JP5624948B2 - 双峰性の組成分布を有するエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、ポリオレフィンの分子量分布を制御することにより、各種性能を改良する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
上記特許文献1には、2種類のメタロセン系触媒を用いて製造される二峰性または広い分子量分布を持つポリオレフィンが開示されている。また、特許文献2には、2種類のメタロセン系触媒を用いて製造されるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により2つ以上のピークを持つポリオレフィンが開示されている。特許文献3には、2種類のメタロセン系触媒を用いて製造される双峰型分子量分布を有するエチレンポリマーが開示されている。また、特許文献4には、単一反応器内でメタロセン触媒成分および新規なモノサイト触媒成分から製造されるマルチモーダルなポリオレフィンが開示されている。さらに、特許文献5には、単一の反応器内での2モードの分子量分布のエチレンポリマー及びコポリマーが開示されている。
また、重合体の機械的強度及び耐久性等の性能を改良するために、分子量分布だけでなく、重合体に含まれるコモノマーの分岐度を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
上記特許文献6には、特定の触媒を用いることにより、高分子量から低分子量までの成分を含み、コモノマー分岐を高分子量側に選択的に導入でき、加工性が良好で機械特性に優れた高活性なエチレン系共重合体が製造できることが、開示されている。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記複素環式芳香族基は、下記一般式(IX)で表される構造であることを特徴とするエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、エチレン−α−オレフィン共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比が4.0〜20であることを特徴とするエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、エチレン−α−オレフィン共重合体は、クロス分別クロマトグラフィー(CFC)により測定される双峰性の溶出ピークのうち、低温側で溶出するポリマー成分の重量平均分子量(Mw)が1×105以上であることを特徴とするエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法が提供される。
これにより、耐衝撃性と耐久性のバランスに優れたエチレン系共重合体を効率的に製造することができ、本発明の製造方法は、工業的な観点から、非常に有用である。
本発明で用いられるメタロセン錯体は、分子内に少なくとも1つの複素環式芳香族基を有するメタロセン化合物であって、具体的には、下記一般式(I)〜(VI)で表される少なくとも1種の化合物が使用される。
Q1(C5H4−cR1 c)(C5H4−dR2 d)MX1X2・・・(II)
Q2(C5H4−eR3 e)ZMX1X2 ・・・(III)
(C5H5−fR3 f)ZMX1X2 ・・・(IV)
(C5H5−fR3 f)MX1X2W ・・・(V)
Q3(C5H5−gR4 g)(C5H5−hR5 h)MX1X2・・・(VI)
すなわち、メチレン基、エチレン基のようなアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、フェニルメチリデン基、ジフェニルメチリデン基のようなアルキリデン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基のような珪素含有架橋基、ゲルマニウム含有架橋基、アルキルフォスフィン、アミン等である。
これらのうち、アルキレン基、アルキリデン基、珪素含有架橋基、及びゲルマニウム含有架橋基が特に好ましく用いられる。
すなわち、メチレン基、エチレン基のようなアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、フェニルメチリデン基、ジフェニルメチリデン基のようなアルキリデン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基のような珪素含有架橋基、ゲルマニウム含有架橋基、アルキルフォスフィン、アミン等である。
これらのうち、アルキレン基、アルキリデン基、珪素含有架橋基、及びゲルマニウム含有架橋基が特に好ましく用いられる。
また、複素環式芳香族基は、一般式(IX)において、Yが酸素であるフリル基について例示するが、フリル基を置換フリル基および他の複素環式芳香族基に置き換えた化合物も、同様に使用可能である。他の複素環式芳香族基としては、一般式(IX)において、Yが硫黄であるチエニル基、置換チエニル基、Yが窒素(−NH−)であるピロリル基、置換ピロリル基、或いは、6員環であるピリジル基、置換ピリジル基などが挙げられる。
さらに、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)で示されるメタロセン化合物は、同一の一般式で示される化合物、又は異なる一般式で示される化合物の二種以上の混合物として、用いることができる。
ビス(2−フリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−(2−フリル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−(2−フリル)−4,5ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−(2−フリル)−フルオレニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−(2−フリル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−(2−フリル)−4H−アズレニル)シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−(2−フリル)−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−(2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド。
