明 細 書
コェンザィム Q含有組成物
10
技術分野
[0001] 本発明は、コェンザィム Q を水溶性物質および多価アルコールを含有する水性液
10
体中で分散'乳化して得られる、コェンザィム Q
10含有組成物に関する。詳細には、ォ クテニルコハク酸澱粉とデキストリンカ なる水溶性物質および多価アルコールとして グリセリンを含有する水性液体中でコェンザィム Q を分散 ·乳化して得られる組成物
10
に関する。本組成物は、コェンザィム Q を高含量で含むことができ、且つ安定性お
10
よび吸収性に優れている。
背景技術
[0002] コェンザィム Q は、ュビデカレノンまたは補酵素 Q として知られる高等動物に存在
10 10
する補酵素 Qの 1種(分子式 C H 0、分子量 863.36)である。コェンザィム Q は、
59 90 4 10 補酵素として生物活性をもつだけでなぐ酸素利用効率を改善させる作用を有するビ タミン様作用物質として知られている。コェンザィム Q は、鬱血組織に作用するほか
10
、生体膜の安定化ゃ抗酸化などの作用を有すると考えられ、臨床的には狭心症、心 不全、虚血性心疾患、筋ジストロフィーの症状改善に薬理効果が認められている。ま た、高血圧、動脈硬化、心臓病、糖尿病および歯周病疾患等の予防および治療に、 並びに制癌や向精神薬の副作用予防、疲労回復や運動機能回復等にも有効である と報告されている。このようにコェンザィム Q は高い生理活性を有し、且つ生体内に
10
存在する安全性の高!、物質である。
近年、コェンザィム Q は、食品として使用が認められたこともあり、健康食品用の素
10
材として非常に注目されている。
[0003] しかし、コェンザィム Q は融点の低い親油性固体であり水に難溶性である。このた
10
め、コ工ンザィム Q の経口摂取における吸収性は非常に低い。また、コェンザィム Q
10
10は不安定であり、光などによって分解してヒドロキノン体ゃュビクロメノール等が生成 するという問題がある。
[0004] コェンザィム Q のノィォアベイラビリティ一を高めた組成物として、ポリグリセリン脂
肪酸エステルを乳化剤としてコェンザィム Q を水性ェマルジヨンとし、これをュビキノ
10
ンの 3倍重量以上の水溶性高分子物質を含む水溶液と混合し、これを噴霧乾燥して 得られるコェンザィム Q 含有組成物が提案されている(特開昭 59— 51214号公報)
10
。また、コェンザィム Q 等の脂溶性物質を、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸
10
エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒ マシ油等の乳化剤、多価アルコールおよび水と乳化処理して脂溶性物質水性液剤 を製造することが提案されている(特開 2000— 212066号公報)。さらに、コェンザィ ム Q を、植物油や脂肪酸エステル等の油相成分、多価アルコールおよびグリセリン
10
脂肪酸エステル等の乳化剤を用いてコェンザィム Q 含有乳化組成物を製造するこ
10
とが提案されている(特開 2003— 238396号公報)。しかし、グリセリン脂肪酸エステ ル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤は粘性の高い液状物質であるため、これらの 乳化剤を用いた乳化物から固形組成物を得るためには多量の賦形剤を添加する必 要があり、結果的にコェンザィム Q の含有量が制限されるだけでなぐ乾燥工程でス
10
テイツキング等の問題が生じて操作性が低下するという欠点がある。また、これらの乳 ィ匕剤を用いると飲食品の形態によってはその風味'食感を損なう場合もある。さらに、 これらの乳化剤の多くが合成品であることから、その使用が所望されない場合もある。 特開 2003— 238396号公報には、乳化剤として澱粉、デキストリン、アラビアガムな どの水溶性高分子が例示されているが、合成乳化剤の代わりにこれらの水溶性高分 子を用いた乳化組成物は製造されておらず、この方法で安定なコェンザィム Q 含有
10 乳化物が得られるかどうかは不明である。
一方、グリセリン脂肪酸エステル等の合成乳化剤を使用しないでコェンザィム Q を
10 分散'乳化させる方法として、コェンザィム Q を有機酸の存在下においてアラビアガ
10
ム、寒天、水溶性コーンファイバー、デンプン、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、 デキストリン等の水溶性物質を含む水性液体中で分散 *乳化させる方法がある (特開 2003— 55203号公報)。この方法により、バイオアベイラビリティ一が高くかつ安定 な製品が提供されるが、コェンザィム Q の含有量をさらに高めた製品が望まれてい
10
る。
また、脂溶性物質に、加工澱粉と糖類、水を加えて乳化し、次いで乾燥する乳化粉
末の製造方法があり、酢酸トコフエロールを約 52%含む乳化粉末製品が開示されて いる(特開平 11— 196785号公報)。しかし、この方法をコェンザィム Q に応用した
10
場合に得られる組成物は、乳化安定性の点で不十分である。
このため、グリセリン脂肪酸エステル等の合成乳化剤を用いないで、コェンザィム Q を高含有量で含むことができ、かつコェンザィム Q の安定性およびバイオアベイラ
10 10
ピリティーの点で優れたコェンザィム Q 含有組成物に対する要請は依然として高!ヽ
10 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明の課題は、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機 酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、 ショ糖脂肪酸エステルのような合成乳化剤を使用せず、コェンザィム Q を高含有量
10
で含むことができ、且つコェンザィム Q の安定性および吸収性に優れたコェンザィ
10
ム Q 含有組成物を提供することである。
10
課題を解決するための手段
[0007] 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、コェンザィム Q
1 を水溶性物質および多価アルコールを含む水性液体中に分散 ·乳化して得られる
0
組成物が、コェンザィム Q の含量を高めても、安定性および吸収性に優れたコェン
10
ザィム Q 含有組成物を製造しうることを見出した。特に、水溶性物質としてオタテ-
10
ルコハク酸澱粉とデキストリンを組み合わせて用い、且つ多価アルコールとしてグリセ リンを用いることによって、極めて優れたコェンザィム Q 含有組成物が得られる。す
10
