JPWO2010061587A1 - アントラピリドン化合物又はその塩、マゼンタインク組成物及び着色体 - Google Patents

アントラピリドン化合物又はその塩、マゼンタインク組成物及び着色体 Download PDF

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Abstract

水に対する溶解性が高く、インクジェット記録に適する色相及び鮮明性を有し、且つ記録物の耐光性、耐ガス性等の堅牢性に優れたマゼンタ色素(アントラピリドン化合物又はその塩)及びそれを含有するインク組成物を提供する。該アントラピリドン化合物は、下記式(1)で表される。なお、式中、Xは複素芳香環を表し、R1は水素原子等を表し、R2は水素原子、アルキル基等を表し、R4乃至R6は、いずれか1つ又は2つが、スルホ基及びカルボキシ基から任意に選択される基を表すとともに、残りが水素原子等を表し、a乃至eは、R4乃至R6の置換位置を表す。

Description

本発明は新規なアントラピリドン化合物又はその塩、アントラピリドン化合物を含有するマゼンタインク組成物、及びこの組成物等により着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法において、インクの各種吐出方式が開発されているが、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。これは、記録ヘッドと被記録材とが接触しないため、音の発生がなく静かであり、また小型化、高速化、カラー化が容易という特長を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。また、これらの水性インクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、形成される画像には、耐水性、耐光性、耐湿性等の各種堅牢性が求められている。
一方、コンピュータのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタによりカラーで記録するには、一般にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色で表現される。CRTディスプレイ等のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を減法混色画像で出きるだけ忠実に再現するには、Y、M、Cのそれぞれが、それぞれの標準に出来るだけ近い色相を有し且つ鮮明であることが望まれる。また、インク組成物は長期の保存に対し安定であり、プリントした画像の濃度が高く、しかも耐水性、耐光性、耐ガス性等の各種堅牢性に優れていることが求められている。
インクジェットプリンタの用途はOA用小型プリンタから産業用の大型プリンタにまで拡大されてきており、耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の各種堅牢性がこれまで以上に求められている。
耐水性については、多孔質シリカ、カチオン系ポリマー、アルミナゾル、特殊セラミック等のインク中の色素を吸着し得る無機微粒子をPVA樹脂等とともに被記録材の表面にコーティングすることにより、大幅に改良されてきている。
耐湿性とは、着色された被記録材を高湿度の雰囲気下に保存した際に、被記録材中の色素が滲んでくるという現象に対する耐性のことである。色素の滲みがあると、特に写真調の高精細な画質を求められる画像においては著しく画像品位が低下するため、このような滲みを出来るだけ少なくすることが重要である。
耐光性については、大幅に改良する技術は未だ確立されておらず、特にY、M、C、Kの4原色のうちマゼンタの色素はもともと耐光性が弱いものが多く、その改良が重要な課題となっている。
また、最近のデジタルカメラの浸透とともに、家庭でも写真画質でのインクジェット記録をする機会が増しており、得られた記録物の保管時における、空気中の酸化性ガスによる画像の変退色も問題視されている。この酸化性ガスは、被記録材上又は被記録材中で色素と反応し、記録された画像を変退色させる。酸化性ガスの中でも、オゾンガスはインクジェット記録画像の変退色現象を促進させる主要な原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上も重要な課題となっている。
インクジェット記録用水性インクに用いられているマゼンタ色素としては、キサンテン系色素とH酸を用いたアゾ系色素とが代表的である。しかし、キサンテン系色素については、色相及び鮮明性は非常に優れるが、耐光性が非常に劣る。一方、H酸を用いたアゾ系色素については、色相及び耐水性の点では良いものがあるが、耐光性、耐ガス性、及び鮮明性が劣る。このアゾ系色素としては鮮明性及び耐光性の優れたものも開発されているが、銅フタロシアニン系色素に代表されるシアン色素やイエロー色素等の他の色相の色素に比べ耐光性が依然として劣る水準である。
鮮明性及び耐光性の優れるマゼンタ色素としてはアントラピリドン系色素(例えば、特許文献1〜12参照)があるが、色相、鮮明性、耐光性、耐水性、耐ガス性、溶液安定性の全てを満足させるものは得られていない。
特開平10−306221号公報(1−3頁、7−18頁) 特開2000−109464号公報(1−2頁、8−12頁) 特開2000−169776号公報(1−2頁、6−9頁) 特開2000−191660号公報(1−3頁、11−14頁) 特開2000−256587号公報(1−3頁、7−18頁) 特開2001−72884号公報(1−2頁、8−11頁) 特開2001−139836号公報(1−2頁、7−12頁) 国際公開第2004/104108号パンフレット(20−36頁) 特開2003−192930号公報(1−4頁、15−18頁) 特開2005−8868号公報(1−3頁、15−22頁) 特開2005−314514号公報(1−3頁、15−20頁) 国際公開第2006/075706号パンフレット
本発明は水に対する溶解性が高く、インクジェット記録に適する色相及び鮮明性を有し、且つ記録物の耐光性、耐ガス性等の各種堅牢性のバランスに優れたマゼンタ色素(化合物)及びそれを含有するインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定の下記式(1)で表されるアントラピリドン化合物が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1)
下記式(1)で表されるアントラピリドン化合物又はその塩、
Figure 2010061587
[式(1)中、
Xは複素芳香環を表し、
は、水素原子、カルボキシ基、スルホ基、フェニル基、アルキル基、アルコキシ基、又はヒドロキシ基を表し、
は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、モノ若しくはジアルキルアミノアルキル基、又はシアノアルキル基を表し、
乃至Rは、いずれか1つ又は2つが、スルホ基及びカルボキシ基から任意に選択される基を表すとともに、残りが水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、及びアルコキシ基よりなる群から任意に選択される基を表し、
a乃至eは、R乃至Rの置換位置を表す。]
2)
Xにおける複素芳香環が5員又は6員環の複素芳香環である、上記1)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
