JP5456459B2 - オレフィン重合触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スメクタイトの造粒体を用いたオレフィン重合触媒の製造方法に関し、詳しくは、無機塩を含む水溶液中で処理しても造粒体の粒子性状を維持できるスメクタイトの造粒体をオレフィン重合触媒として用いることで、粒子性状の優れた助触媒兼担体となるオレフィン重合触媒の製造方法に関する。
イオン交換性層状珪酸塩をオレフィン重合用触媒成分として利用した触媒の存在下に、オレフィンを重合してオレフィン重合体を製造することは公知である(例えば、特許文献1、2参照。)。また、酸処理や塩類処理を行ったイオン交換性層状化合物を成分として含むオレフィン重合用触媒も知られている(例えば、特許文献3〜9参照。)。
また、これらのイオン交換性層状化合物は、助触媒としてのみならず、担体としても作用するため、その粒子構造の制御は、生成するポリマーのパウダー粒子の形態に大きく影響し、これはポリマーの生産性を左右する重要な要素である。
そして、従来は、イオン交換性層状珪酸塩の粒子構造の制御方法として、酸処理、塩処理、アルカリ処理、等の化学処理が多く用いられてきた。また、これらの処理強度は、オレフィン重合用触媒の重合活性にも影響し、組み合わせるメタロセン錯体や重合方法に応じて最適点が異なる。弱い酸処理や塩類処理のみを行う場合もあるが、このとき、粘土に代表されるイオン交換性層状珪酸塩の水中での膨潤性が大きくなり、造粒した粒子の形状が維持出来ない場合があった。
一方、造粒した粘土の粒子強度を強くする検討が行われている(例えば、特許文献10参照。)。球状でかつ大粒径の粒子の製造法として、特許文献10においては、高い粒子強度を得るために、300℃という高温で焼成する技術が開示されているが(実施例2)、酸類および塩類処理を行った後に噴霧乾燥による造粒を行っており、酸類および塩類処理における造粒体の粒子性状悪化の抑制についての開示はない。
イオン性層状珪酸塩の造粒体に対して化学処理を行う検討(例えば、特許文献11、12参照。)が行われているが、化学処理と造流体の粒子性状についての開示はない。
したがって、従来技術おいて、特に弱い酸処理または塩類処理においても、粒子性状を維持できる技術はなかった。
特開平5−295022号公報 特開平5−301917号公報 特開平7−228621号公報 特開平7−309906号公報 特開平7−309907号公報 特開平7−228621号公報 特開平8−127613号公報 特開平10−168109号公報 特開平10−168110号公報 特開平9−328311号公報 特開2000−1310号公報 特開2005−335981号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の状況に鑑み、従来、スメクタイトの膨潤性により適用できなかった酸処理または塩類処理において、造粒体の粒子形状が良好に維持でき、粒子性状が良好なスメクタイト粒子を用いたオレフィン重合用触媒の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、理想的なオレフィン重合触媒成分について鋭意検討した結果、助触媒兼担体であるスメクタイトの造粒体を加熱した後に、酸類および塩類処理を行うという製造方法により、すなわち、スメクタイトの造粒体を無機化合物が溶解した水溶液で処理する前に、加熱する工程を経ることにより、触媒粒子性状が改善することを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記成分[A]、成分[B]および成分[C]を接触させることを特徴とするオレフィン重合触媒の製造方法が提供される。
成分[A]:250℃〜400℃で〜24時間保持した後、少なくとも酸類または1価もしくは2価の金属カチオンとその対アニオンからなる塩類を含む無機化合物が溶解した水溶液で処理することにより得られるスメクタイトの造粒体。
成分[B]:周期律表第族の遷移金属のメタロセン化合物。
成分[C]:有機アルミニウム化合物。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、成分[A]の無機化合物は、少なくとも1価または2価の金属カチオンとその対アニオンからなる塩類を含むことを特徴とするオレフィン重合触媒の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第1又は2の発明において、前記スメクタイトがモンモリロナイトであることを特徴とするオレフィン重合触媒の製造方法が提供される。
本発明のオレフィン重合触媒の製造方法では、スメクタイトの造流体をあらかじめ250℃〜450℃の温度で10分〜24時間保持した後、無機化合物が溶解した水溶液で処理する方法をとることにより、種々の処理条件に対して、良好な粒子性状を維持できるようになる。特に、処理によるスメクタイトの結晶構造の変化が小さい、例えばモンモリロナイトでは、処理によるアルミニウム原子の溶出量が処理前後で5%以下となるような場合に対し、粒子形状を維持するのに有効となる。
本発明は、スメクタイトの造粒体を用いたオレフィン重合用触媒(またはオレフィン重合触媒)の製造方法である。
以下、本発明を、項目毎に詳細に説明する。
1.成分[A]:スメクタイトの造粒体
(1)スメクタイト
本発明におけるスメクタイトとは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとるイオン交換性層状ケイ酸塩化合物の一種であり、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
