JP6015306B2 - メタロセン化合物、それを含むオレフィン重合用触媒成分およびオレフィン重合用触媒、並びにそのオレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
メタロセン化合物、それを含むオレフィン重合用触媒成分およびオレフィン重合用触媒、並びにそのオレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法 Download PDFInfo
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また、特許文献4には、各々特定の置換基を有するシクロペンタジエニル基とインデニル基を架橋した非対称型メタロセン化合物およびメチルアルミノキサンと組み合わせた重合触媒によるプロピレンの重合が報告されているが、エチレンの重合に適用した場合に長鎖分岐が生成するとの記載はなく、成型加工性の改善効果は期待されない。
さらに、特許文献5には、シクロペンタジエニル基とインデニル基をケイ素架橋した非対称型メタロセンのうちインデニル基の2、4、7位にメチル基を有するメタロセンと変性粘土化合物を用いて、マクロモノマーとして有用なエチレン重合体およびエチレン/ブテン共重合体を製造する触媒系が報告されているが、重合体の末端二重結合が少なく、この触媒単独で長鎖分岐が生成するとの記載はない。
最近、本発明者等は、特許文献6で、シクロペンタジエニル基とインデニル基を架橋基で架橋した非対称型メタロセンのうち、シクロペンタジエニル基上に該架橋基以外の置換基が無く、かつインデニル基3位に水素あるいは特定の置換基を有する、特定の非対称型メタロセンを必須成分としたオレフィン重合用担持触媒、さらには、そのオレフィン重合用担持触媒を用いた成型加工性が改善されたエチレン系重合体の製造方法を提案した。しかしながら、この発明によれば、伸長粘度の歪硬化度が大きなエチレン系重合体が得られるので、従来の長鎖分岐型ポリエチレンに比べて成型加工性の改良が見られるものの、長鎖分岐の分岐指数が未だ高圧法低密度ポリエチレンには及ばないため、更なる長鎖分岐構造の改良が求められていた。
こうした状況下に、メタロセン系ポリエチレンの成型加工性を改善するため、十分な数と長さの長鎖分岐を導入したメタロセン系ポリエチレンの製造方法を早期に開発することが求められている。
成分(A):第1〜5のいずれかの発明に係るメタロセン化合物
成分(B):成分(A)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体
が提供される。
成分(D):有機アルミニウム化合物
が提供される。
(1)第8の発明において、成分(B)がボラン化合物またはボレート化合物であることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
(2)第8の発明において、成分(B)として、有機アルミニウムオキシ化合物(好ましくはアルミノキサン)及びボラン化合物またはボレート化合物を併用することを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
本発明のメタロセン化合物は、一般式(1)で表されるシクロペンタジエニル環とインデニル環を架橋し、さらにインデニル環の4位の特定の置換基を有することに特徴がある。
好ましいX1およびX2の具体例としては、塩素原子、臭素原子、メチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジi−プロピルアミノ基が挙げられる。これらの具体例の中でも、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基が特に好ましい。
さらに、R1としては、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。また、R1がQ1およびQ2と一緒に環を形成している場合として、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロへキシリデン基、シラシクロブチル基、シラシクロペンチル基、シラシクロヘキシル基などが挙げられる。
好ましいR1の具体例として、Q1または/およびQ2が炭素原子の場合、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、エチレン基、シクロブチリデン基が挙げられ、また、Q1または/およびQ2がケイ素原子の場合、メチル基、エチル基、フェニル基、シラシクロブチル基が挙げられる。
R2とR4の好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフリル基、トリメチルシリル基が挙げられる。これらの具体例の中でも、水素原子、メチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基がさらに好ましく、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基が特に好ましい。
また、Tはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、3,5−ジ−t−ブチルフェニル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基、ビス(t−ブチルジメチルシリル)メチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモプロピル基、3−ブロモプロピル基、2−ブロモシクロペンチル基、2,3−ジブロモシクロペンチル基、2−ブロモ−3−ヨードシクロペンチル基、2,3−ジブロモシクロヘキシル基、2−クロロ−3−ヨードシクロヘキシル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、2−メチルフリル基、トリメチルシリル基、トリt−ブチルシリル基、ジt−ブチルメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基などが挙げられる。
好ましいTの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフリル基、トリメチルシリル基が挙げられる。
これらの具体例の中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフリル基が特に好ましい。
表1中の、1〜5、7、8、12〜39、41、42、46〜73、116〜120、122,123、127〜132、等が挙げられる。
また、上記化合物のジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウムに代えた化合物等が、好ましいものとして挙げられる。
表1中の、1〜4、7、23、25、27、29、34〜38、41、63、65、67、69、117〜119、122、等が挙げられる。
