JP5038226B2 - 高分子電解質膜、膜−電極接合体および燃料電池 - Google Patents

高分子電解質膜、膜−電極接合体および燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、高分子電解質膜、膜−電極接合体および燃料電池に関する。
特許文献1に記載されているブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造を有するイオン伝導性高分子膜は、イオン伝導性ブロックからなるイオン伝導性ドメインと、非イオン伝導性ブロックからなる非イオン伝導性ドメインと、で構成される。
このような高分子膜において、イオン伝導性ドメインがネットワーク状のミクロ相分離構造を有する場合は、イオン伝導性ドメインが高い連続性を有し、高いイオン伝導性を有する。
特許第3921997号公報
しかしながら、一般的に、ネットワーク状のミクロ相分離構造は、高い連続性を保持させるために、イオン伝導性ブロックの体積分率が高いブロック共重合体によって構成する必要があり、それによって高分子電解質膜の強度が不十分になってしまうという問題があった。
これに対して、高分子電解質膜の強度を上げるために、ブロックポリマーにおける非イオン伝導性ブロックの体積分率を上げると、ネットワーク形状をなさなくなり、イオン伝導性が低下してしまう。
そこで、本発明では、高連続性のイオン伝導性ドメインを有し、かつ膜強度にすぐれた高分子電解質膜を提供する。
さらに、本発明は、上記高分子電解質膜を用いた膜−電極接合体および燃料電池を提供するものである。
本発明は、イオン伝導性ブロックと非イオン伝導性ブロックからなるブロック共重合体で形成される高分子電解質膜であって、前記高分子電解質膜が前記ブロック共重合体における前記非イオン伝導性ブロックの体積分率が75%以上95%未満であり、前記イオン伝導性ブロックからなるイオン伝導性ドメインと、前記非イオン伝導性ブロックからなる非イオン伝導性ドメインとで構成されるミクロ相分離構造を有し、前記イオン伝導性ドメインがワームライク形状の連続相をなし、前記非イオン伝導性ドメインがマトリックス部をなし、前記イオン伝導性ドメインの平均径aと持続長bとのアスペクト比b/aが100以上であることを特徴とする高分子電解質膜である。
前記イオン伝導性ブロックがイオン交換基を有するポリマーからなることが好ましい。
別の本発明は、前記高分子電解質膜を有する膜−電極接合体である。
別の本発明は、前記膜−電極接合体を有する燃料電池である。
本発明によれば、高連続性のイオン伝導性ドメインを有し、かつ膜強度にすぐれた高分子電解質膜を提供する。
さらに、上記高分子電解質膜を用いた膜−電極接合体および燃料電池も提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、イオン伝導性ブロックと非イオン伝導性ブロックからなるブロック共重合体で形成される高分子電解質膜であって、前記高分子電解質膜が前記ブロック共重合体における前記非イオン伝導性ブロックの体積分率が75%以上95%未満であり、前記イオン伝導性ブロックからなるイオン伝導性ドメインと、前記非イオン伝導性ブロックからなる非イオン伝導性ドメインとで構成されるミクロ相分離構造を有し、前記イオン伝導性ドメインがワームライク形状の連続相をなし、前記非イオン伝導性ドメインがマトリックス部をなし、前記イオン伝導性ドメインの平均径aと持続長bとのアスペクト比b/aが100以上であることを特徴とする高分子電解質膜である。
図1は、本発明のミクロ相分離を有する高分子電解質膜の一例を示す概略図である。
図1において、高分子電解質膜5は、イオン伝導性ドメイン1と非イオン伝導性ドメイン2とからなる。また、イオン伝導性ドメイン1が連続相を形成し、非イオン伝導性ドメイン2がマトリックス部を形成する。
以下、各部分について説明する。図2は、ブロック共重合体の一例を示す概略図である。図2において、8はブロック共重合体、6はイオン伝導性ブロック、7は非イオン伝導性ブロックを示す。
ミクロ相分離構造は、ブロック共重合体8が有するイオン伝導性ブロック6と非イオン伝導性ブロック7がそれぞれ自己組織的に会合することにより形成される構造であり、100ナノメートルから50マイクロメートルのドメインによって構成される。
イオン伝導性ドメイン1は、高分子電解質膜5を形成するブロック共重合体8のイオン伝導性ブロック6で構成される。
