JP2014208777A - インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 - Google Patents

インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 Download PDF

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Abstract

【課題】
発色性に優れ、着色剤の濃度変化による彩度の変化が少ないインク組成物、これを用いるインクジェット記録方法、及び該インク組成物により着色された着色体の提供。
【解決手段】
第1の着色剤としてC.I.ピグメントレッド48:1、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインク組成物であって、さらに第2の着色剤としてC.I.ピグメントレッド122、146、及び150よりなる群から選択される、少なくとも1種類を含有するインク組成物により、上記の課題を解決できた。
【選択図】なし

Description

本発明はインク組成物、インクジェット記録方法及び着色体に関する。
インクジェットプリンタを用いるインクジェット記録方法は、インクの小液滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため音の発生が少なく静かである。また小型化、高速化が容易という特長のため近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
インクジェット記録方法における高画質化の手段のひとつとして、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本色の他に、レッド、グリーン、ブルーなどのいわゆる特色インクを使用することが提案されている。近年、このような特色インクについても基本色のインクと同様に、これまで以上に得られる画像の発色性や鮮明性等を向上することが要求されている。
また、インクジェット記録においては、近年、これを利用する消費者の中でエコプリント等と呼ばれる、インクを節約して記録を行おうとする動きがある。これは、通常のプリンタ設定で記録を行ったときのインクの消費量を100%とし、それにより得られた記録画像の目視による印象を、インクの消費量を削減しつつ、再現しようとする記録方法である。この方法は、手動で設定することもできるし、各種のアプリケーションとして入手することもできる。
このような記録を行うと、通常のプリンタ設定で記録を行ったときと比較して、記録画像を形成する着色剤の量が減少するため、記録画像の発色性が重要となる。また、これに加えて、一般に着色剤の量の減少と、記録画像の彩度の低下は比例する関係にあるため、着色剤の量が減少しても、彩度の変化が少ないインクが強く要望されている。
そのような目的から、例えば特許文献1及び2には、複数の着色剤を含有するインク組成物が提案されている。
特表2011−526322号公報 特開2012−184334号公報
本発明は、発色性に優れ、着色剤の濃度変化による彩度の変化が少ないインク組成物、これを用いるインクジェット記録方法、及び該インク組成物により着色された着色体の提供を目的とする。
本発明者らは上記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、それぞれ特定の第1、及び第2の着色剤、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインク組成物により、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[12]に関する。
[1]
第1の着色剤としてC.I.ピグメントレッド48:1、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインク組成物であって、さらに第2の着色剤としてC.I.ピグメントレッド122、146、及び150よりなる群から選択される、少なくとも1種類を含有するインク組成物。
[2]
インク組成物が含有する着色剤の総質量中における、第1の着色剤と、第2の着色剤との含有比率が、質量基準で99:1〜60:40である上記[1]に記載のインク組成物。
[3]
前記水溶性有機溶剤が、少なくとも1種類の多価アルコールである上記[1]に記載のインク組成物。
[4]
上記インク組成物中における着色剤の平均粒径が、30nm〜300nmである上記[1]又は[2]に記載のインク組成物。
[5]
上記[1]乃至[4]に記載のインク組成物の液滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
[6]
前記被記録材が情報伝達用シートである上記[5]に記載のインクジェット記録方法。
[7]
前記情報伝達用シートが、多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである上記[6]に記載のインクジェット記録方法。
[8]
前記情報伝達用シートが、キャストコートされたラベル用紙である上記[6]に記載のインクジェット記録方法。
[9]
前記情報伝達用シートが、印刷用コート紙、又はアート紙である上記[6]に記載のインクジェット記録方法。
[10]
前記情報伝達用シートがコロナ放電処理、プラズマ処理及びフレーム処理から選択される表面改質処理を施した記録用メディアである上記[8]又は[9]に記載のインクジェット記録方法。
[11]
上記[1]乃至[4]に記載のインク組成物により着色された着色体。
[12]
