JP5679974B2 - 植物成長調整剤 - Google Patents

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Description

本発明は、安定性に優れた特定のα−ケトール脂肪酸誘導体の植物成長調整作用に着目した植物成長調整剤に関する発明である。
植物の成長調整技術を開発することは、穀物植物や園芸植物の供給効率を向上させる上で、非常に重要な事項である。
植物の成長を調整することにより顕在化する典型的な効果として、植物の成長の促進効果が挙げられる。植物の成長の速度を決める因子としては、温度、光、栄養分等が考えられる。植物の成長を促進させるために、目的とする植物の性質に応じた温度条件や日照条件を選択する試みは、古来から行われている。これらの温度や光以外の成長促進技術としては、施肥が代表的な技術として挙げられ、一定の効果を上げている。
しかしながら、施肥の効果については、自ずと限界があり、用いる肥料の量を多くしても、一定以上の植物の成長の促進効果は期待できないばかりか、肥料を多く与えすぎると、かえって植物の成長に障害となり、ひいては土壌を汚染してしまうことにもなりかねない。
特に、植物の成長初期においては、施肥による栄養障害が起こりやすく、通常は、この時期は施肥を控えるのが普通である。従って、窒素・リン酸・カリウム等の成分からなる、従来から用いられてきた肥料とは異なる、植物の成長促進効果を示す化合物が望まれていた。
そして、このような植物の成長促進効果は勿論のこと、花芽の促進効果、植物の老化の抑制効果、植物の休眠防止効果等の効果、乾燥や高温等の植物のストレスに対する耐性の付与効果等により、ニーズに応じた植物の成長調整効果を発揮させる手段を見出して、穀物植物や園芸植物の供給効率を向上させることが、さらに望まれている。
特開平09-295908号公報 特開2001-131006
本発明者らは、上述の主題に関連して、下記の構造を有する特定のα−ケトール不飽和脂肪酸が、広範な植物に対して所望する花芽形成誘導活性や植物賦活活性を示すことを見出した(特開平09-295908号公報(特許文献1)、特開2001-131006(特許文献2))。
Figure 0005679974
しかしながら、このα−ケトール不飽和脂肪酸は極めて不安定であり、室温で放置すると数日間で活性が失われるといった欠点を有する。
本発明が解決すべき課題は、上記既存のα−ケトール不飽和脂肪酸に比べ安定性に優れた植物成長調整剤を提供することにある。
本発明者は、この課題の解決に向けて鋭意検討を行った。その結果、驚くべきことに、下記の安定な構造を有するα−ケトール脂肪酸が、上述のα−ケトール不飽和脂肪酸と同等の植物成長調整活性を有することを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明者は、本願において、以下の発明を提供する。第1に、下記一般式(1)で表されるα−ケトール脂肪酸誘導体(以下、本ケトール脂肪酸誘導体ともいう)を提供する。
Figure 0005679974
第2に、本ケトール脂肪酸誘導体を有効成分とする植物成長調整剤(以下、本植物成長調整剤ともいう)を提供する。また、本植物成長調整剤は、本ケトール脂肪酸誘導体の植物に対する個別的な作用に着目した剤(植物の花芽形成促進剤、植物賦活剤、植物の成長促進剤、植物の老化防止剤、植物の花期延長剤、植物の休眠抑制剤、植物のストレス抑制剤)としての態様をとり得る剤である。
本発明において「植物の成長調整」とは、何らかの形で植物の生命活動を調整することを意味するものであり、植物の成長促進、抗老化、花期延長、休眠抑制、植物におけるストレスに対する抵抗性の付与等の植物の賦活作用は勿論のこと、花芽形成促進をも包含する概念である。
また、「植物の成長促進」とは、茎葉の拡大、塊茎塊根の成長促進、着果促進、果実の成長促進等を包含する概念である。
本発明により、安定性に優れた植物の成長調整作用を有する物質およびこの物質を有効成分とする植物の成長調整剤が提供される。
