JP2005042028A - 水溶性モノアゾ化合物、それを含有する水性オレンジインク組成物及びこれを用いて得られる着色体 - Google Patents

水溶性モノアゾ化合物、それを含有する水性オレンジインク組成物及びこれを用いて得られる着色体 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット記録に適する高い鮮明性をもつ色相を有し、且つ記録物の堅牢度が強く、又保存安定性が優れたオレンジ色素を提供する。
【解決手段】遊離酸の形で下記一般式(1)で示されるインク用色素
【化1】
Figure 2005042028

(式(1)中、R1は置換もしくは非置換のアミノ基を、R2は置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換の水酸基、又は置換もしくは非置換のメルカプト基を、R3は置換もしくは非置換のフェニル基又は置換もしくは非置換のナフチル基を、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基をそれぞれ表わす。)

Description

本発明は水溶性モノアゾ化合物、そのモノアゾ化合物の1種又は2種以上含有する水性オレンジインク組成物及びこれを用いて得られる着色体に関する。
各種カラー記録法の中で、その代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法において、インクの各種吐出方式が開発されているが、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。これは、記録ヘッドと被記録材料とが接触しない為、音の発生がなく静かであり、また小型化、高速化、カラー化が容易という特長の為、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水溶性染料を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されており、これらの水溶性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく一般に水溶性有機溶剤が添加されている。これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求され、また形成される画像には、耐水性、耐光性、耐湿性等の堅牢度が求められている。
一方、コンピューターのカラーディスプレー上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタによりカラ−で記録するには、一般にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色で表現される。CRTディスプレー等のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を減法混色画像で出きるだけ忠実に再現するには、できるだけY、M、Cのそれぞれが、それぞれの標準に近い色相を有し且つ鮮明であることが望まれるが、写真調の画像を記録するには、Y、M、Cだけでは色相及び鮮明性の点で不十分である。また、従来インクジェット用インクとして用いられているY、M、Cを予め混合してR、G、B等のインクを用いても依然と鮮明性が劣るという問題が残る。
これらを解決するため、7色(Y、M、C、R、G、B、K)インクを用いるインクジェット印刷法が提案されている(例えば特許文献1を参照)が、そこにおいては可溶性基を持たせた建染染料(バット染料)が用いられている為、色相、鮮明性、堅牢度などの点から市場の要求を完全に満足するには至っていない。また、特許文献1では、Rを用いているが、より鮮明性を高めるためには、Rの変わりにオレンジ(O)を使用するほうがより鮮明な画像が得られことが知られている。又、 インクジェット用の記録用インクセットのイエロー着色剤として、橙色直接染料が挙げられている(例えば特許文献2を参照)。
また、最近では優れた色域を有する画像を生成できるオレンジインク用色素として橙色反応染料が挙げられている(例えば特許文献3を参照)。しかし、それらの染料でも、色相、鮮明性、堅牢度、インク組成物の保存安定性等が市場の要求に全て満足するには至っていない。
更に、プリントした画像の濃度が高く、しかも耐水性、耐光性及び耐ガス性等の堅牢度に優れている事が求められる。耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガス等が記録紙上又は記録紙中で染料と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。オゾンガスは、インクジェット記録画像の退色現象を促進させる原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上は重要な課題となっている。特に、写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質でのにじみを少なくする為に、多孔質の素材を用いているものが多く、このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られる。最近のデジタルカメラの普及と共に、家庭でも画像をプリントする機会が増しており、得られたプリント物を保管する時に、空気中の酸化性ガスによる画像の変色も問題視されている。
特開2002年―241661号公報(第1−17頁) 特開2002年―256187号公報(第4頁) 特開2003年―34765(第6頁)
