JP4396078B2 - 微生物培養器、及びこれを用いた微生物培地 - Google Patents
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Description
本発明は、食品や環境中の微生物を培養検出するための微生物培養器、シート状微生物培養器及びこれを用いた微生物培地、シート状微生物培地に関する。
背景技術
従来から行われてきた微生物培養検査は、例えば、食品検査で一般生菌数の測定を行う場合には、粉末寒天培地を溶解、滅菌した後、寒天培地が固化しないように45℃程度に保っておき、その寒天培地の一定量を、あらかじめ一定量の検査試料液(食品の懸濁液等)を入れておいた滅菌ペトリ皿等に分注し、混釈後、寒天を固化し、一定温度で培養後、生じた微生物のコロニー数を計数する方法が行われてきた。このような従来の微生物培養方法では、前もって、培地を調製、滅菌しておくだけでなく、固化しない温度で寒天培地を保っておく必要があるなど、非常に時間と手間がかかっていた。
より簡便、迅速に微生物培養検査を行うためには、このような、手間と時間のかかる培地の調製が省けることが好ましい。また、滅菌ペトリ皿として、ガラス製やプラスチック製のペトリ皿が使用されているが、食品検査の場合には、多数の微生物培養検査を行う必要があり、ガラス製ペトリ皿を培養に使用した場合には、再使用のためにペトリ皿の洗浄、滅菌等を行わなければならない。これは非常に手間がかかるため、近年は、廃棄ができる滅菌済プラスチック製ペトリ皿が利用されるようになってきた。しかし、この場合には、多量のプラスチック廃棄物となることから処分等で問題となっていた。また、環境微生物検査で一般生菌数の測定を行う場合には、通常、検査対象の一定面積をガーゼまたは綿棒で拭き取り、このガーゼまたは綿棒を滅菌水または滅菌生理食塩水中で洗い、綿棒に付着した菌体を滅菌水または滅菌生理食塩水中に懸濁させ、この懸濁液をあらかじめ作製しておいた固形寒天培地に塗布するか、または前記の方法と同様に寒天培地に混釈して培養した後、生じたコロニーを計数する方法が行われてきた。この場合も、微生物培養検査と同様に非常に手間と時間がかかっていた。
このようなことから、培地調整の手間を省いた簡易培地が検討され、生産・市販されてきた。これら簡易培地を便宜的に分類すればスタンプタイプ、フィルタータイプ、フィルムタイプ、試験紙タイプ等に分類できる。
スタンプタイプとしては、特開平4−117299号に、プラスチック容器に寒天培地を盛り上げた状態で分注し、寒天培地面を直接、検査対象に接触して検査する方法が開示されている。この方法は、簡便であり、環境中の微生物汚染を検査するためには使いやすいものであるが、培地面積が小さいために定量性に乏しく、さらに曲面や凹凸がある検査対象の検査は難しく、通常の食品検査には利用できない欠点があった。またプラスチック容器を使用しているために培養後、従来法と同様に多量のプラスチック廃棄物が生じる問題があった。
フィルタータイプとしては、ANSI/ASTM F 488−79記載の方法のように、メンブランフィルター等で覆われた内部に栄養成分の加えられた吸水性材料があり、試料液中に培地を入れ、試料液を吸収させ、フィルター表面に微生物を捕集して培養する等の方法がある。なお、フィルタータイプは、液体試料の検査には適しているものの、固形物を含む試料の検査は難しい。
試験紙タイプとしては、濾紙に微生物の栄養成分等を含浸し、試料液を加えるか吸収させた後、プラスチック袋に入れて培養する方法が知られている。この試験紙タイプは、微生物の生育したコロニーが拡散しやすいことや、濾紙内部で生育した微生物が観察し難いことなど定量性に乏しい欠点がある。
フィルムタイプとしては、特公平2−49705号公報、特開平3−15379号公報に、2枚のフィルムの内側に微生物の栄養成分と冷水により再構成されるゲル化剤が接着され、2枚のフィルムの間に試料液を加えて、培養する方法が開示されている。このフィルムタイプは、食品の検査では定量性もあり使いやすいが、環境中の検査をするときなどには、スタンプタイプのように検査対象に直接接触して検査することが困難で、完全に接着されていない栄養成分やゲル化剤が飛散することや、ゲル化剤を分解する微生物が生育したときには、ゲルが分解溶液化し、液漏れがおきること等の欠点がある。
このように、それぞれの目的にあわせ使いやすいようにいくつかのタイプの簡易培地が開発・生産されてきたが、1種類の簡易培地で食品検査、検査対象の直接検査など、多くの用途に使用できる微生物検査培地ではなかった。
特開平6−181741号公報には、冷水可溶性ゲル化剤と繊維質吸水性シートを積層した微生物培養装置が提案されている。これは、ゲル化剤と繊維質吸水性シートを組み合わせた微生物培養装置であり、この組み合わせでは、添加した試料液がゲル化剤にも吸収されるため、試料液の培地面への均一な分散が困難であり、更に、微生物が繊維質吸水性シートの上面でコロニーを形成するとは限らず、繊維質吸水性シートの下面または内部に微生物が生育した場合には、微生物の確認がし難いため、定量性が損なわれる欠点があった。それ故、このタイプの微生物培養培地装置は、生育した微生物の観察を容易にするために、実用上、繊維質吸水性シートを透明乃至半透明となるように薄くしておく必要があった。また、繊維質吸水性シートと冷水可溶性ゲル化剤の層は接着されていないため、スタンプまたは直接拭き取りによる検査は難しい。
我々は、国際公開特許WO97/24432号公報で、多孔質マトリックス層と水溶性高分子化合物層からなるシートまたはフィルム状の微生物培地を開示した。これは、通常の食品検査に加え、拭き取りによる検査など様々な用途に使え、廃棄も容易で、定量性のある微生物培地である。この微生物培地では、試料液を多孔質マトリックス層に添加すると、試料液は一旦、多孔質マトリックス層に保持される。多孔質マトリックス層に保持された試料液中の水により多孔質マトリックス層に接している水溶性高分子化合物層が溶解し、同時に水溶性高分子化合物層中に含有する微生物の生育栄養成分も溶け出し、微生物の生育分裂が開始される。試料液中に存在する微生物は、試料液を培地に添加することで、多孔質マトリックス層全体に分散するが、水溶性高分子化合物層表面は徐々に溶解し、高粘度溶液を形成するために水溶性高分子化合物層内部まで微生物が入らず、溶解した水溶性高分子化合物層と多孔質マトリックス層とが一体化する。この過程で微生物は多孔質マトリックス層の表面まで押し上げられ、多孔質マトリックス層の表面にコロニーが形成される。このように、多孔質マトリックス層表面にコロニーが形成されるため、多孔質マトリックス層を用いているにもかかわらず微生物の計数が比較的良好に行える。
しかし、このように優れた多孔質マトリックス層と水溶性高分子化合物層からなるシートまたはフィルム状の培養容器または培地ではあるが、微生物培養に対して使用する多孔質マトリックス層の最適な物性条件が得られていなかったために、試料液によっては、微生物の分散性が悪くなる場合や、標準的な方法に比べて生育の確認できる微生物数が少ない場合があった。また、微生物数が非常に多い場合には微生物の生育を確認できない場合もあり、それ故、このタイプのシートまたはフィルムの状培養容器または培地を用いる場合には、添加試料液の保持性、分散性、あるいは、試料液により溶解した水溶性高分子化合物の該マトリックス層への浸透性などについて考慮し、微生物の培養を行わなければならなかった。また、多量に微生物検査を行う場合には、培地内への雑菌の侵入を防止するために、試料添加済みの微生物培地を袋詰めにする工程等が必要であることから、作業が繁雑であり、更に袋詰めされた微生物培地は嵩張ってしまうなど種々の問題があった。
発明の開示
本発明の目的は、通常の食品や環境中の微生物検査に利用でき、更に、検査対象に直接にスタンプまたは拭き取りを行うことで、平面だけでなく曲面や非平滑面の微生物検査が簡便に行える微生物培養器及びこれを用いた微生物培地を提供し、更に、省スペースで扱い易く、雑菌の侵入を防止できるシート状微生物培養器及びこれを用いたシート状微生物培地を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた。その結果、以下の構成をとることにより所期の目的が達成されることを知り得て、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)目付が40〜100g/m2、通気度が7〜24cm/secである多孔質マトリックス層と、少なくとも1層の水溶性高分子化合物層とが、積層された微生物培養器。
(2)水溶性高分子化合物層が、少なくとも2層からなることを特徴とする前記(1)項記載の微生物培養器。
(3)水溶性高分子化合物層を多孔質マトリックス層に近い順にアルファベット順の記号を付けるとき、水溶性高分子化合物層が、A層、及びB層の2層を積層して構成されており、A層は水溶性高分子化合物を含む層であり、B層は水溶性高分子化合物を含む層または水溶性高分子化合物からなる層であることを特徴とする前記(1)項または前記(2)項記載の微生物培養器。
