WO2005059090A2

WO2005059090A2 - マルチウェルプレート

Info

Publication number: WO2005059090A2
Application number: PCT/JP2004/018454
Authority: WO
Inventors: Akiko Nishimura; Takafumi Kajitani
Original assignee: Research Organization Of Information And Systems National Institute Of Genetics
Priority date: 2003-12-03
Filing date: 2004-12-03
Publication date: 2005-06-30
Also published as: US7682570B2; WO2005059090A3; JP4764972B2; JP2005185272A; US20070258863A1

Description

明細書マルチウヱルプレート技術分野

本発明はマルチウエルプレートに関する。より詳細には、微生物（菌体）、ファージ、 D N A、細胞などの運搬、保管などに有用な薄型マルチウヱルプレートに関する。背景技術

従来から、新薬開発のソースとして微生物の産生する物質が用いられており、そのような有用産物を産生する微生物の探索が行われて t、る。

また、昨今の遺伝子組換技術の発展により、有用物質の遺伝子を導入した微生物 (形質転換体）を培養することにより、有用産物の生産が行われるようになつている

更に、食品工業では、従前より微生物を用いた発酵により種々の食品の製造が行われてきた。

このように、医薬、生化学、食品、化学などの分野では、微生物が重要な働きをしており、クローン化された有用微生物は貴重な資源であることから慎重に保管されている。このような微生物は、通常、穿刺培養法、冷凍法、凍結乾燥法などにより保存されている。

上記の微生物を保管している研究機関などが、他の研究機関の求めに応じて、当該微生物を供給する際に微生物の運搬が行われる。微生物の運搬は、通常、微生物培養液を濾紙にスポットし、包装用ラップで包んで運搬したり、アンプルに収納した状態で運搬されている。また、微生物の数が多い場合には、マイクロタイタープレートに培養液を分注し、ビニールシートでシールして運搬したり、寒天培地にスポット植菌して運搬している。

なお、微生物用のマルヂゥヱルプレートとしては、特開 2 0 0 1— 2 1 8 5 7 5 号公報、特開 2 0 0 2— 1 9 9 8 7 4号公報などに記載のプレートが知られている。

しかし、上述の濾紙に吸着させて運搬する方法では雑菌が混入し易いし、運搬する微生物の数が多い場合には濾紙の枚数力、'増えて非効率的である。

また、マイクロタイタープレー卜、寒天培地又はアンプルで運搬する方法では、容器の破損の問題があると共に容器が破損した場合には微生物汚染の問題もある。更に、運搬物が嵩張ることも大きな問題点である。

上記の問題点を解消するため、本願出願人らは、薄型のマルチウヱルプレー卜を提案している（特願 2 0 0 3 - 3 5 9 5 3 4参照)。このマルチウエルプレートは所期の目的を達成し得る優れたものである。しかし、このマルチウヱルプレートを使用する場合、反転させて培地などに接触させレプリカする必要があった。そのため、マルチゥエルプレート上の菌体などとレプリカされた菌体などの位置関係が鏡像関係になるため、マルチウヱルプレートの菌体などの位置とレプリカされた菌体などの位置を誤認する可能性があつた。

本発明は係る問題点を解決するもので、多数の微生物を簡便に且つ安全に運搬 · 保管しえる薄型マルチウヱルプレー卜を提供すると共にマルチウヱルプレートとレプリカされたものの位置が対応する関係となるように工夫したマルチウ Xルプレートを提供するものである。発明の開示

本発明のマルチウヱルプレートは、シー卜の積層体からなるマルチウヱルプレー卜であって、当該積層体は複数の中空部を有し、各中空部には吸水性素材が保持されていることからなる。

本発明のマルチウヱルプレー卜の好ましい態様としては、

(a)ボトムシ一卜、（b)複数の透孔を有し、ボトムシー卜上に貼着された剥離シート、 (c)剥離シー卜の透孔に対応する位置に、剥離シー卜の透孔の径と略同じ径の透孔を有し、剥離シート上に貼着されたスぺーサーシート、（d)スぺ一サーシートの透孔に対応する位置に、スぺ一サーシートの透孔の径より小さな径の透孔を有し、スぺーサーシ一ト上に貼着された吸水性素材固定シ一ト、及び (e)吸水性素材固定シート上を覆うカバ一シートが順次積層され、上記のスぺ一サーシートの透孔内に、吸水性素材が吸水性素材固定シートに貼着されて保持されていることからなるマルチウ X ルプレート；

