JP2007234247A - プロトン伝導性材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高性能なプロトン伝導性材料の製造方法の提供。
【解決手段】ラジカル重合開始点をもつ水難溶性高分子化合物を有機溶剤に溶解させた高分子化合物溶液調製工程と、プロトン伝導性官能基をもつビニル単量体をグラフト重合させ、水難溶性であって且つプロトン伝導性官能基をもつプロトン伝導性材料を得るグラフト化工程と、を有することを特徴とする。つまり、水への溶解性が小さく、プロトン伝導性をもつ水難溶性プロトン伝導性材料を得るために、水難溶性の領域とプロトン伝導性を発揮する領域とを明確に分けて形成する手法を開発した。水難溶性高分子化合物にスルホ基などのプロトン伝導性官能基をもつビニル単量体をグラフト重合させることで、水難溶性の領域とプロトン伝導性をもつ領域とを明確に分離させて形成でき、撥水性をもつ部分と親水性をもつ部分とをバランスよく配置できるので高い性能を発揮できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロトン伝導性材料及びその製造方法に関する。
固体高分子形燃料電池には高分子化合物から構成されるプロトン伝導性材料が採用されている。例えば、電解質膜に用いられたり、電解質膜の両面に形成されている触媒層内に混合されたりされている。特に、触媒層は触媒金属としてPtなどの高価な貴金属を含有することが多く、触媒層に採用されるプロトン伝導性材料にはリサイクル時における処理性、触媒金属の回収性などのリサイクル性も含めた性能が要求されている。従来、プロトン伝導性材料としてナフィオン(商標)などのパーフルオロ系の電解質が汎用されているが、化合物中にフッ素原子を含有するため、リサイクル時のフッ素発生や、高価であることが問題になっている。
そこで、従来からフッ素原子を含有しない炭化水素系のプロトン伝導性材料について検討が行われている。例えば、スルホン化ポリアリーレン重合体(特許文献1)、イオン性基含有ポリベンズオキサゾール(特許文献2)が提案されている。また、パーフルオロ系の電解質の使用量を減らすために、炭化水素系の電解質を混合したプロトン伝導性材料が提案されている(特許文献3)。
また、フッ素原子含有の有無に係わらずプロトン伝導性材料は燃料電池を製造する場合には液体状であり、燃料電池の運転時には水に溶解しないことが望まれている。このようなプロトン伝導性材料を実現するために、有機溶媒に溶解し且つ水に溶解しない熱可塑性エラストマーからなる炭化水素系プロトン伝導性材料(特許文献4)や、樹脂粉体に放射線を照射して形成したラジカルにビニル単量体をグラフト重合させたグラフト重合体をスルホ化した後、懸濁液とする手法でプロトン伝導性材料を製造する方法(特許文献5)が開示されている。
特開2002−298855号公報 特開2002−298870号公報 特開2004−119102号公報 特開2002−164055号公報 特開2004−119101号公報
しかしながら、特許文献1〜5に開示されたプロトン伝導性材料には以下の問題があった。すなわち、特許文献1、2及び4に記載のプロトン伝導性材料はフッ素原子を含有する化合物よりは安価に製造できるものの、特殊な合成方法にて合成する必要があり、より安価に製造できるプロトン伝導性材料が求められる。
また、特許文献3に記載のプロトン伝導性材料は炭化水素系の電解質に導入するスルホ基の量を適正に制御することは困難で、過量のスルホ基を導入したプロトン伝導性材料では水の存在下で使用することで徐々に溶出するおそれがあり、過小量のスルホ基しか導入できなかったプロトン伝導性材料では充分な性能を発揮することが困難であった。
そして、特許文献5に記載のプロトン伝導性材料は樹脂粉体が細かくなければ比表面積が小さくなるのでグラフト化が困難になり、有効なスルホ基の量が少なくなる。樹脂粉体を細かくするには粉砕などを行う必要があるが、粉砕では一定以下に細かくすることは困難である。樹脂粉末の大きさを小さくできないと懸濁液を調製することが困難である。