(4)水溶性高分子化合物層を多孔質マトリックス層に近い順にアルファベット順の記号を付けるとき、水溶性高分子化合物層が、A層、B層、及びC層の3層を積層して構成されており、A層、及びB層は水溶性高分子化合物を含む層であり、C層は水溶性高分子化合物からなる層であることを特徴とする前記(1)項または前記(2)項記載の微生物培養器。
(5)多孔質マトリックス層に接する水溶性高分子化合物層中の水溶性高分子化合物が、1〜20g/m2の目付であることを特徴とする前記(1)〜(4)項のいずれか1項記載の微生物培養器。
(6)水溶性高分子化合物が、鹸化度75〜95%、分子量25000〜250000のポリビニルアルコールである前記(1)〜(5)項のいずれか1項記載の微生物培養器。
(7)多孔質マトリックス層が、ナイロン、レーヨン、コットン、及びセルロースからなる群から選ばれた1種以上の親水性繊維からなる不織布である前記(1)〜(6)項のいずれか1項記載の微生物培養器。
(8)多孔質マトリックス層が、ナイロンメルトブロー不織布である前記(7)項記載の微生物培養器。
(9)多孔質マトリックス層が、その表面に水溶性物質が塗布されていることを特徴とする前記(1)〜(8)項のいずれか1項記載の微生物培養器。
(10)前記(1)〜(9)項のいずれか1項記載の微生物培養器が、その微生物培養器より大きな粘着シートの中心部に多孔質マトリックス層が上になるように接着され、その上に前記微生物培養器より大きな透明フィルムが多孔質マトリックス層に接し、かつ前記微生物培養器と中心部を合わせるように被せられ、この透明フィルムの前記微生物培養器からはみ出している部分が粘着シートの前記微生物培養器が接着されていない部分と接着されていることを特徴とするシート状微生物培養器。
(11)粘着シートが、透明フィルムと接着する粘着シートの粘着力が部分的に高いことを特徴とする前記(10)項記載のシート状微生物培養器。
(12)粘着シートが、粘着シートより強い粘着力を有する別の粘着テープにより、部分的に透明フィルムと接着されていることを特徴とする前記(10)項記載のシート状微生物培養器。
(13)粘着シートが、その片面にアクリル系粘着剤またはゴム系粘着剤が塗布された、厚さ0.07〜0.5mmのポリエステルフィルム、白色ポリエステルフィルム、ポリオレフィン系合成紙、及びポリオレフィンラミネート紙から選ばれた1種であることを特徴とする前記(10)〜(12)項のいずれか1項記載のシート状微生物培養器。
(14)透明フィルムが、ポリオレフィンフィルムまたは易剥離性ポリオレフィンフィルムである前記(10)〜(13)項のいずれか1項記載のシート状微生物培養器。
(15)透明フィルムが、厚さ20〜100μmであることを特徴とする前記(10)〜(14)項のいずれか1項記載のシート状微生物培養器。
(16)前記(1)〜(9)項のいずれか1項記載の微生物培養器に、微生物の生育栄養成分、発色剤、及び選択剤から選ばれた少なくとも1種が含まれることを特徴とする微生物培地。
(17)前記(3)項または前記(4)項記載の微生物培養器を構成するA層、及び/またはB層に、微生物の生育栄養成分、発色剤、及び選択剤から選ばれた少なくとも1種が含まれることを特徴とする微生物培地。
(18)前記(9)項記載の水溶性物質に、微生物の生育栄養成分、塩類、またはこれらの混合物が含有させていることを特徴とする微生物培地。
(19)前記(1)〜(9)項のいずれか1項記載の微生物培養器を構成する水溶性高分子化合物層、及び/または多孔質マトリックス層に、少なくとも1種の微生物の生育栄養成分が含まれることを特徴とする微生物培地。
(20)前記(10)〜(15)項のいずれか1項記載のシート状微生物培養器に、微生物の生育栄養成分、発色剤、及び選択剤から選ばれた少なくとも1種が含まれることを特徴とするシート状微生物培地。
(21)前記(10)〜(15)項のいずれか1項記載のシート状微生物培養器を構成する水溶性高分子化合物層、及び/または多孔質マトリックス層に、少なくとも1種の微生物の生育栄養成分が含まれることを特徴とするシート状微生物培地。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の微生物培養器は、目付が40〜100g/m2、通気度が7〜24cm/secである多孔質マトリックス層と、少なくとも1層の水溶性高分子化合物層とが積層された微生物培養器であり、水溶性高分子化合物層上に、多孔質マトリックス層が積層された形態をとる。更に、本発明の微生物培養器は、微生物培養器が露出した状態で保存や培養が行われることが稀であり、通常、検査対象外の雑菌の混入を防ぐために、容器中に封入されている。本発明では、微生物培養器が、その微生物培養器より大きな粘着シートの中心部に多孔質マトリックス層が上になるように粘着剤等により接着され、その上に前記微生物培養器より大きな透明フィルムが多孔質マトリックス層に接し、かつ前記微生物培養器と中心部を合わせるように被せられ、この透明フィルムの前記微生物培養器からはみ出している部分が粘着シートの前記微生物培養器が接着されていない部分と接着されていることで、シート状微生物培養器として利用できる。このように、シート状の容器に封入することで、軽量で嵩が低く、更に取り扱いが容易なシート状微生物培養器となる。なお、本発明では、微生物培養器に微生物の培養成分を含ませた状態を微生物培地という。同様に、シート状微生物培養器に微生物の生育栄養成分を含ませた状態をシート状微生物培地という。本発明の微生物培養器及びシート状微生物培養器に、少なくとも1種の微生物の生育栄養成分を含有させることにより培地として利用できる。生育栄養成分を含有させる方法としては、例えば、水溶性高分子化合物層を製造する工程で、多孔質マトリックス層と接する水溶性高分子化合物層に生育栄養成分を予め添加しておく方法や、微生物検査時に、生育栄養成分を含む試料液を多孔質マトリックス層上から微生物培養器に添加する方法等が挙げられる。多孔質マトリックス層上に試料液(水または生育栄養成分を含んだ水等)を添加すると、試料液が一旦、多孔質マトリックス層に保持される。この保持された水により、多孔質マトリックス層に接した水溶性高分子化合物層が溶解し、生じた水溶性高分子化合物水溶液と、生育栄養成分によって微生物の生育しうる環境となり、微生物の生育分裂が開始されると推定している。なお、試料液中に存在する微生物は、試料液が添加されることで、試料液と共に多孔質マトリックス層全体に均一に分散する。水溶性高分子化合物層は徐々に溶解し、高粘度溶液を形成する。この高粘度溶液により水溶性高分子化合物層と多孔質マトリックス層とが一体化する。このため、微生物は水溶性高分子化合物層内部までは侵入せず、更に多孔質マトリックス層の表面まで押し上げられ、多孔質マトリックス層の表面または表面近傍にコロニーが形成される。この機構は、これらをシート状の容器に入れた場合にも同様に機能する。また、目付が40〜100g/m2であり、通気度が7〜24cm/secである多孔質マトリックス層を用いた微生物培地では、微生物数が非常に多い場合であっても、微生物が多孔質マトリックス層の表面または表面近傍で分裂増殖するため、微生物の生育を容易に確認できる。よって本発明では、多孔質マトリックス層を用いているにもかかわらず微生物の計数が不正確となることはない。
第3図、第4図を用いて本発明の微生物培養器、及びシート状微生物培養器の構成を説明する。本発明のシート状微生物培養器(1)は、微生物培養器(5)より大きな粘着シート(4)の中心部に多孔質マトリックス層(2)が上になるように接着され、その上に前記微生物培養器(5)より大きな透明フィルム(3)が多孔質マトリックス層(2)に接し、かつ前記微生物培養器(5)と中心部を合わせるように被せられ、この透明フィルム(3)の前記微生物培養器(5)からはみ出している部分が粘着シート(4)の前記微生物培養器(5)が接着されていない部分と接着された構造を有する。
本発明に用いられる多孔質マトリックス層は、シート、フィルム等の多孔質シートを用いることができ、また、多孔質マトリックス層の目付は、より好ましくは50〜90g/m2であり、更に好ましくは55〜80g/m2である。目付が40g/m2を大幅に下回る場合には、添加した水や試料液を保持できず、試料液が多孔質マトリックス層から溢れることや、溶解した水溶性高分子化合物層の高粘度溶液の固定性が不充分となり、観察しやすい良好な形状のコロニーを形成しにくい恐れがある。逆に目付が100g/m2を大幅に上回る場合には、溶解した水溶性高分子化合物層の高粘度溶液が多孔質マトリックス層の内部に保持され、水溶性高分子化合物の高粘度溶液と多孔質マトリックス層との一体化が不充分となる。このことにより、多孔質マトリックス層の表面上だけでなく、多孔質マトリックス層の内部でも微生物が生育する可能性があり、多孔質マトリックス層内部で生育した微生物を容易に確認できない場合や、多孔質マトリックス層の表面近傍に存在する微生物に、充分な生育栄養成分等が供給されず、微生物の生育が遅れる等の不具合が生じる恐れがある。また、多孔質マトリックス層の通気度は7〜24cm/sec{70〜240L/(m2・sec)}の範囲が好ましく、より好ましくは8〜20cm/sec、更に好ましくは、10〜18cm/secである。通気度が7cm/secを大幅に下回る場合には、水分の通過性に劣り水溶性高分子化合物層に均一に試料液等の水分が行き渡らず、均一に微生物を培養できない等の不具合を生じる恐れがある。逆に通気度が24cm/secを大幅に上回る場合には、溶解した水溶性高分子化合物層の高粘度溶液の固定性が不充分となり、観察しやすい良好な形状のコロニーを形成しにくく、微生物の計数が不正確となり易い傾向がある。
