明 細 書
アントラピリドン化合物又はその塩、マゼンタインク組成物及び着色体 技術分野
[0001] 本発明は新規なアントラピリドン化合物、そのアントラピリドン化合物を含有するマゼ ンタインク組成物及びこれを用いて得られる着色体に関する。
背景技術
[0002] 各種カラー記録法の中で、その代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによ る記録方法において、インクの各種吐出方式が開発されている。いずれもインクの小 滴を発生させ、これを種々の被記録材料 (紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を 行うというものである。これは、記録ヘッドと被記録材料とが接触しない為、音の発生 が殆どなく静かであり、また小型化、高速化、カラー化が容易であるという特長の為、 近年急速に普及しつつあり、今後も大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水 溶性染料を水性媒体に溶解した水性インクが使用されてレ、る。これらの水性インクに お!/、てはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく一般に水溶性 有機溶剤が添加されている。これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の記録 画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥 性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また形成 される画像には、耐水性、耐光性、耐湿性等の堅牢性が求められる。
[0003] 一方、コンピューターのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報を、インクジェット プリンタによりカラ—で記録するには、一般にはイェロー (Y)、マゼンタ(M)、シアン( C)及びブラック (K)の 4原色のインクによる減法混色で表現される。 CRTディスプレ ィ等のレッド (R)、グリーン(G)及びブルー(B)による加法混色画像を減法混色画像 によりできるだけ忠実にそれらの色相を再現するためには、 Y、 Μ及び Cのそれぞれ 1S 出来るだけそれぞれの標準に近い色相を有し且つ鮮明であることが望まれる。又 、それに使用されるインク組成物は長期の保存に対し安定であり、プリントした画像の 濃度が高ぐしかも該画像の耐水性、耐光性及び耐ガス性等の堅牢度に優れている
事が求められる。
[0004] インクジェットプリンタの用途は OA用小型プリンタから産業用の大型プリンタにまで 拡大されてきており、耐水性、耐湿性、耐光性及び耐ガス性等の堅牢度がこれまで 以上に求められている。耐水性については、多孔質シリカ、カチオン系ポリマー、ァ ノレミナゾル又は特殊セラミックなどの有機又は無機の微粒子を PVA樹脂などとともに 紙の表面にコーティングして被記録材料に受像層を設けることなどにより大幅に改良 されてきて!/、る。耐湿性とは着色された被記録材料を高湿度の雰囲気下に保存した 際に被記録材料中の染料が着色画像の周囲に滲んでくるという現象に対する耐性 のことである。染料の滲みがあると、特に写真調の高精細な画質を求められる画像に おいては著しく画像品質が低下するため、できるだけこの様な滲みを少なくする事が 重要である。耐光性については大幅に改良する技術は未だ確立されておらず、特に Y、 M、 C及び Κの 4原色のうちマゼンタの色素はもともと耐光性の弱いものが多ぐそ の改良が重要な課題となっている。又、最近のデジタルカメラの浸透と共に家庭でも 写真をプリントする機会が増しており、得られたプリント物を保管する時に、空気中の オゾンガス、窒素酸化物等の酸化性ガスによる画像の変色も問題視されている。酸 化性ガスは、記録紙上又は記録紙中で染料と反応し、印刷された画像を変退色させ る性質を有している。酸化性ガスの中でも、オゾンガスはインクジェット記録画像の退 色現象を促進させる主要な原因物質とされてレ、る。この変退色現象はインクジェット 画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上も耐光性の向上と同様重要 な課題となっている。
[0005] インクジェット記録用水溶性インクに用いられるマゼンタ色素としては、キサンテン系 色素と、 Η酸(1 アミノー 8—ヒドロキシ一ナフタレン 3, 6—ジスルホン酸)を用い たァゾ系色素が代表的である。しかし、前者は色相及び鮮明性は非常に優れるが耐 光性が非常に劣る。また、後者は色相及び耐水性の点では良いものがある力 耐光 性及び鮮明性が劣るものが多レ、。また、このタイプでは比較的鮮明性及び耐光性の 優れたマゼンタ染料も開発されている力 S、銅フタロシアニン系色素に代表されるシァ ン染料やイェロー染料など他の色相の染料に比べると、耐光性は依然劣る水準であ
[0006] 鮮明性及び耐光性の優れるマゼンタ用色素としてはアントラピリドン系色素(例えば 、特許文献 1〜; 11参照)があるが、色相、鮮明性、耐光性、耐湿性、耐ガス性及び溶 解安定性のすべてを満足させるものは得られて!/、なレ、。
[0007] 特許文献 1: :特開平 10— 306221号公報 - -3頁、 7- 18頁)
特許文献 2: :特開 2000- — 109464号公報(1 —2頁、 8— -12頁)
特許文献 3: :特開 2000- -169776号公報(1 —2頁、 6— -9頁)
特許文献 4: :特開 2000- -191660号公報(1 —3頁、 11 —14頁)
特許文献 5: :特開 2000- -256587号公報(1 —3頁、 7- -18頁)
特許文献 6: :特開 2001- - 72884号公報(1— -2頁、 8— 11頁)
特許文献 7: :特開 2001- -139836号公報(1 —2頁、 7- -12頁)
特許文献 8: : WO2004/104108号国際公開パンフレ、 /卜(20—
特許文献 9: :特開 2003- -192930号公報(1 —4頁、 15 —18頁)
特許文献 10:特開 2005 — 8868号公報(1— 3頁、 15- 22頁)
特許文献 11:特開 2005— 314514号公報(1 3頁、 15— 20頁)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] 本発明は水に対する溶解性が高ぐインクジェット記録に適する色相と鮮明性を有 し、且つ記録物の耐光堅牢性、耐湿堅牢性及び耐ガス堅牢性に優れたマゼンタ色 素(化合物)、及びそれを含有するインク組成物を提供する事を目的とする。
課題を解決するための手段
[0009] 本発明者等は前記課題を解決すベぐ鋭意検討の結果、式(1)で表されるアントラ ピリドン化合物が前記課題を解決するものであることを見出し本発明を完成させたも のである。即ち本発明は、
( 1 )下記式( 1 )で表されるアントラピリドン化合物又はその塩、
式 (1)
{式中、 R
1は水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロへキシル基、 モノ若しくはジアルキルアミノアルキル基又はシァノ低級アルキル基を、 R
2は水素原 子又はメトキシ基を、 R
3はアルキル基(該アルキル基はスルホン酸基、カルボキシ基、 アルコキシカルボニル基、ァシル基、力ルバモイル基、シァノ基、アルコキシ基、フエ ニルアルコキシ基、フエノキシ基、ヒドロキシ基及びニトロ基からなる群から選択される 置換基を有してもよい)、ァリールアルキル基又はへテロ環置換アルキル基(該ァリー ル及び該ヘテロ環はハロゲン原子、ニトロ基、シァノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、 置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、力ルバ モイル基、アルコキシ基及びフエノキシ基からなる群から選択される置換基を有しても よい)をそれぞれ表す }、
(2) 1^が水素原子又はメチル基である上記(1)に記載のアントラピリドン化合物又は その塩、
(3) 1^が水素原子又はメチル基であり、 R3のアルキル基が (C1 C4)アルキル基(該 アルキル基はスルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ァシル基、力 ルバモイル基、シァノ基、アルコキシ基、フエニルアルコキシ基、フエノキシ基、ヒドロ キシ基及びニトロ基からなる群から選択される置換基を有してもょレ、)であり、 R3のァリ ールアルキル基がフエニルアルキル基又はナフチルアルキル基(該フエニル又は該 ナフチルはハロゲン原子、ニトロ基、シァノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、置換もし くは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、力ルバモイル基
