JP5007116B2 - オレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、オレフィン重合触媒を用いるオレフィン共重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、特定の非メタロセン錯体と有機アルミニウム化合物やホウ素化合物を含まない触媒成分の組み合わせにより高分子量で高コモノマー含量のオレフィン共重合体を効率よく製造する方法に関するものである。
ポリオレフィン系共重合体は、透明性、剛性、表面硬度、耐熱性、ヒートシール性が優れ、軽量、安価であり、そのバランスも良いため、フィルムや容器など多くの分野において広範囲に用いられている。その製造法としては、従来から、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒の存在下に、オレフィンを重合させる方法が知られている。
また、ジルコノセンなどの遷移金属化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるメタロセン系触媒の存在下にオレフィンを重合させる方法が知られており、このようなメタロセン系触媒を用いるとオレフィンを比較的高活性で重合させることが出来るとともに、分子量分布および組成分布が狭いオレフィン(共)重合体が得られることが知られている。
近年、オレフィン系共重合体の物性に対する要求は多岐にわたっており、様々な物性を有するオレフィン系共重合体が求められている。また、このようなオレフィン系共重合体を製造し得るような触媒の出現が望まれている。
このような状況のもと、配位子として4位にフェニル基を持つ架橋メタロセン錯体とメチルアルミノキサンを組み合わせた触媒により高分子量のプロピレン系共重合体の製造方法(例えば、特許文献1〜2参照。)や配位子がインデンとフルオレンが架橋した構造の骨格を有するメタロセン錯体の使用が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、これらの技術を使用しても得られるプロピレン共重合体の分子量は、不十分なレベルであり、また、高級オレフィンとの共重合に際しては取り込み率が低く、いまだ改良が期待されている。
一方、メタロセン錯体以外の、非メタロセン錯体におけるプロピレン系重合検討も行われており(例えば、特許文献4、非特許文献1参照。)、最近になって中心金属への配位が二つの窒素原子と炭素の三座構造をとるピリジルアミド配位子含有錯体とホウ素系共触媒との組み合わせでプロピレン系共重合を実施すると高分子量体が得られることが報告されている(例えば、特許文献5参照。)。
特開平9−176222号公報 国際公開第95/14717号パンフレット 特開平9−235313号公報 特開平8−253526号公報 国際公開第02/38628号パンフレット Macromolecular Chemistry and Physics,2001年,202巻,482頁
本発明は、このような状況下、高価な有機アルミニウムオキシ化合物や有機ホウ素化合物を使用しなくても高いオレフィン重合活性を発現し、かつ、さらに実用的な重合温度で高い分子量で高コモノマー含量を有するオレフィン共重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、理想的なオレフィン重合用触媒成分について鋭意検討した結果、特定の非メタロセン錯体と特定のイオン交換性層状珪酸塩を組み合わせた触媒成分を使用することにより、高価な有機アルミニウムオキシ化合物や有機ホウ素化合物を使用しなくても高いオレフィン重合活性を発現し、かつ、さらに実用的な重合温度で高い分子量で高コモノマー含量を有するオレフィン共重合体の製造が可能になることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、少なくとも下記成分[A]、[B]及び[C]を含む触媒を使用して、プロピレン、エチレンあるいはその混合物と炭素数4以上のα−オレフィンとを共重合させて、共重合体中に炭素数4以上のα−オレフィンが1〜20モル%含まれるオレフィン共重合体を得ることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法が提供される。
成分[A]:下記構造の遷移金属錯体
Figure 0005007116
(式(I)中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる原子を示し、複数存在してもよい各R〜Rは互いに同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のハロゲン、酸素、窒素、ホウ素、イオウ、リン、ケイ素又はゲルマニウム含有炭化水素基を示し、これらの置換基のうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよい。a、b、c、dは、0以上の整数を示し、a、dは5以下、bは3以下、cは4以下である。X及びYは、各々水素原子、ハロゲン原子、ケイ素もしくはハロゲンを含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基、あるいは酸素原子及び窒素原子よりなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)
成分[B]:イオン交換性層状珪酸塩
成分[C]:有機アルミニウム
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、成分[B]が化学処理されたイオン交換性層状珪酸塩であることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、成分[B]がスメクタイト族のイオン交換性層状珪酸塩であることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分[B]は、pKaが−8.2以下の酸点を、イオン交換性層状珪酸塩1g当たり、その酸点を中和するために、2,6−ジメチルピリジンを0.05mmol以上要する量含有するイオン交換性層状珪酸塩であることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、成分[A]のMがハフニウムであることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、共重合体の成分として、エチレンが80〜99mol%、炭素数4以上のα−オレフィンが1〜20mol%含まれることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、共重合体の成分として、プロピレンが80〜99mol%、炭素数4以上のα−オレフィンが1〜20mol%含まれることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法が提供される。
本発明のオレフィン系共重合体の製造方法は、特定の非メタロセン錯体と特定のイオン交換性層状珪酸塩を組み合わせた触媒成分を使用することにより、高価な有機アルミニウムオキシ化合物や有機ホウ素化合物を使用しなくても高い重合活性を発現し、かつ、実用的な重合温度で高い分子量、高いコモノマー含量を有するオレフィン共重合体の製造を可能にできる。
本発明は、特定の遷移金属錯体(成分[A])、イオン交換性層状珪酸塩(成分[B])、有機アルミニウム(成分[C])を含む触媒を使用したプロピレン、エチレン、α−オレフィン共重合体の製造方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
1.成分[A]
本発明で用いる触媒における、成分[A]は、下記一般式(I)で表される非メタロセン錯体化合物である。
