JP2005089566A - 新規なオレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒、およびオレフィンの重合方法 - Google Patents

新規なオレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒、およびオレフィンの重合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オレフィン重合用触媒の助触媒成分として用いる粘土鉱物の変性処理において、高温で焼成を行っても活性を低下させずに、得られる変性粘土の活性をさらに向上させたオレフィン重合用触媒の助触媒成分、それを用いたオレフィン重合用触媒、及びそれらを用いたオレフィンの重合方法の提供。
【解決手段】粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物を化学処理する[a−1]工程、[a−1]で得られた固体物を焼成する[a−2]工程、[a−2]工程で得られた固体物に塩基性化合物を接触させる[a−3]工程の[a−1]〜[a−3]の工程で順次処理することによって、高温焼成処理を行っても活性低下を防止することができ、さらに高活性化を達成することができるオレフィン重合用触媒の助触媒成分が得られ、それを用いて高活性のオレフィン重合用触媒が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なオレフィン重合用触媒成分、それを用いたオレフィンの重合用触媒、及びそれらを用いたオレフィンの重合方法に関するものであり、特に、オレフィンを高い活性で重合させるオレフィン重合用触媒を構成するための新規な助触媒、それを用いたオレフィン重合用触媒、それらを用いたオレフィンの重合方法に関するものである。
メタロセン錯体等のいわゆるシングルサイト触媒は、特定の構造を有する遷移金属化合物と、特定の助触媒を組み合わせて得られ、オレフィン重合能を発現させることが知られている。
特定の助触媒としては、マイカやモンモリロナイト等の粘土鉱物に酸処理およびまたは塩類処理を施した変性粘土(例えば、特許文献1参照。)、あるいはアンモニウム塩で変性した粘土が挙げられる(例えば、特許文献2参照。)。
これらの変性粘土では、層間陽イオンを処理剤に含まれる別の陽イオンで交換することにより、層間距離を広げる(この性質を「膨潤」と呼ぶ)、表面積を大きくする等の物理的および/または化学的性質を調整することによって粘土の活性を高める工夫がなされている。
しかしながら、これらの陽イオン交換は、通常水溶液中で行われることが多く、残留水分が触媒毒となって活性を低下させる問題があった。この問題を解決するために、変性粘土を100〜300℃程度で焼成する工程を導入しているが、それ以上高温で焼成した場合には、活性が急激に低下するという欠点があった。
また、メタロセン錯体以外の遷移金属化合物と粘土鉱物を組み合わせてオレフィン重合用触媒として利用する技術として、中心金属が8〜9族であり、配位子中に15〜16族の元素を含有し、当該原子によって中心金属に配位する構造を有する錯体と粘土鉱物を組み合わせたオレフィン重合用触媒(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。
あるいは、中心金属が3〜10族であり、配位子骨格中に含まれる3個の窒素原子を介して配位する構造を有する錯体と、特定のイオン性化合物を必須成分とするオレフィン重合用触媒(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。なお特許文献4においては、粘土鉱物も開示されているが担体機能を目的とした任意成分であるとされており、助触媒機能を開示するものではない。
しかしながら、これらの特許文献には、上述したような高温焼成した際の問題について言及はされていない。
特開平8−127613号公報(請求項1) 特開平7−224106号公報(請求項1、(0010)、(0011)) 特開2000−198812号公報 特開平11−315109号公報(請求項17、(0241)〜(0253))
本発明の目的は、オレフィン重合用触媒の助触媒成分として用いる粘土鉱物の変性処理において、高温で焼成を行っても活性を低下させずに、得られる変性粘土の活性をさらに向上させたオレフィン重合用触媒の助触媒成分を提供することにあり、さらに、それを用いたオレフィン重合用触媒、及びそれらを用いたオレフィンの重合方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、オレフィン重合用触媒の助触媒として用いる粘土鉱物の高温焼成の後に特定の塩基性化合物で変性を行えば活性低下が防止できるばかりだけでなく更なる高活性化が達成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記工程[a−1]〜[a−3]で順次処理することによって得られるオレフィン重合用触媒成分が提供される。
[a−1]:粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物を化学処理する工程
[a−2]:工程[a−1]で得られた固体物を焼成する工程
[a−3]:工程[a−2]で得られた固体物に塩基性化合物を接触させる工程
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、工程[a−1]の化学処理が、塩類処理であることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、工程[a−2]の焼成が、300℃以上の温度で実施されることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、工程[a−3]によって得られる生成物が、塩基性化合物のインターカレーション生成物であることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第2の発明において、塩類処理にアンモニウム塩が使用されることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、工程[a−3]で塩基性化合物を接触させた後、未反応の塩基性化合物を除去して得られることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、塩基性化合物が、周期律表第15族または16族原子を含む化合物であることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、下記成分[A]及び[B]からなるオレフィン重合用触媒が提供される。
成分[A]:助触媒として使用する、第1〜7のいずれかの発明のオレフィン重合用触媒成分
成分[B]:シングルサイト触媒としてオレフィン重合に用いられる、中心金属が周期律表第3〜10族である遷移金属化合物
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明のオレフィン重合用触媒を用いて、炭素数2〜12のオレフィンを重合あるいは共重合する、ポリオレフィンの製造方法が提供される。
本発明のオレフィン重合用触媒成分は、オレフィン重合用の遷移金属触媒の助触媒として用いると、固体成分あたりの重合活性を極めて高くすることができる。
本発明の新規なオレフィン重合用触媒成分は、オレフィン重合用触媒の助触媒成分として用いる粘土鉱物系の変性粘土であって、陽イオン交換時の残留水分を高温焼成することにより完全に除去し、さらに高活性化された触媒成分であって、遷移金属化合物と用いることによりその機能を十分に発揮する。以下に本発明を詳しく説明する。
1.粘土鉱物
本発明において、助触媒として使用される変性粘土は、粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物を変性して得られる。
本発明で使用する粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、その例として、大部分の粘土が挙げられる。また、粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。イオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
