JP6176015B2 - メタロセン錯体およびオレフィンの重合方法 - Google Patents
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Description
そのため、プロピレン単独重合体に、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)等のゴム成分を添加する方法や、プロピレンの単独重合後に、引き続いてプロピレンとエチレンあるいはα−オレフィンを共重合させゴム成分を含有させた、いわゆるインパクトコポリマーを製造することにより、耐衝撃性を改良することが行われてきた。さらに、このインパクトコポリマーのゴム成分の量を増加させることにより、柔軟性や耐衝撃性を向上させることができる。
しかしながら、ゴム部分について、あまり流動性を上げると、それに伴って低分子量成分の生成割合も増加し、この低分子量成分は、加工時の発煙、異臭等の発生原因となるばかりか、加工後でも、臭気や味に悪影響を与えたり、べたつきによるブロッキング性の悪化など、様々な問題の原因となることが知られている。重合ポリマーの粉体性状が悪化すると、安定した生産ができなくなり、問題である。一方で、結晶性ポリプロピレンとゴム部分の平均分子量の差が大きくなると、成形品中のゲルが多くなる、成形品の線膨張率が高くなる、といった問題が発生する。
特に、インパクトコポリマーにおいては、高い耐衝撃性を発現するためには、例えば、より低いガラス転移温度を示すことが必要であり、これを満足するには、プロピレンとエチレンあるいはα−オレフィンとの共重合を、それぞれの含量がある範囲を満たすように行うことが好ましいとされている(例えば、非特許文献1参照。)。
そして、上記のメタロセン系の触媒を構成する遷移金属化合物は、既に多くの例が知られている。特にインパクトコポリマーの剛性を向上させるために、高い融点を有するホモポリプロピレンを与える遷移金属化合物も、既に知られている(例えば、特許文献4参照。)。
すなわち、メタロセン系の触媒を用い、従来の製造法により、プロピレン単独重合の後、プロピレンとエチレンあるいはα−オレフィンの共重合を行うと、重合雰囲気中プロピレン/(エチレンまたはα−オレフィン)のガス組成比と、その雰囲気下で重合されたプロピレン量/(エチレン量またはα−オレフィン量)の重合量比が大きく異なり、重合体の(エチレンまたはα−オレフィン)の重合量が少なくなる場合が発生する。つまり、所望のエチレンあるいはα−オレフィンの含量を有する共重合体を得るためには、共重合体中の含量から大きく異なるモノマー比のガスを供給して重合することが必要となり、製造上問題があった。さらに、極端な場合には、重合装置の制約上、所望の含量を有する共重合体が製造できないこともあった。
加えて、これまで知られているメタロセン触媒を用いた場合には、プロピレンとエチレンあるいはα−オレフィンの共重合を気相で行う場合、得られる共重合体の分子量が低いという問題があった。プロピレン−エチレンブロック共重合体において、高い耐衝撃性を発現するためには、共重合体の分子量がある一定以上の値を有することも必要であり、高い分子量の共重合体を製造できる製造法も望まれている。また、単位ポリマーあたりの触媒単価を低下させるためや、ゴム部の含量を高くするため、ゴム活性の高い触媒の開発も望まれている。
さらに、既に上述した通り、インパクトコポリマーの剛性を向上させるために、高い融点を有するホモポリプロピレンが必要とされる。ところが、メタロセン錯体を用いた触媒において、既に述べたエチレンおよびα−オレフィンの取り込み効率を向上させ、かつ、高い分子量の共重合体を製造できる触媒においては、未だ高い融点を有するホモポリプロピレンを製造できる触媒として、十分な性能を発現する触媒は知られていない。
また、特許文献6には、片方のインデニル環の5位と6位にメチル基を導入し、2位がアルキル基である非対称のメタロセン錯体が開示されており、高い分子量の共重合体を提供し得るメタロセン錯体を開示している。
しかし、特許文献5、特許文献6で開示されているメタロセン錯体は、ともに得られたホモポリプロピレンの融点は、十分に高いものとはなっておらず、満足できるものとはいえず、さらに高性能のメタロセン錯体の創出が望まれている。
つまり、本発明者らは、上記課題を解決するため、特定の置換基を有するメタロセン錯体、特にインデニル環の6位に置換基を有し、インデニル環の2位に置換基を有していてもよいフリル基または置換基を有していてもよいチエニル基を有するメタロセン錯体を見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記一般式[I]中、R7とR17は、互いに同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基であることを特徴とするメタロセン錯体が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記一般式[I]が一般式[II]で示されることを特徴とするメタロセン錯体が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、下記の(A)、(B)及び(C)の各成分を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
成分(A):第1〜5のいずれかの発明に係るメタロセン錯体
成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物
第6〜8のいずれかの発明に係るオレフィン重合用触媒を用いて、
(i)全モノマー成分に対して、プロピレンを90〜100重量%、エチレン又はα−オレフィンを0〜10重量%で重合させる工程、及び
(ii)全モノマー成分に対して、プロピレンを10〜90重量%、エチレン及び/又は炭素数4以上のα−オレフィンを10〜90重量%で重合させる工程、
を含むことを特徴とするプロピレン系重合体の二段重合方法が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第10の発明において、第1工程は、
(i)全モノマー成分に対して、プロピレンを90〜100重量%、エチレン又はα−オレフィンを0〜10重量%で、プロピレンを溶媒として用いるバルク重合又はモノマーをガス状に保つ気相重合であり、及び
第2工程は、
(ii)全モノマー成分に対して、プロピレンを10〜90重量%、エチレン又はα−オレフィンを10〜90重量%で、気相重合させることを特徴とするプロピレン系重合体の二段重合方法が提供される。
これにより、柔軟性や耐衝撃性に優れ、かつ高い剛性を有するプロピレン系重合体を効率的に製造することができ、本発明の新規メタロセン錯体およびオレフィンの重合方法は、工業的な観点から、非常に有用である。例えば、ポリプロピレン成分とプロピレン・α−オレフィン共重合体成分とを多段重合して製造されるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体において、剛性の高いポリプロピレン成分と、α−オレフィンの取り込み効率がよく、高分子量のプロピレン・α−オレフィン共重合体成分とが、同時に達成できるため、剛性と耐衝撃性とがバランスよく向上したプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体が得られる。
すなわち、本発明の基本的構成を成すメタロセン錯体は、新規な遷移金属化合物であり、その配位子の電子的かつ立体的な構造に特徴を有し、それによって、エチレンおよびα−オレフィンの取り込み効率がよく、高分子量のゴム成分を重合することができ、さらに、プロピレンの単独重合において高い融点を有するホモポリプロピレンをもたらす触媒機能が顕現される。
そのメタロセン錯体は、構造が上記の一般式[I]で表される遷移金属化合物からなるものであって、本発明において、オレフィン重合用触媒の触媒成分として使用され、助触媒などと組み合わされてα−オレフィン重合用触媒を形成する。
その理由は、必ずしも明らかではないが、本発明における一般式[I]で示される遷移金属化合物は、インデニル環の2位に、置換基を有していてもよいフリル基または置換基を有していてもよいチエニル基を有し、また、インデニル環の6位に、置換基を配置した特異な構造であることを基本的な特徴としており、こうした特徴が本発明の特異性をもたらすものと、推察することができる。
特に、インデニル環の6位に置換基を配置し、2位に置換基を有していてもよいフリル基または置換基を有していてもよいチエニル基を配置することで、インデニル環の2位に位置する該フリル基または該チエニル基とインデニル環との二面角が適度に調節され、該フリル基または該チエニル基が配位場に対して、最適な立体効果を発現できると、考えられる。
この結果、インデニル環の2位置換基の立体効果が、ポリマー脱離反応を抑制することで、生成するポリマーの分子量を高める働きをし、さらに、プロピレンの挿入反応に対しては、選択的なプロピレン配位を可能にし、高い立体規則性重合を発現する優れた効果を奏していると、考えられる。