Figure 0005007116
上記一般式(I)で表される非メタロセン錯体化合物において、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる原子を示し、好ましくはジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはハフニウムである。
複数存在してもよいR〜Rは互いに同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のハロゲン、酸素、窒素、ホウ素、イオウ、リン、ケイ素又はゲルマニウム含有炭化水素基を示し、これらの置換基のうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよい。a、b、c、dは、0以上の整数を示し、a、dは5以下、bは3以下、cは4以下である。
ハロゲンは、好ましくはフッ素、塩素である。
炭素数1〜30の炭化水素基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、ビニル、アリル、i−プロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基、フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、ターフェニリル、フェナントリル、アントリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、メチルフェニル、i−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−i−プロピルフェニル、ジ−t−ブチルフェニル、トリメチルフェニル、トリ−i−プロピルフェニル、トリ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えばベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
さらにまた、上記炭化水素基は、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基等の酸素含有基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基、ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基等のホウ素含有基、メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基、ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、又は、ゲルマニウム含有基等で置換されていてもよい。
これらのうち、特に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、t−フェニリル、フェナントリル、アントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
複数存在してもよい各々のR〜Rは、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して環を形成することもできる。このような環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、アセナフテン環等の縮環基、および上記縮環基上の水素原子がメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基で置換された基などが挙げられる。
式(I)中のR〜Rが示す酸素含有基は、基中に酸素原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、例えばアルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、アルコキシ基、アリーロキシ基、アセトキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基などが好ましい。なお酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。具体的には、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ等が、アリーロキシ基としては、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ等が、アシル基としては、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、p−クロロベンゾイル、p−メトキシベンソイル等が、エステル基としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニル等が好ましく例示される。
式(I)中のR〜Rが示す窒素含有基は、基中に窒素原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられ、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、シアノ基が好ましい。なお、窒素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。具体的には、アミノ基としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基等が、イミノ基としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノ等が、アミド基としては、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミド等が、イミド基としては、アセトイミド、ベンズイミド等が好ましく例示される。
式(I)中のR〜Rが示すホウ素含有基は、基中に1〜5個のホウ素原子を含む基であり、具体的には、例えばボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基が挙げられ、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の炭化水素基が1〜2個置換したボリル基または1〜3個置換したボレート基が好ましい。炭化水素基が2個以上置換している場合には、各炭化水素は同一でも異なっていてもよい。
式(I)中のR〜Rが示すイオウ含有基は、基中にイオウ原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、例えばメルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基、スルフォネート基、スルフィネート基などが挙げられ、スルフォネート基、スルフィネート基、アルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。なおイオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。具体的には、アルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオなどが、アリールチオ基としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナルチルチオ等が、チオエステル基としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニル等が、スルホンエステル基としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニル等が、スルホンアミド基としては、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミド等が好ましく挙げられる。さらに、スルフォネート基としては、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート等が、スルフィネート基としてはメチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート等が挙げられる。
