JP4177320B2 - 新規物質のα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体及びそれを利用する植物成長調整剤 - Google Patents

新規物質のα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体及びそれを利用する植物成長調整剤 Download PDF

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Description

本発明は、新規物質のα-ケトール不飽和脂肪酸誘導体、及びその化合物の有する性質を利用する植物成長調整剤に関する。
より詳しくは、本発明は、新規物質であるα-ケトール不飽和脂肪酸誘導体、並びにそれを含有する植物花芽形成促進剤、植物賦活剤及びそれらを包括する用途である植物成長調整剤に関するものであり、特に好適には植物花芽形成促進剤に関するものである。
[先行技術文献]
特開平9−295908号公報 特開平11−29410号公報 特開2002−226309 Yokoyama et al., Plant Cell Physiol., 41,110-113,2000
植物成長調整、特に植物の花芽形成を促進する技術を開発することは、穀物植物や園芸植物の供給効率を向上させる上で、非常に重要な事項である。
植物の花芽形成を決める因子としては、日長、低温、植物の老化などが知られている。
その植物において日長に感応する部分は葉身であり、花芽形成は生長点で起こり、葉身から葉柄や茎を通って生長点に何らかのシグナルが送られて、この花芽形成が開始することが突き止められている。
このシグナルは一般にフロリゲンと呼ばれており、これを分離・同定することができれば、日長に関わらず植物の開花時期を人為的に調節することが可能となり、植物が関わる多くの分野において多大な影響を与え得ることは明らかである。
そのため、昔から植物の花芽形成過程のメカニズムをより明らかにすることにより、開花時期を人為的に調節する試みがなされてきた。
例えば、植物の生長ホルモンの一つであるジベレリンを施すと、いくつかの植物で花芽形成が起きやすくなることが知られている。
また、パインアップルでは合成オーキシンの一つであるα−ナフタレン酢酸を施すと開花が起こることが突き止められ、実際に産業上利用されている。
前記のとおりではあるものの、これらの植物ホルモンは、その効果が限定されており、更なる開花手法の進歩、具体的には花芽形成に直接関わる物質を分離・同定し、その物質による開花手法の確立が望まれている。
そのようなことから、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、式(2A)の特定構造を有するα−ケトール不飽和脂肪酸が、単独で又はカテコールアミンの一種であるノルエピネフリンと組み合わせて作用させること等によって、広範な植物に対して所望する花芽形成誘導作用を活性化することを見出した(特許文献1、特許文献2)。
また、その後、更に検討を進め、上記α−ケトール不飽和脂肪酸のカルボキシル基にアミノ酸をアミド結合させたα−ケトール不飽和脂肪酸アミドが、より低濃度で同様の活性を有していることを見つけた(特許文献3)。
Figure 0004177320
しかしながら、そのα−ケトール不飽和脂肪酸アミドの製造コストや植物体に与える量を低減することを勘案すると、更に低濃度で同様の効果を示す化合物が望まれる。
また、式(2A)のα−ケトール不飽和脂肪酸及び前記α−ケトール不飽和脂肪酸アミドは、分解し易く、より安定性に優れた植物花芽形成促進及び植物賦活等の植物成長調整性能を有する物質の開発が望まれた。
そこで、本発明者らは、上記課題の解決を目的として研究開発を行い、その結果、驚くべきことにαケトール及びオレフィン構造を持つと共に、それ以外に隣接した2つの炭素にOH基が存在するジオール構造、すなわち隣接ジオール構造を持った特定構造の新規物質であり、一般式(1)で表されるα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)を合成し、これを植物に与えると植物成長調整性能を有することを見出した。
つまり、α−ケトール、シス2重結合、及び隣接ジオール構造を有する新規物質であるα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)を合成し、これを植物に与えるとはるかに低濃度で植物成長調整性能、特に花芽形成を促進することを見出した。
また、そのα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)の製造方法に関し検討し、その結果安価な製造方法の開発に成功した。
さらに、この化合物は、分解し難く、より安定性に優れていることも判明した。
したがって、本発明は、植物成長調整性能を有する新規物質であるα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)及びそれを含有する植物花芽形成促進剤等の植物成長調整剤を提供することを発明の解決すべき課題、すなわち発明の目的とするものである。