さらに、インデニル環の5位にも、置換基を有していると、相乗効果により、高い分子量のポリマーを得ることができると、考えられる。
これらの結果に対して、本発明で見出したインデニル環の6位にも置換基を配置した構造と、インデニル環の2位に置換基を有していてもよいフリル基または置換基を有していてもよいチエニル基の配置が、以上述べたポリマー脱離反応の抑制とプロピレンの選択的な挿入反応を両立できると、考えられる。
本発明のメタロセン錯体は、下記の一般式[I]で表される特定の置換基を有するメタロセン錯体である。
また、炭素数1〜6のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシなどを挙げることができる。
また、炭素数6〜18のアリール基には、炭素数1〜6の炭化水素基が置換されていてもよく、具体例としては、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、トリメチルフェニル、t−ブチルフェニル、ビフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アセナフチル、フェナントリル、アントリルなどを挙げることができる。
また、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基の骨格上の水素原子に、ハロゲン原子が置換されたものである。具体例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ヨードメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,1,1−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、ペンタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、5−クロロペンチル、5,5,5−トリクロロペンチル、5−フルオロペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、6−クロロヘキシル、6,6,6−トリクロロヘキシル、6−フルオロヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルを挙げることができる。
これらの中でも、ハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基が好ましく。具体的には、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、i−ブチル基、フェニル基が特に好ましい。
R7、R9、R17及びR19は、インデニル基上の置換基であり、好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基である。特に好ましくはR7及びR17について、炭素数1〜6のアルキル基であり、その中で、メチル基、エチル基が好ましく、更にはメチル基が好ましい。そして、R9及びR19について、好ましくは水素原子である。
また、R2、R3、R4、R5、R6、R12、R13、R14、R15及びR16は、隣接するR双方で5〜7員環を構成してもよく、5〜7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。
具体的には、インデニル環の4位の置換基として、1−ナフチル、2−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、フェナントリル、アントリルなどを挙げることをできる。
また、インデニル環の4位のPh基上の置換基(R2、R3、R4、R5、R6、R12、R13、R14、R15及びR16)としては、R3、R4、R5、R13、R14、R15及びR16のいずれか1つ以上が、置換基を有していたほうが好ましく、さらに好ましくはR3、R4、R5のいずれか1つ以上、かつR13、R14、R15のいずれか1つ以上が置換基を有していた方が好ましい。
好ましい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、炭素数6〜18のアリール基である。
R1とR11の置換基として、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよいフリル基、又はチエニル基であり、炭素数1〜6のアルキル基の中で好ましいのは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−プロピル、i−ブチル基であり、特に好ましくは、メチル基である。
また、R1とR11の置換基であるフリル基、チエニル基、置換基を有するフリル基または置換基を有するチエニル基として、特に好ましいものは、下記[III]式であらわすことができる。
本発明のメタロセン錯体の具体例を以下に示す。
・5,6−ジメチルインデニル骨格で4位置換基の変化したもの:
(2)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(3)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−メチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(4)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−エチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(5)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−メトキシフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(6)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−クロロフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(7)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3−メチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(8)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3−メトキシフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(9)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3−クロロフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(10)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(11)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−エチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(12)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(13)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(14)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(15)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(16)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メトキシフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(17)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(18)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(19)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(20)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジエチルフェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(22)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(23)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジ−メトキシフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(24)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジ−トリフルオロメチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(25)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,4,5−トリメチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(26)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(27)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(28)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(29)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(30)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(31)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(32)ジメチルシリレンビス[2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(33)ジメチルシリレンビス[2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(34)ジメチルシリレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(35)ジメチルシリレンビス[2−(4,5−ベンゾ−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(36)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(37)ジメチルシリレンビス[2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(38)ジメチルシリレンビス[2−(5−フェニル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(39)ジメチルシリレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(40)ジメチルシリレンビス[2−(4,5−ベンゾフリル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(41)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−チエニル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(42)ジメチルシリレンビス[2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(43)ジメチルシリレンビス[2−(5−フェニル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(44)ジメチルシリレンビス[2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(45)ジメチルシリレンビス[2−(4,5−ベンゾフリル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(46)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−チエニル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(47)ジメチルシリレン[4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル][2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(48)ジメチルシリレン[2−メチル−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル][2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(49)ジメチルシリレン[2−エチル−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル][2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(50)ジメチルシリレン[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル][2−(5−エチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(51)ジメチルシリレン[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル][2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(52)ジメチルシリレン[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル][2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(53)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5−メチル−6−エチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(54)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5−メチル−6−i−プロピル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(55)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5−メチル−6−n−プロピル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(56)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5−エチル−6−メチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(57)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5−n−プロピル−6−メチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
(58)ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5−i−プロピル−6−メチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
本発明のメタロセン錯体(化合物)は、置換基ないし結合の様式によって、任意の方法によって合成することができる。代表的な合成経路の一例を下記に示す。
置換基を導入したメタロセン化合物の合成は、対応した置換原料を使用することにより合成することができ、5−メチルフリル−2−ボロン酸のかわりに、対応するボロン酸、たとえば4,5−ジメチルフリル−2−ボロン酸、2−チエニルボロン酸などを用いることにより、対応する2位置換基(R1、R11)を導入することができ、2位置換基(R1、R11)にアルキル基を導入する場合は、文献(J.Org.Chem.1984,49,4226)のように、3にグリニャール試薬をNi触媒下で反応させることにより、導入することができる。
2つのインデニル環上の置換基が異なるメタロセン化合物の合成は、異なる置換インデンを、順にMe2QCl2と反応させることにより、架橋することができる。また、架橋時にアミン化合物(例えばメチルイミダゾール)など架橋助剤を存在させておいてもよい。
本発明のメタロセン錯体は、オレフィン重合用触媒成分を形成し、該触媒成分は、オレフィン重合用触媒に用いることができる。例えば、該メタロセン錯体を成分(A)として含む、次に説明するオレフィン重合用触媒として、用いることが好ましい。
本発明のオレフィン重合用触媒としては、下記(A)、(B)及び(C)成分を含むものである。
成分(A):一般式[I]又は[II]で示されるメタロセン錯体
成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物
成分(A)の一般式[I]又は[II]で示されるメタロセン錯体は、同一又は異なる一般式[I]又は[II]で示される化合物の二種以上を用いてもよい。