イオン伝導性ドメイン1は、平均径aと持続長bとのアスペクト比b/aが100以上である。イオン伝導性ドメイン1の平均径aと持続長bとのアスペクト比b/aが100以上であることにより、イオン伝導性ドメイン1が分断されることなく広範囲にわたり連結した連続相を形成し、イオン伝導性ドメイン1の持続長が長い構造となる。ここで、平均径aとは、イオン伝導性ドメインの幅を平均した値であり、持続長とは連続相を形成するドメインの端部から端部までをドメインに沿って測った最長の長さを示す。したがって、ドメインに分岐がある場合などの端部が3つ以上存在する場合は、それらの端部のうちで最も長い長さを示すものを持続長と呼ぶ。連続相を形成するドメインの平均径aおよび持続長bは、高分子電解質膜の原子間力顕微鏡(以下、AFMと記す)や、透過型電子顕微鏡(以下、TEMと記す)等で得られる画像を、直接的にあるいは画像処理によって各々の長さを採寸することで求めることが出来る。なお、平均径aと持続長bとのアスペクト比b/aは1000以上であることが好ましく、より好ましくは3000以上であり、さらに好ましくは3500以上である。また、平均径aは、10nm以上であることが好ましい。イオン伝導性ドメインの径が10nm以下となると、ポリマー鎖が十分に短い必要があり、イオン伝導性ブロック6と非イオン伝導性ブロック7とが相溶してしまい、相分離しなくなる場合があるからである。
このようなイオン伝導性ドメイン1は、図1に示すようなワームライク形状の連続相をなす。ここで、ワームライク(worm−like)形状とは、一般的に、高分子の分野において知られているみみず状の細長い構造(ワームライク構造)であり、「イオン伝導性ドメインがワームライク形状を有している」とはイオン伝導性ドメインが屈曲あるいは分岐して形成される構造を示す。なお、本発明におけるワームライク形状においては、ドメインが折れ曲がったり円弧を描いていてもよく、また二股以上に分かれたり、連結を繰り返していてもよい。
ブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造においては、通常、ミクロドメインが規則的な配列をしめす領域(グレイン)が存在し、そのグレインの境界線(グレインバウンダリー)においては、ドメインの連続性は分断される。
しかしながら、イオン伝導性ドメイン1が上記ワームライク形状を有する場合、イオン伝導性ドメインは一方向に配列したものではないため、規則性はないが、グレインがほとんど存在しないものとなる。これにより、イオン伝導性ドメイン1からなる連続相は、実質的に広範囲にわたってグレインバウンダリーのない、イオン伝導性ドメインの連続性が高い構造とすることができる。
また、マトリックス部は、高分子膜を形成するブロック共重合体8の非イオン伝導性ブロック7からなる非イオン伝導性ドメイン2で構成される。なお、本発明において、マトリックス部とは、連続相を取り囲む構造である。したがって、「非イオン伝導性ドメインがマトリックス部をなす」とは言い換えれば、「非イオン伝導性ドメインがイオン伝導性ドメインを取り囲む構造」である。ここで、非イオン伝導性ドメインがイオン伝導性ドメインを取り囲むとは、イオン伝導性ドメインの多くが非イオン伝導性ドメインに取り囲まれていれば良く、イオン伝導性ドメインの全てが完全に包括されていなくても良い。
次に、ブロック共重合体8について説明する。
ブロック共重合体8は、イオン伝導性ブロック6と非イオン伝導性ブロック7とで構成される。
イオン伝導性ブロック6は、イオン交換基を有し、ブロック共重合体を合成可能な高分子であればよい。イオン交換基についても、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。たとえば、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸等が、特に好ましく用いられる。また、これらのポリマーには、1種類のイオン交換基が含まれていてもよく、あるいは、2種以上のイオン交換基が含まれていても良い。イオン交換基の量は、通常の溶媒キャスト法で成膜した際に球状構造を形成する限りにおいて、特に限定されるものではない。
このようなイオン伝導性ブロックを構成する繰り返し単位の化学構造の例としては、スルホン酸(塩)基含有スチレン、スルホン酸(塩)含有(メタ)アクリレート、スルホン酸(塩)含有(メタ)アクリルアミド、スルホン酸(塩)基含有ブタジエン、スルホン酸(塩)基含有イソプレン、スルホン酸(塩)基含有エチレン、スルホン酸(塩)基含有プロピレンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。さらに、電解質の膜強度の向上、寸法安定性や、相分離構造の明確化を促す為、これらの化学構造にフッ素を導入したもの、エチレンテトラフルオロエチレンスチレンスルホン酸、パーフルオロカーボンスルホン酸系、パーフルオロカーボンホスホン酸、トリフルオロスチレンスルホン酸等を用いてもよい。
