JP5337716B2 - アントラピリドン化合物又はその塩、そのアントラピリドン化合物を含有するマゼンタインク組成物及び着色体 - Google Patents

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Description

本発明は新規なアントラピリドン化合物、そのアントラピリドン化合物を色素として含有するマゼンタインク組成物及びこれらにより着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法において、インクの各種吐出方式が開発されている。これらはいずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うというものである。これは、記録ヘッドと被記録材料とが接触しない為、音の発生が殆どなく静かであり、また小型化、高速化、カラー化が容易であるという特長の為、近年急速に普及しつつあり、今後も大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水溶性染料を水性媒体に溶解した水性インクが使用されている。これらの水性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく一般に水溶性有機溶剤が添加されている。これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また形成される画像には、耐水性、耐光性、耐湿性等の堅牢性が求められる。
一方、コンピューターのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報を、インクジェットプリンタによりカラ−で記録するには、一般にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のインクによる減法混色で表現される。CRTディスプレイ等のレッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)による加法混色画像の色相を、減法混色画像により、できるだけ忠実に再現するためには、Y、M及びCのそれぞれが、出来るだけそれぞれの標準に近い色相を有し且つ鮮明であることが望まれる。又、それに使用されるインク組成物は長期の保存に対し安定であり、プリントした画像の濃度が高く、しかも該画像の耐水性、耐光性及び耐ガス性等の堅牢度が優れている事が求められる。
インクジェットプリンタの用途はOA用小型プリンタから産業用の大型プリンタにまで拡大されてきており、耐水性、耐湿性、耐光性及び耐ガス性等の堅牢度がこれまで以上に求められている。耐水性については、多孔質シリカ、カチオン系ポリマー、アルミナゾル又は特殊セラミックなどの有機又は無機の微粒子をPVA樹脂などとともに紙の表面にコーティングして、被記録材料に受像層を設けることなどにより、大幅に改良されてきている。耐湿性とは、着色された被記録材料を高湿度の雰囲気下に保存した際に被記録材料中の色素が着色画像の周囲に滲んでくるという現象(ブリードとも言う)に対する耐性のことである。色素の滲みがあると、特に写真調の高精細な画質を求められる画像においては著しく画像品質が低下するため、できるだけこの様な滲みを少なくする事が重要である。耐光性については大幅に改良する技術は未だ確立されておらず、特にY、M、C及びKの4原色のうちマゼンタの色素はもともと耐光性の弱いものが多く、その改良が重要な課題となっている。又、最近のデジタルカメラの浸透と共に、家庭でも写真をプリントする機会が増しており、得られたプリント物を保管する時に、空気中のオゾンガス、窒素酸化物等の酸化性ガスによる画像の変色も問題視されている。酸化性ガスは、記録紙上又は記録紙中で色素と反応し、印刷された画像を変退色させる性質を有している。酸化性ガスの中でも、オゾンガスはインクジェット記録画像の退色現象を促進させる主要な原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上も耐光性の向上と同様重要な課題となっている。
インクジェット記録用水性インクに用いられるマゼンタ色素としては、キサンテン系色素と、H酸(1−アミノ−8−ヒドロキシ−ナフタレン−3,6−ジスルホン酸)を用いたアゾ系色素が代表的である。しかし、前者は色相及び鮮明性は非常に優れるが耐光性が非常に劣る。また、後者は色相及び耐水性の点では良いものがあるが、耐光性及び鮮明性が劣るものが多い。後者のタイプでは鮮明性及び耐光性を向上させたマゼンタ染料も開発されているが、銅フタロシアニン系色素に代表されるシアン染料やイエロー染料など他の色相の染料に比べると、耐光性は依然劣る水準である。
鮮明性及び耐光性の優れるマゼンタ用色素としてはアントラピリドン系色素(例えば、特許文献1〜11参照)があるが、色相、鮮明性、耐光性、耐水性、耐ガス性及び溶解安定性のすべてを満足させるものは得られていない。
特開平10−306221号公報(1−3頁、7−18頁) 特開2000−109464号公報(1−2頁、8−12頁) 特開2000−169776号公報(1−2頁、6−9頁) 特開2000−191660号公報(1−3頁、11−14頁) 特開2000−256587号公報(1−3頁、7−18頁) 特開2001−72884号公報(1−2頁、8−11頁) 特開2001−139836号公報(1−2頁、7−12頁) WO2004/104108号国際公開パンフレット(20−36頁) 特開2003−192930号公報(1−4頁、15−18頁) 特開2005−8868号公報(1−3頁、15−22頁) 特開2005−314514号公報(1−3頁、15−20頁)
本発明は水に対する溶解性が高く、インクジェット記録に適する色相と鮮明性を有し、明度が高く、且つ記録物の各種堅牢性、特に耐湿性及び耐ガス性に優れたマゼンタ色素(化合物)及びそれを含有するインク組成物を提供する事を目的とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定の式(1)で示されるアントラピリドン化合物が前記課題を解決するものであることを見出し本発明を完成させたものである。即ち本発明は、
(1)
下記式(1)で表されるアントラピリドン化合物またはその塩、
Figure 0005337716
[式中、
は水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノ若しくはジ低級アルキルアミノ低級アルキル基又はシアノ低級アルキル基を、
は水素原子又はメトキシ基を、
は、無置換C5−C12アルキル基;置換基としてアリール基、ヘテロ環基、スルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、フェニルアルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換C5−C12アルキル基;無置換アリール基;置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェノキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換アリール基;無置換ヘテロアリール基;又は、置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェノキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換ヘテロアリール基;を、それぞれ表し、
置換位置が特定されていない、−SO及び−SOHの両者を有するベンゼン環上のそれらの置換位置は、該ベンゼン環に置換した窒素原子の置換位置に対して、一方がパラ位であり、他方がオルト位である]、
(2)
が水素原子又はメチル基である、上記(1)に記載のアントラピリドン化合物またはその塩、
(3)
は水素原子またはメチル基であり、
は無置換C6−C8アルキル基;置換基としてアリール基、ヘテロ環基、スルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換C6−C8アルキル基;又は、置換基としてスルホン酸基もしくはカルボキシ基を有する置換フェニル基;である上記(1)に記載のアントラピリドン化合物またはその塩、
(4)
はメチル基であり、
は無置換のC6アルキル基;又は、置換基としてカルボキシ基を有する置換フェニル基;である上記(1)に記載のアントラピリドン化合物またはその塩、
(5)
が水素原子である上記(4)に記載のアントラピリドン化合物またはその塩、
(6)
上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を色素として含有することを特徴とするインク組成物、
(7)
水及び水溶性有機溶剤をさらに含有する上記(6)に記載のインク組成物、
(8)
インクジェット記録用である上記(7)に記載のインク組成物、
(9)
色素として含有する、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩の総質量中に含まれる無機不純物の含有量が、1質量%以下である上記(6)から(8)のいずれか一項に記載のインク組成物、
(10)
色素として含有する、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩の含有量が、インク組成物の総質量に対して0.1〜20質量%である上記(6)から(9)のいずれか一項に記載のインク組成物、
(11)