スメクタイトの具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)等に記載されているように、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等が挙げられる。これらは、混合層を形成していてもよい。好ましくは、主成分がモンモリロナイトであるものがよい。
本発明のスメクタイトの層間カチオン(イオン交換性層状ケイ酸塩の層間に含有される陽イオン)の種類としては、特に限定されないが、主成分として、リチウム、ナトリウム等の周期律表第1族のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等の周期律表第2族のアルカリ土類金属、あるいは鉄、コバルト、銅、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金、金等の遷移金属などが、工業原料として比較的容易に入手可能である点で、好ましい。
(2)造粒
本発明のスメクタイトは、造粒されていることを特徴とする。造粒方法としては、特に制限されないが、好ましい造粒手法としては、撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、ブリケッティング、コンパクティング、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法、液中造粒法、圧縮成型造粒法等が挙げられる。特に好ましくは、噴霧乾燥造粒や噴霧冷却造粒、流動層造粒、噴流層造粒、液中造粒、乳化造粒等が挙げられ、特に好ましくは噴霧乾燥造粒や噴霧冷却造粒が挙げられる。
噴霧造粒を行う場合、原料スラリーの分散媒として、水あるいはメタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒を用いる。好ましくは水を分散媒として用いる。
球状粒子が得られる噴霧造粒の原料スラリー液中における成分スメクタイトの濃度は、0.1〜70wt%、好ましくは5〜50wt%、特に好ましくは7〜45wt%、非常に好ましくは10〜40wt%である。上記濃度の上限を超えると、球状粒子が得られず、また上記濃度の下限を下回ると、造粒体の平均粒径が小さくなりすぎる。球状粒子が得られる噴霧造粒の熱風の入口の温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると、80〜260℃、好ましくは100〜220℃であり、この温度で噴霧造粒を行う。
また、造粒の際に有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダーを用いてもよい。用いられるバインダーとしては、例えば砂糖、デキストローズ、コーンシロップ、ゼラチン、グルー、カルボキシメチルセルロース類、ポリビニルアルコール、水ガラス、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルコール類、グリコール、澱粉、カゼイン、ラテックス、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、タール、ピッチ、アルミナゾル、シリカゲル、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等が挙げられる。
さらに、造粒前のスメクタイトの形状については、特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、粉砕、造粒、分級などの操作によって形状を加工したスメクタイトを用いてもよい。しかし、酸処理、塩処理などの化学処理を施さない方が好ましい。これらの処理を施すと、造粒体の圧壊強度が低下するという悪影響が生じる。
また、造粒前には、スメクタイトが膨潤性である方が好ましい。膨潤性は、水を加えたときの層間距離が変化するかどうかで判定できる。
また、造粒体の粒径は、通常1μm〜1000μmであり、好ましくは5μm〜500μmであり、さらに好ましくは10μm〜100μmである。
製造されるポリオレフィンのポリマー粒径や形状は、製造に用いる触媒の粒径や形状に依存する。ポリオレフィンの製造を連続した製造プロセスで安定的に実施するためには、固体触媒の担体は、造粒したものが好ましく、製造プロセスに適した触媒粒径のものを、適宜選択することが必要となる。
(3)スメクタイトの処理
本発明で用いられるスメクタイトの造粒体は、250℃〜450℃で、10分〜24時間保持した後、無機化合物が溶解した水溶液で処理する工程を経る。
加熱する温度は、好ましくは、250℃〜350℃である。加熱は、任意の雰囲気下で実施可能であるが、空気雰囲気または窒素雰囲気が通常、選ばれる。加熱中に、大気中の不純物の吸着を避けることができる点から、窒素雰囲気下が好ましい。
また、加熱時間は、10分〜24時間、好ましくは30分〜10時間の範囲で行われる。加熱によるスメクタイトの構造変化は、構造が安定するまで時間がかかる。製造工程で支障にならない範囲において、加熱時間を長くとることは、安定した状態維持させるために重要と考えられる。一般的に、スメクタイトは、200℃〜500℃の加熱により、主に物理吸着水の脱離が進行する。また、500℃以上の加熱では、スメクタイトの結晶構造中の水酸基の脱水縮合が進行し始めるため、膨潤性は、消失し表面の化学的性質も変化し、触媒成分としての効果も低下する。一方で、200℃以上で加熱することにより、脱水などの影響のため、造粒体の形状を維持しやすくなるという利点もあり、より高温で加熱する方が、粒子形状が維持できる。
