JP4719892B2 - 微生物または生体分子の収容容器、並びにその作成方法及び使用方法 - Google Patents

微生物または生体分子の収容容器、並びにその作成方法及び使用方法 Download PDF

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    • C12M45/00Means for pre-treatment of biological substances
    • C12M45/22Means for packing or storing viable microorganisms

Description

本発明はバイオ関連産業、ライフサイエンス産業、並びに医療産業等において好適に利用される、微生物、または核酸若しくは蛋白質などの生体分子の収容容器に関する。さらに本発明は当該容器の作成方法、及び使用方法に関する。
従来、遺伝的情報を伝える物質である核酸、例えば、リボ核酸(RNA)やデオキシリボ核酸(DNA)を長期的に安定して保存するには、これを水に溶かして水溶液とし、これをそのまま冷凍する方法が採られていた。しかし、この方法では、使用時に凍結溶液を解凍する工程が必要である。またに、従来、RNAやDNA等の核酸の配布には、核酸を溶解した水溶液をマイクロチュ−ブ内に分注し、これを完全に乾燥させて、マイクロチュ−ブごと配布する方法が採られていた。しかし、この方法は、核酸水溶液の調製、マイクロチュ−ブ内への分注、および乾燥といった複数の工程を踏まなければならず、労力と時間がかかる。またマイクロチューブに収容するため、試料が複数ある場合には、容器が全体として嵩高くなるという問題がある。
また、核酸に限らず、ペプチドや蛋白質などの生体分子試料、または微生物などの生物試料を長期保存したり配布する場合も、失活や死滅などの不都合なく安定に保存するために、冷凍や冷蔵の必要があり、上記核酸と同様の問題がある。
近年、ライフサイエンス産業やバイオ産業が著しく進展する中、大量の生体分子試料や生物試料を迅速かつ効率的に取り扱うことが必要とされており、作業の簡素化や効率化、並びに、取扱い容器の小型化等が求められている。
この要求のもと、上記従来の不都合を解消するため、所定の厚さを有するシート状の支持体にDNA水溶液を含浸させて乾燥させることによりDNAが付着させたDNA固定支持体が提案されている(特許文献1参照)。しかし、このDNA固定支持体は、DNAが密封されていないため、そのまま長期間保存しておくと、DNAの経時的変質や菌等による汚染が生じる可能性がある。
特開2000−146958号公報
本発明は、微生物や、核酸,ペプチドおよびタンパク質などの生体分子を簡単にコンパクトに収納でき、常温・常圧条件下で安定して保存し、また配布することができる容器およびその作成方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、当該容器の使用方法を提供することを目的とする。
上記本発明の目的は、下記の構成を有する容器によって達成することができる。
項1.微生物または生体分子(B)を付着しているか又は付着するための支持体(A)、当該支持体を格納するための格納部(D)、第1シート(E)、第2シート(C)および第3シート(F)を有し、
−上記第2シート(C)及び第3シート(F)は、第1シート(E)を挟んでその両側に剥離可能な状態で積層されており
−上記第1シート(E)には、内周面に支持体(A)を保持する保持部を備えた通孔部が設けられており、
−上記格納部(D)は、第1シート(E)に設けられた通孔部の開口部が、第2シート(C)及び第3シート(F)によって開口可能な状態で閉塞されることによって形成されており、
−当該格納部(D)内の保持部に、支持体(A)が脱着可能な状態で保持されている、
容器。
項2.格納部(D)は開口部より内空部が狭窄した形状を有しており、当該狭窄した内空部に、支持体が保持部に保持された状態で収納されている、
項1記載の容器。
項3.保持部に、支持体(A)を脱着可能な状態で保持する座部を備えた項1記載の容器。
項4.座部が、第1シート(E)の通孔部の内周面に形成された切り込みによって構成されている項3記載の容器。
項5.座部が、先端が通孔部の内側に向けて突出した突状物によって構成されている項3記載の容器。
項6.格納部(D)は、挿入口と排出口を備えており、
当該挿入口は、開口部から第1シート(E)に形成されたテーパ面によって逆向き円錐台の形状を有している、項2記載の容器。
項7.第1シート(E)の片面または両面が、当該シート(E)に設けられた通孔部の周縁に沿って突起してなる形状を有する、項1記載の容器。
項8.第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つのシートが、2以上の熱可塑性樹脂層を含む積層シートであるか、又は1以上の熱可塑性樹脂層と1以上の金属層を含む積層シートである項1記載の容器。
項9.支持体(A)を脱着可能な状態で収容した格納部(D)を複数個備える項1記載の容器。
項10.支持体(A)を脱着可能な状態で収容した格納部(D)を複数個、碁盤目状に備えてなる項1記載の容器。
項11.第1シート(E)に、格納部(D)を備える格納体を区分するための分割線、または切り出し可能なように切り出し線が形成されてなる、項11記載の容器。
項12.第2シート(C)及び第3シート(F)から選択される少なくとも1つのシートに、格納部(D)を備える格納体に対応して、当該格納体を区分するための分割線、または切り出し可能なように切り出し線が形成されてなる、項11記載の容器。
項13.マルチウェルプレ−トである項11記載の容器。
項14.支持体が、微生物または生体分子(B)とその安定化剤を保有したものか、または保有するためのものである、項1記載の容器。
項15.微生物または生体分子(B)の収納保存容器であるか、処理容器であるか、または両方を兼ねそなえた容器である、項1記載の容器。
項16.生体分子が、ヌクレオチドを構成成分として含む物質、アミノ酸を構成成分として含む物質または細胞である、項1記載の容器。
また、本発明は、上記容器の作成方法に関する。
項17.下記の工程を有する項1記載の容器の作成方法:
(1) 通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
(2) 当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3) 上記第1シート(E)を挟んで、その両側に第2シート(C)及び第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の開口部を開口可能な状態で閉塞して、支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
項18.下記の工程を有する項1記載の容器の作成方法:
(1) 通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
(2) 当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3’) 上記第1シート(E)の一面に第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の一方の開口部を開口可能な状態で閉塞する工程、
(4’) 上記支持体(A)に微生物または生体分子(B)を付着させる工程、および
(5’) 第1シート(E)の他面に、第2シート(C)を剥離可能な状態で積層することにより、第1シート(E)の通孔部の他方の開口部を開口可能な状態で閉塞して、微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
さらに、本発明は、上記容器の使用方法に関する。
項19.格納部(D)に微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収容してなる項1記載の容器の使用方法であって、(1) 格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程を有する方法。
項20.さらに下記の工程を有する、項19記載の方法:
(2) 上記格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程の前に、支持体(A)が収容された格納部(D)内に溶液を入れる工程、
(3) 上記格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程の後に、必要に応じて取り出した支持体(A)を溶液と接触させて、支持体(A)に付着した微生物または生体分子(B)を溶出する工程。
項21.支持体(A)を取り出す工程が、第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つのシートの少なくとも1部を第1シート(E)から剥離して、支持体(A)を取り出す工程である、項19に記載の容器の使用方法。
項22.支持体(A)を取り出す工程が、第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つのシートの少なくとも1部を第1シート(E)から剥離して、第1シート(E)に形成された通孔部の上から下に、支持体(A)を押出して取り出す工程である、項19に記載する容器の使用方法。
項23.格納部(D)に微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収容してなる項1記載の容器の使用方法であって、
(a) 支持体(A)が収容された格納部(D)内に、溶液を入れる工程、及び
(b) 格納部(D)内で、当該溶液中に支持体(A)に付着した前記微生物または生体分子(B)を溶出させる工程を有する方法。
項24.格納部(D)内に溶液を入れる工程が、第2シート(C)または第3シート(F)の1つのシートの少なくとも1部を第1シート(E)から剥離して溶液を入れる工程である項23に記載の容器の使用方法。
項25.(c) 格納部(D)内に溶液を入れた後、第1シート(E)から剥離したシートを再び第1シート(E)に積層する工程を有する、項24に記載の容器の使用方法。
