明 細 書 有機—無機複合イオン伝導膜 技術分野
本発明は、 特定の組合せのモノマーから構成されたポリオルガノシロキサンと 、 これに均一に分散させた特定のイオン性置換基を有する有機ポリマーとからな る、 有機一無機複合材料、 及びこれを用いたイオン伝導体及び高分子固 電解質 に関する。
背景技術
イオン伝導体及び高分子固体電解質よりなる膜として、 パールフルォロアルキ ルスルホン酸膜等が使用されている力 それらの膜には、 耐熱性が不十分である という問題がある。 耐熱性を向上させたイオン伝導膜及び高分子固体電解質膜を 得るために、 有機一無機複合材料の適用が模索されているが、 イオン伝導膜又は 高分子固体電解質膜として適した有機一無機複合材料は、 未だ知られていない。 すなわち、 有機—無機複合材料による高分子固体電解質膜として、 例えば、 特 開昭 6 3— 5 5 8 1 0号公報には、 メチルハイドロジェンシリコーンに、 メタク リル酸ポリエチレンォキシドをグラフ卜重合させた反応物と無機イオン塩とから なるものが記載されている。 また、 特開平 1 1一 2 3 2 9 2 5号公報には、 オル ガノポリシロキサンの存在下、 (メタ) アクリル酸アルキルエステル等を重合す ることによって得られる重合体に、 リチウム電解質塩を含有する有機電解液を含 浸させてなるものが記載されている。 しかしながら、 これらの有機一無機複合材 料は、 有機成分と無機成分との相溶性が悪く、 そのため、 製造が困難であるとい う問題を有するものであった。
上記背景の下で、 本発明は、 ポリオルガノシロキサンとイオン性置換基を有す る有機ポリマーとからなる有機一無機複合材料であって、 製造が容易であり、 し かも、 イオン伝導性、 耐熱性及び柔軟性に優れたイオン伝導性材料を、 更には、 膜形成が容易であるィォン伝導性材料を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者等は、 特定のアルコキシシランを、 特定のイオン性置換基を有する有 機ポリマーの存在下に加水分解及び重縮合して得られるゾル溶液を乾燥させて固 化させることによって得られる有機一無機複合材料が、 イオン伝導性、 耐熱性及 び柔軟性に優れたイオン伝導膜とできること、 更に重縮合に際して親水性ポリマ 一を反応系に共存させておくことによって、 膜形成を容易にすることができるこ とを見出し、 これらの知見に基いて下記の本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
(1 ) 式: XnS i (OR) 4_n (式中、 Xはフエニル基を、 Rは炭素数"!〜 3 のアルキル基を、 及び、 nは 1又は 2を表す。 ) で示されるシラン化合物に、 水 、 及び、 置換された又は無置換のフエ二ル基を有する有機ポリマー (ただし、 該 フェニル基のうち 30モル%以上に _ S O 3M基が結合しておリ、 ここに Mは、 H、 N a、 し i、 K又は NH4を表す。 ) を加えることにより、 加水分解された 該シラン化合物の重縮合を該置換された又は無置換のフエ二ル基を有する有機ポ リマーの存在下において行うステップと、 これにより得られたゾル溶液を乾燥さ せて固化させるステップとを含む方法により得られる、 有機一無機複合材料、
(2) 反応系に親水性ポリマーを含有させることにより、 加水分解された該シラ ン化合物の重縮合を該有機ポリマー及び該親水性ポリマーの存在下において行わ せるものである、 上記 (1) の有機一無機複合材料、
(3) 該シラン化合物の 40重量部に対して、 該置換又は無置換のフヱニル基を 有する有機ポリマーを 1〜25重量部用いるものである、 上記 (1 ) 又は (2) の有機一無機複合材料、
(4) S ί原子あたり 1個又は 2個のフエ二ル基を S i原子に結合して有するポ リオルガノシロキサン中に、 置換された又は無置換のフエ二ル基を有する有機ポ リマー (ただし、 該フ; £ニル基のうち 30モル%以上に一 S03M基が結合して おり、 ここに Mは、 H、 N a、 L ί、 Κ又は ΝΗ4を表す。 ) が均一に分散され てなる、 有機一無機複合材料、
(5) S ί原子あたり 1個又は 2個のフエ二ル基を S i原子に結合して有するポ リオルガノシロキサン中に、 置換された又は無置換のフエ二ル基を有する有機ポ リマ一 (ただし、 該フエニル基のうち 30モル%以上に一 S03M基が結合して おり、 ここに Mは、 H、 N a、 L i、 K又は NH4を表す。 ) 及び親水性ポリマ 一が均一に分散されてなる、 有機—無機複合材料、
( 6 ) 該置換された又は無置換のフ: L二ル基を有する有機ポリマーがポリスチレ ンスルホン酸又はその塩である、 上記 (1 ) ないし (5) の何れかの有機一無機 複合材料、
(7) 該親水性ポリマーが、 ポリエチレングリコール、 ポリプロピレングリコー ル、 エチレングリコールとプロピレングリコールから得られる共重合ポリマー及 びポリビニルアルコールよりなる群より選ばれるものである、 上記 (1 ) ないし
(6) の何れかの有機—無機複合材料、
(8) 温度 25°C、 相対湿度 60%において LCRメータにより 1 , OO OH z で測定した電気伝導度が 1 X 1 0:4SZcm以上である、 上記 (1 ) ないし ( 7) の何れかの有機一無機複合材料、 及び