上記[1]乃至[4]に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ。
本発明により、発色性に優れ、着色剤の濃度変化による彩度の変化が少ないインク組成物、これを用いるインクジェット記録方法、及び該インク組成物により着色された着色体が提供できた。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書においては実施例等も含めて、「%」及び「部数」については特に断りのない限り、いずれも質量基準で記載する。
また、本明細書において「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。
また、本明細書において「C.I.ピグメントレッド」は、以下「PR」と簡略化して記載する。
上記インク組成物は、第1及び第2の少なくとも2種類の着色剤を含有する。第1の着色剤はモノアゾ顔料として知られるPR48:1である。
第2の着色剤は、キナクリドン顔料として知られるPR122、いずれもモノアゾ顔料として知られるPR146及びPR150の3つの着色剤から選択される、少なくとも1種類の着色剤である。これら第2の着色剤は、1種類を選択するのが好ましい。これらの中では、PR122又はPR150が好ましい。
インク組成物の総質量中における、第1の着色剤と、第2の着色剤との含有比率は、質量基準で通常99:1〜60:40、好ましくは99:1〜80:20、より好ましくは99:1〜90:10、さらに好ましくは97:3〜93:7、特に好ましくは96:4〜94:6である。この範囲とすることにより、特に色相に優れた記録画像を与えることができる。
上記インク組成物は、特色であるレッドインクとして用いるのが好ましい。
上記インク組成物の総質量中における、着色剤の総含有量は、インク組成物の総質量に対して通常1〜30%、好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜7%である。
上記インク組成物が含有する有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が挙げられる。
その具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のC1−C3アルコール;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン等のエーテル化合物;アセトン等のケトン類;多価アルコール;及び酢酸;等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は1種類を使用してもよく、複数の種類を組み合わせてもよい。
上記の多価アルコールとしては、例えば1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等の、ヒドロキシ基を2つ又は3つ有する脂肪族C1−C6アルカノール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール又はジチオジグリコール等の、C2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、等のグリセリン類;等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
これらの中ではグリセリン類(好ましくはグリセリン)、C2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール(好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び1,2−プロピレングリコール)が好ましい。
上記インク組成物は、水溶性有機溶剤として、多価アルコールを少なくとも1種類含有するのが好ましい。多価アルコールを含有することにより、インク組成物の粘度を調整することが可能で、且つ乾燥防止の効果等も期待できる。
上記の水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物の総質量中、通常10〜60%、好ましくは10〜40%である。
上記インク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる目的で、pH5〜11が好ましく、pH7〜10がより好ましい。
インク組成物の表面張力としては、静的表面張力として好ましくは10〜36mN/mであり、より好ましくは20〜36mN/mである。
インク組成物の粘度としては通常で、3〜20mPa・s、好ましくは3〜10mPa・sである。
これらはいずれも25℃における測定値であり、インク組成物のpH及び表面張力は、後記するpH調整剤、界面活性剤等で適宜調整できる。
上記のインク組成物は、少なくとも上記の分散液、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、必要に応じインク調製剤を加えても良い。このインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合、本発明のインク組成物が含有する着色分散液中における金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)等の無機不純物の含有量は、少ないものを用いるのが好ましい。その無機不純物含有量の目安は、おおよそ着色剤の総質量に対して1質量%以下程度であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%でよい。無機不純物の少ない着色剤を製造する方法としては、例えばイオン交換樹脂で無機不純物を交換吸着する方法等で脱塩処理すればよい。
