JP4289058B2 - ブロック共重合体及びその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロック共重合体に関し、高分子電解質、なかでも燃料電池用として好適に用いられるブロック共重合体、及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
一次電池、二次電池、あるいは固体高分子型燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜として、プロトン伝導性を有する高分子すなわち高分子電解質が用いられている。例えば、側鎖に超強酸としてのパーフルオロアルキルスルホン酸を有し、主鎖がパーフルオロアルキルである脂肪族系高分子を有効成分とする高分子電解質が、燃料電池としての特性に優れることから従来主に使用されてきている。しかしながらこの材料は非常に高価であること、耐熱性が低いこと、膜強度が低く何らかの補強をしないと実用的でないなどの問題が指摘されている。
【0003】
こうした状況において、上記高分子電解質に替わり得る安価な高分子電解質の開発が近年活発化してきている。なかでも耐熱性に優れフィルム強度の高い芳香族ポリエーテルにスルホン酸基を導入した高分子すなわち側鎖にスルホン酸基を有し主鎖が芳香族系である芳香族系高分子が有望視されており、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン系(特許文献1)、スルホン化ポリエーテルスルホン系(特許文献2、3)の高分子が提案されている。
これらの材料系では一般に、導入されるスルホン酸基の量が多いほどプロトン伝導度が高くなるが、同時にポリマーの吸水率が高くなる傾向があり、吸水性の高いポリマーから作成されたフィルムは、これを燃料電池に用いた場合、該電池使用中に生成する水によって大きな寸法変化を生じ強度が低下するという問題があった。
【0004】
この問題を解決する高分子電解質として、既に本発明者等は、スルホン酸基が導入されたセグメントおよびスルホン酸基が実質的に導入されていないセグメントをそれぞれ一つ以上有し、かつ全てのセグメントのうち少なくとも一つのセグメントがその主鎖に芳香環を有するセグメントであるブロック共重合体を有効成分とする高分子電解質を提案している(特許文献4)。
【0005】
本発明者らは、その後さらに検討を重ねた結果、酸基が導入されたセグメントとして、特定の繰返し単位を有するブロック共重合体が、高分子電解質、とりわけ燃料電池のプロトン伝導膜として、成膜性、耐水性及びプロトン伝導性などの諸特性において、一層優れた性能を示すことを見出すとともに更に種々の検討を加え、本発明を完成した。
【0006】
【特許文献1】
特表平11−502249号公報
【特許文献2】
特開平10−45913号公報
【特許文献3】
特開平10−21943号公報
【特許文献4】
特開2001−250567号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、酸基が導入されたセグメントと、酸基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ一つ以上を有するブロック共重合体であって、酸基が導入されたセグメントが、下記一般式(1)
−(Ar−X−Ar−X)− (1)
(式中、X、Xは互いに独立に−O−または−S−を表し、Ar、Arは互いに独立に、下記式(2)乃至(4)
【0008】
Figure 0004289058
(式中、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、置されていても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換されていても良い炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていても良い炭素数6〜10のアリール基又は置換されていても良い炭素数6〜10のアリールオキシ基を表し、aは0〜4の整数を、bは0〜6の整数を表す。R1が複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよいし、R1同士が結合して環状の部分構造を形成していてもよい。Yは、直接結合、−O−、−S−、置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレン基又は置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレンジオキシ基を、nは0〜2の整数を表す。Yが複数ある場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。
で表される何れかの芳香族系の2価の基を表し、XとXがともに−O−を表す場合は、ArとArがともに式(2)の2価の基であることはない。)
で表される繰返し単位の酸基置換体で構成されることを特徴とするブロック共重合体、およびその用途を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のブロック共重合体は、酸基が導入されたセグメントと、酸基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ一つ以上を有するブロック共重合体であって、酸基が導入されたセグメントが、上記一般式(1)で表される繰返し単位の酸基置換体で構成されることを特徴とする。
上記式(1)におけるX、Xは、互いに独立に、−O−または−S−を表すが、−O−であることが好ましい。
Ar、Arは、互いに独立に、上記式(2)乃至(4)で表される何れかの芳香族系の2価の基を表が、XとXがともに−O−を表す場合は、ArとArがともに式(2)の2価の基であることはない。