、アルコキシ基及びフエノキシ基からなる群から選択される置換基を有してもよ!/、)で ある上記( 1 )に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
(4) 1^が水素原子又はメチル基であり、 R3におけるアルキル基が (C1 C4)アルキル 基(該アルキル基はスルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ァシル 基、力ルバモイル基、シァノ基、アルコキシ基、フエニルアルコキシ基、フエノキシ基、 ヒドロキシ基及びニトロ基からなる群から選択される置換基を有してもよい)であり、 R3 におけるァリールアルキル基がフエニル(CI— C2)アルキル基又はナフチル(C1 C2)アルキル基(該フエニル又は該ナフチルはハロゲン原子、ニトロ基、シァノ基、ヒ ドロキシ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコ キシカルボニル基、力ルバモイル基、アルコキシ基及びフエノキシ基からなる群から 選択される置換基を有してもよい)であり、 R3におけるヘテロ環置換アルキル基がピリ ジル(C1— C2)アルキル基(該ピリジルはハロゲン原子、ニトロ基、シァノ基、ヒドロキ シ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシ力 ルポニル基、力ルバモイル基、アルコキシ基及びフエノキシ基からなる群から選択さ れる置換基を有してもよい)である上記(1)に記載のアントラピリドン化合物又はその 塩、
(5) R3における(C1— C4)アルキル基が無置換である力、、又はスルホン酸基、カルボ キシ基、(CI— C4)アルコキシカルボニル基、ァシル基、力ルバモイル基、シァノ基、 ( CI— C4)アルコキシ基、フエニル (CI— C4)アルコキシ基、フエノキシ基、ヒドロキシ基 及びニトロ基よりなる群から選択される置換基を有し、 R3におけるフエニル (C1— C2) アルキル基又はナフチル(C1— C2)アルキル基、又はピリジル(C1— C2)アルキル 基が無置換である力、、又は該フエニル、該ナフチル及び該ピリジルのそれぞれがハロ ゲン原子、ニトロ基、シァノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、無置換の (C1 C4)アル キル基、置換基を有する (C1 C4)アルキル基(該置換基はカルボキシ基、(C1 C 4)アルコキシカルボニル基、(C1 C4)アルコキシ基、フエノキシ基及びスルホン酸基 よりなる群から選択される)、カルボキシ基、(C1 C4)アルコキシカルボニル基、カル バモイル基、(C1 C4)アルコキシ基及びフエノキシ基よりなる群から選択される置換 基を有する上記 (4)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
(6) R3における(CI— C4)アルキル基が無置換である力、、又はスルホン酸基、カルボ キシ基、メトキシカルボニル基、ベンゾィル基、力ルバモイル基、シァノ基、メトキシ基
、フエニルメトキシ基、フエノキシ基、ヒドロキシ基及びニトロ基よりなる群から選択され る基を置換基として有し、 R3におけるフエニル(C1—C2)アルキル基又はナフチル( C1—C2)アルキル基、又はピリジノレ(C1— C2)アルキル基が無置換である力、、又は 該フエニル、該ナフチル及び該ピリジルのそれぞれが塩素原子、(C1 C4)アルキル 基、メトキシカルボニル (C1 C4)アルキル基、メトキシカルボニル基、及びメトキシ基 よりなる群から選択される基を置換基として有する上記(5)に記載のアントラピリドン 化合物又はその塩、
(7) 1^がメチル基であり、 R2は水素原子であり、 R3はフエニル上に無置換の (C1 C4 )アルキル基が置換してもよいフエニル(C1 C2)アルキル基である上記(1)に記載 のアントラピリドン化合物又はその塩
(8) 1^がメチル基であり、 R2は水素原子であり、 R3はフエニル上にメチル基が置換し てもよいフエニル(CI— C2)アルキル基である上記(1)に記載のアントラピリドン化合 物又はその塩、
(9)上記(1 )から(8)の!/、ずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を 含有することを特徴とするインク組成物、
(10)水及び水溶性有機溶剤を含有する上記(9)に記載のインク組成物
(11)インクジェット用である上記( 10)に記載のインク組成物
(12)上記(1)から(8)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩中 の無機塩の含有量が 1重量%以下である上記(9)から(11)の!/、ずれか一項に記載 のインク組成物、
(13)上記(1)から(8)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩の 含有量が 0.;!〜 20重量%である上記(9)から(12)の!/、ずれか一項に記載のインク 組成物、
(14)上記(9)から(13)のいずれか一項に記載のインク組成物の小滴を記録信号に 応じて吐出させて被記録材に記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法、
(15)被記録材が情報伝達用シートである上記(14)に記載のインクジェット記録方法
(16)情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受像層を有するもの である上記(15)に記載のインク記録方法
(17)上記(9)から(13)の!/、ずれか一項に記載のインク組成物で着色された着色体
(18)着色がインクジェットプリンタによりなされた上記(17)に記載の着色体、
(19)上記(9)から(13)の!/、ずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填さ れたインクジェットプリンタ、
(20) R1がメチル基であり、 R2は水素原子であり、 R3はベンジル基又はトルィルメチル 基である上記( 1 )に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
(21)上記(20)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を含むインク組成物、 に関する。
発明の効果
[0012] 本発明の上記式(1)のアントラピリドン化合物は、インクジェット記録紙上で非常に 鮮明性の高い色相であり、水溶解性に優れ、インク組成物製造過程でのメンブランフ ィルターに対するろ過性が良好という特徴を有する。又、この化合物を使用した本発 明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなぐ貯蔵安 定性が良好である。そして本発明のアントラピリドン化合物をインクジェット記録用の マゼンタインクとして使用した印刷物は被記録材 (紙、フィルム等)を選択することなく 理想的なマゼンタの色相である。更に本発明のマゼンタインク組成物は、写真調の力 ラー画像の色相を紙の上に忠実に再現させることも可能である。更に写真画質用ィ ンクジェット専用紙及びフィルムのような無機微粒子を表面に塗工した被記録材に記 録しても各種堅牢性、すなわち耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性等が良好であり、写 真調の記録画像の長期保存安定性に優れている。従って、上記式(1)のアントラピリ ドン化合物はインクジェット記録のためのインク用色素として極めて有用である。 発明を実施するための最良の形態
[0013] 本発明を詳細に説明する。本発明のアントラピリドン化合物又はその塩は、遊離酸 の形において前記式(1)で表される。
本明細書において、「アルキル」の用語は、通常炭素数 1〜; 15程度のアルキルの意 味で使用され、好ましくは炭素数 1〜8のアルキルであり、例えばメチル、ェチル、 n— プロピノレ、 iso プロピノレ、 n ブチノレ、 sec ブチノレ、 tーブチノレ、 iso ブチノレ、 n— ペンチル、 n へキシル、 n へプチル、 n ォクチル等が挙げられる。また、「アルコ キシ」及び「ァシル」等の用語にお!/、ても、これらの基のアルキル基部分につ!/、ては 上記アルキルと同じ炭素数を有するものを意味する。
また、「低級アルキル基」と記載した場合、該低級アルキル基としては、上記アルキ ル基の中、通常炭素数;!〜 8、好ましくは炭素数 1〜6、より好ましくは炭素数 1〜4の アルキル基を挙げることができる。好ましい具体例としてはメチル、ェチル、 n—プロピ ル、イソプロピル及びイソブチルなどを挙げることができる。
本明細書において低級アルキル基以外のもの、例えば低級アルコールなどにおい ても便宜上、「低級」と記載した場合には、特に断りの無い限り上記と同じ炭素数の範 囲のものを意味する。
