JP2002226309A - ケトール脂肪酸誘導体およびこのケトール脂肪酸誘導体を有効成分とする植物成長調整剤 - Google Patents

ケトール脂肪酸誘導体およびこのケトール脂肪酸誘導体を有効成分とする植物成長調整剤

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JP2002226309A JP2001294427A JP2001294427A JP2002226309A JP 2002226309 A JP2002226309 A JP 2002226309A JP 2001294427 A JP2001294427 A JP 2001294427A JP 2001294427 A JP2001294427 A JP 2001294427A JP 2002226309 A JP2002226309 A JP 2002226309A
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JP2001294427A
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Toshimochi Iida
年以 飯田
Mineyuki Yokoyama
峰幸 横山
Yoshihiro Yokogawa
佳浩 横川
Sachiko Yamaguchi
祥子 山口
Koji Kobayashi
孝次 小林
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Original Assignee
Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】植物調整効果を有することが見出された特定の
ケトール脂肪酸を基とした新たな物質を見出し、これを
有効成分とする植物成長調整剤を提供すること。 【解決手段】下記一般式(1)で表されるα−ケトール
不飽和脂肪酸のアミド誘導体、及び、これを有効成分と
する植物成長調整剤を提供することにより、上記の課題
を解決し得ることを見出した。 【化1】 〔式中、R1 は、炭素原子数が1〜17のアルキル基等
を表し、R2 は、水素原子またはα−アミノ酸の側鎖を
表し、R3 は、α−ケトールアルキレン基を表し、R4
は、特定の2価の直鎖状炭化水素基を表し、R6 は、水
素原子またはアルカリ金属原子を表す〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のα−ケトー
ル脂肪酸のアミド誘導体、および、このα−ケトール脂
肪酸のアミド誘導体の植物成長調整作用に着目した植物
成長調整剤に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】植物の成長調整技術を開発することは、
穀物植物や園芸植物の供給効率を向上させる上で、非常
に重要な事項である。
【0003】植物の成長を調整することにより顕在化す
る典型的な効果として、植物の成長の促進効果が挙げら
れる。植物の成長の速度を決める因子としては、温度、
光、栄養分等が考えられる。植物の成長を促進させるた
めに、目的とする植物の性質に応じた温度条件や日照条
件を選択する試みは、古来から行われている。これらの
温度や光以外の成長促進技術としては、施肥が代表的な
技術として挙げられ、一定の効果を上げている。
【0004】しかしながら、施肥の効果については、自
ずと限界があり、用いる肥料の量を多くしても、一定以
上の植物の成長の促進効果は期待できないばかりか、肥
料を多く与えすぎると、かえって植物の成長に障害とな
り、ひいては土壌を汚染してしまうことにもなりかねな
い。
【0005】特に、植物の成長初期においては、施肥に
よる栄養障害が起こりやすく、通常は、この時期は施肥
を控えるのが普通である。従って、窒素・リン酸・カリ
ウム等の成分からなる、従来から用いられてきた肥料と
は異なる、植物の成長促進効果を示す化合物が望まれて
いた。
【0006】そして、このような植物の成長促進効果は
勿論のこと、花芽の促進効果、植物の老化の抑制効果、
植物の休眠防止効果等の効果、乾燥や高温等の植物のス
トレスに対する耐性の付与効果等により、ニーズに応じ
た植物の成長調整効果を発揮させる手段を見出して、穀
物植物や園芸植物の供給効率を向上させることが、さら
に望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
主題に関連して、特定のケトール脂肪酸が、広範な植物
に対して所望する花芽形成誘導活性を示すことを見い出
した(特開平11−29410号公報等)。また、この
特定のケトール脂肪酸が、植物の様々な生命現象に深く
係わっていることを、本発明者らは突き止めつつある。
【0008】本発明が解決すべき課題は、かかる特定の
ケトール脂肪酸についての知見をさらに発展させて、上
述の主題に対応する新たな物質を創生して、これを有効
成分とする植物成長調整剤として提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、この課題の
解決に向けて鋭意検討を行った。その結果、驚くべきこ
とに、特定の構造を有するα−ケトール不飽和脂肪酸の
アミド誘導体に優れた植物成長調整効果が認められるこ
とを見出して本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明者は、本願において、以
下の発明を提供する。第1に、下記一般式(1)で表さ
れるα−ケトール不飽和脂肪酸のアミド誘導体(以下、
本ケトール脂肪酸誘導体ともいう)を提供する。
【0011】
【化2】 〔式中、R1 は、炭素原子数が1〜17のアルキル基ま
たは炭素原子数が2〜17の二重結合を1〜5個有する
(二重結合数は全炭素結合数を超えない)不飽和炭化水
素基を表し、R2 は、水素原子またはα−アミノ酸の側
鎖を表し、R3 は、α−ケトールアルキレン基を表し、
4 は、 式 −( CH2)L −( HC=CH) m −( CH2)n − で表わされる2価の直鎖状炭化水素基(式中、結合数