式(I)中のR〜Rが示すリン含有基は、基中に1〜5のリン原子を含有する基であり、具体的には、例えばホスフィノ基、ホスホリル基、ホスホチオイル基、ホスホノ基などが挙げられる。具体的には、ホスフィノ基としては、ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノ等が挙げられ、ホスホリル基としては、メチルホスホリル、イソプロピルホスホリル、フェニルホスホリル等が挙げられ、ホスホチオイル基としては、メチルホスホチオイル、イソプロピルホスホチオイル、フェニルホスホチオイル等が挙げられ、ホスホノ基としては、リン酸ジメチル、リン酸ジイソプロピル、リン酸ジフェニル等のリン酸エステル基、リン酸基等が挙げられる。
式(I)中のR〜Rが示すケイ素含有基は、基中に1〜5のケイ素原子を含有する基であり、例えば炭化水素置換シリル基などのシリル基、炭化水素置換シロキシ基などのシロキシ基が挙げられる。具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましく、特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。なおケイ素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
式(I)中のR〜Rが示すゲルマニウム含有基としては、上記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換したものが挙げられる。
の特に好ましい例としては、骨格を成すフェニル基において2位と6位の両方に炭素数1〜6のアルキル基を有すること、さらに好ましい例は、そのアルキル基がイソプロピル基、イソブチル基である。
の特に好ましい例としては、骨格を成すフェニル基上に、置換基の無い構造(水素のみ)である。
の特に好ましい例としては、R置換基を持つフェニル基を下記一般式(II)で示した場合に、RとRの両方に置換基を有し、両者が連結して環を形成しても良い炭素数1〜15炭化水素基、さらに好ましくは両者が連結してベンゼン環を形成した構造である。
Figure 0005007116
の特に好ましい例としては、置換基の無い構造(水素のみ)、オルト位に炭素数1〜10のメチル、エチル、イソプロピル等のアルキル基、フッ素、塩素等のハロゲン、フェニル、メチルフェニル、フルオロフェニル等のアリール基が例示される。
X及びYは、各々水素原子、ハロゲン原子、ケイ素もしくはハロゲンを含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基、あるいは酸素原子及び窒素原子よりなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素である。具体的には、塩素やメチル、ベンジル等が例示される。
以下に、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示す。
Figure 0005007116
2.成分[B]
本発明で用いる触媒における、成分[B]は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(1)イオン交換性層状珪酸塩の種類
本発明において、イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある。)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出され、水中に分散/膨潤させ、沈降速度等の違いにより精製することが一般的であるが、完全に除去することが困難であることがあり、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)を含んでいることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、成分[B]に含まれる。
尚、本発明の原料とは、後述する本発明の化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、本発明で使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
イオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、例えば、「粘土ハンドブック」第二版第二刷(日本粘土学会編、技報堂出版、1994年)等に記載される、1:1型構造や2:1型構造をもつ粘土鉱物に関係のある層状珪酸塩において、その一部がイオン交換性層状珪酸塩として挙げられる。
その構造は、2:1型構造と呼ばれる、2層の四面体シートが1層の八面体シートを挟み込んでいる2:1層構造の積み重なりを基本とする構造で、具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族珪酸塩、バーミキュライト等のバーミキュライト族珪酸塩、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族珪酸塩、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、緑泥石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、主成分がスメクタイト族珪酸塩、雲母族珪酸塩が好ましい。より好ましくは、主成分がスメクタイト族珪酸塩であり、さらに好ましくは、主成分がモンモリロナイトである。
層間カチオン(イオン交換性層状珪酸塩の層間に含有される陽イオン)の種類としては、特に限定されないが、主成分として、リチウム、ナトリウム等の周期律表第1族のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等の周期律表第2族のアルカリ土類金属、あるいは鉄、コバルト、銅、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金、金等の遷移金属などが、工業原料として比較的容易に入手可能である点で好ましい。
(2)イオン交換性層状珪酸塩の造粒
前記イオン交換性層状珪酸塩は、乾燥状態で用いてもよく、液体にスラリー化した状態で用いてもよい。また、イオン交換性層状珪酸塩の形状については、特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、粉砕、造粒、分級などの操作によって形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩を用いてもよい。このうち造粒されたイオン交換性層状珪酸塩を用いると、該イオン交換性層状珪酸塩を触媒成分として用いた場合に、良好なポリマー粒子性状を与えるため特に好ましい。
造粒、粉砕、分級などのイオン交換性層状珪酸塩の形状の加工は、化学処理の前に行ってもよい(すなわち、あらかじめ形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩に下記の化学処理を行ってもよい)し、化学処理を行った後に形状を加工してもよい。