なお、イオン交換基を有するブロック共重合体の合成方法は、特に制限はなく、モノマー種により任意に選択することが出来る。合成方法としては、例えば、リビング重合、あるいは非イオン伝導性ブロックのプレポリマーとイオン伝導性ブロックのプレポリマーを反応させて、共重合体を得ても良く、用途に応じて任意に選択することができる。この場合、モノマー段階でイオン交換基を有するものを用いても良いし、ブロック共重合体を合成した後、イオン交換基の導入を行ってもよい。
非イオン伝導性ブロック7は、イオン交換基を有さない一般的な高分子であれば良い。例えば、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン誘導体、共役ジエン、ビニルエステル化合物などの単量体から合成される重合体が挙げられる。これらの他にも、非イオン伝導性高分子を形成する単量体としては、
スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、アルコキシル、ハロゲン、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル置換体;
2,4−ジメチルスチレン、パラジメチルアミノスチレン、ビニルベンジルクロライド、ビニルベンズアルデヒド、インデン、1−メチルインデン、アセナフタレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルフルオレン等の重合性不飽和芳香族化合物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチルなどの不飽和モノカルボン酸エステル類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレートなどのフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
トリメチルシロキサニルジメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキサニル)シリルプロピル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルプロピルジメチルシリルエーテルなどのシロキサニル化合物類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミン含有(メタ)アクリレート類;
クロトン酸2−ヒドロキシエチル、クロトン酸2−ヒドロキシプロピル、ケイ皮酸2−ヒドロキシプロピルなどの不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類;(メタ)アリルアルコールなどの不飽和アルコール類;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和(モノ)カルボン酸類;(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸−β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸−β−プロピルグリシジル、α−エチルアクリル酸−β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−3−エチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;およびこれらのモノ、ジエステル類;
N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド、N−m−クロロフェニルマレイミド、N−p−クロロフェニルマレイミド、N−o−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−ニトロフェニルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミドなどのマレイミド類や(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
ブロック共重合体8の分子量については、ミクロ相分離構造を形成する限りにおいて特に限定されるものではない。
ブロック共重合体8における非イオン伝導性ブロック7が占める体積分率は75%以上95%未満である(言い換えれば、ブロック共重合体8におけるイオン伝導性ブロック6が占める体積分率は5%以上25%以下)。さらに好ましくは体積分率は75%以上90%未満であり、さらには75%以上85%未満とすることができる。非イオン伝導性ブロックの体積分率が上記範囲となることにより、膜の膨潤が抑制され膜強度に優れかつ高いイオン伝導率が高い高分子電解質膜とすることができる。ブロック共重合体において前記非イオン伝導性ブロックが占める体積分率が95%以上である場合、相分離構造を発現することが出来ず、高イオン伝導性を達成できなくなる恐れがある。また、前記非イオン伝導性ブロックが占める割合がブロック共重合体の体積中の75%より小さいと、後ほど説明するように、通常の溶媒キャスト法でミクロ相分離構造を形成した際に、球状構造を形成しない為、本発明の構造であるワームライク形状が得られない。
