JP4287515B2 - 植物病害の予防用組成物およびその使用方法 - Google Patents

植物病害の予防用組成物およびその使用方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物病害の予防用組成物およびその使用方法に関するものであり、さらに詳しくは、植物に施用してファイトアレキシンの発生を促し、植物病原菌を抑えることができる植物病害の予防用組成物およびこの予防用組成物を植物に適用してファイトアレキシンの発生を促し、植物病原菌を抑え植物病害を防除する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明者は、先に稲においてメチオニンを処理することにより、ファイトアレキシンを発生させ病害抵抗生を付与することが可能であることを既に見いだしている(特願平9−44206号明細書)。
稲にメチオニンを処理することで、サクラネチン、モミラクトンAなどのファイトアレキシンが蓄積し、稲の病原菌であるいもち病に対して抵抗性を持つというものである。しかしながら、メチオニン単独ではその効力において必ずしも充分とはいえず、時として期待通りの効果が出ない場合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、植物に施用することによって植物にファイトアレキシンの発生を促し、植物病原菌を抑えることができ、メチオニン単独の場合より効力の大きい、安全で年中使用できるような植物病害の予防用組成物を提供することであり、そして本発明の第2の目的は、そのような予防用組成物を植物に適用してファイトアレキシンの発生を促し、植物病原菌を抑え植物病害を防除するための予防用組成物の使用方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、メチオニンなどの含硫アミノ酸単独ではなく、含硫アミノ酸とD−グルコースを加用することによって、稲いもち病(Pyriculariaoryzae)をはじめとする地上部の病気にのみならず、立ち枯れ病などの土壌病害に対しても優れた効果があり、植物病害をより確実に予防できることを見いだし本発明をなすに至った。
【0005】
本発明の請求項1の発明は、植物病害防除を目的として植物に施用し植物にファイトアレキシン(Phytoalexin)を発生させる植物病害の予防用組成物であって、メチオニン(Methionine)、システイン(Cysteine)、シスチン(Cystine)の1種のみの含硫アミノ酸と、D−グルコース(D−Glucose)との混合重量比が、1:(50〜0.001)の範囲である混合物を含むことを特徴とする植物病害の予防用組成物である。
【0006】
本発明の請求項2の発明は、請求項1記載の予防用組成物において、含硫アミノ酸がメチオニンであることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の予防用組成物を、そのままあるいは水で1〜100,000倍に希釈して植物の地上部に散布することを特徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法である。
【0009】
本発明の請求項の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の予防用組成物を、直接土壌に混和するかあるいは水で1〜1,000,000倍に希釈して灌注することを特徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法である。
【0010】
本発明の請求項の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の予防用組成物を、直接あるいは担体に保持させ、種子粉衣することを特徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法である。
【0011】
本発明の請求項の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の組成物を、水で10〜1,000,000倍に溶解して種子浸漬処理することを特徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において用いる含硫アミノ酸はメチオニン、システイン、シスチンから選ばれる少なくとも1種の含硫アミノ酸である。
メチオニン、システイン、シスチンは特に限定されるものではなく、L−メチオニン、DL−メチオニン、D−メチオニン、L−システイン、DL−システイン、D−システイン、L−シスチン、DL−シスチン、D−シスチンなどのいずれを使用しても良いが、DL−メチオニンを使用することが最も低コストの面で好ましい。形態は粉末、水溶液、分散媒を用いて含硫アミノ酸を分散した分散液などいずれでもよく特に限定されるものではない。ただし含硫アミノ酸としてシスチンを用いる場合は水に難溶のため、水に溶解して使用する場合はメチオニン、システインを使用するのが有利である。含硫アミノ酸の添加量は植物の種類、施用方法によっても異なり、適宜選定して決められる。
【0013】
本発明において用いるD−グルコースは特に限定されるものではなく、その添加量は植物の種類、施用方法によって便宜選定して決められる。形態についても粉末、水溶液、分散媒を用いてD−グルコースを分散した分散液などいずれでもよく特に限定されるものではない。
【0014】