本ケトール脂肪酸誘導体のアサガオに対する花芽形成促進活性を、コントロール(水)との比較において検討した結果を示す図面である。(a)では暗処理を14時間、(b)では暗処理を15時間行った。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
A.本ケトール脂肪酸誘導体について
本ケトール脂肪酸誘導体は、上記の一般式(1)に示す構造のα−ケトール脂肪酸誘導体である。本ケトール脂肪酸誘導体は、多様で、かつ、優れた植物成長調整作用を有しており、後述するように、植物を活性化するための、植物成長調整剤の有効成分として用いることができる。当該ケトール脂肪酸は、特開2001-131006などに記載のα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体における活性部位である12位におけるシス位の二重結合を、安定性を高めるためシス位を維持しつつシクロプロパンで置き換えた化合物である。驚くべきことに、かかる活性部位の安定化を図ったにもかかわらず、当該特定ケトール脂肪酸は、シクロプロパンが形成されていないα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体に匹敵する植物成長調整活性の維持された化合物である。本発明のケトール脂肪酸の合成方法については以下の実施例において詳述する。
B.本植物成長調整剤について
本植物成長調整剤は、これを植物に使用することにより、その植物の成長を調整することが可能である。
この「植物成長調整」の内容を以下に例示する。
花芽形成促進作用について
本植物成長調整剤は、これを投与することにより、植物の花芽の形成を促進することができる。すなわち、本植物成長調整剤を用いることで、植物が開花する前提となる花芽の形成を促進することができる。
この意味で、本発明は、「植物の花芽形成促進」という、より具体的な効果を奏する剤も提供する(花芽形成促進剤)。本植物成長調整剤を、花芽形成促進剤として用いる場合の投与は、花芽が形成されるべき時期以前であれば特に限定されないが、これを用いる対象となる植物の性質に応じた処理を行いつつ投与することが好適である。例えば、アサガオ等の短日植物の場合には、一定の暗処理を行いつつ、本植物成長調整剤を投与することが好ましい。
植物の賦活作用について
本植物成長調整剤は、これを投与することにより、その植物の生命活動を活性化する賦活作用を発揮させることが可能である。かかる植物に対する作用を発揮し得る植物賦活剤は、具体的には、植物成長促進剤、抗老化剤、休眠抑制剤、抗ストレス剤等としての態様を採り得る剤である。
(植物成長促進作用)
本植物調整剤を、植物賦活剤として用いる場合、その植物の成長速度を早め、収穫効率等を向上させる、植物成長促進剤として用いることが可能である(前述したように、茎葉の拡大、塊茎塊根の成長促進、着果促進、果実の成長促進等を期待することができる)。この意味で、本発明は、「植物の成長促進」という、より具体的な効果を奏する剤をも提供する(植物成長促進剤)。
本植物成長調整剤を、植物を賦活させる目的で用いると、これまで肥料では成長促進が困難であった、発芽後初期の植物の成長を特に促進することができる。故に、本植物成長調整剤(植物賦活剤)を植物の成長促進を目的として用いる場合の投与は、播種時ないし発芽後の生育初期段階にすることが好ましい。
すなわち、本植物成長調整剤を、発芽後の生育初期に噴霧等により投与するだけで、植物の成長の促進が認められ、しかも、その成長促進効果には持続性が認められる。また、前述したように、本植物成長調整剤を、過剰に使用しても、施肥を過剰に行う場合のような植物の生育障害がほとんど認められず、使用量をあまり気にかけることなく用いることができる。
園芸ないし農業の分野においては、納品後の扱いが面倒な種子ではなく、苗による流通が主流になりつつある。特に、花卉ビジネスにおいては、一般愛好家は、すでにほとんど苗を購入している。本植物成長調整剤を苗の流通前に用いることにより、販売時において、苗を大きくすることが可能である。