ジメチルシリレンビス(1,1’−(2−フリルシクロペンタジエニル))ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)インデニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)−4,5ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)−4−ヒドロアズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル]}ジルコニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)−4−ヒドロアズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−{2−[2−(5−トリメチルシリル)フリル]−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル}}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−(2−(2−フリル)フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−(2−(2−フリル)フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(2−フリルシクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−(2−(2−フリル)フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−(2−(2−フリル)フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フリルシクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(2−フリルシクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)(4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロライド。
(第3級ブチルアミド)(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)−(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル−ジルコニウムジクロライド、(エチルアミド)(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)−メチレンジルコニウムジクロライド、(第3級ブチルアミド)ジメチル−(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(第3級ブチルアミド)ジメチル(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(フエニルホスフイド)ジメチル(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル。
(2−フリルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(1−(2−フリル)−3−メチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(2−フリルシクロペンタジエニル)(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(2−フリルシクロペンタジエニル)(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド。
(2−フリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(1−(2−フリル)−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(2−フリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド。
エチレンビス(7,7’−(2−(2−フリル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−(1−メチル−3−(2−フリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−[1−メチル−4−(2−フリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[7,7’−(1−エチル−3−(2−フリル)インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−[1−イソプロピル−3−(2−フリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド。