3)
Xにおける複素芳香環が環構成原子として窒素原子を1個又は2個含む、5員又は6員環の含窒素複素芳香環である、上記1)又は2)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
4)
が水素原子又はC1−C4アルキル基である、上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
5)
下記式(2)で表される上記1)乃至4)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
Figure 2010061587
[式(2)中、R、R、R乃至R、a乃至eは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
6)
が水素原子、スルホ基、又はアルキル基である、上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
7)
が水素原子である、上記1)乃至6)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
8)
乃至Rのいずれか1つ又は2つがスルホ基であり、残りが水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基よりなる群から任意に選択される基である、上記1)乃至7)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
9)
乃至Rのいずれか1つ又は2つがスルホ基であり、残りが水素原子である、上記1)乃至8)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
10)
乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である、上記1)乃至9)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
11)
Xがピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、フラン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、又はイミダゾール環であり、
が水素原子であり、
が水素原子又はC1−C4アルキル基であり、
乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である、上記1)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
12)
Xがピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、又はピリミジン環であり、
が水素原子であり、
が水素原子又はC1−C4アルキル基であり、
乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である、上記1)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
13)
Xがピリジン環であり、
が水素原子であり、
が水素原子又はC1−C4アルキル基であり、
乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である、上記1)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
14)
上記1)乃至13)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を含有するインク組成物、
15)
水及び水溶性有機溶剤をさらに含有する、上記14)に記載のインク組成物、
16)
インク組成物中に色素として含有する上記1)乃至13)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩の総質量に対して、該化合物又はその塩中の無機不純物の含有量が1質量%以下である、上記14)又は15)に記載のインク組成物、
17)
インク組成物中に色素として含有する上記1)乃至12)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩の含有量が、インク組成物の総質量に対して、0.1〜20質量%である、上記14)乃至16)のいずれか一項に記載のインク組成物、
18)
インクジェット記録用である、上記14)乃至17)のいずれか一項に記載のインク組成物、
19)
上記14)乃至18)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして使用し、該インクの小滴を記録信号に応じて吐出し、被記録材に付着させて記録を行うインクジェット記録方法、
20)
上記被記録材が情報伝達用シートである、上記19)に記載のインクジェット記録方法、
21)
上記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有したインク受容層を有するシートである、上記20)に記載のインクジェット記録方法、
22)
上記14)乃至18)のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体、
23)
着色がインクジェットプリンタによりなされた、上記22)に記載の着色体、
24)
上記14)乃至18)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
本発明の上記式(1)で表されるアントラピリドン化合物又はその塩は、インクジェット記録紙上で非常に鮮明性の高い色相であり、水溶解性に優れ、インク組成物製造過程でのメンブランフィルタに対する濾過性が良好であるという特徴を有する。また、この化合物を含有する本発明のインク組成物は、長期間保存後の固体析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。そして、本発明のアントラピリドン化合物又はその塩をインクジェット記録用のマゼンタインクとして使用した記録物は、被記録材(紙、フィルム等)を選択することなく鮮明性の高いマゼンタの色相である。さらに、本発明のマゼンタインク組成物は、写真調のカラー画像の色相を紙の上に忠実に再現させることも可能である。また、写真画質用インクジェット専用紙(フィルム)のような、多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録しても各種堅牢性、特に耐光性及び耐オゾンガス性のバランスが良好であり、写真調の記録画像の長期保存安定性に優れている。したがって、上記式(1)で表されるアントラピリドン化合物又はその塩は、インクジェット記録用のインク色素として極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。本発明のアントラピリドン化合物又はその塩は水溶性の色素である。本明細書においては、「本発明のアントラピリドン化合物又はその塩」の両者を含めて、便宜上、「本発明のアントラピリドン化合物」と簡略して記載する。
なお、本明細書においては、特に断りがない限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基についても、その塩を含めて便宜上、遊離酸の形で表す。
