JP4719892B2 - 微生物または生体分子の収容容器、並びにその作成方法及び使用方法 - Google Patents
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Description
項1.微生物または生体分子(B)を付着しているか又は付着するための支持体(A)、当該支持体を格納するための格納部(D)、第1シート(E)、第2シート(C)および第3シート(F)を有し、
−上記第2シート(C)及び第3シート(F)は、第1シート(E)を挟んでその両側に剥離可能な状態で積層されており
−上記第1シート(E)には、内周面に支持体(A)を保持する保持部を備えた通孔部が設けられており、
−上記格納部(D)は、第1シート(E)に設けられた通孔部の開口部が、第2シート(C)及び第3シート(F)によって開口可能な状態で閉塞されることによって形成されており、
−当該格納部(D)内の保持部に、支持体(A)が脱着可能な状態で保持されている、
容器。
項1記載の容器。
当該挿入口は、開口部から第1シート(E)に形成されたテーパ面によって逆向き円錐台の形状を有している、項2記載の容器。
項17.下記の工程を有する項1記載の容器の作成方法:
(1) 通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
(2) 当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3) 上記第1シート(E)を挟んで、その両側に第2シート(C)及び第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の開口部を開口可能な状態で閉塞して、支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
(1) 通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
(2) 当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3’) 上記第1シート(E)の一面に第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の一方の開口部を開口可能な状態で閉塞する工程、
(4’) 上記支持体(A)に微生物または生体分子(B)を付着させる工程、および
(5’) 第1シート(E)の他面に、第2シート(C)を剥離可能な状態で積層することにより、第1シート(E)の通孔部の他方の開口部を開口可能な状態で閉塞して、微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
(2) 上記格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程の前に、支持体(A)が収容された格納部(D)内に溶液を入れる工程、
(3) 上記格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程の後に、必要に応じて取り出した支持体(A)を溶液と接触させて、支持体(A)に付着した微生物または生体分子(B)を溶出する工程。
(a) 支持体(A)が収容された格納部(D)内に、溶液を入れる工程、及び
(b) 格納部(D)内で、当該溶液中に支持体(A)に付着した前記微生物または生体分子(B)を溶出させる工程を有する方法。
B:微生物または生体分子(試料)
C:第2シート
D:格納部
E:第1シート
F:第3シート
1:第1シート(E)に設けられた通孔(貫通孔)
2:格納部(D)または通孔部(1)内の支持体保持部
3:格納部(D)または通孔部(1)の開口部a
4:格納部(D)または通孔部(1)の開口部b
5:格納体
6:分割線
7:座部
8:ウェル
9:ウェル底部の孔
10:容器の下に配置した試験官、チューブ、またはマイクロプレートのウェル
11:チップ
12:滴下した溶液
本発明の容器は、(i) 微生物または生体分子を収容するための容器、または(ii) 微生物または生体分子を収容した容器である。すなわち、本発明が対象とする容器には、(i) 微生物または生体分子を収容していない状態で製造および販売され、使用者側が所望の微生物または生体分子を入れて使用するタイプの容器、ならびに(ii)予め微生物または生体分子を収容した状態で製造および販売されるタイプの容器が含まれる。当該容器は、微生物または生体分子の収納、保存若しくは管理;微生物または生体分子の移動(配布、配送、運搬等の流通);微生物または生体分子の処理(反応、変性、洗浄、分離、増殖など)のために好適に使用することができる。
