JP2620060B2 - 膜を介する細胞の同時培養用のローラ瓶及びそれを使用する細胞の同時培養方法 - Google Patents

膜を介する細胞の同時培養用のローラ瓶及びそれを使用する細胞の同時培養方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全体として、細胞
の培養技術、より具体的には、膜を介する(Trans
−membrane)細胞の同時培養に適したローラ瓶
に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の細胞を培養することは、多くの研
究所における日常的な方法となっている。化合物の採
取、有害な化合物に対する各種の感度試験、又は、移植
片に対する組織の提供といった目的のため、細胞の培養
が行われる。極く最近では、ある種類の細胞ともう一方
の種類の細胞との相互作用を研究する目的のため、微孔
質膜の両側部にて種類の異なる細胞の同時培養が行われ
ている。この微孔質膜の機能は、水性培地に可溶性であ
る細胞代謝物及び細胞生成物を使用して、種類の異なる
細胞間の化学的連絡を許容する一方で、一種類の細胞が
別の種類の細胞と物理的に接触するのを防止することに
ある。
【0003】この細胞の同時培養に関する代表粋な文献
としては、In Vitro Cell Dev.
iol.26:1135−1143(1990年12
月)にマンガム(Mangum)その他の者が掲載した
論文があり、ここで著者は、「モデル肺胞の損傷に対す
る原発性肺細胞の同時培養及びタンパク質の転位(Co
−Culture of Primary Pulmo
nary Cellsto Model Alveol
ar Injury and Translocati
on of Protein)」について記載してい
る。また、J.Tissue Cult. Metho
d.14:209−216(1992年)にマダーラ
(Madara)その他の者が掲載した報告書「培養し
た上皮単一層の電気的特性の簡単な測定方法(A Si
mple Approach toMeasureme
nt of Electrical Paramete
rs of Cultured Epithelial
Monolayers)」がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの特許及び文献
は、細胞間の相互作用を研究するために吊り下げられた
微孔質膜の両側部で二種類の細胞を成長させる技術につ
いて報告している。また、上記のマダーラその他の者
は、膜を介する細胞の同時培養の研究結果を詳細に報告
している。更に、上記のマダーラその他の者は、機械加
工したポリカーボネート製リングを挿入体の下側に接着
剤で接着することにより、市販の細胞培養挿入体を改造
して膜の両側部にて単一層の成長を促進させることを記
述している。このマダーラその他の者によって記述され
た既存の製品の改造の結果、二種類の細胞の相互作用に
関して小規模な実験を行うための手段が得られるが、こ
のマダーラその他の者によって開発された装置は、より
大規模な研究には適さない。
【0005】膜を介する細胞の同時培養がより大きな関
心を集めるに伴い、小形(1−5cm)の挿入装置を使
用して、同時培養した細胞個体群を容易に取り扱うこと
が出来る量よりも多量に培養することが必要となってい
る。より大規模な同時培養が必要とされることを示す一
つの例として、ある種の細胞代謝生成物は、その他の種
類の細胞が存在するだけで検出し得なくなることがあ
る。こうした代謝生成物は、細胞を同時培養するとき、
極く小量しか形成されない。ある種類の代謝生成物の細
胞が別の種類の細胞に及ぼす影響は、小形のウェル挿入
装置で観察することが出来るが、より詳細に特性を把握
するためこうした代謝物を十分な量、隔離するために
は、より多量の細胞を同時培養で成長させることが望ま
しい。
【0006】細胞の単一培養の規模を拡大するとき、細
胞の培養のため研究施設で使用される容器は、一般に、
「ローラ瓶(roller bottles)」として
公知である。これらのローラ瓶は、略円筒状であり、研
究用のローラ装置に取り付けたとき、その長手方向軸線