ここで用いられる造粒法としては、例えば、撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、ブリケッティング、コンパクティング、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法、液中造粒法、圧縮成型造粒法等が挙げられるが、特に限定されない。好ましくは、撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、流動造粒法が挙げられ、特に好ましくは撹拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられる。
なお、噴霧造粒を行う場合、原料スラリーの分散媒として、水あるいはメタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒を用いる。好ましくは水を分散媒として用いる。球状粒子が得られる噴霧造粒の原料スラリー液中における成分(B)の濃度は、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。球状粒子が得られる噴霧造粒の熱風の入口温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると80〜260℃、好ましくは100〜220℃で行う。
造粒において、粒子強度の高い担体を得るため、及び、オレフィン重合活性を向上させるためには、珪酸塩を必要に応じ微細化する。珪酸塩は、如何なる方法において微細化してもよい。微細化する方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕いずれの方法でも可能である。好ましくは、水を分散媒として使用し珪酸塩の膨潤性を利用した湿式粉砕であり、例えばポリトロン等を使用した強制撹拌による方法やダイノーミル、パールミル等による方法がある。造粒する前の平均粒径は、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜1μmである。
また、造粒の際に有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダーを用いてもよい。用いられるバインダーとしては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルコール類、グリコール等が挙げられる。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉発生を抑制するためには、0.2MPa以上の圧縮破壊強度を有することが好ましい。また、造粒されたイオン交換性層状珪酸塩の粒径は、0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μmの範囲である。粉砕法についても特に制限はなく、乾式粉砕、湿式粉砕のいずれでもよい。
(3)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
本発明で用いる触媒における成分[B]のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を行なうことが望ましく、イオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、酸類、塩類、アルカリ類、有機物等とイオン交換性層状珪酸塩とを接触させることをいう。
化学処理による共通の影響として、層間陽イオンの交換を行うことが挙げられるが、それ以外に各種化学処理は、次のような種々の効果がある。例えば、酸類による酸処理によれば、珪酸塩表面の不純物が取り除かれる他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって、表面積を増大させることができる。これは、珪酸塩の酸強度を増大させ、また、単位重量当たりの酸点量を増大させることに寄与する。
アルカリ類によるアルカリ処理では、粘土鉱物の結晶構造が破壊され、粘土鉱物の構造の変化をもたらす。以下に、処理剤の具体例を示す。
(i)酸類
酸処理は、表面の不純物を除く、あるいは層間に存在する陽イオンの交換を行うほか、結晶構造の中に取り込まれているAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、などが挙げられる。中でも硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸が好ましく、硫酸が特に好ましい。
(ii)塩類
塩類としては、有機陽イオン、無機陽イオン、金属イオンからなる群から選ばれる陽イオンと、有機陰イオン、無機陰イオン、ハロゲン化物イオンからなる群から選ばれる陰イオンとから構成される塩類が例示される。例えば、周期律表第1〜14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンの陰イオン、無機ブレンステッド酸及び有機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから構成される化合物が好ましい例として挙げられる。
このような塩類の具体例としては、LiCl、LiBr、LiSO、Li(PO)、LiNO、Li(OOCCH)、NaCl、NaBr、NaSO、Na(PO)、NaNO、Na(OOCCH)、KCl、KBr、KSO、K(PO)、KNO、K(OOCCH)、CaCl、CaSO、Ca(NO、Ca(C、Ti(OOCCH、MgCl、MgSO、Mg(NO、Mg(C、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl等が挙げられる。
また、Cr(OOCHOH、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、MnBr、FeI、FeC、Co(OOCH等が挙げられる。
さらに、CuCl、CuBr、Cu(NO、CuC、Cu(ClO、CuSO、Cu(OOCCH、Zn(OOCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnI、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO等が挙げられる。
これらのなかで好ましくは、陰イオンが無機ブレンステッド酸やハロゲンからなり、陽イオンがLi、Mg、Znからなる化合物である。
そのような塩類で特に好ましい化合物は、具体的には、LiCl、LiSO、MgCl、MgSO、ZnCl、ZnSO、Zn(NO、Zn(POである。
(iii)その他の処理剤
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される
有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,5−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルオクタデシルアンモニウム、オクタドデシルアンモニウム、が例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また化学処理は、同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
(iv)化学処理条件
上述した各種処理剤は、適当な溶剤に溶解させて処理剤溶液として用いてもよいし、処理剤自身を溶媒として用いてもよい。使用できる溶剤としては、特に制限はないが、水、アルコール類が一般的であり、特に水が好ましい。例えば、化学処理として酸処理を行う場合、酸処理剤濃度、イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率、処理時間、処理温度等の酸処理条件を制御することによって、イオン層状珪酸塩化合物を所定の組成、構造へと変化させ制御することが可能である。
そのような酸処理剤濃度に関しては、下式を満たす酸濃度(N)の酸で処理することが好ましい。
