JP5548681B2 - マゼンタ色素、インク組成物及び着色体 - Google Patents

マゼンタ色素、インク組成物及び着色体 Download PDF

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Description

本発明は、特定の式で表されるマゼンタ色素又はその塩、これを含有するインク組成物、該インク組成物を用いる記録方法、及び該インク組成物により着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法、すなわちインクジェット記録は、インクの吐出方式が各種開発されている。これらはいずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材、例えば、紙、フィルム、布帛等に付着させ記録を行うものである。この記録方法は、プリンタヘッドと被記録材とが直接接触しないため、音の発生がなく静かであり、また、小型化、高速化、カラー化が容易であるという特長を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性の色素(染料)を水性媒体に溶解したインクが使用されている。また、これらのインクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、形成される記録画像には、耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の各種の堅牢性が求められている。
一方、コンピュータのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタによりカラーで記録する方法として、一般にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が挙げられる。CRTディスプレイ等のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を減法混色画像で出来るだけ忠実に再現するために、Y、M、Cのそれぞれが、それぞれの標準に出来るだけ近い色相を有し、且つ鮮明であることが望まれる。
インクジェットプリンタの用途はOA用小型プリンタから産業用の大型プリンタにまで拡大されてきており、これに伴いインクジェット記録画像には、これまで以上に上記各種の堅牢性が求められている。
耐水性については、多孔質シリカ、カチオン系ポリマー、アルミナゾル、特殊セラミック等のインク中の色素を吸着し得る無機微粒子を、PVA樹脂等と共に被記録材の表面にコーティングするといった手法により、大幅に改良されてきている。
耐湿性とは、着色された被記録材を高湿度の雰囲気下に保存した際に、被記録材中の色素が滲んでくるという現象に対する耐性のことである。色素の滲みが生じると、特に写真調の高精細な画像においては著しく画像品位が低下するため、このような滲みを出来るだけ少なくすることが重要である。
耐光性については、これを大幅に改良する技術は未だ確立されていない。特にY、M、C、Kの4原色のうちマゼンタ色素はもともと耐光性が弱いものが多く、その改良が重要な課題となっている。
また、デジタルカメラ等の普及に伴い、一般の家庭でもデジタルカメラ等で撮影した画像データを、インクジェットプリンタにより写真画質で記録(印刷)する機会が増している。このような記録物を長期保管する際に、空気中の酸化性ガスによる記録画像の変退色も問題視されている。酸化性ガスは、被記録材上又は被記録材中で色素と反応し、記録された画像を変退色させる。酸化性ガスの中でも、オゾンガスはインクジェット記録画像の変退色現象を促進させる主原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット記録画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上も重要な課題となっている。
水性のインクジェット記録用インクに用いられているマゼンタ色素としては、キサンテン系色素とH酸(1−アミノ−8−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸)を用いたアゾ系色素とが代表的である。しかし、キサンテン系色素については、色相及び鮮明性は非常に優れるが、耐光性が非常に劣る。一方、H酸を用いたアゾ系色素については、色相及び耐水性の点では良いものがあるが、耐光性、耐ガス性、及び鮮明性が劣る。後者については鮮明性及び耐光性の優れた色素も開発されてはいるが、銅フタロシアニン系色素に代表されるシアン色素やイエロー色素等の、他の色相の色素に比べて耐光性が依然劣る水準である。
鮮明性及び耐光性の優れるマゼンタ色素としては、アントラピリドン系色素(例えば、特許文献1〜12参照)があるが、色相、鮮明性、耐光性、耐水性、耐ガス性、溶液安定性等の全てを満足させるものは得られていない。
特許文献13には、色画像の耐光性に優れ、色再現性に優れるとされる、インクジェット用の着色微粒子分散物等が開示されている。
また、特許文献14には、バルク染色方法に用いるアントラピリドン染料が開示されている。
特開2000−109464号公報 特開平10−306221号公報 特開2000−191660号公報 特開2000−169776号公報 特開2001−72884号公報 特開2001−139836号公報 特開2002−332418号公報 特開2005−8868号公報 特開2005−314514号公報 特開2006−188706号公報 特許3767879号公報 国際公開2008/018495号 特開2005−126587号公報 特開昭50−151954号公報
本発明は、インクジェット記録に適する色相を有し、且つ記録物の耐オゾンガス性に優れたマゼンタ色素及びこれを含有するインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、少なくとも1種類の下記式(1)で表される色素又はその塩、及びこれを色素として含有するインク組成物が上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1)
少なくとも1種類の下記式(1)で表される色素又はその塩を含有するインク組成物、
Figure 0005548681
[式(1)中、
乃至Xはそれぞれ独立に、無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;C1−C4アルキル基若しくはヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;又はヒドロキシ基;を表し、
乃至Xの少なくとも1つはヒドロキシ基以外の基であり、
Rは水素原子、カルボキシ基、C1−C8アルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、カルバモイル基、シアノ基、C1−C8アルキル基、アニリノ基、フェノキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、又はメルカプト基を表し、
は水素原子、C1−C8アルキル基、ヒドロキシC1−C4アルキル基、フェニル基、モノC1−C4アルキルアミノC1−C4アルキル基、ジ(C1−C4アルキル)アミノC1−C4アルキル基、又はシアノC1−C4アルキル基を表し、
及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はC1−C8アルキル基を表す。]
2)
インク組成物中に含有する色素の総含有量が、該インク組成物の総質量に対して、0.5〜20質量%である上記1)に記載のインク組成物、
3)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記1)又は2)に記載のインク組成物、
4)
インクジェット記録用である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のインク組成物、
5)
インク組成物中に含有する色素の総質量中における無機不純物の含有量が、該色素の総質量に対して1質量%以下である上記1)乃至4)のいずれか一項に記載のインク組成物、
6)
上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法、
7)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記6)に記載のインクジェット記録方法、
8)
上記情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである上記7)に記載のインクジェット記録方法、
9)
上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体、
10)
上記6)に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体、
11)
上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ、
12)
上記式(1)で表される色素又はその塩が下記式(2)で表される色素又はその塩である上記1)に記載のインク組成物、
Figure 0005548681
[式(2)中、X乃至X、R、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
13)
上記式(1)で表される色素又はその塩が下記式(3)で表される色素又はその塩である上記1)に記載のインク組成物、
Figure 0005548681
[式(3)中、X乃至X、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
14)
上記式(1)で表される色素又はその塩が下記式(4)で表される色素又はその塩である上記1)に記載のインク組成物、
Figure 0005548681
[式(4)中、
は無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;又はC1−C4アルキル基若しくはヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;を表し、
h及びjはいずれも平均値で、hが0.8以上3.0以下、jが0以上2.2以下であり、hとjとの和は3.0である。]
15)
上記式(1)で表される色素又はその塩が下記合成方法a)及び合成方法b)のいずれかの方法により得られる色素又はその塩である上記1)に記載のインク組成物、
合成方法a):
下記式(5)で表される化合物と、無置換スルホアニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリン;無置換スルホナフチルアミン;及び、C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを反応させる方法、
合成方法b):
下記式(5)で表される化合物と、無置換アニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたアニリン;無置換ナフチルアミン;及び、C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを反応させた後、得られた化合物をさらにスルホ化する方法、
Figure 0005548681
[式(5)中、Qはハロゲン原子を表し、R、R、R、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
16)
少なくとも1種類の下記式(1)で表される色素からなるマゼンタ色素又はその塩、
Figure 0005548681
[式(1)中、
乃至Xはそれぞれ独立に、無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;C1−C4アルキル基若しくはヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;又はヒドロキシ基;を表し、