本発明で用いる粘土鉱物あるいはイオン交換性状層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.05cc/g以上が好ましく、特には0.1〜5cc/g、更には0.3〜5cc/gのものが好ましい。
本発明で用いる粘土鉱物あるいはイオン交換性状層状化合物の平均粒径は、いわゆる気相重合やスラリー重合のように重合系内で固体状のポリマーを得る製造プロセスに使用する場合は、5μm以上、100μm以下が好ましい。5μm未満の微粒子が多く存在すると、ポリマー同士の凝集、反応器への付着等が起こりやすく、また重合プロセスによってはショートパスあるいは長期滞留の要因となり好ましくない。100μm以上の粗粒子については閉塞(例えば、触媒フィード時)が起こりやすい等の問題が生じるために好ましくない。
また、いわゆる溶液重合のように重合系内で溶媒に溶解した状態あるいは融点以上の温度で溶融状のポリマーを得る製造プロセスに使用する場合は、20μm以下、更には10μm以下が好ましい。
これらを満たす粒子であれば、天然物あるいは市販品を原料として使用してもよいし、分級、分別、造粒、粉砕等により粒径を制御して使用してもよい。
本発明では、製造されるポリオレフィンの粒子性状を改善する観点から、粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物を造粒処理することが好ましい。造粒粒子の形状は球状であることが好ましい。造粒法は特に限定されないが、噴霧造粒法が好ましい。造粒工程において粒子強度の制御が可能である。なお、分級、分別、造粒、粉砕等の粒径制御は、後述の工程[a−1]〜[a−3]の前、後、間の任意のところで実施することが出来る。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。珪酸塩は各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(i)2:1型鉱物類
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族;バーミキュライト等のバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族;パイロフィライト、タルク等のパイロフィライト−タルク族;Mg緑泥石等の緑泥石族等。
(ii)2:1リボン型鉱物類
セピオライト、パリゴルスカイト等。
本発明で原料として使用する珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。
本発明に用いられる粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物は、交換可能な1族金属の陽イオン(通常、例えばNa、K)を含有する。1族金属の陽イオンの含有量は、0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましい。
2.変性粘土
本発明において、助触媒として使用される変性粘土は、上記の粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物を次の工程[a−1]〜[a−3]で順次処理することにより得ることができる。
(1)工程[a−1]
工程[a−1]においては、上述の粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物を化学処理する。
化学処理の例示としては、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。本発明において、これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させる。酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
塩類処理は、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。即ち、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることができる。
本発明においては、塩類で処理される前の、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物及び無機珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが必要である。
この様なイオン交換を目的とした本発明の塩類処理で用いられる塩類は、2〜14族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンを含有する化合物であり、好ましくは、2〜14族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸からなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなる化合物である。
塩類処理に用いる溶媒は通常、脱イオン化した純水、エタノール等のアルコール類、無機酸、有機酸、アミン類、アセトン類等の極性溶媒である。
陽イオンとしては、2〜16族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンであり、好ましくは、ホウ素、ケイ素等の半金属原子や、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄等の非金属原子を含む分子陽イオンであり、更に好ましくは、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄等の非金属原子を含む分子陽イオンである。
陰イオンとしては、Cl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、CあるいはCで表される構造を有する陰イオンが例示できる。
塩類の具体的例示としては、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、Mg(OOCCH、MgC、Sc(OOCCH、Sc(CO、ScI、YCl、LaI、SmI、YbCl、Ti(SO、Zr(SO、Hf(SO、VOSO、VOCl、VCl、Nb(NO、TaCl、Cr(NO、CrCl、MoOCl、MoCl、WCl、MnCO、Fe(NO、CoSO、Ni(ClO4)、NiSO、Pb(NO、PbSO、CuCl、Cu(NO、ZnCl、Cd(NO、AlCl、Al(SO、GeCl、Sn(SO、Pb(NO、BCl、(CHBCl、SiCl、(CHSiCl、(CC・SbF、NHCl、(n−CNCl、CNHCl、塩化(1−メチルピリジニウム)、塩化(ベンゼンヂアゾニウム)、塩化(テトラヒドロフラニウム)、塩化(1,4−ジオキサニウム)、塩化(トリベンジルスルホニウム)、臭化(1−エチルチアゾリウム)、ヨウ化ホスホニウム、水酸化(ベンジルトリフェニルホスホニウム)、等が挙げられる。
また、上述の化学処理された粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物には、吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、公知の方法で水分を除去してから使用するのが好ましい。
水分除去の方法については、工程[a−2]の説明にて詳述する。
(2)工程[a−2]
工程[a−2]は、工程[a−1]で得られた固体物を焼成する工程であり、粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物に吸着した水分、あるいは層間に存在する水分を除去するための焼成作業工程である。