項26.溶液が微生物または生体分子(B)と反応する成分を含有するものであって、さらに、(d) 格納部(D)内で微生物または生体分子(B)と入れた溶液中の上記成分との反応を行う工程を有する項25に記載の容器の使用方法。
本発明の容器によれば、微生物、または核酸、ペプチドや蛋白質などの生体分子を、容器内の支持体に付着させることで、簡便に格納することができるため、格納に費やす時間や労力を大幅に軽減することができる。
本発明の容器によれば、上記微生物または生体分子(核酸、ペプチドや蛋白質など)を密閉した状態で格納することができるため、不純物の混入の恐れがなく、これらの試料を長期にわたって安定して保存することができる。特にRNAなどはRNAaseなどの酵素混入によって分解され易い物質であるが、本発明の容器によれば、外部との好ましくない接触を防止することできるため、安定した状態で保管することが可能になる。
本発明の容器によれば、従来のチューブ形態の容器に比べ、微生物や生体分子を微少量で収納し保存することが可能である。また本発明の容器はコンパクトでしかも微生物や生体分子を常温・常圧で保存することができるため、保存スペースをとらず、温度管理も不要なため取扱いが簡便である。また、微生物や生体分子の移動(配布、配送、運搬等の流通)にもスペースをとらず、温度管理も不要なため便利である。
また、本発明の容器は、微生物や生体分子を支持体に保持させた状態で収容し、また使用に際しては当該支持体を簡単に容器外に取り出すことができるので、有用な試料を簡単にロスなく、しかも汚染を防止した状態で使用することができる。更に本発明の容器は、そのまま反応容器としても使用することができ、中に試薬や反応溶液をいれて容器内で微生物や生体分子を処理(反応、変性、洗浄、分離、増殖など)することも可能である。
このような特徴を有する本発明の容器は、特に微生物や、核酸、ペプチドまたは蛋白質などの生体分子の大量処理が必要とされる分野に好適に利用され得るものであり、ライフサイエンス産業やバイオ産業の発展に大きく寄与するものである。
本発明の容器の一実施態様である。(A)は容器を上から見た平面模試図、(B)は容器をX−Xで切断した縦断面図、(C)は容器の斜視図である。 本発明の容器の一実施態様を示す縦断面図である。 本発明の容器の一実施態様を示す縦断面図である。 本発明の容器の一実施態様を示す縦断面図である。 本発明の容器の一実施態様を示す縦断面図である。 本発明の容器の一実施態様を示す縦断面図である。 本発明の容器の一実施態様を示す縦断面図である。 本発明の容器の使用方法を順次示す図である。 支持体の一例を示す(斜視図)。 本発明の容器を構成する第1シート(E)の一実施態様を示す模式図である。(A)は縦断面図、(B)は側面図、(C)は平面図、(D)は底面図である。 本発明の容器の一実施態様を示す縦断面図である。 実施例1でIn situ ハイブリダイゼーション後のマウス胚の写真画像を示す。(A)は支持体から溶出したRNA溶出溶液を用いた場合、(B)は調製直ぐのRNAプローブ溶液を用いた場合、(C)はRNA溶出溶液及びRNAプローブ溶液のいずれも使用しない場合の結果である。 本発明の容器の一実施態様を示す縦断面図である。 実施例3でIn situ ハイブリダイゼーションを行ったマウス胚の写真画像を示す。(A)は調製すぐのAnti-DIG-AP抗体とトレハロースの混合溶液を用いた場合、(B)は支持体から溶出したAnti-DIG-AP抗体を用いた場合の結果を、溶液中のトレハロース濃度毎(0.5%、1%、2%、5%、10%、20%)に示したものである。
符号の説明
A:支持体
B:微生物または生体分子(試料)
C:第2シート
D:格納部
E:第1シート
F:第3シート
1:第1シート(E)に設けられた通孔(貫通孔)
2:格納部(D)または通孔部(1)内の支持体保持部
3:格納部(D)または通孔部(1)の開口部a
4:格納部(D)または通孔部(1)の開口部b
5:格納体
6:分割線
7:座部
8:ウェル
9:ウェル底部の孔
10:容器の下に配置した試験官、チューブ、またはマイクロプレートのウェル
11:チップ
12:滴下した溶液
(1)容器
本発明の容器は、(i) 微生物または生体分子を収容するための容器、または(ii) 微生物または生体分子を収容した容器である。すなわち、本発明が対象とする容器には、(i) 微生物または生体分子を収容していない状態で製造および販売され、使用者側が所望の微生物または生体分子を入れて使用するタイプの容器、ならびに(ii)予め微生物または生体分子を収容した状態で製造および販売されるタイプの容器が含まれる。当該容器は、微生物または生体分子の収納、保存若しくは管理;微生物または生体分子の移動(配布、配送、運搬等の流通);微生物または生体分子の処理(反応、変性、洗浄、分離、増殖など)のために好適に使用することができる。
(a) 微生物または生体分子
本発明が対象とする微生物には、具体的には、大腸菌、枯草菌、乳酸菌、好熱性菌などの細菌やラン藻などの原核生物;酵母(例えばパン酵母、ビール酵母など)、カビ(アオカビなど)、藻類(例えば、緑藻、褐藻、紅藻など)などの真核生物;ウイルス(例えば、レトロウイルス、カゼウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなど);ならびに原虫(例えば、線虫など)などの微小な生物が含まれる。好ましくは細菌、藻類およびウイルスなどの微生物であり、より好ましくは細菌、特に大腸菌である。なお、これらは天然に存在するものであってもよいし、或いは、遺伝子組換技術を利用して製造されたものでもよい。
本発明が対象とする生体分子には、(i)ヌクレオチドを構成成分として含む物質、(ii)アミノ酸を構成成分として含む物質、(iii)動物または植物細胞が含まれる。
(i)には、リボヌクレオチドを構成成分とするRNA(リボ核酸)、デオキシリボヌクレオチドを構成成分とするDNA(デオキシリボ核酸)などの核酸、これら核酸の断片、およびこれら核酸またはその断片のアナログが含まれる。これらは長さや一本鎖および二本鎖の別を問わず、例えば、プライマー、プローブ、siRNAs(small interfering RNAs)などとして使用される比較的短鎖のオリゴまたはポリヌクレオチド;遺伝子(mRNAも含まれる)やプラスミドなどの長鎖のポリヌクレオチドも含まれる。核酸または核酸断片のアナログとしては、核酸または核酸断片に非核酸成分を結合させたもの、核酸または核酸断片を蛍光色素や同位元素等の標識剤で標識したもの(例えば蛍光色素や放射線同位体で標識されたプライマーやプローブ)、および核酸または核酸断片を構成するヌクレオチドの一部の化学構造を変化させたもの(例えば、ペプチド核酸など)等が含まれる。これらは、生物から得られる天然物であっても又はそれらの加工物であってもよく、或いは、遺伝子組換技術を利用して製造されたものでも、また化学的に合成されたものでもよい。
(ii)としては、アミノ酸を構成成分とするペプチド、蛋白質およびこれらの誘導体を挙げることができる。ペプチドや蛋白質を構成するアミノ酸の種類や数は特に限定されず、蛋白質の立体構造も特に限定されない。
蛋白質には、アミノ酸のみから構成される単純蛋白質、単純蛋白質に非タンパク物質が結合した複合蛋白質、複数個の単純蛋白質及び複合蛋白質がサブユニットとして会合した高分子物質も含まれる。単純蛋白質には、例えば、アルブミン、グロブリン、プロラミン、グルテリン、ヒストン、プロタミン、硬タンパク質などが含まれる。複合蛋白質には、例えば、ヘモグロビン等の色素蛋白質、糖質と結合した糖蛋白質、脂質と結合したリポ蛋白質、核酸と結合した核蛋白質、リンと結合したリン蛋白質、金属と結合した金属蛋白質等が含まれる。
蛋白質の種類も限定されず、本発明が対象とする蛋白質には、例えば、分子の形状により分類される繊維状タンパク質(ケラチン、コラーゲン、フィブロインなど)や球状タンパク質;局在性により分類される細胞内タンパク質、膜タンパク質、分泌タンパク質、血液タンパク質;機能により分類される酵素タンパク質、ホルモンタンパク質、受容体タンパク質、免疫タンパク質(抗体など)、分子量マーカー蛋白質;がいずれも含まれる。
蛋白質の誘導体には、単純蛋白質や複合蛋白質が一部分加水分解を受けたもの、熱により凝固したもの(凝固蛋白質)、上記蛋白質に非蛋白物質を結合させたもの(例えば、蛋白質を蛍光色素や同位元素等で標識したもの)、およびアミノ酸残基の側鎖の化学構造を変化させたもの等が含まれる。またペプチドの誘導体には、ペプチドに非ペプチドを結合させたもの(例えば、ペプチドを蛍光色素や同位元素等で標識したもの)、およびアミノ酸残基の側鎖の化学構造を変化させたもの等が含まれる。具体例としては、例えば、抗体と酵素を化学的に架橋して得られる抗体酵素複合体(例えば抗ジゴケシゲニン(DIG)-アルカリフォスファターゼ(AP)結合抗体)や抗体蛍光色素複合体等を挙げることができる。
これらの蛋白質、ペプチド又はこれらの誘導体は、生物から得られる天然物又はそれらの加工物であってもよく、或いは、遺伝子組換技術を利用して製造されたものでも、また化学的に合成されたものでもよい。中でも、抗体、酵素、血液蛋白質、分子量マーカー蛋白質、抗体酵素複合体、抗体蛍光色素複合体を好適に例示することができる。
(iii)としては、生物(動物または植物)から得られる天然の細胞、株化細胞、および組換え遺伝子を含む形質転換細胞が含まれる。動物細胞としては、遺伝子組換技術で汎用される各種の細胞(例えば、マウス繊維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO、サルCOS細胞など)およびこれらの形質転換細胞を挙げることができる。また、植物細胞としては、遺伝子組換技術で汎用される各種の細胞およびこれらの形質転換細胞を挙げることができる。
以下、本明細書では、これらの微生物または生体分子を総称して「試料」ともいう。
本発明の容器は、上記微生物または生体分子(B)を付着するための支持体(A)、または上記微生物または生体分子(B)が付着した支持体(A)を内部に備えるものである。当該支持体(A)は、第1シート(E)、並びに第1シート(E)を挟んでその両側に積層された第2シート(C)及び第3シート(F)から構成される本発明の容器の、第1シート(E)に設けられた通孔部に形成された格納部(D)内に脱着可能な状態で収納されている。