(9) 上記 (1 ) ないし (8) の何れかの有機一無機複合材料よりなるイオン伝 を提供する。
上記各構成になる本発明の有機一無機複合材料及びこれからなるイオン伝導膜 は、 ポリオルガノシロキサンのマトリックス中に、 イオン性置換基である一 SO 3M (Mは、 H、 N a、 L し K又は NH4を表す。 ) 基を有する有機ポリマー がイオン伝導パスを形成しており、 その結果、 優れたイオン伝導性が得られる。 しかも、 該材料及び該イオン伝導膜は、 ポリオルガノシロキサンのマトリックス に基くものであることから、 耐熱性及び柔軟性に優れる。 また、 親水性ポリマー の添加によリ、 該複合材料及びイオン伝導膜のイオン伝導パスの性能が更に向上 するほか、 その膜成形性も向上することにより、 膜形態での使用に特に適したも のとなる。
更にまた、 本発明者等は、 特定のアルコキシシランとフエ二ル基を有するシラ
ン化合物とを加水分解及び重縮合反応に付しつつ、 反応の途中で特定のイオン性 置換基を備えたフエ二ル基を有する有機ポリマーを加え、 その存在下に反応を続 行させることにより、 各成分が均一に混合したゾル溶液を得ることができ、 得ら れたゾル溶液を乾燥させて固化させることによって得られる有機一無機複合材料 が、 イオン伝導性、 耐熱性及び柔軟性に優れたイオン伝導膜とすることのできる ものであり、 更に、 膜形成を容易化できるものであることを見出し、 これらの知 見に基づき下記の本発明を完成させた。
すなわち本発明は、 更に、
(1 0) 式: R' mS ί (OR" ) 4_m (R, , R" は炭素数 1〜3のアルキル 基を、 及び、 mは 0〜2の整数を表す。 ) で示されるシラン化合物 Aに水を加え ることにより、 該シラン化合物 Aの加水分解及び重縮合反応を進行させるステツ プと、 該反応の途中において、 反応混合物に式: XnS i (OR) 4_n (式中、 Xはフ Iニル基を、 Rは炭素数 1〜 3のアルキル基を、 及び nは 1又は 2を表す 。 ) で示されるシラン化合物 Bを加えて混合することによリ該シラン化合物巳の 加水分解及び重縮合反応をも同時に行わせつつ、 反応混合物に更に、 水、 及び、 フエ二ル基を有する有機ポリマー (但し、 該フヱニル基のうち 45モル%以上に — S〇3M基が結合しており、 ここに Mは、 H、 N a、 L i、 K又は NH4を表 す。 ) を加えて混合することにより、 該シラン化合物 A及び該シラン化合物 Bの その後の加水分解及び重縮合反応を該フエ二ル基を有する有機ポリマーの存在下 において更に進行させるステップと、 これにより得られたゾル溶液を乾燥させて 固化させるステップとを含む方法によって得られる、 共重合ポリオルガノシロキ サン中に有機ポリマーが分散されてなる有機一無機複合材料、
(1 1 ) 該シラン化合物 Aの 1 0重量部に対して、 該シラン化合物 Bを 2〜1 0 重量部、 該有機ポリマーを 1〜6重量部用いるものである、 上記 (1 0) の有機 一無機複合材料、
(1 2) S ί原子あたり 1個又は 2個のフエ二ル基を S i原子に結合して有する 繰り返し単位と、 S i原子あたり 0〜2個の炭素数 1〜3のアルキル基を S ί原 子に結合して有する繰り返し単位とを含んでなる共重合ポリオルガノシロキサン
中に、 フヱニル基を有する有機ポリマー (但し、 該フヱニル基のうち 45モル% 以上に一 S03M基力結合しており、 ここに Mは、 H、 N a、. L i、 K又は NH 4を表す。 ) が均一に分散されてなる、 有機一無機複合材料、
(1 3) 該共重合ポリオルガノシロキサンにおける、 S i原子あたり 1個又は 2 個のフエ二ル基を S i原子に結合して有する繰り返し単位の比率が、 S i原子に 基く全ての繰り返し単位の 1 0〜40モル%である、 上記 (1 0) ないし (1 2 ) の何れかの有機一無機複合材料、
(1 4) 該フ I二ル基を有する有機ポリマーが、 ポリスチレンスルホン酸若しく はその塩、 又は、 スチレンスルホン酸若しくはその塩と 2—ヒドロキシェチルメ タクリレート、 メタクリル酸、 若しくはメタクリル酸ナトリウムとの共重合ポリ マーである、 上記 (1 0) ないし (1 3) の何れかの有機一無機複合材料、
(1 5) 該フヱ二ル基を有する有機ポリマーが、 ポリスチレンスルホン酸若しく はその塩、 又は、 スチレンスルホン酸若しくはその塩と 2—ヒドロキシェチルメ タクリレート、 メタクリル酸、 若しくはメタクリル酸ナトリウムとの共重合ポリ マーであり、 該有機ポリマーにおける、 スチレンスルホン酸又はその塩よりなる モノマー単位の比率が、 該有機ポリマーを構成する全モノマー単位の 40〜 75 モル%である、 上記 (1 4) の有機一無機複合材料、
(1 6) 該ポリオルガノシロキサンと該有機ポリマーとの重量比が、 該ポリオル ガノシロキサン:該有機ポリマー = 1 0 : "!〜 1 0 : 1 0である、 上記 (1 0) ないし (1 5) の何れかの有機一無機複合材料、
(1 7) 温度 25°C、 相対湿度 60%において測定した電気伝導度が 1 X 1 0一 6SZcm以上である、 上記 (1 0) ないし (1 6) の何れかの有機一無機複合 材料、 及び
(1 8) 温度 40°C、 相対湿度 95%において測定した電気伝導度が 1 X 1 0_ 6SZcm以上である、 上記 (1 0) ないし (1 6) の何れかの有機一無機複合 材料、 及び