本発明は、前記の通り植物成長調整性能を有する新規物質のα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)及びそれを含有する植物花芽形成促進剤等の植物成長調整剤を提供するものであり、前者のα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)は、下記一般式(1)で表わされるものである。
また、後者の植物成長調整剤は、前記一般式(1)で表わされるα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)を含有するものであり、それは植物花芽形成促進剤として特に好適に利用できる。
Figure 0004177320
(式中、R1は炭素数1〜5の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜5で2重結合が1もしくは2の直鎖状不飽和炭化水素基を表わす。また、R2は炭素数1〜15の直鎖状アルキレン又は炭素数2〜15で2重結合が1〜3の直鎖状不飽和炭化水素鎖を表わす。ただし、炭素間の二重結合数は最大で4である。)
なお、ここにける直鎖状アルキル基、直鎖状不飽和炭化水素基、直鎖状アルキレン又は直鎖状不飽和炭化水素鎖における「直鎖状」とは、炭素鎖が分岐することなく、直線上に結合していることを意味する。
例えば、直鎖状アルキレンとは、炭素鎖が分岐することなく直線上に結合している、脂肪族炭化水素中の異なる2個の炭素原子に結合している2個の水素原子を除いて生成する2価の原子団で、一般式−(CH2)n−で表される。
本発明は、植物花芽形成促進性能等の植物成長調整能を有する、αケトール及びオレフィン構造を持つと共に、それ以外に隣接ジオール構造をも合わせ持った新規物質で、一般式(1)で表されるα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)を提供するものであり、またそれら性能を利用して、植物花芽形成促進剤、植物賦活剤、及びそれらを包括する植物成長調整剤を提供するものである。
また、植物賦活剤としては、α−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)が、休眠打破、発根、開花促進、着花促進、草・茎伸長促進等の性質を有することから、それら性質を利用することにより、具体的には、休眠打破剤、発根剤、開花促進剤、着花促進剤、草・茎伸長促進剤等として利用できる。
そして、その化合物は、低濃度でそれら性能を発現することができ、かつ分解し難く、より安定性に優れており、優れた植物花芽形成促進剤、植物賦活剤、植物成長調整剤を提供することができる。
以下において、本発明について、発明を実施するための最良の形態を含む発明の実施の態様に関し詳述する。
本発明のα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体は、前記一般式(1)で表わされるものであり、
植物花芽形成促進剤、又は休眠打破、発根、開花促進、着花促進、草・茎伸長促進等の性能を発現する植物賦活剤等の用途を含む植物成長調整剤として利用できるものである。
本発明の誘導体は、前記一般式(1)の構造を有する限り、前記用途に適する性能を発現することができるものである。
その誘導体は、具体的には前記一般式(1)において、R1は炭素数1〜5の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜5で2重結合が1もしくは2の直鎖状不飽和炭化水素基を表わす。 また、R2は炭素数1〜15の直鎖状アルキレン又は炭素数2〜15で2重結合が1〜3の直鎖状不飽和炭化水素鎖を表わす。
ただし、炭素間の二重結合数は最大で4である。
前記のとおりであるから、本発明の前記不飽和脂肪酸誘導体は、炭素原子数が11〜29である。
特に、式(1A)で表される、9,15,16−トリヒドロキシ−10−オキソ−12()−オクタデセン酸は、前記一般式(1)における好ましい化合物であり、前記各用途に適するものである。
なお、前記式(1A)の化合物は、前記一般式(1)において、R1はC2の直鎖状アルキル基であり、R2はC7の直鎖状アルキレンである化合物である。
また、前記化学式における「Z」は、シス・トランス異性におけるシス体であることを意味し、それに付されたアンダーラインは、本来イタリック体で表記すべきものであることを示す。
Figure 0004177320
A.[α-ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)の合成について]
まず、式(2A)のα−ケトール不飽和脂肪酸を包含する下記一般式(2)で表わされるα−ケトール不飽和脂肪酸の製造方法に関し説明する。
Figure 0004177320
(式中、R1は炭素数1〜5の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜5で2重結合が1もしくは2の直鎖状不飽和炭化水素基を表わす。また、R2は炭素数1〜15の直鎖状アルキレン又は炭素数2〜15で2重結合が1〜3の直鎖状不飽和炭化水素鎖を表わす。ただし、炭素間の二重結合数は最大で4である。)