本発明が対象とする微生物には、具体的には、大腸菌、枯草菌、乳酸菌、好熱性菌などの細菌やラン藻などの原核生物;酵母(例えばパン酵母、ビール酵母など)、カビ(アオカビなど)、藻類(例えば、緑藻、褐藻、紅藻など)などの真核生物;ウイルス(例えば、レトロウイルス、カゼウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなど);ならびに原虫(例えば、線虫など)などの微小な生物が含まれる。好ましくは細菌、藻類およびウイルスなどの微生物であり、より好ましくは細菌、特に大腸菌である。なお、これらは天然に存在するものであってもよいし、或いは、遺伝子組換技術を利用して製造されたものでもよい。
支持体(A)の素材は、上記微生物または生体分子(試料)を保持(付着、吸着、含浸)できる材質であれば特に限定されない。好ましくは特に水に不溶性な材質であり、更に好ましくは溶液を含浸保持でき、含浸した溶液を必要に応じて試料と共に放出することができる材質である。
本発明においてシートとは、全体として平らな形状を有する物(例えば、シート状物、板状物)を広く意味し、厚みや素材(材質)によって特に制限されるものではない。従って、シートという用語には、フィルム、積層シート、基板、板、およびプレートも含まれる。なお、シートは、表面が平坦であってもよいし、また凹凸を有していてもよい。またシートの構造としては、例えば、1層からなる単層構造、2以上の層からなる積層構造、架橋構造、コアシェル構造等を挙げることができる。
図1に示す容器では、第1シート(E)は板状を有する基板またはプレートである。好ましくは2〜10mm、より好ましくは3〜5mmの厚みを有する基板またはプレートである。
上記第1シート(E)には、これを間に挟んで、上面に第2シート(C)および下面に第3シート(F)が剥離可能な状態で積層されている。第2シート(C)および第3シート(F)は、フィルム、または厚さ0.01〜5mm程度のシートであることが好ましい。
第1シート(E)に、上記第2シート(C)および第3シート(F)が剥離可能な状態で積層されると、第1シート(E)の開口部a(3)およびb(4)が開口可能な状態で閉塞され、斯くして、第1シート(E)内の通孔部内に格納部(D)が形成される。従って、本発明の容器は、第1シート(E)に形成された通孔部の数に応じて、格納部(D)を有することになる。また格納部(D)の配置は、第1シート(E)の通孔部の配置に対応して、碁盤目状または直線状に配置される。
上記の構成からなる本発明の容器は、下記の工程を通じて作成することができる。
(1)通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
(2)当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3)上記第1シート(E)を挟んで、その両側に第2シート(C)及び第3シート(F)を剥離可能な状態で積層する工程、これによって
(4)上記工程(3)により、当該第1シート(E)の通孔部の開口部を開口可能な状態で閉塞して、支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
(2)当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3’)上記第1シート(E)の一面に第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の一方の開口部を開口可能な状態で閉塞する工程、
(4’)上記支持体(A)に微生物または生体分子(B)を付着させる工程、および
(5’) 第1シート(E)の他面に、第2シート(C)を剥離可能な状態で積層することにより、第1シート(E)の通孔部の他方の開口部を開口可能な状態で閉塞する工程、これによって
(6’) 微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
第1シート(E)の通孔部への支持体(A)の収容は、具体的には、第1シート(E)の狭窄した内空部に形成された保持部(2)に、支持体(A)を脱着可能な状態で保持させることによって行われる。保持の態様は、脱着可能な状態で配置されるものであれば、特に制限されない。例えば、図1の容器では、支持体(A)は保持部(2)に挟持されており、また図2〜3の容器では、支持体(A)は保持部(2)に形成された座部(7)の切り込みに差し込まれた状態で保持されている。さらに図5〜6の容器では、支持体(A)は保持部(2)に形成された座部(7)に据置されている。
