αーケトール不飽和脂肪酸誘導体及びそれを利用する植物成長調整 剤
技術分野
本発明は、 -ケ トール不飽和脂肪酸誘導体及びその化合物の有 明
する性質を利用する植物成長調整剤に関する。 より詳しく は、 本発 明は、 新規物質である 0;-ケ トール不飽和脂肪酸誘導体並びにそれ を含有する植物花芽形成促進剤、 植物書賦活剤及びそれらを包括する 用途である植物成長調整剤に関するものであり、 特に好適には植物 花芽形成促進剤に関するものである。
背景技術
[先行技術文献]
〔特許文献 1〕 特開平 9 一 2 9 5 9 0 8号公報
〔特許文献 2〕 特開平 1 1 一 2 9 4 1 0号公報
〔特許文献 3〕 特開 2 0 0 2 — 2 2 6 3 0 9号公報
〔非特許文献 1〕 Yokoyama et al. , Plant Cell Physiol. , 41 ' 110-113, 2000
植物成長調整、 特に植物の花芽形成を促進する技術を開発するこ とは、 穀物植物や園芸植物の供給効率を向上させる上で、 非常に重 要な事項である。 植物の花芽形成を決める因子としては、 日長、 低 温、 植物の老化などが知られている。 植物において日長に感応する 部分は葉身であり、 花芽形成は生長点で起こり、 葉身から葉柄や茎 を通って生長点に何らかのシグナルが送られて、 この花芽形成が開
始することが突き止められている。 このシグナルは一般にフロリゲ ンと呼ばれており、 これを分離 , 同定することができれば、 日長に 関わらず植物の開花時期を人為的に調節することが可能となり、 植 物が関わる多くの分野において多大な影響を与え得ることは明らか である。
そのため、 昔から植物の花芽形成過程のメカニズムをより明らか にすることにより、 開花時期を人為的に調節する試みがなされてき た。 例えば、 植物の生長ホルモンの一つであるジベレリンを施すと 、 いくつかの植物で花芽形成が起きやすくなることが知られている 。 また、 パインアップルでは合成オーキシンの一つである Q! —ナフ タレン酢酸を施すと開花が起こることが突き止められ、 実際に産業 上利用されている。
• 前記のとおりではあるものの、 これらの植物ホルモンは、 その効 果が限定されており、 更なる開花手法の進歩、 具体的には花芽形成 に直接関わる物質を分離 · 同定し、 その物質による開花手法の確立 が望まれている。
そのようなことから、 本発明者らは、 鋭意検討を行った結果、 下 記式(2 A)の特定構造を有するひーケトール不飽和脂肪酸が、 単独 で又はカテコールアミンの一種であるノルェピネフリ ンと組み合わ せて作用させること等によって、 広範な植物に対して所望する花芽 形成誘導作用を活性化することを見出した (特許文献 1及び 2参照 ) 。
また、 その後、 更に検討を進め、 上記 α —ケトール不飽和脂肪酸 の力ルポキシル基にアミノ酸をアミ ド結合させた ーケトール不飽 和脂肪酸アミ ドが、 より低濃度で同様の活性を有していることを見 つけた (特許文献 3参照) 。
式 ( 2 A) 発明の開示
しかしながら、 その o;—ケトール不飽和脂肪酸アミ ドの製造コス トゃ植物体に与える量を低減することを勘案すると、 更に低濃度で 同様の効果を示す化合物が望まれる。
また、 式(2 A)の α —ケトール不飽和脂肪酸及び前記 α —ケ トー ル不飽和脂肪酸アミ ドは、 分解し易く、 より安定性に優れた植物花 芽形成促進及び植物賦活等の植物成長調整性能を有する物質の開発 が望まれた。
そこで、 本発明者らは、 上記課題の解決を目的として研究開発を 行い、 その結果、 驚くべきことに αケトール及びォレフィ ン構造を 持つと共に、 それ以外に隣接した 2つの炭素に〇 Η基が存在するジ オール構造、 すなわち隣接ジオール構造を持った特定構造の新規物 質であり、 下記一般式( 1 )で表されるひ —ケトール不飽和脂肪酸誘 導体(1 )を合成し、 これを植物に与えると植物成長調整性能を有す ることを見出した。
つまり、 —ケトール、 シス 2重結合及び隣接ジオール構造を有 する新規物質である下記 α —ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1 )を合 成し、 これを植物に与えるとはるかに低濃度で植物成長調整性能、 特に花芽形成を促進することを見出した。
また、 前記 α —ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1 )の製造方法に関 し検討し、 その結果安価な製造方法の開発に成功した。
さらに、 この化合物は、 分解し難く、 より安定性に優れているこ とも判明した。
したがって、 本発明は、 植物成長調整性能を有する新規物質であ る 0!—ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1 )及びそれを含有する植物花 芽形成促進剤等の植物成長調整剤を提供することを発明の解決すベ き課題、 すなわち発明の目的とするものである。