なお、体積分率とは、ブロック共重合体の1分子鎖に対する、ブロック共重合体を構成する各ブロック鎖の体積分率の値を示す。また、各ブロック鎖の体積分率は、分子量と比重より求めればよい。体積分率は、以下の式より算出することが出来る。
体積分率(%)=(B/b)/{(A/a+B/b)}×100・・・(式)
ここで、ブロックポリマーを形成する非イオン伝導性ブロックの分子量をA(g/mol)、非イオン伝導性ブロックの比重をa(g/cm)とし、イオン伝導性ブロックの分子量をB(g/mol)、イオン伝導性ブロックの比重をb(g/cm)とする。
また、前記イオン伝導性ブロック6と非イオン伝導性ブロック7の溶解度パラメータδの差は5(MPa)1/2以上であることが好ましい。
次に上記高分子電解質膜の製造方法について説明する。
上記高分子電解質膜の製造方法は、
イオン伝導性ブロックと非イオン伝導性ブロックとからなるブロック共重合体と溶媒とを少なくとも含む溶液を作製する工程と、
前記溶液を基板に付与し、前記イオン伝導性ブロックが球状ドメインを形成し非イオン伝導性ドメインがマトリックス部を形成するミクロ相分離構造体を形成する工程と、
前記構造体が有する溶媒の少なくとも一部を外場が印加された状態で除去する工程と、を少なくとも有する。
具体的には図3の(a)のように、基板表面に、イオン伝導性ブロックが球状ドメイン3を形成し非イオン伝導性ドメインがマトリックス部4を形成するミクロ相分離構造を形成する。その後、磁場を印加した状態で前記構造体の溶媒を除去し、(b)に示す前述した高分子電解質膜を得る。
このような方法としては、以下の2つの方法がある。
一つ目の方法は、イオン伝導性ブロックと非イオン伝導性ブロックとからなるブロック共重合体と溶媒とを少なくとも含む溶液を作製し、イオン伝導性ブロックと非イオン伝導性ブロックとからなるブロック共重合体を含む溶液を基板に付与して前記イオン伝導性ブロックが球状ドメインを形成するミクロ相分離構造体を形成した後に、基板に外場を印加して、前記構造体が有する溶媒を除去する方法である。
二つ目の方法は、イオン伝導性ブロックと非イオン伝導性ブロックとからなるブロック共重合体と溶媒とを少なくとも含む溶液を作製し、基板に外場を印加した後に、イオン伝導性ブロックと非イオン伝導性ブロックとからなるブロック共重合体を含む溶液を基板に付与して前記イオン伝導性ブロックが球状ドメインを形成するミクロ相分離構造体を得て、前記構造体が有する溶媒を除去する方法である。
いずれの方法であっても、基板に付与した前記ブロック共重合体からなる溶液の溶媒を除去する工程は外場が印加された状態で行われる。この際、ポリマー溶液を基板に付与する方法としては、スピンコート法、浸漬法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法などの塗布手段を用いることができる。また、「溶媒を除去する」とは、溶媒を蒸発させる、溶媒を他の溶媒に置換するなどを含む概念である。
ブロック共重合体を溶解させる溶媒の選択は重要である。前述のとおり、製膜中に球状ドメイン構造を形成する必要があるため、用いるブロック共重合体の組成比に応じて、溶媒の種類を選択しなければならない。
溶媒の選択で重要となるのは、ブロック共重合体の各成分と溶媒との親和性であり、親和性の程度は、溶解度パラメータの差を用いて求めることができる。一般に高分子と溶媒の溶解度パラメータの差の絶対値が小さいほど親和性は高い。溶解度パラメータの値は、公知の文献:Brandrup,E.;Immergut,E.H.Polymer Handbook Third Edition,John Wiley&Sons,New York等により知ることができる。球状ドメイン構造を得るためには、球状ドメイン構造のマトリクス相を形成する非イオン伝導性ブロックと親和性の高い溶媒を用いれば良い。
親和性の程度は、ポリマー種や分子量、組成比などにより変化するが、一般には、溶解度パラメータδ((J/cm1/2)を用いた場合、非イオン伝導性ブロックを形成する高分子と溶媒の溶解度パラメータδの差の絶対値が2より小さいことが好ましく、さらに好ましくは1より小さいことである。
