JP5366820B2 - 細胞培養に効果的な装置および方法 - Google Patents

細胞培養に効果的な装置および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5366820B2
JP5366820B2 JP2009540319A JP2009540319A JP5366820B2 JP 5366820 B2 JP5366820 B2 JP 5366820B2 JP 2009540319 A JP2009540319 A JP 2009540319A JP 2009540319 A JP2009540319 A JP 2009540319A JP 5366820 B2 JP5366820 B2 JP 5366820B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culture
gas
wall
cells
compartment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009540319A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010512148A (ja
JP2010512148A5 (ja
Inventor
アール. ウィルソン、ジョン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Wilson Wolf Manufacturing Corp
Original Assignee
Wilson Wolf Manufacturing Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=39512273&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP5366820(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Wilson Wolf Manufacturing Corp filed Critical Wilson Wolf Manufacturing Corp
Publication of JP2010512148A publication Critical patent/JP2010512148A/ja
Publication of JP2010512148A5 publication Critical patent/JP2010512148A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5366820B2 publication Critical patent/JP5366820B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/24Gas permeable parts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/02Form or structure of the vessel
    • C12M23/08Flask, bottle or test tube
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/34Internal compartments or partitions

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Clinical Laboratory Science (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、細胞培養効率を向上する方法および装置に関する。本方法および本装置は、均一な培養状態を維持しながら空間利用を抑え、かつ液体の自動処理においてより適した気体透過可能な培養区画の使用を含む。また、不均一な培養状態の問題を解決すべく、従来型多段構造への気体透過性材料の統合を含む。本方法および本装置は、気体透過性を備えた、プラズマ処理した(plasma charged)シリコーンからなる表面を用い、接着表面(たとえば、従来の組織培養処理されたポリスチレンからなる表面)を統合する培養装置を含む。また、気体透過性かつ液体透過性の膜を統合する培養装置を含む。
関連出願
本出願は、本明細書において参照として援用される米国特許仮出願第60/873,347号明細書(出願日:2006年12月7日)の利益を主張するものである。
本明細書に引用される各出願および特許と、各出願および特許に引用される文献もしくは引例(各出願中特許の「出願引用文献」の手続期間を含む)と、これらの出願および特許に対応する各PCT出願および外国出願、および/またはこれらの出願および特許により優先権を主張する各PCT出願および外国出願と、各出願引用文献で引用もしくは参照される各文献と、John Wilsonを発明者とするすべての特許および同時継続出願は、本明細書において参照として援用される。より一般的には、本明細書に文献もしくは引例を引用し、これらの各文献もしくは引例(「本明細書での引例」)と、本明細書の各引例に引用された文献もしくは引例(製造業者の仕様書、指示書などを含む)は、本明細書において参照として援用される。
政府の所有権
本発明は、米国政府支援の下、国立衛生研究所の小企業革新技術研究(National Institutes of Health Small Business Innovative Research)の助成DK0659865「Islet culure, shipping, and infusion device」の一部としてなされた。米国政府は、本発明に権利を有する。
関連技術に記載された従来技術の限界について
細胞培養は、バイオ技術の中心要素である。組織培養フラスコは、内部で接着細胞と非接着細胞の培養を可能とし、使い捨て可能であり、媒質をかん流するための機器を必要とせず静止モードで機能可能であるため、一般に細胞培養に用いられる装置である。従来型フラスコは、一つの培養区画を備える。従来型フラスコの設計では、培養時の気体交換のために装置内に気液界面が必要である。また、細胞への酸素供給が妨げられないように、培養基(培養媒質)は非常に低い位置になければならない。組織培養フラスコで推奨される媒質の高さは、2mm〜3mmである。しかし、フラスコ本体は、気体を保持し、かつ一般にピペットを用いて行われる媒質へのアクセスを可能にする、十分な大きさでなくてはならない。このため、フラスコ装置の容積は、保持する媒質の体積に比べて大きい。たとえば、一般のT−175フラスコの本体は、長さ約23cm、幅約11cm、高さ約3.7cmの設置面積を有し、約936cmの空間を占める。しかし、一般には約50mlの媒質で動作する。フラスコ本体が占めるスペース(936cm)に対してフラスコ本体内に媒質(50ml)が存在するということは、媒質がフラスコ容積のわずか約5%であることを表している。また、フラスコ本体が占める空間容積(936cm)をフラスコに存在する(reside)細胞の表面積(175cm)で割ると、フラスコが占
める空間容積は、細胞が存在し得る表面積の5倍を超えることを表している。フラスコは、細胞が存在し得る表面積をさまざまな大きさ(一般に25cmから225cm)にして製造されるため、培養能力はほんのわずかである。培養スケールの拡大時に用いるフラスコ数が増加するにつれ、わずかな媒質量に対してフラスコが占める空間の全容積と、フラスコの培養表面積に限りがあることとにより、空間使用が本質的に非効率的である。これは、輸送、滅菌、保管、培養装置のスペース、廃棄などに関係して過剰な経費を要し、培養処理の負荷となっている。この問題は、作業量およびコンタミネーションリスクを大幅に増すものである。
多段フラスコ、たとえばNUNC(商標)Cell Factory(特許文献1)とCorning(登録商標)CellSTACK(登録商標)(特許文献2)に記載の多段フラスコは、複数の棚を垂直方向に積層して一つのフラスコ内に複数の培養区画を形成することにより、非効率的なフラスコの拡大に対処している。これにより一つの装置内でより大きな表面積が得られるため、従来型フラスコより多くの細胞を多段フラスコに存在させることができる。このようにして、一つの多段フラスコが複数の従来型フラスコに置き換わることができる。多段フラスコは、各培養区画へのアクセスにピペットを必要とせず、共通の収集点を介して媒質にアクセスできるように構成されてもよい。これにより、従来型フラスコの高さに比べ、多段フラスコの棚間の距離を狭めることができる。たとえば、一般のT−175フラスコの底部から頂部までの距離は3.7cmであるのに対し、NUNC(商標)Cell Factoryの棚間スペースは約1.4cmであり、保管、輸送、滅菌、培養、廃棄用の空間利用をいくらか改善している。pH値の調整や酸素供給を行うために、また温度制御を維持し易くするために、多段フラスコの通気口は周囲雰囲気との気体交換を可能にしている。しかし、多段フラスコ内の各位置の気体は、通気口位置から異なる距離に存在する。拡大時に多段フラスコ内の培養区画数が増加するにつれて、通気口から最も遠い点の気体と通気口に最も近い点の気体との距離が長くなるため、多段フラスコ内の気体のCO濃度とO濃度に勾配が生じ得る。このため、多段フラスコの設計において、装置内の培養状態が不均一となる可能性が潜在的にあり、この問題は拡大時に生じる。
装置の下壁を気体透過可能にすることにより気体を移動する静的な細胞培養装置は多数ある。培養基と周囲の気体との間に生じる濃度勾配に応じて、気体透過性の下壁を介して気体が拡散する。このアプローチにより、気体交換の唯一の供給源としての気液界面がなくなる。細胞が存在する表面が気体透過性であるため、多段フラスコに比べて、培養時により均一な培養状態になり得る。バッグは、単一の培養区画を統合する静的な気体透過性の装置である。培養を拡大するには、細胞が存在し得る表面積をより大きくするように、バッグを水平方向に長くする必要がある。このため、拡大時にはすぐ、扱いにくくて並外れて大きな細胞培養装置になる。バッグは、OriGen Biomedical Group(OriGen PermaLife(商標)Bags)、Baxter(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6に関係するLifecell(登録商標)X−Fold(商標))、Medtronic(Si−Culture(商標)、特許文献7)、Biovectra(VectraCell(商標))、およびAmerican
Fluoroseal(VueLife(商標)Culture Bag System、特許文献8および特許文献9に記載)により市販されている。気体透過性カートリッジは、側壁が硬いことを除き、バッグと同様に動作する装置である。市販の気体透過性カートリッジは、Laboratories MABIO−International(登録商標)が提供するCLINIcell(登録商標)Culture Cassettesと、BioChrystal Ltd.が提供するOpticell(登録商標)気体透過性カートリッジ(特許文献10および特許文献11)とがある。細胞が存在し得る表面積をより大きくするためには、バッグと同様に、これらの装置も水平方向に長くする必要がある。特許文献12において、Opticell(登録商標)の発明者は、複数の
気体透過性の区画を提案している。あいにくこの提案は、単に水平方向に培養区画を増加しただけである。これらの装置の培養能力を高めるには、培養区画数に関係なく、装置を水平方向に大きくする必要がある。上記の気体透過性の装置のうち、垂直方向で拡大可能なものはない。
空間利用をより効率的にするために、特許文献13に記載のOpticell(登録商標)気体透過性カートリッジは、物理的に別々のカートリッジを垂直方向に積層して、個々のカートリッジを非常に複雑な自動システムで処理することにより、拡大を行っている。この拡大アプローチは、従来型多段フラスコの簡易さとは著しく異なる。
特許文献14は、気体透過性かつ液体透過性の膜を用いて、媒質供給から酸素供給を分離する、重層化された気体透過可能な培養装置について記載している。この発明は、もし気体透過性かつ液体透過性の膜によって液体媒質の流れと酸素化された液体とが分離され、細胞が成長して膜の液体側に付着した場合、この装置を用いることによって、装置内を通る液体媒質の流速に関係なく、膜を介して輸送された酸素で細胞培養が行えるという発見に基づいている。液体媒質の流速が、細胞への酸素搬送の必要性に依存しないことが利点である。一方、このような流れは基質(たとえば、グルコース)を搬送するのに必要なだけであるため媒質の流れを非常に低くしても、懸濁細胞を培養する能力は損なわれる。これは、使用時に懸濁細胞が装置から洗い落とされてしまうためである。このアプローチでは、細胞をコラーゲンマトリクスに付着させなくてはならない。別の欠点として、気体空間および/または液体空間のかん流が必要である。このアプローチはポンプや液体ラインを必要とし、従来型多段フラスコに比べて非常に複雑でなければならないため、商用化されていない。
空間利用をより効率的にする気体透過可能な装置が、同時出願の米国特許出願第10/961,814号明細書(Wilson等)に記載されている。Wilson等が記載した気体透過可能な装置のうち、この814号明細書に記載のものは、従来型多段フラスコの簡易さを保持しながら、垂直方向における培養拡大を可能にしている。たとえば、Wilson等が記載した814号明細書においては、細胞が存在する棚を上下に積層してなる気体透過可能な装置を、垂直方向に拡大している。気体輸送は装置の壁を介して移動する。気体透過可能な従来型装置の拡大とは異なり、水平方向にではなく、垂直方向に装置サイズを大きくすることにより、培養サイズを大きくしている。気液界面が必要ないため、これにより垂直方向に拡大する際、空間効率を最適にすることができる。多段フラスコに比べて装置はより小型になり、従来型多段フラスコで不可能であった属性も備える。たとえば、空間効率をより最適にするために、装置を反転することによって積層棚の上面と下面で接着細胞を培養することができる。本明細書に記載の発明は、従来型多段フラスコよりも優れた代替物として新たな形状を開発するために、同時出願のWilson等による814号明細書に記載された気体透過可能の利点を発展させたものである。
米国特許第5,310,676号明細書 米国特許第6,569,675号明細書 米国特許第4,829,002号明細書 米国特許第4,937,194号明細書 米国特許第5,935,847号明細書 米国特許第6,297,046号明細書 米国特許第5,686,304号明細書 米国特許第4,847,462号明細書 米国特許第4,945,203号明細書 米国特許第6,455,310号明細書 米国特許第6,410,309号明細書 米国特許第6,821,772号明細書 米国特許第6,673,595号明細書 米国特許第6,759,245号明細書
本発明の目的は、装置内で培養状態が不均一となる可能性を最小にし、空間効率よく接触細胞もしくは懸濁細胞の培養拡大を可能とし、使用が簡易であり、液体もしくは気体をかん流する必要なく機能可能であり、各培養区画の上面、下面、または側壁の表面をユーザが効率よく利用することができる、向上した細胞培養装置および方法を提供することである。さらなる目的と利点については、以下の説明と図面を考慮することにより明らかになるであろう。
培養区画の気体透過可能な領域に気体を接触させるために、培養区画間には少なくとも部分的に気体空間が保持されるが、本発明は、少なくとも二つの気体透過可能な培養区画を統合することによって、既存の静的細胞培養装置の欠点の多くを克服する。これにより各培養区画は、隣接する気体空間と直接気体を交換することができ、培養状態が不均一となる可能性を最小にする。培養区画の選択した表面を気体透過可能にすることにより、細胞に対向する表面上および/または細胞に隣接する表面上で気体交換が可能となる。培養区画の内表面をさまざまな材料で構成することにより、細胞が存在し得る表面を最適にすることができる。接着細胞または三次元マトリクスで成長する細胞を培養する場合など、所望の場合においては、培養区画内の表面積を大きくしてもよい。また、培養区画の気体透過性材料上に、細胞を直接存在させることもできる。培養区画の気体透過可能な領域に気体を接触させるために、各培養区画間において少なくとも部分的に気体空間が存在するよう培養区画を追加することにより、装置を拡大してもよい。培養区画へのアクセスは、共通の一つまたは複数のマニホールドによって、あるいは各培養区画に個別にアクセスすることによって可能である。この構成により、使用し易く、空間使用を効率的にし、不均一な培養状態となる可能性を最小にする簡易な構造で、培養を拡大することができる。さまざまな特性を含むことができ、さまざまな利点、たとえば、装置が複数位置で操作可能であること、接着細胞が培養可能であること、懸濁細胞が培養可能であること、共培養が可能であること、ルーチン処理時に細胞を各培養区画に存在させないこと、供給頻度を最小にすること、従来型フラスコのプロトコルを再現すること、細胞が存在し得る表面積を培養時に増加または減少させること、細胞が存在し得る表面積に対する媒質量の比を培養時に増加または減少させること、代替材料上もしくは代替材料付近に細胞が存在できることなどの利点のうちすべてまたはいずれかを得られるよう構成することができる。
本発明の一態様において、各培養区画は第1の壁と、対向する第2の壁とを備える。第1の壁および/または第2の壁は気体透過性材料からなり、各培養区画の少なくとも一部の間に気体空間が存在する。
本発明の別の態様において、各培養区画は、次に限定されないが、第1の壁と、対向する第2の壁と、第3の壁と、対向する第4の壁と、第5の壁とを含む複数の壁を備える。第1の壁、第2の壁、第3の壁、第4の壁、および第5の壁のうちの1つ以上は、気体透過性材料からなる。また、各培養区画の少なくとも気体透過可能な部分に、気体空間が隣接する。
本発明の別の態様において、培養区画はマニホールドによって平行に接続される。マニ
ホールドは、培養区画内に保持された媒質が気体によって転移されないように構成されてもよい。また/あるいはマニホールドは、処理時に培養区画内に細胞を保持するように構成されてもよい。また/あるいはマニホールドは、培養区画内に媒質と気体を保持するように構成されてもよい。
本発明の別の態様において、培養区画は、複数のマニホールドによって平行に接続される。
本発明の別の態様において、培養区画の高さは可変である。
本発明の別の態様において、培養区画を略水平位置に保持するように、あるいは培養区画の気体透過可能な表面に気体を接触させるように、培養区画間に培養区画支持体が存在する。
本発明の別の態様において、培養区画を略水平位置に保持するために、また/あるいは培養区画の気体透過可能な表面に気体を接触させるために、培養区画の壁は、隣接する培養区画の少なくとも一つに接触する突起を備える。
本発明の別の態様において、培養区画の壁は、培養区画の隣接する壁に接触しないように構成される。
本発明の別の態様において、培養区画は連続して接続される。
本発明の別の態様において、各培養区画へは直接アクセス可能である。
本発明の別の態様において、周囲の気体と気体透過可能な多段装置の気体空間との接触は、選択的に終了、制限、または開放される。
本発明の別の態様において、一つの培養区画から複数の培養区画へ細胞を展開させる方法が可能となる。
本発明の別の態様において、培養区画の最底部の培養表面に細胞が存在するように気体透過可能な多段培養装置を配向する場合、顕微鏡による評価を容易にするために、一つの培養区画の少なくとも一部分はその真上に培養区画を備えない。
本発明の別の態様において、培養区画の最底部の培養表面に細胞が存在するように気体透過可能な多段装置を配向する場合、最底部の培養区画と、最底部の培養区画の上にある培養区画との間の気体空間によって、最底部の培養区画上へ光が照射され、最底部の培養区画に対する反転した顕微鏡による評価が容易になる。
本発明の別の態様において、異なる培養表面に細胞の他の接種材料を引き寄せるために、培養表面に細胞を播種し、装置を再配置することによって、細胞を共培養する方法が可能となる。
本発明の別の態様において、単に装置を回転させて細胞を表面から表面へ再配置させることによって、特定の表面、特定の酸素圧、特定の媒質高さ、および/または表面積に対する媒質量の特定の比で細胞を培養する方法が使用可能となる。また、それぞれ培養区画の異なる壁に存在する、少なくとも五つの異なる細胞株で培養することもできる。
本発明の別の態様において、密閉箇所の数を最小にするために、培養区画は統合体として作製される。
本発明の別の態様において、気体透過可能な多段装置は、不均一な培養状態の問題を解決する一方、市販の従来型多段フラスコの特徴を保持するように構成されてもよい。
本発明の別の態様において、培養区画支持体と、気体空間と周囲の気体との間の滅菌バリアとを備えた気体透過性細胞培養装置における使用について、気体透過性かつ液体透過性の材料の使用が開示される。