以下、説明の便宜上、図面に基づいて本発明を説明する。ただし、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
本発明の容器の一態様を図1に示す。図1(A)は本発明の容器を上からみた平面概略図であり、図1(B)は本発明の容器を図1(A)のX−X線で切断した場合の縦断面図である。また図1(C)は本発明の容器の斜視図である。なお、図1には、容器の第1シート(E)から第2シート(C)の一部がめくれている状態を示す〔但し、図1(A)は、めくれ上がっている片の記載を省略している〕。図1において、Aは支持体、Eは第1シート、Cは第2シート、Fは第3シート、Dは格納部を示す。なお、格納部(D)は、前述するように第1シート(E)に設けられた通孔(貫通孔)(図中、符号1で示す)によって形成されるため、格納部は第1シート(E)の通孔部(1)でもある。図1中、符号2は格納部(D)または通孔部(1)内の支持体保持部(以下、単に「保持部」という)、符号3は格納部(D)または通孔部(1)の開口部a、および符号4は格納部(D)または通孔部(1)の開口部bを示す。
なお、図1には、本発明の一実施態様として、24個の格納部を有するプレート状の容器を示すが(マルチウェルプレート)、格納部の数は特に制限されない。本発明の容器は、所望に応じて、1つ若しくは2〜3個、または6、12、48、96もしくは384個の格納部を有することもできる。
(b) 支持体(A)
支持体(A)の素材は、上記微生物または生体分子(試料)を保持(付着、吸着、含浸)できる材質であれば特に限定されない。好ましくは特に水に不溶性な材質であり、更に好ましくは溶液を含浸保持でき、含浸した溶液を必要に応じて試料と共に放出することができる材質である。
例えば、濾紙、日本紙等の紙類;天然繊維、半合成繊維、合成繊維、ガラス質を主な材質とするガラス繊維またはこれらの混合繊維からなる織物、不織布またはフェルトなどの繊維状素材を用いることができる。天然繊維の種類は特に問わず、綿、麻、絹および羊毛が含まれる。半合成繊維の種類も問わずセルロース、メチルセルロースなどのセルロース、およびそれらの誘導体が含まれる。合成樹脂の種類も問わず、例えばアクリル樹脂、ビニル樹脂、およびポリアミドが含まれる。中でも、セルロ−ス又はその誘導体は、試料の付着性並びに吸着性に優れ、またガラス繊維は、試料が吸着し易く、更に離脱し易いため、好適な素材として用いることができる。
支持体(A)の形状は、適宜設定し得るが、例えば、円柱状、塊状、粒状、球状、およびチップ状等の立体形状;シート状やフィルム状等の平面形状が挙げられる。好ましくは円柱状または円形シート状である。通常、厚さ0.1〜2mm程度の平面形状で十分であるが、試料を多量に付着できる点からは、立体形状が好ましい。
支持体(A)は、容器の格納部(D)(言い換えると、第1シートの通孔部)に収容できる大きさに調整される。具体的には、格納部(D)内の保持部(第1シートの通孔部に形成された保持部)に保持できる大きさである。かかる大きさ(直径)は、通孔部内の保持部位置の内空直径に応じて適宜設定することができ、例えば1辺が0.1〜10mm程度の直方体に収まる程度(直径0.1〜10mm程度)、更には0.5〜5mm程度の直方体に収まる程度(直径0.5〜5mm程度)、更には1.5〜3mm程度の直方体に収まる程度(直径1.5〜3mm程度)の大きさとすることもできる。支持体の直径は、上記通孔部内の保持部位置の内空直径よりも若干大きめに設定調整することができる。
支持体(A)の厚みは、第1シート(E)の厚みよりも薄いことが必要である。好ましくは、通孔部内の保持部位置の内空の厚み(縦幅)に応じて適宜設定することができ、例えば0.1〜2mm程度の厚み、更には0.3〜1mm程度の厚みとすることもできる。
なお、支持体(A)は、変形可能なように可撓性を備えていることが好ましい。これにより、容器の格納部(D)内の保持部(2)(通孔部内の保持部)への支持体の収納や取り出しを簡単に行うことができる。例えば、支持体が格納部(D)内の保持部(2)(通孔部内の保持部)に、比較的安定に保持されている場合でも、支持体を人為的に変形させることによって、容易に取り出すことが可能になる。
支持体(A)には、予め微生物または生体分子(試料)が保持(付着、吸着、含浸)されていてもよいし、また保持されていなくてもよい。また、支持体には、微生物または生体分子(試料)とともに試薬や溶剤が保持されていてもよい。また試薬や溶剤だけ保持されていてもよい。試料の保持方法、および試薬や溶剤については後述する。
(c) シート
本発明においてシートとは、全体として平らな形状を有する物(例えば、シート状物、板状物)を広く意味し、厚みや素材(材質)によって特に制限されるものではない。従って、シートという用語には、フィルム、積層シート、基板、板、およびプレートも含まれる。なお、シートは、表面が平坦であってもよいし、また凹凸を有していてもよい。またシートの構造としては、例えば、1層からなる単層構造、2以上の層からなる積層構造、架橋構造、コアシェル構造等を挙げることができる。
(c-1) 第1シート(E)
図1に示す容器では、第1シート(E)は板状を有する基板またはプレートである。好ましくは2〜10mm、より好ましくは3〜5mmの厚みを有する基板またはプレートである。
形状は長方形、正方形、円形、楕円形などを任意に選択することができるが、好ましくは四角形、より好ましくは長方形である。大きさも特に制限されないが、通常一辺が10〜150mmとなるような範囲から選択される。具体的には、長方形の場合、一辺が40〜150mm、それと隣接する他辺が40〜80mmとなる大きさを例示することができる。
当該第1シート(E)は、耐水性を有する材料からなることが好ましい。より好ましい材料として、成形のしやすさから、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。ここでポリオレフィン樹脂には、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリプロピレン樹脂等が、またポリアミド樹脂には、ナイロン等が含まれる。中でも好ましくは、成形のしやすさと透明性に優れることから、ポリスチレン樹脂である。
図1(B)に示すように、第1シート(E)には、特定形状を有する貫通孔(通孔)(1)が設けられている。このため、第1シート(E)の表面は、当該貫通孔に対応して凹凸形状を有している。通孔の配置は特に制限されないが、整列して配列されていること好ましい。例えば、碁盤目状や直線状に並んでいることが好ましい。
当該通孔部の横断面形状は制限されない。通常、図1(A)に示すように、円形を挙げることができる。但し、楕円形、矩形または菱形であってもよい。第1シート(E)の上面に形成された開口部(3)を「開口部a」、下面(底面)に形成された開口部(4)を「開口部b」という。
当該通孔部は、内空部がこれらの開口部aおよびbよりも狭窄した形状を有している。第1シート(E)に形成される通孔部の形状は特に問わないが、図1では、通孔部の狭窄した内空部は円筒形を有している。この内空部の保持部(2)に支持体が保持されている。より具体的には、当該内空部の第1シートの内周面に支持体が挟持されている(ここが「保持部」に相当する)。また開口部aから保持部(2)までの領域は、第1シート(E)に内部方向に孔径が狭まるようにテーパー面が形成されることによって、逆向き円錐台の形状を有している。当該領域は、格納部(D)の挿入口に相当する。さらに、保持部(2)から開口部bまでの領域は、保持部位置の内空直径よりも大きい孔径を有する円筒形を有している。当該領域は、格納部(D)の排出口に相当する。また、図1(B)では、第1シート(E)の下面は、通孔の外周に沿ってリング状に突起している。当該リング状の突起物(突縁)内部に上記排出口が形成されている。
保持部位置の内空直径は、特に制限されないが、直径0.1〜10mm程度、直径0.5〜5mm程度、直径1.5〜3mm程度を挙げることができる。開口部aおよび開口部bの直径は、上記の直径より大きければよく、特に制限されないが、直径0.5〜15mm、直径1〜8mm、直径2〜5mmを挙げることができる。挿入口の縦幅(奥行き)は、第1シート(E)の厚さおよび上記保持部の縦幅に応じて、通常0.5〜8mm、好ましくは1〜3mmから選択することができる。排出口の縦幅(奥行き)も特に制限されないが、通常0.2〜2.5mm、好ましくは0.5〜2mmから選択することができる。なお、図1(B)の場合、排出口の縦幅は、同時に突縁の高さに相当する。突縁によって形成されるリング外周の直径は、開口部bの直径よりも大きければよい。例えば、開口部bの直径よりも0.5〜2mm程度、好ましくは0.8〜1.5mm程度大きければよい。
上記第1シート(E)に形成された通孔部(1)は、その開口部a(3)およびb(4)が、それぞれ後述する剥離可能な第2シート(C)および第3シート(F)によって、開口可能な状態で閉塞されることによって、支持体(A)を格納するための格納部(D)となる。従って、本発明の容器は、第1シート(E)に形成された通孔部の数に応じて、格納部を有することになる。
かかる第1シートは、上記形状を備えた金型を用いて射出成形や圧縮成形(金型成形)することによって作成することができる。
(c-2) 第2シート(C)および第3シート(F)
上記第1シート(E)には、これを間に挟んで、上面に第2シート(C)および下面に第3シート(F)が剥離可能な状態で積層されている。第2シート(C)および第3シート(F)は、フィルム、または厚さ0.01〜5mm程度のシートであることが好ましい。
第2シート(C)および第3シート(F)は、それぞれ上記第1シート(E)の開口部a(3)および開口部b(4)をすべて覆うことができる大きさを有するものであることが好ましい。その形状(長方形、正方形、円形、楕円形)は特に制限されず、第1シート(E)の形状に応じて適宜選択することができる。
第2シート(C)および第3シート(F)の素材(材質)は、特に制限されないが、例えば、前述するような熱可塑性樹脂、およびアルミニウムなどの金属を挙げることができる。