本発明は、 前記の通り植物成長調整性能を有する新規物質の α— ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1 )及びそれを含有する植物花芽形成 促進剤等の植物成長調整剤を提供するものであり、 前者のひーケト ール不飽和脂肪酸誘導体(1 )は、 下記一般式(1 )で表わされるもの である。
また、 後者の植物成長調整剤は、 下記一般式(1 )で表わされる α —ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1 )を含有するものであり、 それは 植物花芽形成促進剤として特に好適に利用できる。
式 (1 )
(式中、 R ,は炭素数 1 〜 5の直鎖状アルキル基又は炭素数 3〜 5 で 2重結合が 1 もしくは 2の直鎖状不飽和炭化水素基を表わし、 R 2は炭素数 1〜 1 5の直鎖状アルキレン又は炭素数 2〜 1 5で 2重 結合が 1〜 3の直鎖状不飽和炭化水素鎖を表わすが、 炭素間の二重 結合数は最大で 4である。 )
なお、 前記直鎖状アルキル基、 直鎖状不飽和炭化水素基、 直鎖状 アルキレン又は直鎖状不飽和炭化水素鎖における 「直鎖状」 とは、 炭素鎖が分岐することなく、 直線上に結合していることを意味する 。 例えば、 直鎖状アルキレンとは、 炭素鎖が分岐することなく直線 上に結合している、 脂肪族炭化水素中の異なる 2個の炭素原子に結 合している 2個の水素原子を除いて生成する 2価の原子団で、 一般
式一 (C H 2 ) n—で表される。
本発明は、 植物花芽形成促進性能等の植物成長調整能を有する、 αケ トール及びォレフィ ン構造を持つと共に、 それ以外に隣接ジォ —ル構造をも合わせ持った新規物質で、 前記一般式(1 )で表される 0!—ケトール不飽和脂肪酸誘導体( 1 )を提供するものであり、 また それら性能を利用して、 植物花芽形成促進剤、 植物賦活剤、 及びそ れらを包括する植物成長調整剤を提供するものである。
また、 植物賦活剤としては、 Q!—ケ卜一ル不飽和脂肪酸誘導体( 1 )が、 休眠打破、 発根、 開花促進、 着花促進、 草 · 茎伸長促進等 の性質を有することから、 それら性質を利用することにより、 具体 的には、 休眠打破剤、 発根剤、 開花促進剤、 着花促進剤、 草 · 茎伸 長促進剤等として利用できる。
そして、 その化合物は、 低濃度でそれら性能を発現することがで き、 かつ分解し難く、 より安定性に優れており、 優れた植物花芽形 成促進剤、 植物賦活剤、 植物成長調整剤を提供することができる。 図面の簡単な説明
以下、 図面を参照しながら本発明を説明する。
図 1は特定ひーケトール脂肪酸誘導体( 1 Α)の特定 α—ケトール 脂肪酸(1 A)からの変換生成率を示すグラフ図であり、
図 2は特定 α —ケトール脂肪酸誘導体(1 Α)のアサガオに対する 花芽増加活性を示すグラフ図であり、 そして
図 3は特定ひーケトール脂肪酸誘導体(1 A)と特定 α —ケトール 脂肪酸 ( 2 Α) の安定性評価試験結果を示すグラフ図である。 発明を実施するための最良の形態
以下において、 本発明について、 発明を実施するための最良の形
態を含む発明の実施の態様に関し詳述する。
本発明の Q!—ケトール不飽和脂肪酸誘導体は、 前記一般式(1 )で 表わされるものであり、 植物花芽形成促進剤、 又は休眠打破、 発根 、 開花促進、 着花促進、 草 , 茎伸長促進等の性能を発現する植物賦 活剤等の用途を含む植物成長調整剤として利用できるものである。 本発明の誘導体は、 前記一般式( 1 )の構造を有する限り、 前記用 途に適する性能を発現することができるものである。 ·
その誘導体は、 具体的には前記一般式(1 )において、 は炭素 数 1〜 5 の直鎖状アルキル基又は炭素数 3〜 5で 2重結合が 1 もし くは 2 の直鎖状不飽和炭化水素基を表わす。 また、 R2は炭素数 1 〜 1 5の直鎖状アルキレン又は炭素数 2〜 1 5で 2重結合が 1 〜 3 の直鎖状不飽和炭化水素鎖を表わす。 ただし、 炭素間の二重結合数 は最大で 4である。 以上のとおりであるから、 本発明の前記不飽和 脂肪酸誘導体は、 炭素原子数が 1 1 〜 2 9である。
特に、 下記式( 1 A)で表される、 9 , 1 5 , 1 6 — ト リ ヒ ドロキシ _ 1 0 —ォキソ— 1 2 ( Z ) —ォクタデセン酸は、 前記一般式( 1 ) における好ましい化合物であり、 前記各用途に適するものである。 なお、 下記式( 1 A)の化合物は、 前記一般式( 1 ) において、 は C 2の直鎖状アルキル基であり、 R2は C7の直鎖状アルキレンである 化合物である。
また、 前記化学式における 「 Z」 は、 シス · トランス異性におけ るシス体であることを意味し、 それに付されたアンダーラインは、 本来ィ夕 リ ック体で表記すべきものであることを示す。
式 ( 1 A)
A ひ -ケトール不飽和脂肪酸誘導体
まず、 式(2 A)の α —ケトール不飽和脂肪酸を包含する下記一般 式(2 )で表わされる α —ケトール不飽和脂肪酸の製造方法に関し説 明する。
式 (2 )
(式中、 は炭素数 1〜 5の直鎖状アルキル基又は炭素数 3〜 5 で 2重結合が 1 もしくは 2の直鎖状不飽和炭化水素基を表わし、 R 2は炭素数 1 〜 1 5の直鎖状アルキレン又は炭素数 2〜 1 5で 2重 結合が 1 〜 3の直鎖状不飽和炭化水素鎖を表わすが、 炭素間の二重 結合数は最大で 4である。 )
前記一般式(2 )で表わされる a—ケトール不飽和脂肪酸に包括さ れる前記式(2 Α)の ーケトール不飽和脂肪酸は、 天然物に含まれ ていることが広く知られており、 この天然物から抽出精製すること で製造することができる。
また、 それはひ 一リノ レン酸にリポキシゲナーゼ等の酵素を、 植 物体内における脂肪酸代謝経路に準じて作用させることによつても 得ることができるし、 通常公知の化学合成法を駆使してもひ —ケト —ル不飽和脂肪酸を得ることができる。
その式(2 Α)の α —ケトール不飽和脂肪酸を包含する前記一般式(
2 )の ·α—ケトール不飽和脂肪酸(2 )の製造に関しては、 例えば前 記特許文献 1、 特許文献 2又は非特許文献 1 に記載の方法によって も行う ことができる。
それに続く ひーケトール不飽和脂肪酸誘導体(1 )の製造は、 前記 α —ケトール不飽和脂肪酸(2 )を活性酸素や塩素ラジカルを発生す るような強い酸化剤と接触させることにより行うことができる。 そのような強い酸化剤には、 例えば次亜塩素酸ソ一ダや塩素化ィ ソシァヌル酸がある。 その際の反応は、 1時間以内に終了すること がよく、 好ましくは 3 0分以下がよい。
必要以上に反応時間が延びることは、 生成した α—ケトール不飽- 和脂肪酸誘導体 ( 1 )が再び分解する危険性が増加することになる。 従って、 重要なのはひ 一ケト一ル不飽和脂肪酸(2 )と酸化剤の存在 比である。 ' ■ 例えば、 次亜塩素酸ソ一ダの場合、 ひーケトール不飽和脂肪酸( 2 )のモル数 1 0 0 に対して次亜塩素酸ソ一ダは 0 . 0 1〜 0 . 5 モル数がよい。 その次亜塩素酸ソーダの量は、 Q!—ケトール不飽和 脂肪酸の純度により大きく左右され、 高純度 (純度 9 0 %以上) の 場合には前記範囲がよいが、 純度が低い場合には 0 . 0 1 〜 1 0モ ル数が目安である。 その際の反応温度は特に問わないが、 好ましく は氷冷下〜室温がよい。 また、 反応溶媒に関しては、 8 0 %以下で あれば水以外の溶媒が共存しても問題なく、 例えばメタノール, ェ 夕ノール, アセトン等の含水溶媒を用いることができるが、 好まし くは水中で行うのがよい。
本発明化合物の検出には、 U V検出器を用いることができ、 これ に H P L C等を組み合わせて本発明化合物の生成を確認することが できる。
さらに、 本発明化合物の反応液からの単離精製には、 通常公知の
方法を用いて行う ことができ、 例えば溶媒による抽出法やカラムク 口マ トグラフィ一等を用いることができる。
B . α —ケ トール不飽和脂肪酸誘導体(1 )の植物生長調整作用に っレ て
本発明の植物生長調整剤の有効成分である、 α—ケ トール不飽和 脂肪酸誘導体( 1 )の植物に対する投与量の上限は特に限定されない 。 すなわち、 本発明の植物生長調整剤により、 α—ケ トール不飽和 脂肪酸誘導体( 1 )を多量に投与しても、 成長阻害等の植物に対する 負の効果は、 ほとんど認められない。
これは、 従来から用いられている植物ホルモン剤を過剰投与する と、 植物に対する負の効果が顕著に現れ、 これらの使用に際しては 、 過剰投与がなされないように格別の気配り をしなければならない ことと比較すると、 本発明植物生長調整剤は非常に優れているとい える。 ·
また、 上記の α—ケ トール不飽和脂肪酸誘導体 ( 1 )の植物に対す る投与量の下限は、 植物個体の種類や大きさにより異なるが、 濃度 としては 1つの植物個体に対して 1 回の投与当り 1 Μ程度以上が 一応の目安である。
本発明の植物生長調整剤の一態様である花芽形成促進剤における 、 α —ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1 )の配合量は、 その使用態様 や使用する対象となる植物の種類、 さ らには本花芽形成促進剤の具 体的な剤形等に応じて選択することが可能である。
本発明の花芽形成促進剤の態様としては、 α—ケトール不飽和脂 肪酸誘導体( 1 )をそのまま用いることも可能であるが、 下記のよう な各種の剤形にするのがよく、 その場合には上記の ーケ トール不 飽和脂肪酸誘導体(1 )の投与の目安等を勘案すると、 概ね、 剤全体 に対して 0 . l 〜 1 0 0 p p m程度含有させるのが好ましく、 更に