L、mおよびnは整数で、かつ、mは0または1であ
り、Lとnの和は1〜15である)を表し、R6 は水素
原子またはアルカリ金属原子を表す〕
【0012】第2に、本ケトール脂肪酸誘導体を有効成
分とする植物成長調整剤(以下、本植物成長調整剤とも
いう)を提供する。また、本植物成長調整剤は、本ケト
ール脂肪酸誘導体の植物に対する個別的な作用に着目し
た剤(植物の花芽形成促進剤、植物賦活剤、植物の成長
促進剤、植物の老化防止剤、植物の花期延長剤、植物の
休眠抑制剤、植物のストレス抑制剤)としての態様をと
り得る剤である。
【0013】本発明において「植物の成長調整」とは、
何らかの形で植物の生命活動を調整することを意味する
ものであり、植物の成長促進、抗老化、花期延長、休眠
抑制、植物におけるストレスに対する抵抗性の付与等の
植物の賦活作用は勿論のこと、花芽形成促進をも包含す
る概念である。
【0014】また、「植物の成長促進」とは、茎葉の拡
大、塊茎塊根の成長促進、着果促進、果実の成長促進等
を包含する概念である。なお、本明細書においては、本
来イタリック体(下線付きアルファベット)で表記する
べきものも、通常のアルファベットで表記している。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。 A.本ケトール脂肪酸誘導体について 本ケトール脂肪酸誘導体は、上記の一般式(1)に示す
構造のα−ケトール不飽和脂肪酸のアミド誘導体であ
る。
【0016】一般式(1)におけるR1 は、上記の通
り、炭素原子数が1〜17のアルキル基または炭素原子
数が2〜17の二重結合を1〜5個有する(二重結合数
は全炭素結合数を超えない)不飽和炭化水素基である。
【0017】R1 がとり得る、炭素原子数が1〜17の
アルキル基のうち、直鎖状のアルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキ
シル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデ
シル基、ペンタデシル基等を挙げることができる。ま
た、同じく、分岐状のアルキル基としては、例えば、2
−メチルデシル基、4−エチルヘキシル基、10−メチ
ルドデシル基、3, 5-ジエチルドデシル基、3, 6,
9- トリメチルデシル基、2, 2- イソプロピル- 3-
メチルブチル基等が挙げられる。
【0018】また、R1 がとり得る、炭素原子数が2〜
17の二重結合を1〜5個有する(二重結合数は全炭素
結合数を超えない)不飽和炭化水素基のうち、直鎖状の
不飽和炭化水素基としては、例えば、2- ヘキセニル
基、2- ペンテニル基、4- オクテニル基、2, 5- ヘ
プタジエニル基、3, 5- オクタジエニル基、3, 6,
11- ドデカトリエニル基、1, 3, 6, 8- ヘキサデ
カテトラエニル基、3,5, 8, 10, 12- ヘプタデ
カペンタエニル等が挙げられる。また、同じく、分岐状
の不飽和炭化水素基としては、例えば、3- エチル- 2
- オクテニル基、4- メチル- 3- ヘキセニル基、7-
メチル- 2, 5- デカジエニル基、2- エチル- 5, 7
- ドデカジエニル基、6-(1- プロペニル)-8- イソプ
ロピル- 1, 4, 9- デカトリエニル基等が挙げられ
る。
【0019】本ケトール脂肪酸誘導体におけるR1 は、 式 R5 ―HC=CH−CH2 − で示されるアルケニル基(R5 は、炭素原子数が1〜7
の直鎖状アルキル基であるが、炭素原子数が2のエチル
基であることが好ましい)であることが好適である。
【0020】一般式(1)におけるR2 は、上記の通
り、水素原子またはα−アミノ酸の側鎖を表す。R2
α−アミノ酸の側鎖である場合のα- アミノ酸の種類
は、特に限定されず、グリシン、アラニン、ロイシン、
イソロイシン、トリプトファン、チロシン、グルタミ
ン、グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、リ
ジン、アルギニン、ヒスチジン、システイン、メチオニ
ン、セリン、フェニルアラニン、バリン、プロリンまた
はトレオニン等が、L型、D型、ラセミ体を問わずに挙
げられる。特に、これらのα−アミノ酸の中でも、L型
の中性アミノ酸、具体的には、L−アラニン、L−バリ
ン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−フェニルア
ラニン等が好適であり、中でも、L−イソロイシンが好
適である。
【0021】一般式(1)におけるR3 は、上記のよう
に、α−ケトールアルキレン基、すなわち、下記の式
(2)または(3)で表される2価の基であり、(2)
であること、すなわち、R3 のアミド結合側の炭素原子
が、ヒドロキシル基と結合している炭素原子であること
が好適である。
【0022】
【化3】
【0023】一般式(1)におけるR4 は、上記のよう
に、 式 −( CH2)L −( HC=CH) m −( CH2)n − で表わされる2価の直鎖状炭化水素基である。式中、結
合数L、mおよびnは整数で、かつ、mは0または1で
あり、Lとnの和は1〜15であるが、mが0であり、
かつ、Lとnの和が3〜10であることが好ましく、特
に、このLとnの和が7であることが好適である。一般
式(1)におけるR6 は、上記の通り、水素原子または
アルカリ金属原子であるが、水素原子、ナトリウム、カ
リウム、またはリチウムであることが好ましく、中でも
水素原子であることが好ましい。
【0024】なお、本ケトール脂肪酸誘導体の二重結合
は、シス型の二重結合であることが好適である。具体的
には、R1 が、 式 R5 ―HC=CH−CH2 − である場合の二重結合と、結合数mが1である場合にR
4 に存在する二重結合、さらには、本ケトール脂肪酸誘
導体の 式 R1 ―HC=CH−CH2 − における二重結合は、シス型の二重結合であることが好
ましい。
【0025】本ケトール脂肪酸には、複数の不斉炭素が