本発明の別の態様において、他の表面への遊出を最小にするために、プラズマ処理したシリコーンを用いた気体透過可能な装置の構成について開示される。
培養区画の壁を介して直接気体交換を行うように構成された、気体透過可能な多段装置の実施形態を示す図。培養区画は平行にマニホールドへ接続され、培養区画間に気体空間を含む統合体をなす。アクセスポートにより、気体透過可能な多段装置に対する液体の出入りが可能になっている。 培養区画の壁を介して直接気体交換を行うように構成された、気体透過可能な多段装置の実施形態を示す図。培養区画は平行にマニホールドへ接続され、培養区画間に気体空間を含む統合体をなす。アクセスポートにより、気体透過可能な多段装置に対する液体の出入りが可能になっている。 細胞から最も離れた位置にある媒質の表面を介して気体交換を可能とすべく、培養区画の第1の壁を介して気体が移動されるように構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。 細胞付近での気体交換を可能とすべく、培養区画の第2の壁を介して気体が移動されるように構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。 気体交換に使用できる表面積を増加すべく、培養区画の第1の壁および第2の壁を介して気体が移動されるように構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。 第1の壁と、対向する第2の壁と、第3の壁と、対向する第4の壁と、第5の壁とを備えて構成される気体透過可能な多段装置の斜視図。所定の長さ、幅、表面積、および材料組成を備えた壁と、所定の材料および所定の表面積の各培養表面とを選択的に作製することにより、ユーザは各種培養プロトコルから選択を行える。このため、単に気体透過可能な多段装置の配向を変えるだけで、ユーザは、細胞、各種培養表面、培養表面積、酸素圧、および表面積に対する媒質量の比を変更することができる。 第1の壁と、対向する第2の壁と、第3の壁と、対向する第4の壁と、第5の壁とを備えて構成される気体透過可能な多段装置の斜視図。所定の長さ、幅、表面積、および材料組成を備えた壁と、所定の材料および所定の表面積の各培養表面とを選択的に作製することにより、ユーザは各種培養プロトコルから選択を行える。このため、単に気体透過可能な多段装置の配向を変えるだけで、細胞、各種培養表面、培養表面積、酸素圧、および表面積に対する媒質量の比をユーザは変更することができる。たとえば、本図に示すように気体透過可能な多段装置を配向した場合、図5Aに示すように配向した場合よりも高い位置に、媒質は存在し得る。 第1の壁と、対向する第2の壁と、第3の壁と、対向する第4の壁と、第5の壁とを備えて構成される気体透過可能な多段装置の斜視図。所定の長さ、幅、表面積、および材料組成を備えた壁と、所定の材料および所定の表面積の各培養表面とを選択的に作製することにより、ユーザは各種培養プロトコルから選択を行える。このため、単に気体透過可能な多段装置の配向を変えるだけで、細胞、各種培養表面、培養表面積、酸素圧、および表面積に対する媒質量の比をユーザは変更することができる。本図に示すように気体透過可能な多段装置を配向した場合、図5Aまたは図5Bに示すように配向した場合に可能な高さよりも高い位置に、媒質は存在し得る。 培養区画の内部から気体が媒質に置き換わるのを防止するガストラップを備えて構成された、気体透過可能な多段装置の断面図。 ルーチン処理時に細胞が培養区画に存在しないように構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。 ルーチン処理時に細胞が培養区画に存在しないように構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。 培養区画に所定量の媒質と気体が存在するように構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。 培養区画に所定量の媒質と気体が存在するように構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。 培養区画に所定量の媒質と気体が存在するように構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。 二つのマニホールドを備えて構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。培養区画はマニホールド間で平行に接続され、各培養区画付近に気体空間を含む統合体をなしている。 二つのマニホールドを備えて構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。培養区画はマニホールド間で平行に接続され、各培養区画付近に気体空間を含む統合体をなしている。 二つのマニホールドを備えて構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。培養区画はマニホールド間で平行に接続され、各培養区画付近に気体空間を含む統合体をなしている。 二つのマニホールドを備えて構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。培養区画はマニホールド間で平行に接続され、各培養区画付近に気体空間を含む統合体をなしている。 培養処理前もしくは培養処理時に、培養区画の容積に対する媒質および/または気体透過可能な表面積の比がどのように変更できるかを示す図。 培養処理前もしくは培養処理時に、培養区画の容積に対する媒質および/または気体透過可能な表面積の比がどのように変更できるかを示す図。 培養区画の気体透過性材料に気体を接触させるために、および/または培養区画内に細胞を均一に分散すべく、培養区画を略水平位置に維持するために用いられる培養区画支持体の図。 培養区画の気体透過性材料に気体を接触させるために、および/または培養区画内に細胞を均一に分散すべく、培養区画を略水平位置に維持するために用いられる培養区画支持体の図。 培養区画の気体透過性材料に気体を接触させるために、および/または培養区画内に細胞を均一に分散すべく、培養区画を略水平位置に維持するために用いられる、培養区画の壁に外部突起を備えた培養区画支持体の図。 壁および/または培養表面が互いに接触しないように用いられる、培養区画内に位置する内部スペーサの図。 培養区画が連続して入力ポートと出力ポートに接続された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。培養区画は統合体をなし、各培養区画付近に気体空間を含む。 個々の培養区画と、各培養区画付近に存在する気体空間とを備えて構成された、気体透過可能な多段装置の一実施形態の断面図。周囲の気体の気体空間へのアクセスを、どのように選択的に制御するかについても示している。 周囲の気体の気体空間へのアクセスを制御するように構成された、気体透過可能な多段装置の別の実施形態を示す図。 周囲の気体の気体空間へのアクセスを制御するように構成された、気体透過可能な多段装置の別の実施形態を示す図。 一つの培養区画から複数の培養区画に細胞を展開する、気体透過可能な多段装置の使用方法を示す図。 一つの培養区画から複数の培養区画に細胞を展開する、気体透過可能な多段装置の使用方法を示す図。 シリコーンで成形され、漏れを生じ得る接合部の数を最小にした一体的な培養区画の図。 単体として作製された、一体的な培養区画群を示す図。 一体的な培養区画と、オーバーモールドしたフランジと、二つのマニホールドとを備えた気体透過可能な多段装置、および培養区画支持体の立体分解図。 不均一な培養状態の問題を解決するアプローチとして、製造業者が推奨する従来型多段フラスコを示す図。 図18Aのアプローチを示す拡大図。 市販の従来型多段フラスコの特徴を統合しながら、不均一な培養状態の問題を解決するように構成された、気体透過可能な多段装置の実施形態を示す図。一実施形態において、気体は装置の壁を介して直接移動し、各培養区画上の気体と周囲環境の気体との間で直接気体が交換される。別の実施形態において、装置内に気体空間が存在し、気体空間の壁を介して装置内で気体が交換される。気体空間の上壁は、気液界面とは独立して気体を移動するように改変されてもよい。また/あるいは気体空間の下壁は、気液界面によって媒質に気体が移動するように改変されてもよい。別の実施形態において、気体空間は、気体透過可能な装置の壁によって周囲の気体と連通している。また、気体空間の気体透過性の上壁は培養区画の下壁として機能し、気体は気液界面とは独立して移動可能となる。 市販の従来型多段フラスコの特徴を統合しながら、不均一な培養状態の問題を解決するように構成された、気体透過可能な多段装置の実施形態を示す図。一実施形態において、気体は装置の壁を介して直接移動し、各培養区画上の気体と周囲環境の気体との間で直接気体が交換される。別の実施形態において、装置内に気体空間が存在し、気体空間の壁を介して装置内で気体が交換される。気体空間の上壁は、気液界面とは独立して気体を移動するように改変されてもよい。また/あるいは気体空間の下壁は、気液界面によって媒質に気体が移動するように改変されてもよい。別の実施形態において、気体空間は、気体透過可能な装置の壁によって周囲の気体と連通している。また、気体空間の気体透過性の上壁は培養区画の下壁として機能し、気体は気液界面とは独立して移動可能となる。 市販の従来型多段フラスコの特徴を統合しながら、不均一な培養状態の問題を解決するように構成された、気体透過可能な多段装置の実施形態を示す図。一実施形態において、気体は装置の壁を介して直接移動し、各培養区画上の気体と周囲環境の気体との間で直接気体が交換される。別の実施形態において、装置内に気体空間が存在し、気体空間の壁を介して装置内で気体が交換される。気体空間の上壁は、気液界面とは独立して気体を移動するように改変されてもよい。また/あるいは気体空間の下壁は、気液界面によって媒質に気体が移動するように改変されてもよい。別の実施形態において、気体空間は、気体透過可能な装置の壁によって周囲の気体と連通している。また、気体空間の気体透過性の上壁は培養区画の下壁として機能し、気体は気液界面とは独立して移動可能となる。 膵島の酸素必要量が高いために培養が困難な膵島培養から収集したデータのヒストグラム図。培養区画支持体内に有益な形状を備える場合、気体透過可能な多段装置は、空間を確保して均一な培養状態を得るという固有能力を備えていることが、優れた結果として示されている。 他の表面へのシリコーンの遊出を最小限にするために、気体透過可能な多段装置に一般的な滅菌処理(たとえば、γ線照射)を行う前の、シリコーンからなるプラズマ処理材料の有用性を示すのに用いられた試験装置の断面図。
図1Aと図1Bは、本発明の基本的な属性のいくつかを説明するものである。これらの図において、気体透過可能な多段装置1は、気体空間50で分離された二つの気体透過可能な培養区画20を統合する。気体透過可能な多段装置の基本的な属性のいくつかを説明するように、二つの培養区画を図示しているが、培養区画の数はさらに多くてもよい。図
1Aは、側壁を取り除いて培養区画20の内部を露出した斜視図である。図1Bは、気体透過可能な多段装置1の断面図である。培養区画20は、第1の壁110と、対向する第2の壁120とから構成される。第1の壁110、第2の壁120、あるいは第1の壁110と第2の壁120との両方は、気体透過性材料から構成されてもよい。従来の細胞培養バッグと同様に、第1の壁110と第2の壁120は、側壁の必要なく固定されてもよい。側壁は、培養区画全体において、培養区画の第1の壁と第2の壁との距離を一様にするものであることが望ましい。また、選択した壁および側壁が気体透過性材料からなる場合、気体透過可能な多段装置は、第1の壁、第2の壁、または側面のいずれかが下になるなど、さまざまな位置で機能するように配向されてもよい。これによって、どの壁の付近でも細胞が存在可能となる。培養区画の長さ、高さ、および幅が異なる場合、気体透過可能な多段培養装置は、植菌時および/または培養時の位置を変えることによって、細胞上の媒質の高さを特異なものとし、また/あるいは表面積に対する媒質の比を特異なものとすることができる。植菌時の配向によっては、細胞は培養区画内のどの表面に対して引き寄せられてもよい。たとえば、図1Bに示す位置の場合、細胞は第2の壁120に対して引き寄せられる。細胞が接触する表面は、単に培養区画の壁の内表面であってもよい。しかし、細胞の存在する材料の所望の組成と形状は、培養区画の壁の内表面で見られるものではない場合もある。この場合、構成要素、挿入物、マトリクス、または所望の材料および形状であるものを、気体透過可能な多段装置に組み込んでもよい。このため、培養表面130は、単にある培養区画の壁の内表面であってもよい。あるいは、構成要素、挿入物、マトリクスや、培養区画内に存在するものであってもよい。本出願においては、発明の範囲を限定するのではなく単に便宜上、培養表面130を装置の壁の内表面として示す。
図1Bに示すように、マニホールド60は、培養区画20間に流体通路をなす。アクセスポート70により、流体と細胞の追加および除去が可能となる。この図において、アクセスポート70は、従来型フラスコと同様に、アクセスポート70を覆うネックキャップ30を含む。しかし、一つまたは複数のアクセスポートは、気体透過可能な多段装置に流体を出入りさせる目的を満たすかぎり、どのような構造であってもよく、どの位置に配置されてもよい。滅菌スプライシング用に構成された隔壁、急速着脱継手、またはチューブ類の使用を含む多くのクローズドシステム構造など、数多くの方法により上記の目的が達成されることを、細胞培養装置設計に携わる当業者には理解されたい。
気体空間50は、装置の内側(囲まれた側)である必要はない。装置が機能するために、気体空間50は気体の流れを押し出す必要も、押し出す気体の流れに適合する必要もない。最も簡易で好ましい形態としては、周囲の気体だけを装置の気体透過可能な部分のいずれかもしくは全体に接触させるようにする。しかし、気体空間50を囲む壁は一つであっても複数であってもよい。
簡単な操作方法において、媒質と細胞は、気体透過可能な多段装置に供給される。また、気体透過可能な多段装置は、標準の細胞培養装置に置かれ、所望の表面に対して細胞が引き寄せられるように配向される。より複雑な操作方法においては、植菌をさらに行うことにより、さらに別の表面に対して細胞が引き寄せられるようにしてもよい。たとえば、植菌時に周期的に装置を配置し直すことにより、すべての培養表面に細胞を存在させることができる。
各培養表面130は、細胞を培養するのに有用なものであれば、どんな材料でもどんな形状であってもよい。また、培養区画の壁と一体になっていてもよく、一体になっていなくてもよい。たとえば、培養表面は単に培養区画を含む壁の内表面であってもよく、細胞培養処理が行われていても、行われていなくてもよい。たとえば、特許文献5に記載のように、培養区画の壁に積層された材料であってもよい。培養区画の壁から物理的に分離した材料であってもよく、たとえば壁上に存在するポリスチレンからなる分離した部分であ
ってもよい。あるいは、フィブロネクチン、またはコラーゲンマトリクスの挿入物などのように、壁に貼り付いていてもよく、貼りついていなくてもよい。細胞培養と組織培養の技術分野における当業者に周知のものであるかぎり、どのような培養表面を用いてもよい。
図2は、培養区画20の気体透過性の第1の壁110を介して気体交換を行うことにより、均一な培養状態がどのように得られるかを示す。酸素流量の矢印100は、媒質80と気体空間50との間に酸素濃度の勾配が生じた結果、酸素がどのように気体透過性の第1の壁110を介し、媒質80によって培養表面130上の細胞90まで運ばれたかを示している。第1の壁110の気体透過の程度によって、垂直方向における媒質の上面全体が、同時に装置周囲の気体にさらされる。これは、装置内の各媒質からの距離が異なる(一つまたは複数の)気体透過可能な位置において周囲の気体が流入する従来型多段フラスコとは異なる。本明細書に記載のように、いくつかの実施形態において、気体透過可能な多段装置は、気体と媒質が培養区画に存在可能となるように構成される。このため動作時には、気体透過性の第1の壁110の両側で気体が存在可能となる。一般に、気体空間と培養区画内の流体との間の分圧差のために、培養区画に気体が出入りする。
図3は、培養区画の気体透過性の第2の壁120を介した気体交換を示す。酸素流量の矢印100は、媒質80と気体空間50との間に酸素濃度の勾配が生じた結果、酸素がどのように気体透過性の第2の壁120を介し、培養区画20内の細胞90まで運ばれたかを示している。このようにして、各細胞培養区画の細胞は、従来型多段フラスコで可能であったよりも周囲の気体に接近する。培養表面130をなす材料が、所望数の細胞を酸素処理するために必要な量を超えて気体移動を妨げないよう、また適切なpH値を維持するよう、注意が必要である。たとえば、気体透過性の第2の壁120が、気体透過性が高い材料(たとえば、ジメチルシリコーン)と、気体透過性がより低い培養表面(たとえば、シリコーン上のポリスチレン)とで構成される場合、細胞への気体移動が妨げられる。一般に、細胞と周囲の気体源との間の気体透過に最も耐性を示す材料は、流速に制限がある。このため、気体透過可能な多段装置の機能を最適にするには、気体透過性の壁を構成するのに用いられる材料の気体透過率や、使用される他の培養表面の気体透過率、および培養に必要な酸素量を考慮して設計しなくてはならない。気体透過可能な多段装置により、可能な気体交換と、細胞が存在可能な材料の選択肢が広がる。しかし、培養の気体交換を制限する培養表面にとって望ましい材料である場合、培養区画の対向する壁および/または側壁によって、気体交換を向上できる。
図4は、培養区画の気体透過性の第2の壁120と、気体透過性の第1の壁110とを介した気体交換を示している。酸素流量の矢印100は、媒質80と気体空間50との間に酸素濃度の勾配が生じた結果、酸素がどのように気体透過性の第2の壁120と気体透過性の第1の壁110とを介し、培養区画20まで運ばれたかを示す。このようにして、各培養区画への気体移動を高水準の性能で行うことができる。
図2、図3、および図4は特定の壁を介した気体移動を示すが、気体透過可能な多段装置のいずれの壁が気体透過性を備えていてもよい。細胞が存在する表面および/もしくは培養区画の側壁および/もしくは(一つまたは複数の)マニホールド壁を直接介して、細胞への酸素供給が可能であるため、さまざまな利点が得られる。気体透過可能な培養区画に存在し得る媒質の高さを上げることにより得られる利点については、Wilson等が814号明細書に記載している。気体透過可能な多段装置の媒質の高さは、従来型フラスコで限界であった2mm〜3mmをはるかに超えた高さとしてもよい。これにより媒質交換の頻度を最小にし、作業量を減らし、コンタミネーションリスクを抑えることができる。このため、培養区画の気体透過性の壁を介して気体が移動するとき、気体透過性の壁と対向する壁との距離が媒質高さを上昇可能にするものとなるよう培養区画を構成すると有
益な場合がある。この最適な距離は、培養の代謝要求と、所望の媒質交換頻度とに依存する。
図5A、図5B、および図5Cは、より多くの培養選択肢として気体透過可能な多段装置の配置例を示す。たとえば、第1の壁110、および/または第2の壁120、および/または第3の壁122、および/または第4の壁124、および/または第5の壁126が異なる気体透過率を有する材料からなる場合、気体透過可能な多段装置2をある位置に配向させることにより、細胞は異なる酸素圧で存在可能となる。しかし、気体透過性材料は、堅牢な操作プロトコルを可能にするよう異なっている必要はない。第1の壁110、および/または第2の壁120、および/または第3の壁122、および/または第4の壁124、および/または第5の壁126付近の一体的または非一体的な培養表面は、材料および/または表面積が異なっていてもよい。第1の壁110、第3の壁122、および第5の壁126の大きさが異なる場合、気体透過可能な多段装置2をどのように配向しても、培養前または培養時に、媒質の高さをどの位置でも最大にすることができる。細胞区画の形状を変えることにより、選択肢がより多くなる。たとえば八角形にした場合、装置を再配置すると、細胞が存在し得る表面を増やすことができる。
気体透過可能な多段装置で均一な培養状態を得るためには、各培養区画内に略同数の細胞を配置し、かつこれらの細胞を各培養区画内で略均一に分散し易くすることを、設計の目的に含むべきである。各培養区画を実質的に同一の形状にし、各培養区画の対向する壁が略平行になるように構成し、培養区画を水平位置に存在させることにより、培養表面上に細胞が均一に引き寄せられ、上記の目的を達成し易くなる。そして、植菌時に細胞が均一に懸濁され、培養表面の形状が均一である場合、各培養区画の培養表面上に均一な量の接種材料が存在し、各細胞区画の培養表面上に均一に細胞が分散する。培養表面が平面でない場合(たとえば、表面に襞がある場合)、培養表面領域の各部の上に同量の空間が設けられるよう培養区画を構成することによって、植菌時に細胞を均一に分散させ易くなる。たとえば、培養表面に襞があり、対向する壁にも襞があった場合、襞のある対向する壁と培養表面との間の空間容積は、培養区画の長さにわたって一定となる。培養表面の形状に関係なく、培養区画内のどの部分でも接種材料がほぼ同量となるように培養区画を構成することによって、細胞を均一に分散させ易くなる。