本発明は水に溶解性が高く、インクジェット記録に適する色相と鮮明性を有し、且つ記録物の耐光、耐ガス堅牢性も高く、人に対してより安全性の高い水溶性の色素(化合物)およびそれを含有するインク組成物を提供する事を目的とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果特定の式で示されるモノアゾ化合物が前記課題を解決するものであることを見出し本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は
(1)遊離酸の形で下記式(1)で示される水溶性モノアゾ化合物又はその塩、
Figure 2005042028
(式(1)中、R1は置換もしくは非置換のアミノ基を、R2は置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換の水酸基、又は置換もしくは非置換のメルカプト基を、R3は置換もしくは非置換のフェニル基又は置換もしくは非置換のナフチル基を、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基をそれぞれ表わす。)
(2)式(1)中のR3が遊離酸の形で式(2)、又は式(3)で表される置換基である(1)記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩。
Figure 2005042028
(式(2)中、Y1は水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を、nは0〜2の整数をそれぞれ表わす。)
Figure 2005042028
(式(3)中、Y2は水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を、mは0〜3の整数をそれぞれ表わす)
(3)式(1)中のR3が遊離酸の形で式(4)、又は式(5)で表される置換基である(1)記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩。
Figure 2005042028
(式(4)中、Y1は水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を表わす。)
Figure 2005042028
(式(5)中、Y2はそれぞれ独立に水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を表わす。)
(1)式(1)においてR1がアミノ基、3−スルホアニリノ基又は4−スルホアニリノ基であり、R2が、3−スルホアニリノ基、4−スルホアニリノ基、2−カルボキシアニリノ基、モルホリノ基、2−スルホエチルアミノ基、カルボキシメチルアミノ基、3,5−ジスルホアニリノ基、4−ヒドロキシ−5−カルボキシアニリノ基、2−メチルアニリノ基、モノエタノールアミノ基;ジエタノールアミノ基、水酸基、2−カルボキシエチルアミノ基、3−スルホプロピルチオ基、2−スルホエチルチオ基であり、R3が式(4)又は式(5)である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩
(5)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩を1種又は2種以上を水性媒体に溶解してなるインクジェット記録用水性オレンジインク組成物
(6)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩を水性媒体に溶解することを特徴とするインクジェット記録用水性オレンジインク組成物の製法
(7)6色以上のインクを用い、インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インク組成物として(5)記載の水性オレンジインク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法
(8)被記録材が情報伝達用シートである(6)に記載のインクジェット記録方法
(9)情報伝達用シートが写真画質用インクジェット専用紙である(7)に記載のインクジェット記録方法
(10)(5)に記載のインクジェット記録用水性オレンジインク組成物で着色された着色体
(11)着色がプリンタによりなされた(9)に記載の着色体
(12)(5)に記載の水性オレンジインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ
に関する。
本発明の式(1)の水溶性モノアゾ化合物は、インクジェット記録紙上で非常に鮮明性、明度の高い色相であり、水溶解性に優れ、インク組成物製造過程でのメンブランフィルターに対するろ過性が良好という特徴を有する。又、この化合物を使用した本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。そして本発明のモノアゾ化合物をインクジェット記録用のオレンジインクとして使用した印刷物は被記録材(紙、フィルム等)を選択することなく理想的なオレンジの色相であり、従来インクジェット記録用として用いられているイエローと、マゼンタインクでオレンジ又は、赤色を色再現するよりも、鮮明性の高いオレンジ、赤色を再現させることが可能である、更に本発明のオレンジインク組成物を、カラー3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンのインクと併用することにより、写真調のカラー画像の色相を紙の上に忠実に再現させることも可能である。更に写真画質用インクジェット専用紙(フィルム)のような無機微粒子を表面に塗工した被記録材に記録しても耐光性が良好であり、写真調の記録画像の長期保存安定性に優れている。従って、式(1)の水溶性モノアゾ化合物はインクジェット記録用のオレンジインク用の色素として極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。尚、本発明において断りが無いかぎりスルホン酸基及びカルボキシル基は遊離酸の形で表す。
