JP6593178B2 - メタロセン化合物、それを含むオレフィン重合用触媒成分およびオレフィン重合用触媒、並びにそのオレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
メタロセン化合物、それを含むオレフィン重合用触媒成分およびオレフィン重合用触媒、並びにそのオレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法 Download PDFInfo
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また、特許文献4には、各々特定の置換基を有するシクロペンタジエニル基とインデニル基を架橋した非対称型メタロセン化合物およびメチルアルミノキサンと組み合わせた重合触媒によるプロピレンの重合が報告されているが、エチレンの重合に適用した場合に長鎖分岐が生成するとの記載はない。
さらに、特許文献5には、シクロペンタジエニル基とインデニル基をケイ素架橋した非対称型メタロセンのうちインデニル基の2、4、7位にメチル基を有するメタロセンと変性粘土化合物を用いて、マクロモノマーとして有用なエチレン重合体およびエチレン/ブテン共重合体を製造する触媒系が報告されているが、重合体の末端二重結合が少なく、この触媒単独で長鎖分岐が生成するとの記載はない。
なお、本発明において、ポリエチレンとは、エチレン単独重合体およびエチレンと後述のオレフィンとの共重合体の総称をいい、エチレン系重合体とも言い換えられる。
[1]下記一般式(1):
X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示し;
Qは、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示し;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R1とR2は、結合しているQと一緒に環を形成していてもよく;
mは、1、2または3であり;
R4は、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示し;
R5〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示し;
R12〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、隣接するR12〜R16同士はそれらを連結する原子と一緒になって1つ以上の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。]
で示されるメタロセン化合物。
[2]R4が、炭素数1〜20の炭化水素基であることを特徴とする[1]に記載のメタロセン化合物。
[3]R4が、炭素数1〜6のアルキル基であることを特徴とする[2]に記載のメタロセン化合物。
[4]mが1であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載のメタロセン化合物。
[5]Qが炭素原子またはケイ素原子であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載のメタロセン化合物。
[6]MがZrまたはHfであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載のメタロセン化合物。
[7]MがZrであることを特徴とする[6]に記載のメタロセン化合物。
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載のメタロセン化合物を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒成分。
[9][1]〜[7]のいずれか1項に記載のメタロセン化合物を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
[10]以下の必須成分(A)、(B)および(C)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
成分(A):[1]〜[7]のいずれか1項に記載のメタロセン化合物
成分(B):成分(A)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体
[11]前記成分(B)がアルミノキサンであることを特徴とする[10]に記載のオレフィン重合用触媒。
[12]前記成分(C)がシリカであることを特徴とする[10]または[11]に記載のオレフィン重合用触媒。
[13]更に、次の成分(D)を含むことを特徴とする[10]〜[12]のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
成分(D):有機アルミニウム化合物
[14][9]〜[13]のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合させることを特徴とするオレフィン系重合体の製造方法。
[15]オレフィンが少なくともエチレンを含むことを特徴とする[14]に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
[16]オレフィン系重合体がエチレン系重合体であることを特徴とする[15]に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
を、提供するものである。
本発明のメタロセン化合物は、下記一般式(1)で表されるシクロペンタジニエル環とインデニル環を架橋し、さらにインデン環3位に特定の置換基を有することに特徴がある。
