JP4888949B2 - アゾ色素またはその塩、該アゾ色素またはその塩を含有する水性オレンジインク組成物 - Google Patents
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Description
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水溶性染料を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されており、これらの水溶性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく一般に水溶性有機溶剤が添加されている。これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求され、また形成される画像には、耐水性、耐光性、耐湿性等の堅牢度が求められている。
これらを解決するため、7色(Y、M、C、R、G、B、K)インクを用いるインクジェット印刷法が提案されている(例えば特許文献1を参照)が、そこにおいては可溶性基を持たせた建染染料(バット染料)が用いられている為、色相、鮮明性、堅牢度などの点から市場の要求を完全に満足するには至っていない。また、特許文献1では、Rを用いているが、Rの変わりにオレンジ(O)を使用するほうがより鮮明な画像が得られことが知られている。又、 インクジェット記録用インクセットのイエロー着色剤として、橙色直接染料が挙げられている(例えば特許文献2を参照)。
また特許文献5には疎水性繊維の染色および合成樹脂の着色に有効な水不溶性ジスアゾ化合物が開示されている。
また特許文献6にはジスアゾ系の反応染料混合物、その製造法及びその染料としての用途が開示されている。
さらに特許文献7にはジスアゾ化合物を昇華性染料として用いた熱転写シートが開示されている。
このように、殊にインクジェット記録用インクにおいては、プリントした画像の濃度が高く、しかも耐水性、耐湿性、耐光性及び耐ガス性等の堅牢度に優れている事が、強く求められている。ここで耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガス等が記録紙上又は記録紙中で染料と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。オゾンガスは、インクジェット記録画像の退色現象を促進させる原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上は重要な課題となっている。特に、写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質でのにじみを少なくする為に、多孔質の素材を用いているものが多く、このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られる。最近のデジタルカメラの普及と共に、家庭でも画像をプリントする機会が増しており、得られたプリント物を保管する時に、空気中の酸化性ガスによる画像の変色が問題視されている。また耐湿性とは着色された被記録材料を高湿度の雰囲気下に保存した際に被記録材料中の染料色素が滲んでくるという現象に対する耐性のことである。染料色素の滲みがあると、特に写真調のような高精細な画質を求められる画像においては著しく画像品位が低下するため、できるだけこの様な滲みを少なくすることが重要である。したがって、高い耐湿性も、前記の耐オゾンガス性と同様にインクジェット用の色素として求められる重要な課題である。
即ち、本発明は
(1)下記式(1)で示されるアゾ色素またはその塩、
(2)R7及びR8が水素原子である(1)に記載のアゾ色素またはその塩、
(3)(1)に記載の式(2)において、X1、X2及びX4が水素原子で、X3がスルホン酸基又はカルボキシル基であるか、又は式(3)において、Y1、Y3及びY4が水素原子で、Y2がスルホン酸基又はカルボキシル基である(1)または(2)のいずれか一項に記載のアゾ色素またはその塩
(4)
R1及びR4がメチル基であり、R2及びR3またはR5及びR6のそれぞれの組み合わせのうちの一方がシアノ基、他方が−N=N−Dで示される基であり、Dが6−スルホベンゾチアゾール−2−イル、6−カルボキシベンゾチアゾール−2−イル、5−スルホ−2,1−ベンゾイソチアゾール−3−イルから選択される基であり、nが2〜6である(1)に記載の式(1)で表されるアゾ色素またはその塩
(5)下記式(4)、(5)及び(6)で示されるアゾ色素またはその塩
(6)
R1及びR4がメチル基であり、R2’、R3’、R5’及びR6’がシアノ基であり、Dが6−スルホベンゾチアゾール−2−イル、6−カルボキシベンゾチアゾール−2−イル、5−スルホ−2,1−ベンゾイソチアゾール−3−イルから選択される基であり、nが2〜6である(5)に記載のアゾ色素またはその塩
(7)(1)乃至(6)のいずれか一項に記載のアゾ色素またはその塩を含有することを特徴とする水性インク組成物
(8)水溶性有機溶剤を含有する(7)に記載の水性インク組成物