乃至Xの少なくとも1つはヒドロキシ基以外の基であり、
Rは水素原子、カルボキシ基、C1−C8アルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、カルバモイル基、シアノ基、C1−C8アルキル基、アニリノ基、フェノキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、又はメルカプト基を表し、
は水素原子、C1−C8アルキル基、ヒドロキシC1−C4アルキル基、フェニル基、モノC1−C4アルキルアミノC1−C4アルキル基、ジ(C1−C4アルキル)アミノC1−C4アルキル基、又はシアノC1−C4アルキル基を表し、
及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はC1−C8アルキル基を表す。]
17)
上記式(1)で表される色素が下記式(2)で表される色素である上記16)に記載のマゼンタ色素又はその塩、
Figure 0005548681
[式(2)中、X乃至X、R、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
18)
上記式(1)で表される色素が下記式(3)で表される色素である上記16)に記載のマゼンタ色素又はその塩、
Figure 0005548681
[式(3)中、X乃至X、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
19)
上記式(1)で表される色素が下記式(4)で表される色素である上記16)に記載のマゼンタ色素又はその塩、
Figure 0005548681
[式(4)中、
は、無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;又はC1−C4アルキル基若しくはヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;を表し、
h及びjはいずれも平均値で、hが0.8以上3.0以下、jが0以上2.2以下であり、hとjとの和は3.0である。]
20)
上記式(1)で表される色素が下記合成方法a)及び合成方法b)のいずれかの方法により得られる色素である上記16)に記載のマゼンタ色素又はその塩、
合成方法a)
下記式(5)で表される化合物と、無置換スルホアニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリン;無置換スルホナフチルアミン;及び、C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを反応させる方法。
合成方法b)
下記式(5)で表される化合物と、無置換アニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたアニリン;無置換ナフチルアミン;及び、C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを反応させた後、得られた化合物をさらにスルホ化する方法。
Figure 0005548681
[式(5)中、Qはハロゲン原子を表し、R、R、R、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
に関する。
上記式(1)で表される色素からなる本発明のマゼンタ色素又はその塩は、インク組成物製造過程でのメンブランフィルタに対する濾過性が良好であるという特徴を有する。また、上記式(1)で表される色素又はその塩を含有する本発明のインク組成物をインク、特にインクジェット記録用インクとして用いることにより、写真調のカラー画像の色相を、被記録材上に忠実に再現することが可能である。また、写真画質用のインクジェット専用紙(フィルム)のような無機微粒子を表面に塗工した被記録材に記録しても耐オゾンガス性が良好であり、このような記録画像の長期保存安定性に優れている。したがって、上記式(1)で表される色素からなる本発明のマゼンタ色素又はその塩、及び上記式(1)で表される色素又はその塩を含有する本発明のインク組成物は、インクジェット記録用途に極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。
本発明のマゼンタ色素又はその塩は、少なくとも1種類の上記式(1)で表される色素からなるマゼンタ色素又はその塩である。本明細書においては煩雑さを避けるため、「本発明のマゼンタ色素又はその塩」の両者を含めて、以下「本発明のマゼンタ色素」と簡略して記載する。
本発明のインク組成物は、マゼンタインク、特にインクジェット記録に用いるマゼンタインクとして好適であり、少なくとも1種類の上記式(1)で表される色素又はその塩を含有することを特徴とする。本明細書においては煩雑さを避けるため、「式(1)で表される色素又はその塩」の両者を含めて、以下「式(1)で表される色素」と簡略して記載する。
式(1)で表される色素は、単一の色素として使用してもよいし、複数の色素の混合物として使用してもよい。色素合成の容易さ、安価さ、及び合成された色素の溶解性等の観点から、式(1)で表される色素は複数の色素からなる色素混合物として本発明のインク組成物に含有するのが好ましい。
なお、本明細書においては特に断りがない限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
上記式(1)で表される色素について記載する。
上記式(1)中、X乃至Xにおける、無置換スルホアニリノ基としては、スルホ基が通常1つ〜3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ置換したものが挙げられる。
具体例としては、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノ等のスルホ基が1つ置換したもの;3,5−ジスルホアニリノ等のスルホ基が2つ置換したもの;2,4,6−トリスルホアニリノ等のスルホ基が3つ置換したものが挙げられる。これらの中では、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、及び4−スルホアニリノが好ましく、3−スルホアニリノ及び4−スルホアニリノがより好ましい。
乃至Xにおける、C1−C12アルキル基で置換されたスルホアニリノ基中のC1−C12アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、及び環状のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。該アルキル基における炭素数の範囲としては、直鎖又は分岐鎖のとき通常C1−C12、好ましくはC1−C8、より好ましくはC1−C6、さらに好ましくはC1−C4;環状のとき通常C3−C8、好ましくはC3−C6である。該アルキル基の置換数としては、通常1又は2、好ましくは1である。
該C1−C12アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソアミル、イソヘキシル、イソヘプチル、イソオクチル、イソノニル、イソデシル、イソウンデシル、イソドデシル等の分岐鎖のもの;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の環状のもの;等が挙げられる。これらの中でもメチルが特に好ましい。
乃至Xにおける、C1−C12アルキル基で置換されたスルホアニリノ基の具体例としては、2−メチル−4−スルホアニリノ、2−メチル−5−スルホアニリノ、3−メチル−4−スルホアニリノ、4−メチル−2−スルホアニリノ、4−メチル−3−スルホアニリノ、3−エチル−4−スルホアニリノ、4−エチル−3−スルホアニリノ、4−ブチル−3−スルホアニリノ、4−ヘキシル−3−スルホアニリノ、4−n−オクチル−3−スルホアニリノ、3−ドデシル−4−スルホアニリノ、4−ドデシル−3−スルホアニリノ、3,5−ジメチル−4−スルホアニリノ、3,5−ジエチル−4−スルホアニリノ等の、1つ又は2つの直鎖C1−C12アルキル基で置換されたもの;3−イソプロピル−4−スルホアニリノ、4−イソプロピル−3−スルホアニリノ、3−イソブチル−4−スルホアニリノ、4−イソブチル−3−スルホアニリノ、4−tert−アミル−3−スルホアニリノ等の分岐鎖C1−C12アルキル基で置換されたもの;4−シクロプロピル−3−スルホアニリノ、3−シクロペンチル−4−スルホアニリノ、4−シクロペンチル−3−スルホアニリノ、3−シクロヘキシル−4−スルホアニリノ、4−シクロヘキシル−3−スルホアニリノ等の環状C1−C12アルキル基で置換されたもの;等が挙げられる。これらの中では、2−メチル−4−スルホアニリノ、2−メチル−5−スルホアニリノ、3−メチル−4−スルホアニリノ、4−メチル−2−スルホアニリノ、及び4−メチル−3−スルホアニリノが好ましく、4−メチル−2−スルホアニリノ及び4−メチル−3−スルホアニリノがより好ましい。
乃至Xにおける、C1−C6アルコキシ基で置換されたスルホアニリノ基中のC1−C6アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。該アルコキシ基における炭素数の範囲としては、通常C1〜C6、好ましくはC1〜C4である。該アルコキシ基の置換数としては、通常1又は2、好ましくは1である。
該C1−C6アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシロキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、イソアミロキシ、イソヘキシロキシ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらの中でもメトキシが特に好ましい。
乃至Xにおける、C1−C6アルコキシ基で置換されたスルホアニリノ基の具体例としては、2−メトキシ−5−スルホアニリノ、2−メトキシ−4−スルホアニリノ、3−メトキシ−4−スルホアニリノ、4−メトキシ−2−スルホアニリノ、5−メトキシ−2−スルホアニリノ、4−メトキシ−3−スルホアニリノ、3−エトキシ−4−スルホアニリノ、3−n−プロポキシ−4−スルホアニリノ、4−n−ブトキシ−3−スルホアニリノ、4−(n−ヘキシルオキシ)−3−スルホアニリノ、3,5−ジメトキシ−4−スルホアニリノ、3,5−ジ−n−ブトキシ−4−スルホアニリノ等の、1つ又は2つの直鎖C1−C6アルコキシ基で置換されたもの;4−イソプロポキシ−3−スルホアニリノ、4−イソブトキシ−3−スルホアニリノ、4−tert−ブトキシ−3−スルホアニリノ、3,5−ジ−tert−ブトキシ−4−スルホアニリノ等の分岐鎖C1−C6アルコキシ基で置換されたもの;等が挙げられる。これらの中では、2−メトキシ−5−スルホアニリノ、2−メトキシ−4−スルホアニリノ、3−メトキシ−4−スルホアニリノ、4−メトキシ−2−スルホアニリノ、5−メトキシ−2−スルホアニリノ、及び4−メトキシ−3−スルホアニリノが好ましく、2−メトキシ−5−スルホアニリノ及び2−メトキシ−4−スルホアニリノがより好ましい。
乃至Xにおける、ヒドロキシ基で置換されたスルホアニリノ基としては、通常1つ又は2つ、好ましくは1つのヒドロキシ基で置換されたものが挙げられる。その具体例としては、2−ヒドロキシ−5−スルホアニリノ、3−ヒドロシキ−4−スルホアニリノ等が挙げられる。これらの中では前者が好ましい。