X1およびX2で示される酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、アセチル基、1−オキソプロピル基、1−オキソ−n−ブチル基、2−メチル−1−オキソプロピル基、2,2−ジメチル−1−オキソ−プロピル基、フェニルアセチル基、ジフェニルアセチル基、ベンゾイル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−フリル基および2−テトラヒドロフリル基などが挙げられ、窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジi−プロピルアミノメチル基、ビス(ジメチルアミノ)メチル基、ビス(ジi−プロピルアミノ)メチル基、(ジメチルアミノ)(フェニル)メチル基、メチルイミノ基、エチルイミノ基、1−(メチルイミノ)エチル基、1−(フェニルイミノ)エチル基、1−[(フェニルメチル)イミノ]エチル基などが挙げられる。
X1およびX2で示される炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジi−プロピルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジi−ブチルアミノ基、ジt−ブチルアミノ基およびジフェニルアミノ基などが挙げられる。
X1およびX2で示される炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
また、R1とR2は、結合しているQと一緒に環を形成している場合として、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロへキシリデン基、シラシクロブチル基、シラシクロペンチル基、シラシクロヘキシル基などが挙げられる。
本発明のメタロセン化合物においては、一般式(1)中のR4(すなわち、インデン3位)にこれらの特定の置換基を有することにより、後述する実施例に示されるように、十分な数と長さの長鎖分岐を導入したエチレン系重合体を製造することができる。
R4で示されるケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基としては、例えば、ビス(トリメチルシリル)メチル基、ビス(t−ブチルジメチルシリル)メチル基などが挙げられ、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基としては、例えば、ブロモメチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモプロピル基、3−ブロモプロピル基、2−ブロモシクロペンチル基、2,3−ジブロモシクロペンチル基、2−ブロモ−3−ヨードシクロペンチル基、2,3−ジブロモシクロヘキシル基、2−クロロ−3−ヨードシクロヘキシル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基などが挙げられる。
R4で示される酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、フリル基、テトラヒドロフリル基、2−メチルフリル基などが挙げられ、炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリt−ブチルシリル基、ジt−ブチルメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基などが挙げられる。
好ましいR5〜R11としては、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基であり、特に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜18の炭化水素基置換シリル基である。炭素数1〜6のアルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられ、炭素数1〜18の炭化水素基置換シリル基の好ましい例としては、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、n−プロピルジメチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、n−ブチルジメチルシリル基、i−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジエチルシリル基、トリi−プロピルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基がより好ましく、メチル基、t−ブチル基、トリメチルシリル基がさらに好ましい。
好ましいR12〜R16としては、炭素数1〜20の炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。炭素数1〜6のアルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基がより好ましく、メチル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基がさらに好ましい。
形成される芳香族環または脂肪族環の好ましい例としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、5−1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基、6−1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基、9−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロアントリル基が挙げられ、これらの中でも、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基がより好ましく、1−ナフチル基、2−ナフチル基がさらに好ましい。
本発明のメタロセン化合物は、置換基ないし結合の様式によって、任意の方法によって合成することができる。代表的な合成経路の一例を下記に示す。
また、2と反応するメチルマグネシウムブロミドの代わりに、対応する試薬、例えば、エチルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムクロリドなどを用いることにより、インデニル環の3位にそれぞれ対応する置換基を導入することができる。