また、上述した本植物成長調整剤の性質は、ホウレンソウ、レタス、キャベツ等、いわゆる葉物農作物の収穫を増大するための利用に適している。
(抗老化作用)
本植物成長調整剤は、これを投与することにより、その植物の老化を抑制することにより賦活する、植物賦活剤として用いることができる。具体的には、花期を延長して、花を鑑賞する期間や受粉期間を延長させることが可能である(この個別的な花期延長効果に着目した、「花期延長剤」も、本発明において提供される)。また、本植物成長調整剤の投与により、植物株当りの花数を増加させることもできる。
本植物成長調整剤を、花期を延長させる植物賦活剤として用いる場合の投与は、植物の花期全般にわたって行うことが可能であり、具体的には、種子の水浸時期であっても、発芽後であってもよい。さらに、一年草等でも見られるように、株が衰弱して枯死に向かう時期にも、本植物成長調整剤を投与することにより、衰弱(老化)を遅らせることができる。
このように、本植物成長調整剤は、「花期の延長」や「枯死の遅延」という効果が認められ、いわば、「植物の老化抑制」という効果を発揮して、植物を賦活させ得る剤である。
すなわち、本発明は、「植物の老化抑制」という植物賦活効果を奏する剤をも提供する(植物抗老化剤)。
(休眠抑制作用)
本植物成長調整剤は、これを投与することにより、植物の休眠を防止することで、植物を賦活させることができる。すなわち、本植物成長調整剤を、植物賦活剤として用いることで、植物が一定期間、その成長をストップしてしまう「休眠期間」を短縮したり終了させたりすることが可能である。
この意味で、本発明は、「植物の休眠抑制」という、より具体的な効果を奏する剤をも提供する(植物休眠抑制剤)。本植物成長調整剤を、植物の休眠を抑制する植物賦活剤として用いる場合の投与は、植物の発芽後の早い時期とすることで、植物の休眠を予防することができる。また、既に、休眠してしまった植物に投与して、その植物の休眠を終了させることも可能である。
(抗ストレス作用)
本植物成長調整剤は、これを投与することにより、植物における様々なストレス、具体的には、乾燥ストレス、高温ストレス、低温ストレス、浸透圧ストレス等に対する抵抗性を付与することで、植物を賦活させることができる。すなわち、本植物成長調整剤により、栽培植物の収率を低下させる原因ともなる、気候変動、種子の発芽誘導作業等に伴うストレスの植物に対する影響を軽減することで、植物を賦活することが可能である。
この意味で、本発明は、「植物に対するストレスの抑制」という、より具体的な効果を奏する剤をも提供する(植物ストレス抑制剤)。本植物成長調整剤を、植物のストレスを抑制する植物賦活剤として用いる場合の投与は、植物の種子を発芽させる際や、発芽後に行うことで、植物にストレスに対する抵抗性を付与することが可能である。
本植物成長調整剤の有効成分である、本ケトール脂肪酸誘導体の植物に対する投与量の上限は特に限定されない。すなわち、本植物成長調整剤により、本ケトール脂肪酸誘導体を多量に投与しても、成長阻害等の植物に対する負の効果は、ほとんど認められない。これは、従来から用いられている植物ホルモン剤を過剰投与すると、植物に対する負の効果が顕著に現れ、これらの使用に際しては、過剰投与がなされないように格別の気配りをしなければならないことと比較すると、本植物成長調整剤は非常に優れているといえる。
また、上記の本ケトール脂肪酸誘導体の植物に対する投与量の下限は、植物個体の種類や大きさにより異なるが、1つの植物個体に対して1回の投与当り、0.01μM 程度以上が一応の目安である。
本植物成長調整剤における、本ケトール脂肪酸誘導体の配合量は、その使用態様や使用する対象となる植物の種類、さらには本植物成長調整剤の具体的な剤形等に応じて選択することが可能である。本植物成長調整剤の態様として、本ケトール脂肪酸誘導体をそのまま用いることも可能であるが、上記の本ケトール脂肪酸誘導体の投与の目安等を勘案すると、概ね、剤全体に対して、10ppb 〜1000ppm 程度が好ましく、さらに好ましくは、同100ppb 〜100ppm 程度である。