また式(2)乃至(4)におけるRは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、置換されていても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換されていても良い炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていても良い炭素数6〜10のアリール基又は置換されていても良い炭素数1〜10のアリールオキシ基を表し、R1が複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよいし、R1同士が結合して環状の部分構造を形成していてもよい。
【0010】
ここで、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。置換されていても良い炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルヘキシル等の炭素数1〜10のアルキル基、これらの基にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ、ナフチルオキシなどが置換したアルキル基が挙げられる。
また置換されていても良い炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、2,2−ジメチルプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ等の炭素数1〜10のアルコキシ基、これらの基にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ、ナフチルオキシなどが置換したアルコキシ基が挙げられる。
【0011】
また置換されていても良い炭素数6〜10のアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル等の炭素数6〜10のアリール基、これらの基にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ、ナフチルオキシなどが置換したアリール基が挙げられる。
置換されていても良い炭素数6〜10のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ、ナフチルオキシ等の炭素数6〜10のアリールオキシ基、これらの基にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ、ナフチルオキシなどが置換したアリールオキシ基が挙げられる。
またR1同士が結合して環状の部分構造を形成している2価の基としては、例えばエチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ブタジエニレン、エチレン-1,2-ジオキシ、ビフェニル-2,2’-ジイル等が挙げられる。
【0012】
なかでも、Rとしては、フッ素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜10のアリールオキシ基などが好ましく、フッ素原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基が特に好ましい。
上記のようなRの2価の基(2)〜(4)における置換位置は特に限定はないが、酸基導入に有利な置換様式であることが望ましい。
【0013】
また式(2)乃至(4)におけるaは0〜4の整数を、bは0〜6の整数を表すが、a、bはいずれも0〜2の整数であることが好ましい。
【0014】
Yは、直接結合、−O−、−S−、置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレン基又は置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレンジオキシ基を表す。置換基が複数ある場合は、置換基同士が結合して環状の部分構造を形成していてもよい。
ここで、置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えばメチレン、エチレン、プロパン−2,2−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル、ヘキサメチレン−1,1−ジイル、およびハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ、ナフチルオキシなどが置換された上記の基などが挙げられる。
また置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレンジオキシ基としては、例えばメチレンジオキシ、エチレンジオキシおよびハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ、フェニル、ナフチル、フェノキシ、ナフチルオキシなどが置換された上記アルキレンジオキシ基などが挙げられる。
なかでもYは、直接結合、置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましい。より好ましくは、直接結合、炭素数1〜6のフッ素で置換されていても良いアルキレン基である。
Yが複数ある場合は、これらは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
またnは0〜2の整数を表すが、0または1である場合が好ましい。
【0015】
式(2)で表される2価の基の代表例としては、例えば以下のものが例示される。
1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン、2−メトキシ−1,4−フェニレン、2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン、5−メトキシ−1,3−フェニレン、5−ヒドロキシ−1,3−フェニレン、2−フェニル−1,4−フェニレン、2−フェノキシ−1,4−フェニレン。
【0016】
式(3)で表される2価の基の代表例としては、例えば以下のものが例示される。