本発明のインク用色素は遊離酸の形で下記式(1)で表される。
Figure 2005042028
式(1)のR1は置換もしくは非置換のアミノ基を表す。
置換もしくは非置換のアミノ基としては、アミノ基、置換又は非置換のアニリノ基が好ましい。置換もしくは非置換のアニリノ基の好ましい具体例としては、アニリノ基、2−メチルアニリノ基、4−ブチルアニリノ基、4オクチルアニリノ基、3−スルホアニリノ基、4−スルホアニリノ基、2,5ジスルホアニリノ基、2−カルボキシアニリノ基、3,5−ジカルボキシアニリノ基、4−ヒドロキシ―3―カルボキシアニリノ基、4−ヒドロキシ―5―カルボキシアニリノ基等が挙げられる。より好ましくは、3−スルホアニリノ基、4−スルホアニリノ基である。置換アミノ基の他の例としては、置換もしくは非置換のピリジニウム基;置換もしくは非置換のベンジルアミノ基;置換基としてカルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基を1〜2個有してもよいアルキルアミノ基;炭素数1〜4のアルコキシ基を1〜2個有してもよいジアルキルアミノ基、モルホリノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基;置換もしくは非置換の第4級アンモニウム基;シクロヘキシルアミノ基等があげられる。R1における置換基の種類は2種類以上であってもよい。
式(1)のR2は置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換の水酸基、置換もしくは非置換のメルカプト基を表す。R2における置換基の種類は2種類以上であってもよい。
置換もしくは非置換のアミノ基としては、アミノ基;モルホリノ基;アリルアミノ基;ジアリルアミノ基;シクロヘキシルアミノ基;モノエタノールアミノ基;ジエタノールアミノ基:置換もしくは非置換のアニリノ基;置換もしくは非置換のピリジニウム基;置換もしくは非置換のベンジルアミノ基;置換基を1〜2個有してもよいアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基;置換もしくは非置換の第4級アンモニウ基等が挙げられる。 前記において、置換もしくは非置換のアニリノ基の好ましい具体例としては、アニリノ基、2−メチルアニリノ基、4−ブチルアニリノ基、4−オクチルアニリノ基、3−スルホアニリノ基、4−スルホアニリノ基、2,5−ジスルホアニリノ基、3,5−ジスルホアニリノ基、2−カルボキシアニリノ基、3,5−ジカルボキシアニリノ基、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリノ基、4−ヒドロキシ−5カルボキシアニリノ基等が挙げられる。置換もしくは非置換のピリジニウム基の好ましい具体例としては、3−カルボキシピリジニウム基、4−メチルピリジニウム基、3−カルバモイルピリジニウム基、4−スルホピリジニウム基等が挙げられる。置換もしくは非置換のベンジルアミノ基の具体例としては、ベンジルアミノ基、4−メチルベンジルアミノ基、4−クロルベンジルアミノ基等が挙げられる。置換基を1〜2個有してもよいアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基の好ましい具体例としては、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、n−ブチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−スルホエチルアミノ基、カルボキシメチルアミノ基、2−カルボキシエチルアミノ基、ジ(カルボキシメチル)アミノ基、1,2−ジカルボキシプロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、2−ヒドロキシプロピルアミノ基等が挙げられる。置換もしくは非置換の第4級アンモニウ基の好ましい具体例としてはトリエチルアミノ基、トリエチルアミノ基、1−4ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタン等が挙げられる。
次ぎに、置換もしくは非置換の水酸基の好ましい具体例としては、水酸基;ベンジルオキシ基;シクロヘキシルオキシ基;炭素数1〜4のアルコキシ基;置換又は非置換のフェノキシ基等が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。置換又は非置換のフェノキシ基の好ましい具体例としては、フェノキシ基、2−カルボキシフェノキシ基、4−カルボフェノキシ基等が挙げられる。
更に置換もしくは非置換のメルカプト基の好ましい具体例としては、メルカプト基;炭素数1〜6のアルキルチオ基;ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基又はヒドロキシアルコキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキルチオ基等が挙げられる。上記において炭素数1〜6のアルキルチオ基の好ましい具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等が挙げられる。同じく置換された炭素数1〜4のアルキルチオ基の好ましい具体例としては、3−スルホプロピルチオ基、2−スルホエチルチオ基等が挙げられる。