また、一般式[IV]、[V]で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内及び各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
さらに、一般式[VI]で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式:RbB(OH)2で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、Rbは、炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
本発明において、成分(B)として好ましく用いられるものは、スメクタイト族に属するもので、具体的にはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどを挙げることができる。中でも、ゴム成分の活性、分子量の点でモンモリロナイトが好ましい。
大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英やクリストバライトなど)が含まれることが多く、本発明で用いられるスメクタイト族の珪酸塩に交雑物が含まれていてもよい。
珪酸塩は、乾燥状態で用いてもよく、液体にスラリー化した状態で用いてもよい。また、イオン交換性層状珪酸塩の形状については、特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、粉砕、造粒、分級などの操作によって形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩を用いてもよい。このうち造粒された珪酸塩を用いると、良好なポリマー粒子性状を与えるため、特に好ましい。
造粒、粉砕、分級などのイオン交換性層状珪酸塩の形状加工は、酸処理の前に行ってもよいし、酸処理を行った後に形状を加工してもよい。
本発明で用いられる珪酸塩は、酸処理をして用いるが、その他の化学処理を組み合わせて、処理を行っても良い。その他の化学処理としては、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。
珪酸塩の酸処理により、固体の酸強度を変えることができる。また、酸処理は、イオン交換や表面の不純物を取り除く効果の他、結晶構造のAl、Fe、Mg、Liなどの陽イオンの一部を溶出させる効果もある。
酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸などが挙げられる。これらは、2種以上を同時に使用してもよい。中でも無機酸が好ましく、硫酸、塩酸、硝酸が好ましく、さらに好ましくは硫酸である。
また、酸処理と塩類処理を組み合わせる方法が特に好ましく、塩類処理を行った後に酸処理を行う方法、酸処理を行った後に塩類処理を行う方法、塩類処理と酸処理を同時に行う方法、塩類処理を行った後に塩類処理と酸処理を同時に行う方法などがある。
塩類処理を同時に行うことにより、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成することにより、表面積や層間距離を変えることができる。例えば、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることができる。
上記の酸処理を行う場合、処理前、処理の間、処理後に粉砕や造粒などで形状制御を行ってもよい。また、アルカリ処理、有機化合物処理、有機金属処理などの他の化学処理を併用してもよい。
珪酸塩は、上記の様な吸着水及び層間水を除去してから、使用することが好ましい。脱水方法は、特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水及び有機溶媒との共沸脱水などの方法が使用される。加熱温度は、吸着水及び層間水が残存しない様な温度範囲とされ、通常100℃以上、好ましくは150℃以上とされるが、構造破壊を生じる様な高温条件は好ましくない。加熱時間は、0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、脱水乾燥した後の珪酸塩の重量減量は、温度200℃・圧力1mmHgの条件下で2時間吸引した場合の値として、3重量%以下であることが好ましい。本発明においては、重量減量が3重量%以下に調整された珪酸塩を使用する場合、成分(A)及び成分(C)と接触する際にも、同様の重量減量の状態が保持される様に取り扱うことが好ましい。
本発明に係る成分(B)である酸処理された珪酸塩は、Al/Siの原子比として、0.01〜0.29のものであり、好ましくは0.03〜0.25、さらに好ましくは0.05〜0.23の範囲のものが、重合触媒の活性、ゴム成分の分子量の点で好ましい。
Al/Si原子比は、粘土部分の酸処理強度の指標となり、Al/Si原子比を制御する方法としては、酸処理を行う酸種、酸濃度、酸処理時間、温度を調整することにより制御することができる。
珪酸塩中のアルミニウム及びケイ素は、JIS法による化学分析による方法で検量線を作成し、蛍光X線で定量するという方法で測定される。
有機アルミニウム化合物の一例は、次の一般式で表される。
AlRaX3−a
上記一般式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基又はシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。
一般式で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられる。これらの中では、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、上記の有機アルミニウム化合物を2種以上併用してもよい。
本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製法においては、成分(A)、成分(B)および成分(C)の接触方法は、特に限定されないが、次の様な方法を例示することができる。
(i)成分(A)と成分(B)とを接触させた後に、成分(C)を添加する方法
(ii)成分(A)と成分(C)とを接触させた後に、成分(B)を添加する方法
(iii)成分(B)と成分(C)とを接触させた後に、成分(A)を添加する方法
(iv)各成分(A)、(B)、(C)を同時に接触させる。
また、成分(B)と成分(C)とを接触させた後、成分(A)と成分(C)の混合物を加えるというように、成分を分割して各成分に接触させても良い。
上記の各成分(A)(B)(C)の接触は、窒素などの不活性ガス中において、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒中で行うことが好ましい。接触は、−20℃から溶媒の沸点の間の温度で行うことができ、特に室温から溶媒の沸点の間での温度で行うのが好ましい。
本発明のオレフィン重合用触媒は、エチレン及びα−オレフィンからなる群から選ばれる一種の重合モノマーの単独重合、二種以上の重合モノマー間の共重合に、供することができる。
α−オレフィンとは、例えば、炭素数3〜20のオレフィンを指し、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエン、トリエン、環状オレフィンなどが挙げられる。
本発明において、重合形態は、前記一般式[I]又は[II]で示されるメタロセン錯体を含む重合用触媒とモノマーが効率よく接触し、オレフィンの重合または共重合を行うことができるならば、あらゆる様式を採用し得る。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相重合法などが採用できる。
重合方式は、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。
また、重合形式の組み合わせは、特に制限はなく、バルク重合2段、バルク重合後気相重合、気相重合2段といった様式も可能であり、さらには、それ以上の重合段数で製造することも可能である。
特に良好な粒子形状のポリマーを得るためには、第一工程をバルク重合で行い、第二工程を気相重合で行うか、もしくは、第一工程、第二工程共に、気相重合で行うことが好ましい。
工程1は、全モノマー成分に対して、プロピレンを90〜100重量%、エチレンまたはα−オレフィンを0〜10重量%で重合させる工程である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
重合温度は、0〜150℃であり、また、分子量調節剤として、補助的に水素を用いることができる。重合圧力は、0〜3MPaG、好ましくは0〜2MPaGが適当である。
バルク重合法の場合は、重合温度は、0〜90℃であり、好ましくは60〜80℃である。重合圧力は、0〜5MPaG、好ましくは0〜4MPaGが適当である。
気相重合の場合は、重合温度は、0〜200℃であり、好ましくは50〜120℃であり、さらに好ましくは60〜100℃である。重合圧力は、0〜4MPaG、好ましくは0〜3MPaGが適当である。