ジメチルシリレンビス(1,1’−(2−フリルシクロペンタジエニル))ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)インデニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)−4,5ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)−4−ヒドロアズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル]}ジルコニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’−(2−(2−フリル)−4−ヒドロアズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−{2−[2−(5−トリメチルシリル)フリル]−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル}}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−(2−(2−フリル)フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−(2−(2−フリル)フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(2−フリルシクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−(2−(2−フリル)フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−(2−(2−フリル)フルオレニル))ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フリルシクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−フリルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(2−フリルシクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)(4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロライド。
(第3級ブチルアミド)(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)−(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル−ジルコニウムジクロライド、(エチルアミド)(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)−メチレンジルコニウムジクロライド、(第3級ブチルアミド)ジメチル−(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(第3級ブチルアミド)ジメチル(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(フエニルホスフイド)ジメチル(2−(2−フリル)シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル。
メタロセン化合物の特殊な例として、特開平7−188335号公報やJounal of American Chemical Society,1996、Vol.118,2291に開示されている5員環あるいは6員環に、炭素以外の元素を一つ以上含む配位子を有する遷移金属化合物も、使用可能である。
また、複素環式炭化水素基を置換基として有するメタロセン化合物の例としては、特許第3674509号公報に開示されている。
本発明では、上記の分子内に少なくとも1つの複素環式芳香族基を有するメタロセン化合物と、成分(B)として、メタロセン化合物と反応してイオン対を形成するホウ素化合物及び/又はイオン交換性層状珪酸塩とが、触媒の主成分として用いられるが、成分(B)は、イオン交換性層状珪酸塩が好ましい。これらの成分は、単独でも良いし、二種以上を用いても良い。
上記ボラン化合物をより具体的に表すと、トリフェニルボラン、トリ(o−トリル)ボラン、トリ(p−トリル)ボラン、トリ(m−トリル)ボラン、トリ(o−フルオロフェニル)ボラン、トリス(p−フルオロフェニル)ボラン、トリス(m−フルオロフェニル)ボラン、トリス(2,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランなどが挙げられる。
[L1−H]+[BR6R7X4X5]−・・・式(1)
アンモニウムとしては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウムなどのトリアルキル置換アンモニウム、ジ(n−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムなどのジアルキルアンモニウムを例示できる。
さらに、ホスフォニウムとしては、トリフェニルホスフォニウム、トリブチルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムなどのトリアリールホスフォニウム、トリアルキルホスフォニウムが挙げられる。
さらに、X4及びX5は、ハイドライド基、ハライド基、1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、1個以上の水素原子がハロゲン原子によって置換された1〜20の炭素原子を含む置換炭化水素基である。
[L2]+[BR6R7X4X5]−・・・式(2)
無機物担体に用いることができる好適な金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
ここで、上記の式は、分子式ではなく、組成のみを表すものであって、本発明において用いられる複合酸化物の構造および成分比率は特に限定されるものではない。
また、本発明において用いる金属酸化物は、少量の水分を吸収していても差し支えなく、少量の不純物を含有していても差し支えない。