微生物または生体分子(試料)(B)を支持体(A)に付着させる方法は、特に限定されないが、例えば、試料(B)を含有する水溶液もしくは溶剤溶液を支持体(A)に塗布または含浸(浸漬または滴下)させた後、水もしくは溶剤を除去する方法を挙げることができる。
第2シート(C)及び第3シート(F)は、第1シート(E)を間に挟んで、その両側に剥離可能な状態で積層される。これにより、第1シート(E)の通孔部の開口部aおよびbが閉塞される。閉塞の態様は、制限されないが、通孔部に形成された格納部(D)内が汚染されない程度に、密閉されることが好ましい。密閉する方法及び手段は特に限定されないが、例えば、熱融着シール、超音波シール、加圧接着等を挙げることができる。
本発明の容器は、少なくとも格納部内が無菌状態であることが好ましい。本発明の容器が、試料を保持しない支持体を収納したものである場合、上記の方法で作成した容器は、必要に応じて密封可能な袋(ポリ袋など)に収容して密封し、慣用の滅菌手段(例えば、電子線滅菌、γ線滅菌、高圧蒸気滅菌など)で滅菌処理することができる。
本発明の容器は、格納部(D)に収納された支持体を、開口部b側から取り出して使用される。取りだし方法は、特に制限されないが、第1シート(E)から、第2シート(C)及び第3シート(F)を剥離して、第1シート(E)の通孔部の上から下に、支持体を押し出して取り出す方法を例示することができる(図8(C)参照)。このとき、容器の下に、通孔部(容器の格納部)に対応するように、例えば試験官、チューブ、またはマイクロプレートのウェルなど(図8(C)の符号10で示す)を配置しておくことにより、その中に支持体を取り出すことができる。
AP buffer : Alkaline phosphate buffer
PFA :Paraform aldehyde
PBS :Phosphate-buffered saline
NBT :ニトロブルーテトラゾリウム
BCIP :ブロモクロロインドリルリン酸
BSA :ウシ血清アルブミン。
PBST :Phosphate-buffered saline, Triton X-100
KTBT : 50mM Tris-HCl (pH7.5), 150mM NaCl, 10mM KCl, 0.1% Triton X-100
NTMT : 100mM Tris-HCl (pH9.5), 100mM NaCl, 50mM MgCl2, 0.1% Triton X-100
(1)支持体の調製
セルロース製のろ紙(ワットマン社製、3M)を用い、円柱状(直径3mm、厚さ0.3mm)に切り抜き、支持体とした。支持体の形状を図9に示す。この支持体に0.2μg/μlのRNAプローブ水溶液(マウスソニックヘッジホッグのmRNA)を1μl滴下し、常温、常圧下で1時間乾燥させて、RNAプローブが吸着した支持体を製造した。
通孔部(貫通孔)24個を碁盤目状に有するポリスチレン樹脂基板(34.25×76×2.3mm)を金型成形によって作成した。その基板の縦断面図を図10(A)、側面図を図10(B)、上からみた平面図(正面図)を図10(C)、および下からみた平面図(底面図)を図10(D)にそれぞれ示す。なお、本明細書において基板の上からみた平面側(正面側)を上面、下からみた平面側(底面側)を底面ともいう。これらの図に示すように、当該基板に形成された通孔部は、開口部と内空部の孔径が異なった、横断面が円形の貫通孔であり、上面側および底面側の開口部の孔径(4mm)よりも通孔部内部の孔径(3mm)が狭くなっている。基板上面の開口部a(3)は、基板に形成されたテーパー面によってすり鉢状の形状を有しており、内部方向に孔径が狭くなってその底部は内空部と連通している。一方、基板底面に形成された開口部b(4)は、基板に形成された凹部によって凹状の形状を有しており、その底部の中央部は内空部と連通している。また基板の底面側には、通孔部の周囲、すなわち開口部b(4)の縁周囲に沿って突起(突縁)(高さ0.5mm、内円の直径4mm、外円の直径5.2mm)が形成されている。
保存後、基板(第1シート)に積層したフィルム(第3シート)およびポリエステル樹脂製シート(第2シート)を剥がし、ハイブリダイゼーション溶液(組成:50%ホルムアミド、0.1%Triton X-100、5mM EDTA、5×SSC(pH7)、0.1%CHAPS、50μg/ml Heparin、2%Blocking reagent、1μg/ml Yeast tRNA)を入れたチップの中に各支持体を取り出し、ハイブリダイゼーション溶液に浸漬して、支持体に担持させたRNAプローブを溶出させた。得られたRNA溶出溶液をそのまま用いて、以下のIn situ ハイブリダイゼーションを行った。