好ましく は同 1 〜 5 0 p p m程度含有させるのがよい。
α —ケ トール不飽和脂肪酸誘導体(1 )は、 前記のとおり、 そのま ま本発明の花芽形成促進剤として用いることが可能であるが、 植物 に適用可能な所望の剤形、 例えば液剤、 固形剤、 粉剤、 乳剤、 底床 添加剤等にすることが可能であり、 その際には剤形に応じて製剤学 上適用することが可能な公知の担体成分、 製剤用補助剤等を本発明 の所期の効果である花芽形成促進が損なわれない限度において、 適 宜配合することができる。
例えば、 担体成分としては、 本発明の花芽形成促進剤が底床添加 剤または固形剤である場合には、 概ねタルク、 ク レー、 バーミキュ ライ ト、 珪藻土、 カオリ ン、 炭酸カルシウム、 水酸化カルシウム、 白土、 シリカゲル等の無機質や小麦粉、 澱粉等の固体担体が、 また 、 液剤である場合には、 概ね水、 キシレン等の芳香族炭化水素類、 エタノール、 エチレングリ コール等のアルコール類、 ァセ 卜ン等の ケ トン類、 ジォキサン、 テ トラヒ ドロフラン等のエーテル類、 ジメ チルホルムアミ ド、 ジメチルスルホキシド、 ァセ トニ ト リル等の液 体担体が上記の担体成分として用いられる。
また、 製剤用補助剤としては、 例えばアルキル硫酸エステル類、 アルキルスルホン酸塩、 アルキルァリ一ルスルホン酸塩、 ジアルキ ルスルホンコ八ク酸塩等の陰イオン界面活性剤、 高級脂肪族アミ ン の塩類等の陽イオン界面活性剤、 ポリオキシエチレングリコ一ルァ ルキルエーテル、 ポリオキシエチレングリコールァシルエステル、 ポリオキシエチレンダリコール多価アルコールァシルエステル、 セ ルロース誘導体の非イオン界面活性剤、 ゼラチン、 カゼイン、 ァラ ビアゴム等の増粘剤、 増量剤又は結合剤等を適宜配合することがで さる。
さ らに必要に応じて、 植物生長調整剤や、 安息香酸、 ニコチン酸
、 ニコチン酸アミ ド、 ピペコリ ン酸等を、 本発明の所期の効果を損 なわない限度において、 本発明の花芽形成促進剤中に配合すること が出来る。
上記本発明の花芽形成促進剤は、 その剤形に応じた種々の使用態 様で種々の植物に用いることができる。
例えば、 本発明においては、 開花を図る植物の生長点のみならず 、 茎や葉をはじめとする植物体の一部または全体に液剤や乳剤とし て散布、 滴下、 塗布等を行う ことや、 固形剤や粉剤として地中から 根に吸収させること等が可能である。
また、 開花を図る植物がゥキクサ等の水草の場合には、 底床添加 剤として根から吸収させるか、 固形剤を水中で徐々に溶解させるこ と等も可能である。
そして、 本発明の脂肪酸誘導体(1 )は、 ド一パミンやノルェピネ フリ ン等のカテコールアミンと反応させた後に花芽形成促進剤とし て用いることも可能である。
その場合には、 本発明の脂肪酸誘導体( 1 )とカテコールアミ ンの 配合割合は、 その目的に応じ、 さらに使用対象である植物の性質及 び本発明の脂肪酸誘導体の具体的態様に応じて適宜調製されうる'も ので、 特に限定されるものではない。
また、 本発明の花芽形成促進剤の植物への投与頻度は、 基本的に はただ 1度の投与によって所望する効果を得ることができるが、 植 物個体の種類や投与目的等により異なり、 必要な場合には、 勿論複 数回投与してもよく、 その場合には 1週間以上の投与間隔をあける ことが効率的である。
さらに、 本発明の花芽形成促進剤は、 これを用いる使用対象の植 物の性質に応じた処理を行いつつ投与することが効果的である場合 が多い。
例えば、 後述する実施例のアサガオの場合には、 一定の暗処理を 行いながら本発明花芽形成促進剤を用いることが効果的である。
本発明の花芽形成促進剤の適用対象植物の種類に関しては特に限 定されることはなく、 双子葉植物、 単子葉植物の両者に対して有効 である。
被子植物のうち、 双子葉植物としては、 例えば、 アサガオ属植物 (アサガオ) 、 ヒルガオ属植物 (ヒルガオ、 コヒルガオ、 ハマヒル ガオ) 、 サツマィモ属植物 (ダンバイ ヒルガオ、 サツマィモ) 、 ネ ナシカズラ属植物 (ネナシカズラ、 マメダオシ) が含まれるひるが お科植物、 ナデシコ属植物、 ハコべ属植物、 夕カネッメクサ属植物 、 ミ ミナグサ属植物、 ッメクサ属植物、 ノミ ノッヅリ属植物、 ォォ ャマフスマ属植物、 ヮチガイソゥ属植物、 ハマハコべ属植物、 ォォ ッメクサ属植物、 シォッメクサ属植物、 マンテマ属植物、 センノウ 属植物、 フシグロ属植物、 ナンバンハコべ属植物等のなでしこ科植 物をはじめ、 もくまもう科植物、 どくだみ科植物、 こしょ う科植物 、 せんり ょう科植物、 やなぎ科植物、 やまもも科植物、 くるみ科植 物、 かばのき科植物、 ぶな科植物、 にれ科植物、 くわ科植物、 いら く さ科植物、 かわごけそう科植物、 やまもがし科植物、 ぼろぼろの き科植物、 びやくだん科植物を例示することができる。