本明細書の置換基等の記載にぉレ、て、特に置換基を有してもょレ、旨の断りが無レ、 ものは通常無置換を意味する。
又、本明細書において、上付の RTMは登録商標を示す。
式(1)において、 R1は水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロへ キシル、モノ若しくはジアルキルアミノアルキル基又はシァノ低級アルキル基を表す。 以下に、 R1における各基について具体的に説明する。
アルキル基としては前記したものがあげられ、低級アルキル基が好ましぐより好ま しくはメチル基である。
ヒドロキシ低級アルキル基としては、通常ヒドロキシ(CI— C8)アルキル基、好ましく はヒドロキシ(C1 C6)アルキル基、より好ましくはヒドロキシ(C1 C4)アルキル基 を挙げること力 Sでき、例えばヒドロキシェチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル等 である。
モノ若しくはジアルキルアミノアルキル基としては、通常モノー又はジー(C1— C8) アルキルアミノ( C 1— C 8 )アルキル基、好ましくはモノ—又はジ—(CI— C6)アルキ ルァミノ (C1 -C6)アルキル基、より好ましくはモノ—又はジ—(C1— C4)アルキルァ
ミノ(CI— C4)アルキル基を挙げることができる。具体的には例えばメチルァミノプロ ピル、ェチルァミノプロピル、ジメチルァミノプロピル又はジェチルアミノエチルが挙げ られる。
シァノ低級アルキル基としては、通常シァノ(C1 C8)アルキル基があげられ、好ま しくはシァノ(C 1— C6)アルキル基、より好ましくはシァノ(C 1— C4)アルキル基を挙 げること力 Sできる。具体的には例えばシァノエチル、シァノプロピル、シァノブチル等 が挙げられる。
好ましい R1としては水素原子、又は低級アルキル基が挙げられ、水素原子、メチル 力はり好ましぐメチルが特に好ましい。
[0014] 上記式(1)において、 R2は水素原子又はメトキシ基を表し、水素原子が好ましい。
[0015] 次に上記式(1)における R3の各基について具体的に説明する。
アルキル基の場合、置換又は無置換何れでもよい。何れの場合も、低級アルキル 基が好ましぐメチル又はェチルがより好ましい。下記に別に説明するァリールアルキ ル基及びへテロ環置換アルキル基の場合を除ぐ置換アルキル基における置換基と してはスルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ァシル基、力ルバモイ ル基、シァノ基、アルコキシ基、フエニルアルコキシ基、フエノキシ基、ヒドロキシ基及 びニトロ基からなる群から選択される基を挙げることができる。
ァリールアルキル基の場合、ァリール(C1 C4)アルキル基が好ましい。該ァリー ル基はフエニル、ナフチル、アントラセニル等の C6— C14でァリール環が構成される ァリール基が挙げられ、好ましくはフエニル又はナフチルである。フエニル又はナフチ ル(C1—C2)アルキル基がより好ましい。これらのァリール基、好ましくはフエニル又 はナフチルは後記する置換基で置換されて!/、てもよ!/、。ァリール基が無置換の場合 の具体例としてはベンジル、フエニルェチル、フエニルプロピル、フエニルブチル、ナ フチルメチル、ナフチルェチル、ナフチルプロピル又はナフチルブチルが挙げられる 。置換基で置換されたフエニル又はナフチル(C1— C2)アルキル基としては、上記 無置換の場合に挙げた基におけるフエニル又はナフチルに、後記の置換基が置換 したあのを挙げること力 Sでさる。
より好まし!/、置換されて!/、てもよ!/、ァリールアルキル基としては、低級アルキル基で
置換されていてもよいフエニル又はナフチル (C1-C2)アルキル基であり、更に好ましく は低級アルキル基で置換されて!/、てもよ!/、ベンジルである。最も好ましくはべンジル 又はトルィルメチル(好ましくは p トルィルメチル)である。
ヘテロ環置換アルキル基の場合、ヘテロ環置換(C 1 C4)アルキル基が好ましく、 ヘテロ環置換(C1— C2)アルキル基がより好ましい。該ヘテロ環としては、ピリジン環 が好ましぐ例えば 2—、 3 及び 4 ピリジン環を挙げることができる。具体例として はピリジルメチル、ピリジルェチル、ピリジルプロピル又はピリジルブチルが挙げられ る。これらの中で、ピリジル(C1— C2)アルキル基がより好ましい。ここにおけるヘテロ 環、好ましくはピリジン環は後記の置換基で置換されていてもよぐ無置換又は低級 アルキル置換されたものが好ましぐより好ましくは無置換である。
スルホアルキル基の場合、スルホ(C1 C4)アルキル基が好ましい。具体例として はスルホメチル、 2 スルホェチル、 3 スルホプロピル又は 4 スルホブチルが挙げ られる。
カルボキシアルキル基の場合、カルボキシ(C1 C4)アルキル基が好ましい。具体 例としてはカルボキシメチル、 2 カルボキシェチル、 3 カルボキシプロピル又は 4 カルボキシブチルが挙げられる。
アルコキシカルボニルアルキル基の場合、(C1 C4)アルコキシカルボニル(C1 C4)アルキル基が好ましい。具体例としてはメトキシカルボニルメチル、 2 メトキシカ ルポニルェチル、 3—メトキシカルボニルプロピル又は 4ーメトキシカルボニルブチル が挙げられる。
ァシルアルキル基の場合、 (C1 -C4)アルキルカルボニル(C1— C4)アルキル基 、又はフエ二ルカルポニル(C1— C4)アルキル基が好ましい。具体例としてはメチル カルボニルメチル、 2 メチルカルボニルェチル、 3 メチルカルボニルプロピル、 4 メチルカルボニルブチル、及びフエナシルが挙げられる。
力ルバモイルアルキル基の場合、力ルバモイル(C1— C4)アルキル基が好ましい。 具体例としては力ルバモイルメチル、 2 力ルバモイルェチル、 3 力ルバモイルプロ ピル又は 4一力ルバモイルブチルが挙げられる。
シァノアルキル基の場合、シァノ(C1— C4)アルキル基が特に好ましい。具体例と
してはシァノメチル、 2 シァノエチル、 3 シァノプロピル又は 4ーシァノブチルが挙 げられる。
アルコキシアルキル基の場合、(CI— C4)アルコキシ(CI— C4)アルキル基が好ま しい。具体例としてはメトキシメチル、 2 メトキシェチル、 3 メトキシプロピル又は 4 ーメトキシブチルが挙げられる。
フエニルアルコキシアルキル基の場合、フエニル(C1— C4)アルコキシ(C1— C4) アルキル基が好ましぐ具体例としてはベンジルォキシメチル、 2—ベンジルォキシェ チル、 3—べンジルォキシプロピル又は 4 ベンジルォキシブチルが挙げられる。 フエノキシアルキル基の場合、フエノキシ(C1 C4)アルキル基が好ましぐ具体例 としてはフエノキシメチル、 2 フエノキシェチル、 3 フエノキシプロピル又は 4 フエ ノキシブチルが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基の場合、ヒドロキシ(C1 C4)アルキル基が好ましい。具体例 としてはヒドロキシメチル、 2 ヒドロキシェチル、 3 ヒドロキシプロピル又は 4ーヒドロ キシブチルが挙げられる。
ニトロアルキル基の場合、ニトロ(C1 C4)アルキル基が好ましい。具体例としては ニトロメチル、 2 二トロェチル、 3 二トロプロピル又は 4一二トロブチルが挙げられる
〇
上記のァリールアルキル基又はへテロ環置換アルキル基の場合、該ァリール及び 該ヘテロ環はハロゲン原子、ニトロ、シァ入ヒドロキシ、スルホン酸、置換もしくは無置 換のアルキル基、カルボキシ、アルコキシカルボニル基、力ルバモイル、アルコキシ 基及びフエノキシからなる群から選択される置換基を有してもよい。
上記のァリール基又はへテロ環上のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、 臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好まし!/、。
上記のァリール基又はへテロ環上の「置換もしくは無置換のアルキル基」としては、 無置換(C1 C4)アルキル基及び、置換基として、カルボキシ、アルコキシカルボ二 ル基、アルコキシ基、フエノキシ及びスルホン酸からなる群から選択される基で置換さ れた(CI— C4)アルキル基が好まし!/、。無置換(CI— C4)アルキル基又は(CI—C 4)アルコキシカルボニル(CI—C4)アルキル基がより好まし!/、。これらの基における(
CI—C4)アルキル基としては、メチル、ェチル、 n—プロピル、イソプロピル、 n ブチ ル、 sec ブチル、イソブチル又は t ブチルが好ましぐメチルがより好ましい。ここに おける、アルコキシカルボニル基としては(C1 C4)アルコキシカルボニル基が好ま しぐメトキシカルボニルがより好ましい。アルコキシ基としては(C1— C4)アルコキシ 基又はフエノキシが好ましぐ(CI— C4)アルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、 n- プロポキシ、イソプロポキシ、 n ブトキシ、 sec ブトキシ、イソブトキシ又は tーブトキ シが挙げられる。