また、D−グルコースの製法上その他の単糖類、スクロース、マルトース、ラクトースなどのオリゴ糖、デンプン、セルロース、デキストラン、ラミナラン、グリコーゲンなどの多糖や各種配糖体を一部含有する場合も、本発明の効果をそこなわない範囲であれば問題なく使用することが可能である。
【0015】
本発明における含硫アミノ酸とD−グルコースの混合重量比は、通常は重量比で1:(50〜0.001)の範囲に調製して施用する。好ましくは1:10〜1:0.01、特に好ましくは1:1〜1:0.1で調製して使用する。D−グルコースの混合比が50を超えると含硫アミノ酸の効果が阻害される。D−グルコースの混合比が0.001未満では含硫アミノ酸単独の場合と同じで効果が顕著ではなくなるので好ましくない。
【0016】
また施用量としては、本発明の予防用組成物の量で10a当たり10〜30,000g、好ましくは50〜5,000g、さらに好ましくは100〜1,000gとする。10g未満であると効果が顕著でなくなるので好ましくない。30,000gを超えて施用すると葉の黄化や、根の伸長阻害が発生するので好ましくない。
【0017】
また本発明の予防用組成物の施用方法としては、育苗期、本圃移植後どちらも地上部に散布、地下部に灌注ともに効果がある。また、土壌に直接混和して使用することも可能である。それ以外にも、種子粉衣処理、種子浸漬処理をして使用することも可能である。
【0018】
本発明の予防用組成物を植物の地上部に散布する場合は、本発明の予防用組成物を、そのままで、あるいは水で1〜100,000倍、好ましくは1〜10,000倍、特に好ましくは500〜2000倍に希釈して植物の地上部に散布する。100,000倍を超えて水で希釈すると効果が顕著でなくなる。
【0019】
本発明の予防用組成物を土壌に直接混和して使用するか、水で希釈して灌注する。水で希釈して灌注する場合は、1〜1,000,000倍、好ましくは、1〜100,000倍、特に好ましくは、500〜10,000倍に希釈して使用する。1,000,000倍を超えて水で希釈すると効果が顕著でなくなる。
【0020】
本発明の予防用組成物を用いて種子浸漬処理する場合は、水で10〜1,000,000倍、好ましくは、10〜10,000倍、特に好ましくは、10〜10,000倍に溶解して使用する。溶解倍率が10未満では有効成分が水に溶けない恐れがあり、1,000,000倍を超えて水に溶解すると所要時間内に必要量の有効成分を種子に浸漬できない恐れがある。
【0021】
本発明の予防用組成物の施用間隔としては、通常3〜14日おきに定期的に施用するのが望ましいが、生育ステージ、品種、生育状況によっては、毎日施用することも間隔をあけて施用することも可能である。
【0022】
施用量としては、育苗期では平方メートル当たり10〜10,000ml施用する。10ml未満では効果が顕著でなくなるので好ましくない。10,000mlを超えて施用すると苗に過湿の影響が出やすくなるので好ましくない。好ましくは100〜5,000ml、さらに好ましくは300〜2,000ml施用する。本圃散布では10a当たり1〜500リットル、好ましくは10〜300リットル、さらに好ましくは50〜200リットル施用する。本圃灌注では10a当たり10〜30,000リットル、好ましくは100〜15,000リットル、更に好ましくは1,000〜10,000リットル施用する。
【0023】
最も好ましい施用方法として、育苗期は1.5葉期から5日おきに平方メートルあたり500ml、本圃移植後は10日おきに1,500リットル灌注施用する方法が挙げられる。
【0024】
本発明のメチオニンなどの含硫アミノ酸およびD−グルコースを有効成分として含む植物病害の予防用組成物には、本発明の作用を妨げない範囲でメチオニンなどの含硫アミノ酸やD−グルコース以外の殺菌剤、殺虫剤などの農薬活性成分、肥料、植物生育調節剤、粘度調整剤、界面活性剤などの成分を配合することができる。
【0025】
本発明において使用される農薬活性成分としては、特に限定されるものではないが、例として以下のものが挙げらる。またこれらの農薬活性成分はそれぞれ単独で用いても良いし2種以上を任意の割合で組み合わせて用いても良い。尚、下記の農薬活性成分名は、農薬ハンドブック(社団法人日本植物防疫協会発行、1989)記載の一般名である。
【0026】
除草剤活性成分としては以下のものが挙げられる。
2,4−D、MCP、MCPB、CNP、MCC、DCPA、ACN、フェノチオール、クロメプロップ、ナプロアニリド、クロメトキシニル、ベンチオカーブ、ビフェノックス、エスプロカルブ、モリネート、ジメピレート、ブタクロール、プレチラクロール、ブロモブチド、メフェナセット、ダイムロン、ベンスルフロンメチル、シメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、ベンタゾン、オキサジアゾン、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、トリフルラリン、ビペロホス等。
【0027】
殺虫剤活性成分としては以下のものが挙げられる。
BRP、CVMP、PMP、PAP、DEP、EPN、NAC、MTMC、MIPC、BPMC、PHC、MPMC、XMC、MPP、MEP、ピリミホスメチル、ダイアジノン、イソキサチオン、ビリダフェンチオン、クロルピリホスメチル、パミドチオン、マラソン、ジメトエート、エチルチオメトン、モノクロトホス、ジメチルビンホス、プロパホス、ベンダイオカルプ、カルボスルファン、ベンフルカルブ、チオジカルブ、シクロプロトリン、エトフェンプロックス、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、ブプロフェジン等。