(a)ボトムシート、（b)複数の透孔を有し、ボトムシート上に貼着された剥離シート、 (C)剥離シ一卜の透孔に対応する位置に、剥離シ一卜の透孔の径と略同じ径の透孔を有し、剥離シート上に貼着された補助シート、（d)補助シートの透孔に対応する位置に、補助シートの透孔の径より大きな径を有し、補助シート上に貼着されたスぺーサーシート、（e)スぺ一サ一シ一卜の透孔に対応する位置に、スぺーサーシートの透孔の径より小さな径の透孔を有し、スぺ一サーシ一ト上に貼着された吸水性素材固定シート、及び (0吸水性素材固定シート上を覆うカバーシートが順次積層され、上記のスぺ一サ一シ一卜の透孔内に、吸水性素材が吸水性素材固定シートに貼着されて保持されていることからなるマルチウヱルプレート；及び

ボトムシ一ト、複数の透孔を有するスぺーサ一シ一ト及びスぺ一サ一シ一ト上を覆うカバーシー卜力、'順次積層されてなり、スぺ一サ一シ一卜の各透孔には吸水性素材を保持する保持手段が設けられており、当該保持手段により各透孔に吸水性素材が保持されていることからなるマルチウエルプレート；

が例示される。

更に、本発明のマルチウエルプレートは、包装容器に収納され密封された形態が好ましい。

上記のマルチウヱルプレー卜は、全体の厚みが 3 mm以下、通常は l mm以下、素材の選択によっては 0. 5 mm以下とすることができ、超薄型のマルチウヱルプレー卜である。図面の簡単な説明 '

図 1は、本発明のマルチウエルプレー卜の一例を示す平面概略図である。

図 2は、図 1の A— A線端面の部分拡大概念図である。

図 3は、本発明のマルチウエルプレー卜の変形例を示す部分拡大端面概念図であ。

図 4は、本発明のマルチウエルプレー卜の他の例を示す部分拡大端面概念図である。発明を実施するための最良の形態

以下、図面に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。本発明のマルチウエルプレートの一実施例を図 1及び 2に示す。図 1は本発明のマルチウエルプレー卜の平面概略図であり、図 2は図 1の A - A線端面の部分拡大概念図である。図 1及び図 2において、 1はボトムシート、 2は剥離シート、 3、 5及び 7は透孔、 4はスぺーサーシート、 6は吸水性素材固定シート、 8はカバーシート、 9は吸水性素材である。

なお、図 1及び図 2は、本発明の一例として 9 6ゥエルのマルチウヱルプレートを示しているが、ゥヱルの数は 9 6に限定されるものではなく、所望に応じて適宜な数でよく、例えば 6， 1 2、 2 4、 4 8、 3 8 4などが例示される（以下の例においても同様である）。

また、本明細書において、シートはフィルムを含む概念である。

図 1及び図 2において、ボトムシート 1は耐水性を有する材料、好ましくはブラスチック素材からなり、例えば P E T (ポリエチレンテレフ夕レート）、シリコーン、 P E (ポリエチレン）、 P P (ポリプロピレン）、 P S (ポリスチレン）などが例示され、特に自己粘着性を有する素材が好ましい。

ボトムシート 1の厚さは特に限定されず、剥離シート 2などを保持できる強度を有すればよく、通常 5 0〜1 0 0 m程度のシートが用いられる。

ボトムシート 1の上面には、脱着自在の接着剤が塗布されており、係る接着剤層 (図示は省略、以下同様）を介して剥離シート 2が貼着されている。なお、ボトムシート 1が自己粘着性を有する素材の場合には、上記の接着剤は使用しなくてもよい。剥離シート 2には、透孔 3がー列 8個で 1 2列形成されており、合計 9 6個の透孔 3が設けられている。

透孔 3の形状は円筒形にされ、径としては通常直径 5 m m程度とされるがこの径に限定されるものではない。透孔 3は通常円筒形とされるが、係る形状に特定されず、断面が矩形の孔であってもよい。なお、前述のように、係る透孔 3は後述する透孔 5と共にゥエルを形成するものであって、その数は 9 6個に限定されるものではない。