これらのうちでR2としてより好ましいものは、3−スルホアニリノ基、4−スルホアニリノ基、2−カルボキシアニリノ基、モルホリノ基、2−スルホエチルアミノ基、カルボキシメチルアミノ基、3,5−ジスルホアニリノ基、4−ヒドロキシ−5−カルボキシアニリノ基、2−メチルアニリノ基、モノエタノールアミノ基;ジエタノールアミノ基、水酸基、2−カルボキシエチルアミノ基、3−スルホプロピルチオ基、2−スルホエチルメルチオ基等である。
式(1)のR3は置換もしくは非置換のフェニル基又は置換もしくは非置換のナフチル基を表す。R3として好ましいものは下記式(2)又は式(3)で表される基であり、さらに好ましくは下記式(4)又は式(5)で表される基である。
Figure 2005042028
式(2)及び式(4)において、Y1は水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を表し、好ましくはスルホン酸基である。nは0〜2の整数を表し、好ましくは1である。又、式(3)において、Y2は水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基を又はヒドロキシル基を表し、好ましくはスルホン酸基である。mは0〜3の整数を表し、好ましくは1〜3である。式(3)におけるスルホン酸基の位置は、1位、3位、5位又は6位が好ましい。
式(1)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を表し、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
式(1)の化合物の塩は、無機又は有機陽イオンの塩である。塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩等が挙げられる。有機陽イオンとしては、式(4)で表されるアンモニウム塩があげられる。
Figure 2005042028
(式(6)中、X1〜Xはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルコキシアルキル基を表わす。)
式(6)のX1〜Xにおいてアルキル基の例としてはメチル基、エチル基等があげられ、ヒドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等があげられ、更にヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基、2−ヒドロキシエトキシブチル基等があげられる。
これらのうち好ましいものとしては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいものは、リチウムおよびナトリウムの塩である。
上記の塩は、例えば、反応液、あるいはケーキ、乾燥品を水に溶解したものに食塩を加えて、塩析、濾過することによってナトリウム塩をウェットケーキとして得ることができる。又、そのウェットケーキを再び水に溶解後、塩酸を加えてpHを1〜2に調整して得られる結晶を濾過すれば、遊離酸(あるいは一部はナトリウム塩のまま)の形で得ることができる。更に、その遊離酸のウェットケーキを水と共に撹拌しながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、式(6)の化合物を添加してアルカリ性にすれば、各々相当するカリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、有機塩が得られる。これらの塩のうち、特に好ましいものは、リチウムおよびナトリウムの塩である。
本発明の式(1)で示される化合物は、例えば次のようにして製造することができる。 まず、下記式(F)で示されるアミン類をジアゾ化して下記式(E)で示されるカップ下記式(A)で示される下記式(A)で示されるモノアゾ中間体を得る。次いでこのモノアゾ中間体と下記式(B)で示される塩化シアヌールとを冷却下(0〜10℃)、弱酸性(pH4〜6)で一次縮合させる。ついで得られた一次縮合物と下記式(C)で示される縮合成分とを室温から加温(30〜60℃)下、中性付近で(pH5〜7)二次縮合させる。更にこの二次縮合物と下記式(D)で示される縮合成分とを加熱下(70〜95℃)アルカリ性(pH7以上)で3次縮合させることにより得られる。
Figure 2005042028
次ぎに前記式(1)に示した化合物のうち好適な化合物例を挙げる。まず、式(1)のR3が下記式(A)である化合物例を表1に示す。
Figure 2005042028
Figure 2005042028
次ぎに、式(1)のR3が下記式(B)である化合物例を表2に示す。
Figure 2005042028
Figure 2005042028
本発明の化合物はインク用オレンジ色素として、天然及び合成繊維材料又は混紡品の染色に適しており、さらにこれらの化合物は、筆記用インクおよびインクジェット記録用インク組成物の製造に適している。
本発明の式(1)化合物を含む反応液は、インク組成物の製造に直接使用する事が出来る。しかし、反応液から単離し、乾燥、例えばスプレー乾燥させ、次にインク組成物に加工することもできる。最終製品の記録用インク組成物は、本発明の化合物を水溶液中に通常0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%含有する。本発明のインク組成物には、水溶性有機溶剤0〜30重量%、インク調製剤0〜5重量%含有しても良い。本発明のインク組成物は、式(1)の化合物を水又は水性溶媒(水溶性有機溶剤含有水)に溶解したものである。