多孔質マトリックス層を形成するための材料としては繊維が利用でき、ナイロン繊維,ポリアクリロニトリル繊維,ポリビニルアルコール(PVA)繊維,エチレン酢酸ビニル共重合体繊維,ポリエステル繊維(親水化処理したポリエステル繊維がより好ましい),ポリオレフィン繊維(親水化処理したポリオレフィン繊維がより好ましい),ポリウレタン繊維等の合成繊維、レーヨン繊維等の半合成繊維、羊毛(獣毛),絹,コットン繊維,セルロース繊維,パルプ繊維等の天然繊維、ガラス繊維等の無機繊維等が例示できる。なかでも、ナイロン繊維、コットン繊維、セルロース繊維、及びレーヨン繊維からなる群から選ばれた1種以上の繊維を多孔質マトリックス層の材料として用いることが好ましい。また、これらの繊維を用いて作られた編織物、不織布等の布帛からなる多孔質シートや、上記繊維の構成素材で作られた多孔質フィルム,スポンジ,多孔質セラミックス等が多孔質マトリックス層として使用でき、特に、目付、通気度の調整が容易な編織物、不織布等の布帛からなる多孔質シートが好ましく用いられ、更に比較的容易に細繊維が得られるメルトブロー製法で作製したナイロンメルトブロー不織布等の不織布や、分割繊維から製造した極細繊維不織布が特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる多孔質マトリックス層は、撥水性であってもよいが、親水性または親水化処理した多孔質マトリックス層を用いることで、撥水性の多孔質マトリックス層よりも吸水速度が速くできるため、試験作業の能率が高くなり好ましい。さらにこれら多孔質マトリックス層の表面に水溶性物質を塗布しておくことで、微生物の分散をさらに向上できるため好ましい。水溶性物質としては、微生物の生育栄養成分及び/または塩類が微生物の培養に適しているため好ましく添加される。水溶性で、微生物の生育を阻害しない微生物の生育栄養成分であれば問題なく利用でき、例えば、各種ペプトン類、酵母エキス、肉エキス類、カザミノ酸、アミノ酸、アミノ酸混合物、グルコース、麦芽糖等の糖類、有機酸、有機酸塩等が好ましく用いられる。また、塩類は、PH調整用または浸透圧調節用等に用いられているものであれば問題なく利用でき、例えば、塩化ナトリウム等の塩酸塩、リン酸二カリウム等のリン酸塩、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩等が好ましく用いられる。これらは、単独または混合して多孔質マトリックス層に塗布される。なお、多孔質マトリックス層に粉末状の生育栄養成分や塩類を散布してもよいが、溶液または懸濁液として塗布することが好ましい。溶液または懸濁液として用いられる溶媒は水溶性物質を溶解または部分溶解し、揮発または蒸発する液体であればどのようなものでもよいが、水、エタノール、メタノール、またはこれらの混合溶媒が好ましい。
本発明で用いられる水溶性高分子化合物層を形成するための水溶性高分子化合物としては、試料液を加えたときに、水により溶解して1×10−2Pa・s(40℃で測定した粘度)以上の粘度を示し、微生物の生育を阻害しないものが好ましく用いられる。例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸誘導体、でんぷん誘導体、蛋白質、蛋白質誘導体、多糖類等が使用できる。この中でもポリビニルアルコールがより好ましく、鹸化度が75〜95%、分子量が25000〜250000のポリビニルアルコールが特に好ましい。
本発明で用いられる微生物培養器には、少なくとも1層の水溶性高分子化合物層を有する。このとき、水溶性高分子化合物層は1層であってもよいが、2層以上の多層であってもよい。水溶性高分子化合物層を多層とする場合には、水溶性高分子化合物溶液を塗り重ねて作製することができる。また、数層に分けて作製した水溶性高分子化合物層を貼り合わせることで、多層とすることもできる。例えば、水溶性高分子化合物層を多孔質マトリックス層に近い順にアルファベット順の記号を付けるとき、水溶性高分子化合物層が、A層、及びB層の2層を積層して構成されており、A層は水溶性高分子化合物を含む層であり、B層は水溶性高分子化合物を含む層または水溶性高分子化合物からなる層である微生物培養器がよい。このとき、A層には、微生物の生育栄養成分、発色剤、及び選択剤から選ばれた少なくとも1種が含まれることが好ましいが、B層は、微生物の生育栄養成分、発色剤、及び選択剤から選ばれた少なくとも1種を含む水溶性高分子化合物であってもよいが、水溶性高分子化合物のみから構成されていてもよい。また、水溶性高分子化合物層を多孔質マトリックス層に近い順にアルファベット順の記号を付けるとき、水溶性高分子化合物層が、A層、B層、及びC層の3層を積層して構成されており、A層、及びB層は水溶性高分子化合物を含む層であり、C層は水溶性高分子化合物からなる層である微生物培養器がよい。このとき、A層、及び/またはB層に、微生物の生育栄養成分、発色剤、及び選択剤から選ばれた少なくとも1種が含まれることが好ましく、逆に、C層は、水溶性高分子化合物のみから構成されることが好ましい。多孔質マトリックス層から最も離れた水溶性高分子化合物層であるC層を、水溶性高分子化合物のみから構成することで、水溶性高分子化合物層に添加する微生物の生育栄養成分を減量でき、生育栄養成分の利用効率が高くできるため好ましい。なお、発色剤や選択剤の組み合わせによっては、混合することで反応を起こす場合がある。これを防ぐため、B層を2層以上の多層とし、反応しやすい成分を別々の層に添加することがよい。また、水溶性高分子化合物層を多層構造にする場合には、各層が密着していることが好ましい。また、あまりに多くの層を形成しても製造工程の増加に伴うコストアップに見合う効果が得られないので、5層を越えた多層とすることにはあまり意味はない。
また、本発明の微生物培養器を微生物培地として利用する場合には、水溶性高分子化合物層に、微生物培地の製造時に前もって微生物の生育栄養成分を添加しておくか、あるいは微生物の培養時に、微生物の生育栄養成分を含む水を加えることで、微生物の生育しうる培地となる。このとき、本発明の微生物培養器は、微生物培養器の表面積1m2当たり、350mL〜650mLの微生物の生育栄養成分を含む水を加えることで、良好な培養条件となる。同様に、本発明の微生物培地は、微生物培地の表面積1m2当たり、350mL〜650mLの水または微生物の生育栄養成分等を含む水を加えることで、良好な培養条件となる。本発明に用いられる微生物の生育栄養成分としては、微生物に適したものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、汎用の液体培地や寒天培地から寒天を除いた培地成分等が利用できる。さらに検出目的以外の微生物の生育を抑える選択剤や、生じたコロニーを見やすくするための指示薬、染料等を微生物培養器に加えてもよく、また特定の微生物を検出するために発色または蛍光酵素基質を加えてもよい。
本発明で用いられる選択剤としては、抗生物質,合成抗菌剤等の抗生剤、色素、界面活性剤、無機塩等が用いられる。抗生物質としては、メチシリン,セフタメタゾール,セフィキシム,セフタジジム,セフスロジン,バシトラシン,ポリミキシンB,リファンピシン,ノボビオシン,コリスチン,リンコマイシン,クロラムフェニコール,テトラサイクリン,ストレプトマイシン等が例示でき、合成抗菌剤としては、サルファ剤,ナリジクス酸,オラキンドックス等が例示できる。また、色素としては、静菌または殺菌作用のあるクリスタルバイオレット,ブリリアントグリーン,マラカイトグリーン,メチレンブルー等が例示できる。また、界面活性剤としては、Tergitol7,ドデシル硫酸塩,ラウリル硫酸塩等が例示できる。また、無機塩類としては、亜セレン酸塩,亜テルル酸塩,亜硫酸塩,窒化ナトリウム,塩化リチウム,シュウ酸塩,高濃度の塩化ナトリウム等が例示できる。これら以外にもタウロコール酸塩,グリシン,胆汁末,胆汁酸塩,デオキシコール酸塩等を用いることができる。
微生物の生育栄養成分としては、例えば、一般生菌検査用としては、酵母エキス・ペプトン・ブドウ糖混合物、肉エキス・ペプトン混合物、ペプトン・大豆ペプトン・ブドウ糖混合物等や、これらにリン酸二カリウム及び/または塩化ナトリウムを加えた混合物が、大腸菌・大腸菌群検査用としては、デソキシコール酸ナトリウム・ペプトン・クエン酸鉄アンモニウム・塩化ナトリウム・リン酸二カリウム・乳糖・ニュートラルレッド混合物、ペプトン・乳糖・リン酸二カリウム・エオジンY・メチレンブルー混合物等が、ブドウ球菌用としては、肉エキス・ペプトン・塩化ナトリウム・マンニット・フェノールレッド・卵黄混合物、ペプトン・肉エキス・酵母エキス・ピルビン酸ナトリウム・グリシン・塩化リチウム・亜テルル酸卵黄液混合物等が、ビブリオ用としては酵母エキス・ペプトン・蔗糖・チオ硫酸ナトリウム・クエン酸ナトリウム・コール酸ナトリウム・クエン酸第2鉄・塩化ナトリウム・牛胆汁・ブロムチモールブルー・チモールブルー混合物等が、腸球菌用としては、牛脳エキス・ハートエキス・ペプトン・ブドウ糖・リン酸二カリウム・窒化ナトリウム・ブロムチモールブルー・塩化2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム混合物等が、真菌用としては、ペプトン・ブドウ糖混合物、酵母エキス・ブドウ糖混合物、ポテトエキス・ブドウ糖混合物等が用いられる。