存在するが、これらの不斉炭素に由来する立体異性体
は、すべて、本ケトール脂肪酸の範疇であり、本ケトー
ル脂肪酸は、分割された光学異性体であっても、これら
の混合物であってもよい。
【0026】本ケトール脂肪酸誘導体の具体例として
は、例えば、N-[9- ヒドロキシ- 10- オキソ- 12
(Z),15(Z)-オクタデカジエノイル]-L- イソロイシ
ン、N−[ 9- ヒドロキシ- 10- オキソ- 12(Z),1
5(Z)-オクタデカジエノイル]-L- セリン、N−[ 9-
ヒドロキシ- 10- オキソ- 12(Z),15(Z)-オクタデ
カジエノイル]-L- アスパラギン、N- [ 9- ヒドロキ
シ- 10- オキソ- 12(Z),15(Z)-オクタデカジエノ
イル]-L- ロイシン、N-[9- ヒドロキシ- 10-オキ
ソ- 12(Z),15(Z)-オクタデカジエノイル]-L- ヒス
チジン、N-[9- ヒドロキシ- 10- オキソ- 12(Z),
15(Z)-オクタデカジエノイル]-グリシン、N-[9- ヒ
ドロキシ- 10- オキソ- 12(Z),15(Z)-オクタデカ
ジエノイル]-D- イソロイシン、N- [9- ヒドロキシ
- 10- オキソ- 12(Z)-オクタデカエノイル]- L-
イソロイシン、N-[13- ヒドロキシ- 12- オキソ-
9(Z),15(Z)-オクタデカジエノイル]-L- バリン、N
-[13- ヒドロキシ- 12- オキソ- 9(Z),15(Z)-オ
クタデカジエノイル]-D- アラニン、N-[9- ヒドロキ
シ- 10- オキソ- 12(Z),15(Z)-エイコサジエノイ
ル]-L- イソロイシン、
【0027】N-[9- ヒドロキシ- 10- オキソ- 12
(Z),15- ヘキサデカジエノイル]-L- イソロイシン、
N-[9- ヒドロキシ- 10- オキソ- 6(Z),12(Z)-オ
クタデカジエノイル]-L- ロイシン、N-[9- ヒドロキ
シ- 10- オキソ- 12(E),15(E)-オクタデカジエノ
イル]-L- イソロイシン、N-[9- ヒドロキシ- 10-
オキソ- 12(E),15(E)-オクタデカジエノイル]-D-
ロイシン、N-[9-ヒドロキシ- 10- オキソ- 6(Z),
12(Z),15(Z)-オクタデカトリエノイル]-L- イソロ
イシン、N-[9- ヒドロキシ- 17- メチル- 10- オ
キソ- 12(Z),15(Z)-オクタデカジエノイル]-L- イ
ソロイシン、N-[9- ヒドロキシ- 17- メチル- 10
- オキソ- 12(Z),15(Z)-オクタデカジエノイル]-D
- アスパラギン酸、N-[15, 17- ジメチル- 9- ヒ
ドロキシ- 10- オキソ- 12(Z)-オクタデカエノイ
ル]-L- イソロイシン等、およびそれらのアルカリ金属
塩を挙げることができる。
【0028】例示したこれらの本ケトール脂肪酸誘導体
のうちでも、上述した好適条件を最も満足する、N-[9
- ヒドロキシ- 10- オキソ- 12(Z),15(Z)-オクタ
デカジエノイル]-L- イソロイシンまたはそのアルカリ
金属塩、例えば、N-[9- ヒドロキシ- 10- オキソ-
12(Z),15(Z)-オクタデカジエノイル]-L- イソロイ
シンナトリウム、N-[9- ヒドロキシ- 10- オキソ-
12(Z),15(Z)-オクタデカジエノイル]-L- イソロイ
シンリチウムは、最も好適な本ケトール脂肪酸誘導体の
態様の一つである。
【0029】本ケトール脂肪酸誘導体は、多様で、か
つ、優れた植物成長調整作用を有しており、後述するよ
うに、植物を活性化するための、植物成長調整剤の有効
成分として用いることができる。
【0030】本ケトール脂肪酸誘導体は、これと類似す
る植物に対する活性を有すると思われる、上記一般式
(1)中、アミノ酸部分(−NH−CHR2 −COO
H)が水酸基(−OH)となったα−ケトール不飽和脂
肪酸(特開平11−29410号公報)よりも強い活性
を有することが大きな特徴である。
【0031】なお、本ケトール脂肪酸誘導体は、天然物
としても合成化合物としても、未だ見い出されていな
い。本ケトール脂肪酸誘導体は、所望する誘導体の具体
的な構造に応じた方法で製造することができる。具体的
には、上記のα−ケトール不飽和脂肪酸(特開平11−
29410号公報)の1位のカルボキシル基に、α- ア
ミノ酸のアミノ基を結合させて、本ケトール脂肪酸誘導
体を製造することができる。
【0032】本ケトール脂肪酸誘導体を製造する出発物
質となり得る、上記のα−ケトール不飽和脂肪酸は、少
なくとも、その一部が動植物における脂肪酸代謝物質の
中間体として存在することは知られていた。また、さら
に、本発明者らは、9- ヒドロキシ- 10- オキソ- 1
2(Z),15(Z)-オクタデカジエン酸などの上記のα−ケ
トール不飽和脂肪酸が花芽形成促進作用を有することを
見出している(特開平10−29410号公報)。
【0033】なお、その他の上記のα- ケトール不飽和
脂肪酸としては、7- ヒドロキシ-8- オキソ- 10
(Z),13(Z)-オクタデカジエン酸,9- ヒドロキシ- 1
0- オキソ- 12(Z),15(Z)-エイコサジエン酸,11
- ヒドロキシ- 12- オキソ-14(Z),17(Z)-エイコ
サジエン酸,7- ヒドロキシ- 8- オキソ- 10(Z),1
3(Z)-ノナデカジエン酸などが挙げられる。
【0034】これらのα−ケトール不飽和脂肪酸は、天
然物に含まれているものについては、この天然物から抽
出精製することで製造することができる。また、α−リ
ノレン酸に、リポキシゲナーゼ等の酵素を、植物体内に
おける脂肪酸代謝経路に準じて作用させることにより、
所望するα−ケトール不飽和脂肪酸を得ることができ
る。さらに、通常公知の化学合成法を駆使しても、所望
するα- ケトール不飽和脂肪酸を得ることができる。
【0035】上記のα- ケトール不飽和脂肪酸の製造の
詳細に関しては、例えば、特開平11−29410号公
報や文献(Yokoyama et al., Plant Cell Physiol., 4
