JP2005054170A - 共重合体およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
(1)実質的にイオン交換基が導入されていない下記(A)の高分子を構成するような芳香族系セグメントと、イオン交換基が導入され、下記(B)の高分子を構成するような主鎖が脂肪族炭素鎖からなる脂肪族系セグメントとからなることを特徴とする共重合体。
(A)ポリフェニレンエーテル類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリナフチレン類、ポリフェニレン類、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテルエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリベンズイミダゾール類
(B)ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリブテン類、ポリブタジエン類、ポリスチレン類、ポリ(α−メチルスチレン)類、ポリビニルピリジン類、ポリビニルピロリドン類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸類、ポリメタクリル酸アミド類、ポリアクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリアクリル酸アミド類、ポリビニルアルコール類
【選択図】 なし
Description
すなわち本発明は、実質的にイオン交換基が導入されていない芳香族系セグメント(ユニット)と、イオン交換基が導入され、主鎖が脂肪族炭素鎖からなる脂肪族系セグメント(ユニット)とからなることを特徴とする共重合体を提供するものである。
本発明の共重合体は、実質的にイオン交換基が導入されていない芳香族系セグメントと、イオン交換基が導入され、主鎖が脂肪族炭素鎖からなる脂肪族系セグメントとからなることを特徴とする。
ここで、実質的にイオン交換基が導入されていないとは、セグメントにおける繰り返し単位当りのイオン交換基の導入数が、平均0.1個未満であることを意味する。
また芳香族系セグメントとしては、主鎖が主として芳香族環で構成されているセグメントが挙げられ、芳香族環としては、例えばベンゼンなどの単環式芳香族環、ナフタレン、ビフェニルなどの多環式芳香族環、ピリジン基などの複素環式芳香族環、ベンズイミダゾールなどの多環複素環式芳香族環等が挙げられる。
主鎖が脂肪族炭素鎖からなる脂肪族系セグメントとしては、主鎖が脂肪族炭素鎖から構成されていれば特に限定されることはなく、例えば、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリブテン類、ポリブタジエン類、ポリスチレン類、ポリ(α−メチルスチレン)類、ポリビニルピリジン類、ポリビニルピロリドン類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸類、ポリメタクリル酸アミド類、ポリアクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリアクリル酸アミド類、ポリビニルアルコール類などの高分子を構成するセグメントが挙げられる。これらのセグメントの主鎖の脂肪族炭素鎖は、アルキレンであってもアルキレンの水素原子が一部または全部フッ素原子に置換された形のものであってもよい。
またイオン交換基は、上記のような脂肪族系セグメントの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていても良く、両方に導入されていても良い。なかでも側鎖に導入されていることが好ましい。
本発明における共重合体のイオン交換基当量は、通常0.01〜5mmol/g程度であり、好ましくは0.1〜4mmol/g程度であり、さらに好ましくは0.5〜3mmol/g程度である。0.01mmol/gよりも小さいとプロトン伝導性が不十分になる傾向があり、5mmol/gよりも大きいと耐水性が低下する傾向にある。
本発明の共重合体は、上記のように、実質的にイオン交換基が導入されていない芳香族系セグメントと、イオン交換基が導入された脂肪族系セグメントとからなることを特徴とする。これを製造する方法としては特に制限を受けることはなく、公知の方法を用いることができる。その一例としては、芳香族系セグメントと脂肪族系セグメントからなる共重合体を合成した後に脂肪族系セグメントにイオン交換基を導入する方法、
イオン交換基を予め導入したモノマーを重合してイオン交換基が導入された脂肪族系セグメントを合成した後、実質的にイオン交換基が導入されていない芳香族系セグメントと結合させ共重合体を得る方法などが挙げられる。
