JP2015089901A - 有機無機複合体及び構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の有機無機複合体は、金属元素を含む無機系化合物と、有機系化合物と、有機系化合物に保持された金属イオン及び/又は金属粒子からなる有機領域内金属と、を備えている。この有機無機複合体において、有機無機複合体の表面に平行な面において、有機系化合物及び前記有機領域内金属が形成する有機領域の平均長径は、0.1μm以上20μm以下である。また、有機領域において、炭素量に対する前記有機領域内金属の濃度が10mol%以上である。こうしたものにおいて、有機無機複合体の表面に平行な面において、前記無機系化合物が形成する無機領域の占める割合が20%以上80%以下であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
金属元素を含む無機系化合物と、有機系化合物と、該有機系化合物に保持された金属イオン及び/又は金属粒子からなる有機領域内金属と、を備える有機無機複合体であって、
前記有機無機複合体の表面に平行な面において、前記有機系化合物及び前記有機領域内金属が形成する有機領域の平均長径が0.1μm以上20μm以下であり、
前記有機領域において、炭素量に対する前記有機領域内金属の濃度が10mol%以上である。
この工程では、有機系化合物と無機系化合物とを混合する。有機系化合物としては、有機無機複合体を構成する有機系化合物として例示したものと同様のものなどが挙げられる。また、有機系化合物としては、有機無機複合体を構成する有機化合物として例示したものの一部が置換された構造のものとしてもよい。例えば、有機無機複合体が有機系化合物としてポリアクリル酸を有する場合には、ポリアクリル酸ナトリウムなどを用いることができる。また、有機無機複合体がポリスチレンスルホン酸構造を有する場合には、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなどを用いることができる。こうした有機系化合物は、分散媒に分散させて用いてもよい。分散媒としては、例えば、水や、アルコールなどを用いることができ、このうち、安価で安全性に優れることから、水が好ましい。無機系化合物としては、上述した無機系化合物粒子を好適に用いることができる。こうした無機系化合物は、有機系化合物と同様、分散媒に分散させ、ゾル状にして用いてもよい。分散媒については、有機系化合物で説明したものと同様のものが挙げられる。
この工程では、例えば、混合工程で得られた混合物を成形し、必要に応じて乾燥し、得られた混合物を焼成し、有機系化合物と無機系化合物とを複合化するものとしてもよい。混合物の成形方法は、特に限定されず、例えばプレスなどによって成形してもよいが、ゾル状の混合物を基材などに塗布することによって成形することが好ましい。膜状などの比較的薄い有機無機複合体を容易に形成できるからである。ゾル状の混合物を用いた場合、乾燥を行うことが好ましく、送風乾燥を行うことがより好ましい。送風乾燥は、例えば、風速2m/s以上で行うことが好ましく、風速4m/s以上がより好ましく、風速8m/s以上が更に好ましい。風速度が2m/s未満だと乾燥に要する時間が長くなりすぎるためである。また、乾燥温度は、10℃以上であることが好ましく、使用する分散媒に応じて適宜選択することができる。このようにゾル状の混合物を乾燥させることにより、乾燥ゲル膜が得られる。焼成温度は特に限定されないが、例えば、100℃以上が好適であり、150℃以上がより好適である。また、300℃以下が好適であり、250℃以下がより好適である。これは、100℃未満では無機系化合物が十分に固化しないことがあるためであり、また、300℃より高温では有機系化合物が分解することがあるためである。また、焼成時間は、焼成温度に応じて適宜設定することができるが、例えば、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。また、100時間以下が好ましく、50時間以下がより好ましい。こうした複合化工程によって、有機系化合物が有機領域となる位置に固定化され、無機系化合物が無機領域となる位置に固定化されるなどして、有機系化合物と無機系化合物とが複合化される。