好ましくは、マニホールドを用いて培養区画に媒質を供給する場合、接種材料を各培養区画に均一に分散するように、かつマニホールド内の細胞数が最小となるように、マニホールドを構成すべきである。マニホールドの容積は、媒質が速やかにかつ容易に培養区画を充填させるのに必要な程度とすると有益である。これは、マニホールドに保持される媒質の容積内の細胞はマニホールドの底部に沈み、培養区画内の細胞と同一の培養状態にはないためである。細胞が望ましくない領域に引き寄せられないようにするために、植菌時にはマニホールドの容積を最小にすべきである。しかし、各培養区画内の表面積に対する媒質量の比に媒質は寄与し得るため、装置の高さを低くするには、過剰量の媒質をマニホールドに存在させると有益である。つまり、マニホールド内の媒質量次第で、基質は細胞区画内の細胞に利用可能となる。
図6は、装置内に存在し得る気体を、均一な培養状態形成の妨げとならない領域に位置するように構成した、気体透過可能な多段培養装置3の断面図である。マニホールド60は、ガストラップ61を備える。少なくともガストラップ61の一部は、最上部の培養区画20の位置よりも高い。この図において、アクセスポート70は隔壁72によって覆われている。装置内の過剰な気体はガストラップ61まで上昇する。このため、どの培養区画からも媒質の転移は生じない。
用途によっては、使用の際、マニホールドの形状または容積を変更することが望ましい
場合がある。形状または容積を変えるようにマニホールドを構成する場合、コンタミネーションを生じないようにすべきである。これは、柔軟壁によって、またはガスケットもしくはOリングの使用などによって可能である。たとえば、共通のマニホールドで複数の培養区画に細胞を供給し、培養区画から培養区画への、またはある培養区画からマニホールドへの細胞の移動を防ぐことが好ましい場合がある。培養区画から細胞が不意に抜け出るような位置に培養区画が配向されるよう装置を操作する場合、培養区画の一つまたは複数の開口部を閉じるとこのような細胞の移動を防ぐことができる。別の例として、培養区画内に細胞が付着しており、供給頻度を最小にするためにより多くの媒質量が有用な場合などは、使用時のある時点で、マニホールド内の媒質量を変更することが助けとなる場合がある。この場合、マニホールドは容積が増加するように構成されてもよい。他の用途において、たとえば媒質量に対する培養表面の所望比が、培養区画より低い位置での媒質の存在を表す場合など、培養区画全体を媒質で充填させないことが利点となる場合もある。図7Aと図7Bは、これらの目的がどのように達成され得るかを示す。図7Aにおいて、気体透過可能な多段装置4のマニホールド壁62が、第1の位置にある。第1の位置において、細胞と媒質はアクセスポート70を介し、マニホールド60を経由して培養区画20に導入される。図7Bは、第2の位置にあるマニホールドを示す。第2の位置において、マニホールド60は狭まり培養区画20の開口部を閉じ、細胞または媒質が培養区画20から出るのを防いでいる。培養区画20は、媒質と気体が培養区画20に存在するように、媒質で部分的に充填されてもよい。また、媒質がマニホールド60に逃げないように、マニホールド壁62は図7Bに示す位置に移動されてもよい。しかしながら、本実施形態によると、マニホールド壁62を移動させる必要なく、気体透過可能な多段装置4全体を媒質で充填させることもできる。
図7C、図7D、および図7Eは、培養区画を媒質で部分的に充填する例を示す。図7Cは、培養区画20の下方に配向され、かつ所定量の媒質80が存在する状態で第1の開位置にあるマニホールド60を備えた、気体透過可能な多段装置4がどのように配置され得るかを示している。媒質の所定量とは、培養区画の容積の総量よりも少ないものとする。図7Dは、マニホールド60から駆動媒体80に向けて圧縮され、培養区画20に入り込んだマニホールド60を示す。図7Eは、媒質80と気体が各培養区画に存在し、水平に配向された気体透過可能な多段装置4を示す。マニホールドを閉じると、気体透過可能な多段装置の内部容積は減少し、圧力が増加する。圧力の増加は、培養区画内の液体に対する気体の比、培養区画の壁への適合性、および装置容積に対するマニホールド容積の比に関係する。培養区画のどの表面が気体透過性を備えているかによって、圧力は最終的に減少し得る。しかし、容積の減少に伴ってマニホールドを滅菌および通気すると、より速やかに圧力は開放される。放射状の封止構造においてOリング付きの柔軟壁もしくは剛壁を使用するなど、これらの目的を満たすマニホールドを構成する方法は多数あり、またWilson等による米国特許第7,229,820号明細書に記載の方法など他の方法もあることを当業者には理解されたい。
使用時に媒質の温度が低下する場合、マニホールド壁62を移動することも有用である。たとえば、膵島(islet)の培養は、多くの場合摂氏37度で開始され、その後摂氏22度まで低下する。気体透過可能な多段装置が閉鎖され、かつ媒質で充填されている場合、気温の低下とともに媒質は収縮する。多くの気体透過性材料は、高い可撓性を備えている。このため媒質が収縮すると、媒質との接触を維持するように装置の壁は移動し得る。壁が移動して壁上に均一に細胞が分散すると、細胞は均一な位置から転移して自由な密度になり、培養能力が低下し得る。このため、媒質量の減少に応じてマニホールド容積を変更できるため、細胞が均一な位置から転移するのを防ぐことができる。
必要に応じ、脚部135によって気体透過可能な多段装置の位置を高くすることができる。脚部135により、装置の底面に気体が接触可能となる。また/あるいは脚部135
により、第2の壁120への損傷を防ぐことができる。脚部135はどの実施形態に設けられてもよく、ある装置を別の装置の上に連結できるように装置の上壁を改変してもよい。
培養区画を平行に複数のマニホールドに接続する場合、装置に流入する液体によって、より簡単に気体が転移される。たとえば、一つのマニホールドを用いる場合、マニホールドに媒質が流入するのと反対の方向に気体が転移される。一つのマニホールドを備えた気体透過可能な多段装置において培養区画の高さを低くする場合、気体の転移速度を上げるには、気体透過可能な多段装置を傾斜させなくてはならない。別のマニホールドを設けた場合も、装置に媒質が流入するのとは異なる方向に気体を転移させることが可能になる。また、装置を傾斜させる必要を減らすか、もしくはなくすことができる。これにより、自動液体処理が簡略化される。装置を傾斜させる必要なく培養区画の準備が可能かを決定することを目的とした試験装置の評価において、マニホールド内の媒質量が試験装置の全容積の約7%であった場合、傾斜の必要はなかった。図8A、図8B、および図8Cは、二つのマニホールドを用いた実施形態を示す。図8Aは、壁を取り除いて培養区画20を露出させた気体透過可能な多段装置5を示す。気体空間50は各培養区画20間にある。この図において、気体空間50は、気体透過可能な多段装置5の全体に設けられた開口部である。図8Bは、一部分を取り除いて培養区画20、第1の壁110、およびマニホールド60を露出させた気体透過可能な多段装置5を示す。図8Cと図8C−1は、図8Aの8C−8C線の断面図であり、培養区画20、気体空間50、およびマニホールド60を露出させている。本実施形態において、アクセスポート70に液体が入り、マニホールド60と培養区画20を満たすと、培養区画20の先端部にある別のマニホールド60と、第2のアクセスポート70とを介して気体が転移する。
培養区画の高さは可変であり、さまざまなプロトコルを可能にしている。たとえば、トリプシンの使用量を最小にすると、または媒質の高さを上げると有益な場合がある。図8Dと図8Eは、(一つまたは複数の)培養区画20を高さ方向に凹凸のある襞状とし得る可撓性材料で装置を構成する場合の構成例を示している。たとえば、ハウジングおよび/または気体空間を境界する材料は可撓性を備えていてもよい。このようにして、程度の差はあれ各培養区画の容積を収容するように、気体透過可能な多段装置は拡張されてもよい。この拡張により、供給頻度を減らし、トリプシンおよび/もしくはPBSの使用を減らし、および/または培養区画の容積に対する気体透過可能な表面積を変化させるなど、望ましい結果が得られる。図示において、マニホールド壁62は襞を有している。しかし、たとえば米国特許第7,229,820号明細書に記載されるものなど他のさまざまな手段によって、培養区画の高さが変更可能となるように装置を改変してもよい。このような属性はさまざまな方法によって可能になることを、当業者には理解されたい。
気体透過可能な多段装置の最適性能の要因として、使用時の培養区画の配向が挙げられる。使用の際、細胞培養表面上に均一に細胞を分散するためには、気体透過可能な多段装置は略水平位置にあることが好ましい。図5Aに示すように、培養区画支持体は、培養区画支持体40と同様に簡易なものであってもよい。この場合、培養区画支持体40は、培養区画が互いに潰れ合うのを防ぐ簡易な構造支持体である。しかし、培養区画の壁を構成する材料の剛性によっては、もっと複雑な培養区画支持体を形成することが利点となる場合がある。たとえば、重要な用途においては、細胞が非常に均一に沈着するように制御された配置で細胞培養を行うのが最適である。このような用途としては、膵島、肝細胞、および多能性成熟前駆細胞の培養が挙げられる。たとえば膵島は、高い面密度で接触しているとき結合する。また、多能性成熟前駆細胞は、互いに接近した場合に分化され得る。肝細胞と膵島は、健全な状態維持のために高速の気体透過も必要としている。すなわち、細胞が略水平位置において引き寄せられる壁を維持することによって、最も堅牢な培養区画支持体を均一に分散することができ、気体透過を過剰に制限しない。これらの利点を得る
ために、培養区画支持体は培養区画の壁と接触している。接触点の数、接触点間の距離、および培養区画支持体と直接接触する気体透過性材料の表面積の大きさは、考慮すべき設計事項である。実施例1と実施例2において、補足説明を行う。
培養区画支持体は、気体透過可能な多段装置に永久的に取り付けられてもよいが、そうでなくてもよい。これは、ユーザがより制御した用途に装置を改造したいとき、または製造コストを抑えたいときに望ましい。図9Aと図9Bに示す実施形態においては、培養区画支持体は再利用可能であり、気体透過可能な多段装置の本体は使い捨て可能である。図9Aにおいて、培養区画支持体42は、気体透過可能な多段装置6から取り外されている。図9Bにおいて、培養区画支持体42は、気体透過可能な多段装置6に接触して設置されている。突起131は、培養区画支持体42から突き出している。突起131間の高さと距離は、目的を考慮して設計すべきである。ここでの目的とは、植菌時に細胞が均一に沈着するよう細胞培養区画を略水平状態に維持するために、気体透過可能な多段装置の培養区画に十分接触させることである。しかし、気体透過可能な表面との接触により、気体移動能力は弱められる。このため、水平状態維持の必要性と所望の気体移動程度とのバランスを考慮しなくてはならない。培養中の細胞の種類によって、最適な設計は複数あってもよい。周囲大気へのアクセスを増やしたい場合、気体連絡開口部132を設けてもよい。気体連絡開口部132がない場合、突起131が突き出ている表面(たとえば、(一つまたは複数の)表面133)間で気体が移動する。気体交換への耐性を備えた培養区画は、突起の数、突起の高さ、および装置の幅の機能を担う。この図において、幅広い設計オプションを示すために、最上部の培養区画の第1の壁は、培養区画支持体42によって適所に保持されていない。この構造は、培養区画が水平状態になった場合、流体もしくは加圧流体で充填された場合、または剛体材料で構成された場合に可能である。また、培養区画の第2の壁120は、媒質が内部にある状態でその形状を維持するのに十分な剛性のある材料で構成されているとき、培養区画支持体と接触する必要はない。
培養区画自身は、所望の形状を維持しながら、隣接する培養区画に周囲の気体を連通させる役割を果たすように構成されてもよい。Wilson等による第5,693,537号明細書は、突起を有する壁を用いて、培養区画の隣接する壁をどのように支持するかについて記載している。図10は、所望の形状がどのように維持されるかの一例を示す断面図である。この例では、気体透過可能な多段装置7の第1の壁110が剛体材料で形成され、気体透過可能な第2の壁120が、ジメチルシリコーンなどの可撓性材料で構成されている。気体空間50を維持するために、壁突起150は第2の壁120の表面から突き出ている。Wilson等による第5,714,384号は、突起を設けることにより、気体が移動する表面積をどのように大きくするかについて示している。突起は、第2の壁の表面から突き出て、隣接する培養区画の第1の壁と接触すること、あるいは上壁となる第2の壁から突起することも可能であることを、当業者には理解されたい。あるいは、培養区画の壁の外表面から突き出る突起は、互いにまたは培養区画支持体と連動可能である。別のアプローチとしては、すべての壁が可撓性を備えていてよく、培養区画が媒質で充填される場合、壁は所望の形状になってもよい。
ある培養区画の上壁と下壁、および/または上面と下面は、互いに接触すべきではない。たとえば、一つの培養表面が組織培養処理されたものであり、対抗する壁との接触が組織培養処理した表面に潜在的に影響し得る場合、接触を確実に防ぐために、培養区画間に内部スペーサを設置してもよい。内部スペーサは、どのような生体適合性材料であってもよい。また内部スペーサは、媒質と流体を培養区画に容易に出入りさせるように構成されてもよい。壁および/または培養表面間に所望の空間を維持するため、内部スペーサは分離した部分である必要はない。また、内部スペーサは、上壁および/もしくは下壁、および/または上方の培養表面および/もしくは下方の培養表面から突き出た突起であってもよい。図11は、気体透過可能な多段装置8の内部スペーサ160が、培養表面130ま
たは壁110から突き出た隆起である例を示している。内部スペーサは、さまざまな方法で構成されることを当業者には理解されたい。ただし、媒質が培養区画に出入りするのを妨げない方法に限る。
培養区画を垂直方向に積層した場合、光が弱まると、培養内の細胞を顕微鏡により観測する能力は低下する。このため、同時出願のWilson等による814号明細書に記載のように一つの培養区画を積層からずらすと、倒立顕微鏡を用いる場合に有用である。ほかのオプションとして、倒立顕微鏡観測が可能となるように、気体空間が光を受けることができる。このためには、下方の培養区画の内容物を光源によって照射するのに十分な程度、培養区間と培養区間の間に距離をとるべきである。光の輝度は、培養区画の材料と媒質の高さによって決まる。光学的に透明な材料が好まれる。
図12は、培養区画20を連続して接続した一実施形態を示す。アクセスポート70を経由して気体透過可能な多段装置9に供給された液体は、別のアクセスポート70を経由した気体と置き換わる。その結果、液体は所望数の培養区画20に存在することになる。周囲の気体に連通する気体空間50は培養区画20間にあり、気体透過性材料に隣接する。この図において、気体空間50は、気体透過可能な多段装置9の本体全体に設けられた開口部にある。
培養区画が共通の装置に一体とされていても、各培養区画に個々にアクセスしたい場合がある。たとえば、各培養区画が異なる種類の細胞を含んでいる場合、または同種の細胞に対して媒質組成が異なる場合などである。このようなアクセスは、さまざまな構造で可能である。好ましくは、ピペット操作、注入、無菌もしくはクローズドシステムアプローチ(隔壁もしくは滅菌チューブ類の接続)などの標準の液体処理方法によって、各培養区画へのアクセスが行われるよう構成されてもよい。一つのオプションを図13に示す。気体透過可能な多段装置10の培養区画20は、アクセスポート70を経由して個々にアクセス可能である。アクセスポート70は、この図においては隔壁として構成されている。一つまたは複数のアクセスポート70が各培養区画20に接続されてもよい。この図において、気体空間50を周囲の気体に連通させるように、または周囲の気体と連通させないように、ユーザが気体空間50を構成してもよい。気体空間50は、気体空間ハウジング51によって囲まれている。気体空間ハウジング51の気体空間連絡開口部55により、気体空間50は周囲環境と連通可能となる。気体空間連絡開口部55は、必要に応じて開閉するように構成されてもよい。気体空間50と周囲の気体との間で気体の移動を選択的に停止、制限、または可能にする能力は有用である。この特性は、いずれの実施形態においても実現可能である。たとえば、気体透過可能な多段装置をCO環境から一時的に外した場合、気体空間連絡開口部55を閉じたり、あるいは制限することによって、pH値の変化を防いだり、あるいは遅らせたりすることができる。別の例として、ある細胞ラインの細胞を各区画に置き、ある区画と連通した気体空間を所定の酸素濃度にし、気体空間を閉じ、各細胞成長および/または細胞機能への各酸素濃度の影響を調査してもよい。気体空間連絡開口部55の開閉は、ルアー式の開口部、プラグ、ポート、キャップなどさまざまな方法により可能であることを、当業者には理解されたい。
図14は、フローフード(flow hood)で液体を操作するために標準の組織培養装置から装置を取り外したとき、pH値の変化速度を制限するよう構成された、気体透過可能な多段装置の別の実施形態を示す。気体空間ハウジング51は、気体透過可能な多段装置11の気体空間50を取り囲んでいる。培養装置を取り外す前に開口部55の気体連絡カバー53を閉じることによって、気体空間50を周囲の気体から隔離してもよい。これによって、気体空間50に所望量のCOを閉じ込めることができる。気体空間50の気体量は、気体連絡カバー55の閉鎖期間の培養に必要な酸素を担持するのに十分な量であることが好ましい。このため、最適な量を決定するには、酸素必要量だけでなく、装
置内の細胞数または組織数を考慮すべきである。
図15は、フローフードで液体を操作するために、標準の組織培養装置から装置を取り外したときpH値の変化速度を制限するよう構成された、気体透過可能な多段装置の別の実施形態を示す。この場合、気体空間50は、気体透過可能な多段装置の一方の側で開き、周囲の気体と連通している。気体交換制御リム57は、この図においては気体空間ハウジング51の機構として、気体透過可能な多段装置12のこの側から伸展している。気体交換制御リム57が平らな表面(たとえば、薄層状のフローフードに対して勢いよく流れ出すように気体透過可能な多段装置12が配向される場合、気体空間50と周囲の気体との気体交換は停止されるか、あるいは大幅に制限される。これにより、pH値の変化速度が抑えられる。この他、気体透過可能な多段装置がpH値の変化を制御する特徴を有しておらず、培養装置から取り外されるときのpH値の変化速度を最小にする簡単な方法として、蓋付きのボックスなどの筐体に気体透過可能な多段装置を設置する方法がある。蓋は気密性という利点をもたらすものでなくてもよい。蓋とボックスとの間の気体連絡開口部の断面が、気体空間と周囲の気体との間の開口の断面よりも小さい限り、気体交換の速度は制限され、pH値の変化に遅れが生じる。気体透過可能な多段装置がボックス内にあるとき、ボックス内の気体量を最小にすべきである。さらに、気体透過可能な多段装置をボックス内に設置する前に、培養装置の気体組成を含むようにボックスを予め調整しておいてもよい。
新規の気体透過可能な多段装置は、従来型多段フラスコでは不可能であったプロトコルを可能にする。たとえば、細胞は一つの棚から複数の棚へと展開することができる。余剰トリプシンによる副作用を受けない接着細胞集団を植菌し、展開し、採取する周期により、クローズドシステム処理がいかに機能するかの一例が示される。図16Aは、媒質80と細胞が下方の培養区画20に存在する、気体透過可能な多段装置13の断面図である。図16Bに示すように接触細胞を培養区画の数まで展開させるとき、ごく単純な順序でイベントが生じる場合がある。まず、媒質80を除去する。底部の培養区画にPBSを導入し、残りの媒質を流出させる。その後、PBSを除去する。トリプシンまたはその他の剥離剤を下方の培養区画に導入して、接着表面から細胞を解放する。媒質80を加えることによって、上方の培養区画に細胞を再分配させてもよい。これにより、トリプシンが細胞接着に影響を与えないレベルにまで希釈される。細胞が余剰トリプシンによって影響される場合、細胞を除去し、従来の手段を用いて遠心分離してもよい。その後、所望数の培養区画に細胞が存在するように、適量の媒質に細胞を再び導入してもよい。懸濁細胞により、単に適量の媒質を加えるのと同じくらい簡単に、他の培養区画に細胞を展開させることができる。このようにして、従来型多段フラスコに比べて、接種材料を生成する補助装置の使用を最小にし、培養処理を大幅に簡略化することができる。気体透過可能な多段装置をクローズドシステムの接続用に構成することができるため、コンタミネーションの可能性も抑えられる。