本発明の化合物は、上記式(1)で表される。
上記式(1)中、Xは複素芳香環を表す。該複素芳香環としては、5員又は6員環の複素芳香環が挙げられる。
また、該複素芳香環は、ベンゼン環が1つ縮環して2環の構造であってもよいが、縮環していない単環のものが好ましい。
複素芳香環の具体例としては、ピロール等の窒素原子を1個含む5員含窒素複素芳香環;ピラゾール、イミダゾール等の窒素原子を2個含む5員含窒素複素芳香環;ピリジン等の窒素原子を1個含む6員含窒素複素芳香環;ピラジン、ピリダジン、ピリミジン等の窒素原子を2個含む6員含窒素複素芳香環;フラン等の酸素原子を1個含む含酸素複素芳香環;チアゾール等の2種以上の複素原子を2個含む複素芳香環;ベンゾチアゾール等の、上記の単環の複素芳香環にベンゼン環が1つ縮環したもの;等が挙げられる。
上記の複素芳香環の中でも、環構成原子として窒素原子を1個又は2個含む、5員又は6員環の含窒素複素芳香環が好ましく、窒素原子を1個又は2個含む6員環の含窒素複素芳香環がより好ましく、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンがさらに好ましく、ピリジンが特に好ましい。
なお、Xは、R及び隣接するカルボニルとの結合手を1つずつ有するが、これらの結合手はXにおける炭素原子が有し、複素原子が有することはない。
上記式(1)中、Rにおけるアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖が好ましい。炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、t−ブチル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
におけるアルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖が好ましい。炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4である。具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
としては、水素原子、スルホ基、又はアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記式(1)中、Rにおけるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状のものが挙げられ、好ましくは直鎖又は分岐鎖であり、より好ましくは直鎖である。炭素数としては、通常C1−C10、好ましくはC1−C6、より好ましくはC1−C4である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル等の分岐鎖のもの;シクロプロピル、シクロヘキシル等の環状のもの;等が挙げられる。
におけるヒドロキシアルキル基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖が好ましい。炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC2−C4である。具体例としては、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル等の直鎖のもの;2−ヒドロキシ−1,2−ジメチルエチル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
におけるモノアルキルアミノアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖が好ましい。炭素数としては、通常モノC1−C10アルキルアミノC1−C10アルキル基、好ましくはモノC1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル基、より好ましくはモノC1−C4アルキルアミノC1−C4アルキル基である。具体例としては、メチルアミノプロピル、エチルアミノプロピル等が挙げられる。
におけるジアルキルアミノアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖が好ましい。炭素数としては、通常ジC1−C10アルキルアミノC1−C10アルキル基、好ましくはジC1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル基、より好ましくはジC1−C4アルキルアミノC1−C4アルキル基である。具体例としては、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
におけるシアノアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖が好ましい。炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4である。具体例としては、シアノエチル、シアノプロピル、シアノブチル、シアノペンチル、シアノヘキシル等が挙げられる。
上記のうち、Rとしては水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子又はC1−C4アルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましい。特に好ましくはメチル基である。
上記式(1)中、R乃至Rは、いずれか1つ又は2つが、スルホ基及びカルボキシ基から任意に選択される基であり、残りが水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、及びアルコキシ基よりなる群から任意に選択される基を表す。
乃至Rにおけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
乃至Rにおけるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状のものが挙げられ、好ましくは直鎖又は分岐鎖であり、より好ましくは直鎖である。炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4である。
具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等の直鎖のもの;イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル等の分岐鎖のもの;シクロヘキシル等の環状のもの;等が挙げられる。
乃至Rにおけるアルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、好ましくは直鎖である。炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4である。具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
乃至Rとしては、いずれか1つ又は2つがスルホ基及びカルボキシ基から任意に選択される基であり、スルホ基であるのが好ましく、残りは水素原子であるのが好ましい。
上記式(1)中、R乃至Rの置換位置は、a乃至eのいずれでもよい。
乃至Rのいずれか1つがスルホ基又はカルボキシ基である場合、これらの基の置換位置は、a若しくはcが好ましく、cがより好ましい。
