JP4645003B2 - 触媒組成物、それを用いた触媒層を含む接合体及びこれらを用いてなる燃料電池 - Google Patents

触媒組成物、それを用いた触媒層を含む接合体及びこれらを用いてなる燃料電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒組成物に関し、詳しくは金属触媒(a)、炭素微粒子(b)および側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子(c)の3成分を含有することを特徴とする触媒組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
近年、高効率でクリーンなエネルギー変換装置として、燃料電池が注目を集めている。中でも、電解質としてプロトン伝導性を有する高分子膜を用いた固体高分子型燃料電池は、コンパクトな構造で高出力が得られ、かつ簡単なシステムで運転できることから、車両用等の移動用電源として注目されている。
固体高分子型燃料電池は、通常、高分子電解質膜、この膜を挟む形で使用される触媒層、さらにこの触媒層の外側を挟む形で使用される集電体等からなっている。このうち触媒層は、金属触媒(a)、炭素微粒子(b)およびプロトン伝導性材料等から構成されている。
この触媒層に用いられるプロトン伝導性材料としては、従来より、パーフルオロアルキルスルホン酸系高分子が広く使用されている。近年、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(特許文献1)、芳香族環にアルキル基を介してスルホン酸基が結合した芳香族系高分子(特許文献2)、スルホン化ポリエーテルスルホン(非特許文献1)などのプロトン伝導性材料も提案されている。
しかしながら、これらのプロトン伝導性材料を触媒層に使用した場合、発電性能が十分ではなく、この点の改良が求められていた。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−75403
【0004】
【特許文献2】
特開2002−110174
【0005】
【非特許文献1】
Posters from Fuel Cells for Transportation and Fuels for Fuel Cells Lab R&D Review Meetings ,May 9-10, 2002
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、触媒層におけるプロトン伝導性材料として、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子を用いることにより、燃料電池の発電性能等を向上し得ることを見出すとともに、さらに種々の検討を加えて本発明を完成した。
すなわち本発明は、(1)金属触媒(a)、炭素微粒子(b)および下記一般式(1)で示され、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子(c)の3成分を含有することを特徴とする実用的に優れた触媒組成物、(2)更にパーフルオロアルキルスルホン酸系高分子(d)を含有することを特徴とする上記(1)の組成物、(3)上記(1)又は(2)に記載の各成分を含有する触媒層と集電体との接合体、(4)上記(1)又は(2)に記載の各成分を含有する触媒層と高分子電解質膜との接合体、(5)上記(1)又は(2)に記載の各成分を含有する触媒層と集電体と高分子電解質との接合体、(6)それらを用いた燃料電池等を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の触媒組成物は、金属触媒(a)、炭素微粒子(b)および下記一般式(1)で示され、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子(c)の3成分を含有することを特徴とするが、更にパーフルオロアルキルスルホン酸系高分子(d)等も含有していても良い。
また本発明における触媒層は、上記触媒組成物すなわち上記各成分の混合物から構成されていても、各成分の積層体から構成されていても良い。
−(A−Z) −(A’−Z’) − (1)
(式中、Aは2価の芳香族基を、A’は超強酸基が置換している2価の芳香族基を表す。Z、Z’はそれぞれ独立に2価の基を表わす。m、nは繰返し単位の数を表し、nは10〜100000の範囲であり、n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜100000の範囲でありm個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよい。)
【0010】
こで超強酸基とは、100%硫酸よりも実質的に強い酸を意味する。
このような超強酸基としては、例えば下記一般式(2a)〜(2d)で示される基が挙げられる。
−G−SO (2a)
−G−SOSO−E (2b)
−G−P(O)(O (2c)
−G−P(O)O−E (2d)
(式中、Gは水素の一部または全部がフッ素置換されたアルキレン基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキレン基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリーレン基を表わし、Wは陽イオンを表し、Eは水素の一部または全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキル基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリール基を表わす。)
【0011】
ここで、Wの代表例しては、例えば水素イオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオン等が挙げられる。燃料電池用に使用する場合には水素イオンであることが好ましい。