上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を含有するインク組成物、又は、上記(6)から(10)のいずれか一項に記載のインク組成物の小滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法、
(12)
被記録材が情報伝達用シ−トである上記(11)に記載のインクジェット記録方法、
(13)
情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受像層を有するものである上記(12)に記載のインクジェット記録方法、
(14)
上記(6)から(10)のいずれか一項に記載のインク組成物で着色された着色体、
(15)
着色がインクジェットプリンタによりなされた上記(14)に記載の着色体、
(16)
上記(6)から(10)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
(17)
はメチル基であり、Rは無置換のC6−C8アルキル基又はカルボキシ置換アリール基である、上記(1)又は(2)に記載のアントラピリドン化合物またはその塩、
に関する。
本発明の上記式(1)のアントラピリドン化合物は、インクジェット記録紙上で非常に鮮明性及び明度の高い色相を示し、水溶解性に優れ、そしてインク組成物製造過程でのメンブランフィルターに対するろ過性が良好という特徴を有する。又、この化合物を使用した本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。そして本発明のアントラピリドン化合物をインクジェット記録用のマゼンタインクとして使用した印刷物は、被記録材(紙、フィルム等)を選択することなく理想的なマゼンタの色相である。更に本発明のマゼンタインク組成物は、写真調のカラー画像の色相を紙の上に忠実に再現させることも可能である。更に写真画質用インクジェット専用紙及びフィルムのような、無機微粒子を表面に塗工した被記録材に記録しても、各種堅牢性、特に耐オゾンガス性と耐湿性が極めて優れており、写真調の記録画像の長期保存安定性に優れている。従って、上記式(1)のアントラピリドン化合物はインクジェット記録のためのインク用色素として極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。本明細書においては、煩雑さを避けるため特に断りがない限り、「本発明のアントラピリドン化合物又はその塩」を含めて、単に「本発明のアントラピリドン化合物」と省略して以下に記載する。
本明細書において、「アルキル基」と記載した場合、C1〜C12アルキル基等を挙げることができ、該アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル及びn−ドデシル等の直鎖C1〜C12アルキル基;iso−プロピル、sec−ブチル、t−ブチル、iso−ブチル、2−メチルブチル、i−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル及びtert−ノニル等の分岐鎖C1〜C12アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等の環状アルキル基;等があげられる。なお、低級アルキル基としては、上記アルキル基の中、通常C1〜C4、好ましくは炭素数C1〜C3のアルキルを挙げることができる。これらの具体例としては、上記のアルキル基の具体例のうち、C1〜C4アルキルに含まれる基、好ましくはC1〜C3アルキルに含まれる基が挙げられる。
本明細書においてアルキル基以外のもの、例えばアルコキシ基等においても、該アルコキシ基等が有するアルキル部分は、上記アルキル基で記載された基と同じである(種類及び炭素数の範囲等)。従って、低級アルコキシ基の低級アルキル部分も、特に断りの無い限り、直鎖、分岐鎖及び環状の何れでも良く、その炭素数は通常C1−C4、好ましくはC1−C3である。
本明細書の置換基等の記載において、特に置換基を有してもよい旨の断りが無いものは、通常無置換を意味する。
本明細書において、上付のRTMは登録商標を示す。
本発明のアントラピリドン化合物は、前記式(1)で表される。
式(1)において、Rは水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル、モノ若しくはジ低級アルキルアミノ低級アルキル基又はシアノ低級アルキル基を表す。
前記式(1)におけるRが低級アルキル基である場合、該低級アルキル基としては好ましいものも含めて、低級アルキル基として前記した基を挙げることができる。その好ましい具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル及びiso−プロピルが挙げられ、より好ましいものはメチルである。
がヒドロキシ低級アルキル基である場合、該低級アルキル部分は、好ましいものも含めて、低級アルキル基として前記した基を挙げることができる。該ヒドロキシ低級アルキル基の具体例としては、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチル等が挙げられる。
のモノ低級アルキルアミノ低級アルキル基における低級アルキル部分はいずれも、好ましいものも含めて、低級アルキル基として前記した基を挙げることができる。該モノ低級アルキルアミノ低級アルキル基の具体例としては、例えばメチルアミノプロピル及びエチルアミノプロピル等があげられる。
のジ低級アルキルアミノ低級アルキル基における低級アルキル部分はいずれも、好ましいものも含めて、低級アルキル基として前記した基を挙げることができる。該ジ低級アルキルアミノ低級アルキル基の具体例としては、例えばジメチルアミノプロピル及びジエチルアミノエチル等があげられる。
がシアノ低級アルキル基である場合、該低級アルキル部分は好ましいものも含めて、低級アルキル基として前記した基を挙げることができる。該シアノ低級アルキル基の具体例としては、例えばシアノエチル、シアノプロピル及びシアノブチル等が挙げられる。
好ましいRとしては水素原子、または低級アルキル基が挙げられ、水素原子又はメチルがより好ましく、メチルが特に好ましい。
前記式(1)において、Rは水素原子又はメトキシを表す。これらはいずれも好ましい。
前記式(1)において、Rは、無置換C5−C12アルキル基;置換基としてアリール基、ヘテロ環基、スルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、フェニルアルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換C5−C12アルキル基;無置換アリール基;置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェノキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換アリール基;無置換ヘテロアリール基;又は、置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェノキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換ヘテロアリール基;を、それぞれ表す。
が無置換アルキル基である場合、該アルキル基は通常C5−C12アルキル、好ましくはC5−C8アルキル、より好ましくはC6−C8アルキル、さらに好ましくはC6アルキルである。これらの具体例としては、好ましいものの具体例も含めて、前記アルキル基の具体例の中で、上記無置換アルキル基の炭素数の範囲内に入る炭素数を有する基が挙げられる。これらは直鎖、分岐鎖及び環状のいずれも好ましいが、C6のものについては直鎖が特に好ましい。
以下、Rが置換C5−C12アルキル基である場合について説明する。この場合、該アルキル部分は通常C5−C12アルキルであり、好ましくはC5−C10アルキルであり、より好ましくはC5−C8アルキルである。さらに好ましくはC5−C6アルキルであり、場合によっては、さらに好ましくはC6−C8アルキルであり、特に好ましくはC6アルキルである。該置換C5−C12アルキル基のアルキル部分の具体例は、好ましいものの具体例も含めて、前記アルキル基について説明した具体例の中で、上記置換基を有するアルキル基の炭素数の範囲内に入る炭素数を有するものが挙げられる。該置換C5−C12アルキル基は、これらのアルキル部分における任意の水素原子を、相当する置換基で置換したものである。
がアリール基を有するC5−C12アルキル基である場合、該アリール基としてはフェニル、ナフチル又はアントラセニル等のC6−C14で構成されるアリール基があげられ、好ましくはフェニルまたはナフチルである。その具体例としては5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、8−フェニルオクチル、10−フェニルデシル及び12−フェニルドデシル等のフェニル置換のもの;5−ナフチルペンチル、6−ナフチルヘキシル、8−ナフチルオクチル、10−ナフチルデシル及び12−ナフチルドデシル等のナフチル置換のもの;等が挙げられる。
がヘテロ環基を有するC5−C12アルキル基である場合、該へテロ環としては、通常6員複素芳香環が挙げられ、好ましくは含窒素6員複素芳香環であり、より好ましくはピリジン環である。アルキル基に置換する場合のピリジン環上の置換位置は、2位、3位、及び4位のいずれも好ましい。ヘテロ環基を有するC5−C12アルキル基の具体例としてはピリジルペンチル、ピリジルヘキシル、ピリジルデシル及びピリジルドデシル等が挙げられる。
がスルホン酸基を有するC5−C12アルキル基である場合、その具体例としては5−スルホペンチル、6−スルホヘキシル、8−スルホオクチル、10−スルホデシル及び12−スルホドデシル等が挙げられる。これらのうち好ましくは5−スルホペンチル、6−スルホヘキシル又は8−スルホオクチルであり、より好ましくは5−スルホペンチル又は6−スルホヘキシルである。