なわち、本発明は、オタ-テュルコハク酸澱粉とデキストリンカもなる水溶性物質およ びグリセリンを特定の量で含有する水性液体中でコェンザィム Q を分散 ·乳化して
10
得られるコェンザィム Q 含有液体組成物に関する。このコェンザィム Q 含有液体組
10 10
成物を乾燥することにより、コェンザィム Q 含有固形組成物とすることができる。乾燥
10
する場合には必要に応じて担体を用いることができる。
[0008] 本発明のコェンザィム Q 含有組成物は、コェンザィム Q が高含有量でありながら
10 10
、空腹時に摂取しても確実にコェンザィム Q の吸収が得られるという、極めてバイオ
アベイラビリティ一の高い組成物である。このため、本発明のコェンザィム Q 含有組
10 成物は、高含量のコェンザィム Q を含む各種剤形の医薬、食品の製造原料として、
10
あるいは各種の食品、飼料、化粧品へ添加する原料として極めて広範囲に応用可能 である。
発明を実施するための最良の形態
[0009] 本発明のコェンザィム Q 含有液体組成物は、ォクテニルコハク酸澱粉とデキスト
10
リンカもなる水溶性物質およびグリセリンを特定量で含有する水性液体中にぉ 、てコ ェンザィム Q
10を分散 '乳化することにより調製される。詳細には、コェンザィム Q 1
10
〜50質量0 /0を、グリセリン 0.01〜10質量0 /0、オタテュルコハク酸澱粉とデキストリン からなる水溶性物質 4〜30質量%および水 40〜94質量%を含有する水性液体 中で分散 ·乳化して得られる水性液体である。
このコェンザィム Q 含有液体組成物を乾燥することによって、コェンザィム Q 含
10 10 有固形組成物とすることができる。乾燥する場合には、必要に応じて担体を用いるこ とができる。担体を用いないで前記コェンザィム Q
10含有液体組成物を乾燥した場合 のコェンザィム Q 含有固形組成物は、コェンザィム Q 3〜80質量%、グリセリン
10 10
0.01〜25質量0 /0、およびオタテュルコハク酸澱粉とデキストリンカもなる水溶性物 質 19〜96質量%を含有する。この固形組成物を水に入れることによって、乾燥前 の液体組成物を再現することができる。
[0010] 本発明のコェンザィム Q 含有液体組成物において、分散'乳化したコェンザィム
10
Q 粒子、具体的にはコェンザィム Q を含有する分散'乳化粒子の平均粒径は 3
10 10
m以下、好ましくは 1 μ m以下、さらに好ましくは 0.8 μ m以下である。この水分散時の 平均粒径は、液体組成物を長期保存した場合安定的に維持される。
また、コェンザィム Q 含有固形組成物を水性液体に再懸濁または溶解して得られ
10
る液体組成物中のコェンザィム Q 乳化粒子の平均粒径も同様に、 以下、好ま
10
しくは 1 μ m以下、さらに好ましくは 0.8 μ m以下である。これは、液体組成物をそのま ま乾燥したものであっても、担体に吸着もしくは担持されたものであっても同じである 。また固形組成物を長期間保存して水性液体中に再溶解,再分散させた場合にもこ の平均粒子径は安定的に維持される。
[0011] 本発明の組成物中のコェンザィム Q 含有量は、所望の摂取量、組成物の形態に
10
応じて適宜決められる力 液状である場合には 0.001〜50質量%の範囲であり、好 ましくは 0.01〜: LO質量%程度である。また、固形、例えば粉末または顆粒状等であ る場合には、一般的には 0.01〜80質量%の範囲であり、好ましくは 0.5〜60質量% 、例えば 50質量%程度である。なお、コェンザィム Q の 1日当たりの摂取量は、年齢
10
、体重や健康状態により異なる力 通常成人では 5〜600mgZ日、好ましくは 10〜3 OOmgZ日である。
[0012] コェンザィム Q の分散 '乳化に使用される水溶性物質は、保護コロイドとして作用
10
し、コ工ンザィム Q を均一且つ微細な粒子として分散'乳化させ、ェマルジヨンを安
10
定に維持するものである。水溶性物質としては、アラビアガム、各種澱粉、ゼラチン、 キサンタンガム、カゼイン、カルメロースナトリウム(CMCナトリウム)、グァーガム、プ ルラン、カラギナン、ポリビュルピロリドン(PVP)、ポリビュルアルコール(PVA)、カル ボキシビニノレポリマー、メチノレセノレロース、ェチノレセノレロース、ヒドロキシプロピノレセノレ ロース、またはべクチン等の植物由来の水溶性多糖類等が挙げられる。しかし、均一 且つ微細なコェンザィム Q の
10 粒子を含有する安定なェマルジヨンを得るためは、ォ クテニルコハク酸澱粉とデキストリンとの組み合わせが最適である。
オタテュルコハク酸滅粉の原料滅粉としては、タピオ力澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンス ターチ、ヮキシ一コーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉類が挙げられる。また 、デキストリンとしては、前述の澱粉の加水分解物、マルトデキストリン等が挙げられる
[0013] 本発明にお 、て、ォクテニルコハク酸澱粉とデキストリンカもなる水溶性物質のコェ ンザィム Q
10含有組成物中における含有量は、組成物の形態 (液体または固形)、コ ェンザィム Q の含量等により異なる。液体組成物の場合には、組成物の質量に基づ
10
き 4〜30質量%の範囲であり、好ましくは 10〜20質量%である。また、固形組成物 である場合には、 19〜96質量%の範囲であり、好ましくは 30〜90質量%である。ま た、水溶性物質中のォクテニルコハク酸澱粉とデキストリンの配合割合は、質量比と して5〜95 : 95〜5の範囲でぁり、好ましくは25〜80 : 75〜20の範囲でぁる。ォクテ -ルコハク酸澱粉とデキストリンの配合割合力 Sこの範囲からはずれると、両者の組み
合わせの効果が低くなり、その結果として均一且つ微細で、しかも安定なェマルジョ ン、すなわち目的とするコェンザィム Q 含有組成物が得られない。
10
[0014] 多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール 、糖アルコール(例えば、ソルビトール、エリスリトール、マン-トール、キシリトール等) 、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖などの糖類が挙げられるが、均一且つ微細なコェン ザィム Q を含有する安定なェマルジヨンを得るために最も適するものはグリセリンで
10
ある。医薬品用グリセリンだけでなぐ食品用のグリセリンを用いても十分な効果を得 ることが可能である。グリセリンの含有量は、組成物の形態 (液体または固形)、コェン ザィム Q の含量等により異なる力 液体組成物の場合には組成物の質量に基づき 0
10