またGにおけるアルキレン基は、通常炭素数1〜6程度、アラルキレン基は、通常炭素数7〜12の程度、アリーレン基は、通常炭素数6〜10程度である。なかでもGは、水素の全部がフッ素で置換されたアルキレン基、水素の全部がフッ素置換されたアラルキレン基、または水素の全部がフッ素置換されたアリーレン基であることが好ましい。Gの好ましい例としては、例えばジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、ヘキサフルオロベンジレン基、テトラフルオロフェニレン基、ヘキサフルオロナフチレン基などが挙げられる。
【0012】
Eにおけるアルキル基は、通常炭素数1〜6程度、アラルキル基は、通常炭素数7〜12程度、アリール基は、通常炭素数6〜10程度である。なかでもEは、水素の全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の全部がフッ素置換されたアラルキル基、または水素の全部がフッ素置換されたアリール基であることが好ましい。Eの好ましい例としては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロベンジル基、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロナフチル基などが挙げられる。
【0013】
上記(2a)の超強酸基の好ましい例としては、例えばL-1〜L-5等が挙げられる。
Figure 0004645003
Figure 0004645003
【0014】
また上記(2b)の超強酸基の好ましい例としては、例えばL-6〜L−30等が挙げられる。
Figure 0004645003
【0015】
Figure 0004645003
【0016】
Figure 0004645003
【0017】
また上記(2c)の超強酸基の好ましい例としては、例えばL-31〜L-35等が挙げられる。
Figure 0004645003
Figure 0004645003
【0018】
また上記(2d)の超強酸基の好ましい例としては、例えばL-36〜L-60等が挙げられる。
Figure 0004645003
Figure 0004645003
【0019】
Figure 0004645003
上記のようなL-1〜L-60のなかでは、L-1〜L−30が好ましく使用される。
【0020】
本発明における(c)成分は、下記一般式(1)で表される構造を含む高分子である。
−(A−Z)−(A’−Z’)− (1)
(式中、Aは2価の芳香族基を、A’は超強酸基が置換している2価の芳香
族基を表す。Z、Z’はそれぞれ独立に2価の基を表わす。m、nは繰返し単位の数を表し、nは10〜100000の範囲であり、n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜100000の範囲でありm個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよい。)
【0021】
ここで、Aは、2価の芳香族基を表し、その代表例としては、例えば下記式(3a)〜(3c)より選ばれる2価の芳香族基が挙げられる。
Figure 0004645003
(式中、Rは、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、アリール基、ハロゲンを表す。p、r、s、tはそれぞれ独立に0〜4の、qは0〜6の数を表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。jは0または1の数を表わす。Yは直接結合または2価の基を表し、Yが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。)
【0022】
Rにおける炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が、炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、トルイル基等が、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が、ハロゲンとしては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
またYは、直接結合または2価の基を表すが、Yとして具体的には、例えば、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO−、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンジオキシ基等が挙げられる。好ましくは、直接結合、−O−、−S−、−SO−、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンジオキシ基等である。Yが複数ある場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。ここで、炭素数1〜20のアルキレン基としては例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。炭素数1〜20のアルキレンジオキシ基としては例えばメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基などが挙げられる。
【0023】
また式(1)におけるA’は超強酸基が置換している2価の芳香族基を表し、その代表例としては、例えば下記式(3d)〜(3g)より選ばれる2価の芳香族基が挙げられる。
Figure 0004645003
(式中、Rは、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、アリール基又はハロゲンを表す。Z''およびYは互いに独立に直接結合または2価の基を表わし、Z''が複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよく、Yが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。Dは、超強酸基を表し、Dが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良い。h、h''、h'''はそれぞれ独立に1〜4の、h'は1〜6の、(p'+h)、(r'+h'')、(s''+h''')はそれぞれ独立に1〜4の、s'、t'、r''、t''はそれぞれ独立に0〜4の、(q’+h’)は1〜6のの数を表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。jは0または1の数を表わす。)
