JP5028010B2 - プロピレン単独重合体およびその製造方法 - Google Patents

プロピレン単独重合体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5028010B2
JP5028010B2 JP2005354613A JP2005354613A JP5028010B2 JP 5028010 B2 JP5028010 B2 JP 5028010B2 JP 2005354613 A JP2005354613 A JP 2005354613A JP 2005354613 A JP2005354613 A JP 2005354613A JP 5028010 B2 JP5028010 B2 JP 5028010B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular weight
group
carbon atoms
propylene
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005354613A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007154121A (ja
Inventor
正顕 伊藤
英史 内野
勝 青木
祐哉 石本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polypropylene Corp
Original Assignee
Japan Polypropylene Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Polypropylene Corp filed Critical Japan Polypropylene Corp
Priority to JP2005354613A priority Critical patent/JP5028010B2/ja
Publication of JP2007154121A publication Critical patent/JP2007154121A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5028010B2 publication Critical patent/JP5028010B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Description

本発明はプロピレン単独重合体およびその製造方法に関する。特に、溶融時に高い流動性かつ高い溶融張力を持つといった特性のため成形加工性に優れ、押出発泡成形時には、歪硬化性を示すため独立気泡率を高くできることにより大型ブロー成形や押出発泡成形などに好適に用いられるプロピレン単独重合体に関するものである。
従来、ポリプロピレンは、高融点、高引張強度、高剛性、耐薬品性であるという特徴を有するため、多くの分野において広範囲に用いられている。しかしながら、通常のポリプロピレンは溶融張力、溶融粘弾性が低く、熱成形、発泡成形、ブロー成形などへの使用に制限が出てしまう。
そこで、それらを解決するために、溶融張力を高める成分を添加する方法として
(i)Cr触媒によって製造される溶融張力の高い高密度ポリエチレンを混合する方法
(ii)高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレンを混合する方法
(iii)プロピレン重合前段階に高分子量ポリエチレンを重合する方法
等が知られているが、溶融張力を高める成分の弾性率、強度、耐熱性が不足するために、ポリプロピレン本来の特徴が損なわれてしまうという欠点がある。
そこで、ポリプロピレン自体に架橋や長鎖分岐を導入することにより、溶融張力を上げる方法が考案され、様々な試みがなされている。例えば、架橋する方法として
(iv)重合後、電子線を照射する方法 (特許文献1参照)
(v)過酸化物、過酸化物および架橋助剤を用いる方法(特許文献2参照)
が挙げられる。また、長鎖分岐を導入する方法として
(vi)ポリプロピレンにラジカル重合性モノマーをグラフトさせる方法(非特許文献1参照)
(vii)プロピレンとポリエンとの共重合物をポリプロピレンに配合する方法(特許文献3、4参照)
などが挙げられる。
しかしながら、(iv)(v)の架橋する方法は、高次に架橋する副反応を制御することが困難であって、ゲルの発生により外観不良や機械特性に悪影響が生じる上、成形加工性を任意に制御することに限界があり、制御範囲が狭いという問題がある。一方、(vi)の方法においてはポリプロピレンの化学的安定性が損なわれ、しかもポリプロピレンとは異なる高分子のグラフト体ではリサイクル性に問題が生じる。また、(vii)の方法においては、溶融張力の改良効果が小さく、十分な効果が発揮されない上、ゲルの発生も懸念される。プロピレンに対するジエンの共重合性が低いため、製造上、除去や回収工程が必要になり煩雑になることが懸念される。
そこで、重合第一段階(マクロマー合成工程)で特定の触媒と特定の重合条件により、末端にビニル構造をもつプロピレンマクロマーを製造し、その後重合第二段階(マクロマー共重合工程)で特定の触媒と特定の重合条件によりプロピレンと共重合を行うことにより、高次の架橋がなく、ポリプロピレンとしての本来の化学的安定性が損なわれることなく、リサイクル性にも優れ、溶融張力改良に対してゲルの発生の懸念がない方法 (マクロマー共重合法)が提案されている(特許文献5,6参照)。
しかしながらこの方法では、末端がビニル構造であるマクロマーを効率的に生成させるために比較的高温かつ低圧で重合しなければならず、したがって、マクロマー合成工程で得られるポリマーはマクロマー共重合工程で得られるポリマーと比較して、分子量が低く、また規則性も低くなっている。ところで共重合工程では、マクロマーの共重合性が高くないためそのような低分子量で規則性の低いマクロマーが製品中に大量に残ってしまう。またマクロマー合成工程で副生する、同様に低分子量で規則性の低い末端がビニル以外の例えば飽和末端の成分が、共重合されることなく含有されることになり、結果として、製品の剛性や衝撃強度といった機械的物性を下げたり、べたつきの問題が生じたり、流動性と成形性の制御が困難になってしまう。また低分子量で規則性の低いマクロマーが製品中に大量に残ってしまった場合、例えば容器として使用した場合溶出成分が増大してしまい、いわゆるクリーン性がよくないという欠点が生じてしまう。
また、マクロマー合成工程とマクロマー共重合工程を同時におこなう単独重合法(in situ マクロマ生成法)が考案されている(特許文献7参照)。しかしながら、公知の技術ではマクロマーの生成量とマクロマー共重合量が必ずしも充分ではなく、溶融物性改善の効果は高くならない。また単独重合法では、分子量分布が狭いため流動性が悪いという問題があり、押出発泡成形時には歪硬化性が小さいために独立気泡率が低下してしまうという問題がある。
米国特許第5541236号明細書 WO99/27007国際公開パンフレット T.C.Chung et al ,Synthesis of Polypropylene-graft-poly(methyl me thacrylate) Copolymers by Borane Approach,Macromolecules,(1993),volume26, No.14、page3467-3471 特開平5−194778号公報 特許第3260171号公報 特表2001−525460号公報 特開平10−338717号公報 特表2002−523575号公報
本発明はこのような状況下、プロピレン単独重合体において、従来欠点と考えられている低い溶融物性を改良し、すなわち高い溶融張力、高い溶融粘弾性を持たせるとともに、流動特性がよく、ブロー成形時にはスウェル比が高いために成形加工性に優れ、押出発泡成形時には、強い歪硬化性を示すため独立気泡率を高くできることによりブロー成形や押出発泡成形などに好適に用いられるプロピレン単独重合体を提供するものである。
本発明者らは、溶融加工特性に優れたプロピレン単独重合体を開発するべく鋭意検討を重ねた結果、分岐構造を有する特定のポリプロピレン単独重合体が上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨とするところは、下記(1)〜(6)の特性を有するプロピレン単独重合体に存する。
(1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重量平均分子量(Mw)が20万〜100万。
(2)GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が3.5〜10.5。
(3)GPCによって得られる分子量分布曲線の、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50-Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが1.2以上。
(4)13C−NMR分析によって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が90%以上。
(5)オルトジクロロベンゼンを溶媒として使用した昇温溶出分別(TREF)の測定において、90℃以下の温度で溶出する成分が6.0重量%以下。
(6)プロピレン重合体の13C−NMR分析において、44.0〜44.1ppm、44.7〜44.8ppm及び44.8〜44.9ppmに3つのメチレン炭素(Ca,Cb,Cc)が観測され、31.6〜31.7ppmにメチン炭素(Cbr)が観測され、かつ該メチン炭素が全骨格形成炭素1000個あたり0.1個以上である(但し、全骨格形成炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する)。
また、本発明の他の要旨は、下記式(1)で示される分岐構造部分を有する前記のプロピレン単独重合体(但し、式中、Cbrは炭素数4以上の分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、Ca、Cb、Ccは該メチン炭素(Cbr)に隣接するメチレン炭素を示し、P1、P2、P3は、プロピレン重合体残基を示す)に存する。
Figure 0005028010
また、本発明の他の要旨は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重量平均分子量(Mw)が30万〜90万である前記のプロピレン単独重合体に存する。
また、本発明の他の要旨は、下記触媒成分[A]、[B]、[C]を用いてプロピレンを重合することを特徴とする前記のプロピレン単独重合体の製造方法に存する。
[A]一般式(2)で表される化合物
Q(IndR1 a)(IndR2 b)MeX11 ・・・(2)
[ここで、IndR1 a およびIndR2 bは、それぞれ共役五員環配位子を含む置換インデニル配位子を示し、Q は二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基を示し、Me はジルコニウムまたはハフニウムを、X1 およびY1 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。R1 およびR2 は、それぞれ独立して、インデニル基の水素を置換する、炭素数1〜30の、炭化水素基、ハロゲン基、ハロゲンを含有する炭化水素基を示す。また、aおよびbは1〜4の整数である。]
[B]イオン交換性層状珪酸塩
[C]有機アルミニウム化合物
また、本発明の他の要旨は、[B]イオン交換性層状珪酸塩が、X線回折において、2θ=19゜〜21゜未満(A)と21゜〜23゜(B)にピークが存在し、該ピークの強度比(B)/(A)が1.9以上を示す前記のプロピレン単独重合体の製造方法に存する。
また、本発明の他の要旨は、[B]イオン交換性層状珪酸塩が、珪素(Si)に対するアルミウム(Al)の比(Al/Si)が0.10以下であること特徴とする前記のプロピレン単独重合体の製造方法に存する。
本発明のプロピレン単独重合体は、溶融流動性や溶融張力を制御した、物性と加工性のバランスに優れる長鎖分岐型のプロピレン単独重合体である。溶融時に高い流動性かつ高い溶融張力を持つといった特性のため、成形加工性に優れ、押出発泡成形時には、歪硬化性を示すため独立気泡率を高くできる。従って、大型ブロー成形や押出発泡成形などに好適に用いられる
本発明のプロピレン単独重合体は、溶融流動性や溶融張力を制御した、物性と加工性のバランスに優れる長鎖分岐型のプロピレン単独重合体であり、以下の(1)〜(6)に示す特性・性状を有する。以下、順次に説明する。
特性(1):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重量平均分子量(Mw)が20万〜100万。
ここで重量平均分子量(Mw)とは、後述するGPC測定装置並びに条件で測定されるものであり、本発明では、Mwが20万〜100万の範囲であることが必要である。このMwが20万より小さいと溶融加工性に劣るとともに機械的強度が不十分であり、また100万を超えると溶融粘度が高く、溶融加工性が低下する。溶融加工性と機械的強度のバランスから上記の範囲であり、好ましくは25万〜90万、さらに好ましくは30万〜80万の範囲である。
特性(2):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が3.5〜10.5。
