JP3569100B2 - 花芽形成誘導剤及び花芽形成誘導用キット - Google Patents

花芽形成誘導剤及び花芽形成誘導用キット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、花芽形成誘導剤に関する技術分野に属する。より詳細には、特定の構造のα−ケトール不飽和脂肪酸、又はこのα−ケトール不飽和脂肪酸とノルエピネフリンとを有効成分として含有する花芽形成誘導剤、さらには花芽形成誘導用キットに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
植物の花成が日長によって支配されていることは、周知の通りである。そして、この日長に感応する部分は葉身であり、花成は生長点で起こり、葉身から葉柄や茎を通って生長点に何らかのシグナルが送られてこの花成が開始することが突き止められている。このシグナルは、フロリゲンと呼ばれており、これを分離・同定することができれば、日長に関わらず植物の開花時期を人為的に調節することが可能となり、植物が関わる多くの分野において多大な影響を与え得ることは明らかである。
そこで、従来より植物の花成過程のメカニズムをより明らかにすることにより、開花時期を人為的に調節する試みがなされている。
例えば、植物の生長ホルモンの一つであるジベレリンを施すと、多くの長日植物が短日下においても花芽を形成することやパインアップルは合成オーキシンの一つであるα−ナフタレン酢酸を施すと開花が起こることが突き止められ、現実に産業上利用されている。
【0003】
しかしながら、これらの植物ホルモンは、いわばフロリゲン関連物質であり、フロリゲンそのものとは異なるであろうことも突き止められている。
そのため、これらの植物ホルモンを植物に施す時期や環境等の様々な条件設定が必要であることが多く、さらなる開花手法の進歩、具体的には花芽形成に直接関わる物質を分離・同定して、この物質によって開花手法を確立することが望まれている。
また、アサガオ属植物(Pharbitis)、オナモミ属植物(Xanthium) やドクムギ属植物(Lolium)においては、光周性に基づく花成現象が、乾燥ストレスにより阻害されることが報告されている( アサガオ属及びオナモミ属について:Aspinall 1967 ;ドクムギ属について:King and Evans)。さらに、花芽誘導が低温(Bernier et al. 1981 ;Hirai et al.1994) 、高照度(Shinozaki 1972)、貧栄養(Hirai et al.1993)や窒素源の不足(Wada and Totuka 1982;Tanaka 1986 ;Tanaka et al. 1991)により惹起されることも既に報告されている。
しかしながら、これらの報告は単に現象面を捉えたのみであって、上記フロリゲンを直接特定するには至っておらず、依然として物質面から捉えた開花方法の確立が望まれている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
そこで、本発明が解決すべき課題は、開花に直接関わる花芽形成誘導物質等を見出して、この花芽形成誘導物質を有効成分とする花芽形成誘導剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題の解決を目的として鋭意検討を行った。その結果、特定の構造を有するα−ケトール不飽和脂肪酸が、単独で又は植物の種類によってはカテコールアミンの一種であるノルエピネフリンと組合せて作用させることによって、所望する花芽形成誘導活性を植物に対して広く有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明者は、本願において、以下の花芽形成誘導剤等を提供する。
【0006】
請求項1において、下記一般式(I)
【化2】
Figure 0003569100
で表されるα−ケトール不飽和脂肪酸を有効成分として含有する花芽形成誘導剤を提供する。
【0007】
また、請求項2においては、上記請求項1記載の一般式(I)で表されるα−ケトール不飽和脂肪酸及びノルエピネフリンを有効成分として含有する花芽形成誘導剤を提供する。
【0008】
さらに、請求項3においては、上記請求項1記載のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を含有する花芽形成誘導用キットを提供する。
【0009】
そして、請求項4においては、上記請求項1記載のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)及びノルエピネフリンを含有する花芽形成誘導用キットを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
式(I)で表されるα−ケトール不飽和脂肪酸は、上記したごとく、9位にヒドロキシ基,10位にケト基を有し、12位と15位に二重結合をシス体として有することを特徴とする〔一般名:9−ヒドロキシ−10−オキソ−cis−12(),15()−オクタデカジエン酸〕。
【0011】
このα−ケトール不飽和脂肪酸(I)は、生体内に豊富に存在するα−リノレン酸を出発物質とする脂肪酸代謝経路の中間体として知られている。しかしながら、このα−ケトール不飽和脂肪酸(I)が直接植物において果たす役割については知られていない。
【0012】
本発明者はこのα−ケトール不飽和脂肪酸(I)が、広く植物における花芽誘導作用を有し、特に動物の神経伝達物質として知られているカテコールアミンであるノルエピネフリンとの共存下において、その作用を有することを見出した。
【0013】
A.まず、このα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の製造方法について説明する。
α−ケトール不飽和脂肪酸(I)は、▲1▼ウキクサ科植物の一種であるアオウキクサ(Lemna paucicostata) から抽出・精製して得る抽出法(以下、抽出法という)、▲2▼不飽和脂肪酸であるα−リノレン酸(一般名:cis−9,12,15−オクタデカトリエン酸)にリポキシゲナーゼ等の酵素を、植物体内における脂肪酸代謝経路に準じて作用させることにより得る方法(以下、酵素法という)、及び▲3▼通常公知の化学合成法を駆使することにより得る方法(以下、化学合成法という)の主に3通りの方法で製造することができる。
【0014】
▲1▼抽出法について
この抽出法における原材料となるアオウキクサ(Lemna paucicostata) は、池や水田の水面に浮遊する、水面に浮かぶ葉状体が各々1本の根を水中に下ろす小型の水草である。花は、葉状体の体側に形成され、1本の雄しべだけからなる雄花2個と1個の雌しべからなる雌花が、共通した小さな苞に包まれている。