本発明のメタロセン化合物は、置換基ないし結合の様式によって、任意の方法によって合成することができる。代表的な合成経路の一例を下記に示す。
本発明のメタロセン化合物は、オレフィン重合用触媒成分を形成し、該触媒成分は、オレフィン重合用触媒に用いることができる。例えば、該メタロセン化合物を成分(A)として含む、次に説明するオレフィン重合用触媒として、用いることが好ましい。
本発明のオレフィン重合用触媒は、次の必須成分(A)、(B)および(C)を含むことを特徴とする。
成分(A):請求項1〜5のいずれかに記載のメタロセン化合物
成分(B):成分(A)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体
2−1.成分(A)
本発明のオレフィン重合用触媒は、必須成分として、上記成分(A)以外に、成分(A)のメタロセン化合物(成分(A)、以下、単にAと記すこともある。)と反応してカチオン性メタロセン化合物を形成する化合物(成分(B)、以下、単にBと記すこともある。)を含む。
上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al−O−Al結合を有し、その結合数は通常1〜100、好ましくは1〜50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
R6tAlX33−t・・・式(5)
(式(5)中、R6は、炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基を示し、X3は、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶液または分散させた溶液としたものを用いても良い。
[L1−H]+[BR7R8X4X5]−・・・式(6)
フェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテト
ラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボ
レート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどを例示することができる。
[L2]+[BR7R8X4X5]−・・・式(7)
本発明のオレフィン重合用触媒の必須成分(C)である微粒子担体としては、無機物担体、粒子状ポリマー担体またはこれらの混合物が挙げられる。無機物担体は、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩、炭素質物、またはこれらの混合物が使用可能である。
無機物担体に用いることができる好適な金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
本発明のエチレン系重合体の製造方法の必須成分であるメタロセン化合物(A)と、メタロセン化合物(A)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(B)、および微粒子担体(C)からなるオレフィン重合用触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(II)メタロセン化合物(A)と、微粒子担体(C)とを接触させた後、メタロセン化合物(A)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(B)を接触させる。
(III)メタロセン化合物(A)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(B)と、微粒子担体(C)とを接触させた後、メタロセン化合物(A)を接触させる。
(IV)メタロセン化合物(A)と微粒子担体(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物と接触させる。
(V)有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物と微粒子担体(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下でメタロセン化合物(A)と接触させる。
上記(IV)、(V)の接触方法の場合も、成分比、接触条件および溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(VI)メタロセン化合物(A)と有機アルミニウム化合物を接触させた後、層状珪酸塩担体と接触させる。
(VII)メタロセン化合物(A)と層状珪酸塩担体を接触させた後、有機アルミニウム化合物と接触させる。
(VIII)有機アルミニウム化合物と層状珪酸塩担体を接触させた後、メタロセン化合物(A)と接触させる。
上記したオレフィン重合用触媒は、エチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合に、使用可能である。
本発明で製造されるエチレン系重合体は、次の(B−1’)、(B−2”)、(B−3)および(B−4’)の特性を有する場合、成形性と機械的物性に優れる点で特に有意な材料となる。すなわち、
(B−1’):MFRB=0.001〜1000g/10分
(B−2”):密度B=0.85〜0.97g/cm3
(B−3):[Mw/Mn]B=2.0〜10.0
(B−4’):次の要件(B−4’−i)〜要件(B−4’−iv)の少なくともいずれか1つを充足すること。
(B−4’−ii);上記(B−4’−i)で定義された[λmax(2.0)]Bと、伸長歪速度を0.1(単位1/秒)として同様に測定した場合の[λmax(0.1)]Bの比[λmax(2.0)]B/[λmax(0.1)]Bが1.2〜10.0である。
(B−4’−iii);示差屈折計、粘度検出器、および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分子量100万における分岐指数(gC’)が0.30〜0.70である。
(B−4’−iv);示差屈折計、粘度検出器、および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分子量100万以上の成分の含有量(WC)が0.01〜30%である。
本発明のエチレン系重合体の密度は、好ましくは0.85〜0.97g/cm3であり、より好ましくは0.88〜0.97g/cm3、更に好ましくは0.90〜0.97g/cm3である。
また、MFR(メルトフローレート、190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.001〜1000g/10分であり、より好ましくは0.01〜100g/10分、更に好ましくは0.05〜50g/10分、特に好ましくは0.1〜50g/10分である。
一方、本発明のエチレン系重合体の分子量分布[Mw/Mn]Bは、好ましくは2.0〜10.0であり、より好ましくは2.0〜9.0、更に好ましくは2.5〜8.0、特に好ましくは2.5〜7.5である。
