JP2005307068A - 電気−熱変換型インクジェット用インク、インクセットと、それを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

電気−熱変換型インクジェット用インク、インクセットと、それを用いたインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、電気−熱変換型インクジェットプリンター適性、特にコゲーションが改良され、更に混色滲み耐性、耐水性、耐光性及びオゾンガス耐性が向上した電気−熱変換型インクジェット用インク、インクセットと、それを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される染料と下記一般式(2)で表される染料とを含有し、有機溶剤含有量が10〜30質量%であることを特徴とする電気−熱変換型インクジェット用インク。
【化1】
Figure 2005307068

【化2】
Figure 2005307068

【選択図】 なし

Description

本発明は、新規の電気−熱変換型インクジェット用インク、インクセットと、それを用いたインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて記録媒体に付着させ、画像、文字等の記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易であるという利点を有している。
近年、インクジェット技術の進歩は目覚ましく、プリンター技術、インク技術、専用のインクジェット記録媒体技術の向上と相まって、得られる画質が写真画質と呼ばれる様になっている。画質の向上に伴い、インクジェット画像の保存性が従来の銀塩写真と比較されるようになり、特に、染料インクにおいて、インクジェット画像の耐水性、滲み耐性の弱さといった色剤の移動を伴う劣化や、耐光性や耐酸化性ガス性への弱さといった色材特有の化学反応を伴う劣化が指摘されている。特に、近年、大気中に微量に含まれるオゾンガスによるインクジェット記録画像の褪色が問題になっている。
最近では、複数のカラーインク組成物を用意し、インクジェット記録によってカラー画像を形成することが行われている。一般に、カラー画像の形成は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物の三色、さらに場合によってブラックインク組成物を加えた四色によって行われている。さらに、これらの四色にライトシアンインク組成物およびライトマゼンタインク組成物を加えた六色又は更にレッドインク組成物、ブルーインク組成物やグリーンインク組成物を加えた七色によってカラー画像形成を行なう場合もある。このようなカラー画像の形成に用いられるインク組成物には、それ自体が良好な発色性を有していることに加え、複数のインク組成物と組み合わせたときに、良好な中間色を発色すること、印字物のその後の保存において、滲み耐性や耐水性の各色間でのバランスや変退色しない等のことが求められる。その中でも、特に、マゼンタインク組成物に用いられる色材は、耐光性に弱いものが多く、その改良が重要な課題とされていた。
インクジェット記録用水溶性インクに用いられるマゼンタ色素の色素骨格としては、キサンテン系(例えば、特許文献1、2参照)と、H酸を用いたアゾ系色素(例えば、特許文献3〜5参照)が代表的である。しかし、キサンテン系については色相及び鮮明性は非常に優れるが耐光性が非常に劣る。また、H酸を用いたアゾ系色素については色相及び耐水性の点では良いものがあるが、耐光性及び鮮明性が劣る。このタイプでは鮮明性及び耐光性の優れたマゼンタ染料も開発されているが(例えば、特許文献6参照)、銅フタロシアニン系色素に代表されるシアン染料やイエロー染料など他の色相の染料に比べ耐光性が依然劣る水準である。又最近のデジタルカメラの浸透と共に、家庭でも写真をプリントする機会が増している。この写真を保管する時に、空気中の酸化性ガスによる写真画質の変色が問題視されている。
一方、鮮明性及び耐光性の優れるマゼンタの色素骨格としてはアントラピリドン系色素(例えば、特許文献7〜11参照)があるが、色相、鮮明性、耐光性、耐水性、耐ガス性及び溶解安定性のすべてを満足させるものは得られていない。
上記課題に対し、特定の構造を有するアントラピリドン系色素等を用いて、耐光性、オゾンガス耐性、耐水性を改良した水性マゼンタインク組成物が提案されている(例えば、特許文献12、13参照。)。
一般に、インクジェット記録に用いられる吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などが広く使われているが、上記特許文献12、13に記載のアントラピリドン系色素を含む水性マゼンタインク組成物を、電気−熱変換方式の記録ヘッドを備えた電気−熱変換型インクジェットプリンターで吐出、印字を行うと、コゲーション等の発生に伴う吐出不良を引き起こしやすいことが判明した。
特開平8−60053号公報 特開平8−143798号公報 特開平3−203970号公報 特開平7−157698号公報 特公平7−78190号公報 特開平3−203970号公報 特開2000−109464号公報 特開2000−169776号公報 特開2000−191660号公報 特開2001−72884号公報 特開2001−139836号公報 特開2003−192930号公報 特開2004−2814号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電気−熱変換型インクジェットプリンター適性、特にコゲーションが改良され、更に混色滲み耐性、耐水性、耐光性及びオゾンガス耐性が向上した電気−熱変換型インクジェット用インク、インクセットと、それを用いたインクジェット記録方法を提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
下記一般式(1)で表される染料と下記一般式(2)で表される染料とを含有し、有機溶剤含有量が10〜30質量%であることを特徴とする電気−熱変換型インクジェット用インク。
Figure 2005307068
〔式中、Rは水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノもしくはジアルキルアミノアルキル基、またはシアノ低級アルキル基を表し、Yは塩素原子、水酸基、アミノ基、モノもしくはジアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、またはモノもしくはジアルキルアミノアルキルアミノ基を表し、Xは架橋基を表す。Mは、水素原子、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩またはアンモニウム塩を表す。〕
Figure 2005307068
〔式中、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基または複素環チオ基を表す。R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。〕
(請求項2)
前記有機溶剤として、沸点が60〜100℃の水溶性有機溶剤を1.0〜7.0質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の電気−熱変換型インクジェット用インク。
(請求項3)
前記沸点が60〜100℃の水溶性有機溶剤が、炭素数が1〜3の1価アルコールであることを特徴とする請求項2に記載の電気−熱変換型インクジェット用インク。
(請求項4)
リチウムイオンを10〜2000ppm含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気−熱変換型インクジェット用インク。
(請求項5)
少なくともイエロー染料インク、マゼンタ染料インク及びシアン染料インクとを有し、該マゼンタ染料インクが、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気−熱変換型インクジェット用インクであることを特徴とするインクセット。
(請求項6)
前記シアン染料インクが、下記一般式(3)で表される染料を含有することを特徴とする請求項5に記載のインクセット。
Figure 2005307068
〔式中、X11〜X14はそれぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、−CONR12または−CO21を表す。Zはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。Y11〜Y18はそれぞれ独立に、一価の置換基を表す。a11〜a14は、それぞれX11〜X14の置換基数を表し、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2を表す。Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。〕
(請求項7)
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気−熱変換型インクジェット用インクを、ダブルパルス方式で吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
(請求項8)
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気−熱変換型インクジェット用インクを、少なくともアルミナを含有するインクジェット記録媒体に吐出して、印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明によれば、電気−熱変換型インクジェットプリンター適性、特にコゲーションが改良され、更に混色滲み耐性、耐水性、耐光性及びオゾンガス耐性が向上した電気−熱変換型インクジェット用インク、インクセットと、それを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、前記一般式(1)で表される染料と前記一般式(2)で表される染料とを含有し、有機溶剤含有量が10〜30質量%である電気−熱変換型インクジェット用インクにより、電気−熱変換型インクジェットプリンター適性、特にコゲーションが改良され、更に混色滲み耐性、耐水性、耐光性及びオゾンガス耐性が向上した電気−熱変換型インクジェット用インクを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、前記一般式(1)で表される染料は、前述の特許文献12、13に記載のごとく、画像保存性に優れていることが知られているが、特に、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)の記録ヘッドを有する電気−熱変換型インクジェットプリンターで吐出を行うと、吐出不良を起こしやすいことが判明した。更に、本発明者が検討を行った結果、有機溶剤量が30質量%を越えると、特に吐出不良が発生しやすくなることが判明した。よって、有機溶剤量を10〜30質量%の範囲に規定することにより、ある程度の吐出安定性は向上はするものの、依然として、コゲーションの発生等に伴う吐出不良を抱えたままで、安定した吐出性能を実現するためには更なる改良が必要であった。
本発明者は、引き続き検討を進めた結果、有機溶剤量を10〜30質量%の範囲に規定すると共に、前記一般式(1)で表される染料と前記一般式(2)で表される染料とを併せて用いることにより、驚くべきことに、コゲーションが特異的に改良され、飛躍的に吐出安定性が向上することができたものである。