(1 9) 上記 (1 0) ないし (1 8) の何れかの有機一無機複合材料よりなるィ オン伝導膜、
を提供する。
上記構成になる本発明の有機一無機複合材料及びこれからなるイオン伝導膜は 、 ポリオルガノシロキサンのマトリックス中に、 イオン性置換基である一s o 3 M基 (ここに、 Mは、 H、 N a、 L i、 K又は N H 4を表す。 ) を有する有機ポ リマーがイオン伝導パスを形成しており、 その結果、 優れたイオン伝導性が得ら れる。 また該有機—無機複合材料及び該イオン伝導膜は、 ポリオルガノシロキサ ンのマトリックスに基くものであることから、 耐熱性及び柔軟性に優れる。 しか も特定のアルコキシシランを組合わせてポリオルガノシロキサンのマ卜リックス を構成したことにより、 耐熱性及び膜形成性が更に向上している。 更に、 有機ポ リマーとして、 スチレンスルホン酸若しくはその塩と 2—ヒドロキシェチルメタ クリレート、 メタクリル酸、 若しくはメタクリル酸ナトリウムとの共重合ポリマ 一を用いたときは、 材料の強度、 耐水蒸気性、 耐溶剤性が向上し、 強度の高い伝 導膜を形成することができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明において、 「有機ポリマー」 とは、 炭素一炭素結合を主鎖として有する ポリマーをいう。
上記 い) 〜 (9 ) に規定し^本発明の有機一無機複合材料を構成する有機成 分である一 S 0 3 M基 (Mは、 H、 N a、 L i、 K又は N H 4を表す。 ) の結合 したフ 二ル基を有する有機ポリマーと、 本発明の有機一無機複合材料を構成す る無機成分であるフエ二ル基を有するシラン化合物から得られるポリオルガノシ ロキサンとは、 共にフエ二ル基を有している。 これらの組合せを用いた結果、 有 機ポリマーのフエニル基とポリオルガノシロキサンのフエニル基との間のスタッ キング、 すなわち 7Γ— 7Γ電子相互作用を利用して、 これら物性を異にする本来相 溶性のない 2種のポリマー同士を、 相互にナノレベルで均一に分散させることが 可能となり、 これを用いてイオン性置換基である一 S 0 3 M基を有する有機ポリ マーを有機一無機複合材料中に均一に分布させてある。
上記 (1 ) 〜 (9 ) に規定した本発明の有機一無機複合材料は、 式: X n S ί ( O R) 4_ n (式中、 Xはフエニル基を、 Rは炭素数 1〜 3のアルキル基を、 及
び、 nは 1又は 2を表す。 ) で示されるシラン化合物に、 水、 及び、 置換された 又は無置換のフ: r二ル基を有する有機ポリマー (ただし、 該フヱニル基のうち 3 0モル%以上に一 S03M基が結合しており、 ここに Mは、 H、 N a、 L i、 K 又は ΝΗ4を表す。 ) を加えることにより、 該シラン化合物を加水分解すると共 に、 加水分解されたシラン化合物を該有機ポリマーの存在下において重縮合させ て、 該有機ポリマーをナノレベルで均一に分散して含んだポリオルガノシロキサ ンを生成させ、 生じたゾル溶液を乾燥させて固化させることによって製造するこ とができる。 得られた有機一無機複合材料はまた、 該有機ポリマーが有する一 S 03Μ基中の Μを、 H+、 N a+、 L i +、 K+又は N H 4+のうち他のイオンを含 有する水溶液等に浸漬することにより、 該他のイオンで置換してもよい。
上記において、 シラン化合物としては、 フエニルトリエトキシシラン、 フエ二 ルトリメ トキシシラン、 ジフエ二ルジェトキシシラン、 ジフエ二ルジメ トキシシ ランが挙げられる。 これらのうち、 フエニルトリエトキシシラン、 フエニルトリ メ トキシシランが特に好ましい。 該シラン化合物中のフエニル基は、 本発明の目 的に反しない限り、 置換基を有していてもよい。
上記において、 置換された又は無置換のフ: π二ル基を有する有機ポリマーとし ては、 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、 ポリスチレンスルホン酸リチウム、 ポリスチレンスルホン酸カリウム、 ポリスチレンスルホン酸、 ポリスチレンスル ホン酸アンモニゥム等が挙げられる。 これらのうち特に好ましい一例は、 ポリス チレンスルホン酸ナトリウムである。 なお、 有機ポリマーとしてフエニル基の全 てに一 SO 3M基が結合するものを用いてもナノレベルの均一な分散が得られる 。 本発明において、 ナノレベルの分散は、 シラン化合物のフエニル基と有機ポリ マーのフエニル基との間のスタッキングによるものであるから、 一 S03M基の 結合しているのがー部のフエニル基に止まる場合も、 ナノレベルの均一な分散が 得られるが、 高いイオン伝導性を維持するためには、 フエニル基の 30モル%以 上に一 S〇3M基が結合していることが好ましい。 実験の結果、 そのような有機 ポリマーの平均分子量は、 約 50, 000〜約 600, 000の範囲にあるのが 有利であることが認められる。
上記において、 有機一無機複合材料の一構成要素として親水性ポリマー用いる 場合には、 加水分解されたシラン化合物の重縮合によるポリオルガノシロキサン の生成に際して、 反応系に親水性ポリマーが共存し、 その結果これが生成中のポ リオルガノシロキサンマトリックス中に分散して取リ込まれることになるよう、 加水分解又は重縮合の過程で反応系に添加すればよい。