前記一般式(2)で表わされるα−ケトール不飽和脂肪酸に包括される式(2A)のα−ケトール不飽和脂肪酸は、天然物に含まれていることが広く知られており、この天然物から抽出精製することで製造することができる。
また、それはα−リノレン酸にリポキシゲナーゼ等の酵素を、植物体内における脂肪酸代謝経路に準じて作用させることによっても得ることができるし、通常公知の化学合成法を駆使してもα−ケトール不飽和脂肪酸を得ることができる。
その式(2A)のα−ケトール不飽和脂肪酸を包含する前記一般式(2)のα−ケトール不飽和脂肪酸(2)の製造に関しては、例えば特許文献1、特許文献2あるいは非特許文献1記載の方法によっても行うことができる。
それに続くα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)の製造は、前記α−ケトール不飽和脂肪酸(2)を活性酸素や塩素ラジカルを発生するような強い酸化剤と接触させることにより行うことができる。
そのような強い酸化剤には、例えば次亜塩素酸ソーダや塩素化イソシアヌル酸がある。
その際の反応は、1時間以内に終了することがよく、好ましくは30分以下がよい。
必要以上に反応時間が延びることは、生成したα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)が再び分解する危険性が増加することになる。
従って、重要なのはα−ケトール不飽和脂肪酸(2)と酸化剤の存在比である。
例えば、次亜塩素酸ソーダの場合、α−ケトール不飽和脂肪酸(2)のモル数100に対して次亜塩素酸ソーダは0.01〜0.5モル数がよい。
その次亜塩素酸ソーダの量は、α−ケトール不飽和脂肪酸の純度により大きく左右され、高純度(純度90%以上)の場合には前記範囲がよいが、純度が低い場合には0.01〜10モル数が目安である。
その際の反応温度は特に問わないが、好ましくは氷冷下〜室温がよい。
また、反応溶媒に関しては、80%以下であれば水以外の溶媒が共存しても問題なく、例えばメタノール,エタノール,アセトン等の含水溶媒を用いることができるが、好ましくは水中で行うのがよい。
本発明化合物の検出には、UV検出器を用いることができ、これにHPLC等を組み合わせて本発明化合物の生成を確認することができる。
さらに、本発明化合物の反応液からの単離精製には、通常公知の方法を用いて行うことができ、例えば溶媒による抽出法やカラムクロマトグラフィー等を用いることができる。
B.[α−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)の植物生長調整作用について]
本発明の植物生長調整剤の有効成分である、α−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)の植物に対する投与量の上限は特に限定されない。
すなわち、本発明植物生長調整剤により、α−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)を多量に投与しても、成長阻害等の植物に対する負の効果は、ほとんど認められない。
これは、従来から用いられている植物ホルモン剤を過剰投与すると、植物に対する負の効果が顕著に現れ、これらの使用に際しては、過剰投与がなされないように格別の気配りをしなければならないことと比較すると、本発明植物生長調整剤は非常に優れているといえる。
また、上記のα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)の植物に対する投与量の下限は、植物個体の種類や大きさにより異なるが、濃度としては1つの植物個体に対して1回の投与当り1μM程度以上が一応の目安である。
本発明植物生長調整剤の一態様である花芽形成促進剤における、α−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)の配合量は、その使用態様や使用する対象となる植物の種類、さらには本花芽形成促進剤の具体的な剤形等に応じて選択することが可能である。
本発明花芽形成促進剤の態様としては、α−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)をそのまま用いることも可能であるが、下記のような各種の剤形にするのがよく、その場合には上記のα−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)の投与の目安等を勘案すると、概ね、剤全体に対して0.1〜100ppm程度含有させるのが好ましく、更に好ましくは同1〜50ppm程度含有させるのがよい。
α−ケトール不飽和脂肪酸誘導体(1)は、前記のとおり、そのまま本発明花芽形成促進剤として用いることが可能であるが、植物に適用可能な所望の剤形、例えば液剤、固形剤、粉剤、乳剤、底床添加剤等にすることが可能であり、その際には剤形に応じて製剤学上適用することが可能な公知の担体成分、製剤用補助剤等を本発明の所期の効果である花芽形成促進が損なわれない限度において、適宜配合することができる。
