JPH07289234A - シート状培養用容器 - Google Patents

シート状培養用容器

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JPH07289234A
JPH07289234A JP8341794A JP8341794A JPH07289234A JP H07289234 A JPH07289234 A JP H07289234A JP 8341794 A JP8341794 A JP 8341794A JP 8341794 A JP8341794 A JP 8341794A JP H07289234 A JPH07289234 A JP H07289234A
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JP
Japan
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frame
film
sheet
water
medium
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Application number
JP8341794A
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Inventor
Yasushi Yamada
泰 山田
Kiyoshi Oguchi
清 小口
Chizuko Oshina
千鶴子 大科
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH07289234A publication Critical patent/JPH07289234A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 枠部11a、11b、11cを有する基材1と、枠
部11a、11b、11cを密封するフィルム2とからなるシ
ート状培養用容器。 【効果】 一定面積の培地を容易に、また場合によって
は複数設置しうるシート状の培養用容器が低コストで得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシート状の培養用容器に
関し、特に一定面積の培地を容易に設置しうるととも
に、その培地を密封することのできるシート状の培養用
容器に関する。
【0002】
【従来の技術】試料中で微生物を培養する工程を含む微
生物学的試験で、特に多数の系における培養等を必要と
する試験において、培養容器として複数のウェルを設け
たプラスチック製マイクロプレートが通常使用されてい
る。例えば、ELISA等の免疫学的試験においては、
多数の小ウェルを設けたプラスチックプレートを使用す
るのが一般的である。このようなマイクロプレートを使
用する試験では、プレート上の各ウェルのそれぞれにお
いて微生物の培養等が行われる。しかしながら、このマ
イクロプレートは非常に高価なため、ユーザーには低価
格化の強い要望がある。
【0003】一方、ウェルとしては1つしかないが、安
価な培養容器として、従来より、ペトリ皿やシャーレが
使用されている。しかしながら、これらの容器は嵩張る
とともに、重量が大きいため、輸送や保管の面で改善が
望まれていた。
【0004】そこで、この問題を克服すべく、シート状
の培養容器が提案された。このシート状の培養容器は、
培地及び吸水性樹脂が塗布されたシート状の基材と、基
材側に吸水性樹脂が形成された透明なフィルムとからな
り、培地及び吸水性樹脂に微生物を接種し、その上にフ
ィルムを貼り付けることにより培養することができる。
従って、従来のペトリ皿やシャーレと比較して、軽く、
嵩張らないという利点があった。
【0005】しかしながら、このシート状の培養容器で
は、培地は単なる平面状のフィルムの上に設けられるた
め、一定の培地面積を確保するのが困難であり、実験に
おいて複数の培養容器を使用した際などに、正確な数値
をもって比較考量することができなかった。
【0006】また、このシート状の培養容器では、培地
は一つしか設けられていないため、マイクロプレートの
ように複数の培地を必要とする場合、接種操作はシート
一枚一枚について行わなくてはならず、操作が煩雑であ
った。仮に、この培養容器において複数の培地を設けた
としても、特に培地が液体の場合、培地が流れ出し、各
々の培地で独立した培養ができなくなるおそれがあっ
た。