上記において、 「親水性ポリマー」 とは、 上記置換された又は無置換のフエ二 ル基を有する有機ポリマー以外の、 水に対して親和性のポリマーをいい、 例えば 、 ポリエチレングリコール、 ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリ コール、 アルキレングリコールの 2種以上、 例えばエチレングリコール及びプロ ピレンダリコールからなる共重合ポリマー (ブロック共重合、 グラフト共重合を 含む) 、 及びポリビニルアルコール等が挙げられるが、 これらに限定されない。 これらのうち、 ポリエチレングリコールが特に好ましい。 ポリエチレングリコー ルの平均分子量としては、 6 0 0〜5 0 0 , 0 0 0であってよく、 特に好ましい 範囲は、 2 , 0 0 0〜2 0 , 0 0 0である。
上記において、 シラン化合物は、 メチルアルコール、 エチルアルコール、 n— プロピルアルコール、 イソプロピルアルコール、 n—ブチルアルコール又はこれ らの混合物等のような、 親水性有機溶媒に溶解させたものを反応に使用すること が好ましい。
上記において、 置換された又は無置換のフエ二ル基を有する有機ポリマー及び 親水性ポリマーは、 水、 メチルアルコール、 エチルアルコール、 n—プロピルァ ルコール、 ィソプロピルアルコール又はこれらの混合物に溶解させて使用するこ とが好ましい。 シラン化合物及び有機ポリマー及び親水性ポリマーの溶媒を上記 のように選択することによって、 シラン化合物と有機ポリマー及び親水性ポリマ 一を均一にナノレベルで分散させることが容易となる。
上記発明の有機一無機複合材料の製造における各成分の使用量比率としては、 式: X n S i ( O R ) 4_ n (式中、 Xはフエニル基を、 Rは炭素数 1〜3のアル キル基を、 及び、 nは 1又は 2を表す。 ) で示されるシラン化合物 4 0重量部、 置換された又は無置換のフエ二ル基を有する有機ポリマー (ただし、 該フエニル
基のうち 30モル0 /o以上に一 S03M基が結合しており、 ここに Mは、 H、 N a 、 し K又は NH4を表す。 ) 1〜25重量部、 及び水 40〜80重量部とす るのが好ましい。 親水性ポリマーを更に加える場合には、 その添加量は 1〜25 重量部とするのが好ましい。
上記 (1 0) 〜 (1 9) に規定した本発明の有機一無機複合材料においては、 上記 7Γ— 7Γ電子相互作用の利用によりポリオルガノシロキサン中に有機ポリマー のナノレベルでの均一な分散が得られることに加えて、 有機ポリマーとして 2— ヒドロキシェチルメタクリレート、 メタクリル酸又はメタクリル酸ナトリウムを 一成分とする共重合ポリマーを用いたときは、 シラン化合物の加水分解〜重縮合 の過程で生成するヒドロキシル基と、 有機ポリマー中のカルボニル基又はカルボ キシル基と水素結合を形成することを利用して、 材料の強度の向上がもたらされ るものである。
上記 (1 0) 〜 (1 9) に規定した本発明の有機一無機複合材料は次のように して製造することができる。 すなわち、 式: R' mS i (OR" ) 4_m (R' , R" は炭素数 1〜 3のアルキル基を、 及び、 mは 0〜2の整数を表す。 ) で示さ れるシラン化合物 Aに水を加え、 それにより、 該シラン化合物 Aの加水分解及び 重縮合反応を先ず進行させる。 次いで、 反応の途中において、 反応混合物に式: XnS i (OR) 4_n (式中、 Xはフエニル基を、 Rは炭素数 1〜3のアルキル 基を、 及び nは 1又は 2を表す。 ) で示されるシラン化合物 Bを加えて混合する ことにより、 シラン化合物 Aの更なる反応の進行と同時に言亥シラン化合物 Bの加 水分解及び重縮合反応を行わせつつ、 反応混合物に更に水、 及び、 フエ二ル基を 有する有機ポリマ一 (但し、 該フエニル基のうち 45モル%以上に一 S03M基 が結合しており、 ここに Mは、 H、 N a、 L i、 K又は NH4を表す。 ) を加え て混合する。 これにより、 該シラン化合物 A及び該シランィ匕合物 Bのそれ以降の 加水分解及び重縮合反応が、 該フ: r二ル基を有する有機ポリマーと混和した状態 で更に進行し、 その結果、 該有機ポリマーをナノレベルで均一に分散して含んだ 共重合ポリオルガノシロキサンが生成する。 こうして得られたゾル溶液を適宜の 方法で乾燥させて固化させることにより、 有機一無機複合ネオ料が得られる。 得ら
れた有機一無機複合材料はまた、 該有機ポリマーが有する一 S03M基中の Mを H+、 N a+、 L i +、 K+又は N H4+のうち、 他のイオンを含有する水溶液等に 浸漬することにより、 該他のイオンで置換してもよい。