R3の好ましいものの一つとしては置換又は無置換(C6— C10)ァリール(C1— C4) アルキル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換フエニル又はナフチル(C1 C4、好ましくは C1— C2)アルキル基が挙げられる。これらの基における置換ァリー ノレ、より好ましくは置換フエニル又は置換ナフチルにおける置換基は上記の置換基 である。上記で好ましレ、置換基として挙げられた置換基で置換されたフエニル又はナ フチノレ(Cl— C4、好ましくは C1— C2)アルキル基はより好ましい。例えば、好ましい 置換ァリールアルキルとして、(CI— C4)アルキルフエニル(CI— C4、好ましくは C1 -C2)アルキル基が挙げられる。該置換又は無置換(C6— C 10)ァリール(C 1 C4 )アルキル基のより好まし!/、ものとしては、(CI— C4)アルキル置換又は無置換フエ二 ル(Cl—C4、好ましくは C1 C2)アルキル基であり、トルィルメチル又はベンジルが 最も好ましい。
R3として好ましいものをより具体的に挙げれば、無置換(C1— C4)アルキル基、又 は置換基として、スルホン酸基、カルボキシ基、(C1 C4)アルコキシカルボニル基、 アシノレ基、力ルバモイル基、シァノ基、(CI— C4)アルコキシ基、フエニル (CI— C4) アルコキシ基、フエノキシ基、ヒドロキシ基及びニトロ基よりなる群から選択される基を 有する置換アルキル基;無置換フエニル(C1 C2)アルキル基又は無置換ナフチル (C1 C2)アルキル基、又はそれらのフエニル基又はナフチル基上に、置換基とし てハロゲン原子、ニトロ基、シァノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、無置換 (C1 C4) アルキル基、置換 (C1 C4)アルキル基(該アルキル基上の置換基はカルボキシ基、 (C1— C4)アルコキシカルボニル基、(C1— C4)アルコキシ基、フエノキシ基及びスル ホン酸基からなる群から選択される基)、カルボキシ基、(C1 C4)アルコキシカルボ
ニル基、力ルバモイル基、(C1 C4)アルコキシ基及びフエノキシ基よりなる群から選 択される基を有する置換フエニル又は置換ナフチル (C1 C2)アルキル基;又は無 置換ピリジル(C1— C2)アルキル基又は該ピリジル基上に、上記置換フエニル基に おいて置換基としてあげられた基を置換基として有する置換ピリジル(C1 C2)アル キノレ基である。
R3としてより好ましいものは、無置換 (C1— C4)アルキル基又は置換基として、スル ホン酸基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、ベンゾィル基、力ルバモイル基、シ ァノ基、メトキシ基、フエニルメトキシ基、フエノキシ基、ヒドロキシ基及びニトロ基よりな る群から選択される基を有する置換アルキル基;無置換フエニル(C1 C2)アルキル 基又は無置換ナフチル (C1— C2)アルキル基、又は該フエニル基上に若しくは該ナ フチル基上に塩素原子、(C1 C4)アルキル基、メトキシカルボニル (C1 C4)アル キル基、メトキシカルボニル基及びメトキシ基よりなる群から選択される基を有する置 換フエニル又は置換ナフチル(CI— C2)アルキル基;又は無置換ピリジル (C1 -C2 )アルキル基又は該ピリジル基上に塩素原子、無置換 (C1 C4)アルキル基、メトキ シカルボニル (C1 C4)アルキル基、メトキシカルボニル基及びメトキシ基よりなる群 力、ら選択される基を有する置換ピリジル(C1 C2)アルキル基を挙げることができる。
R3として更に好ましレ、ものは、前記した(CI— C4)アルキル置換又は無置換フエ二 ル(Cl—C4、好ましくは C1 C2)アルキル基であり、トルィルメチル又はベンジルが 最も好ましい。
上記式(1)の化合物の塩は、無機又は有機塩基との塩である。該塩としては例え ばアルカリ金属塩 (例えばリチウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩)又は下記式(2)で 表されるアンモニゥムイオンとの塩(アンモニゥム塩)が好まし!/、。
式 (2)
[0018]
Z4- ίϊ¾2 (2)
3
[0019] (式中、 zi〜Z4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又は
ヒドロキシアルコキシアルキル基を表わす。)
式(2)の zi〜Z4におけるアルキル基の例としてはメチル又はェチルが挙げられ、ヒ ドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシメチル、 2—ヒドロキシェチル、 3—ヒドロキ シプロピル、 2—ヒドロキシプロピル、 4ーヒドロキシブチル、 3—ヒドロキシブチル又は 2—ヒドロキシブチルがあげられ、更にヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、 ヒドロキシエトキシメチル、 2—ヒドロキシエトキシェチル、 3—ヒドロキシエトキシプロピ ノレ、 3—ヒドロキシエトキシブチル又は 2—ヒドロキシエトキシブチルが挙げられる。
[0020] 上記塩を形成するための好ましい塩基として、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、 モノエタノールァミン、ジエタノールァミン、トリエタノールァミン、モノイソプロパノール ァミン、ジイソプロパノールァミン、トリイソプロパノールァミン又はアンモニゥムを挙げ ること力 Sでき、これらの塩基と式(1)との塩はより好ましい。更に好ましい塩としては、リ チウム塩、アンモニゥム塩又はナトリウム塩である。
[0021] 上記の塩の製造法としては、例えば、式(1)の化合物を含む反応液、又はケーキ 若しくは乾燥品を溶解した水溶液に、塩化ナトリウムを加えて、塩析、濾過することに よって式(1)の化合物のナトリウム塩をウエットケーキとして得ることができる。又、得ら れたウエットケーキを再び水に溶解後、塩酸を加えて、 pHを 1〜2に調整して得られ る結晶を濾過分離すれば、式(1)で表される化合物を遊離酸の形で得ることができる 。また、塩酸の添加量の調整により、 pHをより中性側に適宜調整し、得られる結晶を 濾過分離すれば、ナトリウム塩と遊離酸の混合物を得ることも可能である。両者の混 合比率は調整する pHにより、適宜調整することができる。更に、遊離酸のウエットケ ーキを水と共に撹拌しながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム又はアンモニ ァ水を添加してアルカリ性にすれば、各々相当するカリウム塩、リチウム塩、又はアン モニゥム塩を、又、水中で上記式(2)で表される有機陽イオンとなる化合物を添加し てアルカリ性にすれば、該有機陽イオンに対応する有機アンモニゥム塩を得ることが できる。また、例えば、遊離酸とナトリウム塩との混合物のウエットケーキを水に溶解後 、水酸化カリウムを添加することにより、ナトリウムとカリウムの混塩、又はナトリウム、力 リウム及び遊離酸の混合物などを得ることも可能である。これらの塩のうち、特に好ま しいものは、前記の通り、リチウム塩、アンモニゥム塩及びナトリウム塩である。
[0022] 好ましい本発明のアントラピリドン化合物としては式(1)において、 R1が水素原子又 はメチル基、より好ましくはメチル基、 R2が水素原子又はメトキシ基、より好ましくは水 素原子、 R3が上記好ましい R3として具体的に挙げられた基である化合物であり、より 好ましくは、 R3が上記より好ましい R3として挙げられた基である化合物である。 R1が水 素原子又はメチル基、より好ましくはメチル基、 R2が水素原子又はメトキシ基、より好 ましくは水素原子、 が(C 1— C4)アルキルフエニル(C 1 C4、好ましくは C 1— C2 )アルキル基、又はフエニル(Cl— C4、好ましくは C1— C2)アルキル基である化合 物は上記のより好ましい化合物の一つであり、 R3がトルィルメチル又はべンジルであ る化合物は最も好ましい。また、上記において、 R1がメチル基、 R2が水素原子、 が (C1 -C4)アルキル置換又は無置換のフエニル(C1 C4、好ましくは CI— C2)ァ ルキル基である化合物は上記のより好ましい化合物の一つであり、更に、 R3がトルイ ルメチル又はべンジルである化合物は上記最も好ましい化合物の一つである。
本発明の前記式(1)で示されるアントラピリドン化合物の具体例を下記表 1に示す。
[0023] [表 1]
No. R 1 R 2 R 3
1 CH3 H ベンジル
2 CH3 H p -卜ルイルメチル
3 CH3 H o―卜ルイルメチル
4 CH3 H m—卜ルイルメチル
5 CH3 H フエニルェチル
6 CH3 H 1 一ナフチルメチル
7 CH3 H P—メ卜キシベンジル
8 CH3 H 2—スルホェチル
9 CH3 H カルボキシメチル