1,110-113,2000)に記載されている。
【0036】上記のα−ケトール不飽和脂肪酸の1位の
カルボキシル基へのα−アミノ酸のアミノ基の結合反応
は、通常公知の手法によって行うことができる。例え
ば、「実験化学講座22、有機合成IV.酸・アミノ酸・ペ
プチド pp259-271(日本化学会編、丸善、1992)」や
「ペプチド合成の基礎と実験、泉屋信夫他著、pp89-125
(丸善、1985)」等に記載されているように、縮合法、
活性エステル法、アジド法、混合酸無水物法等を駆使し
て行うことができる。
【0037】縮合法を行うに際しては、例えば、ジシク
ロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピル
カルボジイミド(DIPC)、1- エチル- 3- (3-
ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)お
よびその塩酸塩、ベンゾトリアゾール- 1- イル- トリ
ス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン
化物塩(BOP)、ジフェニルホスホリルアジド(DP
PA)等を縮合剤として用いることが可能であり、その
際必要に応じて、1- ヒドロキシベンゾトリアゾール
(HOBt)、N- ヒドロキシスクシンイミド(HON
Su)、3- ヒドロキシ- 4- オキソ- 3, 4- ジヒド
ロ- 1, 2, 3- ベンゾトリアジン(HOObt)等を
混和剤として用いることもできる。
【0038】たとえば、α- ケトール不飽和脂肪酸とα
- アミノ酸を、DMF等の溶媒に溶解し、縮合剤または
縮合剤と混和剤の存在下で反応させて、反応液を濃縮・
洗浄等することにより、目的物を得ることができる。
【0039】活性エステル化法を行うに際しては、p-
ニトロフェノール、N- ヒドロキシスクシンイミド、ペ
ンタフルオロフェノール等を用いることができる。すな
わち、α- ケトール不飽和脂肪酸のp- ニトロフェニル
エステル(ONp)、同N-ヒドロキシスクシンイミド
エステル(ONSu)、同ペンタフルオロフェニルエス
テル(OPfp)等を形成させ、さらにこれと、所望の
アミノ酸と縮合させることにより目的物を得ることがで
きる。
【0040】アジド法を行うに際しては、ヒドラジン、
無水ヒドラジン等を用いることができる。その際、α-
ケトール不飽和脂肪酸のヒドラジドを得ることができ
る。次いで、亜硝酸ブチルまたは亜硝酸tert- ブチ
ル等を用いて、アジドを得て、さらにこれと所望のアミ
ノ酸を縮合させることにより目的物を得ることができ
る。
【0041】混合酸無水物法を行うに際しては、塩化イ
ソブチルオキシカルボニル、塩化ジエチルアセチル、塩
化トリメチルアセチル等を用いることができる。その
際、α−ケトール不飽和脂肪酸の酸無水物を形成し、次
いで、これと所望のアミノ酸を縮合させることにより、
目的物を得ることができる。R6 がアルカリ金属原子で
ある本ケトール脂肪酸誘導体の調製は、通常公知の方法
で行うことができる。例えば、R6 が水素原子である本
ケトール脂肪酸誘導体を、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、硫酸リチウム等で処理した後、中和により析出さ
せ、必要に応じて再結晶させて、取得することができ
る。
【0042】なお、上述した本ケトール脂肪酸誘導体の
生成反応を行うに際しては、必要に応じて保護基の導入
と除去を行うことができる。このようにして、多様で、
かつ、優れた植物成長調整作用を有する本ケトール脂肪
酸誘導体を製造することができる。
【0043】B.本植物成長調整剤について 本植物成長調整剤は、これを植物に使用することによ
り、その植物の成長を調整することが可能である。
【0044】この「植物成長調整」の内容を以下に例示
する。 花芽形成促進作用について 本植物成長調整剤は、これを投与することにより、植物
の花芽の形成を促進することができる。すなわち、本植
物成長調整剤を用いることで、植物が開花する前提とな
る花芽の形成を促進することができる。
【0045】この意味で、本発明は、「植物の花芽形成
促進」という、より具体的な効果を奏する剤も提供する
(花芽形成促進剤)。本植物成長調整剤を、花芽形成促
進剤として用いる場合の投与は、花芽が形成されべき時
期以前であれば特に限定されないが、これを用いる対象
となる植物の性質に応じた処理を行いつつ投与すること
が好適である。例えば、アサガオ等の短日植物の場合に
は、一定の暗処理を行いつつ、本植物成長調整剤を投与
することが好ましい。
【0046】植物の賦活作用について 本植物成長調整剤は、これを投与することにより、その
植物の生命活動を活性化する賦活作用を発揮させること
が可能である。かかる植物に対する作用を発揮し得る植
物賦活剤は、具体的には、植物成長促進剤、抗老化剤、
休眠抑制剤、抗ストレス剤等としての態様を採り得る剤
である。
【0047】−1:植物成長促進作用 本植物調整剤を、植物賦活剤として用いる場合、その植
物の成長速度を早め、収穫効率等を向上させる、植物成
長促進剤として用いることが可能である(前述したよう
に、茎葉の拡大、塊茎塊根の成長促進、着果促進、果実
の成長促進等を期待することができる)。この意味で、
本発明は、「植物の成長促進」という、より具体的な効
果を奏する剤をも提供する(植物成長促進剤)。
【0048】本植物成長調整剤を、植物を賦活させる目
的で用いると、これまで肥料では成長促進が困難であっ
た、発芽後初期の植物の成長を特に促進することができ
る。故に、本植物成長調整剤を、植物賦活剤を植物の成
長促進を目的として用いる場合の投与は、播種時ないし
発芽後の生育初期段階にすることが好ましい。
【0049】すなわち、本植物成長調整剤を、発芽後の
生育初期に噴霧等により投与するだけで、植物の成長の
促進が認められ、しかも、その成長促進効果には持続性
が認められる。また、前述したように、本植物成長調整
剤を、過剰に使用しても、施肥を過剰に行う場合のよう