を中心として回転し得るようにしてある。この研究用の
ローラ装置は、温度及び雰囲気を制御するため、チャン
バ内に取り付け得るようにしてあることが多い。こうし
た瓶は、ローラ装置による制約のため、容積約0.8
5、1.75及び3.5リットル、直径約11−12c
mの標準的寸法で販売される。
【0007】こうした最も一般的な適用例では、瓶に
は、培養すべき細胞の懸濁液を含む水性成長培地が数百
ミリリットル、充填される。これらの瓶は、一般に、温
度及び雰囲気が制御された環境内でその両側部が研究用
ローラ装置に接するように取り付け、その瓶の内面の長
手方向部分が常に成長培地で湿潤された状態にあり、ま
た数日間、その軸線を中心としてゆっくりと(約1−2
rpm)回転させる。この間に、細胞は、一般に、それ
自体が瓶の表面に付着して、成長培地中の栄養分を吸収
して成長する。多くの適用例において、副生成物の採
取、老廃物の除去、又は栄養分の補充のため、成長サイ
クル中、成長培地を排液し且つ再充填しなければならな
い。
【0008】膜を介する細胞の同時培養装置の規模を拡
大するために、単一培養ローラ瓶と同様の装置が求めら
れている。かかる装置及びその使用方法について以下に
説明する。
【0009】
【課題を解決するための手段】膜を介しての細胞の同時
培養に好適なローラ瓶は、側壁により囲繞された第一の
チャンバを有し、その一端の第一のネック部が該チャン
バに対する流体アクセス口を提供する貫通開口部を有す
る、長手方向軸線を持つ外部容器を備えている。該ロー
ラ瓶は、長手方向軸線を有し、第二のチャンバが設けら
れた内部容器を更に備えており、該内部容器は、外部容
器の内側に同軸状に配置されている。該内部容器は、第
二のチャンバに対する流体アクセス口を提供する貫通開
口部を有する一端に第二のネック部を備えている。外部
容器は、気体及び液体に対して略不透過性である材料で
形成することが望ましい。この外部容器は、略流体密の
状態で密封され、第一のネック部からの流体アクセス口
を有する第一のチャンバを形成することが望ましい。内
部容器の少なくとも一部は、微孔質材料で形成すること
が望ましい。この内部容器は、略流体密の状態で密封さ
れて、第二のチャンバを形成する。該第二のチャンバ
は、内部容器の第二の端部にて第二のネック部からの流
体アクセス口を備えている。
【0010】ローラ瓶内で膜を介する細胞の同時培養を
行う好適な方法は、第一の適当な液体成長培地中の第一
の細胞個体群をローラ瓶の外部容器の第一のチャンバに
充填し、瓶を水平に置いたとき、その液体が外部容器の
側壁の少なくとも一部を覆う層を形成するようにする段
階を備えている。次に、この好適な方法は、第一のチャ
ンバを閉鎖する段階と、細胞の繁殖に適した環境内で第
一の細胞個体群が増殖するのに十分な時間、第一の培地
及び第一の細胞個体群を有するローラ瓶を水平に配置す
る段階とを含む。この瓶は、環境から除去し、その後、
ローラ瓶の第二のチャンバに適当な第二の液体培地中の
第二の細胞個体群を充填し、第二の細胞個体群を繁殖さ
せることが望ましい。この第二のチャンバは、外部容器
内に配置された内部容器であることが望ましく、また、
該内部容器は、第一の細胞個体群と第二の細胞個体群と
が物理的に接触するのを実質的に防止する一方で、第一
のチャンバと第二のチャンバとの流体連通を許容する微
孔質膜で形成された側壁を有することが望ましい。次
に、第二のチャンバを閉塞し、第一のチャンバ内に第一
の培地及び第一の個体群を有し、更に、第二のチャンバ
内に第二の個体群及び第二の培地を有するローラ瓶をそ
の個体群の繁殖に適した環境内で水平に配置する。水性
培地に可溶性の細胞代謝物は、膜を通じて自由に透過す
るから、これらの細胞の繁殖に伴い、その個体群の環境
は変化する。膜は、二つの細胞個体群を物理的に分離し
た状態に保つ働きをする。この物理的分離により細胞の
個体群を採取したり、細胞の透過を制御することが可能
となる。第二の細胞個体群が第一の細胞個体群と流体連
通した状態で繁殖するのを許容するのに十分な時間、該
瓶はその環境内に置くことが望ましい。
【0011】本発明のローラ瓶は、生物細胞の一又は複