また、全モノマー成分に対して、ポリマーの形状を悪化させない0〜10%の範囲でエチレンまたはα−オレフィンを共存させることができ、分子量、活性、融点の調整を行うことができる。また、分子量調整剤として、水素を用いても良い。
工程2は、全モノマー成分に対して、プロピレンを10〜90重量%、エチレンまたはα−オレフィンを10〜90重量%で重合させる工程であり、好適な耐衝撃性を示すゴム成分を製造することができる。モノマー成分に対するプロピレン量は、好ましくは、高い耐衝撃性を有するプロピレン重合体を与える点で、20〜80重量%である。
第二工程の重合条件として、スラリー重合、バルク重合は、第一工程と同じであるが、気相重合の場合は、モノマー組成が第一工程と異なることから、重合温度は、0〜200℃であり、好ましくは20〜90℃であり、さらに好ましくは30〜80℃である。重合圧力は、0〜4MPaG、好ましくは1〜3MPaGが適当である。また、分子量調節剤として、水素を用いてもよい。
本発明において、「α−オレフィン」とは、前記のように、炭素数3〜20のオレフィンを指し、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエン、トリエン、環状オレフィンなどが挙げられる。
プロピレンと共に用いられるモノマーとして、好ましくはエチレン、1−ブテンであり、さらに好ましくはエチレンである。また、これらモノマーを組み合わせて用いても良い。
本発明に係る触媒を用いて得られるプロピレン系重合体中の第二工程で得られた共重合体成分(ゴム成分であり、以下、「CP」と称す。)の含有量、CP中のエチレン、またはα−オレフィン重合割合は、以下の方法により求める。
なお、以下の例は、CP中のエチレンを用いた場合のものであるが、エチレン以外のα−オレフィンでも、以下の例に準じた方法を用いて、求めるものとする。
(i)クロス分別装置:
・ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析(FT−IR):
・パーキンエルマー社製1760X
CFC(クロス分別クロマトグラフィー)の検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。
CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは、1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC):
CFCの後段に、GPCカラム(昭和電工社製AD806MS)を3本直列に接続して使用する。
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は、40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。
なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は、各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
(F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000)
(i)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時:
K=0.000138、α=0.70
(ii)プロピレン系ブロック共重合体のサンプル測定時:
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定などによりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレン−共重合体(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン重合割合(モル%)に換算して求める。
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体のCP含有量は、下記式(I)で定義され、以下のような手順で求められる。
CP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100 ・・・(I)
また、式(I)の意味は、以下の通りである。
すなわち、式(I)右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるCPの量を算出する項である。フラクション1がCPのみを含み、PPを含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のCP含有量に寄与するが、フラクション1には、CP由来の成分のほかに少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこで、W40に、A40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、CP成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるCPのエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はCP由来、1/4はPP由来ということになる。このように、右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からCPの寄与を算出することを意味する。右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、CPの寄与を算出して加え合わせたものがCP含有量となる。
フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。
フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では、B100=100と定義する。B40、B100は、各フラクションに含まれるCPのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するPPとCPを完全に分離分取する手段がないからである。
種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40は、フラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果を合理的に説明することができることが判った。また、B100は、エチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、及び、これらのフラクションに含まれるCPの量がフラクション1に含まれるCPの量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこで、B100=100として解析を行うこととしている。
したがって、下記式(II)に従い、CP含有量を求めることができる。
CP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100 ・・・(II)
共重合体成分中のエチレン含量は、式(II)で求めた共重合体成分の含有量を用いて、下記の式(III)で求められる。
共重合体成分中のエチレン含量(重量%)=(W40×A40+W100×A100+W140×A140)/[共重合体成分含有量(重量%)] ・・・(III)
本発明に係るCFC分析においては、40℃とは、結晶性を持たないポリマー(例えば、CPの大部分、又はプロピレン重合体成分(PP)の中でも極端に分子量の低い成分及びアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えばCP中、エチレン及び/又はプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、及び結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、PP中特に結晶性の高い成分、及びCP中の極端に分子量が高くかつ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。
なお、W140には、CP成分は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり実質的には無視できることから、CP含有量やエチレン含量の計算からは排除する。
CP中のエチレン含有量は、次式によって求める。
CP中のエチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/[CP]
但し、[CP]は、先に求めたCP含有量(重量%)である。
ここで得られたCP中のエチレン含有量(重量%)の値から、エチレン及びプロピレンの分子量を使用して、最終的にモル%に換算する。