これらのシートは、積層構造を有していてもよい。積層シートとしては、2以上の熱可塑性樹脂層を有する積層シート、又は1以上の熱可塑性樹脂層と1以上の金属層を有する積層シート等が挙げられる。前者の例として、ポリオレフィン樹脂層とポリアミド樹脂層からなる積層シートを挙げることができる。また後者の例として、ポリアミド樹脂層とアルミニウム層からなる積層シート、またはポリエステル層、アルミニウム層、およびポリエチレン層の3層からなる積層シートを挙げることができる。
なお、シートとしてフィルム状のものを使用する場合は、柔軟性や蒸着性、熱融着性を有する材質のものを選択することができる。かかる材質としてはアルミニウムシートを挙げることができる。
第2シート(C)または第3シート(F)は、第1シート(E)と接する側に接着層を有するものでもよい。なお、接着層は第2シート(C)または第3シート(F)の全面に形成されていても、また一部に形成されていてもよい。接着層は、これらのシート表面の一部または全部に接着剤を塗布して形成してもよいし、また接着性を有する樹脂で形成することもできる。接着性を有する樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂やポリオレフィン樹脂を挙げることができる。
第2シート(C)または第3シート(F)の少なくとも1方、特に第2シート(C)は、第1シート(E)表面から脱着可能なシートであることが好ましい。脱着可能シートとしては、シートが脱着可能なように表面加工(表面処理)されているものを挙げることができる。特に、シートの表面がシリコーン樹脂で加工(シリコーンシール、シリコンコーティング)されていることが好ましい。脱着可能シートの具体例としては、シリコーンシールしたポリエチレンテレフタレートシートが挙げられる。
第2シート(C)を、脱着可能なシートとすることにより、例えば、第1シート(E)に形成された格納部(D)に、試料(B)や各種溶液を導入するときには、第2シート(C)を第1シート(E)から一旦剥がし、次いで当該試料を導入した後には、再び第2シート(C)を第1シート(E)に積層して、格納部を再び密閉することができる。このため、試料(B)や各種溶液などの格納部への導入又は取り出しが容易になる一方で、外部との好ましくない接触、例えば菌による汚染等を防止することができる。
第2シート(C)または第3シート(F)は、本発明の効果を損なわないことを限度として、具体的には格納部(D)を汚染させるようなものでない限り、通気性を有するものであってもよい。
第2シート(C)または第3シート(F)の厚さは、特に制限されず、所望に応じて適宜設定することができる。通常、0.01〜5mm、好ましくは0.01〜3mm、より好ましくは0.01〜2mmを挙げることができる。
図1に示す容器において、第2シート(C)は、好ましくは第1シート(E)と脱着可能なように、第1シート(E)側がシリコーン樹脂で加工(シリコーンシール、シリコンコーティング)されてなる、ポリエチレンテレフタレート樹脂製のシートである。また、第3シート(F)は、好ましくは第1シート(E)と熱融着可能なように、当該第1シート(E)側から順に熱可塑性樹脂層および金属層を有する積層シートである。
(d) 格納部および格納体
第1シート(E)に、上記第2シート(C)および第3シート(F)が剥離可能な状態で積層されると、第1シート(E)の開口部a(3)およびb(4)が開口可能な状態で閉塞され、斯くして、第1シート(E)内の通孔部内に格納部(D)が形成される。従って、本発明の容器は、第1シート(E)に形成された通孔部の数に応じて、格納部(D)を有することになる。また格納部(D)の配置は、第1シート(E)の通孔部の配置に対応して、碁盤目状または直線状に配置される。
格納部(D)には、通常は1つの格納部に対して1つの支持体が収納される。また必要に応じて、1つの格納部に対して2以上の支持体を収納することもできる。図1(B)において、支持体(A)は、格納部(D)の内空部の支持体保持部(2)に収容される。具体的には、支持体(A)は、当該内空部の第1シート内周面に挟持された状態で収容される。
本発明では、上記格納部(D)に支持体が収納されたものを、格納体(5)と称する。図1に示す容器は、格納部(D)に支持体が収納された格納体(5)を24個有している。
なお、本発明の容器を構成するシート(第1シート(E)、第2シート(C)、第3シート(F))には、格納体(5)を一個ずつまたは複数個毎に区分できるように、分割線(6)を設けることもできる。分割線(6)の形成方法は、特に制限されないが、必要に応じて切断できるように破線又は点線状の切り込みを設けることもできる。分割線(6)は、第2シート(C)だけ、または第3シート(F)だけに設けることもできるし、第2シート(C)と第3シート(F)の両方、または第1シート(E)、第2シート(C)および第3シート(F)の全てに設けることもできる。第2シート(C)だけ、第3シート(F)だけ、または第2シート(C)と第3シート(F)の両方に分割線を設けた場合は、必要な格納体(5)だけを対象として、その部分の第2シート(C)や第3シート(F)を剥がして試料を添加したり、支持体を取りだすことが可能であるため、他の格納体に収納された支持体を汚染させる心配がない。また、第1シート(E)、第2シート(C)および第3シート(F)の全てに分割線を設けた場合は、容器から必要な格納体だけを密閉した状態のままで切り出すことが可能である。
図2〜6は、図1に示される容器の変形例である本発明の容器の縦断面(図1(A)のX−X線断面に相当する)を示す。同一の部材には、図1と同じ符号が付してある(但し、符号1〜4は省略)。
図2および3の実施態様においては、格納部(D)内の保持部に座部(7)が設けられている。これらの座部は、第1シート(E)通孔内周面にくさび型またはくの字の切り込みが設けられることによって形成されており、支持体(A)は当該切り込み部に挟持、据え置き若しくは把持される。
格納部(D)の保持部にこうした座部(7)を設けることによって、容器を配布や運搬する場合でも、支持体(A)を安定に格納部(D)内に保持することができる。一方、本発明で用いる支持体(A)は可撓性があるため、使用時には、支持体を座部から容易に脱離させることができる。脱離方法としては、例えば、例えば、チップ等の先端を利用して支持体(A)の中心部を上から押さえ、下に押し出す方法を挙げることができる(図8参照)。
前述するように、図2及び図3では、座部(7)は、第1シート(E)通孔内周面に形成されたそれぞれ「くさび型」及び「くの字」の切り込みによって構成されているが、この方法に限らない。例えば、第1シート(E)の通孔内周面をやや下狭まりのテーパー面とする方法(図4)、第1シート(E)の通孔内周面に内側に先端を向けた突起部を設ける方法(図5、図6)を挙げることができる。
さらに図7は、上記図1〜6で示す容器とは別の実施態様である本発明の容器の縦断面(図1(A)のX−X線断面に相当する)を示す。同一の部材には、図1と同じ符号が付してある。
図7の実施態様においては、第1シート(E)は底部に貫通孔を有するウェル(8)を備えており、当該ウェル内に支持体(A)が保持されている。なお、支持体(A)はウェル底部に形成された孔(9)から排出することが可能である。そして、第2シート(C)と第3シート(F)が、当該第1シート(E)を挟んでその両側に剥離可能な状態で積層されており、これによって第1シート(E)のウェル開口部と底部の孔がともに開口可能な状態で閉塞されている。
本発明の容器には、本発明の効果を奏する範囲で、適宜他の構成を設けることも可能である。例えば、本発明の容器を形成する第1シート(E)、第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つに、各種記号、番号、またはバーコードが印刷または刻印されてもよく、また印刷物が貼付されていてもよい。
(2)容器の作成方法
上記の構成からなる本発明の容器は、下記の工程を通じて作成することができる。
(1)通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
(2)当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3)上記第1シート(E)を挟んで、その両側に第2シート(C)及び第3シート(F)を剥離可能な状態で積層する工程、これによって
(4)上記工程(3)により、当該第1シート(E)の通孔部の開口部を開口可能な状態で閉塞して、支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
ここで支持体(A)は、微生物または生体分子(試料)(B)を予め保持したものであってもよいし、また保持していないものであってもよい。微生物または生体分子(試料)(B)を保持した支持体(A)を収納した容器は、試料(B)を予め保持した支持体(A)を用いて上記の工程(1)〜(4)を行って作成する他、下記の方法で作成することもできる。
(1)通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
(2)当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
(3’)上記第1シート(E)の一面に第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の一方の開口部を開口可能な状態で閉塞する工程、
(4’)上記支持体(A)に微生物または生体分子(B)を付着させる工程、および
(5’) 第1シート(E)の他面に、第2シート(C)を剥離可能な状態で積層することにより、第1シート(E)の通孔部の他方の開口部を開口可能な状態で閉塞する工程、これによって
(6’) 微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
また、試料(B)を保持した支持体(A)を収納した容器は、試料(B)を保持しない支持体(A)を用いて前記(1)〜(3)の工程を行って容器を作成した後、第2シート(C)を剥離して、格納部(D)に収納された支持体(A)に試料(B)を付着し、次いで、第2シート(C)を再び積層する方法によっても作成することができる。