上記インク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、酸化防止剤及び/又は界面活性剤等があげられる。以下にこれらのインク調製剤について説明する。
防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
防腐剤の例としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系又は無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルTMGXL(S)やプロクセルTMXL−2(S)等が挙げられる。なお、本明細書において、上付きの「TM」は商標を意味する。
pH調整剤としては、調製されるインク組成物に悪影響を及ぼさずに、そのpHを上記の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等の無機塩基;等が挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム又はウラシル二酢酸ナトリウム等があげられる。
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール又はジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等があげられる。
水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えばスルホ化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物又はトリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン又はポリイミン等があげられる。
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。上記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類又は複素環類等が挙げられる。
界面活性剤の例としては、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の公知の界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学社製 商品名サーフィノールTM104PG50、105PG50、82、420、440、465、485、オルフィンTMSTG;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergitolTM15−S−7等);等が挙げられる。これらの中ではサーフィノールの各シリーズ(好ましくはサーフィノールTM104PG50、サーフィノールTM440、サーフィノールTM465)が好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。市販品として入手できるものの具体例としては、例えば、いずれもビックケミー社製の、BYK−347(ポリエーテル変性シロキサン);BYK−345、BYK−348(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン);等が挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。市販品として入手できるものの具体例としては、例えば、Zonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、Capstone FS−30、FS−31(DuPont社製);PF−151N、PF−154N(オムノバ社製);等が挙げられる。
上記のインク調製剤は、それぞれ単独もしくは混合して用いることができる。
上記インク組成物の調製方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。一例としては、以下の調製方法が挙げられる。
まず、上記インク組成物が含有する着色剤を、必要に応じて分散剤等を用いて水溶液中に分散し、着色分散液を得る。得られた着色分散液に、水溶性有機溶剤、及び必要に応じて上記インク調整剤を加えて混合することにより、上記インク組成物を調製することができる。
分散剤を使用するときは、分散剤の種類・酸価・分子量等を適宜選択し、着色剤の平均粒径を通常30nm〜300nm、好ましくは50nm〜200nm、より好ましくは60nm〜120nmとするのがよい。これによってインク組成物中における着色剤の分散安定性、及びインクジェット記録時における吐出安定性が優れるとともに、記録画像の印字濃度を高くすることができる。着色剤の平均粒径は、レーザ光散乱法を用いて測定できる。
着色剤を水に分散させる方法としては、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いる公知の方法が挙げられる。これらの中ではサンドミル(ビーズミル)が好ましい。サンドミルを用いた分散液の調製は、系の小さいビーズ(0.01mm〜1mm径)を使用し、ビーズの充填率を大きくすること等により、分散効率を高めた条件で分散液を調製することが望ましい。
また、分散液の調製後に、濾過及び/又は遠心分離等により、ビーズ等を除去するのと共に、目的とする平均粒径からのかい離が大きい粒子成分を除去することも好ましく行われる。
