JPH1129410A - 花芽形成誘導剤及び花芽形成誘導用キット - Google Patents

花芽形成誘導剤及び花芽形成誘導用キット

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JPH1129410A
JPH1129410A JP34867897A JP34867897A JPH1129410A JP H1129410 A JPH1129410 A JP H1129410A JP 34867897 A JP34867897 A JP 34867897A JP 34867897 A JP34867897 A JP 34867897A JP H1129410 A JPH1129410 A JP H1129410A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】植物の花芽形成に直接作用する花芽形成誘導剤
及び花芽形成誘導用キットを提供すること。 【解決手段】2位乃至n位のいずれかに位置する炭素原
子から選ばれる異なる2つの炭素原子の一方がカルボニ
ル基を構成する炭素原子であり,他方がヒドロキシル基
が結合した炭素原子である,その炭素原子数であるnが
4以上24以下であるケトール脂肪酸を原則として有効
成分とする花芽形成誘導剤、及びこの花芽形成誘導剤を
含む花芽形成誘導用キットを提供することにより、上記
の課題を解決し得ることを見出した。なお、本願におい
てはかかる花芽形成誘導剤の有効成分の特定の製造方法
も提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、花芽形成誘導剤に
関する技術分野の発明である。より詳細には、特定の構
造のケトール脂肪酸、又はこのケトール脂肪酸とノルエ
ピネフリンとを有効成分として含有する花芽形成誘導
剤、並びに花芽形成誘導用キット、さらにはかかる特定
の構造のケトール脂肪酸等の製造方法に関する発明であ
る。
【0002】
【従来の技術】植物の花成が日長によって支配されてい
ることは、周知の通りである。そして、この日長に感応
する部分は葉身であり、花成は生長点で起こり、葉身か
ら葉柄や茎を通って生長点に何らかのシグナルが送られ
てこの花成が開始することが突き止められている。この
シグナルは、フロリゲンと呼ばれており、これを分離・
同定することができれば、日長に関わらず植物の開花時
期を人為的に調節することが可能となり、植物が関わる
多くの分野において多大な影響を与え得ることは明らか
である。そこで、従来より植物の花成過程のメカニズム
をより明らかにすることにより、開花時期を人為的に調
節する試みがなされている。例えば、植物の生長ホルモ
ンの一つであるジベレリンを施すと、多くの長日植物が
短日下においても花芽を形成することやパインアップル
は合成オーキシンの一つであるα−ナフタレン酢酸を施
すと開花が起こることが突き止められ、現実に産業上利
用されている。
【0003】しかしながら、これらの植物ホルモンは、
いわばフロリゲン関連物質であり、フロリゲンそのもの
とは異なるであろうことも突き止められている。そのた
め、これらの植物ホルモンを植物に施す時期や環境等の
様々な条件設定が必要であることが多く、さらなる開花
手法の進歩、具体的には花芽形成に直接関わる物質を分
離・同定して、この物質によって開花手法を確立するこ
とが望まれている。また、アサガオ属植物(Pharbiti
s)、オナモミ属植物(Xanthium) やドクムギ属植物(Lo
lium)においては、光周性に基づく花成現象が、乾燥ス
トレスにより阻害されることが報告されている( アサガ
オ属及びオナモミ属について:Aspinall 1967 ;ドクム
ギ属について:King and Evans)。さらに、花芽誘導が
低温(Bernier et al. 1981 ;Hirai et al.1994) 、高
照度(Shinozaki 1972)、貧栄養(Hirai et al.1993)
や窒素源の不足(Wada and Totuka 1982;Tanaka 198
6;Tanaka et al. 1991)により惹起されることも既に
報告されている。しかしながら、これらの報告は単に現
象面を捉えたのみであって、上記フロリゲンを直接特定
するには至っておらず、依然として物質面から捉えた開
花方法の確立が望まれている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】そこで、本発明が解決すべき
課題は、開花に直接関わる花芽形成誘導物質等を見出し
て、この花芽形成誘導物質を有効成分とする花芽形成誘
導手段を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決を目的として鋭意検討を行った。その結果、特定の
構造を有するケトール脂肪酸が、単独で又はカテコール
アミンの一種であるノルエピネフリンと組合せて作用さ
せること等によって、所望する花芽形成誘導活性を植物
に対して広く有すること等を見出し、本発明を完成し
た。すなわち本発明者は、本願において、以下の花芽形
成誘導剤等を提供する。
【0006】請求項1において、2位乃至n位のいずれ
かに位置する炭素原子から選ばれる異なる2つの炭素原
子の一方がカルボニル基を構成する炭素原子であり,他
方がヒドロキシル基が結合した炭素原子である,その炭
素原子数であるnが4以上24以下であるケトール脂肪
酸を有効成分とする花芽形成誘導剤を提供する。
【0007】請求項2において、前記請求項1記載の花
芽形成誘導剤の有効成分であるケトール脂肪酸の,その
2位乃至n位のいずれかに位置する炭素原子その炭素鎖
におけるカルボニル基を構成する炭素原子及びヒドロキ
シル基が結合した炭素原子以外のいずれか1つの炭素原
子がヒドロペルオキシ基が結合した炭素原子であるケト
ール脂肪酸を有効成分とする花芽形成誘導剤を提供す
る。
【0008】請求項3において、前記請求項1又は請求
項2記載の花芽形成誘導剤の有効成分であるケトール脂
肪酸の一方のカルボニル基を構成する炭素原子と,他方
のヒドロキシル基が結合した炭素原子がα位又はγ位の
位置にあるケトール脂肪酸を有効成分とする花芽形成誘
導剤を提供する。
【0009】請求項4において、その炭素原子同士の結
合形式に関し、2重結合が1か所以上,6か所以下存在
する、前記請求項1乃至請求項3のいずれかの請求項記
載の花芽形成誘導剤の有効成分であるケトール脂肪酸を
有効成分とする花芽形成誘導剤を提供する。
【0010】請求項5において、その炭素原子数が18
であり,かつその炭素原子同士の結合形式に関し,2重
結合が2か所存在する、前記請求項1乃至請求項4のい
ずれかの請求項記載の花芽形成誘導剤の有効成分である
ケトール脂肪酸を有効成分とする花芽形成誘導剤を提供
する。
【0011】請求項6において、2位乃至n位のいずれ
かに位置する炭素原子がヒドロペルオキシ基が結合した
炭素原子である,その炭素原子数であるnが4以上24
以下であるヒドロペルオキシ脂肪酸を有効成分とする花
芽形成誘導剤を提供する。
【0012】請求項7において、前記請求項1乃至請求
項6記載のいずれかの花芽形成誘導剤の有効成分である
ケトール脂肪酸及び/又はヒドロペルオキシ脂肪酸,並
びにノルエピネフリンを有効成分とする花芽形成誘導剤
を提供する。
【0013】請求項8において、前記請求項1乃至請求
項6記載のいずれかの花芽形成誘導剤の有効成分である
ケトール脂肪酸及び/又はヒドロペルオキシ脂肪酸を含
有する花芽形成誘導用キットを提供する。
【0014】請求項9において、前記請求項1乃至請求
項6記載のいずれかの花芽形成誘導剤の有効成分である
ケトール脂肪酸及び/又はヒドロペルオキシ脂肪酸,並
びにノルエピネフリンを含有する花芽形成誘導用キット
を提供する。
【0015】請求項10において、その炭素数が4以上
24以下の不飽和脂肪酸に、リポキシゲナーゼ(lipoxyg
enase)を作用させてヒドロペルオキシ不飽和脂肪酸を製
造する、前記請求項6記載の花芽形成誘導剤の有効成分
であるヒドロペルオキシ脂肪酸の製造方法を提供する。
【0016】請求項11において、リポキシゲナーゼ
が、選択的にリノール酸の9位の二重結合部分を酸化す
るリポキシゲナーゼである、前記請求項10記載のヒド
ロペルオキシ脂肪酸の製造方法を提供する。
【0017】請求項12において、リポキシゲナーゼが
コメ胚芽由来のリポキシゲナーゼである、前記請求項1
1記載のヒドロペルオキシ脂肪酸の製造方法を提供す
る。
【0018】請求項13において、不飽和脂肪酸がリノ
ール酸又はα−リノレン酸である、前記請求項10乃至
請求項12のいずれかの請求項記載のヒドロペルオキシ
脂肪酸の製造方法を提供する。
【0019】請求項14において、その炭素数が4以上
24以下の不飽和脂肪酸に、リポキシゲナーゼを作用さ
せて得られたヒドロペルオキシ不飽和脂肪酸に、さらに
アレンオキサイドシンターゼ(allene oxide synthase)
を作用させて製造する、前記請求項1乃至請求項5記載
のいずれかの花芽形成誘導剤の有効成分であるケトール
脂肪酸の製造方法を提供する。
【0020】請求項15において、リポキシゲナーゼ
が、選択的にリノール酸の9位の二重結合部分を酸化す
るリポキシゲナーゼである、前記請求項14記載のヒド
ロペルオキシ脂肪酸の製造方法を提供する。
【0021】請求項16において、リポキシゲナーゼが
コメ胚芽由来のリポキシゲナーゼである、前記請求項1
5記載のケトール脂肪酸の製造方法を提供する。
【0022】請求項17において、不飽和脂肪酸が、リ
ノール酸又はα−リノレン酸である、前記請求項14乃
至請求項16のいずれかの請求項記載のケトール脂肪酸
の製造方法を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明花芽形成誘導剤は、特定のケトール
脂肪酸を有効成分とする剤である。このケトール脂肪酸
は、上記の通り、2位乃至n位のいずれかに位置する炭
素原子から選ばれる異なる2つの炭素原子の一方がカル
ボニル基を構成する炭素原子であり,他方がヒドロキシ
ル基が結合した炭素原子である,その炭素原子数である
nが4以上24以下のケトール脂肪酸である(以下,こ
のケトール脂肪酸を「本発明関連ケトール脂肪酸」とい
うこともある)。
【0024】すなわち、本発明関連ケトール脂肪酸の一
つの特徴は、その炭素骨格にカルボニル基を構成する炭
素原子及びヒドロキシル基が結合した炭素原子が存在す
るケトール構造をとることである。このケトール構造に
関わるカルボニル基を構成する炭素原子及びヒドロキシ
ル基が結合した炭素原子は、上記ケトール脂肪酸の炭素
骨格における位置関係は、α位又はγ位であることが,
所望する花芽形成誘導活性を発揮するうえで好ましく、
特にα位であることがこの観点から好ましい。
【0025】また本発明関連ケトール脂肪酸は、その炭
素原子同士の結合形式に関し,2重結合が1か所以上,
6か所以下存在する不飽和ケトール脂肪酸であること
が、所望する花芽形成誘導活性を発揮するうえで好まし
い。また本発明関連ケトール脂肪酸の炭素数は18であ
ることが好ましい。さらにこの場合には、本発明関連ケ
トール脂肪酸の炭素原子同士の結合形式に関し,2重結
合が2か所存在することが好ましい。なお本発明関連ケ
トール脂肪酸は、そのカルボニル基を構成する炭素原子