(9)インクジェット記録用である(8)に記載の水性インク組成物
(10)(1)乃至(6)のいずれか一項に記載のアゾ色素またはその塩の含有量が0.1〜20重量%である(7)乃至(9)のいずれか一項に記載の水性インク組成物
(11)黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びオレンジ色の各インク組成物を含む4色以上の水性インク組成物を用いて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、オレンジ色の水性インク組成物として(7)乃至(10)のいずれか一項に記載の水性インク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法
(12)被記録材が情報伝達用シートである(11)に記載のインクジェット記録方法
(13)情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有したインク受像層を有する(12)に記載のインクジェット記録方法
(14)(7)乃至(10)のいずれか一項に記載の水性インク組成物で着色された着色体
(15)(7)乃至(10)のいずれか一項に記載の水性インク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ
(16)下記式(A)及び/又は下記式(B)で示されるジクロロピリジン類と下記式(C)で示される置換されたジアミン類を極性溶媒とともに加熱下攪拌することによって下記式(D)で示される化合物を得、次いで下記式(E)で示されるタウリンと極性溶媒中で加熱下に撹拌することによって下記式(F)で示される化合物を得る。次いで下記式(G)で示されるジアゾ成分をジアゾ化した後、前記(F)の化合物と反応させることを特徴とする(1)に記載の色素またはその塩の製造方法
本発明のアゾ色素は下記式(1)で表される。
式(1)中、R2、R3、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基又はカルバモイル基又は基:−N=N−Dを(Dは下記のジアゾ成分の残基を表す)を表す。但しR2又はR3及びR5又はR6のそれぞれの組合わせのうちの1個は基:−N=N−D(Dは下記式(2)又は式(3)のジアゾ成分の残基を表す。)であるものとする。上記のうち基:−N=N−D以外の基としては、シアノ基が好ましい。式(1)中、nは2〜6である。
上記ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子が挙げられ、このうちフッ素及び塩素原子が好ましい。
上記置換もしくは非置換のアルキル基としてはC1〜C4アルキル基が挙げられ、その置換基としてはスルホ基、カルボキシ基またはヒドロキシル基が好ましい。
上記アルコキシ基としてはC1〜C4アルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシである。
上記アルコキシカルボニル基としてはC1〜C4アルコキシカルボニル基があげられ、具体的にはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、iso−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、iso−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルである。
上記アシル基としてはC1〜C4アシル基が挙げられ、具体的にはホルミル、アセチル、n−プロピオニル、n−ブチリルである。
上記アシルアミノ基としてはC1〜C4アシルアミノ基が挙げられ、具体的にはホルミルアミノ、アセチルアミノ、n−プロピオニルアミノ、n−ブチリルアミノである。
上記アルキルスルホニル基としてはC1〜C4アルキルスルホニル基が挙げられ、具体的にはメチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、iso−プロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、iso−ブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、t−ブチルスルホニルである。
さらに好ましい上記式(1)の組み合わせとしては、R1及びR4がメチル基であり、R2及びR3またはR5及びR6のそれぞれの組み合わせのうちの一方がシアノ基、他方が−N=N−Dで示される基であり、Dが6−スルホベンゾチアゾール−2−イル、6−カルボキシベンゾチアゾール−2−イル、5−スルホ−2,1−ベンゾイソチアゾール−3−イルから選択される基であり、nが2〜6のものが挙げられる。
式(7)のZ1〜Z4におけるアルキル基の例としてはメチル基、エチル基等が挙げられ、ヒドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等が挙げられ、更にヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基、2−ヒドロキシエトキシブチル基等が挙げられる。
