JP2895924B2 - 使い捨て培養容器 - Google Patents

使い捨て培養容器

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はたとえば家畜受精卵移植技術における、取り
出した受精卵の体外での培養、体外受精卵の培養、さら
に2分割卵の培養などのための使い捨て培養容器に関す
る。
なお、本発明の培養容器は家畜受精卵移植技術分野だ
けでなく、広く一般の培養関連技術分野における培養容
器としても使用できる。
[従来の技術] たとえば受精卵などの培養のためには、従来は、培養
容器としてシャーレを用いており、その大きさは直径約
30〜100mm、深さ約10〜20mmである。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、本発明者の経験によれば受精卵などの
培養には、滅菌された小さな、理想的には直径約4〜20
mm、たとえば約10mm、深さ約5〜10mmの培養容器が適し
ており、これに反して前述のごとき大きなシャーレを用
いたばあいは、持ち運びによる受精卵の移動による卵傷
害が大きいことが懸念される。
また、家畜受精卵移植分野、たとえば牛の受精卵培養
においては、受精卵の個体識別ができ、同時に5〜15個
培養を行うことのできる持ち運びに便利な保管場所をと
らない培養容器が望まれている。
さらに、そのような要求を満たす培養容器であって、
なおかつ、使用するウェル以外のウェルの滅菌が維持さ
れる経済的に無駄のない培養容器が望まれている。
本発明は、前記不都合を解決しようとするものであ
り、滅菌された小さな、操作性のよい、ウェル毎に滅菌
が維持されうる培養容器を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明により複数のウェルが一列に接続されたウェル
プレートと、ウェルの開口を密封する滅菌シートからな
り、使用するウェル毎に滅菌シートを剥しうることを特
徴とする使い捨て培養容器が提供される。
前記培養容器においては、複数のウェルプレートと、
実質的に連続した滅菌シートとを有するマルチウェルプ
レートからなる構成、さらに前記マルチウェルプレート
において、滅菌シートに切断容易線が形成され、各々の
ウェルプレートが取外し自在である構成が好ましい。
すなわち、前記の目的を達成するために、本発明はウ
ェルがたとえば滅菌紙などの滅菌シートでシールされ、
滅菌シートを使用するウェルプレート毎に剥すことがで
きることを特徴とする。
また、本発明は前記滅菌シートがγ滅菌可能な一般的
にポリスチレンとポリエチレンとのラミネートフィルム
またはポリエチレンテレフタレートフィルムでできてい
ることを特徴とする。
また、ウェルの底が平坦であることを特徴とする。
[作用] 本発明の使い捨て培養容器は、列状のウェルを有する
ウェルプレートと滅菌シートとからなるので場所をとら
ず、操作性がよく、ウェル毎に滅菌が維持される。
[実施例] つぎに、本発明に係わるウェルプレートについて実施
例をあげ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明す
る。
第1図はマルチウェルプレートの全体を示す斜視図、
第2a図はウェルプレートの全体を示す斜視図、第2b図は
滅菌シートが一部除去されたウェルプレートを示す斜視
図、第3図はウェルプレート固定具の全体を示す斜視図
である。
第1図、第2a図、第2b図および第3図において参照符
号(1)はウェルを示し、数個のウェルが1つのユニッ
トを形成したものをウェルプレート(3)という。さら
に、数十個のウェルが1つのユニットを形成したものを
マルチウェルプレート(4)という。
第2a〜2b図に示されるように、本発明の使い捨て培養
容器は複数のウェル(1)が一列に接続されたウェルプ
レート(3)と、ウェル(1)の開口を密封する滅菌シ
ート(2)とからなり、使用するウェル(1)毎に滅菌
シート(2)を剥しうる構成を有している。
ウェル(1)の材料にはとくに限定はないが、γ滅菌
可能で、かつ細胞適合性がよく、光学的透明性にすぐれ
た材料が好ましい。そのような好ましい材料の具体例と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロ
ニトリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリ(4−メチルペンテン−1)などお
よびそれらを2種以上組合せた混合物などがあげられる
が、ポリスチレンおよびポリ(4−メチルペンテン−
1)が光学的透明度と生体適合性の点でとくに好まし
い。
滅菌シート(2)はシート状基材を有し、さらに必要
に応じ接着層を有している。
該シート状基材の材料にもとく限定はなく、上質紙、
樹脂でコーティングした紙なども用いることができる
が、γ滅菌可能な材料が好ましい。そのような好ましい
材料の具体例としては、ポリエチレンとポリスチレンと
のラミネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、ポリ塩化ビニルフィルムなどがあげられるが、ポリ
エチレンとポリスチレンとのラミネートフィルムが光学
的透明度およびウェルとの接着性の点でとくに好まし
い。
前記接着層の材料は樹脂系接着剤が必要にして充分な
接着性をうるために好ましいが、ウェルとシート状基材
を熱融着で接合するのが、工程が簡便となり、とくに好
ましい。ただし、この熱融着法を採用するときはウェル
とシート状基材が同じ素材であると接合力が強くなりす