さらに本発明のプロピレン重合体は、GPC測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mn(Q値)が、3.5〜10.5の範囲であることが必要である。Q値が3.5未満のものは、溶融流動性と加工性のバランスが悪くなり、10.5を超えると、必要としない低分子量成分の量が増えて満足する物性のものが得られない。また、好ましくは4.0〜10.0であり、さらに好ましくは4.5〜8.0である。
特性(3):GPCによって得られる分子量分布曲線の、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50-Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが1.2以上。
分子量分布の広がり方に関しては、GPCによって得られる分子量分布曲線が重要である。即ち、分子量(MW)の常用対数を横軸として、縦軸に当該MWに相当する分子の相対微分質量をプロットしたグラフが作成される。なお、ここにいう分子量(MW)とは、プロピレン単独重合体を構成する個々の分子の分子量であって、プロピレン単独重合体の重量平均分子量(Mw)とは異なるものである。[図1]は分子量分布曲線の一例を示す図である。作成したグラフからαおよびβが求められる。本発明においては、α/βが1.2以上、好ましくは1.4〜2.4であることが必要である。これは本発明のプロピレン単独重合体の分子量分布が、低分子量側よりも高分子量側においてより一層広がっていることを意味している。α/βが、1.2未満であると、相対的に高分子量成分の量が足りないため、固体物性が悪化し、スウェル比が小さくなり、成形性が悪化してしまう。また、押出発泡成形時には歪硬化性が弱くなるために独立気泡率が低下してしまう。
なお、分子量分布曲線において、ピークが2つ以上現れることがある。その場合は、最大ピークを本発明のピークと置き換えることができる。また、H50が2つ以上現れる場合は、一番高分子量側の分子量で置き換えることができる。同様に、L50が2つ以上現れる場合は、一番低分子量側の分子量で置き換えることができる。
押出発泡成形を行う場合、初期気泡のできる段階においては粘度の低い方が気泡の核が多くできるため、粘度の低い成分が多い方がよい。他方、気泡のセルができて薄くなった状態では、その部分に強度がないと破泡してしまうため、分子量の高い成分が必要となる。このような事情を満足させるためには、低分子量側よりも高分子量側においてより一層広がっていることが重要であると考えられる。なお、α/βの値が2.4より大きくなると、相対的に高分子量成分の量が多くなりすぎ、流動性が低下する。また発泡成形を行う場合、高分子量成分が多すぎて粘度が高くなり、成形初期に充分な気泡セルを作れなくなる傾向がでる。
上記特性(1)(2)(3)で定義される重量平均分子量(Mw)、Q値及びα/βの値は、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られるものであるが、その測定法、測定機器の詳細は以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製は、試料をODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させて行う。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、[図2]のように行う。また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10-4、α=0.7
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
特性(4):13C−NMR分析によって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が90%以上。
さらに本発明のプロピレン単独重合体は、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が90%以上の立体規則性を有するものである。この値より小さいと製品の弾性率が低下するなど機械的物性が低下してしまう。従って、好ましくは91%以上であり、さらに好ましくは92%以上である。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクティックに制御されていることを示す値であり、高いほど高度に制御されていることを意味する。
ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定した。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とした場合、mmで示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは21.1〜23.0ppm未満、mrで示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは20.5〜21.1未満ppmの範囲に、rrで示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは19.5〜20.5未満ppmの範囲に現れる。ここで、mm、mrおよびrrはそれぞれ下記[化3]の化学構造で表される。
Figure 0005028010
mm分率は、mm、mr、rr各構造のスペクトル強度から以下の式により算出した。
mm分率(%)=PPP[mm]/(PPP[mm]+PPP[mr]+PPP[rr])×100
ただし、PPP[mm]、PPP[mr]およびPPP[rr]は、それぞれ頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖におけるmm、mr、rr各構造を表す。その割合は、各メチル炭素ピークに帰属される領域の面積から定量した。
ここで、重合時のプロピレンモノマーが2,1結合(2,1挿入)と1,3結合(1,3挿入)したことにより形成される異種結合部分のメチル炭素ピーク強度を含めずに、PPP[mm]、PPP[mr]、PPP[rr]を各々定量した.
13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法の詳細は以下の通りである。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2、−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.3ppmに設定した。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
データポイント数:32768
特性(5):オルトジクロロベンゼンを溶媒として使用した昇温溶出分別(TREF)の測定において、90℃以下の温度で溶出する成分が6.0重量%以下。
さらに、本発明のプロピレン単独重合体は、昇温溶出分別(TREF)測定によって得られる溶出曲線において、90℃以下の温度で溶出する成分が6.0重量%以下、好ましくは0〜5.0重量%であることを特徴とする。これより大きいと、結晶性が低下し、製品の剛性といった機械的強度が低下してしまう。
昇温溶出分別(TREF)による溶出成分の測定法の詳細は以下の通りである。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
カラムサイズ:4.3mmφ × 150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒 : オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速 : 1mL/分
検出器 : 波長固定型赤外検出器、FOXBORO社製、MIRAN、1A
測定波長: 3.42μm
特性(6):本発明のプロピレン重合体は、44.0〜44.1ppm,44.7〜44.8ppm及び44.8〜44.9ppmにそれぞれ1つ、合計3つのメチレン炭素(Ca、Cb、Cc)が観測され、31.6〜31.7ppmにメチン炭素(Cbr)が観測され、かつ31.6〜31.7ppmに観測されるメチン炭素が全骨格形成炭素1000個あたり0.1個以上である。但し、全骨格形成炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味し、これら炭素原子の区分は13C−NMR分析によりなされるものとする。上記の31.6〜31.7ppmに観測されるメチン炭素を、以下、分岐炭素(Cbr)と略称することがある。
本発明プロピレン単独重合体は所定量の分岐炭素を有する特定の分岐構造を持つものである。分岐構造を有するポリプロピレン単独重合体の一例を構造式(1)に示した。式(1)において、Ca、Cb、Ccは分岐炭素に隣接するメチレン炭素を示し、Cbrは分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、P1、P2、P3は、プロピレン重合体残基を示す。このような分岐構造は13C−NMR分析により同定される。本発明において、各ピークの帰属はMacromolecules,Vol.35、NO.10.2002年、3839−3842頁の記載を参考にして決定した。
本発明にいう分岐鎖は、プロピレン単独重合体の主鎖から分岐した炭素数4以上のプロピレン単独重合体残基を示す。好ましくは、炭素数500以上であり、さらに好ましくは1000以上である。構造式(1)において、プロピレン単独重合体の主鎖は、P1−Cbr−P2のライン、P1−Cbr−P3のライン又はP2−Cbr−P3のラインの3通りが存在する。従って、それぞれに対応して、Cbr−P3のライン、Cbr−P2のライン又はCbr−P1のラインが上記分岐鎖になり得る。P1は水素原子又は炭素数1〜2万のプロピレン重合体残基を、P2は炭素数1〜2万程度のプロピレン重合体残基を、また、P3は水素原子又は炭素数1〜2万程度のプロピレン重合体残基を示す。
1、P2、P3の炭素数の上限は、2万個程度(分子量換算28万程度)であるが、詳しくは当該プロピレン単独重合体の分子量に左右される。例えば、プロピレン単独重合体の重量平均分子量(Mw)を100万,Q値を3.5と仮定すると、数平均分子量(Mn)は28.5万となるから、P1、P2、P3の炭素数の総和は2万個程度(分子量換算28万程度)となる。重合体中の分岐の数、分岐の位置は使用する触媒および重合手法によって制御可能であり、P1、P2、P3の炭素数は、総和が2万個程度になる範囲において、おのおの2万個程度(分子量換算28万程度)までとりうる。なお、プロピレン重合体残基であるP1、P2、P3は、その由来はプロピレンモノマーにあるが、その構造は何ら限定されるものではなく、水素原子又は上記炭化水素残基である。P1、P2、P3は、それ自体の中に、構造式(1)に記載されたCbrとは別の分岐炭素(Cbr)を含有することもあり得る。
Figure 0005028010
プロピレン単独重合体には、[表1]に示すように、メチル炭素[I]、メチレン炭素[II]、メチン炭素[III]の3種類の炭素原子が存在する。このうち、メチル炭素[I]は3個の水素原子と1個の炭素原子に結合して重合体末端位を構成し、骨格を構成しない。メチレン炭素[II]は2個の水素原子と2個の炭素原子に結合して重合体の非末端位を構成し、骨格の一部を構成する。そして、メチン炭素[III]は、更に2種類に区分される。メチン炭素の1つは、2個のメチレン炭素と1個のメチル炭素と1個の水素原子に結合して、プロピレン重合体の直鎖骨格を形成するメチン炭素[III−直鎖]であり、もう1つは、3個のメチレン炭素(かつ、3個のメチレン炭素の次はメチン炭素である)と1個の水素原子に結合して、プロピレン重合体の分岐骨格を形成するメチン炭素[III−分岐]である。
プロピレンと炭素数4以上の高級α−オレフィンとの共重合体の13C−NMRスペクトルにおいて、例えば、分岐βCH2のケミカルシフトは、17〜28ppmの範囲に観測され、分岐αCH2は25〜37ppmの範囲に観測されることが知られている。ここにおいて、α及びβは、分岐点のメチン炭素(CH)から対応して一つ目及び2つ目の側鎖を示す。従って、本発明の特性(6)を有する物質は、44〜45ppmにケミカルシフトが観測されるので、式(1)に示す分岐構造部分を有する重合体であることが証明される(Macromol.chem.phys.2003年、Vol.204、1738頁参照)。
[図3]及び[図4]に、実施例1のプロピレン単独重合体の13C−NMRスペクトルを示す。[図5]及び[図6]に、比較例1のプロピレン単独重合体の13C−NMRスペクトルを示す。[図3]において、31.6ppm付近に、また[図4]において44.0ppm、44.7ppm及び44.9ppmに本発明で規定しているピークが観察される。31.6ppm付近のピークの積分値からCbr(分岐炭素)を算出すると全骨格形成炭素1000個あたり0.3個と算出される。
[図5]において、31.6ppm付近に、[図6]において、44.0ppm、44.7ppm及び44.9ppmにピークが観察されるが、極めて微小である。31.6ppm付近のピークの積分値からCbr(分岐炭素)を算出すると全骨格形成炭素1000個あたり0.1個未満である。
尚、[図3]及び[図5]における30.5ppm及び31.4ppm付近のピークは、2,1結合(2,1挿入)由来のピークであり、30.8ppm付近のピークは、1,3結合(1,3挿入)由来のピークである。また、[図4]及び[図6]における42.2ppm付近のピークは、2,1結合(2,1挿入)由来のピークである。
Figure 0005028010