マウス(日本エスエルシー)から入手した胚を前処理した後、100%エタノール溶液で振盪した。次いで、H2O2/PBSTを加えて静置して脱色した。次いで、エタノール溶液を加えて振盪した後、PBST溶液を加えて振盪した。次いで、プロテインキナーゼ K (10mg/ml)/PBSTを加えて5℃で処理した。更に、2mg/ml glycine/PBSTを加えて振盪し、PBSTを加えて、再度振盪した。その後、プレハイブリダイゼーション溶液(50% ホルムアミド、5xSSC(pH7.0)、2%ブロッキング溶液、0.1%Triton X-100、0.1% CHAPS、1μg/ml yeast tRNA、5mM MEDTA、50μg/mlヘパリン)で2回共洗いしてから、上記RNA溶出溶液を加えて、68℃で12時間の条件下でハイブリダイゼーションさせた。ブロッキングには、抗体(アルカリフォスファターゼ標識抗DIGジゴキシゲニンFabフラグメント)を用いた。次いで、これにKTBTを入れて振盪した後、さらにNTMT液を入れて振盪した。次いで、溶液をNTMT/AP Buffer溶液(NTMT:AP Buffer =1:1)に移し変え、室温でインキュベートした後、更にAP Bufferに移し変え、室温でインキュベートした。発色液(NBT/BCIP)を加え、遮光して、発色が確認できるまでインキュベートした。次いで、PBSTに移し変え、室温でインキュベートした。これに50% エタノール/PBSTを加え、室温でインキュベートした後、エタノールを加えて、さらに、室温でインキュベートして脱色を行なった。50% エタノール/PBSTを加え、振盪した後、PBSTを加えて振盪した。これにグリセロール/PBSTを加えて振盪した後、新しいグリセロール/PBSTを加え、写真撮影を行った。
セルロース製のろ紙(ワットマン社製、3M)を用い、円柱状(直径2.5mm、厚さ1mm)に切り抜き、支持体とした(図9)。この支持体に、実施例1と同様に0.2μg/μlのRNAプローブ溶液(マウスソニックヘッジホッグのmRNA)を1μl滴下し、常温、常圧下で1時間乾燥させて、RNAプローブが吸着した支持体を24個製造した。
(1)支持体の調製
抗ジゴケシゲニン(DIG)-アルカリフォスファターゼ(AP)結合抗体(Anti-Digoxigenin-AP, Fab fragments (ロッシュ製)(以下、「Anti-DIG-AP抗体」という)を、50mM のトリエタノールアミンバッファー(3mM NaCl, 1mM MgCl2, 0.1mM ZnCl2, 1% BSA (w/v), pH7.6)に溶解し、濃度750mU/μlの抗体溶液を調製した。抗体溶液を1μlはかりとって、トレハロース(D(+)-Trehalose Dihydrate:和光純薬工業製)の水溶液と混合し、Anti-DIG-AP抗体とトレハロースの混合溶液を調製した。混合溶液における抗体濃度は150mU/μlであった。また、混合溶液のトレハロース濃度は、0.5、1、2、5、10又は20%(w/v)の各種濃度に調整した。
実施例1と同様にして、通孔部(貫通孔)24個を碁盤目状に有するポリスチレン樹脂基板(34.25×76×2.3mm)を金型成形によって作成した(図10参照)。上面側および底面側の開口部の孔径は4mm、内空部の孔径は3mmである。また基板の下面側には、実施例1と同様に開口部bの周囲の縁に沿って突起(突縁)(高さ0.5mm、内円の直径4mm、外円の直径5.2mm)が形成されている。
保存後、基板(第1シート)に積層したフィルム(第3シート)およびポリエステル樹脂製シート(第2シート)を剥がし、ブロッキング溶液(1.5%カゼイン/KTBT)を入れたチップの中に支持体を取り出して、当該溶液に浸漬して、支持体に担持させたAnti-DIG-AP抗体を溶出させた。このときブロッキング溶液中のAnti-DIG-AP抗体の濃度は240mU(即ち0.3mU/μl Anti-DIG-AP抗体 in Blocking液)となるようにした。
マウス(ddyマウス:日本エスエルシー)から入手した胚(10.75日胚)を前処理した後、100%エタノールで振盪した。StagingはTheiler Stageを元に判断した。4% PFA/PBSにて12時間固定した後に脱水処理を行い,その後,水を加えて再水和した。次いで、プロテインキナーゼ K (10mg/ml)/PBSTを加えて5℃で処理した。次いで、2mg/ml glycine/PBSTを加えて振盪し、更に、PBSTを加えて振盪した。その後、プレハイブリダイゼーション溶液(前記と同じ)で2回共洗いしてから、上記溶出溶液をブロッキング溶液として用いて、68℃で16時間ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション溶液の組成は、50% Foramide, 4× SSC, 2% casein, 0.1% CHAPS, 0.1% Triton X-100, 1μg/ml yeast tRNA/H2Oとした。