1,4−ナフチレン、2,3−ナフチレン、1,5−ナフチレン、2,6−ナフチレン、2,7−ナフチレン、2,3−ジメチル−1,4−ナフチレン、6−メトキシ−1,4−ナフチレン、6−ヒドロキシ−1,4−ナフチレン、6−フェニル−1,4−ナフチレン。
【0017】
式(4)で表される2価の基の代表例としては、例えば以下のものが例示される。
ビフェニル−4,4'−ジイル、ビフェニル−3,3'−ジイル、ビフェニル−3,4'−ジイル、3,3'−ジフェニルビフェニル−4,4'−ジイル、3,3'−ジフェノキシビフェニル−4,4'−ジイル、2,2−ジフェニルプロパン−4',4''−ジイル、1,1−ジフェニルシクロヘキサン−4',4''−ジイル、2,2−ジフェニルプロパン−3',3'',5',5''−テトラメチル−4',4''−ジイル、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイル、3,3'−ジメチルジフェニルエーテル−4,4'−ジイル、1,4−ジフェニルベンゼン−4',4''−ジイル、および以下の構造の基。
Figure 0004289058
【0018】
また繰返し単位である前記式(1)の代表例としては、例えば、以下のものが例示される。
Figure 0004289058
【0019】
Figure 0004289058
【0020】
Figure 0004289058
【0021】
本発明のブロック共重合体は、上記のような特定の繰返し単位(1)の酸基置換体を含有することを特徴とするが、酸基としては、弱酸、強酸、超強酸の基いずれであることもできる。
ここで、弱酸としてはカルボン酸、ホスホン酸等が、強酸としてはスルホン酸、スルホニルイミド等が、超強酸としてはパーフルオロアルキレンスルホン酸、パーフルオロフェニレンスルホン酸、パフルオロアルキレンスルホニルイミド等が挙げられる。中でも強酸の基、超強酸の基が好ましく、例えば、スルホン酸、パーフルオロアルキレンスルホン酸、パーフルオロフェニレンスルホン酸などが好適に用いられる。
かかる酸基の繰返し単位(1)における酸基の導入数は、通常、該繰り返し単位あたり平均0.5個以上であるが、好ましくは、平均1.0個以上であることが好ましい。また、該繰返し単位を構成する式(2)乃至(4)の芳香環当り平均0.5個以上置換されている場合が好ましく、とりわけ実質的に全ての芳香環に1個ずつ以上導入されている場合が好ましい。酸基は芳香環に直接導入されていても、連結基を介していても良い。
【0022】
また本発明のブロック共重合体は、上記のような特定の繰返し単位(1)の酸基置換体の他に、酸基が実質的に導入されていないセグメントを有するものである。ここで酸基が実質的に導入されていないセグメントとしては、セグメントを構成する繰返し単位当りの酸基の導入量が平均0.1個以下であるものが挙げられる。
かかる酸基が実質的に導入されていないセグメントとしては、芳香族系高分子が好ましく、例えば、下記一般式(5)で表される繰り返し単位で構成される高分子が好ましく用いられる。
−(Ar−Z−Ar−Z)− (5)
(式中、Zは、直接結合、−O−または−S−を表し、Ar、Arは互いに独立に、下記式(6)乃至(10)の何れかの2価の芳香族系の基を表す。)
Figure 0004289058
【0023】
(式中、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、置換されていても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換されていても良い炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていても良い炭素数6〜10のアリール基、置換されていても良い炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。cは0〜4の整数を、dは0〜6の整数を表す。Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよし、R2同士が結合して環状の部分構造を形成していてもよい。Wは、直接結合、−O−、−S−、―CO−、−SO−、置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレン基、置換されていても良い炭素数1〜5のアルキレンジオキシ基を表し、mは0〜2の整数を表す。Wが複数ある場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。Wが複数の置換基で置換されている場合は、置換基同士が結合して環状の部分構造を形成していてもよい。Aは、−O−、−S−、―NR−(Rは、水素原子または置換されていても良い炭素数1〜10のアルキル基を表す。)を表し、2つのAは同一であっても異なっていてもよい。Arは下記式(11)乃至(14)
Figure 0004289058
(式中、R、W、mは、それぞれ前記と同じ意味を表し、eは0〜2の整数を、fは0〜4の整数を、gは0〜3の整数を表す。)
の何れかの4価の芳香族系の基を表す。)
【0024】
ここで、R、Rにおける置換されていても良いアルキル基としては、例えば前記Rにおいて例示したものと同様の基が挙げられる。またRにおける置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアリール基、置換されていても良いアルコキシ基としては、例えばRにおいて例示したものと同様の基が挙げられる。
またWにおける置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレン基、置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレンジオキシ基としては、前記Yにおいて例示したものと同様の基が挙げられる。
【0025】
酸基が実質的に導入されていないセグメントの代表例としては、式(5)におけるZが、直接結合を表す場合は、例えば、ポリパラフェニレン、ポリイミド、ポリベンズオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンズイミダゾール等に由来するセグメントが挙げられる。