とヒドロキシル基が結合した炭素原子以外のいずれか1
つの炭素原子にヒドロペルオキシ基が結合した炭素原子
を有していてもよい。
【0026】上述の本発明関連ケトール脂肪酸の具体例
としては、例えば9−ヒドロキシ−10−オキソ−12
),15()−オクタデカジエン酸〔以下,本発
明関連ケトール脂肪酸(I)ということもある〕、12
−オキソ−13−ヒドロキシ−9(),15()−
オクタデカジエン酸〔以下,本発明関連ケトール脂肪酸
(II)ということもある〕、10−オキソ−13−ヒド
ロキシ−11(),15()−オクタデカジエン酸
〔以下,本発明関連ケトール脂肪酸(III)ということ
もある〕、9−ヒドロキシ−12−オキソ−10
),15()−オクタデカジエン酸〔以下,本発
明関連ケトール脂肪酸(IV)ということもある〕等を挙
げることができる。
【0027】以下に、本発明関連ケトール脂肪酸(I)
及び同(IV)の化学構造式を記載する。
【化1】
【0028】
【化2】
【0029】なお、本発明関連ケトール脂肪酸(II)及
び同(III)の化学構造式は、後述するこれらの本発明
関連ケトール脂肪酸の化学合成法についての記載の中で
開示する。また、そのカルボニル基を構成する炭素原子
とヒドロキシル基が結合した炭素原子以外のいずれか1
つの炭素原子にヒドロペルオキシ基が結合した炭素原子
を有している本発明関連ケトール脂肪酸としては、例え
ば9−ヒドロペルオキシ−12−オキソ−13−ヒドロ
キシ−10(),15()−オクタデカジエン酸
〔以下,本発明関連ケトール脂肪酸(V) ということもあ
る〕、9−ヒドロキシ−10−オキソ−13−ヒドロペ
ルオキシ−11(),15()−オクタデカジエン
酸〔以下,本発明関連ケトール脂肪酸(VI)ということも
ある〕等を挙げることができる。
【0030】以下に、本発明関連ケトール脂肪酸(V)及
び同(VI)の化学構造式を記載する。
【化3】
【0031】上述の本発明関連ケトール脂肪酸のうち、
少なくとも一部は動植物における脂肪酸代謝物質の中間
体として知られているが、これらが直接植物において果
たす役割については知られていない。例えば、本発明関
連ケトール脂肪酸(I)は、生体内に豊富に存在するα
−リノレン酸を出発物質とする脂肪酸代謝経路の中間体
として知られている。しかしながら、この本発明関連ケ
トール脂肪酸(I)が直接植物において果たす役割につ
いては知られていない。本発明者はこれらの本発明関連
ケトール不飽和脂肪酸が、広く植物における花芽誘導作
用を有することを見出した。
【0032】A.まず、本発明関連ケトール脂肪酸の製
造方法について説明する。本発明関連ケトール脂肪酸
は、所望するケトール脂肪酸の具体的構造に応じた方法
で製造することができる。すなわち、天然物に含まれ
ていることが明らかな態様の本発明関連ケトール脂肪酸
は、この天然物から抽出精製することで製造することが
できる(以下,抽出法という)。また、不飽和脂肪酸
にリポキシゲナーゼ等の酵素を、植物体内における脂肪
酸代謝経路に準じて作用させることにより本発明関連ケ
トール脂肪酸を得ることができる(以下,酵素法とい
う)。さらに、所望する本発明関連ケトール脂肪酸の
具体的構造に応じて,通常公知の化学合成法を駆使して
本発明関連ケトール脂肪酸を得ることができる(以下,
化学合成法という)。
【0033】抽出法について:上記本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)は、ウキクサ科植物の一種であるアオウ
キクサ(Lemna paucicostata) から抽出・精製して得
ることができる。この抽出法における原材料となるアオ
ウキクサ(Lemna paucicostata) は、池や水田の水面
に浮遊する、水面に浮かぶ葉状体が各々1本の根を水中
に下ろす小型の水草である。花は、葉状体の体側に形成
され、1本の雄しべだけからなる雄花2個と1個の雌し
べからなる雌花が、共通した小さな苞に包まれている。
【0034】このアオウキクサは、比較的増殖速度が速
く(すなわち、花成形成が速い。例えば、後述するアッ
セイ系において花芽誘導のチェック用に用いられたアオ
ウキクサ151系はわずか7日間以下で花成を行
う。)、また日長を変えることによって容易に花芽形成
誘導を制御できる等の花芽形成に関連するアッセイ系と
して優れた性質を有している。
【0035】このアオウキクサの破砕物をインキュベー
トしたものには、少なくともアオウキクサに対する花芽
誘導活性が認められている。そして、さらにこの破砕物
に遠心分離(8000×g・10分間程度)を施し、得
られた上清と沈澱物のうち、上清を除いたものを本発明
ケトール脂肪酸(I)を含む画分として用いることがで
きる。このように、本発明ケトール脂肪酸(I)は、上
記破砕物を出発物として単離・精製することが可能であ
る。
【0036】そして、さらに調製効率の上で好ましい出
発物として、アオウキクサを浮かばせた又は浸漬した後
の水溶液を挙げることができる。この水溶液は、アオウ
キクサが生育可能なものである限りにおいて特に限定さ
れない。この水溶液の調整の具体例は、後述する実施例
において記載する。
【0037】浸漬時間は、室温で2〜3時間程度でも可
能であるが、特に限定されるべきものではない。また、
上記した方法で本発明ケトール脂肪酸(I)の出発物を
調製する場合に、あらかじめアオウキクサに本発明ケト
ール脂肪酸(I)を誘導することができる特定のストレ
スを与えることが、本発明ケトール脂肪酸(I)の製造
効率上好ましい。
【0038】具体的には、乾燥ストレス,熱ストレス,
浸透圧ストレス等を前記特定のストレスとして挙げるこ
とができる。乾燥ストレスは、例えば低湿度(好ましく
は相対湿度で50%以下)で室温下、好ましくは24〜
25℃程度で、アオウキクサを乾燥したフィルター紙上
に広げた状態で放置することによって与えることができ
る。この場合の乾燥時間は、概ね20秒以上、好ましく
は5分以上、より好ましくは15分以上である。
【0039】熱ストレスは、例えば温水中にアオウキク
サを浸漬することによって与えることができる。この場
合の温水の温度は、40℃〜65℃で可能であり、好ま
しくは45℃〜60℃、より好ましくは50℃〜55℃
である。また、温水に処理する時間は、概ね5分程度で
足るが、比較的低温の場合、例えば40℃程度の温水中
でアオウキクサを処理する場合は、2時間以上処理する
ことが好ましい。また、上記熱ストレス処理後は、速や
かにアオウキクサを冷水中に戻すことが好ましい。
【0040】浸透圧ストレスは、例えば高濃度の糖溶液
等の高浸透圧溶液にアオウキクサを接触させることによ
り与えることができる。この場合の糖濃度は、例えばマ
ンニトール溶液であれば0.3M以上、好ましくは0.
5M以上であることが好ましい。処理時間は、例えば
0.5Mマンニトール溶液を用いる場合は1分以上、好
ましくは3分以上である。このようにして、所望する本
発明ケトール脂肪酸(I)を含む出発物を調製すること
ができる。
【0041】なお、上記した種々の出発物の基となるア
オウキクサの株は特に限定されないが、特に効率良く花
芽誘導物質を生産する株(例えば、アオウキクサ441
系)を用いることが好ましい。このようなアオウキクサ
の株は、通常の選抜方法を用いて確保することも可能で
あり、遺伝子工学的な手法を用いて確保することも可能
である。
【0042】次に、上記のように調製した出発物に以下
のような分離・精製手段を施して、所望する本発明ケト
ール脂肪酸(I)を製造することができる。なお、ここ
に示す分離手段は例示であり、これらの分離手段に上記
出発物から本発明ケトール脂肪酸(I)を製造するため
の分離手段が限定されるものではない。
【0043】まず、上記出発物に対して溶媒抽出を行
い、本発明関連ケトール脂肪酸(I)を含有する成分を
抽出することが好ましい。かかる溶媒抽出に用いる溶媒
は特に限定されるものではなく、例えばクロロホルム,
酢酸エチル,エーテル,ブタノール等を用いることがで
きる。これらの溶媒の中でもクロロホルムは、比較的容
易に不純物を除去することが可能であるという点におい
て好ましい。
【0044】この溶媒抽出で得られた油層画分を、通常
公知の方法を用いて洗浄・濃縮し、ODS(オクタデシ
ルシラン)カラム等の逆相分配カラムクロマトグラフィ
ー用カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)にかけて、花芽誘導活性画分を同定・単離するこ
とにより本発明関連ケトール脂肪酸(I)を単離するこ
とができる。なお、出発物の性質等に応じて通常公知の
他の分離手段、例えば限外濾過,ゲル濾過クロマトグラ
フィー等を組み合わせて用いることも勿論可能である。
【0045】以上、本発明関連ケトール脂肪酸(I)を
抽出法で製造する工程について説明したが、所望する態
様の本発明関連ケトール脂肪酸が生体中に存在する場合
には、上記に準じた方法や,上記の方法の変法を駆使す
ることにより、その本発明関連ケトール脂肪酸を製造す
ることが可能である。
【0046】酵素法について:酵素法の出発物質とし
て典型的なものとしては、所望する本発明関連ケトール
脂肪酸の構造に応じた位置に二重結合が存在する,その
炭素数が4以上24以下の不飽和脂肪酸を挙げることが
できる。
【0047】この不飽和脂肪酸としては、例えばオレイ
ン酸,バクセン酸,リノール酸,α−リノレン酸,γ−
リノレン酸,アラキドン酸,9,12-octadecadienoic aci
d 、9,11(10,12)-octadecadienoic acid 、9,12,15-oc
tadecatrienoic acid 、6,9,12,15-octadecatetraenoic
acid 、11,14-eicosadienoic acid、5,8,11-eicosatri
enoic acid、5,8,11-eicosatriynoic acid、11,14,17-e
icosatrienoic acid、5,8,11,14,17-eicosapentaenoic
acid、13,16-docosadienoic acid、13,16,19-docosatri
enoic acid、7,10,13,16-docosatetraenoic acid、7,1
0,13,16,19-docosapentaenoic acid 、4,7,10,13,16,19
-docosahexaenoic acid等を挙げることができるが、こ
れらの不飽和脂肪酸に限定されるものではない〔なお、
これらの不飽和脂肪酸において、立体異性体はトランス
体(trans-)であってもシス体(cis-)であってもよい〕。
【0048】これらの不飽和脂肪酸は、概ね動物・植物
等に含まれている不飽和脂肪酸であり、これらの動物・
植物等から通常公知の方法を通じて抽出・精製したもの
や、通常公知の方法により化学合成したものを用いるこ
とも可能であり、市販品を用いることも勿論可能であ
る。
【0049】この酵素法においては、上記の不飽和脂肪
酸を基質として、リポキシゲナーゼ(LOX)を作用さ
せて、これらの不飽和脂肪酸の炭素鎖にヒドロペルオキ
シ基(−OOH)を導入する。リポキシゲナーゼは、不
飽和脂肪酸の炭素鎖に分子状酸素をヒドロペルオキシ基
として導入する酸化還元酵素であり、動物・植物を問わ