乃至Xにおける、無置換スルホナフチルアミノ基としては、スルホ基を通常1つ〜3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ有する1−又は2−ナフチルアミノ基が挙げられる。具体例としては、4−スルホ−1−ナフチルアミノ、5−スルホ−1−ナフチルアミノ、6−スルホ−1−ナフチルアミノ、7−スルホ−1−ナフチルアミノ、6−スルホ−2−ナフチルアミノ等のスルホ基を1つ有するもの;6,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、5,7−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、4,8−ジスルホ−1−ナフチルアミノ、4,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノ等のスルホ基を2つ有するもの;3,6,8−トリスルホ−1−ナフチルアミノ等のスルホ基を3つ有するもの;等が挙げられる。これらの中では、4−スルホ−1−ナフチルアミノ、5−スルホ−1−ナフチルアミノ、6−スルホ−1−ナフチルアミノ、7−スルホ−1−ナフチルアミノ、6−スルホ−2−ナフチルアミノ、及び4,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノが好ましく、4−スルホ−1−ナフチルアミノ、6−スルホ−1−ナフチルアミノ、6−スルホ−2−ナフチルアミノ、及び4,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノがより好ましく、4−スルホ−1−ナフチルアミノ、6−スルホ−1−ナフチルアミノ、及び6−スルホ−2−ナフチルアミノがさらに好ましい。
乃至Xにおける、C1−C4アルキル基で置換されたスルホナフチルアミノ基中のC1−C4アルキル基としては、上記「X乃至Xにおける、C1−C12アルキル基で置換されたスルホアニリノ基中のC1−C12アルキル基」に記載したもののうち、炭素数の範囲がC1−C4に限定される以外は、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
乃至Xにおける、C1−C4アルキル基で置換されたスルホナフチルアミノ基の具体例としては、2−メチル−1−ナフチルアミノ等が挙げられる。
乃至Xにおける、ヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基としては、通常1つ又は2つ、好ましくは1つのヒドロキシ基で置換された、モノ又はジスルホナフチルアミノ基が挙げられる。その具体例としては、5−ヒドロキシ−7−スルホ−1−ナフチルアミノ、2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアミノ、8−ヒドロキシ−6−スルホ−2−ナフチルアミノ、5−ヒドロキシ−8−スルホ−2−ナフチルアミノ、8−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアミノ等の、1つのヒドロキシ基で置換された(モノ)スルホナフチルアミノ基;8−ヒドロキシ−4,6−ジスルホ−1−ナフチルアミノ、8−ヒドロキシ−2,4−ジスルホ−1−ナフチルアミノ等の、1つのヒドロキシ基で置換されたジスルホナフチルアミノ基;等が挙げられる。これらの中では、5−ヒドロキシ−7−スルホ−1−ナフチルアミノ及び8−ヒドロキシ−2,4−ジスルホ−1−ナフチルアミノが好ましい。
乃至Xとしては、上記のうち、無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基で置換されたスルホアニリノ基;C1−C6アルコキシ基で置換されたスルホアニリノ基;スルホナフチルアミノ基;又は、ヒドロキシ基が好ましい。なお、X乃至Xの少なくとも1つはヒドロキシ基以外の基である。
上記式(1)中、RにおけるC1−C8アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。炭素数の範囲としては、通常C1−C8、好ましくはC1−C6、より好ましくはC1−C4である。
具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシロキシ、n−ヘプチロキシ、n−オクチロキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
RにおけるC1−C6アルキルチオ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。炭素数の範囲としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4である。
具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ等の直鎖のもの;イソプロピルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
RにおけるC1−C8アルキル基としては、上記「X乃至Xにおける、C1−C12アルキル基で置換されたスルホアニリノ基中のC1−C12アルキル基」に記載したもののうち、炭素数の範囲がC1−C8に限定される以外は、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。なお、炭素数の範囲としては、直鎖又は分岐鎖のとき通常C1−C8、好ましくはC1−C6、より好ましくはC1−C4;環状のときC3−C8、好ましくはC3−C6である。
式(1)におけるRとしては、上記のうち、水素原子、C1−C8アルコキシ基、又はC1−C8アルキル基が好ましく、水素原子、C1−C4アルコキシ基、又はC1−C4アルキル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
上記式(1)中、RにおけるC1−C8アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、及び環状のものが挙げられ、直鎖又は環状のものが好ましい。該アルキル基における炭素数の範囲としては、直鎖又は分岐鎖のとき通常C1−C8、好ましくはC1−C6、より好ましくはC1−C4;環状のとき通常C3−C8、好ましくはC3−C6である。
該C1−C8アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソアミル、イソヘキシル、イソヘプチル、イソオクチル等の分岐鎖のもの;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の環状のもの;等が挙げられる。これらの中でもメチル又はシクロヘキシルが好ましく、メチルが特に好ましい。
におけるヒドロキシC1−C4アルキル基としては、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
におけるモノC1−C4アルキルアミノC1−C4アルキル基としては、モノメチルアミノメチル、2−(モノメチルアミノ)エチル、2−(モノエチルアミノ)エチル等が挙げられる。
におけるジ(C1−C4アルキル)アミノC1−C4アルキル基としては、ジメチルアミノメチル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
におけるシアノC1−C4アルキル基としては、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、4−シアノブチル等が挙げられる。
としては、上記のうち、水素原子又はC1−C8アルキル基が好ましく、C1−C8アルキル基がより好ましい。
上記式(1)中、R及びRにおけるC1−C8アルキル基としては、上記「X乃至Xにおける、C1−C12アルキル基で置換されたスルホアニリノ基中のC1−C12アルキル基」に記載したもののうち、炭素数の範囲がC1−C8に限定される以外は、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。なお、炭素数の範囲としては、直鎖又は分岐鎖のとき通常C1−C8、好ましくはC1−C6、より好ましくはC1−C4;環状のときC3−C8、好ましくはC3−C6である。
及びRとしては、いずれも水素原子であるのが好ましい。
上記式(1)における、「−SO」基乃至「−SO」基、R、R、R、及びRの置換位置は特に制限されないが、下記式(101)に示す位置番号において、以下の置換位置の組み合わせが好ましい。
組み合わせ(1):
「−SO」基乃至「−SO」基が2’位、6’位、及び8’位から選択される任意の位置に1つずつ;Rが3’位;R及びRが7’位、9’位、及び10’位から選択されるいずれか2つの位置に1つずつ;の組み合わせ。
組み合わせ(2):
「−SO」基乃至「−SO」基が4’位、6’位、及び8’位から選択される任意の位置に1つずつ;Rが1’位;R及びRが7’位、9’位、及び10’位から選択されるいずれか2つの位置に1つずつ;の組み合わせ。
組み合わせ(3):
「−SO」基乃至「−SO」基が2’位に1つと、6’位、8’位、及び10’位から選択されるいずれか2つの位置に1つずつ;Rが3’位;R及びRが7’位及び9’位に1つずつ;の組み合わせ。
組み合わせ(4):
「−SO」基乃至「−SO」基が2’位に1つと、7’位、8’位、及び10’位から選択されるいずれか2つの位置に1つずつ;Rが3’位;R及びRが6’位及び9’位に1つずつ;の組み合わせ。
これらの組み合わせのうち、組み合わせ(1)が特に好ましい。
Figure 0005548681
上記式(1)で表される色素の具体例を下記表1に示すが、特にこれらに限定されるものではない。なお、表1中、R、R、及びRの置換位置は上記式(101)に示した位置に対応する。「−SO」基乃至「−SO」基の置換位置は特に記載していないが、R及びRの置換位置に応じて、上記置換位置の組み合わせ(1)乃至(4)のいずれかに対応して置換する。
Figure 0005548681
Figure 0005548681
Figure 0005548681
Figure 0005548681
Figure 0005548681
Figure 0005548681
上記式(1)で表される色素の好ましいものが、上記式(2)で表される色素であり、より好ましいものが上記式(3)で表される色素である。
上記式(2)及び式(3)中、適宜使用されるX乃至X、R、及びRは、上記式(1)におけるのと、好ましいもの等を含めて同じ意味を表す。
式(2)における「−SO」基乃至「−SO」基、及びRの置換位置については、上記式(1)におけるR及びRを水素原子と読み替えれば、上記式(1)における置換位置の組み合わせ(1)乃至(4)と、好ましいものを含めて同じでよい。
また、式(3)における「−SO」基乃至「−SO」基は、上記式(101)における2’位、6’位、及び8’位から選択される任意の位置に1つずつ置換するのが好ましい。
上記式(1)乃至式(3)で表される色素の特に好ましいものが、上記式(4)で表される色素である。
式(4)で表される色素は、上記式(1)乃至式(3)で表される色素のうち、X乃至Xの少なくとも1つがヒドロキシ基以外の基であり、且つ、該ヒドロキシ基以外の基が、無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基からなる群より選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;及び、C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;よりなる群から選択される単一の基である色素の混合物である。
式(4)で表される色素の一例として、X乃至Xの全てが無置換スルホアニリノ基;いずれか2つが無置換スルホアニリノ基で残りの1つがヒドロキシ基;いずれか1つが無置換スルホアニリノ基で残りの2つがヒドロキシ基;である、少なくとも3種類の色素からなる色素混合物が挙げられる。
したがって、式(4)中、Xにおける無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基からなる群より選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;は、上記式(1)中のX乃至Xにおける相当する基と、好ましいもの等を含めて同じ意味を表す。