Zが、−O−を表す場合は、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等に由来するセグメントが挙げられる。
またZが、−S−を表す場合は、例えば、ポリフェニレンスルフィド等に由来するセグメントが挙げられる。
【0026】
本発明のブロック共重合体は、セグメントとして、上記のような特定の繰返し単位(1)の酸基置換体と、酸基が実質的に導入されていない例えば上記のような繰返し単位(5)とを有するものである。
その製造方法としては、例えばI.繰返し単位(1)と繰返し単位(5)からなるブロック共重合体を製造した後、繰返し単位(1)に選択的に酸基を導入する方法、II.繰返し単位(1)の酸基置換体ポリマーを製造した後、繰返し単位(5)からなるポリマーと結合させてブロック共重合体を得る方法などが挙げられる。
【0027】
ここで、Iの方法における繰返し単位(1)と繰返し単位(5)からなるブロック共重合体は、繰返し単位(1)を有し、両末端がヒドロキシ基もしくはハロゲノ基であるかまたは末端の一方がヒドロキシ基もう一方がハロゲノ基であるポリマーと、繰返し単位(5)を有し、両末端がヒドロキシ基もしくはハロゲノ基であるかまたは末端の一方がヒドロキシ基もう一方がハロゲノ基であるポリマーとを組合わせて反応させることにより製造し得る。例えば、両末端にヒドロキシ基を有するポリマーと両末端にハロゲノ基を有するポリマーとを縮合させる方法、両末端にヒドロキシ基とハロゲノ基を一つずつ有するポリマーと両末端にヒドロキシ基とハロゲノ基を一つずつ有する別のポリマーとを縮合させる方法、両末端にヒドロキシ基を有するポリマーと両末端にヒドロキシ基を有する別のポリマーとを4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、パーフルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンなど連結基として働く化合物を用いて結合させる方法、両末端にハロゲノ基を有するポリマーと両末端にハロゲノ基を有する別のポリマーとを4、4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4、4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなど連結基として働く化合物を用いて結合させる方法などが例示される。また、上記反応と同様の素反応が起こりうる反応性基を有するポリマーおよびモノマーを重合反応させる方法によってブロック共重合体を製造し得る。
【0028】
また繰返し単位(1)と繰返し単位(5)からなるブロック共重合体に、酸基を導入する方法としては、例えば、I−1.ブロック共重合体を濃硫酸に溶解あるいはサスペンドすることにより、もしくはブロック共重合体を有機溶媒に少なくとも部分的に溶解させた後、濃硫酸、クロロ硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄などを作用させることにより、スルホン酸基を導入する方法。あるいは、I−2.ブロック共重合体に予め導入しておいたメルカプト基、メチル基、ヒドロキシ基、ブロモ基などを、酸化、置換反応、縮合反応などにより、スルホン酸基、置換されていてもよいメチレンスルホン酸基、置換されていてもよいメチレンホスホン酸基、置換されていてもよいスルホアルキルオキシ基、置換されていてもよいスルホフェニルオキシ基、カルボン酸基などに変換する方法等が挙げられる。
【0029】
上記I−1の酸基導入方法を用いる場合、前記式(6)乃至(14)のRまたはWの両方、またはいずれかが電子吸引性基であることが好ましい。R、Wが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良く、またそれらは全てが電子吸引性基であっても一部が電子吸引性基であってもよい。一方、上記I−2の酸基導入方法を用いる場合、RおよびWに特に制限はない。
【0030】
また前記IIの方法を用いるすなわち繰返し単位(1)の酸基置換体ポリマーを製造した後、繰返し単位(5)からなるポリマーと結合させてブロック共重合体を製造する場合、例えば繰返し単位(1)の酸基置換体ポリマーは、上記I−1、I−2等の酸基導入方法に準拠して製造し得るし、あらかじめ酸基を導入したモノマーを重合することにより製造し得る。またブロック共重合体は、例えば前記と同様な方法により製造し得る。
【0031】
なお、繰返し単位(1)を有するポリマーは、その製法には特に制限はないが、例えば、XがOの場合はジフェノール類とジハロアリール類をウルマン反応で重合する方法が、XがSの場合はジハロアリール類と硫化ナトリウムの重縮合により合成する方法などが挙げられる。
また繰返し単位(5)を有するポリマーの製法には特に制限はなく、公知の方法に準じて製造することができる。
【0032】
かくして本発明のブロック共重合体が得られるが、ブロック共重合体全体としての酸基の導入量は、高分子電解質1g当たり酸基0.1mmol〜4.0mmol(イオン交換容量:0.1meq/g〜4.0meq/g)が好ましく、特にイオン交換容量で表して、0.8meq/g〜2.5meq/gがとりわけ好ましい。酸基導入量が少な過ぎるとプロトン伝導性が低くなり燃料電池用の高分子電解質としての機能が不十分になることがあり、一方、酸基導入量が多過ぎると耐水性が不良となることがあるので好ましくない。これらブロック共重合体全体としての酸基導入量は、酸基が導入されたセグメントの酸基導入数および/またはブロック組成および/または各ブロックの数平均分子量を変えることにより任意に制御できる。
【0033】
ここで、親水性セグメントにおける数平均分子量は1000〜100000が好ましく、2000〜50000がより好ましい。疎水性セグメントの数平均分子量は2000〜200000が好ましく、5000〜100000がより好ましい。