本発明で規定する、250℃〜450℃で10分〜24時間保持することにより、種々の処理条件に対して、スメクタイトの粒子形状が維持でき、また、良好な触媒性能が維持できる状態となる。また、加熱後の無機化合物が溶解した水溶液の処理条件の選択により、触媒活性の向上が可能となる。
無機化合物が溶解した水溶液で処理する工程で用いられる、無機化合物とは、酸類、塩類、アルカリ類、酸化剤、還元剤、あるいはスメクタイトの層間にインターカレーションし得る化合物などを含有する処理剤とスメクタイトとを接触させる化合物のことをいう。インターカレーションとは、層状物質の層間に別の物質を導入することをいい、導入される物質をゲスト化合物という。これらの処理の中では、酸処理又は塩類処理が好ましい。
化学処理による共通の影響、効果として、層間陽イオンの交換を行うことが挙げられるが、それ以外に各種化学処理は、次のような種々の効果がある。例えば、酸類による酸処理によれば、スメクタイト表面の不純物が取り除かれる他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって、表面積を増大させることができる。これは、スメクタイトの酸強度を増大させ、また単位重量当たりの酸点量を増大させることに寄与する。
アルカリ類によるアルカリ処理では、粘土鉱物の結晶構造が破壊され、粘土鉱物の構造の変化をもたらす。また、インターカレーションや塩類処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることもできる。すなわち、嵩高いイオンが層状構造を支える支柱的な役割を担っており、ピラーと呼ばれる。
以下に、処理剤の具体例を示す。なお、本発明では、以下の酸類、塩類、アルカリ類、酸化剤、還元剤、及びスメクタイトの層間にインターカレーションし得る化合物からなる群から選ばれる2種以上を組み合わせたものを、処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類、アルカリ類、酸化剤、還元剤、及びスメクタイトの層間にインターカレーションし得る化合物は、それぞれが2種以上の組み合わせであってもよい。これらの中では、特に塩類処理と酸処理の組合せが好ましい。
(a)酸類
酸処理は、表面の不純物を除く、あるいは層間に存在する陽イオンの交換を行うほか、結晶構造の中に取り込まれているAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、などが挙げられる。中でも無機酸が好ましい。
(b)塩類
塩類としては、無機陽イオン、金属イオンからなる群から選ばれる陽イオンと、無機陰イオン、ハロゲン化物イオンからなる群から選ばれる陰イオンとから構成される塩類が例示される。例えば、周期律表第1〜14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンの陰イオンおよび無機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから構成される化合物が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アニオンが無機ブレンステッド酸やハロゲンからなる化合物である。また、周期律表第1族または第2族の金属イオンを陽イオンとして用いることが好ましい。
このような塩類の具体例としては、LiCl、LiBr、LiSO、Li(PO)、LiNO、NaCl、NaBr、NaSO、Na(PO)、NaNO、KCl、KBr、KSO、K(PO)、KNO、CaCl、CaSO、Ca(NO、Sc(CO、Sc(C、Sc(NO、Sc(SO、ScF、ScCl、ScBr、ScI、Y(CO、Y(NO、Y(ClO、YPO、Y(SO、YF、YCl、La(CO、La(NO、La(ClO、LaPO、La(SO、LaF、LaCl、LaBr、LaI等、
Sm(CO、Sm(NO、Sm(ClO、Sm(C、SmPO、Sm(SO、SmF、SmCl、SmBr、SmI、Yb(NO、Yb(ClO、Yb(SO、YbF、YbCl、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrBr、ZrI、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、Hf(CO、Hf(NO、Hf(SO、HfOCl、HfF、HfCl、HfBr、HfI、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr、Nb(CO、Nb(NO、Nb(SO、ZrF、ZrCl、NbBr、NbI、Ta(CO、Ta(NO、Ta(SO、TaF、TaCl、TaBr、TaI等、
Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、MoOCl、MoCl、MoCl、MoCl、MoF、MoI、WCl、WCl、WF、WBr、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、MnBr、MnI、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、MnBr、FeI、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、CoBr、CoI、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等、
