JPH0937765A - 培養装置 - Google Patents

培養装置

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JPH0937765A
JPH0937765A JP21552695A JP21552695A JPH0937765A JP H0937765 A JPH0937765 A JP H0937765A JP 21552695 A JP21552695 A JP 21552695A JP 21552695 A JP21552695 A JP 21552695A JP H0937765 A JPH0937765 A JP H0937765A
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JP
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water
sheet
culture
resin
cover film
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JP21552695A
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Kayoko Miyake
佳代子 三宅
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物の培養装置において、保存性があり、
培養の操作が簡便で、被検液を接種するだけで所定の面
積に広げられ、均一に分散した明瞭なコロニーを形成で
き、正確な菌数測定が行えると共に、釣菌も容易に行え
るという多目的に利用できる培養装置を提供する。 【解決手段】 防水性の基材シート2と、これに被せら
れる水分不透過性で透明なカバーフィルム6とを備え、
そのいずれか一方の内面、または両方の内面に水不溶性
樹脂と吸水性樹脂との混合物からなる吸水層3a 又は3
b を積層し、更に、該基材シート2側の内面に微生物の
培養基を付着させた所定寸法の繊維質シート4を設けて
培養装置1を構成する。特に、水不溶性樹脂として、ア
クリル系樹脂や環状ポリオレフィン系樹脂を用いること
により、吸水層3a 又は3b の被積層材への接着性が向
上し、被検液の広がり面積の一定化を確実にできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、菌数検査などに用
いられる微生物の培養装置の技術に関し、更に詳しく
は、長期保存が可能で、且つ、使用時の操作が簡便で、
菌数測定の精度に優れると共に、釣菌も可能という利用
範囲の広い培養装置の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】食品などの微生物の数を測定する方法と
して、従来から行われているものに寒天平板混釈法があ
る。この方法は、予め滅菌したシャーレに、高圧蒸気滅
菌した後温度を約45℃とした寒天培地と、別に準備し
た試料液とをそれぞれ所定量分注し、十分に混釈して放
置後、培地が凝固したことを確認して、これを孵卵器な
どに入れて培養し、所定時間後にシャーレの中に発育し
たコロニー数を計数するものである。しかし、この方法
の場合、寒天培地を高圧蒸気滅菌するためのオートクレ
ーブや、一連の微生物検査を無菌的に行うことのできる
検査室が必要であり、また、微生物のサンプリングから
試料液の調整、分注、培地との混釈、培養、計数に至る
微生物検査の操作には熟練を要し、初心者が正確に行う
ことは難しいものであった。
【0003】そこで、簡便に、且つ、高度の熟練を必要
とすることなく、微生物検査を行える方法が研究された
結果、培養装置の一つとして乾燥培地なるものが開発さ
れ、使用されている。このような培養装置としては、例
えばペトリフィルムプレート〔スリーエム社商品名〕や
BACcT〔島久薬品(株)商品名〕などがある。
【0004】前者のペトリフィルムプレートは、防水性
の平板とこれに重なるカバーフィルムとからなり、相対
するそれぞれの内面には、接着剤を塗布し、更にその上
に冷水可溶物質(ゲル化剤)の粉末と培地成分、或い
は、冷水可溶物質(ゲル化剤)の粉末を散布し、その
後、余分な粉末を払い落とすことにより、乾燥培地を形
成したものであり、これを更に滅菌して製品としたもの
である。そして、その使用方法の概略は、先ず前記平板
に重ねられたカバーフィルムフィルムを持ち上げ、平板
上に接着剤層を介して形成された培地成分と冷水可溶物
質とからなる乾燥培地上に被検液を所定量接種し、その
後、カバーフィルムを降ろし、その上からプラスチック
製のスプレッダーで押さえて被検液を円形且つ均等に広
げて吸収させる。約1分ほどで冷水可溶物質であるゲル
化剤が凝固するので、凝固したらそのままの状態で孵卵
器に収納し、所定の温度および時間で培養し、発生した
コロニー数を計数するものである。
【0005】また、後者のBACcTは、防水性の平板
とこれを覆う透明カバーフィルムとを有し、その防水性
平板のカバーフィルムと相対する側の面には、固着剤の