また本発明のブロック共重合体の数平均分子量としては、5000〜1000000が好ましく、15000〜200000のものがより好ましい。数平均分子量は、低過ぎると共重合体のフィルム強度や耐熱性が低下する場合があり、過ぎると製膜工程において用いる溶媒への溶解性が低下する場合がある。
【0034】
次に、本発明のブロック共重合体を燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜として使用する場合について説明する。
この場合は、本発明のブロック共重合体は、通常フィルムの形態で使用されるが、フィルムへ転化する方法に特に制限はなく、例えば溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましく使用される。
具体的には、共重合体を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜される。製膜に用いる溶媒は、共重合体を溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等がポリマーの溶解性が高く好ましい。
【0035】
フィルムの厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましい。10μmより薄いフィルムでは実用的な強度が十分でない場合があり、300μmより厚いフィルムでは膜抵抗が大きくなり電気化学デバイスの特性が低下する傾向にある。膜厚は溶液の濃度および基板上への塗布厚により制御できる。
【0036】
またフィルムの各種物性改良を目的として、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等を本発明のブロック共重合体に添加することができる。また、同一溶剤に混合共キャストするなどの方法により、他のポリマーを本発明の共重合体と複合アロイ化することも可能である。
燃料電池用途では他に水管理を容易にするために、無機あるいは有機の微粒子を保水剤として添加する事も知られている。これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。
【0037】
また、フィルムの機械的強度の向上などを目的として、電子線・放射線などを照射して架橋することもできる。さらには、多孔性のフィルムやシートに含浸複合化したり、ファイバーやパルプを混合してフィルムを補強する方法などが知られており、これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。また本発明のブロック共重合体は、燃料電池の触媒層を構成する触媒組成物の成分の一つである高分子イオン交換成分としても使用可能である。
【0038】
次に本発明の燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、共重合体フィルムの両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。白金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられ、好ましく用いられる。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーに白金微粒子または白金微粒子を担持したカーボンを接合させる方法、およびそれを高分子電解質フィルムと接合させる方法については、例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
プロトン伝導度の測定は、温度80℃、湿度90%の条件で交流法で測定した。イオン交換容量は滴定法により求めた。また吸水率は、乾燥したフィルムを100℃の脱イオン水に2時間浸漬した後のフィルム重量増加量を乾燥時の重量を基準として求めた。
【0040】
参考例1
ポリ(オキシ(3,3−ジフェニル−4,4’−ビフェニリレン)オキシ−4,4’−ビフェニリレン)(両末端−OH型)の製造
フラスコに窒素下、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを21.66g、4,4’−ジブロモビフェニル18.72g、ベンゾフェノンを80g、およびトルエンを20ml加え、撹拌溶解した。そこへ炭酸カリウム8.98gを添加し、加熱撹拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。さらに、あらかじめ準備した塩化第一銅/キノリン触媒(0.1g/10ml)を6ml加え、210℃で加熱撹拌した。反応液を大量の酢酸酸性メタノールに注ぎ、得られた沈殿物をろ過、乾燥して両末端水酸基のポリマー(以下P1と呼ぶ)を得た。
【0041】
参考例2
1,6−ビス(4−フルオロフェニル)パーフルオロヘキサンの製造
フラスコに窒素下、p−フルオロヨードベンゼンを26.64g、DMSOを100ml、銅粉末を15.24g加え、110℃でよく撹拌した。次いで1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン30.46gをゆっくり滴下し、120℃で20時間撹拌した。反応液をろ過して未反応の銅を除き、少量のNaClを含む水溶液に滴下し、析出物をろ過した。析出物をアセトンに溶解しろ過後アセトンを溜去した。残留物をメタノールに溶解させ水を加え析出物をろ過した。析出物を減圧蒸留(155℃、5mmHg)し、無色の固体20gを得た。
【0042】
参考例3
ポリ(オキシ(1,3−フェニレン)オキシ−4,4'−ビフェニリレン)(両末端−OH型)の製造
フラスコに窒素下、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを167.59g、ベンゾフェノンを600g、およびトルエンを180ml加え、撹拌溶解した。そこへ炭酸カリウム8.98gを添加し、加熱撹拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。さらに、m−ジブロモベンゼン200.52gを加え、続いて塩化第一銅0.43gを加え、200℃で加熱撹拌した。反応液を大量の酢酸酸性メタノールに注ぎ、得られた沈殿物をろ過、乾燥して両末端水酸基のポリマー(以下P3と呼ぶ)を得た。