【0015】
このアオウキクサは、比較的増殖速度が速く(すなわち、花成形成が速い。例えば、後述するアッセイ系において花芽誘導のチェック用に用いられたアオウキクサ151系はわずか7日間以下で花成を行う。)、また日長を変えることによって容易に花芽形成誘導を制御できる等の花芽形成に関連するアッセイ系として優れた性質を有している。
【0016】
このアオウキクサの破砕物をインキュベートしたものには、少なくともアオウキクサに対する花芽誘導活性が認められている。
そして、さらにこの破砕物に遠心分離(8000×g・10分間程度)を施し、得られた上清と沈澱物のうち、上清を除いたものをα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を含む画分として用いることができる。
このように、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)は、上記破砕物を出発物として単離・精製することが可能である。
【0017】
そして、さらに調製効率の上で好ましい出発物として、アオウキクサを浮かばせた又は浸漬した後の水溶液を挙げることができる。この水溶液は、アオウキクサが生育可能なものである限りにおいて特に限定されない。
この水溶液の調整の具体例は、後述する実施例において記載する。
【0018】
浸漬時間は、室温で2〜3時間程度でも可能であるが、特に限定されるべきものではない。
また、上記した方法でα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の出発物を調製する場合に、あらかじめアオウキクサにα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を誘導することができる特定のストレスを与えることが、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の製造効率上好ましい。
【0019】
具体的には、乾燥ストレス,熱ストレス,浸透圧ストレス等を前記特定のストレスとして挙げることができる。
乾燥ストレスは、例えば低湿度(好ましくは相対湿度で50%以下)で室温下、好ましくは24〜25℃程度で、アオウキクサを乾燥したフィルター紙上に広げた状態で放置することによって与えることができる。この場合の乾燥時間は、概ね20秒以上、好ましくは5分以上、より好ましくは15分以上である。
【0020】
熱ストレスは、例えば温水中にアオウキクサを浸漬することによって与えることができる。この場合の温水の温度は、40℃〜65℃で可能であり、好ましくは45℃〜60℃、より好ましくは50℃〜55℃である。また、温水に処理する時間は、概ね5分程度で足るが、比較的低温の場合、例えば40℃程度の温水中でアオウキクサを処理する場合は、2時間以上処理することが好ましい。また、上記熱ストレス処理後は、速やかにアオウキクサを冷水中に戻すことが好ましい。
【0021】
浸透圧ストレスは、例えば高濃度の糖溶液等の高浸透圧溶液にアオウキクサを接触させることにより与えることができる。この場合の糖濃度は、例えばマンニトール溶液であれば0.3M以上、好ましくは0.5M以上であることが好ましい。処理時間は、例えば0.5Mマンニトール溶液を用いる場合は1分以上、好ましくは3分以上である。
このようにして、所望するα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を含む出発物を調製することができる。
【0022】
なお、上記した種々の出発物の基となるアオウキクサの株は特に限定されないが、特に効率良く花芽誘導物質を生産する株(例えば、アオウキクサ441系)を用いることが好ましい。このようなアオウキクサの株は、通常の選抜方法を用いて確保することも可能であり、遺伝子工学的な手法を用いて確保することも可能である。
【0023】
次に、上記のように調製した出発物に以下のような分離・精製手段を施して、所望するα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を製造することができる。
なお、ここに示す分離手段は例示であり、これらの分離手段に上記出発物からα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を製造するための分離手段が限定されるものではない。
【0024】
まず、上記出発物に対して溶媒抽出を行い、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)を含有する成分を抽出することが好ましい。かかる溶媒抽出に用いる溶媒は特に限定されるものではなく、例えばクロロホルム,酢酸エチル,エーテル,ブタノール等を用いることができる。これらの溶媒の中でもクロロホルムは、比較的容易に不純物を除去することが可能であるという点において好ましい。
【0025】
この溶媒抽出で得られた油層画分を、通常公知の方法を用いて洗浄・濃縮し、ODS(オクタデシルシラン)カラム等の逆相分配カラムクロマトグラフィー用カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけて、花芽誘導活性画分を同定・単離することによりα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を単離することができる。
なお、出発物の性質等に応じて通常公知の他の分離手段、例えば限外濾過,ゲル濾過クロマトグラフィー等を組み合わせて用いることも勿論可能である。
【0026】
▲2▼酵素法について
この酵素法によるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の出発原料としては、α−リノレン酸を用いることができる。
このα−リノレン酸は、動物・植物等を通じて比較的豊富に含まれている不飽和脂肪酸であり、これらの動物・植物等から通常公知の方法を通じて抽出・精製したものを、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)を製造する際の出発原料として用いることも可能であり、市販品を用いることも勿論可能である。
【0027】
まず、この酵素法においては、α−リノレン酸を基質として、リポキシゲナーゼ(LOX)を作用させて、9位にヒドロペルオキシ基(−OOH)を導入する。
リポキシゲナーゼは、cis,cis−1,4−ペンタジエン構造を有する不飽和脂肪酸に、分子状酵素をヒドロペルオキシ基として導入する酸化還元酵素であり、動物,植物を問わず、さらにサッカロミセス属に属する酵母に代表される酵母においてもその存在が確認されている酵素である。
【0028】