セルロース製のろ紙(ワットマン社製、3M)を用い、円柱状(直径3mm、厚さ1mm)に切り抜き、支持体とした(図9)。この支持体に、実施例3と同様にして調製したAnti-DIG-AP抗体とトレハロースの混合溶液を5μl滴下し、常温常圧下(25℃、1atm)で乾燥させて、Anti-DIG-AP抗体(蛋白質)が吸着した支持体を24個製造した。
(1)支持体の調製
セルロース製のろ紙(アドバンテック社製)を円柱状(直径3mm、高さ0.3mm)に切り抜き、支持体とした(図9参照)。次いでこれをオートクレーブして滅菌した(121℃、2気圧、20分)。
実施例1と同様にして、通孔部(貫通孔)24個を碁盤目状に有するポリスチレン樹脂基板(34.25×76×2.3mm)を金型成形によって作成した(図10参照)。正面側(上面側)および底面側(下面側)の開口部の孔径は4mm、内空部の孔径は3mmである。また基板の下面側には、実施例1と同様に開口部bの周囲に突縁(高さ0.5mm、内円の直径4mm、外円の直径5.2mm)が形成されている。
保存後、基板(第1シート)に積層したフィルム(第3シート)およびポリエステル樹脂製シート(第2シート)を剥がし、大腸菌付着支持体を、滅菌水を入れた滅菌チップに取り出して当該滅菌水に浸漬させ、大腸菌を溶出させた。大腸菌溶出溶液をそのままLB培地(水1Lあたり、Bacto-trytone 10g, Bacto-yeast extract 5g, NaCl 10g配合、pH7.5)にまいて、大腸菌を培養した。
セルロース製のろ紙(アドバンテック社製、3M)を用い、円柱状(直径3mm、厚さ0.3mm)に切り抜き、支持体とした(図9)。次いでこれをオートクレーブして滅菌した(121℃、2気圧、20分)。この支持体24個に、実施例5と同様にして調製した大腸菌スキムミルク混合溶液を滴下し、凍結乾燥した。
Claims (24)
- 微生物または生体分子(B)を付着しているか又は付着するための支持体(A)、当該支持体を格納するための格納部(D)、第1シート(E)、第2シート(C)および第3シート(F)を有し、
−上記支持体(A)の厚みは、第1シート(E)の厚みよりも薄く、
−上記第2シート(C)及び第3シート(F)は、第1シート(E)を挟んでその両側に剥離可能な状態で積層されており
−上記第1シート(E)には、内周面に支持体(A)を保持する保持部を備えた通孔部が設けられており、
−上記格納部(D)は、第1シート(E)に設けられた通孔部の開口部が、第2シート(C)及び第3シート(F)によって開口可能な状態で閉塞されることによって形成されており、
−当該格納部(D)は開口部より内空部が狭窄した形状を有しており、当該狭窄した内空部に形成された格納部(D)内の保持部に、支持体(A)が脱着可能な状態で保持されており、
−保持部に、支持体(A)を脱着可能な状態で保持する座部を備えた
容器。 - 座部が、第1シート(E)の通孔部の内周面に形成された切り込みによって構成されている請求項1記載の容器。
- 座部が、先端が通孔部の内側に向けて突出した突状物によって構成されている請求項1記載の容器。
- 格納部(D)は、挿入口と排出口を備えており、
当該挿入口は、開口部から第1シート(E)に形成されたテーパ面によって逆向き円錐台の形状を有している、請求項1記載の容器。 - 第1シート(E)の片面または両面が、当該シート(E)に設けられた通孔部の周縁に沿って突起してなる形状を有する、請求項1記載の容器。
- 第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つのシートが、2以上の熱可塑性樹脂層を含む積層シートであるか、又は1以上の熱可塑性樹脂層と1以上の金属層を含む積層シートである請求項1記載の容器。
- 支持体(A)を脱着可能な状態で収容した格納部(D)を複数個備える請求項1記載の容器。
- 支持体(A)を脱着可能な状態で収容した格納部(D)を複数個、碁盤目状に備えてなる請求項1記載の容器。
- 第1シート(E)に、格納部(D)を備える格納体を区分するための分割線、または切り出し可能なように切り出し線が形成されてなる、請求項8記載の容器。
- 第2シート(C)及び第3シート(F)から選択される少なくとも1つのシートに、格納部(D)を備える格納体に対応して、当該格納体を区分するための分割線、または切り出し可能なように切り出し線が形成されてなる、請求項8記載の容器。
- マルチウェルプレートである請求項8記載の容器。
- 支持体が、微生物または生体分子(B)とその安定化剤を保有したものか、または保有するためのものである、請求項1記載の容器。