10 CH3 H メトキシカルボニルメチル
11 CH3 H 2— (メ卜キシカルボニル)フエニルメチル
12 CH3 H フエナシル
13 CH3 H 2一力ルバモイルェチル
14 CH3 H 2—シァノエチル
15 CH3 H 2一べンジル才キシェチル
16 CH3 H 2—ヒドロキシェチル
17 CH3 H 2一二卜口ェチル
18 CH3 H p—クロ口べンジル
19 CH3 H 2—(メ卜キシカルポニルメチル)フエニルメチル
20 CH3 H ェチル
21 CH3 H プチル
22 CH3 H 2—ピリジルメチル
23 CH3 H 3一メチルプチル
24 CH3 OM e ベンジル
25 CH3 O e P -卜ルイルメチル
26 H H ベンジル
27 H H P-卜ルイルメチル 以下に本発明の化合物の製造方法を記載する。なお下記式(3)〜(8)中に記載の !^〜 は、上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
本発明のアントラピリドン化合物は、例えば次の方法により製造される。即ち、下記 式(3)で表されるアントラキノン化合物 1モルにメトキシ置換を有してもよいベンゾィル 酢酸ェチルエステル 1.;!〜 3モルをキシレン等の極性溶媒中、炭酸ナトリウム等の塩 基性化合物の存在下、 130〜180°C、 5〜; L5時間反応を行い、下記式 (4)の化合物 が得られる。
式 (3)
[0025]
[0026]
次いで、得られた上記式(4)の化合物 1モルにパラアミノアセトァニリド 1〜5モル を、 N, N—ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性有機溶媒中で、炭酸ナトリウム 等の塩基及び酢酸銅等の銅触媒の存在下に、 110〜150°じで、 2〜6時間ウルマン 反応を行うことにより、縮合させ、下記式(5)の化合物が得られる。
式 (5)
次いで得られた上記式(5)の化合物を 8〜; 15%発煙硫酸中、 50〜120°Cでスルホ ン化を行うと同時に、分子中に存在する N—ァセチル基を加水分解する事により、下 記式(6)のアントラピリドン化合物が得られる。
式 (6)
次いで得られた上記式(6)の化合物 1モルを水中で常法によりジァゾ化後、室温又 は 50〜80°Cに加熱した 1〜4モルのキサントゲン酸カリウム水溶液中に滴下し、続い て pH = 7〜; 10で、 50〜80°Cにカロ熱することにより、下記式(7)のアントラピリドン化 合物が得られる。
式 (7)
次いで得られた上記式(7)の化合物 1モルと、式(1)の R
3に対応するアルキルハラ
イド又は p -トルエンスルホン酸エステル 1〜 5モルを水又は有機溶媒中で pH8〜; 12 、 30〜; 100°C、 10分〜 5時間反応させることにより、式(8)のアントラピリドン化合物 が得られる。
式 (8)
[0034]
[0035] 次いで得られた上記式(8)の化合物 1モルを水又は有機溶媒に溶解し、酢酸、タン ダステン酸ナトリウム 0. ;!〜 1モル、及び過酸化水素水又は m—クロ口過安息香酸を 加え、 20〜80°Cで反応させることにより本発明の前記式(1)で表されるアントラピリド ン化合物が得られる。
[0036] 上記式(1)の化合物は遊離酸の形で、あるいはその塩の形で得ることが可能である 。これらの本発明の化合物は遊離酸、又はその塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ 土類金属塩、アルキルアミン塩、アルカノールァミン塩又はアンモニゥム塩などとして 使用される。各種の塩から遊離酸へ導く製造方法、遊離酸から各種の塩又は各種の 混塩又は遊離酸と塩との混合物などへ導く製造方法については前記した通りである 上記式(1)で表される化合物を使用する際は、該化合物と共に含有される金属陽 イオンの塩化物及び硫酸塩等の無機不純物の含量の少ないものを用いるのが好ま しい。その含有量の目安は例えば 1重量%以下程度である。無機不純物の少ない本 発明の化合物を製造するには、上記で得られた本発明の化合物を、例えば逆浸透 膜による通常の方法で脱塩処理すればょレ、。
本発明のインク組成物は、本発明の上記式( 1 )で表される化合物又はその塩を、 必要に応じて、インク調製剤等と共に、水又は水性溶媒 (後記する水溶性有機溶剤 を含有する水)に溶解したものである。例えば上記式(1)で表される化合物を含む反 応液を、本発明のインク組成物の製造に直接使用することも出来る。又上記反応液 力、ら目的物を分離し、乾燥、例えばスプレー乾燥させ、得られた乾燥品を、該インク 組成物の製造に使用することもできる。本発明のインク組成物は、本発明の化合物を 通常 0. ;!〜 20重量%、より好ましくは 1〜; 15重量%、更に好ましくは 2〜; 10重量% 含有する。本発明のインク組成物には水溶性有機溶剤 0〜30重量%、インク調製剤 0-10%,好ましくは 0〜5重量%をそれぞれ含有してもよい。残部は水である。
[0038] 上記水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、 n プロパノール、 イソプロパノーノレ、 n ブタノ一ノレ、イソブタノーノレ、第二ブタノーノレ、第三ブタノーノレ 等の C1〜C4アルカノーノレ; N, N ジメチルホルムアミド又は N, N ジメチルァセト アミド等のカルボン酸アミド; 2 ピロリドン、 N メチル 2 ピロリドン、 1 , 3 ジメチ ルイミダゾリジンー2—オン、 1 , 3—ジメチルへキサヒドロピリミドー 2—オン等の複素 環式尿素類;アセトン、メチルェチルケトン又は 2—メチルー 2—ヒドロキシペンタン 4 オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジォキサン等の環状エー テノレ;エチレングリコール、 1 , 2 又は 1 , 3 プロピレングリコール、 1 , 2 又は 1 , 4 ーブチレングリコール、 1 , 6—へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリェチ レングリコーノレ、テトラエチレングリコーノレ、ジプロピレングリコーノレ、チォジグリコーノレ 、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を 有するモノー、ォリゴー又はポリアルキレングリコール、又はチォグリコール;グリセリン 、へキサン一 1 , 2, 6 トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレング リコールモノメチルエーテル又はエチレングリコールモノェチルエーテル、ジエチレン グリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノェチルエーテル、ジェチレ ングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリ エチレングリコールモノェチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキル エーテル; γ一ブチロラタトン又はジメチルスルホキシド等が挙げられる。
[0039] 上記のうち好まし!/、ものは、イソプロパノール、グリセリン、モ入ジ又はトリエチレン
グリコール、ジプロピレングリコール、 2—ピロリドン、 N メチルー 2—ピロリドン及び /又はジエチレングリコールモノブチルエーテルであり、より好ましくはイソプロパノー ノレ、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、 2— ピロリドン及び/又は N メチルー 2—ピロリドンである。これらの水溶性有機溶剤は 、単独もしくは混合して用いられる。通常 2〜5種程度を適宜併用するのが好ましい。 以下、本発明のインク組成物を調製するに当たり使用しうるインク調製剤について 説明する。インク調製剤の具体例としては、例えば防腐防黴剤、 pH調整剤、キレート 試薬、防鯖剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤及び界面 活性剤などが挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハ ロアリルスルホン系、ョードプロパギル系、 N ハロアルキルチオ系、二トリノレ系、ピリ ジン系、 8—才キシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系 、ピリジンォキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フエノール系、第 4アンモニゥム 塩系、トリアジン系、チアジアジン系、ァニリド系、ァダマンタン系、ジチ才カーバメイト 系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙 げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフエノールナトリウムが挙げられ ピリジンォキシド系化合物としては、例えば 2—ピリジンチオール 1 ォキシドナト リウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば 1 , 2—べンゾイソチアゾリンー 3—オン、 2 n オタチノレー 4 イソチアゾリンー3 オン、 5 クロロー 2 メチノレー 4 イソチア ゾリン一 3 オン、 5 クロ口一 2 メチル 4 イソチアゾリン一 3 オンマグネシウム クロライド、 5 クロ口一 2 メチル 4 イソチアゾリン一 3 オンカルシウムクロライド 、 2 メチルー 4 イソチアゾリンー3 オンカルシウムクロライド等が挙げられる。 その他の防腐防黴剤としてソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等(例えば、アベ シァ社製、商品名:プロクセル R™GXL (S)、プロクセル R™XL— 2 (S)等)、さらに無 水酢酸ソーダなどが挙げられる。