一般に、ポリエチレンは、フィルム成形、ブロー成形、発泡成形等の溶融状態を経由する附型方法により工業製品へと加工されるが、この際、伸長流動特性が成形性のし易さに大きな影響を与えることはよく知られている。すなわち、分子量分布が狭く、長鎖分岐を持たないポリエチレンは、溶融強度が低いので成形性が悪く、一方、超高分子量成分や長鎖分岐成分を有するポリエチレンは、溶融伸長時に歪硬化(ストレイン・ハードニング)、すなわち、高歪み側で伸長粘度が急激に上昇する特性を有し、この特性を顕著に示すポリエチレンは、成形性に優れると言われている。
すなわち、これらの好ましいポリエチレンの特性は、上記要件(B−4’−i)〜要件(B−4’−iv)の少なくともいずれか1つを充足することにより、実現されることを見い出すに至り、更に、本発明の特定のメタロセン化合物である成分(Ac)を含むオレフィン重合用触媒を用いてなるエチレン系重合体の製造方法により、これらの特性を満足するエチレン系重合体が製造可能であることを見い出すに至ったのである。
さらに、本発明に係るエチレン系重合体は、赤外吸収スペクトル(IR)で測定した分子末端に存在する二重結合の数が炭素原子1000個あたり0.15個以上であることも望ましい。
条件(B−9):オルトジクロロベンゼン溶媒を用いたTREF測定において、−15℃で溶出する成分の含有量(W−15;単位wt%)が、2.0wt%以下。
W−15値は、好ましくは1.1wt%以下であり、より好ましくは0.6wt%以下であり、更に好ましくは0.5wt%であり、特に好ましくは0.4wt%であり、最も好ましくは0.3wt%である。W−15の下限は検出されないことであり、好ましくは0.0wt%である。W−15値が2.0wt%より大きいとエチレン系重合体の衝撃強度が低下したり、透明性が悪化したり、ベトツキやすくなったりするので好ましくない。また、他樹脂との相容性が悪化して衝撃強度や透明性の悪化要因となるので好ましくない。
・装置:Rheometorics社製 Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:170℃
・歪み速度:2/秒
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
170℃、歪み速度2/秒における伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で、歪硬化後、歪量が4.0となるまでの最大伸長粘度をηMax(t1)(t1は最大伸長粘度を示す時の時間)とし、歪硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)として算出される値を歪硬化度(λmax)と定義する。なお、歪硬化の有無は、時間の経過と共に伸長粘度が上に凸の曲線から下に凸の曲線へと変わる変曲点を有するか、否かによって、判断される。
図1、図2は、歪み速度2/秒および0.1/秒における、下記実施例に記載されている実施例1、比較例2の伸長粘度のプロット図である。
(i)MFR:
JIS K6760に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定した。FR(フローレイト比)は、190℃・10kg荷重の条件で同様に測定したMFRであるMFR10kgとMFRとの比(=MFR10kg/MFR)から算出した。
密度は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
(iii)融点:
融点の測定方法
DSC(デュポン社製のTA2000型、又はセイコー・インスツルメンツ社製のDSC6200型)を使用し、10℃/分で20〜170℃までの昇降温を1回行った後、10℃/分で2回目の昇温時の測定値により求めた。
レオメータを用いて、上記本明細書記載の方法で測定した。なお、試験片の作成に先立ち、以下の手順で重合体の溶解・再沈殿処理を実施した。冷却管を付けた500mlの二口フラスコにキシレン300mlを導入し、室温で窒素バブリングを30分間行った。重合体6.0グラムと2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BTH)1.0グラムを導入した。窒素雰囲気下、125℃で30分間撹拌し、重合体をキシレンに完全に溶解させた。重合体が溶解したキシレン溶液をエタノール2.5Lに注ぎ、重合体を析出させた。ろ過により回収した重合体を80℃の真空乾燥機で乾燥した。
末端二重結合の定量は、プレスフィルムを作製し、赤外吸収スペクトル(IR)を島津製作所製FTIR−8300の装置を用いて、一置換アルケンの面外変角振動の吸収である910cm−1のピークの吸光度より次式から算出される。
末端二重結合の数(個/1000炭素当り)=1.14×ΔA/d/t
ここで、ΔAは910cm−1のピークの吸光度、dはフィルム密度(g/cm3)、tはフィルム厚(mm)である。
本発明において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図3に例示されるように行う。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
1.Developments in polymer characterization,vol.4. Essex:Applied Science;1984.Chapter1.
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。したがって分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。特に本発明では、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量100万以上の成分の、RIで測定される全成分量に対する含有比率(%)を、分子量100万以上の成分の含有量(Wc)として算出し、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量100万における上記g’を、gc’として算出する。
図4に上記GPC−VISによる解析結果の一例を示した。図4の左は、MALLSから得られる分子量(M)とRIから得られる濃度を元に測定された分子量分布曲線を、図4の右は、分子量(M)における分岐指数(g’)を表す。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。この時、−15℃で溶出する成分量を−15℃可溶分量、すなわちW−15(単位wt%)とした。
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000
(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ、4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル、光路長1.5mm、窓形状2φ×4mm長丸、合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