【0024】
ここで、R、Yは、前記Aにおいて記載したとおりである。Dは、超強酸基を表し、かかる超強酸基としては、例えば前記(2a)〜(2d)から選ばれる超強酸基が挙げられる。またZ''は、直接結合または2価の基を表すが、Z''として具体的には、例えば、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO−、炭素数1〜20程度のアルキレン基、または炭素数1〜20程度のアルキレンジオキシ基等のYと同様な2価の基のほかに、フッ素で置換されている炭素数1〜20程度のアルキレン基、フッ素で置換されている炭素数1〜20程度のアルキレンジオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレン基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレンオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレンオキシ基等が挙げられる。
好ましくは、直接結合、−O−、−S−、−SO−、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンジオキシ基、フッ素で置換されている炭素数1〜10のアルキレン基、フッ素で置換されている炭素数1〜10のアルキレンジオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜10のアリーレン基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜10のアリーレンオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜10のアルキレンオキシ基が挙げられる。
【0025】
ここで、炭素数1〜20のアルキレン基としては例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。炭素数1〜20のアルキレンジオキシ基としては例えばメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基等が挙げられる。フッ素で置換されている炭素数1〜20程度のアルキレン基としては例えば、ジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクラフルオロブチレン基が挙げられる。フッ素で置換されている炭素数1〜20のアルキレンジオキシ基としては2,2,3,3−テトラフルオロブチレンジオキシ基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピレンジオキシ基等が挙げられる。フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレン基としては例えばフェニレン基、テトラフルオロフェニレン基等が挙げられる。フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレンオキシ基としては例えばフェニレンオキシ基、テトラフルオロフェニレンオキシ基等が挙げられる。フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレンオキシ基としては、例えば、メチレンオキシ基、ジフルオロメチレンオキシ基、エチレンオキシ基、テトラフルオロエチレンオキシ基等が挙げられる。
【0026】
また式(1)におけるZ、Z’は、それぞれ独立に2価の基を表わすが、Z、Z’としては、例えば前記Yと同様な2価の基が挙げられる。m、nは繰返し単位の数を表し、nは通常10〜100000の範囲であり、n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、mは通常0〜100000の範囲であり、m個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよい。好ましくはnが15〜50000の範囲、mが0〜50000の範囲、特に好ましくはnが20〜10000の範囲、mが0〜10000の範囲である。n個ずつある繰り返し単位とm個ずつある繰り返し単位は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、またはグラフト共重合体のいずれの結合様式であってもよい。
本発明における側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子の分子量は、数平均分子量で通常5000〜500000、好ましくは10000〜300000の範囲、特に好ましくは15000〜100000である。
【0027】
上記のような側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子は、例えば、下記一般式(4)
−(A−Z)−(A''−Z')− (4)
(式中、A、Z、Z’、m、nは前記と同じ意味を有し、A’’は下記一般式(4a)〜(4d)から選ばれる基を示す。)
および下記一般式(5)
E−D (5)
(式中、Dは、前記と同じ意味を有し、Eは、Z'''と反応して、前記Z''を形成する基を表わす。)
を反応させることにより得ることができる。
【0028】
Figure 0004645003
(上記式中、R、Z''、Y、p’、q’、r’、s’、t’、r''、s''、t''、h、h’、h''、h'''、jは前述と同じ意味を表わす。Z'''は、Eと反応することにより前記Z''を形成する基を表わす。)
【0029】