さらに、シクロペンタジエニル基(Cp)の代わりに、対応する置換シクロペンタジエンのアニオン、例えばt−ブチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、1−メチル−3−t−ブチルシクロペンタジエンなどを用いることにより、シクロペンタジエンにそれぞれ対応する置換基を導入した錯体を合成することができる。
(1)各成分
本発明のメタロセン化合物は、オレフィン重合用触媒成分を形成し、該触媒成分は、オレフィン重合用触媒に用いることができる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、前述した本発明のメタロセン化合物を含む以外は、公知の成分を含むことができるが、好ましくは、下記の成分(A)、(B)および(C)を含む。
成分(A):本発明のメタロセン化合物
成分(B):成分(A)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体
本発明のオレフィン重合用触媒は、前述した一般式(1)〜(2)で表されるメタロセン化合物を必須成分(A)として用い、これらのうちの1種または2種以上を用いることも可能である。
本発明のオレフィン重合用触媒は、成分(B)として、上記成分(A)以外に、成分(A)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を形成する化合物を含むことが好ましい。
成分(B)として、ボラン化合物やボレート化合物を用いると、重合活性や共重合性が高くなるので、長鎖分岐を有するエチレン系重合体の生産性が向上する。
以下、これらの各化合物について、さらに詳細に説明する。
有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al−O−Al結合を有し、その結合数は通常1〜100、好ましくは1〜50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
なお、有機アルミニウムオキシ化合物として、各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、有機アルミニウムオキシ化合物を後述する不活性炭化水素溶媒に溶解または分散させた溶液としたものを用いてもよい。
R17 tAlX3 3−t・・・(3)
(式(3)中、R17は、炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基を示し、X3は、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
上記有機アルミニウム化合物は、1種または2種以上を混合して使用することもできる。
また、成分(B)に用いられるボラン化合物としては、例えば、トリフェニルボラン、トリ(o−トリル)ボラン、トリ(p−トリル)ボラン、トリ(m−トリル)ボラン、トリ(o−フルオロフェニル)ボラン、トリス(p−フルオロフェニル)ボラン、トリス(m−フルオロフェニル)ボラン、トリス(2,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランなどが挙げられる。
また、成分(B)に用いられるボレート化合物を具体的に表すと、第1の例は、下記一般式(4)で示される化合物である。
[L1−H]+[BR18R19X4X5]−・・・(4)
[L2]+[BR18R19X4X5]−・・・(5)
本発明のオレフィン重合用触媒は、成分(C)である微粒子担体として、無機物担体、粒子状ポリマー担体またはこれらの混合物を用いることが好ましい。無機物担体としては、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩、炭素質物、またはこれらの混合物が使用可能である。
また、金属酸化物としては、周期表1〜14族の元素の単独酸化物または複合酸化物が挙げられ、例えば、SiO2、Al2O3、MgO、CaO、B2O3、TiO2、ZrO2、Fe2O3、Al2O3・MgO、Al2O3・CaO、Al2O3・SiO2、Al2O3・MgO・CaO、Al2O3・MgO・SiO2、Al2O3・CuO、Al2O3・Fe2O3、Al2O3・NiO、SiO2・MgOなどの天然または合成の各種単独酸化物または複合酸化物を例示することができる。ここで、上記の式は、分子式ではなく、組成のみを表すものであって、本発明において用いられる複合酸化物の構造および成分比率は特に限定されるものではない。また、本発明において用いる金属酸化物は、少量の水分を吸収していても差し支えなく、少量の不純物を含有していても差し支えない。
金属塩化物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物が好ましく、具体的にはMgCl2、CaCl2などが特に好適である。金属炭酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、具体的には、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。
炭素質物としては、例えば、カーボンブラック、活性炭などが挙げられる。
本発明のエチレン系重合体の製造方法の必須成分であるメタロセン化合物である成分(A)と、成分(A)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる成分(B)、および微粒子担体である成分(C)からなるオレフィン重合用触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(II)成分(A)と、成分(C)とを接触させた後、成分(B)を接触させる。
(III)成分(B)と、成分(C)とを接触させた後、成分(A)を接触させる。
また、成分(B)として、ボラン化合物やボレート化合物を用いる場合、本発明のメタロセン化合物である成分(A)中の遷移金属(M)に対する、ホウ素の原子比(B/M)を、通常、0.01〜100、好ましくは0.1〜50、さらに好ましくは0.2〜10の範囲とすることが望ましい。
さらに、成分(B)として、有機アルミニウムオキシ化合物と、ボラン化合物および/またはボレート化合物と、の混合物を用いる場合にあっては、混合物における各化合物について、本発明のメタロセン化合物である成分(A)中の遷移金属(M)に対して上記と同様なAlおよびBの使用割合とすることが望ましい。