【0007】さらには、このシート状の培養容器は密封
性に欠けるため、他の微生物による汚染や、水分蒸発に
よる培地乾燥というおそれがあり、培養容器自体をさら
にバリア性を有する袋状の容器に入れ、密閉する必要が
あるという煩雑さがあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、培地を確実に密封するのみならず、一定面積の培地
を容易に、また場合によっては複数設置することのでき
る培養用容器を低コストで提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、シート状の基材に枠部を設けれ
ば、一定面積の培地を設置することができ、また、枠部
を複数設けておけば、培地が液体の場合であっても、各
々の培地で独立した培養ができることを見出した。ま
た、毛細管現象を利用できるように基材に溝部を設けれ
ば、培地をピペット等で滴下することなく、溝部の一端
を液体培地に接触させるだけで、一定面積の培地を容易
に設置することができることを見出し、本発明に想到し
た。
【0010】すなわち、本発明は、枠部を有する基材
と、前記枠部を密封するフィルムとからなるシート状培
養用容器である。また、本発明は、毛細管現象を起こし
うる程度の幅を有する溝部と、前記溝部の途中に設けら
れた溜まり部とが形成された基材と、前記溝部及び溜ま
り部をラミネートするフィルムとからなるシート状培養
用容器である。
【0011】以下、添付図面を参照して本発明を詳細に
説明する。図1は本発明の一実施例によるシート状培養
用容器を示す概略斜視図である。このシート状培養用容
器は、3つのドーナッツ状の枠部11a、11b、11c及び
枠部の周りに形成された粘着部12を有する基材1と、そ
の基材1の全体を覆い、枠部11a、11b、11cを密封す
るフィルム2とからなる。
【0012】以下、各部材について詳細に説明する。 (a) 基材 基材1は、水不溶性のものであれば、いかなる材質から
なってもよいが、好ましくは水又は水蒸気非透過性のも
のを用いる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアル
コール共重合体、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポ
リ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチ
ラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリウレタン、ポリイミド、トリアセチルセルロー
ス等のポリマー、アルミニウム、ステンレス等の金属の
シート又はフィルム、上記ポリマーを表面にラミネート
した紙等の素材などから選択することができる。
【0013】基材1の大きさ、厚さ、形状は特に限定さ
れるものではなく、形成される枠部の大きさ、数、形状
や、行われる培養の手順に応じて、あるいは選択した材
料について適当な取扱性が得られるように設定すればよ
い。通常は、矩形平板状とするのが好ましく、例えば一
辺が0.5〜2cmの矩形や、長さが8〜15cmで幅が枠部と
同様である短冊形等で、厚さが0.1〜2mm程度のものが
一般的である。なお、培養における取扱いに応じて、柔
軟性を有しても有さなくてもよい。
【0014】基材1の色は、特に限定されず、培養する
微生物の種類や、培養の環境、あるいは観察のし易さ等
によって適宜選択すればよい。例えば、光を当てた状態
で微生物を培養する場合や、表のみならず裏からも微生
物を観察する場合などは、基材1を透明にするのが好ま
しく、一方、遮光した状態で微生物を培養する場合や、
白っぽくて見にくい微生物を観察する場合などは、基材
1を黒色等にするのが好ましい。
【0015】(b) 枠部 枠部11a、11b、11cは、いかなる方法によって形成し
てもよいが、例えば印刷等によって基材1の表面に形成
することもできるし、エンボス加工によって直接基材1
に凹凸を付け、枠部を形成することもできる。また、基
材1を成形する際に、あらかじめ枠部を形成しておくこ
ともできる。
【0016】枠部11a、11b、11cを印刷等によって形
成する場合、その枠部の材質としては、水不溶性であれ
ばいかなるものを用いてもよく、例えば、ポリメチルア
クリレート、ポリエチルアクリレート、ポリ-n-ブチル
アクリレート、ポリ-sec-ブチルアクリレート、ポリメ
チルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ
プロピルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレー
ト、ポリシアノアクリレートなどのアクリル系樹脂や、
バイロン(東洋紡(株)製)などのポリエステル系樹脂、
ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体な
どが挙げられる。
【0017】枠部を印刷する場合、通常の印刷物の印刷
に用いられる技術によって行えばよく、例えば、スクリ
ーン印刷法やグラビア印刷法を用いることができる。こ
のような印刷法によれば、大量生産ができ、容器の単価
を低く抑えることができるうえ、一定の大きさの枠部を
正確に、しかも多数形成することができる。また、枠部
の配置、形状、厚さ等は印刷版の形状によって容易に調
整することができる。
【0018】なお、枠部の形成は、このような印刷法に
限られず、ディスペンサー等によっても行うことができ
ることは、いうまでもない。本実施例においては、枠部
11a、11b、11cの形状はドーナッツ型としたが、枠部
の大きさ、形状、配置等は特に限定されず、所望の培養
が行うことができるように適宜設定すればよい。通常
は、枠部に囲まれる部分が直径3〜20mm程度の円形、又
は一辺が3〜20mm程度の矩形で、厚さ(高さ)が0.1〜5
00μm程度のものとするのが好ましい。この場合、枠部
内に設置することのできる培地(液体)の量は、0.005
〜0.1ml程度である。
【0019】(c) 粘着部 粘着部12は、フィルム2が枠部11a、11b、11cを密封
できれば、いかなる位置・形状で設けてもよく、例えば
本実施例のように、基材1の面上であって枠部11a、11
b、11cの周りに、帯状に設けることができるが、それ
以外にも、例えばフィルム2に粘着部を設けてもよい
し、各枠部11a、11b、11cの上端面に設けてもよい。
なお、本明細書における「密封」とは、他の微生物によ
る汚染を防止することができる程度の密封をいい、好ま
しくはさらに水又は水蒸気の出入が実質的にない程度、
すなわち培地中の水分が蒸発しない程度以上の気密性を
もった密封をいう。
【0020】粘着部12を形成する粘着剤としては、フィ
ルム2が枠部11a、11b、11cを密封できれば、いかな
る種類のものを用いてもよく、例えば、ブチルアクリレ
ートや2−エチルヘキシルアクリレート等の炭素数が2
〜12のアクリレート100重量部に対し、カルボキシル基
や水酸基、アミノ基等の官能基を含有するモノマーを2
〜15重量部共重合したポリマーに、粘着付与剤としてロ
ジン、キシレン樹脂、フェノール樹脂などを加え、メラ
ミン類、イソシアネート類、エポキシなどで架橋したも
のなどが挙げられる。
【0021】このような粘着部12は、枠部と同様に、印
刷法によって形成することができ、工程の簡略化のため
にも、上記枠部と同時に印刷によって形成するのが好ま
しい。なお、本実施例では、粘着部を設けることによ
り、フィルムと枠部とを密着させているが、フィルムで
枠部を密封できれば、いかなる方法を用いてもよい。例
えば、把持部材を用いてもよいし、フィルムと基材とを
巻き締めたり、熱融着させてもよい。
【0022】(d) フィルム フィルム2は、枠部11a、11b、11cを密封できれば、
いかなる材質であってもよいが、培地を乾燥させないた
めにも、好ましくは水又は水蒸気非透過性を有する透明
なものを使用する。また、フィルム2の材質は、培養す
る微生物の種類によって適宜選択することができる。例
えば、好気性菌を培養する場合は、未延伸ポリプロピレ
ンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、低密度ポリ
エチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、普通
セロハン等の酸素透過性フィルムを使用することがで
き、一方、嫌気性菌を培養する場合は、ポリ塩化ビニリ
デンフィルム、ポリエステルフィルム、エチレンビニル
アルコール共重合体フィルム等のガスバリヤ性フィルム
を使用することができる。
【0023】また、フィルム2の形状や厚さは、枠部11
a、11b、11cを密封できれば、特に限定されるもので
はない。通常は、基材と同様の形状とすればよく、厚さ
は5〜500μm程度とすればよい。
【0024】以上説明した本発明のシート状培養用容器
を使用する一例としては、まず、フィルム2を粘着部12