例えば、植物であれば被子植物全般〔具体的には、後述する本発明花芽形成誘導剤を適用可能な双子葉植物及び単子葉植物全般〕において、その存在が確認されている酵素である。
これらの植物の中でも特にダイズ,アマの種,アルファルファ,大麦,ソラマメ,ハウチワマメ,ヒラマメ,エンドウマメ,ジャガイモの塊茎,小麦,リンゴ,パンイースト,綿,キュウリの根,スグリ,ブドウ,西洋ナシ,インゲンマメ,コメ胚,イチゴ,ヒマワリ,茶葉等がリポキシゲナーゼの出所としては好ましい。また、クロロフィルがリポキシゲナーゼの上記活性を阻害する傾向が強いために、可能な限り植物におけるクロロフィルが存在しない種子,根,果実等をリポキシゲナーゼの原料として選択することが好ましい。
【0029】
本発明においてリポキシゲナーゼは、α−リノレン酸の9位にヒドロペルオキシ基を導入することができるものであれば、その由来は特に限定されない。
なお、α−リノレン酸を基質として上記のリポキシゲナーゼ処理を行うに際しては、用いるリポキシゲナーゼの至適温度及び至適pHで酵素反応を進行させることが好ましいのは当然である。
【0030】
また、ここで用いられるリポキシゲナーゼは、通常公知の方法により、上記植物等から抽出・精製したものを用いることも、市販品を用いることも可能である。
このようにして、α−リノレン酸から、9−ヒドロペルオキシリノレン酸(9−ヒドロペルオキシ−10(),12(),15()−オクタデカジエン酸又は13−ヒドロペルオキシ−9(),11(),15()−オクタデカジエン酸)を調製する。
次いで、この9−ヒドロペルオキシリノレン酸を基質として、ヒドロペルオキシイソメラーゼを作用させることによって、所望するα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を製造することができる。
【0031】
ヒドロペルオキシイソメラーゼは、ヒドロペルオキシ基をエポキシ化を経てケトール体に変換する活性を有する酵素であり、前記リポキシゲナーゼと同様に植物,動物及び酵母においてその存在が考えられる酵素であり、植物であれば被子植物全般〔具体的には、後述する本発明花芽形成誘導剤を適用可能な双子葉植物及び単子葉植物全般〕において、存在していると考えられる酵素である。
なお、このヒドロペルオキシイソメラーゼは植物であれば、大麦,小麦,トウモロコシ,綿,ナス,アマの種,チシャ,エンバク,ホウレンソウ,ヒマワリ等においてその存在が認められている。
【0032】
本発明においてヒドロペルオキシイソメラーゼは、例えば9−ヒドロペルオキシリノレン酸の9位のヒドロペルオキシ基を脱水することによりエポキシ基を形成し、さらにOHの求核反応により、所望するα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を結果として得ることができる限りにおいて特に限定されるものではない。
ところで、9−ヒドロペルオキシリノレン酸を基質として上記のヒドロペルオキシイソメラーゼ処理を行うに際しては、用いるヒドロペルオキシイソメラーゼの至適温度及び至適pHで酵素反応を進行させることが好ましいのは当然である。
また、ここで用いられるヒドロペルオキシイソメラーゼは、通常公知の方法により、上記植物等から抽出・精製したものを用いることも、市販品を用いることも可能である。
【0033】
上記の2工程の酵素反応は、別々に行うことも、連続して行うことも可能である。さらに、上記酵素の粗精製品又は精製品を上記酵素反応を進行させるために用いて、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)を得ることが可能である。また、上記酵素を担体に固定して、これらの固定化酵素を調製してカラム処理又はバッチ処理等を基質に施すことによりα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を得ることができる。
【0034】
なお、エポキシ基を形成させた後のOHの求核反応(上記)によりα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を得ようとする場合に、その求核物の上記エポキシ基付近における作用形式によっては、α−ケトール不飽和脂肪酸の他に、副生物としてγ−ケトール化合物が生成することが知られている。
このγ−ケトール化合物等の副生物は、上記▲1▼の欄で述べたHPLC等の通常公知の分離手段を用いることにより、容易に除去することができる。
【0035】
▲3▼化学合成法について
上述のように、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)は、通常公知の化学合成法を駆使することにより製造することもできる。
例えば、その一端にアルデヒド基等の反応性基を有し、他端に保護基を結合させたカルボキシル末端を付加させた飽和炭素鎖を通常公知の方法により合成し、これとは別にcis2− ヘキセン−1− オール等の不飽和アルコール等を出発物質として,所望の位置に不飽和基を有する反応性末端を有する不飽和炭素鎖とを合成する。次いで、上記飽和炭化水素鎖とこの不飽和炭素鎖とを反応させて、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)を製造することができる。なお、この一連の反応において、反応を企図しない末端に付加する保護基や反応を促進するための触媒は、具体的な反応様式に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに具体的には、例えば以下のような手順でα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を合成することができる。
【0036】
i)α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の合成
Nonanedioic acid mono ethylesterを出発原料として、N,N’−carbonyldiimidazoleと反応させ、酸イミダゾリドとした後に、低温でLiAlH還元して,対応するアルデヒドを合成する。なお、上記出発物質を例えば1,9−Nonanediol等のジオールとして、同様のアルデヒドを合成することも可能である。
【0037】
これとは別に、cis2−hexen−1−ol をtriphenyl phosphine 及びcarbon tetrabromide と反応させ、得られた臭化化合物にtriphenyl phosphine を反応させ、さらにn−BuLiの存在下でchloroacetaldehydeと反応させることによりcis オレフィンを構築し、さらにこれにmethylthio methyl p−tosyl sulfone と反応後、NaH の存在下、上記のアルデヒドと反応させて誘導した2級アルコールをtert−buty l diphenylsilylcholorideで保護して、酸加水分解、次いで脱保護することにより、所望するα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を合成することができる。