本発明では上記実情に鑑み完成されたものであり、フッ素原子の含有の有無に係わらずに高い性能を発揮できるプロトン伝導性材料及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
(1)上記課題を解決する本発明のプロトン伝導性材料の製造方法は、ラジカル重合開始点をもつ水難溶性高分子化合物を有機溶剤に溶解させた高分子化合物溶液調製工程と、
該高分子溶液の該ラジカル重合開始点を基点として、プロトン伝導性官能基をもつビニル単量体をグラフト重合させ、水難溶性であって且つ該プロトン伝導性官能基をもつ高分子化合物であるプロトン伝導性材料を得るグラフト化工程と、を有することを特徴とする。特に、前記プロトン伝導性官能基はスルホ基であることが望ましい。
つまり、水への溶解性が小さく、プロトン伝導性を持つ材料である水難溶性プロトン伝導性材料を得るために、水難溶性の領域とプロトン伝導性を発揮する領域とを明確に分けて形成する手法を開発した。すなわち、水難溶性高分子化合物にスルホ基などのプロトン伝導性官能基をもつビニル単量体をグラフト重合させることで、水難溶性の領域とプロトン伝導性をもつ領域とを明確に分離させて形成でき、撥水性をもつ部分と親水性をもつ部分とをバランスよく配置することができるので高い性能を発揮することが期待できる。
従来技術のプロトン伝導性材料の製造方法では、高分子化合物に対してプロトン伝導性官能基としてのスルホ基を導入する場合に濃硫酸などを用いており、スルホ基を導入する部位を適正に制御することが困難であった。従って、予め水に溶けにくい水難溶性高分子化合物を採用してもスルホ基が導入されることで水に溶けるようになってしまうおそれがあった。プロトン伝導性を向上するにはある程度以上のスルホ基を導入する必要があり、水への溶解性を低下させることとプロトン伝導性を向上させることとを両立するためのスルホ基導入量・導入位置の制御は困難であった。
ここで、前記高分子化合物溶液調製工程は、固体状態の前記高分子化合物に対して、高エネルギー線を照射する工程を含むことが望ましい。高エネルギー線(ガンマ線、電子線、X線、プラズマ照射など)は高分子化合物に効率的にラジカルを生成することが可能であり、形成されたラジカルを基点としてビニル単量体の重合反応を進行させることができる。
そして、前記水難溶性高分子化合物はフッ素原子を含有しない化合物が採用できる。水難溶性の領域(すなわち、水に対する親和性が低い領域)とプロトン伝導性をもつ領域(すなわち、親水性が高い領域)とを明確に区画できるので、前述したように撥水性の領域と親水性の領域とがバランスよく配設できるので高い性能が発揮できると共に、水難溶性の領域には水に溶解している活性酸素などのプロトン伝導性材料を劣化させると思われる物質が作用し難くなり、劣化の進行が遅くなるので、フッ素原子を含まなくても高い耐酸化性を示すことが期待できる。
また、前記水難溶性高分子化合物はポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、(テトラフルオロエチレン−プロピレン)共重合体、(クロロトリフルオロエチレン−プロピレン)共重合体、(クロロトリフルオロエチレン−カルボン酸ビニルエステル−アクリル酸エステル−アクリル酸)共重合体、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリアミド(特にナイロン6、ナイロン66)、ポリフェノールから選択される1以上の高分子化合物であることが望ましい。これらの高分子は水に溶解し難く且つ溶解可能な有機溶媒が存在する。
更に、前記ビニル単量体としては下記一般式(1)及び/又は一般式(2)に記載の化学構造をもつ化合物を好ましいものとして挙げることができる。これらのビニル単量体は炭化水素基を介してスルホ基が結合しているので、スルホ基の運動性が向上してスルホ基のクラスター化が促進できる。スルホ基がクラスター化することでプロトン伝導性の向上が期待できる。
Figure 2007234247