側壁表面に細胞を存在可能とする利点として、ある大きさの表面積からさらに大きな表面に細胞を展開させることができる。たとえば、図5Cに示す位置に気体透過可能な多段装置を配向させることによって、壁126付近に存在する少量の接種材料を用いて培養を開始することができる。その後、培養細胞の集団が展開し、図5Bに示す位置に装置を再配向することによって、より大きな表面積が使用可能となる。必要に応じ、表面積をより大きくするために再配向を行う前に、壁126から細胞をトリプシン処理してもよい。より展開させる必要がある場合は、図5Aに示す位置に装置を再配向してもよい。その後、前段落に記載の方法で、さらに展開させることも可能である。
一般に細胞培養装置または医療装置に関係のある材料は、気体透過多段装置で用いることができる。選択した材料は、USP VIおよび/またはISO10993基準に準拠
するものであることが好ましい。また、コンタミネーションおよびpH値を目視確認できるように光透過性を備えたものが望ましい。倒立顕微鏡で観測する表面の場合、SPE2またはそれ以上の表面を形成することが好ましい。
気体透過可能な多段装置に対する気体の出入りを可能にする気体透過性材料は、いかなる膜、フィルム、または材料であってもよい。あるいは、使用される材料の組み合わせ、または気体透過可能な細胞培養装置で使用される材料として記載されたもの(たとえばシリコーン、フルオロ(flouro)エチレンポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリスチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体)の組み合わせであってもよい。気体透過性材料と、細胞培養におけるそれらの材料の使用については、米国特許第5,693,537号明細書、特許文献10、特許文献6、国際公開WO01/92462号、および同時係属出願の米国特許出願第10/961,814号明細書に詳しく記載されている。補足情報として、Plastic Design Library、William Andrew Publishing、「Permeability and Other Film Properties of Plastics and Elastomers」(1995年)に説明されている。本明細書におけるシリコーンという語の使用については、米国特許第6,045,877号明細書に明記されている。
Wilson等による米国特許第5,693,537号明細書に記載のとおり、気体透過性材料は、液体透過性材料であってもよい。これらの材料としては、セルロース、酢酸セルロース、再生セルロースなどからなる材料で、その断面にわたり親水性のある膜が挙げられる。しかし、このような材料の使用を評価した実験において、Wilson等による米国特許第5,693,537号明細書では記載されていないコンタミネーションの防止対策が好まれることが明らかになった。培養区画内に所望量の媒質を保持するには、液体浸透性が十分低い材料を選ぶように注意しなくてはならない。また、液体を損失した場合、オスモル濃度が有害なレベルにまで上昇し得る。選択した材料は、静圧下で媒質を供給した間隔において、培養区画の媒質量の約90%以上を保持できることが好ましい。また、供給時にオスモル濃度を元の状態に戻してもよい。供給間隔が二日の場合、静圧のための液体損失は、一日あたり培養装置内の媒質量の約5%未満に限定されることが好ましい。たとえば、分子量10,000が削減された、80M Cupraphan(登録商標)膜は、少なくとも膜平方センチメートルあたり10.16mlの媒質量で許容される材料である。また、この材料は薄く、十分に気体移動を行える。80M Cupraphan(登録商標)からなる気体透過性が低い材料を用いて、Wilson Wolf Manufacuturing製のCELLine CL1000製品で実験したところ、少なくとも400×10のハツカネズミハイブリドーマ細胞を培養できた。気体透過性の低い膜として80M Cupraphan(登録商標)を用いなかったこと以外のすべての面において、装置は、非液体透過性かつ気体透過性の膜を統合する市販の製品と同様であった。この実験において、気体透過性の膜の表面密度は、少なくとも4×10細胞/cmであった。培養区画内ではコンタミネーションが見られなかったが、細胞の外でコンタミネーションが生じた。このため、気体透過性かつ液体透過性の材料を用いて気体透過可能な多段装置を構築する場合、気体空間へ連通する、滅菌フィルタで覆われた気体空間連絡開口部を用いることにより、気体空間へのアクセスを制限することが好ましい。特にコンタミネーションを防ぐのに用いられる気体透過性のろ過材(たとえば、微多孔膜)を用いてもよい。コンタミネーションを最も防ぐためには、細孔径が0.45μm以下であってもよく、0.2μmであることが好ましい。しかし、気体透過性かつ液体透過性の材料の使用は、単に気体透過可能な多段装置の実施形態に限定されるものではない。たとえばOpticell(商標)製品(特許文献12に部分的に記載)など、他の気体透過可能な構造によって、少なくとも一つの気体透過性かつ液体透過性の膜(たとえば、Cupraphan(登録商標))を統合することも可能である。別の例として、通常細胞培養では関係ない、Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette
s(米国特許第5,503,741号明細書)を、好ましい構造を備えた培養装置として使用することも可能である。ここで好ましい構造とは、透析膜の一方もしくは両方と接触する気体空間を含む構造であり、気体空間に連通する、滅菌フィルタで覆われた気体空間連絡開口部を用いる構造である。
気体透過可能な多段装置を、懸濁細胞が培養される第1の位置に配向するように、または接着細胞が培養される代替位置に配向するように構成する場合、気体透過可能な多段装置の構造として、細胞区画の一つの培養表面は疎水性を備え、別の表面は親水性を備えるように構築することが好ましい。いずれの断面図でも一例を説明することができる。たとえば図4を参照すると、第1の壁110は気体透過性を備えてもよく、その内表面は一つの培養表面をなすように組織培養処理されてもよい。一方、第2の壁120の内表面は、別の培養表面をなすように疎水性を備えてもよい。このため、接着細胞を培養するには、気体透過可能な多段装置は、第2の壁120下方の第1の壁110で操作される。このため、懸濁細胞を培養するには、気体透過可能な多段装置は、第1の壁110下方の第2の壁120で操作される。接着細胞が第1の壁110に付着したとき、共培養が行われることがあり、その後、懸濁細胞を第2の壁120上に存在させるように装置を再配向する。懸濁細胞の培養に有用な材料はシリコーンであり、接着細胞の培養に用いられる代用的な材料は、組織培養処理したポリスチレンである。このため、この例における実施例としては、第2の壁120がシリコーンからなり、第1の壁110の培養表面が組織培養したポリスチレンからなることが好ましい。しかし、シリコーンを用いると、γ線照射時または電子ビーム滅菌時にシリコーンが移動し、培養区画内で組織処理した表面を被覆し得ることが分かった。この結果、組織処理した表面は、接着細胞には準最適であるといえる。すなわち最も有用な材料がある場合、一般的な滅菌方法は実用的でない。他の滅菌方法は問題があり、たとえばETOはシリコーン内に保持され、有害物質が激しく流れ出ることもなく、細胞にとって不健全な環境となってしまう。滅菌する化学的手段も、フラッシュすなわち洗い流しを必要とする。シリコーンへ着色材を添加することにより、この問題を解決しようとするために、硬化温度と硬化時間を変化させること、シリコーンに高容量のγ線照射を予め行うこと、シリコーンからポリスチレンまでの距離を変化させることのうち、すべてもしくはいずれかを試みたが、問題の解決にはならなかった。しかし、装置にγ線照射を行う前にシリコーンをプラズマ処理することには、シリコーンのポリスチレン表面への遊出を最小にする、あるいはなくす能力があることが分かった。このため、組織培養処理した表面の存在下でシリコーン、好ましくはポリスチレンを用いる処理は好ましく、γ線照射前にシリコーンを確実にプラズマ処理させる。細胞培養装置を形成するこのアプローチは、気体透過可能な多段装置に限られない。このアプローチにより、気体透過可能な培養装置は、組織処理した表面の存在下でプラズマ処理シリコーンを統合することができる。この結果、従来の滅菌方法(たとえば、γ線照射または電子ビーム)を用いる際、シリコーンの遊出を防ぐという利点が得られる。たとえば、Wilson等による814号明細書または特許文献12に記載された装置は、処理表面の存在下でプラズマ処理シリコーンを用いることにより利点を得ている。たとえば、市販のOpticell(登録商標)製品は、気体透過性を備え、組織培養処理した一つのポリスチレン表面と、プラズマ処理シリコーンからなる気体透過可能な対向表面とを統合することができる。このようにして標準の方法で滅菌した場合、懸濁細胞をシリコーンからなる表面で培養し、また/あるいは接着細胞をポリスチレンからなる表面で培養することができる。この製品は、上記のような従来の膜間距離、またはWilson等による814号明細書に記載のようにさらに長い距離を統合することができる。
図17Aは、シリコーンを成形した培養区画の図である。この培養区画は、漏れを生じ得る接合部の数を最小にしている。ジメチルシリコーンの使用は、複雑な形状パターンに成形できるなどの効果があり、懸濁細胞の培養用途において利点がある。培養区画20’はフランジ21を備える。この構成により、壁の交差部において接合部をなくすことがで
きる。このため、モジュール式の装置設計が可能な統合型培養区画となる。フランジ21は、別のシリコーン表面に接着されてもよく、あるいはどの表面に固定されてもよく、一連の培養区画がマニホールド壁へ取り付け可能な状態となる。あるいは、一連の培養区画をマニホールド壁へ取り付ける場合、剛性板をフランジの前部、フランジの後部に配置し、両方の剛性板を取り付け、これらの部分的に組み立てたものをマニホールド壁へ連結することによって組み付け可能な状態としてもよい。組み付け前に、いずれの代替培養表面を培養区画内に配置してもよい。統合型培養区画は、一つの培養区画に限られなくてもよい。複数の培養区画を統合体として成形し、モジュール式の組み付けが可能な統合型培養区画を形成してもよい。気体透過が所望される領域の厚さは、約0.5588mm(約0.022インチ)以下であることが好ましい。より好ましくは0.254mm(0.010インチ)、高度な培養が望まれる場合、最も好ましくは約0.2032mm(約0.008インチ)未満である。しかし、細胞が高い酸素量を必要としないとき、より厚くても有用である。シリコーンの断面が厚いと作製し易く、一般にシリコーンの厚さが大きいほどより作製しやすい。しかし、上壁と下壁の厚さを約0.1777mm(約0.007インチ)とする、ジメチルシリコーンの統合型培養区画を作製することが可能であった。また、側壁の厚さを約0.1016mm(約0.004インチ)とする、ジメチルシリコーンの統合型培養区画を作製することも可能であった。図には複数のフランジを示しているが、統合型培養区画は複数のフランジを備えていなくてもよい。このため、一つのマニホールドが所望される場合、容器は袋小路型であってもよい。
好ましいアプローチとして、すべての培養区画が統合体として成形され、共通のフランジはマニホールド壁に固定されてもよい。図17Bは、統合型培養区画20”を示す。統合型培養区画20”は、フランジ152を備え、好ましくはジメチルシリコーンからなる、気体透過性素材を成形した一連の区画である。フランジ支持体として機能するプラスチックの剛性部分(たとえば、ポリカーボネート)は、フランジ上に直接成形され(すなわち、フランジの上に成形され)、それ以降の組み付けの基礎となってもよい。この図において、フランジ支持体153は、各フランジ152上に成形されている。図17Cの分解組立図に示すように、フランジ支持体153は、液密状態でマニホールド壁62に結合され、培養区画の各端部でマニホールドを形成している。剛性プラスチックへのジメチルシリコーンの接合力の評価において、ジメチルシリコーンと生体適合性を備えたポリカーボネートとが、液密状態で接合された。ポリカーボネート材が金型に置かれ、液状射出成形工程において、シリコーンをポリカーボネートに直接結合した。本明細書で説明する構造、および/または図10と図11に示す構造の範囲で、培養区画支持体を追加してもよい。図11で示すように作成する場合、突起は培養区画全体に延在するリブであってもよい。図17Cは、一連の培養区画支持体42’を示す。たとえ培養表面の導入によって変更が必要ない場合でも、この構造は種々の懸濁細胞に有益である。しかし、培養表面の追加は任意とする。対象とする用途において接着細胞を用いる場合、シリコーンの内表面は、培養中の細胞の種類に適した接着表面によって覆われることが好ましい。種々の接着細胞には、培養表面として、組織処理したポリスチレン層を挿入することが有用である。この挿入により、種々の培養プロトコルが可能となる。たとえば、接着細胞と懸濁細胞の両方を培養するには、接着細胞が組織処理した培養表面に引き寄せられるように装置を配向する。また、その後180度回転させて装置を取り付けることにより、懸濁細胞を対向するシリコーンの壁に存在させることができる。
シリコーン以外の組織処理した培養表面を備えることを意図して図17に示す構造にする場合、シリコーンの内表面全体を異なる培養表面で覆うことにより、電子ビーム時またはγ線照射時の遊出を防ぐために行うシリコーンのプラズマ処理を避けることができる。たとえば、組織処理した薄いポリスチレンを、シリコーン全体を覆うように挿入してもよい。マニホールド壁が遊出する材料ではない場合、処理したポリスチレン表面は接着細胞に適した状態のままである。この表面(この例では、ポリスチレン)には細胞が付着可能
であるが、もしこの表面がシリコーンのみからなるものであれば、本来よりも細胞培養区画への気体移動が妨げられる。このため、細胞が存在するように意図される(一つまたは複数の)培養表面は、気体移動が十分可能となるよう薄くなくてはならない。細胞が存在するポリスチレンの領域は、厚さが約0.0762mm(約0.003インチ)であることが好ましい。このアプローチにより、接合部の数や漏れの可能性を減らし、かつどのような用途にも適切な培養表面を形成することができる。
図18C、図18D、および図18Eは、別の実施形態の利点を示す。この実施形態において、培養区画を媒質で部分的に充填でき、また/あるいはトリプシン、PBS、もしくは細胞区画から細胞を除去する他の液体の量が最小にされる。本実施形態において、本発明の利点は、従来型多段培養フラスコ(たとえば、NUNC(商標)Cell Factory、NUNC(商標)Triple Flask、Corning(登録商標)CellSTACK(登録商標))の構造に直接統合される。図18Aは、NUNC(商標)のウェブサイトに掲載されている図である。この図は、不均一な気体組成の問題を解決するNUNC(登録商標)のCell Factory for Acting Gassingの動作を示している。気体供給システムは、チューブ類の接続、滅菌フィルタ、分離した気体供給、また任意で加湿を必要とし、処理を複雑にしている。これは、連続的に流れる乾燥気体混合物が媒質をすばやく蒸発させ、オスモル濃度を細胞成長と細胞機能に影響を与えるレベルまで増加させるためである。図18Bは、図18Aに示すNUNC(商標)アプローチの拡大図である。この図において、矢印は強制気体流動を示し、壁224と壁222が参照用に示されている。気体透過可能な多段フラスコは、従来型多段フラスコで必要とされた補助装置もしくは強制気体流動を必要とせず、不均一な気体組成の問題に対処することができる。図18C、図18D、および図18Eに示す実施形態の利点は、従来型多段フラスコの特徴、たとえば、市販の多段フラスコや特許文献1、特許文献2、英国特許出願公開第1539263号明細書に記載の多段フラスコの特徴、および各棚に媒質を均等に分散させる特徴を統合できることである。図18Cは、従来型多段フラスコで必要とされた補助装置もしくは強制気体流動を必要とせず培養状態を均一にした、気体透過可能な多段フラスコ200の一実施形態を示す。壁224および/または壁222の少なくとも一部は気体透過性を備えており、気体空間250と周囲の気体とで気体交換を可能としている。従来型培養区画は装置内にあってもよく、ポリスチレンからなる棚220を備えていることが好ましい。培養区画壁220は従来の高さで構成され、媒質80と気体空間230との界面で気体が移動された結果細胞90が酸素を受け取るように、媒質と細胞を保持している。マニホールド260は、従来型フラスコのマニホールドとして構成されてもよい。ジメチルシリコーンは、液状射出によりハウジングとして成形可能であるため、あるいは剛性を備えた壁(たとえば、ポリカーボネート)上に成形可能であるため、気体透過性材料としてジメチルシリコーンを選択することは好ましい。しかし、前述のように、γ線放射が予測される場合、シリコーンをプラズマ処理すべきである。壁の気体透過可能な領域は、各培養区画に相当する形状に分散されることが好ましく、これにより各培養区画がほぼ同様に気体移動にアクセス可能となる。言い方を換えると、各培養区画は、気体透過性材料から等しい距離になくてはならない。損傷からの保護や構造的支持体としての属性を備えた構成部材によって、気体が気体空間へアクセスできるかぎり、損傷から保護され、構造的に支持される。このため、任意として側壁支持体240がこのような機能を実行する。各培養区画は、気体連絡開口部242および/または突起241を備える。側壁支持体は剛性を備えた透明な材料であることが好ましい。
図18Dに、別のアプローチを示す。このアプローチは、従来型多段装置において均一な培養状態を得るアプローチであった強制的な気体供給を必要としない。この構造は、気体透過性材料を装置本体内に統合したものである。気体空間251は、気体透過可能な多段装置201本体の少なくとも一部を貫通する開口部である。このため気体空間251は、気体空間上壁210と気体空間下壁215とによって境界されている。気体空間251
は、図8Aと図8Bと同様に、本体全体を貫通する開口部であってもよい。また、気体空間251は装置全体を貫通する必要はなく、装置内で行き止まりになっていてもよい。また、気体空間251のいずれの壁が気体透過性を備えていてもよい。しかし、従来型多段フラスコの不均一な培養状態を克服するために、気体空間上壁210が気体透過性を備える必要はない。すなわち、気体空間251の他のいずれかの壁が気体透過性材料からなる場合は、気体空間上壁210は気体透過性を備えていなくてもよい。たとえば、気体空間251の他の壁のうち、少なくとも一つの壁が十分に気体を移動させる材料からなるかぎり、気体空間上壁210はポリスチレンであってもよく、十分に気体を移動させない厚さであってもよい。装置本体内の各場所に気体を均一に移動させることにより、気液交換を行う気液界面を用いて従来型細胞培養が可能となり、従来型多段フラスコに比べてより均一な気体環境で行える。気体透過可能な多段装置の動作は、従来型多段フラスコと同様である必要はない。気体空間上壁210が気体透過性材料からなる場合、気液界面から独立して気体搬送が可能となる。気体空間上壁210は、側壁225と結合されて細胞培養区画を形成してもよい。たとえば、供給頻度を最小にするために、または蒸発によるオスモル濃度の変化を遅らせるために媒質の高さを上げたい場合、Wilson等による814号明細書に記載のとおり培養区画側壁225の高さも上げられるならば、媒質をどの高さまで上げてもよい。
図18Eは、気体が装置の側壁を移動する場合、細胞が存在する気体透過性の壁を備えるように構成された気体透過可能な多段フラスコを作成するために、従来型多段フラスコを改変したものである。この改変により、培養方法としてより多くのオプションが可能となる。また、従来型多段フラスコと比べて不均一な培養状態の問題が解決される。気体透過可能な多段フラスコ202は、側壁224,222など壁の少なくとも一部が気体透過性材料からなるように構成されている。必要に応じ、気体透過可能な領域は、図18Cに示すように支持されなくてはならない。図18Eに戻り、培養区画底部245は気体透過性材料からなり、好ましくは突起241および/または気体連絡開口部242を備える培養区画支持体243で支持される。媒質80が所望の高さとなるよう、必要に応じて培養区画壁225はどの高さとされてもよい。マニホールド260は、従来型フラスコのマニホールドとして構成されてもよい。
[実施例]
気体透過性の多段フラスコが、不均一な培養条件の存在する可能性を最小化しつつ、従来のフラスコによる輸送、滅菌、保管、インキュベータおよび廃棄空間の過度の使用を解決する容量を有することを定量的に実証するために、実施例1および実施例2によって培養区画支持体の相異なる形状について評価した。