この一連の工程の一例を下記工程図に示す。
【0038】
【化3】
Figure 0003569100
【0039】
一方、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)との組み合わせで所望する花芽形成誘導作用を発揮させるノルエピネフリンは、本発明において、通常公知の方法により合成したものを用いることもできるが、市販品を用いることも勿論可能である。
本発明では、天然型である(−)形ノルエピネフリンだけではなく、(+)形のノルエピネフリン、さらにはこれらの混合物をも用いることができる。
【0040】
B.このようにして製造される、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)並びにα−ケトール不飽和脂肪酸(I)及びノルエピネフリンを有効成分とする花芽形成誘導剤(以下、本発明花芽形成誘導剤という。)が提供される。
本発明花芽形成誘導剤のうち、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)のみを有効成分とするものは、少なくとも主に花芽形成を誘導させるために,ノルエピネフリン等の他の補助成分を与えることを必要としない植物において所望の花芽形成誘導作用を発揮させたり、植物の種類や状態に応じてこの形態の本発明花芽形成誘導剤とノルエピネフリン製剤等の他の補助成分製剤とを組み合わせて用いて所望の花芽形成誘導作用を発揮させることを図るものである。
【0041】
また、本発明花芽形成誘導剤のうち、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)及びノルエピネフリンを有効成分とする形態では、例えば植物において、最も本発明花芽形成誘導剤の花芽形成誘導作用が強い割合で、上記両者の有効成分を配合して使用の便宜を図り得る。
【0042】
本発明花芽形成誘導剤における、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)とノルエピネフリンとの配合割合は、上記の目的に応じ、さらに用いる植物の性質に応じて適宜調整され得るもので、特に限定されるものではない。例えば、アオウキクサ等のうきくさ科植物において、植物中のノルエピネフリンの存在等を考慮しない場合には、両者(α−ケトール不飽和脂肪酸(I)とノルエピネフリン)を等モル濃度で配合することが、より効果的に本発明の所期の効果が発揮され得るという点において好ましい。うきくさ科植物において、この両者を等モル濃度で配合しない場合には、配合量の少ない方の配合成分の濃度で両者を配合した場合と同程度の効果しか発揮されない傾向にある。
【0043】
また、本発明花芽形成誘導剤は、これを用いる対象の植物の性質に応じた処理を行いつつ投与することが効果的である場合が多い。例えば、後述する実施例のアサガオ等の短日植物の場合には、一定の暗処理を行ないながら本発明花芽形成誘導剤を用いることが効果的である。
【0044】
上記の有効成分はそのまま本発明花芽形成誘導剤として用いることも可能であるが、植物に適用可能な所望の剤形、例えば液剤,固形剤,粉剤,乳剤,底床添加剤等の剤形に応じて製剤学上適用することが可能な公知の担体成分、製剤用補助剤等を本発明の所期の効果である花芽形成誘導が損なわれない限度において、適宜配合することができる。例えば、担体成分としては、本発明花芽形成誘導剤が底床添加剤又は固形剤である場合には、概ねタルク,クレー,バーミキュライト,珪藻土,カオリン,炭酸カルシウム,水酸化カルシウム,白土,シリカゲル等の無機質や小麦粉,澱粉等の固体担体が;また液剤である場合には、概ね水、キシレン等の芳香族炭化水素類、エタノール,エチレングリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジオキサン,テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の液体担体が上記の担体成分として用いられる。また製剤用補助剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類,アルキルスルホン酸塩,アルキルアリールスルホン酸塩,ジアルキルスルホコハク酸塩等の陰イオン界面活性剤、高級脂肪族アミンの塩類等の陽イオン界面活性剤、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル,ポリオキシエチレングリコールアシルエステル,ポリオキシエチレングリコール多価アルコールアシルエステル,セルロース誘導体等の非イオン界面活性剤、ゼラチン,カゼイン,アラビアゴム等の増粘剤、増量剤、結合剤等を適宜配合することができる。
【0045】
さらに必要に応じて、植物生長調節剤、例えば安息香酸,ニコチン酸,ニコチン酸アミド,ピペコリン酸等を、上記の本発明の所期の効果を損なわない限度において、本発明花芽形成誘導剤中に配合することもできる。
上記本発明花芽形成誘導剤は、その剤形に応じた方法で種々の植物に用いられる。例えば、本発明においては、開花を図る植物の生長点のみならず、茎,葉をはじめとする植物体の一部又は全体に,液剤や乳剤として散布,滴下,塗布等することや、固形剤や粉剤として地中から根に吸収させること等が可能である。また、開花を図る植物がウキクサ等の水草の場合には、底床添加剤として根から吸収させたり、固形剤を水中で除々に溶解させること等も可能である。
【0046】
なお、本発明においては、上記の有効成分であるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)、並びにα−ケトール不飽和脂肪酸(I)及びノルエピネフリンを含有するキットの形態をとる花芽形成誘導用キットをも提供するものであるが、この本発明花芽形成誘導用キットの目的及び効果は上記の本発明花芽形成誘導剤と同様である。
また、本発明花芽形成誘導剤及び本発明花芽形成誘導用キットを適用可能な植物の種類は特に限定されず、双子葉植物、単子葉植物の両者に対して本発明花芽形成誘導剤は有効である。
【0047】