本発明においては、プロピレンが規則的に結合している場合の他に、2,1結合または1,3結合している場合のメチレン炭素とメチン炭素の積分値に対して、分岐炭素、即ち、メチン炭素[III−分岐]の積分値の比をとって、1000を乗じたものとして定義する。この分岐数(分岐炭素の含有量)は本発明においては、0.1個以上であることが必要である。すなわち骨格を形成するメチン炭素及びメチレン炭素の合計1000個の炭素原子に対して0.1個以上の分岐炭素が存在することである。分岐炭素の含有量がこの値より小さい場合には、長鎖分岐による溶融張力改良の効果が小さくなってしまう。また、好ましくは1000個あたり0.2個以上である。
13C−NMR分析による分岐炭素の同定、定量方法は以下の通りである。
分岐構造の同定は、Cbr が31.6〜31.7ppmに、かつCa、Cb、Ccが各々、44.0〜44.1ppm、44.7〜44.8ppm、44.8〜44.9ppmに観測されることにより行う。分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、分子内に不斉炭素を複数持つ場合で互いに鏡像関係にならない構造の関係になる(ジアステレオトピック)為に、非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である(Macromolecules,Vol.35、NO.10.2002年、3839−3842頁参照)。
本発明のプロピレン単独重合体が有する溶融物性改良の効果は、その伸長粘度を測定した場合の歪硬化度を測定することで計測できる。
ηmax/ηlinで定義されるλmax(歪硬化度)の値として、通常、1.1以上が達成され、好ましくは2.0より大きくなることであり、さらに好ましくは5.0より大きくなることである。
ここで歪硬化度の測定方法及び測定機器の詳細は以下の通りである。
装置:東洋精機社製、Melten Rheometer
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
算出方法:横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、伸長粘度ηEが最大値(ηmax)となる時間での、近似直線上の粘度をηlinとする。[図7]は伸長粘度のプロット図の一例である。ηmax/ηlinをλmaxと定義し、歪硬化度の指標とする。
本発明のプロピレン単独重合体を製造する方法については、前記特性(1)〜(6)を満たすプロピレン単独重合体を得られる方法であればよく、特に制限はないが、本発明のプロピレン単独重合体を製造可能な方法として、下記触媒成分[A]、[B]、[C]を用いてプロピレンを重合する方法が挙げられる。
[A]一般式(2)で表される化合物
Q(IndR1 a)(IndR2 b)MeX11 ・・・(2)
[ここで、IndR1 a およびIndR2 bは、それぞれ共役五員環配位子を含む置換インデニル配位子を示し、Q は二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基を示し、Meはジルコニウムまたはハフニウムを、X1 およびY1 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。R1 およびR2 は、それぞれ独立して、インデニル基の水素を置換する、炭素数1〜30の、炭化水素基、ハロゲン基、ハロゲンを含有する炭化水素基を示す。また、aおよびbは1〜4の整数である。]
[B]イオン交換性層状珪酸塩
[C]有機アルミニウム化合物
<成分[A]の詳細な説明>
ここで[A]共役5員環配位子を有する第4族遷移金属化合物は、一般式(2)で表される化合物である。
Q(IndR1 a)(IndR2 b)MeX11 ・・・(2)
上記一般式(I)中、Qが、上記したように、二つの置換インデニル基IndR1 a およびIndR2 b の共役五員環配位子部分を架橋する結合性基であって、具体的には、例えば(イ)炭素数1〜20、好ましくは1〜6の2価の炭化水素基、具体的には、例えばアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン等の不飽和炭化水素基、(ロ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基を有するシリレン基、(ハ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基を有するゲルミレン基である。
なお、2価のQ基の両結合手間の距離は、その炭素数の如何に関わらず、Qが鎖状の場合に4原子程度以下、就中3原子以下、であることが、Qが環状基を有するものである場合は、当該環状基+2原子程度以下、就中当該環状基のみであることが、それぞれ好ましい。従って、アルキレン基の場合はエチレンおよびイソプロピリデン(結合手間の距離は2原子および1原子)が、シクロアルキレン基の場合はシクロヘキシレン(結合手間の距離がシクロヘキシレン基のみ)が、アルキルシリレン基の場合は、ジメチルシリレン(結合手間の距離が1原子)が、それぞれ好ましい。
Meは、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。X1 およびY1 は、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよく、(イ)水素、(ロ)ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、好ましくは塩素)、(ハ)炭素数1〜20の炭化水素基、(ニ)炭素数1〜20のアルコキシ基、(ホ)炭素数1〜20のアルキルアミド基、(へ)炭素数1〜20のリン含有炭化水素基、(ト)炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基または(チ)トリフルオロメタンスルホン酸基を示す。
1 およびR2 は、インデニル基上の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜30のハロゲン含有炭化水素基を示す。
また、隣接する2個のR1 同士または2個のR2 同士がそれぞれω−端で結合してインデニル基の一部と共に環を形成していてもよい。これらの中で、好ましくは2位置換インデニル基およびその誘導体であり、さらに好ましくは2,4位置換インデニル基及びその誘導体である。
2,4位の置換基の好ましい例としては、2位置換基は、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基、特に好ましくは1〜6のアルキル基であり、一方、4位置換基は、一価の場合、好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基または炭素数1〜15のハロゲン含有炭化水素基、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基、アルキルアリール基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アルキルアリール基であり、また二価の場合、5位と結合して環を形成し、好ましくはその環は六員環で具体的置換基は炭素数4〜15の炭化水素基、炭素数4〜15のハロゲン含有炭化水素基、特に好ましくは炭素数6〜12のアルキルアルキレン基、アリールアルキレン基、アルキルアルカジエニレン基またはハロゲン化アリールアルカジエニレン基である。
aおよびbは1〜4の整数である。上記メタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。なお、これらの化合物は、単に化学的名称のみで示称されているが、その立体構造が本発明で言う非対称性を持つものであることは言うまでもない。
(A1)シリレン架橋五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、例えば、
(1)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(2)ジメチルシリレンビス{1−(2,4−ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(3)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(4)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(5)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(6)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、(7)ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(2,6−ジメチルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、(8)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−sec−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(9)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(10)メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(11)メチルフェニルシリレンビス{1−(2,4−ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(12)ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(13)メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(14)メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4、5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(15)メチルフェニルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(16)メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(17)メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(18)ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(19)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(20)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(21)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(22)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、(23)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−sec−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(24)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−シクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(25)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(26)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−アントラセニル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、(27)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−アントラセニル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、(28)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−アントラセニル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、(29)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−α−アセナフトインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(30)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−フェナンスリル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(31)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−フェナンスリル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、(32)ジメチルシリレン{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}{1−(2−メチル−4、5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(33)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−6−イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(34)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4,6−ジフェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(35)ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(ペンタフルオロフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