CuCl、CuBr、Cu(NO、CuC、Cu(ClO、CuSO、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnI、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(NO、AlPO、GeCl、Sn(SO、SnF、SnCl等、が挙げられる。
また、これらの塩類は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、酸類、アルカリ類、酸化剤、還元剤、スメクタイトの層間にインターカレーションする化合物等と組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について組み合わせて用いてもよい。
(c)アルカリ類
アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
なお、アルカリ処理によるスメクタイトの酸点の損失が考えられるので、アルカリ処理によるスメクタイトの構造変化を達成した後、酸処理することが好ましい。あるいは、アルカリ処理を施した後であっても、本発明の効果を何ら損なうものではない。これらの中でも、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)が好ましい。
上述した各種処理剤は、水溶液として用いられる。処理剤溶液中の処理剤濃度は、0.1〜80wt%程度が好ましく、より好ましくは5〜50wt%程度である。処理剤濃度がこの範囲内であれば、処理に要する時間が短くなり、効率的に生産が可能になるという利点がある。
(4)その他の処理条件
処理条件は、特には制限されないが、通常、処理温度は、室温〜処理剤溶液の沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択し、スメクタイトを構成している物質の少なくとも一部が除去又は交換される条件で行うことが好ましい。また、化学処理工程におけるスメクタイトと処理剤との比率は特に限定されないが、好ましくはスメクタイト[g]:処理剤[mol]=1:0.001〜1:0.1程度である。
上記化学処理を実施した後に、過剰の処理剤及び処理により溶出したイオンの除去をすることが可能であり、好ましい。脱水後は乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は100〜800℃、好ましくは150〜600℃で実施可能である。800℃を超えると、ケイ酸塩の構造破壊を生じるおそれがあるので好ましくない。
これらのスメクタイトは、構造破壊されなくとも、乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。乾燥方法に関しては、特に限定されず、各種方法で実施可能である。
2.成分[B]:周期律表第3〜12族の遷移金属化合物
本発明で使用する成分[B]は、周期律表第3〜12族の遷移金属化合物である。具体的には、第3〜10族の遷移金属ハロゲン化物、第3〜6族遷移金属のメタロセン化合物、第4族遷移金属のビスアミド又はビスアルコキシド化合物、第8〜10族遷移金属のビスイミド化合物、第3〜11族遷移金属のフェノキシイミン化合物が挙げられる。
これらの中でも第4族遷移金属のメタロセン化合物が好ましく、具体的には、下記一般式(I)〜(VI)で表される化合物が使用される。
(C5−a )(C5−b )MXY ・・・(I)
Q(C4−c )(C4−d )MXY ・・・(II)
Q’(C4−e )ZMXY ・・・(III)
(C5−f )ZMXY ・・・(IV)
(C5−f )MXYW ・・・(V)
Q”(C5−g )(C5−h )MXY ・・・(VI)
ここで、Qは、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を示し、Q’は、共役五員環配位子とZ基を架橋する結合性基を示し、Q”は、RとRを架橋する結合性基を示し、Mは、周期律表第3〜12族遷移金属を示し、X、Y及びWは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基又は炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を示し、Zは、酸素、イオウを含む配位子、炭素数1〜40の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜40の窒素含有炭化水素基又は炭素数1〜40のリン含有炭化水素基を示す。Mは、特にTi、Zr、Hf等の第4族遷移金属が好ましい。
〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR、2個のR、2個のR、2個のR、又は2個のRが、それぞれ結合して炭素数4〜10個の環を形成していてもよい。
また、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ0≦a≦5、0≦b≦5、0≦c≦4、0≦d≦4、0≦e≦4、0≦f≦5、0≦g≦5、0≦h≦5、を満足する整数である。
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Q、共役五員環配位子とZ基とを架橋する結合性基Q’、及び、RとRを架橋するQ”は、具体的には、下記のようなものが挙げられる。