双子葉植物としては、例えばアサガオ属植物(アサガオ),ヒルガオ属植物(ヒルガオ,コヒルガオ,ハマヒルガオ),サツマイモ属植物(グンバイヒルガオ,サツマイモ),ネナシカズラ属植物(ネナシカズラ,マメダオシ)が含まれるひるがお科植物、ナデシコ属植物(カーネーション等),ハコベ属植物,タカネツメクサ属植物,ミミナグサ属植物,ツメクサ属植物,ノミノツヅリ属植物,オオヤマフスマ属植物,ワチガイソウ属植物,ハマハコベ属植物,オオツメクサ属植物,シオツメクサ属植物,マンテマ属植物,センノウ属植物,フシグロ属植物,ナンバンハコベ属植物が含まれるなでしこ科植物、もくまもう科植物、どくだみ科植物、こしょう科植物、せんりょう科植物、やなぎ科植物、やまもも科植物、くるみ科植物、かばのき科植物、ぶな科植物、にれ科植物、くわ科植物、いらくさ科植物、かわごけそう科植物、やまもがし科植物、ぼろぼろのき科植物、びゃくだん科植物、やどりぎ科植物、うまのすずくさ科植物、やっこそう科植物、つちとりもち科植物、たで科植物、あかざ科植物、ひゆ科植物、おしろいばな科植物、やまとぐさ科植物、やまごぼう科植物、つるな科植物、すべりひゆ科植物、もくれん科植物、やまぐるま科植物、かつら科植物、すいれん科植物、まつも科植物、きんぽうげ科植物、あけび科植物、めぎ科植物、つづらふじ科植物、ろうばい科植物、くすのき科植物、けし科植物、ふうちょうそう科植物、あぶらな科植物、もうせんごけ科植物、うつぼかずら科植物、べんけいそう科植物、ゆきのした科植物、とべら科植物、まんさく科植物、すずかけのき科植物、ばら科植物、まめ科植物、かたばみ科植物、ふうろそう科植物、あま科植物、はまびし科植物、みかん科植物、にがき科植物、せんだん科植物、ひめはぎ科植物、とうだいぐさ科植物、あわごけ科植物、つげ科植物、がんこうらん科植物、どくうつぎ科植物、うるし科植物、もちのき科植物、にしきぎ科植物、みつばうつぎ科植物、くろたきかずら科植物、かえで科植物、とちのき科植物、むくろじ科植物、あわぶき科植物、つりふねそう科植物、くろうめもどき科植物、ぶどう科植物、ほるとのき科植物、しなのき科植物、あおい科植物、あおぎり科植物、さるなし科植物、つばき科植物、おとぎりそう科植物、みぞはこべ科植物、ぎょりゅう科植物、すみれ科植物、いいぎり科植物、きぶし科植物、とけいそう科植物、しゅうかいどう科植物、さぼてん科植物、じんちょうげ科植物、ぐみ科植物、みそはぎ科植物、ざくろ科植物、ひるぎ科植物、うりのき科植物、のぼたん科植物、ひし科植物、あかばな科植物、ありのとうぐさ科植物、すぎなも科植物、うこぎ科植物、せり科植物、みずき科植物、いわうめ科植物、りょうぶ科植物、いちやくそう科植物、つつじ科植物、やぶこうじ科植物、さくらそう科植物、いそまつ科植物、かきのき科植物、はいのき科植物、えごのき科植物、もくせい科植物、ふじうつぎ科植物、りんどう科植物、きょうちくとう科植物、ががいも科植物、はなしのぶ科植物、むらさき科植物、くまつづら科植物、しそ科植物、なす科植物、ごまのはぐさ科植物、のうぜんかずら科植物、ごま科植物、はまうつぼ科植物、いわたばこ科植物、たぬきも科植物、きつねのまご科植物、はまじんちょう科植物、はえどくそう科植物、おおばこ科植物、あかね科植物、すいかずら科植物、れんぷくそう科植物、おみなえし科植物、まつむしそう科植物、うり科植物、ききょう科植物、きく科植物等を例示することができる。
【0048】
単子葉植物としては、例えばウキクサ属植物(ウキクサ)及びアオウキクサ属植物(アオウキクサ,ヒンジモ)が含まれる,うきくさ科植物、カトレア属植物,シンビジウム属植物,デンドロビューム属植物,ファレノプシス属植物,バンダ属植物,パフィオペディラム属植物,オンシジウム属植物等が含まれる,らん科植物、がま科植物、みくり科植物、ひるむしろ科植物、いばらも科植物、ほろむいそう科植物、おもだか科植物、とちかがみ科植物、ほんごうそう科植物、いね科植物、かやつりぐさ科植物、やし科植物、さといも科植物、ほしぐさ科植物、つゆくさ科植物、みずあおい科植物、いぐさ科植物、びゃくぶ科植物、ゆり科植物、ひがんばな科植物、やまのいも科植物、あやめ科植物、ばしょう科植物、しょうが科植物、かんな科植物、ひなのしゃくじょう科植物等を例示することができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例等により、本発明をより具体的に説明する。ただし、これらの実施例等により、本発明の技術的範囲が限定されるべきものではない。
〔製造例〕
短日処理を行って花芽形成を1回のみ行ったアオウキクサ(Lemna paucicostata) の441系統(以下、「P441」という。本発明者の一人である京都大学農学部 瀧本 敦 名誉教授より入手、以後、必要に応じて分譲する用意あり)を、24〜25℃で昼光色蛍光灯で継続的に照射を行ないながら(Hitachi FL20 SSDで植物に対して約5W/mの割合で照射)1%のショ糖を含む1/2希釈のハトナー培地〔Hutner’s medium: Hutner 1953;なお、ハトナー培地(希釈なし)の組成は、KHPO(400mg),NHNO(200mg),EDTA・2K(690mg),Ca(NO・4HO(354mg),MgSO・7HO(500mg),FeSO・7HO(24.9mg),MnCl・4HO(17.9mg),ZnSO・7HO(65.9mg),CaSO・5HO(3.95mg),NaMoO・2HO(14.2mg),HBO(14.2mg),Co(Mo・6HO(0.2mg) /1000ml蒸留水(pH6.2 〜6.4)である。)中で、無菌的に培養して継代保存した。
【0050】
次に、このP441の培養物を、蒸留水で洗浄してから、2μM のFe−EDTAを含む1/10希釈のE培地〔Cleland and Briggs 1967 ;なお、1/10E培地の組成は、Ca(NO・4HO(118mg),MgSO・7HO(49.2mg),KHPO(68.0mg),KNO(115mg),FeCl・6HO(0.54mg),tertarate(0.30mg),HBO(0.29mg),ZnSO・7HO(0.022mg),NaMoO・2HO(0.013mg),CuSO・5HO(0.008mg),MnCl・4HO(0.36mg),EDTA−2K(1.21mg),EDTA・NaFe(III)salt(0.77mg) /1000ml蒸留水である。〕中に移植して、これを非無菌的に6〜12日間24〜25℃で継続的に光照射(約5W/m)を行 いながら培養した。
【0051】
このようにして調製したP441の培養物を、乾燥したフィルター紙上に広げた状態で、低湿度(相対湿度で50%以下)で24〜25℃程度で15分間放置して、乾燥ストレスをかけた。
この乾燥ストレス処理済みのP441(75g)を、1.5l の蒸留水中に24〜25℃で2時間浸漬させた。
【0052】
次いで、このP441を上記浸漬液中から除き、上記浸漬液にクロロホルム1.5l を3回に分けて添加して分液を行った。得られたクロロホルム層を水洗し、これに酢酸を0.1ml添加し、これをエバポレーターでドライアップした。この残渣に500μl の特級メタノール原液を加えてエバポレーター中の残留物を溶解させた。
【0053】