【0028】
殺菌剤活性成分としては以下のものが挙げられる。
塩基性硫酸銅、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、有機硫黄ニッケル塩、チラウム、キャプタン、TPN、フラサイド、IBP、EDDP、チオファネートメチル、ベノミル、イプロジオン、メプロニル、フルトラニル、テフロフラタム、ベンシクロン、メタラキシル、トリフルミゾール、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、オキシテトラサイクシン、ヒドロキシイソキサゾール、メタスルホカルブ、MAF、MAFE、ベンチアゾール、フェナジンオキシド、ジクロメジン、プロペナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、ピロキロン、オキソニック酸、グアザチン等。
【0029】
またそれ以外にも、イナベンフィド、オキシエチレンドコサノール、ニコチン酸アミド、ベンジルアミノプリン等の植物生育調整成分を加えることも可能である。
【0030】
本発明においても使用される肥料成分としては、特に限定されるものではないが、例として以下のものが挙げられる。
すなわち、堆肥、きゅう肥、家畜の糞尿、人糞尿、草木灰、木灰、稲わら、麦わら、籾がら、米糖、麦糖、大豆さや、窒素質肥料、リン酸質肥料、加里質肥料、複合肥料、石灰質肥料、ケイ酸質肥料、苦土肥料、マンガン質肥料、ほう素質肥料、微量要素複合肥料、有機質肥料、魚かす、家畜および家きんの糞、家畜および家きんの糞処理物、家畜および家きんの糞燃焼灰、汚泥肥料、製糖副産石灰、転炉さい、貝灰石粉末、各種農産物のかす、食品工業のかす、発酵工業の廃棄物、発酵粕、繊維工業の廃棄物、水産工業の廃棄物、下水汚泥、都市ゴミコンポスト、骨灰などである。これらの肥料成分は、それぞれ単独で用いても良いし2種以上を任意の割合で組み合わせて用いても良い。またこれらの肥料成分以外にも、ゼオライト、ベントナイト、バーミキュライト、泥炭、パーライト、腐食酸質資材、木炭、ポリエチレンイミン系資材、ポリビニールアルコール系資材等の土壌改良剤を混合することも可能である。
【0031】
本発明において使用される界面活性剤としては、例えばアルキルスルホコハク酸塩、縮合リン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル酢酸エステル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤が挙げられ、その塩としてアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
【0032】
さらにポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。また、必要に応じてカチオン系、両イオン系界面活性剤を用いても良い。
これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いても良いし2種以上を任意の割合で組み合わせて用いても良い。
【0033】
メチオニンなどの含硫アミノ酸とD−グルコースの混合物を含む本発明の予防用組成物を植物に散布するなどして処理することにより、植物自身が生合成する抗菌物質のファイトアレキシンの発生を促すことによって、病害抵抗性を高めることが可能となる。
【0034】
【実施例】
以下本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
DL−メチオニン(和光純薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:50で混合し、その混合物(本発明の予防用組成物)51gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液MG1を作った。
【0035】
(実施例2)
DL−メチオニン(和光純薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:5で混合し、その混合物(本発明の予防用組成物)6gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液MG2を作った。
【0036】
(実施例3)
DL−メチオニン(和光純薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:1で混合し、その混合物(本発明の予防用組成物)2gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液MG3を作った。
【0037】
(実施例4)
DL−メチオニン(和光純薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:0.1で混合し、その混合物(本発明の予防用組成物)1.1gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液MG4を作った。
【0038】
(実施例5)
DL−メチオニン(和光純薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:0.01で混合し、その混合物(本発明の予防用組成物)1.01gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液MG5を作った。
【0039】
(実施例6)