数の個体群の膜を介しての同時培養の規模を拡大するの
に有用な装置、及びその使用方法を提供するものであ
る。この装置及び方法が発明される以前は、膜を介して
二種類の細胞個体群を同時に培養するときの培養規模を
増すと考えられる唯一の方法は、小形のウェル型式の装
置を多数、使用することであった。しかし、この方法で
は、個々の同時培養毎に、別個の取り扱い及び操作が必
要とされるから、多数の同時培養の実施を管理するため
には人手がかかり、また結果も不安定となる傾向にあ
る。本発明のローラ瓶は、既存のウェル型式の装置より
も大規模な膜を介する細胞の同時培養に採用し得る簡単
で操作の容易な装置及びその使用方法を提供するもので
ある。本発明により細胞培養の技術は、進歩し、技術開
発の利点として、より多数の同時培養した細胞個体群を
形成する機能が向上し、同時培養のより広い利用を可能
にするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、多くの異なる形態の実
施例で満足されるが、この開示内容は、本発明の原理の
一例にしか過ぎず、本発明の範囲を図示した実施例にの
み限定することを意図するものではないという理解の下
に、本発明の幾つかの実施例を図示し且つ以下に説明す
る。本発明の範囲は、請求の範囲の記載及びその均等物
により判断されるべきである。
【0013】図1及び図2に示すように、膜を介する細
胞の同時培養用のローラ瓶10は、長手方向軸線A及び
側壁14を有する、略円筒状の外部容器12を備えるこ
とが望ましい。該外部容器12は、その内部に第一のチ
ャンバ16を有し、また、貫通するネック部開口部22
が形成された第一のネック部20を有する第一の端部1
8を備え、この開口部は、第一のチャンバ16に対する
流体アクセス口を提供する。外部容器12は、第二の端
部24を備えている。
【0014】ローラ瓶10は、その内部に第二のチャン
バ28を有し、また、長手方向軸線A′を有する略円筒
状の内部容器26を備えることが望ましい。該内部容器
26は、外部容器12内に同軸状に配置され、外部容器
12の第一の端部18に隣接する第一の端部30と、外
部容器の第二の端部24に隣接する第二の端部32とを
備えることが望ましい。該第一の端部30は、第一のチ
ャンバ16に流体を供給したり、第一のチャンバ16か
ら流体を吸引することを可能にする隙間を提供し得るよ
うに外部容器の第一の端部18から奥まっていることが
望ましい。内部容器の第二の端部32及び外部容器の第
二の端部24は、貫通開口部36を有する第二のネック
部34を備え、この貫通開口部は、第二のチャンバ28
に対する流体アクセス口を提供する。この第二のネック
部34に形成された開口部36は、第一のチャンバ16
から隔離されており、このため、第二のネック部34
は、第二のチャンバ28のみに対する流体アクセス口を
提供する。
【0015】外部容器12は、気体及び液体に対して略
不透過性である材料で形成し、第一の端部18及び第二
の端部24にて略流体密に密封されて、第一の端部18
に第一のチャンバ16に対して第一のネック部20から
の流体アクセス口を形成することが望ましい。内部容器
26の少なくとも一部分38は、微孔質材料で形成する
ことが望ましい。内部容器26は、微孔質材料で形成し
た側壁40を備えるとが望ましい。
【0016】細胞の単一培養技術において、研究用ロー
ラ装置内にローラ瓶をその長手方向軸線を水平にして配
置し、次に、ローラ瓶をその長手方向軸線を中心として
ゆっくりと(5rpm以下)回転させることがローラ瓶
の一般的な使用方法である。一般に、長手方向側壁の表
面の一部を覆うのに十分な量の水性液体成長培地をネッ
ク部を通じて瓶内に導入する。成長しつつある細胞はそ
れ自体が外側の側壁の内面に付着して、繁殖する。細胞
の同時培養用の本発明のローラ瓶10において、外部容
器12及び内部容器26の双方が内面を有する。外部容
器12は、内面44を備える一方、内部容器の側壁40
は、内面46と、外面48とを備えている。内部容器2
6は、外部容器12内で同軸状に支持され、内側側壁の
外面48が外側側壁の内面44から距離Dの位置に保た
れるようにすることが望ましい。この距離Dは、約0.