な植物の生育障害がほとんど認められず、使用量をあま
り気にかけることなく用いることができる。
【0050】園芸ないし農業の分野においては、納品後
の扱いが面倒な種子ではなく、苗による流通が主流にな
りつつある。特に、花卉ビジネスにおいては、一般愛好
家は、すでにほとんど苗を購入している。本植物成長調
整剤を苗の流通前に用いることにより、販売時におい
て、苗を大きくすることが可能である。
【0051】また、上述した本植物成長調整剤の性質
は、ホウレンソウ、レタス、キャベツ等、いわゆる葉物
農作物の収穫を増大するための利用に適している。 −2:抗老化作用 本植物成長調整剤は、これを投与することにより、その
植物の老化を抑制することにより賦活する、植物賦活剤
として用いることができる。具体的には、花期を延長し
て、花を鑑賞する期間や受粉期間を延長させることが可
能である(この個別的な花期延長効果に着目した、「花
期延長剤」も、本発明において提供される)。また、本
植物成長調整剤の投与により、植物株当りの花数を増加
させることもできる。
【0052】本植物成長調整剤を、花期を延長させる植
物賦活剤として用いる場合の投与は、植物の花期全般に
わたって行うことが可能であり、具体的には、種子の水
浸時期であっても、発芽後であってもよい。さらに、一
年草等でも見られるように、株が衰弱して枯死に向かう
時期にも、本植物成長調整剤を投与することにより、衰
弱(老化)を遅らせることができる。
【0053】このように、本植物成長調整剤は、「花期
の延長」や「枯死の遅延」という効果が認められ、いわ
ば、「植物の老化抑制」という効果を発揮して、植物を
賦活させ得る剤である。
【0054】すなわち、本発明は、「植物の老化抑制」
という植物賦活効果を奏する剤をも提供する(植物抗老
化剤)。 −3:休眠抑制作用 本植物成長調整剤は、これを投与することにより、植物
の休眠を防止することで、植物を賦活させることができ
る。すなわち、本植物成長調整剤を、植物賦活剤として
用いることで、植物が一定期間、その成長をストップし
てしまう「休眠期間」を短縮したり終了させたりするこ
とが可能である。
【0055】この意味で、本発明は、「植物の休眠抑
制」という、より具体的な効果を奏する剤をも提供する
(植物休眠抑制剤)。本植物成長調整剤を、植物の休眠
を抑制する植物賦活剤として用いる場合の投与は、植物
の発芽後の早い時期とすることで、植物の休眠を予防す
ることができる。また、既に、休眠してしまった植物に
投与して、その植物の休眠を終了させることも可能であ
る。
【0056】−4:抗ストレス作用 本植物成長調整剤は、これを投与することにより、植物
における様々なストレス、具体的には、乾燥ストレス、
高温ストレス、低温ストレス、浸透圧ストレス等に対す
る抵抗性を付与することで、植物を賦活させることがで
きる。すなわち、本植物成長調整剤により、栽培植物の
収率を低下させる原因ともなる、気候変動、種子の発芽
誘導作業等に伴うストレスの植物に対する影響を軽減す
ることで、植物を賦活することが可能である。
【0057】この意味で、本発明は、「植物に対するス
トレスの抑制」という、より具体的な効果を奏する剤を
も提供する(植物ストレス抑制剤)。本植物成長調整剤
を、植物のストレスを抑制する植物賦活剤として用いる
場合の投与は、植物の種子を発芽させる際や、発芽後に
行うことで、植物にストレスに対する抵抗性を付与する
ことが可能である。
【0058】本植物成長調整剤の有効成分である、本ケ
トール脂肪酸誘導体の植物に対する投与量の上限は特に
限定されない。すなわち、本植物成長調整剤により、本
ケトール脂肪酸誘導体を多量に投与しても、成長阻害等
の植物に対する負の効果は、ほとんど認められない。こ
れは、従来から用いられている植物ホルモン剤を過剰投
与すると、植物に対する負の効果が顕著に現れ、これら
の使用に際しては、過剰投与がなされないように格別の
気配りをしなければならないことと比較すると、本植物
成長調整剤は非常に優れているといえる。
【0059】また、上記の本ケトール脂肪酸誘導体の植
物に対する投与量の下限は、植物個体の種類や大きさに
より異なるが、1つの植物個体に対して1回の投与当
り、0.01μM 程度以上が一応の目安である。
【0060】本植物成長調整剤における、本ケトール脂
肪酸誘導体の配合量は、その使用態様や使用する対象と
なる植物の種類、さらには本植物成長調整剤の具体的な
剤形等に応じて選択することが可能である。本植物成長
調整剤の態様として、本ケトール脂肪酸誘導体をそのま
ま用いることも可能であるが、上記の本ケトール脂肪酸
誘導体の投与の目安等を勘案すると、概ね、剤全体に対
して、10ppb 〜100ppm 程度が好ましく、さらに好
ましくは、同100ppb 〜10ppm 程度である。
【0061】本植物成長調整剤の剤形としては、例え
ば、液剤、固形剤、粉剤、乳剤、底床添加剤等の剤形が
挙げられ、その剤形に応じて、製剤学上適用することが
可能な公知の担体成分、製剤用補助剤等を本発明の所期
の効果である植物の成長促進作用が損なわれない限度に
おいて、適宜配合することができる。例えば、担体成分
としては、本植物成長調整剤が底床添加剤または固形剤
である場合には、概ねタルク、クレー、バーミキュライ
ト、珪藻土、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化カルシ
ウム、白土、シリカゲル等の無機質や小麦粉、澱粉等の
固体担体が;また液剤である場合には、概ね水、キシレ
ン等の芳香族炭化水素類、エタノール、エチレングリコ
ール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジオキ
サン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等
の液体担体が上記の担体成分として用いられる。また製
剤用補助剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類、
アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸
塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等の陰イオン界面活性
剤、高級脂肪族アミンの塩類等の陽イオン界面活性剤、
ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレングリコールアシルエステル、ポリオキシ
エチレングリコール多価アルコールアシルエステル、セ
ルロース誘導体等の非イオン界面活性剤、ゼラチン、カ
ゼイン、アラビアゴム等の増粘剤、増量剤、結合剤等を
適宜配合することができる。
【0062】さらに必要に応じて、植物生長調整剤や、
安息香酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピペコリン
酸等を、上記の本発明の所期の効果を損なわない限度に
おいて、本植物成長調整剤中に配合することもできる。
【0063】本植物成長調整剤は、その剤形に応じた方
法で種々の植物に用いられ得る。例えば、本発明におい
ては、植物の生長点のみならず、茎や葉をはじめとする
植物体の一部または全体に液剤や乳剤として散布、滴
下、塗布等することや、固形剤や粉剤として地中から根
に吸収させること等が可能である。また、成長の促進を
図る植物がウキクサ等の水草の場合には、底床添加剤と
して根から吸収させたり、固形剤を水中で除々に溶解さ
せること等も可能である。
【0064】本植物成長調整剤の植物への投与頻度は、
植物個体の種類や投与目的等により異なるが、基本的に
は、ただ1度の投与によっても所望する効果を得ること
ができる。複数回投与する場合には、1週間以上の投与
間隔をあけることが効率的である。
【0065】また、本植物成長調整剤においては、その
有効成分として、単一種類の本ケトール脂肪酸誘導体を
用いることも、複数の種類の本ケトール脂肪酸誘導体を
組み合わせて用いることも可能である。
【0066】さらに、本植物成長調整剤を適用可能な植
物の種類は特に限定されず、被子植物(双子葉植物・単
子葉植物)の他、菌類、地衣類、蘚苔類、シダ類および
裸子植物に対しても、本植物成長調整剤は有効である。
【0067】被子植物のうち、双子葉植物としては、例
えば、アサガオ属植物(アサガオ)、ヒルガオ属植物
(ヒルガオ、コヒルガオ、ハマヒルガオ)、サツマイモ
属植物(グンバイヒルガオ、サツマイモ)、ネナシカズ
ラ属植物(ネナシカズラ、マメダオシ)が含まれるひる
がお科植物、ナデシコ属植物、ハコベ属植物、タカネツ
メクサ属植物、ミミナグサ属植物、ツメクサ属植物、ノ
ミノツヅリ属植物、オオヤマフスマ属植物、ワチガイソ
ウ属植物、ハマハコベ属植物、オオツメクサ属植物、シ
オツメクサ属植物、マンテマ属植物、センノウ属植物、
フシグロ属植物、ナンバンハコベ属植物等のなでしこ科
植物をはじめ、もくまもう科植物、どくだみ科植物、こ
しょう科植物、せんりょう科植物、やなぎ科植物、やま
もも科植物、くるみ科植物、かばのき科植物、ぶな科植
物、にれ科植物、くわ科植物、いらくさ科植物、かわご
けそう科植物、やまもがし科植物、ぼろぼろのき科植
物、びゃくだん科植物、やどりぎ科植物、うまのすずく
さ科植物、やっこそう科植物、つちとりもち科植物、た
で科植物、あかざ科植物、ひゆ科植物、おしろいばな科
植物、やまとぐさ科植物、やまごぼう科植物、つるな科
植物、すべりひゆ科植物、もくれん科植物、やまぐるま
科植物、かつら科植物、すいれん科植物、まつも科植
物、きんぽうげ科植物、あけび科植物、めぎ科植物、つ
づらふじ科植物、ろうばい科植物、くすのき科植物、け
し科植物、ふうちょうそう科植物、あぶらな科植物、も
うせんごけ科植物、うつぼかずら科植物、べんけいそう
科植物、ゆきのした科植物、とべら科植物、まんさく科
植物、すずかけのき科植物、ばら科植物、まめ科植物、
かたばみ科植物、ふうろそう科植物、あま科植物、はま
びし科植物、みかん科植物、にがき科植物、せんだん科
植物、ひめはぎ科植物、とうだいぐさ科植物、あわごけ
科植物、つげ科植物、がんこうらん科植物、どくうつぎ
科植物、うるし科植物、もちのき科植物、にしきぎ科植
物、みつばうつぎ科植物、くろたきかずら科植物、かえ
で科植物、とちのき科植物、むくろじ科植物、あわぶき
科植物、つりふねそう科植物、くろうめもどき科植物、
ぶどう科植物、ほるとのき科植物、しなのき科植物、あ
おい科植物、あおぎり科植物、さるなし科植物、つばき
科植物、おとぎりそう科植物、みぞはこべ科植物、ぎょ
りゅう科植物、すみれ科植物、いいぎり科植物、きぶし
科植物、とけいそう科植物、しゅうかいどう科植物、さ
ぼてん科植物、じんちょうげ科植物、ぐみ科植物、みそ
はぎ科植物、ざくろ科植物、ひるぎ科植物、うりのき科
植物、のぼたん科植物、ひし科植物、あかばな科植物、
ありのとうぐさ科植物、すぎなも科植物、うこぎ科植
物、せり科植物、みずき科植物、いわうめ科植物、りょ
うぶ科植物、いちやくそう科植物、つつじ科植物、やぶ
こうじ科植物、さくらそう科植物、いそまつ科植物、か
きのき科植物、はいのき科植物、えごのき科植物、もく
せい科植物、ふじうつぎ科植物、りんどう科植物、きょ
うちくとう科植物、ががいも科植物、はなしのぶ科植
物、むらさき科植物、くまつづら科植物、しそ科植物、
なす科植物、ごまのはぐさ科植物、のうぜんかずら科植
物、ごま科植物、はまうつぼ科植物、いわたばこ科植
物、たぬきも科植物、きつねのまご科植物、はまじんち
ょう科植物、はえどくそう科植物、おおばこ科植物、あ
かね科植物、すいかずら科植物、れんぷくそう科植物、
おみなえし科植物、まつむしそう科植物、うり科植物、
ききょう科植物、きく科植物等を例示することができ
る。
【0068】同じく、単子葉植物としては、例えば、ウ
キクサ属植物(ウキクサ)およびアオウキクサ属植物
(アオウキクサ、ヒンジモ)が含まれる、うきくさ科植
物、カトレア属植物、シンビジウム属植物、デンドロビ
ューム属植物、ファレノプシス属植物、バンダ属植物、
パフィオペディラム属植物、オンシジウム属植物等が含
まれる、らん科植物、がま科植物、みくり科植物、ひる