例えば、担体成分としては、本発明花芽形成促進剤が底床添加剤または固形剤である場合には、概ねタルク、クレー、バーミキュライト、珪藻土、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、白土、シリカゲル等の無機質や小麦粉、澱粉等の固体担体が、また、液剤である場合には、概ね水、キシレン等の芳香族炭化水素類、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の液体担体が上記の担体成分として用いられる。
また、製剤用補助剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホンコハク酸塩等の陰イオン界面活性剤、高級脂肪族アミンの塩類等の陽イオン界面活性剤、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコールアシルエステル、ポリオキシエチレングリコール多価アルコールアシルエステル、セルロース誘導体の非イオン界面活性剤、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等の増粘剤、増量剤、又は結合剤等を適宜配合することができる。
さらに必要に応じて、植物生長調整剤や、安息香酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピペコリン酸等を、本発明の所期の効果を損なわない限度において、本発明花芽形成促進剤中に配合することが出来る。
上記本発明花芽形成促進剤は、その剤形に応じた種々の使用態様で種々の植物に用いることができる。
例えば、本発明においては、開花を図る植物の生長点のみならず、茎や葉をはじめとする植物体の一部または全体に液剤や乳剤として散布、滴下、塗布等を行うことや、固形剤や粉剤として地中から根に吸収させること等が可能である。
また、開花を図る植物がウキクサ等の水草の場合には、底床添加剤として根から吸収させるか、固形剤を水中で徐々に溶解させること等も可能である。
そして、本発明の脂肪酸誘導体(1)は、ドーパミンやノルエピネフリン等のカテコールアミンと反応させた後に花芽形成促進剤として用いることも可能である。
その場合には、本発明の脂肪酸誘導体(1)とカテコールアミンの配合割合は、その目的に応じ、さらに使用対象である植物の性質及び本発明脂肪酸誘導体の具体的態様に応じて適宜調製されうるもので、特に限定されるものではない。
また、本発明花芽形成促進剤の植物への投与頻度は、基本的にはただ1度の投与によって所望する効果を得ることができるが、植物個体の種類や投与目的等により異なり、必要な場合には、勿論複数回投与してもよく、その場合には1週間以上の投与間隔をあけることが効率的である。
さらに、本発明花芽形成促進剤は、これを用いる使用対象の植物の性質に応じた処理を行いつつ投与することが効果的である場合が多い。
例えば、後述する実施例のアサガオの場合には、一定の暗処理を行いながら本発明花芽形成促進剤を用いることが効果的である。
本発明花芽形成促進剤の適用対象植物の種類に関しては特に限定されることはなく、双子葉植物、単子葉植物の両者に対して有効である。
被子植物のうち、双子葉植物としては、例えば、アサガオ属植物(アサガオ)、ヒルガオ属植物(ヒルガオ、コヒルガオ、ハマヒルガオ)、サツマイモ属植物(グンバイヒルガオ、サツマイモ)、ネナシカズラ属植物(ネナシカズラ、マメダオシ)が含まれるひるがお科植物、ナデシコ属植物、ハコベ属植物、タカネツメクサ属植物、ミミナグサ属植物、ツメクサ属植物、ノミノツヅリ属植物、オオヤマフスマ属植物、ワチガイソウ属植物、ハマハコベ属植物、オオツメクサ属植物、シオツメクサ属植物、マンテマ属植物、センノウ属植物、フシグロ属植物、ナンバンハコベ属植物等のなでしこ科植物をはじめ、もくまもう科植物、どくだみ科植物、こしょう科植物、せんりょう科植物、やなぎ科植物、やまもも科植物、くるみ科植物、かばのき科植物、ぶな科植物、にれ科植物、くわ科植物、いらくさ科植物、かわごけそう科植物、やまもがし科植物、ぼろぼろのき科植物、びゃくだん科植物を例示することができる。
また、やどりぎ科植物、うまのすずくさ科植物、やっこそう科植物、つちとりもち科植物、たで科植物、あかざ科植物、ひゆ科植物、おしろいばな科植物、やまとぐさ科植物、やまごぼう科植物、つるな科植物、すべりひゆ科植物、もくれん科植物、やまぐるま科植物、かつら科植物、すいれん科植物、まつも科植物、きんぽうげ科植物、あけび科植物、めぎ科植物、つづらふじ科植物、ろうばい科植物、くすのき科植物、けし科植物、ふうちょうそう科植物、あぶらな科植物、もうせんごけ科植物、うつぼかずら科植物、べんけいそう科植物、ゆきのした科植物、とべら科植物、まんさく科植物、すずかけのき科植物、ばら科植物、まめ科植物、かたばみ科植物、ふうろそう科植物、あま科植物、はまびし科植物、みかん科植物、にがき科植物、せんだん科植物、ひめはぎ科植物、とうだいぐさ科植物、あわごけ科植物を例示することができる。
さらに、つげ科植物、がんこうらん科植物、どくうつぎ科植物、うるし科植物、もちのき科植物、にしきぎ科植物、みつばうつぎ科植物、くろたきかずら科植物、かえで科植物、とちのき科植物、むくろじ科植物、あわぶき科植物、つりふねそう科植物、くろうめもどき科植物、ぶどう科植物、ほるとのき科植物、しなのき科植物、あおい科植物、あおぎり科植物、さるなし科植物、つばき科植物、おとぎりそう科植物、みぞはこべ科植物、ぎょりゅう科植物、すみれ科植物、いいぎり科植物、きぶし科植物、とけいそう科植物、しゅうかいどう科植物、さぼてん科植物、じんちょうげ科植物、ぐみ科植物、みそはぎ科植物、ざくろ科植物、ひるぎ科植物、うりのき科植物、のぼたん科植物、ひし科植物、あかばな科植物、ありのとうぐさ科植物、すぎなも科植物、うこぎ科植物、せり科植物も例示できる。
