JP2008007462A - タデを用いたルテインの調製方法、およびタデの生育方法 - Google Patents
タデを用いたルテインの調製方法、およびタデの生育方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 ルテインの含有量が豊富なタデ、特に窒素肥料の施肥量を、窒素として10g/m2 以上の環境下でタデを生育させて得たルテインの含有量が豊富なタデ、を抽出原料とし、アセトンやエタノールなどの有機溶媒を用いて、ルテインを抽出する。
【選択図】 図2
Description
このルテインは、人間の体内器官や皮膚にも存在し、特に乳房や子宮頚部に多く存在することが知られ、眼の水晶体と黄斑部には、カロチノイドとしては、ルテインとゼアキサンチンが存在するだけで、これらの部位の機能を正常に働かせるためには、重要な成分であるとされている。
また、ルテインとゼアキサンチンの摂取による、核性白内障に対する防御作用が示唆されている(Lyle BJら(1999)、Am.J.Epidemiol 149:801−9)。
それらの野菜に含まれるルテインは、生野菜100g当たり、ケール21.9mg、ほうれん草10.2mg、ブロッコリー1.9mgなどである(Mangelsら、1993)。
たとえば、特表平11−508603号公報(特許文献1)には、マリーゴールドの花弁から得た含油樹脂中のルテインジエステルを、鹸化することによりルテイン結晶を製造する方法が提案されている。
その方法は、クロレラを微粉化したのち鹸化し、ついで、溶媒を用いて含有成分を抽出し、順相カラムクロマトグラフィーで処理してルテインを取得するというものである。
その結果、福岡県の特産農産物である紅タデおよび紅タデを成長させた植物体に、加齢性黄斑変成症に効果のあるルテインが、野菜より多量に含まれていることを知見し、この発明を完成させたものである。
有機溶媒を用いて、ルテインをタデから抽出すること
を特徴とするルテインの調製方法である。
請求項1に記載のルテインの調製方法において、
前記有機溶媒が、
ケトンまたはアルコールであること
を特徴とするものである。
請求項1に記載のルテインの調製方法において、
前記有機溶媒が、
アセトンまたはエタノールであること
を特徴とするものである。
請求項1に記載のルテインの調製方法において、
前記抽出が、
ケトンにより抽出した成分を、アルコールにより成分分離することにより行われるものであること
を特徴とするものである。
請求項1に記載のルテインの調製方法において、
前記タデが、
酢酸浸漬処理の施されたものであること
を特徴とするものである。
請求項1に記載のルテインの調製方法において、
前記タデが、
生育体であること
を特徴とするものである。
請求項6に記載のルテインの調製方法において、
前記タデの生育体が、
窒素肥料の施肥量を多くして生育したことにより、生育体中のルテイン含量が増大したものであること
を特徴とするものである。
窒素肥料の施肥量を多くすることによって、生育体中のルテイン含量を増加させること
を特徴とするタデの生育方法である。
請求項8に記載のタデの生育方法において、
前記窒素肥料の施肥量が、
窒素として10g/m2 以上であること
を特徴とするものである。
このタデは、タデ科タデ属の植物として、北海道から沖縄にわたる日本全土、台湾や中国を含む北半球の温帯から熱帯にかけて広く分布する、河川、沼地などの水辺に生える一年草である。
特に、ヤナギタデに関しては、栽培品種も開発され、上記したように、発芽した子葉を「芽タデ」と称して刺身のツマ用に、さらにタデ酢に摩り下ろして香辛料として添加されるために栽培出荷されている。
また、河川、沼地などの水辺に自生しているものも使用可能であるが、供給の安定性の面からは、栽培したものが好ましい。
特に、栽培に際して、窒素肥料の施肥量を多くして生育させたものは、その生育体中のルテインの含有量が著しく増加するので、この発明のルテインの調製方法にとり好ましいものである。
特に、タデをアセトンによる抽出をまず行い、さらに、それをエタノールにより分別する方法を採用すると、目的とするルテインが、効率よく、また高純度で、得られるので好ましい方法である。
凍結保存された生長タデ葉2kgを、温度38〜50℃で通風乾燥し、粉砕し、篩い分けして、タデ葉粉末乾燥品442.8gを得た。
このタデ葉粉末を95%酢酸450ml中に投入し、攪拌しながら水1800mlを加え、攪拌したのち、混合品を冷房室に3.7日間放置した。
これに水4l加え、40分間攪拌した後、遠心分離し濾過した。
濾液を分離して得られた残渣に、水3.5l加えて攪拌濾過し、得られた残渣を超音波処理により50%エタノールに分散させ攪拌後遠心濾過した。