254mm(0.010インチ)乃至約10.16mm
(0.40インチ)の範囲であることが望ましい。ま
た、この距離Dは、外部容器12内で内部容器26を支
持する支持部材50により保つことが望ましい。該支持
部材50は、内部容器の第一の端部30から第二の端部
32まで伸長する少なくとも一つのら旋状支持部材52
を備えることが望ましい。
【0017】外部容器が第一のチャンバ16内に水性液
体成長培地層を有する場合、瓶10をその長手方向軸線
を中心として水平方向に回転させたとき、このら旋状支
持部材52は、アルキメデスねじとして機能して、第一
のチャンバ16内に保持された培地を上昇させ、静かに
撹拌し、内部容器の外面48上に培地の流れを維持する
ようにすることが望ましい。
【0018】微孔質膜に適した材料としては、開放貫通
孔が形成されたポリエチレン・テレフタレート、ポリカ
ーボネート等のようなポリマー材料があるが、これらに
のみ限定されるものではない。膜は厚さ約20ミクロン
乃至約30ミクロンであり、孔は直径約0.2ミクロン
乃至約10ミクロンの範囲にあり、多孔度は平方cm当
たり約0.1×106乃至約10.0×106の範囲であ
ることが望ましい。好適な微孔質膜としては、「サイク
ロポア(Cyclopore)(登録商標名)」(ベル
ギー国、ルーベン・ラ・ニューベのアベニュー・アイン
スタイン(Avenue Einstein,Louv
ain−la−Neuve,Belgium))及び
「ポアティックス(Poretics)(登録商標
名)」(カリフォルニア州、リバーモア(Liberm
ore,CA))が販売するトラックエッチング処理膜
を含むが、これらにのみ限定されるものではない。微孔
質膜は、第一のチャンバ内の第一の細胞個体群と第二の
チャンバ内の第二の細胞個体群との物理的な接触を略防
止する一方で、これらの細胞個体群を流体連通させる働
きをする。
【0019】外部容器の第一の端部に設けられた第一の
ネック部20及び外部容器の第二の端部の第二のネック
部34は、雄ねじ53を有し、また、標準的な市販のロ
ーラ瓶のネック部分の形状と同様の寸法として、標準的
なローラ瓶用の栓54を使用することが出来るようにす
ることが望ましい。
【0020】外部容器12の側壁14は、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリメチル・メタクリレート、ポリスチレン、ポリ
エチレン・テレフタレート、ポリエステル等を含む熱可
塑性樹脂とすることの出来るプラスチック樹脂で形成す
ることが望ましい。最も望ましくは、側壁14は、結晶
性ポリスチレンを押出し成形して形成する。側壁14の
内面44は、細胞がより付着し易いように表面処理を施
すことが出来る。かかる表面処理は、プラズマ処理、コ
ロナ放電処理、表面酸化等を含むが、これらにのみ限定
されるものではない。
【0021】外部容器の第一の端部18及び第二の端部
24は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレ
タン、ポリ塩化ビニル、ポリメチル・メタクリレート、
ポリスチレン、ポリエチレン・テレフタレート、ポリエ
ステル等のような熱可塑性樹脂で形成することが望まし
く、最も望ましくは、ポリスチレンを射出成形して形成
することである。内部容器の第一の端部30、支持部材
50及びら旋状支持部材52は、ポリプロピレン、ポリ
カーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリメ
チル・メタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエステル等のような熱可塑性樹脂で
形成することが出来る。第一の端部30、ら旋状支持部
材52、支持部材50を含む内部容器の構成要素、及び
外部容器の一つの構成要素しての第二の端部24は、ポ
リスチレンで形成し、相互に接着して内部容器に対する
骨組み体56を形成するのが好ましい。内部骨組み体5
6を形成する構成要素は、接着、溶剤接着、超音波溶
接、熱接着又は確実に接着させるその他の任意の方法に
より相互に接合することが出来る。骨組み体56の構成
要素は、溶剤接着により相互に接合することが望まし
い。微孔質膜部分38が内部容器の側壁部分40を形成
することが望ましく、また、該微孔質膜は、接着、溶剤
接着、超音波溶接、熱接着又は膜と骨組み体とを略流体
密に取り付けるその他の任意の方法により骨組み体56
に接合することが望ましい。この接合は、一つのチャン
バ内の細胞がもう一方のチャンバ内の細胞と混じり合わ
ないよう略流体密とすることが望ましい。第一のチャン