本植物成長調整剤の剤形としては、例えば、液剤、固形剤、粉剤、乳剤、底床添加剤等の剤形が挙げられ、その剤形に応じて、製剤学上適用することが可能な公知の担体成分、製剤用補助剤等を本発明の所期の効果である植物の成長促進作用が損なわれない限度において、適宜配合することができる。例えば、担体成分としては、本植物成長調整剤が底床添加剤または固形剤である場合には、概ねタルク、クレー、バーミキュライト、珪藻土、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、白土、シリカゲル等の無機質や小麦粉、澱粉等の固体担体が;また液剤である場合には、概ね水、キシレン等の芳香族炭化水素類、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の液体担体が上記の担体成分として用いられる。また製剤用補助剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等の陰イオン界面活性剤、高級脂肪族アミンの塩類等の陽イオン界面活性剤、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコールアシルエステル、ポリオキシエチレングリコール多価アルコールアシルエステル、セルロース誘導体等の非イオン界面活性剤、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等の増粘剤、増量剤、結合剤等を適宜配合することができる。
さらに必要に応じて、植物生長調整剤や、安息香酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピペコリン酸等を、上記の本発明の所期の効果を損なわない限度において、本植物成長調整剤中に配合することもできる。
本植物成長調整剤は、その剤形に応じた方法で種々の植物に用いられ得る。例えば、本発明においては、植物の生長点のみならず、茎や葉をはじめとする植物体の一部または全体に液剤や乳剤として散布、滴下、塗布等することや、固形剤や粉剤として地中から根に吸収させること等が可能である。また、成長の促進を図る植物がウキクサ等の水草の場合には、底床添加剤として根から吸収させたり、固形剤を水中で除々に溶解させること等も可能である。
本植物成長調整剤の植物への投与頻度は、植物個体の種類や投与目的等により異なるが、基本的には、ただ1度の投与によっても所望する効果を得ることができる。複数回投与する場合には、1週間以上の投与間隔をあけることが効率的である。
また、本植物成長調整剤においては、その有効成分として、単一種類の本ケトール脂肪酸誘導体を用いることも、複数の種類の本ケトール脂肪酸誘導体を組み合わせて用いることも可能である。
さらに、本植物成長調整剤を適用可能な植物の種類は特に限定されず、被子植物(双子葉植物・単子葉植物)の他、菌類、地衣類、蘚苔類、シダ類および裸子植物に対しても、本植物成長調整剤は有効である。
被子植物のうち、双子葉植物としては、例えば、アサガオ属植物(アサガオ)、ヒルガオ属植物(ヒルガオ、コヒルガオ、ハマヒルガオ)、サツマイモ属植物(グンバイヒルガオ、サツマイモ)、ネナシカズラ属植物(ネナシカズラ、マメダオシ)が含まれるひるがお科植物、ナデシコ属植物、ハコベ属植物、タカネツメクサ属植物、ミミナグサ属植物、ツメクサ属植物、ノミノツヅリ属植物、オオヤマフスマ属植物、ワチガイソウ属植物、ハマハコベ属植物、オオツメクサ属植物、シオツメクサ属植物、マンテマ属植物、センノウ属植物、フシグロ属植物、ナンバンハコベ属植物等のなでしこ科植物をはじめ、もくまもう科植物、どくだみ科植物、こしょう科植物、せんりょう科植物、やなぎ科植物、やまもも科植物、くるみ科植物、かばのき科植物、ぶな科植物、にれ科植物、くわ科植物、いらくさ科植物、かわごけそう科植物、やまもがし科植物、ぼろぼろのき科植物、びゃくだん科植物、やどりぎ科植物、うまのすずくさ科植物、やっこそう科植物、つちとりもち科植物、たで科植物、あかざ科植物、ひゆ科植物、おしろいばな科植物、やまとぐさ科植物、やまごぼう科植物、つるな科植物、すべりひゆ科植物、もくれん科植物、やまぐるま科植物、かつら科植物、すいれん科植物、まつも科植物、きんぽうげ科植物、あけび科植物、めぎ科植物、つづらふじ科植物、ろうばい科植物、くすのき科植物、けし科植物、ふうちょうそう科植物、あぶらな科植物、もうせんごけ科植物、うつぼかずら科植物、べんけいそう科植物、ゆきのした科植物、とべら科植物、まんさく科植物、すずかけのき科植物、ばら科植物、まめ科植物、かたばみ科植物、ふうろそう科植物、あま科植物、はまびし科植物、みかん科植物、にがき科植物、せんだん科植物、ひめはぎ科植物、とうだいぐさ科植物、あわごけ科植物、つげ科植物、がんこうらん科植物、どくうつぎ科植物、うるし科植物、もちのき科植物、にしきぎ科植物、みつばうつぎ科植物、くろたきかずら科植物、かえで科植物、とちのき科植物、むくろじ科植物、あわぶき科植物、つりふねそう科植物、くろうめもどき科植物、ぶどう科植物、ほるとのき科植物、しなのき科植物、あおい科植物、あおぎり科植物、さるなし科植物、つばき科植物、おとぎりそう科植物、みぞはこべ科植物、ぎょりゅう科植物、すみれ科植物、いいぎり科植物、きぶし科植物、とけいそう科植物、しゅうかいどう科植物、さぼてん科植物、じんちょうげ科植物、ぐみ科植物、みそはぎ科植物、ざくろ科植物、ひるぎ科植物、うりのき科植物、のぼたん科植物、ひし科植物、あかばな科植物、ありのとうぐさ科植物、すぎなも科植物、うこぎ科植物、せり科植物、みずき科植物、いわうめ科植物、りょうぶ科植物、いちやくそう科植物、つつじ科植物、やぶこうじ科植物、さくらそう科植物、いそまつ科植物、かきのき科植物、はいのき科植物、えごのき科植物、もくせい科植物、ふじうつぎ科植物、りんどう科植物、きょうちくとう科植物、ががいも科植物、はなしのぶ科植物、むらさき科植物、くまつづら科植物、しそ科植物、なす科植物、ごまのはぐさ科植物、のうぜんかずら科植物、ごま科植物、はまうつぼ科植物、いわたばこ科植物、たぬきも科植物、きつねのまご科植物、はまじんちょう科植物、はえどくそう科植物、おおばこ科植物、あかね科植物、すいかずら科植物、れんぷくそう科植物、おみなえし科植物、まつむしそう科植物、うり科植物、ききょう科植物、きく科植物等を例示することができる。
同じく、単子葉植物としては、例えば、ウキクサ属植物(ウキクサ)およびアオウキクサ属植物(アオウキクサ、ヒンジモ)が含まれる、うきくさ科植物、カトレア属植物、シンビジウム属植物、デンドロビューム属植物、ファレノプシス属植物、バンダ属植物、パフィオペディラム属植物、オンシジウム属植物等が含まれる、らん科植物、がま科植物、みくり科植物、ひるむしろ科植物、いばらも科植物、ほろむいそう科植物、おもだか科植物、とちかがみ科植物、ほんごうそう科植物、いね科植物、かやつりぐさ科植物、やし科植物、さといも科植物、ほしぐさ科植物、つゆくさ科植物、みずあおい科植物、いぐさ科植物、びゃくぶ科植物、ゆり科植物(アスパラガス等)、ひがんばな科植物、やまのいも科植物、あやめ科植物、ばしょう科植物、しょうが科植物、かんな科植物、ひなのしゃくじょう科植物等を例示することができる。
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、これにより本発明の技術的範囲が限定されるべきものではない。
実施例1:α−ケトール脂肪酸誘導体の合成法
本発明のα−ケトール脂肪酸誘導体の合成法は下記のスキームにしたがって合成した。
Figure 0005679974