.01〜10質量%の範囲であり、好ましくは 0.5〜5質量%である。また、固形組成物で ある場合には、 0.01〜25質量%の範囲であり、好ましくは 0.1〜10質量%である。
[0015] 本発明において、所望のコェンザィム Q 含有組成物を得るためには、コェンザィ
10
ム Q の分散'乳化に際して、ォクテニルコハク酸澱粉とデキストリンカ なる水溶性物
10
質とグリセリンの 3成分の組み合わせが必要である。これら 3成分の 、ずれかが欠失 あるいは他の成分と置換されると、 目的とする均一且つ微細で、し力も安定なコェン ザィム Q を含有するェマルジヨンを得ることができないか、あるいは乳化粒子の保存
10
安定性やコェンザィム Q の吸収性に問題が生じる可能性がある。
10
[0016] 本発明のコェンザィム Q を分散'乳化する場合、水溶性物質としてォクテ二ルコハ
10
ク酸澱粉とデキストリンを用いるが、その効果を妨げない範囲において、他の水溶性 物質、例えばアラビアガム等を添加してもよい。
[0017] 本発明のコェンザィム Q 含有組成物を製造するに際して、コェンザィム Q を水性
10 10 液体中に分散 '乳化する前またはその後に、コェンザィム Q の安定ィ匕を目的として、
10
さらに有機酸を水性液体中に添加することができる。有機酸の例には、例えばクェン 酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、ダルコン酸、リンゴ酸、酒石酸およびこれらの塩が含 まれ、好ましくはクェン酸、リンゴ酸、酒石酸もしくはその塩またはこれらの混合物であ る。有機酸塩としては、例えば、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、力 ルシゥム塩等を挙げることができる。有機酸の添加量は、有機酸の種類により異なる 力 一般的には組成物の質量に基づき 0.01〜30質量%の範囲であり、好ましくは 0
. 05〜15質量%でぁる。
したがって、有機酸を添加した場合の液体組成物は、コェンザィム Q 1〜50質
10
量%、グリセリン 0.01〜10質量%、水溶性物質 4〜30質量%、有機酸 0.01〜1 0質量%ぉよび水 40〜94質量%を含有する。 有機酸を添加した場合の固形組 成物は、コェンザィム Q 3〜80質量%、グリセリン 0.01〜25質量%、水溶性物
10
質 19〜96質量%および有機酸 0.01〜30質量%を含有する。この有機酸を添カロ した組成物は、そのまま、希釈または濃縮して食品素材、医薬品原料、化粧品原料 または飼料添加物として用いることができる。
[0018] コェンザィム Q 含有組成物の調製に際して、脂溶性薬剤であるコェンザィム Q を
10 10 予め溶融し、グリセリンおよび特定の水溶性物質を含有する水性液体中に分散 '乳 化して、微細な粒子のェマルジヨンを形成させる。このため、グリセリンおよび水溶性 物質の水性溶液を調製し、予め加温しておくことが好ましい。この水性溶液に、予め 加熱'融解したコェンザィム Q 0を導入し、次いで公知の手段、例えば高圧ホモ
1 ジナ ィザーを使用して、所望の平均粒径まで微細に分散 '乳化させることにより、均一で、 且つ微細なェマルジヨンを形成させることができる。これらの工程は、コェンザィム Q 10 の融点より高い温度、例えば約 45〜90°C、好ましくは 50〜70°Cで実施するのが好 ましい。また、予め加温 (約 45〜90°C、好ましくは 50〜70°C)した水性溶液に、コェ ンザィム Q 10原体を直接添加'分散し、該溶液中で融解させ、次いで乳化させてもよ い。この方法は、作業性を効率化し、原材料の損失を抑制できるために好ましい。さ らに、コェンザィム Q の分散'乳化処理に際して、コェンザィム Q を油脂や食用油
10 10
に溶解または混合してもよぐ水性溶液の調製時にコェンザィム Q の安定化の目的
10
で有機酸を添加してもよい。
[0019] 本発明において用いる特定の水溶性物質は、本発明の組成物の製造時から摂取 、そして吸収時まで、コェンザィム Q の微細な乳化粒子を安定的に保持させ、その
10
結果として体内への取り込みを促進するという利点を有する。
[0020] 本発明のコェンザィム Q 含有液体組成物を乾燥して固形化する場合、食品およ
10
び医薬製剤の製造において慣用される任意の乾燥 ·固形ィ匕手段を用いることができ る。その一例を挙げると、必要に応じ加熱した上昇気流により流動化した流動層中に
本発明の液状組成物を噴霧して、次いで乾燥させる流動層造粒法、攪拌翼等により 攪拌された流動層に本発明の液状組成物を滴下または噴霧等により添加する攪拌 造粒法の他に、凍結乾燥等が例示される。
[0021] 本発明の液体組成物は、特に担体を添加しなくても、スプレードライ、スプレークー ル、凍結乾燥等の乾燥'固形化手段に供して固形化、例えば粉末ィヒすることにより、 水性液体に溶解または分散したときに微細で且つ安定な水性組成物を形成しうる良 好な固形組成物を得ることができる。また、必要に応じて担体に吸着または担持させ て固形化、例えば粉末ィ匕してもよい。この場合、液体組成物を吸着または担持しうる 経口摂取可能な担体であればいずれのものも使用可能である力 例えば微結晶セ ルロース、 /3—サイクロデキストリン、カゼインまたはその塩、ゼラチン、デキストリン、 各種澱粉、アラビアガム、サイリュームシードガム、ぺクチン、アラビアガム、キサンタ ンガム、グァーガム、寒天、プルランなどの植物ガム類、ヒドロキシプロピルセルロース (HPC)、糖類 (ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、還元麦芽糖等)、二酸化珪素、糖アル コール(例えばソルビトール、エリスリトール、マン-トール、キシリトール等)が挙げら れる。また、担体を適宜選択することにより、得られる固形製剤の機能性'特性を変化 させることができる。例えば担体としてソルビトール、デキストリンおよび zまたはマン 二トールを用いると、本発明のコェンザィム Q 含有組成物またはこれを含有する食
10
品の水溶性をさらに高めることができる。一方、乳糖、ソルビトールおよび Zまたは結 晶セルロースを用いると、塑性変形能を有した直接打錠可能な組成物またはこれを 含有する食品が得られ、チユアブル錠、錠剤、用時溶解型の錠剤、発泡錠等も適宜 調製することができる。
[0022] 固形組成物中の担体量は、コェンザィム Q 、グリセリン、水溶性物質および必要に
10
応じて用いられる有機酸の総質量 100質量部に対して、 10〜800質量部の範囲で ある。
[0023] 本発明の組成物を配合して食品、医薬、化粧品または飼料等の製品を製造する場 合、適宜ビタミン等を配合することが可能である。水溶性ビタミンとしては、ビタミン B 群およびビタミン Cが挙げられる。ビタミン B群には、ビタミン B誘導体、ビタミン B、ビ