乃至Rのいずれか2つがスルホ基及びカルボキシ基より選択される任意の基である場合、これらの基の置換位置は、a及びcが好ましい。
上記式(1)で表される本発明のアントラピリドン化合物のうち、好ましいものが上記式(2)で表される化合物である。
上記式(2)中、R、R、R乃至R、a乃至eは、上記式(1)におけるのと、好ましいもの等を含めて同じ意味を表す。
上記式(2)中、結合位置が特定されていないピリジン環と隣接するカルボニル基との結合位置は、ピリジン環の窒素原子を1位として、2位、3位、及び4位のいずれでもよいが、3位又は4位が好ましく、4位がより好ましい。
一方、結合位置が特定されていないRの置換位置は特に制限されない。
上記式(1)及び式(2)におけるR、R、R乃至R、a乃至eについて、好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせた化合物はさらに好ましい。さらに好ましいもの同士、特に好ましいもの同士等についても同様である。
上記式(1)における好ましい組み合わせの具体例としては、Xがピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、フラン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、又はイミダゾール環であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はC1−C4アルキル基であり、R乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である組み合わせである。
また、より好ましい組み合わせの具体例としては、Xがピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、又はピリミジン環であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はC1−C4アルキル基であり、R乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である組み合わせである。
また、さらに好ましい組み合わせの具体例としては、Xがピリジン環であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はC1−C4アルキル基であり、R乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又は、R乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である組み合わせである。この組み合わせにおいて、RがC1−C4アルキル基のときが最も好ましい。
上記式(1)で表される化合物の塩は、無機又は有機の陽イオンとの塩である。そのうち無機塩の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩、及びアンモニウム塩である。また、有機の陽イオンの塩としては、例えば下記式(3)で表される4級アンモニウム化合物との塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、遊離酸、及びそれらの各種の塩が混合物であってもよい。例えば、ナトリウム塩とアンモニウム塩との混合物、遊離酸とナトリウム塩との混合物、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混合物など、いずれの組み合わせを用いてもよい。塩の種類によって溶解性等の物性値が異なる場合もあり、必要に応じて適宜塩の種類を選択すること、複数の塩等を含む場合にはその比率を変化させることにより目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
Figure 2010061587
[式(3)中、Z〜Zはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はヒドロキシアルコキシアルキル基を表し、少なくとも1つは水素原子以外の基である。]
式(3)のZ〜Zにおけるアルキル基の例としては、メチル、エチル等が挙げられ、ヒドロキシアルキル基の例としては、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等が挙げられ、ヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等が挙げられる。
これらのうち好ましいものとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンの各塩、及びアンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいものは、リチウム、アンモニウム、及びナトリウムの塩である。
当業者においては明らかなように、上記式(1)で表される化合物の塩は以下の方法等により容易に得ることができる。
例えば、式(1)で表される化合物を含む反応液、あるいはウェットケーキ又は乾燥状態の色素等を溶解した水溶液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過することにより、上記式(1)で表される化合物のナトリウム塩をウェットケーキとして得ることができる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキを水に溶解後、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜調整し、析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)で表される化合物の遊離酸、あるいは式(1)で表される化合物の一部がナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩との混合物を得ることもできる。
さらに、式(1)で表される化合物の遊離酸のウェットケーキを水とともに撹拌しながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、又は上記式(3)で表される化合物の水酸化物等を添加してアルカリ性にすれば、各々相当するカリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、又は4級アンモニウム塩を得ることもできる。遊離酸のモル数に対して、加える上記の塩のモル数を制限することにより、例えばリチウム塩とナトリウム塩との混塩、さらにはリチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混塩等も調製することが可能である。上記式(1)で表される化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能が変化する場合もある。このため、目的とするインク性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
本発明の式(1)で表されるアントラピリドン化合物の具体例を下記表1に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、式(1)中の置換位置が特定されていないR乃至Rについては、その具体例とともに、a乃至eで表される置換位置を併せて記載した。
Figure 2010061587