測定条件
溶媒:オルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
[メタロセン化合物の合成]
(i)メタロセン化合物A:ジメチルシリレン(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(1−1)2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデンの合成
100mlフラスコに4−トリメチルシリルフェニルボロン酸(2.23g、11.4mmol)とDME20mlを加え溶液とした後、リン酸カリウム(6.08g、28.6mmol)の水溶液20ml、2−メチル−4−ブロモインデン(2.00g、9.56mmol)、トリフェニルホスフィン(0.0500g、0.190mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(0.0670g、0.095mmol)を順に加え、12時間攪拌還流した。室温まで冷却し水20mlを加えた。有機相を分離した後、水相を酢酸エチル20mlで2回抽出し、得られた有機相を混合して食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを加え有機相を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し、2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの黄色液体1.20g(収率45%)を得た。
100mlフラスコに2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデン(3.00g、10.7mmol)とTHF20mlを加え溶液とした後、−78℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M、5.2ml、12.9mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。別に準備した200mlフラスコにジメチルジクロロシラン(2.78g、21.5mmol)とTHF10mlを加え溶液とした後、上記反応物を−78℃で滴下し、室温で12時間攪拌した。揮発成分を減圧留去し、再びTHF20mlを加えて溶液とした後、ソジウムシクロペンタジエニリド/THF溶液(2M、5.60ml、11.3mmol)を−20℃でゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。揮発成分を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル)で精製しジメチル(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)シラン2.00g(収率46%)を得た。
100mlフラスコにジメチル(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)シラン(2.00g、5.00mmol)とジエチルエーテル20mlを加え溶液とした後、−78℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M、4.20ml、10.5mmol)を加え、室温で2時間、さらに45℃で1時間攪拌した。揮発成分を減圧留去し、続いてジクロロメタン40mlを加え、−78℃で四塩化ジルコニウム(1.30g、5.50mmol)を加えた後、室温で12時間攪拌した。反応混合物をろ過し、得られたろ液を濃縮することでジメチルシリレン(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド2.5g(収率89%)を得た。
(2−1)2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデンの合成
100mlフラスコに2−メチルフラン(2.34g、28.6mmol)とTHF40mlを加え溶液とした後、−30℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M、11.4ml、28.6mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。別に準備した100mlフラスコに塩化亜鉛(3.80g、28.6mmol)とTHF10mlを加え、続いて0℃で上記反応溶液を加え、室温で1時間攪拌した。さらに別に準備した100mlフラスコにヨウ化銅(I)(272mg、1.43mmol)、Pd(dppf)Cl2(522mg、0.715mmol)、2−メチル−4−ブロモインデン(3.00g、14.3mmol)とDMA5mlを加えた懸濁液に、上記反応物を加え、還流を15時間行なった。室温まで冷却し、水50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出を行なった。有機相を集め、水50mlで2回、飽和食塩水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデン2.50g(収率82%)を得た。
2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデンの代わりに2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデンを用い、メタロセン化合物A(1−2)と同様の手順で合成を行ない、ジメチル(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)シランの黄色液体を収率43%で得た。
ジメチル(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)シランの代わりに2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデンを用い、メタロセン化合物A(1−3)と同様の手順で合成を行ない、ジメチルシリレン(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの黄色結晶を収率40%で得た。
(3−1)4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの合成