(a) 支持体の収容
第1シート(E)の通孔部への支持体(A)の収容は、具体的には、第1シート(E)の狭窄した内空部に形成された保持部(2)に、支持体(A)を脱着可能な状態で保持させることによって行われる。保持の態様は、脱着可能な状態で配置されるものであれば、特に制限されない。例えば、図1の容器では、支持体(A)は保持部(2)に挟持されており、また図2〜3の容器では、支持体(A)は保持部(2)に形成された座部(7)の切り込みに差し込まれた状態で保持されている。さらに図5〜6の容器では、支持体(A)は保持部(2)に形成された座部(7)に据置されている。
(b) 支持体への試料の付着
微生物または生体分子(試料)(B)を支持体(A)に付着させる方法は、特に限定されないが、例えば、試料(B)を含有する水溶液もしくは溶剤溶液を支持体(A)に塗布または含浸(浸漬または滴下)させた後、水もしくは溶剤を除去する方法を挙げることができる。
水溶液または溶剤の種類は、支持体に付着させる微生物または生体分子の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、水溶液としては、微生物には5%スキムミルク水溶液、20%グリセロール溶液;核酸にはトリス-EDTA(TE)緩衝液;タンパク質にはリン酸緩衝液、グリセロール溶液等の通常pH7前後の中性域の緩衝液を挙げることができる。また、溶剤としては、グリセロール溶液などを挙げることができる。
これらの水溶液または溶剤には、必要に応じて、他の成分を適宜添加してもよい。かかる他の成分には、例えば、微生物には 塩化ナトリウム、塩化マグネシウム;核酸には塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム;蛋白質にはトレハロース等が含まれる。
これらの水溶液または溶剤には、試料の種類に応じて安定化剤を配合することもできる。これらの安定化剤としては、各試料に応じて当業界で公知のものを使用することができる。例えば、微生物の安定化剤としてはスキムミルク、グリセロール、培地、血清等を挙げることができる。好ましくはスキムミルクである。当該安定化剤の濃度は、微生物の種類等に応じて適宜設定し得るが、好ましくは5%〜30%程度であり、5〜20%程度が特に好ましい。核酸の安定化剤として、EDTAを挙げることができる。
また、ペプチドや蛋白質の安定化剤として、二糖類を挙げることができる。二糖類には、例えば、スクロース、マルトース、トレハロース等が含まれる。中でもトレハロースが最も好ましい。かかる安定化剤の濃度は適宜設定し得るが、安定化剤の濃度が2%以上であるのが好ましく、特に10%以上であることが好ましい。
水又は溶剤を除去する方法は特に限定されないが、例えば、脱水、加熱や乾燥等が挙げられる。より具体的には風乾,真空乾燥,凍結乾燥等が挙げられる。なお、乾燥や加熱は容器に支持体を格納した後、容器ごと、行っても良い。
上記の付着方法以外の方法として、試料を付着したピンセットやチップなどを支持体と接触させることによって、支持体に試料を吸着又は付着させる方法;印刷技術を利用して試料を支持体に印字することで、支持体に試料を吸着又は付着させる方法;各種担体やリンカーを用いて試料を支持体に付着させる方法、を例示することができる。なお、吸着又は付着の際は、効率を上げるために、減圧、加圧又は遠心分離等の手段を適宜用いてもよい。
(c) 第2シートおよび第3シートの積層
第2シート(C)及び第3シート(F)は、第1シート(E)を間に挟んで、その両側に剥離可能な状態で積層される。これにより、第1シート(E)の通孔部の開口部aおよびbが閉塞される。閉塞の態様は、制限されないが、通孔部に形成された格納部(D)内が汚染されない程度に、密閉されることが好ましい。密閉する方法及び手段は特に限定されないが、例えば、熱融着シール、超音波シール、加圧接着等を挙げることができる。
なお、第2シート(C)は、第1シート(E)に対して脱着可能であることが好ましく、この方法として、加圧接着によって第1シート(E)に剥離可能な状態で積層する方法を挙げることができる。第3シート(C)は、熱融着シールまたは超音波シールによって、第1シート(E)に剥離可能な状態で積層されることが好ましい。これによって、開口部bを水密に閉塞することができる。熱融着する方法としては、電気ごてや熱プレス機等を利用して、第3シート(E)を構成する熱可塑性樹脂の融点以上に加熱して熱可塑性樹脂を溶融させる方法を挙げることができる。
(d) 滅菌処理
本発明の容器は、少なくとも格納部内が無菌状態であることが好ましい。本発明の容器が、試料を保持しない支持体を収納したものである場合、上記の方法で作成した容器は、必要に応じて密封可能な袋(ポリ袋など)に収容して密封し、慣用の滅菌手段(例えば、電子線滅菌、γ線滅菌、高圧蒸気滅菌など)で滅菌処理することができる。
(3)容器の使用方法
本発明の容器は、格納部(D)に収納された支持体を、開口部b側から取り出して使用される。取りだし方法は、特に制限されないが、第1シート(E)から、第2シート(C)及び第3シート(F)を剥離して、第1シート(E)の通孔部の上から下に、支持体を押し出して取り出す方法を例示することができる(図8(C)参照)。このとき、容器の下に、通孔部(容器の格納部)に対応するように、例えば試験官、チューブ、またはマイクロプレートのウェルなど(図8(C)の符号10で示す)を配置しておくことにより、その中に支持体を取り出すことができる。
なお、使用に際して、第2シート(C)及び第3シート(F)は、これらの全面を剥離する必要はなく、取り出す支持体(A)を収納する格納部(D)に対応する部分だけでよい。支持体(A)の押出し方法は、制限されないが、滅菌したピンセットやチップ(図8(C)の符号11で示す)等の先を利用して支持体の上を押す方法を挙げることができる。可撓性の支持体は、こうすることで保持部から容易に脱離することができる。
本発明の容器が、予め試料(B)を保持した支持体(A)を収納したものである場合、上記のように直ちに支持体を取り出すこともできるが、図8(B)に示すように、格納部に収納された支持体(A)に溶液(12)を滴下含浸させて、それから支持体を取り出すこともできる。このとき、第2シート(C)を剥離して、支持体(A)に溶液を滴下した後、再び第2シート(C)を積層してもよい。当該溶液中に、試料(B)と反応する成分を入れておくことで、格納部内で所望の反応を行うことができる(例えば、PCR反応、ハイブリダイゼーション、抗原−抗体反応など)。この場合、本発明の容器は、反応容器として使用される。また、当該溶液として培養液を用いることにより、格納部内で微生物や細胞の培養を行うことができる。この場合、本発明の容器は、培養容器として使用される。
格納部に収納された支持体(A)への溶液の導入方法は、特に制限されないが、ピペットを用いて行う方法が例示される。
本発明の容器が、試料(B)を保持しない支持体(A)を収納したものである場合、当該容器は、使用者が、当該容器内の支持体(A)に自らの試料(B)を導入して使用される。具体的には、第2シート(C)を第1シート(E)から剥離して、開口部aから試料(B)を含有する水溶液または溶剤溶液を滴下して支持体(A)に含浸させ、支持体に試料を保持させる。滴下する溶液の量は、適宜選択することができるが、通常1〜10μl、好ましくは1〜5μlである。
斯くして支持体(A)に試料(B)を保持させた後、再び第2シート(C)を第1シート(E)に積層する。こうすることで、雑菌の混入による汚染を防止することができる。こうして試料(B)を収納した容器は、常温で保存および運搬可能であり、試料(B)の保管や管理、ならびに試料(B)の配布(デリバリー)に好適に用いることが出来る。
なお、支持体(A)に保持させた試料(B)は、支持体に任意の溶液を含浸させ、震盪、遠心分離、または撹拌を行うことによって回収することができる。
上記は本発明容器の使用方法の一例であり、本発明の容器の使用方法は、これらに特に限定されない。
例えば、本発明の容器は、保存(保管、貯蔵)或いは管理用の容器として使用することができる。保存或いは管理等における条件は適宜設定することができる。例えば、温度も適宜設定することができ、常温に設定することもできる。また、圧力も適宜設定することができ、常圧に設定することもできる。例えば、本発明の容器を用いれば、RNAを常温常圧で4ヶ月程度保存させることも可能である。また、本発明の容器を、試料の整理や分類の手段として用いることもできるし、配布、配送、運搬等の試料の移動具と使用することもできる。本発明の容器は、小型化されているため、これらの保存や移動に場所を要しない。
本発明の容器は、容器から格納体を1又は数個切り離して使用することもできる。
また、本発明の格納容器は、各種検出手段や分析手段をセットしたキットの一部として使用することも可能である。
また、本発明の容器は、前述するように反応容器また培養容器として利用することもできる。
具体的には、試料(B)がヌクレオチドを構成成分として含む物質の場合、第2シート(C)を剥離して、格納部(D)内にPCR溶液を導入した後、第2シート(C)を再び積層し、容器中でそのままPCR反応等を行ってもよい。更に、反応溶液に核酸又は核酸アナログを増幅するプライマーや検出用色素を入れておき、その色素の蛍光を測定することにより、リアルタイムPCR反応等を行うこともできる。
試料(B)がアミノ酸を構成成分として含む物質の場合、容器中でそのまま酵素反応、抗原−抗体反応、吸着反応、または電気化学反応を行うこともできる。さらに反応液に酵素の発色基質や蛍光基質、抗体などをいれておき、その色素の発色や蛍光などを測定することにより、リアルタイム酵素反応などを行うこともできる。また、本発明の容器は、プロテインチップ(又はプロテインアレイ)として用いることもできる。さらに格納部(D)内で溶液中に溶出した抗体蛋白質と標識抗原との抗原−抗体反応を行ったりして、各種スクリーニングや蛋白質構成、アミノ酸配列解析、糖鎖解析などを行うこともできる。