球状ドメイン構造からワームライク形状の構造(以下、ワームライク構造と呼ぶ場合がある)への構造転移は、製膜時の溶媒の種類、溶媒の蒸発速度、製膜時の温度を制御することによって達成されるが、より簡便な方法としては、製膜中に磁場や電場などの外場を印加すればよい。外場として電場を利用する場合は、高分子電解質膜を電極間に挟み、強い電場を印加するため、高分子電解質膜の膜厚を200ナノメートル以下にすることが好ましいが、磁場の場合は、高分子電解質膜の膜厚に制限がない。よって、ワームライク構造の高分子電解質膜を得るためには磁場を利用することが好ましい。
磁場を印加する場合、磁場印加方向には特に制限がなく、フィルム面に対して水平方向、垂直方向どちらでも良い。一方向に磁場を印加するのではなく、回転磁場を利用しても構わない。また、なお、磁場は、ブロック共重合体を基板に付与した後に印加してもよいし、磁場を印加しながらブロック共重合体からなる溶液を基板に付与しても良い。
磁場強度についても、ポリマー構造に応じて強度を選択すればよく、特に制限はない。磁場強度が低い場合は、球状ドメイン構造が磁場の影響により変形しないため、ここでは3T以上、好ましくは5T以上がよい。
なお、得られた高分子膜の相分離構造は、AFMや、TEMで膜表面あるいは膜断面の観察を行うことにより確認することができる。
次に、本発明の高分子電解質膜を備えた膜−電極接合体および燃料電池について説明する。
上述した本発明の高分子電解質膜に、電極を配置することにより、本発明の一形態である膜−電極接合体を作製することができる。この膜−電極接合体は、本発明の高分子電解質と、それを挟んで対向する触媒電極から構成され、該触媒電極はガス拡散層上に触媒層が形成されている。この接合体の作製方法としては、特に制限はなく、公知の技術を用いることができる。
また、本発明の高分子電解質膜および前記膜−電極接合体を用いて、公知の手法により燃料電池を作製することができる。該燃料電池の構成の一例としては、前記膜−電極接合体、該膜−電極接合体を挟持する一対のセパレータ、セパレータに取り付けられた集電体およびパッキンとを備える構成が挙げられる。アノード極側のセパレータにはアノード極側開口部が設けられ、水素、メタノール等のアルコール類のガス燃料または液体燃料が供給される。一方、カソード極側のセパレータにはカソード極側開口部が設けられ、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。なお、セパレータに代えて、あるいはセパレータとガス拡散層との間に、発泡金属などのガス流路を設けることも可能である。
前記高分子電解質膜を用いて燃料電池を作製することにより、高い出力が長期間にわたり安定して得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。ここでは、スルホン酸含有ブロックとポリスチレンブロックからなるブロック共重合体を用いた高分子電解質膜を例示する。
まず、以下の手順により各種ポリマーを合成した。
合成例1
スルホン酸含有ブロックとポリスチレンブロックからなるブロック共重合体(BP−3)の合成
窒素雰囲気下で、臭化銅(I)0.6ミリモル、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.6ミリモル、メチル2−ブロモプロピオネート0.4ミリモル、tert−ブチルアクリレート(tBA)50ミリモルを混合し、窒素で溶存酸素を置換した後、70℃で反応を行った。ガスクロマトグラフィーにより重合率を確認しながら反応を行い、液体窒素で急冷して反応を停止した。得られたポリtBAの分子量をGPCにより確認した結果、Mn=10,600、Mw/Mn=1.07であった。
次いで、得られた臭素を末端に有するポリtBA0.4ミリモル、臭化銅(I)0.4ミリモル、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン0.4ミリモル、スチレン(St)800ミリモルを混合、窒素置換した。100℃で反応を行った後、液体窒素で急冷し、反応を停止した。メタノールへの再沈澱による精製の後、得られたPtBA−b−PSt(BP−1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で確認した結果、Mn=37,000、Mw/Mn=1.18であった。この結果より、各ブロックの分子量は、PtBAブロックが10,600、PStブロックが26,400と計算され、H−NMRのピーク積分値比より求められる両ブロックの組成比と良く一致した。
次いで、得られたブロック共重合体BP−1をクロロホルム中、室温でトリフルオロ酢酸(tert−ブチル基に対して5当量)と混合することによりPtBAブロックのtert−ブチル基の脱保護反応を行いカルボン酸へと変換し、ポリアクリル酸−b−ポリスチレン(PAA−b−PSt)(BP−2)を得た。
BP−2におけるカルボン酸含有ブロックの体積分率は19%であった。