から剥がし、枠部の大きさに応じてマイクロピペット等
によって計量した液体培地を、各枠部11a、11b、11c
内に滴下し、フィルム2を元に戻す。そして実際に培養
する際に、フィルム2を剥がし、所望の微生物を培地に
接種し、フィルム2で枠部11a、11b、11cを密封し、
微生物を培養・観察すればよい。また、あらかじめ培地
で培養した微生物を、培地とともに枠部に滴下して、さ
らに培養してもよい。
【0025】このような本発明のシート状培養用容器で
は、各培地の面積が一定であるため、微生物の個数や、
増殖の具合等を正確な数値をもって比較考量することが
できる。また、各培地は密封されているため、他の微生
物による汚染がなく、当該培地が乾燥する心配もない。
【0026】次に、本発明の第二の実施例によるシート
状培養用容器を説明する。第一の実施例による培養用容
器では、培地の設置を、マイクロピペット等による滴下
によって行うことを念頭においたものであるが、第二の
実施例による培養用容器は、容器そのものを液体培地に
浸漬させ、枠部内のみに液体培地を残存させるものであ
る。
【0027】そのために、当該培養用容器では、基材1
において枠部11a、11b、11cに囲まれる各々の部分、
すなわち枠内の底面部分を親水性とする。枠部11a、11
b、11cは、親水性又は撥水性のいずれであってもよ
く、また基材1の枠部以外の部分は、親水性処理の方法
等にもよるが、撥水性であるのが好ましい。
【0028】枠内の底面部分を親水性にするには、(1)
基材1自体を親水性を有する材質から作製するか、(2)
基材1の表面全体又は枠内の底面に該当する部分が親水
性となるように表面処理を施した後、枠部等を形成する
か、(3)枠内の底面部分(及び枠部の内側面)に表面処
理を施す等の方法がある。
【0029】(1)の場合、基材1を形成する親水性の材
質としては、例えば、トリアセチルセルロースなどのセ
ルロース系樹脂などが挙げられる。(2)及び(3)の場合、
所望の位置に、親水性の材料を塗布したり、プラズマ処
理、EB、UVなどの電離放射線処理を施したりすれば
よい。親水性の材料としては、例えば、各種重合体等か
らなるスポンジ状の多孔体、澱粉、寒天、プルラン等の
多糖類、カゼイン、ゼラチン等のタンパク質、結晶セル
ロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、
ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアク
リル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリ
ドン等の各種ポリマー、これらに必要に応じて他のモノ
マーを共重合させたコポリマー、主としてポリエチレン
グリコール及びポリプロピレングリコールからなる第一
工業製薬株式会社からパオゲンの商品名で販売されてい
る製品、あるいはこれらを部分架橋したもの、アラビア
ゴム等の天然糊料等並びにこれらの混合物を使用するこ
とができる。
【0030】上記材料中、ポリビニルピロリドン、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、
パオゲン等は、親水性部分に液体培地を吸収させたとき
に、培地を増粘させる効果が高いため、これらの材料を
使用すれば、強固に培地を保持することができ、取扱時
に培地が離脱しにくくなる。
【0031】また、上記のように培地をより強固に保持
するという目的のためには、親水性の材料として、吸水
性ゲルを使用するのが特に好ましい。このような吸水性
ゲルとしては、ポリビニルアルコール/ポリアクリレー
ト系ゲル、架橋ポリアクリレート系ゲル、架橋ポリビニ
ルアルコール系ゲル、架橋ポリエチレンオキサイド系ゲ
ル、架橋ポリジエチルアクリルアミドゲル及び架橋ポリ
イソプロピルアクリルアミドゲル等の架橋ポリアクリル
アミド系ゲル、架橋ポリビニルピロリドン系ゲル、架橋
パオゲンゲル等がある。これらの吸水性ゲルは、単独で
又は混合して使用することができる。
【0032】上記のような吸水性ゲルを親水性材料とし
て用いる場合、通常は適当なバインダーと混合して使用
する。このようなバインダーとしては、例えば、ダイヤ
ナールBR−レジンの商標で三菱レイヨン株式会社から
販売されているアクリル系樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素系
樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン−ブタジエンラテッ