本発明で使用しうる水溶性有機溶剤の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマー又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1.2.6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル又はエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトン又はジメチルスルホキシド等があげられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独もしくは混合して用いられる。
これらのうち好ましいものは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、モノ、ジ又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコールであり、より好ましくは2−ピロリドン、N−メチル2−ピロリドン、ジエチレングリコールである。
インク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤などがあげられる。防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンツチアゾール系、ニトチリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオシキド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオシキド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としてソルビン酸ソーダ安息香酸ナトリウム、等があげられる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを8.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化されたベンゾフェノン又はスルホン化されたベンゾトリアゾール等があげられる。水溶性高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等があげられる。界面活性剤としては、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などがあげられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスリホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーフィノール104、82、465、オルフィンSTGなど)、などが挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。
本発明の水性オレンジインク組成物は、式(1)で表される化合物(オレンジ色素)を水又は上記水性溶媒(水溶性有機溶剤含有水)に、上記インク調製剤などと共に溶解させることによって製造できる。
式(1)の化合物は、色素原体としては金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば1重量%以下程度である。無機物の少ない色素を製造するには、例えば逆浸透膜による方法等の通常の方法で、脱塩処理すればよい。
本発明の前記製造方法において、各成分を溶解させる順序には特に制限はない。あらかじめ水又は上記水性溶媒(水溶性有機溶剤含有水)に色素を溶解させ、インク調製剤を添加して溶解させてもよいし、色素を水に溶解させたのち、水性溶媒、インク調製剤を添加して溶解させてもよい。またこれと順序が異なっていてもよいし、色素の反応液又は逆浸透膜による脱塩処理を行った液に、水性溶媒、インク調製剤を添加してインク組成物を製造してもよい。インク組成物を調製するにあたり、用いられる水はイオン交換水又は蒸留水など不純物が少ない物が好ましい。さらに、必要に応じメンブランフィルターなどを用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよく、更にインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1ミクロン〜0.1ミクロン、好ましくは、0.8ミクロン〜0.2ミクロンである。
本発明の水溶性のモノアゾ化合物を含有するオレンジインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録法、特にインクジェット記録における使用に適する。この場合、水、日光、オゾンおよび摩擦に対する良好な耐性を有する高品質のオレンジ印捺物が得られる。また、本発明の化合物に、さらに公知公用のイエロー、マゼンタ等の染料を配合することによって、オレンジ色調、又は、赤色調を好みのものにすることもできる。
本発明の着色体は前記の本発明の化合物で着色されたものである。着色されるべきものとしては、特に制限無く、例えば紙、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等があげられるがこれらに限定されない。着色法としては、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェットプリンタによる方法等があげられるが、インクジェットプリンタによる方法が好ましい。