むしろ科植物、いばらも科植物、ほろむいそう科植物、
おもだか科植物、とちかがみ科植物、ほんごうそう科植
物、いね科植物、かやつりぐさ科植物、やし科植物、さ
といも科植物、ほしぐさ科植物、つゆくさ科植物、みず
あおい科植物、いぐさ科植物、びゃくぶ科植物、ゆり科
植物(アスパラガス等)、ひがんばな科植物、やまのい
も科植物、あやめ科植物、ばしょう科植物、しょうが科
植物、かんな科植物、ひなのしゃくじょう科植物等を例
示することができる。
【0069】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明
するが、これにより本発明の技術的範囲が限定されるべ
きものではない。 〔実施例1〕N-[9- ヒドロキシ- 10- オキソ- 12
(Z) , 15(Z) - オクタデカジエノイル]-L-イソロイシ
ン〔以下、本ケトール脂肪酸誘導体(II)ともいう〕お
よびそのリチウム塩〔以下、本ケトール脂肪酸誘導体
(III)ともいう〕の合成 9−ヒドロキシ−10−オキソ−12(Z) ,15(Z) −
オクタデカジエン酸〔特開平11−29410号公報の
段落番号0046〜0065に記載されている「酵素
法」により製造した:以下、α- ケトール不飽和脂肪酸
(I)ともいう〕(14.7mg,0.0474mmol)
を、DMF−H2 O(9:1)混合液(5mL)に溶解し
た。この溶液に、WSC(8.17mg,0.9等量)、
HOBt(6.52mg,0.9等量)およびN−メチル
モルホリン (52.1μL ,10等量)を加え、室温で20
分間攪拌した。反応液に、L- イソロイシンのリチウム
塩(13.0mg,2等量)を加え、さらに室温で2時間
攪拌した。この反応液を直接、HPLC (Capcellpak C
18 UG 120 A, 5μm ,10mm x 250mm: 溶媒[CH3CN(0.085
%TFA含有)-H2O(0.1%TFA 含有)=1:1)] により分離精製
し、本ケトール脂肪酸誘導体(II)(3.0mg)を得
た。また、同様の方法で反応液を調製し、TFAを含ま
ない溶媒系で分離精製することにより、本ケトール脂肪
酸誘導体(III)を得た。
【0070】本ケトール脂肪酸誘導体(II)の構造を、
1 H- および13C- NMRにより確認した。 1H- NMR(400MHz,CDCl3 :0.92(3H,t,J=7.3,5'-
H3),0.96(3H,t,J=7.3,18-H3), 0.98(3H,d,J=7.3,6'-
H3),1.18,1.54(2H,both m,4H'-H2),1.20-1.50(all8H,m,
4,5,6,7-H2), 1.52,1.93(2H, both m, 8-H2),1.60(2H,
m, 3-H2),1.83(1H,m,3'-H),2.08(2H,m,17-H2), 2.23(2
H,t-like,J=7.3,2-H2),2.78(2H,t-like,J=7.0,14-H2),
3.28(2H,t-like,J=6.8,11-H2),4.23(1H,m,2'-H),4.55(1
H,m,9-H),5.29(1H,m,15-H),5.44(1H,m,16-H), 5.56(1H,
m,13-H),5.61(1H,m,12-H) 13C- NMR(100MHz,CD3OD) :12.4(C-5'),15.4(C-1
8),17.0(C-6'),22.3(C-17), 26.8,27.1(C-3,4),27.5,2
7,8(C-4',14), 31.0,31.1,31.2(C-5,6,7),34.5(C-8),3
5.8(C-2), 37.6(C-3'),39.2(C-11),77.6(C-2'),78.6(C-
9),123.0(C-12),127.7(C-15),129.2(C-13), 134.6(C-1
6),174.0(C-1'),176.6(C-1),203.9(C-10)
【0071】
【化4】
【0072】〔実施例2〕本ケトール脂肪酸誘導体のア
サガオに対する花芽形成促進活性の検討 9gのアサガオ(品種名:ムラサキ)の種子に濃硫酸処
理を20分間施し、その後、流水下で一晩放置した。次
いで、種子のへその部分を上にして、湿った海砂上に2
4時間置き発根させた。これらの発根した種子を海砂中
に、1.5〜2.0cm程度の深さに植え、連続光下で培
養した(5日間程度)。
【0073】この培養により開葉したアサガオの全植物
体を、培養液〔KNO3(250mg),NH4NO3(250mg), KH2PO4(25
0mg),MgSO4・7H2O(250mg),MnSO4 ・4H2O(1mg),Fe-citra
te n-hydrate(6mg), H3BO3(2mg),CuSO4 ・5H2O(0.1mg),
ZeSO4・7H2O(0.2mg), Na2MoO4・2H2O(0.2mg), Ca(H2PO
4)2 ・2H2O(250mg) /1000mL蒸留水〕に移した。
【0074】この培養系に上記実施例1において得られ
た本ケトール脂肪酸誘導体(II)および(III)とα−ケ
トール不飽和脂肪酸(I)等の試験品を、直接アサガオ
の子葉に噴霧しながら暗処理を行い、その後26℃で1
6日間連続光で育成し、16日目の花芽の数を観察確認
した(各群8例)。
【0075】暗処理は、一晩(14時間の暗処理)行っ
た。結果を第1図に示す(本ケトール脂肪酸誘導体(II
I)についての結果は、図示していない)。第1図におい
て、横軸の(a)は、対照群(蒸留水を噴霧した群)で
あり、(b)は、本ケトール脂肪酸誘導体(II)を1μ
M 噴霧投与した群であり、(c)は、α−ケトール不飽
和脂肪酸(I)とL−イソロイシンをそれぞれ1μM 投
与した群であり、(d)は、L−イソロイシンを1μM
投与した群であり、(e)は、α−ケトール不飽和脂肪
酸(I)を1μM 投与した群であり、(f)は、α−ケ
トール不飽和脂肪酸(I)を100μM 投与した群を示
している。縦軸は、花芽形成促進活性〔対照群を100
とした、各群の株当りの花芽数(%)〕である。
【0076】第1図に示す結果により、本ケトール脂肪