クス樹脂等の疎水性樹脂(水に不溶)、及びポリビニル
ピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等の両溶性
(水溶性であると同時に有機溶媒に可溶)の樹脂等が挙
げられる。これらのバインダーも、単独で又は混合して
使用することができる。
【0033】なお、プラズマ処理、EB、UVなどの電
離放射線処理は、常法によって行えばよい。枠部11a、
11b、11cや、基材1の枠部以外の部分を撥水性にする
場合は、それら自体を撥水性を有する材質で形成すれば
よい。そのためには、前述した枠部を形成する樹脂に、
撥水性付与材料を添加すればよい。このような撥水性付
与材料としては、シリコーン、ワックス、ポリテトラフ
ルオロエチレンなどのフッ素系界面活性剤、高分子表面
改質剤(例えば日本油脂(株)製の "モディパー" )が挙
げられる。それらの添加量は、樹脂に対して0.01〜15重
量%が好ましく、特に0.05〜10重量%が好ましい。添加
量が多すぎると、枠部と基材との密着性が不良になりや
すい。
【0034】具体的に、シリコーンとしては、アミノ変
成シリコーン、エーテル変成シリコーン、メルカプト変
成シリコーン、OH基含有シリコーンなどがあり、ワッ
クスとしては、ポリエチレングリコール、ポリテトラメ
チレングリコールなどがあり、また、シリコンパウダ
ー、ワックスパウダーなども使用することができる。フ
ッ素系界面改質剤としては、日本油脂(株)製のモディパ
ーFシリーズなどがあり、フッ素系界面活性剤として
は、(株)住友スリーエム製のフロラードシリーズなどが
ある。
【0035】このような本発明のシート状培養用容器に
培地を設置するには、前述した通り、容器そのものを液
体培地に浸漬させた後、引き上げればよい。これによっ
て、親水性の枠部内に一定量の液体培地が残存し、独立
した培地が容易にかつ確実に得られる。また、枠部や基
材における枠部以外の部分を撥水性にした場合には、さ
らに良好な効果が得られる。
【0036】このように培地を設置した後、所望の微生
物を接種し、フィルム2で枠部11a、11b、11cを密封
する。但し、このとき、表面張力により枠部の上端より
も上に飛び出していた液体培地が、枠部内に入りきらな
くてもよい。より好ましくは、図2に示すように、各々
の枠部11a、11b、11cを基材1の面方向に向かって3
層構造にし、真ん中の層11a’、11b’、11c’を吸水
性を有する材料で作製した吸水部とする(第三の実施
例)。この吸水部を設けることにより、余分の液体培地
を当該吸水部に吸収させることができる。
【0037】このような吸水性材料としては、前述した
吸水性ゲル等を使用することができ、同様に適当なバイ
ンダーと混合して使用することができる。この吸水性材
料は、枠部とともに印刷等によって形成することができ
る。なお、図2のように3層構造としなくても、基材1
上における枠部11a、11b、11cの外側に、吸水性の材
料からなる吸水部を設けても同様の効果が得られる。さ
らに、後述する実施例3のように、枠部自体を吸水性材
料を用いて形成しても同様の効果が得られる。
【0038】次に、本発明の第四の実施例によるシート
状培養用容器を説明する。図3は、第四の実施例による
シート状培養用容器を示す概略斜視図である。このシー
ト状培養用容器は、第一の実施例による培養用容器とほ
ぼ同様の構成をとり、基材1とフィルム2とを有する
が、基材1には、その一方の端まで延在している溝部13
aと、他方の端まで延在している溝部13bと、それらの
間に溝部13a、13bを円形に広げた溜まり部13cとが形
成されているとともに、溝部13a、13bと平行に粘着部
12a、12bが形成されている。
【0039】各々の溝部13a、13bは、液体培地が毛細
管現象を起こしうる程度の幅に形成されている。具体的
な幅としては、100〜5000μm程度が好ましく、特に500
〜1000μm程度が好ましい。溝部13a、13bの高さは5
〜500μm程度が好ましい。一方、溜まり部13cは、毛
細管現象によって吸い上げられた液体培地が満たしうる
程度の面積に形成されている。具体的な面積としては、
20〜100mm2程度が好ましい。
【0040】本実施例では、溝部13a、13b及び溜まり
部13cは、土手部材14a、14bによって形成されている
が、溝部及び溜まり部が形成できれば、いかなる手段に
よって形成してもよく、また複数形成してもよい。本実