更に、上記構成に加え、有機溶剤として、沸点が60〜100℃の水溶性有機溶剤を1.0〜7.0質量%含有することにより、混色に滲みが改良され、また、リチウムイオンを10〜2000ppm含有することにより、耐水性、耐光性及びオゾンガス耐性が更に向上できることが判明した。
また、インクセットに、上記構成からなる本発明の電気−熱変換型インクジェット用インクをマゼンタ染料インクとして用いることにより、各色間での耐光性バランスに優れ、更に加えて、シアン染料インクに前記一般式(3)で表される染料を組み合わせて用いることにより、オゾンガス耐性が向上できることを見出した。
また、本発明の電気−熱変換型インクジェット用インクを、予備加熱と発泡加熱の2つの手段を組み合わせたダブルパルス方式により吐出を行うインクジェット記録方法により、更なる吐出安定性を達成することができ、また、インク吸収層中に無機微粒子としてアルミナを含有するインクジェット記録媒体(以下、記録媒体ともいう)を用いることにより、オゾンガス耐性がより一層向上することを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明のインクジェット用インクについて説明する。
本発明の電気−熱変換型インクジェット用インク(以下、単にインクともいう)では、染料の1つとして前記一般式(1)で表されるアントラピリドン系染料を用いることが特徴の1つである。
本発明に係る一般式(1)で表されるアントラピリドン系染料について説明する。
前記一般式(1)において、Rは水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノもしくはジアルキルアミノアルキル基、またはシアノ低級アルキル基を表し、Yは塩素原子、水酸基、アミノ基、モノもしくはジアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、またはモノもしくはジアルキルアミノアルキルアミノ基を表し、その中でも、モノもしくはジアルキルアミノ基はアルキル基上にスルホン酸基、カルボキシ基および水酸基からなる群から選択される置換基を有してもよく、フェノキシ基はスルホン酸基、カルボキシ基、アセチルアミノ基、アミノ基及び水酸基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、アニリノ基はベンゼン環上にスルホン酸基及びカルボキシ基からなる群から選択される1種又は2種の置換基で置換されていてもよく、ナフチルアミノ基はスルホン酸基で置換されていてもよい。Xは架橋基を表す。Mは、水素原子、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩またはアンモニウム塩を表す。
Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、Rにおけるヒドロキシ低級アルキル基及びシアノ低級アルキル基におけるアルキルとしては、例えば、エチル、プロピル等が挙げられるが、エチルが好ましい。
Yにおけるアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基等の炭素数1〜8のアルキルアミノ基が挙げられる。ジアルキルアミノ基としては、例えば、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基等の炭素数1〜8のジアルキルアミノ基が挙げられる。また、アラルキルアミノ基としては、ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基、フェニルプロピルアミノ基等のフェニル(炭素数1〜6)アルキルアミノ基が挙げられ、シクロアルキルアミノ基としては、例えば、シクロヘキシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基等のシクロ(炭素数5〜7)アルキルアミノ基が挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。スルホン酸基又はカルボキシ基を有するアルキルアミノ基におけるアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の炭素数1〜4のアルキルが挙げられる。
Yにおいて、スルホン酸基、カルボキシ基、アセチルアミノ基、アミノ基、水酸基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよいフェノキシ基の具体例としては、例えば、4−スルホフェノキシ基、4−カルボキシフェノキシ基、4−アセチルアミノ−フェノキシ基、4−アミノフェノキシ基、4−ヒドロキシフェノキシ基等が挙げられる。
Yにおいて、スルホン酸基又はカルボキシ基を有するアルキルアミノ基の具体例としては、例えば、2−スルホエチルアミノ基、カルボキシメチルアミノ基、2−カルボキシエチルアミノ基、1−カルボキシエチルアミノ基、1,2−ジカルボキシエチルアミノ基又はジ(カルボキシメチル)アミノ基等が挙げられ、水酸基を有するアルキルアミノ基の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチルアミノ基、ジヒドロキシエチルアミノ基等が挙げられる。
Yにおいて、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群から選択される1種又は2種の置換基で置換されていてもよいアニリノ基の具体例としては、例えば、2,5−ジスルホアニリノ基、3−スルホアニリノ基、2−スルホアニリノ基、4−スルホアニリノ基、2−カルボキシ−4−スルホアニリノ基、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ基等が挙げられる。
Yにおいて、スルホン酸基で置換されていてもよいナフチルアミノ基の具体例としては、例えば、3,6,8−トリスルホ−1−ナフチルアミノ基、4,6,8−トリスルホ−2−ナフチルアミノ基、3,6,8−トリスルホ−2−ナフチルアミノ基、4,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノ基等が挙げられる。
Xにおける架橋基としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素残基の両末端に窒素原子または酸素原子を有し、該両末端の窒素原子または酸素原子を結合手とする2価の基が挙げられ、具体的には
−N(H)m(−A−)nN(H)m−または−O−A−O−
〔式中、Aは2価の炭素数1〜20の炭化水素残基であり、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでもよく、nは1または2、mは1または0を示し、nが1の時、mは1を示し、nが2の時、mは0を示す〕
で表される基が挙げられる。
上記Aの2価の炭素数1〜20の炭化水素残基としては、例えば、異項原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等)を1〜2個含んでもよい炭素数1〜15の2価の脂肪族基、異項原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等)を1〜3個含んでもよい2価の炭素数3〜10、好ましくは炭素数5〜10の芳香族基および前記脂肪族基と前記芳香族基が結合してできる2価の基が挙げられる。これらの基は置換基(例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、芳香族基の時は低級アルキル基等)を有していてもよい。
上記の脂肪族基としては、例えば、メチレン、ジメチレン(エチレン)、トリメチレン(プロピレン)、2−メチルトリメチレン(2−メチルプロピレン)、テトラメチレン(ブチレン)、ヘキサメチレン等の低級アルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜6の(ポリ)メチレン、シクロペンタン−1,2−または13−ジイル、シクロヘキサン−1,2−、−1,3−または−1,4−ジイル、シクロヘプタン−ジイル等の炭素数5〜7のシクロアルキレン、メチレンシクロヘキサン−1,4−ジイルメチレン(−CH2−C610−CH2−)、メチレンジシクロヘキサン−ジイル(−C610−CH2−C610−)、メチレンビス(メチルシクロヘキサン−ジイル){−C610(CH3)−CH2−C610(CH3)−}、シクロヘキサン−ジイル−ジメチレン(−CH2−C610−CH2−)等の低級アルキレンと炭素数5〜7の脂肪族環(低級アルキル置換をしていてもよい)からなる脂肪族基、メチレンオキシメチレン(−CH2−O−CH2−)、ビス(ジメチレン)アミノ(−C24−NH−C24−)、メチレンチオメチレン(−CH2−S−CH2−)、オキシジシクロヘキサン−ジイル(−C610−O−C610−)等の異項原子を含む炭素数1〜7の脂肪族基等が挙げられる。2価の芳香属基としてはフェニレン(−C64−)、ナフチレン(−C106−)等の炭素数6〜10の芳香族基を挙げることができる。前記脂肪族基と前記芳香族基が結合してできる2価の基としてはキシリレン(−CH2−C64−CH2−)等を挙げることができる。
上記Aとしてより好ましいのものとしては、ジメチレン、ヘキサメチレン、1,3−キシリレン、メチレンジシクロヘキサン−4,1−ジイル、メチレンビス(2−メチルシクロヘキサン−4,1−ジイル)、シクロヘキサン−1,3−ジイル−ジメチレンが挙げられる。
架橋基Xとしては、例えば1,2−ジアミノエチレン基(−NH−CH2CH2−NH−)、1,4−ジアミノブチレン基(−NH−C48−NH−)、1,6−ジアミノヘキシレン基(−NH−C612−NH−)等のジアミノアルキレン基、1,4−ピペラジンジイル基(−NC48N−)、1,4−ジアミノフェニレン基(−NH−C64−p−NH−)、1,3−ジアミノフェニレン基(−NH−C64−m−NH−)等のジアミノフェニレン基、4−スルホー1,3−ジアミノフェニレン基{−NH−C64(p−SO3H)−m−NH−}、5−カルボキシー1,3−ジアミノフェニレン基等の置換ジアミノフェニレン基、1,3−ジアミノキシリレン基(−NH−CH2−C64−m−CH2−NH−)、1,4−ジアミノキシリレン基(−NH−CH2−C64−p−CH2−NH−)、4,4′−ジアミノ−2−スルホ−ジフェニルアミノ基{−NH−C64(m−SO3H)−NH−C64−p−NH−}、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン基(−NH−C610−4−CH2−C610−4′−NH−)、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン基{−NH−C610(3−CH3)−4−CH2−C610(3′−CH3)−4′NH−}、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン基(−NH−CH2−C610−3−CH2−NH−)、ジオキシエチレン基(−O−CH2CH2−O−)、1,4−ジオキシブチレン基(−O−C48−O−)、2,2′−ジオキシエチルエーテル基(−O−CH2CH2−O−CH2CH2−O−)等のジオキシ置換アルキレン基、1,4−ジオキシフェニレン基(−O−C64−p−O−)、1,3−ジオキシフェニレン基(−O−C64−m−O−)、4,4′−ジオキシジフェニルエーテル基(−O−C64−p−O−C64−p−O−)、4,4′−ジオキシフェニレンチオエーテル基(−O−C64−p−S−C64−p−O−)、2,5−及び2,6−ノルボルナンジアミノ基、1,4−ジオキシメチルシクロヘキシレン基(−O−CH2−C610−4−CH2−O−)等が挙げられる。