[0041] pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクの pHを 7. 5〜 11. 0の範囲に調整できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば
、ジエタノールァミン、トリエタノールァミンなどのアルカノールァミン、水酸化リチウム 、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニ ゥム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸 塩などが挙げられる。
[0042] キレート試薬としては、例えばエチレンジァミン四酢酸ナトリウム、二トリ口三酢酸ナト リウム、ヒドロキシェチルエチレンジァミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢 酸ナトリウム、ゥラシルニ酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
防鯖剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チォ硫酸ナトリウム、チォグリコール酸ァ ンモニゥム、ジイソプロピルアンモニゥムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジ シクロへキシルアンモニゥムナイトライトなどが挙げられる。
[0043] 水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化されたベンゾフエノン、スルホン化 されたベンゾトリアゾール等が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、例えばポリビュルアルコール、セルロース誘導体、 ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、 ε—力プロラタタム、エチレンカーボネート等が挙 げられる。
[0044] 界面活性剤としては、例えばァユオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界 面活性剤、ノユオン界面活性剤などが挙げられる。
ァニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、 α—ォレフインスルホ ン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、 Ν—ァシルアミノ酸及びその 塩、 Ν—ァシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸 塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹼、ヒ マシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフエノール型 燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルァリルスルホン酸塩、ジェチルス ルホ琥珀酸塩、ジェチルへキルシルスルホ琥珀酸、ジォクチルスルホ琥珀酸塩など が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては 2 ビュルピリジン誘導体、ポリ 4 ビュルピリジン誘 導体などが挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルァミノ酢酸べタイン、 2—アルキル N— カルボキシメチルー N ヒドロキシェチルイミダゾリニゥムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミ ドプロピルジメチルァミノ酢酸べタイン、ポリオクチルポリアミノェチルグリシン、その他 イミダゾリン誘導体などがある。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノユルフェニルエーテル、ポリオキ シエチレンォクチノレフエニノレエーテノレ、ポリオキシエチレンドデシノレフエニノレエーテ ノレ、ポリオキシエチレンォクチルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンォレイルエー テノレ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等 のエーテル系、ポリオキシエチレンォレイン酸、ポリオキシエチレンォレイン酸エステ ノレ、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノ ステアレート、ソルビタンモノォレエート、ソルビタンセスキォレエート、ポリオキシェチ レンモノォレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、 2, 4, 7, 9— テトラメチルー 5—デシン 4, 7—ジオール、 3, 6—ジメチルー 4ーォクチン 3, 6 ージオール、 3, 5—ジメチルー 1一へキシンー3—オールなどのアセチレンアルコー ル系等 (例えば、 日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール R™104E、 104 PG50、 82、 465、オルフイン R™STG等)が挙げられる。これらのインク調製剤は、単 独もしくは混合して用いられる。
[0045] 本発明のインク組成物は、本発明の化合物(式(1)の化合物及び/又はその塩: 以下本化合物とも言う)を水又は上記水性溶媒 (水溶性有機溶剤を含有する水)に、 必要に応じて上記インク調製剤などと共に、溶解させることによって製造できる。
[0046] 上記製造法において、各成分を溶解させる順序には特に制限はない。あらかじめ 水又は上記水性溶媒に本化合物を溶解させ、インク調製剤を添加してもよいし、本 化合物を水に溶解させたのち、水性溶媒、インク調製剤を添加してもよい。またこれと 順序が異なって!/、てもよ!/、し、本化合物の反応液又は逆浸透膜による脱塩処理を行 つた本化合物の溶液に、水性溶媒、インク調製剤を添加してインク組成物を製造して もよい。該インク組成物を調製するにあたり、用いられる水はイオン交換水又は蒸留
水など不純物の少ないものが好ましい。更に、必要に応じメンブランフィルターなどを 用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよい。また、インクジェットプリンタ用のイン クとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましレ、。精密濾過を行うフィルターの 孔径は通常;!〜 0. 1マイクロメートル、好ましくは 0. 8〜0. 2マイクロメートルである。
[0047] 本発明の着色体は前記の本発明の化合物で着色されたものである。着色される素 材には特に制限はなぐ例えば紙、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革 、カラーフィルター用基材等があげられるがこれらに限定されない。着色法としては例 えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェット記録による方法等が 挙げられる。本発明にお!/、てはインクジェット記録による方法が好まし!/、。