次に式(1)に示されるアゾ色素の具体例としては、例えば下記の化合物No.1〜15の例が挙げられる。
本発明の式(1)のアゾ色素またはその塩を含む反応液は、水性インク組成物の製造に直接使用する事が出来る。しかし、反応液から単離し、乾燥(例えばスプレー乾燥)した後に、水性インク組成物に加工することもできる。最終製品の記録用インク組成物は、本発明のアゾ色素またはその塩を水溶液中に好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%含有する。本発明の水性インク組成物には、水溶性有機溶剤0〜30重量%、インク調製剤0〜5重量%含有していても良い。本発明の水性インク組成物は、式(1)のアゾ色素またはその塩を水又は水性溶媒(水溶性有機溶剤を含有する水)に溶解したものである。水溶性有機溶剤に溶解したものがより好ましい。
これらのうち好ましいものは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、モノ、ジ又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコールであり、より好ましいものは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールである。
使用しうるインク調製剤の例としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としてソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等があげられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニルピリジン誘導体等がある。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製、商品名:サーフィノール104、82、465、オルフィンSTGなど)、等が挙げられる。
これらのインク調製剤の各種は、必要により、単独又は混合して用いられる。
式(1)のアゾ色素またはその塩は、色素原体としては金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば1重量%以下程度である。無機物の少ない色素を製造するには、例えば逆浸透膜による方法等の通常の方法で、脱塩処理すればよい。
多孔性白色無機物としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等が使用される。
また、記録画像の堅牢度も高い。
なお実施例中で合成した各化合物の構造はLC−MSを用いた質量分析により確認した。
測定機器及び分析条件は以下の通りである。
測定機器
LC:Agilent Technology社製 HP-1100
MS:Micromass社製LCT
測定条件
Column :Inertsil ODS-2(5μm) 2.1IDX250mm
Column temp.:40℃
Mobile Phase:5mM AcONH4水溶液(A液)、MeCN(B液)
Gradient :B液濃度5%(0min)−50%(30min)(V/V)
Total flow :0.2ml/min
実施例中の色素が混合物である場合の生成比率については上記LC−MSにおける各生成物のLC面比に基き記載したが、該混合物は位置異性体の混合物であるため、主生成物がいずれの構造式に該当するかは不明である。さらに該色素は塩析などにより一部が遊離酸でありかつ一部がナトリウム塩の化合物の混合物として得た。
またλmaxは約0.01gの乾燥試料を1Lの純水に溶解して測定を行った。
2,6−ジクロロ−3−シアノ−4−メチルピリジン18.7部、エチレンジアミン7.2部、炭酸カリウム4.3部、エタノール160容量部を仕込み、75〜80℃で9時間反応した。反応液を冷却後200部の氷水に注加し析出した生成物を濾取した。収量16.0部(収率77%)を得た。この化合物の構造は下記式の中間体(M−1)、(M−2)及び(M−3)の混合物であった(LC−MSで確認)。
合成例1で得られた中間体(M−1)、(M−2)及び(M−3)の混合物14.4部、タウリン20.0部、炭酸カリウム11.4部、ジメチルスルホキシド160部を混合し120〜125℃、10時間反応させ、下記式で示される中間体(M−4)、(M−5)及び(M−6)の混合物として反応生成物を得た(LC−MSで確認)。
2−アミノ−6−スルホベンゾチアゾール9.2部を常法に従い硫酸とニトロシル硫酸でジアゾ化しておく。水200容量部に合成例2で得た式(M−4)、(M−5)及び(M−6)の混合物を含む反応液を添加しpH1.5に調整後冷却し、先の2−アミノ−6−スルホベンゾチアゾールのジアゾニウム塩を0〜5℃、pH1〜2で滴下しカップリング反応を行った。中和後塩析(対液量5%)し析出した結晶を濾過し、化合物No.1、2及び3の混合物のウェットケーキ52.0部を得た。このウェットケーキを160容量部の水に溶解後、メタノール240容量部を滴下後濾過し、化合物No.1、2及び3で表されるアゾ色素12.4部を得た。この混合物の生成比率は55/26/6だった。λmax:488.0nm