がカルボキシ基を有するC5−C12アルキル基である場合、その具体例としてはカルボキシペンチル、カルボキシヘキシル、カルボキシオクチル、カルボキシデシル及びカルボキシドデシル等が挙げられる。これらのうち好ましくはカルボキシペンチル、カルボキシヘキシル又はカルボキシオクチルであり、より好ましくはカルボキシペンチル又はカルボキシヘキシルである。
がアルコキシカルボニル基を有するC5−C12アルキル基である場合、低級アルコキシカルボニルC5−C12アルキル基が好ましい。具体例としては2−メトキシカルボニルペンチル、2−エトキシカルボニルペンチル、2−ブトキシカルボニルペンチル、3−メトキシカルボニルペンチル、4−メトキシカルボニルペンチル、5−メトキシカルボニルペンチル、6−メトキシカルボニルヘキシル、8−メトキシカルボニルオクチル、メトキシカルボニルデシル及びメトキシカルボニルドデシル等が挙げられる。これらのうち好ましくは2−メトキシカルボニルペンチル、2−エトキシカルボニルペンチル、2−ブトキシカルボニルペンチル、3−メトキシカルボニルペンチル、4−メトキシカルボニルペンチル、5−メトキシカルボニルペンチル及び6−メトキシカルボニルヘキシルであり、より好ましくは5−メトキシカルボニルペンチル及び6−メトキシカルボニルヘキシルである。
がアシル基を有するC5−C12アルキル基である場合、該アシル基としては、低級アルキルカルボニル基、フェニル低級アルキルカルボニル基、又はフェニルカルボニル基(ベンゾイル基)が好ましい。アシル基を有するC5−C12アルキル基の具体例としては、5−メチルカルボニルペンチル、6−メチルカルボニルヘキシル、8−メチルカルボニルオクチル、10−メチルカルボニルデシル、11−メチルカルボニルウンデシル及び12−メチルカルボニルドデシル等の低級アルキルカルボニルC5−C12アルキル基;5−(2−フェニルエチルカルボニル)ペンチル、6−(2−フェニルエチルカルボニル)ヘキシル及び6−(4−フェニルブチルカルボニル)ヘキシル等のフェニル低級アルキルカルボニルC5−C12アルキル基;又は、ベンゾイルC5−C12アルキル基等が挙げられる。これらのうち好ましくは、5−メチルカルボニルペンチル、6−メチルカルボニルヘキシル、8−メチルカルボニルオクチル、ベンゾイルC5−C12アルキル基等が挙げられる。
がカルバモイル基を有するC5−C12アルキル基である場合、その具体例としては5−カルバモイルペンチル、6−カルバモイルヘキシル、8−カルバモイルオクチル、10−カルバモイルデシル又は12−カルバモイルドデシル等が挙げられる。これらのうち好ましくは5−カルバモイルペンチル又は6−カルバモイルヘキシルである。
がシアノ基を有するC5−C12アルキル基である場合、その具体例としては5−シアノペンチル、6−シアノヘキシル、8−シアノオクチル、10−シアノデシル、11−シアノウンデシル又は12−シアノドデシル等が挙げられ、これらのうち好ましくは5−シアノペンチル又は6−シアノヘキシルである。
がアルコキシ基を有するC5−C12アルキル基である場合、低級アルコキシC5−C12アルキル基が好ましい。具体例としては5−メトキシペンチル、5−エトキシペンチル、5−プロポキシペンチル、5−イソプロポキシペンチル、5−ブトキシペンチル、6−メトキシヘキシル、2−メトキシヘキシル、6−エトキシヘキシル、6−ブトキシヘキシル、8−メトキシオクチル、10−メトキシデシル、11−メトキシウンデシル又は12−メトキシドデシル等が挙げられる。これらのうち好ましくは5−メトキシペンチル、5−エトキシペンチル、6−メトキシヘキシル、2−メトキシヘキシル又は6−エトキシヘキシルであり、より好ましくは6−メトキシヘキシル又は6−エトキシヘキシルである。
がフェニルアルコキシ基を有するC5−C12アルキル基である場合、フェニル低級アルコキシC5−C12アルキル基が好ましい。具体例としては、5−ベンジルオキシペンチル、6−ベンジルオキシヘキシル、8−ベンジルオキシオクチル、10−ベンジルオキシデシル、11−ベンジルオキシウンデシル、12−ベンジルオキシドデシル、5−フェネチルオキシペンチル、5−フェニルブトキシペンチル、6−フェネチルオキシヘキシル又は6−フェニルブトキシヘキシル等が挙げられる。これらのうち好ましくは5−ベンジルオキシペンチル、6−ベンジルオキシヘキシル、5−フェネチルオキシペンチル、5−フェニルブトキシペンチル、6−フェネチルオキシヘキシル又は6−フェニルブトキシヘキシルであり、より好ましくは6−フェネチルオキシヘキシル又は6−ベンジルオキシヘキシルである。
がフェノキシ基を有するC5−C12アルキル基である場合、具体例としては5−フェノキシペンチル、6−フェノキシヘキシル、8−フェノキシオクチル、10−フェノキシデシル、11−フェノキシウンデシル又は12−フェノキシドデシル等が挙げられる。これらのうち好ましくは5−フェノキシペンチル、6−フェノキシヘキシル又は8−フェノキシオクチルであり、より好ましくは5−フェノキシペンチル又は6−フェノキシヘキシルである。
がヒドロキシ基を有するC5−C12アルキル基である場合、その具体例としては5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、8−ヒドロキシオクチル、10−ヒドロキシデシル、11−ヒドロキシウンデシル又は12−ヒドロキシドデシル等が挙げられる。これらのうち好ましくは5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル又は8−ヒドロキシオクチルであり、より好ましくは5−ヒドロキシペンチル又は6−ヒドロキシヘキシルである。
がニトロ基を有するC5−C12アルキル基である場合、その具体例としては5−ニトロペンチル、6−ニトロヘキシル、8−ニトロオクチル、10−ニトロデシル、11−ニトロウンデシル又は12−ニトロドデシル等が挙げられる。これらのうち好ましくは5−ニトロペンチル、6−ニトロヘキシル又は8−ニトロオクチルが挙げられ、より好ましくは5−ニトロペンチル又は6−ニトロヘキシルが挙げられる。
が無置換アリール基である場合、好ましいアリール基はフェニル基またはナフチル基である。
が置換アリール基である場合、該アリール基は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェノキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される置換基を有する。
上記ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
がハロゲン原子を有するアリール基である場合、その具体例としては2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、2−ヨードフェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロナフチル、4−クロロナフチル、2−ブロモナフチル、4−ヨードナフチル、4−ブロモナフチル、2−フルオロナフチル及び4−フルオロナフチル等が挙げられる。
がヒドロキシ基を有するアリール基である場合、その具体例としては2−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシナフチル及び4−ヒドロキシナフチル等が挙げられる。
がスルホン酸基を有するアリール基である場合、その具体例としては2−スルホフェニル、3−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2−スルホナフチル、3−スルホナフチル、4−スルホナフチル、5−スルホナフチル及び8−スルホナフチル等が挙げられる。スルホン酸基を置換基として有するフェニル基がより好ましい。
が置換もしくは無置換のアルキル基を有するアリール基である場合、該アルキル基は無置換の方が好ましい。該アルキル基を有するアリール基の具体例としては2−メチルフェニル、4−メチルフェニル及び2,4−ジメチルフェニル等が挙げられる。
がカルボキシ基を有するアリール基である場合、その具体例としては2−カルボキシフェニル、4−カルボキシフェニル、2−カルボキシナフチル及び4−カルボキシナフチル等が挙げられる。カルボキシ基を置換基として有するフェニル基がより好ましい。
がアルコキシカルボニル基を有するアリール基である場合、その具体例としては2−メトキシカルボニルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、2−エトキシカルボニルフェニル、4−エトキシカルボニルフェニル、4−ブトキシカルボニルフェニル及び2−メトキシカルボニルナフチル等が挙げられる。
がカルバモイル基を有するアリール基である場合、その具体例としては2−カルバモイルフェニル、4−カルバモイルフェニル、2−カルバモイルナフチル及び4−カルバモイルナフチル等が挙げられる。
がアルコキシ基を有するアリール基である場合、その具体例としては2−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−ブトキシフェニル、2−メトキシナフチル及び4−エトキシナフチル等が挙げられる。
がフェノキシ基を有するアリール基である場合、その具体例としては2−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、4−フェノキシナフチル及び5−フェノキシナフチル等が挙げられる。