特許文献1では、このような水分除去工程を、「加熱の際の温度は、層間水が残存しないように、100℃以上、好ましくは150℃以上であるが、構造破壊を生じるような高温条件は好ましくない。また、空気流通下での加熱等の架橋構造を形成させるような加熱脱水方法は、触媒の重合活性が低下し、好ましくない。」と記載されている。構造破壊とは、熱処理により粘土を構成する元素の一部が揮発して結晶構造が保てなくなる、あるいはケイ酸塩表面上の近接する水酸基から脱水反応を起こすことによる非晶質化、相転移による結晶構造の変化、隣接する層同士が結合すること等を意味し、例えば、空気流通下だけでなく、不活性ガス下、あるいは真空下であっても150℃を超える高温焼成下では、ケイ酸塩表面上の近接する水酸基から脱水反応を起こし、層状構造が破壊されてしまう。このような結果、粘土鉱物の膨潤性が失われ、大きな表面積が得られないなどの原因でオレフィン重合用触媒として、高活性を発現できなくなると考えられた。
しかしながら驚くべきことに、本発明では、150℃を超える高温焼成の工程を経た後に、後述する工程[a−3]を行うことにより、重合活性が向上する。
この焼成の方法は特に限定されないが、固体を熱媒に接触した容器に充填して加熱焼成する方法、回分式あるいは連続式のいわゆるロータリーキルンを使用して加熱焼成する方法、加熱ガスによって流動乾燥する方法等を挙げることができるが、いずれの方法も、減圧、常圧、加圧の各状態、あるいは任意のガス流通下にて実施することが出来る。水分除去を主目的として有機溶媒との共沸脱水の方法を選択することも可能である。
好ましくは、焼成は真空排気下または不活性ガス流通下で行われる。真空排気下の場合には、真空度は50mmHg以下、好ましくは10mmHg以下である。
不活性ガスとして用いられる気体は、N、アルゴン、ヘリウム等があり、固体1kg当たり0.001〜1000m/hr、好ましくは0.1〜100m/hr、特に好ましく1〜50m/hrが使用される。
焼成温度は通常200℃以上、好ましくは300℃以上、更に好ましくは400℃以上であり、上限は700℃未満、好ましくは600℃未満である。
焼成時間は、固体の種類や加熱前の水分含量、あるいは焼成温度等によっても異なるが、通常0.5分以上、好ましくは5分以上、更に好ましくは10分以上であり、上限は5時間以内、好ましくは3時間以内である。
(3)工程[a−3]
工程[a−3]は、工程[a−2]で得られた個体物に塩基性化合物を接触させる工程である。工程[a−2]で焼成された化合物は、真空中、不活性ガス中、あるいは大気中で室温まで放冷した後で塩基性化合物と接触させることが望ましいが、使用する塩基性化合物と焼成化合物との反応性に応じて任意の温度を取り得ることを否定するものではない。
本発明で使用する塩基性化合物とは、配位結合を形成し得る孤立電子対(非共有電子対)を分子内に有する有機化合物または無機化合物であり、好ましくは、15族原子あるいは16族原子の中から選択される少なくとも1種の原子をその構成原子として含み、かつ、該原子上に該孤立電子対が少なくとも1対(該原子が複数個含まれる場合は、該原子のうち少なくとも1原子に該孤立電子対が少なくとも1対)存在する化合物である。
本発明で使用する塩基性化合物が有機化合物の場合、好ましくは炭素数50個以下、更に好ましくは20個以下、最も好ましくは12個以下である。
15族原子としては、窒素およびリンが好ましく、窒素が特に好ましい。16族原子としては酸素およびイオウが好ましく、酸素が特に好ましい。
15族の原子を含む化合物としては、含窒素化合物である脂肪族アミンや芳香族アミン等のアミン類(第1〜3アミン類)、アミド類、イミド類、ニトリル類、イソシアニド類、ヒドロキシルアミン類、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、アゾ化合物、アゾキシ化合物、ヒドラジン類、アミジン類、アミドオキシム類、アミドラゾン類、ヒドラジジン類、ホルマザン類、尿素誘導体、等が挙げられる。
含リン化合物であるホスフィン誘導体(アセチルホスフィン類、カルバモイルホスフィン類、スルホニルホスフィン類、カルボニルビスホスフィン類を含む)、ホスフィンオキシド類、ホスフィンイミド類、ホスフォラン類、各種リン酸誘導体(ホスフェート類、チオホスフィネート類、ホスフォネート類、ハロゲン化ホスフォネート類、アミドホスフォネート類、リン酸アミド類、酸無水物類等)、等が挙げられる。
含ヒ素化合物、含アンチモン化合物、含ビスマス化合物であるアルシン誘導体、スチビン誘導体、ビスマシン誘導体等、含リン化合物例示の化合物と同種の各種誘導体が挙げられる。
これらの具体的化合物としては、(i)メチルアミン、エチルアミン、1−エチルブチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−ナフチルアミン、2−ベンゾフラナミン、アニリン、アニシジン、ペネチジン、トルイジン、キシリジン、ベンジルアミン、1,4−ブタンジアミン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、2−メチルピリジン、ジ−2−キノリルアミン、ビス(2−クロロエチル)アミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチリデンメチルアミン、ヘキサンアミド、アセトアミド、ベンゼンスルホンアミド、マレアミド、オキシアミド、アラニンアミド、N−メチルベンズアミド、アセトアニリド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、サクシンイミド、ヘキサンニトリル、ヘキサンジニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、ベンゾニトリル、エチルシアニド、フェニルイソシアニド、N−フェニルヒドロキシルアミン、フェノキシルアミン、シクロヘキサノンオキシム、ニトロソベンゼン、ニトロメタン、アゾメタン、アゾベンゼン、アゾキシベンゼン、フェニルヒドラジン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルヒドラジン、1−アミノピペラジン、ヘキサンアミジン、アセトアミジン、ベンズアミドヒドラゾン、1,3−ジフェニルホルマザン、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N−ジメチル尿素、チオ尿素、
(ii)エチルホスフィン、シクロヘキシルアルシン、2−ナフチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリビニルスチビン、トリメチルビスマシン、フェニレンビス(アルシン)、2−ホスフィノエチルアミン、4−アルシノキノリン、アセチルジエチルホスフィン、カルボニルビス(ホスフィン)、メトキシジフェニルホスフィン、クロロジフェニルホスフィン、ジクロロ(フェニル)ビスマチン、トリフェニルホスフィンオキシド、メチレントリフェニルホスフォラン、S−メチルジメチルチオアルシネート、塩化ジメチルチオホスフィン、等を挙げることができる。
16族の原子を含む化合物としては、含酸素化合物であるエーテル類、過酸化物、アルデヒド類、ケトン類、ケテン類、アセタール類、アシラール類、各種カルボン酸誘導体(エステル類、ラクトン類、ラクチド類、ラクタム類、ハロゲン化アシル、酸無水物、等)、アミノ酸誘導体、等が挙げられる。
含イオウ化合物としては、2価イオウに関しては、スルフィド類、各種スルフェン酸誘導体、チオアルデヒド、チオケトン等の含酸素化合物例示の化合物と同種の各種誘導体が挙げられ、4価イオウに関しては、スルホキシド類、スルホン類、各種イオウ酸誘導体、スルトン類、スルタム類、等が挙げられる。
含セレン化合物、含テルル化合物は、含イオウ化合物例示の化合物と同種の各種誘導体が挙げられる。
これらの具体的化合物としては、(i)エチルメチルエーテル、シクロペンチルフェニルエーテル、1−イソプロピル−n−プロピルエーテル、エチルビニルエーテル、1−クロロ−2−エトキシエタン、オキシラン、テトラヒドロフラン、フラン、アニソール、エチルフェニルパーオキシド、アセトアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、2−フルアルデヒド、マロアルデヒド、フタルアルデヒド、アミノアセトアルデヒド、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキシルアセトン、アセトフェノン、ジ−2−フリルケトン、シクロヘキサノン、フェニルケテン、シクロヘキサノンジメチルアセタール、1,3−ジオキソラン、エチリデンジプロピオネート、アセトイン、酢酸エチル、マロン酸ジエチル、ヒドロアクリロラクトン、γ−ブチロラクトン、4−ブタンラクタム、塩化アセチル、無水酢酸、無水フタル酸、