実施例3は、ガンマ線照射前にシリコーンのプラズマ処理を行うことで、組織培養処理したポリスチレン表面上にシリコーンが遊出するのを制限または防止することによって、標準的な滅菌処理法から逸脱する必要なく、シリコーンおよび組織培養処理したプラスチックを同じ培養区画に共存させられることを説明するものである。
[実施例1]
酸素要求量の非常に高い培養物用の培養区画支持体構造
膵島培養物(酸素要求量が最も高い種類の培養物のうちの1つであると知られている)における改良を可能とする培養区画支持体の物理的な構造について、約0.183mm(約0.0072インチ)であると測定された平均厚と98cmの表面積とを有する成型されたジメチルシリコーンシートで構成された下壁を有する試験装置を構成することによって実証した。ジメチルシリコーンゴムの気体透過率については、MOCON社(ミネソタ州、ミネアポリス)のOxtran 2/21装置を用いることによって、ASTM−1927に従い、37℃で約14,300mlO2/645cm(100平方インチ)
/24時間と決定した。ジメチルシリコーンを支持する培養区画は、シリコーンに直接接触した厚さ0.048cm、開度46%のメッシュで構成した。この開放メッシュは、水平および垂直に約2.54cm(1インチ)あたり16本のストランドが存在するように垂直方向および水平方向に配置した、一連のポリプロピレンストランド(各々、約0.457〜0.508mm(0.018〜0.020インチ)厚の直径を有する)で構成した。このメッシュを、均一に分布した突起を有する厚さ0.19cmの成型されたポリカーボネートプラスチックシートによって、適所に保持した。この突起がシートの上にメッシュを持ち上げるので、膜の下に気体空間が存在した。各突起の形状は、それぞれの脚が120度離れて配向した均一な「Y」字形であった。各脚の長さは0.45cmであり、幅は0.127cmであった。したがって、メッシュを支持するために利用可能な各突起の表面積は約0.175cmであった。cmあたり約1.1個の突起が存在した。したがって、メッシュを支持するために利用可能な突起の累積表面積は約18.87cmであった。各突起の高さはプラスチックシートから0.127cmであった。気体空間は、シリコーンの下部とプラスチックシートの上部との間に存在した。突起によって排除される気体の累積体積は2.4cmであった。メッシュによって排除される気体の累積体積は2.54cmであった。したがって、シリコーン膜の下かつプラスチックシートの上に存在する気体は、約17.2mlであった。気体透過性膜の表面積に対するシリコーン膜の下かつプラスチックシートの上に存在する気体の比は、17.6%であった。プラスチックシートは気体連絡開口部として働く貫通孔を含み、各孔の断面は、受動拡散によって雰囲気気体が気体空間に連通することを可能とするために、プラスチックシートの面に対し垂直に配向された。均一に離間して配置された5つの貫通孔は、ジメチルシリコーンの98cmの表面積の下に存在し、各々断面積0.29cmおよび長さ約1.91mm(0.075インチ)を有する貫通孔によって、1.45cmの累積断面積が得られた。したがって、シリコーン膜の断面積に対する貫通孔の断面積の比は、約1.45cm/98cm、すなわち、約1.48%であった。シリコーン膜とプラスチックシートの上面との間に存在する気体の体積に対する貫通孔の断面積の比は、したがって、1.45cm/17.2ml、すなわち、約8.4%であった。脚部は、プラスチックシートの下部を0.51cm持ち上げた。したがって、シリコーン膜の下に存在する培養区画支持体の全高は、0.87cmであった。
次の定義および略語は、膵島評価を理解するのに有用である:
フラスココントロール…酸素化を気液界面に依存した装置であり、0.2cmの最大溶媒深度を得るために、IEにより1000IE/mlの溶媒比まで最大200IE/cmで接種を行った。このコントロールは、GP装置とフラスコにおける標準的な膵島培養法とを比較するために用いられる。
GP装置…98cmの表面積を有し、実施例1または実施例2に記載の構造に支持された気体透過性のジメチルシリコーンの下部を備えるように構成された試験装置。
IE(膵島当量)…膵島の大きさの尺度であり、直径150μmの膵島の大きさに等しい。隔離したばかりの膵島は、その血管が崩壊するにつれ、体積が減少し、密度が増大する。したがって、IEの大きさは0日と2日とで同じでも、質量は同じでない。
DNAによるIEまたはDNA IE…膵島質量の間接的な尺度。11.4ngのDNAに等しい。
手作業での集計によるIE…IEの数は、従来、手作業での集計によって測定されており、この集計では、膵島がどれほど均一であるかまたは密集しているかについては無視する。0日のDNAによるIEは、18のブタ膵島分離における手作業での集計によるIE(49〜93%)の63±12%だった。数は培養物における膵島の大きさが低下するにつれ通常収束するが、手作業での集計は誤りが生じ易いので、必ずしもそのようになるとは限らない。他に注記のない限り、「IE」は、従来のように手作業での集計によって測
定されるIEを指す。
膵島生存率…生存可能な膵島質量の割合。
膵島表面密度…所与の表面積において培養される膵島の大きさであり、IE/cmとして表される。直径150μmの膵島の融合性正方形アレイは、4444IE/cmを有する。
溶媒稀釈…装置に存在する膵島の数に対する溶媒の体積の比であり、μl/IEとして表される。
非GP装置…GP装置と同一の形状に構成されているが、気体透過性の膜を備えていない制御装置(GP装置と同一の培養条件による実験のコントロールとして、気体透過性の膜の特徴の利益を定量するために用いられる)。
ブタ分離…リコルディ(Ricordi)法を用いて、ブタの膵臓から膵島を取得する処理。
OCR…酸素消費速度であって、nmol/minで表される。生存可能な膵島の質量の尺度。
OCR/DNA…DNA内容毎のOCRであって、nmol/min・mg DNAとして表される
p値…報告されるp値は、両側の、対応のあるスチューデントのt検定におけるものである。
回復…膵島属性の一部(例えば、DNA、IE、OCR)は、後にも残る。
必要とされるIEに対する溶媒の体積の比を決定するために、ブタの膵島を用いて初期評価を行った。ブタの膵島を、200IE/cmにて、18cmのジメチルシリコーン表面積を有する小型のGP装置中、37℃で2日間培養し、1μl/IEおよび4μl/IEで溶媒稀釈を行ったところ、OCR/DNAによる評価では、膵島の生存可能性に統計的な差は見られなかった。5つのブタ分離物について、4μl/IEでのOCR/DNAは1μl/IEでOCR/DNAの97.5%〜102.4%であり、結合平均は101%であった。この知見に基づき、実施例1および実施例2に記載の評価の多くでは、1μl/IEの溶媒希釈比を用いた。
GP装置において従来法を越える表面密度(手作業での集計で約1000IE/cm〜2551IE/cm。DNA集計では490IE/cm〜2551IE/cm)が従来の表面密度(手作業での集計で約200IE/cm未満)のフラスココントロールに対する生存可能率(すなわち、気液界面)の減少なしに達成できるかを決定することを主な目的とした一連の実験では、10のブタ分離から得た膵島を用いた。細胞が水平に存在する表面しか与えず気体が送られない隔室支持体構造は小さな膵島生存率しか与えないという仮説により、非GP装置のコントロールを含めた。疑問点は、上述のように構成された培養区画支持体の性能によって、均一な分布の膵島が凝集により健全さを失うことなく維持されるように管理しつつ、膵島に適切に酸素を送ることが可能となるか否かであった。各GP装置は、98cmのジメチルシリコーン表面を通じて膵島が均一に分布するように構成した。各GP装置における平均の膵島表面密度は、手作業の集計では1526IE/cmであった。代表的なフラスココントロールの生存可能率に対するGP装置の生存可能率の比に基づくと、各GP装置は、標準偏差9.4%およびp値0.9987で、等しい生存可能性を示した。かくして、OCR/DNAによって決定された膵島生存可能性を減少させることなく、従来法に対し表面密度で平均7倍以上の増大を可能とする速度で培養区画への受動的な気体移送を可能とする培養区画支持体の性能について実証した。培養区画支持体は、雰囲気気体が、培養区画支持体の近傍の気体透過性表面に対しそ
の培養区画支持体の対向する側に存在し、培養区画支持体に沿って、次いで細胞が存在する表面に対して垂直に、受動的に移動し、細胞が存在する気体透過性表面の下方で受動的に循環することを可能とし、従来の培養装置において可能であるのの7倍を超えて膵島を支持するのに充分な酸素を送るように構成されることが可能である。
[実施例2]
実施例1とは異なる培養区画支持体の物理的構造について、別の膵島培養用途により検査した。この実施例において、試験装置の備える気体透過性材料は、実施例1のものと実質的に同一であった。ジメチルシリコーンを支持する培養区画は、シリコーンに直接接触した開放メッシュで構成し、機械加工したポリカーボネートプラスチックシートでメッシュをほぼ水平の位置に支持した。実施例1の培養区画支持体と異なり、メッシュはプラスチックシートの上面に直接存在していた。メッシュの形状および材料の組成は、実施例1のものと同一であった。シリコーン膜の表面積のcmあたり、シリコーンの下面とプラスチック下部の上面との間の気体の体積は、メッシュによる排除の後、0.022mlであった。換言すると、気体透過性の膜の表面積に対するプラスチックシートと気体透過性の膜との間の気体体積の比は、2.2%であった。受動拡散によって雰囲気気体が気体空間と連通することを可能とするために、気体連絡開口部として働く貫通孔をプラスチックの下部に設けた。各貫通孔の断面はメッシュの平面に対し垂直に配向していた。各貫通孔の直径は約3.18mm(0.125インチ)であった。貫通孔は、各孔の中心間の距離が約9.53mm(0.375インチ)となるように、ジメチルシリコーンの下において格子状に均一に離間して配置した。各貫通孔の長さは約3.30mm(0.13インチ)であった。シリコーン膜の断面積に対する貫通孔の断面積の比は、膜表面の面積の約16%であった。プラスチックシートと気体透過性膜との間の気体体積に対する貫通孔の断面積の比は、273%であった。メッシュの高さは約0.483mm(約0.019インチ)であったので、ジメチルシリコーンとプラスチックの下部の下に存在する気体との間の累積的な距離は、約3.81mm(約0.15インチ)であった。8つの均一に分布した脚部は、プラスチックの下部の周囲の部分をそれが存在していた棚の表面から0.41cm持ち上げた。下部の周囲は23.94cmであった。プラスチックの下部の下側とそれが存在することによって雰囲気気体の移動に対し開放されている表面との間の断面積は、7.59cmであった。気体移動に対する制限要因としての脚部を無視すると、気体透過性のジメチルシリコーンの位置への気体移動に対し開放された周囲の辺りの断面積は、9.85cmであった。以上、培養区画支持体の高さは約1.27cm(約0.5インチ)であった。
GP装置において従来を越える表面密度(手作業での集計で平均1628IE/cm。DNA集計では927IE/cm)がフラスココントロールおよび非GP装置に対する生存可能率の減少なしに達成できるかを決定することを主な目的とした一連の実験では、5のブタ分離から得た膵島を用いた。疑問点は、上述のように構成された培養区画支持体の性能によって、均一な分布の膵島が凝集により健全さを失うことなく維持されるように管理しつつ、膵島に適切に酸素を送ることが可能となるか否かであった。実施例1に示すように膵島がコントロールと同様の生存可能性を示す場合、培養区画支持体用の代替の形状を形成する能力が実証される。形状における主な差は、実施例1では突起を利用したのに対し、実施例2では平坦なプラスチック下部上に直接メッシュを存在させたことである。突起の欠如を埋め合わせるため、実施例2の形状では、気体透過性材料の表面積に対する気体連絡開口部の断面積の比を、実施例1での比に対して約8倍大きくした。膵島は、ジメチルシリコーン表面を通じて膵島が均一に分布するようにGP装置へ配置した。フラスコを代表するコントロールの生存可能率に対するGP装置の生存可能率の比に基づくと、各GP装置は、標準偏差13.8%およびp値0.9681で、同一の生存可能性を示した。かくして、OCR/DNAによって決定された膵島生存可能性を減少させることなく、従来法に対し表面密度で平均8倍以上の増大を可能とする速度で培養区画への受動
的な気体移送を可能とする代替形状の培養区画支持体の性能について実証した。
コントロールと比べ表面密度の増大が非常に高く、200IE/cmという従来のフラスコの表面密度より約7〜41倍大きい、気体透過性の試験装置構成についても試した。合計20のブタ分離物を評価したところ、表面密度は、平均して従来のフラスコの表面密度より約18倍大きかった。データにおける変動の程度はより大きく、各GP装置は、標準偏差21.9%およびp値0.43で、フラスコの代表的なコントロールの生存可能性の96.0%にあたる平均の生存可能性を示した。
図19には、非GP装置に対する結果を、フラスココントロールの割合としてまとめる。明らかに、均一に膵島が分配されるように単に培養区画を水平に保持するだけの培養区画支持体は、適切に気体を交換する容量を備える必要があることが、非GP装置において表面密度の増大に伴い膵島の健全さが失われることによって実証されている。実施例1および実施例2は、気体透過性の多段装置設計へ一体化されるとき、2つ以上の別個の培養区画支持体によって、効率的な空間利用における独特な利点をどのように可能とするかを示している。
この情報は、従来の多段装置に対する気体透過性の多段装置の空間の利点を実証するのに有用である。例えば、1型糖尿病を治療するための膵島移植の分野では、〜800,000IE(手作業での集計によって決定)の培養を行うことが目標である。面密度が200IE/cmである現行のフラスコ法では、4000cmの培養物表面積が必要となる。NUNC(商標)Cell Factoryなど市販の従来の多段フラスコを用いる場合、4000cmの培養物表面積を形成するには、632cmの棚が約6つ必要である。そのように構成されたNUNC(商標)Cell Factorは、約6820cm(約416立方インチ)の空間を占め、不均一な成長条件に膵島を晒す可能性がある。しかしながら、上述の実施例を考えると、気体透過性の多段装置は、それより相当少ない空間において800,000IEの培養を行うことが可能である。例えば、約1526IE/cm〜1628IE/cmの平均表面密度で膵島を培養する能力では、800,000IEの培養に成功するのに約500cmの培養表面積しか必要としない。NUNC(商標)Cell Factoryによって必要とされるように、気体透過性の多段装置において6つの棚が用いられる場合、各棚は83cmの表面積しか必要としない。溶媒が膵島の上に直接存在する場合、Cell Factoryと同じフィード頻度(すなわち、1uL/IE)を可能とするための各培養区画の高さは、約1.6cm(0.63インチ)である。培養区画支持体の高さ(すなわち、培養区画間の垂直距離)は、実施例の高さを超える必要はない。上述の実施例では、各培養区画支持体の高さが0.344であってよいことを実証した。寸法について、気体透過性の多段装置は、おおよそ高さが約14.7cm(5.8インチ)、幅および長さが約9.14cm(3.6インチ)であり、約1250cm(約76立方インチ)の空間を占めてよい。これは、従来の多段フラスコによって占められる空間である約6820cm(416立方インチ)に比べ、輸送、滅菌、保管、インキュベータおよび廃棄空間における500%の減少を優に越える。さらに、従来のフラスコの不均一な培養条件も克服される。なお、上述の実施例の培養区画の小さな脚部距離によって実証されたように、図10に示すような構成を用いると、培養区画間の距離をさらに減少することができる。
[実施例3] ガンマ線照射中のシリコーンの遊出の最小化
図20の断面図に示すように、試験装置162を構成した。ジメチルシリコーンから試験サンプル165を作製し、部材167(COSTAR(登録商標)3516)として示す市販のポリスチレン組織処理した6穴プレートの本体の上部の上に配置した。次いで、6穴プレート167の上にポリスチレン蓋168を置いた。蓋の内面169および組織培養処理した表面166上のシリコーンの遊出をガンマ線照射前に試験サンプル165のプ
ラズマ処理を行うことによって最小化する性能について評価した。試験サンプル165は、組織培養処理した表面166から約1.78cmで、蓋の内面169から2mm未満の距離に存在した。1つの評価では、試験装置162内に配置する前に試験サンプル165をプラズマ処理に晒した。プラズマ電荷の存在は、水滴の接触角が96度であり、界面エネルギーが300μN(30ダイン)未満であることによって確認した。別の評価では、試験装置162内に配置する前に試験サンプル165をプラズマ放電に晒さなかった。いずれの評価においても、このアセンブリを続いてガンマ線照射に晒した。その後、化学分析用電子分光法(ESCA)によって様々な表面の元素組成の定量を行った。コントロールの6穴プレート(ガンマ線照射していないシリコーン試験サンプル165)の組織培養処理した表面と比較したシリコーン、酸素および炭素の存在について、組織培養処理した表面166を評価した。シリコーンの存在について蓋の内面169を評価した。結果をテーブル1にまとめる。
Figure 0005366820
これらの結果は、ガンマ線照射前にシリコーンにプラズマ処理を行うことで、細胞培養用に処理した表面は実質的に変化させないまま、望ましくないシリコーン遊出が防止されることを示している。シリコーンなしでガンマ線照射したCorning(登録商標)6穴プレート(すなわち、コントロール)は、プラズマ処理したシリコーンに一体化されたCorning(登録商標)6穴プレートが示したように、その組織培養処理した表面上に約20%の酸素の存在を示した。反対に、プラズマ処理していないシリコーンに一体化されたCorning(登録商標)6穴プレートは、51%という、非常に異なった酸素組成を示した。プラズマ処理されていないシリコーンは、表面全体へ遊出した。プラズマ処理したシリコーンは、シリコーン表面との近接度によらず、遊出しなかった。
このことは、細胞培養装置の新たな構成への扉を開くものである。一般に、次に限定されないが、図17Aおよび図17Bに記載の方法を含め、細胞培養装置を製造する単純化された方法が可能である。シリコーン表面および組織処理した表面を備える培養装置をガンマ線照射する際、少なくとも組織処理した表面に気体連通しているシリコーンの表面のプラズマ処理を行うことによって、組織処理した表面をシリコーンからの距離によらずガンマ線照射後に実質的に変化させないことが可能である。組織処理した表面へ遊出することのないシリコーンの表面(シリコーンからなる培養区画の外面など)については、プラズマ照射する必要はない。なお、部分的にのみシリコーンからなる表面は、照射中にシリコーン部分が遊出するので、記載のようにプラズマ処理が行われるべきである。一般に、
細胞培養装置を製造する単純化された方法が可能である。例えば、シリコーンの外筐体を成型し、細胞が存在する処理済みのポリスチレンシートを挿入することによって、普通のフラスコまたはOpticell(商標)の気体透過性カートリッジなど、単一の隔室装置を製造することが可能である。シリコーンの独特な伸び性能によって、開口部を、それによって通じて培養物表面が追加される挿入部品よりも小さくして、折り曲げて部品の挿入後にポート形状に戻すことが可能となる。成型されたシリコーンには隔壁が存在してもよく、他の型のアクセスポートが存在してもよい。普通のフラスコの場合、気体透過性シリコーンの使用によって酸素化への気液界面アプローチが除外されるので、フラスコの高さを充分に減少させることが可能である。図17Aを参照すると、第1の壁110が気体透過性シリコーンであり、培養物表面130は組織培養処理したポリスチレンなど付着性の表面であるとき、さらなる多目的性が得られる。この場合、上述のように、装置は第1の壁110を培養物懸濁液セルまで下るように配向させ、培養物表面130を培養物粘着セルまで、または培養物粘着セルおよび懸濁液セルまで下るように配向させる。粘着セルの共培養が所望される場合、第1の壁110に隣接して、極薄の気体透過性ポリスチレンなど、さらなる培養表面を挿入することが可能である。装置の高さは、培養を最適化するのに必要な、様々な表面積対溶媒体積の比を可能とするように増大されてよい。襞のある側壁を備えた装置を作製することによって、体積を使用者に必要であるように変化させることが可能となる。気体透過性の多段フラスコは、これらの利点を併せ持ってもよい。
当業者には、本発明の精神から逸脱することなく、本発明に多数の変更が行われてよいことが認識される。したがって、図面に示し明細書に記載した実施形態に本発明の範囲を限定することを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその均等物によって決定されるものである。