上記の方法としては特に制限を受けることはないが例えば、Eがハロゲン、Z'''がハロゲンである組み合わせを金属存在下において反応させて、直接結合を形成する方法などが挙げられる。ハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。この反応は通常、溶媒を用いない状態でも行うことは可能であるが、適当な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒などを用いることができる。テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等が好ましく用いられる。金属としては銅、ナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、鉄、クロム、ニッケル、マグネシウムなどが挙げられ、好ましくは銅、亜鉛またはナトリウムである。用いる金属の量はハロゲン化アルキルおよび/またはハロゲン化アリールの合計の1/2当量以上が用いられる。反応温度は−10℃〜250℃が好ましく、より好ましくは0℃〜200℃である。
【0030】
本発明における一般式(4)で表わされる高分子、すなわちZ'''を有する芳香族系高分子は、例えば、芳香族系高分子に、高分子反応でZ'''を導入する方法等で得ることができる。
この方法としては例えば、N−ブロモスクシンイミドを作用させて臭素を導入する方法、塩素ガス、臭素、ヨウ素などを直接作用させてハロゲンを導入する方法、三臭化リンを用いて水酸基を臭素基に変換する方法、塩化チオニルを用いて水酸基を塩素化する方法などが挙げられる。(マクマリー有機化学(上)、291〜296ページ、東京化学同人、1992年)
【0031】
ここで、高分子反応により、Z'''が導入される芳香族系高分子としては、前述のように主鎖が主として芳香族環で構成されているものであれば特に限定はなく、例えば、ポリフェニレンエーテル系、ポリナフチレン系、ポリフェニレン系、ポリエーテルスルホン系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリエーテルエーテルケトン系、ポリエーテルエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリエーテルケトン系、ポリベンズイミダゾール系などの高分子が挙げられる。この中でも特にポリフェニレンエーテル系、ポリナフチレン系、ポリフェニレン系、ポリエーテルスルホン系高分子が好ましく使用される。これらの高分子は任意の2種類以上の高分子からなる、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、またはグラフト共重合体などの共重合体であってもよい。
これらの高分子はAldrich社、住友化学工業株式会社などのメーカーなどから入手することができる。例えば、住友化学工業株式会社からはスミカエクセル PES3600P 、PES4100P、PES4800P、PES5200P、PES5003P(いずれも住友化学工業株式会社の登録商標、以下同様)の商品名で市販されているポリエーテルスルホン類を入手することができる。
【0032】
本発明の触媒組成物は、上記のような側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子(c)の他に、金属触媒(a)及び炭素微粒子(b)を含有することを特徴とするものである。
ここで、金属触媒(a)としては、水素の酸化反応または酸素の還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものも用いることができる。その代表例としては、例えば白金、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、鉄およびこれら2種以上の合金または組成物等が挙げられる。なかでも白金、ルテニウムおよびこれら2種以上の合金または組成物が好ましく、より好ましくは、白金、白金を必須成分とする合金または白金を必須成分とする組成物である。ここで、合金とは2種類以上の金属が実質的に均一な状態となったものを示し、組成物とは2種類以上の金属が単に混合されたものを示す。これらの触媒としては金属塩を還元して得られたものを使用することもできる。
また炭素微粒子(b)としては、例えば活性炭や黒鉛などの粒子状のカーボン、繊維状のカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンまたはフラーレンなどの炭素原子を主成分とするものを用いることができる。
なお、上記のような成分(a)、(b)は、(a)が(b)に担持された触媒担持炭素微粒子(g)の形のものも使用できることはいうまでもない。
【0033】
本発明における成分(c)の成分(a)に対する使用比率は、重量基準で、通常(c)/(a)=0.01〜100程度、好ましくは0.05〜50程度、より好ましくは0.1〜10程度、特に好ましくは0.5〜5である。
また成分(b)の成分(a)に対する比率として、重量基準で、通常(b)/(a)=0.01〜100程度、好ましくは0.05〜50程度、より好ましくは0.1〜10程度である。
【0034】
本発明の触媒組成物は、上記のような側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子(c)の他に、金属触媒(a)及び炭素微粒子(b)を含有することを特徴とするものであるが、これら以外の成分を含有することもできる。例えばパーフルオロアルキルスルホン酸系高分子(d)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオリド)などを含有することもできる。
ここで、パーフルオロアルキルスルホン酸系高分子(d)としては、主鎖が主としてパーフルオロアルキレンからなり、側鎖にパーフルオロアルキルエーテルスルホン酸からなるイオン交換基が導入された高分子が挙げられ、その代表例としては例えば、デュポン社のNafionなどが挙げられる。この(d)成分を用いる場合は、成分(c)に対して、重量比で、通常(d)/(c)=0.01〜100程度、好ましくは0.05〜50程度、より好ましくは0.1〜10程度、特に好ましくは0.5〜5程度である。
【0035】
また本発明における触媒層の製造方法としては、例えば各成分を溶剤に分散させてペーストとした触媒組成物を調製し、これを乾燥させる方法、(a)が(b)に担持された触媒担持炭素微粒子(g)と成分(d)とを溶剤に分散させてペーストとし、これを乾燥させた後、これに成分(c)の溶液を塗布し、乾燥させる方法、成分(g)と成分(c)とを溶剤に分散させてペーストとし、これを乾燥させた後、これに成分(d)の溶液を塗布し、乾燥させる方法等が挙げられる。