なお、式−N(H)m(−A−)nN(H)m−において、nが2であり、mが0である場合の基としては、上記1,4−ピペラジンジイル(−NC48N−)などが挙げられる。
R、Y、Xの好ましい組み合わせとしては、例えば、Rが水素原子又はメチル基、Yが塩素原子、水酸基又はアミノ基、Xがジアミノエチレン基、1,4−ピペラジンジイル基、1,3−ジアミノキシリレン基、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン基、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン基、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン基等である。
Mは、水素原子、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩またはアンモニウム塩を表し、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、アンモニウム塩が挙げられる。また塩の作り方としては、例えば、上記で得られる3次縮合物の反応液に食塩を加えて、塩析、濾過することによってナトリウム塩をウェットケーキとして得、そのウェットケーキを再び水に溶解後、塩酸を加えてpHを1〜2に調整して得られる結晶を濾過すれば、遊離酸(あるいは一部はナトリウム塩のまま)の形で得られる。更に、その遊離酸の形のウェットケーキを水と共に撹拌しながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水を添加してアルカリ性にすれば、各々カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩が得られる。
以下に、本発明に係る前記一般式(1)で表されるアントラピリドン化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示した染料のみに限定されるものではない。
なお、下記に示す例示化合物において、ジアミノエチレンは、1,2−ジアミノエチレン基(−NH−CH2CH2−NH−)を意味する。またPhはフェニル基を示し、例えばPh0はフェノキシ基、NHPhはアニリノ基を示し、他も同様とする。またNHPh(p−SO3H)は4−スルホアニリノ基(p−SO3Hはスルホン酸基がフェニル基のパラ位にあることを示す)を、NHPh(COOH)2(3,5)は3,5−ジカルボキシアニリノ基{Ph(COOH)2(3,5)はフェニル基の3位および5位にカルボキシル基が置換していることを示す}を表し、他の基についても同様に記載する。また、naphthylはナフチル基を示し、NH−2naphthyl(SO3H)3(3,6,8)は3,6,8−トリスルホ−2ナフチルアミノを示し、NH(cyclohexyl)はシクロヘキシルアミノを示す。
Figure 2005307068
Figure 2005307068
本発明に係る一般式(1)で表される染料は、当業界公知の方法に従って合成して、得ることができる。
次いで、上記一般式(1)で表される染料と共に用いる前記一般式(2)で表される染料について説明する。
前記一般式(2)において、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30以上の電子吸引基であることが好ましく、σp値が0.45以上の電子吸引基であることが更に好ましく、σp値が0.6以上の電子吸引基であることが特に好ましい。また、σp値が1.0以下の電子吸引性基であることが好ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
前記一般式(2)において、R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基または複素環チオ基を表す。
前記一般式(2)において、R3、R4は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル及びアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
前記一般式(2)において、R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。
前記一般式(2)において、Z2は水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。Qは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。中でもQは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。また、この5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子または炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環及びチアン環等が挙げらる。
上記説明した一般式(2)における各基は、更に置換基を有していても良い。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(複素環アミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールチオ基、または複素環チオ基等やイオン性親水性基が挙げられる。
ここで、本発明でいうハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数には、σp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しく記載されている。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合、その範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(2)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては、σp値をこのような意味で使用する。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えば、アセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル基)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ基)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ基)、スルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ基)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、ペンタクロロフェニル基)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル基)を挙げることができる。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
以下に、本発明に係る前記一般式(2)で表される具体的なマゼンタ染料の化合物例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005307068
Figure 2005307068
Figure 2005307068
本発明のインクセットにおいては、少なくともイエロー染料インク、マゼンタ染料インク及びシアン染料インクとを有し、該マゼンタ染料インクが、本発明の電気−熱変換型インクジェット用インクであることを特徴とする。また、シアン染料インクとして、前記一般式(3)で表される染料を含有することが好ましい。
一般式(3)中、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2の整数を表し、特に好ましいのは4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、その中でも特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。
11〜X14は、それぞれ全く同じ置換基であっても良く、あるいは、例えば、X11〜X14が全て−SO2−Zであるが、各Zは互いに異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが、部分的に互いに異なる置換基であっても良く、あるいは、例えば、−SO2−Zと−SO2NR12が同時に置換した場合のように、互いに異なる置換基を含んでいても良い。
一般式(3)で表されるフタロシアニン染料の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
11〜X14としては、それぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、または−CONR12が好ましく、特に−SO2−Z、または−SO2NR12が好ましく、−SO2−Zが最も好ましい。
Zはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。ただしR1、R2が共に水素原子であることは好ましくない。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
11〜Y18は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。a11〜a14はそれぞれ独立に1または2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明に係るフタロシアニン染料の化学構造としては、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの4つの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、フタロシアニン骨格全体の置換基のσp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
ハメットの置換基定数σp値について前述と同義である。
前記一般式(3)で表されるフタロシアニン系染料類縁体混合物を、置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。
(1)β−位置換型:2及びまたは3位、6及びまたは7位、10及びまたは11位、14及びまたは15位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(2)α−位置換型:1及びまたは4位、5及びまたは8位、9及びまたは12位、13及びまたは16位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(3)α,β−位混合置換型:1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
