JP4055490B2 - 高分子積層膜、その製造方法およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質膜に関し、詳しくは高分子電解質の積層膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
電解質膜は、一次電池、二次電池、あるいは固体高分子型燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜として用いられている。例えば、側鎖に超強酸としてパーフルオロアルキルスルホン酸を有し、主鎖がパーフルオロアルキルである脂肪族系高分子電解質膜が、燃料電池としての特性に優れることから従来主に使用されてきている。
【0003】
近年、上記電解質膜に替わり得る安価な電解質膜の開発が活発化してきている。なかでも耐熱性に優れフィルム強度の高い芳香族ポリエーテルにスルホン酸基を導入した高分子電解質膜、すなわちスルホン酸基を有し主鎖が芳香族系である芳香族系高分子電解質膜が有望視されており、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン系(特表平11−502249号公報)、スルホン化ポリエーテルスルホン系(特開平10−45913号公報、特開平10−21943号公報)等の高分子電解質膜が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの電解質膜を用いた燃料電池は、いずれも発電特性等の点で充分満足できるものではなく、電解質膜の改善が求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の電解質膜の上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、高分子電解質膜と側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子膜とを積層してなる積層膜が、その目的を達成し得、燃料電池のプロトン伝導膜等として優れた特性を示すことを見出すとともに、さらに種々の検討を加えて本発明を完成した。
すなわち本発明は、(イ)高分子電解質膜と(ロ)側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子膜とを積層してなることを特徴とする実用的に優れた積層膜、その製造方法、その用途を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層膜は、(イ)高分子電解質膜と(ロ)側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子膜とを積層してなり、両面に表層として(ロ)を有することを特徴とする。
【0007】
本発明における(イ)の高分子電解質膜は、高分子電解質からなるものであり、該電解質はイオン交換基として、例えば、−SO3H、−COOH、−PO(OH)2、−POH(OH)、−SO2NHSO2−、−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す)等の陽イオン交換基、−NH2、−NHR、−NRR'、−NRR'R''+、−NH3 +等(R:アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等を表す)等の陰イオン交換基を有する高分子である。イオン交換基は、その一部または全部が対イオンとの塩を形成していても良い。
【0008】
かかる高分子電解質の代表例としては、例えば(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(B)主鎖の一部または全部の水素原子がフッ素で置換された脂肪族炭化水素からなる高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(C)主鎖が芳香環を有する高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(D)主鎖に実質的に炭素原子を含まないポリシロキサン、ポリホスファゼンなどの高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(E)(A)〜(D)のスルホン酸基および/またはホスホン酸基導入前の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(F)主鎖あるいは側鎖に窒素原子を含み、硫酸やリン酸等の酸性化合物がイオン結合により導入された形の高分子電解質等が挙げられる。
上記(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸、等が挙げられる。
【0009】
また上記(B)の高分子電解質としては、Nafion(デュポン社の登録商標、以下同様)に代表される側鎖にパーフルオロアルキルスルホン酸を有し、主鎖がパーフルオロアルキルである高分子、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた主鎖と、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖とから構成されるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE、例えば特開平9−102322号公報)や、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた膜に、α,β,β-トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホン酸基を導入して固体高分子電解質膜とした、スルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE膜(例えば、米国特許第4,012,303号及び米国特許第4,605,685号)等が挙げられる。
【0010】
上記(C)の高分子電解質としては、主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されているものであってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4-フェノキシベンゾイル)-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれにスルホン酸基が導入されたもの、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982)、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)(例えば、J. Appl. Polym. Sci., 18, 1969 (1974) )等が挙げられる。