85%リン酸90.0部と酢酸32.0部の混合液に2−アミノ−6−カルボキシベンゾチアゾール7.76部を溶解させた後冷却し、5℃以下で亜硝酸ナトリウム水溶液を滴下しジアゾ化しておく。水200容量部に合成例2で得た式(4)、(5)及び(6)の混合物を含む反応液を添加しpH1.5に調整後冷却し、先の2−アミノ−6−カルボキシベンゾチアゾールのジアゾニウム塩を0〜5℃、pH1〜2で滴下しカップリング反応を行った。塩析(対液量:2.5%)し析出した結晶を濾過し化合物No.4、5及び6のアゾ色素のウェットケーキ58.6部を得た。このウェットケーキを120容量部の水に溶解後、メタノール250容量部を滴下後濾過し、化合物No.4、5及び6で示されるアゾ色素17.5部を得た。λmax:489.5nm
合成例1においてエチレンジアミンの代わりにヘキサメチレンジアミン3.5部を用いた他は同様に反応させ、下記式で示される中間体(M−7)、(M−8)及び(M−9)の混合物を得た。
合成例2と同様に合成例3で得られた式(M−7)、(M−8)及び(M−9)の混合物とタウリンと反応させて下記式で示される中間体(M−10)、(M−11)及び(M−12)の混合物を含む反応液を得た。
2−アミノ−6−スルホベンゾチアゾール9.20部を常法に従い硫酸とニトロシル硫酸でジアゾ化しジアゾニウム塩の懸濁液を得た。水200容量部に合成例4で得た式(M−10)、(M−11)及び(M−12)で示される中間体の混合物を含む反応液を添加しpH1.5に調整後冷却し、先の2−アミノ−6−スルホベンゾチアゾールのジアゾニウム塩の懸濁液を0〜5℃、pH1〜2で滴下しカップリング反応を行った。中和後塩析濾過し、化合物No.7、8、9の混合物のウェットケーキ43.6部を得た。このウェットケーキを100容量部の水に溶解後、メタノール220容量部を滴下後濾過し、化合物No.7、8及び9で表されるアゾ色素20.4部を得た。この混合物の生成比率は45/46/6だった。λmax:476.0nm
85%リン酸90.0部と酢酸32.0部の混合液に2−アミノ−6−カルボキシベンゾチアゾール7.76部を溶解させた後冷却し、5℃以下で亜硝酸ナトリウム水溶液を滴下しジアゾ化しジアゾニウム塩の懸濁液を得た。水200容量部に合成例4で得た式(M−10)、(M−11)及び(M−12)で示される中間体の混合物を含む反応液を添加しpH1.5に調整後冷却し、先の2−アミノ−6−カルボキシベンゾチアゾールのジアゾニウム塩の懸濁液を0〜5℃、pH1〜2で滴下しカップリング反応を行った。反応液を塩析濾過し化合物No.10、11及び12で示される化合物の混合物のウェットケーキ48.6部を得た。このウェットケーキを100容量部の水に溶解後、メタノール200容量部を滴下後濾過し、化合物No.10、11及び12で示されるアゾ色素18.0部を得た。λmax:485.0nm
3−アミノ−5−スルホ−2,1−ベンゾイソチアゾール9.20部を常法に従い亜硝酸ナトリウムでジアゾ化しジアゾニウム塩の懸濁液を得た。水200容量部に合成例2で得た式(4)、(5)及び(6)で示される中間体の混合物を添加しpH1.5に調整後冷却し、先の3−アミノ−5−スルホベンゾイソチアゾールのジアゾニウム塩の懸濁液を0〜5℃、pH0〜2で滴下しカップリング反応を行った。反応液を塩析濾過し、化合物No.13、14、15の混合物のウェットケーキ52.8部を得た。このウェットケーキを170容量部の水に溶解後、メタノール240容量部を滴下後濾過し、化合物No.13、14及び15で示されるアゾ色素20.50部を得た。λmax:506.0nm
(A)インクの調製
上記実施例1で得られた化合物(化合物No.1、2及び3の混合物)を用いて表1に示した組成の液体を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事により本発明のインクジェット記録用水性インク組成物を得た。また水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=7〜10、総量100部になるように水、アンモニア水を加えた。実施例1で得られた化合物を用いた試験を実施例6とする。同様に実施例2、3、4及び5で得られた化合物を用いた試験をそれぞれ実施例7、8、9及び10とする。
実施例1のアゾ色素(化合物No.1、2及び3の混合物) 3.0部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
商品名サーフィノール104PG50(日信化学社製) 0.1部
水+アンモニア水 77.9部
計 100.0部
前記各実施例で得られた各水性インク組成物を用いて、インクジェットプリンタ(キヤノン社製 Pixus iP4100)により、多孔性白色無機物を含有したインク受像層を有する光沢紙(キヤノン社製 プロフェッショナルフォトペーパー PR−101)にそれぞれインクジェット記録を行った。インクジェット記録の際、印刷濃度が数段階の諧調が得られるように画像パターンを作り鮮明な印字物を得た。