本発明のアントラピリドン化合物は、例えば次の方法により製造される。なお、下記式(4)中、X、R、R、R乃至R、a乃至eは、いずれも上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
上記式(1)で表されるアントラピリドン化合物は、例えば次のようにして得られる。
すなわち、特公平7−45629号公報等に記載の公知の方法に準じて得られる、あらかじめR乃至Rが導入された下記式(4)で表されるアントラキノン化合物1モルと、R−X−C(O)CHCOORで表されるβ−ケトエステル誘導体(式中、Rは直鎖C1−C4アルキル基、好ましくはメチル又はエチルを表す。)1.1〜3モルとを、キシレン等の極性溶媒中、炭酸ナトリウム等の塩基性化合物の存在下、130〜180℃、5〜15時間反応させることにより、目的とする上記式(1)で表される化合物を得ることができる。
Figure 2010061587
一方、R乃至Rのいずれか1又は2つがスルホ基である上記式(1)で表される化合物については、上記式(4)におけるR乃至Rのうち、1つ又は3つが水素原子である化合物を合成し、上記と同様にしてR−X−C(O)CHCOORで表されるβ−ケトエステル誘導体と反応させた後、得られた化合物を8〜15%発煙硫酸中で、50〜120℃でスルホ化することにより、目的とするスルホ化された上記式(1)で表される化合物を得ることもできる。
本発明の化合物はマゼンタ色素として、天然及び合成繊維材料又は混紡品の染色に用いることが可能であり、さらにこれらの化合物は、筆記用インク及び、特にインクジェット記録用インク組成物の製造に適している。
上記式(1)で表される化合物は、インク組成物に含有させる色素として使用する場合、色素の総量中に含有される金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物、すなわち「無機不純物」の含有量の少ないものを用いるのが好ましい。その含有量の目安は例えば1質量%以下程度であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%でよい。無機不純物の少ない色素を製造するには、例えばそれ自体公知の逆浸透膜による方法で脱塩処理すればよい。また、本発明の化合物又はその塩の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のC1−C4アルコール及び水の混合溶媒中で撹拌して懸濁精製し、固体を濾過分離し、乾燥する等の方法で脱塩処理することもできる。
本発明のインク組成物は、上記式(1)で表される化合物を水又は水性溶媒(後記する水溶性有機溶剤を含有する水)に溶解したものであるが、本発明の式(1)で表される化合物を含む反応液は、インク組成物の製造に直接使用することができる。また、反応液から該化合物を例えば晶析、スプレー乾燥等の方法により単離した後、必要に応じて乾燥し、得られた該化合物を使用してインク組成物を調製することもできる。本発明のインク組成物は、本発明の化合物を該インク組成物の総質量中に、色素として通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%含有する。
本発明のインク組成物は水を媒体として調製され、必要に応じて、水溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有してもよい。水溶性有機溶剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等としての機能を有する場合があり、本発明のインク組成物中には含有する方が好ましい。その他のインク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。本発明のインク組成物は、その総質量に対して、水溶性有機溶剤を0〜30質量%、好ましくは5〜30質量%、インク調製剤を0〜5質量%それぞれ含有してもよい。上記以外の残部は水である。
本発明で使用できる水溶性有機溶剤の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4アルキルエーテル;γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独又は混合して用いられる。
これらのうち好ましいものは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、モノ、ジ、又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコールであり、より好ましくは2−ピロリドン、N−メチル2−ピロリドン、ジエチレングリコール、イソプロパノール、及びブチルカルビトールである。
以下、本発明のインク組成物を調製するにあたり使用できるインク調製剤について説明する。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としては、無水酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを8.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えば、スルホ化されたベンゾフェノン、スルホ化されたベンゾトリアゾール等が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤の具体例としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤の具体例としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系(例えば、日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTG等);ポリグリコールエーテル系(例えば、SIGMA−ALDRICH社製のTergitol 15−S−7等);等が挙げられる。これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。
本発明の水性インク組成物は、式(1)で表される化合物を水又は上記水性溶媒(水溶性有機溶剤を含有する水)に、上記インク調製剤等とともに溶解させることによって製造できる。
上記製造方法において、各成分を溶解させる順序には特に制限はない。あらかじめ水又は上記水性溶媒に色素を溶解させ、インク調製剤を添加して溶解させてもよいし、色素を水に溶解させた後、水性溶媒、インク調製剤を添加して溶解させてもよい。また、これと順序が異なっていてもよいし、色素の反応液又は逆浸透膜による脱塩処理を行った液に、水性溶媒、インク調製剤を添加してインク組成物を製造してもよい。インク組成物を調製するにあたり、用いられる水はイオン交換水、蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。さらに、必要に応じてメンブランフィルタ等を用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよい。特に、インクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合には精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1〜0.1μm、好ましくは、0.8〜0.1μmである。