金属炭酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、具体的には、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。
炭素質物としては、例えば、カーボンブラック、活性炭などが挙げられる。
以上の無機物担体は、いずれも本発明に好適に用いることができるが、特に金属酸化物、シリカ、アルミナなどの使用が好ましい。
これら無機物担体の性状としては、特に制限はないが、通常、平均粒径は5〜200μm、好ましくは10〜150μm、平均細孔径は20〜1000Å、好ましくは50〜500Å、比表面積は150〜1000m2/g、好ましくは200〜700m2/g、細孔容積は0.3〜2.5cm3/g、好ましくは0.5〜2.0cm3/g、見掛比重は0.20〜0.50g/cm3、好ましくは0.25〜0.45g/cm3を有する無機物担体を用いるのが好ましい。
(II)メタロセン化合物と、微粒子担体とを接触させた後、ホウ素化合物を接触させる。
(III)ホウ素化合物と微粒子担体とを接触させた後、メタロセン化合物を接触させる。
この接触は、通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜100℃、さらに好ましくは0℃〜80℃の温度にて、5分〜50時間、好ましくは30分〜24時間、さらに好ましくは30分〜12時間で行うことが望ましい。
(IV)メタロセン化合物と微粒子担体とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下でホウ素化合物と接触させる。
(V)ホウ素化合物と微粒子担体とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下でメタロセン化合物と接触させる。
上記(IV)、(V)の接触方法の場合も、成分比、接触条件および溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
本発明において、好ましく用いられるものは、スメクタイト族に属するもので、具体的にはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどを挙げることができる。
大部分のイオン交換性層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の交雑物(石英やクリストバライトなど)が含まれることが多く、本発明で用いられるスメクタイト族のイオン交換性層状珪酸塩に交雑物が含まれていてもよい。
珪酸塩は、乾燥状態で用いてもよく、液体にスラリー化した状態で用いてもよい。また、イオン交換性層状珪酸塩の形状については、特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、粉砕、造粒、分級などの操作によって形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩を用いてもよい。このうち造粒されたイオン交換性珪酸塩を用いると、良好なポリマー粒子性状を与えるため、特に好ましい。
造粒、粉砕、分級などのイオン交換性層状珪酸塩の形状加工は、酸処理の前に行ってもよいし、酸処理を行った後に形状を加工してもよい。
本発明で用いられるイオン交換性層状珪酸塩は、酸処理をして用いるが、その他の化学処理を組み合わせて、処理を行っても良い。その他の化学処理としては、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。
イオン交換性層状珪酸塩の酸処理により、固体の酸強度を変えることができる。また、酸処理は、イオン交換や表面の不純物を取り除く効果の他、結晶構造のAl、Fe、Mg、Liなどの陽イオンの一部を溶出させる効果もある。
酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸などが挙げられる。これらは、2種以上を同時に使用してもよい。中でも無機酸が好ましく、硫酸、塩酸、硝酸が好ましく、さらに好ましくは硫酸である。
また、酸処理と塩類処理を組み合わせる方法が特に好ましく、塩類処理を行った後に酸処理を行う方法、酸処理を行った後に塩類処理を行う方法、塩類処理と酸処理を同時に行う方法、塩類処理を行った後に塩類処理と酸処理を同時に行う方法などがある。
塩類処理を同時に行うことにより、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成することにより、表面積や層間距離を変えることができる。例えば、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることができる。
上記の酸処理を行う場合、処理前、処理の間、処理後に粉砕や造粒などで形状制御を行ってもよい。また、アルカリ処理、有機化合物処理、有機金属処理などの他の化学処理を併用してもよい。
イオン交換性珪酸塩は、上記の様な吸着水及び層間水を除去してから、使用することが好ましい。脱水方法は、特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水及び有機溶媒との共沸脱水などの方法が使用される。加熱温度は、吸着水及び層間水が残存しない様な温度範囲とされ、通常100℃以上、好ましくは150℃以上とされるが、構造破壊を生じる様な高温条件は好ましくない。加熱時間は、0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、脱水乾燥した後のイオン交換性層状珪酸塩の重量減量は、温度200℃・圧力1mmHgの条件下で2時間吸引した場合の値として、3重量%以下であることが好ましい。本発明においては、重量減量が3重量%以下に調整されたイオン交換性層状珪酸塩を使用する場合、メタロセン化合物及び有機アルミニウム化合物と接触する際にも、同様の重量減量の状態が保持される様に取り扱うことが好ましい。