施例のような土手部材14a、14bは、第一の実施例にお
ける枠部と同様にして形成することができる。このよう
な本発明のシート状培養用容器に培地を設置するには、
フィルム2で溝部13a、13b及び溜まり部13cをラミネ
ートした状態で、図4に示すように、溝部13a又は溝部
13bのいずれかを有する培養用容器の一端(図4では溝
部13aの端)を、液体培地3に沈める。このとき、毛細
管現象によって、液体培地3が溝部13aを通って溜まり
部13cに溜まり、それと同時に溝部13bから空気が抜け
る。液体培地3が溜まり部13cを満たしたら、培養用容
器を液体培地3から引き上げる。これによって、培地を
ピペット等で滴下する必要もなく、溜まり部13cに一定
量の培地を容易に設置することができる。
【0041】なお、この状態では溝部13a、13bが外気
に通じており、他の微生物による汚染や、培地の蒸発の
おそれがあるため、適当な材料によって各々の溝部13
a、13bに栓をするのが好ましい。このような材料とし
ては、いかなるものを使用してもよいが、例えば、楔状
の部材や、粘着テープ等を使用することによって溝部を
密栓することができる。
【0042】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳
細に説明する。 (実施例1)縦15cm、横15cm、厚さ200μmのポリスチ
レンシート上に、アクリル樹脂(ダイヤナールBRレジ
ン、三菱レイヨン(株)製)の50%メチルイソブチルケト
ン溶液を用いて、内径7mm、外径9mm、枠幅1mmの環状
パターンを、乾燥後厚さが100μmとなるように、スク
リーン印刷法により印刷した。また、上記環状パターン
の周りに、粘着剤(ユニダイン、綜研化学(株)製)を幅
2mm、厚さ100μmとなるようにスクリーン印刷法によ
り塗布し、厚さ50μmのポリプロピレンフィルム(トレ
ファン、東レ(株)製)をラミネートした。
【0043】被検菌としてBscherichia coli ATCC 2592
2 を選択し、寒天培地上で一夜培養した当該被検菌体を
滅菌生理食塩水で約108CUF/mlに懸濁し、これをミュー
ラー・ヒントンブロスを用いて1000倍に希釈した(約10
5CUF/ml)。フィルムを剥がし、得られた被検菌体接種
済みブロスをマイクロピペットを用いて10μlずつ環状
の枠内に滴下し、再度フィルムをラミネートした後、35
±1℃で20時間培養した。
【0044】(実施例2)縦15cm、横15cm、厚さ200μ
mのポリスチレンシート上に、アクリル樹脂(ダイヤナ
ールBRレジン、三菱レイヨン(株)製)50gと、フッ素
系高分子表面改質剤(モディパーF、日本油脂(株)製)
5gとの混合物の50%メチルイソブチルケトン溶液を用
いて、内径7mm、外径9mm、枠幅1mmの撥水性環状パタ
ーンを、乾燥後厚さが100μmとなるように、スクリー
ン印刷法により印刷した。
【0045】また、各々の上記撥水性環状パターンの周
りに、アクリル樹脂(セリコールメジウム、帝国インキ
製造(株)製)56gをシクロヘキサノン14gに加えて得ら
れた溶液に、吸水性ゲル(スミカゲル、住友化学(株)
製)30gを分散させたインキを用いて、内径12mm、外径
14mm、枠幅1mmの吸水性環状パターンを、乾燥後厚さが
100μmとなるように、スクリーン印刷法により印刷し
た。
【0046】さらに、上記吸水性環状パターンの周り
に、粘着剤(ユニダイン、綜研化学(株)製)を幅2mm、
厚さ100μmとなるようにスクリーン印刷法により塗布
し、厚さ50μmのポリプロピレンフィルム(トレファ
ン、東レ(株)製)をラミネートした。被検菌としてBsch
erichia coli ATCC 25922 を選択し、寒天培地上で一夜
培養した当該被検菌体を滅菌生理食塩水で約108CUF/ml
に懸濁し、これをミューラー・ヒントンブロスを用いて
1000倍に希釈した(約105CUF/ml)。
【0047】上記シート状培養用容器のフィルムを剥が
し、得られた被検菌体接種済みブロスに当該容器を数秒
間浸漬した後、再度フィルムをラミネートして、35±1
℃で20時間培養した。
【0048】(実施例3)縦15cm、横15cm、厚さ200μ
mのポリスチレンシート上に、アクリル樹脂(セリコー
ルメジウム、帝国インキ製造(株)製)56gをシクロヘキ
サノン14gに加えて得られた溶液に、吸水性ゲル(スミ
カゲル、住友化学(株)製)30gを分散させたインキを用
いて、内径7mm、外径9mm、枠幅1mmの吸水性環状パタ