(ii)ジエチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、チアシクロオクタン、チオフェン、シクロヘキサンカルボチアルデヒド、4−ヘプタンチオン、シクロヘキサンチオン、チオアセトン、1−エトキシ−1−(エチルチオ)ブタン、S−エチルヘキサンチオエート、ヘキサンチオアミド、塩化チオアセチル、ビス(チオ安息香酸)無水物、ジフェニルスルホキシド、p−ビス(エチルスルフィニル)ベンゼン、ジエチルスルホン、チオフェン1,1−ジオキシド、ジフェニルジスルホン、チオベンズアルデヒドオキシド、エチルエタンスルフィネート、フェニルメタンスルホネート、エタンスルフェンアミド、ベンゼンスルホノヒドラジン、ジメチルスルフェート、N−スルフィニルアニリン、セレノウレア、ジエチルセレニド、セレナシクロペンタン、ジエチルテルリド、等を挙げることができる。
本発明で使用する塩基性化合物のうち、無機化合物としては、アンモニア、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、トリアザン、トリアゼン、テトラザン、テトラゼン、テトラザジエン、ペンタザン、ホスフィン、アルシン、スチビン、ビスマチン、ホスフィナス酸、アルシナス酸、ホスフォナス酸、アルソナス酸、ホスフォラス酸、アルセナス酸、ホスフィニック酸、アルシニック酸、ホスフォニック酸、アルソニック酸、ジホスフォニック酸、ポリ(二塩化ホスフォニトリル)、ホスフォラン、アルソラン、ジスルファン、トリスルファン、テトラスルファン、等を挙げることができる。
工程[a−3]の接触方法は、上記の塩基性化合物を工程[a−2]で得られた固体物と接触させる場合、塩基性化合物が接触反応条件下で気体または液体であれば、溶媒を使用することなく接触反応を実施してもよく、ブタン、ヘキサン、ペンタン、トルエン等の不活性溶媒あるいは窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを使用して接触反応を実施することもできる。塩基性化合物が接触反応条件下で固体の場合、該化合物の良溶媒を使用して接触反応を実施することが可能である。
接触反応は任意の条件で実施することが可能であるが、接触温度は、通常−50℃〜200℃、好ましくは0℃〜100℃の間で実施し、接触時間は通常0.1分〜200時間、好ましくは1分〜100時間の間で実施し、接触濃度は通常、固体物が1〜1000g/L、好ましくは10〜800g/Lの間、塩基性化合物が0.0001g/L〜800g/L、好ましくは0.001g/L〜500g/Lの間、固体物1gに対する塩基性化合物の比率で、0.001mmol/g〜10mol/g、好ましくは0.1mmol/g〜1mol/g、更に好ましくは1mmol/g〜100mmol/gである。
工程[a−3]によって得られる生成物は、塩基性化合物のインターカレーション生成物であることが好ましい。一般に、インターカレーション生成物とは、層間化合物ともいい、粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物等の層状化合物の結晶層間に種々の化合物、分子、金属、各種イオン等が挿入して生成する化合物を意味し、インターカレーション生成物の形成は、母結晶層の層間距離や層の電荷密度等を変化させることによって、その触媒作用に影響を及ぼすと言われている。
本発明において、塩基性化合物との接触が粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物の単なる外表面での反応に留まる場合でも効果はあるけれども、塩基性化合物の挿入によって層間距離が広がったり、層間のいわゆる結晶内表面で反応が進行し、層の酸塩基特性が変化することが、オレフィン重合用助触媒機能を向上させる上で好ましい。インターカレーション生成物の生成は、粉末X線回折法で測定される底面間距離のインターカレーション前後の変化によって確認することが出来る。
工程[a−3]の処理を行って得た固体物は、オレフィン重合用触媒として使用される場合、通常未反応の塩基性化合物を除去してから使用される。その除去方法は使用した塩基性化合物の性質によって従来公知の方法の中から適宜選択される。
すなわち、塩基性化合物が気体の場合は、真空排気によって除去することが出来、必要に応じて室温から工程[a−2]の焼成温度の間の適当な温度に加熱して実施され、真空排気の替わりに窒素等の不活性ガスの流通によっても実施することができる。また、塩基性化合物が液体もしくは溶液状態の場合、静置によるデカンテーションあるいは濾過による上澄み液の除去と不活性溶媒を追加して実施される撹拌洗浄を繰り返す方法を採用することが出来る。
3.オレフィン重合用触媒
本発明では、上述した工程[a−1]〜[a−3]を順次行った変性粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物を助触媒成分[A]として、以下に述べるような遷移金属化合物成分[B]と組み合わせてオレフィン重合用触媒を得る。この際には、さらに有機アルミニウム化合物成分[C]を触媒構成成分とすることが好ましい。
本発明で使用される遷移金属化合物は公知の錯体であり、いわゆるシングルサイト触媒として分子量分布や共重合組成分布が狭いポリマーを製造することができるオレフィン重合用触媒を構成する錯体である。
以下に具体的構造を示して説明する。なお、本発明における原子の周期率は、1989年にIUPACにより推奨された18族方式に基づくものである。
(1)遷移金属化合物(成分[B])
助触媒成分[A]と組み合わせてオレフィンの重合に使用される遷移金属錯体化合物としては、カチオニックに活性化される性質を有する周期律表3〜10族のすべての遷移金属化合物が挙げられる。具体的には、3族の遷移金属錯体化合物、4〜6族金属のメタロセン化合物、4族金属のビスアミドまたは8〜10族金属のビスイミノ化合物、4〜10族金属のサリチルアルジミナト化合物あるいは8〜9族金属のビスイミノ化合物(いわゆるブルックハート錯体やギブソン錯体の誘導体)があげられる。
これら遷移金属化合物がジアルキル体でない場合は、これらをジアルキル体に変換しうるNa、Li、Ag、Hg、Zn、Al、Ga等の有機金属化合物を重合に際してあらかじめ、または、同時に存在させることが必要である。
少なくとも1個の共役5員環配位子を有する周期律表4〜6族の遷移金属化合物、すなわちメタロセン化合物としては、以下の一般式(1)〜(4)で表されるものを挙げることができる。
(C5−a )(C5−b )MXY ・・・(1)
Q(C4−c )(C4−d )MXY ・・・(2)
Q(C4−e )ZMXY ・・・(3)
(C5−f )MXYW ・・・(4)
ここで、Qは二つの共役5員環配位子、共役5員環配位子とZ基、若しくは二つの共役5員環に隣接して付加するアルキル基同士が結合して形成する環同士を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜40の、ケイ素、ゲルマニウム、酸素、窒素若しくはリン含有炭化水素基を、Mは周期律表4〜6族遷移金属を、X、Y、Wはσ共有性補助配位子であり、成分(A)と反応してオレフィン重合能を有する活性種となる。
具体的には、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、酸素、窒素、ケイ素若しくはリン含有炭化水素基を、Zは酸素、イオウ、または炭素数1〜40の、ケイ素、酸素、窒素若しくはリン含有炭化水素基を示す。
Mは、特にTi、Zr、Hfが好ましい。