上記の製造工程において、 シラン化合物 Aへの水の添加により、 加水分解によ るシラノール化合物の生成と、 生成したシラノール化合物同士の重縮合が開始さ れる。 シラン化合物 A : R' mS i (OR" ) 4— mにおいて、 その一 OR" 基 1 個を一 OH基及び HOR" へと加水分解するためには、 1個の H20分子が必要 である。 また、 2個のシラノール化合物の一 OH基各 1個同士の間での重縮合が 起こり S i -O-S i結合が形成すると、 1個の H20が放出される (すなわち シラノール 1分子あたり H20分子 1 2個) 。 従って、 シラン化合物 Aの有す る一 OR" 基 1個が加水分解され次いで重縮合に与るためには、 1 2個の H2 O分子を要する。 シラン化合物 Aは一 OR" 基を 4— m個 (m=0〜2) 有する ことから、 シラン化合物 Aの 1モル力《加水分解され次いで完全に重縮合するとき に消費される正味の H20のモル数は、 (4— m) 2モルである。 例えば、 シ ラン化合物 Aがテトラエトキシシラン S i (OE t) 4 (分子量 =208.3) の場 合、 1モル (208,3g) の加水分解及び重縮合が完全に行われる場合に消費され る H20量は、 2モル (36.0g) である。 但し、 シラン化合物 Aの加水分解と重 縮合とは、 完全にリンクして同時並行的に進行■完結するわけではないから、 1 モルのシラン化合物 Aについて、 反応を完了させるに要する H20量は、 上記 ( 4-m) 2モルと、 シラン化合物 Aの全ての一 OR" 基が先ず完全に加水分解 するに必要な量である (4— m) モルとの、 中間の値となり、 そのような値より 水の量が少ないときは、 加水分解及び重縮合の反応は完結しない。
上記の製造工程において、 シラン化合物 Aに水を加えて加水分解及び重縮合反 応を開始させた後、 重縮合反応が完結するより十分に早い、 途中の段階で次のス テツプであるシラン化合物 B等の添加を行うためには、 例えばシラン化合物 Aに 反応を完結させるに十分量の水を加えた上で、 不十分な反応時間の後に次のステ ップに移ることにより行ってもよく、 またシラン化合物 Aに最初に加える水の量 を、 完全な加水分解と重縮合に理論上不可欠な水量よリ少なくすることによって
もよい。 これは、 そのような理論上必要な量の、 例えば、 3 0〜9 0 %、 より好 ましくは 3 5〜7 5 %等とすることによって容易に行うことができる。 また、 反 応時間と水の量との双方を、 更には触媒量を、 適宜調節してもよい。 シラン化合 物 Aの加水分解及び重縮合反応中の任意の時点における重合の進行状況は、 反応 混合物をサンプリングし、 ゲル濾過クロマトグラフィーによって生成物の分子量 分布をみることによって知ることができる。 従って、 反応時間の調節をする場合 には、 一定の条件下の反応の進行状況を経時的にゲル濾過クロマトグラフィ一に より確認しておけば、 同一条件下での以後の反応時間は、 それらの結果に基づい て設定することができる。
シラン化合物 Bの添加に続く水及び有機ポリマーの添加は、 シラン化合物の添 加後直ちに行ってもよく、 シラン化合物 Bの添加後所定時間 (例えば 3 0分間) 撹拌した後に行ってもよい。
シラン化合物 Aの代表例としては、 メチルトリエトキシシラン、 メチルトリメ トキシシラン、 テトラエトキシシラン及びテトラメ トキシシランが挙げられる。 これらのうち、 テトラエトキシシランが特に好ましい。
シラン化合物 Bの代表例としては、 フエニルトリエトキシシラン、 フエニルト リメ トキシシラン、 ジフエ二ルジェ卜キシシラン及びジフエ二ルジメ トキシシラ ンカ《挙げられる。 これらのうち、 フエニルトリエトキシシラン及びフエニルトリ メ トキシシランが特に好ましい。 該シラン化合物 B中のフエニル基は、 本発明の 目的に反しない限り、 置換基を有していてもよい。
フエ二ル基を有する有機ポリマーの代表例としては、 ポリスチレンスルホン酸 ナトリウム、 ポリスチレンスルホン酸リチウム、 ポリスチレンスルホン酸力リウ ム、 ポリスチレンスルホン酸、 ポリスチレンスルホン酸アンモニゥム等のホモポ リマー、 及び、 スチレンスルホン酸又はその塩 (ナトリウム塩、 リチウム塩、 力 リウム塩、 アンモニゥム塩等) と、 2—ヒドロキシェチルメタクリレー卜、 メタ クリル酸、 又はメタクリル酸ナトリウムとから得られる共重合ポリマーが挙げら れる。 これらのうち、 特に好ましい一例は、 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム と 2—ヒドロキシェチルメタクリレートとの共重合ポリマーである。 フエニル基
を有する有機ポリマーがそれら共重合ポリマーである場合、 ポリオルガノシロキ サンの有するフエニル基とのスタツキング、 イオン伝導性、 及びポリオルガノシ 口キサン中の水酸基とメタクリル酸系のモノマー単位との間の前述の水素結合の 有利な効果を全体として十分に発揮させるためには、 該有機ポリマーにおけるス チレンスルホン酸又はその塩よりなるモノマー単位の比率は、 該フヱ二ル基を有 する有機ポリマーを構成する全モノマー単位の 30〜75モル%とすることが好 ましく、 40〜 75モル%とすることがより好ましく、 45〜55モル%とする ことが更に好ましい。
上記 (1 0) 〜 (1 9) に規定した本発明において、 シラン化合物は、 メチル アルコール、 エチルアルコール、 n—プロピルアルコール、 イソプロピルアルコ ール又はこれらの混合物等のような、 親水性有機溶媒に溶解させたものを反応に 使用するのが好ましい。 特に好ましい一例は、 水の添加量を少なくでき、 例えば 成膜する場合に乾燥を早めることができること等から、 メチルアルコールである また上記 (1 0) 〜 (1 9) に規定した本発明において、 上記フエ二ル基を有 する有機ポリマーは、 水、 又は、 メチルアルコール、 エチルアルコール、 n—プ 口ピルアルコール、 イソプロピルアルコール又はこれらの混合物等のような、 親 水性有機溶媒に溶解させて反応に使用することが好ましい。