また、分散液の調製時に泡立ち等が生じるときは、これを抑える目的で、公知のシリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量添加しても良い。但し、消泡剤には、着色剤の分散や微粒子化を阻害するものもあり、分散や分散後の安定性に影響を及ぼさないものを適宜使用するのが好ましい。
上記の分散剤としては、例えば、リグニンスルホン酸、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等があげられる。
上記分散剤の分子量(MW)の範囲は特に限定されないが、3000〜50000の範囲が好ましく、より好ましくは7000〜25000の範囲である。
また、分散剤として市販の水溶性樹脂を使用しても良い。その具体例としては、例えば、いずれもジョンソンポリマー社製のジョンクリル62、ジョンクリル67、ジョンクリル68、ジョンクリル678等のスチレン−アクリル系樹脂;モビニールS−100A(ヘキスト合成社製の変性酢酸ビニル樹脂);ジュリマーAT−210(日本純薬(株)製のポリアクリル酸エステル共重合体);等が挙げられる。これらの中では、その分子内にカルボキシ基を含有する樹脂が好ましい。
上記インク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる目的で、pH5〜11が好ましく、pH7〜10がより好ましい。
インク組成物の表面張力としては、静的表面張力として好ましくは10〜36mN/mであり、より好ましくは20〜36mN/mである。
インク組成物の粘度としては通常で、3〜20mPa・s、好ましくは3〜10mPa・sである。
これらはいずれも25℃における測定値であり、インク組成物のpH及び表面張力は、後記するpH調整剤、界面活性剤等で適宜調整できる。
上記インクジェット記録方法としては、上記インク組成物の液滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法が挙げられる。
該記録方法は、公知のいずれの方式であっても良く、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等が挙げられる。
なお、上記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の着色剤濃度(着色剤の含有量)の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び無色透明のインクを用いることにより、着色剤の定着性を向上させる方式;等も含まれる。
前記着色体は、前記インク組成物又はそれを含むインクセットにより着色された物質を意味し、好ましくはインクジェットプリンタを用いるインクジェット記録方法によって着色された被記録材が挙げられる。該被記録材としては特に制限はないが、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。これらの中では、情報伝達用シートが好ましい。
情報伝達用シートは、インク受容層を有するものと、有しないものとに大別することができる。
インク受容層を有するものとしては、例えば、紙、合成紙、フィルム等を基材とし、これらにインク受容層を設けたものが挙げられる。インク受容層は、例えば前記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法;又は、多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に前記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。
インク受容層を有する情報伝達用シートは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙等と呼ばれる。その代表的な市販品の例としては、キヤノン(株)製 商品名:プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、光沢ゴールド及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン(株)製 商品名:写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード(株)製 商品名:アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製 商品名:画彩写真仕上げPro;等が挙げられる。
インク受容層を有しない情報伝達用シートとしては、グラビア印刷、オフセット印刷等の用途に用いられるコート紙、アート紙等の各種の用紙;ラベル印刷用途に用いられるキャストコート紙;等が挙げられる。
インク受容層を有しない情報伝達用シートを被記録材として用いるときは、着色剤の定着性等を向上させる目的で、被記録材に対して表面改質処理を施すことも好ましく行われる。
表面改質処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理及びフレーム処理から選択される、少なくとも1つの処理を施すことが好ましい。これらの処理については、公知のいずれの方法を用いても良い。また、これらの処理の効果は、経時的に減弱することが一般的に知られている。このため、情報伝達用シートに表面改質処理を施したときは、時間を置かずにインクジェット記録を連続して行うことが好ましい。
コロナ放電処理としては、接地された金属ロールと、それに数mmの間隔で置かれた針金状の電極との間に数千ボルトの高電圧を印可して、コロナ放電を発生させる方法が挙げられる。このコロナ放電中の電極−ロール間に、情報伝達用シートを配置し処理することにより、該シートの表面が親水化される。