生じたコロニーを見やすくするために、水溶性高分子化合物層に2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロライドなどのテトラゾリム塩またはpH指示薬を加えておくことで、微生物の生育に伴い、発色または変色して微生物の生育が見やすくなり、また、特定の微生物が有する酵素の発色または蛍光酵素基質を加えておくことで、特定の微生物が検出できる利点がある。しかし、これらの発色剤等は熱変成しやすいため微生物培養器や微生物培地の製造時に注意が必要である。また、黄色ブドウ球菌検出用のVogel−Johnson培地やBaird−Parker培地の成分である亜テルル酸塩等は、熱分解しやすいため微生物培地の製造時に他成分の滅菌、冷却後に添加しなければならない。また、一般に抗生剤も熱分解しやすいため、冷却後に加えることがよい。水溶性高分子化合物の溶液をフィルム状またはシート状の水溶性高分子化合物層とするとき、大量の水を蒸発させる必要があり、加熱乾燥、熱風乾燥に数分を要するため、例えば、テトラゾリウム塩が水溶性高分子化合物溶液中に添加されていた場合には、この乾燥により、テトラゾリウム塩の発色や、熱分解による効果の低下、テトラゾリウム塩分解物の微生物に対する生育阻害等の発生や影響がある。成分にもよるが、水溶性高分子化合物溶液を2〜20%として、水溶性高分子化合物層中の水溶性高分子化合物の目付(水溶性高分子化合物自体の含有量)が1〜20g/m2であれば、熱変成や熱分解による影響が現れない程度に乾燥温度や時間を抑えて乾燥でき、あらかじめ熱変成や熱分解を受けにくい成分を加えた水溶性高分子化合物層を作製した後、熱変成や熱分解を受けやすい成分を含む水溶性高分子化合物水溶液をその上に塗布して、さらにその上に多孔質マトリックス層を積層し、乾燥することで、熱変成や熱分解が受けやすい成分を含む微生物培養器や微生物培地が作製できる。なお、多孔質マトリックス層に接する水溶性高分子化合物層中の水溶性高分子化合物の目付(水溶性高分子化合物自体の含有量)は、水溶性高分子化合物層が単層の場合には、1〜20g/m2が好ましく、より好ましくは3〜12g/m2であり、また、水溶性高分子化合物層が少なくとも2層からなる場合には、1〜20g/m2であり、好ましくは1〜10g/m2である。水溶性高分子化合物層に生育栄養成分等を加え微生物培地としたとき、水溶性高分子化合物層を構成する水溶性高分子化合物は、水等の水溶液を添加することで溶解し高粘度溶液となるため、微生物の生育栄養成分等の拡散速度が遅く、微生物への生育栄養成分等の供給が不充分となりやすい。これにより、生育栄養成分等の利用効率が悪くなる傾向にあるが、水溶性高分子化合物層を少なくとも2層の多層構造とし、多孔質マトリックス層から最も離れた水溶性高分子化合物層には、微生物の生育栄養成分を含有しない水溶性高分子化合物層を用い、多孔質マトリックス層に接する水溶性高分子化合物層に微生物の生育栄養成分を加えることで、生育する微生物の近傍に微生物の生育栄養成分を集中でき、これにより栄養成分等の利用効率を高くできるため好ましい。なお、微生物の生育栄養成分を含有しない水溶性高分子化合物層は全水溶性高分子化合物層に対して20%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上である。この値の上限については、機能の点からは特に制限はないが、経済的観点及び作業性を考慮すると、80%を越えない範囲が好ましい。
本発明に用いられる微生物培養器または微生物培地には、微生物培養器または微生物培地を構成する水溶性高分子化合物層のさらに下層に樹脂フィルムが積層されていてもよい。この樹脂フィルムは、水溶性高分子化合物層を製造する際に、台紙フィルムとして用いたフィルムであり、必要に応じて、水溶性高分子化合物層から取り除いてもよい。この樹脂フィルムの原料としては、ポリエステル、ポリオレフィン、及びナイロンから選ばれた少なくとも1種の樹脂が用いられる。これらの樹脂からなる樹脂フィルムを用いることで、粘着シートとの接着性が良好となるため好ましい。また、微生物培養器または微生物培地は、どのような形に切断して利用してもよい。
本発明に用いられる粘着シートに使用する粘着剤としては、微生物の生育を阻害しないものであればどのようなものでも用いることができるが、作業性を考えると粘着シートと透明フィルムとが再接着できる程度に、弱い粘着力を有する粘着剤が好ましい。例えば、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤が好ましく、特に再剥離タイプ及び微粘着タイプのアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着シートに用いられる下地のシートとしては、汎用の熱可塑性樹脂からなるシートが用いられるが、粘着した透明フィルムを剥がしやすくするためには、ある程度の剛性が必要であり、更に曲面等を拭き取るためには柔軟であることが好ましい。例えば、厚さ0.07〜0.5mmのポリエステルフィルム、白色ポリエステルフィルム、ポリオレフィン系合成紙、ポリオレフィンラミネート紙が好ましく用いられる。また、粘着シートは、どのような形状でもよいが、粘着シートと透明フィルムとの接着部分に隙間がなく接着できるように、微生物培養器または微生物培地の周囲に、微生物培養器または微生物培地が接着されていない部分を有することが必要である。
本発明に用いられる透明フィルムとしては、微生物の生育を阻害しないものであれば問題なく用いることができるが、微生物培養器または微生物培地が粘着シートと透明フィルムとの間に挿入されるため、柔軟なフィルムが好ましく用いられる。例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリ(塩化)ビニルフィルム等が好ましく使用でき、更にフィルムの剥離性を向上させるために、剥離剤処理を施した易剥離性フィルムも好ましく用いることができる。なお、透明フィルムの開け閉め等の作業性を考慮すると、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリオレフィンフィルムまたは易剥離性ポリオレフィンフィルムが特に好ましい。また、透明フィルムの厚さは、20〜100μmの範囲が柔軟で好ましい。透明フィルムは、どのような形状であってもよいが、雑菌の進入を防ぐために、粘着シートと隙間が生じないように接着できるように微生物培養器または微生物培地よりも大きいサイズとする必要がある。
シート状微生物培養器またはシート状微生物培地の透明フィルムを開けるとき、透明フィルムを粘着シートから完全に剥離しても問題はないが、再度、透明フィルムで微生物培養器または微生物培地を覆い、粘着シートと再接着を行う必要があることから、両者の接着の一部が剥離されずに残っていることが好ましい。ただし、直接スタンプまたは拭き取り試験を行うときに、シート状微生物培養器またはシート状微生物培地から透明フィルムを取り除くことで作業がしやすくなる場合には、完全に取り除いて使用してもよい。また、微生物培養器が接着されていない部分の粘着フィルムと透明フィルムとの接着を剥離できる程度に、両者の接着部分の粘着力を残りの部分よりも強くすることで、一部が接着したまま、透明フィルムを開けることができ、試料液等の添加作業後に、再度、透明フィルムで接着することが容易であるため好ましい。さらに、透明フィルムと粘着シートとが完全に接着されておらず、部分的に粘着力を強くしているだけであれば、必要に応じて透明フィルムを完全に取り除くことも可能である。なお、粘着シートより大きなサイズの透明フィルムを用いると、透明フィルムを開きやすくできるため、非常に好ましい。
本発明で用いられる粘着シートに、粘着力の強い部分を作る方法としては、粘着シート/透明フィルム間より、強い粘着力を有する別の粘着テープ等により粘着シートと透明フィルムとを接着する方法や、粘着シートと透明フィルムの一端を両面テープにより接着する方法、粘着シートに粘着力の異なる粘着剤を塗布する方法、透明フィルムに粘着シート/透明フィルム間より、更に強い粘着力を有する粘着剤を塗布する方法、粘着シートと透明フィルムの一端の重なり合う部分に残りの部分の粘着シート/透明フィルム間より、更に強い粘着力を有する粘着剤を塗布する方法等が例示できる。別の粘着テープで接着するときには、粘着シートと透明フィルムの重なりをずらし、粘着シートの粘着剤塗布面と透明フィルム上の微生物培養器または微生物培地に接していない面、または、粘着シートの裏面と透明フィルム上の微生物培養器または微生物培地に接した面に、別の粘着シートを接着する方法が好ましく用いられる。また、粘着シートと透明フィルムとの重なりをずらさずに別の粘着テープを折り曲げて、粘着シートの裏面と透明フィルム上の積層物に接していない面に接着する方法を用いてもよい。また、別の粘着テープを折り曲げて、粘着シートの裏面と透明フィルム上の微生物培養器または微生物培地に接していない面に接着したときには、透明フィルムを開けたとき、粘着シートの裏面と透明フィルムを接着したまま完全に開くことができ便利である。強い粘着力の部分は残りの部分より、粘着力が強ければよいが、粘着力は2倍以上であることが好ましい。