(IV)成分(A)と成分(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物である成分(B)と接触させる。
(V)有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物である成分(B)と成分(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で成分(A)と接触させる。
上記(IV)、(V)の接触方法の場合も、成分比、接触条件および溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(VI)成分(A)と有機アルミニウム化合物を接触させた後、層状珪酸塩担体と接触させる。
(VII)成分(A)と層状珪酸塩担体を接触させた後、有機アルミニウム化合物と接触させる。
(VIII)有機アルミニウム化合物と層状珪酸塩担体を接触させた後、成分(A)と接触させる。
上記したオレフィン重合用触媒は、オレフィン重合、特に、エチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合、に使用することができる。
また、重合系中に、水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えても何ら支障なく実施することができる。なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、前記有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物などが使用される。これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、エチルブチルマグネシウムが好ましく、トリエチルアルミニウムが特に好ましい。水素濃度、モノマー量、重合圧力、重合温度等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合方式にも、支障なく適用することができる。
本発明のオレフィン重合用触媒を用いて製造されたオレフィン系重合体、特にエチレン系重合体は、従来のメタロセン系ポリエチレンと比較して、十分な数と長さの長鎖分岐が導入され、成型加工性がより改善されていることを特徴とする。
本発明のオレフィン用重合触媒により製造されるエチレン系重合体は、示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置及び光散乱検出器を組み合わせて測定される分子量10万および100万における分岐指数(g’)の値から、十分な数と長さの長鎖分岐が導入されており、成型加工性に優れていることがわかる。
なお、本明細書においては、分子量10万および100万における分岐指数(g’)の値を、それぞれ、「ga’」および「gb’」という。
本発明におけるエチレン系重合体のMFR(メルトフローレート、190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.001〜1000g/10分であり、より好ましくは0.01〜100g/10分、更に好ましくは0.05〜50g/10分、特に好ましくは0.1〜50g/10分である。
なお、エチレン系重合体のMFRは、JIS K6760(190℃、2.16Kg荷重)に準拠して測定したときの値である。
本発明におけるエチレン系重合体の密度は、好ましくは0.85〜0.97g/cm3であり、より好ましくは0.88〜0.95g/cm3、更に好ましくは0.90〜0.94g/cm3である。
なお、エチレン系重合体の密度は、JIS K7112に準拠して測定したときの値である。
本発明におけるエチレン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.0〜10.0であり、より好ましくは2.0〜9.0、更に好ましくは2.5〜8.0、特に好ましくは2.5〜7.5である。
なお、エチレン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義され、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、以下の条件で測定したときの値をいう。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1に例示されるように行う。
本発明におけるエチレン系重合体は、分子量10万における分岐指数(ga’)が、好ましくは0.50〜0.99、より好ましくは0.50〜0.87、さらに好ましくは0.55〜0.80である。分岐指数(ga’)が上記範囲の場合、伸長粘度挙動と溶融流動性のバランスに優れたエチレン系重合体が得られる。
本発明のエチレン系重合体は、gb’が0.30〜0.75、好ましくは0.30〜0.71、より好ましくは0.35〜0.55であり、さらに好ましくは0.35〜0.50である。gb’値が0.75より大きいと該エチレン系重合体の成形加工性が不十分であったり、透明性が不足したりして好ましくない場合がある。gb’値が0.30より小さいと、エチレン系重合体の成形加工性は向上するが、成形体の衝撃強度が低下したり、透明性が悪化したりするので好ましくない場合がある。
なお、分岐指数(ga’およびgb’)は、以下の方法により測定したときの値である。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いる。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いる。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとする。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
1.Developments in polymer characterization,vol.4. Essex:Applied Science;1984.Chapter1.