本発明に用いられるフタロシアニン誘導体は、例えば、白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
本発明に係る一般式(3)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば、下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)またはジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を一般式(3−1)で表される金属誘導体と反応させるか、或いは4−スルホフタロニトリル誘導体(化合物R)と一般式(3−1)で表される金属誘導体を反応させて得られるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導することができる。
Figure 2005307068
上記各式中、Xpは上記一般式(3)におけるX11〜X14のいずれか1つに相当する。Yq,Yq′はそれぞれ上記一般式(3)におけるY11〜Y18のいずれか1つに相当する。
一般式(3−1):M−(Y)d
一般式(3−1)において、Mは前記一般式(3)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
得られる前記一般式(3)で表されるフタロシアニン化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物、すなわちβ−位置換型となっている。
Figure 2005307068
上記合成法において、Xpとして全て同一のものを使用すればX11、X12、X13及びX14が全く同じ置換基であるβ位置置換型フタロシアニン染料を得ることができる。一方、Xpとして異なるものを組み合わせて使用すれば、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基をもつ染料や、あるいは、互いに異なる種類の置換基をもつ染料を合成することができる。一般式(3)の染料の中でも互いに異なる電子吸引性置換基を持つこれらの染料は、染料の溶解性、会合性、インクの経時安定性などを調整できる為、特に好ましい。
本発明に係る一般式(3)で表されるフタロシアニン染料は、特開2001−226275号、同2001−96610号、同2001−47013号、同2001−193638号に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
以下に、本発明に係る前記一般式(3)で表される具体的なシアン染料の化合物例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005307068
Figure 2005307068
Figure 2005307068
Figure 2005307068
Figure 2005307068
Figure 2005307068
Figure 2005307068
Figure 2005307068
Figure 2005307068
Figure 2005307068
本発明のインクセットにおいては、少なくともイエロー染料インク、マゼンタ染料インク及びシアン染料インクとを有し、該マゼンタ染料インクが、本発明の電気−熱変換型インクジェット用インクであることを特徴とするが、そのほかに、必要に応じて、ブラックインク、上記各色の染料含有量を変化させた濃淡インク、特色を再現するブルーインク、グリーンインク、レッドインク、あるいは無色インク等が組み合わされていても良い。
本発明のマゼンタの電気−熱変換型インクジェット用インクには、前記一般式(1)で表される染料と前記一般式(2)で表される染料と共に、公知のマゼンタ染料を併せて用いることもでき、また、本発明の電気−熱変換型インクジェット用インクと共にインクセットを構成する場合、公知の各染料を用いることができる。
上記の各色インクに用いることのできる水溶性染料を以下に示す。
本発明で用いることのできる水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができ、その具体的化合物を以下に示す。ただし、これら例示した化合物に限定されるものではない。
〔C.I.アシッドイエロー〕
1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、42、44、49、59、61、65、67、72、73、79、99、104、110、114、116、118、121、127、129、135、137、141、143、151、155、158、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、220、230、232、235、241、242、246
〔C.I.アシッドオレンジ〕
3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168
〔C.I.アシッドレッド〕
1、6、8、9、13、18、27、35、37、52、54、57、73、82、88、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415
〔C.I.アシッドバイオレット〕
17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126
〔C.I.アシッドブルー〕
1、7、9、15、23、25、40、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350
〔C.I.アシッドグリーン〕
9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109
〔C.I.アシッドブラウン〕
2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413
〔C.I.アシッドブラック〕
1、2、3、24、26、31、50、52、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222
〔C.I.ダイレクトイエロー〕
8、9、10、11、12、22、27、28、39、44、50、58、86、87、98、105、106、130、132、137、142、147、153
〔C.I.ダイレクトオレンジ〕
6、26、27、34、39、40、46、102、105、107、118
〔C.I.ダイレクトレッド〕
2、4、9、23、24、31、54、62、69、79、80、81、83、84、89、95、212、224、225、226、227、239、242、243、254
〔C.I.ダイレクトバイオレット〕
9、35、51、66、94、95
〔C.I.ダイレクトブルー〕
1、15、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、160、168、189、192、193、199、200、201、202、203、218、225、229、237、244、248、251、270、273、274、290、291
〔C.I.ダイレクトグリーン〕
26、28、59、80、85
〔C.I.ダイレクトブラウン〕
44、106、115、195、209、210、222、223
〔C.I.ダイレクトブラック〕
17、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169
〔C.I.ベイシックイエロー〕
1、2、11、13、15、19、21、28、29、32、36、40、41、45、51、63、67、70、73、91
〔C.I.ベイシックオレンジ〕
2、21、22
〔C.I.ベイシックレッド〕
1、2、12、13、14、15、18、23、24、27、29、35、36、39、46、51、52、69、70、73、82、109
〔C.I.ベイシックバイオレット〕
1、3、7、10、11、15、16、21、27、39
〔C.I.ベイシックブルー〕
1、3、7、9、21、22、26、41、45、47、52、54、65、69、75、77、92、100、105、117、124、129、147、151
〔C.I.ベイシックグリーン〕
1、4
〔C.I.ベイシックブラウン〕

〔C.I.リアクティブイエロー〕
2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176
〔C.I.リアクティブオレンジ〕
1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107
〔C.I.リアクティブレッド〕
2、3、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、228、235
〔C.I.リアクティブバイオレット〕
1、2、4、5、6、22、23、33、36、38
〔C.I.リアクティブブルー〕
2、3、4、5、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236
〔C.I.リアクティブグリーン〕
8、12、15、19、21
〔C.I.リアクティブブラウン〕
2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46
〔C.I.リアクティブブラック〕
5、8、13、14、31、34、39
等が挙げられ、これら上記に列挙した染料は、「染色ノート第21版」(出版;色染社)等に記載されている。
本発明のインクにおいては、有機溶剤含有量が10〜30質量%であることが特徴の1つである。本発明の前記一般式(1)で表される染料と前記一般式(2)で表される染料とを含むインクでは、有機溶剤含有量を上記で規定した範囲とすることにより、吐出不良を起こすことなく、高い吐出安定性を達成することができる。
有機溶剤量が10質量%未満になると、デキャップ耐性やコゲーション耐性が低下し、吐出が不安定になる。また、有機溶剤量が30質量%を越えると、同じくデキャップ耐性が低下し、吐出安定性の劣化を招く結果となり好ましくない。
本発明で用いることのできる有機溶剤は、特に制限はないが、水溶性の有機溶剤が好ましく、具体的にはアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、スルホン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナトリウム塩等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられ、特に好ましくは多価アルコール、多価アルコールエーテルあるいは脂肪族1価アルコールである。
更に、本発明のインクにおいては、上記に列挙した水溶性の有機溶剤の中でも、沸点が60〜100℃と中沸点の水溶性有機溶剤を1.0〜7.0質量%含有することが好ましく、特に沸点が60〜100℃との水溶性有機溶剤が、炭素数1〜3の1価アルコールが好ましく、例えば、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。
本発明の前記一般式(1)で表される染料と前記一般式(2)で表される染料とを含むインクに、沸点が60〜100℃との水溶性有機溶剤、あるいは炭素数1〜3の1価アルコールを上記で規定した範囲とすることにより、吐出安定性に加えて、高い混色滲み耐性を達成することができる。沸点が60〜100℃との水溶性有機溶剤、あるいは炭素数が1〜3の1価アルコール含有量が1.0質量%未満になると、上記有機溶剤による目的効果を十分に発揮させることができず、また、有機溶剤量が7.0質量%を越えると、デキャップ耐性が低下し、吐出安定性の劣化を招くと共に、滲み耐性が低下し、好ましくない。