N≧1.0
ここで示す酸濃度Nは、酸のモル数×酸の価数/酸水溶液の体積(単位:モル/リットル)と定義する。ただし、塩を共存させたときには、塩化合物に含まれる結晶水量は考慮するが、塩による体積変化は考慮しないものとする。なお、酸水溶液の比重は、化学便覧の基礎編IIp6(日本化学会編集,丸善発行,改訂3版)を引用した。なお、上限は取り扱い上の安全性、容易性、設備面の観点から、酸濃度Nが、20以下、特に15以下であることが好ましい
イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率に関しては、特に限定されないが、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩[g]:処理剤[酸の価数×mol数]=1:0.001〜1:0.1程度である。
また、酸処理温度は、室温〜処理剤溶液の沸点の範囲が好ましく、処理時間は5分〜24時間の条件を選択し、イオン交換性層状珪酸塩を構成している物質の少なくとも一部が除去又は交換される条件で行うことが好ましい。酸処理条件は、特には制限されないが、上記化学処理として硫酸を用いた場合、処理温度は80℃から、処理剤溶媒沸点以下で、処理時間は0.5時間以上5時間未満にすることが好ましい。
(4)イオン交換性層状珪酸塩の乾燥
上記化学処理を実施した後に、過剰の処理剤及び処理により溶出したイオンの除去をすることが可能であり、好ましい。この際、一般的には、水や有機溶媒などの液体を使用する。脱水後は、乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は、100〜800℃、好ましくは150〜600℃で実施可能である。800℃を超えると、珪酸塩の構造破壊を生じるおそれがあるので好ましくない。
これらのイオン交換性層状珪酸塩は、構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。乾燥方法に関しては特に限定されず各種方法で実施可能である。
(5)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理後の組成
イオン交換性層状珪酸塩中のアルミニウム及びケイ素は、JIS法による化学分析による方法で検量線を作成し、蛍光X線で定量するという方法で測定される。
なお、化学処理されたイオン交換性層状ケイ酸塩を本発明の成分[B]として使用する場合の酸点の量は、該化学処理後に乾燥処理を施したイオン交換性層状珪酸塩において測定する。
本発明においては、pKaが−8.2以下の酸点を、その酸点を中和するに要する2,6ジメチルピリジン量がイオン交換性層状珪酸塩1g当たり、0.03mmol以上となる量、好ましくは0.04mmol/g以上有するように、イオン交換性層状珪酸塩を上記の如き各種の処理法を適宜に組合せ、酸点の強度及び量を制御することが肝要である。
各種処理を実施した後のアルミニウム、ケイ素の組成は、AL/Siの原子比として、0.05〜0.4、好ましくは0.05〜0.25のもの、さらには0.07〜0.23の範囲のものがよい。Al/Si原子比は粘土部分の酸処理の指標となるものとみられる。
3.成分[C]
本発明で用いる触媒における、成分[C]は、有機アルミニウム化合物である。
有機アルミニウム化合物としては、好ましくは、一般式(AlR3−nで表される有機アルミニウム化合物が使用される。式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基を表し、Zはハロゲン、水素、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1〜3の、mは1〜2の整数を各々表す。有機アルミニウム化合物は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、m=1、n=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Zが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
4.オレフィン重合用触媒の調製
本発明で使用するオレフィン重合用触媒は、上記成分[A]、成分[B]及び成分[C]を含む。これらは、重合槽内で、あるいは重合槽外で接触させオレフィンの存在下で予備重合を行ってもよい。予備重合方法については後述する。
前記成分[A]、成分[B]及び成分[C]の使用量は、任意であるが、成分[B]中の遷移金属と成分[C]中のアルミニウムとの比が、成分[A]1gあたり、0.1〜1000(μmol):0〜100000(μmol)となるように接触させることが好ましい。また前記成分[A]に加えて、本発明の特徴が損なわない限り、他の種の錯体を使用することも可能である。
前記成分[A]、成分[B]及び成分[C]を接触させる順番は、任意であり、これらのうち2つの成分を接触させた後に残りの1成分を接触させてもよいし、3つの成分を同時に接触させてもよい。これらの接触において、接触を充分に行うため、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素やこれらのハロゲン化物、また予備重合モノマーなどが例示される。脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素の例として、具体的にはヘキサン、ヘプタン、トルエン等が挙げられる。また予備重合モノマーとしては、プロピレンを溶媒として用いることができる。
本発明で用いるオレフィン重合用触媒は、前記のように、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付されることが可能であり、好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、前記のように、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、成分[B]に対する予備重合ポリマーの重量比が好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に成分[C]を添加、又は追加することもできる。
上記各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
予備重合後に触媒を乾燥してもよい。乾燥方法には、特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いても良いし2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし静置させてもよい。
5.オレフィンの重合方法
重合形態は、前記成分[A]、成分[B]及び成分[C]からなるオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、溶液法、プロピレンが主なモノマーの場合には不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相重合法などが採用できる。
また、重合方式は、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。
また、重合段数は、本発明の物質を製造できるのであればとくに制限はないが、スラリー重合の多段重合、プロピレンバルク重合後に気相重合、気相重合2段といった様式も可能であり、さらにはそれ以上の重合段数で製造することが可能である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は、0〜150℃であり、また分子量調節剤として、補助的に水素を用いることができる。重合圧力は、0〜4MPaG、好ましくは0〜3MPaGが適当である。