(36)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−(ペンタフルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、(37)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−7ーフルオロインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(38)ジメチルシリレンビス[1−{2−エチル−4−(3、5−ビストリフルオロメチルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
(39)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジメチル、(40)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムメチルクロリド、(41)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−α−アセナフトインデニル)}ジルコニウムジメチル、(42)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジメチル、(43)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジメチル、
(44)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムクロロジメチルアミド、(45)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホン酸)、(46)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホン酸)等が挙げられる。
(A2)アルキレン基で架橋した五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、例えば、
(1)エチレン−1,2−ビス{1−(2−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(2)エチレン−1,2−ビス{1−(2,4−ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(3)エチレン−1,2−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(4)エチレン−1,2−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(5)エチレン−1,2−ビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(6)エチレン−1,2−ビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、(7)イソプロピリデンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(8)エチレン−1,2−ビス{1−(2−エチル−4−フェニル−6−イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(9)ジメチルシリレン{1−(2−メチルインデニル)}{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(10)ジメチルシリレン{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(11)ジメチルシリレン{1−(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)}{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
(A3)ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素、リンあるいは窒素を含む炭化水素残基で架橋した5員環配位子を有する遷移金属化合物、例えば、
(1)ジメチルゲルミレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(2)ジメチルゲルミレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(3)ジメチルゲルミレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(4)メチルアルミニウムビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(5)フェニルホスフィノビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(6)エチルホラノビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(7)フェニルアミノビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド等が例示される。
<成分[B]の詳細な説明>
(1)イオン交換性層状珪酸塩
本発明において、原料として使用するイオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物を言う。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出され、水中に分散/膨潤させ、沈降速度等の違いにより精製することが一般的であるが、完全に除去することが困難であることがありイオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)を含んでいることが多い。ただし、それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も成分[B]に含まれる。尚、本発明の原料とは、後述する本発明の化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、本発明で使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
また本発明においては、化学処理を加える前段階でイオン交換性を有していれば、該処理によって物理的、化学的な性質が変化し、イオン交換性や層構造がなくなった珪酸塩もイオン交換性層状珪酸塩であるとして取り扱う。
イオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1988年)等に記載される1:1型構造や2:1型構造をもつ層状珪酸塩が挙げられる。1:1型構造とは、前記「粘土鉱物学」等に記載されているような1層の四面体シートと1層の八面体シートが組み合わさっている1:1層構造の積み重なりを基本とする構造を示し、2:1型構造とは、2層の四面体シートが1層の八面体シートを挟み込んでいる2:1層構造の積み重なりを基本とする構造を示す。
1:1層が主要な構成層であるイオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族珪酸塩、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族珪酸塩等が挙げられる。
2:1層が主要な構成層であるイオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族珪酸塩、バーミキュライト等のバーミキュライト族珪酸塩、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族珪酸塩、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、主成分が2:1型構造を有するイオン交換性層状珪酸塩であるものが好ましい。より好ましくは、主成分がスメクタイト族珪酸塩であり、さらに好ましくは、主成分がモンモリロナイトである。
層間カチオン(イオン交換性層状珪酸塩の層間に含有される陽イオン)の種類としては特に限定されないが、主成分として、リチウム、ナトリウム等の周期律表第1族のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等の周期律表第2族のアルカリ土類金属、あるいは鉄、コバルト、銅、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金、金等の遷移金属などが、工業原料として比較的容易に入手可能である点で好ましい。
(2)イオン交換性層状珪酸塩の造粒
前記イオン交換性層状珪酸塩は乾燥状態で用いてもよく、液体にスラリー化した状態で用いてもよい。また、イオン交換性層状珪酸塩の形状については特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、粉砕、造粒、分級などの操作によって形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩を用いてもよい。このうち造粒されたイオン交換性層状珪酸塩を用いると該イオン交換性層状珪酸塩を触媒成分として用いた場合に良好なポリマー粒子性状を与えるため特に好ましい。
造粒、粉砕、分級などのイオン交換性層状珪酸塩の形状の加工は化学処理の前に行ってもよい(すなわち、あらかじめ形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩に下記の化学処理を行ってもよい)し、化学処理を行った後に形状を加工してもよい。
ここで用いられる造粒法としては、例えば、撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、ブリケッティング、コンパクティング、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法、液中造粒法、圧縮成型造粒法等が挙げられるが特に限定されない。好ましくは、撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、流動造粒法が挙げられ、特に好ましくは撹拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられる。
なお、噴霧造粒を行う場合、原料スラリーの分散媒として、水あるいはメタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒を用いる。好ましくは水を分散媒として用いる。球状粒子が得られる噴霧造粒の原料スラリー液中における成分[B]の濃度は、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。球状粒子が得られる噴霧造粒の熱風の入口温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると80〜260℃、好ましくは100〜220℃で行う。
造粒において粒子強度の高い担体を得る、及び、プロピレン重合活性を向上させるためには、珪酸塩を必要に応じ微細化する。珪酸塩は、如何なる方法において微細化してもよい。微細化する方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕いずれの方法でも可能である。好ましくは、水を分散媒として使用し珪酸塩の膨潤性を利用した湿式粉砕であり、例えばポリトロン等を使用した強制撹拌による方法やダイノーミル、パールミル等による方法がある。造粒する前の平均粒径は、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜1μmである。
また、造粒の際に有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダーを用いてもよい。用いられるバインダーとしては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルコール類、グリコール等が挙げられる。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉発生を抑制するためには、0.2MPa以上の圧縮破壊強度を有することが好ましい。また、造粒されたイオン交換性層状珪酸塩の粒径は、0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μmの範囲である。粉砕法についても特に制限はなく、乾式粉砕、湿式粉砕のいずれでもよい。
(3)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