試料(B)が微生物の場合、容器中でそのまま反応、形質転換または培養を行うこともできる。本発明の容器は、収納容器、反応容器、または培養容器として使用することができる。例えば、本発明の格納部(D)内に、培養液を導入し、培養装置や恒温装置などの各種の装置に設置することもできる。
また、本発明の容器は、マイクロプレートやディープウェルプレートとして用いることもできる。例えば、本発明の容器を96穴マイクロプレートとして用いて、サンプリング装置等の各種装置に設置することも可能である。これにより、従来要していた、マイクロチューブから96穴プレート、96穴プレートからマイクロチューブへの試料(B)の移し替え作業を省略でき、作業の省力化や効率化、ならびに混入物の防止を図ることができる。また、例えば、本発明の容器をDNAチップ用の容器として用いて、格納部内で溶出させたDNAと蛍光プローブとのハイブリダイゼーションを行わせて、遺伝子発現頻度解析やスクリーニングを行ったりすることもできる。
以下、実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、下記の実施例において使用する略称の正式名称は次の通りである。
AP buffer : Alkaline phosphate buffer
PFA :Paraform aldehyde
PBS :Phosphate-buffered saline
NBT :ニトロブルーテトラゾリウム
BCIP :ブロモクロロインドリルリン酸
BSA :ウシ血清アルブミン。
また、下記の実施例において使用する下記名称(略称)の組成物の組成は次の通りである。
PBST :Phosphate-buffered saline, Triton X-100
KTBT : 50mM Tris-HCl (pH7.5), 150mM NaCl, 10mM KCl, 0.1% Triton X-100
NTMT : 100mM Tris-HCl (pH9.5), 100mM NaCl, 50mM MgCl2, 0.1% Triton X-100
実施例1
(1)支持体の調製
セルロース製のろ紙(ワットマン社製、3M)を用い、円柱状(直径3mm、厚さ0.3mm)に切り抜き、支持体とした。支持体の形状を図9に示す。この支持体に0.2μg/μlのRNAプローブ水溶液(マウスソニックヘッジホッグのmRNA)を1μl滴下し、常温、常圧下で1時間乾燥させて、RNAプローブが吸着した支持体を製造した。
(2)核酸収納容器の調製
通孔部(貫通孔)24個を碁盤目状に有するポリスチレン樹脂基板(34.25×76×2.3mm)を金型成形によって作成した。その基板の縦断面図を図10(A)、側面図を図10(B)、上からみた平面図(正面図)を図10(C)、および下からみた平面図(底面図)を図10(D)にそれぞれ示す。なお、本明細書において基板の上からみた平面側(正面側)を上面、下からみた平面側(底面側)を底面ともいう。これらの図に示すように、当該基板に形成された通孔部は、開口部と内空部の孔径が異なった、横断面が円形の貫通孔であり、上面側および底面側の開口部の孔径(4mm)よりも通孔部内部の孔径(3mm)が狭くなっている。基板上面の開口部a(3)は、基板に形成されたテーパー面によってすり鉢状の形状を有しており、内部方向に孔径が狭くなってその底部は内空部と連通している。一方、基板底面に形成された開口部b(4)は、基板に形成された凹部によって凹状の形状を有しており、その底部の中央部は内空部と連通している。また基板の底面側には、通孔部の周囲、すなわち開口部b(4)の縁周囲に沿って突起(突縁)(高さ0.5mm、内円の直径4mm、外円の直径5.2mm)が形成されている。
このポリスチレン樹脂製基板(第1シート)の底面側に、碁盤目状に形成した通孔部の全てが覆われるように、ポリエステル層、アルミニウム層及び接着層(ポリエチレン層)の3層構造を有する積層フィルム(第3シート)を積層した。次いで、基板の上面側の開口部aから、通孔部の中に、上記で作成した支持体を入れ、上面側の開口部aの全てが覆われるように、表面がシリコーン樹脂でコーティングされたポリエステル樹脂製シート(脱着可能シート)(第2シート)を、コーティング面を内側にして上面に積層した。これによって、開口部aに蓋部が形成されることになる。斯くして得られた容器の縦断面図を図11に示す。
以上の手順で作成した核酸収納容器を、常温、常圧下で4ヶ月間保存しておいた。
(3)保存安定性評価
保存後、基板(第1シート)に積層したフィルム(第3シート)およびポリエステル樹脂製シート(第2シート)を剥がし、ハイブリダイゼーション溶液(組成:50%ホルムアミド、0.1%Triton X-100、5mM EDTA、5×SSC(pH7)、0.1%CHAPS、50μg/ml Heparin、2%Blocking reagent、1μg/ml Yeast tRNA)を入れたチップの中に各支持体を取り出し、ハイブリダイゼーション溶液に浸漬して、支持体に担持させたRNAプローブを溶出させた。得られたRNA溶出溶液をそのまま用いて、以下のIn situ ハイブリダイゼーションを行った。
<In situ ハイブリダイゼーション>
マウス(日本エスエルシー)から入手した胚を前処理した後、100%エタノール溶液で振盪した。次いで、H2O2/PBSTを加えて静置して脱色した。次いで、エタノール溶液を加えて振盪した後、PBST溶液を加えて振盪した。次いで、プロテインキナーゼ K (10mg/ml)/PBSTを加えて5℃で処理した。更に、2mg/ml glycine/PBSTを加えて振盪し、PBSTを加えて、再度振盪した。その後、プレハイブリダイゼーション溶液(50% ホルムアミド、5xSSC(pH7.0)、2%ブロッキング溶液、0.1%Triton X-100、0.1% CHAPS、1μg/ml yeast tRNA、5mM MEDTA、50μg/mlヘパリン)で2回共洗いしてから、上記RNA溶出溶液を加えて、68℃で12時間の条件下でハイブリダイゼーションさせた。ブロッキングには、抗体(アルカリフォスファターゼ標識抗DIGジゴキシゲニンFabフラグメント)を用いた。次いで、これにKTBTを入れて振盪した後、さらにNTMT液を入れて振盪した。次いで、溶液をNTMT/AP Buffer溶液(NTMT:AP Buffer =1:1)に移し変え、室温でインキュベートした後、更にAP Bufferに移し変え、室温でインキュベートした。発色液(NBT/BCIP)を加え、遮光して、発色が確認できるまでインキュベートした。次いで、PBSTに移し変え、室温でインキュベートした。これに50% エタノール/PBSTを加え、室温でインキュベートした後、エタノールを加えて、さらに、室温でインキュベートして脱色を行なった。50% エタノール/PBSTを加え、振盪した後、PBSTを加えて振盪した。これにグリセロール/PBSTを加えて振盪した後、新しいグリセロール/PBSTを加え、写真撮影を行った。
ポジティブコントロールとして、上記ハイブリダイゼーションにおいて、RNA溶出溶液の代わりに、調製後直ぐのRNAプローブ溶液を用いて、上記と同様にしてIn situ ハイブリダイゼーションを行った。また、ネガティブコントロールとして、RNA溶出溶液やRNAプローブ溶液を用いないで、上記と同様にしてIn situ ハイブリダイゼーションを行った。
In situ ハイブリダイゼーション後のマウス胚の写真画像を図12に示す。図12(A)は支持体から溶出したRNA溶出溶液を用いた場合、図12(B)は調製直ぐのRNAプローブ溶液を用いた場合、図12(C)はRNA溶出溶液及びRNAプローブ溶液のいずれも使用しない場合の結果である。この結果から、RNAプローブは、本発明の核酸収納容器内で常温常圧で4ヶ月間もの間、変質や分解が少なく安定に保存されており、保存後もRNAプローブとして使用できることがわかる。また、RNAプローブは、保存後も支持体から容易に溶出され回収できることが確認された。
なお、上記容器に代えて、通孔部(貫通孔)24個を碁盤目状に有するポリスチレン樹脂基板(34.25×76×2.8mm)(第1シート)の底面側(容器底部)に、碁盤目状に形成した通孔部の全てが覆われるように、ポリエステル層、アルミニウム層及び接着層(ポリエチレン層)の3層構造を有する積層フィルム(第3シート)(0.05mm)を積層した。次いで、基板の上面側の開口部aから、通孔部の中に、上記で作成した支持体を入れ、上面側の開口部aの全てが覆われるように、表面がシリコーン樹脂でコーティングされたポリエステル樹脂製シート(脱着可能シート)(第2シート)(0.15mm)を、コーティング面を内側にして上面に積層した。斯くして得られた容器の縦断面図を図11に示す。
以上の手順で作成した核酸収納容器を、常温、常圧下で4ヶ月間保存しておいた。
実施例2
セルロース製のろ紙(ワットマン社製、3M)を用い、円柱状(直径2.5mm、厚さ1mm)に切り抜き、支持体とした(図9)。この支持体に、実施例1と同様に0.2μg/μlのRNAプローブ溶液(マウスソニックヘッジホッグのmRNA)を1μl滴下し、常温、常圧下で1時間乾燥させて、RNAプローブが吸着した支持体を24個製造した。
ポリエステル樹脂基板(34.2×76×2.3mm)(第1シート)に直径4mm,深さ2.3mmのウェル24個を設け、更に各ウェルの底に直径2mmの孔を設けた。このポリエステル樹脂製基板の孔を設けた側の表面に、表面がシリコーン樹脂でコーティングされたポリエステル樹脂製のシート(第3シート)を、コーティング面が内側になるように積層して、上記ウェルに設けた孔を塞いだ。次いで基板のウェルの中に、上記で作成したRNAプローブを吸着させた支持体を入れた。次いで、ウェルの開口部を覆うように、ポリアミド樹脂脂層とアルミニウム層を有する積層フィルム(第2シート)を、基板の表面に被せ、ウェルの開口部周辺を加熱し、熱融着させて密閉シールした。得られた容器の縦断面の模式図を図13に示す。この核酸収納容器を常温、常圧にて30日間放置した。30日後、この容器の各ウェルの開口部を覆った積層フィルムを剥がして、RNAプローブを吸着させた支持体を取り出し、ハイブリダイゼーション溶液(組成:50% ホルムアミド、0.1% Triton X-100、5mM EDTA、5×SSC(pH7)、0.1% CHAPS、50μg/ml Heparin、2% Blocking reagent、1μg/ml Yeast tRNA)を入れたチップに入れて浸漬して、RNAプローブを溶出させた。