溶液中に冷水可溶性ゲル化剤と微生物培養基の混合物を
添加して泥状に混練した塗布液を塗布、乾燥して被覆を
形成し、その上の少なくとも一部に繊維質吸水性シート
を積層し、また、カバーフィルムの防水性平板に相対す
る側の面には、固着剤の溶液中に、冷水可溶性ゲル化剤
と微生物培養基の混合物、または、冷水可溶性ゲル化剤
を添加して混練した塗布液を塗布、乾燥して被覆を形成
した後、これらを滅菌して製品としたものである。この
BACcTの使用法は、防水性の平板を覆うカバーフィ
ルムを持ち上げ、防水性平板上の冷水可溶性ゲル化剤と
微生物培養基の混合物の被覆層上に積層された繊維質吸
水性シート上に被検液を所定量接種する。その後、カバ
ーフィルムを降ろす。これにより被検液は繊維質吸水性
シートの繊維の重なりによる毛細管現象により、吸水性
シート全体に拡散し、微生物の培養基が溶解し、冷水可
溶性ゲル化剤が吸水してゲル化する。この時繊維質吸水
性シートの繊維はゲルの中に包み込まれ、或いはゲルに
粘着する。その後、孵卵器に入れ、所定の温度と時間で
培養し、発生したコロニー数を計数するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような培養装置
は、微生物の培養を行う際に、その都度ペトリ皿や培地
を用意する必要がない点で、使用上の便利性を有してい
る。しかし、前者の場合、その使用方法は、カバーフィ
ルムを持ち上げ、平板上に接着剤層を介して形成された
培地成分と冷水可溶物質とからなる乾燥培地上に被検液
を所定量接種し、カバーフィルムを降ろした後、その上
からプラスチック製のスプレッダーで押さえて被検液を
均一に広げ、スプレッダーを約1分間乗せたままにして
冷水可溶物質に水分を吸収させ、ゲルを形成すると同時
に培地成分を溶解させるものである。このためスプレッ
ダー1個では、1分間に一つの試料しか処理できず、ま
た、スプレッダーがずれると被検液が乾燥培地上に更に
広がってしまうという不都合が生じる。
【0007】また、後者の場合は、前記したように防水
性平板側の繊維質吸水性シート上に被検液を滴下するこ
とにより、繊維間の毛細管現象でシート全体に被検液が
広がり、その下の冷水可溶性ゲル化剤のゲル化と培養基
の溶解が行われる。この時、繊維質吸水性シートの繊維
はゲルの中に包み込まれ、或いはゲルに粘着されてい
る。従って、被検液の広がり領域は略一定にできるが、
菌体は、繊維質吸水性シートの繊維の中に入り込んでお
り、シート内で増殖が進行する。この時、実質的に使用
されている水溶性の固着剤が溶解してゲルの表面に存在
し、これにより、発生したコロニーが滲んだ状態となり
不鮮明となる。このため特に、菌体が接近して増殖した
場合には、計数が難しくなるという問題がある。また、
繊維質吸水性シートがゲル中に包み込まれ、或いはゲル
に粘着しているため、培養後、釣菌の必要がある場合で
もカバーフィルムを持ち上げると繊維質吸水性シートが
破壊され釣菌ができないという問題もある。
【0008】本発明は、上記のような問題点を解決し、
培養の操作が簡便で、被検液の接種に際して、スプレッ
ダーなどの器具を使用することなく、所望の面積に確実
に広げることができ、且つ、発生したコロニーを明確に
判別でき、菌数測定の精度に優れると共に、培養装置と
して保存性もあり、必要な場合には釣菌も容易に行うこ
とができるという利用範囲の広い微生物の培養装置を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題は下記の本発
明により解決される。即ち、本請求項1の発明は、防水
性の基材シートと該基材シート上に被せられる水分不透
過性で透明なカバーフィルムとを備え、該基材シートと
カバーフィルムのいずれか一方の内面、または両方の内
面に、水不溶性樹脂と吸水性樹脂との混合物からなる吸
水層を積層し、更に、該基材シート側の内面に微生物の
培養基を付着させた所定面積の繊維質シートを設けた微
生物の培養装置である。
【0010】そして、本請求項2の発明は、前記水不溶
性樹脂がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項
1に記載の微生物の培養装置からなる。また、本請求項
3の発明は、前記水不溶性樹脂が環状ポリオレフィン系
樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の微生物の
培養装置からなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、実施例の図面に基づき、
本発明の実施の形態について説明する。図1、図2、図
3は、それぞれ本発明の培養装置の一実施例の構成を示
す模式断面図である。尚、本発明はこれらに限定するも
のではない。図1の培養装置1は、基材シート2上にコ
ロニーの計数を容易にするための枡目柄(図示せず)を
印刷し、その上に水不溶性樹脂と吸水性樹脂との混合物
からなる吸水層3a を積層し、更にその上に所定の面積
の培養基付き繊維質シート4を設けて本体シート5a を
構成し、その上に、カバーフィルム6の一方の面に前記