本発明に係る触媒成分である酸処理されたイオン交換性層状珪酸塩は、Al/Siの原子比として、0.01〜0.29のものであり、好ましくは0.03〜0.25、さらに好ましくは0.05〜0.23の範囲のものが、重合触媒の活性の点で好ましい。
Al/Si原子比は、粘土部分の酸処理強度の指標となり、Al/Si原子比を制御する方法としては、酸処理を行う酸種、酸濃度、酸処理時間、温度を調整することにより制御することができる。
イオン交換性層状珪酸塩中のアルミニウム及びケイ素は、JIS法による化学分析による方法で検量線を作成し、蛍光X線で定量するという方法で測定される。
各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(VI)メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物を接触させた後、イオン交換性層状珪酸塩担体と接触させる。
(VII)メタロセン化合物とイオン交換性層状珪酸塩担体を接触させた後、有機アルミニウム化合物と接触させる。
(VIII)有機アルミニウム化合物とイオン交換性層状珪酸塩担体を接触させた後、メタロセン化合物と接触させる。
メタロセン化合物の担持量は、イオン交換性層状珪酸塩担体1gあたり、0.0001〜5ミリモル、好ましくは0.001〜0.5ミリモル、さらに好ましくは0.01〜0.1ミリモルである。
また、有機アルミニウム化合物を用いる場合のAl担持量は、0.01〜100モル、好ましくは0.1〜50モル、さらに好ましくは0.2〜10モルの範囲であることが望ましい。
さらに、用いる有機アルミニウム化合物の種類は特に限定されないが、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなど挙げられる。
(1)エチレン系共重合体の製造方法
上記したエチレン系重合触媒は、エチレンとα−オレフィンとの共重合に、使用可能である。
α−オレフィン類は、2種類以上のα−オレフィンをエチレンと共重合させることも可能である。
共重合は、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであっても差し支えない。
エチレンと他のα−オレフィンとを共重合させる場合、当該他のα−オレフィンの量は、全モノマーの90モル%以下の範囲で任意に選ぶことができるが、一般的には、40モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で選ばれる。もちろん、エチレンやα―オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能であり、この場合、スチレン、4−メチルスチレン、4−ジメチルアミノスチレン等のスチレン類、1,4−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等のジエン類、ノルボルネン、シクロペンテン等の環状化合物、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチル等の含酸素化合物類、等の重合性二重結合を有する化合物を挙げることができる。
スラリー重合の場合、実質的に酸素、水等を断った状態で、イソブタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で、エチレン等を重合させる。また、液状エチレンや液状プロピレン等の液体モノマーも溶媒として使用できることは言うまでもない。
また、気相重合の場合、エチレンやコモノマーのガス流を導入、流通、または循環した反応器内においてエチレン等を重合させる。
本発明で得られる、エチレン−α−オレフィン共重合体は、クロス分別クロマトグラフィー(以下、CFCと記載)により測定される溶出ピークが双峰性となる。この双峰性は、CFCによる溶出ピークの温度差に由来して生じる。ここで、溶出ピークの温度差は、5℃以上あることが好ましく、さらには、10℃以上あることが好ましい。さらには、高温側で溶出するポリマーの分子量は、低温側で溶出するポリマーの分子量よりも低いことが好ましい。
なお、本発明において用いられる双峰性とは、CFC測定において溶出温度と分子量との関係を示す溶出ピークを示すグラフにおいて、極大を示すピークが複数存在することをいい、本明細書の図1に示される溶出ピークは、その例である。また、極大を示すピークが1つの場合を単峰性といい、本明細書の図2に示される溶出ピークは、その例である。
先ず、ポリマーサンプルを0.5mg/mLのBHTを含むオルトジクロロベンゼン(ODCB)に140℃で完全に溶解した後、この溶液を装置のサンプルループを経て140℃に保持されたTREFカラム(不活性ガラスビーズ担体が充填されたカラム)に注入し、所定の第1溶出温度まで徐々に冷却しポリマーサンプルを結晶化させる。
所定の温度で30分保持した後、ODCBをTREFカラムに通液することにより、溶出成分がGPC部に注入されて分子量分別が行われ、赤外検出器(FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器、測定波長3.42μm)によりクロマトグラムが得られる。その間TREF部では、次の溶出温度に昇温され、第1溶出温度のクロマトグラムが得られた後、第2溶出温度での溶出成分がGPC部に注入される。以下同様の操作を繰り返すことにより、各溶出温度での溶出成分のクロマトグラムが得られる。
また、コモノマー分岐数の分子量依存性を測定する方法は、重合体の溶媒抽出によって分子量分別したエレメントの分岐数をNMR解析する方法、LCトランスフォーム(LC−Transform)を用いる方法なども利用できる(注:前記特許文献6の[0065]〜[0067]参照。)。
さらに、特に良好な物性を示すためには、低温側で溶出するポリマーの分子量が105以上であることが好ましい。
重量平均分子量が1×104未満の場合、耐衝撃性・耐環境応力亀裂などに代表される機械物性が低下し、一方、重量平均分子量が1×106超の場合は、樹脂の流動性が低下し、押出特性などの成形加工特性が損なわれる。