出発物質として、シクロプロパン誘導体1を用いた。この化合物は、対応するmeso−ジブチレートのリパーゼによる加水分解で得た。化合物1を四臭化炭素とトリフェニルホスフィンを用い、臭素化物を得た。この臭素化物をリチウムアセチリドエチレンジアミン複合体により処理し、化合物2を得た。C8−炭素鎖を導入する為、n−ブチルリチウムで処理した化合物2のリチウムアセチリドを、8−ベンジルオキシ−1−ヨードオクタンでアルキル化し、アルキル化化合物を得た。この化合物を、Lindlar触媒存在下で水素化し、(Z)−アルケン(3)を得た。C−9,10位に(9R)−立体配置のジオールを導入する為、AD−mix−βを用いジアステレオ選択的なSharpless非対称ジヒドロキシ化(AD)を行い、化合物3から化合物4を得た。ベンズアルデヒドジメチルアセタールを用いた化合物4のアセタール化と、それに続くジイソブチルヒドリド(DIBAL−H)還元を行うことで、シリル基が脱保護されたジベンジルエステルを得た。そのジベンジルエステルをtert−ブチルジメチルシリルクロリド(TBSCl)により、ジシリル化し目的のdi−TBSエーテルを得た。このdi−TBSエーテルの1級TBSエーテル部分をピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)、MeOH−CHCl3中で選択的に脱保護し、化合物5を得た。化合物5をヨウ素化した後に、アセチリドエチレンジアミン複合体により、目的の末端アルキン化合物を得た。これに次ぐヨードエタンとのアルキル化を行い、目的産物を得た後に、部分水素化を行い、(Z)−アルケン(6)を得た。2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)を用いて化合物6の酸化的脱保護を行い、1,10−ジオールを得た。次いでDess−Martin periodinate(DMP)を用い1,10−ジオールを酸化することで、目的のケト−アルデヒドを得た。さらにこのケト−アルデヒドを次亜塩素酸で酸化することで、目的のケト−カルボン酸を得た。最後にケト−カルボン酸のTBS基の脱保護をテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)を用いて行い、目的のα−ケトール脂肪酸誘導体を得た。
実施例2:α−ケトール脂肪酸誘導体のアサガオに対する花芽形成促進活性の検討
9gのアサガオ(品種名:ムラサキ)の種子に濃硫酸処理を20分間施し、その後、流水下で一晩放置した。次いで、種子のへその部分を上にして、湿った海砂上に24時間置き発根させた。これらの発根した種子を海砂中に、1.5〜2.0cm程度の深さに植え、連続光下で培養した(5日間程度)。
この培養により開葉したアサガオの全植物体を、培養液〔KNO3(250mg),NH4NO3(250mg), KH2PO4(250mg),MgSO4・7H2O(250mg),MnSO4 ・4H2O(1mg),Fe-citrate n-hydrate(6mg), H3BO3(2mg),CuSO4 ・5H2O(0.1mg), ZeSO4・7H2O(0.2mg), Na2MoO4・2H2O(0.2mg), Ca(H2PO4)2 ・2H2O(250mg) /1000mL蒸留水〕に移した。
この培養系に上記実施例1において得られた本ケトール脂肪酸誘導体の0、10及び100μM水溶液を噴霧し、14時間又は15時間暗処理を行なった。暗処理後、もう一度水または本ケトール脂肪酸誘導体を噴霧し、その後、25℃で14日間連続光で育成し、14日目に形成された花芽を測定した。N=8の結果を平均した結果を第1図に示す。水噴霧したときの花芽形成数は、平均で0.67個/株(暗処理14時間)または1.33個/株(暗処理15時間)であった。第1図に示すように、本発明のケトール脂肪酸誘導体100μMにより花芽の形成数は200%以上に増加した。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)で表されるα−ケトール脂肪酸誘導体。
    Figure 0005679974
    を有効成分とする、花芽形成促進剤である、植物成長調整剤。
JP2011531919A 2009-09-16 2010-09-13 植物成長調整剤 Active JP5679974B2 (ja)

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