【0036】
次に本発明における触媒層と集電体との接合体について説明する。
ここで、集電体とは電気伝導性およびガス拡散性を有する材料のことを示し、公知の材料を用いることができるが、原料ガスを効率よく触媒に輸送し得ることから、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが好ましく用いられる。これらの集電体に撥水処理が施されたものも用いることもできる。
触媒層と集電体との接合体としては、通常、集電体上に触媒層が積層されたものが使用される。なかでも集電体の空孔内に触媒層の一部が入り込んだ状態のものが好ましく用いられる。
集電体上に触媒層を積層する方法としては、例えば、前記の触媒層の製造方法において示したペーストを集電体に塗布する以外は前記と同様に触媒層を製造する方法等が挙げられる。また触媒が塗布されているカーボン織布やカーボンペーパーが市販されているが、これらに成分(c)の溶液を塗布し、乾燥させることにより集電体−触媒層接合体を得ることもできる。
【0037】
塗布方法としては、例えばペーストをへらなどで塗布する方法、スプレーで塗布する方法、スクリーン印刷法で塗布する方法、ペーストに集電体を浸漬して塗布する方法、基材上に塗布したあと転写することにより塗布する方法、スピンコートで塗布する方法などが挙げられ、ペーストをへらなどで塗布する方法、スプレーで塗布する方法、スクリーン印刷法で塗布する方法が好ましく用いられる。得られた集電体−触媒層接合体は、必要に応じて、熱処理および/またはプレス処理を行うことも可能である。
また塗布する触媒層の量としては、集電体単位面積当りの乾燥重量として、通常0.01〜100mg/cm程度、好ましくは0.05〜50mg/cm程度、より好ましくは0.1〜10mg/cm程度である。
かくして得られた集電体−触媒層接合体は、必要に応じて、熱処理および/またはプレス処理を行うことも可能である。
【0038】
次に本発明の触媒層と電解質膜との接合体について説明する。
本発明の触媒層と電解質膜との接合体としては、高分子電解質膜と触媒層が積層された状態のものが通常使用される。触媒層は高分子電解質膜の片面、または両面に積層されていても良いが、燃料電池を作動させる場合には、両面に触媒層が積層された触媒層/高分子電解質膜/触媒層の3層からなることが好ましい。
ここで、高分子電解質膜は、高分子電解質からなるものであり、該電解質としてはイオン交換基として、例えば、−SO3H、−COOH、−PO(OH)2、−POH(OH)、−SO2NHSO2−、−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す)等の陽イオン交換基を有する高分子が挙げられる。イオン交換基は、その一部または全部が対イオンとの塩を形成していても良い。
【0039】
かかる高分子電解質の代表例としては、例えば(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(B)主鎖の一部または全部の水素原子がフッ素で置換された脂肪族炭化水素からなる高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(C)主鎖が芳香環を有する高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(D)主鎖に実質的に炭素原子を含まないポリシロキサン、ポリホスファゼンなどの高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(E)(A)〜(D)のスルホン酸基および/またはホスホン酸基導入前の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(F)主鎖あるいは側鎖に窒素原子を含み、硫酸やリン酸等の酸性化合物がイオン結合により導入された形の高分子電解質等が挙げられる。
上記(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸、等が挙げられる。
【0040】
また上記(B)の高分子電解質としては、Nafionに代表される、側鎖にパーフルオロアルキルスルホン酸を有し、主鎖がパーフルオロアルカンである高分子、水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されたビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた主鎖と、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖とから構成されるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE、例えば特開平9−102322号公報)や、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた膜に、α,β,β-トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホン酸基を導入して固体高分子電解質膜とした、スルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE膜(例えば、米国特許第4,012,303号及び米国特許第4,605,685号)等が挙げられる。
【0041】
上記(C)の高分子電解質としては、主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されているものであってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4-フェノキシベンゾイル)-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の(共)重合体のそれぞれにスルホン酸基が導入されたもの、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)、および先述の側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子(c)などを挙げることができる。