生成重合体の分子量は、重合温度、触媒のモル比等の重合条件を変えることによってもある程度調節可能であるが、重合反応系に水素を添加することで、より効果的に分子量調節を行うことができる。
なお、実施例において使用した評価方法は、以下のとおりであり、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で行い、また、使用した溶媒は、モレキュラーシーブ4Aで脱水精製したものを用いた。
(1)ハイロードメルトフローレート(HLMFR):
JIS K−7210(2004年版)の附属書A表1−条件Gに従い、試験温度190℃、公称荷重21.60kgにおける測定値をHLMFRとして示した。
(2)密度:
JIS K−7112(2004年版)に従い測定した。
生成エチレン系重合体について、下記の条件でゲル透過クロマトグラフ(GPC)を行ない、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を求めて分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
[ゲル透過クロマトグラフ測定条件]
装置:Waters 150Cモデル
カラム:Shodex−HT806M
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
温度:135℃
単分散ポリスチレンフラクションを用いてユニバーサル評定。
MwのMnに対する比率(Mw/Mn)で示される分子量分布(Mw/Mnが大きいほど分子量分布が広い)については、「サイズ排除クロマトグラフィー(高分子の高速液体クロマトグラフィー)」(森定雄著,共立出版,96頁)に記載された分子量と検出器感度の式にn−アルカンおよびMw/Mn≦1.2の分別直鎖ポリエチレンのデータを当てはめて、次式で示される分子量Mの感度を求め、サンプル実測値の補正を行なった。
分子量Mの感度=a+b/M
(a、bは定数で、a=1.032、b=189.2)
DSC(デュポン社製のTA2000型、又はセイコー・インスツルメンツ社製のDSC6200型)を使用し、エチレン系重合体は、10℃/分で20〜170℃までの昇降温を1回行った後、10℃/分で2回目の昇温時の測定値により求めた。
以下の測定条件、データ解析により測定した。
(i)測定条件:
装置:ダイヤインスツルメンツ社製CFC−T102LGPCカラム:昭和電工社製AD−806MS(3本を直列に接続)
溶媒:ODCB
サンプル濃度:3mg/mL
注入量:0.4mL
結晶化速度:10℃/時
溶媒流速:1mL/分
GPC測定時間:34分
GPC測定後安定時間:5分
溶出温度:40,55,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,103,110,140℃
測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%となるように規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。さらに、溶出温度に対する積分溶出曲線が計算される。この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が求められる。
また、各クロマトグラムから、次の手順により分子量分布が求められる。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算は、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に、汎用較正曲線を用いる。その際、使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
なお、第1溶出温度でのクロマトグラムでは、溶媒に添加したBHTによるピークと溶出成分の低分子量側とが重なる場合があるが、その際は、図3のように、ベースラインを引き分子量分布を求める区間を定める。
(1)メタロセン錯体1:ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドの合成
特許第3674509号公報の実施例3(ジメチルシリレンビス[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド(化合物番号95)の合成)に従って、合成を行った。
(2−1)酸処理:
ゼパラブルフラスコに蒸留水1130gと96%硫酸750gを加え、内温を90℃に保ち、そこに造粒モンモリロナイトである水澤化学社製ベンクレイSL(平均粒径19μm、300g)を添加し2時間反応させた。懸濁液を1時間で室温まで冷却し、蒸留水でpH=4まで洗浄した。このときの洗浄倍率は1/10000以下であった。
ゼパラブルフラスコで硫酸リチウム1水和物210gを蒸留水520gに溶かし、そこに、濾過した酸処理粘土を加え室温で120分撹拌した。このスラリーを濾過し、得られた固体に蒸留水3000mlを加え5分間室温で撹拌した。このスラリーを濾過した。得られた固体に蒸留水2500mlを加え5分撹拌後再び濾過した。この操作をさらに4回繰り返し、得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、さらに200℃で2時間減圧乾燥することにより、化学処理モンモリロナイトを得た。
この化学処理モンモリロナイトの組成は、Al:7.5wt%、Si:37.6wt%、Mg:1.22wt%、Fe:1.60wt%、Li:0.22wt%であり、Al/Si=0.207[mol/mol]であった。
磁気誘導式攪拌機と攪拌羽根を具えたガラスフラスコに、スメクタイト族イオン交換性層状珪酸塩の化学処理で得られた化学処理モンモリロナイトを3gとり、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(1mol/L)の9mlを添加した。これを室温で1hr攪拌した後、静置させて上澄み液5mlを除いた。これに30mlのヘキサンを添加し、1分攪拌して静置させた後に上澄み液を除いた。このデカンテーションを合計3回繰り返し、余剰のトリエチルアルミニウムを取り除いた。洗浄後のスラリーを40℃に加熱し、別途作製したメタロセン錯体1(48.3mg、90μmol)のトルエン溶液(36ml)を添加した。これを40℃で1hr攪拌した後、減圧下で溶媒を留去して粉体状の触媒を得た。