ず、またサッカロミセス属に属する酵母に代表される酵
母においてもその存在が確認されている酵素である。
【0050】例えば、植物であれば被子植物全般〔具体
的には、後述する本発明花芽形成誘導剤を適用可能な双
子葉植物及び単子葉植物全般〕において、その存在が確
認されている酵素である。これらの植物の中でも特にダ
イズ,アマ,アルファルファ,大麦,ソラマメ,ハウチ
ワマメ,ヒラマメ,エンドウマメ,ジャガイモ,小麦,
リンゴ,パンイースト,綿,キュウリ,スグリ,ブド
ウ,西洋ナシ,インゲンマメ,コメ,イチゴ,ヒマワ
リ,茶等がリポキシゲナーゼの出所としては好ましい。
また、クロロフィルがリポキシゲナーゼの上記活性を阻
害する傾向が強いために、可能な限り植物におけるクロ
ロフィルが存在しない種子,根,果実等をリポキシゲナ
ーゼの原料として選択することが好ましい。
【0051】本発明においてリポキシゲナーゼは、不飽
和脂肪酸の炭素鎖の所望する位置ににヒドロペルオキシ
基を導入することができるものであれば、その由来は特
に限定されないが、可能な限り選択的にリノール酸の9
位の二重結合部分を酸化するリポキシゲナーゼを用いる
ことが、所望する本発明関連ケトール脂肪酸の収率を向
上させ得るという点において非常に好ましい。
【0052】かかる選択的リポキシゲナーゼの代表的な
リポキシゲナーゼとして、例えばコメ胚芽(rice germ)
に由来するリポキシゲナーゼを挙げることができる〔Ya
mamoto,A.,Fuji,Y.,Yasumoto,K.,Mitsuda,H.,Agric.Bio
l.Chem.,44,443(1980)等〕。そして、この選択的リポキ
シゲナーゼに対する基質として選択する不飽和脂肪酸と
しては、リノール酸又はα−リノレン酸を用いることが
好ましい。
【0053】なお、不飽和脂肪酸を基質としてリポキシ
ゲナーゼ処理を行うに際しては、用いるリポキシゲナー
ゼの至適温度及び至適pHで酵素反応を進行させること
が好ましいのは当然である。また、上記のリポキシゲナ
ーゼ反応工程により生じた、製造を企図しない夾雑物
は、通常公知の方法、例えば上記の欄で述べたHPL
C等を用いることにより、容易に分離することが可能で
ある。
【0054】ここで用いられるリポキシゲナーゼは、通
常公知の方法により、上記植物等から抽出・精製したも
のを用いることも、市販品を用いることも可能である。
このようにして、上記不飽和脂肪酸からヒドロペルオキ
シ不飽和脂肪酸を製造することができる。
【0055】このヒドロペルオキシ不飽和脂肪酸は、本
発明関連ケトール脂肪酸の酵素法による製造工程の中間
体として位置づけることが可能であり、しかもこのヒド
ロペルオキシ不飽和脂肪酸自体にも花芽形成誘導促進作
用が認められる(後述の試験例参照のこと)。この意味
で本発明は前記の通り、2位乃至n位のいずれかに位置
する炭素原子がヒドロペルオキシ基が結合した炭素原子
である,その炭素原子数であるnが4以上24以下であ
るいヒドロペルオキシ脂肪酸を有効成分とする花芽形成
誘導剤をも提供する発明である。
【0056】このヒドロペルオキシ不飽和脂肪酸として
は、例えば上記本発明関連ケトール脂肪酸(I)の中間
体として、α−リノレン酸にリポキシゲナーゼを作用さ
せて得ることができる9−ヒドロペルオキシ−10
),12(),15()−オクタデカトリエン
酸又は13−ヒドロペルオキシ−9(),11
),15()−オクタデカトリエン酸を挙げるこ
とができる。
【0057】これらのヒドロペルオキシ脂肪酸のうち、
前者の9−ヒドロペルオキシ−10(),12
),15()−オクタデカトリエン酸を本発明関
連ヒドロペルオキシ脂肪酸(a)として、また後者の1
3−ヒドロペルオキシ−9(),11(),15
)−オクタデカトリエン酸を本発明関連ヒドロペル
オキシ脂肪酸(b)として、これらの化学構造式を以下
に記載する。
【0058】
【化4】
【0059】
【化5】
【0060】次いで、このヒドロペルオキシ不飽和脂肪
酸を基質として、アレンオキサイドシンターゼを作用さ
せることによって、所望する本発明関連ケトール脂肪酸
を製造することができる。
【0061】アレンオキサイドシンターゼは、ヒドロペ
ルオキシ基をエポキシ化を経てケトール体に変換する活
性を有する酵素であり、前記リポキシゲナーゼと同様に
植物,動物及び酵母においてその存在が考えられる酵素
であり、植物であれば被子植物全般〔具体的には、後述
する本発明花芽形成誘導剤を適用可能な双子葉植物及び
単子葉植物全般〕において、存在していると考えられる
酵素である。なお、このアレンオキサイドシンターゼは
植物であれば、大麦,小麦,トウモロコシ,綿,ナス,
アマ(種等),チシャ,エンバク,ホウレンソウ,ヒマ
ワリ等においてその存在が認められている。
【0062】本発明においてアレンオキサイドシンター
ゼは、例えば上記の9−ヒドロペルオキシ−10
),12(),15()−オクタデカトリエン
酸の9位のヒドロペルオキシ基を脱水することによりエ
ポキシ基を形成させ、さらにOH-の求核反応により、
所望する本発明関連ケトール脂肪酸を結果として得るこ
とができる限りにおいて特に限定されるものではない。
【0063】ところで、上記のアレンオキサイドシンタ
ーゼ処理を行うに際しては、用いるアレンオキサイドシ
ンターゼの至適温度及び至適pHで酵素反応を進行させ
ることが好ましいのは当然である。また、ここで用いら
れるアレンオキサイドシンターゼは、通常公知の方法に
より、上記植物等から抽出・精製したものを用いること
も、市販品を用いることも可能である。
【0064】上記の2工程の酵素反応は、別々に行うこ
とも、連続して行うことも可能である。さらに、上記酵
素の粗精製品又は精製品を上記酵素反応を進行させるた
めに用いて、所望する本発明関連ケトール不飽和脂肪酸
を得ることが可能である。また、上記酵素を担体に固定
して、これらの固定化酵素を調製してカラム処理又はバ
ッチ処理等を基質に施すことにより所望する本発明関連
ケトール脂肪酸を得ることができる。
【0065】なお、エポキシ基を形成させた後のOH-
の求核反応(上記)により本発明関連ケトール脂肪酸を
得ようとする場合に、その求核物の上記エポキシ基付近
における作用形式によっては、α−ケトール不飽和脂肪
酸の他に、γ−ケトール化合物が生成する。このγ−ケ
トール化合物は、上記の欄で述べたHPLC等の通常
公知の分離手段を用いることにより、容易にα−ケトー
ル化合物と分離することができる。
【0066】化学合成法について:また、本発明関連
ケトール脂肪酸は、通常公知の化学合成法を駆使するこ
とにより製造することもできる。例えば、その一端にア
ルデヒド基等の反応性基を有し、他端に保護基を結合さ
せたカルボキシル末端を付加させた飽和炭素鎖を通常公
知の方法により合成し、これとは別にcis2- ヘキセン-1
- オール等の不飽和アルコール等を出発物質として,所
望の位置に不飽和基を有する反応性末端を有する不飽和
炭素鎖とを合成する。次いで、上記飽和炭化水素鎖とこ
の不飽和炭素鎖とを反応させて、本発明関連ケトール化
合物を製造することができる。なお、この一連の反応に
おいて、反応を企図しない末端に付加する保護基や反応
を促進するための触媒は、具体的な反応様式に応じて適
宜選択して用いることができる。さらに具体的には、例
えば以下のような手順で本発明関連ケトール脂肪酸を合
成することができる。
【0067】i)本発明関連ケトール脂肪酸(I)の合成 Nonanedioic acid mono ethylesterを出発原料として、
N,N'-carbonyldiimidazoleと反応させ、酸イミダゾリド
とした後に、低温でLiAlH4還元して,対応するアルデヒ
ドを合成する。なお、上記出発物質を例えば1,9-Nonane
diol等のジオールとして、同様のアルデヒドを合成する
ことも可能である。
【0068】これとは別に、cis2- ヘキセン-1- オール
(cis2-hexen-1-ol) をtriphenyl phosphine 及びcarbon
tetrabromide と反応させ、得られた臭化化合物にtrip
henyl phosphine を反応させ、さらにn-BuLiの存在下で
chloroacetaldehydeと反応させることによりcis オレフ
ィンを構築し、さらにこれにmethylthio methyl p-tosy
l sulfone と反応後、NaH の存在下、上記のアルデヒド
と反応させて誘導した2級アルコールをtert-buty l di
phenylsilylcholorideで保護して、酸加水分解、次いで
脱保護することにより、所望する本発明関連ケトール脂
肪酸(I)を合成することができる。
【0069】以下に、この本発明関連ケトール脂肪酸
(I)の合成工程の一例の簡単な工程図を示す。
【化6】
【0070】ii) 本発明関連ケトール化合物(II)の合
成 Nonanedioic acid mono ethylester を出発原料とし
て、塩化チオニルと反応させることにより、これを酸ク
ロリドとした後で、NaBH4 還元を行い、酸アルコールを
生成させる。次いで、この酸アルコールの遊離カルボン
酸を保護した後に、triphenyl phosphine 及びcarbonet
etrabromide と反応させ、得られた臭化化合物にtriphe
nyl phosphine を反応させ、さらにn-BuLiの存在下でch
loroacetaldehydeと反応させることによりcis オレフィ
ンを構築し、さらにこれにmethylthiomethyl p-tosyl s
ulfone と反応後、n-BuLiの存在下で、これを別にcis2-
hexen-1-ol のPCC 酸化により誘導したアルデヒドと反
応させ、最後に脱保護することにより、所望する本発明
関連ケトール脂肪酸(II)を合成することができる。
【0071】以下に、この本発明関連ケトール脂肪酸
(II)の合成工程の一例の簡単な工程図を示す。
【化7】
【0072】iii)本発明ケトール化合物(III)の合成 Methyl vinyl ketoneを出発原料とし、LDA 及びDME の
存在下でtrimethylsilylchlorideを反応させ、得られた
シリルエーテルを、低温(-70℃) でMCPBA 及びtrimethy
laminehydrofluoric acid を添加してケトアルコールを
調製する。次いでこのケトアルコールのカルボニル基を
保護した後に、triphenyl phosphine 及びtrichloroace
toneを反応試薬に用いて、オレフィンに塩化物を付加さ
せることなく反応させ、この反応物をtributylarsine及
びK2CO3 の存在下で、formic acidを反応させ、trans
オレフィンを構築して塩化物とする。次いで、この塩化
物とcis2-hexen-1-ol のPCC 酸化により誘導したアルデ
ヒドと反応させて、この反応物と6-heptenonic acid と
の結合反応を行い、最後に脱保護することにより、所望
する本発明関連ケトール脂肪酸(III)を合成すること
ができる。
【0073】以下に、この本発明関連ケトール脂肪酸
(III)の合成工程の一例の簡単な工程図を示す。
【化8】
【0074】なお、花芽形成の促進を図る植物の種類に
よっては、上記の本発明関連ケトール脂肪酸と,神経伝
達物質としてよく知られているノルエピネフリンを補助
成分として組み合わせて用いることにより、所望する花
芽形成誘導作用を十分に発揮させ得るものもあるが、こ
の際に用いられるノルエピネフリンは、通常公知の方法
により合成したものを用いることもできるが、市販品を
用いることも勿論可能である。本発明では、天然型であ
る(−)形ノルエピネフリンだけではなく、(+)形の
ノルエピネフリン、さらにはこれらの混合物をも用いる
ことができる。
【0075】B.このようにして製造される、本発明関
連ケトール脂肪酸並びに本発明関連ケトール脂肪酸及び
ノルエピネフリン等の補助成分を有効成分とする花芽形
成誘導剤(以下、本発明花芽形成誘導剤という。)が提
供される。本発明花芽形成誘導剤のうち、本発明関連ケ
トール脂肪酸のみを有効成分とするものは、これ単独で
植物の花芽形成の誘導促進を図ったり,潜在的に植物に
おいて存在するノルエピネフリン等の補助成分との組合
せにおいて所望の花芽形成誘導作用を発揮させたり、植
物の種類や状態に応じてこの形態の本発明花芽形成誘導
剤とノルエピネフリン製剤等の補助成分製剤とを組み合
わせて用いて所望の花芽形成誘導作用を発揮させること
を図るものである。
【0076】また、本発明花芽形成誘導剤のうち、本発
明関連ケトール脂肪酸及びノルエピネフリン等の補助成
分を有効成分とする形態では、例えば植物において、最
も本発明花芽形成誘導剤の花芽形成誘導作用が強い割合
で、上記両者の有効成分を配合して使用の便宜を図り得
る。
【0077】本発明花芽形成誘導剤における、本発明関
連ケトール脂肪酸とノルエピネフリン等の補助成分との
配合割合は、上記の目的に応じ、さらに用いる植物の性
質及び本発明ケトール脂肪酸の具体的態様等に応じて適
宜調整され得るもので、特に限定されるものではない。
例えば、アオウキクサ等のうきくさ科植物において、植
物中のノルエピネフリンの存在等を考慮しない場合に、
主要成分として本発明関連ケトール脂肪酸(I)を用い
る場合には、両者〔本発明関連ケトール脂肪酸(I)と
ノルエピネフリン〕を等モル濃度で配合することが、よ
り効果的に本発明の所期の効果が発揮され得るという点
において好ましい。うきくさ科植物において、この両者
を等モル濃度で配合しない場合には、配合量の少ない方
の配合成分の濃度で両者を配合した場合と同程度の効果
しか発揮されない傾向にある。
【0078】また、本発明花芽形成誘導剤は、これを用
いる対象の植物の性質に応じた処理を行いつつ投与する
ことが効果的である場合が多い。例えば、後述する実施
例のアサガオ等の短日植物の場合には、一定の暗処理を
行いながら本発明花芽形成誘導剤を用いることが効果的
である。
【0079】上記の有効成分はそのまま本発明花芽形成
誘導剤として用いることも可能であるが、植物に適用可
能な所望の剤形、例えば液剤,固形剤,粉剤,乳剤,底
床添加剤等の剤形に応じて製剤学上適用することが可能
な公知の担体成分、製剤用補助剤等を本発明の所期の効
果である花芽形成誘導が損なわれない限度において、適
宜配合することができる。例えば、担体成分としては、
本発明花芽形成誘導剤が底床添加剤又は固形剤である場
合には、概ねタルク,クレー,バーミキュライト,珪藻
土,カオリン,炭酸カルシウム,水酸化カルシウム,白
土,シリカゲル等の無機質や小麦粉,澱粉等の固体担体
が;また液剤である場合には、概ね水、キシレン等の芳
香族炭化水素類、エタノール,エチレングリコール等の
アルコール類、アセトン等のケトン類、ジオキサン,テ
トラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の液体担
体が上記の担体成分として用いられる。また製剤用補助
剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類,アルキル
スルホン酸塩,アルキルアリールスルホン酸塩,ジアル
キルスルホコハク酸塩等の陰イオン界面活性剤、高級脂
肪族アミンの塩類等の陽イオン界面活性剤、ポリオキシ
エチレングリコールアルキルエーテル,ポリオキシエチ
レングリコールアシルエステル,ポリオキシエチレング
リコール多価アルコールアシルエステル,セルロース誘
導体等の非イオン界面活性剤、ゼラチン,カゼイン,ア
ラビアゴム等の増粘剤、増量剤、結合剤等を適宜配合す
ることができる。
【0080】さらに必要に応じて、植物生長調節剤や、
安息香酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピペコリン
酸等を、上記の本発明の所期の効果を損なわない限度に
おいて、本発明花芽形成誘導剤中に配合することもでき
る。上記本発明花芽形成誘導剤は、その剤形に応じた方
法で種々の植物に用いられる。例えば、本発明において
は、開花を図る植物の生長点のみならず、茎や葉をはじ
めとする植物体の一部又は全体に液剤や乳剤として散
布,滴下,塗布等することや、固形剤や粉剤として地中
から根に吸収させること等が可能である。また、開花を
図る植物がウキクサ等の水草の場合には、底床添加剤と
して根から吸収させたり、固形剤を水中で除々に溶解さ
せること等も可能である。
【0081】なお、本発明においては、上記の有効成分
である本発明関連ケトール脂肪酸、並びに本発明関連ケ
トール脂肪酸及びノルエピネフリンを含有するキットの
形態をとる花芽形成誘導用キットをも提供するものであ
るが、この本発明花芽形成誘導用キットの目的及び効果
は上記の本発明花芽形成誘導剤と同様である。また、本
発明花芽形成誘導剤及び本発明花芽形成誘導用キットを
適用可能な植物の種類は特に限定されず、双子葉植物、
単子葉植物の両者に対して本発明花芽形成誘導剤は有効
である。
【0082】双子葉植物としては、例えばアサガオ属植
物(アサガオ)、ヒルガオ属植物(ヒルガオ,コヒルガ
オ,ハマヒルガオ)、サツマイモ属植物(グンバイヒル
ガオ,サツマイモ)、ネナシカズラ属植物(ネナシカズ
ラ,マメダオシ)が含まれるひるがお科植物、ナデシコ
属植物,ハコベ属植物,タカネツメクサ属植物,ミミナ
グサ属植物,ツメクサ属植物,ノミノツヅリ属植物,オ
オヤマフスマ属植物,ワチガイソウ属植物,ハマハコベ
属植物,オオツメクサ属植物,シオツメクサ属植物,マ
ンテマ属植物,センノウ属植物,フシグロ属植物,ナン
バンハコベ属植物等のなでしこ科植物をはじめ、もくま
もう科植物、どくだみ科植物、こしょう科植物、せんり
ょう科植物、やなぎ科植物、やまもも科植物、くるみ科
植物、かばのき科植物、ぶな科植物、にれ科植物、くわ
科植物、いらくさ科植物、かわごけそう科植物、やまも
がし科植物、ぼろぼろのき科植物、びゃくだん科植物、
やどりぎ科植物、うまのすずくさ科植物、やっこそう科
植物、つちとりもち科植物、たで科植物、あかざ科植
物、ひゆ科植物、おしろいばな科植物、やまとぐさ科植
物、やまごぼう科植物、つるな科植物、すべりひゆ科植
物、もくれん科植物、やまぐるま科植物、かつら科植
物、すいれん科植物、まつも科植物、きんぽうげ科植
物、あけび科植物、めぎ科植物、つづらふじ科植物、ろ
うばい科植物、くすのき科植物、けし科植物、ふうちょ
うそう科植物、あぶらな科植物、もうせんごけ科植物、
うつぼかずら科植物、べんけいそう科植物、ゆきのした
科植物、とべら科植物、まんさく科植物、すずかけのき
科植物、ばら科植物、まめ科植物、かたばみ科植物、ふ
うろそう科植物、あま科植物、はまびし科植物、みかん
科植物、にがき科植物、せんだん科植物、ひめはぎ科植
物、とうだいぐさ科植物、あわごけ科植物、つげ科植
物、がんこうらん科植物、どくうつぎ科植物、うるし科
植物、もちのき科植物、にしきぎ科植物、みつばうつぎ
科植物、くろたきかずら科植物、かえで科植物、とちの
き科植物、むくろじ科植物、あわぶき科植物、つりふね
そう科植物、くろうめもどき科植物、ぶどう科植物、ほ
るとのき科植物、しなのき科植物、あおい科植物、あお
ぎり科植物、さるなし科植物、つばき科植物、おとぎり
そう科植物、みぞはこべ科植物、ぎょりゅう科植物、す
みれ科植物、いいぎり科植物、きぶし科植物、とけいそ
う科植物、しゅうかいどう科植物、さぼてん科植物、じ
んちょうげ科植物、ぐみ科植物、みそはぎ科植物、ざく
ろ科植物、ひるぎ科植物、うりのき科植物、のぼたん科
植物、ひし科植物、あかばな科植物、ありのとうぐさ科
植物、すぎなも科植物、うこぎ科植物、せり科植物、み
ずき科植物、いわうめ科植物、りょうぶ科植物、いちや
くそう科植物、つつじ科植物、やぶこうじ科植物、さく
らそう科植物、いそまつ科植物、かきのき科植物、はい
のき科植物、えごのき科植物、もくせい科植物、ふじう
つぎ科植物、りんどう科植物、きょうちくとう科植物、
ががいも科植物、はなしのぶ科植物、むらさき科植物、
くまつづら科植物、しそ科植物、なす科植物、ごまのは
ぐさ科植物、のうぜんかずら科植物、ごま科植物、はま
うつぼ科植物、いわたばこ科植物、たぬきも科植物、き
つねのまご科植物、はまじんちょう科植物、はえどくそ
う科植物、おおばこ科植物、あかね科植物、すいかずら
科植物、れんぷくそう科植物、おみなえし科植物、まつ
むしそう科植物、うり科植物、ききょう科植物、きく科
植物等を例示することができる。
【0083】単子葉植物としては、例えばウキクサ属植
物(ウキクサ)及びアオウキクサ属植物(アオウキク
サ,ヒンジモ)が含まれる,うきくさ科植物、カトレア
属植物,シンビジウム属植物,デンドロビューム属植
物,ファレノプシス属植物,バンダ属植物,パフィオペ
ディラム属植物,オンシジウム属植物等が含まれる,ら
ん科植物、がま科植物、みくり科植物、ひるむしろ科植
物、いばらも科植物、ほろむいそう科植物、おもだか科
植物、とちかがみ科植物、ほんごうそう科植物、いね科
植物、かやつりぐさ科植物、やし科植物、さといも科植
物、ほしぐさ科植物、つゆくさ科植物、みずあおい科植
物、いぐさ科植物、びゃくぶ科植物、ゆり科植物(アス
パラガス等)、ひがんばな科植物、やまのいも科植物、
あやめ科植物、ばしょう科植物、しょうが科植物、かん
な科植物、ひなのしゃくじょう科植物等を例示すること
ができる。
【0084】
【実施例】以下、実施例等により、本発明をより具体的
に説明する。ただし、これらの実施例等により、本発明
の技術的範囲が限定されるべきものではない。 A.抽出法で得た本発明関連ケトール脂肪酸(I)にお
ける検討: 〔製造例A〕短日処理を行って花芽形成を1回のみ行っ
たアオウキクサ(Lemna paucicostata) の441系統
(以下、「P441」という。京都大学農学部 瀧本
敦名誉教授より入手、以後、必要に応じて分譲する用意
あり)を、24〜25℃で昼光色蛍光灯で継続的に照射
を行ないながら(Hitachi FL20 SSDで植物に対して約5
W/m2の割合で照射)1%のショ糖を含む1/2希釈のハ
トナー培地〔Hutner's medium: Hutner 1953;なお、ハ
トナー培地(希釈なし)の組成は、KH2PO4(400mg),NH4N
O3(200mg),EDTA・2K(690mg),Ca(NO3)2・4H2O(354mg),Mg
SO4・7H2O(500mg),FeSO4・7H2O(24.9mg),MnCl2・4H2O(1
7.9mg),ZnSO4・7H2O(65.9mg),CaSO4・5H2O(3.95mg),Na2
MoO4・2H2O(14.2mg),H3BO3(14.2mg),Co(Mo3)2・6H2O(0.