1 2 タミン B、ビタミン B 、ビタミン B 、さらにビ才チン、ノ ントテン酸、ニコチン酸、葉酸な
どの各種ビタミン B複合体が包含される。ビタミン B誘導体には、チアミンまたはその
1
塩、チアミンジスルフイド、フルスルチアミンまたはその塩、ジセチアミン、ビスブチチ ァミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミン、チアミンモノフォスフェートジスノレフイド、 シコチアミン、ォクトチアミン、プロスルチアミンなどのビタミン Bの生理活性を有する
1
全ての化合物が包含される。脂溶性ビタミンとしては、ビタミン E、ビタミン Dまたはそ の誘導体、ビタミン 、ビタミン 、ビタミン Α、 βカロチン等が挙げられる。
1 2
[0024] 本発明にお 、て、配合するビタミンの量は、その種類、製造する最終製品の形態、 所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、粉末、顆粒などの場合には、一般的 には 0.001〜30質量%の範囲であり、好ましくは 0.01〜10質量%、例えば 1質量% 程度である。液剤や飲料の場合には 0.0001〜10質量%の範囲であり、好ましくは 0 .001〜3質量%程度でぁる。
[0025] 本発明の組成物を配合して各種製品を製造する場合、さらにカルシウム、カリウム、 鉄、亜鉛、酵母などのミネラル類またはその含有物、 L—カル-チン、クレアチン、 a —リポ酸、グルタチオン、グルクロン酸、タウリン、コラーゲン、大豆イソフラボン、レシ チン、ペプチド、アミノ酸類、 γ—ァミノ酪酸、ジァシルグリセロール、 DHA、 EPA、 中鎖脂肪酸トリグリセリド、食用油脂、カブサイシン、コンドロイチン硫酸、ァガリタス茸 エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、 —グルカン、青汁、ローヤルゼリー、プロ ポリス、ォクタコサノール、 NADH、 D—リポース、セラミド、ヒアルロン酸、フラバンジ ェノール、ピクノジェノール、マ力、キトサン、ガルシニアエキス、コンドロイチン、ダルコ サミン、カゼインナトリウム、カゼインカノレシゥム、カゼインマグネシウムなどの乳蛋白 などの栄養素または栄養食品素材を添加'配合してもよい。その他、適宜、糖質、蛋 白質、脂質、食物繊維、甘味料、香料、果汁等の呈味成分、コーヒー風味、抹茶風 味、ミルク風味等の風味成分を添加'配合してもよい。
この他の成分として、イチヨウ葉エキス、ブドウ種子エキス、パレリアンエキスなどの ハーブ類などをはじめ、高麗人参などの生薬などを配合することが可能であり、杜仲 茶、ウーロン茶、緑茶、紅茶、ノ、トムギ茶などを配合してもよい。
[0026] 本発明の組成物を配合した食品の形態としては、錠剤、錠菓、チユアブル錠、粉剤 、カプセル剤、顆粒剤、経管経腸栄養剤などの流動食、ドリンク剤等の健康食品また
は栄養補助食品、緑茶、ウーロン茶や紅茶などの茶飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、ス ポーッ飲料、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、 ココア飲料、精製水などの飲料、バター、マヨネーズ、ショートニング、マーガリン、力 スタードクリーム、ドレッシング類、パン類、米飯類、麵類、味噌汁、豆腐、牛乳、パス タ、スープまたはソース類、菓子、例えばビスケットやクッキー類、チョコレート、キャン ディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット等、ヨーグルトが挙げられる。 本発明の食品は、その製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、 ミネラル、食物繊維、種々の添加剤、例えば呈味成分、甘味料、有機酸などの酸味 料、安定剤、フレーバー等を配合して、常法に従って製造することができる。
[0027] 本発明の組成物を医薬に適用する場合、その剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆 粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、等が挙げられ る。本発明の医薬は、慣用される賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、ァ ルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等を剤型に応じて添加し、 常法に従って製造することができる。なお、液体製剤は、服用時に水または他の適当 な媒体に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法で コーティングしてもよい。
[0028] また、本発明の組成物を飼料原料または素材として用いて、家畜用飼料またはぺッ トフード等の動物飼料を製造し、家畜またはペット等の動物に摂取させることもできる
。さらに、本発明の組成物は、そのまま、または医薬と同様にしてクリーム、乳液、ロー シヨン、口紅またはリップクリーム等の化粧品に適用することができる。
[0029] 本発明の組成物を配合した食品、医薬、飼料は、コェンザィム Q を効率よく摂取さ
10
せることができ、何時でもどこでも手軽に確実に摂取可能である。また、コェンザィム
Q 含有組成物は水易溶性で、呈味性に優れているため、食品などとして加工しや
10
すぐまた高齢者ゃ嚥下困難者でも摂取が容易である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限 定されるものではない。
実施例
[0030] [実施例 1]
オタテュルコハク酸滅粉ナトリウム (松谷ィ匕学工業製 ) 800g、デキストリン (松谷ィ匕学 工業製) 300gおよびグリセリン lOOgを精製水 4000gに加え、約 60°Cまで加温する。 これにコ工ンザィム Q (日清フアルマ製) 800gを添カ卩して混合し、さらに高圧ホモジ
10
ナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一なェマルジヨンを 得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径をレーザー
10
回折'散乱法式粒度分布測定装置 (MICROTRAC FRA;日機装社製)を用いて測定 したところ、 50%粒径は 0.31 μ mであった。
次いで、このェマルジヨンを 180°Cに加熱した熱気流中に噴出し、水分を除去して コェンザィム Q を 40質量%含有する橙色の粉末組成物を得た。
10