次いで、上記メタノール溶液を高速液体クロマトグラフィー〔column:ODS(オクタデシルシラン)カラム(Φ10×250mm、CAPCELLPAK C18:株式会社資生堂製)、Solv. :50%蒸留水(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)及び50%アセトニトリル(0.085%トリフルオロ酢酸を含む)を移動相として、流量4.00(ml/分)で、活性画分(活性は、後述する試験例に準じた方法で求めた。)を溶出時間15分付近において分取した。
さらにこの分取した活性画分に酢酸エチルを添加し、酢酸エチル相を分離して水洗し、エバポレーターを用いてこの酢酸エチルをドライアップして、所望する精製物を乾固物として約1mg得た。
【0054】
この乾固物の構造を決定するために、13C−NMRで化学シフト値を求めた(重メタノールと重酢酸を各1滴ずつ混合したものに、上記乾固物を溶解させて測定サンプルとした)。
【0055】
その結果、この化学シフト値及びこの化学シフト値から決定付けられる化学構造式は以下のように決定付けられた。
1:178.47(s),2:35.71(t),3:26.82(t),4:31.11(t),5:26.92(t),6:35.36(t),7:78.61(d),8:213.78(s),9:38.38(t),10:122.95(d),11:133.45(d),12:27.46(t),13:128.38(d),14:134.55(d),15:22.28(t),16:15.39(q)(チャートは第1図参照。なお、これらの化学シフト値の頭付きの数字は、下記化学構造式の炭素原子を示す丸付き数字の番号にそれぞれ対応する。)。
*は帰属不明であることを示している。
【0056】
【化4】
Figure 0003569100
この結果、明らかに乾固物は、確かに精製された所望されているα−ケトール不飽和脂肪酸(I)であることが明らかになった。
【0057】
〔試験例1〕 α−ケトール不飽和脂肪酸(I)のアオウキクサに対する花芽形成誘導作用の検討
上記製造例において得られたα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用を、アオウキクサのP151系統(以下、「P151」という。本発明者の一人である京都大学農学部 瀧本 敦 名誉教授より入手、以後、必要に応じて分譲する用意あり)をモデル植物として、その花成率(%)(花成が認められた葉状体数/全体の葉状体数×100)で検討した。
【0058】
すなわち、まず上記のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)0.155mgを0.15mlの水に溶解して、そこに10mMのノルエピネフリン50μl と0.5M のトリスバッファー(pH8.0)25μl を加えた。その溶液を25℃で6時間インキュベートした。
次に、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)とノルエピネフリンの濃度を第1表に示した濃度となるように、上の条件でインキュベートした溶液を、30mlフラスコ中のアッセイ培地(1/10E培地+1μm ベンジルアデニン,シュークロースは添加せず)10ml中に添加した。
【0059】
【表1】
Figure 0003569100
【0060】
これらのα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を、各濃度添加したアッセイ培地上に、P151のコロニーを1つ植えつけて、24〜25℃で昼光色蛍光灯で継続的に照射を行ないながら(Hitachi FL20 SSDで植物に対して約5W/mの割合で照射)7日間培養して、上記花成率を求めた(第2表)。
なお、同一の系における試験は、それぞれ3フラスコで行い、かつ最低2回同一の系の試験を行った。第2表に示した結果は、それぞれの試験の平均値±SE(標準誤差)である。
【0061】
【表2】
Figure 0003569100
【0062】
これらの結果より、ほぼ濃度依存的に花芽形成誘導活性が増加し、中でもα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の含量がノルエピネフリンと等モル濃度か、それ以上に高いC及びF実験群では、ノルエピネフリンが30nMという極低濃度でも花芽形成誘導活性があらわれることが明らかになった。
すなわち、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の含量がノルエピネフリンと等モル濃度である場合において、所望するアオウキクサにおける花芽形成誘導活性が最も効率的に発揮されることが明らかになった。
【0063】
このように、上記濃度でα−ケトール不飽和脂肪酸(I)とノルエピネフリンとを組み合わせて投与することによる、アオウキクサにおける花芽形成誘導活性が認められた。
なお、後述するように、アオウキクサと全く異なる系統の双子葉植物であるアサガオにおいても、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)等による花芽形成誘導活性が認められることから、ウキクサ属植物及びアオウキクサ属植物を含むうきくさ科植物において花芽形成誘導活性が認められることは明らかである。
【0064】
〔試験例2〕 α−ケトール不飽和脂肪酸(I)のアサガオに対する花芽形成誘導作用の検討
9g のアサガオ(品種名:ムラサキ)の種子に濃硫酸処理を20分間施し、その後流水下で一晩放置した。次いで、種子のへその部分を上にして、湿った海砂上に24時間置いて、発根させた。これらの発根した種子を海砂中に、1.5〜2.0cm程度の深さに植え、連続光下で培養した(5日間程度)。
【0065】
この培養により開葉したアサガオの全植物体を、培養液〔KNO(250mg),NHNO(250mg),KHPO(250mg),MgSO・7HO(250mg),MnSO・4HO(1mg),Fe−citrate n−hydrate(6mg),HBO(2mg),CuSO・5HO(0.1mg),ZeSO・7HO(0.2mg),NaMoO・2HO(0.2mg),Ca(HPO・2HO(250mg) /1000ml蒸留水〕に移した。
この培養系に上記製造例において得たα−ケトール不飽和脂肪酸(I)等の被験水溶液を木綿糸を用いて、直接アサガオの導管に投与しながら暗処理を行い、その後28℃で16日間連続光で育成し、16日目の花芽の数を実体顕微鏡で観察確認した。
【0066】
暗処理は、1晩(16時間の暗処理)又は2晩(16時間の暗処理+8時間の明処理+16時間の暗処理)を行った。
1晩処理を行った結果を第2図に示す。また、2晩処理を行った結果を第3図に示す。