2mg)/1000ml蒸留水(pH6.2 〜6.4)である。)中で、
無菌的に培養して継代保存した。
【0085】次に、このP441の培養物を、蒸留水で
洗浄してから、2μM のFe−EDTAを含む1/10
希釈のE培地〔Cleland and Briggs 1967 ;なお、1/10
E培地の組成は、Ca(NO3)2・4H2O(118mg),MgSO4・7H2O
(49.2mg),KH2PO4(68.0mg),KNO3(115mg),FeCl3・6H2O(0.
54mg),tertarate(0.30mg),H3BO3(0.29mg),ZnSO4・7H2O
(0.022mg),Na2MoO4・2H2O(0.013mg),CuSO4・5H2O(0.008
mg),MnCl2・4H2O(0.36mg),EDTA-2K(1.21mg),EDTA・NaFe
(III)salt(0.77mg) /1000ml蒸留水である。〕中に移植
して、これを非無菌的に6〜12日間24〜25℃で継
続的に光照射(約5W/m2)を行 いながら培養した。
【0086】このようにして調製したP441の培養物
を、乾燥したフィルター紙上に広げた状態で、低湿度
(相対湿度で50%以下)で24〜25℃程度で15分
間放置して、乾燥ストレスをかけた。この乾燥ストレス
処理済みのP441(75g)を、1.5l の蒸留水中
に24〜25℃で2時間浸漬させた。
【0087】次いで、このP441を上記浸漬液中から
除き、上記浸漬液にクロロホルム1.5l を3回に分け
て添加して分液を行った。得られたクロロホルム層を水
洗し、これに酢酸を0.1ml添加し、これをエバポレー
ターでドライアップした。この残渣に500μl の特級
メタノール原液を加えてエバポレーター中の残留物を溶
解させた。
【0088】次いで、上記メタノール溶液を高速液体ク
ロマトグラフィー〔column:ODS(オクタデシルシラ
ン)カラム(Φ10×250mm、CAPCELLPAK
C18:株式会社資生堂製)、Solv. :50%蒸留水
(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)及び50%アセト
ニトリル(0.085%トリフルオロ酢酸を含む)を移
動相として、流量4.00(ml/分)で、活性画分(活
性は、後述する試験例に準じた方法で求めた。)を溶出
時間15分付近において分取した。さらにこの分取した
活性画分に酢酸エチルを添加し、酢酸エチル相を分離し
て水洗し、エバポレーターを用いてこの酢酸エチルをド
ライアップして、所望する精製物を乾固物として約1mg
得た。
【0089】この乾固物の構造を決定するために、13
−NMRで化学シフト値を求めた(重メタノールと重酢
酸を各1滴ずつ混合したものに、上記乾固物を溶解させ
て測定サンプルとした)。
【0090】その結果、この化学シフト値及びこの化学
シフト値から決定付けられる化学構造式は以下のように
決定付けられた。1:178.47(s),2:35.
71(t),3:26.82* (t),4:31.11
(t),5:26.92* (t),6:35.36
(t),7:78.61(d),8:213.78
(s),9:38.38(t),10:122.95
(d),11:133.45(d),12:27.46
(t),13:128.38(d),14:134.55
(d),15:22.28(t),16:15.39(q)
(チャートは第1図参照。なお、これらの化学シフト値
の頭付きの数字は、下記化学構造式の炭素原子を示す丸
付き数字の番号にそれぞれ対応する。)。*は帰属不明
であることを示している。
【0091】
【化9】 この結果、明らかに乾固物は、確かに精製された所望さ
れている本発明関連ケトール脂肪酸(I)であることが
明らかになった。
【0092】〔試験例A1〕 本発明関連ケトール脂肪
酸(I)のアオウキクサに対する花形成誘導作用の検討 上記製造例Aにおいて得られた本発明関連ケトール脂肪
酸(I)の花芽形成誘導作用を、アオウキクサのP15
1系統(以下、「P151」という。京都大学農学部
瀧本 敦 名誉教授より入手、以後、必要に応じて分譲
する用意あり)をモデル植物として、その花成率(%)
(花成が認められた葉状体数/全体の葉状体数×10
0)で検討した。
【0093】すなわち、まず上記の本発明関連ケトール
脂肪酸(I)0.155mgを0.15mlの水に溶解し
て、そこに10mMのノルエピネフリン50μl と0.5
M のトリスバッファー(pH8.0)25μl を加え
た。その溶液を25℃で6時間インキュベートした。次
に、本発明関連ケトール脂肪酸(I)とノルエピネフリ
ンの濃度を第1表に示した濃度となるように、上の条件
でインキュベートした溶液を、30mlフラスコ中のアッ
セイ培地(1/10E培地+1μm ベンジルアデニン,
シュークロースは添加せず)10ml中に添加した。
【0094】
【表1】 〔表中、NEはノルエピネフリンを、FCは本発明関連
ケトール脂肪酸を表す(以下同様)。〕
【0095】これらの本発明関連ケトール脂肪酸(I)
を、各濃度添加したアッセイ培地上に、P151のコロ
ニーを1つ植えつけて、24〜25℃で昼光色蛍光灯で
継続的に照射を行ないながら(Hitachi FL20 SSDで植物
に対して約5W/m2の割合で照射)7日間培養して、上記
花成率を求めた(第2表)。なお、同一の系における試
験は、それぞれ3フラスコで行い、かつ最低2回同一の
系の試験を行った。第2表に示した結果は、それぞれの
試験の平均値±SE(標準誤差)である。
【0096】
【表2】
【0097】これらの結果より、ほぼ濃度依存的に花芽
形成誘導活性が増加し、中でも本発明ケトール脂肪酸
(I)の含量がノルエピネフリンと等モル濃度か、それ
以上に高いC及びF実験群では、ノルエピネフリンが3
0nMという極低濃度でも花芽形成誘導活性があらわれる
ことが明らかになった。すなわち、本発明ケトール脂肪
酸(I)の含量がノルエピネフリンと等モル濃度である
場合において、所望するアオウキクサにおける花芽形成
誘導活性が最も効率的に発揮されることが明らかになっ
た。
【0098】このように、上記濃度で本発明ケトール脂
肪酸(I)とノルエピネフリンとを組み合わせて投与す
ることによる、アオウキクサにおける花芽形成誘導活性
が認められた。なお、後述するように、アオウキクサと
全く異なる系統の双子葉植物であるアサガオにおいて
も、本発明ケトール脂肪酸(I)等による花芽形成誘導
活性が認められることから、ウキクサ属植物及びアオウ
キクサ属植物を含むうきくさ科植物において花芽形成誘
導活性が認められることは明らかである。
【0099】上記試験例A1において用いた、抽出法で
製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)の代わりに、
前述の化学合成法で製造した本発明関連ケトール脂肪
酸(I)を用いて、上記試験例A1と同じ試験系で花芽
形成誘導促進試験を行った結果、上記試験例A1の結果
と同一性のある結果が得られた。
【0100】〔試験例A2〕 本発明関連ケトール脂肪
酸(I)のアサガオに対する花芽形成誘導作用の検討
(1) 9g のアサガオ(品種名:ムラサキ)の種子に濃硫酸処
理を20分間施し、その後流水下で一晩放置した。次い
で、種子のへその部分を上にして、湿った海砂上に24
時間置いて、発根させた。これらの発根した種子を海砂
中に、1.5〜2.0cm程度の深さに植え、連続光下で
培養した(5日間程度)。
【0101】この培養により開葉したアサガオの全植物
体を、培養液〔KNO3(250mg),NH4NO3(250mg),KH2PO4(250
mg),MgSO4・7H2O(250mg),MnSO4・4H2O(1mg),Fe-citrate
n-hydrate(6mg),H3BO3(2mg),CuSO4・5H2O(0.1mg),ZeSO
4・7H2O(0.2mg),Na2MoO4・2H2O(0.2mg),Ca(H2PO4)2・2H
2O(250mg) /1000ml蒸留水〕に移した。この培養系に上
記製造例において得た本発明関連ケトール脂肪酸(I)
等の被験薬物を木綿糸を用いて、直接アサガオの導管に
投与しながら暗処理を行い、その後28℃で16日間連
続光で育成し、16日目の花芽の数を実体顕微鏡で観察
確認した。
【0102】暗処理は、1晩(16時間の暗処理)又は
2晩(16時間の暗処理+8時間の明処理+16時間の
暗処理)を行った。1晩処理を行った結果を第2図に示
す。また、2晩処理を行った結果を第3図に示す。両図
において、対照群は蒸留水を投与した群であり、1μM
(αI),10μM (αI),100μM (αI)は、
それぞれの濃度の本発明関連ケトール脂肪酸(I)を投
与した群であり、NE+αIは、ノルエピネフリン10
μM を試験例A1に記載した方法で乾燥ストレスをかけ
たアオウキクサのP441系統の浸漬水とインキュベー
ションしたものである。
【0103】第2図に示した1晩暗処理群では対照群と
の比較において、本発明関連ケトール脂肪酸(I)の花
芽誘導活性が認められたが、それ以上にノルエピネフリ
ンと組み合わせて投与した群に強い花芽誘導活性が認め
られた。これに対して、第3図に示した2晩暗処理群で
は、対照群や投与した薬剤の濃度の違いについて着目す
ると、平均花芽数が濃度依存的に増加し、少なくとも花
芽誘導活性を増強していることが認められた。このよう
にして、アサガオにおける本発明関連ケトール脂肪酸
(I)等の花芽誘導活性が認められた。
【0104】上記試験例A2において用いた、抽出法で
製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)の代わりに、
前述の酵素法,及び化学合成法で製造した本発明関
連ケトール脂肪酸(I)を用いて、上記試験例A2と同
じ試験系で花芽形成誘導促進試験を行った結果、上記試
験例A2の結果と同一性のある結果が得られた。
【0105】〔試験例A3〕 アサガオにおける本発明
関連ケトール脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討
(2) 上記試験例の結果をさらに多くの対象(50個体)で検
討して、アサガオにおける本発明関連ケトール脂肪酸
(I)の効果についてさらに検討した。すなわち前記試
験例A2におけるアサガオ(品種名:ムラサキ)の培養
系において、本発明関連ケトール脂肪酸(I)の被験水
溶液(1.0μM ,10.0μM ,100.0μM 水溶
液)を木綿糸を用いて、直接アサガオの導管に投与しな
がら暗処理を行い、その後28℃で16日間連続光で育
成し、16日目の花芽の数を実体顕微鏡で観察確認し
た。なお、暗処理は1晩(16時間の暗処理)を行っ
た。
【0106】その結果を第4図に示す。第4図におい
て、対照群は蒸留水を投与した群であり、1μM ,10
μM ,100μM は、それぞれの濃度の本発明関連ケト
ール脂肪酸(I)を投与した群である。第4図において