[0031] [実施例 2]
オタテュルコハク酸滅粉ナトリウム (松谷ィ匕学工業製 ) 800g、デキストリン (松谷ィ匕学 工業製) 300g、グリセリン 60gおよびリンゴ酸 40gを精製水 4000gに加え、約 60°Cま で加温する。これにコェンザィム Q (日清フアルマ製) 800gを添カ卩して混合し、さら
10
に高圧ホモジナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一な エマノレジョンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.41 μ mであった。
次いで、このェマルジヨンから、実施例 1と同様にしてコェンザィム Q を 40質量%
10
含有する橙色の粉末組成物を得た。
[0032] [実施例 3]
オタテュルコハク酸滅粉ナトリウム (松谷化学工業製) 240g、デキストリン (松谷化学 工業製) 120gおよびグリセリン 24gを精製水 1200gに加え、約 60°Cまで加温する。 これにコェンザィム Q (日清フアルマ製) 416gを添加して混合し、さらに高圧ホモジ
10
ナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一なェマルジヨンを 得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.39 μ mであった。
次いで、このェマルジヨンから、実施例 1と同様にしてコェンザィム Q を 52質量%
10
含有する橙色の粉末組成物を得た。
[0033] [実施例 4]
オタテュルコハク酸滅粉ナトリウム (松谷化学工業製) 240g、デキストリン (松谷 化学工業製) 80g、アラビアガム (伊那食品工業製) 40gおよびグリセリン 24gを精製 水 1200gに加え、約 60°Cまで加温する。これにコェンザィム Q (日清フアルマ製) 4
10
16gを添加して混合し、さらに高圧ホモジナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3回)を 通過させ、微細且つ均一なェマルジヨンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.48 mであった。
次いで、このェマルジヨンから、実施例 1と同様にしてコェンザィム Q を 52質量%
10
含有する橙色の粉末組成物を得た。
[0034] [実施例 5]
オタテュルコハク酸滅粉ナトリウム (松谷化学工業製) 240g、デキストリン (松谷化学 工業製) 104g、グリセリン 24gおよびリンゴ酸 16gを精製水 1200gに加え、約 60°Cま で加温する。これにコェンザィム Q (日清フアルマ製) 416gを添カ卩して混合し、さら
10
に高圧ホモジナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一な エマノレジョンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.44 mであった。
次いで、このェマルジヨンから、実施例 1と同様にしてコェンザィム Q を 52質量%
10
含有する橙色の粉末組成物を得た。
[0035] [実施例 6]
実施例 5で得られたェマルジヨン 400gをデキストリン(三和澱粉製) 2400gを担体と して用いて流動層で粉末ィ匕して、橙黄色の粉末〜顆粒状の粉末組成物を得た。
[0036] [実施例 7]
実施例 5で得られたェマルジヨン 400gをデキストリン(三和澱粉製) 1800gおよびソ ルビトール(日研化成製) 600gを担体として用いて流動層で粉末ィ匕して、橙黄色の
粉末〜顆粒状の粉末組成物を得た。
[0037] [比較例 1]
オタテュルコハク酸滅粉ナトリウム (松谷ィ匕学工業製 ) 800g、デキストリン (松谷ィ匕学 工業製) 400gを精製水 4000gに加え、約 60°Cまで加温する。これにコェンザィム Q
1
(日清フアルマ製) 800gを添加して混合し、さらに高圧ホモジナイザー(処理圧力 70
0
Okg/cm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一なェマルジヨンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.33 mであった。
次いで、このェマルジヨンを 180°Cに加熱した熱気流中に噴出し、水分を除去して 橙色の粉末組成物(固形製剤)を得た。
[0038] [比較例 2]
オタテュルコハク酸滅粉ナトリウム (松谷化学工業製) 240g、デキストリン (松谷化学 工業製) 144gを精製水 1200gに加え、約 60°Cまで加温する。これにコェンザィム Q (日清フアルマ製) 416gを添加して混合し、さらに高圧ホモジナイザー(処理圧力 70
0
Okg/cm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一なェマルジヨンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.39 mであった。
次いで、このェマルジヨンから、比較例 1と同様にして橙色の粉末組成物を得た。
[0039] [比較例 3]
オタテュルコハク酸滅粉ナトリウム (松谷化学工業製) 240g、デキストリン (松谷 化学工業製) 240gを精製水 1200gに加え、約 60°Cまで加温する。これにコェンザィ ム Q (日清フアルマ製) 320gを添加して混合し、さらに高圧ホモジナイザー(処理圧
10
力 700kgZcm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一なェマルジヨンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.45 mであった。
次いで、このェマルジヨンから、比較例 1と同様にして橙色の粉末組成物を得た。
[0040] [比較例 4]
オタテュルコハク酸滅粉ナトリウム (松谷ィ匕学工業製) I40g、デキストリン (松谷化学
工業製) 200g、乳糖 (DMV社製) 140gを精製水 1400gに加え、約 60°Cまで加温 する。これにコェンザィム Q (日清フアルマ製) 320gを添加して混合し、さらに高圧
10
ホモジナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一なェマルジ ヨンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.63 mであった。
次いで、このェマルジヨンから、比較例 1と同様にして橙色の粉末組成物を得た。
[0041] [比較例 5]