がニトロ基を有するアリール基である場合、その具体例としては2−ニトロフェニル、3−ニトロフェニル、4―ニトロフェニル、2−ニトロナフチル、4−ニトロナフチル及び8−ニトロナフチル等が挙げられる。
が無置換ヘテロアリール基である場合、好ましいヘテロアリール基は2−、3−又は4−ピリジル基である。
が置換ヘテロアリール基である場合、該ヘテロアリール基は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェノキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される置換基を有する。
がハロゲン原子を有するヘテロアリール基である場合の該ハロゲン原子としては、好ましいものも含めて上記したRが置換アリール基である場合と同じでよい。
がハロゲン原子を有するヘテロアリール基である場合、その具体例としては4−クロロ−2−ピリジル、6−クロロ−2−ピリジル、4−ブロモ−2−ピリジル、6−ブロモ−2−ピリジル、4−フルオロ−2−ピリジル、6−フルオロ−2−ピリジル、4−ヨード−2−ピリジル、6−ヨード−2−ピリジル、2−クロロ−4−ピリジル、2−ブロモ−4−ピリジル、2−ヨード−4−ピリジル及び2−フルオロ−4−ピリジル等が挙げられる。
がヒドロキシ基を有するヘテロアリール基である場合、その具体例としては4−ヒドロキシ−2−ピリジル、6−ヒドロキシ−2−ピリジル及び2−ヒドロキシ−4−ピリジル等が挙げられる。
がスルホン酸基を有するヘテロアリール基である場合、その具体例としては4−スルホ−2−ピリジル、6−スルホ−2−ピリジル及び2−スルホ−4−ピリジル等が挙げられる。
が置換もしくは無置換のアルキル基を有するヘテロアリール基である場合、該アルキル基は無置換の方が好ましく、その具体例としては4−メチル−2−ピリジル、5−メチル−3−ピリジル及び6−メチル−4−ピリジル等が挙げられる。
がカルボキシ基を有するヘテロアリール基である場合、その具体例としては4−カルボキシ−2−ピリジル、6−カルボキシ−3−ピリジル及び6−カルボキシ−2−ピリジル等が挙げられる。
がアルコキシカルボニル基を有するヘテロアリール基である場合、その具体例としては4−メトキシカルボニル−2−ピリジル、6−メトキシカルボニル−3−ピリジル及び6−エトキシカルボニル−2−ピリジル等が挙げられる。
がカルバモイル基を有するヘテロアリール基である場合、その具体例としては4−カルバモイル−2−ピリジル、6−カルバモイル−3−ピリジル及び6−カルバモイル−4−ピリジル等が挙げられる。
がアルコキシ基を有するヘテロアリール基である場合、その具体例としては4−メトキシ−2−ピリジル、6−ブトキシ−3−ピリジル及び6−エトキシ−4−ピリジル等が挙げられる。
がフェノキシ基を有するヘテロアリール基である場合、その具体例としては4−フェノキシ−2−ピリジル、6−フェノキシ−3−ピリジル及び6−フェノキシ−4−ピリジル等が挙げられる。
がニトロ基を有するヘテロアリール基である場合、その具体例としては4−ニトロ−2−ピリジル、6−ニトロ−3−ピリジル及び6−ニトロ−4−ピリジル等が挙げられる。
式(1)のRとして好ましいものは、無置換C5−C12アルキル基、前記の置換基を有する置換C5−C12アルキル基、無置換アリール基又は前記の置換基を有する置換アリール基である。より好ましくは無置換C5−C12アルキル基又はカルボキシ置換アリール基であり、さらに好ましくは無置換C6−C8アルキル基又はカルボキシ置換アリール基である。場合により、無置換C6−C8アルキル基;置換基としてアリール基、ヘテロ環基、スルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換C6−C8アルキル基;又は、置換基としてスルホン酸基もしくはカルボキシ基を有する置換フェニル基がより好ましい。特に好ましくは直鎖の無置換C6アルキル基又はカルボキシ置換フェニル基である。
式(1)において、置換位置が特定されていない、−SO及び−SOHの両者を有するベンゼン環上のそれらの置換位置は、該ベンゼン環に置換した窒素原子の置換位置に対して、一方がパラ位であり、他方がオルト位である。
前記式(1)におけるR乃至Rについて、好ましいもの同士を組合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組合わせたものはさらに好ましい。特に好ましいもの同士等についても同様である。
好ましいアントラピリドン化合物を具体的に挙げれば、下記の通りである。
請求項3に対応する化合物として(i)前記式(1)において、Rが水素原子又はメチルであり、Rが水素原子又はメトキシであり、Rが無置換C6−C8アルキル基;置換基としてアリール基、ヘテロ環基、スルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換C6−C8アルキル基;又は、置換基としてスルホン酸基もしくはカルボキシ基を有する置換フェニル基である、アントラピリドン化合物を挙げることができ、
より好ましい同士を組み合わせた化合物として、(ii)上記(i)において、Rが無置換C5−C12アルキル基又はカルボキシ置換アリール基である、アントラピリドン化合物を挙げることができ、
特に好ましい同士を組み合わせた化合物として、(iii)上記(i)において、Rがメチル、Rが直鎖の無置換C6アルキル基又はカルボキシ置換フェニル基である、アントラピリドン化合物を挙げることができる。
前記式(1)の化合物の塩は、前記式(1)の化合物が無機又は有機塩基と形成する塩である。該塩としては、アルカリ金属塩(たとえばリチウム塩、ナトリウム塩あるいはカリウム塩)又はアンモニウム塩などの無機塩基との塩;または下記式(2)で表される4級アンモニウム塩等の有機塩基との塩;等が好ましい。
Figure 0005337716
[式中、Z乃至Zはそれぞれ独立にアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルコキシアルキル基を表わす。]
式(2)のZ乃至Zにおける具体例としては、下記の基が挙げられる。アルキル基の例としては、メチル又はエチル等の低級アルキル基が挙げられ;ヒドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル又は2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ低級アルキル基が挙げられ;また、ヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、3−ヒドロキシエトキシブチル又は2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシ低級アルコキシ低級アルキル基が挙げられる。
前記式(1)の化合物の塩のうち、より好ましいものとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン又はアンモニウム等と形成する各塩が挙げられる。これらのうち、特に好ましいものは、リチウム、アンモニウムおよびナトリウムと形成する各塩である。
上記の塩の製造方法を記載する。
例えば、前記式(1)の化合物を含む反応液、または、式(1)の化合物のウェットケーキまたは乾燥品を水に溶解した式(1)の化合物を含む水溶液に食塩を加えて塩析し、析出物を濾過分離することによって、式(1)の化合物のナトリウム塩をウェットケーキとして得ることができる。又、得られたウェットケーキを再び水に溶解後、塩酸を加えてpHを強酸性(通常pH1乃至2以下)に調整して、得られる結晶を濾過分離することにより、ウェットケーキとして式(1)で表される化合物を遊離酸の形で得ることができる。あるいはpHを水酸化ナトリウムで、適宜調整することにより、ナトリウム塩と遊離酸の混合物を望みの比率で得ることなども可能である。また、上記の遊離酸のウェットケーキを水に加えて、撹拌しながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、又は、上記式(2)で表される4級アンモニウム塩などを添加してアルカリ性にすることにより、各々相当するカリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、又は、4級アンモニウム塩を得ることができる。この際に、例えば、遊離酸とナトリウム塩との混合物のウエットケーキを使用し、水酸化カリウムを添加することにより、ナトリウムとカリウムの混塩、またはナトリウム塩、カリウム塩及び遊離酸の混合物などを得ることも可能である。これらの塩のうち、特に好ましいものは、前記の通り、リチウム、アンモニウム及びナトリウムの塩である。
本発明の前記式(1)で表されるアントラピリドン化合物の具体例を表1に示す。式(1)中、置換位置が特定されていない、−SO(Rを有するスルホニル基)及び−SOH(スルホン酸基)の両者を有するベンゼン環上のそれらの置換位置は、前記の通り、該ベンゼン環に置換した窒素原子の置換位置に対して、一方がパラ位であり、他方がオルト位である。従って、表1中では、「スルホニル基の置換位置」として、前者の位置のみを記載した。なお表1中、No.5の化合物において「o,p−スルホフェニル」とあるのは、o−スルホフェニル誘導体とp−スルホフェニル誘導体との2つの化合物の混合物であることを意味する。
Figure 0005337716
以下に本発明のアントラピリドン化合物の製造方法を記載する。なお下記式(3)〜(6)中に記載のR〜Rは、前記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