(式(1)及び(2)中、R14はアルキル基からそれぞれ独立して選択される。R1及ヒ゛3は水素であっても良い。;R5はR2−SO3−とベンゼン環とを直接結合させる構造又は炭素数1以上の炭化水素基からそれぞれ独立して選択される。;R6は炭素数1以上の炭化水素基からそれぞれ独立して選択される。)
(2)上記課題を解決する本発明のプロトン伝導性材料は、実質的にスルホ基が結合されておらず且つ水難溶性高分子化合物に由来する水難溶性領域と、スルホ基をもつ化合物を含むビニル単量体が該水難溶性高分子化合物にグラフト重合したスルホ基含有グラフト鎖に由来するプロトン伝導領域とをもつ、水難溶性であって且つスルホ基をもつ高分子材料と、該高分子材料を溶解する有機溶媒と、を備える高分子材料溶液を有することを特徴とする。
つまり、プロトン伝導性を発揮するプロトン伝導性官能基としてのスルホ基を導入する位置を適正に制御することで、プロトン伝導性材料の水への難溶性を担保する水難溶性領域と、プロトン伝導性を担保するプロトン伝導領域とを分離した結果、水への溶解性を低く保ったまま高いプロトン伝導性を実現することができる。また、有機溶媒溶液とすることで取り扱いが容易である。
ここで、水難溶性高分子化合物とスルホ基含有グラフト鎖とは水に対する親和性の違いから凝集してそれぞれ水難溶性領域とプロトン伝導領域とを形成する。ここで、本発明のプロトン伝導性材料は(1)で説明した製造方法などにより製造され得るものであることが想定されている。本発明のプロトン伝導性材料は、有機溶媒に溶解させた後に水に接触させることで析出する。一旦、有機溶媒に溶解させた後に析出させることで、より均一に水難溶性領域とプロトン伝導領域とを混合・分散することができる。また、析出条件にもよるが、従来技術で特許文献5に開示されたプロトン伝導性材料において形成される水難溶性領域の大きさよりも小さくなることが期待できる。
本発明のプロトン伝導性材料の製造方法は以上の構成を有することから以下の作用効果を発揮する。すなわち、水難溶性高分子化合物からなる水難溶性領域により水への溶解性が最小限に抑えられる。そして、スルホ化工程によるスルホ基の導入を行う必要がないので、水難溶性領域には原理的にスルホ基が導入されることがなく、撥水性及び親水性のバランスが適正化できるので高い性能が発揮できる。また、水難溶性領域は、親水性を向上するプロトン伝導性官能基が導入されないので、水中に存在する活性酸素なども接近し難くなり、耐酸化性が向上して水への難溶性も長期間にわたって維持できることが期待できる。また、プロトン伝導性をもつ領域におけるスルホ基の導入量や分子形態は水への溶解性を考慮せず、プロトン伝導性を向上する観点を中心に決定できることも高いプロトン伝導性を実現するのに好適である。
本発明のプロトン伝導性材料は水難溶性領域とプロトン伝導領域とが均一に分散されているのでプロトン伝導性と耐酸化性とが両立される。
以下、本発明のプロトン伝導性材料及びその製造方法について実施形態に基づき説明を行う。本実施形態のプロトン伝導性材料は固体高分子形燃料電池の固体高分子電解質として採用できる。特に電極において触媒金属を分散する電解質として好適に採用できる。
(プロトン伝導性材料の製造方法)
本実施形態のプロトン伝導性材料の製造方法は高分子化合物液調製工程とグラフト化工程とを有する。
高分子化合物液調製工程は水に難溶性の水難溶性高分子化合物を有機溶媒に溶解させた高分子化合物溶液を調製する工程である。水難溶性高分子化合物としては水に溶解し難いものであることと有機溶媒に溶解できるものであることとを満たす化合物であれば特に限定しないが水への溶解性は低いものが望ましく水に溶解しないものがより望ましい。例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリルなど)、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、(テトラフルオロエチレン−プロピレン)共重合体、(クロロトリフルオロエチレン−プロピレン)共重合体、(クロロトリフルオロエチレン−カルボン酸ビニルエステル−アクリル酸エステル−アクリル酸)共重合体(商品名:ザフロン、東亞合成(株)など:エステル化しているカルボン酸は3級カルボン酸及び1級カルボン酸の双方を含有している。