【0042】
また上記(D)の高分子電解質としては例えば、ポリホスファゼンにスルホン酸基が導入されたもの、Polymer Prep., 41, No.1, 70 (2000) に記載の、ホスホン酸基を有するポリシロキサン等が挙げられる。
上記(E)の高分子電解質としては、ランダム共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、交互共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、ブロック共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでもよい。ランダム共重合体にスルホン酸基が導入されたものとしては、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン-ジヒドロキシビフェニル共重合体が挙げられる(例えば、特開平11−116679号公報)。上記(E)の高分子電解質に含まれるブロック共重合体において、スルホン酸基および/またはホスホン酸基を持つブロックの具体例としては、例えば特開2001−250567号公報に記載のスルホン酸基および/またはホスホン酸基を持つブロックが挙げられる。
【0043】
また上記(F)の高分子電解質としては例えば、特表平11−503262号公報に記載の、リン酸を含有せしめたポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
本発明に使用される高分子電解質の重量平均分子量は、通常1000〜1000000程度であり、イオン交換基当量重量は、通常500〜5000g/モル程度である。
上記(A)〜(G)の高分子電解質の中でも(C)の主鎖が芳香環を有する高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質が好ましく用いられる。
【0044】
本発明に用いられる高分子電解質膜は、上記のような高分子電解質からなるものであるが、その製法としては、例えば溶媒キャスト法等を使用することができる。具体的には、上記のような高分子電解質の溶液を基材に流延製膜した後、溶媒を除去することにより、高分子電解質膜を製造し得る。
ここで、基材としては、溶媒への耐性があり、製膜後に膜が剥離できるものであれば特に制限はなく、通常ガラス板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ステンレス板、ステンレスベルト、シリコンウエハ等が用いられる。これらの基材は、必要に応じて、表面が離型処理、エンボス加工、つや消し加工がされてるものも使用し得る。高分子電解質膜の厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましい。実用に耐える膜の強度を得るには10μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには300μmより薄い方が好ましい。かかる膜厚は溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御できる。
【0045】
高分子電解質の溶液は、通常、高分子電解質を溶解可能であり、その後に除去し得る溶媒を用いて調製される。係る溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、ジメチルアセトアミド、塩化メチレン/メタノール混合溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが溶解性が高く好ましい。
高分子電解質膜を製膜する方法としては、バーコーター法やスピンコーター法を用いると均一な層ができるため好ましい。
【0046】
上記のような電解質膜に触媒層を積層する方法としては、ペーストを集電体に塗布する方法として挙げた前述の方法と同様な方法を挙げることができる。また、前述のように燃料電池として用いる場合には両面に触媒層が積層された触媒層/高分子電解質膜/触媒層の3層からなる電解質膜−触媒層接合体を用いることが好ましい。
また塗布する触媒層の量としては、集電体単位面積当りの乾燥重量として、通常0.01〜100mg/cm程度、好ましくは0.05〜50mg/cm程度、より好ましくは0.1〜10mg/cm程度である。
かくして得られた電解質膜−触媒層接合体は、必要に応じて、熱処理および/またはプレス処理を行うことも可能である。
【0047】
次に本発明の集電体と触媒層と電解質膜との接合体について説明する。
集電体と触媒層と電解質膜との接合体としては、通常、集電体、触媒層および高分子電解質膜が積層されているものが使用される。これを用いて燃料電池として作動させることを目的とする場合には集電体/触媒層/高分子電解質膜/触媒層/集電体の順番に5層からなる接合体であることが好ましい。
積層方法としては、例えば▲1▼前述の集電体−触媒層接合体と高分子電解質膜を接合する方法、▲2▼前述の高分子電解質膜−触媒層接合体と集電体を接合させて得る方法を挙げることができる。上記5層からなる接合体は、例えば高分子電解質膜の両面を、触媒層が高分子電解質側になるようにした集電体−触媒層接合体で挟むことにより得ることができるし、高分子電解質膜の両面に触媒層が積層された、触媒層/高分子電解質膜/触媒層の3層からなる接合体の両面に集電体を挟むことにより得ることもできる。
かくして得られた集電体−触媒層−高分子電解質膜接合体は、必要に応じて、熱処理および/またはプレス処理を行うことも可能である。
【0048】
次に本発明の燃料電池について説明する。
上記で得られた集電体−触媒層−高分子電解質膜接合体の一面に酸素ガス、他面に水素ガスを流すことによって燃料電池として作動させることが可能である。この際に、酸素ガスおよび/または水素ガスを加湿して供給することも可能である。 作動させる温度範囲に特に制限はないが0〜150℃が好ましく、30〜120℃がより好ましく、50〜100℃が特に好ましい。
【0049】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0050】