基材シートに積層したものと同じ組成の吸水層3b を積
層して構成したカバーシート7を、その吸水層3b が本
体シート5a の培養基付き繊維質シート4に接するよう
に重ね合わせて置き、該カバーシート7が開閉できるよ
うにその一端を接合部8で本体シート5a と熱接着或い
は接着剤などを用いて接合した構成である。
【0012】図2の培養装置1は、前記図1の培養装置
では吸水層を基材シートとカバーフィルムの両方に積層
したのに対して、基材シート2のみに吸水層3a を積層
している点で相違し、その他は図1の培養装置と同じ構
成である。即ち、図2の培養装置1は、基材シート2上
に枡目柄(図示せず)を印刷し、その上に吸水層3a を
積層し、更にその上に所定の面積の培養基付き繊維質シ
ート4を設けて本体シート5a を構成し、その上に、カ
バーフィルム6を本体シート5a の培養基付き繊維質シ
ート4に接するように重ね合わせて置き、該カバーフィ
ルム6が開閉できるようにその一端を接合部8で本体シ
ート5a と接合した構成である。
【0013】また、図3の培養装置1は、前記図2の培
養装置では吸水層を基材シートのみに積層したのに対し
て、カバーフィルム6のみに吸水層3b を積層している
点で相違し、その他は図2の培養装置と同じ構成であ
る。即ち、図3の培養装置1は、基材シート2上に枡目
柄(図示せず)を印刷し、その上に所定の面積の培養基
付き繊維質シート4を設けて本体シート5b を構成し、
その上に、カバーフィルム6の一方の面に吸水層3b を
積層して構成したカバーシート7を、その吸水層3b が
本体シート5b の培養基付き繊維質シート4に接するよ
うに重ね合わせて置き、該カバーシート7が開閉できる
ようにその一端を接合部8で本体シート5b と接合した
構成である。
【0014】尚、上記図1〜図3に示したそれぞれの培
養装置1において、カバーシート7またはカバーフィル
ム6は、本体シート5a または5b と接合せずに別体と
して用いることもできる。只、培養中などに位置ずれを
生じた場合、落下菌による汚染や、吸水層ゲルの水分の
蒸発などの問題が発生するため接合しておくことが好ま
しい。また、基材シート2或いはカバーフィルム6に吸
水層3a または3b を積層する際、その接着力が弱い場
合には、接着性を向上させるために、基材シート2或い
はカバーフィルム6の積層面に従来公知のコロナ放電処
理を施したり、更にプライマーコートを行うなどの前処
理を施すことができる。
【0015】以下に本発明の培養装置の構成材料などに
ついて説明する。基材シート 基材シート2は、防水性を有することが必要であり、例
えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、
ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなど
のプラスチックシート、或いは、これらの積層体が使用
できる。これらのプラスチックシートは、無着色の透明
でもよいが、白色に着色したものが生育させたコロニー
を観察し易く、計数し易い点で好ましい。プラスチック
シート以外では、耐水加工を施した紙も使用可能であ
り、例えば、紙に合成樹脂を塗布または押し出しコート
したもの、或いは、プラスチックフィルムをラミネート
したものなどが使用できる。
【0016】基材シート2は、カールなどがなく平坦で
あることが好ましく、その厚さは、特に限定はされない
が、通常、50〜500μm程度の範囲であり、80〜
300μm程度がより好ましい。基材シート2には、予
め水に不溶性で微生物の生育に影響を与えないインキで
枡目柄を印刷しておくことが、コロニーの計数を容易に
する点で好ましい。印刷の版式は、特に限定されず何で
もよいが、着色剤、樹脂、溶剤などの選択範囲が広い
点、および、後加工で吸水層3a などを積層する際、ロ
ール状で連続的に加工する方が生産性がよく、これらを
考慮して巻取り印刷の可能な輪転グラビア印刷などが好
ましい。枡目の大きさは、通常、縦、横ともピッチ1c
m程度が適当である。
【0017】カバーフィルム カバーフィルム6は、防水性、水蒸気不透過性を有する
と同時に、微生物の培養後、カバーフィルム6を通して
コロニーを計数するのが一般的であるため透明であるこ
とが好ましく、例えば、前記基材シート2で挙げたよう
なポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ
スチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどのプ
ラスチックフィルムを使用することができる。また、培
養試験の際、カバーフィルム6は、本体シート5a 、5
b から持ち上げて被検液を滴下するため、適度の柔軟性
を有する材質および厚さのものが好ましい。従って、カ
バーフィルム6の厚さは、10〜200μm程度が好ま
しく、20〜100μm程度が更に好ましい。
【0018】尚、上記基材シート2またはカバーフィル
ム6に吸水層3a または3b を積層する場合、これらが
適度に接着する必要があり、接着性が不足する場合に