カルボン酸は高級カルボン酸である。)、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリフェノールなどが例示できる。これらの高分子化合物は水には溶解せず且つ適正な有機溶媒を選択することで溶解可能である。更に、フッ素原子を含有しない化合物を選択することでコストを低減できる。フッ素原子を含有しないことで化合物自身の耐酸化性は低下するが、本製造方法にて得られるプロトン伝導性材料においては水難溶性領域として長期間維持可能なので水中の酸化物質による影響を小さくすることができるために充分な耐酸化性を付与することができる。
水難溶性高分子化合物はラジカル重合開始点を有する。ラジカル重合開始点としては化学構造中に導入されたラジカルが例示できる。また、熱や光により分解してラジカルを発生する重合開始剤に類似の構造を分子中に導入した上で加熱や光照射を行うことも可能である。
水難溶性高分子化合物にラジカルを生成する方法としては、物理的方法、化学的方法、機械的方法など特に限定しない。例えば、高エネルギー線を照射する工程にて行うことが望ましい。高エネルギー線としてはガンマ線、電子線、X線などの広義の放射線のほか、低温プラズマ照射なども採用できる。更に、化学反応により高分子材料の水素原子を引き抜く方法、引っ張り・研削・粉砕等によりメカノケミカル反応を進行させる方法などがある。グラフト開始点を生成する量を多くすると、グラフト鎖の導入数が大きくなる。
高エネルギー線を照射することで水難溶性高分子化合物にラジカルを形成・導入する方法としては固体状態(特に微粉末状態)の水難溶性高分子化合物に対して行うことが望ましい。水難溶性高分子化合物を適正な有機溶媒溶液にした後に高エネルギー線を照射しても良いが、有機溶媒に高エネルギー線が吸収されるなど、粉末状態での照射の方がより簡便・効率的である。
グラフト化工程はラジカル重合開始点を基点として、プロトン伝導性官能基をもつビニル単量体をグラフト重合させる工程である。得られる化合物は水難溶性であって且つプロトン伝導性官能基をもつ高分子化合物であるプロトン伝導性材料である。プロトン伝導性官能基としては特に限定されず、一般的なプロトン酸になる官能基が採用できる。例えば、スルホ基、リン酸基、カルボキシ基が挙げられる。
グラフト反応の条件は特に限定しないが、高分子化合物液中にグラフト反応させるビニル単量体を添加することで行うことができる。必要に応じて不活性雰囲気下や加熱条件下で行うなど、適正な反応雰囲気・条件を選択できる。グラフト化工程時に採用する溶媒としては水難溶性高分子化合物を溶解できるものであることが必須である。更にはグラフト化工程後に生成するプロトン伝導性材料をも溶解できるものであれば更に望ましい。溶媒としては単独で用いることができるのはもちろん、混合溶媒を採用することもできるし、水を混合することもできる。
プロトン伝導性官能基を有するビニル単量体としては特に限定しないが、耐酸化性などを考慮すると、上記一般式(1)及び/又は一般式(2)に示す単量体が好ましいものとして例示できる。スルホ基が柔軟な炭化水素基を介して結合しているので、スルホ基の運動性が向上し、スルホ基同士が凝集してクラスター化が容易になる。特にエステル結合やアミド結合を構造中に含まないものが望ましい。プロトン伝導性をもつビニル単量体がもつプロトン伝導性官能基は親水性が高いのでエステル化するなどして有機溶媒に溶解可能にすることが望ましい。更に、グラフト化工程にてグラフト化するビニル単量体としては、プロトン伝導性を制御したり、親水性を制御するなどの目的で、プロトン伝導性官能基をもたない単量体を添加することもできる。