また、 やどりぎ科植物、 うまのすずくさ科植物、 やっこそう科植 物、 つちとりもち科植物、 たで科植物、 あかざ科植物、 ひゆ科植物 、 おしろいばな科植物、 やまとぐさ科植物、 やまごぼう科植物、 つ るな科植物、 すべりひゆ科植物、 .もくれん科植物、 やまぐるま科植 物、 かつら科植物、 すいれん科植物、 まつも科植物、 きんぽうげ科 植物、 あけび科植物、 めぎ科植物、 つづらふじ科植物、 ろうばい科 植物、 くすのき科植物、 けし科植物、 ふうちょうそう科植物、 あぶ らな科植物、 もうせんごけ科植物、 うつぼかずら科植物、 べんけい
そう科植物、 ゆきのした科植物、 とべら科植物、 まんさく科植物、 すずかけのき科植物、 ばら科植物、 まめ科植物、 かたばみ科植物、 ふうろそう科植物、 あま科植物、 はまびし科植物、 みかん科植物、 にがき科植物、 せんだん科植物、 ひめはぎ科植物、 とうだいぐさ科 植物、 あわごけ科植物を例示することができる。
さ らに、 つげ科植物、 がんこう らん科植物、 どく うつぎ科植物、 うるし科植物、 もちのき科植物、 にしきぎ科植物、 みつばうつぎ科 植物、 くろたきかずら科植物、 かえで科植物、 とちのき科植物、 む くろじ科植物、 あわぶき科植物、 つりふねそう科植物、 くろうめも どき科植物、 ぶどう科植物、 ほるとのき科植物、 しなのき科植物、 あおい科植物、 あおぎり科植物、 さるなし科植物、 つばき科植物、 おとぎりそう科植物、 みぞはこべ科植物、 ぎょり ゅう科植物、 すみ れ科植物、 いいぎり科植物、 きぶし科植物、 とけいそう科植物、 し ゆうかいどう科植物、 さぼてん科植物、 じんちょうげ科植物、 ぐみ 科植物、 みそはぎ科植物、 ざくろ科植物、 ひるぎ科植物、 う りのき 科植物、 のぼたん科植物、 ひし科植物、 あかばな科植物、 ありのと うぐさ科植物、 すぎなも科植物、 う こぎ科植物、 せり科植物も例示 できる。
また、 それらに加えてみずき科植物、 いわうめ科植物、 り ょうぶ 科植物、 いちやくそう科植物、 つつじ科植物、 やぶこうじ科植物、 さく らそう科植物、 いそまつ科植物、 かきのき科植物、 はいのき科 植物、 えごのき科植物、 もくせい科植物、 ふじうつぎ科植物、 りん どう科植物、 きょうちく とう科植物、 ががいも科植物、 はなしのぶ 科植物、 むらさき科植物、 くまつづら科植物、 しそ科植物、 なす科 植物 (なす、 トマ ト等) 、 ごまのはぐさ科植物、 のうぜんかずら科 植物、 ごま科植物、 はまうつぼ科植物、 いわたばこ科植物、 たぬき も科植物、 きつねのまご科植物、 はまじんちよう科植物、 はえどく
そう科植物、 おおばこ科植物、 あかね科植物、 すいかずら科植物、 れんぶくそう科植物、 おみなえし科植物、 まつむしそう科植物、 う り科植物、 ききょう科植物、 きく科植物等も例示できる。
同じく、 単子葉植物としては、 例えば、 ゥキクサ属植物 (ゥキク サ) およびァォゥキクサ厲植物 (ァォゥキクサ、 ヒンジモ) が含ま れる、 うきく さ科植物、 力 トレァ属植物、 シンビジゥム属植物、 デ ンドロビューム属植物、 ファレノブシス属植物、 バンダ属植物、 パ フィオペディ ラム属植物、 オンシジゥム属植物等が含まれる、 らん 科植物、 がま科植物、 みく り科植物、 ひるむしろ科植物、 いばらも 科植物、 ほろむいそう科植物、 おもだか科植物、 とちかがみ科植物 、 ほんごうそう科植物、 いね科植物 (イネ、 ォォムギ、 コムギ、 ラ ィムギ、 トウモロコシ等) 、 かやつり ぐさ科植物、 やし科植物、 さ といも科植物、 ほしぐさ科植物、 つゆくさ科植物、 みずあおい科植 物、 いぐさ科植物、 びやくぶ科植物、 ゆり科植物 (アスパラガス等 ) 、 ひがんばな科植物、 やまのいも科植物、 あやめ科植物、 ばしょ う科植物、 しょうが科植物、 かんな科植物、 ひなのしゃく じょう科 植物等を例示することができる。 ' 以上においては、 花芽形成促進剤として、 本発明化合物を利用す る際の各種態様に関し具体的、 かつ詳細に説明したが、 本発明の化 合物は、 前記したとおりそれ以外にも休眠打破剤、 発根剤、 開花促 進剤、 着花促進剤、 草 , 茎伸長促進剤等の各種植物賦活剤としても 利用するものであり、 その場合にも前記と同様に各種態様で利用で きるものである。
〔実施例〕
以下において、 本発明の化合物の製造例及びその化合物の使用例 を実施例として具体的に説明するが、 本発明は、 この実施例によつ て何ら限定されるものではなく、 特許請求の範囲の記載によって特
定されるものであることはいうまでもない。
' また、 本発明の化合物には、 複数の不斉炭素に起因する立体異性 体が存在するが、 本発明の化合物は個々の光学活性体あるいはそれ らの混合物であってもよい。
製造例 1 : 特定 ーケトール脂肪酸(2 A)の製造