- 微生物または生体分子(B)の収納保存容器であるか、処理容器であるか、または両方を兼ねそなえた容器である、請求項1記載の容器。
- 生体分子が、ヌクレオチドを構成成分として含む物質、アミノ酸を構成成分として含む物質または細胞である、請求項1記載の容器。
- 下記の工程を有する請求項1記載の容器の作成方法:
(1)通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
(2)当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3)上記第1シート(E)を挟んで、その両側に第2シート(C)及び第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の開口部を開口可能な状態で閉塞して、支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。 - 下記の工程を有する請求項1記載の容器の作成方法:
(1)通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
(2)当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3’)上記第1シート(E)の一面に第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の一方の開口部を開口可能な状態で閉塞する工程、
(4’)上記支持体(A)に微生物または生体分子(B)を付着させる工程、および
(5’)第1シート(E)の他面に、第2シート(C)を剥離可能な状態で積層することにより、第1シート(E)の通孔部の他方の開口部を開口可能な状態で閉塞して、微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。 - 格納部(D)に微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収容してなる請求項1記載の容器の使用方法であって、(1)格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程を有する方法。
- さらに下記の工程を有する、請求項17記載の方法:
(2)上記格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程の前に、支持体(A)が収容された格納部(D)内に溶液を入れる工程、
(3)上記格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程の後に、必要に応じて取り出した支持体(A)を溶液と接触させて、支持体(A)に付着した微生物または生体分子(B)を溶出する工程。 - 支持体(A)を取り出す工程が、第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つのシートの少なくとも1部を第1シート(E)から剥離して、支持体(A)を取り出す工程である、請求項17に記載の容器の使用方法。
- 支持体(A)を取り出す工程が、第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つのシートの少なくとも1部を第1シート(E)から剥離して、第1シート(E)に形成された通孔部の上から下に、支持体(A)を押出して取り出す工程である、請求項17に記載する容器の使用方法。
- 格納部(D)に微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収容してなる請求項1記載の容器の使用方法であって、
(a)支持体(A)が収容された格納部(D)内に、溶液を入れる工程、及び
(b)格納部(D)内で、当該溶液中に支持体(A)に付着した前記微生物または生体分子(B)を溶出させる工程を有する方法。 - 格納部(D)内に溶液を入れる工程が、第2シート(C)または第3シート(F)の1つのシートの少なくとも1部を第1シート(E)から剥離して溶液を入れる工程である請求項21に記載の容器の使用方法。
- (c)格納部(D)内に溶液を入れた後、第1シート(E)から剥離したシートを再び第1シート(E)に積層する工程を有する、請求項22に記載の容器の使用方法。
- 溶液が微生物または生体分子(B)と反応する成分を含有するものであって、さらに、(d)格納部(D)内で微生物または生体分子(B)と入れた溶液中の上記成分との反応を行う工程を有する請求項23に記載の容器の使用方法。
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