Claims (10)

  1. 細胞増殖装置であって、
    第1の壁と、該第1の壁に対向する第2の壁とを有する複数の培養区画を備え、
    前記第2の壁は、少なくともその一部分が気体透過性材料から構成され、
    前記複数の培養区画同士は気体空間によって少なくともその一部分が分離されるとともに、培養区画支持体が、前記気体空間に配置され、
    前記複数の培養区画は互いに上下方向に配置されているとともに少なくとも一つのマニホールドによって接続され、
    前記培養区画支持体は、前記第の壁の下方に存在し、前記気体透過性材料と部分的に接触し、
    前記培養区画支持体は、強制気体流動を必要とせずに受動拡散によって雰囲気気体が前記気体空間に連通することを可能とする気体連絡開口部としての貫通孔を含み、
    前記気体空間は強制気体流動に適合せず
    前記少なくとも一つのマニホールドは、第1の位置に配置され得るとともに空間容積をふさぐマニホールド壁を有し、該第1の位置は、細胞および媒質が前記細胞増殖装置に導入され得る位置であり、
    前記マニホールド壁は、前記空間容積が低下する第2の位置に移動可能である、
    細胞増殖装置。
  2. 前記マニホールドは、該マニホールドの形状を選択的に変えられるように、少なくとも一つの柔軟壁、複数のガスケット、および複数のOリングのうちの少なくとも一つを備えている、請求項1に記載の細胞増殖装置。
  3. 前記複数の培養区画は、前記2つのマニホールド間に平行に接続されている、請求項1に記載の細胞増殖装置。
  4. 前記培養区画の高さを変更可能とする拡張可能な壁をさらに備えている、請求項1に記載の細胞増殖装置。
  5. 前記培養区画支持体は取り外し可能である、請求項1に記載の細胞増殖装置。
  6. 気体空間ハウジングをさらに備えている、請求項1に記載の細胞増殖装置。
  7. 気体交換制御リムをさらに備えている、請求項1に記載の細胞増殖装置。
  8. 少なくとも一つの前記培養区画は他の前記培養区画から位置がずれている、請求項1に記載の細胞増殖装置。
  9. 前記マニホールドにガストラップをさらに備えている、請求項1に記載の細胞増殖装置。
  10. 前記ガストラップの少なくとも一部は、最上部の前記培養区画の位置よりも高い、請求項に記載の細胞増殖装置。
JP2009540319A 2006-12-07 2007-12-07 細胞培養に効果的な装置および方法 Active JP5366820B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US87334706P 2006-12-07 2006-12-07
US60/873,347 2006-12-07
PCT/US2007/025108 WO2008073313A2 (en) 2006-12-07 2007-12-07 Highly efficient gas permeable devices and methods for culturing cells