本発明のアントラピリドン化合物は、例えば次の方法により製造される。即ち、下記式(3)で示されるアントラキノン化合物1モルに、ベンゾイル酢酸エチルエステル又は置換基としてRを有するその誘導体1.1〜3モルを、キシレン等の極性溶媒中で、炭酸ナトリウム等の塩基性化合物の存在下に、130〜180℃で5〜15時間、反応させることにより、下記式(4)の化合物が得られる。
式(3)
Figure 0005337716
式(4)
Figure 0005337716
次いで、得られた上記式(4)の化合物1モルに、パラ(あるいはオルソ)アミノフェニルアルキルチオエーテル化合物、パラ(あるいはオルソ)アミノフェニルアリールチオエーテル化合物、又は、パラ(あるいはオルソ)アミノフェニルヘテロアリールチオエーテル化合物1〜5モルを、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性有機溶媒中で、炭酸ナトリウムのような塩基及び酢酸銅のような銅触媒の存在下に、110〜150℃で2〜6時間反応(ウルマン反応:縮合)させることにより、下記式(5)の化合物が得られる。
式(5)
Figure 0005337716
[式中、置換位置が特定されていないR−S基は、ベンゼン環上のオルト位あるいはパラ位のいずれかに置換している。]
次いで、得られた上記式(5)の化合物を、酢酸中において、50〜80℃で、過酸化水素の滴下により酸化(チオエーテル基の硫黄原子の酸化)し、下記式(6)のアントラピリドン化合物を得る。
式(6)
Figure 0005337716
[式中、置換位置が特定されていないRを有するスルホニル基は、ベンゼン環上のオルト位あるいはパラ位のいずれかに置換している。]
次いで、得られた上記式(6)の化合物を5〜15%発煙硫酸中で、常法によりスルホン化する。その後、反応液を氷水に注加し、さらに酸析または塩析等を行い、析出した固体を濾過分離することにより、本発明の上記式(1)で表されるアントラピリドン化合物を得る。なお、式(6)において、Rを有するスルホニル基がベンゼン環上のオルト位に置換している場合にはパラ位がスルホン化を受け、該スルホニル基がパラ位に置換している場合にはオルト位がスルホン化を受ける。
前記式(1)の化合物は遊離酸の形で、あるいはその塩の形で得ることが可能である。本発明のアントラピリドン化合物は遊離酸、又はその塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩またはアンモニウム塩などの形で、インク用色素などとして使用される。各種の塩からの遊離酸の製造方法、遊離酸からの、各種の塩または各種の混塩または遊離酸と塩との混合物などの製造方法については前記したとおりである。
前記式(1)で表される化合物は、該化合物の総質量中に不純物として含有される金属の塩化物および硫酸塩等の無機不純物量の少ないものが好ましい。その含有量の目安は例えば1質量%以下程度である。無機不純物の少ない本発明のアントラピリドン化合物を製造するには、上記で得られた本発明の化合物を、例えば逆浸透膜による通常の方法で脱塩処理すればよい。
本発明のインク組成物は、本発明の前記式(1)で表される化合物又はその塩を色素成分として含み、該化合物を、必要に応じてインク調製剤等と共に、水又は水性溶媒(後記する水溶性有機溶剤を含有する水)に溶解することにより得ることができる。例えば上記式(1)で表される化合物を含む反応液を、本発明のインク組成物の製造に直接使用することが出来る。又、上記反応液からの晶析又は反応液のスプレー乾燥等により式(1)の化合物を分離し、得られた該式(1)の化合物の乾燥品を、インク組成物の製造に使用することもできる。本発明のインク組成物は、本発明の化合物を通常0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは2〜10質量%含有する。本発明のインク組成物には水溶性有機溶剤0〜30質量%、インク調製剤は0〜5重量%をそれぞれ含有してもよい。水溶性有機溶剤は含有するのが好ましい。残部は水である。
使用しうる水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノールまたは第三ブタノール等のC1−C4アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式尿素類;アセトン、メチルエチルケトンまたは2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール;テトラヒドロフランまたはジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−または1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4アルキルエーテル;γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。
上記のうち好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジまたはトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン及び/又はジエチレングリコールモノブチルエーテルであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、2−ピロリドン及び/又はN−メチル−2−ピロリドンである。これらの水溶性有機溶剤は、単独もしくは混合して用いられる。
以下、本発明のインク組成物を調製するに当たり使用しうるインク調製剤について説明する。インク調製剤の具体例としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤および界面活性剤などが挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系及びベンジルブロムアセテート系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド又は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としてソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム及び無水酢酸ソーダなどがあげられる。
なお、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを有効成分とする防腐防黴剤としては、例えば、プロクセルRTMGXL(S)及びプロクセルRTMXL−2(S)(商品名、いずれもアベシア社製)等が挙げられる。
pH調整剤としては、目的とするインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを7.5〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、及び、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、及び、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化されたベンゾフェノン、及び、スルホン化されたベンゾトリアゾール等があげられる。
水溶性高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、及び、ポリイミン等があげられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、及び、エチレンカーボネート等があげられる。
界面活性剤としては、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び、ノニオン界面活性剤などがあげられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、及び、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体及びポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、及び、その他イミダゾリン誘導体などがある。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレンアルコール系;等が挙げられる。他の具体例としては、サーフィノールRTM104E、104PG50、82、465、及び、オルフィンRTMSTG(商品名、いずれも日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。
本発明のインク組成物は水性インク組成物であり、前記式(1)で表される本発明のアントラピリドン化合物又はその塩(以下、本化合物とも言う)を、水又は上記水性溶媒(水溶性有機溶剤を含有する水)に、必要に応じて上記インク調製剤などと共に、溶解させることによって製造できる。
上記製造方法において、各成分を溶解させる順序には特に制限はない。あらかじめ水又は上記水性溶媒に本化合物を溶解させ、インク調製剤を添加してもよいし、本化合物を水に溶解させたのち、水性溶媒、インク調製剤を添加してもよい。またこれと順序が異なっていてもよい。また、本化合物を含有する反応液または逆浸透膜による脱塩処理を行った本化合物の溶液に、水溶性有機溶剤、インク調製剤等を添加してインク組成物を製造してもよい。該インク組成物を調製するにあたり用いられる水は、イオン交換水又は蒸留水などの不純物の少ないものが好ましい。更に、必要に応じメンブランフィルターなどを用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよい。特にインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1〜0.1μm、好ましくは0.8〜0.2μmである。