このブロック共重合体BP−2をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、水素化ナトリウム(カルボン酸に対して10当量)および1,3−プロパンスルトン(カルボン酸に対して20当量)を加え、加熱還流を行い、PAAブロックのスルホン化を行うことで、スルホン酸基をイオン交換基としたブロック共重合体(BP−3)を得た。BP−3におけるスルホン酸含有ブロックの体積分率は25%であり、ポリスチレンブロックの体積分率は75%となった。このブロック共重合体BP−3の構造式を以下に示す。
合成例2
スルホン酸含有ブロックとポリスチレンブロックからなるブロック共重合体(BP−6)の合成
窒素雰囲気下で、臭化銅(I)0.6ミリモル、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.6ミリモル、メチル2−ブロモプロピオネート0.4ミリモル、tert−ブチルアクリレート(tBA)50ミリモルを混合し、窒素で溶存酸素を置換した後、70℃で反応を行った。ガスクロマトグラフィーにより重合率を確認しながら反応を行い、液体窒素で急冷して反応を停止した。得られたポリtBAの分子量をGPCにより確認した結果、Mn=9,100、Mw/Mn=1.01であった。
次いで、得られた臭素を末端に有するポリtBA0.4ミリモル、臭化銅(I)0.4ミリモル、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン0.4ミリモル、スチレン800ミリモルを混合、窒素置換した。100℃で反応を行った後、液体窒素で急冷し、反応を停止した。メタノールへの再沈澱による精製の後、得られたPtBA−b−PSt(BP−4)の分子量をGPCで確認した結果、Mn=48,000、Mw/Mn=1.16であった。この結果より、各ブロックの分子量は、PtBAブロックが9,100、PStブロックが38,900と計算され、H−NMRのピーク積分値比より求められる両ブロックの組成比と良く一致した。
次いで、得られたブロック共重合体BP−4をクロロホルム中、室温でトリフルオロ酢酸(tert−ブチル基に対して5当量)と混合することによりPtBAブロックのtert−ブチル基の脱保護反応を行いカルボン酸へと変換し、ポリアクリル酸−b−ポリスチレン(PAA−b−PSt)(BP−5)を得た。
BP−5におけるカルボン酸含有ブロックの体積分率は15%であった。
このブロック共重合体BP−5をTHFに溶解し、水素化ナトリウム(カルボン酸に対して10当量)および1,3−プロパンスルトン(カルボン酸に対して20当量)を加え、加熱還流を行い、PAAブロックのスルホン化を行うことで、スルホン酸基をイオン交換基としたブロック共重合体(BP−6)を得た。BP−6におけるスルホン酸含有ブロックの体積分率は19%であり、ポリスチレンブロックの体積分率は81%となった。
合成例3
スルホン酸含有ブロックとポリスチレンブロックからなるブロック共重合体(BP−9)の合成
窒素雰囲気下で、臭化銅(I)0.6ミリモル、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.3ミリモル、メチル2−ブロモプロピオネート0.2ミリモル、tert−ブチルアクリレート(tBA)40ミリモルを混合し、窒素で溶存酸素を置換した後、70℃で反応を行った。ガスクロマトグラフィーにより重合率を確認しながら反応を行い、液体窒素で急冷して反応を停止した。得られたポリtBAの分子量をGPCにより確認した結果、Mn=15,400、Mw/Mn=1.05であった。
次いで、得られた臭素を末端に有するポリtBA0.4ミリモル、臭化銅(I)0.4ミリモル、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン0.4ミリモル、スチレン800ミリモルを混合、窒素置換した。100℃で反応を行った後、液体窒素で急冷し、反応を停止した。メタノールへの再沈澱による精製の後、得られたPtBA−b−PSt(BP−7)の分子量をGPCで確認した結果、Mn=41,600、Mw/Mn=1.10であった。この結果より、各ブロックの分子量は、PtBAブロックが15,400、PStブロックが26,200と計算され、H−NMRのピーク積分値比より求められる両ブロックの組成比と良く一致した。
次いで、得られたブロック共重合体BP−7をクロロホルム中、室温でトリフルオロ酢酸(tert−ブチル基に対して5当量)と混合することによりPtBAブロックのtert−ブチル基の脱保護反応を行いカルボン酸へと変換し、ポリアクリル酸−b−ポリスチレン(PAA−b−PSt)(BP−8)を得た。
BP−8におけるカルボン酸含有ブロックの体積分率は32%であった。