本発明の水溶性のアントラピリドン化合物を色素として含有するマゼンタインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録方法、特にインクジェット記録における使用に適する。この場合、水、日光、オゾン、及び摩擦に対する良好な耐性を有する高品質のマゼンタの記録画像が得られる。また、本発明の化合物に、さらに公知公用のイエロー、マゼンタ等の色素を配合することによって、オレンジ又は赤の色調を微調整し、より好みの色調へと調色することもできる。また、他色、特にブラックを表現する場合の調色に用いることもできる。
本発明の着色体は、本発明の化合物、又はこれを含有するインク組成物で着色されたものである。着色されるべきものとしては、特に制限はなく、例えば紙、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられるが、これらに限定されない。着色法としては、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェットプリンタによる方法等が挙げられるが、インクジェットプリンタによる方法が好ましい。
本発明のインクジェット記録方法を適用し得る被記録材(メディア)としては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維、皮革等が挙げられ、情報伝達用シートが好ましい。情報伝達用シートについては、表面処理されたもの、具体的にはこれらの基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工すること;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーとともに上記基材表面に塗工すること;等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)あるいは光沢紙(フィルム)等と呼ばれ、例えば株式会社ピクトリコ製、商品名ピクトリコ;キャノン(株)製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、マットフォトペーパー;セイコーエプソン(株)製、写真用紙(光沢)、フォトマット紙、スーパーファイン専用光沢フィルム;日本ヒューレットパッカード(株)製、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルム、フォト用紙;コニカミノルタホールディングス(株)製、フォトライクQP;等がある。なお、普通紙も当然利用できる。
これらのうち、多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録した画像は、オゾンガスによる変退色が特に大きくなることが知られているが、本発明の水性マゼンタインク組成物はオゾンガス耐性が優れているため、このような被記録材へ記録した際にも変退色が極めて少ないという優れた効果を発揮する。
このような目的で使用される多孔性白色無機物としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法で、被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填し、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。本発明のインクジェット記録方法では、公知公用のイエロー、シアンに加えて、グリーン、オレンジ、ブルー(又はバイオレット)等のそれぞれのインク組成物及び本発明のマゼンタインク組成物、必要に応じてブラックインク組成物等と併用し得る。各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、これらの容器を、本発明の水性マゼンタインク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定位置に装填して使用される。インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式;等が挙げられる。
本発明の水性マゼンタインク組成物は、鮮明なマゼンタ色であり、特にインクジェット光沢紙において高い鮮明な色相を有し、記録画像の各種堅牢性、すなわち、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性、耐水性等も高い。また、人に対する安全性も高い。
本発明のインク組成物は貯蔵中に沈澱、分離することがない。また、本発明のインク組成物をインクジェット記録に使用した場合、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明のインク組成物は、連続式インクジェットプリンタによる比較的長い時間における一定の再循環下;又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用;等のいずれにおいても、物理的性質の変化を起こさない。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別に記載のない限りそれぞれ質量基準である。実施例中の反応、晶析等の各操作は、特に断りのない限り撹拌下に行った。また、実施例で得た色素の最大吸収波長(λmax)は水溶液中で測定し、その測定値を記載した。
[実施例1]
(工程1)
キシレン30部中に、下記式(6)で表される化合物42.9部、炭酸ナトリウム4.7部、ピコリノイル酢酸エチルエステル6.1部を順次加えて昇温し、130℃の温度で10時間反応させた。その間、反応で生成するエタノールと水とをキシレンと共沸させながら系外へ留出させ、反応を完結させた。次いで、反応液を冷却し、30℃にてメタノール50部を加えて30分間撹拌した後、析出固体を濾過分離した。得られた固体をメタノール100部、次いで温水200部で洗浄した後、乾燥して、下記式(7)で表される化合物5.4部を暗赤色針状固体として得た。
Figure 2010061587
Figure 2010061587
(工程2)
98%硫酸59.8部に、水冷しながら31%発煙硫酸50.2部を加えて、12%発煙硫酸110部を調製した。水冷下、上記式(7)で表される化合物5.0部を10℃以下で加えた後、20℃へ昇温し、2時間反応させた。氷水250部中に反応液を加え、その間氷を加えながら発熱による液温の上昇を40℃以下に保持した。さらに水を加えて液量を600部とした後、濾過して、不溶解物を除去した。得られた母液より300部を抜き出し、液温を60〜65℃に保ちながら、塩化アンモニウム72部を加えて2時間撹拌し、析出した固体を濾過分離した。24%塩化アンモニウム水溶液200部で洗浄し、乾燥することにより、下記式(8)で表される化合物の暗赤色固体2.1部を得た。λmax:530nm。
Figure 2010061587
[実施例2]
(工程1)
酢酸エチル26.4部中にニコチン酸エチル30.2部、ナトリウムエトキサイド20.4部を順次加え、75〜80℃で8時間反応させた。水110部を加え、35%塩酸を用いてpH7.0に調整し、ジエチルエーテルで抽出した後、溶媒を減圧留去することにより、下記式(9)で表されるオイル状化合物19.6部を得た。なお、下記式(9)中、「Et」は、エチル基を意味する。
Figure 2010061587
(工程2)