【0043】
参考例4
ポリエーテルスルホン(両末端−F型)の製造
フラスコに窒素下、スミカエクセルPES4003P(住友化学工業製、水酸基末端ポリエーテルスルホン)を1000.00g、炭酸カリウム7.59g、DMAc2500ml、およびトルエン500mlを加え、160℃にて加熱撹拌して共沸脱水した。室温にて放冷後、デカフルオロビフェニル53.60gを加え80℃にて3.5時間加熱撹拌した。反応液を大量の水に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、メタノール/アセトン混合溶媒で洗浄後、80℃にて乾燥して両末端F基のポリマー(以下P4)を得た。
【0044】
実施例1
ブロック共重合体の製造
フラスコに、参考例1で得られたP1を15.00g、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを23.777g、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンを27.848g、炭酸カリウム13.821g、およびジフェニルスルホンを100g加え、250℃にて加熱撹拌して脱水した。その後さらに290℃にて3時間加熱攪拌した。反応液を室温で固化させた後ミキサーにて粉砕し、大量のメタノールで洗浄し、得られた不溶物をろ過回収し、80℃にて減圧乾燥してブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体を濃硫酸とともに40℃にて攪拌し、均一溶液とした後さらに4日間攪拌を継続した。得られた溶液を大量の氷水中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収した。さらに洗液が中性になるまでイオン交換水によるミキサー洗浄を繰返した後、40℃にて減圧乾燥してスルホン化したブロック共重合体を得た。スルホン化したブロック共重合体をDMAcに約15重量%の濃度で溶解し、次いでガラス板に流延し、80℃で乾燥して溶媒を除去することにより、透明な膜を得た。ブロック共重合体のH NMR測定の積分比およびイオン交換容量の測定結果から、スルホン酸基は実質的に疎水性セグメントには導入されておらず、P1由来のセグメントに選択的にスルホン酸基が導入されており、また酸基の導入個数はP1の繰り返し単位あたり4個以上であることを確認した。評価結果をまとめて表1に示す。
【0045】
実施例2
ブロック共重合体の製造
フラスコに、参考例1で得られたP1を2.00g、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを2.428g、炭酸カリウム1.520g、DMAcを24ml、およびトルエンを6ml加え、トルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。次いで1,6−ビス(4−フルオロフェニル)パーフルオロヘキサンを1.226g、加え170℃で2時間反応させた後、80℃に冷却し、デカフルオロビフェニルを2.506g添加して80℃にて6時間加熱攪拌した。反応液を大量のメタノールに注ぎ、得られた沈殿物をろ過回収し、80℃にて減圧乾燥してブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体を濃硫酸とともに40℃にて攪拌し、均一溶液とした後さらに2日間攪拌を継続した。得られた溶液を大量の氷水中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収した。さらに洗液が中性になるまでイオン交換水によるミキサー洗浄を繰返した後、40℃にて減圧乾燥してスルホン化したブロック共重合体を得た。スルホン化したブロック共重合体を実施例1と同様な方法により製膜することにより透明な膜を得た。ブロック共重合体のH NMR測定の積分比およびイオン交換容量の測定結果から、スルホン酸基は実質的に疎水性セグメントには導入されておらず、P1由来のセグメントに選択的にスルホン酸基が導入されており、また酸基の導入個数はP1の繰り返し単位あたり4個以上であることを確認した。評価結果をまとめて表1に示す。
【0046】
実施例3
ブロック共重合体の製造
フラスコに、スミカエクセルPES5003P(住友化学工業製、水酸基末端ポリエーテルスルホン)を144g、P3を48g、炭酸カリウム4.84g、DMAc960mlおよびトルエン3mlを加え、加熱撹拌して溶解させた。ここにデカフルオロビフェニル9.52gを添加し、80℃にて5時間加熱攪拌した。反応液を大量の塩酸酸性メタノールに滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、80℃にて乾燥してブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体を濃硫酸に溶解させ60℃でスルホン化反応を行った。得られた溶液を大量の氷水中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収した。さらに洗液が中性になるまでイオン交換水によるミキサー洗浄を繰返した後、40℃にて乾燥してスルホン化したブロック共重合体を得た。スルホン化したブロック共重合体をDMAcに約15重量%の濃度で溶解し、次いでガラス板に流延し、80℃で乾燥して溶媒を除去することにより、透明な膜を得た。ブロック共重合体のH NMR測定の積分比およびイオン交換容量の測定結果から、スルホン酸基は実質的に疎水性セグメントには導入されておらず、P3由来のセグメントに選択的にスルホン酸基が導入されており、また酸基の導入個数はP3の繰り返し単位あたり3個以上であることを確認した。評価結果をまとめて表1に示す。
【0047】
実施例4
ブロック共重合体の製造