得られたRNA溶出溶液をそのまま用いて、実施例1と同様の方法でIn situ ハイブリダイゼーションを行った。その結果、RNAプローブは、上記容器内で常温常圧で30日間もの間、変質や分解が少なく安定に保存されており、保存後もRNAプローブとして使用できることが確認された。
実施例3
(1)支持体の調製
抗ジゴケシゲニン(DIG)-アルカリフォスファターゼ(AP)結合抗体(Anti-Digoxigenin-AP, Fab fragments (ロッシュ製)(以下、「Anti-DIG-AP抗体」という)を、50mM のトリエタノールアミンバッファー(3mM NaCl, 1mM MgCl, 0.1mM ZnCl, 1% BSA (w/v), pH7.6)に溶解し、濃度750mU/μlの抗体溶液を調製した。抗体溶液を1μlはかりとって、トレハロース(D(+)-Trehalose Dihydrate:和光純薬工業製)の水溶液と混合し、Anti-DIG-AP抗体とトレハロースの混合溶液を調製した。混合溶液における抗体濃度は150mU/μlであった。また、混合溶液のトレハロース濃度は、0.5、1、2、5、10又は20%(w/v)の各種濃度に調整した。
セルロース製のろ紙(ワットマン社製、3M)を円柱状(直径3mm、高さ1mm)に切り抜き、支持体とした(図9)。この支持体に上記で調製したAnti-DIG-AP抗体とトレハロースとの混合溶液を5μl滴下し、常温常圧下(25℃,1atm)で乾燥させて、蛋白質(Anti-DIG-AP抗体)が付着した支持体を作成した。
(2)蛋白質収納容器の調製
実施例1と同様にして、通孔部(貫通孔)24個を碁盤目状に有するポリスチレン樹脂基板(34.25×76×2.3mm)を金型成形によって作成した(図10参照)。上面側および底面側の開口部の孔径は4mm、内空部の孔径は3mmである。また基板の下面側には、実施例1と同様に開口部bの周囲の縁に沿って突起(突縁)(高さ0.5mm、内円の直径4mm、外円の直径5.2mm)が形成されている。
このポリスチレン樹脂製基板(第1シート)の下面に、碁盤目状に形成した通孔部の全てが覆われるように、ポリエステル層、アルミニウム層及び接着層(ポリエチレン層)の3層構造を有する積層フィルム(第3シート)を積層した。次いで、基板の上面側の開口部aから、通孔部の中に上記で作成した支持体を入れ、上面側の開口部aの全てが覆われるように、表面がシリコーン樹脂でコーティングされたポリエステル樹脂製シート(脱着可能シート)(第2シート)を当該コーティング面を内側にして、下面に積層した(図11参照)。
以上の手順で作成した蛋白質収納容器を、常温、常圧下で1ヶ月間保存しておいた。
(3)保存安定性評価
保存後、基板(第1シート)に積層したフィルム(第3シート)およびポリエステル樹脂製シート(第2シート)を剥がし、ブロッキング溶液(1.5%カゼイン/KTBT)を入れたチップの中に支持体を取り出して、当該溶液に浸漬して、支持体に担持させたAnti-DIG-AP抗体を溶出させた。このときブロッキング溶液中のAnti-DIG-AP抗体の濃度は240mU(即ち0.3mU/μl Anti-DIG-AP抗体 in Blocking液)となるようにした。
得られた抗体溶出溶液をそのまま用いて、以下のIn situ ハイブリダイゼーションを行った。
<In situ ハイブリダイゼーション>
マウス(ddyマウス:日本エスエルシー)から入手した胚(10.75日胚)を前処理した後、100%エタノールで振盪した。StagingはTheiler Stageを元に判断した。4% PFA/PBSにて12時間固定した後に脱水処理を行い,その後,水を加えて再水和した。次いで、プロテインキナーゼ K (10mg/ml)/PBSTを加えて5℃で処理した。次いで、2mg/ml glycine/PBSTを加えて振盪し、更に、PBSTを加えて振盪した。その後、プレハイブリダイゼーション溶液(前記と同じ)で2回共洗いしてから、上記溶出溶液をブロッキング溶液として用いて、68℃で16時間ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション溶液の組成は、50% Foramide, 4× SSC, 2% casein, 0.1% CHAPS, 0.1% Triton X-100, 1μg/ml yeast tRNA/H2Oとした。
次いで、これにKTBTを入れて振盪した後、さらにNTMT液を入れて振盪した。次いで、溶液をNTMT/AP Buffer溶液(NTMT:AP Buffer =1:1)に移し変え、室温でインキュベートした後、更にAP Bufferに移し変え、室温でインキュベートした。発色液(NBT/BCIP)を加え、遮光して、発色が確認できるまでインキュベートした。次いで、PBSTに移し変え、室温でインキュベートした。これに50% エタノール/PBSTを加え、室温でインキュベートした後、エタノールを加えて、さらに、室温でインキュベートして脱色を行なった。50% エタノール/PBSTを加え、振盪した後、PBSTを加えて振盪した。これにグリセロール/PBSTを加えて振盪した後、新しいグリセロール/PBSTを加え、写真撮影を行った。
ポジティブコントロールとして、上記ハイブリダイゼーションにおいて、抗体溶出溶液の代わりに、調製後直ぐのAnti-DIG-AP抗体とトレハロースの混合溶液(抗体濃度15mU/μl、トレハロース濃度:0.5〜20%)を用いて、上記と同様にしてIn situ ハイブリダイゼーションを行った。
In situ ハイブリダイゼーションを行ったマウス胚の写真画像を図14に示す。図14(A)は調製すぐのAnti-DIG-AP抗体とトレハロースの混合溶液を用いた場合、図14(B)は支持体から溶出したAnti-DIG-AP抗体を用いた場合の結果を、溶液中のトレハロース濃度毎に示したものである。
この結果から、Anti-DIG-AP抗体(蛋白質)は、本発明の容器内で常温常圧で少なくとも1ヶ月間もの間、変質や分解が少なく安定に保存されており、保存後も抗体として使用できることが確認された。また、Anti-DIG-AP抗体(蛋白質)は、保存後も支持体から容易に溶出され回収できることが確認された。
実施例4
セルロース製のろ紙(ワットマン社製、3M)を用い、円柱状(直径3mm、厚さ1mm)に切り抜き、支持体とした(図9)。この支持体に、実施例3と同様にして調製したAnti-DIG-AP抗体とトレハロースの混合溶液を5μl滴下し、常温常圧下(25℃、1atm)で乾燥させて、Anti-DIG-AP抗体(蛋白質)が吸着した支持体を24個製造した。
ポリエステル樹脂基板(34.2×76×2.3mm)(第1シート)に直径4mm,深さ2.3mmのウェル24個を設け、更に各ウェルの底に直径2.5mmの孔を設けた。このポリエステル樹脂製基板の孔を設けた側の表面に、表面がシリコーン樹脂でコーティングされたポリエステル樹脂製のシート(第2シート)を、コーティング面が内側になるように積層して、上記ウェルに設けた孔を塞いだ。次いでこのウェルの中に、上記のAnti-DIG-AP抗体を吸着させた支持体を入れた。次いで、ウェルの開口部を覆うように、ポリアミド樹脂脂層とアルミニウム層を有する積層フィルム(第3シート)を基板の表面に被せ、ウェルの開口部周辺を加熱し、熱融着させて密閉シールした(図13参照)。
この蛋白質収納容器を常温、常圧にて1ヶ月間保存した。1ヶ月後、この容器のウェル開口部を覆った積層フィルムを剥がして、ブロッキング溶液(1.5%カゼイン/KTBT)を入れたチップに支持体を取り出して当該溶液に浸漬して、Anti-DIG-AP抗体を溶出させた。このときブロッキング溶液中のAnti-DIG-AP抗体の濃度は240mU(即ち0.3mU/μl Anti-DIG-AP抗体 in Blocking液)となるようにした。
得られた抗体溶出溶液を、そのまま用いて、実施例3と同様の方法でIn situ ハイブリダイゼーションを行った。その結果、Anti-DIG-AP抗体(蛋白質)は、上記容器内で常温常圧で1ヶ月もの間変質や分解が少なく安定に保存されており、保存後も抗体として使用できることが確認された。
実施例5
(1)支持体の調製
セルロース製のろ紙(アドバンテック社製)を円柱状(直径3mm、高さ0.3mm)に切り抜き、支持体とした(図9参照)。次いでこれをオートクレーブして滅菌した(121℃、2気圧、20分)。
大腸菌コロニー(Promega社、DH5α)を滅菌水に懸濁し5%のスキムミルク(和光純薬製)を添加し、大腸菌とスキムミルクの混合溶液を調製した。この大腸菌スキムミルク混合溶液を上記で作成した滅菌処理済み支持体の上に滴下し、真空ポンプを利用して支持体を凍結乾燥した(凍結温度:−80〜−30℃、コールドトラップ温度:−40℃以下、真空度:0.1torr以下)。
(2)微生物収納容器の調製
実施例1と同様にして、通孔部(貫通孔)24個を碁盤目状に有するポリスチレン樹脂基板(34.25×76×2.3mm)を金型成形によって作成した(図10参照)。正面側(上面側)および底面側(下面側)の開口部の孔径は4mm、内空部の孔径は3mmである。また基板の下面側には、実施例1と同様に開口部bの周囲に突縁(高さ0.5mm、内円の直径4mm、外円の直径5.2mm)が形成されている。
このポリスチレン樹脂製基板(第1シート)の下面に、碁盤目状に形成した通孔部の全てが覆われるように、ポリエステル層、アルミニウム層及び接着層(ポリエチレン層)の3層構造を有する積層フィルム(第3シート)を積層した。次いで、基板の上面側の開口部aから、通孔部の中に、上記で作成した大腸菌を付着させた支持体を入れ、上面側の開口部aの全てが覆われるように、表面がシリコーン樹脂でコーティングされたポリエステル樹脂製シート(脱着可能シート)(第2シート)を当該コーティング面を内側にして、下面に積層した(図11参照)。
以上の手順で作成した微生物収納容器を、常温、常圧下で30日間保存した。
(3)保存安定性の評価