500mlフラスコに、4−トリメチルシリルフェニルボロン酸10.0g(51.5mmol)とジメトエタン200mlを加え溶液とした後、リン酸カリウム27.3g(128mmol)、水100ml、4−ブロモインデン8.37g(43.0mmol)、トリフェニルホスフィン0.22g(0.86mmol)、PdCl2(PPh3)2 0.300g(0.430mmol)を順に加え、12時間攪拌還流した。室温まで冷却し水100mlを加えた。有機相を分離した後、水相を酢酸エチル100mlで2回抽出し、得られた有機相を混合して食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを加え有機相を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの黄色液体9.0g(収率79%)を得た。
200mlフラスコに、4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデン16.2g(61.2mmol)とTHF100mlを加え溶液とした後、−78℃に冷却してn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M)29.4ml(173.5mmol)を加え、室温に戻して4時間攪拌した。別途用意した300mlフラスコにジメチルジクロロシラン14.8ml(122mmol)とTHF20mlを加え溶液とし、−78℃に冷却して先の反応溶液を加えた。室温に戻して12時間攪拌した。揮発物を減圧留去で除くことで黄色溶液21.8gが得られた。この黄色溶液にTHF80mlを加えて溶液とし、−30℃でCpNa/THF溶液(2M)36.7ml(73.5mmol)を加えた。室温に戻して1時間攪拌し、氷水100mlを加えた。酢酸エチル100mlで2回抽出し、得られた有機相を混合して食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを加え有機相を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、(4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの黄色液体12.0g(収率51%)を得た。
300mlフラスコに、(4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン1.20g(3.00mmol)、ジエチルエーテル20mlを加え、−70℃まで冷却した。ここに2.5mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液2.60ml(6.60mmol)を滴下した。滴下後、室温に戻し2時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、ジクロロメタン30mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム0.770g(3.30mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。反応液をろ過して得られたろ液から溶媒を減圧で留去することで、黄色粉末がえら得た。この粉末をトルエン10mlで再結晶し、ジメチルシリレン(4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを黄色結晶として0.500g(収率31%)得た。
(4−1)4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデンの合成
500mlフラスコに、2−メチルフラン2.52g(30.7mmol)とTHF30mlを加え溶液とした後、−78℃に冷却してn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M)14.7ml(36.9mmol)を加え、室温に戻して4時間攪拌した。別途用意した300mlフラスコに塩化亜鉛4.18g(30.7mmol)とTHF10mlを加え懸濁液とし、0℃に冷却して先の反応溶液を加えた。室温に戻して1時間攪拌した。さらに別途用意したmlフラスコにヨウ化銅(I)0.35g(1.84mmol)、Pd(dppf)Cl20.690g(0.932mmol)、4−ブロモインデン3.00g(15.3mmol)とDMA5mlを加え懸濁液とし、先の反応溶液を加えて15時間攪拌還流した。室温まで冷却し水50mlを加えた。有機相を分離した後、水相を酢酸エチル50mlで2回抽出し、得られた有機相を混合して水50mlで2回洗浄、食塩水50mlで1回洗浄し、硫酸ナトリウムを加え有機相を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデンの黄色液2.10g(収率70%)を得た。
4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの代わりに4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデンを用い、メタロセン化合物A(1−2)と同様の手順で合成を行ない、(4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの淡黄色固体を収率38%で得た。
(4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランの代わりに(4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランを用い、メタロセン化合物A(1−3)と同様の手順で合成を行ない、ジメチルシリレン(4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを黄色結晶(収率25%)として得た。
(1)固体触媒の調製
窒素雰囲気下、200ml二口フラスコに600℃で5時間焼成したシリカ5gを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した100ml二口フラスコに窒素雰囲気下でメタロセン化合物A70mgを入れ、脱水トルエン13.4mlで溶解した。室温でメタロセン化合物Aのトルエン溶液にアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液8.6mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカの入った200ml二口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、メタロセン化合物Aとメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
上記の(1)固体触媒の調製で得た固体触媒を用いてエチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
すなわち、攪拌および温度制御装置を有する内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、充分脱水および脱酸素したポリエチレン製のペレットを80g、トリエチルアルミニウムを33mg導入し撹拌しながら70℃へ昇温した。1−ブテン10重量%を含むエチレンを分圧が2.0MPaになるまで導入した後、上記固体触媒202mgをアルゴンガスで圧入し、エチレン分圧2.0MPa、温度70℃を保って60分間重合を継続した。