DL−メチオニン(和光純薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:0.001で混合し、その混合物(本発明の予防用組成物)1.001gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液MG6を作った。
【0040】
(比較例1)
DL−メチオニン(和光純薬工業株式会社製)1gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液M1を作った。
【0041】
(試験1)
DL−メチオニンとD−グルコースの混合物が稲のファイトアレキシンであるサクラネチン(Sakuranetin)、モミラクトンA(Momilactone A)の発生に及ぼす影響について試験を行った。
サクラネチンの構造式を次式(1)に示す。モミラクトンAの構造式を次式(2)に示す。
【0042】
【化1】
Figure 0004287515
【0043】
【化2】
Figure 0004287515
【0044】
(材料及び試験方法)
供試品種は、日本晴を用い、ペーパーポットに化成肥料(N:P:K=10:6:8)14gを混和した土壌で3.5齢まで生育させ、1/5000aワグネルポットに3本植えとした。基肥として化成肥料(N:P:K=10:6:8)7gを全層施肥し、温室内にて7葉期まで栽培した稲の第5葉を実験材料とした。第5葉は20cmで切りそろえ、葉の中心部に10mm間隔で直径1mmの傷をつけ、プラスチック容器中に蒸留水で湿らせたキムワイプを敷いて、その上に、葉表を上にして置いた。その後、葉面の1mmの傷の上に各処理溶液を傷当たり25μlのせ、容器に透明な蓋をし、25℃明条件下で60時間インキュベートした。
また、対照区として同じく蒸留水を25μlのせた区を設けた。
【0045】
60時間後に、葉面に残った試験液と、傷を中心に直径10mmにコルクボーラーで打ち抜いた葉を熱70%メタノール抽出を行い、減圧濃縮した後水相を取り出し、さらにジエチルエーテル抽出を行い、エーテル相を取り出し濃縮乾固した。その後サクラネチンの測定は、順相TLC(ワットマン社製、LKGDF SILICA GEL 60Å)(ベンゼン:酢酸エチル:ギ酸=10:1:1)を通し、酢酸エチル溶出したものを濃縮乾固し、逆相HPLC(東ソー(株)社製)(0.2Nギ酸を含むメタノール:溶媒A=6:4、溶媒A;NaNO3 2g、H2 SO4 0.05g/H2 O 1000ml)にて測定を行った。モミラクトンAは、ボンド エルート(BOND ELUT C18、バリアン社製)を通し80%メタノール溶出を行ったものをGC−MS/SIM(日本電子(株)社製)で測定した。
各区のサクラネチン、モミラクトンA発生量について表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004287515
【0047】
(試験1の結果及び考察)
対照区として蒸留水を処理した区は、サクラネチン、モミラクトンA共に検出されなかった。比較区としてDL−メチオニン単独で処理したM1区は、サクラネチンが122.56ng/spot(傷当たりの検出量)、モミラクトンAが55.89ng/spot(傷当たりの検出量)であったのに対し、メチオニン・D−グルコース混合物溶液MG1〜6処理区はサクラネチンで178.25〜248.11ng/spot(傷当たりの検出量)、モミラクトンAで傷当たり85.21〜112.08ng/spot(傷当たりの検出量)と、最大でDL−メチオニン単独で処理したM1区の約2倍の抗菌活性を示した。
【0048】
図1に植物の植物病原菌に対する動的防御機構を示す。
一般に稲のファイトアレキシンであるサクラネチン、モミラクトンAは、稲いもち病菌をはじめとする各種病害に対する動的防御物質として知られており、病原菌の進入を防ぐ重要な役割を果たしている。また、サクラネチン、モミラクトンAのいもち病菌胞子発芽に対するED50値は、ともに15ppmであり、極めて強い抗菌作用が知られている。本試験の結果は、DL−メチオニン溶液M1単独の処理に比べ、メチオニン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)がより植物病害防除に利用できることを示唆するものである。
【0049】
(試験2)
メチオニン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)の葉面散布が稲いもち病(Pyricularia oryzae)の発現に及ぼす影響について試験を行った。
(材料及び試験方法)
供試品種は、日本晴を用い、ペーパーポットに化成肥料(N:P:K=10:6:8)14gを混和した土壌で3.5齢まで生育させ、1/5000aワグネルポットに3本植えとした。基肥として化成肥料(N:P:K=10:6:8)7gを全層施肥し、温室内にて8葉期まで栽培したものを試験に供した。前処理としてメチオニン・D−グルコース混合溶液MG2をポット当たり100ml茎葉散布した。
また、対照区として蒸留水を同じく100ml、比較区としてメチオニン単独溶液M1を同じく100ml茎葉散布した。
前処理から24時間後、地上部全面にいもち菌を接種し、接種から10日後葉に発生した病斑の葉面1cm2 当たりの壊死部、崩壊部の合計を面積比で評価した。評価はまず葉面積計にて全ての葉面積を測定した後、病斑部を顕微鏡で画像解析装置に取り込み測定した。
メチオニン・D−グルコース混合溶液MG2処理区、対照区およびメチオニン単独M1処理区の壊死率[(壊死部面積+崩壊部面積)/総面積]を表2に示した。
【0050】
【表2】
Figure 0004287515