バルク重合法の場合は、重合温度は、0〜85℃であり、好ましくは60〜80℃であり、さらに好ましくは65〜75℃である。重合圧力は、0〜5MPaG、好ましくは0〜4MPaGが適当である。
気相重合の場合は、重合温度は、0〜200℃であり、好ましくは60〜120℃であり、さらに好ましくは70〜100℃である。重合圧力は、0〜4MPaG、好ましくは0〜3MPaGが適当である。
共重合に際しては、共重合体が得られたときにエチレンまたはプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの成分の割合が、エチレンまたはプロピレンが20〜99mol%、炭素数4以上のα−オレフィンが1〜80mol%となるように各モノマーの混合比を調整する。
重合反応時のモノマーの混合割合としては、通常、エチレンまたはプロピレンが10〜99.9mol%、好ましくは15〜99.5mol%、さらに好ましくは20〜99mol%、特に好ましくは30〜98mol%であり、炭素数4以上のα−オレフィンは、通常、0.1〜90mol%、好ましくは0.5〜85mol%、さらに好ましくは1〜80mol%、特に好ましくは2〜70mol%である。
前述の触媒を用いて得られた共重合体は、その成分としてエチレンまたはプロピレンを20〜99mol%、炭素数4以上のα−オレフィンを1〜80mol%含んでいる。本発明に用いられる触媒系は、特定のピリジルアミド化合物とイオン交換性層状珪酸塩とを主たる成分としており、この組み合わせにより炭素数4以上のα−オレフィンをエチレンやプロピレンと共重合において、効率よく炭素数4以上のα−オレフィンの導入が可能となる。
オレフィン共重合体中の成分の割合としては、エチレンまたはプロピレンが80〜99mol%、炭素数4以上のα−オレフィンが1〜20mol%であることが好ましく、エチレンまたはプロピレンが85〜98mol%、炭素数4以上のα−オレフィン2〜15mol%であることが更に好ましく、エチレンまたはプロピレンが85〜98mol%、炭素数4以上のα−オレフィンが2〜10mol%であることが特に好ましい。上記範囲であれば透明性、剛性、耐熱性、表面硬度、ヒートシール性がバランスして優れる。
炭素数4以上のα−オレフィンとしては具体的には1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等の直鎖状のα−オレフィン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン等の分岐状α−オレフィンが挙げられる。
これらのうち、好ましくは炭素数4〜12のα−オレフィンであり、さらに好ましくは炭素数4〜10のα−オレフィンであり、特に好ましくは炭素数6〜8のα−オレフィンである。また、直鎖状と分岐状では直鎖状の方が好ましい。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性測定、分析等は、下記の方法に従ったものである。
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K6758のポリプロピレン試験方法のメルトフローレート(試験条件:230℃、荷重2.16kgf)に従って、測定した。
但し、エチレン/1−ヘキセン共重合体のメルトフローレートは、JIS K6760に準拠し、190℃・2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
(2)分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値)
以下の装置及び条件で測定を実施した。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
(3)融点(Tm)
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して結晶化させた後に、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度(℃)として求めた。
但し、エチレン/1−ヘキセン共重合体においては、JIS K7121に準拠して、試料5mgを170℃で5分間融解後、10℃/分の速度で20℃に降温し、1分間保持後、170℃まで10℃/分の昇温速度で融解曲線を測定し、ピークトップ温度(℃)をTmとした。
(4)コモノマー含量
プロピレン−オクテン共重合体のオクテン含量は、Macromolecular Chemstry And Physics、2003年、204巻、1738頁、エチレン−プロピレン共重合体のエチレン含量は、Macromolecules、1982年、15巻、1150頁の方法に従い13CNMR測定により決定した。
一方、エチレン・1−ヘキセン共重合体の1−ヘキセン含量(mol%)は、該共重合体から作成したプレスフィルムの赤外吸収スペクトル(IR)を日本分光社製A−202型の装置を用いて測定し、1378cm−1のピークの吸光度より次式から算出される1000炭素原子当りの分岐数をmol%に換算して求められる。ここで、ΔAは吸光度、tはフィルム厚(mm)である。
Σ分岐数(個/1000炭素原子)=[ΔA/t]×7.823−0.102
1−ヘキセン含量(重量%)=Σ分岐数×84.16×100/[Σ分岐数×84.16+(1000−6×Σ分岐数)/2×28.05]
1−ヘキセン含量(mol%)=100×[1−ヘキセン含量(重量%)]/(300−2×[1−ヘキセン含量(重量%)])
(5)イオン交換性層状珪酸塩の酸強度分析
pKaが−8.2以下の酸点を、イオン交換性層状ケイ酸塩1グラム当たり、その酸点を中和するに要する塩基量で測定する。すなわち、塩基性を示す滴定試薬として、2,6−ジメチルピリジンを用い、指示薬として、アントラキノンを使用する。容器に試料、アントラキノン及びトルエンを入れ、これに2,6−ジメチルピリジンを滴下して、指示薬の酸性色である黄色が消失するまでに加えた2,6−ジメチルピリジンの量を、その試料が有するpKaが−8.2以下の強酸点の量とする。
なお、上記における「酸性色である黄色が消失」とは滴定試薬を加えることによって色が変化しはじめた後でさらに滴定試薬を加えても色が変化しなくなった時点のことを示し、必ずしも色が完全に消失している必要は無い。また「黄色」というのは酸が無色もしくは白色である場合の色であり、試料に元々色がある場合は必ずしも黄色ではなく、その場合は指示薬を加えることによって生じた色を示す。
指示薬であるアントラキノンを加えても黄色に変色しない場合は、pKaが−8.2以下の強酸点の量はゼロとされる。また上記滴定試験は酸素、水分の影響を避けるため精製した不活性ガス、たとえば窒素やアルゴン雰囲気で行う必要がある。また滴定試薬の添加速度が極端に速い、又は遅い場合には正確な測定ができないため、イオン交換性層状ケイ酸塩1gあたり1分間に2,6−ジメチルピリジンを、通常、0.5〜5マイクロモル、好ましくは1マイクロモル程度のゆっくりした速度で滴下する必要がある。測定する温度は10℃で行う。
(6)イオン交換性層状珪酸塩の組成分析
JIS法による化学分析により検量線を作成し、蛍光X線により測定した。
(実施例1)
(1)成分[A]、下記構造を有する化合物(PAH)の合成
WO03/040201号公報に記載の方法に従い合成を行った。
化合物の確認は、HNMRスペクトルで行い、結果は以下の通りであった。
HNMR(C) δ0.39(d,3H),0.66(s,3H),0.94(s, 3H),1.16(d,3H),1.40(m,6H),3.28(sept,1H),3.83(sept,1H),5.93(s,1H),6.40(d,1H),6.98−7.29(m,10H),7.49(d,1H),7.72(d,1H),7.81(d,1H),8.25(d,1H),8.57(d,1H)ppm.