剥離シート 2の材質は特に限定されないが、簡便に剥離できる素材が好ましく、通常はフッ素系樹脂シートが用いられる。剥離シート 2の厚さは特に限定されず、通常は 3 0〜7 0 z m程度、好ましくは 5 0 m程度のシートが用いられる。

なお、剥離シート 2として、プラスチック素材でサポートされた剥離シートが市販されており、これを用いてもよい。

剥離シート 2の上面には、接着剤層を介してスぺーサーシート 4が貼着されている。スぺーサーシート 4には、剥離シート 2の透孔 3に対応する位置に、剥離シート 2の透孔 3と略同じ径の透孔 5が設けられている。

スぺーサーシート 4は耐水性を有する材料、好ましくはプラスチック素材からなり、例えば P E T、シリコーン、 P E、 P P、 P Sなど力、'例示される。

スぺーサーシート 4の厚さは、後述する吸水性素材 9の厚みと略同じ程度に調節され、通常 1 0 0〜： I 0 0 0 m程度、好ましくは 1 5 0〜 4 0 0 程度のシ一卜が用いられる。

スぺーサーシ一ト 4の上面には接着剤層を介して吸水性素材固定シート 6が貼着されている。吸水性素材固定シート 6にも、スぺーサーシート 4の透孔に対応する位置に、スぺーサーシート 4の透孔 5よりやや小さめの径を有する透孔 7が設けられている。より具体的には、透孔 7の径は、後述する吸水性素材 9の径よりも小さくなるように設計する。

吸水性素材固定シ一ト 6は耐水性を有する材料、好ましくはブラスチック素材からなり、例えば P E T、シリコーン、 P E、 P P、 P Sなどが例示される。

吸水性素材固定シ一卜 6の厚さは、後述する吸水性素材 9を支持できる程度のものであればよく、通常 5 0〜： I 0 0 0 z m程度、好ましくは 8 0〜4 0 0 程度、より好ましくは 1 5 0〜： L 8 0 ji/ m程度のシート力、'用いられる。

吸水性素材固定シート 6の上面はカバ一シート 8で全面が覆われている。カバーシー卜 8は前記ボトムシー卜 1と同じ材質 ·厚みのものが使用され、自'己粘着性を有するもの力、'好ましい。

ボトムシ一卜 1、透孔 3、 5及び 7並びにカバ一シート 8により、シート積層体の中空部が構成される。

前記のスぺーサーシ一ト 4の透孔 5内には吸水性素 ¼ 9が収納されている。吸水性素材 9はその上面周囲で吸水性素材固定シート 6に貼着されることにより支持されている。

吸水性素材 9は、運搬の対象物（例えば微生物含有液）を滲み込ませ、保持できる材質であれば特に限定されないか'、繊維状素材が好ましく、例えば濾紙、不織布、フェルトなどが例示される。吸水性素材 9の形状は、透孔 5に適合するような形状であればよく、前述のように透孔 3及び 5が直径 5 m m程度とされる場合には、吸水性素材 9は直径 3 m m程度に調製される。

上記の構成からなる本発明のマルチウヱルプレー卜を調製する際には、まずカバーシー卜 8の上に吸水性素材固定シー卜 6を貼着させ、次いでスぺ一サ一シ一ト 4 を貼着すると共に各透孔 7に吸水性素材 9を入れ、押圧することにより吸水性素材固定シート 6に貼着し、更に剥離シート 2及びボトムシート 1を順次貼着し、次いで全体を反転させることにより製造することができる。

図 3は、図 1及び 2に示されるマルチウヱルプレートの変形例を示し、同一の部材には同じ符号を付してある。

この例においては、スぺーサ一シ一ト 4と剥離シート 2の間に補助シー卜 1 0力、' 設けられている。この補助シート 1 0には、吸水性素材固定シート 6の透孔 7に対応する位置に透孔 3 aを有しており、当該透孔 3 aの径は透孔 7の径と同程度又はそれよりも小さく設計されている。それに合わせて、剥離シート 2に設けられている透孔 3の径も、上記透孔 3 aの径と略同程度にされている。補助シート 1 0の素材としては、前記吸水性素材固定シート 6と同様な素材が例示でき、その厚さは特に限定されず適宜な厚みのものを使用できる。