【0051】
(試験2の結果及び考察)
対照区壊死率25.1%、メチオニン単独溶液M1区は7.8%に対し、メチオニン・D−グルコース混合溶液MG2区は1.8%と病斑の発生を抑える効果が高かった。メチオニン・D−グルコース混合溶液MG2の処理がファイトアレキシンの発生を促し菌の進入を防いで耐病性を高めた結果である。
【0052】
(試験3)
メチオニン・D−グルコースの混合物(本発明の予防用組成物)がナスの根部に含まれる抗菌活性物質のひとつでありセスキテルペンのソラベチボンの発生に及ぼす影響について試験を行った。
ソラベチボンの構造式を次式(3)に示す。
【0053】
【化3】
Figure 0004287515
【0054】
(材料及び試験方法)
供試品種は、通常ナスの台木として使用される耐病VFを用い、128穴セルトレイに化成肥料(N:P:K=10:6:8)7gを混和した土壌で2葉期まで生育させ、1/5000aワグネルポットに1本植えとした。基肥として化成肥料(N:P:K=10:6:8)8gを全層施肥し、温室内にて6葉期まで栽培した株を実験材料とした。
各試験区は8反復とし、対照区として水道水を、比較区▲1▼としてメチオニン0.01%(W/V)溶液を、比較区▲2▼としてD−グルコース0.01%(W/V)溶液を、試験区としてメチオニン・D−グルコース混合溶液MG3の10倍水希釈溶液をそれぞれ株当たり1リットル灌注処理をした。
処理から1週間後、根を傷つけないようにしてポットから株を抜き取り、蒸留水で丁寧に根を洗浄して根部のみを切断した。切断した根は根重の5倍量の70%エタノール溶液で浸漬抽出を行い、48時間後濾紙で濾液を回収した。回収した濾液は、減圧濃縮し、同量の酢酸エチルで3回抽出し、その抽出物は濃縮後2倍量のヘキサンを加え、ヘキサン洗浄後のSep−Pak Light Silicaを通し、ヘキサン:酢酸エチル=2:1の溶出画分を得た。この画分中に含まれるソラベチボンをHPLC(高速液体クロマトグラフィー)(カラム:Inertsil ODS−2、流速:1.0ml/min、溶媒:MeOH:water=65:45、検出:UV245nm)にて測定を行った。測定結果はナス根1g中に含まれるソラベチボン含有量(μg)で示した。
各区のソラベチボン蓄積量について表3に結果を示す。
【0055】
【表3】
Figure 0004287515
【0056】
(試験3の結果及び考察)
対照区として水道水を処理した区でソラベチボン蓄積量が0.161μg/g(ナス根)、比較区▲1▼としてメチオニン単独処理をした区でソラベチボン蓄積量が0.220μg/g(ナス根)、比較区▲2▼としてD−グルコース単独処理をした区でソラベチボン蓄積量が0.166μg/g(ナス根)であったのに対し、メチオニン・D−グルコース混合溶液処理区では0.483μg/g(ナス根)と他の区に対して突出してソラベチボン蓄積量が多い結果であった。
一般にナスのソラベチボンは、ナスの半身萎凋病(Verticilliumdahliae)、萎凋病(Fusarium oxysporum)、青枯病(Pseudomonas solanacearum)に対する抵抗性を示す抗菌物質として近年発見され、ナス科近縁野生種であるエチオピアナス(Solanum aethiopicum)やスズメノナスビ(Solanum torvum)の根中に多く蓄積することが知られている。本試験の結果は、メチオニン溶液単独の処理、あるいはD−グルコース溶液単独の処理に比べ、メチオニン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)処理がより植物病害(土壌病害)に対する化学的防御機構が強化されていることを示唆するものである。
【0057】
(試験4)
メチオニン・D−グルコースの混合物(本発明の予防用組成物)がトウモロコシの根部に含まれる抗菌活性物質の発生に及ぼす影響について試験を行った。
【0058】
(材料及び試験方法)
トウモロコシは、大型プランターに播種し、草丈80cmまで生育させたものを実験材料とした。各試験区は10反復とし、対照区として水道水を、試験区としてメチオニン・D−グルコース混合溶液MG3の10倍水希釈溶液をそれぞれ株当たり3リットル灌注処理をした。
処理から1週間後、根を傷つけないようにしてプランターから株を抜き取り、蒸留水で丁寧に根を洗浄して根部のみを切断した。切断した根は根重の5倍量の70%エタノール溶液で浸漬抽出を行い、48時間後濾紙で濾液を回収した。得られた抽出液は濃縮後、エーテル、次いで酢酸エチルで振り分け、各画分の抗菌活性を次のような方法で調べた。
試験管内でポテトデキストロース培地15mlと抽出物15mgを混合し、抽出物の濃度が1000ppmになるようにし、これをシャーレに移した。シャーレの中心部に検定菌(Fusarium oxysporum)を接種し25℃で2週間培養した後、コロニーの直径を測定し、対照区の生育度(直径:cm)を100として試験区の検定菌生育度(%)を調べた。
試験結果を表4に結果を示した。
【0059】
【表4】
Figure 0004287515
【0060】
(試験4の結果及び考察)
試験結果からメチオニン・D−グルコース混合溶液MG3処理により、トウモロコシ根中に検定菌であるF.oxysporumの生育を阻害する物質が含まれていることが確認された。エーテル抽出画分を含む培地、酢酸エチル抽出画分を含む培地共に菌の生育を阻害する結果となったが、より強く阻害活性を示したエーテル抽出画分からは、検索の結果、p−クマール酸と6−methoxyben zoxazoline(MBOA)が含まれていることが判明した。