本発明イオン交換性層状珪酸塩は化学処理を行なうことが望ましく、イオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、酸類、塩類、等とイオン交換性層状珪酸塩とを接触させることをいう。
化学処理による共通の影響として層間陽イオンの交換を行うことが挙げられるが、それ以外に各種化学処理は次のような種々の効果がある。例えば、酸類による酸処理によれば、珪酸塩表面の不純物が取り除かれる他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させることができる。これは、珪酸塩の酸強度を増大させ、また単位重量当たりの酸点量を増大させることに寄与する。
アルカリ類によるアルカリ処理では、粘土鉱物の結晶構造が破壊され、粘土鉱物の構造の変化をもたらす。
以下に、処理剤の具体例を示す。なお、本発明では、以下の酸類、塩類、を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類、の組み合わせであってもよい。
(a)酸類
酸処理は表面の不純物を除く、あるいは層間に存在する陽イオンの交換を行うほか、結晶構造の中に取り込まれているAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、などが挙げられる。中でも無機酸が好ましく、硫酸、塩酸、硝酸が好ましく、さらに好ましくは硫酸である。
(b)塩類
塩類としては、有機陽イオン、無機陽イオン、金属イオンからなる群から選ばれる陽イオンと、有機陰イオン、無機陰イオン、ハロゲン化物イオンからなる群から選ばれる陰イオンとから構成される塩類が例示される。例えば、周期律表第1〜14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンの陰イオン、無機ブレンステッド酸及び有機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから構成される化合物が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アニオンが無機ブレンステッド酸やハロゲンからなる化合物である。
このような塩類の具体例としては、LiCl、LiBr、Li2SO4、Li3(PO4)、LiNO3、Li(OOCCH3)、NaCl、NaBr、Na2SO4、Na3(PO4)、NaNO3、Na(OOCCH3)、KCl、KBr、K2SO4、K3(PO4)、KNO3、K(OOCCH3)、CaCl2、CaSO4、Ca(NO32、Ca3(C6572、Ti(OOCCH34、Ti(CO32、Ti(NO34、Ti(SO42、TiF4、TiCl4、TiBr4、TiI4、Zr(OOCCH34、Zr(CO32、Zr(NO34、Zr(SO42、ZrF4、ZrCl4等が挙げられる。
Cr(OOCH32OH、Cr(CH3COCHCOCH33、Cr(NO33、Cr(ClO43、CrPO4、Cr2(SO43、CrO2Cl3、CrF3、CrCl3、CrBr3、CrI3、FeCO3、Fe(NO33、Fe(ClO43、FePO4、FeSO4、Fe2(SO43、FeF3、FeCl3、MnBr3、FeI3、FeC657、Co(OOCH32等が挙げられる。
CuCl2、CuBr2、Cu(NO32、CuC24、Cu(ClO42、CuSO4、Cu(OOCCH32、Zn(OOCH32、Zn(CH3COCHCOCH32、ZnCO3、Zn(NO32、Zn(ClO42、Zn3(PO42、ZnSO4、ZnF2、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2、AlF3、AlCl3、AlBr3、AlI3、Al2(SO43、Al2(C243、Al(CH3COCHCOCH33、Al(NO33、AlPO4等が挙げられる。
(c)その他の処理剤
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2などが例示される。
有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,5−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルオクタデシルアンモニウム、オクタドデシルアンモニウム、が例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について組み合わせて用いてもよい。また化学処理は同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
(d)化学処理条件
上述した各種処理剤は、適当な溶剤に溶解させて処理剤溶液として用いてもよいし、処理剤自身を溶媒として用いてもよい。使用できる溶剤としては、特に制限はないが、水、アルコール類が一般的であり、特に水が好ましい。例えば、化学処理として酸処理を行う場合、酸処理剤濃度、イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率、処理時間、処理温度等の酸処理条件を制御することによって、イオン層状珪酸塩化合物を所定の組成、構造へと変化させ制御することが可能である。
その場合、酸処理剤濃度に関しては、下式を満たす酸濃度(N)の酸で処理することが好ましい。
N≧6.0
ここで示す酸濃度Nは、酸のモル数×酸の価数/酸水溶液の体積(単位:モル/リットル)と定義する。ただし、塩を共存させたときには、塩化合物に含まれる結晶水量は考慮するが、塩による体積変化は考慮しないものとする。なお、酸水溶液の比重は、化学便覧の基礎編II−4(日本化学会編集,丸善発行,改訂3版)を引用した。
酸濃度範囲のさらに好ましい範囲としては、本発明で示す酸濃度(N)(酸のモル数×酸の価数/酸水溶液の体積(単位:リットル))が、6.0以上、好ましくは7.0以上である。なお、上限は取り扱い上の安全性、容易性、設備面の観点から、酸濃度Nが、20以下、特に15以下であることが好ましい。また、酸処理工程におけるイオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率は特に限定されないが、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩[g]:処理剤[酸の価数×mol数]=1:0.001〜1:0.1程度である。
また、酸処理温度は室温〜処理剤溶液の沸点の範囲が好ましく、処理時間は5分〜24時間の条件を選択し、イオン交換性層状珪酸塩を構成している物質の少なくとも一部が除去又は交換される条件で行うことが好ましい。酸処理条件は、特には制限されないが、上記化学処理として硫酸を用いた場合、酸濃度N=7〜88〜12の硫酸水溶液を使用し、イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率を0.01から0.1の範囲にした場合、処理温度は90℃以上、処理剤溶媒沸点以下で、処理時間は7時間以上10時間未満にすることが好ましい。
(4)イオン交換性層状珪酸塩の乾燥
上記化学処理を実施した後に過剰の処理剤及び処理により溶出したイオンの除去をすることが可能であり、好ましい。この際、一般的には、水や有機溶媒などの液体を使用する。脱水後は乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は100〜800℃、好ましくは150〜600℃で実施可能である。800℃を超えると珪酸塩の構造破壊を生じるおそれがあるので好ましくない。
これらのイオン交換性層状珪酸塩は、構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。乾燥方法に関しては特に限定されず各種方法で実施可能である。
(5)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理後の組成
なお、化学処理されたイオン交換性層状珪酸塩を本発明の成分[B]としては、Al/Siの原子比として、0.01〜0.25、好ましくは0.02〜0.18のもの、さらには0.03〜0.11の範囲のものがよい。Al/Si原子比は粘土部分の酸処理強度の指標となるものとみられる。また、上記の範囲にAl/Si原子比を制御する方法としては、化学処理前のイオン交換性層状珪酸塩として、モンモリロナイトを使用し、上記(3)に記載の化学処理をおこなう方法が挙げられる。
イオン交換性層状珪酸塩中のアルミニウム及びケイ素は、JIS法による化学分析による方法で検量線を作成し、蛍光X線で定量するという方法で測定される。
(6)イオン交換性層状珪酸塩のX線回折
X線回折は珪酸塩の同定には最も有力な手段である。測定は多くの方法があるが、一般的には粉末法が使用されることが多い。珪酸塩の結晶内部は原子が規則正しく繰り返して並んでおり、配列の周期はX線の波長と同じ程度である。そのためにX線が結晶にあたって回折が起こり、この現象を3次元的な原子配列がつくる空間格子の格子面からのX線と言い換えることができる。これら挙動は、一般に知られているBraggの条件を満足していると仮定し、それに従い格子面の指数を予想することが可能となる。一方、回折により得られた、多数の反射の面間隔と強度のデータより、反射の指数は不明なままでも、既知物質のデータと比較することにより、結晶性物質の同定を行うことは可能である。
本発明においては、粉末法により測定を行った。このようにして得られる特定なスペクトルのピーク高さにより、強度比を算出した。このX線回折のスペクトルの違いにより、より詳細な珪酸塩の分類が可能である。本発明においては、前述の範囲における強度比が予想外に生成するポリプロピレンに分岐構造を与え、伸長粘度等の溶融物性に影響を与えることがわかった。
本発明の珪酸塩は、X線回折において、2θ=19゜〜21゜未満(A)及び21゜〜23゜(B)にピークが存在し、そのピークの強度比(B)/(A)が1.9以上を示す。1.9未満であると、伸張粘度測定による歪み硬化度(λmax)は、2.0未満となり、溶融時の流動性や張力が不十分となる。[図8]はX線回折の一例を示すスペクトル図である。
X線回折によるイオン交換性層状珪酸塩の2θ=19゜〜21゜未満(A)及び21゜〜23゜(B)のピーク強度比、(B)/(A)の測定法は以下の通りである。
装置: 株式会社リガク、X線回折装置 RINT1500
X線源: CuKα
測定条件: 測定角度(2θ)/5゜〜90゜、スキャン速度/4゜min、発散スリット(DS)/1゜、受光スリット(RS)/0.3mm、散乱スリット(SS)/1゜、測定温度/室温
サンプル調製: サンプルを磁性るつぼに入れ、電気炉(大気雰囲気)を用いて500℃で2時間焼成
ピーク強度比の算出方法: 2θ=10゜、80゜の接線としてバックグラウンド(NET除去)処理し、2種類のピーク高さ強度(cps)を使い、(B)/(A)を求めた。尚、該範囲に複数ピークが存在する場合、各範囲で最も高いピークを採用することとする。
これらX線回折ピークを制御する方法は、珪酸塩の酸処理条件(酸の種類、濃度、処理温度、処理時間)の選定が必要で、(3)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理で記述したように、各々の項目で好ましい範囲で実施することが重要である。また、使用する珪酸塩に含まれる夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態を制御することも重要な因子である。
<成分[C]の詳細な説明>
成分[C]としては、一般式(AlRn3-nmで表される有機アルミニウム化合物が使用される。式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン、水素、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1〜3の、mは1〜2の整数を各々表す。有機アルミニウム化合物は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、m=1、n=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
<触媒調製と予備重合の詳細な説明>
本発明のオレフィン重合用触媒は、上記成分[A]、成分[B]、及び成分[C]を含む。これらは重合槽内で、あるいは重合槽外で接触させオレフィンの存在下で予備重合を行ってもよい。オレフィンとは炭素間二重結合を少なくとも1個含む炭化水素をいい、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチルブテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン等が例示されるが、特に種類に制限はなく、これらと他のオレフィンとの混合物を用いてもよい。好ましくは炭素数3以上のオレフィンがよい。
前記成分[A]、成分[B]、及び成分[C]の使用量は任意であるが、成分[B]中の遷移金属と成分[C]中のアルミニウムとの比が、成分[A]1gあたり、0.1〜1000(μmol):0〜100000(μmol)となるように接触させることが好ましい。また前記成分[A]に加えて、本発明の物質を製造できるのであれば、他の種の錯体を使用することも可能である。
前記成分[A]、成分[B]、及び成分[C]を接触させる順番は任意であり、これらのうち2つの成分を接触させた後に残りの1成分を接触させてもよいし、3つの成分を同時に接触させてもよい。これらの接触において接触を充分に行うため溶媒を用いてもよい。溶媒としては脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素やこれらのハロゲン化物、また予備重合モノマーなどが例示される。