上記 (1 0) 〜 (1 9) に規定した本発明の有機一無機複合材料の製造におけ る各成分の使用比率としては、 式: R' mS i (OR" ) 4_m (R' , R" は炭 素数 1〜3のアルキル基を、 及び、 mは 0〜2の整数を表す。 ) で示されるシラ ン化合物 Aの 1 0重量部あたり、 式: XnS i (OR) 4_n (式中、 Xはフエ二 ル基を、 Rは炭素数 1〜 3のアルキル基を、 及び nは 1又は 2を表す。 ) で示さ れるシラン化合物 B2〜10重量部、 フエ二ル基を有する有機ポリマー (但し、 該フエ二ル基のうち 25モル%以上に一 S03M基力《結合しており、 ここに Mは 、 H、 N a、 L i、 K又は NH4を表す。 ) 1 ~6重量部、 及び水 2〜 20重量 部とするのが好ましい。
以上に記載された本発明において、 シラン化合物の加水分解及び重縮合は、 水
及び、 好ましくは、 塩酸、 硝酸、 硫酸等のような無機酸、 又は酢酸、 モノクロ口 酢酸、 P—トルエンスルホン酸等のような有機酸等の酸触媒、 又は、 ァセチルァ セトナトアルミニウム等の金属 ジケトン錯体を用いて行うことができる。 本発明の有機一無機複合材料よりなるイオン伝導膜を作製する場合、 その成膜 方法は特に限定されなし、が、 例えば、 反応によって得られたゾル溶液をドクター ブレード等を用いて亍フロン (登録商標) シート、 ポリエチレンテレフタレート フイルム、 ガラス板その他、 適宜な支持体の上に塗布するか、 又はそのような材 質からなる浅い型に薄く流し込み、 室温で風乾させるか又は穩かに加温 (例えば 4 0 °C) する等して乾燥させればよい。
本発明の有機一無機複合材料を構成する有機成分である有機ポリマーにおいて 、 該有機ポリマーが有するフヱニル基のうち、 一 S 0 3 M基 (Mは、 H、 N a、 L i、 K又は N H 4を表す。 ) が結合したものの比率は、 例えば、 該有機一無機 複合材料を溶媒抽出して有機ポリマ一を取出し、 1 H N M Rおよび S元素分析に よリ定量することにより測定することができる。
また、 本発明の有機一無機複合材料を構成する無機成分であるポリオルガノシ ロキサン成分について、 S ί原子に基く全ての繰り返し単位のうち、 1個又は 2 個のフヱニル基を S i原子に結合して有する繰り返し単位の比率は、 例えば、 該 有機一無機複合材料を溶媒抽出して有機ポリマーを除去し、 1 H N M Rにより定 量することにより測定することができる。
また、 本発明の有機一無機複合材料を構成するポリオルガノシロキサンと有機 ポリマーとの重量比は、 例えば、 該有機一無機複合材料を溶媒抽出して有機ポリ マーを取出し、 有機ポリマーと残ったポリオルガノシロキサンを定量することに より測定することができる。
本発明による有機一無機複合材料の電気伝導度は、 L C Rメーター等を用い、 例えば、 温度 2 5 °C、 相対湿度 6 0 %、 周波数 1 2 0〜"! 0 , O O O H z、 典型 的には 1 0 0 O H zで測定することができる。 また例えば、 インピーダンスアナ ライザ一 (例えば、 アジレントテクノロジ一社、 4 2 9 4 A) を用いて、 例えば 、 温度 4 0 °C、 相対湿度 9 5 %等の条件での電気伝導度を測定してもよい。
〔実施例〕
以下、 代表的な実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、 本発明がそ れらの実施例に限定されることは意図しない。 なお、 実施例中、 「部」 は、 「重 量部」 を示す。
〔実施例 1〕
フエニルトリエトキシシラン (信越化学 (株) ) 42部とメタノール 78部を 混合した。 これに水 35部及び 1 M硝酸 0. 2部を加え、 室温にて約 1時間撹拌 した。 次いでポリスチレンスルホン酸ナトリウム (東ソ一 (株) :平均分子量 5 00, 000) 9部及び水 36部並びにポリエチレングリコール (平均分子量 2 , 000) 4. 2部を加えて約 10分間撹拌し、 液が透明化してから更に約 1時 間撹拌した。 得られた溶液を、 水平に置いた内径 5 cmのテフロン (登録商標) 製シャーレに 3 g注入することによリシヤーレ内に均一に広げ、 40°Cで 1 2時 間乾燥させて固化させ、 厚さ約 200 imの膜を得た (水分含量 7. 7%) 。 こ の膜の電気伝導度を LCRメータ一により、 温度 25°C、 相対湿度 60%、 周波 数 1 , 000 H zで測定した。 結果は表 1に示す。
〔実施例 2〕
フエニルトリメ トキシシラン (信越化学 (株) ) 35部とメタノール 78部を 混合した。 これに水 35部及び 1 M硝酸 0. 2部を加え、 室温にて約 1時間撹拌 した。 次いでポリスチレンスルホン酸ナトリウム (東ソ一 (株) :平均分子量 5 00, 000) 9部及び水 36部並びにポリエチレングリコール (平均分子量 2 , 000) 3. 5部を加えて約 1 0分間撹拌し、 液が透明化してから更に約 1時 間撹拌した。 得られた溶液を、 水平に置いた内径 5 cmのテフロン (登録商標) 製シャーレに 3 g注入することによりシャーレ内に均一に広げ、 40°Cで 1 2時 間乾燥させて固化させ、 厚さ約 200^ΓΠの膜を得た (水分含量 8. 0%) 。 こ の膜の電気伝導度を LCRメーターにより、 温度 25¾、 相対湿度 60%、 周波 数 1 , 00 ΟΗ ζで測定した。 結果は表 1に示す。