ぎて好ましくなく、ウェルとシート状基材の材料の組合
わせを違えるように考慮する必要がある。
滅菌シート(2)が除去され培養に供せられたウェル
(1)の開口部には、通気性を有する蓋などが必要に応
じて適用される。
ウェル(1)の大きさとしては、直径約4〜20mmで深
さ約5〜10mmのものが、たとえば受精卵などを培養する
のに充分な大きさで、かつ、保管に場所をとらず、取扱
い時の動揺によってもウェル内の受精卵を損傷するおそ
れが少ないので好ましい。
また、ウェル(1)の底は平坦にすることが好まし
く、そうすることにより、たとえば受精卵の形態観察に
おいて輪郭、色調などが明瞭になるという利点がある。
さらに、本発明の培養容器は前記ウェル(1)が一列
に接続されたウェルプレート(3)とされているので、
たとえば第3図に示されるようなウェルプレート保持具
(6)を用いて、コンパクトにかつ機能的に保管するこ
とができる。
第1図に示される本発明の使い捨て培養容器は複数の
ウェルプレート(3)と、実質的に連続した滅菌シート
(2)とを有するマルチウェルプレートからなってお
り、滅菌シート(2)に切断容易線(5)が形成され、
各々のウェルプレート(3)が取外し自在になってい
る。
前記切断容易線(5)としては、ミシン目、滅菌シー
ト基材厚さより浅い切込みなどがあげられる。
第2a図および第1図からわかるように、ウェルプレー
ト(3)もマルチウェルプレート(4)も滅菌シート
(2)にてシールされている。また、第1図においては
ウェルプレート(3)はマルチウェルプレート(4)よ
り容易に取外しができるようにミシン目(5)が入って
いる。
なお、第3図において、ウェルプレート固定具(6)
はウェルプレート(3)を固定するものであり、刻印
(7)を有している。
本発明の使い捨て培養容器は、基本的には以上のよう
に構成されるものであり、つぎにその作用および効果に
ついて説明する。
第2a図の例において、ウェル(1)はγ滅菌可能で、
かつ細胞適合性がよく、光学的透明性にすぐれた材質ポ
リスチレンなどでできており、大きさが径約10mm、深さ
約10mmの培養容器である。培養容器が小さいことより、
持ち運びによる受精卵の移動による卵障害が防止され
る。
家畜受精卵移植分野、たとえば牛の受精卵培養におい
ては、受精卵は1頭の牛からは5〜15個採取されること
から、数個のウェルをもつウェルプレート(3)が1つ
または2つ使用される。
第2a〜2b図に示したウェルプレート(3)は、ウェル
(1)を8個有しており、大きさが縦・横・高さ各々約
80mm・10mm・10mmであり、持ち運びやすく保管場所をと
らない。
また、数頭の牛より受精卵を採取するばあいは、第1
図に示される例のごとき数十個のウェルを有するマルチ
ウェルプレート(4)が使用される。
第1図に示したマルチウェルプレート(4)では、使
用量にあわせてミシン目(5)より取外すことができ
る。
また、ウェル(1)は滅菌シート(2)によりシール
されており、使用する分のみ滅菌シート(2)を剥し培
養に使用することができる。そのため、経済的な無駄が
ない。滅菌シート(2)の材質は、図示された例では上
質紙55〜75g/m2、ラッカーコート5〜15g/m2を使用し、
溶着などによってウェルプレート(3)に取付けられて
いる。
また、第3図に示したウェルプレート固定具(6)に
は、受精卵の固体識別が可能となるよう刻印(7)が備
わっている。
培養時には、ウェルプレート固定具(6)にウェルプ
レート(3)をいくつか並べて行うばあいもあるし、ウ
ェルプレート(3)単独で行うばあいもある。また、ウ
ェルプレート固定具(6)は、ウェルプレート(3)の
持ち運びに有用である。
[発明の効果] 本発明によれば、持ち運びによる受精卵移動障害が防
止され、経済的に無駄がなく、小さくて持ち運びやす
く、培養時に保管場所をとらず、さらに所望により細胞
適合性がよく、光学的透明性にすぐれた培養容器を提供
することができる。
以上、本発明について実施例をあげて説明したが、本
発明はこの実施例にかぎられるものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲において種々の改良ならびに設計
の変更が可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
第1図はマルチウェルプレートの全体を示す斜視図、第
2a図はウェルプレートの全体を示す斜視図、第2b図は滅
菌シートが一部除去されたウェルプレートを示す斜視
図、第3図はウェルプレート固定具の全体を示す斜視図
である。 (図面の符合) (1):ウェル (2):滅菌シート (3):ウェルプレート (4):マルチウェルプレート (5):切断容易線 (6):ウェルプレート固定具 (7):刻印

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のウェルが一列に接続されたウェルプ
    レートが別体に複数個配置され、ウェル全部の開口面が
    滅菌シートで密封されて一体化したマルチウェルプレー
    トからなる培養容器であって、隣接するウェルプレート
    間に沿って滅菌シートに形成された切断容易線によっ
    て、各々のウェルプレートが取外し自在である使い捨て
    培養容器。
  2. 【請求項2】前記滅菌シートがポリスチレンとポリエチ
    レンとのラミネートフィルムまたはポリエチレンテレフ
    タレートフィルムからなる請求項1記載の培養容器。
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