予備重合後に触媒を乾燥してもよい。乾燥方法には特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いても良いし2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし静置させてもよい。
<重合方法の詳細な説明>
重合様式は、前記成分[A]、成分[B]、及び成分[C]からなるオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる方法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は0〜150℃であり、また分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。重合圧力は0〜2000kg/cm2G、好ましくは0〜60kg/cm2Gが適当である。中40℃でこのスラリーを30分攪拌した。また、重合様式として、本発明の物質を製造できるのであればとくに制限はなく、溶液重合2段、溶液重合後ガス重合といった様式も可能であり、さらにはそれ以上の重合段数で製造することが可能である。しかしながら、本発明に開示する分子量、分子量分布の化合物を得るためには、溶液重合法、気相重合の単段での重合が好ましい。
次に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性測定、分析等は下記の方法に従ったものである。
1.メルトフローレート(MFR)
JIS K6758のポリプロピレン試験方法のメルトフローレート(条件:230℃、荷重2.16kgf)に従って測定した。単位はg/10分である。
2.分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値、α/β)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、上記本文記載の方法で測定した。
3.mm分率
日本電子社製、GSX−400、FT−NMRを用い、上記本文記載の方法で測定した。単位は%である。
4.90℃以下の溶出物
昇温溶出分別(TREF)により、上記本文記載の方法で測定した。単位は重量%である。
5.分岐炭素(Cbr)
日本電子社製、GSX−400、FT−NMRを用い、上記本文記載の方法で測定した。
6.伸長粘度
レオメータを用いて、上記本文記載の方法で測定した。
7.組成分析
JIS法による化学分析により検量線を作成し、蛍光X線により測定した。
8.X線回折 上記本文記載の方法で測定した。
[実施例1]
〔成分[A]の製造〕
特開平8−208733号公報の実施例1に記載の方法に準じて、(r)−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドを合成した。
〔触媒の合成〕
(1−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
セパラブルフラスコ中で蒸留水2260gに96%硫酸(1500g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)600gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で480分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水でpH3まで洗浄した。得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後53μm以上の粗大粒子を除去し、更に215℃、窒素気流下、滞留時間10分の条件でロータリーキルン乾燥することにより、化学処理スメクタイト295gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成はAl:2.72重量%、Si:43.48重量%、Mg:0.36重量%、Fe:0.61重量%であり、Al/Si=0.065[mol/mol]であった。また、X線回折を測定したところ、2θ=19゜〜21゜未満(A)及び21゜〜23゜(B)にピークが観測され、そのピークの強度比(B)/(A)は2.45であった。
(1−2)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に上で得られた化学処理スメクタイト20gを入れヘプタン(114mL)を加えてスラリーとし、これにトリエチルアルミニウム(50mmol:濃度71mg/mLのヘプタン溶液を81mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで1/1000まで洗浄し、全容量を200mLとなるようにヘプタンを加えた。
また別のフラスコ(容積200mL)中で、ヘプタン(85mL)に(ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.3mmol)を加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.85mL)を加えて60分室温で攪拌し反応させた。この溶液を、化学処理スメクタイトが入った3Lフラスコに加えて、室温で60分攪拌した。その後ヘプタンを214mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを20g/時の速度でフィードし2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去し、残った部分にトリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分攪拌した。この固体を2時間減圧乾燥することにより乾燥予備重合触媒47.6gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.38であった。
(1−3)プロピレン重合
3Lオートクレーブを加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを加え、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。その後、上記予備重合触媒を予備重合ポリマーを除いた重量で600mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、70℃で1時間重合した。重合はエタノール10mLを導入することにより停止し、残存プロピレンを放出して重合体96gを得た。得られた重合体(プロピレン単独重合体)の物性評価の結果を[表2]に示した。また、NMRスペクトルを[図3]及び[図4]に示した。
[実施例2]
実施例1の(1−3)プロピレン重合を、1時間重合から3時間重合に変更した以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体の物性評価の結果を[表2]に示した。
[実施例3]
〔成分[A]の製造〕
Organometallics,1994年,vol.13,954頁に記載の方法に準じて、(r)−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリドを合成した。
〔触媒調整〜予備重合〜プロピレン重合〕
実施例1で使用したメタロセン化合物の代わりに、(r)−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリドを使用した以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体の物性評価の結果を[表2]に示した。
[比較例1]
(1−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
実施例1において、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径23μm)を使用し、90℃、480分の化学処理をするところを、390分に変更する以外は実施例1と同様に行った。得られた化学処理スメクタイトの組成はAl:4.5重量%、Si:40.7重量%、Mg:0.7重量%、Fe:1.3重量%であり、Al/Si=0.116[mol/mol]であった。またX線回折を測定したところ、2θ=19゜〜21゜未満(A)及び21゜〜23゜(B)にピークが観測され、その強度比(B)/(A)は1.70であった。
上記成分[B]を用いて、以下実施例1と同様にして触媒調整〜予備重合〜プロピレン重合を行った。得られた重合体の物性評価の結果を[表2]に示した。また、NMRスペクトルを[図5]及び[図6]に示した。
比較例1は、実施例1と比較し、粘土の化学処理(酸処理強度)が異なり、組成及びそれに起因するX線回折から見た構造が異なる。[表2]から明らかなように、その化学処理粘土を使用して得られた重合体には分岐の量が少なく、結果として歪硬化が小さい。
[比較例2]
本比較例は、特開2001−525460号公報に記載の実施例3に準じて行ったものである。
(マクロマーの合成)
充分に窒素置換した1Lオートクレーブに、トルエン500ml、有機アルミニウムオキシ化合物(東ソーファインケム社製ヘキサン溶液、MMAO−3A)2.5ml、プロピレン37.5gを導入し、105℃に加熱し、平衡状態になるまで放置した。その後、MMAO 2.5mlとジメチルシリレンビス(2−メチルー4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(1mg/ml)1mlとを接触させて活性化したものを、高圧アルゴンで重合槽に圧送し105℃で15分間重合した。得られたポリマー溶液をエタノール中に加え、ろ過した後に、減圧乾燥を行ったところ、30.5gのポリマーが得られた。該ポリマーの分子量はMn:13600、Mw/Mn:2.6、また、融点は142.9℃であった。
(マクロマーの共重合)
1Lオートクレーブに、上記で合成したマクロマー10gを投入し、窒素を通気しながらオートクレーブを110℃に加熱することによって、さらにマクロマーの乾燥を行った。その後、トルエン500ml投入し、さらに110℃で攪拌することにより、完全にマクロマーを溶解させた。重合槽を冷却し、MMAO 2.5ml、プロピレン37.5g導入したのち、55℃に保って平衡になるまで放置した。その後、MMAO 2.5mlとジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(1mg/ml)1mlとを接触させて活性化したものを、高圧アルゴンで重合槽に圧送し、15分間重合した。重合終了後、ポリマーをろ過によって回収し、減圧乾燥したところ38gのポリマーが得られた。重合体の物性評価の結果を[表2]に示した。
比較例2は実施例1と比較して、分岐量を増やすために、一段目で低分子量体を製造したものである。その結果、溶媒可溶成分が増えてしまい、製品としてクリーン性を損なうという欠点がある。また低分子量側に広がった分子量分布となるため、発泡成形時に独立気泡率が低下してしまうという欠点がある。
[比較例3]
本比較例は、特開2002−523575号公報に記載の実施例29に準じて行ったものである。
充分に窒素置換した1Lオートクレーブに、ヘプタン500ml、MMAO 2.5ML、予めMMAO 2.5mlとジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(1mg/ml)1mlとを接触させて活性化したものを導入し、50℃に保った。プロピレンをゆっくり導入し、最終的に重合槽内の圧力を0.5MPaを保持して1時間重合した。重合終了後ポリマーをろ過によって回収し、減圧乾燥したところ35gのポリマーが得られた。重合体の物性評価の結果を[表2]に示した。
比較例3は実施例1と比較し、使用する触媒、重合条件が異なるため得られる重合体の分岐量が少なく、歪硬化が小さい。また、高分子量側への分子量分布の広がりがないため、発泡成形に不向きとなる欠点がある。
[比較例4]
電子線照射により架橋したポリプロピレンの市販品について、同様に物性を測定し、[表2]の結果を得た。電子線架橋プロピレン重合体には、分岐炭素が存在せず、電子線の照射時に架橋と同時に分子切断も起こってしまい、低分子量成分が増加することが分かる。その結果溶媒可溶成分が増加し、クリーン性を損なうという欠点がある。
Figure 0005028010
本発明のプロピレン単独重合体の分子量分布の一例を示す図である。 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られたクロマトグラムのベースラインを示す図である。 30〜33ppmの範囲において観測されるケミカルシフトの一例(実施例1)を示すNMRスペクトル図である。 42〜45ppmの範囲において観測されるケミカルシフトの一例(実施例1)を示すNMRスペクトル図である。 30〜33ppmの範囲において観測されるケミカルシフトの一例(比較例1)を示すNMRスペクトル図である。 42〜45ppmの範囲において観測されるケミカルシフトの一例(比較例1)を示すNMRスペクトル図である。 実施例1で製造したプロピレン単独重合体の伸長粘度の測定図である。 層状珪酸塩のX線回折の一例を示すスペクトル図である。
符号の説明
Tp:ピーク位置に相当する分子量(MW)の常用対数
50:ピーク高さの50%の高さとなる分子量(MW)の常用対数(低分子量側)
50:ピーク高さの50%の高さとなる分子量(MW)の常用対数(高分子量側)