明らかなように、少なくとも1.0μM の本発明関連ケ
トール脂肪酸(I)水溶液を投与することでアサガオの
花芽形成が促進され、少なくとも10.0μM の本発明
関連ケトール脂肪酸(I)水溶液の投与に至るまで、本
発明関連ケトール脂肪酸(I)の濃度に依存して、その
花芽形成誘導作用が向上することが認められた。また、
100.0μM の本発明関連ケトール脂肪酸(I)水溶
液の投与した群においては、本発明関連ケトール脂肪酸
(I)の量が過剰であるために、かえって所望する花芽
形成誘導作用が阻害される傾向にあることが示唆され
た。
【0107】上記試験例A3において用いた、抽出法で
製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)の代わりに、
前述の化学合成法で製造した本発明関連ケトール脂肪
酸(I)を用いて、上記試験例A3と同じ試験系で花芽
形成誘導促進試験を行った結果、上記試験例A3の結果
と同一性のある結果が得られた。
【0108】〔試験例A4〕アサガオにおける本発明関
連ケトール脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討
(3) 本試験例では、本発明関連ケトール脂肪酸(I)の投与
による花芽形成誘導作用が、暗処理時間によってどのよ
うに変化するかを検討した。本試験例の試験系は、個体
数を除いて上記試験例A3と同様の試験系を用いた。た
だし、本発明関連ケトール脂肪酸(I)の被験水溶液に
おける濃度は、10.0μM に統一した。また、暗処理
は1晩(14時間,16時間,18時間)行って、対照
群と試験群における暗処理時間の花芽形成に対する影響
を調べた。
【0109】その結果を第5図に示す。第5図におい
て、nは試験に用いた個体数を示す。また、横軸はそれ
ぞれの暗処理の時間である。第5図において明らかなよ
うに、1晩の暗処理群では少なくとも暗処理時間が18
時間以内では暗処理時間の長さに対応して花芽形成が対
照群,試験群共に促進されることが明らかになり、いず
れの暗処理群においても本発明関連ケトール脂肪酸
(I)は、アサガオに対して花芽形成誘導作用を有する
ことが明らかになった。
【0110】上記試験例A4において用いた、抽出法で
製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)の代わりに、
前述の酵素法,及び化学合成法で製造した本発明関
連ケトール脂肪酸(I)を用いて、上記試験例A4と同
じ試験系で花芽形成誘導促進試験を行った結果、上記試
験例A4の結果と同一性のある結果が得られた。
【0111】〔試験例A5〕 アサガオにおける本発明
関連ケトール脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討
(4) 前記試験例A2に挙げた方法と同様の方法で発芽させた
アサガオ(品種名:ムラサキ)を準備した。本発明関連
ケトール脂肪酸(I)濃度が、1.0μM ,10.0μ
M 及び50.0μM の水溶液をそれぞれ調製した。これ
らの本発明関連ケトール脂肪酸(I)の水溶液を、暗処
理をする直前と暗処理後10日間毎日、スプレーで双葉
の表裏に吹きかけた。14日後の花芽の数(それぞれの
群における32個体の平均)を求めた。
【0112】その結果を第6図に示す。第6図において
明らかなように、少なくとも1.0μM の本発明関連ケ
トール脂肪酸(I)水溶液を噴霧することでアサガオの
花芽形成が促進され、その後本発明関連ケトール脂肪酸
(I)の用量に依存して花芽形成誘導作用のほぼ最大限
が発揮されることが明らかになった。
【0113】上記試験例A5において用いた、抽出法で
製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)の代わりに、
前述の酵素法,及び化学合成法で製造した本発明関
連ケトール脂肪酸(I)を用いて、上記試験例A5と同
じ試験系で花芽形成誘導促進試験を行った結果、上記試
験例A5の結果と同一性のある結果が得られた。
【0114】〔試験例A6〕 ラン科植物における本発
明関連ケトール脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討
(1) デンドロビューム ハイブリダム レッドスター(Dend
robium hybridum Hort.,Redstar)の鉢植え20鉢に、4
月から7月にかけて油かす及び液体肥料(ハイポネク
ス)を適時に与えながら栽培した。施肥中止後、これら
の株を実験区と対照区とに分けて、実験区の株には月曜
日から金曜日の間(8月から12月末まで)の毎日,毎
回50μM の本発明関連ケトール脂肪酸(I)の水溶液
を、スプレーで株全体に散布して栽培を継続した。なお
対照区の株には、本発明関連ケトール脂肪酸(I)の水
溶液の代わりに水を同様に散布した。翌年から、開花時
期と開花数を実験区及び対照区で、各々10鉢について
観察した。なお、本試験例において用いたデンドロビュ
ームは、温室に置き,冬期でも最低温度が10℃より低
くならないように管理した。その結果を下記第3表に示
す。
【0115】
【表3】
【0116】この結果より、明らかに本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)水溶液の噴霧により、デンドロビューム
の花芽形成が開花数においても,時期的にも促進される
ことが明らかになった。
【0117】上記試験例A6において用いた、抽出法で
製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)の代わりに、
前述の酵素法,及び化学合成法で製造した本発明関
連ケトール脂肪酸(I)を用いて、上記試験例A6と同
じ試験系で花芽形成誘導促進試験を行った結果、上記試
験例A6の結果と同一性のある結果が得られた。
【0118】〔試験例A7〕 ラン科植物における本発
明関連ケトール脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討
(2) シンビジューム ハイブリダム ラズベリーミルフィー
ユ(Cymbidium hybridum Hort.,Rasberry■Mille-feui
lle')の鉢植え20鉢に、4月から8月にかけて油かす
及び液体肥料(ハイポネクス)を適時に与えながら栽培
した。施肥中止後、これらの株を実験区と対照区とに分
けて、実験区の株には月曜日から金曜日の間(9月から
11月末まで)の毎日,毎回50μM の本発明関連ケト
ール脂肪酸(I)の水溶液を、7月から月曜日から金曜
日の間,毎日50μM の本発明関連ケトール脂肪酸
(I)の水溶液を、スプレーで株全体に散布した。翌年
から、開花時期と開花数を実験区及び本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)の水溶液の替わりに水を散布した対照区
で、各々10鉢について観察した。本試験例において用
いたシンビジュームは、温室に置き,冬期でも最低温度
が10℃より低くならないように管理した。その結果を
下記第4表に示す。
【0119】
【表4】
【0120】この結果より、明らかに本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)水溶液の噴霧により、シンビジュームの
花芽形成が開花数においても,時期的にも促進されるこ
とが明らかになった。
【0121】上記試験例A7において用いた、抽出法で
製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)の代わりに、
前述の酵素法,及び化学合成法で製造した本発明関
連ケトール脂肪酸(I)を用いて、上記試験例A7と同
じ試験系で花芽形成誘導促進試験を行った結果、上記試
験例A7の結果と同一性のある結果が得られた。
【0122】〔試験例A8〕 カーネーションにおける
本発明関連ケトール脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の
検討 カーネーション(Dianthus caryophyllus L.)の種を9
月に蒔き、その翌年の3月に植え代えた。植え代えた
後、月曜日から金曜日の間,毎日50μM の本発明関連
ケトール脂肪酸(I)の水溶液を、スプレーで株全体に
散布した。その年の7月に、カーネーションの開花数
を、実験区及び本発明関連ケトール脂肪酸(I)の水溶
液の替わりに水を散布した対照区において、各々100
株について計数した。その結果、実験区においては1株
当りの開花数の相対値は、対照区を100として、14
2であった。
【0123】この結果より、明らかに本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)水溶液の噴霧により、カーネーションの
花芽形成が、その開花数において促進されることが明ら
かになった。
【0124】上記試験例A8において用いた、抽出法で
製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)の代わりに、
前述の酵素法,及び化学合成法で製造した本発明関
連ケトール脂肪酸(I)を用いて、上記試験例A8と同
じ試験系で花芽形成誘導促進試験を行った結果、上記試
験例A8の結果と同一性のある結果が得られた。
【0125】〔試験例A9〕 アスパラガスにおける本
発明関連ケトール脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検
討 FALCON 1007 型ディスポシャーレ(60mm×15mm, BECTON
DICKINSON and Company) に濾紙(ADVANTEC TOYO,No.2)
を3枚敷き9mlの試験液〔コントロール(精製水) ,20
0 μM 本発明関連ケトール脂肪酸(I)〕を入れアスパ
ラガス種子(Mary Washington 500W) を1シャーレ当り
25粒播き,25℃で暗所で8日間置き発芽させた。そ
の際の発芽率はコントロールが90%で,200 μM 本発
明関連ケトール脂肪酸(I)が96%であった。その
後、種子を水洗してバーミキュライトに移植し、12時
間日長(人工気象器,日本医科器械製作所)25℃で1
4日間生育を行い、花芽のついた個体数を数えた。花芽
形成率は、花芽のついた個体数/全個体数×100
(%)で表した。その結果、コントロールに対しては花
芽は全く形成されなかったのに対し、200 μM 本発明関
連ケトール脂肪酸(I)では、12.5%の個体に花芽
が認められた。
【0126】この結果より、明らかに本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)との接触により、カーネーションの花芽
形成が促進されることが明らかになった。上記試験例A