本発明のインクにおいては、リチウムイオンを10〜2000ppm含有することが好ましく、より好ましくは10〜1000ppmである。
本発明の前記一般式(1)で表される染料と前記一般式(2)で表される染料とを含むインクに、リチウムイオンを10〜2000ppm含有することにより、高い吐出安定性を達成することができる。リチウムイオン含有量が10ppm未満になると、リチウムイオンによる吐出安定化効果を十分に発揮させることができず、また、リチウムイオン含有量が2000ppmを越えると、コゲーション耐性が低下し、吐出安定性の劣化を招く結果となり好ましくない。
本発明のインクにおいて、リチウムイオン含有量を本発明で規定する条件範囲内に調整する方法としては、特に制限はないが、本発明に係る前記一般式(1)、または一般式(2)で表される染料のカウンターイオンとして、Mで表されるアルカリ金属としてリチウム塩を添加する方法、最終的にインクのpHを調整する際に、アルカリ剤として水酸化リチウム、炭酸リチウムとして添加する方法、あるいはインク調製時にリチウム塩として添加する方法等を、制限なく用いることができる。
次いで、本発明のインクのその他の構成要素について説明する。
本発明に係る水溶性染料インクにおいて、各種の界面活性剤を用いることができる。本発明で用いることのできる各界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
また、本発明におけるインク中に、高分子界面活性剤も用いることができ、例えば、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
本発明に係る水溶性染料インクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
次いで、本発明に係るインクジェット記録媒体について説明する。
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクジェット記録媒体(以下、本発明の記録媒体とも言う)では、アルミナを含有することを特徴の1つとする。
本発明に係るインクジェット記録媒体では、支持体上にインク吸収層を有するものが好ましい。インク吸収層としては、大きく膨潤層型インク吸収層と空隙型インク吸収層に分けられる。
膨潤型インク吸収層は高い光沢性が得られることと、膨潤性ポリマーを使用しているために、ポリマーが膨潤できる範囲であれば大容量のインクを吸収できること、低コストで製造できる利点などが挙げられが、膨潤性ポリマーを使用しているので耐光性の点は劣る。
一方、空隙型インク吸収層は、インク吸収速度が速くプリント時にムラが生じにくいこと、プリント直後に表面が見かけ上乾いていること、耐水性とインク吸収速度の両者が同時に満足できること等が挙げられる。
本発明では、高インク吸収・高乾燥性である観点から、空隙型のインク吸収層であることが好ましい。
膨潤型インク吸収層は、インク溶媒に対して膨潤性がある親水性ポリマーから主として構成される。そのような親水性ポリマーとしては、ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、アミノ基をフェニルイソシアネートや無水フタル酸等で封鎖した誘導体ゼラチンなど)、ポリビニルアルコール(平均重合度が300〜4000、ケン化度が80〜99.5%が好ましい)、ポリビニルピロリドン、ポリエチオレンオキシド、ヒドロキシルエチルセルロース、寒天、プルラン、デキストラン、アクリル酸、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、アルギン酸等が挙げられ、2種類以上を併用することもできる。
膨潤型インク吸収層には親水性ポリマーの膨潤性に影響を与えない範囲で無機微粒子や有機微粒子等の微粒子を含有させても良いが親水性バインダーに対して通常100質量%以下である。膨潤層に設けられる親水性ポリマーの使用量は記録媒体1m2当たり通常3〜20g、好ましくは5〜15gである。
本発明に係る記録媒体で好ましい空隙型インク吸収層は、インク吸収層に空隙を有するもので、無機微粒子と少量の親水性ポリマーを含有する空隙を有する多孔質皮膜のものが好ましい。
このような無機微粒子の例としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができるが、本発明では、シリカまたはアルミナが好まし、特に少なくともアルミナを用いることが好ましい。
本発明において、アルミナとは、塩化アルミニウムを気化させ、これを気相で酸化性ガスにより酸化して得られるアルミナ(酸化アルミニウム)である。結晶型としては、γ、δ、θ型や、無定型などが知られている。このアルミナ微粒子は粒径が細かいのが好ましく、平均1次粒径が4〜100nmが好ましい。100nmより大きいと、アルミナ凝集体が大きくなりすぎて光沢性が低下してしまう。4nmより小さいとアルミナ微粒子の塗布液としての分散性が不安定となり、ゲル化を招き好ましくない。
特に、気相法で合成したアルミナ微粒子は、微粒化しやすく粒径分布も狭いので、光沢性には有利である。
本発明に係るアルミナはカチオン性微粒子であるので、シリカ微粒子のように分散性を確保するためのカチオンポリマーの添加や、染料インクへの媒染剤の添加といった添加剤を用いなくてもよい。こうした添加剤は往々にしてインク吸収性の阻害の原因となりうるので、無機微粒子としてアルミナ微粒子を用いることはインク吸収性を高めることにおいて極めて有利である。
上記の無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、また、2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
空隙層に用いられる親水性ポリマーとしては、膨潤型インク吸収層で用いられる親水性ポリマーと同様のものが用いられるが、好ましい親水性ポリマーはポリビニルアルコールである。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。
ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と親水性バインダーの比率は質量比で通常2:1〜10:1であり、特に、3:1〜8:1が好ましい。
無機微粒子の親水性バインダーに対する比率を上記の如く大きい値にすることでインク吸収層は高空隙率を達成することができる。好ましい空隙率は40〜80%であり、特に50〜70%が好ましい。空隙率は以下の式に従って得られた値である。
空隙率=100×〔(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/全乾燥膜厚〕
また、上記空隙層が親水性ポリマーとしてポリビニルアルコールを含有する場合には皮膜の造膜性を改善し、また皮膜の強度を高めるために、硬膜剤を添加することが好ましく、例えば、エポキシ化合物、ほう酸又はその塩が挙げられ、中でもほう酸又はその塩を含有されることが好ましい。ほう酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、メタほう酸、次ほう酸、四ほう酸、五ほう酸およびそれらの塩が含まれる。
ホウ酸またはその塩の使用量は、塗布液の無機微粒子や親水性ポリマーの量により広範に変わり得るが、親水性ポリマーに対して通常1〜60質量%、好ましくは5〜40質量%である。
本発明においては、インク吸収速度は速く画像のムラが少なく、また親水性ポリマーの使用量が比較的少ないためにカールの発生が比較的少ないことからもインク吸収層が空隙を有する多孔質皮膜であるのが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録媒体のインク吸収層には、上記以外の各種の添加剤を添加することが出来る。
中でもカチオン媒染剤は印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。
カチオン媒染剤としては第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。
好ましいポリマー媒染剤は上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
上記以外に、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたは非イオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
支持体上にインク吸収層を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体のインク吸収層を有する側と反対側にはカール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつきやインク転写を更に向上させるために種々の種類のバック層を設けることができる。
バック層の構成は支持体の種類や厚み、表側の構成や厚みによっても変わるが一般には親水性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。
また、バック層には他の記録媒体とのくっつき防止、筆記性改良、さらにはインクジェット記録装置内での搬送性改良のために表面を粗面化することが好ましい。この目的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機または無機の微粒子である。
これらのバック層は予め設けていても良く、本発明の塗布組成物を塗布した後で設けてもよい。
インク吸収層の塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。支持体としてポリオレフィン樹脂コート紙を使用する場合には、乾燥は概ね0〜80℃の範囲で乾燥することが好ましい。80℃を超えると、ポリオレフィン樹脂が軟化して搬送を困難にしたり記録層表面の光沢にムラが出たりする。好ましい乾燥温度は0〜60℃である。
本発明に係る記録媒体に用いられる支持体は、吸水性支持体と非吸水性支持体の何れも用いることができるが、プリント後に皺の発生が無く、平滑性に差が生ぜずに高品位のプリントが得られること、又、容易に光沢面を形成できることから非吸水性支持体が好ましい。
吸水性支持体としては、特に天然パルプを主体とした紙支持体が代表的であるが、合成パルプと天然パルプの混合物であってもよい。非吸水性支持体としては、プラスチック樹脂フィルム支持体又は紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。プラスチック樹脂フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは透明、又は半透明なものも使用できる。本発明で特に好ましい支持体は紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
以下、特に好ましい支持体である紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体について説明する。