Claims (8)

  1. 下記(1)〜(6)の特性を有するプロピレン単独重合体。
    (1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重量平均分子量(Mw)が20万〜100万。
    (2)GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が3.5〜10.5。
    (3)GPCによって得られる分子量分布曲線の、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50-Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが1.2以上。
    (4)13C−NMR分析によって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が90%以上。
    (5)オルトジクロロベンゼンを溶媒として使用した昇温溶出分別(TREF)の測定において、90℃以下の温度で溶出する成分が 6.0重量%以下。
    (6)プロピレン重合体の13C−NMR分析において、44.0〜44.1ppm、44.7〜44.8ppm及び44.8〜44.9ppmに3つのメチレン炭素(Ca、Cb、Cc)が観測され、31.6〜31.7ppmにメチン炭素(Cbr)が観測され、かつ該メチン炭素が全骨格形成炭素1000個あたり0.1個以上である(但し、全骨格形成炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する)。
  2. 下記式(1)で示される分岐構造部分を有する請求項1に記載のプロピレン単独重合体(但し、式中、Cbrは炭素数4以上の分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、Ca、Cb、Ccは該メチン炭素(Cbr)に隣接するメチレン炭素を示し、P1、P2、P3は、プロピレン重合体残基を示す)。
    Figure 0005028010
  3. ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が4〜8である請求項1 又は2に記載のプロピレン単独重合体。
  4. ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重量平均分子量(Mw)が30万〜90万である請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン単独重合体。
  5. 下記触媒成分[A]、[B]、[C]を用いてプロピレンを重合することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン単独重合体の製造方法。
    [A]一般式(2)で表される化合物
    Q(IndR1 a)(IndR2 b)MeX11 ・・・(2)
    [ここで、IndR1 a およびIndR2 bは、それぞれ共役五員環配位子を含む置換インデニル配位子を示し、Q は二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基を示し、Me はジルコニウムまたはハフニウムを、X1 およびY1 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。R1 およびR2 は、それぞれ独立して、インデニル基の水素を置換する、炭素数1〜30の、炭化水素基、ハロゲン基、ハロゲンを含有する炭化水素基を示す。また、aおよびbは、1〜4の整数である。]
    [B]イオン交換性層状珪酸塩
    [C]有機アルミニウム化合物
  6. [B]イオン交換性層状珪酸塩が、X線回折において、2θ=19゜〜21゜未満(A)と21゜〜23゜(B)にピークが存在し、該ピークの強度比(B)/(A)が1.9以上であることを特徴とする請求項5に記載のプロピレン単独重合体の製造方法。
  7. [B]イオン交換性層状珪酸塩が、珪素(Si)に対するアルミウム(Al)の比(Al/Si)が0.10以下であること特徴とする請求項5又は6に記載のプロピレン単独重合体の製造方法。
  8. 押出発泡成形用である請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン単独重合体。
JP2005354613A 2005-12-08 2005-12-08 プロピレン単独重合体およびその製造方法 Active JP5028010B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005354613A JP5028010B2 (ja) 2005-12-08 2005-12-08 プロピレン単独重合体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005354613A JP5028010B2 (ja) 2005-12-08 2005-12-08 プロピレン単独重合体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007154121A JP2007154121A (ja) 2007-06-21
JP5028010B2 true JP5028010B2 (ja) 2012-09-19