バと第二のチャンバとの全ての流体連通は、細胞の通過
を略阻止する微孔質膜を通じて行われるようにすること
が望ましい。該膜は、溶剤接着により骨組み体56に接
合することが望ましい。
【0022】内部容器26の全体は、上述のように、外
部容器の第二の端部を含んで予め組み立て、次に、外部
容器の側壁14が外部容器の第二の端部24及び外部容
器の第一の端部18に接合されるようにして、最終的に
同軸状に組み立てて、図1及び図2に示すようにローラ
瓶の組み立てを完了する。接着剤、溶剤接着、超音波溶
接、熱接着又は略流体密の取り付けを実現するその他の
任意の方法を使用して、両端部を側壁に取り付けること
が出来る。外部容器の側壁及び外部容器の両端がポリス
チレンで形成される外部容器の最も好適な実施例の場
合、溶剤接着の採用が望ましい。
【0023】互いに物理的に分離しているが、化学的に
流体連通した二種類の細胞個体群を培養するため本発明
のローラ瓶10を使用する好適な方法は、第一の個体群
の培養に適した第一の液体成長培地中の第一の細胞個体
群を外部容器12の第一のチャンバ16に充填する段階
を含む。瓶を水平に置いたとき、液体が外部容器の側壁
の内面44の少なくとも一部を覆う層を形成するように
十分な量の液体を使用することが望ましい。次に、チャ
ンバを閉鎖し、培地及び第一の細胞固体群の入った瓶1
0を細胞の繁殖に適した環境内で水平に配置する。瓶1
0は、約1乃至約5rpmの範囲の速度で軸を中心に回
転させ、培地を静かに撹拌し、側壁の細胞が液体培地に
浸るようにすることが望ましい。一般に、外部容器の側
壁内面に合流層が形成される程度であることが望まし
い、所望のレベルまで第一の細胞の個体群が繁殖したな
らば、微孔質材料で出来た側壁40を備えることが望ま
しい内部容器26の第二のチャンバ28内に第二の液体
成長培地中の第二の細胞個体群を充填する。瓶10が水
平に置かれるとき、液体が内部容器の側壁の内面46の
少なくとも一部を覆うのに十分な量の第二の液体培地を
使用することが望ましい。次に、両方の細胞個体群が繁
殖するのに適した環境内に瓶10を水平に配置し、再
度、ゆっくりと回転させて、瓶を撹拌し且つ両側壁上の
細胞が培地に浸るようにする。
【0024】上述の方法に代替すべき瓶10の別の一つ
の使用方法は、第一のチャンバ16に適当な培地中の一
種類の細胞を充填すると共に、第二のチャンバ28に適
当な培地中の別の種類の細胞を同時に充填することであ
る。次に、瓶10を望ましい環境内に配置し、細胞個体
群を繁殖させる。更に別の代替的な方法は、第二のチャ
ンバ28に適当な培地中の一種類の細胞を充填し、これ
らの細胞を内部容器内で所望のレベルまで繁殖させ、次
に、第一のチャンバ16に適当な培地中の別の細胞個体
群を充填し、その後に、同時培養としてその両チャンバ
内で細胞を繁殖させる。
【0025】本明細書において、「膜を介しての細胞の
同時培養」という語は、一般にウェル型式の挿入装置を
使用して行われる適用例と類似した次の適用例をも含む
ものとするが、これらにのみ限定されるものではない。
【0026】a)内部容器の内面に一つの細胞個体群の
単一層として形成する単一培養。この適用例は、頂部面
及び底部面の双方で成長する細胞に培地が接触すること
を可能にする。
【0027】b)第一の細胞個体群の単一層が外部容器
の内面上にあり、第二の細胞個体群の単一層が内部容器
の内面上にある状態での同時培養。
【0028】c)第一の細胞個体群の単一層が内部容器
の内面上にあり、第二の細胞個体群の単一層が内部容器
の外面上にある状態での同時培養。
【0029】d)第一の細胞個体群の単一層が内部容器
の内面上にあり、第二の細胞個体群の単一層が内部容器
の外面上にあり、更に、第三の細胞個体群の単一層が外
部容器の内面上にある状態での三成分培養。
【0030】図3、図4、図5、図6には、図1及び図
2に示したローラ瓶の代替的な実施例が示してある。こ
れらの実施例には、図1及び図2に示した本発明の実施
例と構造及び機能が同様の構成要素が設けられている。
従って、略同様の機能を果たす略同様の構成要素は、図
3乃至図6においてこれらの構成要素を識別するため接
尾辞を使用している点を除いて、図1及び図2の実施例
の構成要素と同一の参照符号で表示する。
【0031】図3、図4及び図5に示すように、膜を介
しての細胞の同時培養用のローラ瓶10aは、長手方向
軸線B及び側壁14aを有する略円筒状の外部容器12
aを備えている。該外部容器12aは、第一のネック部
20aを有する第一の端部18a内に第一のチャンバ1
6aを備え、このネック部にて、奥まった部分60に