すなわち、メチレン基、エチレン基のようなアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、フェニルメチリデン基、ジフェニルメチリデン基のようなアルキリデン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基のような珪素含有架橋基、ゲルマニウム含有架橋基、アルキルフォスフィン、アミン等である。これらのうち、アルキレン基、アルキリデン基、珪素含有架橋基、及びゲルマニウム含有架橋基が特に好ましく用いられる。
上述の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)で表される具体的なZr錯体を下記に例示するが、ZrをHf又はTiに置き換えた化合物も、同様に使用可能である。また、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)で示される成分[B]は、同一の一般式で示される化合物、又は異なる一般式で示される化合物の二種以上の混合物として用いることができる。
一般式(I)の化合物:
ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4,5ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビスフルオレニルジルコニウムジクロリド、ビス(4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4H−アズレニル)シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド。
一般式(II)の化合物:
ジメチルシリレンビス(1,1’−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチルインデニル)}エチレンビス{1,1’−(2−メチル−4,5ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレンビス{1,1’−(2−メチル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド。
一般式(III)の化合物:
(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)−(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル−ジルコニウムジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−メチレンジルコニウムジクロライド、(第3級ブチルアミド)ジメチル−(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(フエニルホスフイド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル。
一般式(IV)の化合物:
(シクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド。
一般式(V)の化合物:
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド。
一般式(VI)の化合物:
エチレンビス(7,7’−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−(1−メチル−3−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[7,7’−{1−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−(1−エチル−3−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−(1−イソプロピル−3−(4−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド。
なお、これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に置き換えた化合物も、好適な化合物として例示される。
以上において記載した遷移金属化合物成分[B]の中で、例えば、プロピレン系重合体の製造に好ましいものは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基あるいはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物である。特に好ましくは、炭化水素置換基を有するシリレン基、あるいはゲルミレン基で架橋された遷移金属化合物である。また、置換インデニル基、置換アズレニル基を持つものが好ましく、特に2位または4位、または2,4位に置換基を有する遷移金属化合物が好ましい。
さらに、メタロセン化合物の特殊な例として、特開平7−188335号公報やJounal of American Chemical Society,1996、Vol.118,2291に開示されている5員環あるいは6員環に炭素以外の元素を一つ以上含む配位子を有する遷移金属化合物も使用可能である。
また、周期律表第4族のビスアミド化合物の好適な例としては、Macromolecules,Vol.29,5241(1996)やJounal of American Chemical Society,Vol.119,No.16,3830(1997)、Jounal of American Chemical Society,Vol.121,No.24,5798(1999)に開示されている窒素原子に嵩高い置換基を有した架橋型遷移金属化合物を挙げることができる。