このブロック共重合体BP−8をTHFに溶解し、水素化ナトリウム(カルボン酸に対して10当量)および1,3−プロパンスルトン(カルボン酸に対して20当量)を加え、加熱還流を行い、PAAブロックのスルホン化を行うことで、スルホン酸基をイオン交換基としたブロック共重合体(BP−9)を得た。BP−6におけるスルホン酸含有ブロックの体積分率は37%であり、ポリスチレンブロックの体積分率は63%となった。
実施例1
合成例1で得たスルホン酸基をイオン交換基としたブロック共重合体BP−3を固形分濃度10wt%となるようにTHFに溶解した。
ガラス基板上にポリマー溶液を滴下し、さらにこの基板上に膜面方向に磁場(8T)を印加しながら溶媒を除去し、膜厚50μmのキャスト膜を作製した。
得られた高分子膜表面のAFM観察を行った結果を、図4に示す。膜中に広範囲(10μm四方の測定範囲)にわたって、スルホン酸基を含んだ親水性ドメインが連結したワームライク構造を形成していた。AFM画像より、連続するドメインの平均径aを求めたところ、19ナノメートルであった。また、画像中に含まれる連続するイオン伝導性ドメインを抽出し、イオン伝導性ドメインの面積の平均値を算出した。得られた面積値を平均径aで割ることにより、持続長bを求めたところ、86マイクロメートルであった。これより、アスペクト比、b/a=4500であった。また、グレインバウンダリーも同様に10μm四方の測定範囲において観察されなかった。また、高分子膜断面のTEM観察を行ったところ、膜内部においても膜表面と同様にグレインバウンダリーは観察されず、ワームライク構造の相分離構造が観察された。
続いて、四端子法により交流インピーダンス測定(電圧振幅5mV、周波数1Hzから1MHz)を行い、求めた抵抗値より、電解質膜の膜面方向の導電率を算出した。その結果、温度50℃、相対湿度50%におけるイオン伝導度は0.03S・cm−1であった。
また、3cm四方の高分子膜(膜厚50μm)を精製水中に5時間浸漬し、浸漬前後の膜の形状変化を測定した。その結果、得られた膜は高い機械的強度を有し、含水下においても膜の膨潤はほとんど観察されず、膨潤率は1%であった。
実施例2
合成例2で得たスルホン酸基をイオン交換基としたブロック共重合体BP−6を固形分濃度10wt%となるようにTHFに溶解した。
ガラス基板上にポリマー溶液を滴下し、さらにこの基板上に膜面方向に磁場(8T)を印加しながら溶媒を除去し、膜厚50μmのキャスト膜を作製した。
得られた高分子膜表面のAFM観察を行った結果を、図5に示す。膜中に広範囲(10μm四方の測定範囲)にわたって、スルホン酸基を含んだ親水性ドメインが連結したワームライク構造を形成していた。AFM画像より、連続するドメインの平均径aを求めたところ、18ナノメートルであった。また、画像中に含まれる連続するイオン伝導性ドメインを抽出し、イオン伝導性ドメインの面積の平均値を算出した。得られた面積値を平均径aで割ることにより、持続長bを求めたところ、63マイクロメートルであった。これより、アスペクト比b/aを求めたところ、b/a=3500であった。また、グレインバウンダリーも同様に10μm四方の測定範囲において観察されなかった。また、高分子膜断面のTEM観察を行ったところ、膜内部においても膜表面と同様にグレインバウンダリーは観察されず、ワームライク構造の相分離構造が観察された。
続いて、四端子法により交流インピーダンス測定(電圧振幅5mV、周波数1Hzから1MHz)を行い、求めた抵抗値より、電解質膜の膜面方向の導電率を算出した。その結果、温度50℃、相対湿度50%におけるイオン伝導度は0.01S・cm−1であった。
また、3cm四方の高分子膜(膜厚50μm)を精製水中に5時間浸漬し、浸漬前後の膜の形状変化を測定した。その結果、得られた膜は高い機械的強度を有し、含水下においても膜の膨潤はほとんど観察されず、膨潤率は0.8%であった。
比較例1
合成例1で得たスルホン酸基をイオン交換基としたブロック共重合体BP−3を固形分濃度10wt%となるようにTHFに溶解し、溶媒キャスト法によりガラス基板上にキャスト膜を作製した。得られたキャスト膜の膜厚は50μmであった。
高分子膜表面のAFM観察を行った結果を、図6に示す。スルホン酸基を有するブロック共重合体が形成する球状ドメインが、高分子膜中に配列した相分離構造が観察された。また、高分子膜断面のTEM観察を行ったところ、同様に球状の相分離構造が観察された。
続いて、四端子法により交流インピーダンス測定(電圧振幅5mV、周波数1Hzから1MHz)を行った。その結果、導電率は測定不能であった。これは、膜中において、スルホン酸基を有するブロックが形成する球状ドメインが、互いに離れて点在していることによりイオン伝導チャネルが不連続となり、膜抵抗が高くなるためである。