式(4)におけるh及びjは、それぞれ「−SO」基と、「−SOH」基(スルホ基)の置換数を表す平均値であり、hとjとの和は3.0である。
hは通常0.8以上3.0以下、好ましくは1.0以上3.0以下である。
jは通常0以上2.2以下、好ましくは0以上2.0以下である。
式(4)で表される色素は、実質的に「−SO」基と、「−SOH」基とが、特定のアントラピリドン構造に合計で3つ置換した色素の混合物である。したがって、該色素混合物のHPLC分析を行い、該色素混合物を構成する、それぞれ単一の色素のHPLCにおける面積比を測定することにより、式(4)におけるh及びjの値を算出することができる。一例として、下記表2の構成である色素混合物(A)におけるhの計算方法を下記する。なお、「HPLC面積比」は、目的とする式(4)で表される色素の合計を100%に換算した値である。
Figure 0005548681
色素混合物(A)における平均値hの計算方法:
h=[(1×A)+(2×A)+(3×A)]/(A+A+A
本明細書においては、HPLCの面積比は実測値の小数点以下1桁までを計算に使用し、算出されたhについては小数点以下2桁目を四捨五入して小数点以下1桁とした値を記載する。なお、平均値jは、上記hの計算方法と同様にして算出することもできるが、簡便には、「j=3.0−h」として算出してもよい。
上記HPLC分析における「−SO」基の置換数は、例えばHPLCで検出された各単一色素のピークを分取して質量分析等の機器分析をすれば、その質量から容易に決定できる。簡便にはLC/MSのように、LCの測定と同時に質量分析を行い、その質量から求めることもできる。
上記式(4)における「−SO」基及び「−SOH」基の置換位置は、上記式(101)における2’位、6’位、及び8’位から選択される任意の位置に1つずつ置換するのが好ましい。
式(4)で表される色素は、「−SO」基及び「−SOH」基の置換割合、及び置換位置の異なる異性体色素の混合物である。このうち置換割合としては、前者が3つで後者が0、前者が2つで後者が1つ;前者が1つで後者が2つ;等の例が挙げられる。また、置換位置としては、前者が2つで後者が1つのとき、前者が2’位及び6’位で、後者が8’位;前者が2’位及び8’位で、後者が6’位;前者が6’位及び8’位で、後者が2’位;等の例が挙げられる。
上記式(1)乃至(4)で表される色素において適宜使用される、X乃至X、R、R、R、R、X、h、及びjについて、好ましいもの同士を組み合わせた色素はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせた色素はさらに好ましい。好ましいものとより好ましいもの等との組み合わせについても同様である。
上記式(1)の色素は、例えば次の方法により製造される。なお、下記式(6)及び式(7)において適宜使用される、X乃至X、R、R、R、及びRは、いずれも上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
具体的には、特公平7−45629号公報等に記載の公知の方法に準じて得られる下記式(6)で表されるアントラキノン化合物1モルに、置換基としてRを有するベンゾイル酢酸エステル、触媒として炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の塩基の存在下、オルソジクロロベンゼン、モノクロロベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン等の溶媒中、100〜200℃、3〜30時間反応を行う。反応終了後冷却し、メタノール、エタノール、プロパノール等のC1−C4アルコールで希釈して得られる析出固体を濾過分離した後、必要により上記C1−C4アルコールで洗浄し、さらに水又は温水で洗浄し、乾燥することにより、下記式(7)で表される化合物を得る。
Figure 0005548681
Figure 0005548681
得られた上記式(7)で表される化合物をクロロスルホン酸中40〜120℃、次いで塩化チオニルを加え70〜80℃でクロロスルホニル化することにより、上記式(5)で表される化合物を得る。
式(5)中、Qは、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子、より好ましくは塩素原子を表す。
また、式(5)における「−SOQ」基の置換位置は特に制限されないが、3つの「−SOQ」基は、式(1)における「−SO」基乃至「−SO」基の3つの基に対応するため、その置換位置は上記式(1)における置換位置の組み合わせ(1)乃至(4)における「−SO」基乃至「−SO」基を、「−SOQ」基と読み替えたものと同じであるのが好ましい。
得られた式(5)で表される化合物と、無置換スルホアニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリン;無置換スルホナフチルアミン;並びにC1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを、好ましくは水中で、水酸化ナトリウム等の塩基を用いてpHを調整し、室温又は必要に応じて冷却等しながら撹拌下に縮合反応することにより、上記式(1)で表される色素が得られる。式(1)で表される色素のこの合成方法を、合成方法a)とする。
上記のアミンは式(1)におけるX乃至Xに対応し、一般式としては、「H−X」、「H−X」、及び「H−X」でそれぞれ表される。したがって、該アミンとしては、無置換スルホアニリン;C1−C12アルキル基で置換されたスルホアニリン;C1−C6アルコキシ基で置換されたスルホアニリン;スルホナフチルアミン;が好ましい。
また、別法として、上記式(1)で表される色素は以下の方法で合成することもできる。すなわち、上記式(5)で表される化合物と、無置換アニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたアニリン;無置換ナフチルアミン;並びにC1−C4アルキル基及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを、好ましくは水中で、水酸化ナトリウム等の塩基を用いてpHを調整し、室温又は必要に応じて冷却等しながら撹拌下に縮合反応させた後、得られた化合物をさらにスルホ化することによっても、上記式(1)で表される色素が得られる。式(1)で表される色素のこの合成方法を、合成方法b)とする。
合成方法b)におけるスルホ化の方法としては、発煙硫酸中0〜40℃でスルホ化を行う方法が挙げられる。なお、このスルホ化の反応条件によっては、式(5)で表される化合物と、上記特定のアミンとの縮合反応により得られたスルファモイル基の一部が加水分解を受け、スルホン酸へと変換されることがある。
上記合成方法a)の例としては、下記する実施例中の実施例1の(工程3)、実施例2乃至6が挙げられる。また、合成方法b)の例としては、同様に実施例7及び実施例8におけるそれぞれの(工程2)が挙げられる。
本発明のインク組成物に含有される上記式(1)で表される色素中、X乃至Xにおいて、ヒドロキシ基以外の基の比率が高くなると、該インク組成物を用いた記録画像の堅牢性は向上するが、水に対する色素の溶解性は低下する。本発明のインク組成物は、実質的に水を含有しないものも含むが、水を含有するもの、すなわち水系インク組成物であるのが好ましい。
したがって、水系インク組成物としての保存安定性と記録画像の堅牢性とを考慮して、X乃至Xにおけるヒドロキシ基以外の基の比率を設定するのと共に、水に対する溶解性を向上させる目的で、上記式(1)の色素を1種以上、好ましくは1種以上8種以下、より好ましくは3種以上7種以下の色素混合物とするのが好ましい。
上記式(1)乃至式(4)で表される色素は、遊離酸、あるいはその塩の形としても存在する。上記式(1)で表される化合物の塩としては、無機又は有機陽イオンとの塩が挙げられる。無機陽イオンの塩の具体例としては、アンモニウム塩;アルカリ金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等の塩;等が挙げられる。また、有機陽イオンとしては、例えば下記式(8)で表される4級アンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005548681
上記式(8)中、Z〜Zはそれぞれ独立に水素原子、C1−C4アルキル基、ヒドロキシC1−C4アルキル基、又はヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基を表し、Z〜Zの少なくとも1つは水素原子以外の基である。
上記式(8)中、Z〜ZにおけるC1−C4アルキル基の例としては、メチル、エチル等が挙げられる。
同様に、ヒドロキシC1−C4アルキル基の例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
同様に、ヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−(ヒドロキシエトキシ)プロピル、3−(ヒドロキシエトキシ)ブチル、2−(ヒドロキシエトキシ)ブチル等が挙げられる。
上記塩のうち好ましいものは、ナトリウム、カリウム、リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンの塩、及びアンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいものは、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウム塩である。
当業者においては明らかなように、上記式(1)乃至式(4)で表される色素の塩は、以下の方法等により容易に得ることができる。
例えば、ナトリウム塩を得る方法としては、該化合物の合成反応における最終工程終了後の反応液;あるいは該化合物を含むウェットケーキ又はその乾燥物等を溶解した水溶液;等の液に食塩を加えて塩析し、析出固体を濾過する方法が挙げられる。
また、得られたナトリウム塩の固体を水に溶解後、塩酸等の酸を加えてその溶液のpHを適宜調整し、析出する固体を濾過することにより、該化合物の遊離酸;あるいは該化合物の一部がナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩との混合物;を得ることもできる。
さらに、該化合物の遊離酸の固体を水と共に撹拌し、この液に例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、式(8)で表される4級アンモニウム塩の水酸化物等を加えてアルカリ性にすれば、各々相当するカリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、又は4級アンモニウム塩を得ることもできる。この際に、遊離酸のモル数に対して、上記各種の水酸化物等のモル数を制限して複数のものを加えることにより、例えばリチウムとナトリウムとの混塩等、さらにはリチウム、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムの混塩等を得ることも可能である。
該化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能、特に堅牢性に関する性能が変化する場合もある。このため、目的とするインクの性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
本発明のインク組成物中に含有する色素の総含有量は、該インク組成物の総質量に対して、通常0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1.5〜6質量%、さらに好ましくは3〜6質量%である。