また、周期律表第4族のビスアルコキシド化合物の好適な例としては、WO87/02370号明細書で開示されている周期律表第4族の遷移金属化合物で、好ましくは二つのアリーロキシ配位子が架橋基により結合し、さらに好ましくは、その架橋基が遷移金属に配位し得る架橋型遷移金属化合物を挙げることができる。
さらに、周期律表第8〜10族遷移金属のビスイミド化合物は、Jounal of American Chemical Society,Vol.117,6414、WO96/23010号明細書やChemical Comunication 849頁,Jounal of American Chemical Society,Vol.120,4049、WO98/27124号明細書で開示されている窒素原子に嵩高い置換基を有した架橋型遷移金属ビスイミド化合物を好適な例として挙げることができる。
その他、周期律表第3〜10族遷移金属のフェノキシイミン化合物の好適な例としては、特開平11−315109号公報で開示されている化合物を挙げることができる。
さらに、これらの成分[B]は、二種以上の混合物として用いることができ、また、先述した周期律表第3〜12族メタロセン化合物と組合せて複数種を併用することも、できる。
3.成分[C]:有機アルミニウム化合物
成分[C]としては、一般式:(AlR3−nで表される有機アルミニウム化合物が使用される。式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を表し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1〜3の、mは1〜2の整数を各々表す。
有機アルミニウム化合物は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、m=1、n=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
4.オレフィン重合用触媒の調製、予備重合
本発明のオレフィン重合用触媒は、成分[B]と成分[A]、及び必要に応じて、成分[C]を接触させて触媒とする。その接触方法は、特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時またはオレフィンの重合時に行ってもよい。これらの接触において、接触を充分に行うため溶媒を用いてもよい。溶媒としては、脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素やこれらのハロゲン化物、また予備重合モノマーなどが例示される。
(i)成分[B]と成分[A]を接触させる。
(ii)成分[B]と成分[A]を接触させた後に成分[C]を添加する。
(iii)成分[B]と成分[C]を接触させた後に成分[A]を添加する。
(iv)成分[A]と成分[C]を接触させた後に成分[B]を添加する。
(v)三成分を同時に接触させる。
好ましい接触方法は、成分[A]と成分[C]を接触させた後、未反応の成分[C]を洗浄等で除去し、その後再度必要最小限の成分[C]を成分[A]に接触させ、その後成分[B]を接触させる方法である。この場合のAl/遷移金属のモル比は0.1〜1,000、好ましくは2〜10である。
成分[B]と成分[C]を接触させる(その場合成分[A]が存在していても良い)温度は、0℃〜100℃が好ましく、さらに好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜60℃である。この範囲より低い場合は反応が遅く、一方、高い場合は成分[B]の分解反応が進行するという欠点がある。
また、成分[B]と成分[C]を接触させる(その場合、成分[A]が存在していても良い)場合には、有機溶媒を溶媒として存在させることが好ましい。
成分[A]1gにつき、成分[B]の遷移金属錯体0.001〜10ミリモル、好ましくは0.001〜1ミリモルの範囲である。
本発明の触媒は、粒子性のさらなる改良のために、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理をしても良い。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にエチレン、プロピレンを使用することが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合時間は、特に限定されないが、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分[A]1部に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
予備重合温度は、特に制限は無いが、0℃〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜70℃、特に好ましくは20〜60℃、さらに好ましくは30〜50℃である。この範囲を下回ると反応速度が低下したり、活性化反応が進行しないという弊害が生じる可能性があり、上回ると予備重合ポリマーが溶解したり、予備重合速度が速すぎて粒子性状が悪化したり、副反応のため活性点が失活するという弊害が生じる可能性がある。
予備重合時には、有機溶媒等の液体中で実施することもでき、かつこれが好ましい。予備重合時の固体触媒の濃度には、特に制限は無いが、好ましくは50g/L以上、より好ましくは60g/L以上、特に好ましくは70g/L以上である。濃度が高い方が、例えば、メタロセンの活性化が進行し、高活性触媒となる。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