その結果、27.9gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のFRは32.2、密度は0.920g/cm3で、末端二重結合は0.08個/1000炭素あった。重合結果を表2にまとめた。
実施例1の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒194mgを用い、重合開始前に水素204mlを添加した以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、13.9gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のFRは9.0、密度は0.931g/cm3で、末端二重結合は0.09個/1000炭素であった。重合結果を表2にまとめた。
実施例1の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒55mgを用い、重合開始前に水素34mlを添加し、重合温度を90℃とした以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、9.4gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のFRは24.1、密度は0.925g/cm3であった。重合結果を表2にまとめた。
実施例1の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒105mgを用い、重合開始前に水素187mlを添加し、重合温度を90℃とした以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、10.9gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のFRは7.0、密度は0.943g/cm3であった。重合結果を表2にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A70mgの代わりに、メタロセン化合物B62mgを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
上記の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒50mgを用い、重合開始前に水素68mlを添加した以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、5.6gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体の密度は0.936g/cm3であった。重合結果を表2にまとめた。
実施例5の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒205mgを用い、重合開始前に水素238mlを添加した以外は、実施例5と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、17.4gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のFRは7.3、密度は0.926g/cm3であった。重合結果を表2にまとめた。
実施例5の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒51mgを用い、重合開始前に水素102mlを添加し、重合温度を90℃とした以外は、実施例5と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、14.0gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のFRは14.7、密度は0.926g/cm3であった。重合結果を表2にまとめた。
実施例5の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒105mgを用い、重合開始前に水素187mlを添加し、重合温度を90℃とした以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、12.2gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のFRは9.9、密度は0.930g/cm3であった。重合結果を表2にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A70mgの代わりに、メタロセン化合物C68mgを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
上記の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒53mgを用いた以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、5.4gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のFRは21.6、密度は0.924g/cm3で、末端二重結合は0.14個/1000炭素であった。重合結果を表2にまとめた。
比較例1の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒54mgを用い、重合開始前に水素34mlを加えた以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、4.3gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体の密度は0.919g/cm3であった。重合結果を表2にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A70mgの代わりに、メタロセン化合物D60mgを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
上記の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒203mgを用いた以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、24.2gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体のFRは17.6、密度は0.920g/cm3で、末端二重結合は0.21個/1000炭素であった。重合結果を表2にまとめた。