酸誘導体(II)は、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)よ
りも低濃度で、同等以上の花芽形成促進効果を示すこと
が明らかになった。また、この効果は、L−イソロイシ
ン単独投与群(d)には認められず、本ケトール脂肪酸
誘導体(II)のようなアミド誘導体として、はじめて発
揮され得る効果であることが明らかとなった。本ケトー
ル脂肪酸誘導体(III)は、本ケトール脂肪酸誘導体(I
I)とほぼ同様の花芽形成促進活性を示した。
【0077】第2図は、本ケトール脂肪酸誘導体(II)
の至適投与濃度を検討した結果を示す図面である。第2
図の横軸に示すように、0μM (対照)、0.1μM 、
1μM 、5μM 、10μM 、50μM および100μM
の本ケトール脂肪酸誘導体(II)(各群8〜24例)
を、上記のようにして、アサガオに噴霧投与した場合
の、花芽形成促進活性(%)を検討した。
【0078】第2図に示す結果により、本ケトール脂肪
酸誘導体(II)の至適投与濃度は、1μM 付近であるこ
とが明らかになった。
【0079】
【発明の効果】本発明により、優れた植物の成長調整作
用を有する物質およびこの物質を有効成分とする植物の
成長調整剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本ケトール脂肪酸誘導体(II)のアサガオに対す
る花芽形成促進活性を、α−ケトール不飽和脂肪酸
(I)等との比較において検討した結果を示す図面であ
る。
【図2】本ケトール脂肪酸誘導体(II)のアサガオに対す
る花芽形成促進活性を、その投与濃度に関連付けて検討
した結果を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横川 佳浩 神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横 浜)内 (72)発明者 山口 祥子 神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横 浜)内 (72)発明者 小林 孝次 神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横 浜)内 Fターム(参考) 4H011 AB03 BA01 BB06 DD03

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で表されるα−ケトール
    不飽和脂肪酸のアミド誘導体。 【化1】 〔式中、R1 は、炭素原子数が1〜17のアルキル基ま
    たは炭素原子数が2〜17の二重結合を1〜5個有する
    (二重結合数は全炭素結合数を超えない)不飽和炭化水
    素基を表し、R2 は、水素原子またはα−アミノ酸の側
    鎖を表し、R3 は、α−ケトールアルキレン基を表し、
    4 は、 式 −( CH2)L −( HC=CH) m −( CH2)n − で表わされる2価の直鎖状炭化水素基(式中、結合数
    L、mおよびnは整数で、かつ、mは0または1であ
    り、Lとnの和は1〜15である)を表し、R6 は水素
    原子またはアルカリ金属原子を表す〕
  2. 【請求項2】結合数mが0であり、かつ、Lとnの和が
    3〜10である、請求項1記載のα- ケトール不飽和脂
    肪酸のアミド誘導体。
  3. 【請求項3】結合数Lとnの和が7である、請求項1ま
    たは2記載のα−ケトール不飽和脂肪酸のアミド誘導
    体。
  4. 【請求項4】R1 が、 式 R5 ―HC=CH−CH2 − で示されるアルケニル基(R5 は、炭素原子数が1〜7
    の直鎖状アルキル基を表す)である、請求項1〜3のい
    ずれかの請求項記載のα- ケトール不飽和脂肪酸のアミ
    ド誘導体。
  5. 【請求項5】R5 がエチル基である、請求項4記載のα
    −ケトール不飽和脂肪酸のアミド誘導体。
  6. 【請求項6】二重結合がシス型二重結合である、請求項
    1〜5記載のα−ケトール不飽和脂肪酸のアミド誘導
    体。
  7. 【請求項7】R3 のアミド結合側の炭素原子が、ヒドロ
    キシル基と結合している炭素原子である、請求項1〜6
    のいずれかの請求項記載のα−ケトール不飽和脂肪酸の
    アミド誘導体。
  8. 【請求項8】R2 が、L型中性α- アミノ酸の側鎖であ
    る、請求項1〜7のいずれかの請求項記載のα−ケトー
    ル不飽和脂肪酸のアミド誘導体。
  9. 【請求項9】N-[9- ヒドロキシ- 10- オキソ- 12
    (Z), 15(Z)-オクタデカジエノイル]-L- イソ
    ロイシンまたはそのアルカリ金属塩である、請求項1記
    載のα−ケトール不飽和脂肪酸のアミド誘導体。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかの請求項記載の
    α−ケトール不飽和脂肪酸のアミド誘導体を有効成分と
    する植物成長調整剤。
  11. 【請求項11】植物成長調整剤が、花芽形成促進剤であ
    る、請求項10記載の植物成長調整剤。
  12. 【請求項12】植物成長調整剤が、植物賦活剤である、
    請求項10記載の植物成長調整剤。
  13. 【請求項13】植物賦活剤が、植物成長促進剤である、
    請求項12記載の植物賦活剤。
  14. 【請求項14】植物賦活剤が、植物休眠抑制剤である、
    請求項12記載の植物賦活剤。
  15. 【請求項15】植物賦活剤が、植物老化抑制剤である、
    請求項12記載の植物賦活剤。
  16. 【請求項16】植物老化抑制剤が、花期延長剤である、
    請求項15記載の植物の老化抑制剤。
  17. 【請求項17】植物賦活剤が、植物ストレス抑制剤であ
    る、請求項12記載の植物賦活剤。
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