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。したがって分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。
図2に上記GPC−VISによる解析結果の一例を示す。図2は、分子量(M)における分岐指数(g’)を表す。logM=5のg’値をga’、logM=6のg’値をgb’とした。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いる。
(1)MFR:
JIS K6760に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定した。FR(フローレイト比)は、190℃、10kg荷重の条件で同様に測定したMFRであるMFR10kgとMFRとの比(=MFR10kg/MFR)から算出した。
前述した「6.エチレン系重合体の物性」の「(3)Mw/Mn」の項に記載の方法で測定した。
前述した「6.エチレン系重合体の物性」の「(4)分岐指数(ga’およびgb’)」の項に記載の方法で測定した。
[メタロセン化合物の合成]
(1)メタロセン化合物A:ジメチルシリレン(3−メチル−4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成
1Lフラスコに、7−ブロモ−1−インダノン16.4g(77.3mmol)とジメトキシエタン200mlを加え溶液とした後、フェニルボロン酸11.3g(92.8mmol)、トリフェニルホスフィン0.203g(0.773mmol)、PdCl2(PPh3)2 0.272g(0.387mmol)、リン酸カリウム49.2g(232mmol)、水200mlを室温で加え、16時間撹拌還流した。室温まで冷却し水100mlを加えた。有機相を分離した後、水相を酢酸エチル100mlで2回抽出し、得られた有機相を混合して食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え有機相を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、7−フェニル―インダノンの黄色固体10.0g(収率62%)を得た。
(1−2)3−メチル−4−フェニル−インデンの合成
500mlフラスコに、7−ブロモ−1−インダノン10.0g(48.1mmol)とトルエン100mlを加え溶液とした後、0℃に冷却してメチルマグネシウムブロミド/ジエチルエーテル溶液(3.0M)32.1ml(96.2mmol)を加え、15℃で4時間撹拌した。反応物を氷水にゆっくりと加え、酢酸エチル150mlで2回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去した。得られた生成物をディーン−スタークトラップを付した300mlフラスコに入れ、トルエン80mlとp−トルエンスルホン酸0.456g(2.41mmol)を加え、1時間還流した。飽和炭酸ナトリウム水溶液100mlと水100mlで有機相を洗浄し、得られた有機相に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶液を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、3−メチル−4−フェニル−インデンの黄色オイル7.41g(収率74%)を得た。
(1−3)(3−メチル−4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの合成
200mlフラスコに、3−メチル−4−フェニル−インデン5.00g(24.3mmol)とTHF50mlを加え溶液とした後、−78℃に冷却してn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M)11.7ml(29.1mmol)を加え、室温に戻して3時間攪拌した。別途用意した200mlフラスコにジメチルジクロロシラン6.26g(48.5mmol)とTHF10mlを加え、−78℃に冷却して先の反応溶液を加えた。室温に戻して16時間攪拌した。揮発物を減圧留去で除くことで黄色溶液が得られた。この黄色溶液にTHF50mlを加えて溶液とし、−30℃でCpNa/THF溶液(2M)12.7ml(25.5mmol)を加えた。室温に戻して30分間攪拌した。反応物を氷水100mlにゆっくりと加え、酢酸エチル100mlで2回抽出し、得られた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶液を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、(3−メチル−4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの黄色オイル3.52g(収率44%)を得た。
(1−4)ジメチルシリレン(3−メチル−4−フェニル―インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成
200mlフラスコに、(3−メチル−4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン3.50g(10.6mmol)、ジエチルエーテル40mlを加え、−78℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(2.5M)8.9ml(22.2mmol)を滴下し、室温に戻し3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン90mlを加え、−78℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム2.59g(11.1mmol)を加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。反応液をろ過して得られたろ液から溶媒を減圧留去することで、黄色粉末が得られた。この粉末をトルエン7mlで洗浄し、ジメチルシリレン(3−メチル−4−フェニル―インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの黄色結晶3.84g(収率74%)を得た。
200mlフラスコに、3−メチル−4−フェニル−インデン3.65g(17.7mmol)とTHF30mlを加え溶液とした後、−78℃に冷却してn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M)8.5ml(21.2mmol)を加え、室温に戻して2時間攪拌した。ここに6,6−ジメチルフルベン2.26g(21.25mmol)のTHF溶液10mlを−30℃で加え、室温で2時間撹拌した。反応物を氷水20mlにゆっくり加え、酢酸エチル20mlで2回抽出した。得られた有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(3−メチル−4−フェニル−インデニル)−2−シクロペンタジニル−プロパンの黄色固体4.50g(収率80%)を得た。
(3−メチル−4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの代わりに2−(3−メチル−4−フェニル−インデニル)−2−シクロペンタジニル−プロパンを用い、メタロセン化合物A(1−4)と同様の手順で合成を行ない、イソプロピリデン(3−メチル−4−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの黄色結晶2.2g(収率31%)として得た。