また、それらに加えてみずき科植物、いわうめ科植物、りょうぶ科植物、いちやくそう科植物、つつじ科植物、やぶこうじ科植物、さくらそう科植物、いそまつ科植物、かきのき科植物、はいのき科植物、えごのき科植物、もくせい科植物、ふじうつぎ科植物、りんどう科植物、きょうちくとう科植物、ががいも科植物、はなしのぶ科植物、むらさき科植物、くまつづら科植物、しそ科植物、なす科植物(なす、トマト等)、ごまのはぐさ科植物、のうぜんかずら科植物、ごま科植物、はまうつぼ科植物、いわたばこ科植物、たぬきも科植物、きつねのまご科植物、はまじんちょう科植物、はえどくそう科植物、おおばこ科植物、あかね科植物、すいかずら科植物、れんぷくそう科植物、おみなえし科植物、まつむしそう科植物、うり科植物、ききょう科植物、きく科植物等も例示できる。
同じく、単子葉植物としては、例えば、ウキクサ属植物(ウキクサ)およびアオウキクサ属植物(アオウキクサ、ヒンジモ)が含まれる、うきくさ科植物、カトレア属植物、シンビジウム属植物、デンドロビューム属植物、ファレノプシス属植物、バンダ属植物、パフィオペディラム属植物、オンシジウム属植物等が含まれる、らん科植物、がま科植物、みくり科植物、ひるむしろ科植物、いばらも科植物、ほろむいそう科植物、おもだか科植物、とちかがみ科植物、ほんごうそう科植物、いね科植物(イネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、トウモロコシ等)、かやつりぐさ科植物、やし科植物、さといも科植物、ほしぐさ科植物、つゆくさ科植物、みずあおい科植物、いぐさ科植物、びゃくぶ科植物、ゆり科植物(アスパラガス等)、ひがんばな科植物、やまのいも科植物、あやめ科植物、ばしょう科植物、しょうが科植物、かんな科植物、ひなのしゃくじょう科植物等を例示することができる。
以上においては、花芽形成促進剤として、本発明化合物を利用する際の各種態様に関し具体的、かつ詳細に説明したが、本発明の化合物は、前記したとおりそれ以外にも休眠打破剤、発根剤、開花促進剤、着花促進剤、草・茎伸長促進剤等の各種植物賦活剤としても利用するものであり、その場合にも前記と同様に各種態様で利用できるものである。
以下において、本発明化合物の製造例及びその化合物の使用例を実施例として具体的に説明するが、本発明は、この実施例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものであることはいうまでもない。
また、本発明の化合物には、複数の不斉炭素に起因する立体異性体が存在するが、本発明の化合物は個々の光学活性体あるいはそれらの混合物であってもよい。
[製造例1] 特定α−ケトール脂肪酸(2A)の製造
以下のようにして、式(2A)で表される特定ケトール脂肪酸(9-hydroxy-10-oxo-12(Z),15(Z)- octadecadienoic acid)を酵素法により製造した。
1.コメ胚芽由来のリポキシゲナーゼの調製
コメ胚芽350g を石油エーテルで洗浄,脱脂及び乾燥したもの(250g )を、0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1.25Lに懸濁し、この懸濁物をホモジナイズした。
そのホモジナイズ抽出液を16000rpmで15分間遠心分離し、上清(0.8L)を得た。
次いで、その上清に硫酸アンモニウム140.8g (30%飽和)を加え、4℃で一晩放置した。
その後、同様に9500rpmで30分間遠心を行い、得られた上清(0.85L)に硫酸アンモニウム232g(70%飽和)を添加して、4℃で5時間放置した。
さらに、同様に9500rpmで30分間遠心を行い、これにより得られた沈澱物(コメ胚芽抽出液の硫安30〜70%飽和画分)を、pH4.5の酢酸緩衝液300mLに溶解し、63℃で5分間加熱処理を行った。
その後、生成した沈澱物を除去して、得られた上清を、RC透析チューブ(Spectrum社製ポア4:MWCO 12000〜14000)を用いて、3Lのバッファーを使用して3回透析を行い、それにより脱塩後、所望するコメ胚芽由来のリポキシゲナーゼの粗酵素液を得た。
2.アマ種子由来のアレンオキサイドシンターゼの調製
アマ種子(一丸ファルコス社から購入)200g に、アセトン250mL添加してホモジナイズを間に休みを入れて20秒づつ3回行い(20s ×3)、得られた沈澱物を目皿ロートで濾取し、溶媒を除去した。
その沈澱物を再びアセトン250mLに懸濁してホモジナイズ(10s ×3)し、沈澱物を得た。
この沈澱物をアセトン及びエチルエーテルで洗浄後、乾燥して、アマ種子のアセトン粉末を得た(150g )。
このアマ種子のアセトン粉末のうち20g分を、氷冷下50mMリン酸緩衝液(pH7.0)400mLに懸濁し、これを4℃で1時間スターラー攪拌を施して抽出した。