支持体に用いられる紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKP(Lは広葉樹、Nは針葉樹、BKは硫酸塩晒し、BSは亜硫酸塩晒し、Pはパルプの略)の何れも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/又はLDPの比率は10〜70%が好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長がJIS P 8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分の和が30〜70%のものが好ましい。尚、4メッシュ残分は20%以下であることが好ましい。紙の坪量は50〜250gが好ましく、特に70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜210μmが好ましい。紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS P 8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては上記原紙中に添加できるのと同様のサイズ剤を使用できる。紙のpHはJIS P 8113で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
次に、紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂について説明する。この目的で用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン等が挙げられるが、プロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン類が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
以下、特に好ましいポリエチレンについて説明する。紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPE(直線状低密度ポリエチレン)やPP等も一部使用することができる。特に塗布層側のポリオレフィン層は、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをその中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して概ね1〜20%、好ましくは2〜15%である。ポリオレフィン層中には、白地の調整を行うための耐熱性の高い顔料や蛍光増白剤を添加することができる。
着色顔料としては、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアンブルー、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。蛍光増白剤としては、ジアルキルアミノクマリン、ビスジメチルアミノスチルベン、ビスメチルアミノスチルベン、4−アルコキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸−N−アルキルイミド、ビスベンズオキサゾリルエチレン、ジアルキルスチルベン等が挙げられる。
紙の表裏のポリエチレン(PE)の使用量は、インク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはポリエチレン層の厚さはインク吸収層側で15〜40μm、バック層側で10〜30μmの範囲である。表裏のPEの比率はインク吸収層の種類や厚さ、中紙の厚み等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏のPEの比率は厚みで概ね3/1〜1/3である。更に上記PEで被覆紙の支持体は以下(1)〜(7)の特性を有していることが好ましい。
(1)引っ張り強さは、JIS P 8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20kgであることが好ましい
(2)引き裂き強度は、JIS P 8116で規定される強度で縦方向が10〜300g、横方向が20〜400gが好ましい
(3)圧縮弾性率は、9.8×107Pa以上が好ましい
(4)不透明度は、JIS P 8138に規定された方法で測定した時に50%以上、特に85〜98%が好ましい
(5)白さは、JIS Z 8729で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい
(6)クラーク剛直度は、記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が20〜400cm3/100である支持体が好ましい
(7)原紙中の水分は、中紙に対して4〜10%が好ましい
次いで、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
一般に、インクジェット記録方法で使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式またはコンティニュアス方式が使用されており、また吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などが具体的な吐出方式として、広く使用されているが、本発明のインクジェット記録方法においては、吐出方式として、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)を用いた記録ヘッドを備えたインクジェットプリンターで、本発明の構成からなるインクを用いることにより、本発明のインクの効果、特に、高い吐出安定性を実現することができ好ましい。更に、より高い吐出安定性を達成する観点から、予備加熱と発砲加熱の2つの手段を組み合わせたダブルパルス方式により吐出を行うことが好ましい。
以下、ダブルパルス方式によるインクジェット記録方法について説明する。
電気−熱変換型インクジェット方式によるインク出射方法は、インクに熱エネルギーが付与されると、インク内に泡が発生し、この泡の発生によりインクを記録ヘッドの吐出口から吐出させる吐出エネルギーが生ずる。
図1は、インクジェット記録に用いるインクジェット記録装置の概略構成図である。
図1に示すインクジェット記録装置は、本発明のインクジェット記録方法を実施するための装置で、インクタンク1に装填されたインクは、インク流路2を通って記録ヘッド3に供給される。記録ヘッド3には、駆動回路4より記録信号が送られ、記録信号に応じて記録ヘッド3の吐出エネルギー発生手段(例えば、ヒーター)が駆動し、ヒーターを加熱して気泡を発生させ、インク液滴5を吐出して紙等の記録媒体6上に記録が行われる。
記録ヘッド3は、基板上に平行に並べられた壁と、液室を形成する壁が設けられている。更に、壁の上に天板が配置される。天板にはインク供給口が形成され、インク供給口より液室にインクが流入する。壁と壁の間は、インクが通るノズルとなっており、各ノズルの途中の基板上にはインクに記録信号に応じた熱エネルギーを付与するためのヒーターが設けられている。ヒーターからの熱エネルギーによりインクに泡が発生し、インクがノズルの吐出口から吐出する。
記録ヘッドは、通常、キャリッジに設置されて記録媒体に画像記録を行う。キャリッジは、一対の平行なガイドレールに沿って移動する。この移動に伴って所定のタイミングで記録ヘッドからインクの微小液滴が吐出し、画像記録が行われる。記録媒体は、搬送ローラにより下流方向に移動して順次記録が行われる。
本発明のインクジェット記録方法において、連続したインク出射によるインクジェット記録方法では、熱エネルギーの付与により記録媒体に発生した泡が膨張して所定の大きさになったところで吐出口を突き抜け外気と連通する。以下、この点について説明する。
図2は、電気−熱変換方式によるインク微小液滴の飛翔原理の一例を示す断面図である。
図2では、記録ヘッドに設けられた1本のノズルの断面で、図2のa)は、発泡前の状態を示す。ヒーター12に瞬間的に電流を流し、パルス的にヒーター12近傍のインク13を加熱すると、インク13は急速な沸騰を起こし勢いよく泡16が発生し、膨張を始める(図2のb)参照)。
泡16は膨張を続け、特にイナータンス(慣性)の小さい吐出口15側へ成長し、更に、吐出口15から突き抜け外気と連通する(図2のc)参照)。
泡16より吐出口15側のインク13は、この瞬間までに泡16から与えられた運動量のために前方へ飛び出し、やがて独立なインク液滴17となって紙などの記録媒体へ飛翔する(図2のd)参照)。インク3が飛び出した後、ノズル15先端部に生じた空隙には、後方のインク13の表面張力とノズル壁との濡れによって、新たなインク3が満たされ、吐出前の状態(図2のa))に戻る。
以上の様な基本的な機構により、インク液滴が出射される電気−熱変換型インクジェット用の記録ヘッドを用いる場合、従来のアントラピリドン系色素を用いた水溶性インクの場合、ヒーターにより急速に加熱された場合、ヒーター部でコゲーションの発生を生じやすく、その結果、連続出射を行った際に、吐出不良を引き起こす原因となっていた。
本発明のインクでは、前述のように、前記一般式(1)で表される染料と共に、有機溶剤量及びリチウムイオン含有量を特定の範囲に規定することにより、上記のような電気−熱変換型インクジェット用の記録ヘッドを用いた場合でも、コゲーション等の発生がなく安定した吐出を実現できたものである。
また、本発明のインクジェット記録方法においては、本発明のインクジェット用インクを、ダブルパルス方式で吐出することを特徴とする。
本発明でいうダブルパルス方式とは、上記図2で示す方法に従って、インク液内に泡を発生させて、インク液滴を吐出する発泡加熱と、発泡加熱の前に、泡を発生させない程度に予めインクを加熱する予備加熱とを組み合わせた方法であり、本発明のインクを用いたインクジェット記録方法にて、このダブルパルス方式を採用することにより、インクを急激に加熱することなく吐出を行うことができ、コゲーション等の低減がなされると共に、印字環境(例えば、外気温度)の影響を受けにくくなり、安定した吐出を実現することができる。
予備加熱も発泡加熱も、ノズル15内に設けられたヒーター12により行われる。つまり、ヒーター12にパルス状の電圧を印加することにより、予備加熱及び発泡加熱が行われる。
本発明において、予備加熱は、例えば、1つ以上のパルス(以下、予備加熱パルス)によって行われる。予備加熱パルスのパターンとしては、1)パルス幅の比較的長い1つのパルスで行うなう場合、2)予備加熱パルスを、電圧の異なる2つのパルスで行う場合、3)予備加熱パルスを、パルス幅の比較的短い複数のパルスで構成された場合等を挙げることができる。なお、発泡加熱は、通常、1つのパルスによって行われる(発泡加熱を行うパルスを、以下発泡加熱パルスという)。
このようにして、本発明において予備加熱及び発泡加熱は、一連の複数のパルスによって行われるが、このような一連の複数のパルスの最後の1つが発泡加熱パルスであり、発泡加熱以前のパルスが予備加熱パルスである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《マゼンタインクの調製》
〔マゼンタインクM1の調製〕
染料1 3.0質量%
エチレングリコール 10.0質量%
ジエチレングリコール 8.0質量%
グリセリン 7.0質量%
水で全量を100質量%に仕上げて、マゼンタインクM1を調製した。
〔マゼンタインクM2〜M22の調製〕
上記マゼンタインクM1の調製において、染料の種類及び添加量、有機溶媒量、当該有機溶剤中のイソプロピルアルコール量及びリチウムイオン濃度を、表1に記載のように変更した以外は同様にして、マゼンタインクM2〜M22を調製した。