予備重合後に触媒を乾燥してもよい。乾燥方法には、特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いても良いし2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし静置させてもよい。
5.重合
前記成分[A]、成分[B]、及び成分[C]からなるオレフィン重合用触媒を用いて、実施する重合は、オレフィン単独あるいは該オレフィンと他のコモノマーとを混合接触させることにより行われる。共重合の場合、反応系中の各モノマーの量比は、経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも便利であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
重合し得るオレフィンとしては、炭素数2〜20程度のものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン、ジビニルベンゼン、7−メチル−1,7−オクタジエン、シクロペンテン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。好ましくは炭素数2〜8のα−オレフィンである。共重合の場合、用いられるコモノマーの種類は、前記オレフィンとして挙げられるものの中から、主成分となるもの以外のオレフィンを選択して用いることができる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる方法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、イソブタン、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は0〜150℃であり、また、分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。重合圧力は0〜2000kg/cmG、好ましくは0〜60kg/cmGが適当である。
6.重合体
本発明のオレフィン重合用触媒を用いて得られる重合体は、パウダーの流れ性、かさ密度が向上し、また、微粉ポリマーの発生が抑制される。また、これに加えてスメクタイト粒子の形状が球状であるほど、生成ポリマーパウダーのかさ密度や流動性が向上する。さらに、微粉発生が抑制されるとともに、高活性触媒の担体として用いた場合においても、急激な粒子成長によるパウダー粒子の変形、割れ、微粉発生についても、避けることが可能である。
次に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限りこれらの実施例によって制約を受けるものではない。
以下の諸例において、出発物質であるスメクタイトとして使用したモンモリロナイトは、水澤化学工業社製スプレードライ造粒粘土「ベンクレイSL」であり、分級によって造粒品としての平均粒径が17.1μmにしたものを、用いた。
また、硫酸、硫酸リチウム・一水和物は、市販の特級グレードを使用した。さらに、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドは、和光純薬社製のものをそのまま使用した。
[実施例1]
(a)粘土の加熱
50gのベンクレイSLの造粒体を磁製の蒸発皿に秤量し、電気炉に入れた。電気炉内に窒素を流通させ窒素雰囲気を維持した。1時間かけて電気炉の内温を300℃まで上げ、8時間保持した。8時間後、加熱を停止し、内温が200℃以下になってから取り出した。
(b)加熱粘土の処理
丸底フラスコに、脱塩水180ml、濃硫酸20g、硫酸リチウム・一水和物13gを添加して撹拌して溶解させた。オイルバスにより加熱し、水溶液内温を85℃に保った。ここに、300℃で加熱したベンクレイSLの造流体20gを添加し、撹拌しながら2時間加熱を行った。その後、吸引ろ過により処理粘土を分取した。水溶液から硫酸を除去するため、500mlの脱塩水で洗浄を5回繰りかえした。得られた処理粘土は、乾燥機で水分を除去した。このとき、得られた処理粘土は薬さじで軽く押さえるとほぐれる程度のであった。目開きが74μmの篩いにより、処理粘土の粗粒子を分取しようとしたが、ほとんど回収されなかった。
回収された74μm以下の処理粘土は、200℃で減圧乾燥を2時間実施し、窒素雰囲気下で保存した。
(c)処理粘土の有機アルミニウム化合物処理
内容積200mLのフラスコに処理粘土3gを秤量し、ヘプタン10mL、トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液20mL(7.5mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、トルエンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を5mlにあわせた。
(d)担持触媒の調製
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液18ml(5μmol−Zr/ml)を調製し、(b)で調製した有機アルミニウム化合物処理モンモリロナイトのヘプタンスラリー(5ml)に全量添加した。室温で1時間撹拌した後、室温、減圧下で溶媒を留去することにより、担持触媒を得た。重合を行う前に、担持触媒をヘプタンで希釈(20mg固体触媒/mlヘプタン)し、重合評価に用いた。
(e)エチレンの重合