p−クマール酸の構造式を次式4に示す。6−methoxyben zoxazoline(MBOA)の構造式を次式5に示す。
【0061】
【化4】
Figure 0004287515
【0062】
【化5】
Figure 0004287515
【0063】
トウモロコシは輪作体系において前作に用いた場合、様々な土壌病害に対して有効であることが知られている。即ち、トウモロコシの間作はFusariumoxysporum(ナス萎凋病、トマト萎凋病、キュウリつる割病、タマネギ乾腐病、ダイコン萎黄病)、Phythium sp.(エンドウ・キュウリ・ナス・キャベツ・タマネギ・ホウレンソウ等の苗立枯病、サトイモ・コンニャクの根腐病)、Rhizoctonia solani(マメ類の茎腐病、イモ類の根腐病、ウリ科・ナス科・アブラナ科の苗立枯病)、Cephalosporium gregatum(アズキ落葉病)に対して抑制効果を示すことが、各地の試験場の調査で明らかになっている。
この試験の結果より、メチオニン・D−グルコースの混合溶液処理が、トウモロコシ根部に含まれる抗菌活性物質の量を増加させ、土壌病害を引き起こす菌の生長を抑えることが明かとなった。
【0064】
(試験5)
メチオニン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)の茎葉散布が植物(植物名:エンドウ、大豆、ビート、ジャガイモ、ニンジン、ハクサイ、トマト、ブドウ、タバコ)の主要なファイトアレキシンの産生に及ぼす影響について試験を行った。
【0065】
(材料及び試験方法)
供試植物は、それぞれ5〜6葉期のものを使用し、無処理区、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)処理区、メチオニン単独溶液(M1)処理区をそれぞれの植物について各10株設けた。
メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の散布、メチオニン単独溶液(M1)の散布は、株当たり500mlを茎葉散布にて行った。
ファイトアレキシンの分析は、散布から72時間後に地上部を採取し、アセトン抽出後、酢酸エチル溶出を行いシリカゲルクロマトにかけて、HPLCにて行った。
結果を無処理区から検出された単位重量当たりのファイトアレキシン産生量を100として表5に示す。
【0066】
【表5】
Figure 0004287515
【0067】
(試験5の結果及び考案)
表5に示した結果から、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の散布がメチオニン単独溶液処理に比べ、1.1〜3倍のファイトアレキシンの産生を誘導する事が示された。
【0068】
(試験6)
ジャガイモ疫病に対する効果について試験を行った。供試品種は男爵を用い、直径30cmの鉢に植え、草丈30cmまで生育したものを試験に供試した。
これに、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の2倍となるよう調整した混合液を鉢当たり50ml茎葉散布し、処理3日後に疫病菌(レース0)の遊走子のう懸濁液を接種し、24時間湿室に保ったのち5日目に発病程度を調査した。発病率は次式により算出した。
【0069】
Figure 0004287515
【0070】
上式においてi、n、niは下記のものである。
i:表6に記載の発病指数
n:調査葉数
ni:発病指数iの葉数
【0071】
【表6】
Figure 0004287515
【0072】
発病率(%)は表7に示す通りであった。
【0073】
【表7】
Figure 0004287515
【0074】
(試験6の結果及び考案)
表7から、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の散布が、ジャガイモ疫病の生育を抑制することが認められた。
【0075】
(試験7)
トマトうどんこ病に対する効果について試験を行った。供試品種は瑞健を用い、5〜6葉期の苗に、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)を株当たり50ml茎葉散布し、処理3日後にうどんこ病菌(Leveillula Taurlca)を噴霧接種し、10日後に全葉について発病を調査した。
結果は表8に示す通りであった。
【0076】
【表8】
Figure 0004287515
【0077】
(試験7の結果及び考案)
表8から、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の散布がトマトうどんこ病の生育を抑制することが認められた。
【0078】
(試験8)
りんご斑点落葉病に対する効果について、試験を行った。
供試樹は、品種つがるの2年生幼木で、試験の規模としては1区5本の2反復で行った。薬剤散布は、6月15日、6月25日、7月10日、8月6日、8月15日、8月25日の計6回行い、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の5倍となるよう調整した混合液を株当たり2リットル散布した。発病調査は9月1日に行い、完全展葉した葉の発病数を調査した。
結果は表9に示す通りであった。
【0079】
【表9】
Figure 0004287515
【0080】
(試験8の結果及び考案)
表9から、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の散布がりんご斑点落葉病の生育を抑制することが認められた。