フラスコに窒素下、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを3.553g、4,4’−ジブロモビフェニル3.120g、ベンゾフェノンを15g、およびトルエンを5ml加え、撹拌溶解した。そこへ炭酸カリウム1.520gを添加し、加熱撹拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。さらに、あらかじめ準備した塩化第一銅/キノリン触媒(0.1g/10ml)を1ml加え、200℃で加熱撹拌した。放冷後、フラスコに4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを9.886g、炭酸カリウム5.667g、N−メチルピロリドン50ml、およびトルエン10mlを加え、加熱撹拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。放冷後4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを8.727g加え200℃にて6時間加熱撹拌した。反応液を大量の塩酸酸性メタノールに滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、80℃にて乾燥してブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体を濃硫酸に溶解させ40℃でスルホン化反応を行った。得られた溶液を大量の氷水中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収した。さらに洗液が中性になるまでイオン交換水によるミキサー洗浄を繰返した後、40℃にて乾燥してスルホン化したブロック共重合体を得た。スルホン化したブロック共重合体をDMAcに約15重量%の濃度で溶解し、次いでガラス板に流延し、80℃で乾燥して溶媒を除去することにより、透明な膜を得た。ブロック共重合体のH NMR測定の積分比およびイオン交換容量の測定結果から、スルホン酸基は実質的に疎水性セグメントには導入されておらず、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジフェノールと4,4’−ジブロモビフェニルの交互共重合体由来のセグメントに選択的にスルホン酸基が導入されており、また酸基の導入個数は上記交互共重合体の繰り返し単位あたり4個以上であることを確認した。評価結果をまとめて表1に示す。
【0048】
実施例5
ブロック共重合体の製造
フラスコに、参考例1の条件に従って合成したP1を100.00g、炭酸カリウム8.29g、DMAc3000ml、およびトルエン250mlを加え、150℃にて加熱撹拌して共沸脱水した。室温にて放冷後、参考例4の条件に従って合成したP4を400.00g加え80℃にて6時間加熱撹拌した。反応液を大量の塩酸酸性メタノールに滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、80℃にて乾燥してブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体を濃硫酸に溶解させ60℃でスルホン化反応を行った。得られた溶液を大量の氷水中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収した。さらに洗液が中性になるまでイオン交換水によるミキサー洗浄を繰返した後、40℃にて乾燥してスルホン化したブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は実施例1のブロック共重合体と実質的に同様の構造であり、実質的に同様の特性を示す。
【0049】
比較例1
スルホン化ポリエーテルエーテルスルホンの製造
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、および4,4’−ジクロロジフェニルスルホンを7:3:10のモル比で、炭酸カリウム共存下にジフェニルスルホンを溶媒として200〜290℃の温度で重縮合した。得られたポリマーを濃硫酸によりスルホン化して、ビフェニルユニットにスルホン酸基が導入されたランダム共重合体を合成した。スルホン化したランダム共重合体を実施例1と同様な方法により製膜することにより透明な膜を得た。評価結果をまとめて表1に示す。
【0050】
比較例2
ブロック共重合体の製造(特開2001−250567号公報記載の高分子)
無水塩化第一銅99mgと2−メチルベンズイミダゾール266mgをトルエン1ml中、大気下、室温で15分撹拌した。これに2−フェニルフェノール8.5gとトルエン30mlを加え、酸素雰囲気下50℃で5時間撹拌した。反応終了後、塩酸を含むメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ過、乾燥してポリ(2−フェニルフェニレンエーテル)(以下PE1と呼ぶ)を得た。
スミカエクセルPES5003P(住友化学工業製、水酸基末端ポリエーテルスルホン)を3.0g、PE1を0.75g、炭酸カリウム0.04g、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと呼ぶ)15mlおよびトルエン3mlを加え、加熱撹拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。ここに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン0.05gを添加し、160℃にて5時間加熱攪拌した。反応液を大量の塩酸酸性メタノールに滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、80℃にて減圧乾燥して3.8gのブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体2gを98%硫酸20mlとともに室温下にて攪拌し、均一溶液とした後さらに2時間攪拌を継続した。得られた溶液を大量の氷水中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収した。さらに洗液が中性になるまでイオン交換水によるミキサー洗浄を繰返した後、40℃にて減圧乾燥してスルホン化したブロック共重合体を得た。スルホン化したブロック共重合体を実施例1と同様な方法により製膜することにより透明な膜を得た。評価結果をまとめて表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004289058