以下のようにして、 式(2 A)で表される特定ケトール脂肪酸 (9_h ydroxy-10-oxo-12 (Z) , 15 (Ζ) - octadecadienoic acid) を酵素法に より製造した。
1. コメ胚芽由来のリポキシゲナ一ゼの調製
コメ胚芽 3 5 0 g を石油エーテルで洗浄, 脱脂及び乾燥したもの ( 2 5 0 g ) を、 0. 1 M酢酸緩衝液 ( p H 4. 5 ) 1 . 2 5 Lに 懸濁し、 この懸濁物をホモジナイズした.。
そのホモジナイズ抽出液を 1 6 0 0 0 r p mで 1 5分間遠心分離 し、 上清 (0.8L) を得た。
次いで、 その上清に硫酸アンモニゥム 1 4 0. 8 g ( 3 0 %飽和 ) を加え、 4 °Cで一晩放置した。
その後、 同様に 9 5 0 0 r p mで 3 0分間遠心を行い、 得られた 上清 (0.85L) に硫酸アンモニゥム 2 3 2 g ( 7 0 %飽和) を添加 して、 4 °Cで 5時間放置した。
さらに、 同様に 9 5 0 0 r p mで 3 0分間遠心を行い、 これによ り得られた沈澱物 (コメ胚芽抽出液の硫安 3 0〜 7 0 %飽和画分) を、 p H 4. 5の酢酸緩衝液 3 0 0 mLに溶解し、 6 3 °Cで 5分間 加熱処理を行った。
その後、 生成した沈澱物を除去して、 得られた上清を、 R C透析 チューブ (Spectrum社製ポア 4 : MWC0 12000〜14000) を用いて、 3 Lのバッファーを使用して 3回透析を行い、 それにより脱塩後、 所望するコメ胚芽由来のリポキシゲナ一ゼの粗酵素液を得た。
2. アマ種子由来のアレンオキサイ ドシン夕一ゼの調製
アマ種子 (一丸フアルコス社から購入) 2 0 0 g に、 アセトン 2 5 0 m L添加してホモジナイズを間に休みを入れて 2 0秒づっ 3回 行い ( 2 0 s X 3 ) 、 得られた沈澱物を目皿ロートで濾取し、 溶媒 を除去した。
その沈澱物を再びアセトン 2 5 0 m Lに懸濁してホモジナイズ ( 1 0 s X 3 ) し、 沈澱物を得た。
この沈澱物をアセ トン及びェチルエーテルで洗浄後、 乾燥して、 アマ種子のアセトン粉末を得た ( 1 5 0 g ) 。
このアマ種子のァセ トン粉末のうち 2 0 g分を、 氷冷下 5 0 mM リ ン酸緩衝液 (P H 7. 0 ) 4 0 0 mLに懸濁し、 これを 4 °Cで 1 時間ス夕一ラー攪拌を施して抽出した。
得られた抽出物を、 1 1 0 0 0 r p mで 3 0分間遠心し、 これに より得られた上清 ( 3 8 0 mL) に硫酸アンモニゥム 1 0 5. 3 g ( 0〜 4 5 %飽和) を加え、 氷冷下で 1時間静置し、 さらに 1 1 0 0 0 r p mで 3 0分間遠心して得られた沈澱物を、 5 O mMリ ン酸緩 衝液 ( p H 7. 0 ) 1 5 0 mLに溶解し、 透析して脱塩し ( 3 LX 3 ) 、 所望するアマ種子由来のアレンオキ イ ドシン夕一ゼの粗酵 素液を得た。
3. ひ 一リ ノレン酸のナトリウム塩の調製
出発原料とする —リノ レン酸は、 水における溶解性が著しく低 いので、 酵素基質として働く ことを容易にするために、 ひーリノ レ ン酸をナトリゥム塩化した。 すなわち、 炭酸ナトリウム 5 3 O m g を精製水 1 0 m Lに溶解して 5 5 °Cに加温し、 これに α—リ ノ レン 酸 (ナカライテスク社) を 2 7 8 m g滴下して、 3時間攪拌した。
反応終了後、 イオン交換樹脂 [Dowex50W- Χ8 (ίΓ ίοηη) (ダウケミ カル社製) ] で中和すると、 沈澱物が生成した。 これを濾過して樹
脂を除き M e 〇Hで溶解後、 減圧下で溶媒を留去した o これにより得られた生成物をイソプロパノールで再 晶し 、 所望 する a—リノ レン酸のナトリウム塩 ( 2 5 0 mg, 8 3 0/
/ο ) を
4. 特定 ーケトール脂肪酸(2 A)の製造
上記 3により得られたひ一リ ノ レン酸のナトリクム OnL ( 1 5 mg:
5 0 mol ) を、 0. 1 Mのリ ン酸緩衝液 ( p H 7 0 ) 3 0 m L に溶解した。 その後、 この溶液に、 酸素気流下、 2 5 °cで上記 1 に より得たコメ胚芽由来のリポキシゲナ一ゼの粗酵素液を 3. 1 8 m
L添加した後、 3 0分間攪拌した後、 さらに同じ <コメ胚芽由来の リポキシゲナ一ゼの粗酵素液を 3. 1 8 m Lを添加して 、 3 0分間 攪拌した。
この攪拌終了後、 このリポキシゲナーゼ反応物に 、 窒素気流下で 上記 2で得たアレンォキサイ ドシン夕一ゼの粗酵素液を 3 4 . 5 m
L添加して、 3 0分間攪拌した後、 氷冷下希塩酸を添加して 、 I 心 溶液の p Hを 3. 0に調整した。 次いで、 この反応溶液を C H C 1
3 - M e O H= 1 0 : 1で抽出した。 得られた有機層に硫酸マグネ シゥムを加えて脱水し、 減圧下溶媒を留去して乾燥した。