プラズマ処理としては、情報伝達用シートをアルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素、二酸化窒素、酸素あるいは空気等を含む容器内におき、グロー放電により生ずるプラズマに曝すことにより、該シートの表面に酸素、窒素などを含む官能基を導入する方法が挙げられる。アルゴンやネオンなどの不活性ガスが低圧で存在する場合、発生したプラズマにより、該シートの表面にラジカルが発生すると考えられている。その後、空気に曝されることにより、該ラジカルが酸素と結合して、情報伝達用シートの表面にカルボン酸基やカルボニル基、アミノ基などが導入されると考えられている。
フレーム処理は火炎処理ともいい、例えば、情報伝達用シートの表面にバーナー等から噴射したガス酸化炎等を吹きかけて、該シートの表面を酸化することにより親水性を向上させる方法が挙げられる。
前記表面改質処理は、所望の効果が得られるように処理の回数;処理の時間;及び、印可する電圧;等を適宜調整して行うことも可能である。
上記インクジェット記録方法で被記録材に記録するときは、例えば、上記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、上記の記録方法で被記録材に記録すればよい。
上記インクジェット記録方法は、本発明のインク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、ブラック、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びオレンジ等の各色のインク組成物とを併用することもできる。
各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器をインクジェットプリンタのそれぞれの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
本発明のインク組成物を用いることで、印字濃度、及び彩度がいずれも高い記録画像が得られ、視覚的にも濃度感があり、鮮明で色域の広い非記録物を得ることができる。
さらに、擦過性、耐水性、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えばオゾンガス)性などの各種堅牢性に優れた画像を得ることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[調製例1]
冷却管を取付けた3口フラスコにジョンクリル67(25部)、トリエタノールアミン(14.2部)、及びイオン交換水(60.8部)を加え、150rpmで攪拌しながら90℃に昇温して溶液とし、ジョンクリル67を25%含有する水溶液を得た。
[調製例2]:レッド分散液の調製(1)。
ジョンクリル67を25%含有する水溶液に、着色剤としてC.I.ピグメントレッド122(クラリアント社製Inkjet
Magenta E02VP2621)を用い、下記表1に記載した各成分を混合し、サンドグラインダーで1500rpmの条件下、15時間分散処理を行った。得られた液をイオン交換水で希釈し、分散用ビーズを濾過分離した後、着色剤の含有量が15%になるようにイオン交換水で調整してレッド分散液を調製した。この分散液を「分散液1」とする。
なお、下記表1及び表2中、成分の量を示す数値はいずれも「部」数であり、「−」を記載したものは、その成分を含まないことを意味する。また、「オルフィン SK−14」は消泡剤であり、濾過により除去されるため各実施例及び比較例のインク組成物中には含有されない。
[調製例3〜5]:レッド分散液の調製(2)〜(4)。
下記表1に記載の各成分とその使用量に変更する以外は、調製例1と同様にして、分散液2〜4を得た。
なお、各分散液は、含有する着色剤の総質量が、いずれも15%となるように調製した。
Figure 2014208777
[実施例1〜3]:インクの調製。
下記表2に記載の各成分を混合した後、3μmのメンブランフィルターで夾雑物を濾別し、評価試験用のインク組成物を得た。
なお、下記表2中では便宜のため、各分散液が含有する着色剤を括弧書きの中に記載した。
Figure 2014208777
[インクジェット記録]
上記の実施例で得た各インク組成物を、セイコーエプソン社製インクジェットプリンタ、商品名 PX101のマゼンタカートリッジにそれぞれ充填し、セイコーエプソン製 写真用紙クリスピア<高光沢>にインクジェット記録を行い、100%Dutyのベタ印字された記録画像を得た。得られた記録画像を試験片とし、下記する発色性(印字濃度)の評価試験を行った。
[記録画像の測色]
各試験片の測色は、X−rite社製の測色機、商品名 SpectroEyeを用いて行った。測色条件は、いずれも濃度基準にDIN NB、視野角2°、光源Abs Cである。
[発色性試験]
上記測色システムを用いて各試験片のDm値を測色し、以下2段階の評価基準で評価した。結果を下記表3に示す。なお、得られたDm値は大きい方が、発色性に優れる。結果を下記表3に示す。
A:Dm値が1.50以上
C:Dm値が1.50未満
Figure 2014208777
上記の結果から明らかなように、本発明のインク組成物は、レッドインクとして極めて発色性に優れることが確認された。
[調製例6]:レッド分散液の調製(5)。