1Lフラスコに、4−ブロモ−インデン31.8g(260mmol)とジメトキシエタン400mlを加え溶液とした後、フェニルボロン酸42.4g(217mmol)、トリフェニルホスフィン0.360g(1.38mmol)、PdCl2(PPh3)2 0.510g(0.387mmol)、リン酸カリウム138g(652mmol)、水400mlを室温で加え、6時間撹拌還流した。室温まで冷却し水400mlを加えた。有機相を分離した後、水相を酢酸エチル400mlで2回抽出し、得られた有機相を混合して、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−フェニル―インデンの黄色液体34.0g(収率81%)を得た。
(3−2)(4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの合成
3−メチル−4−フェニル−インデンの代わりに4−フェニル−インデンを用い、メタロセン化合物A(1−3)と同様の手順で合成を行ない、(4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの黄色液体3.7g(収率45%)として得た。
(3−3)ジメチルシリレン(4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(3−メチル−4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの代わりに(4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランを用い、メタロセン化合物A(1−4)と同様の手順で合成を行ない、ジメチルシリレン(4−フェニル−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの黄色結晶5.90g(収率60%)として得た。
500mlフラスコに、3−メチル−4−ブロモ−インデン5.00g(23.9mmol)とジメトキシエタン50mlを加え溶液とした後、4−i−プロピル−フェニルボロン酸4.71g(28.6mmol)、X−phos1.14g(2.39mmol)、Pd(dba)2 687mg(1.20mmol)、リン酸カリウム7.61g(35.8mmol)、水50mlを室温で加え、16時間撹拌還流した。室温まで冷却し水100mlを加えた。有機相を分離した後、水相を酢酸エチル100mlで2回抽出し、得られた有機相を混合して食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え有機相を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し、3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデンの白色固体5.74g(収率96%)を得た。
(4−2)(3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの合成
200mlフラスコに、3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデン5.74g(23.1mmol)とTHF30mlを加え溶液とした後、−78℃に冷却してn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M)11.1ml(27.7mmol)を加え、室温に戻して3時間攪拌した。別途用意した200mlフラスコにジメチルジクロロシラン5.97g(46.2mmol)を加え、−78℃に冷却して先の反応溶液を加えた。室温に戻して12時間攪拌した。揮発物を減圧留去で除くことで黄色溶液が得られた。この黄色溶液にTHF40mlを加えて溶液とし、−30℃でCpNa/THF溶液(2M)12.1ml(24.2mmol)を加えた。室温に戻して60分間攪拌した。反応物を氷水50mlにゆっくりと加え、酢酸エチル100mlで2回抽出し、得られた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶液を減圧留去して、シリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し、(3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの黄色オイル3.38g(収率39%)を得た。
(4−3)ジメチルシリレン(3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成
200mlフラスコに、(3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン3.40g(9.17mmol)、ジエチルエーテル40mlを加え、−78℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(2.5M)7.7ml(19.3mmol)を滴下し、室温に戻し4時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン70mlを加え、−78℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム2.25g(9.64mmol)を加え、4時間かけて室温に戻し、さらに室温で一夜撹拌した。反応液をろ過して得られたろ液から溶媒を減圧留去することで、黄色粉末が得られた。この粉末をペンタン/トルエン(2/1)15mlで洗浄し、ジメチルシリレン(3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの黄色粉末2.00g(収率41%)を得た。
3,5−ジメチル−フェニルボロン酸4.30g(28.6mmol)を用い(4)メタロセン化合物Dの(4−1)3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデンの合成と同様の手順で合成を行ない3−メチル−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデンの無色液体5.50g(収率98%)を得た。
(5−2)(3−メチル−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの合成
3−メチル−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデン5.50g(23.4mmol)を用い(4)メタロセン化合物Dの(4−2)(3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの合成と同様の手順で合成を行ない(3−メチル−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの黄色オイル4.00g(収率47%)を得た。
(5−3)ジメチルシリレン(3−メチル−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(3−メチル−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン4.00g(11.22mmol)を用い(4)メタロセン化合物Dの(4−3)ジメチルシリレン(3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成と同様の手順で合成を行ないジメチルシリレン(3−メチル−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの黄色粉末2.10g(収率37%)を得た。
3,5−ジ−t−ブチル−フェニルボロン酸6.72g(28.7mmol)を用い(4)メタロセン化合物Dの(4−1)3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデンの合成と同様の手順で合成を行ない3−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデンの白色固体6.50g(収率85%)を得た。