以下に、本発明の微生物培養器、シート状微生物培養器を例にして、その作製方法について説明する。
ポリエステル等のフィルムを台紙として、その上に、水溶性高分子化合物の水溶液(微生物の生育栄養成分を含有していてもよいし、含まなくてもよい。また、発色剤、選択剤等を含んでいてもよい)を塗布し、乾燥または半乾燥状態の水溶性高分子化合物層とする。さらに、必要に応じてこの水溶性高分子化合物層上に、水溶性高分子化合物の水溶液(微生物の生育栄養成分を含有していてもよいし、含まなくてもよい。また、発色剤、選択剤等を含んでいてもよい)を塗布して2層以上の多層構造としてもよい。さらに該水溶性高分子化合物層上に、多孔質マトリックス層を積層して乾燥する。なお、水溶性高分子化合物層を多層構造とするときは多孔質マトリックス層と接する最上層の水溶性高分子化合物の目付は、1〜20g/m2とすることが好ましい。多孔質マトリックス層と水溶性高分子化合物層とを積層して乾燥する工程において、水溶性高分子化合物層が1層の場合、水溶性高分子化合物の水溶液が半乾燥状態で、多孔質マトリックス層を積層するか、または、乾燥状態であれば水または微生物の生育栄養成分を含んだ水を加えて湿らせた多孔質マトリックス層を積層する。水溶性高分子化合物層が2層以上とする場合、更に水溶性高分子化合物の水溶液を塗布して、そのまま、または半乾燥状態で多孔質マトリックス層を積層するか、または、乾燥後、水または微生物の生育栄養成分等を含んだ水を加えて湿らせた多孔質マトリックス層を積層する。また、乾燥後、さらに必要に応じて多孔質マトリックス層上に水溶性物質を塗布し乾燥する工程を加えてもよい。なお、得られた微生物培養器から、必要に応じて台紙を剥がしてもよい。次に、得られた微生物培養器を必要に応じて適当な大きさに切断し、粘着剤を塗布したシートまたはフィルムに接着し、透明フィルムを被せ、袋やシャーレに入れる等の措置を施し、エチレンオキサイドガス等により滅菌を施し、シート状微生物培養器とする。なお、この微生物培養器に微生物の生育栄養成分を含ませることで、微生物培地とでき、微生物培養器と同様に作製できる。また、シート状微生物培地も同様に作製できる。また、どの方法で作製した微生物培養器や微生物培地であっても、水溶性高分子化合物層と多孔質マトリックス層は少なくとも部分的には接着していることが好ましい。
具体的に、本発明の微生物培地が、3層の水溶性高分子化合物層から構成される場合の作製方法について以下に説明する。なお、A層、及び/またはB層に微生物の生育栄養成分が添加された状態を微生物培地といい、これらに微生物の生育栄養成分が添加されていない状態を微生物培養器という。ポリエステル等の樹脂フィルム上に、水溶性高分子化合物の水溶液を塗布・乾燥し、水溶性高分子化合物層(C層)を作製する。この層上に微生物の生育栄養成分、発色剤、選択剤またはこれらの混合物等を含んだ水溶性高分子化合物の水溶液を塗布・乾燥し、水溶性高分子化合物層(B層)を作製する。更にこの層上に微生物の生育栄養成分、発色剤またはこれらの混合物等を含んだ水溶性高分子化合物の水溶液を塗布し、水溶性高分子化合物層(A層)を作製し、C層、B層、A層からなる水溶性高分子化合物層の積層体とする。この積層体上に多孔質マトリックス層または培地成分を含ませた多孔質マトリックス層を積層して乾燥する。以上の工程により、微生物培地が得られる。このとき、多孔質マトリックス層に接する水溶性高分子化合物層中の水溶性高分子化合物の目付は1〜20g/m2であることが好ましい。また、乾燥後に、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、アミノ酸混合物糖類等の微生物の生育栄養成分または塩化ナトリウム、リン酸塩、炭酸塩等の塩類の水溶液または栄養成分と塩類の混合水溶液を多孔質マトリックス層表面に塗布し乾燥してもよい。なお、必要に応じて、台紙フィルムとして用いた樹脂フィルムを乾燥後に取り除いてもよい。次に、微生物培地を適当な大きさに切断し、これをより大きな粘着シートに接着する。このとき、樹脂フィルムを付着したままで使用する場合には、微生物培地の樹脂フィルム側に粘着シートを接着し、また樹脂フィルムを取り除いた場合には、水溶性高分子化合物層側に粘着シートを接着する。更に、この上から透明フィルムを被せ、微生物培地の周りの微生物培地が接着されていない粘着シート部分に透明フィルムを接着する。このとき、またはこの後、透明フィルムと粘着シートの一端をずらし、粘着シートと透明フィルムとの間の粘着力より、更に強い粘着力を有する粘着テープで接着するか、または、透明フィルムと粘着シートの一端を粘着シートと透明フィルムとの間の粘着力より、さらに強い粘着力を有する両面テープで接着するか、または、透明フィルムまたは粘着シートまたは両者の一端に残りの部分より、さらに強い接着力を有する粘着剤を塗布するなどの方法によって、粘着シートと透明フィルムの一端を残りの部分の粘着シートと透明フィルムとの間の粘着力より、さらに強くしてエチレンオキサイドガス滅菌等の滅菌を施し、シート状微生物培地を作製することができる。
具体的に、本発明の微生物培養器、または微生物培地が、2層の水溶性高分子化合物層から構成される場合の作製方法について以下に説明する。なお、A層、及び/またはB層に微生物の生育栄養成分が添加された状態を微生物培地といい、これらに微生物の生育栄養成分が添加されていない状態を微生物培養器という。ポリエステル等の樹脂フィルム上に、微生物の生育栄養成分、発色剤、選択剤またはこれらの混合物等を含む水溶性高分子化合物の水溶液または水溶性高分子化合物のみからなる水溶液を塗布し・乾燥し、水溶性高分子化合物層(B層)を作製する。更に、この層上に必要に応じて熱変成または熱分解しやすい微生物の生育栄養成分、発色剤またはこれらの混合物を含む水溶性高分子化合物の水溶液または水溶性高分子化合物のみからなる水溶液を塗布することで、水溶性高分子化合物層(A層)を作製し、B層、A層からなる水溶性高分子化合物層の積層体とする。この積層体上に多孔質マトリックス層または微生物の生育栄養成分等を含ませた多孔質マトリックス層を積層して乾燥し、微生物培養器または微生物培地とする。なお、多孔質マトリックス層に接する水溶性高分子化合物層(A層)中の水溶性高分子化合物の目付が1〜20g/m2となるようにすることが非常に好ましい。微生物培養器または微生物培地の乾燥後、必要に応じて、台紙として用いた樹脂フィルムを取り除いてもよい。次に、微生物培養器または微生物培地を適当な大きさに切断し、これをより大きな粘着シートに接着する。このとき、樹脂フィルムを付着したままで使用する場合には、微生物培養器または微生物培地の樹脂フィルム側に粘着シートを接着し、樹脂フィルムを取り除いて使用する場合には、水溶性高分子化合物層(B層)側に粘着シートを接着する。更に、この上から透明フィルムを被せ、微生物培養器または微生物培地の周りの微生物培地が接着されていない粘着シート部分に透明フィルムを接着する。このとき、またはこの後、透明フィルムと粘着シートの一端をずらし、粘着シートと透明フィルムとの間の粘着力より、更に強い粘着力を有する粘着テープを接着するか、または、透明フィルムと粘着シートの一端を粘着シートと透明フィルムとの間の粘着力より、さらに強い粘着力の両面テープで接着するか、または、透明フィルムまたは粘着シートまたは両者の一端に残りの部分より、さらに強い接着力の粘着剤を塗布するなどの方法によって、粘着シートと透明フィルムの一端を残りの部分の粘着シートと透明フィルム間の粘着力より、さらに強くしてエチレンオキサイドガス滅菌等の滅菌を施し、本発明のシート状微生物培養器または、シート状微生物培地とする。
いかなる方法で作製したシート状微生物培養器またはシート状微生物培地であっても、水溶性高分子化合物層間及び樹脂フィルムを取り除かない場合には、水溶性高分子化合物層と樹脂フィルムとの間は密着していることが好ましく、水溶性高分子化合物層と多孔質マトリックス層は少なくとも一部が接着していることが好ましい。また、透明フィルムと粘着シートとの接着された部分には隙間のないことが好ましい。
本発明のシート状微生物培地の使用例を以下に示す。