保存後、基板(第1シート)に積層したフィルム(第3シート)およびポリエステル樹脂製シート(第2シート)を剥がし、大腸菌付着支持体を、滅菌水を入れた滅菌チップに取り出して当該滅菌水に浸漬させ、大腸菌を溶出させた。大腸菌溶出溶液をそのままLB培地(水1Lあたり、Bacto-trytone 10g, Bacto-yeast extract 5g, NaCl 10g配合、pH7.5)にまいて、大腸菌を培養した。
その結果、大腸菌の増殖が確認された。このことから本発明の容器を用いて、大腸菌を常温で保存することが可能であり、保存後、培養等に利用可能であることが分かった。また、大腸菌(微生物)は、保存後も支持体から容易に溶出され回収できることが確認された。
なお、上記の操作は全て滅菌条件下で行った。またオートクレーブすることが可能な器具はオートクレーブすることで滅菌した(121℃、2気圧、20分)。また実験台やオートクレーブできない器具(例えばピペットマン等)は70%エタノールで拭くことで殺菌した。また大腸菌を寒天培地にまく際に使用するコンラージ棒は火炎滅菌を行った。
実施例6
セルロース製のろ紙(アドバンテック社製、3M)を用い、円柱状(直径3mm、厚さ0.3mm)に切り抜き、支持体とした(図9)。次いでこれをオートクレーブして滅菌した(121℃、2気圧、20分)。この支持体24個に、実施例5と同様にして調製した大腸菌スキムミルク混合溶液を滴下し、凍結乾燥した。
ポリエステル樹脂基板(34.2×76×2.3mm)(第1シート)に直径4mm,深さ2.3mmのウェル24個を設け、更に各ウェルの底に直径2mmの孔を設けた。このポリエステル樹脂製基板の孔を設けた側の表面に、表面がシリコーン樹脂でコーティングされたポリエステル樹脂製のシート(第3シート)を、当該コーティング面が内側になるように積層して、上記ウェルに設けた孔を塞いだ。このウェルの中に、上記の大腸菌を吸着させた支持体を入れた。次いで、ウェルの開口部を覆うように、ポリアミド樹脂脂層及びアルミニウム層を有する積層フィルム(第3シート)をポリエステル樹脂基板の表面に被せ、ウェルの開口部周辺を加熱し、熱融着させて密閉シールした(図13参照)。
この大腸菌収納容器を常温、常圧にて3日間保存した。3日後、この容器のウェル開口部を覆った積層フィルムを剥がして、滅菌水を入れた滅菌チップ内に大腸菌を吸着させた支持体を取り出し、滅菌水に浸漬して、大腸菌を溶出させた。得られた大腸菌溶出溶液を、そのまま、実施例5と同様の方法でLB培地にまいて培養した。その結果、大腸菌は上記容器内で常温で保存可能であることが確認された。
なお、上記の操作は実施例5と同様に全て滅菌条件下で行った。

Claims (24)

  1. 微生物または生体分子(B)を付着しているか又は付着するための支持体(A)、当該支持体を格納するための格納部(D)、第1シート(E)、第2シート(C)および第3シート(F)を有し、
    −上記支持体(A)の厚みは、第1シート(E)の厚みよりも薄く、
    −上記第2シート(C)及び第3シート(F)は、第1シート(E)を挟んでその両側に剥離可能な状態で積層されており
    −上記第1シート(E)には、内周面に支持体(A)を保持する保持部を備えた通孔部が設けられており、
    −上記格納部(D)は、第1シート(E)に設けられた通孔部の開口部が、第2シート(C)及び第3シート(F)によって開口可能な状態で閉塞されることによって形成されており、
    −当該格納部(D)は開口部より内空部が狭窄した形状を有しており、当該狭窄した内空部に形成された格納部(D)内の保持部に、支持体(A)が脱着可能な状態で保持されており、
    −保持部に、支持体(A)を脱着可能な状態で保持する座部を備えた
    容器。
  2. 座部が、第1シート(E)の通孔部の内周面に形成された切り込みによって構成されている請求項1記載の容器。
  3. 座部が、先端が通孔部の内側に向けて突出した突状物によって構成されている請求項1記載の容器。
  4. 格納部(D)は、挿入口と排出口を備えており、
    当該挿入口は、開口部から第1シート(E)に形成されたテーパ面によって逆向き円錐台の形状を有している、請求項1記載の容器。
  5. 第1シート(E)の片面または両面が、当該シート(E)に設けられた通孔部の周縁に沿って突起してなる形状を有する、請求項1記載の容器。
  6. 第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つのシートが、2以上の熱可塑性樹脂層を含む積層シートであるか、又は1以上の熱可塑性樹脂層と1以上の金属層を含む積層シートである請求項1記載の容器。
  7. 支持体(A)を脱着可能な状態で収容した格納部(D)を複数個備える請求項1記載の容器。
  8. 支持体(A)を脱着可能な状態で収容した格納部(D)を複数個、碁盤目状に備えてなる請求項1記載の容器。
  9. 第1シート(E)に、格納部(D)を備える格納体を区分するための分割線、または切り出し可能なように切り出し線が形成されてなる、請求項記載の容器。
  10. 第2シート(C)及び第3シート(F)から選択される少なくとも1つのシートに、格納部(D)を備える格納体に対応して、当該格納体を区分するための分割線、または切り出し可能なように切り出し線が形成されてなる、請求項記載の容器。
  11. マルチウェルプレートである請求項記載の容器。
  12. 支持体が、微生物または生体分子(B)とその安定化剤を保有したものか、または保有するためのものである、請求項1記載の容器。
  13. 微生物または生体分子(B)の収納保存容器であるか、処理容器であるか、または両方を兼ねそなえた容器である、請求項1記載の容器。
  14. 生体分子が、ヌクレオチドを構成成分として含む物質、アミノ酸を構成成分として含む物質または細胞である、請求項1記載の容器。
  15. 下記の工程を有する請求項1記載の容器の作成方法:
    (1)通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
    (2)当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
    (3)上記第1シート(E)を挟んで、その両側に第2シート(C)及び第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の開口部を開口可能な状態で閉塞して、支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
  16. 下記の工程を有する請求項1記載の容器の作成方法:
    (1)通孔部を有する第1シート(E)を作成する工程、
    (2)当該第1シート(E)の通孔部に支持体(A)を収容する工程、および
    (3’)上記第1シート(E)の一面に第3シート(F)を剥離可能な状態で積層することにより、当該第1シート(E)の通孔部の一方の開口部を開口可能な状態で閉塞する工程、
    (4’)上記支持体(A)に微生物または生体分子(B)を付着させる工程、および
    (5’)第1シート(E)の他面に、第2シート(C)を剥離可能な状態で積層することにより、第1シート(E)の通孔部の他方の開口部を開口可能な状態で閉塞して、微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収納した格納部(D)を形成する工程。
  17. 格納部(D)に微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収容してなる請求項1記載の容器の使用方法であって、(1)格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程を有する方法。
  18. さらに下記の工程を有する、請求項17記載の方法:
    (2)上記格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程の前に、支持体(A)が収容された格納部(D)内に溶液を入れる工程、
    (3)上記格納部(D)から支持体(A)を取り出す工程の後に、必要に応じて取り出した支持体(A)を溶液と接触させて、支持体(A)に付着した微生物または生体分子(B)を溶出する工程。
  19. 支持体(A)を取り出す工程が、第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つのシートの少なくとも1部を第1シート(E)から剥離して、支持体(A)を取り出す工程である、請求項17に記載の容器の使用方法。
  20. 支持体(A)を取り出す工程が、第2シート(C)及び第3シート(F)の少なくとも1つのシートの少なくとも1部を第1シート(E)から剥離して、第1シート(E)に形成された通孔部の上から下に、支持体(A)を押出して取り出す工程である、請求項17に記載する容器の使用方法。
  21. 格納部(D)に微生物または生体分子(B)を付着した支持体(A)を収容してなる請求項1記載の容器の使用方法であって、
    (a)支持体(A)が収容された格納部(D)内に、溶液を入れる工程、及び
    (b)格納部(D)内で、当該溶液中に支持体(A)に付着した前記微生物または生体分子(B)を溶出させる工程を有する方法。
  22. 格納部(D)内に溶液を入れる工程が、第2シート(C)または第3シート(F)の1つのシートの少なくとも1部を第1シート(E)から剥離して溶液を入れる工程である請求項21に記載の容器の使用方法。
  23. (c)格納部(D)内に溶液を入れた後、第1シート(E)から剥離したシートを再び第1シート(E)に積層する工程を有する、請求項22に記載の容器の使用方法。
  24. 溶液が微生物または生体分子(B)と反応する成分を含有するものであって、さらに、(d)格納部(D)内で微生物または生体分子(B)と入れた溶液中の上記成分との反応を行う工程を有する請求項23に記載の容器の使用方法。
JP2006546627A 2004-12-03 2005-12-02 微生物または生体分子の収容容器、並びにその作成方法及び使用方法 Active JP4719892B2 (ja)

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