、R、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、ケイ素、リン、窒素若しくはホウ素含有炭化水素を示す。酸素含有炭化水素基の例示としては、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、アルコキシアリール基などが挙げられる。
また隣接する2個のR、R、R、R同士がそれぞれ結合して4員環〜10員環を形成していてもよい。a、b、c、d、e、fはそれぞれ0≦a、b、f≦5、0≦c、d、e≦4を満足する整数である。
上述した配位子の中では、(C5−a )、(C5−b )、(C4−c )、(C4−d )がインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基あるいは部分水素添加されたアズレニル基が好ましく、特にこれらの配位子が2位および4〜7位にさらに置換基を有するものが好ましい。
架橋結合性基Qはアルキレン基、アルキリデン基、シリレン基、あるいはゲルミレン基が挙げられる。具体的には、メチレン基、エチレン基、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジメチルゲルミレン基等が好ましい。
上述の一般式(1)〜(4)で示される具体的なジルコニウム錯体例を以下に例示するが、ジルコニウムをハフニウム、チタニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。
一般式(1)で示されるジルコニウム錯体:ビスシクロペンタジニルジルコニウムジメチル、ビス(2−メチルシクロペンタジニル)ジルコニウムジメチル、ビス(2−メチル4,5ベンゾインデニル)ジルコニウムジメチル、ビスフルオレニルジルコニウムジメチル、ビスシクロペンタジニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド等。
一般式(2)で示されるジルコニウム錯体:ジメチルシリレンビス(1,1’−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレンビス(1,1’−2−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレンビス(1,1’−2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレンビス(1,1’−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(1,1’−2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(1,1’−2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(1,1’−2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[7,7’−{1−イソプロピル−3−(4−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド等。
一般式(3)で示されるジルコニウム錯体:(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジイルジルコニウムジメチル、(フェニルフォスフィド)ジメチル(テトラジメチルシクロペンタジエニル)シランジイルジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジイルジルコニウムジクロリド等。
一般式(4)で示されるジルコニウム錯体:(シクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジメチル、(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジメチル、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジメチル、(シクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロロジメチル、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムクロロジメチル、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムイソプロポキシジメチル、(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド等。
さらにメタロセン化合物の特殊な例として、特開平7−188335号公報やJACS,1996,118,p2291で開示されている5員環あるいは6員環に炭素以外の元素を一つ以上含む配位子を有する遷移金属化合物も使用可能である。
次に、中心金属が4族もしくは8〜10族元素である非メタロセン化合物としては、以下の一般構造式で示されるような、N原子またはO原子が中心金属に直接配位しているおり、かつ窒素原子、酸素原子に嵩高い置換基を有する架橋型遷移金属化合物を挙げることができる。
周期律表4族金属の化合物の例としては、
(i)下記一般式(5)に示すような、N−N型配位子を持つビスアミド化合物を挙げることができる。
Figure 2005089566
ここで、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素またはケイ素含有炭化水素基を、Uは2つのN原子を架橋する結合性基で、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜40の、ケイ素、窒素、酸素若しくはイオウ含有炭化水素基を、M’は周期律表4族遷移金属を、X、Yは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、酸素、窒素、ケイ素若しくはリン含有炭化水素基を示す。
具体的には、Rは、t−ブチル、トリメチルシリル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル基である場合が好ましい。
Uは、プロペニル、2−フェニルプロペニル、2,2−ジフェニルプロペニル基であることが好ましい。またM’は、Ti、Zr、Hfのいずれかであり、X,Yは、Cl、メチル、ベンジル、ジメチルアミドのいずれかであることが好ましい。
さらに具体的には、(R、U、M’、X、Y)=(t−ブチル、プロペニル、Ti、Cl、Cl)、(トリメチルシリル、プロペニル、Ti、Cl、Cl)、(2,6−ジイソプロペニルフェニル、プロペニル、Ti、Cl、Cl)、あるいは(トリメチルシリル、2−フェニルプロペニル、Ti、Cl、Cl)である組合せが好ましい。これらの化合物例はMacromolecules,1996,p5241;JACS,1997,119,p3830;JACS,1999,121,p5798に開示されている。
(ii)下記一般式(6)に示すような、N−N型配位子を持つビスアミジナト化合物を挙げることができる。
Figure 2005089566
ここで、R、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素またはケイ素含有炭化水素基を、M’は周期律表4族遷移金属を、X、Yは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、酸素、窒素、ケイ素若しくはリン含有炭化水素基を示す。
具体的には、Rは、t−ブチル、シクロヘキシル、トリメチルシリル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニルのいずれかである場合が好ましく、Rは、メチル、イソプロピル、フェニル、パラトリルのいずれかである場合が好ましい。またM’は、Ti、Zr、Hfのいずれかであり、X、Yは、Cl、メチル、ベンジル、ジメチルアミドのうちいずれかである場合が好ましい。
さらに具体的には、(R、R、M’、X、Y)=(t−ブチル、フェニル、Zr、Cl、Cl)、(トリメチルシリル、フェニル、Zr、Cl、Cl)、(2,6−ジイソプロペニルフェニル、プロペニル、Ti、Cl、Cl)、あるいは(トリメチルシリル、トリル、Zr、Cl、Cl)である組合せが好ましい。これらの化合物例はOrganometallics,1998,p3155に開示されている。