ここで、官能基の組み合わせとしては互いに反応する組み合わせであれば良いが、好ましくはハロゲノ基と水酸基であり、これらをアルカリ存在下で縮合させる方法が好ましく用いられる。ハロゲノ基として好ましくはフルオロ基、クロロ基等が挙げられる。
末端に官能基を有する脂肪族系セグメントからなる重合体を重合して得る方法としては、例えば連鎖重合の重合成長末端と反応しうる官能基を有するモノマーを共重合させることにより官能基を導入する方法が挙げられる。具体的にはスチレンの重合成長末端と反応しうる水酸基を有するモノマーをスチレンと共重合させることにより水酸基を有するポリスチレンを得ることができる。水酸基を有するモノマーとしては、水酸基が導入された1,1−ジフェニルエチレン、4−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。これらの水酸基を有するモノマーはポリスチレンの鎖中に導入されても良く、末端に導入されていてもよい。
反応温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃である。
スルホン酸基を導入する際に用いるスルホン化剤としては、濃度が90%以上の硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、SO3などの公知のスルホン化剤を用いることができる。脂肪族系高分子のみを選択的にスルホン化を行う観点から濃度が90%以上の硫酸を用いることが好ましい。
硫酸に対する共重合体の濃度は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。また、反応温度は0℃〜80℃が好ましく、より好ましくは20℃〜60℃である。
スルホン化は共重合体を硫酸に溶解させることで進行し、室温では通常2〜100時間で反応が完了する。 スルホン化された共重合体は、硫酸溶液を大量の水に注いで沈殿させるなどの方法により回収することができる。
具体的には、共重合体を適当な溶媒に溶解し、その溶液を基材の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜される。製膜に用いる溶媒は、共重合体を溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン/アルコール混合溶媒、クロロホルム/アルコール混合溶媒などがポリマーの溶解性が高く好ましい。
本発明の燃料電池は本発明の共重合体を高分子電解質膜として使用したものや、本発明の高分子電解質を触媒層中の高分子電解質として使用したものなどを挙げることができる。
燃料電池特性評価
カーボンに担持された白金触媒をNafion(デュポン社の登録商標)の低級アルコール溶液(水を10wt%含む)(Aldrich社製)と混合してペースト状とし、電極材料としての多孔質性のカーボン織布に塗布・乾燥し、触媒が固定された電極材料としての集電体を得た。この集電体を膜の両面に重ね合せ、集電体−膜接合体を得た。該接合体の一面に加湿空気、他面に加湿水素ガスを流し、該接合体を80℃に保ち、その発電特性を測定することによって行った。
アルゴン雰囲気下で、フラスコに脱水精製したテトラヒドロフラン(以下、THFと略する)150mlを入れ、次いで金属カリウム3.9gとナフタレン15.4gを加え、室温で反応させることによって深緑色のカリウムナフタレンのTHF溶液を合成した。メタノールを用いて緑色が消失する点を終点とした滴定を行ったところ、濃度は0.369mol/Lであった。
窒素雰囲気下でフラスコに4-ヒドロキシベンゾフェノン5.01g(25.3mmol)とDMF8mlを入れて溶解させた。ここにtert−ブチルジメチルシリルクロリド5.47g(36.3mmol)とイミダゾール8.00g(118mmol)のDMF溶液を室温で10分間かけて滴下した。室温で5時間攪拌した後、過剰の重曹水をゆっくりと加えてヘキサン30mlで抽出した。 有機層を水で洗浄した後に、乾燥、溶媒を留去して無色透明な液体(a)を7.40g得た。
真空下において、ガラス容器に上記参考例1で合成したカリウムナフタレンのTHF溶液4.21ml(1.55mmol)を入れた。系内を−78℃に保ち、攪拌しながらスチレン(22.7mmol)のTHF溶液25.7mlを加えた。−78℃で10分間反応させた後に上記参考例2で合成した(b1)のTHF溶液(0.221mmol/ml)を7.45ml加え、さらに2時間反応を行った。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、メタノールに投入し、重合体を得た。これをTHF15mlに溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液(1mmol/ml)を3ml加えて室温で2時間反応した。その後、反応液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させ、ろ過、乾燥して重合体(c1)を得た。GPCより求めた数平均分子量はポリスチレン換算で4300であった。このものは、下記のような末端にヒドロキシ基が置換したポリスチレン構造を有している。