は、ネック開口部22aが形成されて、チャンバ16a
へのアクセス口となるようにすることが望ましい。該奥
まった部分60により、瓶10aは第一の端部18aを
下にして真っ直ぐに立てることが出来、このため、取り
扱いが容易であり、ローラに取り付けたときのスペース
が少なくて済む。
【0032】ローラ瓶10aは、長手方向軸線B′を有
し、その内部に第二のチャンバ28aを有する略円筒状
の内部容器26aを備えることが望ましい。該内部容器
26aは、外部容器12a内に同軸状に配置されること
が望ましく、また、外部容器12aの第一の端部18a
に隣接する第一の端部30aと、外部容器の第二の端部
24aに隣接する第二の端部32aとを備えることが望
ましい。内部容器の第二の端部32a、及び外部容器の
第二の端部24aは、第二のチャンバ28aに対する流
体アクセス口を提供する貫通開口部36aを有する第二
のネック部34aを備えている。この実施例において、
キャップ54aが第二のネック部に嵌まっているときで
も、瓶10aを第二の端部24aを下にて真っ直ぐに立
てることが出来るように、ネック部34aは奥まった部
分61内に形成することが望ましい。
【0033】図3、図4、図5に示すように、瓶10a
は、図1及び図2に示した実施例について説明したと同
様に形成し且つ組み立てることが望ましい。図5に示す
ように、瓶10aは、側壁14aの要素62と係合し、
第二の端部24aを側壁14aに解放可能に保持するた
め外部容器の第二の端部24aに設けられた要素64を
更に備えることが出来る。該要素64は、スナップ式嵌
合部材、ねじ等を含むことが出来、要素62は、これら
のスナップ式接続具、ねじ等とそれぞれ協働可能とする
ことが出来るからこれらに限定されない。これらの互い
に協働する要素62、64の特別の形態は、本発明にと
ってそれ程、重要ではない。研究用ローラ上で瓶10a
が回転するのを妨害せずに、第二の端部24aと側壁1
4aとの間に略流体密のシールを容易に形成する任意の
嵌合部材で満足し得る効果が得られる。この実施例にお
いて、内部容器26aは、外部容器12aから着脱可能
であるから、膜部分38aは、取り外しの容易な取り付
け具66により骨組み体56aに取り付けて、膜の内面
46aの上で成長している細胞に対してアクセスし得る
ように、膜38を取り外すことが出来る。該取り付け具
66は、厚さの薄い縁部、剥ぎ取り可能な接着剤、密封
リング等による機械的な圧入嵌め接続具を含むことが出
来るが、これらにのみ限定されるものではない。
【0034】本発明の更に別の実施例10bが図6に示
してある。この実施例は、第二のチャンバ28b及び第
一のチャンバ16bに対するアクセス口を提供するネッ
ク部が、同一の端部側に設けられている点を除いて、図
1乃至図5に示した実施例の全ての特徴を同様の機能と
共に維持出来る。
【0035】図6に示すように、ローラ瓶16bは、長
手方向軸線C及び側壁14bを有する略円筒状の外部容
器12bを備えることが望ましい。該外部容器12b
は、その内部に設けられた第一のチャンバ16bと、第
一のネック部20bを有する第一の端部18bとを備え
ることが望ましく、この第一のネック部20bには、チ
ャンバ16bへの流体アクセス口を提供する貫通したネ
ック開口部22bが形成されることが望ましい。外部容
器12bは、閉塞された第二の端部24bを備えること
が望ましい。
【0036】ローラ瓶10bは、その内部に第二のチャ
ンバ28bを有し、また、長手方向軸線C′を有する略
円筒状の内部容器26bを備えることが望ましい。内部
容器26bは、外部容器12b内に同軸状に配置され、
また、外部容器12bの第一の端部18bに隣接する第
一の端部30bと、外部容器の第二の端部24bに隣接
する閉塞された第二の端部32bとを備えることが望ま
しい。内部容器の第一の端部30b及び外部容器の第一
の端部18bは、貫通する開口部36bを有するネック
部34bを備えることが望ましい。該開口部36bは、
第一のチャンバ16bから隔離されており、第二のチャ
ンバ28bのみに対する流体アクセス口を提供する。
【0037】瓶10bは、第二の端部24b、内部容器
の第一の端部30b、及び外部容器の第一の端部18b
によって内部容器26bを予め組み立て、次に、外部容
器の第二の端部24bが接合された外部容器の側壁14
b内に内部容器26bを同軸状に配置して組み立てるこ
とが望ましい。次に、外部容器の第一の端部18bを側
壁14bに接合させて、組立体を完成させることが望ま
しい。
【0038】製造技術分野及び細胞培養技術分野におけ
る当業者は、特別の適用例に合うように変更を加えて