本発明のインクジェット記録方法を適用しうる被記録材(メディア)としては例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維及び皮革等が挙げられる。情報伝達用シートについては、表面処理されたもの、具体的にはこれらの基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等インク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)あるいは光沢紙(フィルム)と呼ばれ、例えばピクトリコ(旭硝子(株)製)、カラーBJペーパー、カラーBJフォトフィルムシート、プロフェッショナルフォトペーパー(いずれもキャノン(株)製)、カラーイメージジェット用紙(シャープ(株)製)、PM写真用紙、スーパーファイン専用光沢フィルム(いずれもエプソン(株)製)、ピクタファイン(日立マクセル(株)製)等として市販されている。なお、普通紙にも利用できることはもちろんである。
これらのうち、特に無機微粒子を表面に塗工した被記録材に記録した画像がオゾンガスによって変退色が大きくなることが知られているが、本発明の水性オレンジインク組成物はガス耐性が優れているため、このような被記録材への記録の際に特に効果を発揮する。
本発明のインクジェット記録方法で、被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。本発明のインクジェット記録方法では、公知公用のイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物に加えて、グリーンインク組成物、ブルー(又はバイオレット)インク組成物及び本発明のオレンジインク組成物、必要に応じてブラックインク組成物等と併用される。各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、この容器を、本発明のインクジェット記録用水性オレンジインク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定位置にセット(装填)されて、使用される。インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンタや加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式のプリンタ等があげられる。
本発明の水性オレンジインク組成物は、鮮明なオレンジ色であり、特にインクジェット光沢紙において高い鮮明な色相を有する。また、人に対する安全性も高い。他のイエロー、マゼンタのインクと共に用いる事で、通常のイエローインクとマゼンタインクの混色では出し得ない色調を色出しする事ができ、色表現の優れた記録物を得ることができる。
また、記録画像の堅牢度も高い。
本発明によるインクは貯蔵中に沈澱、分離することがない。また、本発明によるインクをインクジェット記録において使用した場合、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明によるインクは連続式インクジェットプリンタによる比較的長い時間一定の再循環下又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
以下に本発明を更に実施例により、より具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り重量基準である。
実施例1 (化合物No.21の合成)
常法により、2−Naphtylamin−1,5−disulfonicacid36.3部を塩酸と亜硝酸ナトリウムでジアゾ化しておく。4−Hydroy−7−methylamino−2−naphthalenesulfonicacid30.3部を水と液体苛性ソーダでpH6−7として溶解させ、この物に無水酢酸17.2部を加え、温度25−35℃でアセチル化反応を行なった。次に、先の2−Naphtylamin−1,5−disulfonicacidとカップリングさせた。この時のpHは6−7にするために10%炭酸ナトリウム水溶液で調整、温度10−15℃で反応させた。次に、48%液体苛性ソーダを対液量の3%量を加え、温度75−80℃で加水分解を行なった。塩酸でpH7−8に中和後塩析、濾過することによりモノアゾ化合物を得た。このモノアゾ化合物を水で溶解後、塩化シアヌル18.4部を加え、温度3−10℃で1次縮合させた。この物を炭酸ナトリウムでpH6−7に中和後、25%アンモニア水19部を加え40−45℃で2次縮合をさせた。その後、液濾過を施した後にモルホリン11部を加えpH8−9、温度90−95℃で3次縮合させた。pHコントロールは10%炭酸ナトリウム水溶液を使用、得られた生成物を塩析、濾過することにより遊離酸の形で下記式(7)(化合物No.21)で表される鮮明なオレンジ色のモノアゾ化合物(水中でのλmax488nm)50部を得た。
Figure 2005042028
実施例2 (化合物No.1、No.2の合成)
常法により、塩化シアヌル18.4部と3−Aminobenzensulfonicacidを10.4部、更に4−Aminobenzensulfonicacid6.9部を水性媒体中でpH1.8−2.2、温度3−10℃で1次縮合させ、次に4−Hydroy−7−methylamino−2−naphtalenesulfonicacidを24.1部加え、pH4−5、温度28−35℃で2次縮合を行なった。得られた反応物に常法により反応させた2−Aminobenzensulfonicacid16部のジアゾニュウム塩を加え、pH6−7、温度10−15℃でカップリングさせた。3次縮合にはモルホリン11部を加え、pH8−9、温度90−95℃で反応させた。pHコントロール剤はいずれも10%炭酸ナトリウム水溶液を使用した。得られた生成物を塩析、濾過することにより遊離酸の形で下記式(8)(化合物例No.1と2の混合物)で表される鮮明なオレンジ色のモノアゾ化合物(水中でのλmax483nm)50部を得た。