本発明の着色体とは、本化合物により着色された材料を意味する。着色される材料には特に制限はなく、例えば紙、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、及び、カラーフィルター用基材等があげられるがこれらに限定されない。着色法としては例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェットプリンタを用いるインクジェット記録方法等があげられる。本発明においては、インクジェット記録方法が好ましい。
本発明のインクジェット記録方法を適用しうる被記録材(メディア)としては、例えば、紙又はフィルム等の情報伝達用シート、繊維及び皮革等があげられる。情報伝達用シートについては、表面処理されたもの、具体的には、例えば上記の被記録材等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。該インク受容層は、例えば基材にカチオンポリマーを含浸あるいは塗工すること;多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等、インク中の色素を吸着し得る多孔性白色無機物をポリビニルアルコールやポリビニールピロリドン等の親水性ポリマーと共に基材表面に塗工すること;等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは、通常インクジェット専用紙(フィルム)や光沢紙(フィルム)などと呼ばれる。具体的な製品としては、例えば、ピクトリコRTMプロ(株式会社ピクトリコ製);プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、マットフォトペーパー(いずれもキヤノン株式会社製);クリスピアRTM、写真用紙(光沢)、フォトマット紙、スーパーファイン専用光沢フィルム(いずれもセイコーエプソン株式会社製);アドバンスフォトペーパー、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルム、フォト用紙(いずれも日本ヒューレットパッカード株式会社製);フォトライクRTMQP(コニカミノルタフォトイメージング株式会社製);等がある。なお、普通紙も当然本発明の記録方法を適用しうる被記録材である。
これらのうち、多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録した画像のオゾンガスによる変退色は、特に大きくなることが知られている。本発明の水性マゼンタインク組成物はオゾンガスを含めたガス耐性が優れているため、このような被記録材への記録の際に特に効果を発揮する。
上記の多孔性白色無機物としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、及び、炭酸亜鉛等が挙げられる。
被記録材に本発明のインクジェット記録方法で記録するには、例えば本発明のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、通常の方法で被記録材に記録すればよい。本発明のインクジェット記録方法では、本発明のマゼンタインク組成物を単独で用いても、また、該マゼンタインク組成物とイエロー、シアン、グリーン、オレンジ、ブルー(又はバイオレット)及び必要に応じてブラック等の各色のインク組成物とを併用してもよい。併用される各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、これらの容器は、本発明のインクジェット記録用マゼンタインク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定位置にセット(装填)され、本発明のインク組成物と共にインクジェットプリントに使用される。インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンタ;加熱により生じる泡を利用したバブルジェットRTM方式のプリンタ;等があげられる。
本発明のインク組成物は、鮮明なマゼンタ色であり、特にインクジェット光沢紙において鮮明性の高い色相を示し、更に、記録画像の堅牢性も高い。又、人に対する安全性も高い。
本発明のインク組成物は貯蔵中に沈殿、分離することがない。また、本発明のインク組成物をインクジェット記録において使用した場合、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明のインク組成物は連続式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても物理的性質の変化を起こさない。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。実施例中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。また、各反応及び晶析等の操作は、特に断りのない限り、攪拌下に行った。
なお合成した本発明の化合物は、いずれも水に対して100g/L以上の溶解度を示した。
また実施例中の化合物の最大吸収波長(λmax)は、特に断りの無い限り、水溶液での測定値である。各実施例により得られた本発明のアントラピリドン化合物の純度は、HPLCを使用し、その面積比を純度として記載した。分析機器ならびに分析条件は以下の通りである。
HPLC使用機器および測定条件
装置 ;商品名 HP1100(Agilent Technology社製)
カラム ;商品名 Inertsil ODS−2(5μm)
1.6×250mm(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度 ;40℃
移動相 ;A:5mM AcONH、 B:CHCN
グラジエント;Bconc. 10%−(30min)−60%
流量 ;0.8ml/min
測定波長 ;254nm
実施例1
(1)
キシレン360部中に、Rがメチルである上記式(3)で表される化合物94.8部、炭酸ナトリウム3.0部、ベンゾイル酢酸エチルエステル144.0部を順次加え、液温を140〜150℃へ上げた。この温度で8時間反応を行い、その間、反応で生成するエタノールと水をキシレンと共沸させながら系外へ留出させ、反応を完結させた。得られた反応液を30℃に冷却し、そこにメタノール240部を添加して30分攪拌した後、析出した固体を濾過分離した。得られた固体をメタノール360部で洗浄後、乾燥することによって、RがCHでありRがHである前記式(4)で表される化合物124.8部を淡黄色針状結晶として得た。
(2)
次に、N,N−ジメチルホルムアミド500.0部中に、本実施例の(1)で得られた化合物111部、パラアミノフェニル−n−ヘキシルチオエーテル104.5部、酢酸銅(II)1水和物30.0部及び酢酸ナトリウム30.8部を順次加え、液温を130〜135℃へ1時間かけて上げた後、この温度で3時間反応を行った。反応液を約60℃に冷却した後、そこにメタノール250部を加え、さらに室温まで冷却し、析出した固体を濾過分離した。得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド125部、メタノール500部、次いで80℃の温水で順次洗浄した後、乾燥することによって、RがCH、RがH、Rがn−ヘキシルであり、かつ、Rを有するチオエーテル基の置換位置がベンゼン環上のパラ位である、前記式(5)で表される化合物122.7部を青味赤色結晶として得た。
(3)
次に酢酸1000部およびタングステン酸ナトリウム2水和物5部に、上記(2)で得られたし基(5)の化合物102.7部を60℃以下で添加し、液温を75〜80℃に上げた。この温度にて30%過酸化水素水40部を該反応液に1.5時間かけて滴下し、更に5時間反応を行った。得られた反応液に、メタノール300部を、65〜70℃の液温にて30分で滴下した。液温を30℃に冷却後、析出した固体を濾過分離した。得られた固体を、水洗及び乾燥することによって、RがCH、RがH、Rがn−ヘキシルであり、かつ、Rを有するスルホニル基の置換位置がベンゼン環上のパラ位である、前記式(6)で表される化合物104部を赤色結晶として得た。
(4)
次に96.0%硫酸217.8部に、水冷しながら30.5%発煙硫酸342.2部を添加して、10%発煙硫酸560部を調製した。そこに、水冷下、上記(3)で得られた式(6)の化合物93部を、50℃以下の液温で添加した。液温を60〜65℃に上げ、この温度にて5時間反応を行った。次に、氷水1300部中に、上記で得られた反応液を添加し、水を加えて総液量を3000部に調整した。得られた液を30分かけて60℃まで加熱した後、濾過し不溶解分を除去した。母液を室温まで放冷し、析出した固体を濾過分離した。得られた固体を20%塩化アンモニウム水溶液300部で洗浄し、下記式(7)で表される化合物(前記表1におけるNo.1の化合物)のウェットケーキ156部を赤色結晶として得た。得られたウェットケーキをエタノール1000部に加え、60℃で30分攪拌後、析出した固体を濾過分離した。得られたウェットケーキを乾燥し、下記式(7)で表される、無機塩含有量が1質量%以下である本発明の化合物87.0部を暗赤色結晶として得た。
λmax:523nm、HPLC純度:96.9%。
Figure 0005337716
合成例1
実施例1(2)で使用した、パラアミノフェニル−n−ヘキシルチオエーテルは、以下の方法により合成した。