一般式(1)のビニル単量体を製造する方法としては特に限定しないが、R1に対応するアルキル基をもつスチレン誘導体に対して、R5に対応する長さの炭化水素基をもつスルトンを反応させることで製造できる。例えば、R5がプロピレン基である場合にはプロピレン基をもつスルトンを反応させることで製造できる。スルトンによるベンゼン環へのスルホ基の導入は、ニトロベンゼン中などの溶媒に溶解させ、塩化アルミニウムなどの存在下、行うことができる。本反応は無水及び不活性条件下にて行うことが好ましい。
一般式(2)のビニル単量体を製造する方法としても特に限定しない。一般式(2)で表される化合物の一例として、6−(ヘキサ−1−エン−3−オン)スルホン酸メチルエステルを挙げ、その製造方法の一例としての下記反応式に基づき説明する。
Figure 2007234247
マグネシウム末と乾燥したジエチルエーテルとの混合物に対して、不活性雰囲気下、3−クロロプロピルスルホン酸メチルエステルのジエチルエーテル溶液を滴下する。ここで、3−クロロプロピルスルホン酸メチルエステルでは、R4としてはメチルが、R6として−C36−がそれぞれ相当する。その後、アクリルクロライド(R3が水素)を加えて撹拌する。以上の操作により合成が完了する。
(プロトン伝導性材料)
本実施形態のプロトン伝導性材料は高分子材料とその高分子材料を溶解する有機溶媒とを有する。高分子材料は水難溶性領域とプロトン伝導領域とをもつ。水難溶性領域にはスルホ基が実質的に結合されていない。水難溶性領域は水難溶性高分子化合物に由来する。プロトン伝導領域はスルホ基を有するビニル単量体がグラフト化しているスルホ基含有グラフト鎖に由来する。スルホ基を含有するビニル単量体としては先に説明したものと同様の化合物が採用できる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
ポリエチレン(PE:アルドリッチ42,778-0、Mw15000)に対して、放射線源としてコバルト60を用いてガンマ線を10kGy照射した。得られたPE5gをジメチルホルムアミド(DMF)100gに100℃で溶解させた。
100℃に保持しながら、スチレンスルホン酸エチルエステル11gを滴下し、3時間、100℃で保持した。その後、徐冷することで、生成したポリマーを析出させた。析出したポリマーをキシレンで洗浄後、充分に乾燥させて乾燥粉末を得た。
得た乾燥粉末を水中、90℃で5時間処理することでスルホ基のエチルエステルが加水分解し、更に水にて洗浄・乾燥することで生成したポリマーの乾燥粉末を得た。生成したポリマーのイオン交換容量(IEC)は1.97meq/gであった。
乾燥粉末をDMF/エタノール(1/1(容積比))に10質量%溶液になるように溶解することで本実施例のプロトン伝導性材料とした。
(実施例2)
添加するスチレンスルホン酸エチルエステルの量を11gから7gに変更した以外は実施例1と同様の方法にて実施例2のプロトン伝導性材料を製造した。生成したポリマーのイオン交換容量は1.68meq/gであった。
(実施例3)
添加するスチレンスルホン酸エチルエステルの量を11gから5gに変更した以外は実施例1と同様の方法にて実施例3のプロトン伝導性材料を製造した。生成したポリマーのイオン交換容量は1.23meq/gであった。
(実施例4)
添加するスチレンスルホン酸エチルエステルの量を11gから12gに変更した以外は実施例1と同様の方法にて実施例4のプロトン伝導性材料を製造した。生成したポリマーのイオン交換容量は1.93meq/gであった。
(比較例1)
スチレン50gをキシレン100g中に80℃で溶解させた。この溶液中に過酸化ベンゾイル0.2gを添加し、80℃で3時間保持し重合反応を進行させた。反応溶液を徐冷後、メタノール中に投入して再沈殿による精製操作を行った。
析出したポリスチレンをメタノールにて洗浄した後、乾燥させ、ジクロロエタン500mLに溶解させた。その後、60℃に加熱し、撹拌しながらクロロスルホン酸30mLを添加した後、60℃で1時間反応を行いスルホ化を行った。