Figure 2005042028
実施例3
(A)インクの調製
上記実施例1,2で得られた各化合物を用いて表3に示した組成の液体を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事により各インクジェット記録用水性インク組成物を得た。また水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=8〜9、総量100部になるように水、水酸化ナトリウムを加えた。実施例1で得られた化合物を用いた試験を実施例3、実施例2で得られた化合物を用いた試験を実施例4とする。
表3(インク組成物)
No.21の化合物 2.0部
水+水酸化ナトリウム 78.9部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
サーフィノール104PG50(日信化学社製) 0.1部
計 100.0部
(B)インクジェットプリント
インクジェットプリンタ(キヤノン社製 BJ−S630)を用いて、普通紙(キヤノン社製 プリンタペーパA4 TLB5A4S)、色素受容層を有する光沢紙(キヤノン社製 プロフェッショナルフォトペーパー PR−101)の2種にインクジェット記録を行った。
以下比較試験として、実施例1のインクと同じ濃度になるようにインクを調製し評価を行った。
比較例1
比較対象として実施例で得られた化合物の代わりに特許文献2に記載されているC.I.Direct Orange 26(下記式(9))を2.7部使用する以外は実施例1と同様にしてインクを調製、インクジェット記録をし、記録画像の評価を行った。
Figure 2005042028
比較例2
比較対象として実施例で得られた化合物の変わりに特許文献3に記載されているC.I.Reactive Orange 5(下記式(10))を1.8部使用する以外は実施例1と同様にしてインクを調製、インクジェット記録をし、記録画像の評価を行った。 濃度の合わせ方は、以下のように行った。実施例1のインクと比較例のインクを、水で同じ希釈率で希釈した際に500nm付近のλmaxでの吸光度が同じになるように色素の量を調節してインクを調製した。次にインクジェット記録の際、プリンター設定の吐出量を変化させながら、印画表面濃度を変えたものを複数用意した。オレンジの場合は、色素によって黄味に近い色相と赤味に近い色相があるが、赤味色度a*値を合わせた時に視感での色合いが近くなる為、各記録紙の色度a*値が合うところで以下の評価を行った。
Figure 2005042028
(C)記録画像の評価
1.色相評価
1−1.光沢紙での色相評価
記録画像の色相、鮮明性:記録紙を測色システム(GRETAG SPM50:GRETAG社製)を用いて測色し、L*、a*、b*値を算出した。鮮明性は各記録紙の色度a*値を合わせた時の色度(a*、b*)からC* =((a* )2+(b* )2)1/2を算出し、評価した。また、同時に明度(L*値)も評価した。
実施例1、実施例2と比較例1の色相の結果を表4に示す。
表4
色相 明度 鮮明性
a* b* L* C*
実施例1 (光沢紙) 40.0 60.0 77.7 72.3
実施例2 (光沢紙) 40.0 87.8 77.2 96.3
比較例1 (光沢紙) 40.0 44.5 71.0 60.7
比較例2 (光沢紙) 40.0 77.9 76.4 87.5
表4より、実施例2は、比較例1、2よりも、色度a* 値を40.0に合わせたときのC*値、L*値が高く、非常に鮮明性が高く、明度も高い色相であることがわかる。実施例1は比較例1よりもC*値、L*値が高く、比較例2よりもL*値が高く、非常に鮮明性の高い色相であることがわかる。
1−2.普通紙での色相評価
上記と同様にして、実施例1と実施例2と比較例1の普通紙での色相結果を表5に示す。
表5
色相 明度 鮮明性
a* b* L* C*
実施例1 (普通紙) 41.0 48.6 74.4 63.8
実施例2 (普通紙) 41.0 65.1 72.8 77.3
比較例1 (普通紙) 41.0 24.9 68.9 48.3
比較例2 (普通紙) 41.0 55.9 73.7 69.1
表5より、実施例1、実施例2は、色度a* 値を41.0に合わせたときのC*値、L*値が、比較例1よりも高く、実施例2は、比較例2よりもC*値、L*値が高く、普通紙においても実施例1,2は、非常に鮮明性が高い色相であることがわかる。
(D)記録画像のキセノン耐光性試験
キヤノン社製光沢紙と普通紙にプリントした試験片をキセノンウェザオメータCi4000(ATLAS社製)を用い、0.36W/平方メートル照度で50時間照射し、試験前後の色差(ΔE)を測定した。結果を表5に示す。
表5
耐光性(ΔE)
実施例1(光沢紙) 25.0
実施例2(光沢紙) 38.9
比較例1(光沢紙) 49.5

実施例1(普通紙) 23.5
実施例2(普通紙) 18.9
比較例1(普通紙) 37.4
表5より、実施例1、実施例2は、普通紙、光沢紙共に、比較例1よりΔE値が小さく、耐光性が強いことがわかる。
(E)インクの保存安定性
表1のインク組成で作製した実施例1、実施例2と比較例1のインクを室温下で1日放置し、1日放置後、7ヶ月間後のインクの溶液状態を評価した。溶液状態の判定は視感で、結晶の析出或いはゲル化することがない場合を○とし、ゲル化する場合を×とする。
結果は表6に示す。
表6
作製後 1日放置後 7ヶ月間後
実施例1 ○ ○ ○
実施例2 ○ ○ ○
比較例1 ○ × −