窒素雰囲気下で水酸基末端のポリエーテルスルホン(住友化学工業社製スミカエクセルPES4003P、ポリスチレン換算分子量39000)25gをN,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAc)65mlに溶解させた。さらに炭酸カリウム0.277g、デカフルオロビフェニル1.34g、トルエン13mlを加えて80℃で2時間、100℃で1時間反応させた。その後、反応液をメタノールに投入して重合体を析出させて、ろ過、乾燥を行い、ポリエーテルスルホン類(d)を得た。このものは、末端にノナフルオロビフェニルオキシ基が置換したポリエーテルスルホンであることが確認された。
窒素雰囲気下でフラスコにビス(4-ヒドロキシ)ベンゾフェノン25.7g(120mmol)とDMF8mlを入れて溶解させた。そこにtert−ブチルジメチルシリルクロリド36.6g(243mmol)とイミダゾール21.8g(320mmol)のDMF溶液を室温で10分間かけて滴下した。室温で5時間攪拌した後、過剰の重曹水をゆっくりと加えてヘキサン30mlで抽出した。 有機層を水で洗浄した後に、乾燥、溶媒を留去して無色透明な液体(a2)を34.5g得た。
真空下において、ガラス容器にsec−ブチルリチウムのヘプタン溶液2.84ml(0.824mmol)を入れた。系内を−78℃に保ち、攪拌しながらスチレンのTHF溶液26.8ml(スチレン含量23.7mmol)を加えた。−78℃で10分間反応させた後に上記参考例5で合成した(b2)のTHF溶液9.40ml(1.17mmol)を加え、さらに2時間反応を行った。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、メタノールに投入し、重合体を得た。これをTHF15mlに溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液(1mmol/ml)を3ml加えて室温で2時間反応した。その後、反応液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させ、ろ過、乾燥して重合体(c2)を得た。GPCより求めた数平均分子量はポリスチレン換算で3100であった。このものは、下記のような片末端に2個のヒドロキシ基が置換したポリスチレン構造を有している。
sec−ブチルリチウムのヘプタン溶液1.08ml(0.308mmol)、スチレンのTHF溶液28.8ml(25.5mmol)、上記参考例5で合成した(b2)のTHF溶液2.72ml(0.337mmol)を用いる以外は参考例6に準拠して実施することにより重合体(c3)を得た。GPCより求めた数平均分子量はポリスチレン換算で8300であった。この重合体(c3)は、片末端に2個のヒドロキシ基が置換したポリスチレン構造を有している。
窒素雰囲気下で上記(c1)を0.15g、上記(d)を0.90g入れて、DMAc10mlで攪拌溶解させた。さらに炭酸カリウム15mgとトルエン10mlを加えて100℃で3時間、120℃で3時間、140℃で6時間反応させた。その後、反応液を大量の塩酸酸性メタノールに投入して重合体を析出させてろ過、乾燥を行い、ポリエーテルスルホン−block−ポリスチレンの構造を有するブロック共重合体(e1)0.96gを得た。
また1H NMR測定より、スルホン酸基はポリエーテルスルホンセグメントには実質的に導入されておらず、ポリスチレンの芳香環に1個ずつ導入されていることを確認した。
(f1)をDMAcに溶解させ15wt%溶液を調製した。ガラス基板上に流延塗布し、80℃で乾燥させることによってスルホン化した芳香族系高分子の膜(g1)を得た。この膜厚は34μmであった。この膜の滴定法で求めたイオン交換容量測定および燃料電池特性評価の結果を表1に示す。
無水塩化第一銅99mgと2−メチルベンズオキサゾール266mgとトルエン1mlを室温で15分撹拌した。これに2−フェニルフェノール8.5gとトルエン30mlを加え、酸素雰囲気下50℃で5時間撹拌した。反応終了後、塩酸を含むメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ過、乾燥してポリ(2−フェニルフェニレンエーテル)(h)を得た。