後記するように、マゼンタの色相の微調整等を目的として、本発明のインク組成物中に、本発明により得られる効果を阻害しない範囲で、さらに他の色素、例えば公知の色素を含有してもよい。しかし、本発明のインク組成物中に含有する色素としては、色素の全てが実質的に上記式(1)で表される色素であるのが好ましく、該式(1)で表される色素の色素混合物であるのがより好ましい。
本発明のインク組成物に含有する上記式(1)で表される色素は、合成反応の終了後、塩酸等の鉱酸の添加により固体の遊離酸として単離することができる。得られた遊離酸の固体を水又は塩酸水等の酸性水で洗浄すること等により、不純物として含有する無機塩、例えば塩化ナトリウム等の金属陽イオンの塩化物や、硫酸ナトリウム等の硫酸陽イオンのアルカリ金属塩等、すなわち、本明細書でいうところの「無機不純物」を除去することができる。また、式(1)で表される色素の合成反応の終了後、例えば塩化アンモニウムを加えて目的物のアンモニウム塩を析出させ、次いでこれを水に溶解して溶液とし、イソプロパノール等のC1−C4アルコールを加えて目的物を再度析出させる等の方法によっても、無機不純物を除去することができる。必要に応じて、このような操作を繰返し、目的物の純度を向上させることや、無機不純物の含有量を低減することもできる。
これらの無機不純物は、本発明のインク組成物を調製する場合に、インク組成物の保存安定性や、該インク組成物をインクとして使用するインクジェット記録等を行う際の吐出安定性等に悪影響を与えることが多い。このため、特にインクジェット記録に本発明のインク組成物を用いるときは、本発明のインク組成物中に含有する色素の総質量中における無機不純物の含有量は、該色素の総質量に対して、1質量%以下にすることが好ましく、下限は0質量%、すなわち分析機器における検出限界以下でよい。
無機不純物の少ない色素を製造する方法としては、例えば逆浸透膜により無機不純物を除去する方法が知られている。その他の方法として、色素の乾燥物あるいはウェットケーキを、メタノールやイソプロパノール等のC1−C4アルコール、又は必要に応じて該アルコールと水との混合溶媒中で懸濁精製する方法等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、天然及び合成繊維材料又は混紡品の染色、各種の筆記用インク、及び、特にインクジェット記録用インクの製造に適している。
上記式(1)で表される色素の合成反応における最終工程終了後の反応液等は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することができる。しかし、該反応液から例えばスプレー乾燥や、晶析等の方法により目的色素を単離し、必要に応じて乾燥した後、これをインク組成物の製造に使用することもできる。
本発明のインク組成物は水を媒体として調製され、必要に応じて、水溶性有機溶剤及びインク調製剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有してもよい。水溶性有機溶剤は、色素の溶解、組成物の乾燥防止(湿潤状態の保持)、組成物の粘度の調整、被記録材への組成物の浸透の促進、組成物の表面張力の調整、組成物の消泡等の効果を目的として使用され、本発明のインク組成物には含有する方が好ましい。
インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張力調整剤、消泡剤等の公知の添加剤が挙げられる。
水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物の総質量に対して通常0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、インク調製剤は同様に0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%用いられる。上記以外の残部は水である。
上記の水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等の、C2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記の水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジ、又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びブチルカルビトールであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びブチルカルビトールである。これらの水溶性有機溶剤は、単独又は混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、ソルビン酸ソーダ、酢酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
防腐防黴剤の他の具体例としては、例えば、アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製 商品名プロクセルRTMGXL(S)、プロクセルRTMXL−2(S)等が好ましく挙げられる。なお、本明細書において上付きの「RTM」は、登録商標を意味する。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物等が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に水溶性高分子化合物が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。その中でも尿素を使用するのが好ましい。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等があり、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等がある。
表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;他の具体例として、例えば、日信化学社製 商品名サーフィノールRTM104、82、465、オルフィンRTMSTG等が挙げられる。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物が必要に応じて用いられる。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。なお、本発明のインク組成物を含有するインクの表面張力は通常25〜70mN/m、より好ましくは25〜60mN/mである。同様に、インクの粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
本発明のインク組成物を製造するにあたり、添加剤等の各成分を溶解させる順序には特に制限はない。インク組成物の調製に使用する水は、イオン交換水や蒸留水等の不純物が少ない物が好ましい。
さらに、必要に応じてメンブランフィルタ等を用いて精密濾過を行ってインク組成物より夾雑物を除いてもよい。特に、インクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルタの孔径は通常1μm〜0.1μm、好ましくは、0.8μm〜0.1μmである。
インクジェットプリンタにおいて、高精細な画像を供給することを目的に、高濃度のインクと低濃度のインクとの2種類のインクが1台のプリンタに装填されたものもある。その場合、色素として本発明の化合物を高濃度に含有するインクと、低濃度に含有するインクとをそれぞれ調製し、それらをインクセットとして使用してもよい。また、どちらか一方だけに本発明のインク組成物を含有させてもよい。
また、本発明のインク組成物により得られる効果を阻害しない範囲で、公知のマゼンタ色素を併用してもよい。
また、他の色、例えばブラックインクの調色用、あるいはイエロー色素やシアン色素と混合して、レッドインクやブルー(又はバイオレット)インクを調製する目的で、本発明のインク組成物を用いることもできる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物が充填された容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填してこれをインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行う方法である。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物と共に、イエロー、シアン、必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)、レッド、ブラック等の各インクを併用し得る。この場合、各色のインクは、それぞれの容器に注入され、それらの容器を、インクジェットプリンタの所定位置に装填して使用する。
インクジェットプリンタには、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式;等を利用したものがある。本発明のインクジェット記録方法は、いかなる方式であっても使用が可能である。
本発明のインクジェット記録方法における被記録材とは、紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、記録が行える物質であればこれらに限定されないが、情報伝達用シートが好ましい。
上記の情報伝達用シートとしては特に制限はなく、普通紙はもちろん、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたもの等も用いることができる。ここで、インク受容層とは、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。
普通紙とは、特にインク受容層を設けていない紙のことを意味し、用途によって様々なものが数多く市販されている。市販されている普通紙の一例を挙げると、インクジェット用としては、セイコーエプソン社製 両面上質普通紙;キヤノン社製 カラー普通紙;Hewlett Packard社製 Multipurpose Paper、All−in−one Printing Paper;等がある。この他、特に用途をインクジェット印刷に限定しないPPC用紙等も普通紙である。
本発明のインク組成物は、上記のような普通紙に記録した画像の鮮明性が特に優れており、情報伝達シートの中でも普通紙が好ましい。しかし、光、オゾン、湿度、水や摩擦等に対する堅牢性にも優れるため、普通紙と共にインクジェット専用紙にも使用することが可能である。
本発明の着色体とは、本発明のインク組成物により着色された物質を意味する。着色される物質であれば、その材質は特に制限されないが、例えば上記の被記録材等が挙げられる。着色する方法も特に制限されないが、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェット記録方法等が挙げられ、中でもインクジェット記録方法が好ましい。
本発明の色素を含有するインク組成物は、長期間保存後の固体析出、物性変化、色相変化等もなく、貯蔵安定性が極めて良好である。本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用した印刷物は、被記録材(例えば紙、フィルム等)を選択することなくマゼンタ色の色相として理想的な色相であり、写真調のカラー画像を紙の上に忠実に再現させることも可能である。
本発明のインク組成物は、発色性が高く鮮明性が良好であり、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は各種の記録(印刷)、特にインクジェット記録における使用に適する。
また、本発明のインク組成物をインクジェット記録に用いた場合、水、光、オゾンガス等の酸化性ガス、湿度、及び摩擦等に対する良好な耐性を有する高品質のマゼンタ色の記録物が得られ、特に写真画質用インクジェット専用紙やフィルムのような多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録した場合の耐オゾンガス性が良好であり、写真画質の記録画像の長期保存安定性にも優れている。このため、被記録材を選ばないことが特徴の1つであるインクジェット記録に好適である。