内容積2リッターの誘導攪拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製ヘキサン(1000mL)をオートクレーブ内に導入した。トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.1mmol/ml)を1ml、1−ヘキセンを15ml添加した後、80℃まで昇温した。エチレンで0.7MPaまで昇圧し2.5mlの担持触媒スラリーを圧入することで重合を開始した。
1時間後、エタノールを圧入することで重合反応を停止し、ポリマーをろ過により回収した。重合結果を表1に示す。
得られたポリマーを目開きの大きさが異なる篩いにより粒径ごとに分取し、重量を測定した。
詳細は、表2に示す。177μm以下の微粒子ポリマー量は、全体の11.2%であった。また、710μm以上の粗粒子ポリマー量は、全体の0.1%であった。
[実施例2]
実施例1(a)粘土の加熱において、電気炉による粘土の加熱を400℃で実施した以外は、実施例1と同様に行った。
重合結果を表1に示す。また、ポリマー粒径の分析値を表2に示す。ポリマー粒径の分析で、177μm以下の微粒子ポリマーの割合が多くなっているが、重合活性が低下しているため、十分活性が発現しない触媒粒子が増加したためと考えられる。一方、粘土粒子の凝集により生じる粗粒子ポリマーについては、実施例1と同程度の少ない値を示している。
[比較例1]
実施例1(a)粘土の加熱において、電気炉による粘土の加熱を500℃で実施した以外は、実施例1と同様に行った。
重合結果を表1に示すが、重合活性は、ほとんど発現しなかった。
[比較例2]
電気炉による粘土の加熱を行わない以外は、実施例1と同様に行った。重合結果を表1に示す。また、ポリマー粒径の分析値を表2に示す。
加熱を行わない場合、硫酸と硫酸リチウムの水溶液による処理により、乳鉢で粉砕が必要な凝集体が得られた。このことは、実用プロセスにおいては大きな制約となる。
また、実施例1と比較した場合、重合活性は、高い値を示したが、ポリマー粒径の分析では、177μm以下の微粒子ポリマーの割合も、710μm以上の粗粒子の割合も多くなっており、ポリマーの粒径分布が広がっていることがわかる。このことは、ポリマー製造プラントにおいて、重合パウダーを移送する場合に問題を生じる可能性がある。
[実施例3]
実施例1(b)加熱粘土の処理において、硫酸を使用せず、硫酸リチウム・一水和物13.0gのみの水溶液を用い、500mlの脱塩水による洗浄回数を1回にした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例4]
実施例2(b)加熱粘土の処理において、硫酸を使用せず、硫酸リチウム・一水和物13.0gのみの水溶液を用い、500mlの脱塩水による洗浄回数を1回にした以外は、実施例1と同様に行った。結果は表3に示す。
[比較例3]
比較例1(b)加熱粘土の処理において、硫酸を使用せず、硫酸リチウム・一水和物13.0gのみの水溶液を用い、500mlの脱塩水による洗浄回数を1回にした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に示すが、高温過ぎる加熱のため、重合活性はほとんど発現しなかった。
[比較例4]
比較例2(b)加熱粘土の処理において、硫酸を使用せず、硫酸リチウム・一水和物13.0gのみの水溶液を用いた。水溶液での加熱中粘土の造流体は完全に崩壊した。ろ過による粘土の回収はできなかったため、そのまま全量乾燥した。得られた凝集体を乳鉢で粉砕する操作以降は、比較例2と同様に行ったが、重合活性は発現しなかった。これは、残存している余分は硫酸リチウムが影響したものと、考えている。
Figure 0005456459
Figure 0005456459
Figure 0005456459
尚、表1、表3中、洗浄の状況の評価基準は、以下のとおり。
○:処理粘土の吸引ろ過による回収時、ろ過時間が長くなるなどの問題が無い。
×:処理粘土の吸引ろ過による回収時、ろ過時間が長くなるなどの問題が有る。
また、乾燥粒子の評価基準は、以下のとおり。
粉体:乾燥機で乾燥後、篩いで粗粒子を除く際、凝集体が無いか、薬さじでほぐせる程度の軽い凝集体を示す。
凝集体:乳鉢で粉砕が必要な凝集体を示す。
本発明のオレフィン重合触媒の製造方法では、スメクタイトの造粒体を無機化合物の水溶液で処理する場合に、造粒体の粒子形状が維持可能な処理範囲が拡大でき、また、得られるポリマーの粒径分布も改善できるため、優れた効果を発揮し、産業上、利用可能性が高い。

Claims (3)

  1. 下記成分[A]、成分[B]および成分[C]を接触させることを特徴とするオレフィン重合触媒の製造方法。
    成分[A]:250℃〜400℃で〜24時間保持した後、少なくとも酸類または1価もしくは2価の金属カチオンとその対アニオンからなる塩類を含む無機化合物が溶解した水溶液で処理することにより得られるスメクタイトの造粒体。
    成分[B]:周期律表第族の遷移金属のメタロセン化合物。
    成分[C]:有機アルミニウム化合物。
  2. 成分[A]の無機化合物は、少なくとも1価または2価の金属カチオンとその対アニオンからなる塩類を含むことを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
  3. 前記スメクタイトがモンモリロナイトであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
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