Family

ID=38238890

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005354613A Active JP5028010B2 (ja) 2005-12-08 2005-12-08 プロピレン単独重合体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5028010B2 (ja)

Families Citing this family (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8080624B2 (en) 2007-08-06 2011-12-20 Japan Polypropylene Corporation Propylene-based polymer, production method therefor, composition using the same, and application thereof
JP5285893B2 (ja) * 2007-10-31 2013-09-11 日本ポリプロ株式会社 溶融物性が改良されたプロピレン系重合体の製造方法
JP4553966B2 (ja) * 2008-04-15 2010-09-29 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系重合体
JP5297838B2 (ja) * 2008-04-18 2013-09-25 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系発泡延伸フィルム
JP5342922B2 (ja) * 2008-05-09 2013-11-13 日本ポリプロ株式会社 押出発泡成形用樹脂組成物およびそれを用いた発泡体
JP5297834B2 (ja) * 2008-05-12 2013-09-25 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系発泡フィルム
JP2009275081A (ja) * 2008-05-13 2009-11-26 Japan Polypropylene Corp プロピレン系樹脂組成物
JP5286154B2 (ja) * 2008-05-13 2013-09-11 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系重合体
JP5140625B2 (ja) * 2008-05-14 2013-02-06 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた食品容器、医療部材
JP5286147B2 (ja) * 2008-05-14 2013-09-11 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系深絞り成形体
JP5171727B2 (ja) * 2008-05-15 2013-03-27 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系射出発泡成形体及びその製造方法
JP4990217B2 (ja) * 2008-05-15 2012-08-01 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂組成物およびその成形体
JP5162323B2 (ja) * 2008-05-15 2013-03-13 日本ポリプロ株式会社 押出発泡成形用樹脂組成物およびそれを用いた発泡体
JP5256102B2 (ja) * 2008-05-15 2013-08-07 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系射出ブロー成形体
JP4990218B2 (ja) * 2008-05-15 2012-08-01 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂組成物およびその成形体
JP5162322B2 (ja) * 2008-05-15 2013-03-13 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系中空発泡成形体
JP4990219B2 (ja) * 2008-05-15 2012-08-01 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂組成物およびその成形体
JP5011202B2 (ja) * 2008-05-15 2012-08-29 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂組成物
JP4990216B2 (ja) * 2008-05-15 2012-08-01 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂組成物
JP5162329B2 (ja) * 2008-05-16 2013-03-13 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系発泡シート、多層発泡シートおよびそれを用いた熱成形体
JP5315113B2 (ja) * 2008-05-16 2013-10-16 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系中空発泡成形体
JP5124517B2 (ja) * 2008-05-16 2013-01-23 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系ブロー成形体
JP5417023B2 (ja) * 2008-05-16 2014-02-12 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系発泡シート、多層発泡シートおよびそれを用いた熱成形体
JP5175668B2 (ja) * 2008-09-19 2013-04-03 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系重合体およびその製造方法
JP5422323B2 (ja) * 2009-09-28 2014-02-19 日本ポリプロ株式会社 ポリプロピレン系射出発泡成形体及びその製造方法
JP6303720B2 (ja) * 2014-03-31 2018-04-04 日本ポリエチレン株式会社 オレフィン重合触媒
US20240182609A1 (en) 2021-03-29 2024-06-06 Japan Polypropylene Corporation Branched propylene-based polymer and production method therefor
JP2023031266A (ja) 2021-08-23 2023-03-08 日本ポリプロ株式会社 分岐状プロピレン系重合体

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10298217A (ja) * 1997-04-24 1998-11-10 Mitsubishi Chem Corp オレフィン重合用触媒成分及びそれからなる触媒
JP4079542B2 (ja) * 1999-03-17 2008-04-23 出光興産株式会社 オレフィン重合用触媒の製造方法及びオレフィン系重合体の製造方法
JP2002053609A (ja) * 2000-05-29 2002-02-19 Japan Polychem Corp オレフィン重合用触媒
JP4820472B2 (ja) * 2000-09-13 2011-11-24 日本ポリプロ株式会社 オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒およびそれを用いたポリオレフィンの製造方法
JP4083457B2 (ja) * 2002-04-03 2008-04-30 日本ポリプロ株式会社 プロピレン重合用触媒及びプロピレンの重合方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007154121A (ja) 2007-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5028010B2 (ja) プロピレン単独重合体およびその製造方法
JP4637157B2 (ja) プロピレン系重合体及びその製造方法
JP5555785B2 (ja) プロピレン系重合体
JP5256115B2 (ja) メタロセン化合物を用いたプロピレン系重合体の製造方法
JP5456343B2 (ja) メタロセン錯体およびそれを含むオレフィン重合用触媒
JP4553966B2 (ja) プロピレン系重合体
JP4637158B2 (ja) プロピレン系重合体及びその製造方法
JP4990219B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形体
JP5140625B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた食品容器、医療部材
JP5624948B2 (ja) 双峰性の組成分布を有するエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法
JP5011202B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物
JP2002037812A (ja) オレフィン重合用触媒およびそれを用いたポリオレフィンの製造方法
JPH11255816A (ja) α−オレフィン重合用触媒成分、触媒、及びそれを用いたα−オレフィンの重合方法
JP5498926B2 (ja) 長鎖分岐を有するプロピレン系重合体の製造方法
JP4990216B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物
JP5256245B2 (ja) 長鎖分岐を有するプロピレン系重合体の製造方法
JP2009275118A (ja) 結晶性ポリプロピレン樹脂組成物およびそれから得られる射出成形体
JP5250303B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物
JP5147530B2 (ja) プロピレン−エチレン共重合体
JP5271518B2 (ja) 溶融物性が改良されたプロピレン系重合体の製造方法
JP5210601B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物
JPH10273507A (ja) プロピレン重合体
JP2015098559A (ja) 押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物および積層体
JP2008162857A (ja) イオン交換性層状珪酸塩粒子とその製造方法、及びこれよりなるオレフィン重合用触媒とこれを用いたオレフィン重合体の製造方法
JP6866813B2 (ja) プロピレン−コモノマー共重合体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111018

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111212

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120117

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120213

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120605

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120625

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150629

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5028010

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150629

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250