得られたスルホン化ポリスチレンをイオン交換水にて洗浄後、室温で1時間イオン交換水に浸漬した。得られたスルホン化ポリスチレンのイオン交換容量は2.03meq/gであり、分子量Mwは56500(GPC、ポリスチレン換算)あった。乾燥後、DMF/エタノール(1/1(容量比))に溶解し10質量%溶液として比較例のプロトン伝導性材料とした。
更に、比較例1において添加したクロロスルホン酸の量を変化させることでスルホ基の導入量を変化させたポリマーを製造し、比較例2及び3のプロトン伝導性材料とした。比較例2及び3のプロトン伝導性材料のイオン交換容量はそれぞれ1.72meq/g及び1.25meq/gであった。
(性能評価)
・フィルムの評価
各実施例及び比較例のプロトン伝導性材料をエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)フィルム上に塗布して、厚み300μmのキャストフィルムを作成し、プロトン伝導性を評価した。実施例1〜4のプロトン伝導性材料から形成したキャストフィルムのプロトン伝導性はそれぞれ0.098S/cm(交流インピーダンス法;測定条件:90℃飽和含水状態、室温)、0.073S/cm、0.052S/cm、そして0.102S/cmであった。比較例1〜3のプロトン伝導性材料から形成したキャストフィルムのプロトン伝導性はそれぞれ0.088S/cm、0.059S/cm、そして0.023S/cmであった。結果を図1に併せて示す。
図1より明らかなように、各実施例のプロトン伝導性材料から形成したキャストフィルムの方がプロトン伝導性材料として高い性能を発揮することが判った。例えば、IECを基準として評価すると、同じ程度のIECの値であっても高いプロトン伝導性を示している。
・電池の評価:実施例1のプロトン伝導性材料と比較例1のプロトン伝導性材料とについて燃料電池セルを作成して電池性能の評価を行った。
触媒ペーストの調製:実施例1及び比較例1のプロトン伝導性材料(10質量%溶液)に白金担持カーボン(Pt50質量%)20gを加えてスラリー状のペーストを作成した。更に、イオン交換水/DMF/エタノール(20/40/40(容量比))を加えて混合した後、ホモジナイザーにて混合分散させて実施例1及び比較例1の触媒ペーストを得た。
ガス拡散層への塗布:それぞれの触媒ペーストを撥水処理された厚み180μm、気孔率65%のカーボンペーパーの片面に白金担持量が1mg/cm2になるようにバーコータにて塗工・乾燥を行いガス拡散電極を形成した。
膜・電極への接合:電解質膜(Nafion 112:IEC、0.909meq/g)を中央にして両側からガス拡散電極にて挟持するように配し、ホットプレス(150℃、10MPa、1分間)にて接合し、実施例1及び比較例1の膜電極接合体を得た。
評価:実施例1及び比較例1の膜電極接合体をそれぞれセパレータにて両面から挟持してセルを形成して電池の評価を行った。作成したセルは電極面積が9cm2であった。評価条件としてはセル温度を75℃とし、加湿条件がアノード側、カソード側共に60%に調製し、ガスの利用率がアノード側が80%、カソード側が30%になるようにガス流量を調節した。電池の評価はI−V曲線を測定した。結果を図2に示す。
図2より明らかなように、触媒ペーストとして、実施例のプロトン伝導性材料を採用した電池の方が比較例1のプロトン伝導性材料を採用した電池よりも高い出力を発揮できることが判った。
実施例及び比較例のプロトン伝導性材料におけるイオン交換容量とプロトン伝導性との関係を示すグラフである。 実施例1及び比較例1のプロトン伝導性材料を用いて作成した燃料電池セルのI−V特性の評価結果を示すグラフである。

Claims (12)

  1. ラジカル重合開始点をもつ水難溶性高分子化合物を有機溶剤に溶解させた高分子化合物溶液調製工程と、
    該高分子溶液の該ラジカル重合開始点を基点として、プロトン伝導性官能基をもつビニル単量体をグラフト重合させ、水難溶性であって且つ該プロトン伝導性官能基をもつ高分子化合物であるプロトン伝導性材料を得るグラフト化工程と、
    を有することを特徴とするプロトン伝導性材料の製造方法。
  2. 前記プロトン伝導性官能基はスルホ基である請求項1に記載のプロトン伝導性材料の製造方法。