このようにして得られた粗生成物を H P L Cにかけて、 その特定 α—ケトール脂肪酸(2 A)と認められるピーク (リテンショ ンタイ ム : 1 6分付近) を分取した。 分取した画分にクロ口ホルムを加え 、 クロ口ホルム層を分離して水洗し、 エバポレーターでこのクロ口 ホルムを留去して、 精製物を得た。
この精製物の構造を確認するために重メタノール溶液に溶かして 1 Η及び13 C— NM Rスペク トルを測定した。 その結果、 ' Η— ΝΜ Rにおいて、 末端メチル基 〔 S 0.98 (t) 〕 , 2組のォレフィ ン 〔 ( δ 5.25, 5.40) , ( δ 5.55, 5.62 )〕 , 2級水酸基 〔 <54.09 (dd)〕 及び 多数のメチレンに基づくシグナルが認められ、 その精製物は特定ケ
トール脂肪酸(2 )であると推定された。
さらに、 l 3 C— NMRのケミカルシフ ト値を比較したところ、 特 定 α—ケ トール脂肪酸(2 A) 〔特開平 1 0 — 3 2 4 6 0 2号公報第 7頁の第 1 1 欄下から第 1行目以降に記載されている 「製造例 (抽 出法) 」 における 1 3 C— NM Rのケミカルシフ ト値 (同公開公報第 8頁第 1 3欄第 2行目以降段落番号 〔 0 0 5 4〕 及び段落番号 〔 0 0 5 5〕 参照〕 と一致した。
よって、 上記のようにして得た酵素法による合成品は、 確かに、 9- hydroxy - 10- 0X0 - 12 (!), 15 (Z.) -oc t adecad i eno i c acid である こ とが明らかになった。 すなわち、 前記合成品は、 一般式(2 )におい て、 が C2の直鎖状アルキル基、 R2が C7の直鎖状飽和炭化水素 鎖である ひ一ケ トール脂肪酸(2 A)であることが明らかになった。
製造例 2 : 特定 α -ケ トール脂肪酸誘導体( 1 A)の製造例 1 以下のようにして、 特定ケ トール脂肪酸誘導体 9, 15, 16-ト リハイ ドロキシ -10-ォキソ -12 (1) -ォク夕デセン酸( 1 Α)の製造、 単離精製 及び構造解析をおこなった。
前記製造例 1で製造した特定ケ トール脂肪酸 ( 2 Α) 5 0 0 m g を 1. 3 Lの水に溶解し、 そこに塩素化イソシァヌル酸を 1 9 2 m g加え、 2 5 °Cで 3 0分攪拌し、 反応を行った。 その反応液をク ロ 口ホルム 5 0 O mLで 3 回抽出し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥、 ろ過後濃縮し、 得られた粗抽出物を H P L Cにより生成物 ( 1 A) を確認した (カラム : カプセルパック C- 18 UG120, 4.6x250mm (資生 堂) , 溶媒 : 25%ァセトニト リル + 0. 1% トリ フルォロ酢酸, 流速 : 1 ml/min, 波長 : 300 nm) 。
保持時間 5. 7分のピークに関して、 カラムサイズを大きく して (カプセルパック C-18 UG120, 10x250 mm) 分取後クロ口ホルムで抽 出を行い、 化合物(1 A)を 1 8 7 . 5 m g得た (収率 3 8 %) 。 そ
の化合物(1 A)の構造解析を行った。
その吸収スペク トルは、 UV V— 5 6 0 分光光度計 (日本分光 ) 、 及び1 H—及び13 C -N M Rは、 E C P— 4 0 0 (日本電子)を それぞれ用いて測定した。 その結果は、 下記のとおりである。
化合物 ( 1 A)
UV λ max (MeOH, nm): 201. Onm ( ε -4520).
Ή-NMR (400MHz, CDC13): δ 0.97 (3H, t, J-7.2, 18- H 3 ) . 1. 25-
1.46 (8H, 4, 5, 6, 7-H2) , 1.63 (4H, m, 3, 17-H2) , 1.63, 1. 83 (bo t 1H, m, 8-H2) , 2.34 (2H, t-1 ike, J = ■1.2, 2-H2) , 2. 58, 2. 66
(bot 1H, m, 14-H2) , 3.31 (2H, m, 11- H2), 3.75 (1H, m, 15 -H)
, 3.85 (1H, m, 16-H), 4.24 (1H, m, 9一 H) , 5.68 (1H, m, 12- H),
13C-匪 RUOOMHz, CDC13): 10.0 (C-18) , 24.5, 27.8, 28. 1, 28.
8, 28.9, 29.0 (C-3, 4, 5, 6, 7, 17) , 33.5 (C-2) , 33.8 (C-8) , 33.9
(C-14), 36.6 (C-ll) , 66.1 (C-15) , 73.9 (C-16), 76.2 (C- 9) , 123.3 (C-13), 128.9 (C-12), 179. 1 (C-l), 210.3 (C-10) .