なお、以下の諸例において、錯体合成工程、触媒合成工程及び重合工程は、全て精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は、脱水した後に精製窒素でバブリングして脱気して使用した。
また、実施例における物性測定、分析等は、前述した方法と下記の方法に従ったものである。
ポリマー6gに熱安定剤(BHT)のアセトン溶液(0.6重量%)6gを添加した。
次いで、上記のポリマーを乾燥した後、メルトインデクサー(230℃)に充填し、2.16Kg荷重の条件下に5分間放置した。その後、ポリマーの押し出し量を測定し、10分間当たりの量に換算し、MFRの値とした(単位はg/10分)。
DSC(デュポン社製のTA2000型、又はセイコー・インスツルメンツ社製のDSC6200型)を使用し、10℃/分で20〜200℃までの昇降温を1回行った後、10℃/分で2回目の昇温時の測定値により求めた。
上記明細書中に、詳述した方法による。
メタロセン錯体Aの合成:ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド(メタロセン錯体A)の合成
塩化アルミニウム116g(0.87mol)とニトロメタン200mLの縣濁溶液にo−キシレン48mL(0.4mol)と3−クロロプロピオニルクロライド50gの混合液を氷浴上で滴加した。室温に昇温し5時間攪拌した後、反応溶液を1N塩酸−氷水に流し込み攪拌した。有機層を分取し、1N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、途中得られた固体を分取した。硫酸300mLに得られた固体を少量づつ加えて、オイルバス100℃で4時間加熱攪拌した。環状異性体が約40%副生した。反応終了後、反応溶液を氷水に流し込み、ジエチルエーテル抽出して、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下溶媒を留去して、得られた固体を熱へキサンで再結晶を行い、環状異性体を除いた。5,6−ジメチル−インダノン25.5gを得た。(収率40%)
1H−NMR(400MHz,CDCl3):2.26(s,3H,tol−Me),2.35(s,3H,tol−Me),2.66(d,J=4Hz,2H,CH2),3.05(d,J=4Hz,2H,CH2),7.25(s,1H,arm),7.53(s,1H,arm)
得られた5,6−ジメチル−インダノン25.5gを塩化アルミニウム49gとクロロホルム250mLの懸濁溶液に加えた。室温で3時間攪拌後、氷浴冷却下ブロミン8.2mLのクロロホルム溶液10mLを滴加し、室温で昼夜反応させた。反応終了後、1N塩酸−氷水に流し込み攪拌した。有機層を分液し、1N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた固体をヘキサン洗浄した。得られた4−ブロモ−5,6−ジメチルインダノンの粗生成物33gをエタノールに懸濁させ、氷浴冷却下、水素化ホウ素ナトリウム5.2gを加えて室温で昼夜攪拌した。反応後、減圧下溶媒を約半分留去し、1N塩酸を加えてクエンチ後ジエチルエーテル抽出した。有機層を水、飽和食塩水と続けて洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下溶媒を留去して得られた黄色固体にp−トルエンスルホン酸0.5gとトルエン250mLを加えて加熱還流した。0.5時間後、水を加えて有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、目的の4−ブロモ−5,6−ジメチル−インデン13g(収率37%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):2.37(s,3H,tol−Me),2.41(s,3H,tol−Me),3.37(s,2H,CH2),6.51(d,1H,CH),6.82(d,1H,CH),7.14(s,1H,arm)
フェニルボロン酸(5.7g,46.7mmol)、リン酸三カリウム・n水和物(15.2g)、4−ブロモ−5、6−ジメチルインデン(8g,36mmol)、酢酸パラジウム(0.24g,1.1mmol%)、ビフェニルジシクロヘキシルフォスフィン(0.75g)を無水トルエン200mLに溶解させ、加熱還流下で0.5時間反応させた。反応溶液を1N塩酸−氷水に流し込み攪拌後、有機層を分取した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去しさらにシリカゲル濾過を行い、4−フェニル−5,6−ジメチルインデンの粗生成物(7.7g)を得た。
4−フェニル−5、6−ジメチルインデンの粗生成物(10.6g,48mmol)をジメチルスルホキシド(120mL)に溶解させ、水(4mL)を加えた。0℃でN−ブロモスクシンイミド(11.1g,62mmol)を添加し、室温で4時間攪拌した。氷浴上で水を加えてクエンチし、トルエンを加えて有機層を抽出した。有機層にp−トルエンスルホン酸・一水和物(0.2g)を加え、加熱還流下で2時間反応させた後、反応溶液に水を加えて有機層を分取した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、さらにシリカゲル濾過を行い、粗生成物(12.5g)を得た。
2−メチルフラン(5.9mL,65.8mmol)をジメトキシエタン(100mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.62M,40.4mL)を氷浴冷却下滴加し2時間攪拌した後、氷浴冷却したままトリメチルボレート(8.5mL,75mmol)を滴加し室温で16時間攪拌した。水(5mL)を加え1時間攪拌し、減圧下溶媒を留去した。そこに、炭酸ナトリウム(8.8g)の水溶液(80mL)、上記合成した2−ブロモ−4−フェニル−5,6−ジメチルインデンの粗生成物(12.5g)のジメトキシエタン(60mL)溶液、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.2g)を順に加え、加熱還流下で2時間反応させた。反応溶液を1N塩酸−氷水に流し込み、有機層を分取し、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。再結晶を行い、目的の2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデン(7.3g)を得た。
2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5、6−ジメチルインデン(2.4g,8.0mmol)をジエチルエーテル(30mL)とトルエン(40mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.59M,5.0mL)を−40℃で滴加した。室温まで昇温し3時間攪拌した後、N−メチルイミダゾール(0.02mL)、ジクロロジメチルシラン(0.49mL,4.0mmol)を−30℃で滴加した。室温まで昇温し1.5時間攪拌した。水を加えて有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、ジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル}シランの粗生成物(2.6g)を得た。
合成したジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチルインデニル}シランの粗生成物(2.6g)をジエチルエーテル(30mL)とトルエン(50mL)に溶解させ、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.59M,5.0mL)を氷浴上で滴加した。室温で3時間攪拌した後、減圧下溶媒を留去した。ヘキサン(40mL)で3回洗浄し減圧下溶媒を留去して得られた固体を、−72℃で四塩化ジルコニウム(0.9g)の塩化メチレン(40mL)懸濁溶液に添加し2時間攪拌後室温で4時間攪拌した。得られた反応溶液を一度濃縮し、トルエン抽出、n−へキサンを抽出した。続けて、n−へキサン、ジイソプロピルエーテル、トルエンと順に洗浄した。さらに塩化メチレン−へキサン再結晶を繰り返し、ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライドのラセミ体0.3gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):1.09(s,6H,Si(CH3)2),2.05(s,6H,tol−CH3),2.14(s,6H,tol−CH3),2.41(s,6H,Furyl−CH3),6.02(dd,J=1.0Hz,3.3Hz,2H,Furyl−H),6.16(d,J=3.3Hz,2H,Furyl−H),6.44(s,2H,Cp),6.67(s,2H,arm.),7.09−7.12(m,2H,arm.),7.28−7.37(m,2H,arm.),7.43−7.50(m,2H,arm.),7.67−7.72(m,2H,arm.)