比較例3の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒203mgを用い、重合開始前に水素68mlを加えた以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、17.0gのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。得られた共重合体の密度は0.924g/cm3で、末端二重結合は0.18個/1000炭素であった。重合結果を表2にまとめた。
実施例1の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒を用いてエチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
すなわち、誘導撹拌装置付き2Lオートクレーブに1−ヘキセン20ml、トリエチルアルミニウム0.20mmol、ヘキサン950mLを加え、65℃に昇温し、水素を0.0091MPa加えた後、エチレンを導入してエチレン分圧を0.7MPaに保った。次いで、実施例1の(1)の固体触媒の調製で得られた固体触媒224mgを窒素で圧入し、エチレン分圧0.7MPa、温度65℃を保って60分間重合を継続した。60分経過後、エチレンをパージし、窒素置換を3回行い、重合を停止させた。こうして得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体は12.4gであった。重合結果を表3にまとめた。
実施例1の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒183mgを用い、1−ヘキセン30mlとした以外は、実施例9と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。その結果、11.6gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表3にまとめた。
実施例5の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒224mgを用いた以外は、実施例9と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。その結果、23.6gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表3にまとめた。
実施例5の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒212mgを用い、1−ヘキセン40mlとした以外は、実施例9と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。その結果、28.5gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表3にまとめた。
本発明のメタロセン化合物の要件を満たすメタロセン化合物Aおよびメタロセン化合物Bは、本発明のメタロセン化合物の要件を満たさないメタロセン化合物Cおよびメタロセン化合物Dとそれぞれ、インデン2位にメチル基を有するか否かの構造的な違いを有する。
表2に示す結果から、メタロセン化合物Aを用いた70℃重合である実施例1および実施例2と、メタロセン化合物Cを用いた70℃重合の比較例1および比較例2を比べると、生成するエチレン系重合体の成形性を向上させる長鎖分岐の特性を示す特性値である[λmax(2.0)]B、[λmax(2.0)]B/[λmax(0.1)]B、gC’、WCのいずれもが、劣ることなく、図5に示すように水素濃度見合いで低MFRのエチレン/1−ブテン共重合体がメタロセン化合物Aを用いた重合で得られた。
また、メタロセン化合物Bを用いた70℃重合である実施例5および実施例6と、メタロセン化合物Dを用いた70℃重合の比較例3および比較例4を比べると、同じく、上記の長鎖分岐の特性を示す特性値が、劣ることなく、図5に示すように水素濃度見合いで低MFRのエチレン/1−ブテン共重合体がメタロセン化合物Bを用いた重合で得られた。
従って、本発明のメタロセン化合物の要件を満たすメタロセン化合物を用いて得られるエチレン系重合体は、長鎖分岐を有し、成形性に優れ、より高分子量のエチレン系重合体を製造することが可能と言える。
Claims (14)
- 下記一般式(1)で示されるメタロセン化合物
- 下記一般式(2)で示されるメタロセン化合物
- 下記一般式(3)で示されるメタロセン化合物
- 一般式(1)、(2)または(3)中、M1がジルコニウムまたはハフニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメタロセン化合物。
- 一般式(1)、(2)または(3)中、M1がジルコニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメタロセン化合物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のメタロセン化合物を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒成分。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のメタロセン化合物を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
- 次の必須成分(A)、(B)および(C)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
成分(A):請求項1〜5のいずれかに記載のメタロセン化合物
成分(B):成分(A)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体 - 成分(B)がアルミノキサンであることを特徴とする請求項8に記載のオレフィン重合用触媒。
- 成分(C)がシリカであることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のオレフィン重合用触媒。
- 更に、次の成分(D)を含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
成分(D):有機アルミニウム化合物 - 請求項7〜11のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合させることを特徴とするオレフィン系重合体の製造方法。
- オレフィンが少なくともエチレンを含むことを特徴とする請求項12に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
- オレフィン系重合体が実質的にエチレン系重合体であることを特徴とする請求項13に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
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