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2010512148A JP2010512148A (ja) 2010-04-22
JP2010512148A5 JP2010512148A5 (ja) 2011-02-03
JP5366820B2 true JP5366820B2 (ja) 2013-12-11

Family

ID=39512273

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009540319A Active JP5366820B2 (ja) 2006-12-07 2007-12-07 細胞培養に効果的な装置および方法
JP2009540320A Withdrawn JP2010512149A (ja) 2006-12-07 2007-12-07 細胞培養に効果的な装置および方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009540320A Withdrawn JP2010512149A (ja) 2006-12-07 2007-12-07 細胞培養に効果的な装置および方法

Country Status (7)

Country Link
US (8) US20080176318A1 (ja)
EP (3) EP2092052B1 (ja)
JP (2) JP5366820B2 (ja)
CN (2) CN101611132B (ja)
AU (2) AU2007332870A1 (ja)
CA (2) CA2671967A1 (ja)
WO (2) WO2008073313A2 (ja)

Families Citing this family (74)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103173354B (zh) 2003-10-08 2017-07-14 威尔森沃尔夫制造公司 利用透气性材料进行细胞培养的方法及装置
US9354156B2 (en) 2007-02-08 2016-05-31 Emd Millipore Corporation Microfluidic particle analysis method, device and system
US9637715B2 (en) 2005-07-07 2017-05-02 Emd Millipore Corporation Cell culture and invasion assay method and system
US9388374B2 (en) 2005-07-07 2016-07-12 Emd Millipore Corporation Microfluidic cell culture systems
WO2007008609A2 (en) 2005-07-07 2007-01-18 The Regents Of The University Of California Methods and apparatus for cell culture array
US8257964B2 (en) 2006-01-04 2012-09-04 Cell ASIC Microwell cell-culture device and fabrication method
US7745209B2 (en) 2005-07-26 2010-06-29 Corning Incorporated Multilayered cell culture apparatus
WO2008073313A2 (en) 2006-12-07 2008-06-19 Wilson Wolf Manufacturing Corporation Highly efficient gas permeable devices and methods for culturing cells
ES2882661T3 (es) 2008-01-03 2021-12-02 Emd Millipore Corp Sistema de matriz de cultivo celular para ensayos automatizados y métodos de funcionamiento y de fabricación del mismo
CA2730104A1 (en) * 2008-07-08 2010-01-14 Wilson Wolf Manufacturing Corporation Improved gas permeable cell culture device and method of use
EP4176888A1 (en) * 2008-11-14 2023-05-10 ViaCyte, Inc. Encapsulation of pancreatic cells derived from human pluripotent stem cells
EP2401353B1 (en) 2009-02-25 2015-04-29 Corning Incorporated Cell culture system with manifold
US8778669B2 (en) 2009-07-22 2014-07-15 Corning Incorporated Multilayer tissue culture vessel
GB0914195D0 (en) * 2009-08-13 2009-09-16 Plasticell Ltd Vessel for culturing cells
US9963677B2 (en) * 2009-08-24 2018-05-08 Baylor College Of Medicine Generation of CTL lines with specificity against multiple tumor antigens or multiple viruses
US8956860B2 (en) 2009-12-08 2015-02-17 Juan F. Vera Methods of cell culture for adoptive cell therapy
US9353342B2 (en) 2010-01-21 2016-05-31 Emd Millipore Corporation Cell culture and gradient migration assay methods and devices
AU2011252063A1 (en) * 2010-05-11 2012-11-29 Pall Artelis Apparatus and methods for cell culture
CN103180431B (zh) 2010-08-18 2015-02-04 药物模式有限责任公司 生物反应器系统
WO2012039996A1 (en) 2010-09-22 2012-03-29 Corning Incorporated Visualization system for cell culture device
JP6073794B2 (ja) * 2010-10-22 2017-02-01 ライフライン サイエンティフィック インコーポレイテッドLifeline Scientific, Inc. 培養膵島
US10100273B2 (en) * 2010-11-22 2018-10-16 Corning Incorporated Closure assembly for cell culture apparatus
JP5922672B2 (ja) 2010-12-15 2016-05-24 ドラッグモード アーペーエスDrugmode Aps インキュベーションキャビティーへの簡単なアクセスのための蓋を備えるバイオリアクター
US10526572B2 (en) 2011-04-01 2020-01-07 EMD Millipore Corporaticn Cell culture and invasion assay method and system
CN102304476B (zh) * 2011-08-22 2013-10-09 陕西师范大学 三维细胞动态培养反应器
CN104245917B (zh) 2011-12-03 2017-07-21 Emd密理博公司 用于微流体细胞培养的微型培育系统和方法
GB201121308D0 (en) 2011-12-12 2012-01-25 Cell Medica Ltd Process
WO2013119947A1 (en) 2012-02-09 2013-08-15 Baylor College Of Medicine Pepmixes to generate multiviral ctls with broad specificity
CN102643744A (zh) * 2012-04-18 2012-08-22 广州洁特生物过滤制品有限公司 一种高通量细胞培养器及其制造方法
EP2850175B1 (en) 2012-05-18 2020-12-16 Wilson Wolf Manufacturing Corporation Improved methods of cell culture for adoptive cell therapy
US9005550B2 (en) 2012-10-29 2015-04-14 Corning Incorporated Multi-layered cell culture vessel with manifold grips
US9790465B2 (en) 2013-04-30 2017-10-17 Corning Incorporated Spheroid cell culture well article and methods thereof
SG10201705494YA (en) 2013-06-24 2017-08-30 Wolf Wilson Mfg Corp Closed system device and methods for gas permeable cell culture process
JP2016530895A (ja) 2013-09-23 2016-10-06 ウィルソン ウォルフ マニュファクチャリング コーポレイションWilson Wolf Manufacturing Corporation 動物細胞を遺伝子改変する改良された方法
JP2016077164A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 大日本印刷株式会社 細胞培養容器
KR102527308B1 (ko) * 2014-10-29 2023-04-28 코닝 인코포레이티드 3d 세포 응집체의 생성 및 배양을 위한 장치 및 방법
JP6930914B2 (ja) 2014-10-29 2021-09-01 コーニング インコーポレイテッド 灌流バイオリアクタ・プラットフォーム
SG11201703493SA (en) 2014-10-29 2017-05-30 Corning Inc Cell culture insert
US10421937B2 (en) * 2015-03-05 2019-09-24 Saint-Gobain Performance Plastics Corporation High gas flow rate bio-reactive container filter apparatus
CA2985350A1 (en) 2015-05-08 2016-11-17 Wilson Wolf Manufacturing Improved culture methods and devices for testing
JP6999941B2 (ja) 2015-09-18 2022-02-10 ベイラー カレッジ オブ メディスン 病原体からの免疫原性抗原同定および臨床的有効性との相関
JP6884414B2 (ja) * 2015-11-04 2021-06-09 スライブ バイオサイエンス, インコーポレイテッド 選択的に透過性の細胞培養容器貯蔵隔室を含む自動細胞培養インキュベータ
CN116555028A (zh) 2016-07-12 2023-08-08 加州理工学院 用于高密度细胞生长和代谢物交换的基质
JP2018033387A (ja) * 2016-08-31 2018-03-08 株式会社アステック 細胞培養容器
CN109789350A (zh) * 2016-11-02 2019-05-21 Emd密理博公司 用于从细胞培养流体分离微载体的容器
CN106754638A (zh) * 2016-12-01 2017-05-31 长春生物制品研究所有限责任公司 过co2多层细胞培养瓶人二倍体细胞贴壁培养方法
WO2018195014A1 (en) 2017-04-19 2018-10-25 Neubiser Richard Bioreactor for biological material
US10821134B2 (en) 2017-05-17 2020-11-03 Board Of Regents, The University Of Texas System BK virus specific T cells
EP3652291B1 (en) 2017-07-14 2021-12-29 Corning Incorporated Cell culture vessel
EP3652290B1 (en) 2017-07-14 2022-05-04 Corning Incorporated 3d cell culture vessels for manual or automatic media exchange
US11857970B2 (en) 2017-07-14 2024-01-02 Corning Incorporated Cell culture vessel
WO2019014610A1 (en) 2017-07-14 2019-01-17 Corning Incorporated CELL CULTURE CONTAINER FOR 3D CULTURE AND METHODS OF CULTURING 3D CELLS
CN111094535A (zh) * 2017-07-14 2020-05-01 康宁股份有限公司 细胞培养容器
CN107287118A (zh) * 2017-08-22 2017-10-24 江苏健安生物科技有限公司 一种模块式细胞培养和运输组件
CN111315862B (zh) * 2017-11-06 2023-12-01 康宁股份有限公司 具有包含柱结构的歧管的细胞培养设备
US10889792B2 (en) 2018-02-09 2021-01-12 Global Life Sciences Solutions Usa Llc Cell expansion vessel systems and methods
US11661574B2 (en) 2018-07-13 2023-05-30 Corning Incorporated Fluidic devices including microplates with interconnected wells
PL3649229T3 (pl) 2018-07-13 2021-12-06 Corning Incorporated Naczynia do hodowli komórkowych ze stabilizującymi urządzeniami
EP3649226B1 (en) 2018-07-13 2022-04-06 Corning Incorporated Microcavity dishes with sidewall including liquid medium delivery surface
CN109207364A (zh) * 2018-10-11 2019-01-15 广州洁特生物过滤股份有限公司 一种细胞培养器
US10647954B1 (en) 2018-11-15 2020-05-12 Flaskworks, Llc Dendritic cell generating apparatus and method
US11850320B2 (en) * 2018-12-20 2023-12-26 Asp Global Manufacturing Gmbh Liquid-chemical sterilization system with biological indicator
CA3125250A1 (en) * 2019-01-04 2020-07-09 Oribiotech Ltd Cell processing unit, cell processing system and methods of use thereof
US10772914B1 (en) 2019-04-18 2020-09-15 Baylor College Of Medicine EBV-specific immune cells
CN110218649A (zh) * 2019-07-02 2019-09-10 英诺维尔智能科技(苏州)有限公司 一种新型两侧透气多层贴壁细胞培养容器结构
US11566217B2 (en) 2019-08-13 2023-01-31 Flaskworks, Llc Duty cycle for cell culture systems
CN114901799A (zh) 2019-10-21 2022-08-12 弗拉斯沃克斯有限责任公司 用于细胞培养的系统和方法
KR20220122975A (ko) * 2019-10-24 2022-09-05 론자 워커스빌 아이엔씨. 개선된 세포-접촉 표면을 갖는 세포 배양 챔버
CA210154S (en) * 2019-10-28 2022-06-03 Nipro Corp Culture container
JP2023503259A (ja) 2019-11-15 2023-01-27 シティ・オブ・ホープ アデノ随伴ウイルスの増強された生産のための高密度細胞呼吸器を含むバイオプロダクトの生産のためのシステム、デバイスおよび方法
WO2021183687A2 (en) 2020-03-10 2021-09-16 Cellares Corporation Systems, devices, and methods for cell processing
US20210371788A1 (en) * 2020-05-26 2021-12-02 Cesco Bioengineering Co., Ltd. Apparatus and method for culturing cells
WO2023077096A1 (en) * 2021-10-29 2023-05-04 Nextern Innovation, Llc Cell culture system with controlled gas transfer boundary conditions
CN115058338A (zh) * 2022-06-24 2022-09-16 楚天思为康基因科技(长沙)有限公司 一种细胞培养方法及细胞培养容器