酸処理:
ゼパラブルフラスコに蒸留水(1130g)と96%硫酸(750g)を加え、内温を90℃に保ち、そこに造粒モンモリロナイトである水澤化学社製ベンクレイSL(平均粒径19μm、300g)を添加し2時間反応させた。懸濁液を1時間で室温まで冷却し、蒸留水でpH=4まで洗浄した。このときの洗浄倍率は、1/10000以下であった。
ゼパラブルフラスコで硫酸リチウム1水和物(210g)を蒸留水(520g)に溶かし、そこに、濾過した酸処理粘土を加え室温で120分撹拌した。このスラリーを濾過し、得られた固体に蒸留水(3000mL)を加え5分間室温で撹拌した。このスラリーを濾過した。得られた固体に蒸留水(2500mL)を加え5分撹拌後再び濾過した。この操作をさらに4回繰り返し、得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、さらに200℃で2時間減圧乾燥することにより、化学処理モンモリロナイトを得た。
内容積1Lのフラスコに、上記で得た化学処理モンモリロナイト(5.0g)を秤量し、ヘプタン32ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(17mL,12.5mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を50mLに調製した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(1.0mL)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン錯体A(122mg,150μmol)のトルエン(30mL)溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン(350mL)を加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを5g/時の一定速度で120分間供給した。
プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(4.3mL,3.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒(触媒A)を13.4g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.68であった。
第一工程:
内容積3Lの撹拌式オ−トクレ−ブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(2.76mL,2.02mmol)を加え、水素(200mL)、続いて液体プロピレン(750g)を導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。触媒Aをn−ヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)50mgを圧入し、重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。
その後、内温を60℃でプロピレンとエチレンを、ガスmol組成で、プロピレン/エチレン=60/40となるように1.8MPaまで導入し、内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入しながら、内圧を2.0MPaとなるように調整しながら、30分間重合反応を制御した。
その結果、粒子性状の良い99.8gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体が得られた。プロピレンとエチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成は、プロピレン/エチレン=59/41であった。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は14wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は32mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は730,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は570(g−CP/g−Cat/hr)であった。また、別途第1工程で採取したプロピレンホモポリマーのTmは159℃、MFRは16(dg/min)であった。
プロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=45/55となるように調整した以外は、[実施例1](1−10)と同様に操作した。
その結果、64gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。別途採取したプロピレンホモポリマーのTmは159℃、MFRは17(dg/min)であった。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は18wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は48mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は920,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は460(g−CP/g−Cat/hr)であった。
メタロセン錯体Bの合成:ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド(メタロセン錯体B)の合成
500mL三口フラスコに4−ブロモ−5,6−ジメチルインデン(3.4g,15mmol)、4−t−ブチルフェニルボロン酸(3.25g,18.2mmol)、リン酸三カリウム・n水和物(7.7g,31mmol)、酢酸パラジウム(0.11g,0.5mmol)、ビフェニルジシクロヘキシルフホスフィン(0.33g,0.94mmol)、トルエン(287mL)を加え、オイルバスで2h加熱還流した。得られた溶液を分液・溶媒留去し、未精製の4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(4.6g)を得た。
500mLナスフラスコに未精製の4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(4.6g,17mmol)、ジメチルスルホキシド(41mL)および水(1.5mL)を入れ、氷冷しながらN−ブロモスクシンイミド(5.04g,28.3mmol)を徐々に加え、室温で3.5h攪拌した。室温でトルエン(100mL)および水(100mL)を加え、トルエン抽出を行い、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を500mL三口フラスコに移し、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.499g,2.62mmol)を加え、オイルバスで1.5h加熱還流した。得られた溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、分液・溶媒留去することで、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(5.4g,15mmol)を黄褐色油状物として得た。
200mLシュレンク管に2−メチルフラン(1.9g,23mmol)およびDME(21mL)を入れ、−20℃に冷却して、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(15.6mL,25mmol,1.63M)を滴下した。1h攪拌した後、DME(21mL)を加え、氷冷しながらトリメチルボレート(2.9mL,26mmol)を加え、室温で1h攪拌した。この溶液を氷冷し、炭酸ナトリウム(3.3g,31mmol)および水(21mL)を加え、室温で1h攪拌した。減圧下で溶媒を半量まで濃縮し、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(5.4g,15mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.436g,0.377mmol)、DME(37mL)および水(4.8mL)を加え、オイルバスで2h加熱還流した。得られた溶液を分液・溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行うことで、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(2.7g,7.5mmol)を薄橙色固体として、収率49%で得た。
100mLシュレンク管に2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデン(1.6g,7.5mmol)およびTHF(23mL)を入れ、−78℃に冷却してn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(3.10mL,5.0mmol,1.63M)を滴下した。−78℃で30min撹拌の後、室温で3h攪拌した。その後、N−メチルイミダゾール(9.0μL,0.11mmol)およびTHF(5.2mL)を加え、−30℃に冷却してジメチルジクロロシラン(0.27mL,2.3mmol)を滴下し、−30℃で15min、室温で2h攪拌した。得られた溶液を分液・溶媒留去し、シリカゲル精製を行うことでジメチルビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデニル]シラン(1.28g,1.66mmol)を橙色固体として収率74%で得た。
ジメチルビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチルインデニル]シラン(1.3g,1.7mmol)、Et2O(20mL)を入れ、−78℃に冷却してn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(2.3mL,3.8mmol,1.63M)を滴下した。徐々に0℃まで昇温しながら2.5h撹拌した後、溶液を濃縮し、ジクロロメタン(40mL)を加え、−78℃に冷却して四塩化ジルコニウム(0.40g,1.7mmol)を加え、徐々に室温まで昇温しながら終夜攪拌した後、減圧下で溶媒留去し、錯体を含む混合物(1.8g)を黄褐色固体として得た。
この混合物をヘキサン抽出、ジクロロメタン/ヘキサン抽出を実施し、ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライドのラセミ体(137mg,0.147mmol)を橙色固体として、収率9%で得た。
1H−NMR(400MHz,C6D6):1.02(s,6H,Me2Si),1.14(s,18H,tBu),1.93(s,6H,Ar−Me),2.05(s,6H,Ar−Me),2.12(s,6H,furyl−Me),5.70(d,2H,J=3Hz,furyl−H),6.18(d,2H,J=3Hz,furyl−H),6.84(s,2H,Cp−H),6.91(s,2H,Ar−H),7.15(d,2H,J=8Hz,Ar−H),7.29(d,2H,J=8Hz,Ar−H),7.37(d,2H,J=8Hz,Ar−H),8.20(d,2H,J=8Hz,Ar−H).