▲1▼食品等の微生物検査を行う場合は、滅菌済袋等に食品と滅菌生理食塩水または滅菌水等を加えストマッカー等でホモジナイズし、得られた懸濁液を適宜希釈して試料液として用いる。また、食品製造環境等の環境微生物検査を行う場合には、製造現場等を滅菌ガーゼや滅菌綿棒等により拭き取り、拭き取ったガーゼ等を滅菌生理食塩水または滅菌水等に懸濁し懸濁液を作製し、さらに適宜希釈して試料液として用いる。本発明のシート状微生物培養器またはシート状微生物培地の透明フィルムを開け(このとき、粘着力を強くした部分は剥離させずに残しておくことが好ましい)、多孔質マトリックス層上から、試料液を加え、透明フィルムを被せて密封し、微生物培地を適切な温度で一定時間、保温して培養を行い、微生物生育の有無及びコロニー数等の測定を行う。
▲2▼滅菌生理食塩水または滅菌水等を本発明のシート状微生物培地に加え、該シート状微生物培地により検査対象面を直接スタンプするか、検査対象面を直接拭き取り、そのまま、または再度、滅菌生理食塩水または滅菌水等を加えた後、透明フィルム(プラスチック製等のフィルム)を被せ、水分の蒸発を防ぐ処置を施して培養し、微生物生育の有無及びコロニー数等の測定を行う。
▲3▼湿った面を検査する場合には、シート状微生物培地をあらかじめ湿らせる必要はなく、そのまま拭き取るか、直接、検査対象にスタンプし、透明フィルムを被せて培養するか、または、滅菌生理食塩水または滅菌水等を加えた後、透明フィルムを被せ培養し、微生物生育の有無及びコロニー数等の測定を行う。
▲4▼シート状微生物培地に、滅菌生理食塩水または滅菌水等を加えた後、そのまま放置し落下菌を捕集し、そのまま、または再度、滅菌生理食塩水または滅菌水等を加えた後、透明フィルムを被せ、培養し、微生物生育の有無及びコロニー数等の測定を行う。このように通常の食品や環境中の微生物検査に加え、直接、検査対象に接触するか、または、検査対象を拭き取る方法により微生物検査ができることが大きな特徴である。直接接触または直接拭き取って検査するときは検査対象が曲面や多少の凹凸があるものでも検査できる。なお、シート状微生物培養器を用いるときは滅菌生理食塩水または滅菌水の代わりに微生物の生育栄養成分等を含んだ滅菌生理食塩水または滅菌水を使用する。
実施例
次に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各例において用いた測定方法を以下に示す。
(生育菌数)
微生物培地上に生成したコロニー数を目視によりカウントし数値を求めた。
(通気度)
多孔質マトリックス層をJIS L 1912の医療用不織布試験方法フラジール形法に準じて測定した値(単位:cm/sec)。
(目付)
20cm×20cmのサイズに切断した多孔質マトリックス層の重量を測定後、1m2当たりの重量に変換した値(単位:g/m2)。
(水溶性高分子化合物層中の水溶性高分子化合物の目付)
10cm×10cmのサイズに切断した水溶性高分子化合物層を乾燥し、その重量を測定後、1m2当たりの重量に変換した値(単位:g/m2)。微生物の生育栄養成分等を含む水溶性高分子化合物層では比例計算により栄養成分等を除した値。多層構造としたときは、各層を塗布乾燥後、重量を測定し、各工程毎の差を求めた。
(ポリビニルアルコールの鹸化度、重合度)
JIS K 6726−1994のポリビニルアルコール試験方法に準じて測定を行った。
(厚み)
シート及びフィルムの厚みは、(株)東洋精機製作所テクネスメーターB1により測定を行った。
(粘着力)
テンシロン型引張試験器を用いて、JIS K 6854の接着剤のはく離接着強さ試験方法に準拠して、接着強さを測定し、これを粘着力とした。
実施例1
水0.75Lにポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量約83000)45g、肉エキス1.3g、ペプトン4g、リン酸二カリウム1.3gを加え加熱・溶解後、厚さ20μm、サイズ0.5m×1mのポリエステルフィルム(台紙として用いた樹脂フィルム)上に、すべて塗布し、110℃で15分間乾燥し、ポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層のB層)を作製した。さらに、このB層上に、ポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量約83000)5g、肉エキス0.125g、ペプトン0.4g、リン酸二カリウム0.125g、塩化2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム5mgを水100mLに溶解した溶液をすべて塗布し、この上に、目付65g/m2、通気度12cm/secのナイロンメルトブロー不織布(多孔質マトリックス層)を積層し、100℃で30秒間乾燥した。なお、ナイロンメルトブロー不織布に接するポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層のA層)中の水溶性高分子化合物の目付は、9.8g/m2であった。さらにこれを直径50mmの円形に切断し、ポリエステルフィルム(台紙)側を、厚さ100μm、サイズ70mm×80mmのポリエステル粘着フィルムのほぼ中央に接着した後、さらにその上に、厚さ0.06mm、サイズ70mm×85mmのポリプロピレンフィルム(透明フィルム)を被せて、エチレンオキサイドガス滅菌を行い、シート状微生物培地を作製し、これを一般生菌用培地として用いた。
食肉、カット野菜、総菜などの各種食品10gを滅菌済袋に入れ、100mLの滅菌生理食塩水を加えてストマッカーでホモジナイズし、滅菌生理食塩水で10倍希釈列を作製し、試料液を作製した。一般生菌用培地のポリプロピレンフィルムを開いて、試料液1mLを加えた後、再度ポリプロピレンフィルムで被せて、35℃で48時間培養した。同時に試料液1mLを滅菌済みペトリ皿に加え、滅菌後45℃に保っておいた標準寒天培地を加え混釈し、35℃で48時間培養して、両者の生育菌数を測定比較した。第1図に示すように相関係数0.999の良好な相関性を示した。なお、ナイロンメルトブロー不織布の代わりに、レーヨン、コットン、セルロースからなる目付65g/m2、通気度10cm/secの不織布を積層して、微生物培地を作製し、同様に微生物検査を行っても、良好に微生物の培養ができる。
また、Escherichia coli IFO13500株、Bacillus subtilis IFO3134株、Staphylococcus aureus IFO13276株、Enterobacter cloacae JCM1232株、Providencia alcalifaciens IFO12931株、Klebsiella oxytoca JCM1665株を普通ブイヨン培地で培養後、滅菌生理食塩水で104〜108/mLとなるように希釈して、作製した一般生菌用培地にその1mLを加え、35℃、48時間培養した。どの菌株も104/mLでは赤色スポットが一様に分散し、105/mL以上の濃度では不織布表面が一様に赤色となった。
比較例1
水0.75Lにポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量約83000)45g、肉エキス1.3g、ペプトン4g、リン酸二カリウム1.3gを加え加熱・溶解後、厚さ20μm、サイズが0.5m×1mのポリエステルフィルム(台紙として用いた樹脂フィルム)上に、得られた溶液をすべて塗布し、110℃で15分間乾燥し、ポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層)を作製した。さらに、このフィルム上に、ポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量約83000)5g、肉エキス0.125g、ペプトン0.4g、リン酸二カリウム0.125g、塩化2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム5mgを水100mLに溶解して得た溶液をすべて塗布し、この上に、目付105g/m2、通気度6cm/secのナイロンメルトブロー不織布(多孔質マトリックス層)を積層し、100℃で30秒間乾燥した。なお、ナイロンメルトブロー不織布に接するポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層)中の水溶性高分子化合物の目付は、9.8g/m2であった。これを直径50mmの円形に切断し、ポリエステルフィルム(台紙)側を、厚さ100μm、サイズ70mm×80mmのポリエステル粘着フィルムのほぼ中央に接着した後、さらにその上に、厚さ0.06mm、サイズ70mm×85mmのポリプロピレンフィルム(透明フィルム)を被せ、エチレンオキサイドガス滅菌を行い、シート状微生物培地を作製し、これを一般生菌用培地として用いた。
実施例1と同様に、食肉、カット野菜、総菜などの各種食品10gを滅菌済袋に入れ、100mLの滅菌生理食塩水を加えてストマッカーでホモジナイズし、滅菌生理食塩水で10倍希釈列を作製し、試料液を作製した。一般生菌用培地のポリプロピレンフィルムを開いて、試料液1mLを加えた後、再度ポリプロピレンフィルムで被せて、35℃で48時間培養した。同時に1mLを滅菌済みペトリ皿に加え、滅菌後45℃に保っておいた標準寒天培地を加え混釈し、35℃で48時間培養して、両者の生育菌数を測定比較した。第2図に示すように相関係数0.949の比較的良好な相関性を示したが、標準寒天に比べ生育菌数が1桁程度低い試料が認められた。