係る補助シート 1 0は、後述する本発明のマルチウエルプレートとの使用方法において、微生物含有液などを滲み込ませた吸水性素材 9力、'、当該プレートの運搬中に、ボトムシート 1上に落下することを防止するためのものである。吸水性素材 9 がボトムシート 1上に落下していると、使用時にボトムシート 1を剥離した際、当該吸水性素材 9がマルチウエルプレートから脱落するという問題が生じる。

本発明のマルチウヱルプレートの他の例を図 4に示す。図 4は、図 1に示されるマルチウエルプレートと略同様な外観を有するマルチウヱルプレー卜のゥヱル部分の端面拡大概念図である。なお、図 1及び図 2に示されるマルチウエルプレートと同一の部材については同じ符号を付してある。

この例のマルチゥヱルプレートは、ボトムシート 1、複数の透孔を有するスぺーサーシ一卜 1 1及び 1 2並びにスぺーサ一シ一ト上を覆うカバーシート 8が順次積層されてなり、スぺ一サーシート 1 1及び 1 2の各透孔には吸水性素材 9を保持する保持手段 1 3 a及び 1 3 bが設けられており、当該保持手段により各透孔 1 4に吸水性素材 9が保持されている。ボトムシート 1、スぺーサ一シート 1 1及び 1 2、吸水性素材 9並びにカバーシー卜 8は、図 1及び図 2に示されるマルチウヱルプレートと同様な素材が使用される。

より具体的には、ボトムシート 1上に複数の透孔 1 4を有する下部スぺサーシート 1 1及び上部スぺ一サーシート 1 2が順次貼着されている。下部スぺーサーシ ―ト 1 1及び上部スぺ一サ一シ一ト 1 2には、一対の切欠き凹部 1 3 a及び 1 3 b が透孔 1 4の円周方向に沿って設けられており、係る凹部 1 3 a及び 1 3 bに吸水性素材 9の端部が嵌め込孝れ保持される。即ち、凹部 1 3 a及び 1 3 bが吸水性素材 9の保持手段を構成している。なお、上記の例では、凹部 1 3 a及び 1 3 bで吸水性素材 9の保持手段をなしているが、それに代えて吸水性素材の側面を接着などの方法でスぺ一サーシ一ト 1 1及び 1 2に保持する方法であってもよい。

図 4に示されるマルチウヱルプレートの調製方法としては、例えば、ボトムシート 1上に、透孔 1 4に切欠き部 1 3 aを有する下部スぺ一サ一シート 1 1を貼着する。次いで各透孔 1 4の切欠き部 1 3 aに吸水性素材 9を配置し、その上に切欠き部 1 3 bを有する上部スぺーサ一シ一ト 1 2を貼着し、更にその上を力パーシート 8で覆うことにより製造することができる。

なお、上部スぺーサーシート 1 1及び下部スぺーサーシート 1 2は、例えば高周波溶接などの慣用の手段で融着させてもよい。

上述された本発明のマルチウエルプレートは、密封可能の容器（例えば、ポリ袋、ポリ容器等）に収容し、密封するのが好しい。容器としては、ポリ袋が簡便で好ましい。

以下、本発明のマルチウエルプレートの使用方法を、図 1及び図 2に示されるマルチウエルプレートを使用し、運搬対象物として微生物含有液を用いた場合で説明する。

上記のように、密封容器に収容されたマルチウヱルプレートは、慣用の滅菌手段 (例えば、電子線滅菌、ガンマ一線滅菌、高圧蒸気滅菌等）で滅菌する。この滅菌状態で、使用者に供給される。

使用者は、クリーンルームで容器を開封し、本発明のマルチウヱルプレートを取り出し、取り出した後、カバーシート 8を剥離する。

かくして、上面を開放した後、透孔 7を介して吸水性素材 9に微生物含有液を滴下し、滲み込ませて微生物（菌株）を保持する。微生物含有液は、通常、定常期まで培養 ·保存されている微生物を慣用の媒体（例えば、グリセリン溶液、生理食塩水等）に分散させた液が用いられる。微生物含有液の滴下量は適宜選択することができるが、通常 1 0 ^ 1程度とされる。