両図において、対照群は蒸留水を投与した群であり、1μM (αI),10μM (αI),100μM (αI)は、それぞれの濃度のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を投与した群であり、NE+αIは、ノルエピネフリン10μM を試験例1に記載した方法で乾燥ストレスをかけたアオウキクサのP441系統の浸漬水とインキュベーションしたものである。
【0067】
第2図に示した1晩暗処理群では対照群との比較において、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽誘導活性が認められたが、それ以上にノルエピネフリンと組み合わせて投与した群に強い花芽誘導活性が認められた。
これに対して、第3図に示した2晩暗処理群では、対照群や投与した薬剤の濃度の違いについて着目すると、平均花芽数が濃度依存的に増加し、少なくとも花芽誘導活性を増強していることが認められた。
このようにして、アサガオにおけるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)等の花芽誘導活性が認められた。
【0068】
〔試験例3〕 アサガオにおけるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討(2)
上記試験例の結果をさらに多くの対象(50個体)で検討して、アサガオにおけるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の効果についてさらに検討した。
すなわち前記試験例2におけるアサガオ(品種名:ムラサキ)の培養系において、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の被験水溶液(1.0μM ,10.0μM ,100.0μM 水溶液)を木綿糸を用いて、直接アサガオの導管に投与しながら暗処理を行い、その後28℃で16日間連続光で育成し、16日目の花芽の数を実体顕微鏡で観察確認した。なお、暗処理は1晩(16時間の暗処理)を行った。
【0069】
その結果を第4図に示す。
第4図において、対照群は蒸留水を投与した群であり、1μM ,10μM ,100μM は、それぞれの濃度のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を投与した群である。
第4図において明らかなように、少なくとも1.0μM のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)水溶液を投与することでアサガオの花芽形成が促進され、少なくとも10.0μM のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)水溶液の投与に至るまで、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の濃度に依存して、その花芽形成誘導作用が向上することが認められた。また、100.0μM のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)水溶液の投与した群においては、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の量が過剰であるために、かえって所望する花芽形成誘導作用が阻害される傾向にあることが示唆された。
【0070】
〔試験例4〕アサガオにおけるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討(3)
本試験例では、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の投与による花芽形成誘導作用が、暗処理時間によってどのように変化するかを検討した。
本試験例の試験系は、個体数を除いて上記試験例3と同様の試験系を用いた。
ただし、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の被験水溶液における濃度は、10.0μM に統一した。
また、暗処理は1晩(14時間,16時間,18時間)行って、対照群と試験群における暗処理時間の花芽形成に対する影響を調べた。
【0071】
その結果を第5図に示す。
第5図において、nは試験に用いた個体数を示す。また、横軸はそれぞれの暗処理の時間である。
第5図において明らかなように、1晩の暗処理群では少なくとも暗処理時間が18時間以内では暗処理時間の長さに対応して花芽形成が対照群,試験群共に促進されることが明らかになり、いずれの暗処理群においてもα−ケトール不飽和脂肪酸(I)は、アサガオに対して花芽形成誘導作用を有することが明らかになった。
【0072】
〔試験例5〕 アサガオにおけるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討(4)
前記試験例2に挙げた方法と同様の方法で発芽させたアサガオ(品種名:ムラサキ)を準備した。
α−ケトール不飽和脂肪酸(I)濃度が、1.0μM ,10.0μM 及び50.0μM の水溶液をそれぞれ調製した。
これらのα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の水溶液を、暗処理をする直前と暗処理後10日間毎日、スプレーで双葉の表裏に吹きかけた。
14日後の花芽の数(それぞれの群における32個体の平均)を求めた。
【0073】
その結果を第6図に示す。
第6図において明らかなように、少なくとも1.0μM のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)水溶液を噴霧することでアサガオの花芽形成が促進され、その後α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の用量に依存して花芽形成誘導作用のほぼ最大限が発揮されることが明らかになった。
【0074】
〔試験例6〕 ラン科植物におけるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討(1)
デンドロビューム ハイブリダム レッドスター(Dendrobium hybridum Hort.,Redstar)の鉢植え20鉢に、4月から7月にかけて油かす及び液体肥料(ハイポネクス)を適時に与えながら栽培した。施肥中止後、これらの株を実験区と対照区とに分けて、実験区の株には月曜日から金曜日の間(8月から12月末まで)の毎日,毎回50μM のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の水溶液を、スプレーで株全体に散布して栽培を継続した。なお対照区の株には、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の水溶液の代わりに水を同様に散布した。