は、基材シート2またはカバーフィルム6の積層面にコ
ロナ放電処理やプライマーコートなどの前処理をするこ
とが好ましい。このほか、基材シート2およびカバーフ
ィルム6は、培養する微生物の種類により、適した気体
透過性、主に酸素透過性を有することが好ましく、前記
水蒸気不透過性と併せて判断すると、少なくとも基材シ
ート2とカバーフィルム6のいずれか一方には、ポリエ
チレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを用いる
ことが好ましい。
【0019】吸水層 本発明の培養装置1において、基材シート2とカバーフ
ィルム6のいずれか一方の内面、または両方の内面に積
層する吸水層3a 、3b は、水不溶性樹脂と吸水性樹脂
との混合物で形成される。そして、その形成方法は、例
えば、水不溶性樹脂をバインダーとして、これを有機溶
剤で溶解して溶液とし、その中に吸水性樹脂を微粒子状
に分散させて塗布液とし、これをロールコート、コンマ
コート、エアナイフコート、カーテンコート、スプレー
コートなどの公知の塗布手段により基材シート2もしく
はカバーフィルム6に塗布し、乾燥することにより形成
できる。この時、吸水層3a 、3b は、水不溶性樹脂に
より吸水性樹脂が海島状に塗布面に固着された状態で形
成される。このように形成することにより、最終的に培
養装置に仕上げ、培養基付き繊維質シート4上に被検液
を接種した際、吸水層3a 、3b は、繊維質シート4と
接する面積の範囲内でのみ被検液の水分を吸水層3a 、
3b 中の吸水性樹脂が吸収し、膨潤して表面に露出し、
均一なゲルを形成する。従って、繊維質シート4と接し
ない部分の吸水層3a 、3b には被検液の水分が広がら
ず、所定の面積内で効果的にゲルが形成され、そこに微
生物が捕捉されて、培養が良好に行われるようになる。
【0020】このような吸水層3a 、3b の吸水性樹脂
は、機能として培養の際に接種される被検液の水分を速
やかに吸収してゲルを形成できるものが好ましく、具体
的にはポリエチレンオキシド、架橋ポリジエチルアクリ
ルアミドや架橋ポリイソプロピルアクリルアミドなどの
架橋ポリアクリルアミド系樹脂、ポリN−ビニルアセト
アミド、ビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体、架
橋ポリビニルピロリドン系樹脂、架橋ポリビニルアルコ
ール系樹脂などのほか、カルボキシメチルセルロース、
カラギーナン、グアールガム、キサンタンガムなどが挙
げられ、これらを単独、または混合して使用することが
できる。
【0021】そして、上記の吸水性樹脂を分散させる母
材となる水不溶性樹脂は、吸水層3a 、3b の被積層材
である基材シート2やカバーフィルム6に吸水性樹脂を
島状に固着させると同時に、培養に際して接種された被
検液が、繊維質シート4に浸透、拡散して吸水層3a 、
3b に達した時、繊維質シート4の面積を超えて水平方
向に広がるのを防止する機能を果たすものであり、この
点から水不溶性であり、且つ、疎水性であることが好ま
しい。このような水不溶性樹脂としては、例えば、各種
のポリ(メタ)アクリレート及びその共重合体などのア
クリル系樹脂、そして、エチレン成分と環状オレフィン
成分とからなる環状オレフィン系ランダム共重合体、ま
たは、1種以上の環状オレフィン成分からなる開環重合
体もしくはこの水素化物などの環状ポリオレフィン系樹
脂、その他ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラールな
どのポリビニルアセタール系樹脂、スチレン−ブタジエ
ン共重合体などのスチレン共重合系樹脂などが使用でき
る。
【0022】このような吸水層3a 、3b の厚さは、使
用する吸水性樹脂の種類により、吸水能力が大幅に異な
るため一律には決められないが、通常、乾燥時の塗布量
として10〜100g/m2 程度の範囲が好ましく、3
5〜80g/m2 の範囲が更に好ましい。只、吸水層を
基材シート2とカバーフィルム6の両方の内面に積層す
る場合には、両者の合計塗布量がこの範囲にあればよ
い。吸水層の塗布量が10g/m2 (固形分)未満の場
合は、水分吸収能力が不足傾向となり、また、水分吸収
に時間もかかり好ましくない。また、塗布量が100g
/m2 (固形分)以上は、その必要性がなく、材料の無
駄及び生産性の低下を招くため好ましくない。
【0023】培養基付き繊維質シート 本発明の培養装置1において、本体シート5a 、5b の
最上層に所定の面積で設ける培養基付き繊維質シート4
は、不織布や漉き紙のような繊維質シートに、微生物の
培養基を培養に必要な量だけ付着させたものである。そ
して、培養に際して被検液がその上に接種されると、繊
維間の毛細管現象により繊維質シート4全体に被検液を
均一に拡散、浸透させ、付着している培養基が溶解し、
更に、繊維質シート4と接する吸水層3a 、3b に水分
を供給し、ゲルを形成させて、微生物を捕捉し培養に適
した培地を形成する機能を果たすものである。
【0024】従って、繊維質シートは、不織布の場合、