も、図1乃至図6に示した好適な実施例を包含する更な
る好適な実施例は、本発明の範囲に属するとみなすべき
であることが認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例の一部切り欠いた分解斜
視図である。
【図2】図1の線2−2に沿ったローラ瓶の断面図であ
る。
【図3】本発明の代替的な実施例の一部切り欠いた分解
斜視図である。
【図4】図3の線4−4に沿ったローラ瓶の断面図であ
る。
【図5】図3のローラ瓶の更に別の代替例の断面図であ
る。
【図6】本発明の更に別の代替例の一部切り欠いた分解
斜視図である。
【符号の説明】
10 ローラ瓶 12 外部容器 14 外側側壁 16 第一のチャ
ンバ 18 第一の端部 20 第一のネッ
ク部 22 ネック部開口部 24 第二の端部 26 内部容器 28 第二のチャ
ンバ 30 第一の端部 32 第二の端部 34 第二のネック部 36 開口部 38 内部容器の一部 40 内側側壁 44 外側側壁の内面 46 内側側壁の
内面 48 内側側壁の外面 50 支持部材 52 ら旋状支持部材 53 雄ねじ 54 栓 56 骨組み体 60、61 奥まった部分 62、64 要素 66 取り付け具
フロントページの続き (72)発明者 ハリー・イー・グレイ アメリカ合衆国ニュージャージー州 07095,ウッドブリッジ,パウダーホー ン・コート 33

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜を介する細胞の同時培養用のローラ瓶
    にして、 長手方向軸線と、側壁と、第一の端部及び第二の端部を
    有する、内部の第一のチャンバとを備え、該第一の端部
    が、前記第一のチャンバに対する流体アクセス口を提供
    する貫通した開口部を有する第一のネック部を備える、
    略円筒状の外部容器と、 内部の第二のチャンバと、長手方向軸線とを有する略円
    筒状の内部容器であって、前記外側容器内に同軸状に配
    置され且つ前記外部容器の前記第一の端部に隣接する閉
    鎖した第一の端部と、前記外部容器の前記第二の端部に
    隣接した第二の端部とを有する前記略円筒状の内部容器
    とを備え、 前記外部容器の前記第二の端部、及び前記内部容器の前
    記第二の端部の各々が、前記第二のチャンバに対するア
    クセス口を提供する、前記第一のチャンバから隔離され
    た貫通開口部が形成された第二のネック部を備え、 前記外部容器が、気体及び流体に対して略不透過性であ
    る材料で形成され且つ前記第一の端部及び前記第二の端
    部にて流体密に略密封され、これにより、前記第一の端
    部にて前記第一のネック部からの前記流体アクセス口を
    有する前記第一のチャンバを形成し、 前記内部容器が、側壁を有し、該側壁の少なくとも一部
    分が微孔質材料で形成され、 前記内部容器の側壁が、前記内部容器の前記第一の端部
    及び前記第二の端部にて略流体密に密封され、これによ
    り、前記内部容器の第二の端部から及び前記膜を介して
    流体のアクセスがなされる前記第二のチャンバを形成す
    ることを特徴とするローラ瓶。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のローラ瓶にして、前記
    内部容器の前記側壁が、外面と、内面とを備え、前記外
    部容器の前記側壁が、内面を更に備え、 前記内部容器が、前記外部容器の前記側壁の前記内面か
    らある距離のところに該内部容器を支持する骨組み体を
    有し、該骨組み体が、前記ローラ瓶が長手方向軸線を中
    心として回転されたとき、アルキメデスねじとして機能
    する、少なくとも一つのら旋状スペーサを備えることを
    特徴とするローラ瓶。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のローラ瓶にして、前記
    外部容器の前記内面からの前記ある距離のところにて前
    記内部容器を支持する前記骨組み体が、前記内部容器の
    前記第一の端部と、前記内部容器の前記第二の端部と、
    前記ら旋状スペーサと、複数の支持体とを備えることを
    特徴とするローラ瓶。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のローラ瓶にして、前記
    外部容器の前記第一の端部における前記第一のネック部
    が、前記第一のチャンバを密封するキャップを受け入れ