9において用いた、抽出法で製造した本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)の代わりに、前述の酵素法,及び化
学合成法で製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)を
用いて、上記試験例A9と同じ試験系で花芽形成誘導促
進試験を行った結果、上記試験例A9の結果と同一性の
ある結果が得られた。
【0127】食用アスパラガス(Asparagus officinali
s) は、前記した単子葉植物であるユリ科(Liliaceae)
に属する雌雄異株の多年生植物である。アスパラガス
は、種子繁殖による雌雄の出現率はほぼ1:1である
が、雄株が雌株に比べて食用とする若茎の生産能力が高
く、また早生である等の農業上の有益性から雄株の大量
増殖が望まれている。しかし、雌雄の判定は播種後2〜
3年を経た開花期の花器の形態によってのみ可能である
ことから、早期の雌雄判定法の確立が待たれている。こ
れまで、トリアジン型光合成阻害除草剤であるアントラ
ジン及びウレア型除草剤のDCMUが僅か1ヵ月の実生
に高率で花芽を誘導することが報告されている(T.Abe,
and T.Kameya,Planta,169,289(1986))。
【0128】しかしながら、これらの除草剤で処理した
アスパラガスは、播種の2ヵ月後に薬剤の殺草作用によ
り,その植物体の70%が枯死することも同時に報告さ
れている。そこで、現在アスパラガスの花芽を誘導し、
かつ枯死させることのない薬剤の探索が行われている。
上記試験例A9により、本発明関連ケトール脂肪酸
(I)にアスパラガスの花芽を形成する活性が認められ
たことから、本発明関連ケトール脂肪酸(I)はこのア
スパラガスにおいて求められている「花芽を形成し、し
かもその使用によりアスパラガスを枯死させることがな
い」という課題を解決し得る成分であることが明らかに
なった。
【0129】B.酵素法により得た本発明関連ケトール
脂肪酸(I)における検討 〔製造例B〕 1.コメ胚芽由来のリポキシゲナーゼの調製 コメヌカ350g を石油エーテルで洗浄,脱脂及び乾燥
したもの(250g )を、0.1M・pH4.5の酢酸
緩衝液1.25l に懸濁し、この懸濁物をホモジナイズ
した。次いで、かかるホモジナイズ抽出液を16000
rpm で15分間遠心分離し、上清(0.8l )を得た。
得られた上清に硫酸アンモニウム140.8g (0〜3
0%飽和)を加え、4℃で一晩硫安沈澱を行った。その
後、9500rpm で30分間遠心を行い、得られた上清
(0.85l )に硫酸アンモニウム232g (30〜7
0%飽和)を添加して、4℃で5時間放置した。
【0130】次に、同様に9500rpm で30分間遠心
を行い、これにより得られた沈澱物(コメヌカ抽出液の
硫安30〜70%飽和画分)をpH4.5の酢酸緩衝液
300mlに溶解し、63℃で5分間加熱処理を行った。
その後、生成した沈澱物を除去して、得られた上清に硫
酸アンモニウム120.8g (0〜70%飽和)を添加
して、4℃で一晩硫安沈澱を行った。次いで、9000
rpm で30分間遠心し、得られた沈澱物を0.1M・p
H4.5の酢酸緩衝液300mlに溶解し、RC透析チュ
ーブ(Spectrum社製ポア4:MWCO 12000〜14000 )を用
いて透析(3l ×3)後、脱塩して、所望するコメ胚芽
由来のリポキシゲナーゼの粗酵素液を得た。
【0131】2.アマ種子由来のアレンオキサイドシン
ターゼの調製 アマ種子は一丸ファルコスから購入した。このアマ種子
200g に、アセトン250mlを添加してホモジナイズ
(20s ×3)し、得られた沈澱物を目皿ロートで濾取
し、溶媒を除去した。次いで、沈澱物を再びアセトン2
50mlに懸濁してホモジナイズ(10s ×3)し、沈澱
物を得た。沈澱物をアセトン及びエチルエーテルで洗浄
後、乾燥して、アマ種子のアセトン性粉を得た(150
g )。
【0132】このアマ種子のアセトン性粉を、氷冷下5
0mMリン酸緩衝液(pH7.0)400mlに懸濁し、こ
れを0℃で1時間スターラー攪拌を施して抽出した。得
られた抽出物に11000rpm で30分間遠心し、これ
により得られた上清(380ml)に硫酸アンモニウム1
05.3g (0〜45%飽和)を加え、氷冷下で1時間
沈澱し、さらに17000rpm で30分間遠心して得ら
れた沈澱物を、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)15
0mlに溶解し、透析して脱塩し(3l×3)、所望する
アマ種子由来のアレンオキサイドシンターゼの粗酵素液
を得た。
【0133】3.α−リノレン酸のナトリウム塩の調製 出発原料とするα−リノレン酸は、水における溶解性が
著しく低いので、酵素基質として働くことを容易にする
ために、α−リノレン酸をナトリウム塩化した。すなわ
ち、炭酸ナトリウム530mgを、精製水10mlに溶解し
て55℃に加温し、これにα−リノレン酸(ナカライテ
スク社)を278mg滴下して、3時間攪拌した。反応終
了後、Dawex50wxk(H+ form) (ダウケミカル社製)で中
和すると、沈澱物が生成した。これを濾過して樹脂を除
き、MeOHで洗浄後、減圧下で溶媒を留去した。これによ
り得られた生成物をイソプロパノールで再結晶し、所望
するα−リノレン酸のナトリウム塩(1250mg,83
%)を得た。
【0134】4.本発明関連ケトール脂肪酸(I)の製
造 上記3により得られたα−リノレン酸のナトリウム塩
(15mg:50μmol )を、0.1Mのリン酸緩衝液
(pH7.0)30mlに溶解した。次いで、この溶液
に、酸素気流下、25℃で上記1により得たコメ胚芽由
来のリポキシゲナーゼの粗酵素液を3.18ml添加した
後、30分間攪拌した後、さらに同じくコメ胚芽由来の
リポキシゲナーゼの粗酵素液を3.18mlを添加して、
30分間攪拌した。この攪拌終了後、このリポキシゲナ
ーゼ反応物に、窒素気流下で上記2で得たアレンオキサ
イドシンターゼの粗酵素液を34.5ml添加して、1時
間攪拌した後、氷冷下希塩酸を添加して、反応溶液のp
Hを3.0に調整した。
【0135】次いで、反応液をCHCl3 −MeOH=
10:1で抽出した。得られた抽出液を水洗後、硫酸マ
グネシウムで乾燥し、酢酸0.1mlを加え、減圧下、溶
媒を留去して乾燥した。このようにして得られた粗生成
物をあらためんてHPLCにかけて、その本発明関連ケ
トール脂肪酸(I)と認められるピーク(リテンション
タイム:16分付近)を分取した。分取した画分にクロ
ロホルムを加え、クロロホルム層を分離して水洗し、エ
バポレーターでこのクロロホルムを留去して、精製物を
得た。
【0136】この精製物の構造を確認するために重メタ
ノール溶液で1H,及び13C−NMRスペクトルを測定
した。その結果、1H−NMRにおいて、末端メチル基
〔δ0.98(t) 〕,2組のオレフィン〔(δ5.25,5.40),
(δ5.55,5.62 )〕,2級水酸基〔δ4.09(dd)〕及び多
数のメチレンに基づくシグナルが認められ、本発明関連
ケトール脂肪酸(I)と同一化合物と推定された。
【0137】さらに、13C−NMRのケミカルシフト値
を比較したところ、本発明関連ケトール脂肪酸(I)
〔上記抽出法により製造された標品〕と一致した(第5
表参照のこと)。よって、上記のようにして得た酵素法
による合成品は、確かに本発明関連ケトール脂肪酸
(I)であることが明らかになった。
【0138】
【表5】
【0139】〔試験例B1〕本発明関連ケトール脂肪酸
(I)(酵素法による合成品)のアオウキクサに対する
花形成誘導作用の検討 上記製造例Bにおいて得られた本発明関連ケトール脂肪
酸(I)の花芽形成誘導作用を、前述の「P151」を
モデル植物として、その花成率(%)(花成が認められ
た葉状体数/全体の葉状体数×100)で検討した。
【0140】すなわち、まず酵素法により得た、上記の
本発明関連ケトール脂肪酸(I)0.155mgを0.1
5mlの水に溶解して、そこに10mMのノルエピネフリン
50μl と0.5M のトリスバッファー(pH8.0)
25μl を加えた。その溶液を25℃で6時間インキュ
ベートした。次に、この酵素法により得られた本発明関
連ケトール脂肪酸(I)とノルエピネフリンの濃度を第
6表(表の濃度表示は等量配合した本発明関連ケトール
脂肪酸(I)とノルエピネフリンの濃度を表示する)に
示した濃度となるように、上の条件でインキュベートし
た溶液を、30mlフラスコ中のアッセイ培地(1/10
E培地+1μm ベンジルアデニン,シュークロースは添
加せず)10ml中に添加した。
【0141】これらの酵素法により得られた本発明関連
ケトール脂肪酸(I)を、各濃度添加したアッセイ培地
上に、P151のコロニーを1つ植えつけて、24〜2
5℃で昼光色蛍光灯で継続的に照射を行ないながら(Hi
tachi FL20 SSDで植物に対して約5W/m2の割合で照射)
7日間培養して、上記花成率を求めた(第6表)。な
お、同一の系における試験は、それぞれ3フラスコで行
い、かつ最低2回同一の系の試験を行った。第6表に示
した結果は、それぞれの試験の平均値±SE(標準誤
差)である。
【0142】第 6 表 ──────────────────────── 濃 度 花芽誘導活性 ──────────────────────── 1.0μM 50.5±6.7 0.3μM 17.7±4.7 0.1μM 0.8±0.8 ──────────────────────── この第6表の結果より、酵素法で製造した本発明関連ケ
トール脂肪酸(I)も、優れた花芽誘導活性を示すこと
が明らかになった。
【0143】〔試験例B2〕 アサガオにおける酵素法
により製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)の花芽
形成誘導作用の検討 前記試験例A2におけるアサガオ(品種名:ムラサキ)
の培養系において、上記製造例Bで得た本発明関連ケト
ール脂肪酸(I)の被験水溶液(1.0μM ,10.0
μM ,100.0μM 水溶液)を木綿糸を用いて、直接
アサガオの導管に投与しながら暗処理を行い、その後2
8℃で16日間連続光で育成し、16日目の花芽の数を
実体顕微鏡で観察確認した。なお、暗処理は1晩(16
時間の暗処理)を行った。
【0144】その結果を第7図に示す。第7図におい
て、対照群は蒸留水を投与した群であり、1μM ,10
μM ,100μM は、それぞれの濃度の上記酵素法によ
り製造した本発明関連ケトール脂肪酸(I)を投与した
群である。第7図において明らかなように、少なくとも
1.0μM の酵素法で製造した本発明関連ケトール脂肪
酸(I)水溶液を投与することでアサガオの花芽形成が
促進され、少なくとも10.0μM の同本発明関連ケト
ール脂肪酸(I)水溶液の投与に至るまで、同本発明関
連ケトール脂肪酸(I)の濃度に依存して、その花芽形
成誘導作用が向上することが認められた。また、10