レーヨン系の不織布のほかポリオレフィン系の繊維など
を使用した不織布も使用できるが、被検液の拡散を迅速
に行わせるためには親水性に優れたレーヨン系の不織布
が好ましい。また、漉き紙の場合も、水分吸収性の良い
紙が適しており、一般の紙のように表面コートやサイズ
剤は必要でなく、フィルターペーパーのようなタイプの
紙が適している。繊維質シートの厚さは、培養基の保持
能力、および生育したコロニーの見やすさなどを考慮し
て決めればよく、不織布の場合の目付量、紙の場合の坪
量で10〜30g/m2 程度の比較的薄いものが適して
いる。
【0025】上記のような繊維質シートに付着させる微
生物の培養基(栄養成分)としては、例えば、酵母エキ
ス、ペプトン、リン酸水素二カリウム、ぶどう糖、乳
糖、塩化ナトリウムなどが使用でき、これらの中から培
養する微生物の種類に応じて適宜選択し、所定の割合で
混合して使用することができる。そして、これらの栄養
成分を繊維質シートに付着させる方法は、特に限定はさ
れず、例えば、水或いは水−エチルアルコールの混合系
などの液に、上記栄養成分を所定の割合で溶解もしくは
懸濁させて塗布液とし、これを繊維質シートにロールコ
ートなど公知の塗布手段により塗布、乾燥して付着させ
てもよく、また、繊維質シートをこの塗布液に浸漬し
て、繊維質シートに液を含浸させた後、引き上げて表面
の余分の液をバーなどで軽くスクィーズして所定量の液
を含ませた後、乾燥して付着させてもよい。
【0026】尚、繊維質シートに付着させる培養基の量
は、予め設定した量の被検液が所定の面積の繊維質シー
トに接種され、培養基を溶解した時に、その被検液に対
する含有量が所謂標準培地を形成するように調整するこ
とが好ましい。例えば、被検液の接種量を1mlとした場
合、繊維質シートの大きさは、直径5cm程度の円形に
することが被検液を培養基付き繊維質シート4の全体に
均一に拡散、浸透させる点で好ましく、この時の繊維質
シートに対する培養基の付着量は、略4g/m2 (固形
分)とすることにより標準培地を形成できる。
【0027】上記の培養基付き繊維質シート4を培養装
置1の本体シート5a 、5b の最上層に設ける方法は、
吸水層に用いた塗布液をそのまま接着剤の代わりに用い
て、スポット状に本体側シートに塗布して貼り合わせて
もよく、また、特に接着させず、単に本体側シートとカ
バーシート(またはカバーフィルム)の間に挟んでおい
て使用してもよい。
【0028】染料の添加 また、ゲル培地の構成成分には、微生物に代謝され得る
染料を添加することも有効である。このような染料は、
培養過程において生育する微生物に代謝されてコロニー
が着色されるため、コロニー数の計数を極めて容易にす
る効果がある。このような染料として具体的には、トリ
フェニルテトラゾリウムクロライド(以下TTCと表
示)、p−トリルテトラゾリウムレッド、テトラゾリウ
ムバイオレット、ベテトリルテトラゾリウムブルーなど
が使用できる。このような染料を本発明の培養装置に適
用する方法としては、例えば、前記微生物の栄養成分を
繊維質シートに付着させるために作成した塗布液に、予
め染料を必要量添加しておいて、栄養成分と共に繊維質
シートに塗布、乾燥して付着させる方法が効率的であ
る。また、前記吸水層を、基材シート2またはカバーフ
ィルム6のいずれか一方の内面のみに積層する場合に
は、吸水層を積層しない側の基材シート2またはカバー
フィルム6の内面に、ポリN−ビニルアセトアミドなど
の水溶性樹脂をバインダーとする染料の塗布液を別途作
成し、これを塗布、乾燥して染料層を設けることもでき
る。
【0029】その他 本発明の培養装置において、本体シート5a (または基
材シート2)と、カバーシート7(またはカバーフィル
ム6)とは、それぞれ別体として使用することもできる
が、重ね合わせた位置がずれないようにその一端で接合
しておくことが好ましい。その接合方法は、特に限定さ
れず、両者の接合部内面の材質により適した方法を自由
に選択して接合することができる。例えば、両者の内面
同士が熱接着可能な材質の場合は、そのままヒートシー
ルすればよく、また、熱接着性のない材質の場合には、
接合面に予めヒートシール剤を塗布しておいてヒートシ
ールすればよい。その他の方法として、ホットメルト材
を用いる方法、粘着剤や両面粘着テープを用いる方法な
ども利用でき、材質構成に応じて適宜選択して接合でき
る。以上のようにして作成した培養装置は、包装、滅菌
して完成品とするが、例えば、プラスチックの積層フィ
ルムなどによる袋に入れて密封し、γ線照射により滅菌
を行う方法が確実であり好ましい。
【0030】
〔実施例1〕
(本体シート用部材の作成)坪量160g/m2 のコッ
プ原紙の表面に、ピッチが各1cmの枡目柄をグラビア
印刷方式で印刷した後、その両面に低密度ポリエチレン
(以下LDPEと表示する)(ミラソン16SP 三井
石油化学工業製)を厚さ20μmに押し出しコートした
積層紙を基材シートとし、その枡目印刷を施した側のL
DPE層面に、下記の組成の吸水層用塗布液をコンマコ
ーターにより乾燥時の塗布量が25g/m2 (固形分)