さらに、本発明のインク組成物をインクジェット記録に使用した場合、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体の析出は非常に起こりにくく、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。
このように、本発明の色素及びこれを含有する本発明のインク組成物は、各種のインク用途、特にインクジェット記録インク用途として極めて有用である。
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別に記載のない限りそれぞれ質量基準である。
合成反応、晶析等の各操作は、特に断りのない限りいずれも撹拌下に行い、反応温度は反応系内温度の実測値を記載した。また、1回の合成で目的化合物の必要量が得られなかった場合には、必要量が得られるまで同じ反応を繰返し行った。
なお、実施例で合成した本発明のインク組成物に含有する各色素については、水中でのλmax(最大吸収波長)を測定し、得られた測定値を記載した。
[実施例1]
(工程1)
オルソジクロロベンゼン75.0部中に、公知の方法で得られる下記式(9)で表される化合物23.6部、炭酸ナトリウム0.75部、ベンゾイル酢酸エチルエステル36.0部を順次加えて昇温し、170〜175℃の温度で3時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、30℃にてメタノール150部を添加して30分撹拌した後、析出固体を濾過分離した。得られた固体をメタノール200部で洗浄し、次いで水洗した後、乾燥して、下記式(10)で表される化合物28.8部を赤色固体として得た。
Figure 0005548681
Figure 0005548681
(工程2)
室温下、クロロスルホン酸151.5部に上記式(10)で表される化合物18.2部を、60℃を超えないように加えた後、80℃に昇温して4時間撹拌した。反応液を70℃へ冷却し、60〜70℃を保持したまま塩化チオニル71.4部を30分間かけて滴下し、その後70℃で3時間反応させた。室温まで放冷した反応液を氷水500部中に加え、次いで過酸化水素水25.6部をさらに加えた。その間適宜氷を加え、液温を10℃以下に保持した。赤橙色の析出固体を濾過分離することにより、下記式(11)で表される化合物を含むウェットケーキ132.0部を得た。なお、下記式(11)で表される化合物は、上記式(5)におけるQが塩素原子で表される化合物である。
Figure 0005548681
(工程3)
氷水120部中に、上記(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した後、メタニル酸10.4部を加え、25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整する条件下で5時間30分反応させた。得られた反応液に35%塩酸を加えてpH3.0に調整し、塩化アンモニウム30.0部を加えた。析出した固体を濾過分離し、22%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを50部の水に溶解させ、イソプロパノール400部を加えて析出した固体を濾過分離した。得られた固体を乾燥し、上記式(4)におけるhが2.7、jが0.3、Xが3−スルホアニリノである、下記式(12)で表される色素のアンモニウム塩5.7部の赤色固体を得た。
λmax:520.5nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 4.2
2 34.4
3 61.4
Figure 0005548681
[実施例2]
氷水1440部中に、実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ396.0部を加えて10分間撹拌した後、メタニル酸124.7部を加え、25〜30℃、25%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整する条件下で4時間反応させた。得られた反応液に35%塩酸を加えてpH3.0に調整し、塩化ナトリウム380.0部を加えた。析出した固体を濾過分離し、22%塩化ナトリウム水300部で洗浄することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液により液のpHを4.0に調整しながら溶液とし、この溶液にさらに水を加えてその総量を1300部に調整した。得られた溶液に塩化ナトリウム255部を加え、析出した固体を濾過分離し、22%塩化ナトリウム水溶液200部で洗浄することによりウェットケーキを得た。この操作を3回繰り返しウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液により液のpHを4.0に調整しながら溶液とし、この溶液にさらに水を加えてその総量を800部に調整した。得られた溶液に塩化アンモニウム120部を加え、析出した固体を濾過分離し、22%塩化アンモニウム水溶液200部で洗浄することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液により液のpHを4.0に調整しながら溶液とし、この溶液にさらに水を加えてその総量を800部に調整した。得られた溶液に塩化ナトリウム120部を加え、析出した固体を濾過分離し、22%塩化ナトリウム水溶液200部で洗浄することにより、上記式(4)におけるhが2.7、jが0.3、Xが3−スルホアニリノである、上記式(12)で表される色素のナトリウム塩54.6部を含むウェットケーキを得た。
得られたウェットケーキを水に加えて水溶液とした後、逆浸透膜精製することにより、色素の含有量が10質量%である本発明のインク組成物を得た。このインク組成物中における塩素イオン及び硫酸イオンの含有量を測定した結果、これらの無機不純物の含有量は総量で300ppm以下であった。
なお、このインク組成物に含有する色素の総量中における式(12)で表される色素の含有量は、HPLCの面積比で98.2%であった。
λmax:519nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 4.0
2 18.4
3 77.6
[実施例3]
氷水120部中に、実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した後、スルファニル酸10.4部を加え、25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整する条件下で5時間反応させた。この反応液に35%塩酸を加えてpH2.0に調整した。塩化アンモニウム30.0部を加えて析出した固体を濾過分離し、22%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度70部の水に溶解し、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.0に調整し、20℃で塩化アンモニウム14.0部を加えた。析出した固体を濾過分離し、24%塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを20部の水に溶解させ、イソプロパノール300部を加えて析出した固体を濾過分離、乾燥し、上記式(4)におけるhが2.1、jが0.9、Xが4−スルホアニリノである、下記式(13)で表される色素のアンモニウム塩4.45部の赤色固体を得た。
λmax:522nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 16.6
2 54.9
3 28.5
Figure 0005548681
[実施例4]
o−アニシジン−5−スルホン酸6.1部を水100部に加えて撹拌した。この液に、氷水120部中に実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した液を1時間かけて滴下した。その間、反応液は25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH6.5〜7.0に保持した。この反応液を25〜30℃、pH6.5〜7.0に保持したままさらに3時間反応させた。得られた反応液に35%塩酸を加えてpH3.0に調整し、塩化アンモニウム38.0部を加えて析出した固体を濾過分離し、22%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度水40部に溶解させ、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH6.6に調整し、塩化アンモニウム4.0部を加えて析出した固体を濾過分離し、24%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを20部の水に溶解し、イソプロパノール400部を加えて析出した固体を濾過分離した。得られた固体を乾燥し、上記式(4)におけるhが2.7、jが0.3、Xが2−メトキシ−5−スルホアニリノである、下記式(14)で表される色素のアンモニウム塩3.1部の赤色固体を得た。
λmax:516nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 4.0
2 22.0
3 77.6
Figure 0005548681
[実施例5]
氷水120部中に、実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した後、ブレンナー酸14.0部を加え、25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整する条件下で2時間反応させた。この反応液に35%塩酸を加えてpH8.0に調整した。得られた液に塩化アンモニウム17.0部を加えて析出した固体を濾過分離し、15%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度200部の水に溶解し、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0に調整し、20℃で塩化アンモニウム20.0部を加えて析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。この操作をさらに3回繰り返して得たウェットケーキを50部の水に懸濁し、析出固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを50部の水に溶解し、イソプロパノール400部を加えて析出した固体を濾過分離、乾燥し、上記式(4)におけるhが2.8、jが0.2、Xが6−スルホ−2−ナフチルアミノである、下記式(15)で表される色素のアンモニウム塩7.2部の赤色固体を得た。
λmax:533.5nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 1.9
2 16.9
3 81.2
Figure 0005548681
[実施例6]