参考例1 側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子の製造
フラスコに、ポリ(オキシ−4,4’−ビフェニレンオキシ−4,4’−ジフェニルスルホン)(アルドリッチ社製)15gと塩化メチレン80mlを入れて溶解し、0℃に保ちながら臭素46.5gを10分間で加えた。室温で4時間攪拌した後、反応液を過剰のNaSOを溶解した水溶液に加えた。その後、塩化メチレンを減圧留去、ろ過、乾燥を行うことにより、重合体(a)20.5gを得た。元素分析、H NMR、13C NMR測定を行った結果、得られた重合体(a)のフェニル環にはブロモ基が導入されていることがわかった。重合体(a)中にブロモ基は27.7重量%導入されていた。DMAcを展開溶媒としたGPC測定による分子量の測定結果、数平均分子量はポリスチレン換算で34000であった。
フラスコに5−ヨード−オクタフルオロペンチル−3−オキサペンタンスルホニルフルオリド15.01g、水5ml、塩化メチレン5ml、2,6−ルチジン4.80g、テトラn−ブチルアンモニウムフルオリドの1MTHF溶液を0.1ml入れ、室温で4日間反応させた。塩化メチレンで3回抽出し、溶媒を減圧留去した後、THF30ml、炭酸カリウム2.82gを入れて室温で10h攪拌した。固体をろ別し、ろ液を濃縮したところ白色固体が析出した。白色固体をTHF/トルエン混合溶媒より再結晶して白色固体12.3g得た。得られた白色固体は19F−NMR、元素分析の結果より5−ヨード−オクタフルオロ−3−オキサペンタンスルホン酸カリウム(b)であることが確認された。
窒素置換したフラスコに重合体(a)0.500g、銅紛末0.500g(7.87mmol)、N,N−ジメチルスルホキシド10mlを入れ、120℃で2時間攪拌した。次いで120℃に保ったまま(b)1.00g(2.16mmol)のN,N−ジメチルスルホキシド10ml溶液を加えた。120℃で40時間反応を行った後に1N‐HCl水溶液100mlに加えて重合体を沈殿させた。沈殿したポリマーを乾燥させて側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子(c)を得た。
【0051】
参考例2 スルホン化ポリエーテルエーテルケトンの製造
特表2001−525471に準拠し製造した。具体的には、フラスコに、市販のポリエーテルエーテルケトン(アルドリッチ社製)25gと濃硫酸125mlを仕込み、窒素気流下、室温にて48時間攪拌して該ポリマーをスルホン化した。反応溶液を3リットルの脱イオン水にゆっくりと滴下することでスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを析出させ、ろ過回収した。析出した沈殿は、ミキサーを用いた脱イオン水洗浄と吸引ろ過器による回収操作を、洗液が中性になるまで繰り返した後、乾燥することによりスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(d)を得た。
【0052】
実施例1 燃料電池特性評価
市販の白金担持炭素微粒子(白金担持量=30wt%)10mgを参考例1で製造した(c)の塩化メチレン/メタノール=80/20(wt/wt)5wt%溶液0.071mlと混合してペースト状とし、5cmの多孔質性のカーボン織布にへらで塗布し、乾燥して電極を作成した。この電極を2枚作成し、特開2001−250567号公報の実施例1に準拠して得た高分子電解質膜の両面に1枚ずつ接合し、集電体/触媒層/高分子電解質膜/触媒層/集電体の5層からなる集電体−触媒層−高分子電解質膜接合体を得た。該接合体の一面に0.1MPaの加湿酸素ガス、他面に0.1MPaの加湿水素ガスを流し、該接合体を80℃に保ち、その発電特性を測定することによって行った。結果を表1に示す。
【0053】
実施例2 燃料電池特性評価
市販の白金担持炭素微粒子(白金担持量=30重量%)10mgをNafion(アルドリッチ社製、5wt%、アルコール/水混合溶液)0.1mlと混合してペースト状とし、5cmの多孔質性のカーボン織布にスクリーン印刷法で塗布し、乾燥した。さらに参考例1で合成した(c)を塩化メチレン/メタノール=80/20(wt/wt)に溶解させて1wt%溶液として、スプレーで塗布して電極としての集電体−触媒層接合体を作成した。(c)はカーボン織布5cmあたり、2.2mg塗布されていた。この電極を2枚作成し、特開2001−250567号公報の実施例1で得られた高分子電解質膜の両面に1枚ずつ接合し、さらに温度100℃、圧力10MPaで90分間プレスを行うことにより集電体/触媒層/高分子電解質膜/触媒層/集電体の5層からなる集電体−触媒層−高分子電解質膜接合体を得た。該接合体の一面に0.1MPaの加湿酸素ガス、他面に0.1MPaの加湿水素ガスを流し、該接合体を80℃に保ち、その発電特性を測定することによって行った。結果を表1に示す。
【0054】
比較例1 燃料電池特性評価
市販の白金担持炭素微粒子(白金担持量=30wt%)10mgを参考例2で合成した(d)の塩化メチレン/メタノール=80/20(wt/wt)2wt%溶液0.143mlと混合してペースト状とし、5cmの多孔質性のカーボン織布にへらで塗布し、乾燥して電極を作成した以外は実施例1と同様に集電体−触媒層−高分子電解質膜接合体の作製および燃料電池特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
燃料電池特性試験の結果
Figure 0004645003
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池の触媒層におけるプロトン伝導性材料として、上記一般式(1)で示され、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子を用いることにより、燃料電池の発電性能等を向上し得る。

Claims (13)

  1. 金属触媒(a)、炭素微粒子(b)および下記一般式(1)で示され、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子(c)の3成分を含有することを特徴とする触媒組成物。
    −(A−Z) −(A’−Z’) − (1)