となるように塗布、乾燥して吸水層を積層し、これを縦
7cm×横8cmの長方形にカットして本体シート用部
材を作成した。
【0031】吸水層用塗布液の組成 水不溶性樹脂 アクリル樹脂(ダイヤナールBR−112 三菱レイヨン製) 30重量%トルエン溶液 4重量部 吸水性樹脂 ポリN−ビニルアセトアミド(PNVA NA-010 昭和電工製) 50μmメッシュ通過の粉末 1重量部 上記の水不溶性樹脂の溶液中に、の吸水性樹脂の粉
末を混合、分散させて吸水層用塗布液を作成した。
【0032】(TTC含有培養基付き繊維質シートの作
成)繊維質シートとして、レーヨン系不織布(クラフレ
ックスNA220−JP0359目付量17g/m2
を用い、これに培養基と共にTTC(染料)を付着させ
るべく、下記組成のTTC添加培養基含浸液を作成し、
この液に上記レーヨン系不織布を浸漬して含浸させた
後、引き上げて両面をバーで軽くスクィーズして余分の
液を除き、60℃で乾燥してTTC含有培養基を固形分
で4g/m2 付着させた繊維質シートを作成し、これを
直径5cmの円形に打ち抜いてTTC含有培養基付き繊
維質シートを作成した。 TTC添加培養基含浸液の組成 ペプトン 10重量部 酵母エキス 5重量部 ぶどう糖 2重量部 純水 195重量部 TTC 0.03重量部
【0033】(カバーシートの作成)カバーシートの基
材となるカバーフィルムとして、厚さ50μmの2軸延
伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPと表示)〔OP
U−1 トーセロ製(片面コロナ放電処理)〕を用
い、そのコロナ放電処理面に前記本体シート用基材シー
トに塗布したものと同じ組成の吸水層用塗布液を、コン
マコーターにより乾燥後の塗布量が20g/m2 (固形
分)となるように塗布、乾燥して吸水層を積層し、これ
を縦7cm×横8.5cmの長方形にカットしてカバー
シートを作成した。
【0034】以上のように作成した本体シート用部材と
カバーシートとを、その吸水層積層面同士が内側に重な
り合うように縦・横を揃えて重ね、カバーシートの一端
が0.5cmだけ本体シート用部材から突き出るよう
に、もう一方の端で突き揃えて重ね合わせ、突き揃えた
側の端の内面同士を6mm幅の両面粘着テープで接合し
た。この時、本体シート用部材から0.5cm突き出て
いるカバーシートの突出部は、培養などの際にカバーシ
ートを持ち上げるための把手とするものである。そし
て、上記のように接合した本体シート用部材とカバーシ
ートの間の本体シート用部材上の略中央部に、前記直径
5cmの円形に打ち抜いたTTC含有培養基付き繊維質
シートを挿入した後、γ線照射による滅菌を行って実施
例1の培養装置とした。
【0035】〔実施例2〕 (本体シート用部材の作成)坪量160g/m2 のコッ
プ原紙の表面に、ピッチが各1cmの枡目柄をグラビア
印刷方式で印刷した後、その両面にLDPE(ミラソン
16SP 三井石油化学工業製)を厚さ20μmに押し
出しコートした積層紙を基材シートとし、その枡目印刷
を施した側のLDPE層面に、下記の組成の吸水層用塗
布液をコンマコーターにより乾燥時の塗布量が40g/
2 (固形分)となるように塗布、乾燥して吸水層を積
層した。その後、これを縦7cm×横8cmの長方形に
カットして本体シート用部材とした。吸水層用塗布液の組成 水不溶性樹脂 環状オレフィンコポリマー(アペル 三井石油化学工業製)の 20重量%トルエン溶液 2重量部 吸水性樹脂 ポリN−ビニルアセトアミド(PNVA NA-010 昭和電工製) 50μmメッシュ通過の粉末 1重量部 上記の水不溶性樹脂の溶液中に、の吸水性樹脂の粉
末を混合、分散させて吸水層用塗布液を作成した。
【0036】(培養基付き繊維質シートの作成)繊維質
シートとして、レーヨン系不織布(クラフレックスNA
220−JP0359目付量17g/m2 )を用い、こ
れに培養基を付着させるために、下記組成の培養基含浸
液を作成し、この液に上記レーヨン系不織布を浸漬して
含浸させた後、引き上げて両面をバーで軽くスクィーズ
して余分の液を除き、60℃で乾燥して、培養基を固形
分で4g/m2 付着させた繊維質シートを作成し、これ
を直径5cmの円形に打ち抜いて培養基付き繊維質シー
トを作成した。 培養基含浸液の組成 ペプトン 10重量部 酵母エキス 5重量部 ぶどう糖 2重量部 純水 195重量部
【0037】(カバーシートの作成)カバーシートの基
材となるカバーフィルムとして、厚さ50μmのOPP
〔OP U−1 トーセロ製(片面コロナ放電処理)〕
を用い、そのコロナ放電処理面に下記の組成のTTC層
用塗布液をロールコーターにより、乾燥時の塗布量が2
g/m2 (固形分)となるように塗布、乾燥した後、電
子線を照射してポリアクリルアミドの架橋を行ってTT
C層を積層した。その後、これを縦7cm×横8.5c
mの長方形にカットしてカバーシートを作成した。 TTC層用塗布液の組成 ポリアクリルアミド10重量%水溶液 1000重量部 TTC(染料) 0.4重量部
【0038】以上のように作成した本体シート用部材と