記録画像の色相、鮮明性:上記で得られた印字物を測色システム(GRETAG SPM50:GRETAG社製)を用いて測色し、L*、a*、b*値を算出し、鮮明性は各記録パタ−ンの色度a*を合わせた時の色度(a*、b*)からC* =((a* )2+(b* )2)1/2を算出し評価を行った。
実施例6と8の色相の測定結果を表2に示す。
色相 明度 鮮明性
a* b* L* C*
実施例6 63.4 87.2 62.5 107.8
実施例8 64.2 90.9 62.9 111.3
キヤノン社製光沢紙(前記)にプリントした実施例6及び実施例8の各試験片に空気層と2mm厚のガラス板を設置して、キセノンウェザオメータCi4000(ATLAS社製)を用い、0.36W/平方メートル照度で50時間照射し、試験前後の色差(ΔE)を測定し、3段階で評価した。
ΔE≦10・・・・・・・・・○
10<ΔE≦20・・・・・・△
ΔE>20・・・・・・・・・×
結果を表3に示す。
前記実施例6及び実施例8の各試験片について、オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いてオゾン濃度40ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に3時間放置し、試験前後の色差(ΔE)を測定し、3段階で評価を行った。
ΔE≦15・・・・・・・・・○
15<ΔE≦30・・・・・・△
ΔE>30・・・・・・・・・×
結果を表4に示す。
耐光性 耐オゾンガス性
実施例6 ○ ○
実施例8 ○ ○
(注)
実施例6:化合物No.1、2及び3の混合物
実施例8:化合物No.7、8及び9の混合物
Claims (14)
- 下記式(1)で示されるアゾ色素またはその塩を含有することを特徴とする水性インク組成物
をそれぞれ表す。但しR2又はR3及びR5又はR6のそれぞれの組み合わせのうちの1個は基:−N=N−D(Dは上記と同じ意味を表す。)であるものとする。)
C4アシルアミノ基、C1〜C4アルキルスルホニル基、チオシアノ基又はスルファモイル基を表す。) - R7及びR8が水素原子である請求項1に記載の水性インク組成物
- 請求項1に記載の式(2)において、X1、X2及びX4が水素原子で、X3がスルホン酸基又はカルボキシル基であるか、又は式(3)において、Y1、Y3及びY4が水素原子で、Y2がスルホン酸基又はカルボキシル基である請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の水性インク組成物
- R1及びR4がメチル基であり、R2及びR3またはR5及びR6のそれぞれの組み合わせのうちの一方がシアノ基、他方が−N=N−Dで示される基であり、Dが6−スルホベンゾチアゾール−2−イル、6−カルボキシベンゾチアゾール−2−イル、5−スルホ−2,1−ベンゾイソチアゾール−3−イルから選択される基であり、nが2〜6である請求項1に記載の水性インク組成物
- R1及びR4がメチル基であり、R2’及びR5’がシアノ基であり、Dが6−スルホベンゾチアゾール−2−イル、6−カルボキシベンゾチアゾール−2−イル、5−スルホ−2
,1−ベンゾイソチアゾール−3−イルから選択される基であり、nが2〜6である請求項5に記載の水性インク組成物 - 水溶性有機溶剤を含有する請求項1乃至6に記載の水性インク組成物
- インクジェット記録用である請求項7に記載の水性インク組成物
- 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のアゾ色素またはその塩の含有量が0.1〜20重量%である請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の水性インク組成物
- 黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びオレンジ色の各インク組成物を含む4色以上の水性インク組成物を用いて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、オレンジ色の水性インク組成物として請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の水性インク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法
- 被記録材が情報伝達用シートである請求項10に記載のインクジェット記録方法
- 情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有したインク受像層を有する請求項11に記載のインクジェット記録方法
- 請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の水性インク組成物で着色された着色体
- 請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の水性インク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ
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