氷水120部中に、実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した後、1,6−クレーブ酸14.0部を加え、25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整する条件下で3時間反応させた。得られた反応液に35%塩酸を加えてpH2.0に調整し、析出した未反応の1,6−クレーブ酸を濾別した。得られた濾液に25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH3.0に調整し、塩化アンモニウム19.0部を加えて析出した固体を濾過分離し、24%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを100部の水に溶解し、28%アンモニア水を加えてpH9.0に調整し、塩化アンモニウム10.0部を加えて析出した固体を濾過分離してウェットケーキを得た。この操作を4回繰り返して得たウェットケーキを50部の水に懸濁し、析出固体を濾過分離してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを50部の水に溶解させ、イソプロパノール400部を加えて析出した固体を濾過分離、乾燥し、上記式(4)におけるhが2.8、jが0.2、Xが6−スルホ−1−ナフチルアミノである、下記式(16)で表される色素のアンモニウム塩7.2部の赤色固体を得た。
λmax:527.5nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 0
2 16.0
3 84.0
Figure 0005548681
[実施例7]
氷水120部中に、実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した後、ナフチオン酸19.8部を加え、25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整する条件下で17時間反応させた。得られた反応液に35%塩酸を加えてpH6.0に調整し、塩化アンモニウム13.0部を加えて析出した固体を濾過分離し、24%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを100部の水に溶解し、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6.5に調整し、塩化アンモニウム10.0部を加え、析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを100部の水に溶解させ、28%アンモニア水を用いてpH8.0に調整し、塩化アンモニウム10.0部を加えて析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。この操作を2回繰り返して得たウェットケーキを50部の水に懸濁し、析出固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを20部の水に溶解させ、イソプロパノール300部を加えて析出した固体を濾過分離、乾燥し、上記式(4)におけるhが2.6、jが0.4、Xが4−スルホ−1−ナフチルアミノである、下記式(17)で表される色素のアンモニウム塩3.5部の赤色固体を得た。
λmax:519.5nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 5.6
2 26.8
3 67.6
Figure 0005548681
[実施例8]
(工程1)
氷水120部中に、実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した後、p−トルイジン6.5部を加え、25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整する条件下で3時間反応させた。得られた反応液中に析出した固体を濾過分離し、水で洗浄、乾燥させることにより、下記式(18)で表される化合物8.6部の赤色固体を得た。
Figure 0005548681
(工程2)
96%硫酸20.2部を氷冷により5〜10℃とし、同温度を保持したまま31.3%発煙硫酸14.8部を30分間かけて滴下した。得られた液に、上記(工程1)で得た式(18)で表される化合物4.0部を加え、徐々に室温に戻しながら24時間反応させた。得られた反応液を、水20部と氷50部とからなる氷水中に1時間かけて滴下した。得られた液に25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.0とし、800部のイソプロパノールを加え、析出した固体を濾過分離した。得られた固体を10%含水エタノール200部に加えて撹拌し、析出固体を濾過分離する操作を3回繰り返して固体を得た。得られた固体を150部の水に溶解し、アセトンを適宜(目安として水と同量程度)加えて無機塩を不溶性固体として析出させ、濾別した。得られた濾液をエバポレートし、析出した固体をイソプロパノールに懸濁した後、濾過分離し、乾燥させることにより、下記式(19)で表される本発明の色素のナトリウム塩2.08部の赤色固体を得た。なお、HPLC分析により、この色素の総量中における式(19)で表される色素の含有量は、HPLCの面積比で93.0%であった。
λmax:549.5nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 100.0
2 0
3 0
Figure 0005548681
[実施例9]
(工程1)
氷水120部中に、実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した後、o−アニシジン7.5部を加え、25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整する条件下で22時間反応させた。得られた反応液中に析出した固体を濾過分離し、水で洗浄、乾燥させることにより、下記式(20)で表される化合物10.0部の赤色固体を得た。
Figure 0005548681
(工程2)
96%硫酸20.2部を氷冷により5〜10℃とし、同温度を保持したまま31.3%発煙硫酸14.8部を30分間かけて滴下した。得られた液に、上記(工程1)で得た式(20)で表される化合物3.0部を加え、徐々に室温に戻しながら21時間反応させた。得られた反応液を、水20部と氷50部とからなる氷水中に1時間かけて滴下し、28%アンモニア水を加えてpH7.0とした。得られた液に800部のイソプロパノールを加え、析出した固体を濾過分離した。得られた固体を、5%含水エタノール200部に加えて撹拌し、析出固体を濾過分離する操作を3回繰り返し、固体を得た。得られた固体を150部の水に溶解し、アセトンを適宜(目安として水と同量程度)加えて無機塩を不溶性固体として析出させ、濾別した。得られた濾液をエバポレートし、析出した固体をイソプロパノールに懸濁した後、濾過分離し、乾燥させることにより、下記式(21)で表される本発明の色素のナトリウム塩1.3部の赤色固体を得た。なお、HPLC分析により、この色素の総量中における式(21)で表される色素の含有量は、HPLCの面積比で85.1%であった。
λmax:530.5nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 98.3
2 0
3 1.7
Figure 0005548681
[実施例10]
(工程1)
氷水120部中に、実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した後、p−アニシジン7.5部を加え、25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整する条件下で4時間30分反応させた。得られた反応液中に析出した固体を濾過分離し、水で洗浄、乾燥させることにより、下記式(22)で表される化合物10.0部の赤色固体を得た。
Figure 0005548681
(工程2)
96%硫酸28.8部を氷冷により5〜10℃とし、同温度を保持したまま31.3%発煙硫酸21.2部を30分間かけて滴下した。得られた液に、上記(工程1)で得た式(22)で表される化合物5.0部を加え、徐々に室温に戻しながら2時間20分反応させた。得られた反応液を、水20部と氷50部とからなる氷水中に1時間かけて滴下し、析出した固体を濾過分離し、24%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液により液のpHを9.0に調整して溶液とし、さらに水を加えてこの溶液の総量を100部に調整した。得られた溶液に塩化アンモニウム10部を加え、析出した固体を濾過分離し、15%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄しウェットケーキを得た。このウェットケーキを水に加え、28%アンモニア水により液のpHを9.0に調整して溶液とし、さらに水を加えて液の総量を70部に調整した。得られた溶液に塩化アンモニウム14部を加え、析出した固体を濾過分離し、24%塩化アンモニウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを20部の水に溶解させた後、イソプロピルアルコール400部を加え、析出した固体を濾過分離、乾燥し、下記式(23)で表される本発明の色素のアンモニウム塩3.2部の赤色固体を得た。なお、HPLC分析により、この色素の総量中における式(23)で表される色素の含有量は、HPLCの面積比で84.3%であった。
λmax:533.0nm。

HPLC分析結果:
−SOの置換数 HPLC面積比(%)
1 1.8
2 13.1
3 85.1
Figure 0005548681
[実施例11]
氷水120部中に、実施例1の(工程2)と同様にして得たウェットケーキ33.0部を加えて10分間撹拌した後、C酸19.8部を加え、25〜30℃、約8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整する条件下で16時間反応した。得られた反応液に35%塩酸を加えてpH0.5に調整し、析出した固体を濾別した。濾液に25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.2に調整し、さらに水を加えて液の総量を100部とした。得られた液にアセトンを適宜(目安として水と同量程度)加え、生成したタールをデカンテーションにより上澄み液と分離した。得られたタールに水30部を加え、28%アンモニア水により液のpHを9.0に調整して溶液とした。この溶液にイソプロパノール400部を加えて析出した固体を濾過分離した。この操作を5回繰り返し、得られた固体を乾燥することにより、上記式(4)におけるXが4,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノである、下記式(24)で表される色素のアンモニウム塩17.4部の赤色固体を得た。
λmax:529.5nm。
Figure 0005548681
[実施例12乃至実施例22]
[(A)インクの調製]
上記実施例1で得られた式(12)の色素のアンモニウム塩を用い、下記表3に示した組成を混合して本発明のインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルタで濾過することにより、評価用のインクを得た。表3中の「水」は、アンモニア水の希釈用途のものを含めてイオン交換水を使用した。なお、インク組成物のpHが8〜10、総量100部になるように水、及び2.8%アンモニア水溶液を適宜加えた。このインクの調製を実施例12とする。また、実施例1で得た色素の代わりに、実施例2乃至11で得た色素をそれぞれ使用する以外は実施例12と同様にして、試験用のインクを調製した。この試験用インクの調製を、それぞれ実施例13乃至22とする。なお、各実施例で得た色素とは、各実施例における最終工程で得た本発明の色素を意味する。例えば、実施例1で得た色素とは、実施例1の(工程3)で得た式(12)で表される本発明の色素である。
表3中、「界面活性剤」は、日信化学社製、商品名サーフィノールRTM104PG50を使用した。
Figure 0005548681
[比較例1]
実施例1で得た色素の代わりに、特許文献12の実施例1(1)乃至(3)を追試することにより得た下記式(25)の化合物を含有するウェットケーキを乾燥したものを色素として用いる以外は、実施例12乃至22と同様にして比較用のインクを調製した。これを比較例1とする。