上記プロ トン及び力一ボンの帰属は、 D I F C〇 S Y、 H Q C 並びに H M B Cスぺク トルなどの 2次元 NMRスぺク 卜ルを測定し て行った。 得られたデ一夕を化合物(2 A)のデ一夕 [特開平 9 — 2 9 5 9 0 8号公報及び文献 (Yokoyama et al. , Plant Cell Physiol. , 41, 110-113, 2000) に記載] と比較したところ、 化合物(2 A)の 1 組のォレフィ ンが消失し代わりに水酸基が結合したメチレン 2個が 認められた。
その消失したォレフィ ンは、 HMB Cおよび D I F C O S Yの解 析結果により 1 5位のものであることが判明した。
前記のことから、 水酸基が結合したメチンの位置は、 C一 1 5, C— 1 6であると判断した。 なお、 9位の水酸基及び 1 0位のォキ
ソ基は存在していた。
以上のデ一夕より、 化合物( 1 A)の構造を前記式( 1 A)のとおりに 決定した。
製造例 3 : 特定 α—ケトール脂肪酸誘導体( 1 A)の製造例 2
以下のようにして、 特定ケトール脂肪酸誘導体 9 , 1 5 , 1 6 — トリハイ ド口キシー 1 0 —ォキソ— 1 2 ( Z —ォク夕デセン酸( 1 Α)の製造を、 次亜塩素酸ソ一ダを用いた時の両者の最適な割合を 調べた。
精製水 2 5 mLに特定ひーケトール脂肪酸(2 Α)エタノール溶液 (112mM、 3.5%) を 1 8 8 /x 1 加えた (完全には溶解せず、 白濁状 態であった) 。 この特定ひーケトール脂肪酸(2 A)水溶液を攪拌し ながら、 そこに次亜塩素酸ソーダ溶液 (和光純薬工業株式会社製) を 6 1 から 1 1 づっ、 2 0 1 まで増加させた量を添加した。 その添加 1 0分経過した後、 H P L C (カラム : カプセルパック C-18 UG120, 4.6x250mm, 溶媒 : 25%ァセトニトリル + 0. 1% トリフ ルォロ酢酸, 流速 : lml/min, 波長 : 300ηπι) で分析し、 特定 ーケ トール脂肪酸誘導体( 1 Α)の生成率を測定した。
その結果、 次亜塩素酸ソ一ダ溶液を 0. 0 9 %程度になるように 添加したときに、 特定 Q!—ケトール脂肪酸(2 Α)は特定 αケトール 脂肪.酸誘導体(1 Α)にほぼ 1 0 0 %変換することがわかった。 結果 を図 1 に示す。
製造例 4 : 特定 α—ケトール脂肪酸誘導体(1 Α)の製造例 3
特定ケトール脂肪酸(2 A) 5 0 0 m gを 1 . 9 Lの水に溶解して
、 そこに次亜塩素酸ソーダ溶液を 1 . '2 mL加え、 室温に 1 0分以 上放置した。
反応液をクロ口ホルム 5 0 O mLで 3回抽出し、 無水硫酸マグネ シゥムで乾燥、 ろ過後濃縮し、 得られた粗抽出物を' H P L Cにより
さらに分画を行つた (カラム : 力プセルパック C-18 UG 120, 10x250 溶媒 : 25%ァセトニトリル + 0.1% トリ フルォロ酢酸, 流速 : 4 ml/min, 波長 : 300nm)
分取後クロ口ホルムで抽出を行い、 化合物( 1 A)を 4 7 2 mg得た
(収率 85%)
使用例 : 特定 a—ケトール脂肪酸誘導体(1 A)のアサガオに対す る花芽増加活性
9 g のアサガオ (品種名 : ムラサキ) の種子に濃硫酸処理を 2 0 分間施し、 その後流水下で一晩放置した。
次いで、 種子のへその部分を上にして、 湿った海砂上に 2 4時間 置いて、 発根させた。 これらの発根した種子を海砂中に、 1 c m程 度の深さに植え、 連続光下で培養した ( 5 日間程度) 。
この培養により開葉したアサガオの全植物体を、 培養液 〔KN03 (2 50mg)、 NH4N03 (250mg) , KH2 P04 (250mg) MgS04 - 7H20 (250mg) M nS04 - 4H20 (lmg) Fe- citrate n - hydrate (6mg) H3B03 (2mg) C uS04 - 5H20 (0. lmg) ZeS04 - 7H20 (0.2mg) Na2Mo04 - 2H20 (0.2mg ) Ca (H2P04) 2 - 2H20 (250mg) を 1 リ ツ夕一の蒸留水に溶解〕 に移 した。
この培養系に、 水、 又は特定 0;—ケトール脂肪酸誘導体(1 A)を 0. 0 1 0. 1 1もしくは 1 0 0 Mで含有する水溶液を 0. 1 mL /株噴霧し、 1 3. 5時間暗処理をおこなった。
その後 2 5 °Cで 1 4 日間連続光で育成し、 1 4 日目に形成された 花芽の数を測定した。
アサガオ 8個体の結果を平均し、 それを図 2に示した。
水を噴霧したときの花芽形成数は、 平均で 1. 2 5個/株であった 図 2 に示すように、 特定 a—ケトール脂肪酸誘導体(1 A)により
花芽の形成数は 2 0 0 %以上に増加した。
最適濃度は 1 / Mであったが、 これは、 特定 0;—ケトール脂肪酸
(2 A)の最適濃度 1 0 0 x M (特開平 1 1 一 2 9 4 1 0号公報を参 照) の 1 / 1 0 0の濃度である。
安定性評価 : 特定 α—ケトール脂肪酸誘導体(1 Α)の安定性 特定 α—ケトール脂肪酸誘導体(1 Α)の安定性の評価を以下のと おり行った。
前記誘導体( 1 A) 1 6 mMのエタノール溶液を水で 3 0倍に希釈 した。 その希釈した溶液を、 4 °C、 2 5 °C及び 5 0 °Cの各温度にお いて長期間放置し、 経時的的な分解の程度を H P L Cで分析した ( カラム : 力プセルパック C-18 UG120, 4.6x250mm, 溶媒 : 50%ァセト 二トリル + 0. 1% トリフルォロ酢酸, 流速 : lml/min, 波長 : 210nm
) o
比較のために、 特定 α—ケトール脂肪酸誘導体(2 A)についても 同様に希釈して調製した溶液を、 2 5 °C及び 5 0 °Cにおいて長期間 放置し、 同様に分解の程度を調査した。
その調査結果は、 図 3に図示した。 この図 3の結果から、 本発明 の特定 α—ケトール脂肪酸誘導体( 1 A)は、 2 5 °C及び 5 0 °Cの両 放置温度において、 比較対照の特定(¾.ーケトール脂肪酸誘導体(2 A )よりも安定性に優れていることが明らかである。
また、 4 °Cにおける安定性調査については、 本発明の特定 α—ケ トール脂肪酸誘導体(1 Α)についてのみ実施したが、 その結果によ れば 2 5 °C及び 5 0 °Cと比較すると遥かに安定性に優れていた。