0.0μM の酵素法で製造した本発明関連ケトール脂肪
酸(I)水溶液の投与した群においては、同本発明関連
ケトール脂肪酸(I)の量が過剰であるために、かえっ
て所望する花芽形成誘導作用が阻害される傾向にあるこ
とが示唆された。これらの結果は、上述の抽出法で得た
本発明関連ケトール脂肪酸(I)に関する試験例A3と
の同一性が認められた。
【0145】〔試験例C1〕 アサガオにおけるヒドロ
ペルオキシ不飽和脂肪酸の花芽形成誘導作用の検討 上述の酵素法に従って製造した、a)9−ヒドロペルオ
キシ−10(),12(),15()−オクタデ
カトリエン酸、及びb)13−ヒドロペルオキシ−9
),11(),15()−オクタデカトリエン
酸のアサガオにおける花芽形成誘導作用を検討した。
【0146】この試験は、上記試験例A1における方法
に準じて行った。すなわち、9g のアサガオ(品種名:
ムラサキ)の種子に濃硫酸処理を20分間施し、その後
流水下で一晩放置した。次いで、種子のへその部分を上
にして、湿った海砂上に24時間置いて、発根させた。
これらの発根した種子を海砂中に、1.5〜2.0cm程
度の深さに植え、連続光下で培養した(5日間程度)。
【0147】この培養により開葉したアサガオの全植物
体を、培養液〔KNO3(250mg),NH4NO3(250mg),KH2PO4(250
mg),MgSO4・7H2O(250mg),MnSO4・4H2O(1mg),Fe-citrate
n-hydrate(6mg),H3BO3(2mg),CuSO4・5H2O(0.1mg),ZeSO
4・7H2O(0.2mg),Na2MoO4・2H2O(0.2mg),Ca(H2PO4)2・2H
2O(250mg) /1000ml蒸留水〕に移した。この培養系に上
記のヒドロペルオキシ不飽和脂肪酸である,a)及びb)を
木綿糸を用いて、直接アサガオの導管に投与しながら暗
処理を行い、その後28℃で14日間連続光で育成し、
14日目の花芽の数を実体顕微鏡で観察確認した。な
お、この試験は、一群16個体のアサガオを用いて行っ
た。
【0148】暗処理は、1晩(16時間の暗処理)行っ
た。この結果を、下記第5表〔ヒドロペルオキシ不飽和
脂肪酸a)における結果〕及び第7表〔ヒドロペルオキシ
不飽和脂肪酸b)における結果〕に示す。
【0149】
【表6】
【0150】
【表7】
【0151】この試験例C1より、上記の本発明関連ケ
トール脂肪酸(I)と同様に、その代謝中間体として位
置付けられるヒドロペルオキシ不飽和脂肪酸にも、花芽
形成誘導作用が認められることが判明した。
【0152】上述の全試験例の結果より、少なくとも双
子葉植物であるアサガオ等のアサガオ属植物が含まれる
ヒルガオ科植物及びカーネーション等のナデシコ属植物
が含まれる,なでしこ科植物、並びに単子葉植物である
デンドロビューム属植物,シンビジューム属植物等が含
まれる,らん科植物、ウキクサ属植物(ウキクサ),ア
オウキクサ属植物(アオウキクサ,ヒンジモ)が含まれ
る,うきくさ科植物、アスパラガスが含まれる,ゆり科
植物において、本発明関連ケトール脂肪酸(I)等によ
る花芽形成誘導活性が認められることが明らかになっ
た。
【0153】また、このように単子葉植物及び双子葉植
物間で、本発明関連ケトール脂肪酸(I)の花芽形成誘
導作用が認められたことから、少なくとも本発明関連ケ
トール脂肪酸(I)は、植物の科間,属間乃至種間を超
えて、広く植物全般において花芽形成誘導活性を発揮し
得ることは、明らかである。
【0154】また、さらに本発明関連ケトール脂肪酸
(I)の代謝中間体と考えられるヒドロペルオキシ不飽
和脂肪酸においても、本発明関連ケトール脂肪酸(I)
と同様にアサガオにおいて花芽形成誘導作用が認められ
たことから、本発明関連ケトール脂肪酸(I)と同様
に、上記ヒドロペルオキシ不飽和脂肪酸も植物の科間,
属間乃至種間を超えて、広く植物全般において花芽形成
誘導活性を発揮することが明らかになった。
【0155】
【発明の効果】本発明により、植物の花芽形成に直接作
用する花芽形成誘導剤及び花芽形成誘導用キットが提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明関連ケトール脂肪酸(I)を示す13C−
NMRのチャート図面である。
【図2】1晩の暗処理を行った場合の本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)を導管投与した場合のアサガオに対する
花芽形成誘導作用を検討した図面である。
【図3】2晩の暗処理を行った場合の本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)を導管投与した場合のアサガオに対する
花芽形成誘導作用を検討した図面である。
【図4】1晩の暗処理を行った場合の本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)を導管投与した場合のアサガオに対する
花芽形成誘導作用を個体数を増やして検討した図面であ
る。
【図5】暗処理の長さと本発明関連ケトール脂肪酸
(I)の花芽形成誘導作用との関係を検討した図面であ
る。
【図6】2晩の暗処理を行った場合の本発明関連ケトー
ル脂肪酸(I)を散布投与した場合のアサガオに対する
花芽形成誘導作用を検討した図面である。
【図7】1晩の暗処理を行った場合の酵素法により製造
した本発明関連ケトール脂肪酸(I)を導管投与した場
合のアサガオに対する花芽形成誘導作用を個体数を増や
して検討した図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小島 清隆 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第1リサーチセンター内 (72)発明者 福井 寛 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第1リサーチセンター内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2位乃至n位のいずれかに位置する炭素原
    子から選ばれる異なる2つの炭素原子の一方がカルボニ
    ル基を構成する炭素原子であり,他方がヒドロキシル基
    が結合した炭素原子である,その炭素原子数であるnが
    4以上24以下であるケトール脂肪酸を有効成分とする
    花芽形成誘導剤。
  2. 【請求項2】請求項1記載の花芽形成誘導剤の有効成分
    であるケトール脂肪酸の,その2位乃至n位のいずれか
    に位置する炭素原子その炭素鎖におけるカルボニル基を
    構成する炭素原子及びヒドロキシル基が結合した炭素原
    子以外のいずれか1つの炭素原子がヒドロペルオキシ基
    が結合した炭素原子であるケトール脂肪酸を有効成分と
    する花芽形成誘導剤。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2記載の花芽形成誘導
    剤の有効成分であるケトール脂肪酸の一方のカルボニル
    基を構成する炭素原子と,他方のヒドロキシル基が結合
    した炭素原子がα位又はγ位の位置にあるケトール脂肪
    酸を有効成分とする花芽形成誘導剤。
  4. 【請求項4】その炭素原子同士の結合形式に関し、2重
    結合が1か所以上,6か所以下存在する、請求項1乃至
    請求項3のいずれかの請求項記載の花芽形成誘導剤の有
    効成分であるケトール脂肪酸を有効成分とする花芽形成
    誘導剤。
  5. 【請求項5】その炭素原子数が18であり,かつその炭
    素原子同士の結合形式に関し,2重結合が2か所存在す
    る、請求項1乃至請求項4のいずれかの請求項記載の花
    芽形成誘導剤の有効成分であるケトール脂肪酸を有効成
    分とする花芽形成誘導剤。
  6. 【請求項6】2位乃至n位のいずれかに位置する炭素原
    子がヒドロペルオキシ基が結合した炭素原子である,そ
    の炭素原子数であるnが4以上24以下であるヒドロペ
    ルオキシ脂肪酸を有効成分とする花芽形成誘導剤。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項6記載のいずれかの花
    芽形成誘導剤の有効成分であるケトール脂肪酸及び/又
    はヒドロペルオキシ脂肪酸,並びにノルエピネフリンを
    有効成分とする花芽形成誘導剤。
  8. 【請求項8】請求項1乃至請求項6記載のいずれかの花
    芽形成誘導剤の有効成分であるケトール脂肪酸及び/又
    はヒドロペルオキシ脂肪酸を含有する花芽形成誘導用キ
    ット。
  9. 【請求項9】請求項1乃至請求項6記載のいずれかの花
    芽形成誘導剤の有効成分であるケトール脂肪酸及び/又
    はヒドロペルオキシ脂肪酸,並びにノルエピネフリンを
    含有する花芽形成誘導用キット。
  10. 【請求項10】その炭素数が4以上24以下の不飽和脂
    肪酸に、リポキシゲナーゼを作用させてヒドロペルオキ
    シ不飽和脂肪酸を製造する、請求項6記載の花芽形成誘
    導剤の有効成分であるヒドロペルオキシ脂肪酸の製造方
    法。
  11. 【請求項11】リポキシゲナーゼが、選択的にリノール
    酸の9位の二重結合部分を酸化するリポキシゲナーゼで
    ある、請求項10記載のヒドロペルオキシ脂肪酸の製造
    方法。
  12. 【請求項12】リポキシゲナーゼがコメ胚芽由来のリポ
    キシゲナーゼである、請求項11記載のヒドロペルオキ
    シ脂肪酸の製造方法。
  13. 【請求項13】不飽和脂肪酸がリノール酸又はα−リノ
    レン酸である、請求項10乃至請求項12のいずれかの
    請求項記載のヒドロペルオキシ脂肪酸の製造方法。
  14. 【請求項14】その炭素数が4以上24以下の不飽和脂
    肪酸に、リポキシゲナーゼを作用させて得られたヒドロ
    ペルオキシ不飽和脂肪酸に、さらにアレンオキサイドシ
    ンターゼを作用させて製造する、請求項1乃至請求項5
    記載のいずれかの花芽形成誘導剤の有効成分であるケト
    ール脂肪酸の製造方法。
  15. 【請求項15】リポキシゲナーゼが、選択的にリノール
    酸の9位の二重結合部分を酸化するリポキシゲナーゼで
    ある、請求項14記載のヒドロペルオキシ脂肪酸の製造
    方法。
  16. 【請求項16】リポキシゲナーゼがコメ胚芽由来のリポ
    キシゲナーゼである、請求項15記載のケトール脂肪酸
    の製造方法。
  17. 【請求項17】不飽和脂肪酸が、リノール酸又はα−リ
    ノレン酸である、請求項14乃至請求項16のいずれか
    の請求項記載のケトール脂肪酸の製造方法。
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