キシレン40部中に、上記式(6)で表される化合物3.3部、上記式(9)で表される化合物5.8部、炭酸ナトリウム0.6部を順次加えて昇温し、130℃の温度で10時間反応させた。その間、反応で生成するエタノールと水とをキシレンと共沸させながら系外へ留出させ、反応を完結させた。次いで、反応液を冷却し、30℃にてメタノール40部を加えて30分間撹拌した後、析出固体を濾過分離した。得られた固体をメタノール100部、次いで温水200部で洗浄した後、乾燥して、下記式(10)で表される化合物3.5部を暗赤色針状固体として得た。
Figure 2010061587
(工程3)
98%硫酸20.3部に、水冷しながら32.3%発煙硫酸29.7部を加えて、12%発煙硫酸62部を調製した。水冷下、上記式(10)で表される化合物2.7部を10℃以下で加えた後、30℃へ昇温し、4時間反応させた。氷水110部中に反応液を加え、その間氷を加えながら発熱による液温の上昇を40℃以下に保持した。析出した固体を濾過分離し、再度水80部に溶解後、液濾過により不溶解物を取り除いた。得られた母液を水を用いて100部に調整し、液温を60〜65℃に保ちながら、塩化アンモニウム20部を加えて2時間撹拌し、析出した固体を濾過分離した。24%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄し、乾燥することにより、下記式(11)で表される化合物の暗赤色固体2.2部を得た。λmax:536nm。
Figure 2010061587
[実施例3]
(工程1)
酢酸エチル26.4部中にイソニコチン酸エチル30.2部、ナトリウムエトキサイド20.4部を順次加え、40℃で9時間反応させた。水110部を加え、35%塩酸を用いてpH7.0に調整し、ジエチルエーテルで抽出した後、溶媒を減圧留去することにより、下記式(12)で表されるオイル状化合物20.6部を得た。なお、下記式(12)中、「Et」は、エチル基を意味する。
Figure 2010061587
(工程2)
キシレン60部中に、上記式(6)で表される化合物6.6部、上記式(12)で表される化合物9.7部、炭酸ナトリウム1.2部を順次加えて昇温し、130℃の温度で6時間反応させた。その間、反応で生成するエタノールと水とをキシレンと共沸させながら系外へ留出させ、反応を完結させた。次いで、反応液を冷却し、30℃にてメタノール60部を加えて30分間撹拌した後、析出固体を濾過分離した。得られた固体をメタノール100部、次いで温水200部で洗浄した後、乾燥して、下記式(13)で表される化合物6.0部を暗赤色針状固体として得た。
Figure 2010061587
(工程3)
98%硫酸32.4部に、水冷しながら32.3%発煙硫酸47.6部を加えて、12%発煙硫酸80部を調製した。水冷下、上記式(13)で表される化合物4.6部を10℃以下で加えた後、30℃へ昇温し、4時間反応させた。氷水110部中に反応液を加え、その間氷を加えながら発熱による液温の上昇を40℃以下に保持した。析出した固体を濾過分離し、再度水80部に溶解後、液濾過により不溶解物を取り除いた。得られた母液を水を用いて250部に調整し、液温を55℃に保ちながら、塩化アンモニウム55部を加えて2時間撹拌し、析出した固体を濾過分離した。24%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄し、乾燥することにより、下記式(14)で表される化合物の暗赤色固体4.5部を得た。λmax:536nm。
Figure 2010061587
[実施例4乃至5]
[(A)インクの調製]
上記実施例2で得られた化合物を色素として用い、下記表2に示した組成で水溶性有機溶媒、インク調製剤等を混合し、本発明のインク組成物を調製した。得られたインク組成物を0.45μmのメンブランフィルタで濾過することにより、評価用のインクジェット記録用水性インクを得た。このインクの調製を実施例4とする。水はイオン交換水を使用した。なお、インク組成物のpHが8〜10、総量100部になるように水、2.8%アンモニア水溶液を加えた。実施例2で得られた化合物を用いた試験を実施例4とする。同様に、実施例2で得られた化合物の代わりに実施例3で得られた化合物を用いる以外は実施例4と同様にして、評価用のインクを調製した。このインクの調製を実施例5とする。
Figure 2010061587
[比較例1]
比較対象として、特許文献1の実施例7(化合物No.36)に開示された下記式(15)の化合物を用い、実施例4と同様にして比較用のインクを調製した。このインクの調製を比較例1とする。
Figure 2010061587
[(B)インクジェット記録]
インクジェットプリンタ(キヤノン社製 Pixus iP4100)を用いて、多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有する4種類の光沢紙にインクジェット記録を行った。インクジェット記録の際、印字濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンを作り記録物を作成し、これを試験片として下記する記録画像の評価を行った。なお、使用した光沢紙は以下のとおりである。
光沢紙1:キヤノン社製 商品名プロフェッショナルフォトペーパー
PR−101
光沢紙2:キヤノン社製 商品名キヤノン写真用紙 光沢ゴールド
GL−101
光沢紙3:エプソン社製 商品名クリスピア
光沢紙4:HP社製 商品名アドバンスフォトペーパー
[(C)記録画像の評価]
1.色相評価
1−1.光沢紙での色相評価
記録画像の色相、鮮明性の測定方法:
上記のようにして作成した各試験片の画像中、印字濃度(D値)が1.7に最も近い階調部分を測色システム(GRETAG SPM50:GRETAG社製)を用いて測色し、L、a、及びb値を算出した。また、鮮明性Cは色度(a、b)から、以下の計算式により算出した。
=[(a+(b1/2
各実施例及び比較例1の色相評価の結果を下記表3に示す。なお、ジャパンカラー標準マゼンタとしてはJapan Color Standard Paperを用いた。
Figure 2010061587
表3より、各実施例のC値は、いずれの光沢紙においても比較例1よりも高く、鮮明性が高いことが分かる。したがって、本発明のアントラピリドン化合物は、鮮明性の高い記録画像を与えるため、インクジェット記録用マゼンタ色素として好適であると言える。
[(D)記録画像のキセノン耐光性試験]
上記のようにして作成した各試験片を、低温キセノンウエザーメータ(型番XL75、スガ試験機(株)製)に設置し、10万Luxの照度で、湿度60%RH、温度24℃の条件下に168時間照射した。各試験片の画像中、D値が1.2に最も近い階調部分の試験前後のD値を測定し、以下の計算式で色素の残存率を算出し、評価した。
残存率(%)=(試験後のD値/試験前のD値)×100
結果を下記表4に示す。
[(E)記録画像の耐オゾンガス性試験]
上記のようにして作成した試験片を、オゾンウェザーメーター(スガ試験機(株)製)に設置し、オゾン濃度10ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に24時間放置した。各試験片の画像中、D値が1.2に最も近い階調部分の試験前後のD値を測定し、以下の計算式で色素の残存率を算出し、評価を行った。
残存率(%)=(試験後のD値/試験前のD値)×100
結果を下記表4に示す。
Figure 2010061587