    (式中、Aは2価の芳香族基を、A’は超強酸基が置換している2価の芳香族基を表す。Z、Z’はそれぞれ独立に2価の基を表わす。m、nは繰返し単位の数を表し、nは10〜100000の範囲であり、n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜100000の範囲でありm個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよい。)
  2. 更にパーフルオロアルキルスルホン酸系高分子(d)を含有することを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. Aが下記一般式(3a)〜(3c)より選ばれる2価の芳香族基、A’が(3d)〜(3g)より選ばれる2価の芳香族基であることを特徴とする請求項1又は2記載の組成物。
    Figure 0004645003
    (式中、Rは、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、アリール基、ハロゲンを表す。p、r、s、tはそれぞれ独立に0〜4の、qは0〜6の数を表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。jは0または1の数を表わす。Yは直接結合または2価の基を表し、Yが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。Z''およびYは互いに独立に直接結合または2価の基を表わし、Z''が複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよく、Yが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。Dは、超強酸基を表し、Dが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良い。h、h''、h'''はそれぞれ独立に1〜4の、h'は1〜6の、(p'+h)、(r'+h'')、(s''+h''')はそれぞれ独立に1〜4の、s'、t'、r''、t''はそれぞれ独立に0〜4の、(q’+h’)は1〜6のの数を表わし、jは0または1の数を表わす。)
  4. Z、Z’が、互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−SO −、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数1〜12のアルキレンジオキシ基から選ばれる基であり、Yが、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO −、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数1〜12のアルキレンジオキシ基から選ばれる基であり、Z''が、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO −、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレン基、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレンジオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレン基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレンオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレンオキシ基から選ばれる基であることを特徴とする請求項3記載の組成物。
  5. 超強酸基が、下記一般式(2a)〜(2d)
    −G−SO (2a)
    −G−SO SO −E (2b)
    −G−P(O)(O (2c)
    −G−P(O)O −E (2d)
    (式中、Gは水素の一部または全部がフッ素置換されたアルキレン基、水素の 一部または全部がフッ素で置換されたアラルキレン基、または水素の一部また は全部がフッ素で置換されたアリーレン基を表わし、W は陽イオンを表し、 Eは水素の一部または全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の一部また は全部がフッ素で置換されたアラルキル基、または水素の一部または全部がフ ッ素で置換されたアリール基を表わす。)
    で示される基から選ばれることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の組成物。
  6. Wが水素イオンであることを特徴とする請求項5記載の組成物。
  7. 成分(c)の量が、成分(a)に対して重量基準で(c)/(a)=0.01〜100であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の組成物。
  8. 成分(b)の量が、成分(a)に対して重量基準で(b)/(a)=0.01〜100であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の組成物。
  9. 成分(a)が白金、白金を必須成分とする合金、または白金を必須成分とする組成物であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の組成物。
  10. 集電体と請求項1又は2記載の各成分を含有する触媒層とからなることを特徴とする集電体−触媒層接合体。
  11. 電解質膜と請求項1又は2記載の各成分を含有する触媒層とからなることを特徴とする触媒層−電解質膜接合体。
  12. 電解質膜と集電体と請求項1又は2記載の各成分を含有する触媒層とからなることを特徴とする集電体−触媒層−電解質膜接合体。
  13. 請求項1〜9いずれかに記載の組成物又は請求項10〜12いずれかに記載の接合体を用いてなることを特徴とする燃料電池。
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