Family Cites Families (157)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3459176A (en) * 1966-06-24 1969-08-05 Beckman Instruments Inc Apparatus and method of sampling a dialyzable component of blood
GB1376131A (en) * 1971-02-09 1974-12-04 Nat Res Dev Hydrostatic power transmission system
DE2128744C3 (de) * 1971-06-09 1979-03-29 Max-Planck-Gesellschaft Zur Foerderung Der Wissenschaften E.V., 3400 Goettingen Verfahren zur Massenkultivation von Zellen und Geweben
US3941662A (en) 1971-06-09 1976-03-02 Max-Planck-Gesellschaft Zur Forderung Der Wissenschaften E.V. Apparatus for culturing cells
JPS5123182B1 (ja) 1971-07-14 1976-07-15
US3839155A (en) * 1972-07-27 1974-10-01 Merck & Co Inc Cell and vaccine production
US3870602A (en) * 1973-04-30 1975-03-11 California Lab Ind Inc Gas permeable sterile culture bottle
US3948732A (en) 1973-05-31 1976-04-06 Instrumentation Laboratory, Inc. Cell culture assembly
US3941661A (en) * 1974-01-16 1976-03-02 The Curators Of The University Of Missouri Roller culture bottle insert
JPS5238082A (en) 1975-09-13 1977-03-24 Heraeus Gmbh W C Cultivating container for microorganism * bacterium and tissue
GB1539263A (en) 1976-11-19 1979-01-31 Toray Industries Apparatus and methods for growing cells
US4228243A (en) * 1978-07-13 1980-10-14 Toray Industries, Inc. Cell culture propagation apparatus
DE2940446C2 (de) 1979-10-05 1982-07-08 B. Braun Melsungen Ag, 3508 Melsungen Züchtung von tierischen Zellen in Suspensions- und Monolayerkulturen in Fermentationsgefäßen
US4296205A (en) * 1980-02-22 1981-10-20 Verma Dharmvir S Cell culture and continuous dialysis flask and method
US4317886A (en) * 1980-08-11 1982-03-02 Becton, Dickinson And Company Multiple interior surface roller bottle
US4435508A (en) * 1981-11-20 1984-03-06 Gabridge Michael G Tissue culture vessel
US4640895A (en) * 1982-10-15 1987-02-03 Gibco Division, The Mogul Corporation Biphasic media culture apparatus
JPS59220182A (ja) 1983-05-27 1984-12-11 Ishikawa Seisakusho:Kk 培養槽
DE3409501A1 (de) 1984-03-15 1985-10-24 Sandoz-Patent-GmbH, 7850 Lörrach Verfahren zur kultivierung von zellen
US4748124A (en) * 1984-10-30 1988-05-31 E. I. Du Pont De Nemours And Company Compartmentalized cell-culture device and method
US4668632A (en) * 1985-02-06 1987-05-26 Vxr, Inc. Sparger and apparatus for and method of growing cells
US4654308A (en) * 1985-06-19 1987-03-31 La Corporation De L'ecole Polytechnique Bioreactor
DE3685330D1 (de) 1985-10-19 1992-06-17 Daikin Ind Ltd Kultivationsgefaess.
US4661455A (en) * 1986-01-16 1987-04-28 Dorr-Oliver Incorporated Membrane cell culturing device
US4937194A (en) 1986-05-12 1990-06-26 Baxter International Inc. Method for metering nutrient media to cell culture containers
US4829002A (en) 1986-05-12 1989-05-09 Baxter International Inc. System for metering nutrient media to cell culture containers and method
US4734373A (en) * 1986-06-24 1988-03-29 Bartal Arie H Apparatus for enhancing cell growth, preservation and transport
DE3628930A1 (de) * 1986-08-26 1988-05-05 Greiner & Soehne C A Kontaminationssicherer verschluss, insbesondere schraubverschluss fuer zellkulturflaschen
US4945203A (en) * 1986-11-06 1990-07-31 American Fluoroseal Corporation Method and apparatus for making fluorocarbon film plastic bags using a laser
US4847462A (en) * 1986-11-06 1989-07-11 American Fluoroseal Corporation Method and apparatus for making fluorocarbon film plastic bags using a laser
US4717668A (en) * 1986-12-12 1988-01-05 Baxter Travenol Laboratories, Inc. Plastic roller bottle for suspension cultures
CA1300058C (en) 1987-01-29 1992-05-05 Joseph D. Irr Process for preparing activated killer cells
JPH0134283Y2 (ja) 1987-04-15 1989-10-18
US5786215A (en) 1987-05-20 1998-07-28 Baxter International Inc. Method for culturing animal cells
JP2509630B2 (ja) 1987-07-29 1996-06-26 三井石油化学工業株式会社 培養方法及び培養装置
US5047347A (en) * 1987-08-17 1991-09-10 Cline Martin J Gas permeable culture flask and method for culturing mammalian cells
US4839292B1 (en) * 1987-09-11 1994-09-13 Joseph G Cremonese Cell culture flask utilizing membrane barrier
US4829004A (en) * 1987-11-24 1989-05-09 The University Of Michigan Roller bottle system
US4824787A (en) * 1987-12-09 1989-04-25 In Vitro Scientific Products, Inc. Roller bottle for tissue culture growth
US5026650A (en) * 1988-06-30 1991-06-25 The United States Of Amercia As Represented By The Administrator Of The National Aeronautics And Space Administration Horizontally rotated cell culture system with a coaxial tubular oxygenator
US5153131A (en) * 1990-12-11 1992-10-06 The United States Of America As Represented By The Administrator Of The National Aeronautics And Space Administration High aspect reactor vessel and method of use
CA1307225C (en) 1988-07-19 1992-09-08 David W. Armstrong Cell culture bioreactor
US5416022A (en) 1988-08-10 1995-05-16 Cellex Biosciences, Inc. Cell culture apparatus
US5079168A (en) 1988-08-10 1992-01-07 Endotronics, Inc. Cell culture apparatus
EP0360009B1 (en) * 1988-08-20 1996-05-08 Nitto Denko Corporation Method of removing dissolved gas from liquid
US4939151A (en) * 1988-10-31 1990-07-03 Baxter International Inc. Adherent cell culture flask
US5068195A (en) * 1988-11-02 1991-11-26 Du Pont Merck Pharmaceutical Company Dot matrix membrane cell expansion and maintenance vessel
US5139946A (en) 1988-11-02 1992-08-18 Du Pont Merck Pharmaceutical Company Dot matrix membrane cell expansion
US5017490A (en) 1989-03-10 1991-05-21 Baxter International Inc. Method for in vitro reproduction and growth of cells in culture medium
US4960706A (en) * 1989-03-27 1990-10-02 Baxter International, Inc. Static oxygenator for suspension culture of animal cells
US4897359A (en) 1989-03-27 1990-01-30 Bio-Response, Inc. Apparatus for oxygenating culture medium
US4912058A (en) * 1989-04-27 1990-03-27 Becton, Dickinson And Company Roller bottle
CA2015294A1 (en) 1989-04-28 1990-10-28 John J. Rinehart Generation and expansion of lak cells
US5240854A (en) * 1989-06-05 1993-08-31 Berry Eric S Continuous high-density cell culture system
US4937196A (en) * 1989-08-18 1990-06-26 Brunswick Corporation Membrane bioreactor system
US5173225A (en) * 1990-05-07 1992-12-22 Bowolfe, Inc. Method for making ultra-thin dense skin membrane
EP0471947A1 (en) * 1990-06-29 1992-02-26 Sekisui Chemical Co., Ltd. Culture bag
FR2666094A1 (fr) 1990-08-22 1992-02-28 Cyclopore Sa Bouteille de culture en masse de cellules et procede pour son assemblage.
US5139951A (en) * 1990-10-10 1992-08-18 Costar Corporation Culture device having a detachable cell or tissue growth surface
US5650325A (en) * 1990-11-29 1997-07-22 Spielmann; Richard Apparatus having a rotatable stack of parallel trays with culturing surfaces on opposite sides for liquid/gas exchange
CA2055966C (en) * 1990-12-19 1995-08-01 Oresta Natalia Fedun Cell culture insert
CA2062100C (en) * 1991-03-05 2000-10-31 Hirotoshi Fujisawa Disc cartridge
GB9112836D0 (en) * 1991-06-14 1991-07-31 Medical Res Council Production of monoclonal antibodies
JPH05123182A (ja) 1991-10-30 1993-05-21 Nakano Vinegar Co Ltd 静置培養による微生物セルロースの製造法及びその装置
US5310676A (en) 1991-11-15 1994-05-10 A/S Nunc Cell cultivating device
DE4206585C2 (de) 1992-03-03 1994-11-24 Augustinus Dr Med Bader Vorrichtung zur Massenkultur von Zellen
DE4214157C1 (ja) * 1992-04-29 1993-08-05 Degussa Ag, 6000 Frankfurt, De
GB2268187A (en) 1992-07-01 1994-01-05 Univ Hull Cell culture vessels
DE4229325C2 (de) * 1992-09-02 1995-12-21 Heraeus Instr Gmbh Kulturgefäß für Zellkulturen
DE4229334C2 (de) 1992-09-02 1995-12-21 Heraeus Instr Gmbh Rollflaschenähnliches Kulturgefäß für Zellkulturen
US5330908A (en) * 1992-12-23 1994-07-19 The United States Of America As Represented By The Administrator, National Aeronautics And Space Administration High density cell culture system
US5462874A (en) 1993-06-23 1995-10-31 Wolf; Martin L. Dialyzed multiple well tissue culture plate
JP2749245B2 (ja) 1993-06-25 1998-05-13 鹿島建設株式会社 付着微細藻類の培養方法
US5324428A (en) * 1993-07-19 1994-06-28 Spectrum Medical Industries, Inc. Disposable dialysis apparatus
JPH0734699A (ja) 1993-07-21 1995-02-03 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd エレベータ式駐車装置
AT401476B (de) 1993-08-20 1996-09-25 Sy Lab Vertriebsges M B H Thermokammer
US5686301A (en) * 1993-09-02 1997-11-11 Heraeus Instruments Gmbh Culture vessel for cell cultures
US5702941A (en) 1993-09-09 1997-12-30 Synthecon, Inc. Gas permeable bioreactor and method of use
US5437998A (en) * 1993-09-09 1995-08-01 Synthecon, Inc. Gas permeable bioreactor and method of use
PT720508E (pt) 1993-09-22 2000-09-29 Pierce Chemical Co Dispositivo para dialisar amostras
FR2710492B1 (fr) * 1993-09-29 1997-08-01 Compac Int Inc Sac pour la culture de blanc de champignon.
US5534423A (en) * 1993-10-08 1996-07-09 Regents Of The University Of Michigan Methods of increasing rates of infection by directing motion of vectors
JPH10500310A (ja) * 1994-05-19 1998-01-13 ダコ アクティーゼルスカブ 淋菌及びトラコーマ クラミジアの検出のためのpna プローブ
US5707869A (en) * 1994-06-28 1998-01-13 Wolf; Martin L. Compartmentalized multiple well tissue culture plate
US5693537A (en) * 1994-06-28 1997-12-02 Wilson; John R. Compartmentalized tissue culture flask
US5714384A (en) 1994-06-28 1998-02-03 Wilson; John R. Compartmentalized tissue culture bag
JP3608664B2 (ja) * 1994-06-28 2005-01-12 ウィルソン・ウルフ・マニュファクチャリング・コーポレイション 区画された組織培養フラスコ
US5527705A (en) 1994-09-12 1996-06-18 Becton, Dickinson And Company Roller bottle for trans-membrane co-culture of cells and method for its use
US5935847A (en) * 1994-10-28 1999-08-10 Baxter International Inc. Multilayer gas-permeable container for the culture of adherent and non-adherent cells
US6297046B1 (en) 1994-10-28 2001-10-02 Baxter International Inc. Multilayer gas-permeable container for the culture of adherent and non-adherent cells
DE19537774C2 (de) 1994-11-18 1996-09-19 Heraeus Instr Gmbh Verfahren zur Zellkultivierung und Vorrichtung zur Durchführung des Verfahrens
EP0725134A3 (en) 1995-02-03 1998-05-13 NPBI Nederlands Produktielaboratorium voor Bloedtransfusieapparatuur en Infusievloeistoffen B.V. Flexible bioreactor for therapeutic cells
DE19504958C1 (de) 1995-02-15 1995-11-02 Heraeus Instr Gmbh Verfahren für die Kultivierung von Zellen auf einem Träger, Vorrichtung zur Durchführung des Verfahrens und Verwendung der Vorrichtung
BE1009306A5 (fr) * 1995-04-28 1997-02-04 Baxter Int Bioreacteur.
CA2175626C (en) * 1995-05-18 1999-08-03 Timothy A. Stevens Tissue culture flask
US5985653A (en) * 1995-06-07 1999-11-16 Aastrom Biosciences, Inc. Incubator apparatus for use in a system for maintaining and growing biological cells
US5759847A (en) * 1995-07-14 1998-06-02 Difco Laboratories System and apparatus for automatically transferring media
DE19529099C2 (de) * 1995-08-08 1997-12-04 Forschungszentrum Juelich Gmbh Vorrichtung zur Serien-Kultivierung von Mikroorganismen bzw. Zellen in begasten Flüssigkeitssäulen
ES2156289T3 (es) * 1995-08-31 2001-06-16 Ashby Scient Ltd Aparato y metodos para cultivar material biologico.
US5614412A (en) * 1995-09-08 1997-03-25 Smith; Stephen L. Apparatus for carrying flexible containers and method of transferring fluids to containers
US5686304A (en) * 1995-12-15 1997-11-11 Avecor Cardiovascular, Inc. Cell culture apparatus and method
US5763267A (en) 1996-04-16 1998-06-09 Advanced Tissue Sciences Apparatus for the large scale growth and packaging of cell suspensions and three-dimensional tissue cultures
US5866419A (en) * 1996-09-16 1999-02-02 Meder; Martin G. Roller bottle
US5876604A (en) 1996-10-24 1999-03-02 Compact Membrane Systems, Inc Method of gasifying or degasifying a liquid
US6306491B1 (en) * 1996-12-20 2001-10-23 Gore Enterprise Holdings, Inc. Respiratory aids
US5736398A (en) 1997-01-16 1998-04-07 Board Of Regents, The University Of Texas System Gas permeable pouches for growing cultures
US5817509A (en) 1997-03-19 1998-10-06 Becton Dickinson And Company Culture vessel assembly
US5928936A (en) * 1997-04-09 1999-07-27 Huntington Medical Research Institutes Cell culture container that self-seals after cannula penetration made of porous sheets
DE19719751A1 (de) * 1997-05-10 1998-11-12 Augustinus Dr Med Bader Vorrichtung zum Züchten und/oder Behandeln von Zellen
US5914154A (en) * 1997-05-30 1999-06-22 Compact Membrane Systems, Inc. Non-porous gas permeable membrane
US5783075A (en) * 1997-06-23 1998-07-21 Spectrum Medical Laboratories, Inc. Disposable dialyzer apparatus
JP3761676B2 (ja) 1997-07-11 2006-03-29 株式会社メニコン 細胞培養用容器
WO1999004911A1 (en) 1997-07-28 1999-02-04 Massachusetts Institute Of Technology Pyrolytic chemical vapor deposition of silicone films
US6190913B1 (en) * 1997-08-12 2001-02-20 Vijay Singh Method for culturing cells using wave-induced agitation
US6596532B1 (en) * 1997-12-12 2003-07-22 BIOMéRIEUX, INC. Device for isolation and surface culture of microorganisms from bulk fluids
GB9803362D0 (en) * 1998-02-17 1998-04-15 Cellon Sa A cell culture vessel
US5989913A (en) * 1998-07-02 1999-11-23 Charles Daniel Anderson Culture vessel for growing or culturing cells, cellular aggregates, tissues and organoids and methods for using the same
GB9912641D0 (en) 1999-05-28 1999-07-28 Ashby Scient Ltd Textured and porous silicone rubber
DE69931800T2 (de) * 1998-10-28 2007-07-12 Cellon S.A. Strukturierter und poröser silikonkautschuk
US6455310B1 (en) 1999-03-23 2002-09-24 Biocrystal Ltd. Cell culture apparatus and method for culturing cells
US6410309B1 (en) * 1999-03-23 2002-06-25 Biocrystal Ltd Cell culture apparatus and methods of use
DE19915611A1 (de) * 1999-04-07 2000-11-16 Augustinus Bader Rollhalterung
US7560274B1 (en) * 1999-05-28 2009-07-14 Cellon S.A. Culture chamber
JP4605734B2 (ja) 1999-06-21 2011-01-05 ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション 臓器補助装置のための細胞培養システム及び方法
US6562616B1 (en) * 1999-06-21 2003-05-13 The General Hospital Corporation Methods and devices for cell culturing and organ assist systems
US6569675B2 (en) * 2000-06-16 2003-05-27 Corning Incorporated Cell cultivating flask and method for using the cell cultivating flask
EP1307542A2 (en) 2000-07-11 2003-05-07 Sound Pharmaceuticals Incorporated Stimulation of cellular regeneration and differentiation in the inner ear
JP2004512030A (ja) 2000-09-15 2004-04-22 オーソ−マクニール・フアーマシユーチカル・インコーポレーテツド 特異的細胞溶解性t細胞応答を誘導するための組成物および方法
AU2002237705A1 (en) 2000-11-13 2002-06-11 University Of Utah Research Foundation Method and apparatus for multi-layer growth of anchorage-dependent cells
EP1346028A4 (en) 2000-11-21 2008-05-28 Biocrystal Ltd CELL CULTURE DEVICE AND USE METHOD
US20030077816A1 (en) * 2000-12-27 2003-04-24 Richard Kronenthal Bioreactor and method for using
DE10109706B4 (de) 2001-02-11 2006-03-09 In Vitro Systems & Services Gmbh Verfahren zur Herstellung von Kulturgefäßen
US20020110905A1 (en) 2001-02-15 2002-08-15 Emilio Barbera-Guillem Perfusion system for cultured cells
JP2002306155A (ja) 2001-03-27 2002-10-22 Becton Dickinson & Co 細胞を培養するための方法および装置
KR20020088848A (ko) 2001-05-21 2002-11-29 (주)코아바이오텍 세포배양관 및 이를 이용한 대량 세포배양기
US20040072347A1 (en) * 2001-07-27 2004-04-15 Gerold Schuler Generation of fully mature and stable dendritic cells from leukaphereses products for clinical applications
US6673595B2 (en) 2001-08-27 2004-01-06 Biocrystal, Ltd Automated cell management system for growth and manipulation of cultured cells
AU2002367057B2 (en) 2001-12-21 2007-01-11 Organogenesis Inc. Chamber with adjustable volume for cell culture and organ assist
US7033823B2 (en) * 2002-01-31 2006-04-25 Cesco Bioengineering, Inc. Cell-cultivating device
US7507579B2 (en) * 2002-05-01 2009-03-24 Massachusetts Institute Of Technology Apparatus and methods for simultaneous operation of miniaturized reactors
US7229820B2 (en) * 2002-06-13 2007-06-12 Wilson Wolf Manufacturing Corporation Apparatus and method for culturing and preserving tissue constructs
US20040029266A1 (en) * 2002-08-09 2004-02-12 Emilio Barbera-Guillem Cell and tissue culture device
AU2003270004A1 (en) * 2002-08-28 2004-03-19 Mt Technologies, Inc. Microfluidic affinity system using polydimethylsiloxane and a surface modification process
US20040067585A1 (en) * 2002-10-07 2004-04-08 Yu-Chi Wang Cell cultivation surface and method of making the same
JP2004129568A (ja) 2002-10-10 2004-04-30 Olympus Corp 培養容器および培養方法
US7176024B2 (en) * 2003-05-30 2007-02-13 Biolex, Inc. Bioreactor for growing biological materials supported on a liquid surface
US20050032205A1 (en) * 2003-08-05 2005-02-10 Smith Sidney T. In vitro cell culture employing a fibrin network in a flexible gas permeable container
CN103173354B (zh) * 2003-10-08 2017-07-14 威尔森沃尔夫制造公司 利用透气性材料进行细胞培养的方法及装置
US7078228B2 (en) * 2003-12-31 2006-07-18 Corning Incorporated Cell cultivating flask
CN2892872Y (zh) * 2005-07-21 2007-04-25 高春平 自动细胞培养装置
US7745209B2 (en) * 2005-07-26 2010-06-29 Corning Incorporated Multilayered cell culture apparatus
US9014438B2 (en) 2005-08-17 2015-04-21 Koninklijke Philips N.V. Method and apparatus featuring simple click style interactions according to a clinical task workflow
WO2008073313A2 (en) 2006-12-07 2008-06-19 Wilson Wolf Manufacturing Corporation Highly efficient gas permeable devices and methods for culturing cells
US7897379B2 (en) * 2007-02-26 2011-03-01 Corning Incorporated Device and method for reducing bubble formation in cell culture
US20090160975A1 (en) * 2007-12-19 2009-06-25 Ncr Corporation Methods and Apparatus for Improved Image Processing to Provide Retroactive Image Focusing and Improved Depth of Field in Retail Imaging Systems
CA2730104A1 (en) * 2008-07-08 2010-01-14 Wilson Wolf Manufacturing Corporation Improved gas permeable cell culture device and method of use
JP6434283B2 (ja) 2014-11-18 2018-12-05 株式会社栗本鐵工所 ラジオコントロール用送信機

Also Published As

Publication number Publication date
CN101611133A (zh) 2009-12-23
EP2092052A4 (en) 2012-11-14
AU2007332870A1 (en) 2008-06-19
JP2010512148A (ja) 2010-04-22
CA2671812C (en) 2015-06-16
US20170313977A1 (en) 2017-11-02
EP2092052A2 (en) 2009-08-26
US20080227176A1 (en) 2008-09-18
EP3770247A1 (en) 2021-01-27
CN101611132B (zh) 2013-09-11
US20140315296A1 (en) 2014-10-23
CA2671967A1 (en) 2008-06-19
US8809044B2 (en) 2014-08-19
CN101611132A (zh) 2009-12-23
US20230265383A1 (en) 2023-08-24
WO2008073313A3 (en) 2008-07-31
JP2010512149A (ja) 2010-04-22
US20210253997A1 (en) 2021-08-19
US20220049215A1 (en) 2022-02-17
WO2008073313A2 (en) 2008-06-19
EP2092052B1 (en) 2020-09-23
WO2008073314A2 (en) 2008-06-19
WO2008073314A3 (en) 2008-07-31
CA2671812A1 (en) 2008-06-19
EP2089507A4 (en) 2012-12-26
AU2007332869A1 (en) 2008-06-19
US11377635B2 (en) 2022-07-05
US9732317B2 (en) 2017-08-15
AU2007332869B2 (en) 2012-10-11
US20230303967A1 (en) 2023-09-28
US20080176318A1 (en) 2008-07-24
EP2089507A2 (en) 2009-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5366820B2 (ja) 細胞培養に効果的な装置および方法
USRE49293E1 (en) Cell culture methods and devices utilizing gas permeable materials
AU2013200127A2 (en) Highly efficient gas permeable devices and methods for culturing cells

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101206

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101206

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120327

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20120627

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120704

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20120726

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130226

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130527

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130603

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130626

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130703

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130724

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130820

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130910

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5366820

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250