この工程では、有機系化合物に金属イオン及び/又は金属粒子からなる有機領域内金属を導入する。有機領域内金属としては、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、Co、Fe及びアルカリ金属などが挙げられる。有機領域内金属が金属イオンの場合には、金属イオンの導入に、これらの金属イオンとPF6 -やBF4 -、ClO4 -、NO3 -などのアニオンとの塩を用いてもよい。この工程では、有機系化合物の陽イオン交換基の陽イオンを、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、Co、Fe及びアルカリ金属などの金属イオン(陽イオン)に交換してもよい。金属イオンが陽イオン交換基に結合されるため、金属イオンの凝集を抑制でき、金属イオンの有する機能性を効率良く発現できるからである。
市販のポリアクリル酸ナトリウム0.2gと水30gとを攪拌しながら、シリカゾル(濃度20重量%、平均1次粒子径0.01μm)6gを添加し、前駆体ゾルを作製した。その後、得られた前駆体ゾルをガラス基板上に塗布し、風速8m/s、25℃にて送風しながら1時間乾燥させることで乾燥ゲル膜を作製した。乾燥後のゲル膜を150℃で2時間焼成し、焼成体を作製した。ガラス基板上の焼成体をAgBF4水溶液(0.5mol/L)に24時間浸漬し、洗浄、乾燥を行い、ガラス基板上に形成された実験例1の複合体を得た。得られた複合体をスパチュラによりはがし取って粉砕し、粉末状にした実験例1の複合体粉末を得た。
ポリアクリル酸ナトリウムを0.3gとした以外は実験例1と同様の工程を行い、実験例2の複合体及び複合体粉末を得た。また、ポリアクリル酸ナトリウムを0.7gとした以外は実験例1と同様の工程を行い、実験例3の複合体及び複合体粉末を得た。また、ポリアクリル酸ナトリウムを0.1gとした以外は実験例1と同様の工程を行い、実験例4の複合体及び複合体粉末を得た。また、ポリアクリル酸ナトリウムを1.0gとした以外は実験例1と同様の工程を行い、実験例5の複合体及び複合体粉末を得た。
ポリアクリル酸ナトリウム0.2gの代わりに、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.5gを用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、実験例6の複合体及び複合体粉末を得た。
ポリアクリル酸ナトリウム0.2gの代わりに、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)0.2gを用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、実験例7の複合体及び複合体粉末を得た。
カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩25%水溶液8gに、硝酸1gを添加したあと、ウォーターバス中にて60℃、6時間加熱処理を施すことで加水分解及び重合を進行させ、前駆体ゾルを作製した。前駆体の作製以降は、実験例1と同様の工程を行い、実験例8の複合体及び複合体粉末を得た。
AgBF4水溶液への浸漬を行わなかった以外は実験例1と同様の工程を行い、実験例9の複合体及び複合体粉末を得た。
実験例1にて作製した前駆体ゾルを、直径10mm、長さ10cm、表面細孔径0.1μmの多孔質アルミナ基材上に塗布し、25℃で1時間乾燥した後、150℃で2時間焼成し、構造体を作製した。この構造体の一方の端部を封止し、他方の端部にガラス管を接続した後、AgBF4水溶液(0.5mol/L)に24時間浸漬し、洗浄、乾燥を行い、得られた構造体を実験例10とした。
実験例1〜9の複合体について微構造観察を行った。電子顕微鏡を用いて、複合体の表面から、有機領域が視野中に10〜20個となるような倍率で微構造観察を行い、視野中における無機領域の面積割合を求めた。なお、実験例1〜8では、無機領域が黒っぽく、有機領域が白っぽく確認された。また、実験例9では、無機領域が白っぽく、有機領域が黒っぽく確認された。また、視野中の全ての有機領域の長径を測定して平均値を求めた。更に、エネルギー分散型X線分析により、有機領域10ヶ所で元素分析を行い、有機領域中の(銀量/炭素量)×100の平均値を有機領域内金属濃度(mol%)とした。図3に、実験例2の複合体のSEM写真を示す。図3(a)はSEM写真そのものであり、図3(b)は二値化処理したものである。図3(a)に示すように、SEM写真では、観察面の奥にある有機領域が透けて見え、複数の有機領域が繋がって見える場合がある。このような場合には、図3(b)に示すように二値化処理してから無機領域の面積割合や有機領域の長径などを測定してもよい。なお、二値化処理を行うときの閾値などの条件は、用いるSEM写真に応じて適宜設定するものとする。例えば、閾値は、観察面にある有機領域と観察面の奥にある有機領域とを区別できるように経験的に求めた値としてもよい。
ガラス基板上に形成されたままの実験例1〜9の複合体について硬度測定を行った。測定は、マイクロビッカース硬度計にて行った。マイクロビッカース硬さが大きいほど、複合体の耐圧性がより高いものと判断することができる。