N、N−ジメチルホルムアミド250部に、p−クロロニトロベンゼン102.5部及び炭酸カリウム50部を加えた後、50℃以下に液温を保ちながらn−ヘキシルメルカプタン105部を滴下した。液温を95−105℃に上げた後、この温度で3時間反応させた。反応液を冷却した後、氷水1000部に注加した。析出した固体を濾過分離し、冷水にて洗浄後、減圧乾燥することによってパラニトロフェニル−n−ヘキシルチオエーテル150部を得た。得られたパラニトロフェニル−n−ヘキシルチオエーテル150部、活性炭10部、及び塩化第二鉄6水和物1部をメタノール300部に加えた後、液温を60−65℃へ上げ、この温度で20分撹拌した。反応液に80%ヒドラジン1水和物100部とメタノール125部の混合物を、65℃以下に液温を保ちながら1時間かけて滴下した。同温度で3時間反応を行った後、反応液を濾過して不溶解物を除去した。母液を濃縮し、トルエン及び飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて液−液抽出を行った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、硫酸ナトリウムを濾過により除去した。得られた母液を減圧濃縮することにより、油状物としてパラアミノフェニル−n−ヘキシルチオエーテル125部を得た。この化合物はさらに精製することなく、前記実施例1(2)の反応に用いた。
実施例2
実施例1(1)にて使用したベンゾイル酢酸エチルエステルの代わりにアニソイル酢酸エチルエステルを使用する以外は実施例1と同様にして、下記式(8)で表される本発明の化合物(前記表1におけるNo.2の化合物)を暗赤色固体として得た。
λmax:520nm、HPLC純度:97.6%。
Figure 0005337716
実施例3
実施例1(2)にて使用したパラアミノフェニル−n−ヘキシルチオエーテルの代わりにパラアミノフェニル−o−カルベトキシフェニルチオエーテルを使用する以外は実施例1と同様にして、下記式(9)で表される本発明の化合物(前記表1におけるNo.6の化合物)を暗赤色固体として得た。
λmax:528nm、HPLC純度:94%。
Figure 0005337716
合成例2
実施例3で使用したパラアミノフェニル−o−カルベトキシフェニルチオエーテルは以下の方法で合成した。
N,N−ジメチルホルムアミド250部に、p−クロロニトロベンゼン78.8部及び炭酸カリウム42部を加えた後、50℃以下に液温を保ちながらチオサリチル酸84.8部を添加した。液温を105−115℃に上げ、4時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、氷水1000部に注加し、析出した固体を濾過分離した。得られた固体を水洗及び乾燥し、p−ニトロ−o−カルボキシフェニルチオエ−テル125.5部を得た。
得られたp−ニトロ−o−カルボキシフェニルチオエ−テル120部、チオニルクロリド69.2部およびN,N−ジメチルホルムアミド3部の混合物を、80−83℃の還流温度で、3時間、還流した。その後、同温度で減圧下、未反応のチオニルクロリドを留去した。該留去後の反応液に、トリエチルアミン42.3部およびエタノール350部を加え、70−80℃の液温で反応を行った。反応液を室温まで冷却し、析出した固体を濾過分離した。得られた固体をエタノール及び水で順次洗浄した後、乾燥して、パラニトロフェニル−o−カルベトキシフェニルチオエーテル118.6部を得た。
メタノール500部に、上記で得たパラニトロフェニル−o−カルベトキシフェニルチオエーテル115部、活性炭10部および塩化第二鉄6水和物1部を加え、60−65℃の液温で20分撹拌した。この反応液に、80%ヒドラジン1水和物68部とメタノール100部の混合物を、65℃以下に液温を保ちながら1時間かけて滴下し、さらに同温度で3時間反応させた。反応液を濾過することにより得られた母液を濃縮し、析出した固体を水洗及び乾燥し、標題化合物であるパラアミノフェニル−o−カルベトキシフェニルチオエーテル95.4部を得た。
実施例4
実施例1(2)のパラアミノフェニル−n−ヘキシルチオエーテルの代わりにパラアミノフェニル−2−エチルヘキシルチオエーテルを使用する以外は実施例1と同様にして、下記式(10)(表1におけるNo.3の化合物)で表される本発明の化合物を暗赤色固体として得た。
λmax:523nm、HPLC純度:88%。
Figure 0005337716
合成例3
実施例4で使用したパラアミノフェニル−2−エチルヘキシルチオエーテルは下記の方法で合成した。
水370部にテトラブチルアンモニウムブロマイド19.2部および硫化ナトリウム5水和物302部を加えた後、液温を60℃に上げた。これにパラクロロニトロベンゼン96.1部、2−エチルヘキシルブロマイド118部およびトルエン100.0部からなる溶液を、60℃以下に反応液を保ちながら、2時間かけて滴下し、その後更に60〜65℃で3時間反応を行った。反応液を室温まで冷却し、これにトルエン及び飽和食塩水を加えて洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濾過して得られた濾液を減圧濃縮し、得られた残渣を減圧乾燥し、パラニトロフェニル−2−エチルヘキシルチオエーテル155部を得た。
メタノール300部に、上記で得たパラニトロフェニル−2−エチルヘキシルチオエーテル150部、活性炭10部及び塩化第二鉄6水和物1部を加え、60−65℃の液温で、20分間撹拌した。これに80%ヒドラジン1水和物65部とメタノール100部の混合物を、65℃以下に反応液を保ちながら、1時間かけて滴下し、その後更に同温度で3時間反応を行った。反応液を濾過して不溶解分を除き、母液を濃縮した。得られた残渣にトルエン及び飽和食塩水を加えて洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濾過して得られた濾液を減圧濃縮することにより、標題化合物である、パラアミノフェニル−2−エチルヘキシルチオエーテル125部を得た。
実施例5乃至7
(A)インクの調製
実施例1で得られた化合物(表1の化合物No.1:式(7)の化合物)を用いて下記表2に示した組成を有する本発明のインク組成物を調製し、さらに0.45μmのメンブランフィルターで濾過することにより、インクジェット記録用のインクを得た。この際、水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物の調製の際には、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように、25%水酸化ナトリウム水溶液で調整し、総量が100部になるように更に水を加えた。
上記で得られたインクジェット記録用インクを用いて、後記(B)のインクジェット記録を行い、後記(C)乃至(E)に記載の方法により評価試験を行った。ここまでを実施例5とする。
また、下記表2において実施例1で得られた式(7)の化合物の代わりに実施例2で得られた式(8)の化合物又は実施例3で得られた式(9)の化合物をそれぞれ用いる以外は、実施例5と同様にしてインク組成物及びインクジェット記録用インクを調製した。得られたインクジェット記録用インクを用いて、それぞれ上記と同様にインクジェット記録及び評価試験を行った。実施例2で得られた式(8)の化合物を使用した場合を実施例6とし、実施例3で得られた式(9)の化合物を使用した場合を実施例7とする。
表2
実施例1の化合物 6.0部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
IPA(イソプロピルアルコール) 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤(サーフィノールRTM104PG50 日信化学工業株式会社製)
0.1部
25%NaOH水+水 74.9部
計 100.0部
比較例1及び2
実施例1で得られた化合物の代わりに特許文献1の化合物No.36(下記式(11)の化合物)を用いる以外は、実施例5と同様にして、比較用のインク組成物及びインクジェット記録用インクの調製、該インクを用いたインクジェット記録、及び得られた記録画像の評価を行った。これを比較例1とする。
また、実施例1で得られた化合物の代わりに特許文献10の実施例1の化合物No.32(下記式(12)の化合物)を用いる以外は、実施例5と同様にして比較用のインク組成物及びインクジェット記録用インクの調製、該インクを用いたインクジェット記録、及び得られた記録画像の評価を行った。これを比較例2とする。
比較例1に使用した化合物は下記式(11)に、比較例2に使用した化合物は下記式(12)にそれぞれ示す。
式(11)
Figure 0005337716
式(12)
Figure 0005337716
(B)インクジェット記録
インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社、商品名:PixusRTMiP4100)を用いて、多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するインクジェット専用紙である3種の被記録材料にインクジェット記録を行った。評価試験に用いたこれらの3種のインクジェット専用紙(光沢紙)を下記に示し、それぞれを光沢紙1、光沢紙2および光沢紙3とする。インクジェット記録の際、数段階の階調で印刷濃度が得られるように画像パターンを作り印字物を作成した。該印字物を試験片として用い、以下の(C)乃至(E)に記載する評価試験をそれぞれ行った。
光沢紙1:キヤノン株式会社製、商品名:プロフェッショナルフォトペーパー PR−101
光沢紙2:セイコーエプソン株式会社製、商品名:クリスピアRTM