[0048] 本発明のインクジェット記録方法を適用しうる被記録材 (メディア)としては、例えば、 紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維及び皮革等が挙げられる。情報伝達用シ ートについては、表面処理されたもの、具体的にはこれらの基材にインク受容層を設 けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオンポリマーを含浸あ るいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等、ィ ンク中の色素を吸着し得る多孔性白色無機物をポリビュルアルコールやポリビニー ルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる 。このようなインク受容層を設けたものは、通常インクジェット専用紙 (フィルム)や光沢 紙 (フィルム)などと呼ばれ、例えば、ピクトリコ RTM (旭硝子株式会社製)、プロフェツシ ョナノレフォトぺーノ 一、スーノ 一フォトぺーノ 一、マットフォトペーパー(いずれもキヤ ノン株式会社製)、クリスピア R™、写真用紙 (光沢)、フォトマット紙、スーパーファイン 専用光沢フィルム(いずれもエプソン株式会社製)、アドバンスフォトペーパー、プレミ アムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルム、フォト用紙(いずれも日本ヒューレット ノ /カード株式会社製)、フォトライク QP (コニ力株式会社製)等がある。なお、普通紙 を利用することも当然のことながら可能である。
[0049] これらのうち、多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録した画像のォ ゾンガスによる変退色は、特に大きくなることが知られており、本発明の水性マゼンタ インク組成物はオゾンガスを含めたガス耐性が優れて!/、るため、このような被記録材 への記録の際に特に効果を発揮する。
[0050] このような目的で使用される多孔性白色無機物としては、炭酸カルシウム、カオリン 、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、 珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼォライト、硫酸バリウム、 硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等が挙げられる。
[0051] 被記録材に本発明のインクジェット記録方法で記録するには、例えば本発明のイン ク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、通常の方法 で被記録材に記録すればよい。本発明のインクジェット記録方法では、本発明のマ ゼンタのみならず、イェロー、シアン、グリーン、オレンジ、ブルー(又はバイオレット) 及び必要に応じてブラック等各色のインク組成物とを併用しうる。各色のインク組成物 は、それぞれの容器に注入され、これらの容器を、本発明のインクジェット記録用水 性マゼンタインク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定位置 にセット (装填)して使用される。インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を 利用したピエゾ方式のプリンタや加熱により生じる泡を利用したバブルジェット RTM方 式のプリンタ等が挙げられる。
[0052] 本発明のインク組成物は、鮮明なマゼンタ色であり、特にインクジェット光沢紙にお いて高い鮮明な色相を有し、記録画像の各種の堅牢性、特に耐光性、耐オゾンガス 性及び耐湿性に優れている。又、人に対する安全性も高い。
[0053] 本発明のインク組成物は貯蔵中に沈殿、分離することがない。また、本発明のイン ク組成物をインクジェット記録において使用した場合、噴射器 (インクヘッド)を閉塞す ることもない。本発明のインク組成物は連続式インクジェットプリンタによる断続的な使 用にお!/、ても物理的性質の変化を起こさな!/、。
実施例
[0054] 以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。実施例中「部」及び「%」とあ るのは、特別の記載のない限り重量基準である。
実施例で得られた本発明化合物の水に対する溶解度 (25°C)は 200g/L以上であ つた。
また実施例中の化合物の最大吸収波長(λ max)は、特に断りの無い限り、水溶液 での測定値である。 目的化合物の純度は、 HPLCを使用し、その面積比を純度とし
て記載した。分析機器ならびに分析条件は以下の通りである。
HPLC使用機器及び測定条件
装置 ; HP 1100 (HP社製)
カラム ; YMC— Pack ODS— A(5〃m)、
6. O X 250mm (YMC社製)
カラム温度 ; 40°C
移動相 ; A: 5mM AcONH4、 B:CH3CN
グラジェント; Bconc 20%—(30min)— 60%
[0056] 実施例 1
(1) キシレン 360部中に、攪拌しながら、上記式(3) (R^CH )の化合物 94· 8部、 炭酸ナトリウム 3. 0部、ベンゾィル酢酸ェチルエステル 144. 0部を順次仕込み、昇 温した。 140〜; 150°Cの温度で 8時間反応を行い、その間、反応で生成するエタノー ルと水をキシレンと共沸させながら系外へ留出させ、反応を完結させた。次いで、冷 却し、 30°Cにてメタノール 240部を添加して 30分攪拌後、析出物を濾過分離し、メタ ノール 360部で洗浄後、乾燥して、前記式(4) (R^CH、 R2 = H)の化合物 124· 8 部を淡黄色針状結晶として得た。
(2) 次に、 N, N—ジメチノレホノレムアミド 500. 0部中に、攪拌しながら、式(4)の化合 物(R^CH、R2 = H) 111部、パラアミノアセトァニリド 114· 1部、酢酸銅 1水和物 3
0. 0部及び酢酸ナトリウム 30. 8部を順次仕込み、昇温した後、 130〜135°Cで 3時 間反応を行った。約 50°Cに冷却してから、析出物を濾過分離し、 N, N—ジメチルホ ルムアミド 125部で洗浄し、さらにメタノール 500部で洗浄し、次いで 80°Cの温水で 洗浄した後、乾燥して前記式(5) (R^CH、 R2 = H)の化合物 104. 7部を青味赤 色結晶として得た。
[0057] (3) 次に 95. 0%硫酸 217. 7部に、攪拌下、水冷しながら 30. 5%発煙硫酸 342. 2 部を添加して、 10%発煙硫酸約 560部を、調製した。水冷下、そこに式(5) (R^C H、 R2 = H)の化合物 102. 7部を 60°C以下で添加し、次いで昇温し、 90〜95°Cに て 1. 5時間反応を行った。次に、得られたスルホン化反応液を氷水 1500部中に添
加し、その間氷を加えながら内温を 50°C以下に保持し、水を加えて液量を 2000部と した後、濾過して、不溶解分を除去した。次に、母液に水を加えて 2500部とし、温度 を 20〜40°Cに保ちながら、塩化ナトリウム 500部を添加して 5時間攪拌し、析出した 結晶を濾過分離した。得られた結晶を 20%塩化ナトリウム水溶液 300部で洗浄し、 前記式(6) (R^CH、 R2 = H)の化合物のウエットケーキ 156部を青色結晶として得 た。さらにメタノール 800部にこのウエットケーキをカロえ、 50°Cで 30分攪拌後、析出固 体を濾過分離して得られたケーキを乾燥し、前記式(6) (R^CH、 R2 = H)の化合 物 87. 0部を青色結晶として得た。
(4) 次に水 320部中に式(6) (R1 = CH、 R2 = H)の化合物 50· 5部、 35%塩酸 16
. 7部を加え 10°Cに冷却した。この溶液に 39. 8%の亜硝酸ナトリウム水溶液 15. 3 部を 10分かけて滴下した。 10°Cでさらに 30分攪拌後 10%スルファミン酸水溶液 30 . 8部を添加した。この溶液を 10%水酸化カリウム水溶液で pH9に調整した。この溶 液を、水 80部にェチルキサントゲン酸カリウム 25. 7部を溶解し 65度に加熱した溶液 中に 60〜70°C、 pH = 8〜; 10で滴下した。滴下終了後、 70°C、 pH= 10で 1時間攪 拌した。この溶液を 50°C、 800部に調整後 80部の塩化ナトリウムを加え、さらに 35% 塩酸でゆっくり pH = 2に調整した。析出固体を濾過分離し、 20%塩化ナトリウム水溶 液 200部で洗浄し、前記式(7) (R^CH、 R2 = H)の化合物のウエットケーキを青色 結晶として得た。さらにメタノール 800部にこのウエットケーキを加え、 50°Cで 30分攪 拌後、析出固体を濾過分離して得られたケーキを乾燥し、前記式(7) (R^CH、 R2
=H)の化合物 31. 9部を紫色結晶として得た。
(5)次に水 30部、式(7) (R^CH、 R2 = H)の化合物 6· 9部、ヨウ化カリウム 0· 05 部、 tーブチルアンモニゥムブロマイド 0. 05部を順に加えた後、この水溶液を 70°Cに 昇温し、水酸化ナトリウムにて pH = 9に調整した。この溶液にベンジルクロライド 5. 1 部を添加し、 70°C、 pH = 9〜; 10で 1時間反応を行った。この反応液を 300部のエタ ノールに攪拌しながら滴下し、次いで析出した固体を濾過により除去した。濾液を減 圧留去し、前記式(8) (R^CH、 R2 = H)の化合物 4. 2部を暗赤色結晶として得た