(iii)下記一般式(7)に示すような、N−O型配位子を持つサリチルアルジミナト化合物を挙げることができる。
Figure 2005089566
ここで、R,Rは炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素を、R10は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素を、M’は周期律表4族遷移金属を、X、Yは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、酸素、窒素、ケイ素若しくはリン含有炭化水素基を示す。
具体的には、Rは、ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、ペンタフロロフェニル、パラメトキシフェニル、2,4−ジメチルピロリルのうちいずれかである場合が好ましく、Rは、t−ブチル若しくはアダマンチル基であり、R10は、水素原子、メチル、エチル、若しくはメトキシ基である場合が好ましい。またMは、Ti、Zr、Hfのうちいずれかであり、X、Yは、Cl、メチル、ベンジル、ジメチルアミドのうちいずれかであることが好ましい。
さらに具体的には、(R、R、R10、M’、X、Y)=(シクロヘキシル、t−ブチル、水素原子、Zr、Cl、Cl)、(フェニル、t−ブチル、水素原子、Zr、Cl、Cl)、(トリル、t−ブチル、水素原子、Zr、Cl、Cl)、(ペンタフルオロフェニル、t−ブチル、水素原子、Zr、Cl、Cl)、(ペンタフルオロフェニル、t−ブチル、水素原子、Ti、Cl、Cl)、(2,5−ジメチルピロリル、t−ブチル、水素原子、Zr、Cl、Cl)である組合せが好ましい。これらの化合物例は、特開平11−315109号公報に開示されている。
周期律表8〜10族金属の化合物の例としては、
(i)下記一般式(8)または(9)に示すような、N−N型配位子を持つビスイミノ化合物を挙げることができる。
Figure 2005089566
Figure 2005089566
ここで、R11、R13は炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素を、R12、R14は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素を示し、またR14はお互いに結合してもよい。M’はNiまたはPdを、X、Yは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、酸素、窒素、ケイ素若しくはリン含有炭化水素基を示す。
具体的には、R11は、パラトリル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、もしくは2,4,6−トリメチルフェニルであり、R12は、水素原子、メチル、エチル、若しくはプロピルであり、R13は、2,6−ジメチルフェニル、2−t−ブチルフェニル、若しくは2,6−ジイソプロピルフェニルである。また、R14は、水素原子、メチル、お互いに結合しているものの例としては1,8−ナフチル、−SCHCHS−、若しくは−OCHCHO−である。また、M”は、NiまたはPdであり、X,Yは、Cl、Br、メチル、若しくはベンジル基である。
さらに具体的には、(R11、R12、X、Y)=(2,6−ジメチルフェニル、水素原子、Cl、Cl)、(2,4,6−トリメチルフェニル、水素原子、Cl、Cl)、(2,6−ジイソプロピルフェニル、水素原子、Cl、Cl)、(p−トリル、メチル、Cl、Cl)、(2,6−ジメチルフェニル、メチル、Cl、Cl)、あるいは(2,6−ジメチルピロリル、水素原子、Cl、Cl)である組合せが好ましい。
あるいは、(R13、R14、M’、X、Y)=(2,6−ジメチルフェニル、水素原子、Ni、Br、Br)、(2−t−ブチルフェニル、水素原子、Ni、Br、Br)、(2,6−ジイソプロピルフェニル、水素原子、Ni、Br、Br)、(2,6−ジイソプロピルフェニル、1,8−ナフチル、Ni、Br、Br)、(2,5−ジメチルピロリル、水素原子、Ni、Br、Br)あるいは(2,6−ジイソプロピルフェニル、水素原子、Pd、Br、Br)である組合せが好ましい。
これらの化合物は、JACS,1995,117,p6414、WO96/23010号明細書、Chemical Communication,1998,p849、JACS,1998,120,p4049、WO98/27124号明細書で開示されている。
(ii)下記一般式(10)に示すような、N−O型配位子を持つサリチルアルジミナト化合物を挙げることができる。
Figure 2005089566
ここで、R、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、ハロゲン、酸素、窒素、ケイ素若しくはイオウ含有炭化水素を、R10は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン、酸素、窒素若しくはケイ素含有炭化水素を、M’はNiまたはPdを、X、Yは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の、酸素、窒素、ケイ素若しくはリン含有炭化水素基を示す。
具体的には、Rは、ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、ペンタフロロフェニル、パラメトキシフェニル、若しくはピロール基であり、Rは、t−ブチル若しくはアダマンチル基であり、R10は、水素原子、メチル、エチル、若しくはメトキシ基であり、M’は、Niであり、X,Yは、Cl、メチル、ベンジル、若しくはジメチルアミドである場合が好ましい。
さらに具体的には、(R、R、R10、M’、X、Y)=(フェニル、t−ブチル、水素原子、Ni、Br、Br)、(p−トリル、t−ブチル、水素原子、Ni、Br、Br)、(フェニル、t−ブチル、水素原子、Ni、Br、Br)、あるいは(2,5−ジメチルピロリル、t−ブチル、水素原子、Ni、Br、Br)である組合せが好ましい。これらの化合物例は特開平11−315109号公報に開示されている。
(2)有機アルミニウム化合物(成分[C])
上述したシングルサイト触媒は、有機アルミニウム化合物成分[C]をさらに組み合わせた場合により重合活性が向上することが期待できる。
例えば、一般式
AlR3−i
(式中、RはC1〜20の炭化水素基、Xは水素、アルコキシ基、ハロゲン、iは0≦i<3の数を示す。但し、Xが水素の場合は、iは0<i<3とする。)
で示される化合物が使用される。
具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド等のアルコキシ含有アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリドなどのハロゲン含有アルキルアルミニウム、またはジエチルアルミニウムハライドなどのハライド含有アルキルアルミニウムである。
これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。さらに好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムである。
これ以外の有機アルミニウム化合物としては、アルミノキサンが例示できる。
(3)触媒の調製
成分[A]と成分[B]の使用量は、それぞれの組み合わせの中で最適な量比で用いられる。
成分[A]として、粘土鉱物あるいはイオン交換性層状珪酸塩を用いる場合は、成分[A]1gにつき、遷移金属錯体0.0001〜10ミリモル、好ましくは0.001〜1ミリモルの範囲である。
これらの使用比率は、通常の割合例を示すものであって、触媒が合目的的なものとなっておれば、上に述べた使用比率の範囲によって、本発明が限定されることにはならないことは当然である。
遷移金属錯体と助触媒からなるポリオレフィン製造用触媒をオレフィン重合用(本重合)の触媒として使用する前に必要に応じて、担体に担持させた後、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンを予備的に少量重合する予備重合処理を施してもよい。予備重合方法は公知の方法が使用できる。