アラビアガム (伊那食品工業製) 800g、デキストリン (松谷化学工業製) 340gおよび グリセリン 60gを精製水 4000gに加え、約 60°Cまで加温する。これにコェンザィム Q
10
(日清フアルマ製) 800gを添加して混合し、さらに高圧ホモジナイザー(処理圧力 70 Okg/cm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一なェマルジヨンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.64 mであった。
次いで、このェマルジヨンから、比較例 1と同様にして橙色の粉末組成物を得た。
[0042] [比較例 6]
オタテュルコハク酸澱粉ナトリウム (松谷化学工業製) 800g、アラビアガム (伊那食 品工業製) 340gおよびグリセリン 60gを精製水 4000gに加え、約 60°Cまで加温する 。これにコェンザィム Q (日清フアルマ製) 800gを添加して混合し、さらに高圧ホモ
10
ジナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一なェマルジヨン を得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.81 μ mであった。
次いで、このェマルジヨンから、比較例 1と同様にして橙色の粉末組成物を得た。
[0043] [比較例 7]
デキス卜リン (松谷ィ匕学工業製) 690g、レシチン 50g、大豆油 400g、グリセリン 60g を精製水 4000g〖こカロえ、約 60°Cまで加温する。これにコェンザィム Q (日清フアル
10
マ製) 800gを添加して混合し、さらに高圧ホモジナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3
回)を通過させ、均一なェマルジヨンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.72 mであった。
次いで、このェマルジヨンから、比較例 1と同様にして橙色の粉末組成物を得た。し かし、当該ェマルジヨンの噴霧乾燥時に油性成分がベたつくなど作業性の面で問題 かあつた。
[0044] [比較例 8]
=3—ンスターチ 740g、デキストリン 400gおよびグリセリン 60gを精製水 4000gにカロ え、約 60°Cまで加温する。これにコェンザィム Q (日清フアルマ製) 800gを添加して
10
混合し、さらに高圧ホモジナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3回)を通過させた。しか し、処理直後はェマルジヨンを形成した力 すぐに分離してしまい、均一なェマルジョ ンを保持することができな力つた。
[0045] [比較例 9]
ヒドロキシプロピル澱粉(日澱化学製) 400g、デキストリン (松谷化学工業製) 340g 、カゼインナトリウム 400g、グリセリン 60gを精製水 4000gにカロ免、約 60oCまでカロ温 する。これにコェンザィム Q (日清フアルマ製) 800gを添加して混合し、さらに高圧
10
ホモジナイザー(処理圧力 700kgZcm2, 3回)を通過させ、微細且つ均一なェマルジ ヨンを得た。
このェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散乳化粒子の粒径を実施例 1と
10
同様に測定したところ、 50%粒径は 0.75 mであった。
次いで、このェマルジヨンから、比較例 1と同様にしてコェンザィム Q を 40質量%
10
含有する橙色の粉末組成物を得た。
[0046] [比較例 10〜12]
比較例 9におけるヒドロキシプロピル澱粉の代わりに、ァセチル化リン酸架橋澱粉( 比較例 10)、ァセチルイ匕酸化澱粉 (比較例 11)またはヒドロキシプロピル化リン酸架 橋澱粉 (比較例 12)を用いたこと以外は比較例 9と同様にして、コェンザィム Q を含
10 有するェマルジヨンを得た。これらェマルジヨン中のコェンザィム Q を含有する分散
10
乳化粒子の 50%粒径は、それぞれ 0.62 /z m (比較例 10)、 0.55 /z m (比較例 11)お
よび 0.48 m (比較例 12)であった。
次いで、これらェマルジヨンから、比較例 1と同様にしてコェンザィム Q を 40質量
10
%含有する粉末組成物を得た。
[0047] 試験例 1 ェマルジヨン安定性試験
実施例 1、 2、 3および 5、並びに比較例 1〜4の各コェンザィム Q 含有粉末組成物
10
lgを水 100mlに分散させ、分散液の平均粒径をレーザー回折'散乱法式粒度分布 測定装置 (MICROTRAC FRA;日機装社製)を用いて測定した。また、水への分散し やすさを目視で観察し評価した。得られた結果を下記の表 1に示す。なお、平均粒径 m)を上段に、分散しやすさを下記の基準により評価し、その結果を下段に示す。
:良好に分散する
+ :分散に時間を要する
+ +:分散にかなりの時間を要する
(40°Cガラス瓶包装) 上段;平均粒径 ( μ m)
[0048] [表 1]
保棚間
試料
開始時 2週間目 4週間目 6週間目
0.31 0.30 0.32 0.36 実施例 1
0.41 0.43 0.42 0.44 実施例 2
0.39 0.40 0.39 0.42 実施例 3
0.44 0.46 0.45 0.49 觌例 5
1.58
0.33 0.48 0.98
比較例 1 + +
+ + + +
(¾«が生じる)
1.62
0.39 0.52 1.06
比較例 2 + +
+ + + +
(沈殿が生じる)
1.75
0.45 0.60 1.29
比較例 3 + +
+ + + +
殺が生じる)
2.03
0.63 0.81 1.59
比較例 4 + +
+ + + +
(ί»が生じる)
[0049] 表 1の結果から、オタテュルコハク酸澱粉、デキストリンおよびグリセリンの組合せを 含有する実施例 1、 2、 3および 5では、これら組合せの 1つまたは 2つを他成分に置 換した比較例 1〜4と比較して水分散性が極めて良好であり、長期保存においてもそ の分散状態は良好に維持された。さらに、前記実施例では、長期保存において、水 分散時の平均粒径は良好に維持された。一方、これら比較例 1〜4では、長期保存 において水分散時の平均粒径の増大が見られ、保存 6週間では沈殿も生じ、長期保 存後の水分散性に問題があることが示された。
以上のことから、本発明の組成物は、コェンザィム Q を高含量で含有しているにも
10
かかわらず、長期保存後であっても水分散性に極めて優れ、且つ水分散時の平均 粒径についても安定的に維持されることが確認された。
[0050] 試験例 2 コェンザィム Q 安定性試験
10