なお、有機溶剤量の変更は、マゼンタインクM1の各溶剤と同一比率となるようにした、また、リチウムイオン濃度は、塩化リチウムを用いて適宜調整した。
Figure 2005307068
《記録媒体1の作製》
(シリカ分散液D1の調製)
予め均一に分散されている1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製:アエロジル200)を25質量%、水溶性蛍光増白剤UVITEXNFW LIQUID(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.3質量%含むシリカ分散液B1(pH=2.3、エタノール1質量%含有)の400Lを、カチオン性ポリマー(P−A)を12%、n−プロパノールを10質量%およびエタノールを2%含有する水溶液C1(pH=2.5、サンノブコ社製の消泡剤SN381を2g含有)の110Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで、ホウ酸とほう砂の1:1質量比の混合水溶液A1(各々、3質量%の濃度)の54Lを攪拌しながら徐々に添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで、3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D1を得た。
上記シリカ分散液D1を、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行った。
(シリカ分散液D2の調製)
上記シリカ分散液B1の400Lを、カチオン性ポリマー(P−2)を12質量%、n−プロパノール10質量%およびエタノールを2質量%含有する水溶液C2(pH=2.5)の120Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いで、上記混合水溶液A1の52Lを攪拌しながら徐々に添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D2を得た。
上記シリカ分散液D2を、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行った。
(オイル分散液の調製)
ジイソデシルフタレート20kgと酸化防止剤(AO−1)20kgとを45kgの酢酸エチルに加熱溶解し、酸処理ゼラチン8kg、カチオン性ポリマーP−1を2.9kgおよびサポニン10.5kgとを含有するゼラチン水溶液210Lと55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化分散した後、全量を純水で300Lに仕上げて、オイル分散液を調製した。
Figure 2005307068
(塗布液の調製)
上記調製した各分散液を使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合して、塗布液を調製した。なお、各添加量は塗布液1L当たりの量で表示した。
〈第1層用塗布液:最下層〉
シリカ分散液D1 580ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液
5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)
6.5%水溶液 290ml
オイル分散液 30ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製 AE803) 42ml
エタノール 8.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げた
〈第2層用塗布液〉
シリカ分散液D1 600ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液
5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)
6.5%水溶液 270ml
オイル分散液 20ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製:AE803) 22ml
エタノール 8ml
純水で全量を1000mlに仕上げた
〈第3層用塗布液〉
シリカ分散液D2 630ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液
5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)
6.5%水溶液 270ml
オイル分散液 10ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製 AE803) 5ml
エタノール 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げた
〈第4層用塗布液:表層〉
シリカ分散液D2 660ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液
5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)
6.5%水溶液 250ml
ベタイン型界面活性剤−1の4%水溶液 3ml
サポニンの25%水溶液 2ml
エタノール 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げた
なお、第4層におけるカチオン性ポリマー(P−2)と無機微粒子(アエロジル200)との質量比は、1:6.9である。
Figure 2005307068
上記の様にして調製した各塗布液を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。
(塗布)
次に、上記の各塗布液を下記に記載の湿潤膜厚となるよう、40℃で両面にポリエチレンを被覆した紙支持体1上に、スライドホッパー型コーターを用いて4層同時塗布した。
〈湿潤膜厚〉
第1層:42μm
第2層:39μm
第3層:44μm
第4層:38μm
なお、上記で使用した紙支持体1は、含水率が8%で、坪量が170gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを押し出し溶融塗布した。表面側は、コロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA235)を記録媒体1m2当たり0.05gになるように下引き層を塗布し、裏面側にはコロナ放電加工した後、Tgが約80℃のスチレン・アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1gおよび約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
なお、インク吸収層用塗布液の塗布を行った後の乾燥は、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させた後、複数設けた乾燥ゾーンの温度を適宜設定して乾燥を行った後、ロール状に巻き取って記録媒体1を得た。
《インクジェット画像記録》
上記調製した各マゼンタインクを専用のインクカートリッジの装填した後、インクジェットプリンターBJC−600J(キャノン社製、電気−熱変換方式)により、濃度約1.0のマゼンタのベタ画像及び幅0.3mmの細線画像を、上記作製した記録媒体1上に、連続150時間の印字を行った。
《各特性の評価》
〔吐出安定性の評価〕
連続150時間後の画像について目視観察し、下記の基準に従って吐出安定性の評価を行った。
◎:画像に全く濃度ムラやかすれが認められない
○〜◎:画像にほぼ濃度ムラやかすれが認められない
○:画像に僅かに濃度ムラ認められるが、全く問題のないレベルである
△:画像の一部で、斜め出射による弱い濃度ムラが認められるが、実用上許容の範囲にある
×:明らかに、画像にノズル欠や斜め出射に起因する強い濃度ムラやかすれが認められる
〔耐光性の評価〕
上記作成した濃度約1.0のマゼンタベタ画像を、キセノンフェードメーター(7万lux)にて64時間光照射させた。この光照射前及び光照射後の各反射濃度を光沢濃度計(X−Rite社製X−Rite938)の緑色単色光で測定し、下式に従い画像残存率を求め、下記基準に則り評価をおこなった。
画像残存率(%)=(光照射後の画像濃度/光照射前の画像濃度)×100
◎:画像残存率が95%以上
○〜◎:画像残存率が90%以上、95%未満
○:画像残存率が80%以上、90%未満
△:画像残存率が70%以上、80%未満
×:画像残存率が70%未満
〔オゾンガス耐性の評価〕
上記作成した濃度約1.0のマゼンタベタ画像を、23℃でオゾン濃度が50ppmの環境下に180分間曝露させた。この曝露前及び曝露後の各反射濃度を光沢濃度計(X−Rite社製X−Rite938)の緑色単色光で測定し、下式に従い画像残存率を求め、下記基準に則り評価をおこなった。
画像残存率(%)=(曝露後の画像濃度/曝露前の画像濃度)×100
◎:画像残存率が95%以上
○〜◎:画像残存率が90%以上、95%未満
○:画像残存率が80%以上、90%未満
△:画像残存率が70%以上、80%未満
×:画像残存率が70%未満
〔画像滲み耐性の評価〕
上記作成した約0.3mm幅の細線画像を、温度23℃、湿度80%の条件で1週間保存し、ラインの線幅をマイクロデンシトメーターで測定して線幅の広がり率(元の線幅に対する保存後の線幅の比率)を求め、以下の基準に従って評価した。
◎:線幅広がり率が、1.1未満
○:線幅広がり率が、1.1以上、1.2未満
△:線幅広がり率が、1.2以上、1.3未満
×:線幅広がり率が、1.3以上
〔耐水性の評価〕
ベタ画像を印字し、1時間放置した後に、150×10mmのサイズに断裁した試料を3枚作製し、その内2枚を試験に用い、残りの1枚は原状試験片として試験が終わるまで保管した。試験は以下の通り行う。イオン交換水の中に試験片2枚を8分間浸漬した後、原状試験片と水浸漬試験片とを目視比較し、下記の基準に従って耐水性の評価を行った。
◎:画像の濃度変化が全く認められない
○〜◎:画像の濃度変化がほぼ認められない
○:画像の濃度変化が僅かに認められる
△:画像の濃度変化が認められるが、実用上許容の範囲にある
×:画像の濃度が明らかに薄くなっている
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2005307068
表1に記載の結果より明らかなように、本発明に係る一般式(1)で表される染料及び一般式(2)で表される染料を含有し、有機溶剤含有量が10〜30質量%である本発明のマゼンタインクは、比較例に対し、吐出安定性に優れ、かつ形成した画像の耐光性、オゾンガス耐性、画像滲み耐性及び耐水性に優れていることが分かる。
実施例2
《インクセットの調製》
以下のイエローインク、マゼンタインク、シアンインクとの組み合わせで、インクセット1〜10を調製した。
〔インクセット1の調製〕
(イエローインクY1)
C.I.アシッドイエロー23 4.0質量%
エチレングリコール 10.0質量%
ジエチレングリコール 8.0質量%
グリセリン 7.0質量%
イソプロピルアルコール 3.0質量%
水で全量を100質量%に仕上げて、イエローインクY1を調製した。
(マゼンタインクM1)
実施例1に記載のマゼンタインクM1を使用。
(シアンインクC1)