【0052】
【発明の効果】
本発明のブロック共重合体は、良好な成膜性、耐水性を有するのみならず高いプロトン伝導性を有する。そのうえ燃料電池のプロトン伝導膜として用いた場合、高い発電特性を示すので、本発明のブロック共重合体は高分子電解質として工業的に有利である。

Claims (7)

  1. 酸基が導入されセグメントと、酸基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ一つ以上を有する数平均分子量5000〜1000000のブロック共重合体であって、酸基が導入されたセグメントが、下記一般式(1)
    −(Ar1−X1−Ar2−X2)− (1)
    (式中、X1、X2は互いに独立に−O−または−S−を表し、Ar1、Ar2は互いに独立に、下記式(2)乃至(4)
    Figure 0004289058
    (式中、R1は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、置換されていても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換されていても良い炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていても良い炭素数6〜10のアリール基又は置換されていても良い炭素数6〜10のアリールオキシ基を表し、aは0〜4の整数を、bは0〜6の整数を表す。R1が複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよいし、R1同士が結合して環状の部分構造を形成していてもよい。Yは、直接結合、−O−、−S−、置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレン基又は置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレンジオキシ基を、nは0〜2の整数を表す。Yが複数ある場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。)
    で表される何れかの芳香族系の2価の基を表し、X1とX2がともに−O−を表す場合は、Ar1とAr2がともに式(2)の2価の基であることはない。)で表される繰返し単位の酸基置換体で構成され、酸基が実質的に導入されていないセグメントが、下記一般式(5)
    −(Ar 3 −Z−Ar 4 −Z)− (5)
    (式中、Zは、直接結合、−O−または−S−を表し、Ar 3 、Ar 4 は互いに独立に、下記式(6)乃至(10)の何れかの2価の芳香族系の基を表す。)
    Figure 0004289058
    (式中、R 2 は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、置換されていても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換されていても良い炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていても良い炭素数6〜10のアリール基または置換されていても良い炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。cは0〜4の整数を、dは0〜6の整数を表す。R 2 が複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよいし、R 2 同士が結合して環状の部分構造を形成していてもよい。Wは、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO 2 −、置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレン基または置換されていても良い炭素数1〜6のアルキレンジオキシ基を表し、mは0〜2の整数を表す。Wが複数ある場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。Aは、−O−、−S−または−NR 3 −(R 3 は、水素原子または置換されていても良い炭素数1〜10のアルキル基を表す。)を表し、2つのAは同一であっても異なっていてもよい。Ar 5 は下記式(11)乃至(14)
    Figure 0004289058
    (式中、R 2 、W、mは、それぞれ前記と同じ意味を表し、eは0〜2の整数を、fは0〜4の整数を、gは0〜3の整数を表す。)の何れかの4価の芳香族系の基を表す。)
    で表される繰返し単位で構成されることを特徴とするブロック共重合体。
  2. 酸基が、強酸基又は超強酸基であることを特徴とする、請求項1に記載のブロック共重合体。
  3. 1とX2が−O−であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
  4. 請求項1乃至3何れかに記載のブロック共重合体を有効成分とする高分子電解質。
  5. 請求項4に記載の高分子電解質を用いてなる高分子電解質膜。
  6. 請求項4に記載の高分子電解質を用いてなる触媒組成物。
  7. 請求項5に記載の高分子電解質膜および/または請求項6に記載の触媒組成物を用いてなる燃料電池。
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