なお、本発明のマルチウヱルプレー卜には複数の吸水性素材 9が設けられているので、それぞれに異なった微生物（菌株）を保持することができる。即ち、添付図面の 9 6穴マルチウヱルプレー卜であれば、 9 6種類の微生物を保持することがでかくして、各吸水性素材 9に微生物を保持した後、カバーシート 8で吸水性素材固定シート 6の上面を覆う。カバーシート 8で覆うことにより、雑菌のコンタミネーションを防止すると共に孔相互間の混入を防ぐことができる。

カバーシート 8で被覆した後、前述の容器（好ましくはポリ袋）に収納し、開口部を慣用の密封手段（例えば、ヒートシール、密封チャック等）で密封し、運搬に供する。

運搬された本発明のマルチウヱルプレー卜は、受け取った使用者がクリーンルームで開封し、ボトムシート 1を剥離した後、慣用の固型培地に密着させ、当該培地上にレプリカすることにより、プレート上の全微生物を一度に培養することができこの際、マルチウヱルプレートに保持された微生物は、固形培地の上にそのままレプリカされるので、位置関係が明確にり、微生物の誤認を防止することができる。また、剥離シ一ト 2が付いた状態なので、培地に対する接着剤の影響を回避することができる。

なお、運搬対象物が P C R用検体などのような D N A試料の場合には、まず、各ゥエルに溶液（例えば、 P C R反応に使用する場合には P C R反応液）を充填した慣用のマルチウヱルプレートを用意する。次いで、本発明のマルチウヱルプレー卜のボトムシート 1 (剥離シート 2を有する場合には剥離シートも）を剥離し、スぺーサーシート（4又は 1 1 ) 又は補助シート 1 0の下面に存在する接着剤層の接着力を用いて、上述の慣用のマルチウヱルプレー卜上に密着させる。この際、慣用のマルチゥエルプレートの各ゥエルと吸水性素材 9の位置が対応するように密着させる。密着後、全体を反転させて、ゥエル中の溶液を吸水性素材 9と接触させ、吸水性素材 9中の D N A試料を溶液中に抽出する。この状態で暫く放置する（約 1 0分程度)。次いで、再度反転させて元の状態にし、遠心分離などの慣用の手段を用いて、吸水性素材 9中の D N A試料を溶液に移行させる。その後、本発明のマルチゥヱルプレートを脱離させ、ゥエル中の D N A試料は常法に準じて PCR処理などの目的とする処理工程に付す。

なお、上記の使用法において、微生物については特に限定されず、例えば大腸菌、枯草菌、酵母などが例示される。また、当該微生物は、組換遺伝子を含む形質転換体であつてもよく、更には組換遺伝子を有するファージが感染した微生物であつてもよい。更に、凍結保存が可能な微生物においては、適当な凍結保護剤（例えば、 DM S O等）を含む微生物含有液を、前記吸水性素材 9に滴下し、以下は上記と同様に密封した後、凍結処理をしてもよい。係る態様によれば、凍結状態で微生物を保管することが可能になる。

本発明のマルチウエルプレー卜は、微生物の運搬に供される他、動物細胞の運搬にも利用可能である。動物細胞は通常足場依存性を有するが、前記の吸水性素材 9 が動物細胞の足場として機能する。従って、動物細胞含有液を、前記の吸水性素材 9に滴下し、以下は上記と同様に密封することにより、動物細胞の運搬に供することができる。この際、当該動物細胞含有液に凍結保護剤を添加することにより、凍結状態で動物細胞を運搬し、また保存することも可能である。

動物細胞としては、慣用の株化細胞の他、組換遺伝子を含む動物細胞（形質転換体）であってもよい。係る形質転換体の調製に用いられる動物細胞としては、遺伝子組換技術で繁用される動物細胞、例えば、マウス線維芽細胞 C 1 2 7、チヤィニーズハムスター卵巣細胞 C H 0、サル C 0 S細胞などが例示される。