カバーシートとを、本体シート用部材の吸水層積層面と
カバーシートのTTC層積層面とが内側に重なり合うよ
うに縦・横を揃えて重ね、カバーシートの一端が0.5
cmだけ本体シート用部材から突き出るように、もう一
方の端で突き揃えて重ね合わせ、突き揃えた側の端の内
面同士を6mm幅の両面粘着テープで接合した。この
時、本体シート用部材から突き出ているカバーシートの
突出部は実施例1の場合と同様に把手部とするものであ
る。そして、上記のように接合した本体シート用部材と
カバーシートの間の本体シート用部材上の略中央部に、
前記直径5cmの円形に打ち抜いた培養基付き繊維質シ
ートを挿入した後、γ線照射による滅菌を行って実施例
2の培養装置を作成した。
【0039】〔実施例3〕 (本体シート用部材の作成)実施例1及び2で作成した
積層紙と同じ構成の積層紙を基材シートに使用し、その
枡目印刷を施した側のLDPE層面に、実施例2のカバ
ーシートの作成に用いたものと同じTTC層用塗布液
を、ロールコーターにより乾燥時の塗布量が2g/m2
(固形分)となるように塗布、乾燥した後、電子線を照
射してポリアクリルアミドの架橋を行ってTTC層を積
層した。その後、これを縦7cm×横8cmの長方形に
カットして本体シート用部材を作成した。 (培養基付き繊維質シート)実施例2で作成した培養基
付き繊維質シートと同じものをそのまま使用した。
【0040】(カバーシートの作成)カバーシートの基
材となるカバーフィルムとして、厚さ25μmのOPP
〔OP U−1 トーセロ製(片面コロナ放電処理)〕
を用い、そのコロナ放電処理面に、下記の組成の吸水層
用塗布液をコンマコーターにより、乾燥時の塗布量が4
5g/m2 (固形分)となるように塗布、乾燥して吸水
層を積層し、これを縦7cm×横8.5cmの長方形に
カットしてカバーシートを作成した。吸水層用塗布液の組成 水不溶性樹脂 アクリル樹脂(ダイヤナールBR−115 三菱レイヨン製) 20重量%エチルアルコール溶液 2重量部 吸水性樹脂 グアールガム(50μmメッシュ通過の粉末) 1重量部 上記の水不溶性樹脂の溶液中に、の吸水性樹脂の粉
末を混合、分散させて吸水層用塗布液を作成した。
【0041】以上のように作成した本体シート用部材と
カバーシートとを、本体シート用部材のTTC層積層面
とカバーシートの吸水層積層面とが内側に重なり合うよ
うに縦・横を揃えて重ね、カバーシートの一端が0.5
cmだけ本体シート用部材から突き出るように、もう一
方の端で突き揃えて重ね合わせ、突き揃えた側の端の内
面同士を6mm幅の両面粘着テープで接合した。この場
合も、本体シート用部材から突き出ているカバーシート
の突出部は、前記実施例1、2の場合と同様に把手部と
するものである。そして、上記のように接合した本体シ
ート用部材とカバーシートの間の、本体シート用部材上
の略中央部に、前記直径5cmの円形に打ち抜いた培養
基付き繊維質シートを挿入した後、γ線照射による滅菌
を行って実施例3の培養装置を作成した。
【0042】〔培養試験およびその結果〕以上のように
作成した実施例1、2、3の培養装置各5個を使用し
て、下記の方法で作成した菌液を滅菌済みピペットで各
1ml宛、それぞれの培養基付き繊維質シート上に接種
し、カバーシートを被せた後、約1分間静置して菌液を
拡散、浸透させてゲル培地を形成させ、その後、37℃
に調節した孵卵器に入れて48時間培養を行った。ま
た、実施例とは別に比較用として、実施例と同じ下記の
方法で作成した菌液を用いて、各1mlを従来の混釈法に
より、5個のペトリ皿に準備した標準寒天培地各20ml
に混釈して比較試料を作成し、実施例と同じ条件で培養
を行った。
【0043】菌液の作成 菌株として大腸菌を使用し、液体培地(NUTRIENT BROT
H)にて37℃で24時間、振盪培養を行い、その菌液
を滅菌生理食塩水で菌数が102 /mlとなるように希釈
して、培養試験に用いる菌液を作成した。上記の実施例
1、2、3および比較試料の培養試験により発生したコ
ロニーの数をそれぞれ計数し、各々のデータと平均値を
表1に示した。
【0044】
【0045】表1に示した培養試験結果から明らかなよ
うに、本発明の実施例1、2、3の培養装置を用いた培
養試験の結果は、従来の混釈法による標準寒天培地を用
いた比較試料の培養試験の結果と略一致しており、培養
性能が良好で、操作も容易で簡便な培養装置として十分
実用性のあることを示している。また、発生したコロニ
ーも繊維質シートが比較的薄いため鮮明に観察でき、計
数も容易であった。そして、実施例1〜3の各試料は、
培養後、そのカバーフィルムを基材シート側から容易に
剥がすことができ、釣菌することも容易であった。
【0046】
【発明の効果】以上詳しく説明したように本発明の培養
装置は、防水性の基材シートと、これに被せられる水分
不透過性で透明なカバーフィルムとを備え、該基材シー
トとカバーフィルムのいずれか一方の内面、または両方
の内面に水不溶性樹脂と吸水性樹脂との混合物からなる
吸水層を積層し、更に、該基材シート側の内面に微生物
の培養基を付着させた繊維質シートを設けて構成したも