  3. 前記高分子化合物溶液調製工程は、固体状態の前記高分子化合物に対して、高エネルギー線を照射する工程を含む請求項1又は2に記載のプロトン伝導性材料の製造方法。
  4. 前記水難溶性高分子化合物はフッ素原子を含有しない化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のプロトン伝導性材料の製造方法。
  5. 前記水難溶性高分子化合物はポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、(テトラフルオロエチレン−プロピレン)共重合体、(クロロトリフルオロエチレン−プロピレン)共重合体、(クロロトリフルオロエチレン−カルボン酸ビニルエステル−アクリル酸エステル−アクリル酸)共重合体、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェノールから選択される1以上の高分子化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のプロトン伝導性材料の製造方法。
  6. 前記ビニル単量体は下記一般式(1)及び/又は一般式(2)に記載の化学構造をもつ化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のプロトン伝導性材料の製造方法。
    Figure 2007234247
    (式(1)及び(2)中、R14はアルキル基からそれぞれ独立して選択される。R1及ヒ゛3は水素であっても良い。;R5はR2−SO3−とベンゼン環とを直接結合させる構造又は炭素数1以上の炭化水素基からそれぞれ独立して選択される。;R6は炭素数1以上の炭化水素基からそれぞれ独立して選択される。)
  7. 実質的にスルホ基が結合されておらず且つ水難溶性高分子化合物に由来する水難溶性領域と、スルホ基をもつ化合物を含むビニル単量体が該水難溶性高分子化合物にグラフト重合したスルホ基含有グラフト鎖に由来するプロトン伝導領域とをもつ、水難溶性であって且つスルホ基をもつ高分子材料と、
    該高分子材料を溶解する有機溶媒と、を備える高分子材料溶液を有することを特徴とするプロトン伝導性材料。
  8. 前記水難溶性高分子化合物はフッ素原子を含有しない化合物である請求項7に記載のプロトン伝導性材料。
  9. 前記水難溶性高分子化合物はポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、(テトラフルオロエチレン−プロピレン)共重合体、(クロロトリフルオロエチレン−プロピレン)共重合体、(クロロトリフルオロエチレン−カルボン酸ビニルエステル−アクリル酸エステル−アクリル酸)共重合体、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェノールから選択される1以上の高分子化合物である請求項7又は8に記載のプロトン伝導性材料。
  10. 前記ビニル単量体は下記一般式(1)及び/又は一般式(2)に記載の化学構造をもつ化合物である請求項7〜9のいずれかに記載のプロトン伝導性材料。
    Figure 2007234247
    (式(1)及び(2)中、R14はアルキル基からそれぞれ独立して選択される。R1及ヒ゛3は水素であっても良い。;R5はR2−SO3−とベンゼン環とを直接結合させる構造又は炭素数1以上の炭化水素基からそれぞれ独立して選択される。;R6は炭素数1以上の炭化水素基からそれぞれ独立して選択される。)
  11. 前記高分子材料溶液に水を接触させることで、前記高分子材料を析出させて製造され得る請求項7〜10のいずれかに記載のプロトン伝導性材料。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法にて製造されうることを特徴とするプロトン伝導性材料。
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