〔実施例 3 ]
フエニルトリエトキシシラン (信越化学 (株) ) 42部とメタノール 78部を 混合した。 これに水 35部及び 1 M硝酸 0. 2部を加え、 室温にて約 1時間撹拌 した。 次いでポリスチレンスルホン酸ナトリウム (東ソ一 (株) :平均分子量 5 00, 000) 9部及び水 36部並びにポリエチレングリコール (平均分子量 2 0, 000) 4. 2部を加えて約 1 0分間撹拌し、 液が透明化してから更に約 1 時間撹拌した。 得られた溶液を、 水平に置いた内径 5 cmのテフロン (登録商標 ) 製シャーレに 3 g注入することによりシャーレ内に均一に広げ、 40°Cで 1 2 時間乾燥させて固化させ、 厚さ約 200jt mの膜を得た (水分含量 7. 5%) 。 この膜の電気伝導度を LCRメーターにより、 温度 25°C、 相対湿度 60%、 周 波数 1 , 000 H zで測定した。 結果は表 1に示す。 表 1
〔実施例 4〕
テトラエトキシシラン (信越化学 (株) ) 28部とメタノール 38部を混合し た。 これに水 2. 5部及び 1 M硝酸 0. 6部を加え、 室温にて 1時間撹拌した。 次いでフエニルトリエトキシシラン (信越化学 (株) ) 1 4部とメタノール 37
部を混合して加え、 約 30分間撹拌した。 次いでスチレンスルホン酸ナトリウム と 2—ヒドロキシェチルメタクリレートの共重合ポリマー (東ソ一 (株) :スチ レンスルホン酸ナトリウム 45モル%、 平均分子量 14, 000) 6. 8部及び 水 35部を加えて数分間撹拌し、 液力透明化してから更に 1時間撹拌した。 得ら れた溶液を、 水平に置いた内径 5 cmのテフロン (登録商標) 製シャーレに 5 g 注入することによりシャーレ内に均一に広げ、 40°Cで 1 2時間乾燥させて厚さ 約 230 /mの膜を得た (水分含量 6. 3%) 。 この膜の電気伝導度を L C Rメ 一ターにより、 温度 25 °C、 相対湿度 60 %、 周波数 1 , OOOH zで測定した 。 結果を表 2に示す。
〔実施例 5〕
テトラエトキシシラン (信越化学 (株) ) 28部とエタノール 52部を混合し た。 これに水 2. 5部及び 1 M硝酸 0. 6部を加え、 室温にて 1時間撹拌した。 次いでフ: rニルトリエトキシシラン (信越化学 (株) ) 14部とエタノール 55 部を混合して加え、 約 30分間撹拌した。 次いでスチレンスルホン酸ナトリウム と 2—ヒドロキシェチルメタクリレートの共重合ポリマー (東ソ一 (株) :スチ レンスルホン酸ナトリウム 45モル%、 平均分子量 14, 000) 1 0. 7部及 び水 47. 5部を加えて数分間撹拌し、 液が透明化してから更に 1時間撹拌した 。 得られた溶液を、 水平に置いた内径 5 cmのテフロン (登録商標) 製シャーレ に 5 g注入することによりシャーレ内に均一に広げ、 40°Cで 1 2時間乾燥させ て厚さ約 35 の膜を得た (水分含量 6. 5%) 。 この膜の電気伝導度を実 施例 4と同じ方法で測定した。 結果を表 2に示す。 また、 この膜の熱特性を TG により測定したところ、 分解温度が 440°Cであった。 更に、 この膜を 0. 01 M硝酸 アセトン (50 50重量%) 混合液に 1曰浸潰してスルホン酸ナトリ ゥム基をスルホン酸基に変換した後、 アセトンで洗浄し風乾した。 この膜の電気 伝導度を上記と同じ条件で測定した。 結果を表 2に示す。
〔実施例 6〕
テ卜ラエトキシシラン (信越化学 (株) ) 34部とメタノール 38部を混合し た。 これに水 1. 7部及び 1 M硝酸 0. 6部を加え、 室温にて 1時間撹拌した。
次いでフエニルトリエトキシシラン (信越化学 (株) ) 8. 5部とメタノール 3 7部を混合して加え、 約 30分間撹拌した。 次いでポリスチレンスルホン酸リチ ゥム (東ソ一 (株) :平均分子量 290, 000) 1 0部及び水 35. 2部を加 えて数分間撹拌し、 液が透明化してから更に 1時間撹拌した。 得られた溶液を、 水平に置いた内径 5 cmのテフロン (登録商標) 製シャーレに 5 g注入すること によりシャーレ内に均一に広げ、 40°Cで 1 2時間乾燥させて厚さ約 320〃m の膜を得た (水分含量 1 1. 2%) 。 この膜の電気伝導度を実施例 4と同じ方法 で測定した。 結果を表 2に示す。
〔実施例つ〕
テトラエトキシシラン (信越化学 (株) ) 28部とメタノール 38部を混合し た。 これに水 3. 3部及び 1 M硝酸 0. 1部を加え、 室温にて 1時間撹拌した。 次いでフエニルトリエトキシシラン (信越化学 (株) ) 1 2部とメタノール 37 部とを混合して加え、 約 30分間撹拌した。 次いでスチレンスルホン酸ナトリウ ムと 2—ヒドロキシェチルメタクリレートの共重合ポリマー (東ソ一 (株) :ス チレンスルホン酸ナトリウム 45モル%、 平均分子量 1 4, 000) 3. 7部及 び水 33. 2部を加えて数分間撹袢し、 液が透明化してから更に 1時間撹拌した 。 得られた溶液を、 水平に置いた内径 5 cmのテフロン (登録商標) 製シャーレ に 5 g注入することによりシャーレ内に均一に広げ、 40°Cで 1 2時間乾燥させ て厚さ約 350 mの膜を得た (水分含量 6. 5%) 。 この膜の電気伝導度を実 施例 4と同じ方法で測定した。 結果を表 2に示す。