得られた抽出物を、11000rpmで30分間遠心し、これにより得られた上清(380mL)に硫酸アンモニウム105.3g (0〜45%飽和)を加え、氷冷下で1時間静置し、さらに11000rpmで30分間遠心して得られた沈澱物を、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)150mLに溶解し、透析して脱塩し(3L×3)、所望するアマ種子由来のアレンオキサイドシンターゼの粗酵素液を得た。
3.α−リノレン酸のナトリウム塩の調製
出発原料とするα−リノレン酸は、水における溶解性が著しく低いので、酵素基質として働くことを容易にするために、α−リノレン酸をナトリウム塩化した。
すなわち、炭酸ナトリウム530mgを精製水10mLに溶解して55℃に加温し、これにα−リノレン酸(ナカライテスク社)を278mg滴下して、3時間攪拌した。
反応終了後、イオン交換樹脂[Dowex50W-X8(H+form)(ダウケミカル社製)]で中和すると、沈澱物が生成した。
これを濾過して樹脂を除きMeOHで溶解後、減圧下で溶媒を留去した。
これにより得られた生成物をイソプロパノールで再結晶し、所望するα−リノレン酸のナトリウム塩(250mg,83%)を得た。
4.特定α−ケトール脂肪酸(2A)の製造
上記3により得られたα−リノレン酸のナトリウム塩(15mg:50μmol )を、0.1Mのリン酸緩衝液(pH7.0)30mLに溶解した。
その後、この溶液に、酸素気流下、25℃で上記1により得たコメ胚芽由来のリポキシゲナーゼの粗酵素液を3.18mL添加した後、30分間攪拌した後、さらに同じくコメ胚芽由来のリポキシゲナーゼの粗酵素液を3.18mLを添加して、30分間攪拌した。
この攪拌終了後、このリポキシゲナーゼ反応物に、窒素気流下で上記2で得たアレンオキサイドシンターゼの粗酵素液を34.5mL添加して、30分間攪拌した後、氷冷下希塩酸を添加して、反応溶液のpHを3.0に調整した。
次いで、この反応溶液をCHCl3−MeOH=10:1で抽出した。
得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて脱水し、減圧下溶媒を留去して乾燥した。
このようにして得られた粗生成物をHPLCにかけて、その特定α−ケトール脂肪酸(2A)と認められるピーク(リテンションタイム:16分付近)を分取した。
分取した画分にクロロホルムを加え、クロロホルム層を分離して水洗し、エバポレーターでこのクロロホルムを留去して、精製物を得た。
この精製物の構造を確認するために重メタノール溶液に溶かして1H,及び13C−NMRスペクトルを測定した。
その結果、1H−NMRにおいて、末端メチル基〔δ0.98(t) 〕,2組のオレフィン〔(δ5.25,5.40),(δ5.55,5.62 )〕,2級水酸基〔δ4.09(dd)〕及び多数のメチレンに基づくシグナルが認められ、その精製物は特定ケトール脂肪酸(2)であると推定された。
さらに、13C−NMRのケミカルシフト値を比較したところ、特定α−ケトール脂肪酸(2A)〔特開平10−324602号公報第7頁の第11欄下から第1行目以降に記載されている「製造例(抽出法)」における13C−NMRのケミカルシフト値(同公開公報第8頁第13欄第2行目以降段落番号0054・段落番号0055)〕と一致した。
よって、上記のようにして得た酵素法による合成品は、確かに、9-hydroxy-10-oxo-12 (Z), 15(Z)-octadecadienoic acid であることが明らかになった。
すなわち、前記合成品は、一般式(2)において、R1がC2の直鎖状アルキル基、R2がC7の直鎖状飽和炭化水素鎖であるα−ケトール脂肪酸(2A)であることが明らかになった。
[製造例2] 特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)の製造例1
以下のようにして、特定ケトール脂肪酸誘導体9,15,16-トリハイドロキシ-10-オキソ-12(Z)-オクタデセン酸(1A)の製造、単離精製及び構造解析をおこなった。
前記製造例1で製造した特定ケトール脂肪酸(2A)500mgを1.3Lの水に溶解し、そこに塩素化イソシアヌル酸を192mg加え、25℃で30分攪拌し、反応を行った。
その反応液をクロロホルム500mLで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後濃縮し、得られた粗抽出物をHPLCにより生成物(1A)を確認した(カラム:カプセルパックC-18 UG120,4.6x250mm(資生堂),溶媒:25%アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸,流速:1 ml/min,波長:300 nm)。
保持時間5.7分のピークに関して、カラムサイズを大きくして(カプセルパックC-18 UG120,10x250 mm)分取後クロロホルムで抽出を行い、化合物(1A)を187.5mg得た(収率38%)。
その化合物(1A)の構造解析を行った。
その吸収スペクトルは、UV V−560 分光光度計(日本分光)、及び1H−及び13C-NMRは、ECP−400 (日本電子)をそれぞれ用いて測定した。
その結果、下記のとおりである。
化合物(1A)
UV λmax (MeOH, nm): 201.0nm (ε=4520).