Figure 0005007116
(2)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理、乾燥
セパラブルフラスコ中で蒸留水1730gに96%硫酸(502g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)300gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水1200g加えた後にろ過したところケーキ状固体615gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム324g、蒸留水900gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ上固体を全量投入し、更に蒸留水261gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水990g加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH3まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体575gを得た。
得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に215℃、窒素気流下、滞留時間10分の条件でロータリーキルン乾燥することにより、化学処理スメクタイト170gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:7.86重量%、Si:36.6重量%、Mg:1.29重量%、Fe:1.84重量%、Li:0.21重量%であり、Al/Si=0.224[mol/mol]であった。
また、このスメクタイトはpKaが−8.2以下の酸点を1g当たり0.043mmol含有していた。
(3)オレフィンの共重合
先に合成したPAHをグローブボックス内で100mg採取し、トルエンを加えて、2.00mg/mlの溶液を調製した。同時に、先に合成したイオン交換性層状珪酸塩をグローブボックス内で500mg採取し、n−ヘプタンを8.26ml、撹拌しながらトリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン希釈液(140mg/ml)を1.74ml添加し、室温にて30分間撹拌した。反応終了後、ヘプタン90mlを加え、5分間撹拌、静置後に上澄みを90ml抜き出した。この洗浄操作を2回繰り返した。
続いて、加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させ、室温に維持した1Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン希釈液(35.5mg/ml)を1.41ml加え、n−ヘプタンを477ml、さらに、1−オクテンを9.70ml添加し、内温を70℃まで昇温させた後に、プロピレンを供給し、内圧が0.50MPaまで昇圧、維持した。
次に、先に調製したPAHを3.39ml(10.0μmol)、TiBA処理したイオン交換性層状珪酸塩全量(500mg)をアルゴンで圧入し重合を開始させた。重合開始後は内部圧力、温度が一定となるように維持し、20分間重合を実施した。重合終了後、残モノマーのパージを行い、ヘプタンスラリーを回収し、さらにエタノールを1L添加/撹拌後に、固体成分を減圧ろ過によりろ別し、90℃で減圧乾燥を実施した。
その結果、32.1gのプロピレン−オクテン共重合体が得られた。触媒活性は、9610(kg−PP/mol−PAH・hr)、GPCによる重量平均分子量(Mw)は、2940000、Mw/Mnは2.94、融点(Tm)は72℃、1−オクテン含量は6.4mol%であった。重合データを表1に纏めた。
(参考例1)
重合時に1−オクテンを添加せず、重合を1時間実施した以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、24.8gのプロピレン重合体が得られた。触媒活性は、2480(kg−PP/mol−PAH・hr)、GPCによる重量平均分子量(Mw)は、3090000、Mw/Mnは2.78、融点(Tm)は137℃であった。重合データを表1に纏めた。
(比較例1)
PAHを1.13ml(3.33μmol)、共触媒としてTiBA処理したイオン交換性層状珪酸塩の代わりに、希釈MMAO(東ソーファインケム社製)を3.33ml(Al換算で6.67mmol、ヘキサン溶液)使用し、重合を1時間実施した以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、31.8gのプロピレン−オクテン共重合体が得られた。触媒活性は、22800(kg−PP/mol−PAH・hr)、GPCによる重量平均分子量(Mw)は、109000、Mw/Mnは2.63、融点(Tm)は109℃、1−オクテン含量は3.0mol%であった。重合データを表1に纏めた。
(比較例2)
共触媒としてTiBA処理したイオン交換性層状珪酸塩の代わりに、希釈MMAO(東ソーファインケム社製)を10.0ml(Al換算で20.0mmol)使用した以外は、参考例1と同様に実施した。その結果、19.0gのプロピレン重合体が得られた。触媒活性は、5910(kg−PP/mol−PAH・hr)、GPCによる重量平均分子量(Mw)は、38300、Mw/Mnは3.06、融点(Tm)は141℃であった。重合データを表1に纏めた。
(実施例2)
1−オクテンの添加量を4.85ml、重合温度を80℃で実施する以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、触媒活性は、14500(kg−PP/mol−PAH・hr)、MFRは0.35g/10分、融点(Tm)は109℃、1−オクテン含量は3.2mol%であった。重合データを表2に纏めた。
(参考例2)
1−オクテンを使用しないことを除き、実施例2と同様に実施した。その結果、触媒活性は、6900(kg−PP/mol−PAH・hr)、MFRは0.06g/10分、融点(Tm)は142℃、であった。重合データを表2に纏めた。
(比較例3)
PAHを1.13ml(3.33μmol)、共触媒としてTiBA処理したイオン交換性層状珪酸塩の代わりに、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを6.40ml(4.00μmol、トルエン溶液)使用した以外は、実施例2と同様に実施した。その結果、触媒活性は、23800(kg−PP/mol−PAH・hr)、MFRは3.01g/10分、融点(Tm)は109℃、1−オクテン含量は3.1mol%であった。重合データを表2に纏めた。
(比較例4)
共触媒としてTiBA処理したイオン交換性層状珪酸塩の代わりに、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを19.2ml(12.0μmol、トルエン溶液)使用した以外は、参考例2と同様に実施した。その結果、触媒活性は、4910(kg−PP/mol−PAH・hr)、MFRは0.27g/10分、融点(Tm)は141℃であった。重合データを表2に纏めた。
(実施例3)
重合温度を100℃で実施する以外は、実施例2と同様に実施した。その結果、触媒活性は、24800(kg−PP/mol−PAH・hr)、GPCによる重量平均分子量(Mw)は、416000、融点(Tm)は98℃、1−オクテン含量は4.2mol%であった。