また、Escherichia coli IFO13500、Bacillus subtilis IFO3134株、Staphylococcus aureus IFO13276株、Enterobacter cloacae JCM1232株、Providencia alcalifaciens IFO12931株、Klebsiella oxytoca JCM1665株を普通ブイヨン培地で培養後、滅菌生理食塩水で104〜108/mLとなるように希釈して、その1mLを作製した一般生菌用培地に加え、35℃、48時間培養した。Escherichia coli、Enterobacter cloacae、Bacillus subtilis、Klebsiella oxytocaは、106/mL以下のときに発色は認められたが、107/mL以上では発色が確認できなかった。Staphylococcus aureusは106/mL以上で、Providencia alcalifaciensはすべての濃度で発色を確認できなかった。これは、溶解した水溶性高分子化合物層が完全に不織布の表面まで達しないために、微生物が生育する付近への生育栄養成分の供給が遅く、微生物の生育が遅いこと、及びコロニーの観察を不織布が阻害していることが原因と考えられる。
実施例2
水0.5Lにポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量約83000)30gを加え加熱・溶解後、厚さ20μm、サイズ0.5m×1mのポリエステルフィルム(台紙として用いた樹脂フィルム)上に、得られた溶液をすべて塗布し、120℃で5分間乾燥し、ポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層のC層)を作製した。さらに、このC層上に、ポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量約83000)15g、ペプトン3.75g、リン酸二カリウム1g、乳糖0.2g、デオキシコール酸ナトリウム0.25gを水250mLに溶解して得た溶液をすべて塗布し、110℃、7分間乾燥し、ポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層のB層)とした。さらに、このB層上に、ポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量約83000)4g、ペプトン1.25g、リン酸二カリウム0.25g、乳糖0.05g、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド25mgを水100mLに溶解して得た溶液をすべて塗布し、この上に、目付65g/m2、通気度10cm/secのナイロンメルトブロー不織布(多孔質マトリックス層)を積層し、100℃で30秒間乾燥した。なお、ナイロンメルトブロー不織布に接するポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層のA層)中の水溶性高分子化合物の目付は7.8g/m2であった。これを直径50mmの円形に切断し、ポリエステルフィルム(台紙)側を、厚さ100μm、サイズ70mm×80mmのポリエステル粘着フィルムのほぼ中央に接着した後、厚さ0.06mm、サイズ70mm×85mmのポリプロピレンフィルム(透明フィルム)を被せ、エチレンオキサイドガス滅菌を行い、大腸菌群用培地を作製した。
Escherichia coli IFO13500株、Klebsiella oxytoca JCM1665株、Klebsiella pneumoniae JCM1662株、Citrobacter freundii IFO12681株、Serratia rubidaea IFO12973株、食品分離株1、2を普通ブイヨン培地で培養し、滅菌生理食塩水で10〜500cfu/mLとなるように希釈した。希釈した菌液1mLを作製した大腸菌群用培地に加え、36℃で培養した。すべての菌株が約16時間の培養で充分に確認できる青色スポットを形成した。
比較例2
水0.75Lにポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量約83000)45g、ペプトン10g、リン酸二カリウム1.2g、乳糖0.25g、デオキシコール酸ナトリウム0.3gを加え加熱・溶解後、厚さ20μm、サイズ0.5m×1mのポリエステルフィルム(台紙として用いた樹脂フィルム)上に、すべて塗布し、110℃で、20分間乾燥し、ポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層)を作製した。さらに、このフィルム上に、ポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量約83000)4g、ペプトン0.5g、リン酸二カリウム0.1g、乳糖0.025g、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド25mgを水100mLに溶解して得た溶液をすべて塗布し、この上に、目付65g/m2、通気度10cm/secのナイロンメルトブロー不織布を積層し、100℃で30秒間乾燥した。なお、ナイロンメルトブロー不織布に接するポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層)中の水溶性高分子化合物の目付は7.8g/m2であった。これを直径50mmの円形に切断し、ポリエステルフィルム(台紙)側を、厚さ100μm、70mm×80mmのポリエステル粘着フィルムのほぼ中央に接着した後、厚さ0.06mm、70mm×85mmのポリプロピレンフィルム(透明フィルム)を被せ、エチレンオキサイドガス滅菌を行い、大腸菌群用培地を作製した。
Escherichia coli IFO13500株、Klebsiella oxytoca JCM1665株、Klebsiella pneumoniae JCM1662株、Citrobacter freundii IFO12681株、Serratia rubidaea IFO12973株、食品分離株1、2を普通ブイヨン培地で培養し、滅菌生理食塩水で10〜500cfu/mLとなるように希釈した。希釈した菌液1mLを作製した大腸菌群用培地に加え、36℃で培養した。充分に確認できる青色スポットを形成するまでに、E.coli IFO13500株、食品分離株1で約16時間、K.oxytoca JCM1665株、S.rubidaea IFO12973株で約20時間、K.pneumoniae JCM1662株、C.freundii IFO12681株で約25時間、食品分離株2では約30時間を要した。
実施例3
水0.5Lにポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量83000)30gを加え加熱・溶解後、厚さ20μm、サイズ0.5m×1mのポリエステルフィルム(台紙として用いた樹脂フィルム)上に、得られた溶液をすべて塗布し、120℃で、5分間乾燥し、ポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層のC層)を作製した。さらにこのC層上に、水0.25Lにポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量83000)15g、ペプトン3.75g、リン酸二カリウム1g、乳糖0.2g、デオキシコール酸ナトリウム0.25gを溶解して得た溶液をすべて塗布し、110℃で、7分間乾燥し、ポリビニルアルコールフィルム(水溶性高分子化合物層のB層)を作製した。さらにこのB層上に、ポリビニルアルコール(鹸化度89%、重合度1700、分子量83000)5g、ペプトン1.25g、リン酸二カリウム0.25g、乳糖0.05gを、発色剤として、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド25mgを水100mLに溶解して得た溶液をすべて塗布し、この上に、目付65g/m2、通気度12cm/secナイロンメルトブロー不織布(多孔質マトリックス層)を積層し、100℃で、30秒間乾燥し、微生物培地を得た。なお、ナイロンメルトブロー不織布に接するポリビニルアルコールフィルムが水溶性高分子化合物層のA層に相当する。これを直径50mmの円形に切断した。サイズ80mm×90mm、厚さ100μmの白色ポリエステルに、アクリル系微粘着タイプ粘着剤(リンテック(株)製)を塗布し、これを粘着シートとして用い、ほぼ中央に、得られた円形の微生物培地を接着した後、厚さ0.06mm、サイズ80mm×90mmのポリプロピレンフィルム(透明フィルム)を90mm方向側に5mmずらして粘着シートに被せ、粘着テープとして9mm巾バックシーリングテープ((株)共和製)をずらした部分を覆うように接着し、エチレンオキサイドガス滅菌を行い、大腸菌群用シート状微生物培地を作製した。得られたシート状微生物培地は、非常にコンパクトであった。