比較例2
合成例3で得たスルホン酸基をイオン交換基としたブロック共重合体BP−9を固形分濃度10wt%となるようにテトラヒドロフランに溶解し、溶媒キャスト法によりガラス基板上にキャスト膜を作製した。
高分子電解質膜断面のTEM観察を行った結果を、図7に示す。スルホン酸基を有するブロック共重合体が形成するドメインが、ネットワーク状に高分子膜中に相分離しているのが確認された。
続いて、四端子法により交流インピーダンス測定(電圧振幅5mV、周波数1Hzから1MHz)を行い、求めた抵抗値より、電解質膜の膜面方向の導電率を算出した。その結果、温度50℃、相対湿度50%におけるイオン伝導度は0.04S・cm−1であった。
また、3cm四方の高分子膜(膜厚50μm)を精製水中に5時間浸漬し、浸漬前後の膜の形状変化を測定した。その結果、得られた膜は5%ほど膨潤し、機械的強度の低下が観察された。このように、比較例2は実施例1と同等の導電率を示すものの、実施例1に比べて親水性ブロックの体積分率が高い為、機械的強度に劣ることが確認された。
実施例3
膜−電極接合体、および燃料電池セルの作製方法の一例を以下に示す。
触媒粉末として、HiSPEC1000(登録商標、ジョンソン&マッセイ社製)を使用し、電解質溶液としてはNafion溶液(登録商標、デュポン社製)を使用した。まず、触媒粉末と電解質溶液の混合分散液を作製し、ドクターブレード法を用いてPTFEシート上に成膜し、触媒シートを作製した。次に、作製した触媒シートをデカール法によって、150℃、100kgf/cmで、実施例1で得た電解質膜上にホットプレス転写し、膜−電極接合体を作製した。さらに、その膜−電極接合体をカーボンクロス電極(E−TEK社製)で挟持した後、集電体で挟んで締結し、燃料電池を作製した。
作製した燃料電池を用いて、アノード側に水素ガスを注入速度300ml/minで、カソード側には空気を供給し、セル出口圧力を大気圧、相対湿度をアノード、カソードともに50%、セル温度を50℃とした。電流密度400mA/cmで定電流測定を行ったところ、10時間後においても安定した特性を保っていた。測定前後の出力特性を図8に示す。測定前後において、その特性の変化が無いことが確認された。
本発明の高分子膜は、広範囲にわたってグレインバウンダリーによる切れ目のない、長い連続性を有するドメインで構成される強度の強いミクロ相分離膜からなるので、イオン伝導膜、膜−電極接合体および燃料電池に利用することができる。
高分子電解質膜が有するミクロ相分離構造の一例を示す概略図である。 ブロック共重合体の一例を示す概略図である。 高分子電解質膜の製造方法の一例を示す概略図である。 実施例1のブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造を示す原子間力顕微鏡(AFM)写真である。 実施例2のブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造を示す原子間力顕微鏡(AFM)写真である。 比較例1のブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造を示す原子間力顕微鏡(AFM)写真である。 比較例2のブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例3の膜電極接合体の燃料電池特性評価結果である。
符号の説明
1 イオン伝導性ドメイン
2 非イオン伝導性ドメイン
3 球状ドメイン
4 マトリックス部
5 高分子電解質膜
6 イオン伝導性ブロック
7 非イオン伝導性ブロック
8 ブロック共重合体

Claims (4)

  1. イオン伝導性ブロックと非イオン伝導性ブロックからなるブロック共重合体で形成される高分子電解質膜であって、前記高分子電解質膜が前記ブロック共重合体における前記非イオン伝導性ブロックの体積分率が75%以上95%未満であり、前記イオン伝導性ブロックからなるイオン伝導性ドメインと、前記非イオン伝導性ブロックからなる非イオン伝導性ドメインとで構成されるミクロ相分離構造を有し、前記イオン伝導性ドメインがワームライク形状の連続相をなし、前記非イオン伝導性ドメインがマトリックス部をなし、前記イオン伝導性ドメインの平均径aと持続長bとのアスペクト比b/aが100以上であることを特徴とする高分子電解質膜。
  2. 前記イオン伝導性ブロックがイオン交換基を有するポリマーからなる請求項1に記載の高分子電解質膜。
  3. 請求項1に記載の高分子電解質膜を有する膜−電極接合体。
  4. 請求項3に記載の膜−電極接合体を有する燃料電池。
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