表6より、実施例1は、インクを7ヶ月間放置しても溶液状態は良好であり、インクの保存安定性が良好であるが、比較例1は1日放置するとゲル化し、インクの保存安定性が極めて劣る。
(F)インクの加速保存安定性
表1のインク組成で作製した実施例2と比較例2のインクを、70℃下で7日間放置し、放置前と7日間放置後のインクの液クロ分析を実施し、化合物の本体純度を測定した。その測定数値の結果を表7に示す。放置前の本体純度を100にしたときの70℃×7日間放置後の本体純度を算出した。
表7
放置前 70℃×7日後
実施例2 100 100
比較例2 100 78
実施例2は70℃で7日間保存しても、化合物本体の純度には変化がなく、分解もされていないが、比較例2は70℃で7日間保存すると化合物の本体純度が約20%低下し、、分解しやすいことが判る。
表3〜7より、本発明の式(1)の水溶性モノアゾ化合物を1種又は2種以上含有しているオレンジインクは、非常に鮮明性の高い色相であり、耐光堅牢度が強く、非常に優れたオレンジインクであることがわかる。

Claims (12)

  1. 遊離酸の形で下記式(1)で示される水溶性モノアゾ化合物又はその塩、
    Figure 2005042028
    (式(1)中、R1は置換もしくは非置換のアミノ基を、R2は置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換の水酸基、又は置換もしくは非置換のメルカプト基を、R3は置換もしくは非置換のフェニル基又は置換もしくは非置換のナフチル基を、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基をそれぞれ表わす。)
  2. 式(1)中のR3が遊離酸の形で式(2)、又は式(3)で表される置換基である請求項1記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩。
    Figure 2005042028
    (式(2)中、Y1は水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を、nは0〜2の整数をそれぞれ表わす。)
    Figure 2005042028
    (式(3)中、Y2は水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を、mは0〜3の整数をそれぞれ表わす)
  3. 式(1)中のR3が遊離酸の形で式(4)、又は式(5)で表される置換基である請求項1記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩。
    Figure 2005042028
    (式(4)中、Y1は水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を表わす。)
    Figure 2005042028
    (式(5)中、Y2はそれぞれ独立に水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を表わす。)
  4. 式(1)においてR1がアミノ基、3−スルホアニリノ基又は4−スルホアニリノ基であり、R2が、3−スルホアニリノ基、4−スルホアニリノ基、2−カルボキシアニリノ基、モルホリノ基、2−スルホエチルアミノ基、カルボキシメチルアミノ基、3,5−ジスルホアニリノ基、4−ヒドロキシ−5−カルボキシアニリノ基、2−メチルアニリノ基、モノエタノールアミノ基;ジエタノールアミノ基、水酸基、2−カルボキシエチルアミノ基、3−スルホプロピルチオ基、2−スルホエチルチオ基であり、R3が式(4)又は式(5)である請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩を1種又は2種以上を水性媒体に溶解してなるインクジェット記録用水性オレンジインク組成物
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性モノアゾ化合物又はその塩を水性媒体に溶解することを特徴とするインクジェット記録用水性オレンジインク組成物の製法
  7. 6色以上のインクを用い、インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インク組成物として請求項5記載の水性オレンジインク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法
  8. 被記録材が情報伝達用シートである請求項7に記載のインクジェット記録方法
  9. 情報伝達用シートが写真画質用インクジェット専用紙である請求項8に記載のインクジェット記録方法
  10. 請求項5に記載のインクジェット記録用水性オレンジインク組成物で着色された着色体
  11. 着色がプリンタによりなされた請求項10に記載の着色体
  12. 請求項5に記載の水性オレンジインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ
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US7351808B2 (en) * 2002-07-26 2008-04-01 Ciba Specialty Chemicals Corporation Anionic monoazo dyes
CN106009769A (zh) * 2016-05-17 2016-10-12 黄山普米特新材料有限公司 活性橙及其合成方法

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