内容積1.5リッターの誘導攪拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製イソブタン(800mL)をオートクレーブ内に導入した。トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.1mmol/ml)を4ml、1−ヘキセンを40ml添加した後、80℃まで昇温した。エチレンで2.8MPaまで昇圧(エチレン分圧1.5MPa)した後、上記(3)で得られた担持触媒のヘプタンスラリー16.7ml(167mg触媒)を窒素で圧入し、全圧を3.1MPaとすることで重合を開始した。
重合中は、エチレン分圧を1.5MPa維持するようにエチレンを供給した。また、重合開始後、水素および1−ヘキセンを連続的に添加して、重合を2時間継続した。水素は、15分間隔で気相部の水素濃度を確認し、添加量を調節した。その結果、2時間の平均水素濃度(水素濃度/エチレン濃度)は、654molppmであった。また、1−ヘキセンもエチレンの導入量に比例させて、連続的に導入した。その結果、重合中に導入された1−ヘキセンは、36mlであった。従って、1−ヘキセンの全体の添加量は、76mlとなった。
2時間後、内容物をパージすることにより反応を停止し、ポリマーを回収した。重合結果および得られたポリマーの分析値を、表1、表2に示した。
図1は、得られたポリマーのCFCデータであり、溶出ピークは2峰性を示している。
(1)メタロセン錯体2:メチレンビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
300mlのガラス製反応容器に、ビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)メタン2.7g(4.1mmol)、ジエチルエーテル100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.57mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液5.2ml(8.2mmol)を滴下した。滴下後、室温に戻し2時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン100ml、ジエチルエーテル10mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム0.95g(4.1mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。このときの反応液の一部をとり、1H−NMRを測定した結果、ラセミ体/メソ体比は95/5であった。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶することによりメチレンビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドのラセミ体を赤色結晶として1.9g(収率56%)得た。
1H−NMR値(CDCl3) ラセミ体:δ1.33(s,18H),δ2.55(s,6H),δ5.51(s,2H),δ6.14(d,2H),δ6.32(d,2H),δ6.43(d,2H),δ6.68(dd,2H),6.76(s,2H),δ7.18(d,2H),δ7.44(d,4H),δ7.54(d,4H)。
実施例1(2)と同じ化学処理モンモリロナイトを用いた。
実施例1(3)において、メタロセン錯体1の代わりに、メタロセン錯体2(74.6mg、90μmol)を用いる以外は、同様に行った。
内容積2リッターの誘導攪拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製ヘキサン(1000mL)をオートクレーブ内に導入した。トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.1mmol/ml)を4ml、1−ヘキセンを5ml添加した後、80℃まで昇温した。水素を分圧として0.0035MPaをなるようにエチレンで希釈して添加し、次いでエチレンで0.7MPaまで昇圧した後、実施例2(3)で得られた担持触媒のヘプタンスラリー1.8ml(18mg触媒)を圧入することで重合を開始した。重合中は、内圧が0.7MPaとなるようにエチレンのみ供給した。
1時間後、エタノールを圧入することで重合反応を停止し、ポリマーをろ過により回収した。重合結果および得られたポリマーの分析値を、表1、表2に示した。
(1)メタロセン錯体3:ジメチルシリレン(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)(4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成:
ジメチル(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)(4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)シラン(10.8g、17mmol)、ジエチルエーテル(250ml)を加え−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(22ml、35mmol、1.58mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら2時間攪拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、トルエン(400ml),ジエチルエーテル(20ml)を加え、−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム(4.0g、17mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一晩攪拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレン(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)(4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロライドの橙色結晶(0.6g、収率4%)を得た。