1L三口フラスコに実施例1に記載の化学処理モンモリロナイト(10.0g)を秤量し、ヘプタン(65mL)、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(35mL、25.4mmol)を加え、室温で1h撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。
上記で調製した、トリイソブチルアルミニウム処理済モンモリロナイトのヘプタンスラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(1.7mL、1.2mmol)を加え、ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド(137mg,147μmol)のヘプタン溶液(60mL)を、上記1L三口フラスコに加えて室温で1h撹拌した。
次に、上記モンモリロナイトのヘプタンスラリーに、さらにヘプタン(340mL)を追加して内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを一定速度(10g/h)で2h供給した。プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2.5hそのまま維持し、その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(4.3mL,3.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して、固体触媒(触媒B)を31.4g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で割った値)は2.09であった。
触媒Aの代わりに、触媒Bを50mgとし、プロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=54/46となるように調整し、水素の添加量を300mlとした以外は、[実施例1](1−10)と同様に操作した。
その結果、93gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。別途採取したプロピレンホモポリマーのTmは158℃、MFRは46(dg/min)であった。
得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は12wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は38mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は645,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は220(g−CP/g−Cat/hr)であった。
触媒Aの代わりに、触媒Bを70mgとし、プロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=45/55となるように調整し、水素の添加量を300mlとした以外は、[実施例1](1−10)と同様に操作した。
その結果、154gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。別途採取したプロピレンホモポリマーのTmは158℃、MFRは49(dg/min)であった。
得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は22wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は49mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は1、090、000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は490(g−CP/g−Cat/hr)であった。
メタロセン錯体Xの合成:ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5−メチルインデニル}ジルコニウムジクロライド(メタロセン錯体X)の合成
メタロセン錯体Xの合成は、特開2010−163423号公報、実施例1に記載の方法を参考に合成し、ラセミ体(純度99%以上)を得た。
内容積1Lのフラスコに、上記で得た化学処理モンモリロナイト(10.0g)を秤量し、ヘプタン65ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(35mL,25mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(1.67mL,1.2mmol)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン錯体X(247mg,310μmol)のトルエン(60mL)溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン(340mL)を加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを10g/時の一定速度で120分間供給した。
プロピレン供給終了後、50℃に昇温して4時間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(8.5mL,6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を28.8g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.42であった。
第1工程のプロピレン重合時に水素量を300mlとしたのと、第2工程のプロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=54/46となるように調整した以外は、[実施例1](1−10)と同様に操作した。その結果、45gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は18wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は34mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は508,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は340(g−CP/g−Cat/hr)であった。別途採取したプロピレンホモポリマーのTmは156℃、MFRは94(dg/min)であった。
メタロセン錯体Yの合成:ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル]ジルコニウムジクロライド(メタロセン錯体Y)の合成
メタロセン錯体Yの合成は、特開2002−128832号公報、実施例1に記載の方法を参考に合成し、ラセミ体(純度99%以上)を得た。
メタロセン錯体Xの代わりに、メタロセン錯体Yを223mg(293μmol)用いた他は、[比較例1](1−2)記載の触媒調製と同様の操作により触媒Yを得た。
そのときの予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.80であった。
第1工程のプロピレン重合時に水素量を300mlとしたのと、第2工程のプロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成をプロピレン/エチレン=43/57となるように調整した以外は、[実施例1](1−10)と同様に操作した。
その結果、173gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。別途採取したプロピレンホモポリマーのTmは154℃、MFRは162(dg/min)であった。
上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は9wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は51mol%であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は121,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は1,200(g−CP/g−Cat/hr)であった。
・メタロセン錯体B:ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−5,6−ジメチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
・メタロセン錯体X:ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5−メチル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
・メタロセン錯体Y:ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル]ジルコニウムジクロライド
Claims (11)
- 下記の一般式[I]で表されるメタロセン錯体。
- 前記一般式[I]中、R8とR18は、互いに同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のメタロセン錯体。
- 前記一般式[I]中、R7とR17は、互いに同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のメタロセン錯体。
- 前記一般式[I]中、R2、R6 、R12 及びR16 は、水素原子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメタロセン錯体。
- 前記一般式[I]が一般式[II]で示されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメタロセン錯体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のメタロセン錯体を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
- 下記の(A)、(B)及び(C)の各成分を含むことを特徴とする請求項6に記載のオレフィン重合用触媒。
成分(A):請求項1〜5のいずれかに記載のメタロセン錯体
成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物 - 成分(B)がイオン交換性層状珪酸塩であることを特徴とする請求項7に記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項6〜8のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を使用して、オレフィンの重合または共重合を行うことを特徴とするオレフィンの重合方法。
- プロピレン系重合体を製造する方法であって、請求項6〜8のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を用いて、
(i)全モノマー成分に対して、プロピレンを90〜100重量%、エチレン又はα−オレフィンを0〜10重量%で重合させる工程、及び
(ii)全モノマー成分に対して、プロピレンを10〜90重量%、エチレン及び/又は炭素数4以上のα−オレフィンを10〜90重量%で重合させる工程、
を含むことを特徴とするプロピレン系重合体の二段重合方法。 - 第1工程は、
(i)全モノマー成分に対して、プロピレンを90〜100重量%、エチレン又はα−オレフィンを0〜10重量%で、プロピレンを溶媒として用いるバルク重合又はモノマーをガス状に保つ気相重合であり、及び
第2工程は、
(ii)全モノマー成分に対して、プロピレンを10〜90重量%、エチレン又はα−オレフィンを10〜90重量%で、気相重合させることを特徴とする請求項10に記載のプロピレン系重合体の二段重合方法。
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