のである。このような構成を採ることにより、微生物の
培養に際して、培養装置のカバーシートを持ち上げて、
培養基が付着している繊維質シート上にピペットなどに
より一定量の被検液を接種し、カバーシートを降ろすだ
けで、被検液が、所定面積の繊維質シートの全域に繊維
間の毛細管現象により均一に拡散、浸透し、培養基を溶
解すると同時に、基材シートとカバーフィルムのいずれ
か一方の内面、または両方の内面に積層されている吸水
層の吸水性樹脂を膨潤、ゲル化させ、表面に均一なゲル
層を形成するため、ここに微生物が捕捉され、また、培
養に適したゲル培地が形成されるので、そのまま孵卵器
に入れて培養することができる。そして、上記吸水層に
おいて、水不溶性樹脂に混合、分散された吸水性樹脂
は、海・島状に形成されているため、繊維質シートに接
する部分では水分を吸収し、膨潤して表面に現れ、均一
なゲル層を形成するが、繊維質シートに接しない部分に
は水分が広がらないため、繊維質シートの面積内で効果
的にゲル培地が形成される。また、水不溶性樹脂とし
て、アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂などを
用いた場合には、基材シートまたはカバーフィルムに対
して良好な接着性を有すると同時に疎水性でもあるた
め、ゲル培地の形成領域の限定が一層明瞭に行われる。
【0047】従って、被検液を所定の面積に広げるため
のスプレッダーなどの特別な器具を必要とせず、また、
培地調整のための加温溶解や高圧滅菌などの操作が不要
であり、熟練した技術者でなくても容易に微生物検査な
ど培養試験を正確に行うことができる。そして、使用前
は、滅菌された乾燥状態であり長期保存も可能で、何時
でも迅速に試験することができる。また、繊維質シート
は比較的薄く、吸水性樹脂はゲル化した状態でも繊維質
シートと強く粘着することがないため、培養により均一
に分散したコロニーを形成でき、鮮明な状態に観察でき
るので計数も容易であり、また、培養後、カバーフィル
ムを基材シート側から容易に剥がすことができるので自
由に釣菌することもできる。更に、使用後の廃棄性にお
いても、容易に焼却することもでき簡便である。以上の
ように本発明によれば、使用適性と性能に優れ、且つ、
菌数測定のほか釣菌も可能で多目的に使用できる培養装
置を容易に提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の培養装置の一実施例の構成を示す模式
断面図である。
【図2】本発明の培養装置の別の一実施例の構成を示す
模式断面図である。
【図3】本発明の培養装置の更に別の一実施例の構成を
示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 培養装置 2 基材シート 3a 、3b 吸水層 4 培養基付き繊維質シート 5a 、5b 本体シート 6 カバーフィルム 7 カバーシート 8 接合部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防水性の基材シートと、該基材シート上
    に被せられる水分不透過性で透明なカバーフィルムとを
    備え、該基材シートとカバーフィルムのいずれか一方の
    内面、または両方の内面に水不溶性樹脂と吸水性樹脂と
    の混合物からなる吸水層を積層し、更に、該基材シート
    側の内面に微生物の培養基を付着させた繊維質シートを
    設けたことを特徴とする微生物の培養装置。
  2. 【請求項2】 前記水不溶性樹脂がアクリル系樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1記載の微生物の培養装置。
  3. 【請求項3】 前記水不溶性樹脂が環状ポリオレフィン
    系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の微生物の
    培養装置。
JP21552695A 1995-08-02 1995-08-02 培養装置 Withdrawn JPH0937765A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009106160A (ja) * 2007-10-26 2009-05-21 Nipro Corp 細胞培養容器及び細胞培養方法
JP4396078B2 (ja) * 1999-12-17 2010-01-13 チッソ株式会社 微生物培養器、及びこれを用いた微生物培地
CN102762711A (zh) * 2010-01-29 2012-10-31 大日本印刷株式会社 微生物培养片
JP2015019587A (ja) * 2013-07-16 2015-02-02 大日本印刷株式会社 細胞培養基材の製造方法
CN107513493A (zh) * 2016-06-16 2017-12-26 孙百莉 一种用于微生物测试的系统及其制作方法

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