国際公開2013/115071号の合成例3に記載のブロック共重合体を調製し、得られた高分子分散剤6部を2−ブタノン30部に溶解させ、均一な溶液とした。この液に、0.44部の水酸化ナトリウムを41部のイオン交換水に溶解させた液を加え、1時間攪拌して乳化溶液を調製した。この時、固体の析出はなかった。これにC.I.Pigment Red 48:1を20部加え、サンドグラインダーで、1500rpmの条件下で15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水100部を滴下し、ろ過して分散用ビーズを濾過分離することにより液を得た。エバポレータで、得られた液から2−ブタノン及び水を減圧留去した後、顔料の固形分(顔料の含有量)が12%の分散液を得た。
分散液中の固形分の測定には、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS−70を用いて、乾燥重量法により求めた。得られた分散液のpHは9.3、平均粒子径は107nmであった。得られた着色分散液を、「分散液5」とする。
[調製例7及び8]:レッド分散液の調製(6)及び(7)。
上記調整例6に記載のC.I.Pigment Red 48:1の代わりに、C.I.Pigment Red 146、及びC.I.Pigment Red 122を用いる以外は調製例6と同様にして、分散液6及び7をそれぞれ得た。
分散液6のpHは8.7、平均粒子径は126nm、分散液7のpHは8.9、平均粒子径は120nmであった。必要に応じてイオン交換水を用いて、各分散液中の顔料の含有量を12%に調整した。
[実施例4〜7]:インクの調製。
下記表4に記載の各成分を混合した後、3μmのメンブランフィルターで夾雑物を濾別し、評価試験用のインク組成物を得た。
[比較例1及び2]:比較用インクの調製。
下記表4中に記載の各成分を混合した後、3μmのメンブランフィルターで夾雑物を濾別し、比較用のインク組成物を得た。
下記表4中、各成分の数値は部数を意味する。また、各分散液が含有する着色剤を括弧書きの中に記載した。
Figure 2014208777
[インクジェット記録(2)]
上記のようにして得られた各実施例、及び比較例のインク組成物を、セイコーエプソン社製インクジェットプリンタ、商品名PX205のマゼンタカートリッジにそれぞれ充填し、Xerox社製の普通紙Xerox4024にインクジェット記録を行い、100%Dutyと85%Dutyのベタ記録画像をそれぞれ得た。
得られた記録画像を試験片として、下記する彩度変化試験を行った。
[彩度変化試験]
上記の測色システムを用いて各試験の彩度(C*)を測色し、100%Duty部と85%Duty部の変化の値(ΔC*)を求めた。評価は下記の5段階で、彩度の変化の値(ΔC*)が小さいほど、着色剤の濃度を変えて記録しても、鮮やかさを示す指標である彩度が低下しないことを示し、記録画像の性能が優れる。なお、彩度変化は目視でも確認が可能であり、下記の基準でC以上、好ましくはB以上であれば実用性を有する。
結果を下記表5に示す。
[彩度変化試験の評価基準]
A:ΔC*が4.0未満。
B:ΔC*が4.0以上4.5未満。
C:ΔC*が4.5以上5.0未満。
D:ΔC*が5.0以上5.5未満。
E:ΔC*が5.5以上。
Figure 2014208777
表5の結果から明らかなように、各実施例のインク組成物は着色剤の濃度変化による彩度の変化が少ない、実用性のある記録画像を与えることが確認された。
本発明のインク組成物は、極めて発色性の高い記録画像を与えることができるため、インクジェット記録用インク組成物として極めて有用である。

Claims (12)

  1. 第1の着色剤としてC.I.ピグメントレッド48:1、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインク組成物であって、さらに第2の着色剤としてC.I.ピグメントレッド122、146、及び150よりなる群から選択される、少なくとも1種類を含有するインク組成物。
  2. インク組成物が含有する着色剤の総質量中における、第1の着色剤と、第2の着色剤との含有比率が、質量基準で99:1〜60:40である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記水溶性有機溶剤が、少なくとも1種類の多価アルコールである請求項1に記載のインク組成物。
  4. 上記インク組成物中における着色剤の平均粒径が、30nm〜300nm以下である請求項1又は2に記載のインク組成物。
  5. 請求項1乃至4に記載のインク組成物の液滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
  6. 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記情報伝達用シートが、多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記情報伝達用シートが、キャストコートされたラベル用紙である請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記情報伝達用シートが、印刷用コート紙、又はアート紙である請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記情報伝達用シートがコロナ放電処理、プラズマ処理及びフレーム処理から選択される表面改質処理を施した記録用メディアである請求項8又は9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 請求項1乃至4に記載のインク組成物により着色された着色体。
  12. 請求項1乃至4に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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