その残渣を、超音波処理により80%エタノールに分散させ攪拌後遠心濾過し、得られた濾液と残渣に、再度80%エタノールを加え攪拌濾過して得られた濾液を併せて、減圧濃縮することにより沈着物を得、イオン水で洗浄して、ルテインを10.067%含む画分を17.02g得た。
得られた画分の吸収スペクトル(図1)と、HPLCパターン(図2)を以下に示す。
なお、得られたルテイン総量は1.713gで、乾燥葉からの収率は0.387%であった。
凍結保存の生長タデ葉1kgを、温度50℃で約5時間したのち、温度37℃で一夜通風乾燥した。
手もみで、葉枝を除去した後、ホモゲナイザーで粉砕し、タデ葉粉末205gを得た。
このタデ葉粉末を90%酢酸200ml中に投入し、水400mlを加え、50分間攪拌した。その後、さらに水400mlを加え、冷蔵室に22時間放置した。
これにアセトン1l加え30分間攪拌した後、遠心分離し濾過した。
この濾液と残渣に、アセトン1.5l加えて攪拌濾過したのち、得た濾液を合せて減圧濃縮し、15.44gの沈着物を得た。
この沈着物を、超音波処理により80%エタノールに溶解し、再度減圧濃縮することにより、析出させ、イオン水で洗浄して、ルテインを14.04%含む画分を7.93g得た。
得られた画分の吸収スペクトル(図3)と、HPLCパターン(図4)を以下に示す。
なお、得られたルテイン総量は1.113gで、乾燥葉からの収率は0.543%であった。
ルテインの調製2の方法を用い、マリーゴールド(花)からルテインの抽出を行った結果を、図5および図6のHPLCパターンに示す。
その結果、タデからはルテインは抽出されるが(図5)、マリーゴールド(花)からのルテインの抽出は殆んど認められなかった(図6)。
2004年5月11日に雨よけハウスを用いてタデを播種し、播種後9日、21日、49日、79日、112日に相当する、5月20日、6月1日、6月29日、7月29日、8月30日に一部を収穫し、それぞれの葉について、ルテイン含量を測定し、図7に示した。
図7から明らかなように、播種後の生育日数が多い(収穫日が遅い)と、ルテイン含量は増加した。
なお、生育試験条件は、1区1m2 、株間10cm、条間50cm、2条播き、1本立てで、肥料としては堆肥(2t/10a)のみ投入した。
上記と同様に雨よけハウスを用いてタデを、5月11日、5月25日、6月8日、6月22日、7月6日、7月20日、8月3日、8月17日、8月31日に播種し、それぞれ播種後9日、23日、37日、51日、65日、79日、93日、107日、121日に相当する、9月9日に一斉に収穫し、それぞれの葉について、ルテイン含量を測定し、図8に示した。
図7と図8から明らかなように、播種時期が早く生育日数が多いほど、ルテイン含量が増加するが、播種後93日以降は一定であった。
露地栽培にした以外は上記と同様にして、5月20日に播種して、肥料を以下のようにして施肥し、7月6日に収穫し、それぞれの葉について、ルテイン含量を測定し、図9に示した。
1:堆肥のみ(施肥窒素量:10Ng/m2 )
2:堆肥+有機配合肥料(施肥窒素量:14.8Ng/m2 )
3:堆肥+有機配合肥料+硫安(施肥窒素量:27.4Ng/m2 )
図8から明らかなように、同一生育時期では、窒素施肥量が多いほどルテイン含量が増加した。
Claims (9)
- 有機溶媒を用いて、ルテインをタデから抽出すること
を特徴とするルテインの調製方法。 - 前記有機溶媒が、
ケトンまたはアルコールであること
を特徴とする請求項1に記載のルテインの調製方法。 - 前記有機溶媒が、
アセトンまたはエタノールであること
を特徴とする請求項1に記載のルテインの調製方法。 - 前記抽出が、
ケトンにより抽出した成分を、アルコールにより成分分離することにより行われるものであること
を特徴とする請求項1に記載のルテインの調製方法。 - 前記タデが、
酢酸浸漬処理の施されたものであること
を特徴とする請求項1に記載のルテインの調製方法。 - 前記タデが、
生育体であること
を特徴とする請求項1に記載のルテインの調製方法。 - 前記タデの生育体が、
窒素肥料の施肥量を多くして生育したことにより、生育体中のルテイン含量が増大したものであること
を特徴とする請求項6に記載のルテインの調製方法。 - 窒素肥料の施肥量を多くすることによって、生育体中のルテイン含量を増加させること
を特徴とするタデの生育方法。 - 前記窒素肥料の施肥量が、
窒素として10g/m2 以上であること
を特徴とする請求項8に記載のタデの生育方法。
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