【0081】
(試験9)
メチオニン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)の種子粉衣処理が、キュウリの苗立枯病に及ぼす影響について試験を行った。
【0082】
(材料及び試験方法)
キュウリ苗立枯病多発圃場より土壌を採取し、φ90のポリポットに充填し試験に供した。
播種は、メチオニン10g、D−グルコース2gにシリカ粉末10gを加え、よく混合した混合物を、表面を水で湿らせたキュウリ種子に粉衣処理し、1ポット1粒蒔きとした。対照区は無処理の種子を同じく1ポット1粒蒔きとした。各試験区は100ポットとし、播種から3週間後、苗立枯病の発生の有無を調査した。
試験結果を表10に結果を示した。
【0083】
【表10】
Figure 0004287515
【0084】
(試験9の結果及び考察)
試験結果からメチオニン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)の種子粉衣処理により、キュウリ苗立枯病の発生を抑えることが確認された。
【0085】
(試験10)
メチオニン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)の種子浸漬処理が、キュウリの苗立枯病に及ぼす影響について試験を行った。
【0086】
(材料及び試験方法)
キュウリ苗立枯病多発圃場より土壌を採取し、φ90のポリポットに充填し試験に供した。
播種は、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG5)にキュウリ種子を5時間浸漬処理した後、1ポット1粒蒔きとした。対照区は水道水に5時間浸漬した種子を同じく1ポット1粒蒔きとした。各試験区は100ポットとし、播種から3週間後、苗立枯病の発生の有無を調査した。
試験結果を表11に結果を示した。
【0087】
【表11】
Figure 0004287515
【0088】
(試験10の結果及び考察)
試験結果からメチオニン・D−グルコース混合溶液(MG5)の種子浸漬処理により、キュウリ苗立枯病の発生を抑えることが確認された。
【0089】
(実施例7)
L−システイン(日本理化学薬品株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:1で混合し、その混合物(本発明の予防用組成物)2gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液CG1を作った。
【0090】
(実施例8)
L−システイン(日本理化学薬品株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:0.1で混合し、その混合物(本発明の予防用組成物)11gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液CG2を作った。
【0091】
(比較例2)
L−システイン(日本理化学薬品株式会社製)1gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液C1を作った。
【0092】
(比較例3)
D−グルコース(和光純薬工業株式会社製)1gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液GL1を作った。
【0093】
(比較例4)
L−プロリン(和光純薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:1で混合し、その混合物2gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液PG1を作った。
【0094】
(比較例5)
L−トリプトファン(和光純薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:1で混合し、その混合物2gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液TG1を作った。
【0095】
(比較例6)
L−セリン(和光純薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重量比で1:1で混合し、その混合物2gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液SG1を作った。
【0096】
(比較例7)
還元型グルタチオン(和光純薬工業株式会社製)2gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液GT1を作った。
【0097】
(比較例8)
硫酸アンモニウム(片山化学工業株式会社製)1gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液AS1を作った。
【0098】
(試験11)
L−システインとD−グルコースの混合物(本発明の予防用組成物)が稲のファイトアレキシンであるサクラネチン(Sakuranetin)、モミラクトンA(Momilactone A)の発生に及ぼす影響について試験を行った。
【0099】
(材料及び試験方法)
供試品種は、日本晴を用い、ペーパーポットに化成肥料(N:P:K=10:6:8)14gを混和した土壌で3.5齢まで生育させ、1/5000aワグネルポットに3本植えとした。基肥として化成肥料(N:P:K=10:6:8)7gを全層施肥し、温室内にて7葉期まで栽培した稲の第5葉を実験材料とした。第5葉は20cmで切りそろえ、葉の中心部に10mm間隔で直径1mmの傷をつけ、プラスチック容器中に蒸留水で湿らせたキムワイプを敷いて、その上に、葉表を上にして置いた。その後、葉面の1mmの傷の上に各処理溶液を傷当たり25μlのせ、容器に透明な蓋をし、25℃明条件下で60時間インキュベートした。