〇
(6)次に水 50部に、式(8) (R^CH、 R2 = H)の化合物 4· 2部、酢酸 5部、タングス
テン酸ナトリウム 1水和物 0. 1部、 30%過酸化水素水 15部を順に加え、 40°Cで 2時 間反応を行った。この溶液に 5部の塩化ナトリウムを加え析出した結晶を濾過分離し た。得られた結晶を少量の水に溶解後、イソプロパノールを滴下し、析出した結晶を 濾過分離し、乾燥し、下記式(9) (表 1における No. 1の化合物)の化合物 2. 5部を 喑赤色結晶として得た。 max : 519nm、 HPLC純度 92%
式 (9)
実施例 1の(1)〜(4)で得られた式(7)を用い、実施例 1の(5)のべンジルクロライド を p—トルィルメチルクロライドに変更した他は同様の操作を行い下記式(10) (表 1に おける No. 2の化合物)の化合物 1. 8部を喑赤色結晶として得た。 max : 521nm 、 HPI 純度 86%。
式(10)
[0061] 実施例 3及び 4
(A)インクの調製
実施例 1で得られた化合物(表 1の化合物 No. 1:式(9)の化合物)を用いて下記表 2 に示した組成のインク組成物を調製し、 0. 45 mのメンブランフィルターで濾過する ことにより、インクジェット記録用水性インク組成物を得た。
なお、水はイオン交換水を使用し、インク組成物の pH及び総量がそれぞれ pH8〜 10及び総量 100部になるように、 25%水酸化ナトリウム水溶液及び水を加えて調整 した。
上記で得られたインクジェット記録用水性インク組成物を用いて、後記 (B)に記載 の方法により、インクジェット記録を行い、後記(C)に記載の方法により評価を行った
〇
ここまでを実施例 3とする。
また、下表において、実施例 1の化合物の代わりに、実施例 2で得られた化合物( 表 1の化合物 No. 2 :式(10)の化合物)を用いて同様に、インク組成物及びインクジ エツト記録用水性インク組成物を調製した。後者を用いて、上記と同様に評価試験を 行った。これを実施例 4とする。
[0062] [表 2]
実施例 1の化合物 6. 0部 グリセリン 5. 0部
尿素 5. 0部
N—メチルー 2—ピロ リ ドン 4. 0咅 [5
1 PA (イソプロピルアルコール) 3. 0部
ブチルカ/レビトール 2. 0部
界面活性剤 0. 1部
(サーフィノール 104 P G 50 日信化学工業株式会社製)
25 %N a〇11水+水 74. 9部
計 100. 0部 比較例 1及び比較例 2
比較対象として、上記表 2の実施例 1の化合物の代わりに、特許文献 1の化合物 N o.36(下記式(11)の化合物)を用い、実施例 3と同様にして、インク組成物及びイン クジェット記録用水性インク組成物を調製し、実施例 3と同様に、インクジェット記録を 行い、記録画像の評価を行った。これを比較例 1とする。
上記表 2の実施例 1の化合物の代わりに、特許文献 10の実施例(化合物 No. 1) ( 下記式(12)の化合物)を用いる以外は、比較例 1と同様に、組成物の調製、インクジ エツト記録及び記録画像の評価を行った。これを比較例 2とする。
式(11)
[0066] ェ
株式会社製、商品名: Pixus iP4100)を用いて、多 孔性白色無機物を含有したインク受容層を有する光沢紙 (キャノン株式会社製、商 品名:プロフェッショナルフォトペーパー PR— 101;エプソン株式会社製、商品名: クリスピア;ヒューレットパッカード(HP)社製、商品名:アドバンスフォトペーパー)の 3 種の被記録材料にインクジェット記録を行った。この 3種の光沢紙を、それぞれ光沢 紙 1、光沢紙 2及び光沢紙 3とする。インクジェット記録の際、数段階の階調で印刷濃 度が得られるように画像パターンを作り印字物を作成した。
[0067] (C)記録画像の評価
1.色相評価
1 - 1.光沢紙での色相評価
記録画像の色相、鮮明性は、印字した記録紙(印字濃度(D値)を各記録紙毎に揃 える)を測色システム(GRETAG SPM50: GRETAG社製)を用いて測色し、 L*、 a *、 b*値を算出した。 JPMA (社団法人 日本印刷産業機械工業会)のジャパンカラー (JNC)標準マゼンタサンプルとの比較で色相評価を行った。
実施例 3、 4の色相結果を表 3に示す。尚、ジャパンカラー標準マゼンタの使用紙は J apan Color Standard Paperである。
[0068] [表 3]
明度 色度
L' a b
JNC標準マゼンタ 46. 3 74 4 4 光沢紙 1 (D値 = 1. 8付近)
実施例 3 49. 9 8 3. 5 - 3. 4 実施例 4 48. 7 8 2. 2 一 6. 7 比較例 1 43. 9 8 4. 7 -23. 3 比較例 2 42. 7 8 4. 4 -25. 9 光沢紙 2 (D値 =2. 0付近)
実施例 3 48. 2 8 5. 7 一 3. 7 実施例 4 46. 5 8 4. 1 - 9. 6 比較例 1 43. 8 8 6. 7 - 28. 7 比較例 2 45. 4 8 7. 4 -24. 7 光沢紙 3 (D値 = 1. 9付近)
実施例 3 47. 9 8 3. 5 一 3. 4 実施例 4 46. 3 8 2. 0 一 7. 8 比較例 1 43. 5 8 5. 2 -28. 2 比較例 2 43. 8 8 6. 4 -25. 7
表 3より明らかなように、光沢紙 1〜3のいずれにおいても、実施例 3と 4の色相(a*、 b*)は、 JNC標準マゼンタの色相に近似して!/、ること力 Sわ力、る。特に光沢紙 1にお!/、て 、比較例 1及び 2は— 23. 3及び— 25. 9と b*値が非常に低いのに対して、実施例 3 及び 4の b*値は、一 3.4及び一 6. 7と標準マゼンタの b*値(一 4. 8)に極めて近似し ており、標準マゼンタと極めて近い色相である。その他の光沢紙 2及び 3においても 同様な傾向にある。更に、実施例 3と 4の L*値は、光沢紙;!〜 3のいずれにおいても 比較例 1、 2よりも大きく、これは明度が高いことを意味する。以上の結果より、本発明
の化合物を用いたインク組成物の記録画像は、 JNC標準マゼンタの色相に非常に近 似しており、かつ明度の高い色相を有するという特徴のあることがわかる。
[0070] 以下に各種堅牢性の評価につ!/、て記載する。堅牢性につ!/、ては耐光性、耐オゾン ガス性、耐湿性の 3種の試験を行って評価した。
(D)記録画像の耐光性試験
光沢紙 1及び 2にプリントした試験片に、低温キセノンウエザーメーター XL75 (ス ガ試験機株式会社製)を用い、 lOKlux照度で、温度 24°C、湿度 60%RHの環境下 、 96時間照射し、試験前後の残存率(%)を測定し、 3段階で評価した。試験片の色 素の残存率は、測色システム(GRETAG SPM50: GRETAG社製)を用いて印字 濃度 (D値 = 1. 9付近)の照射前後の色差(Δ Ε)を測定した。結果を表 4に示す。
表 4
光沢紙 1 光沢紙 2
実施例 3 8. 1 9. 3
比較例 2 9. 2 12. 1
表 4より明らかなように、実施例 3は、いずれの光沢紙においても、比較例 2よりも試験 前後の色差が小さぐ耐光性が良好であることがわかる。
[0071] (E)記録画像の耐オゾンガス性試験
光沢紙;!〜 3にプリントした試験片をオゾンウエザーメーター(スガ試験機社製)を用 いてオゾン濃度 10ppm、温度 24°C、湿度 60%RHで 8時間放置し、印字濃度(D値 = 1. 9付近)の照射前後の色差(Δ Ε)を測定した。結果を表 5に示す。
表 5
光沢紙 1 光沢紙 2 光沢紙 3
実施例 3 1. 4 0. 6 0. 8
実施例 4 1. 3 1. 4 1. 0
比較例 2 8. 0 2. 9 3. 3
表 5より明らかなように実施例 3及び 4は共に全ての光沢紙において比較例 2よりも 色差が小さぐ耐オゾンガス性が非常に良好であることがわかる。
[0072] (F)記録画像の耐湿性試験
キャノン社製光沢紙にプリントした試験片を恒温恒湿器 (応用技研産業社製)を用 いて温度 50°C、湿度 90%RHで 96時間放置し、試験前後のブリード性を目視にて 判定し、 3段階で評価した。結果を表 6に示す。
〇 :ブリードが認められない
△:わずかにブリードが認められる
X :大きくブリードが認められる
表 6
光沢紙 1
実施例 3 〇
実施例 4 〇
比較例 1 X
[0073] 表 6より明らかなように、キャノン光沢紙において比較例 1は大きくブリードが認めら れるのに対し、実施例 3及び 4は共に、ブリードが認められず、耐湿性が非常に良好 であること力 sゎカゝる。
[0074] 表 3〜6の各試験結果より本発明の化合物を用いたインク組成物の記録画像は、 J NC標準マゼンタの色相に非常に近似しており、明度の高い色相である特徴を有す ると共に、各種の堅牢性、特に耐光性、耐オゾンガス性及び耐湿性に優れていること が明らかであり、本発明の化合物はインクジェット用マゼンタ色素として極めて優れた ものであると言える。