    るねじを備え、前記内部容器の前記第二の端部における
    前記第二のネック部が、前記第二のチャンバを密封する
    キャップを受け入れるねじを備えることを特徴とするロ
    ーラ瓶。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のローラ瓶にして、前記
    外部容器の前記第一の端部及び前記外部容器の前記第二
    の端部が前記それぞれの端部にて奥まって形成された前
    記ネック部を有する奥まった部分を更に備え、前記ネッ
    ク部に前記キャップが取り付けられたとき、該キャップ
    が前記奥まった部分内に略位置し、これにより、前記ロ
    ーラ瓶を前記端部を下にして真っ直ぐに立てることが出
    来、その取り扱い及び流体の移し替えが容易であるよう
    にしたことを特徴とするローラ瓶。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のローラ瓶にして、前記
    内部容器の前記第一の端部が、前記外部容器の前記第一
    の端部からある距離だけ奥まって形成され、これによ
    り、前記外部容器の前記第一の端部にリザーバ領域を提
    供し、前記第一のチャンバ内に流体を移したり、該第一
    のチャンバから流体を排出するのが容易であるようにし
    たことを特徴とするローラ瓶。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のローラ瓶にして、前記
    内部容器が、前記外部容器の前記側壁の前記内面上で培
    養されている細胞の採取を容易にし得るよう前記外部容
    器から着脱可能であることを特徴とするローラ瓶。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のローラ瓶にして、前記
    外部容器の前記第二の端部が、前記内部容器の前記第二
    の端部を更に備え、前記外部容器の前記第二の端部が、
    前記外部容器から着脱可能であり、その結果、前記外部
    容器の前記第二の端部を取り外したとき、前記内部容器
    も前記外部容器から取り外されるようにしたことを特徴
    とするローラ瓶。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のローラ瓶にして、前記
    内部容器の前記側壁が、該内部容器の前記第一の端部及
    び前記第二の端部から取り外し可能であり、これによ
    り、前記側壁の前記内面上で培養されている細胞に対す
    るアクセスを許容し得るよう前記内部容器の前記側壁の
    取り外しが容易であるようにしたことを特徴とするロー
    ラ瓶。
  10. 【請求項10】 ローラ瓶内で膜を介する同時培養を行
    う方法にして、 ローラ瓶の外部容器内の第一のチャンバに対して、第一
    の細胞個体群の繁殖に適した第一の液体成長培地中の該
    第一の細胞個体群を充填し、該液体成長培地が、前記瓶
    を水平に配置したとき、前記外部容器の側壁の少なくと
    も一部を覆う層を形成するようにする段階と、 前記第一のチャンバを閉鎖する段階と、 前記第一のチャンバ内に前記第一の培地と、前記第一の
    細胞個体群とを有する前記ローラ瓶を該細胞の繁殖に適
    した環境内に十分な時間、放置する段階と、 前記第一の細胞個体群が繁殖するのを許容する段階と、 ローラ瓶の第二のチャンバに対して、前記第二の細胞個
    体群の繁殖に適した第二の培地中の第二の細胞個体群を
    充填する段階とを備え、前記第二のチャンバが、前記外
    部容器内に配置された内部容器内に位置し、該内部容器
    が、微孔質膜で形成された側壁を有し、第一の細胞個体
    群と前記第二の細胞個体群との物理的接触を略防止する
    一方で、その内部に前記第一の細胞個体群を有する前記
    第一のチャンバと前記第二のチャンバとの間の流体連通
    を許容し、 前記第二のチャンバを閉鎖する段階と、 前記第一のチャンバ内に前記第一の培地及び前記第一の
    細胞個体群を有し、前記第二のチャンバ内に前記第二の
    細胞個体群及び前記第二の培地を有する前記ローラ瓶を
    前記細胞個体群の繁殖に適した環境内に十分な時間、放
    置する段階と、 前記第二の細胞個体群が前記第一の細胞個体群と流体連
    通した状態で繁殖するのを許容する段階とを備えること
    を特徴とする方法。
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