図 3及び図 4に示される本発明のマルチウヱルプレートも上記と実質的に同様な方法で使用することができる。産業上の利用可能性

本発明のマルチゥヱルプレートによれば、一枚のプレートで多数の微生物（又は動物細胞、 D N A試料など）を運搬することができるので極めて効率的であり、しかも運搬容器の破損による微生物の損失や微生物汚染の問題も解消でき、更に超薄型であるので嵩張らないという特長を有する。その上、ボトムシート（場合によつては剥離シート）を剥離した状態で培地に接触させてレプリカすることができるので、操作が極めて簡便であり、更にプレー卜を反転の必要がなく、菌体などの位置の誤認を防止することができるという格別の効果を奏する。

従来品に無い最大の特筆すべき利点は、使用時に本シートを従前のマルチウエルプレートなどに貼り付けて試料を回収するため、培養は勿論、 P C R増幅や形質転換実験などにも直接簡便に利用できることである。

また、そのまま— 8 0 保存が可能であるため、スペースの節約ができ、大量の試料保存に際しても、何台も超低温槽を設置する必要が無く、省エネや環境保護にも大きく寄与する。実施例

以下、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。

実施例 1

図 1及び 2に示されるマルチウエルプレートの調製

カバ一シートとして自己粘着性を有する P E製シート（F S K社製、 85mm x 145mm X 80 jw m) を用いた。

カバーシート上に、図 1に示されるように一列 8個で 1 2列の等間隔で設けた透孔（直径約 2 mm)を有する P E T製吸水素材固定シート（日東シール社製、 85mm X 145mm X 80 ^ m) を重ね合わせて貼着した。更に、吸水性素材固定シートの非貼着面にシリコン系接着剤（以下、接着剤は同じものを使用した）を均一に塗布した。吸水性素材固定シ一卜の接着剤面に、吸水性素材固定シー卜の透孔に対応する位置に透孔（直径約 5 m m) を有する P E T製スぺーサーシート（電気化学工業社製、 85mm 145mm X 150 fi m を、透孔の中心が略一致するように重ね合わせて貼着した。次いで、スぺ一サーシ一トの各透孔に、濾紙（直径約 3 mm、厚さ約 1 5ひ ^ m) を入れ、押圧することにより濾紙を吸水性素材固定シートに貼着させた。更に、スぺーサーシートの非貼着面に接着剤を塗布した。

上記スぺーサーシートの接着剤面に、スぺーサ一 'ンー卜の透孔に対応する位置に透孔（直径約 5 m m ) を有するフッ素樹脂製剥離.シート (85mm X 145mm X 50；" m) を、透孔の中心が略一致するように重ね合わせて貼着した。また、ボトムシートとして、カバーシ一トと同じものを使用し、それを剥離シ一トに全面に重ね合わせて貼着した。

次いで、上記の積層体を反転させることにより、図 1及び 2に示される本発明のマルチウヱルプレー卜を作製した。

得られたマルチウエルプレートは、ポリ袋 (220mm X 95mm)に収容し、開口部をヒートシールした後、電子線滅菌処理を行った。実施例 2

図 3に示されるマルチウヱルプレー卜の調製

カバ一シートとして自己粘着性を有する P E製シート（F S K社製、 85mm x 145mm X 80 ^m) を用いた。

カバーシート上に、一列 8個で 1 2列の等間隔で設けた透孔（直径約 3 mm) を有する P E T製吸水性素材固定シート（日東シーノレ社製、 85mm X 145mm X 180 m) を重ね合わせて貼着した。更に、吸水性素材固定シートの非貼着面にシリコン系接着剤を均一に塗布した。

吸水性素材固定シー卜の接着剤面に、吸水性素材固定シー卜の透孔に対応する位置に透孔 (直径約 4 . 2 mm) を有する P E T製スぺーサーシート（電気化学工業社製、 85mm x 145mm X 400 ^ m) を、透孔の中心が略一致するように重ね合わせて貼着した。次いで、スぺーサーシートの各透孔に、濾紙（直径約 4 mm、厚さ約 3 6 0 πι) を入れ、押圧することにより濾紙を吸水性素材固定シ一卜に貼着させた。更に、スぺーサーシートの非貼着面に接着剤を塗布した。

上記スぺーサ一シ一卜の接着剤面に、スぺーサーシ一卜の透孔に対応する位置に透孔（直径約 3 m m ) を有する P E T製補助シート（日東シール社製、 85mm X 145mm X 180 / m) を重ね合わせて貼着した。次いで、当該補助シートの非貼着面に接着剤を塗布した。