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、水酸基末端ポリエーテルスルホン(住友化学工業製スミカエクセルPES5003P、ポリスチレン換算分子量45000)を3.0g、(h)を0.75g、炭酸カリウム0.04g、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと呼ぶ)15mlおよびトルエン3mlを加え、加熱撹拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。ここに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン0.05gを添加し、160℃にて5時間加熱攪拌した。反応液を大量の塩酸酸性メタノールに滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、80℃にて減圧乾燥して3.8gのブロック共重合体を得た。
DMAcを展開溶媒としたGPC測定の結果、数平均分子量はポリスチレン換算で51000であった。
また1H NMR測定より、スルホン酸基はポリエーテルスルホンセグメントには実質的に導入されておらず、ポリ(2−フェニルフェニレンエーテル)セグメントの芳香環に導入されていることを確認した。
(i)を用いる以外は実施例1に準拠して、膜厚は35μm膜(j)を得た。この膜の滴定法で求めたイオン交換容量測定および燃料電池特性評価の結果を表1に示す。
窒素雰囲気下、フラスコに上記(c2)を0.8g、上記(d)を3g、DMAc15mlを入れて溶解させた。さらに炭酸カリウム37mgとトルエン10mlを加えて100℃で3時間、120℃で3時間、140℃で6時間反応させた。その後、反応液を大量の塩酸酸性メタノールに投入して重合体を析出させてろ過、乾燥を行い、ポリエーテルスルホン−glaft−ポリスチレンの構造を有するグラフト共重合体(e2)3.8gを得た。
(f2)を用いる以外は実施例1に準拠して、膜厚は37μm膜(g2)を得た。この膜の滴定法で求めたイオン交換容量測定および燃料電池特性評価の結果を表1に示す。
(c2)の代りに上記(c3)を用い、炭酸カリウム14mg用いる以外は実施例2に準拠することにより、ポリエーテルスルホン−glaft−ポリスチレンの構造を有するグラフト共重合体(e3)3.8gを得た。
(f3)を用いる以外は実施例1に準拠して、膜厚は37μm膜(g3)を得た。この膜の滴定法で求めたイオン交換容量測定および燃料電池特性評価の結果を表1に示す。
Claims (11)
- 実質的にイオン交換基が導入されていない芳香族系セグメントと、イオン交換基が導入され、主鎖が脂肪族炭素鎖からなる脂肪族系セグメントとからなることを特徴とする共重合体。
- 芳香族系セグメントが、下記(A)の高分子を構成するセグメントから選ばれることを特徴とする請求項1記載の共重合体。
(A)ポリフェニレンエーテル類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリナフチレン類、ポリフェニレン類、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテルエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリベンズイミダゾール類 - 主鎖が脂肪族炭素鎖からなる脂肪族系セグメントが、下記(B)の高分子を構成する
セグメントから選ばれることを特徴とする請求項1または2記載の共重合体。
(B)ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリブテン類、ポリブタジエン類、ポリスチレン類、ポリ(α−メチルスチレン)類、ポリビニルピリジン類、ポリビニルピロリドン類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸類、ポリメタクリル酸アミド類、ポリアクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリアクリル酸アミド類、ポリビニルアルコール類 - イオン交換基が、−SO3H、−COOH、−PO(OH)2、−P(OH)2、−SO2NHSO2−から選ばれる陽イオン交換基であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の共重合体。
- 共重合体の数平均分子量が、2000〜1000000であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の共重合体。
- 共重合体がブロック共重合体またはグラフト共重合体であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の共重合体。
- イオン交換基当量が、0.01〜5mmol/gであることを特徴とする請求項1〜6記載の共重合体。
- 請求項1〜7記載の共重合体を有効成分とする高分子電解質。
- 請求項8記載の高分子電解質を用いてなる膜。
- 請求項8記載の高分子電解質を用いてなる燃料電池用電極触媒組成物。
- 請求項9記載の膜および/または請求項10記載の電極触媒組成物を有する燃料電池。
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