4.オレフィンの重合
上記で説明した成分[A]及び成分[B]、さらに必要に応じて、成分[C]からなるオレフィン重合用触媒を使用してオレフィンを重合あるいは共重合することができる。
本発明のオレフィン重合用触媒により重合できるオレフィンとしては、炭素数2〜12のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン等を挙げることができる。特に、エチレン、プロピレンが好適に使用される。また、重合は、単独重合の他にランダム共重合やブロック共重合にも好適に適用できる。共重合の際のコモノマーとしては、上記のオレフィンの他に、ヘキセンビニルシクロアルカン、ブタジエン等の共役ジエン、1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、スチレンあるいはこれらの誘導体等、更には酸素原子や窒素原子等を含むアクリル酸系誘導体、アクリルアミド系誘導体等のいわゆる極性モノマーも使用することができる。
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒の存在下に、あるいは実質的に溶媒や単量体の液相が存在しない状態で気相重合により行うのが好ましい。気相重合は、例えば流動床、撹拌床、撹拌・混合機を備えた撹拌流動床等の反応装置を用いて行うことができる。重合温度、重合圧力等の条件は特に限定されないが、重合温度は、一般に−50〜350℃、好ましくは0〜300℃であり、また、重合圧力は通常、常圧〜約2000kgf/cm、好ましくは常圧〜1500kgf/cm、更に好ましくは常圧〜1300kgf/cmの範囲である。また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。
次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。
なお、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は、MS−13Xで脱水した後、精製窒素でバブリングして脱気したものを用いた。
また、粘土の底面間距離(d)は、粉末X線回折法により得られる回折パターンから、(001)面の回折ピークの回折角(θ)とX線の波長(λ)を用いて、ブラッグの式、2dsinθ=nλより算出した。回折パターンの測定には、理学電気(株)製RAD−Bシステムを使用し、線源はCuKα線(Niフィルター)、スキャン速度は1°/分、サンプリング間隔は0.01°で測定した。
(実施例1)
[a−1]NH 交換モンモリロナイトの調製工程
200ml三角フラスコに市販の膨潤性モンモリロナイトの造粒品5.0gを量りとり、10倍当量に相当するNHCl(2.40g)を含む水溶液125mlを加えた。30℃の恒温槽中でイオン交換した。イオン交換は、24hr後に一度取り出して、ろ過した後、再び同じ濃度のNHCl水溶液中に分散させてさらに24hr行った。
ろ過による固液分離を行った後、ろ紙からエタノール200mlを使って200mlのビーカーに洗い出し、軽く撹拌してから再びろ過した。このエタノールによる洗浄操作は5回行った。洗浄後のNH モンモリロナイトは、空気中、およそ30℃で一晩乾燥した。得られた乾燥サンプルについてSEM−EDXによりNH 交換率を測定したところ、Naイオンは観測されず、ほぼ100%の交換率であった。
[a−2]NH モンモリロナイトの焼成工程
乾燥後のNH モンモリロナイトおよそ1gを磁製蒸発ざらに入れ、マッフル炉にセットした。3.3℃/分の速度で400℃まで昇温、さらにその温度で4時間焼成した。
[a−3]ピリジン処理モンモリロナイトの調製工程
所定の条件で焼成したNH モンモリロナイトおよそ1.0gを、20mlナスフラスコに量り取った。ピリジン10mlを加えた後、冷却管を取り付けて、70℃に保ったオイルバス中にセットし、72時間、加熱処理した。処理後、ろ過によりピリジンを除去した。得られたサンプルは、50mlのエタノール中で洗浄およびろ過による分離を5回繰り返して、残留したピリジンを充分洗い流した。得られたピリジン処理モンモリロナイトは、ガラスアンプル中、室温で4時間、減圧乾燥し、大気を遮断したまま窒素雰囲気下のグローブボックス中に保管した。
[a−4]触媒合成工程
室温乾燥したピリジン処理モンモリロナイト100mgをグローブボックス中で20mlシュレンク管中に精秤した。グローブボックスから取り出したシュレンク管を窒素ラインに接続し、MS−13Xにより脱水したトルエン6.0ml、トリイソブチルアルミニウム(TIBA:0.25mmol/L)4.0mlを加えた後、1.5時間処理した。処理後、デカンテーションにより上澄み液5mlを抜き出し、脱水トルエン15mlを加えた。約1分間撹拌後、デカンテーションにより上澄み液15mlを抜き出した。この洗浄操作をさらに2回行った。ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(CpZrCl)のトルエン溶液(20μmol相当、CpZrCl/モンモリロナイト=200μmol/g)を加え、さらに脱水トルエンで全液量を10.0mlに調製した後、30分間接触処理することで触媒スラリーを調製した。
[a−5]エチレンの重合
まずオートクレーブを130℃の乾燥器中で充分に乾燥した後、素早く組み立てて、Nで系内をパージした。オートクレーブが室温まで冷めたら、N下で脱水ヘキサン50mlを注射器で注入し、続いて(a−4)で調製したCpZrCl/ピリジン処理モンモリロナイトのスラリーを針付メスピペットで抜き出して(14mgモンモリロナイト相当)オートクレーブに注入した。最後にTIBA(0.25mmol/L)、3.37mlを加えた後(Al/Zr=300)、系内を素早くエチレンで3回置換した。その後、予め60℃に保った水浴中にオートクレーブをセットし、0.7MPa、60℃で1.5h重合させた。
重合時間終了後、オートクレーブを水浴で急冷すると共に、系内の残エチレンを素早くパージした。最後にオートクレーブを開放して、ポリエチレンスラリーを取り出し、吸引ろ過によりポリエチレンを回収した。ポリエチレンは40℃で約1日乾燥後、収量を量った。触媒活性は、ポリエチレン収量と注入したモンモリロナイト重量から、時間・モンモリロナイト重量当たりのポリエチレン収量として表記した(g−PE/g−粘土/h)。結果を表1に示す。
(比較例1)
[a−3]のピリジン処理モンモリロナイトの調製工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005089566
表1の実施例1と比較例1の比較から、工程[a−3]の塩基性化合物処理をピリジンで行った場合、活性が向上することがわかる。ピリジンが粘土層間にインターカレーションしたことは、底面間距離が大きくなったことで確認される。
(実施例2)
実施例1の[a−2]NH モンモリロナイトの焼成工程において、焼成温度を500℃に変えた以外は実施例1と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例2の[a−3]ピリジン処理モンモリロナイトの調製工程においてピリジン処理後の乾燥を室温での減圧乾燥から200℃での減圧乾燥に変えた以外は実施例2と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例2の[a−3]ピリジン処理モンモリロナイトの調製工程においてピリジン処理後の乾燥を室温での減圧乾燥から400℃での減圧乾燥に変えた以外は実施例2と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
[a−3]ピリジン処理モンモリロナイトの調製工程を行わなかったこと以外は実施例2と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