実施例 2、 3および 5、並びに比較例 1、 2の各粉末組成物 lgを水 100mlに分散
させた分散液中のコェンザィム Q の残存率を測定した。
10
1)保存条件
保存温度 50°C、ガラス瓶気密容器、 0〜6週間保存
2)測定方法 HPLCを用いて以下の条件にて実施した。
検出器;紫外吸光光度計 (測定波長 : 275nm)
カラム; Hypersil ODS— 5 4.6mm X 15cm 移動相;メタノ'
水エタノール(13 : 7)
ガラス瓶包装開始時を 100%とした、残存率%を表 2に示す。
[0051] [表 2]
[0052] 表 2の結果から、実施例 1、 2、 3および 5では、長期保存においても組成物中のコ ェンザィム Q はほとんど分解せずに、安定的に保持された。一方、比較例 1〜2では
10
、保存後 4週間からコェンザィム Q の残存率が低下しはじめ、 6週間後ではコェンザ
10
ィム Q の約 10%が失われており、保存安定性に問題があることが示された。これら
10
のことから、本発明の組成物は、コェンザィム Q を高含量で含有しているにもかかわ
10
らず、コェンザィム Q の保存安定性についても顕著に優れることが確認された。
10
[0053] 試験例 3 ェマルジヨン 'コェンザィム Q 安定性試験
10
実施例 1のコェンザィム Q 含有粉末組成物、並びに比較例 5、 6、 7、 9、 10、 11お
10
よび 12の各コェンザィム Q 含有粉末組成物について、試験例 1および 2と同様にし
10
て、水に再分散した組成物のェマルジヨンの安定性および組成物中のコェンザィム Q の安定性について評価した。その結果を下記の表 3および 4に示す。
10
[0054] [表 3]
保棚間
試料
開始時 2週間目 4週間目 6週間目
0.31 0.30 0.32 0.36 雄例 1
1.91
0.64 0.88 1.43
比較例 5 + +
+ + + +
( が生じる)
1.78
0.81 0.98 1.29
比較例 6 + +
+ + + +
(沈殿が生じる)
1.50
0.72 0.96 1.33
比較例 7 + +
+ + + +
(沈殿が生じる)
1.56 2.12
0.75 0.82
比較例 9 + + + +
+ +
(沈殿が生じる) が生じる)
1.87
0.62 0.73 1.35
比删 10 + +
+ + + + +
(沈殿が生じる)
1.88
0.55 0.71 1.33
比棚 11 + +
+ + + + +
(沈殿が生じる)
2.32
0.48 0.69 1.21
比較例 12 + +
+ + + +
(«が生じる)
[表 4] 保存期間
試料
開始時 2週間目 4週間目 6 mfm目 実施例 1 100.0 99.9 98.0 97.8 比較例 5 100.0 96.8 92.9 89.5 比較例 6 100.0 95.8 93.7 87.3 比較例 7 100.0 96.1 93.9 89.7 比較例 9 100.0 97.9 94.1 87.8 比較例 10 100.0 98.1 94.4 88.4 比較例 11 100.0 97.3 94.1 88.7 比較例 12 100.0 96.2 93.8 88.5 表 3および 4の結果から、本発明のコェンザィム Q 含有組成物(実施例 1)と比較し
10
て、比較例 5、 6、 7、 9、 10、 11および 12の各組成物は、長期保存後では水に分散 し難ぐ分散時の平均粒径の増大していた。また、保存 4〜6週間では沈殿も生じるな
ど、長期保存後の水への分散安定性に問題があった。さらに、長期保存後 2〜4週 間力もコェンザィム Q の残存率が低下しはじめ、 6週間後では 90%未満となり、コェ
10
ンザィム Q の保存安定性にも問題があった。
10
[0057] 試験例 4 吸収性試験
実施例 1で得られた粉末および比較例 3で得られたコェンザィム Q 含有粉末をノ、
10
ードカプセルに充填し吸収性試験を行った。具体的には、各 1群 3頭 (雄)のビーグル 犬に、 1頭当たりそれぞれコェンザィム Q として 90mgZdogの投与量を単回強制投
10
与した。投与後 24時間まで一定時間ごとに血液を採取して血漿中のコェンザィム Q
1 濃度の経時推移を調査した。なお、ビーグル犬は前日午後 5時以降は絶食とし、水
0
分のみ摂取させ、試験当日は朝餌を与えずにカプセルを水分 100mlと共に強制投 与した。
[0058] コェンザィム Q の測定は HPLCを用い下記の条件で行った。また血清中には酸ィ匕
10
型及び還元型のコェンザィム Q
10が存在するので、両者の合計を算出した。
カラム: Nucleosil 5C18 4.6mm水 25cm
移動相:エタノール:ァセトニトリル (55 :45)
'. lmレ mm
検出器:紫外分光光度計 275nm
温度: 35°C 注入量:5 /z L
[0059] 得られたコェンザィム Q の血中濃度から、薬物動態パラメータ一として、最高血中
10
濃度、最高血中に到達するまでの時間および血中濃度一時間曲線下面積を求めた
。その結果を下記の表 5に示す。
[0060] [表 5]
(Mean土 S. D)
Craax ( μ g /ml) 最高血中濃度
traax (hr) 最高血中に到 るまでの時間
AUC (0→t) ( μ g /hr/ml) 血中濃度一時間曲線下面積
[0061] これら吸収性試験の結果、実施例 1の組成物は、比較例 3の組成物と比較して、コ ェンザィム Q の血漿中濃度から、絶食下で経口投与しても確実に、しかも高濃度に
10
コェンザィム Q が生体内に吸収されることが確認された。これらのことから、本発明
10
の組成物は、ノィォアベイラビリティ一に顕著に優れることが明らかとなつた。
[0062] [実施例 8]
大豆油(吉原製油製) 430g、グリセリン脂肪酸エステル 20g (理研ビタミン製)を混 合し、約 65°Cまで加温し溶解した。その後室温まで冷却し、実施例 2の粉末組成物 1 50gを添加し、撹拌して充填液を調製した。この充填液を用いて通常のソフトカプセ ルの製法により、 1カプセルあたり 300mgのソフトカプセルを調製した。このカプセル は、コェンザィム Q を 30mg含有していた。
10
[0063] [実施例 9]
L—カル-チン L—酒石酸塩 100g、結晶セルロース (旭化成製) 260g、乳糖 (DM V社製) 80g、 HPC (日本曹達製)(ヒドロキシプロピルセルロース) 10gを混合し、エタ ノール 80mLと共に練合機で通常の方法により 5分間練合する。練合終了後、 10メッ シュで篩過し、乾燥機中にて 50°Cで乾燥する。乾燥後、整粒し、顆粒を得た。この顆 粒に実施例 2の粉末組成物 150gを加え混合し、コェンザィム Q を含有する顆粒製
10
品を得た。この顆粒を 1.2g/包のスティック包装し、 1スティック中にコェンザィム Q