シート状微生物培地のバックシーリングテープで接着した一端の反対側からポリプロピレンフィルム(透明フィルム)を開けたとき、ポリプロピレンフィルムの開きは、バックシーリングテープで接着した5mmの部分で一旦、止まり、ポリプロピレンフィルムと粘着シートは、部分的に接着を残した状態で微生物の採取等の操作が行えた。
また、シート状微生物培地のバックシーリングテープで接着した一端の反対側からポリプロピレンフィルム(透明フィルム)を開け、廃棄されていた食品を滅菌生理食塩水で懸濁し、更にこの懸濁液を適宜希釈して得た試料液を1mL加え、ポリプロピレンフィルムを被せたところと、ポリプロピレンフィルムは容易に粘着シートと再接着できた。
シート状微生物培地のバックシーリングテープで接着した一端の反対側からポリプロピレンフィルム(透明フィルム)を開け、一旦、剥離が止まる位置より、更に強くポリプロピレンフィルムを開くと、ポリプロピレンフィルムにバックシーリングテープが接着した状態で、粘着シートから取り除くことができた。多孔質マトリックス層上から滅菌生理食塩水を0.4mL加えた後、まな板を拭き取り、滅菌生理食塩水を0.6mL追加して、ポリプロピレンフィルムを再接着したが、バックシーリングテープは変形し、再接着ができなかった。しかし、ポリプロピレンフィルムは粘着シートとの接着部分に隙間を生じない状態で再接着ができた。なお、36℃で培養を行ったところ、大腸菌群が存在したために、青色のスポットが現れ、微生物培地として良好に使用できることがわかった。
産業上の利用可能性
本発明の微生物培養器、及び微生物培地は、少なくとも1層の水溶性高分子化合物層と、多孔質マトリックス層とからなり、水溶性高分子化合物層上に、多孔質マトリックス層が積層された形態をとり、多孔質マトリックス層は、目付40〜100g/m2、通気度7〜24cm/secとなる構成であることから、培養前の培地の準備が要らず、食品や環境中の微生物検査が簡便に行える。また、通常の食品や環境検査に加え、曲面や多少の凹凸のある面でも直接検査対象にスタンプまたは拭き取って検査することもできる。さらに、試料液中の微生物は、微生物培地表面に一様に分散し、微生物数が非常に多いときでも微生物の生育が確認できる。また、微生物培地が薄いため、保存や培養に場所をとらず、廃棄物の体積も通常の微生物培地に比べ大幅に減少できる。また、水溶性高分子化合物層が、2層以上からなり、多孔質マトリックス層に接する水溶性高分子化合物層中の水溶性高分子化合物の目付を、1〜20g/m2とすることで、熱により劣化しやすい成分を水溶性高分子化合物層に添加することが可能となった。また、水溶性高分子化合物層が、2層以上からなる場合に、多孔質マトリックス層から最も離れた水溶性高分子化合物層に微生物の生育栄養成分を添加させないことで、微生物に利用されていなかった微生物の生育栄養成分等の添加量を減少でき、さらに、生育栄養成分の利用効率が高くでき、作製工程も効率化できる。
本発明のシート状微生物培養器及びシート状微生物培地は、食品や環境の微生物検査が簡便に行え、更に、曲面や多少の凹凸のある面でも直接検査対象にスタンプまたは拭き取って検査することができる。カバーフィルムの一部を接着したままでも、完全に剥がしても使えるため、用途に合わせて使いやすい方法を選択でき、様々な検査対象・用途の微生物検査が簡単容易に行える。また、本発明のシート状微生物培養器及びシート状微生物培地は、薄いシート状であることから、培養に場所をとらず、また、廃棄物も通常の微生物検査に比べ大幅に減少できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1の一般生菌用培地と標準寒天培地との比較を表したグラフである。
第2図は、比較例1の一般生菌用培地と標準寒天培地との比較を表したグラフである。
第3図は、本発明のシート状微生物培養器の一例を表した概略図である。
第4図は、本発明のシート状微生物培養器の一例を表した概略図である。
符号の説明
1:シート状微生物培養器、2:多孔質マトリックス層、3:透明フィルム、4:粘着シート、5:水溶性高分子化合物層。
Claims (21)
- 目付が40〜100g/m2、通気度が7〜24cm/secである多孔質マトリックス層と、少なくとも1層の水溶性高分子化合物層とが、積層された微生物培養器。
- 水溶性高分子化合物層が、少なくとも2層からなることを特徴とする請求項1項記載の微生物培養器。
- 水溶性高分子化合物層を多孔質マトリックス層に近い順にアルファベット順の記号を付けるとき、水溶性高分子化合物層が、A層、及びB層の2層を積層して構成されており、A層は水溶性高分子化合物を含む層であり、B層は水溶性高分子化合物を含む層または水溶性高分子化合物からなる層であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の微生物培養器。
- 水溶性高分子化合物層を多孔質マトリックス層に近い順にアルファベット順の記号を付けるとき、水溶性高分子化合物層が、A層、B層、及びC層の3層を積層して構成されており、A層、及びB層は水溶性高分子化合物を含む層であり、C層は水溶性高分子化合物からなる層であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の微生物培養器。
- 多孔質マトリックス層に接する水溶性高分子化合物層中の水溶性高分子化合物が、1〜20g/m2の目付であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の微生物培養器。
- 水溶性高分子化合物が、鹸化度75〜95%、分子量25000〜250000のポリビニルアルコールである請求項1〜5のいずれか1項記載の微生物培養器。
- 多孔質マトリックス層が、ナイロン、レーヨン、コットン、及びセルロースからなる群から選ばれた1種以上の親水性繊維からなる不織布である請求項1〜6のいずれか1項記載の微生物培養器。
- 多孔質マトリックス層が、ナイロンメルトブロー不織布である請求項7記載の微生物培養器。
- 多孔質マトリックス層が、その表面に水溶性物質が塗布されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の微生物培養器。
- 請求項1〜9のいずれか1項記載の微生物培養器が、その微生物培養器より大きな粘着シートの中心部に多孔質マトリックス層が上になるように接着され、その上に前記微生物培養器より大きな透明フィルムが多孔質マトリックス層に接し、かつ前記微生物培養器と中心部を合わせるように被せられ、この透明フィルムの前記微生物培養器からはみ出している部分が粘着シートの前記微生物培養器が接着されていない部分と接着されていることを特徴とするシート状微生物培養器。
- 粘着シートが、透明フィルムと接着する粘着シートの粘着力が部分的に高いことを特徴とする請求項10記載のシート状微生物培養器。
- 粘着シートが、粘着シートより強い粘着力を有する別の粘着テープにより、部分的に透明フィルムと接着されていることを特徴とする請求項10記載のシート状微生物培養器。
- 粘着シートが、その片面にアクリル系粘着剤またはゴム系粘着剤が塗布された、厚さ0.07〜0.5mmのポリエステルフィルム、白色ポリエステルフィルム、ポリオレフィン系合成紙、及びポリオレフィンラミネート紙から選ばれた1種であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項記載のシート状微生物培養器。
- 透明フィルムが、ポリオレフィンフィルムまたは易剥離性ポリオレフィンフィルムである請求項10〜13のいずれか1項記載のシート状微生物培養器。
- 透明フィルムが、厚さ20〜100μmであることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項記載のシート状微生物培養器。
- 請求項1〜9のいずれか1項記載の微生物培養器に、微生物の生育栄養成分、発色剤、及び選択剤から選ばれた少なくとも1種が含まれることを特徴とする微生物培地。
- 請求項3または請求項4記載の微生物培養器を構成するA層、及び/またはB層に、微生物の生育栄養成分、発色剤、及び選択剤から選ばれた少なくとも1種が含まれることを特徴とする微生物培地。
- 請求項9記載の水溶性物質に、微生物の生育栄養成分、塩類、またはこれらの混合物が含有させていることを特徴とする微生物培地。
- 請求項1〜9のいずれか1項記載の微生物培養器を構成する水溶性高分子化合物層、及び/または多孔質マトリックス層に、少なくとも1種の微生物の生育栄養成分が含まれることを特徴とする微生物培地。
- 請求項10〜15のいずれか1項記載のシート状微生物培養器に、微生物の生育栄養成分、発色剤、及び選択剤から選ばれた少なくとも1種が含まれることを特徴とするシート状微生物培地。
- 請求項10〜15のいずれか1項記載のシート状微生物培養器を構成する水溶性高分子化合物層、及び/または多孔質マトリックス層に、少なくとも1種の微生物の生育栄養成分が含まれることを特徴とするシート状微生物培地。
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