[a−3]ピリジン処理モンモリロナイトの調製工程で、ピリジンの代わりにイオン交換水を用いた以外は実施例2と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例1の[a−2]NH モンモリロナイトの焼成工程において焼成温度を300℃に変えた以外は実施例1と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表2に示す。
Figure 2005089566
表1と同様に、表2の実施例2と比較例2の比較から、工程[a−3]の塩基性化合物処理をピリジンで行った場合、活性が向上することがわかる。ピリジンが粘土層間にインターカレーションしたことは底面間距離が大きくなったことで確認される。実施例2〜4は、工程[a−3]で未反応の塩基性化合物を除去する際の温度を変えた場合のエチレン重合活性を比較した例であるが、室温よりも高温での除去が活性向上には好ましいが、200℃と400℃ではほぼ同じ活性を示す結果であった。
また、比較例3は、工程[a−3]で塩基性化合物の代わりに粘土の層間にインターカレーションする一般的な物質である水を接触させた例であるが、比較例2と底面間距離および重合活性に違いは見られず、活性向上効果は無いことを示す結果であった。実施例5、実施例1、実施例2は、工程[a−2]の焼成温度の違いを比較する例であるが、300℃、400℃、500℃でやや高温側で高活性の傾向を示す結果であった。
(実施例6)
実施例1の[a−2]NH モンモリロナイトの焼成工程において焼成温度を300℃に変え、更に[a−3]ピリジン処理モンモリロナイトの調製工程においてピリジン処理のかわりに28%アンモニア水を用いて、30℃、24時間の処理を行い(ろ過・洗浄操作はピリジン処理と同じ)、その後の乾燥を室温での減圧乾燥から300℃での減圧乾燥に変えた以外は実施例1と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表3に示す。
(比較例4)
実施例6の[a−2]NH モンモリロナイトの焼成工程において焼成温度を50℃に変え、更に[a−3]アンモニア水処理の調製工程を行わなかったこと以外は実施例6と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表3に示す。
(比較例5)
実施例6の[a−2]NH モンモリロナイトの焼成工程において焼成温度を200℃に変え、更に[a−3]アンモニア水処理の調製工程を行わなかったこと以外は実施例6と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表3に示す。
(比較例6)
実施例6の[a−2]NH モンモリロナイトの焼成工程において焼成温度を300℃に変え、更に[a−3]アンモニア水処理の調製工程を行わなかったこと以外は実施例6と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表3に示す。
Figure 2005089566
表3の実施例6と比較例4から比較例6は、工程[a−3]の塩基性化合物としてアンモニアを使用した場合の例であるが、ピリジンの場合と同様に、工程[a−3]によって活性向上効果が得られることを示している。
(実施例7)
実施例6の[a−2]NH モンモリロナイトの焼成工程において焼成温度を400℃に変えた以外は実施例6と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表4に示す。
(比較例7)
[a−3]アンモニア水処理モンモリロナイトの調製工程を行わなかったこと以外は実施例7と同様に触媒調製を行い、エチレンの重合を行った。結果を表4に示す。
Figure 2005089566
表4は、工程[a−3]の塩基性化合物としてアンモニアを使用した場合の例であり、表3とは工程[a−2]の焼成温度が異なる場合である。やはり、工程[a−3]によって活性向上効果が得られることを示している。
(実施例8)
実施例1の[a−1]から[a−3]と同様にしてピリジン処理モンモリロナイトを調製した。
[a−4]触媒調製
上記[a−3]で得られたピリジン処理モンモリロナイト100mgをn−ヘプタン9.6mlでスラリー化し、ここへ室温撹拌下TIBA59.6mg(0.30mmol、ヘプタン溶液0.36ml)を加えた。10分間撹拌を続けた後、Fe錯体−1(Fe−1)4.2mg(8.0μmol、トルエン溶液8.0ml)を加えた。更に10分間撹拌を継続して触媒スラリーを得た。なお、錯体Fe−1は文献(Journal of American Chemical Society 120巻 4049頁のSupporting Information)記載の方法に従って合成した。
Fe−1の構造式を下記に示す。
Figure 2005089566
[a−5]エチレン−1−ヘキセン共重合
[a−4]で得られた触媒を用いてスラリー重合を行った。すなわち、3Lオートクレーブにn−ヘプタン1.5L、TIBA2.5mmol、1−ヘキセン180mlを加え、80℃に昇温し、エチレンガスを導入して全圧を20kg/cm−Gに昇圧した。ついで上記触媒スラリー全量を、エチレンとともに導入し、全圧を22kg/cm−Gに保って、80℃で重合を行った。1時間後、エタノールを加えて重合を停止した。得られたポリマーをろ過にて分別し、熱風下で乾燥した。結果を表5に示す。
(比較例8)
[a−3]ピリジン処理モンモリロナイトの調製工程を行わなかったこと以外は実施例8と同様に触媒調製を行い、エチレン−1−ヘキセン共重合を行った。結果を表5に示す。
Figure 2005089566
表5は、表1と同じ成分[A]を使用し、成分[B]の遷移金属化合物としてメタロセン錯体の替わりにFeを中心金属とするビスイミノ化合物を用いた場合の例であり、同様に工程[a−3]の塩基性化合物処理をピリジンで行った場合、活性向上効果が得られることを示すものである。
本発明のオレフィン重合用触媒成分は、オレフィン重合用の遷移金属触媒の助触媒として用いると、固体成分あたりの重合活性を極めて高くすることができ、得られた重合体から触媒残渣を除去する必要がなく、工業的に有用である。

Claims (9)

  1. 下記工程[a−1]〜[a−3]で順次処理することによって得られるオレフィン重合用触媒成分。
    [a−1]:粘土鉱物あるいはイオン交換性層状化合物を化学処理する工程
    [a−2]:工程[a−1]で得られた固体物を焼成する工程
    [a−3]:工程[a−2]で得られた固体物に塩基性化合物を接触させる工程
  2. 工程[a−1]の化学処理が、塩類処理であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  3. 工程[a−2]の焼成が、300℃以上の温度で実施されることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  4. 工程[a−3]によって得られる生成物が、塩基性化合物のインターカレーション生成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  5. 塩類処理にアンモニウム塩が使用されることを特徴とする請求項2記載のオレフィン重合用触媒成分。
  6. 工程[a−3]で塩基性化合物を接触させた後、未反応の塩基性化合物を除去して得られることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  7. 塩基性化合物が、周期律表第15族または16族原子を含む化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  8. 下記成分[A]及び[B]からなるオレフィン重合用触媒。
    成分[A]:助触媒として使用する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分
    成分[B]:シングルサイト触媒としてオレフィン重合に用いられる、中心金属が周期律表第3〜10族である遷移金属化合物
  9. 請求項8に記載のオレフィン重合用触媒を用いて、炭素数2〜12のオレフィンを重合あるいは共重合する、ポリオレフィンの製造方法。
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