光沢紙3:ヒューレットパッカード(HP)社製、商品名:アドバンスフォトペーパー
(C)色相評価
記録画像の色相及び鮮明性については、印字した試験片を測色システム(GRETAG SPM50:GRETAG社製)を用いて測色し、L*、a*及びb*値を算出した。JPMA(社団法人 日本印刷産業機械工業会)のジャパンカラー(JNC)標準マゼンタサンプルとの比較で色相評価を行った。なお、各試験片の印字濃度(D値)は、光沢紙の種類毎に揃えて測定を行った。
結果を表3に示す。尚、ジャパンカラー標準マゼンタの使用紙はJapan Color Standard Paperである。
表3
明 度 色 度
***
JNC標準マゼンタ 46.3 74.4 −4.8

光沢紙1 (D値=1.8付近)
実施例5 47.1 84.0 −5.8
実施例6 50.0 82.2 −2.9
実施例7 46.9 81.7 −11.7
比較例1 40.5 84.3 −22.9
比較例2 39.8 84.0 −26.1

光沢紙2 (D値=2.0付近)
実施例5 45.8 86.0 −15.2
実施例6 49.6 84.7 −10.8
実施例7 48.7 84.4 −13.8
比較例1 39.7 87.0 −26.8
比較例2 40.2 87.5 −27.5

光沢紙3 (D値=1.9付近)
実施例5 48.0 84.1 −6.6
実施例6 51.3 82.8 −3.5
実施例7 47.2 84.1 −18.1
比較例1 41.3 87.1 −25.6
比較例2 41.5 87.8 −27.3
表3より明らかなように、光沢紙1〜3のいずれにおいても、実施例5から7の色度(a*、b*)は、JNC標準マゼンタの色相に近似していることがわかる。特に光沢紙1において、比較例1および2は−22.9および−26.1とb*値が非常に低いのに対して、実施例5から7のb*値は、−5.8、−2.9および−11.7と標準マゼンタのb*値(−4.8)に極めて近似しており、標準マゼンタと極めて近い色相であることがわかる。その他の光沢紙2および3においても同様な傾向にある。更に、実施例5から7のL*値は、光沢紙1〜3のいずれにおいても比較例1および2よりも高く、明度が高い。以上の結果より、本発明の色素を用いたインク組成物の記録画像は、JNC標準マゼンタの色相に非常に近似しており、かつ明度の高い色相を有するという特徴のあることがわかる。
以下に各種堅牢性の評価について記載する。堅牢性については、耐オゾンガス性と耐湿性の2種の試験を行って評価した。
(D)耐オゾンガス性試験
光沢紙1〜3にプリントした試験片をオゾンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)を用いてオゾン濃度40ppm、温度24℃、湿度60%RHで16時間放置し、印字濃度(D値=1.0付近)の照射前後の残存率(%)を測定した。試験片の残存率は、測色システム(GRETAG SPM50:GRETAG社製)を用いて印字濃度(D値=1.0付近)の試験前後のD値を測定し、試験後D値/試験前D値を百分率で算出した。結果を表4に示す。
表4
光沢紙1 光沢紙2 光沢紙3
実施例5 76.3 86.8 80.9
実施例6 75.2 81.9 77.5
実施例7 75.7 84.7 85.0
比較例1 55.0 50.4 54.5
比較例2 62.1 65.2 69.5
表4より明らかなように実施例5から7は、全ての光沢紙において比較例1及び2と比較して、残存率が高い。例えば、光沢紙1では比較例1及び2の残存率が55.0及び62.1であるのに対し、実施例5から7の残存率は76.3、75.2、及び75.7と高い。
光沢紙2では比較例1及び2の残存率が50.4及び65.2であるのに対し、実施例5から7の残存率は86.8、81.9及び84.7と非常に高い。
光沢紙3では比較例1及び2の残存率が54.5及び69.5であるのに対し、実施例5から7の残存率は80.9、77.5及び85.0と非常に高い。
従って、本発明の実施例5から7の耐オゾンガス性が非常に良好であることがわかる。
(E)耐湿性試験
光沢紙1にプリントした試験片を恒温恒湿器(応用技研産業株式会社製)を用いて温度50℃、湿度90%RHで96時間放置し、試験前後のブリード性を目視にて判定し、3段階で評価した。結果を表6に示す。
○:ブリードが認められない
△:わずかにブリードが認められる
×:大きくブリードが認められる
表5
実施例5 ○
実施例6 ○
実施例7 ○
比較例1 ×
比較例2 ○
表5より明らかなように、光沢紙1において比較例1は大きくブリードが認められるのに対し、実施例5から7は全て、ブリードが認められず、耐湿性が非常に良好であることがわかる。
表3乃至5の各試験結果より、本発明の色素を用いたインク組成物の記録画像は、JNC標準マゼンタの色相に非常に近似し、かつ、明度の高い色相である特徴を有すると共に、各種の堅牢性、特に耐オゾン性と耐湿性に優れていることが明らかである。従って本発明の化合物は、インクジェット記録のためのインク用マゼンタ色素として極めて優れたものであると言える。

Claims (17)

  1. 下記式(1)で表されるアントラピリドン化合物またはその塩、
    Figure 0005337716
    [式中、
    は水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノ若しくはジ低級アルキルアミノ低級アルキル基又はシアノ低級アルキル基を、
    は水素原子又はメトキシ基を、
    は、無置換C5−C12アルキル基;置換基としてアリール基、ヘテロ環基、スルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、フェニルアルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換C5−C12アルキル基;無置換アリール基;置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェノキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換アリール基;無置換ヘテロアリール基;又は、置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェノキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換ヘテロアリール基;を、それぞれ表し、
    置換位置が特定されていない、−SO及び−SOHの両者を有するベンゼン環上のそれらの置換位置は、該ベンゼン環に置換した窒素原子の置換位置に対して、一方がパラ位であり、他方がオルト位である。]。
  2. が水素原子又はメチル基である、請求項1に記載のアントラピリドン化合物またはその塩。
  3. は水素原子またはメチル基であり、
    は無置換C6−C8アルキル基;置換基としてアリール基、ヘテロ環基、スルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基およびニトロ基からなる群から選択される基を有する置換C6−C8アルキル基;又は、置換基としてスルホン酸基もしくはカルボキシ基を有する置換フェニル基;である請求項1に記載のアントラピリドン化合物またはその塩。
  4. はメチル基であり、Rは無置換のC6アルキル基;又は、置換基としてカルボキシ基を有する置換フェニル基;である請求項1に記載のアントラピリドン化合物またはその塩。
  5. が水素原子である請求項4に記載のアントラピリドン化合物またはその塩。
  6. 請求項1又は4に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を色素として含有することを特徴とするインク組成物。
  7. 水及び水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項6に記載のインク組成物。
  8. インクジェット記録用である請求項7に記載のインク組成物。
  9. 色素として含有する、請求項1又は4に記載のアントラピリドン化合物又はその塩の総質量中に含まれる無機不純物の含有量が、1質量%以下である請求項6に記載のインク組成物。
  10. 色素として含有する、請求項1又は4に記載のアントラピリドン化合物又はその塩の含有量が、インク組成物の総質量に対して0.1〜20質量%である請求項6に記載のインク組成物。
  11. 請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を含有するインク組成物の小滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  12. 被記録材が情報伝達用シ−トである請求項11に記載のインクジェット記録方法。
  13. 情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受像層を有するものである請求項12に記載のインクジェット記録方法。
  14. 請求項6に記載のインク組成物で着色された着色体。
  15. 着色がインクジェットプリンタによりなされた請求項14に記載の着色体。
  16. 請求項6に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
  17. はメチル基であり、Rは無置換のC6−C8アルキル基又はカルボキシ置換アリール基である、請求項1に記載のアントラピリドン化合物またはその塩。
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