C.I.ダイレクトブルー199 3.0質量%
エチレングリコール 10.0質量%
ジエチレングリコール 8.0質量%
グリセリン 7.0質量%
イソプロピルアルコール 3.0質量%
水で全量を100質量%に仕上げて、シアンインクC1を調製した。
〔インクセット2〜4の調製〕
上記インクセット1の調製において、マゼンタインクM1を、M2、M3、M8にそれぞれ変更した以外は同様にして、インクセット2〜4を調製した。
〔インクセット5の調製〕
上記調製したインクセット4の調製において、シアンインクC1を、下記のシアンインクC2に変更した以外は同様にして、インクセット5を調製した。
(シアンインクC2)
例示化合物C1 3.0質量%
エチレングリコール 10.0質量%
ジエチレングリコール 8.0質量%
グリセリン 7.0質量%
イソプロピルアルコール 3.0質量%
水で全量を100質量%に仕上げて、シアンインクC1を調製した。
〔インクセット6〜10の調製〕
上記インクセット5の調製において、マゼンタインクM8を、M13、M14、M19、M20にそれぞれ変更した以外は同様にして、インクセット6〜10を調製した。
《インクジェット画像記録》
上記調製した各インクセットを専用のインクカートリッジの装填した後、インクジェットプリンターBJC−600J(キャノン社製、電気−熱変換方式)により、濃度約1.0の各色ベタ画像及び下記の混色滲み評価用の画像を、実施例1に記載の記録媒体1上に、連続150時間の印字を行った。
《各特性の評価》
〔吐出安定性の評価〕
連続150時間後の画像について目視観察し、下記の基準に従って吐出安定性の評価を行った。
◎:マゼンタ画像を含めた全色画像で、濃度ムラやかすれが認められない
○〜◎:マゼンタ画像を含めた全色画像で、ほぼ濃度ムラやかすれが認められない
○:マゼンタ画像に、僅かに濃度ムラが認められるが、全く問題のないレベルである
△:マゼンタ画像の一部で、斜め出射による弱い濃度ムラが認められるが、実用上許容の範囲にある
×:明らかに、マゼンタ画像にノズル欠や斜め出射に起因する強い濃度ムラやかすれが認められる
〔耐光性バランスの評価〕
上記作成した各色の濃度約1.0のベタ画像を、キセノンフェードメーター(7万lux)にて64時間光照射させた。この光照射前及び光照射後の各色の反射濃度を光沢濃度計(X−Rite社製X−Rite938)で測定し、下式に従い画像残存率を求め、3色の画像残存率の中で、画像残存率の最大値と最小値との差ΔD1を求め、これを耐光性バランスの尺度とし、下記の基準に従って評価を行った。
画像残存率(%)=(光照射後の画像濃度/光照射前の画像濃度)×100
◎:ΔD1が5%未満である
○:ΔD1が5%以上、10%未満である
△:ΔD1が10%以上、20%未満である
×:ΔD1が20%以上である
〔オゾンガス耐性バランスの評価〕
上記作成した各色の濃度約1.0のベタ画像を、23℃でオゾン濃度が50ppmの環境下で180分間曝露させた。この曝露前及び曝露後の各色の反射濃度を光沢濃度計(X−Rite社製X−Rite938)で測定し、下式に従い画像残存率を求め、3色の画像残存率の中で、画像残存率の最大値と最小値との差ΔD2を求め、これをオゾンガス耐性バランスの尺度とし、下記の基準に従って評価を行った。
画像残存率(%)=(曝露後の画像濃度/曝露前の画像濃度)×100
◎:ΔD2が5%未満である
○:ΔD2が5%以上、10%未満である
△:ΔD2が10%以上、20%未満である
×:ΔD2が20%以上である
〔混色滲み耐性の評価〕
マゼンタインクでベタ画像を印字した後、そのマゼンタベタ画像上にシアン画像を線幅約1mm×10mmで重ね印字し、各色画像境界域での滲みの状態を、下記に記載の基準に則り目視観察を行い、混色滲み耐性の評価を行った。
◎:各色境界域での滲みが生じている割合が約5%未満である
○:各色境界域での滲みが生じている割合が約5%以上、15%未満である
△:各色境界域での滲みが生じている割合が約15%以上、30%未満である
×:各色境界域での滲みが生じている割合が30%以上である
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2005307068
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるマゼンタインクを含むインクセットは、比較例に対し、吐出安定性、耐光性並びにオゾンガス耐性のカラーバランスに優れ、かつ混色滲み耐性が向上していることが分かる。
更に、本発明のインクセットにおいて、シアン染料として前記一般式(3)で表される染料を用いることにより、混色滲み耐性がより向上していることが分かる。
実施例3
《記録媒体2の作製》
実施例1に記載の記録媒体1の作製において、気相法シリカ(日本アエロジル社製:アエロジル200)に代えて、塩化アルミニウムを気化させ、酸素、水素の存在下、高温で処理して得た比表面積130m2/gの気相法アルミナを用いた以外は同様にして、記録媒体2を作製した。
《インクジェット画像記録》
実施例1の画像1〜22の作成において、記録媒体1に代えて、上記作成した記録媒体2を用いた以外は同様にして、画像33〜54を作成し、実施例1に記載の方法と同等にして、耐光性、オゾンガス耐性、画像滲み耐性及び耐水性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
Figure 2005307068
表3に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるマゼンタインクを用いて、アルミナを含有する記録媒体を用いることにより、画像保存性(耐光性、オゾンガス耐性)が更に向上していることが分かる。
実施例4
実施例1で調製したマゼンタインク1〜22を用いて、記録媒体1上に、下記の吐出方法に従って吐出を行い、各マゼンタベタ画像を作成した。
〔吐出方法1:ダブルパルス方式〕
電気−熱変換方式のインクジェットプリンターを用いて、予備加熱と発泡加熱を、図3に記載のパターンで組み合わせたダブルパルス方式により画像印字した。
予備加熱パルスは、パルス幅0.6μsecのパルスを3.2μsecの間隔で5個連ねたものとした。発泡加熱パルスは、パルス幅4.0μsecの単一パルスとした。最後の予備加熱パルスと、発泡加熱パルスとの間隔は3.2μsecとした。パルス電圧は予備加熱パルス、発泡加熱パルス共に8.5Vとした。以上の予備加熱パルス及び発泡加熱パルスを、250μsecの繰り返し周期(駆動周波数4kHz)で駆動した。
〔吐出方法2:発泡加熱のみ〕
上記吐出方法1において、予備加熱を行わず、発泡加熱のみを行った以外は同様にし、これを吐出方法2とした。
《インクジェット画像の評価》
実施例1に記載の方法と同様にして、吐出安定性の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
Figure 2005307068
表4に記載の結果より明らかなように、本発明のマゼンタインクを用いたインクジェット記録方法において、予備加熱と発泡加熱を組み合わせたダブルパス方式を用いることにより、吐出安定性が更に向上していることが分かる。
インクジェット記録に用いるインクジェット記録装置の概略構成図である。 電気−熱変換方式によるインク微小液滴の飛翔原理の一例を示す断面図である。 実施例4の吐出方法2で印可する予備加熱パルス及び発泡加熱パルスを示す図である。
符号の説明
1 インクタンク
2 インク流路
3 記録ヘッド
4 駆動回路
5、17 インク液滴
6 記録媒体
10 ノズル
11 基板
12 ヒーター
13 インク
14 天板
15 吐出口
16 泡

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される染料と下記一般式(2)で表される染料とを含有し、有機溶剤含有量が10〜30質量%であることを特徴とする電気−熱変換型インクジェット用インク。
    Figure 2005307068
    〔式中、Rは水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノもしくはジアルキルアミノアルキル基、またはシアノ低級アルキル基を表し、Yは塩素原子、水酸基、アミノ基、モノもしくはジアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、またはモノもしくはジアルキルアミノアルキルアミノ基を表し、Xは架橋基を表す。Mは、水素原子、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩またはアンモニウム塩を表す。〕
    Figure 2005307068
    〔式中、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基または複素環チオ基を表す。R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。〕
  2. 前記有機溶剤として、沸点が60〜100℃の水溶性有機溶剤を1.0〜7.0質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の電気−熱変換型インクジェット用インク。
  3. 前記沸点が60〜100℃の水溶性有機溶剤が、炭素数が1〜3の1価アルコールであることを特徴とする請求項2に記載の電気−熱変換型インクジェット用インク。
  4. リチウムイオンを10〜2000ppm含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気−熱変換型インクジェット用インク。
  5. 少なくともイエロー染料インク、マゼンタ染料インク及びシアン染料インクとを有し、該マゼンタ染料インクが、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気−熱変換型インクジェット用インクであることを特徴とするインクセット。
  6. 前記シアン染料インクが、下記一般式(3)で表される染料を含有することを特徴とする請求項5に記載のインクセット。
    Figure 2005307068
    〔式中、X11〜X14はそれぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、−CONR12または−CO21を表す。Zはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。Y11〜Y18はそれぞれ独立に、一価の置換基を表す。a11〜a14は、それぞれX11〜X14の置換基数を表し、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2を表す。Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。〕
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気−熱変換型インクジェット用インクを、ダブルパルス方式で吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気−熱変換型インクジェット用インクを、少なくともアルミナを含有するインクジェット記録媒体に吐出して、印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
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