1H-NMR(400MHz, CDCl3): δ0.97 (3H, t, J=7.2, 18-H3), 1.25-1.46 (8H, 4,5,6,7-H2), 1.63 (4H, m, 3,17-H2),1.63, 1.83 (both 1H, m, 8-H2), 2.34 (2H, t-like, J=7.2, 2-H2), 2.58, 2.66 (both 1H, m, 14-H2), 3.31 (2H, m, 11-H2), 3.75 (1H, m, 15-H), 3.85 (1H, m, 16-H), 4.24 (1H, m, 9-H), 5.68 (1H, m, 12-H), 5.72 (1H, m, 13-H).
13C-NMR(100MHz, CDCl3): 10.0 (C-18), 24.5, 27.8, 28.1, 28.8, 28.9, 29.0 (C-3,4,5,6,7,17), 33.5 (C-2), 33.8 (C-8), 33.9 (C-14), 36.6 (C-11), 66.1 (C-15), 73.9 (C-16), 76.2 (C-9), 123.3 (C-13), 128.9 (C-12), 179.1 (C-1), 210.3 (C-10).
上記プロトン及びカーボンの帰属は、DIFCOSY、HMQC並びにHMBCスペクトルなどの2次元NMRスペクトルを測定して行った。
得られたデータを化合物(2A)のデータ[特開平9−295908号公報及び文献(Yokoyama et al., Plant Cell Physiol., 41,110-113,2000)に記載]と比較したところ、化合物(2A)の1組のオレフィンが消失し代わりに水酸基が結合したメチレン2個が認められた。
その消失したオレフィンは、HMBCおよびDIFCOSYの解析結果により15位のものであることが判明した。
前記のことから、水酸基が結合したメチンの位置は、C−15,C−16であると判断した。
なお、9位の水酸基及び10位のオキソ基は存在していた。
以上のデータより、化合物(1A)の構造を前記式(1A)のとおりに決定した。
[製造例3] 特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)の製造例2
以下のようにして、特定ケトール脂肪酸誘導体9,15,16−トリハイドロキシ−10−オキソ−12()−オクタデセン酸(1A)の製造を、次亜塩素酸ソーダを用いた時の両者の最適な割合を調べた。
精製水25mLに特定α−ケトール脂肪酸(2A)エタノール溶液(112mM、3.5%)を188μl加えた(完全には溶解せず、白濁状態であった)。
この特定α−ケトール脂肪酸(2A)水溶液を攪拌しながら、そこに次亜塩素酸ソーダ溶液(和光純薬工業株式会社製)を6μlから1μlづつ、20μlまで増加させた量を添加した。
その添加10分経過した後、HPLC(カラム:カプセルパックC-18 UG120,4.6x250mm,溶媒:25%アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸,流速:1ml/min,波長:300nm)で分析し、特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)の生成率を測定した。
その結果、次亜塩素酸ソーダ溶液を0.09%程度になるように添加したときに、特定α−ケトール脂肪酸(2A)は特定αケトール脂肪酸誘導体(1A)にほぼ100%変換することがわかった。
結果を図1に示す。
[製造例4] 特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)の製造例3
特定ケトール脂肪酸(2A)500mgを1.9Lの水に溶解して、そこに次亜塩素酸ソーダ溶液を1.2mL加え、室温に10分以上放置した。
反応液をクロロホルム500mLで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後濃縮し、得られた粗抽出物をHPLCによりさらに分画を行った(カラム:カプセルパックC-18 UG120,10x250 mm,溶媒:25%アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸,流速:4 ml/min,波長:300nm)。
分取後クロロホルムで抽出を行い、化合物(1A)を472mg得た(収率85%)。
[使用例] 特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)のアサガオに対する花芽増加活性
9g のアサガオ(品種名:ムラサキ)の種子に濃硫酸処理を20分間施し、その後流水下で一晩放置した。
次いで、種子のへその部分を上にして、湿った海砂上に24時間置いて、発根させた。 これらの発根した種子を海砂中に、1cm程度の深さに植え、連続光下で培養した(5日間程度)。