〔実施例 8〕
テ卜ラエトキシシラン (信越化学 (株) ) 28部とメタノール 38部を混合し た。 これに水 2. 5部及び 1 M硝酸 0. 1部を加え、 室温にて 1時間撹拌した。 次いでフエニル卜リエトキシシラン (信越化学 (株) ) 1 4部とメタノール 37 部とを混合して加え、 約 30分間撹拌した。 次いでスチレンスルホン酸ナトリウ 厶と 2—ヒドロキシェチルメタクリレー卜の共重合ポリマー (東ソ一 (株) :ス チレンスルホン酸ナトリウム 45モル0 /0、 平均分子量 1 4, 000) 1 0. 7部 及び水 36部を加えて数分間撹拌し、 液が透明化してから更に 1時間撹拌した。
得られた溶液を、 水平に置いた内径 5 cmのテフロン (登録商標) 製シャーレに 5 g注入することによりシャーレ内に均一に広げ、 40°Cで 1 2時間乾燥させて 厚さ約 270 mの膜を得た (水分含量 5. 7%) 。 この膜の電気伝導度を実施 例 4と同じ方法で測定した。 結果を表 2に示す。 表 2
*硝酸処理後の電気伝導度
〔実施例 9〕
スチレンスルホン酸ナトリウムと 2—ヒドロキシェチルメタクリレートの共重 合ポリマーを平均分子量 51 0, 000のものとした以外は実施例 7と同様にし て、 厚さ約 1 70 imの膜を得、 これを 1 00°Cで 2時間加熱した。 得られた膜 の電気伝導度を、 インピーダンスアナライザー (アジレントテクノロジ一社、 4 294 A 接続ケーブル 1 6047 E) を用いて測定した。 すなわち、 膜を温度
40°C、 相対湿度 95%に 2時間保持し、 引き続き、 周波数範囲を 40H z〜5 MHzとし、 この範囲で周波数を変化させてつつインピーダンスを測定し、 複素 インピーダンスプロッ卜を行い、 バルクインピーダンスに相当する半円と実軸と の交点から抵抗 Rを求め、 次式より電気伝導度 (σ) を求めた。 結果を表 3に示 す。
σ [SZcm] = d /7Γ r 2 R
ここに、 d :測定試料の厚み [cm] 、 r :測定用電極の半径 [cm] 〔実施例 1 0〕
スチレンスルホン酸ナトリウムと 2—ヒドロキシェチルメタクリレートの共重 合ポリマーを平均分子量 51 0, 000のものとした以外は実施例 7と同様にし て、 厚さ約 240 j«mの膜を得た。 この膜を 1 M硝酸に 3日間浸潰してスルホン 酸ナトリウム基をスルホン酸基に変換し、 水で洗浄し風乾した。 原子吸光分析に より膜中の N aの定量分析を行つたところ N aは殆ど検出されず、 スルホン酸ナ トリウム基がスルホン酸基に変換されていることが確認された。 上記の風乾後の 膜を 1 00°Cで 2時間加熱した。 得られた膜の電気伝導度を、 実施例 9に記載の 方法で測定した。 結果を表 3に示す。
〔実施例 1 1〕
スチレンスルホン酸ナトリウムと 2—ヒドロキシェチルメタクリレートの共重 合ポリマーを平均分子量 1 40, 000のものとした以外は実施例 7と同様にし て、 厚さ約 220〃mの膜を得た。 この膜を 1 00°Cで 2時間加熱した。 得られ た膜の電気伝導度を、 実施例 9に記載の方法で測定した。 結果を表 3に示す。 〔実施例 1 2〕
スチレンスルホン酸ナトリウムと 2—ヒドロキシェチルメタクリレートの共重 合ポリマ一を平均分子量 140, 000のものとした以外は実施例 7と同様にし て、 厚さ約 300 mの膜を得た。 この膜を 1 M硝酸に 3日間浸潰してスルホン 酸ナトリウム基をスルホン酸基に変換し、 水で洗浄し風乾した。 原子吸光分析に よリ膜中の N aの定量分析を行ったところ N aは殆ど検出されず、 スルホン酸ナ トリウム基がスルホン酸基に変換されていることが確認された。 上記の風乾後の
膜を 1 00°Cで 2時間加熱した。 得られた膜の電気伝導度を、 実施例 9に記載の 方法で剁定した。 結果を表 3に示す。
〔実施例 1 3〕
スチレンスルホン酸ナトリウムと 2—ヒドロキシェチルメタクリレートの共重 合ポリマーに替えてスチレンスルホン酸リチウムと 2—ヒドロキシェチルメタク リレートの共重合ポリマ一 (スチレンスルホン酸リチウム 45モル0 /0、 平均分子 量 43, 000) を用いた以外は実施例 7と同様にして厚さ約 1 60 j«mの膜を 得た。 この膜を 1 00°Cで 2時間加熱した。 得られた膜の電気伝導度を、 実施例 9に記載の方法で測定した。 結果を表 3に示す。
〔実施例 1 4〕
スチレンスルホン酸ナトリウムと 2—ヒドロキシェチルメタクリレー卜の共重 合ポリマーに替えてスチレンスルホン酸リチウムと 2—ヒドロキシェチルメタク リレートの共重合ポリマ一 (スチレンスルホン酸リチウム 45モル%、 平均分子 量 1 58, 000) を用いた以外は実施例 7と同様にして厚さ約 200 mの膜 を得た。 この膜を 1 00°Cで 2時間加熱した。 得られた膜の電気伝導度を、 実施 例 9に記載の方法で測定した。 結果を表 3に示す。 表 3
産業上の利用可能性
本発明によリ得られる有機—無機複合材料は、 イオン伝導性に優れ且つ耐熱性 及び柔軟性に優れたイオン伝導材料として、 種々の固体イオン伝導体として、 特 にイオン伝導膜として有用である。