(6−2)(3−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの合成
3−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデン4.50g(14.1mmol)を用い(4)メタロセン化合物Dの(4−2)(3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの合成と同様の手順で合成を行ない(3−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの黄色オイル3.30g(収率53%)を得た。
(6−3)ジメチルシリレン(3−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(3−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン3.30g(7.49mmol)を用い(4)メタロセン化合物Dの(4−3)ジメチルシリレン(3−メチル−4−(4−i−プロピル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成と同様の手順で合成を行ないジメチルシリレン(3−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの黄色粉末2.80g(収率60%)を得た。
(実施例1)
(1)固体触媒の調製
窒素雰囲気下、200ml二口フラスコに600℃で5時間焼成したシリカ5gを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した100ml二口フラスコに窒素雰囲気下でメタロセン化合物A61mgを入れ、脱水トルエン13.4mlで溶解した。室温でメタロセン化合物Aのトルエン溶液にアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液8.6mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカの入った200ml二口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、メタロセン化合物Aとメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
上記実施例1の(1)固体触媒の調製で得た固体触媒を用いてエチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
すなわち、攪拌および温度制御装置を有する内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、充分脱水および脱酸素したヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム(TEA)を57mg、水素を常圧で68ml導入した後、撹拌しながら75℃へ昇温した。1−ブテン10重量%を含むエチレンを分圧が1.4MPaになるまで導入し、上記固体触媒0.100gのヘプタンスラリー10mlをアルゴンガスで圧入し、エチレン分圧1.4MPa、温度75℃を保って60分間重合を継続した。
その結果、10.2gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは5.61g/10分であった。重合条件を表2に、重合結果を表3にまとめた。
実施例1で得られた固体触媒0.100gを用い、1−ブテン10重量%を含むエチレンを導入する前に水素を常圧で34ml導入した以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、16.3gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.10g/10分であった。重合条件を表2に、重合結果を表3にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A61mgの代わりに、メタロセン化合物B59mgを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
上記実施例3の(1)固体触媒の調製で得た固体触媒0.100gを用い、1−ブテン10重量%を含むエチレンを導入する前に水素を導入しなかった以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、9.4gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.13g/10分であった。重合条件を表2に、重合結果を表3にまとめた。
実施例3で得られた固体触媒0.100gを用い、1−ブテン10重量%を含むエチレンを導入する前に水素を常圧で34ml導入した以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、8.0gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.88g/10分であった。重合条件を表2に、重合結果を表3にまとめた。
(1)固体触媒の調製
窒素雰囲気下、200ml二口フラスコに600℃で5時間焼成したシリカ4.3gを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した100ml二口フラスコに窒素雰囲気下でメタロセン化合物C51mgを入れ、脱水トルエン11.6mlで溶解した。室温でメタロセン化合物Cのトルエン溶液にアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液7.4mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカの入った200ml二口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、メタロセン化合物Aとメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
上記比較例C1の(1)固体触媒の調製で得た固体触媒0.099gを用い、1−ブテン10重量%を含むエチレンを導入する前に水素を常圧で34ml導入した以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、5.9gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.27g/10分であった。重合条件を表2に、重合結果を表3にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A61mgの代わりに、メタロセン化合物D66mgを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記実施例5の(1)固体触媒の調製で得た固体触媒を用いてエチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
すなわち、攪拌および温度制御装置を有する内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、充分脱水および脱酸素したヘプタン500ml、1−ヘキセン10ml、トリエチルアルミニウム(TEA)を57mg、水素を常圧で34ml導入した後、撹拌しながら75℃へ昇温した。エチレンを分圧が1.4MPaになるまで導入し、上記固体触媒0.100gのヘプタンスラリー10mlをアルゴンガスで圧入し、エチレン分圧1.4MPa、温度75℃を保って60分間重合を継続した。
その結果、41.0gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.02g/10分であった。重合条件を表4に、重合結果を表5にまとめた。