上記補助シートの接着剤面に、補助シートの透孔に対応する位置に透孔（直径約 3 mm) を有するフッ素樹脂製剥離シート (85mm X 145mm X 50 m)を、透孔の中心が略一致するように重ね合わせて貼着した。

また、ボトムシートとして、カバーシートとじものを使用し、それを剥離シ一卜に全面に重ね合わせて貼着した。次いで、上記の積層体を反転させることにより、図 3に示される本発明のマルチゥルプレートを作製した。

得られたマルチウヱルプレー卜は、ポリ袋 (220mm X 95mm)に収容し、開口部をヒートシールした後、電子線滅菌処理を行った。実施例 3

図 4に示されるマルチウヱルプレー卜の調製

ボトムシートとして自己粘着性を有する P E製シート（F S K社製、 85mm x 145mm X 80 ^ m) 用いた。

ボ卜ムシ一卜上に、一列 8個で 1 2列の等間隔で設けた透孔（直径約 3 mm) を有する P E T製下部スぺーサ一シート（日東シ一ノレ社製、 85mm X 145mm X 380 m) を重ね合わせて貼着した。なお、スぺーサーシートの各透孔には切欠き部（幅 0.6mm, 高さ 200 i m) が透孔の円周方向に沿って設けられている。

次いで各透孔の切欠き部に、濾紙（直径約 4 mm、厚さ約 360 m) を入れた後、上記下部スぺーサーシートと同様な切欠き部を有し、同様な素材からなる上部スぺ一サ一シ一トを貼着し、更にボトムシートと同じ素材からなるカバ一シ一卜で覆うことにより、図 4に示される本発明のマルチウエルプレ一トを調製した。

得られたマルチウヱルプレートは、ポリ袋 (220mm X 95mm)に収容し、開口部をヒートシールした後、電子線滅菌処理を行った。

Claims

請求の範囲

1 . シートの積層体からなるマルチウエルプレートであって、当該積層体は複数の中空部を有し、各中空部には吸水性素材が保持されていることを特徴とするマルチウエルプレート。

2 . (a)ボトムシート、（b)複数の透孔を有し、ボトムシート上に貼着された剥離シ —ト、（c)剥離シートの透孔に対応する位置に、剥離シートの透孔の径と略同じ径の透孔を有し、剥離シート上に貼着されたスぺーサーシート、（d)スぺ一サーシートの透孔に対応する位置に、スぺーサーシ一トの透孔の径より小さな径の透孔を有し、スぺーサーシ一ト上に貼着された吸水性素材固定シ一ト、及び (_e)吸水性素材固定シ

―ト上を覆うカバーシー卜が順次積層され、上記のスぺーサ一シ一トの透孔内に、吸水性素材が吸水性素材固定シートに貼着されて保持されていることからなる請求項 1記載のマルチウヱルプレート。

3 . (a)ボトムシート、（b)複数の透孔を有し、ボトムシート上に貼着された剥離シート、（c)剥離シートの透孔に対応する位置に、剥離シートの透孔の径と略同じ径の透孔を有し、剥離シート上に貼着された補助シート、（d)補助シートの透孔に対応する位置に、補助シートの透孔の径より大きな径を有し、補助シート上に貼着されたスぺ一サーシート、（e)スぺーサーシートの透孔に対応する位置に、スぺーサーシ一トの透孔の径より小さな径の透孔を有し、スぺーサ一シ一ト上に貼着された吸水性素材固定シート、及び (0吸水性素材固定シート上を覆う力パーシー卜が順次積層され、上記のスぺーサーシートの透孔内に、吸水性素材が吸水性素材固定シートに貼着されて保持されていることからなる請求項 1記載のマルチウヱルプレート。

4 . ボトムシート、複数の透孔を有するスぺ一サーシート及びスぺ一サーシート上を覆うカバーシ一卜が順次積層されてなり、スぺ一サーシ一トの各透孔には吸水性素材を保持する保持手段が設けられており、当該保持手段により各透孔に吸水性素材が保持されていることからなる請求項 1記載のマルチウヱルプレート。

5 . 包装容器に密封収容されている請求項 1から 4のいずれかに記載のマルチウエルプレート _n