1H−NMR値(CDCl3):δ1.12(s,3H),1.21(s,3H),1
.33(s,18H),2.43(s,3H),6.06(d,1H),6.10(d,
1H),6.28(d,1H),6.81〜7.60(m,16H)
実施例1(2)と同じ化学処理モンモリロナイトを用いた。
実施例1(3)において、メタロセン錯体1の代わりに、メタロセン錯体3(71.4mg、90μmol)を用いる以外は、同様に行った。
実施例1(4)において、実施例1(3)で得られた担持触媒を用いる代わりに、実施例3(3)で得られた担持触媒のヘプタンスラリーを3.1ml(31mg触媒)用い、水素および1−ヘキセンを、表1に記載のように添加した以外は、同様に行った。
重合結果および得られたポリマーの分析値を、表1、表2に示した。
(1)エチレン/1−ヘキセン共重合
水素および1−ヘキセンを、表1に記載のように添加した以外は、実施例3(4)と同様に行った。
重合結果および得られたポリマーの分析値を、表1、表2に示した。
(1)担持触媒の調製
十分に窒素で置換した、誘導撹拌機を装着したフラスコに、予め、400℃で8時間、窒素雰囲気下で焼成したシリカ(GRACE社製、Sylopol948)を5g充填し、オイルバスにより40℃に加熱した。別のフラスコにメチルアルモキサンのトルエン溶液(アルベマール社製、3.0molAl/L)を8.1ml分取した。メタロセン錯体1(67.1mg、125μmol)のトルエン溶液(50ml)をメチルアルモキサンのトルエン溶液に室温で添加し、30分撹拌した。
次いで、このトルエン溶液を、40℃に加熱したシリカに撹拌しながら添加し1時間保持した。その後、40℃加熱した状態で、減圧により溶媒を留去した。減圧度が0.8mmHg以下となってから、さらに15分間減圧乾燥を継続し担持触媒を得た。
得られた担持触媒の一部をn−ヘプタンにより希釈(10mg−固体触媒/ml)し、オレフィン重合評価に用いた。
実施例1(4)において、実施例1(3)で得られた担持触媒を用いる代わりに、比較例1(1)で得られた担持触媒のヘプタンスラリーを10.6ml(106mg触媒)用い、水素および1−ヘキセンを、表1に記載のように添加し、重合時間を1時間とした以外は同様に行った。
重合結果および得られたポリマーの分析値を、表1、表2に示した。
図2は、得られたポリマーのCFCデータであり、溶出ピークは単峰性を示している。
(1)担持触媒の調製
比較例1(1)において、錯体1の代わりに、メタロセン錯体3(99.1mg、125μmol)を用いる以外は、同様に行った。
実施例1(4)において、実施例1(3)で得られた担持触媒を用いる代わりに、比較例2(1)で得られた担持触媒のヘプタンスラリーを5.4ml(54mg触媒)用い、水素および1−ヘキセンを、表1に記載のように添加し、重合時間を1時間とした以外は同様に行った。
重合結果および得られたポリマーの分析値を、表1、表2に示した。
Claims (7)
- 分子内に少なくとも1つの複素環式芳香族基を有する1種類の下記一般式(VII)で表されるメタロセン化合物、及びイオン交換性層状ケイ酸塩を主成分とする触媒を用い、エチレンとα−オレフィンとを単一の反応器で、スラリー重合により、かつ単段重合にて重合させ、且つ重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体は、クロス分別クロマトグラフィー(CFC)により測定される溶出ピークが双峰性であることを特徴とするエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
- 前記複素環式芳香族基は、酸素、窒素または硫黄を含むことを特徴とする請求項1に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
- 前記複素環式芳香族基は、下記一般式(IX)で表される構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
- 一般式(VII)のR11が複素環式芳香族基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
- エチレン−α−オレフィン共重合体は、密度が0.910〜0.960g/cm3、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が1×104〜5×106であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
- エチレン−α−オレフィン共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比が4.0〜20であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
- エチレン−α−オレフィン共重合体は、クロス分別クロマトグラフィー(CFC)により測定される双峰性の溶出ピークのうち、低温側で溶出するポリマー成分の重量平均分子量(Mw)が1×105以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
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