【0100】
60時間後に、葉面に残った試験液と、傷を中心に直径10mmにコルクボーラーで打ち抜いた葉を熱70%メタノール抽出を行い、減圧濃縮した後水相を取り出し、さらにジエチルエーテル抽出を行い、エーテル相を取り出し濃縮乾固した。その後サクラネチンの測定は、順相TLC(ワットマン社製、LKGDF SILICA GEL 60Å)(ベンゼン:酢酸エチル:ギ酸=10:1:1)を通し、酢酸エチル溶出したものを濃縮乾固し、逆相HPLC(東ソー(株)社製)(0.2Nギ酸を含むメタノール:溶媒A=6:4、溶媒A;NaNO3 2g、H2 SO4 0.05g/H2 O 1000ml)にて測定を行った。モミラクトンAは、ボンド エルート(BOND ELUT C18、バリアン社製)を通し80%メタノール溶出を行ったものをGC−MS/SIM(日本電子(株)社製)で測定した。
各区のサクラネチン、モミラクトンA発生量について表12に示す。
【0101】
【表12】
Figure 0004287515
【0102】
(試験11の結果及び考察)
比較区としてL−システイン単独で処理したC1区は、サクラネチンが79.10ng/spot(傷当たりの検出量)、モミラクトンAが38.99ng/spot(傷当たりの検出量)であったのに対し、L−システイン・D−グルコース混合物溶液CG1〜2処理区はサクラネチンで182.36〜241.78ng/spot(傷当たりの検出量)、モミラクトンAで傷当たり79.86〜109.20ng/spot(傷当たりの検出量)とL−システイン単独で処理した場合より優れた抗菌活性を示した。
さらに、D−グルコース単独で処理したGL1区は、サクラネチン、モミラクトンAともに検出されなかった。
その他、比較として分子中に硫黄を含まないアミノ酸と、D−グルコースの混合物について試験を行った結果、L−プロリン・D−グルコース試験区、L−トリプトファン・D−グルコース試験区、L−セリン・D−グルコース試験区ともにサクラネチン、モミラクトンAは検出されなかった。
さらに、比較として分子中に硫黄を含む他の化合物であるグルタチオン、硫酸アンモニウムを試験した結果、ともにサクラネチン、モミラトンAは検出されなかった。
【0103】
図1に植物の植物病原菌に対する動的防御機構を示したが、一般に稲のファイトアレキシンであるサクラネチン、モミラクトンAは、稲いもち病菌をはじめとする各種病害に対する動的防御物質として知られており、病原菌の進入を防ぐ重要な役割を果たしている。また、サクラネチン、モミラクトンAのいもち病菌胞子発芽に対するED50値は、ともに15ppmであり、極めて強い抗菌作用が知られている。本試験の結果は、L−システイン溶液C1単独の処理に比べ、L−システイン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)がより植物病害防除に利用できることを示唆するものである。
【0104】
【発明の効果】
本発明は、植物自身の抗菌性物質であるファイトアレキシンの発生を促すことによって、植物が本来持っている病害抵抗性を高め、環境にやさしく、低コストで、しかも安全である植物病害の予防方法に関するものであり、本発明の予防用組成物およびそれを用いた予防方法により、植物の収量低下を引き起こす植物病害を低減することが可能であり、結果として収量の増加を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 植物の植物病原菌に対する動的防御機構を示す説明図である。

Claims (6)

  1. 植物病害防除を目的として植物に施用し植物にファイトアレキシン(Phytoalexin)を発生させる植物病害の予防用組成物であって、メチオニン(Methionine)、システイン(Cysteine)、シスチン(Cystine)の1種のみの含硫アミノ酸と、D−グルコース(D−Glucose)との混合重量比が、1:(50〜0.001)の範囲である混合物を含むことを特徴とする植物病害の予防用組成物。
  2. 含硫アミノ酸がメチオニンであることを特徴とする請求項1記載の予防用組成物。
  3. 請求項1あるいは請求項2記載の予防用組成物を、そのままあるいは水で1〜100,000倍に希釈して植物の地上部に散布することを特徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法。
  4. 請求項1あるいは請求項2記載の予防用組成物を、直接土壌に混和するかあるいは水で1〜1,000,000倍に希釈して灌注することを特徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法。
  5. 請求項1あるいは請求項2記載の予防用組成物を、直接あるいは担体に保持させ、種子粉衣することを特徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法。
  6. 請求項1あるいは請求項2記載の組成物を、水で10〜1,000,000倍に溶解して種子浸漬処理することを特徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法。
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