Figure 0005548681
[(B)インクジェット記録]
インクジェットプリンタ(キヤノン社製 Pixus iP4100)を用いて、多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有する光沢紙にインクジェット記録を行った。インクジェット記録の際、印字濃度が数段階の諧調として得られるように画像パターンを作り記録物を作成し、これを試験片として評価試験を実施した。
なお、使用した光沢紙は以下の通りである。
光沢紙1:キヤノン社製 商品名写真用紙光沢プロ[プラチナグレード]。
光沢紙2:キヤノン社製 商品名写真用紙光沢ゴールド。
光沢紙3:エプソン社製 商品名写真用紙クリスピア(高光沢)。
光沢紙4:HP社製 商品名アドバンスフォトペーパー。
[(C)記録画像の耐オゾンガス性試験]
試験片をオゾンウェザーメーター(スガ試験機社製)に設置し、オゾン濃度10ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に24時間放置した。試験前の試験片における反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分について、試験前後のD値を測色システム(GRETAGRTM SPM50:GRETAG社製)を用いて光源D65、視野角2度、濃度基準:DINの条件で測定し、以下の計算式から色素残存率を測定した。結果を下記表4に示す。
色素残存率=(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)
Figure 0005548681
表4より明らかなように、光沢紙1乃至4の全てにおいて各実施例12乃至22の評価結果は比較例1よりも高く、本発明の色素を含有するインク組成物により記録された画像は耐オゾンガス性が優れることが分かる。
以上の結果から、本発明のマゼンタ色素はインクジェット記録用のマゼンタインクを調製するのに適しており、各種の堅牢性、特に光沢紙上での耐オゾンガス性に優れる。したがって、本発明のマゼンタ色素及びこれを含有する本発明のインク組成物は、各種の記録用途、特にインクジェット記録用途に非常に有用である。

Claims (20)

  1. 少なくとも1種類の下記式(1)で表される色素又はその塩を含有するインク組成物。
    Figure 0005548681
    [式(1)中、
    乃至Xはそれぞれ独立に、無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;C1−C4アルキル基若しくはヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;又はヒドロキシ基;を表し、
    乃至Xの少なくとも1つはヒドロキシ基以外の基であり、
    Rは水素原子、カルボキシ基、C1−C8アルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、カルバモイル基、シアノ基、C1−C8アルキル基、アニリノ基、フェノキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、又はメルカプト基を表し、
    は水素原子、C1−C8アルキル基、ヒドロキシC1−C4アルキル基、フェニル基、モノC1−C4アルキルアミノC1−C4アルキル基、ジ(C1−C4アルキル)アミノC1−C4アルキル基、又はシアノC1−C4アルキル基を表し、
    及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はC1−C8アルキル基を表す。]
  2. インク組成物中に含有する色素の総含有量が、該インク組成物の総質量に対して、0.5〜20質量%である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. インクジェット記録用である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. インク組成物中に含有する色素の総質量中における無機不純物の含有量が、該色素の総質量に対して1質量%以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
  7. 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインク組成物により着色された着色体。
  10. 請求項6に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体。
  11. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ。
  12. 前記式(1)で表される色素又はその塩が下記式(2)で表される色素又はその塩である請求項1に記載のインク組成物。
    Figure 0005548681
    [式(2)中、X乃至X、R、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
  13. 前記式(1)で表される色素又はその塩が下記式(3)で表される色素又はその塩である請求項1に記載のインク組成物。
    Figure 0005548681
    [式(3)中、X乃至X、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
  14. 前記式(1)で表される色素又はその塩が下記式(4)で表される色素又はその塩である請求項1に記載のインク組成物。
    Figure 0005548681
    [式(4)中、
    は、無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;又はC1−C4アルキル基若しくはヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;を表し、
    h及びjはいずれも平均値で、hが0.8以上3.0以下、jが0以上2.2以下であり、hとjとの和は3.0である。]
  15. 前記式(1)で表される色素又はその塩が下記合成方法a)及び合成方法b)のいずれかの方法により得られる色素又はその塩である請求項1に記載のインク組成物。
    合成方法a)
    下記式(5)で表される化合物と、無置換スルホアニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリン;無置換スルホナフチルアミン;及び、C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを反応させる方法。
    合成方法b)
    下記式(5)で表される化合物と、無置換アニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたアニリン;無置換ナフチルアミン;及び、C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを反応させた後、得られた化合物をさらにスルホ化する方法。
    Figure 0005548681
    [式(5)中、Qはハロゲン原子を表し、R、R、R、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
  16. 少なくとも1種類の下記式(1)で表される色素からなるマゼンタ色素又はその塩。
    Figure 0005548681
    [式(1)中、
    乃至Xはそれぞれ独立に、無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;C1−C4アルキル基若しくはヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;又はヒドロキシ基;を表し、
    乃至Xの少なくとも1つはヒドロキシ基以外の基であり、
    Rは水素原子、カルボキシ基、C1−C8アルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、カルバモイル基、シアノ基、C1−C8アルキル基、アニリノ基、フェノキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、又はメルカプト基を表し、
    は水素原子、C1−C8アルキル基、ヒドロキシC1−C4アルキル基、フェニル基、モノC1−C4アルキルアミノC1−C4アルキル基、ジ(C1−C4アルキル)アミノC1−C4アルキル基、又はシアノC1−C4アルキル基を表し、
    及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はC1−C8アルキル基を表す。]
  17. 前記式(1)で表される色素が下記式(2)で表される色素である請求項16に記載のマゼンタ色素又はその塩。
    Figure 0005548681
    [式(2)中、X乃至X、R、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
  18. 前記式(1)で表される色素が下記式(3)で表される色素である請求項16に記載のマゼンタ色素又はその塩。
    Figure 0005548681
    [式(3)中、X乃至X、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
  19. 前記式(1)で表される色素が下記式(4)で表される色素である請求項16に記載のマゼンタ色素又はその塩。
    Figure 0005548681
    [式(4)中、
    は、無置換スルホアニリノ基;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリノ基;無置換スルホナフチルアミノ基;又はC1−C4アルキル基若しくはヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミノ基;を表し、
    h及びjはいずれも平均値で、hが0.8以上3.0以下、jが0以上2.2以下であり、hとjとの和は3.0である。]
  20. 前記式(1)で表される色素が下記合成方法a)及び合成方法b)のいずれかの方法により得られる色素である請求項16に記載のマゼンタ色素又はその塩。
    合成方法a)
    下記式(5)で表される化合物と、無置換スルホアニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたスルホアニリン;無置換スルホナフチルアミン;及び、C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたスルホナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを反応させる方法。
    合成方法b)
    下記式(5)で表される化合物と、無置換アニリン;C1−C12アルキル基、C1−C6アルコキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基で置換されたアニリン;無置換ナフチルアミン;及び、C1−C4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたナフチルアミン;よりなる群から選択される少なくとも1種のアミンとを反応させた後、得られた化合物をさらにスルホ化する方法。
    Figure 0005548681
    [式(5)中、Qはハロゲン原子を表し、R、R、R、及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
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