10 を 120mg含有する顆粒剤を得た。
[0064] [実施例 10]
結晶セルロース (旭化成製) 222g、乳糖 (DMV社製) 200g、 HPC (日本曹達製) ( ヒドロキシプロピルセルロース) 18gを混合し、エタノール 130mLと共に練合機で通 常の方法により 5分間練合する。練合終了後、 16メッシュで篩過し、乾燥機中にて 50 °Cで乾燥する。乾燥後、整粒して顆粒を得た。この顆粒に、ショ糖脂肪酸エステル( 三菱化学製) 10gを添加して約 1分混合し、次いで実施例 2の粉末組成物 150gを添 カロしてさらに混合し、打錠用粉末を調製した。この粉末を、打錠機を用いて打錠し、 1 錠 300mgの錠剤を調製した。この錠剤は 1錠当たりコェンザィム Q を 30mg含有して
[0065] [実施例 11]
実施例 2で得られた粉末組成物 250g、結晶セルロース (旭化成製) 580g、還元麦 芽糖(日研ィ匕成製) 130gを混合し、そこにショ糖脂肪酸エステル (三菱ィ匕学製) 40g を添加してさらに混合し、打錠用粉末を調製した。この粉末を、打錠機を用いて打錠 し、 1錠当たり 500mgの錠剤を調製した。この錠剤は、 1錠当たりコェンザィム Q を 5
10
Omg含有していた。
[0066] [実施例 12]
クェン酸(田辺製薬製) 1.0g、ブドウ糖液 (日本食品加工工業製) 200gを精製水 64 9gに室温で撹拌溶解させ、 pH3.0〜3.5に調整した。そこに実施例 2の粉末組成物 150gを添カ卩 ·溶解させ、コェンザィム Q を含有する均一な飲料組成物を得た。
10
[0067] [実施例 13]
実施例 2の粉末組成物 225g、ビタミン B 15g、 L—カル-チン L—酒石酸塩 30g 、結晶セルロース(旭化成製) 390g、乳糖 200M (DMV製) 230g、クェン酸(田辺製 薬製) 10gを 16メッシュで篩過し、粉末を得た。この粉末を 2号ノヽードカプセルに 1力 プセルあたり約 300mg (lカプセルあたり 30mgのコェンザィム Q 含有)充填し、コェ
10
ンザィム Q 含有ノ、ードカプセルを得た。
10
[0068] [実施例 14]
小麦粉 (強力粉) 120gとドライイースト 2gを混ぜる。他に、実施例 2の粉末組成物 2. 5g、砂糖 20g、食塩 3g、脱脂粉乳 6gを温湯 70gに溶かし、鶏卵 1個を添加してよく混 ぜ、そこにリンゴ酸 8gを添加し、さらに混合する。これを小麦粉に添加して、手でよく こねた後、バター約 40gをカ卩えてよくこね、 20個のロールパン生地を作る。次いで、 発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて 180°Cで約 12分焼き、ロールパン を製造した。このロールパンは、 1個当たりコェンザィム Q を約 50mg含有していた。
10
[0069] [実施例 15]
小麦粉 (強力粉) 200gとドライイースト 4gを混ぜる。他に、実施例 2の粉末組成物 2. 5g、砂糖 10g、食塩 4g、スキムミルク 10g、ショートニング 15gを水 150gに溶かし、両 者をよく混ぜる。次いで、発酵させた後、オーブンにて 150°Cで約 15分焼き、食パン を 10個を製造した。この食パン 1個当たりコェンザィム Q を約 lOOOmg含有していた
[0070] [実施例 16]
ノスタ用のミートソース一人前( 150g)を鍋に入れ、実施例 2の粉末組成物 150mg ( コェンザィム Q 60mg相当)をカ卩え、温めながら混ぜ、コェンザィム Q を含有する
10 10
パスタ用ミートソースを得た。このソースをバウチへ充填した後、窒素置換を行いなが らバウチを密封し、 121°Cで 15分間殺菌してコェンザィム Q 含有パスタ用ミートソー
10
スを得た。
[0071] [実施例 17]
お米 2合に実施例 8で製造したコェンザィム Q 含有ソフトカプセル 2個(コェンザィ
10
ム Q 60mg相当)をカ卩ぇ必要量の水と炊飯し、これを慣用の方法に従ってレトルト用
10
ノ^クに充填した後、窒素置換を行いながら密封し、 121°Cで 15分間殺菌を行って レトルトご飯を得た。このレトルトご飯は 1食分当たりコェンザィム Q 約 30mgを含有し
10
ており、また外観、味、食感ともに良好であった。
[0072] [実施例 18]
水 150gに実施例 2の粉末組成物 375mg、食塩 15gを分散させ、これを小麦粉(中 力粉) 300gとよく混ぜこねて寝かす。この後、生地を延伸し、幅約 5mmで切断して 3 食分のうどんを製造した。これを沸騰したお湯で約 10分茹でたところ、外観、味、食 感ともに良好であった。このうどんは、 1食分当たりコェンザィム Q 約 50mgを含有し
10
ていた。
[0073] [実施例 19]
牛乳 200mL、ゼラチン 4.5g、砂糖 45g、水 15gを混合し、火にかけ、ゼラチンを完 全に溶かす。溶けたことを確認後、実施例 2の粉末組成物 0.3g (コェンザィム Q 0.
10
12g)をよく混ぜて溶解させる。この後、この混合物を 4個のカップに流し込み、冷蔵 庫で 2時間以上冷やして固め、ミルクゼリーを得た。このミルクゼリーは、 1個当たりコ ェンザィム Q を約 30mg含有していた。
10
[0074] [実施例 20]
実施例 2の粉末組成物 15gと粉末状のオーガニック青汁(日清フアルマ製) 585gを 良く混ぜ、この後、 1食分当たり約 3gのスティック包装を得た。
この粉末青汁は、 1スティック当たりコェンザィム Q を約 30mg含有していた。
10
[0075] [実施例 21]
実施例 2の粉末組成物 1.5gをウーロン茶 1Lに溶かし飲料を得た。 lOOmL当たりコ ェンザィム Q を約 60mg含有していた。
10
産業上の利用可能性
[0076] 本発明によれば、グリセリン脂肪酸エステル等の合成乳化剤を用いなくとも、コェン ザィム Q を高含有量で含み、且つコェンザィム Q の安定性およびバイオアベイラビ
10 10
リティー(吸収性'生体利用率など)の点で優れたコェンザィム Q 含有組成物が提供
10
される。本発明の液体組成物はコェンザィム Q が高含量であるにもかかわらず、長
10
期間保存しても良好な乳化状態が維持される。また、本発明の固形組成物は長期間 保存しても、水などの水性液体に対する溶解または分散性が低下せず、水性液体に 加えることによって微細で且つ安定な水性組成物を形成しうる点で好適である。これ らの組成物は、空腹時であってもコェンザィム Q が確実に吸収されるという特徴を有
10
する。このため、本発明の組成物は、種々の形態の飲食品、医薬、化粧品および飼 料に添加'配合することができ、コェンザィム Q の高いバイオアベイラビリティ一が達
10
成される。