実験例1〜9の複合体粉末を用いて、ガス分離機能に関する測定を行った。ここでは、オレフィン/パラフィンの分離機能を考察するものとし、そのモデルとして、エチレン及びエタンの吸着測定を実施した。エチレン又はエタンのいずれかをより吸着するものとすれば、オレフィン/パラフィンの分離機能がより高いと判断することができる。吸着測定は、エチレン単体ガス又はエタン単体ガスを用い、23℃、0MPa〜1MPaの測定条件で行った。吸着測定の結果を用い、(1MPaでのエチレン吸着量)/(1MPaでのエタンの吸着量)を選択性とした。
実験例10の構造体についてガス分離機能に関する測定を行った。ガス透過性評価は、エチレン/エタン混合ガス(1:1)を用い、23℃、1MPaの測定条件で行った。
実験例1〜9の有機無機複合体の構成、微構造、特性について表1に示す。実験例5,8ではマイクロビッカース硬さが低かった。これは、実験例5では、有機領域の大きさが大きかったことから、有機系化合物の特性が大きく影響したためと推察された。また、実験例8では、有機領域の大きさが小さかったことから、無機系化合物と有機系化合物が細かく均一に混合されていることがわかった。そのため、無機領域の割合は比較的多いものの、硬度を発現する無機化合物の大きさが小さくなっているため、マイクロビッカース硬さが低かったと推察された。
Claims (11)
- 金属元素を含む無機系化合物と、有機系化合物と、該有機系化合物に保持された金属イオン及び/又は金属粒子からなる有機領域内金属と、を備える有機無機複合体であって、
前記有機無機複合体の表面に平行な面において、前記有機系化合物及び前記有機領域内金属が形成する有機領域の平均長径が0.1μm以上20μm以下であり、
前記有機領域において、炭素量に対する前記有機領域内金属の濃度が10mol%以上である、
有機無機複合体。 - 前記有機無機複合体の表面に平行な面において、前記無機系化合物が形成する無機領域の占める割合が20%以上80%以下である、請求項1に記載の有機無機複合体。
- 前記有機無機複合体は、マイクロビッカース硬さが30kgf/mm2以上である、請求項1又は2に記載の有機無機複合体。
- 前記無機系化合物は、金属元素としてSi、Ti、Al及びZrから選ばれる1以上と、Oとを含む化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機無機複合体。
- 前記無機系化合物は、シリカを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機無機複合体。
- 前記有機系化合物は、炭素原子が結合した炭素構造を有しているものであり、主鎖または側鎖にN、O、S、Pのうち1以上を含むものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機無機複合体。
- 前記有機系化合物は、スルホ基、カルボキシル基、カルボニル基のうち1以上を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機無機複合体。
- 前記有機領域内金属は、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、Co、Fe及びアルカリ金属から選ばれる1以上の金属イオン及び/又は金属粒子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機無機複合体。
- 前記有機領域内金属は、少なくとも銀を含むものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機無機複合体。
- 複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を選択的に透過する機能を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機無機複合体。
- 基材と、
前記基材上に形成された請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機無機複合体と、
を備えた構造体。
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JP2014208813A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-11-06 | 日本碍子株式会社 | 有機無機複合体、構造体及び有機無機複合体の製造方法 |
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