翌年から、開花時期と開花数を実験区及び対照区で、各々10鉢について観察した。
なお、本試験例において用いたデンドロビュームは、温室に置き,冬期でも最低温度が10℃より低くならないように管理した。
その結果を下記第3表に示す。
【0075】
【表3】
Figure 0003569100
【0076】
この結果より、明らかにα−ケトール不飽和脂肪酸(I)水溶液の噴霧により、デンドロビュームの花芽形成が開花数においても,時期的にも促進されることが明らかになった。
【0077】
〔試験例7〕 ラン科植物におけるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討(2)
シンビジューム ハイブリダム ラズベリーミルフィーユ(Cymbidium hybridum Hort.,Rasberry Mille−feuille’)の鉢植え20鉢に、4月から8月にかけて油かす及び液体肥料(ハイポネクス)を適時に与えながら栽培した。施肥中止後、これらの株を実験区と対照区とに分けて、実験区の株には月曜日から金曜日の間(9月から11月末まで)の毎日,毎回50μM のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の水溶液を、7月から月曜日から金曜日の間,毎日50μM のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の水溶液を、スプレーで株全体に散布した。
翌年から、開花時期と開花数を実験区及びα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の水溶液の替わりに水を散布した対照区で、各々10鉢について観察した。
本試験例において用いたシンビジュームは、温室に置き,冬期でも最低温度が10℃より低くならないように管理した。
その結果を下記第4表に示す。
【0078】
【表4】
Figure 0003569100
【0079】
この結果より、明らかにα−ケトール不飽和脂肪酸(I)水溶液の噴霧により、シンビジュームの花芽形成が開花数においても,時期的にも促進されることが明らかになった。
【0080】
〔試験例8〕 カーネーションにおけるα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用の検討
カーネーション(Dianthus caryophyllus L.)の種を9月に蒔き、その翌年の3月に植え代えた。植え代えた後、月曜日から金曜日の間,毎日50μM のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の水溶液を、スプレーで株全体に散布した。
その年の7月に、カーネーションの開花数を、実験区及びα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の水溶液の替わりに水を散布した対照区において、各々100株について計数した。
その結果、実験区における1株当りの開花数の相対値は、対照区を100として、142であった。
【0081】
この結果より、明らかにα−ケトール不飽和脂肪酸(I)水溶液の噴霧により、カーネーションの花芽形成が、その開花数において促進されることが明らかになった。
【0082】
上記試験例の結果より、少なくとも双子葉植物であるアサガオ等のアサガオ属植物が含まれる,ひるがお科植物及びカーネーション等のナデシコ属植物が含まれる,なでしこ科植物、並びに単子葉植物であるデンドロビューム属植物,シンビジューム属植物等が含まれる,らん科植物、ウキクサ属植物(ウキクサ),アオウキクサ属植物(アオウキクサ,ヒンジモ)が含まれる,うきくさ科植物において、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)等による花芽形成誘導活性が認められることが明らかになった。
また、このように双子葉植物及び単子葉植物間で、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽形成作用が明らかに認められたことから、α−ケトール不飽和脂肪酸(I)は、植物の科間,属間乃至種間を超えて、広く植物全般において花芽形成誘導活性を発揮し得ることは、明らかである。
【0083】
【発明の効果】
本発明により、植物の花芽形成に直接作用する花芽形成誘導剤及び花芽形成誘導用キットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】α−ケトール不飽和脂肪酸(I)を示す13C−NMRのチャート図面である。
【図2】1晩の暗処理を行った場合のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を導管投与した場合のアサガオに対する花芽形成誘導作用を検討した図面である。
【図3】2晩の暗処理を行った場合のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を導管投与した場合のアサガオに対する花芽形成誘導作用を検討した図面である。
【図4】1晩の暗処理を行った場合のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を導管投与した場合のアサガオに対する花芽形成誘導作用を個体数を増やして検討した図面である。
【図5】暗処理の長さとα−ケトール不飽和脂肪酸(I)の花芽形成誘導作用との関係を検討した図面である。
【図6】2晩の暗処理を行った場合のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を散布投与した場合のアサガオに対する花芽形成誘導作用を検討した図面である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0003569100
    で表されるα−ケトール不飽和脂肪酸を有効成分として含有する花芽形成誘導剤。
  2. 請求項1記載のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)及びノルエピネフリンを有効成分として含有する花芽形成誘導剤。
  3. 請求項1記載のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)を含有する花芽形成誘導用キット。
  4. 請求項1記載のα−ケトール不飽和脂肪酸(I)及びノルエピネフリンを含有する花芽形成誘導用キット。
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