ーンを、乾燥後厚さが100μmとなるように、スクリー
ン印刷法により印刷した。
【0049】また、上記環状パターンの周りに、粘着剤
(ユニダイン、綜研化学(株)製)を幅2mm、厚さ100μ
mとなるようにスクリーン印刷法により塗布し、厚さ50
μmのポリプロピレンフィルム(トレファン、東レ(株)
製)をラミネートした。被検菌としてBscherichia coli
ATCC 25922 を選択し、寒天培地上で一夜培養した当該
被検菌体を滅菌生理食塩水で約108CUF/mlに懸濁し、こ
れをミューラー・ヒントンブロスを用いて1000倍に希釈
した(約105CUF/ml)。
【0050】上記シート状培養用容器のフィルムを剥が
し、得られた被検菌体接種済みブロスに当該容器を数秒
間浸漬した後、再度フィルムをラミネートして、35±1
℃で20時間培養した。
【0051】(実施例4)縦15cm、横15cm、厚さ200μ
mのポリエチレンテレフタレートシート上に、アクリル
樹脂(ダイヤナールBRレジン、三菱レイヨン(株)製)
の50%メチルイソブチルケトン溶液を用いて、図3に示
すような形状の毛細管パターン(土手部)を、溝幅2m
m、乾燥後厚さが100μmとなるように、ディスペンサー
(ML−808i、武蔵エンジニアリング(株)製)を用
いて塗布した。
【0052】また、上記毛細管パターンの脇に、粘着剤
(ユニダイン、綜研化学(株)製)を幅2mm、厚さ100μ
mとなるようにスクリーン印刷法により塗布し、厚さ50
μmのポリプロピレンフィルム(トレファン、東レ(株)
製)をラミネートした。被検菌としてBscherichia coli
ATCC 25922 を選択し、寒天培地上で一夜培養した当該
被検菌体を滅菌生理食塩水で約108CUF/mlに懸濁し、こ
れをミューラー・ヒントンブロスを用いて1000倍に希釈
した(約105CUF/ml)。
【0053】上記シート状培養用容器の一端を、図4に
示すように被検菌体接種済みブロスに数秒間浸漬し、溜
まり部にブロスを吸収させた後、35±1℃で20時間培養
した。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、一定面積の培地を容易
に、また場合によっては複数設置しうるシート状の培養
用容器が低コストで得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例によるシート状培養用容器
を示す概略斜視図である。
【図2】 本発明の他の実施例によるシート状培養用容
器を示す概略断面図である。
【図3】 本発明の別の実施例によるシート状培養用容
器を示す概略斜視図である。
【図4】 図3に示すシート状培養用容器に培地を設置
する方法を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1・・・基材 11a、11b、11c・・・枠部 11a’、11b’、11c’・・・吸水部 12、12a、12b・・・粘着部 13a、13b・・・溝部 13c・・・溜まり部 14a、14b・・・土手部材 2・・・フィルム 3・・・液体培地

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1個又は2個以上の枠部を有する基材
    と、前記枠部を密封するフィルムとからなるシート状培
    養用容器。
  2. 【請求項2】 前記フィルムが、酸素透過性又は酸素非
    透過性であり、かつ水又は水蒸気非透過性であることを
    特徴とする請求項1記載のシート状培養用容器。
  3. 【請求項3】 前記基材において前記枠部に囲まれる部
    分が親水性であり、一方、前記枠部の少なくとも外側が
    撥水性であることを特徴とする請求項1記載のシート状
    培養用容器。
  4. 【請求項4】 前記枠部が、吸水性を有することを特徴
    とする請求項1記載のシート状培養用容器。
  5. 【請求項5】 前記枠部の外側に、吸水性を有する部分
    を設けることを特徴とする請求項1記載のシート状培養
    用容器。
  6. 【請求項6】 毛細管現象を起こしうる程度の幅を有す
    る溝部と、前記溝部の途中に設けられた溜まり部とが形
    成された基材と、前記溝部及び溜まり部をラミネートす
    るフィルムとからなるシート状培養用容器。
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