合体の製造方法は、エチレンがオリゴマー化する際に、反応溶媒に可溶なオリゴマー成分のみが生成せずに溶媒に不溶な固体成分も副生し、工業プロセスでの取り扱いが困難となる欠点を解決することができ、得られるオリゴマーをエチレンと共重合させることで、低コストでエチレンとα−オレフィンとの共重合体を製造することもできるので、エチレン共重合体の製造の分野において、産業上非常に有用であり、利用可能性が高い。

Claims (9)

  1. 下記の工程(1)及び工程(2)を、逐次又は同時に行うことを特徴とするエチレン共重合体の製造方法。
    工程(1):成分Aの存在下、エチレンのオリゴマーを製造する工程。
    工程(2):成分Bの存在下、該オリゴマーとエチレンを共重合し、エチレン共重合体を製造する工程。
    成分A:一般式(1)で示される配位子及び周期表第3〜11族の遷移金属を含むオレフィン重合触媒
    成分B:チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒
    Figure 2016153487
    (式中、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素基を表し、R〜Rは、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素基を表す。また、隣接するRは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。)
  2. 一般式(1)において、R、Rが一般式(2)で表される基であることを特徴とする、請求項1に記載のエチレン共重合体の製造方法。
    Figure 2016153487
    (R〜R12は、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素基を表す。また、隣接するRは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。)
  3. 一般式(2)において、R、R12の少なくとも一つが、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基又はトリブロモメチル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエチレン共重合体の製造方法。
  4. 前記成分Bがメタロセン触媒であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン共重合体の製造方法。
  5. 前記工程(1)において、工程(1)で生成する重合体に対するオリゴマーの生成割合が90重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレン共重合体の製造方法。
  6. 前記工程(1)の後に、前記工程(2)を行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレン共重合体の製造方法。
  7. 前記工程(1)及び前記工程(2)を、単一の反応器中で同時に行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレン共重合体の製造方法。
  8. 前記成分Aの周期表第3〜11族の遷移金属が、コバルトであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエチレン共重合体の製造方法。
  9. 前記成分Aが、粘土層間にイオン交換により導入したコバルトを含有する層状ケイ酸塩を含むオレフィン重合触媒であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエチレン共重合体の製造方法。





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* Cited by examiner, † Cited by third party
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