実施例5で得られた固体触媒0.100gを用い、水素を常圧で68ml導入した以外は、実施例5と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、33.0gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.69g/10分であった。重合条件を表4に、重合結果を表5にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A61mgの代わりに、メタロセン化合物E65mgを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記実施例7の(1)固体触媒の調製で得た固体触媒0.100gを用いた以外は、実施例5と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、51.2gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.02g/10分であった。重合条件を表4に、重合結果を表5にまとめた。
実施例7で得られた固体触媒0.100gを用い、エチレンを導入する前に水素を常圧で68ml導入した以外は、実施例7と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、41.7gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.14g/10分であった。重合条件を表4に、重合結果を表5にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A61mgの代わりに、メタロセン化合物F75mgを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記実施例9の(1)固体触媒の調製で得た固体触媒0.100gを用いた以外は、実施例5と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、51.6gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.07g/10分であった。重合条件を表4に、重合結果を表5にまとめた。
実施例9で得られた固体触媒0.100gを用い、エチレンを導入する前に水素を常圧で68ml導入した以外は、実施例9と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、40.2gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.57g/10分であった。重合条件を表4に、重合結果を表5にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A61mgの代わりに、メタロセン化合物C59mgを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記比較例C2の(1)固体触媒の調製で得た固体触媒0.100gを用い、エチレンを導入する前に水素を常圧で68ml導入した以外は、実施例5と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、9.6gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは0.23g/10分であった。重合条件を表4に、重合結果を表5にまとめた。
表3から、実施例1〜4は比較例C1より重合活性が高く、また、実施例3、4は比較例C1よりg’が低く、LCB生成能が優れていることが示される。
表5から、実施例5〜10は比較例C2より重合活性が飛躍的に高く、また、比較例C2と同様にg’の低下が見られるため、比較例C2と同様にLCBが生成していることが示される。
Claims (16)
- 下記一般式(1):
X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示し;
Qは、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示し;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R1とR2は、結合しているQと一緒に環を形成していてもよく;
mは、1、2または3であり;
R4は、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示し;
R5〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示し;
R12〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基を示し、隣接するR12〜R16同士はそれらを連結する原子と一緒になって1つ以上の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。]
で示されるメタロセン化合物。 - R4が、炭素数1〜20の炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載のメタロセン化合物。
- R4が、炭素数1〜6のアルキル基であることを特徴とする請求項2に記載のメタロセン化合物。
- mが1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタロセン化合物。
- Qが炭素原子またはケイ素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のメタロセン化合物。
- MがZrまたはHfであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のメタロセン化合物。
- MがZrであることを特徴とする請求項6に記載のメタロセン化合物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のメタロセン化合物を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒成分。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のメタロセン化合物を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
- 以下の必須成分(A)、(B)および(C)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
成分(A):請求項1〜7のいずれか1項に記載のメタロセン化合物
成分(B):成分(A)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体 - 前記成分(B)がアルミノキサンであることを特徴とする請求項10に記載のオレフィン重合用触媒。
- 前記成分(C)がシリカであることを特徴とする請求項10または11に記載のオレフィン重合用触媒。
- 更に、次の成分(D)を含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
成分(D):有機アルミニウム化合物 - 請求項9〜13のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合させることを特徴とするオレフィン系重合体の製造方法。
- オレフィンが少なくともエチレンを含むことを特徴とする請求項14に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
- オレフィン系重合体がエチレン系重合体であることを特徴とする請求項15に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
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