(参考例3)
重合温度を100℃で実施する以外は、参考例2と同様に実施した。その結果、触媒活性は、12400(kg−PP/mol−PAH・hr)、GPCによる重量平均分子量(Mw)は、127000、融点(Tm)は140℃であった。
(参考例4)
加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させ、室温に維持した1Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン希釈液(35.5mg/ml)を1.41ml加え、n−ヘプタンを477ml添加し、内温を100℃まで昇温させた後に、プロピレンを供給し、内圧が0.50MPaまで昇圧し、その後、エチレンを供給し、内圧を0.8MPaまで昇圧した。
次に、実施例1と同様に調製したPAHをml(10.0μmol)、TiBA処理したイオン交換性層状珪酸塩全量(500mg)をアルゴンで圧入し重合を開始させ、温度が一定となるように維持し、15分間重合を実施した。重合終了後、残モノマーのパージを行い、ヘプタンスラリーを回収し、さらにエタノールを1L添加/撹拌後に、固体成分を減圧ろ過によりろ別し、90℃で減圧乾燥を実施した。
その結果、41.9gのエチレン−プロピレン共重合体が得られた。触媒活性は、25100(kg−PP/mol−PAH・hr)、GPCによる重量平均分子量(Mw)は、2640000、融点(Tm)は確認出来ず、エチレン含量は24mol%であった。
(実施例4)
(1)有機アルミニウム処理スメクタイトの調製
窒素雰囲気下、100mLフラスコにn−ヘプタン25mLと、実施例1(2)で製造した乾燥化学処理スメクタイト粒子1.0gを導入した。系を20℃に保ち、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(濃度0.613mol/L)3.2mLを添加した。温度を保持したまま1時間反応を行った後、洗浄率が1/100となるまでn−ヘプタンによる洗浄を行った後、総量を100mLに調製した。
(2)エチレン/1−ヘキセン共重合
加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させ、室温に維持した1Lオートクレーブに、n−ヘプタン500mlと1−ヘキセン20mlとトリエチルアルミニウムのヘプタン希釈液(0.625mmol/ml)を0.8ml加え、内温を70℃まで昇温させた後、エチレンを供給し、エチレン分圧が2.0MPaとなるまで昇圧した。実施例1と同様に調製したPAHのトルエン溶液2.0ml(PAH 2.0μmol分)と、(1)で得た有機アルミニウム処理スメクタイトのn−ヘプタンスラリー2.0ml(該スメクタイト20mg分)をアルゴンで圧入して重合を開始させ、温度が一定となるように維持し、エチレン分圧が2.0MPaで一定となるようにエチレンの供給をして重合を継続した。60分重合を行った後、エタノールを加えて重合を停止し、固体成分をろ過によりろ別し、90℃で減圧乾燥を実施した。その結果、5.1gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。触媒活性は2550(kg−PE/mol−PAH.hr)、GPCによる重量平均分子量(Mw)は2590000、融点(Tm)は115℃、ヘキセン含量は2.7mol%であった。
(比較例5)
共触媒として、TEA処理したイオン交換性層状珪酸塩の代わりに、希釈MMAO(東ソーファインケム社製)を2.70ml(Al換算で3.97mmol、ヘキサン溶液)使用した以外は、実施例4と同様に実施した。その結果、17.9gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が得られた。触媒活性は8950(kg−PE/mol−PAH.hr)、GPCによる重量平均分子量(Mw)は227000、融点(Tm)は117℃、ヘキセン含量は2.4mol%であった。
Figure 0005007116
Figure 0005007116
本発明のオレフィン共重合体の製造方法は、高価な有機アルミニウムオキシ化合物や有機ホウ素化合物を使用しなくても高いオレフィン重合活性を発現し、かつ、さらに実用的な重合温度で高い分子量で高コモノマー含量を有するオレフィン共重合体の製造が可能になるので、産業上優れた効果を有する。

Claims (7)

  1. 少なくとも下記成分[A]、[B]及び[C]を含む触媒を使用して、プロピレン、エチレンあるいはその混合物と炭素数4以上のα−オレフィンとを共重合させて、共重合体中に炭素数4以上のα−オレフィンが1〜20モル%含まれるオレフィン共重合体を得ることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法。
    成分[A]:下記構造の遷移金属錯体
    Figure 0005007116
    (式(I)中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる原子を示し、複数存在してもよい各R〜Rは互いに同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のハロゲン、酸素、窒素、ホウ素、イオウ、リン、ケイ素又はゲルマニウム含有炭化水素基を示し、これらの置換基のうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよい。a、b、c、dは、0以上の整数を示し、a、dは5以下、bは3以下、cは4以下である。X及びYは、各々水素原子、ハロゲン原子、ケイ素もしくはハロゲンを含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基、あるいは酸素原子及び窒素原子よりなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)
    成分[B]:イオン交換性層状珪酸塩
    成分[C]:有機アルミニウム
  2. 成分[B]が化学処理されたイオン交換性層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  3. 成分[B]がスメクタイト族のイオン交換性層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  4. 成分[B]は、pKaが−8.2以下の酸点を、イオン交換性層状珪酸塩1g当たり、その酸点を中和するために、2,6−ジメチルピリジンを0.05mmol以上要する量含有するイオン交換性層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  5. 成分[A]のMがハフニウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  6. 共重合体の成分として、エチレンが80〜99mol%、炭素数4以上のα−オレフィンが1〜20mol%含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  7. 共重合体の成分として、プロピレンが80〜99mol%、炭素数4以上のα−オレフィンが1〜20mol%含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
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