表4より明らかなように、耐光性試験における残存率は、光沢紙3を用いた場合のみ、各実施例と比較例1との結果が同等であるものの、光沢紙1,2,4を用いた場合には、各実施例は比較例1よりも色素の残存率が高く、各実施例の耐光性が比較例1よりも優れていることが分かる。また、耐オゾン性試験における残存率は、いずれの光沢紙においても、各実施例の方が、比較例1よりも色素の残存率が高く、各実施例の耐オゾン性が比較例1よりも優れていることが分かる。
以上の結果より、本発明のアントラピリドン化合物は鮮明性の高い色相を有し、また、高い堅牢性をも有する画像を与える色素であることが明らかであり、インクジェット用マゼンタ色素として極めて優れたものであると言える。

Claims (24)

  1. 下記式(1)で表されるアントラピリドン化合物又はその塩。
    Figure 2010061587
    [式(1)中、
    Xは複素芳香環を表し、
    は、水素原子、カルボキシ基、スルホ基、フェニル基、アルキル基、アルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、
    は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、モノ若しくはジアルキルアミノアルキル基、叉はシアノアルキル基を表し、
    乃至Rは、いずれか1つ又は2つが、スルホ基及びカルボキシ基から任意に選択される基を表すとともに、残りが水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、及びアルコキシ基よりなる群から任意に選択される基を表し、
    a乃至eは、R乃至Rの置換位置を表す。]
  2. Xにおける複素芳香環が5員又は6員環の複素芳香環である、請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  3. Xにおける複素芳香環が環構成原子として窒素原子を1個又は2個含む、5員又は6員環の含窒素複素芳香環である、請求項1又は2に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  4. が水素原子又はC1−C4アルキル基である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  5. 下記式(2)で表される請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
    Figure 2010061587
    [式(2)中、R、R、R乃至R、a乃至eは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
  6. が水素原子、スルホ基、又はアルキル基である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  7. が水素原子である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  8. 乃至Rのいずれか1つ又は2つがスルホ基であり、残りが水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基よりなる群から任意に選択される基である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  9. 乃至Rのいずれか1つ又は2つがスルホ基であり、残りが水素原子である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  10. 乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である、
    請求項1乃至9のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  11. Xがピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、フラン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、又はイミダゾール環であり、
    が水素原子であり、
    が水素原子又はC1−C4アルキル基であり、
    乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である、請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  12. Xがピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、又はピリミジン環であり、
    が水素原子であり、
    が水素原子又はC1−C4アルキル基であり、
    乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である、請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  13. Xがピリジン環であり、
    が水素原子であり、
    が水素原子又はC1−C4アルキル基であり、
    乃至Rのいずれか2つがa及びcの位置に置換したスルホ基であり、残りの1つが水素原子であるか、又はR乃至Rのいずれか1つがa若しくはcの位置に置換したスルホ基であり、残りの2つが水素原子である、請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を含有するインク組成物。
  15. 水及び水溶性有機溶剤をさらに含有する、請求項14に記載のインク組成物。
  16. インク組成物中に色素として含有する請求項1乃至13のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩の総質量に対して、該化合物又はその塩中の無機不純物の含有量が1質量%以下である、請求項14又は15に記載のインク組成物。
  17. インク組成物中に色素として含有する請求項1乃至12のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩の含有量が、インク組成物の総質量に対して、0.1〜20質量%である、請求項14乃至16のいずれか一項に記載のインク組成物。
  18. インクジェット記録用である、請求項14乃至17のいずれか一項に記載のインク組成物。
  19. 請求項14乃至18のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして使用し、該インクの小滴を記録信号に応じて吐出し、被記録材に付着させて記録を行うインクジェット記録方法。
  20. 前記被記録材が情報伝達用シートである、請求項19に記載のインクジェット記録方法。
  21. 前記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有したインク受容層を有するシートである、請求項20に記載のインクジェット記録方法。
  22. 請求項14乃至18のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体。
  23. 着色がインクジェットプリンタによりなされた、請求項22に記載の着色体。
  24. 請求項14乃至18のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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