この培養により開葉したアサガオの全植物体を、培養液〔KNO3(250mg)、NH4NO3(250mg)、KH2PO4(250mg) 、MgSO4・7H2O(250mg) 、MnSO4・4H2O(1mg) 、Fe-citrate n-hydrate(6mg) 、H3BO3(2mg) 、CuSO4・5H2O(0.1mg) 、ZeSO4・7H2O(0.2mg) 、Na2MoO4・2H2O(0.2mg) 、Ca(H2PO4)2・2H2O(250mg) を1リッターの蒸留水に溶解〕に移した。
この培養系に、水、又は特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)を0.01、0.1、1もしくは100μMで含有する水溶液を0.1mL/株噴霧し、13.5時間暗処理をおこなった。
その後25℃で14日間連続光で育成し、14日目に形成された花芽の数を測定した。 アサガオ8個体の結果を平均し、それを第2図に示した。
水を噴霧したときの花芽形成数は、平均で1.25個/株であった。
第2図に示すように、特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)により花芽の形成数は200%以上に増加した。
最適濃度は1μMであったが、これは、特定α−ケトール脂肪酸(2A)の最適濃度100μM(特開平11−29410号公報を参照)の1/100の濃度である。
[安定性評価] 特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)の安定性
特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)の安定性の評価を以下のとおり行った。
前記誘導体(1A)16mMのエタノール溶液を水で30倍に希釈した。
その希釈した溶液を、4℃、25℃及び50℃の各温度において長期間放置し、経時的的な分解の程度をHPLCで分析した(カラム:カプセルパックC-18 UG120,4.6x250mm,溶媒:50%アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸,流速:1ml/min,波長:210nm)。
比較のために、特定α−ケトール脂肪酸誘導体(2A)についても同様に希釈して調製した溶液を、25℃及び50℃において長期間放置し、同様に分解の程度を調査した。
その調査結果は、図3に図示した。
この図3の結果から、本発明の特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)は、25℃及び50℃の両放置温度において、比較対照の特定α−ケトール脂肪酸誘導体(2A)よりも安定性に優れていることが明らかである。
また、4℃における安定性調査については、本発明の特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)についてのみ実施したが、その結果によれば25℃及び50℃と比較すると遥かに安定性に優れていた。
特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)の特定α−ケトール脂肪酸(1A)からの変換生成率 特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)のアサガオに対する花芽増加活性 特定α−ケトール脂肪酸誘導体(1A)の安定性評価試験結果

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表わされるα-ケトール不飽和脂肪酸誘導体。
    Figure 0004177320
    (式中、R1は炭素数1〜5の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜5で2重結合が1もしくは2の直鎖状不飽和炭化水素基を表わす。また、R2は炭素数1〜15の直鎖状アルキレン又は炭素数2〜15で2重結合が1〜3の直鎖状不飽和炭化水素鎖を表わす。ただし、炭素間の二重結合数は最大で4である。)
  2. 下記一般式(1)で表わされるα-ケトール不飽和脂肪酸誘導体を含有する植物成長調整剤。
    Figure 0004177320
    (式中、R1は炭素数1〜5の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜5で2重結合が1もしくは2の直鎖状不飽和炭化水素基を表わす。また、R2は炭素数1〜15の直鎖状アルキレン又は炭素数2〜15で2重結合が1〜3の直鎖状不飽和炭化水素鎖を表わす。ただし、炭素間の二重結合数は最大で4である。)
  3. 前記不飽和脂肪酸誘導体は、炭素原子数が18であり、かつ、炭素間の二重結合が1又は2である、請求項2に記載の植物成長調整剤。
  4. 前記不飽和脂肪酸誘導体は、9,15,16−トリヒドロキシ−10−オキソ−12()−オクタデセン酸である、請求項2又は3に記載の植物成長調整剤。
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