【0011】
また上記(D)の高分子電解質としては例えば、ポリホスファゼンにスルホン酸基が導入されたもの、Polymer Prep., 41, No.1, 70 (2000) に記載の、ホスホン酸基を有するポリシロキサン等が挙げられる。
上記(E)の高分子電解質としては、ランダム共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、交互共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、ブロック共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでもよい。ランダム共重合体にスルホン酸基が導入されたものとしては、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン-ジヒドロキシビフェニル共重合体が挙げられる(例えば、特開平11−116679号公報。)
【0012】
また上記(F)の高分子電解質としては例えば、特表平11−503262号公報に記載の、リン酸を含有せしめたポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
上記(E)の高分子電解質に含まれるブロック共重合体において、スルホン酸基および/またはホスホン酸基を持つブロックの具体例としては、例えば特開2001−250567号公報に記載のスルホン酸基および/またはホスホン酸基を持つブロックが挙げられる。
本発明に使用される高分子電解質の重量平均分子量は、通常1000〜1000000程度であり、イオン交換基当量重量は、通常500〜5000g/モル程度である。
上記(A)〜(F)の高分子電解質の中でも(C)の主鎖が芳香環を有する高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質が好ましく用いられる。
【0013】
本発明の(イ)の高分子電解質膜は、上記のような高分子電解質からなるものであるが、その製法としては、例えば溶媒キャスト法等を使用することができる。具体的には、上記のような高分子電解質の溶液を基材に流延製膜した後、溶媒を除去することにより、高分子電解質膜を製造し得る。
ここで、基材としては、溶媒への耐性があり、製膜後に膜が剥離できるものであれば特に制限はなく、通常ガラス板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ステンレス板、ステンレスベルト、シリコンウエハ等が用いられる。これらの基材は、必要に応じて、表面が離型処理、エンボス加工、つや消し加工がされてるものも使用し得る。高分子電解質膜の厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましい。実用に耐える膜の強度を得るには10μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには300μmより薄い方が好ましい。かかる膜厚は溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御できる。
【0014】
高分子電解質の溶液は、通常、高分子電解質を溶解可能であり、その後に除去し得る溶媒を用いて調製される。係る溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、ジメチルアセトアミド、塩化メチレン・メタノール混合溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが溶解性が高く好ましい。
【0015】
流延塗布する方法としては、スプレー法を用いても良いが、バーコーター法やスピンコーター法を用いると均一な層ができるためこれらの方法が好ましく、特にスピンコーターを使用すると均一な薄層を形成できるためにさらに好ましい。
【0016】
本発明の積層膜は、上記のような高分子電解質膜(イ)と、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子膜(ロ)とを積層してなることを特徴とするものであるが、後者の側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子膜(ロ)は、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子からなるものである。
ここで、芳香族系高分子とは主鎖が主として芳香族環、例えばベンゼンなどの単環式芳香族環、ナフタレン、ビフェニルなどの多環式芳香族環、ピリジン基などの複素環式芳香族環、ベンズイミダゾールなどの多環複素環式芳香族環などで構成されている高分子のことを意味する。
このような高分子としては主鎖が主として芳香族環で構成されているものであれば特に限定はなく、例えば、ポリフェニレンエーテル系、ポリナフチレン系、ポリフェニレン系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリエーテルエーテルケトン系、ポリエーテルエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリエーテルケトン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリイミド系などの高分子が挙げられる。これらの中で好ましくはポリフェニレンエーテル系、ポリフェニレン系、ポリエーテルケトン系、ポリエーテルエーテルケトン系、ポリエーテルエーテルスルホン系、ポリエーテルスルホン系などの高分子が挙げられる。
【0017】
これらの高分子における芳香族環は、側鎖としての超強酸基の他に、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、ベンジル基などの炭素数7〜12のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲンなどが挙げられる。置換基は複数有していても良く、その場合は、これらは異なっていてもよい。なかでもフッ素原子で置換されたものが好ましく使用される。
【0018】
本発明において、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子は、主鎖が上記のような芳香族系高分子であることの他に、側鎖に超強酸基を有するものである。ここで超強酸基とは、100%硫酸よりも実質的に強い酸を意味する。
このような超強酸基としては、例えば下記一般式(2a)〜(2d)で示される基が挙げられる。
−G−SO3 −W+ (2a)
−G−SO2N−W+SO2−E (2b)
−G−P(O)(O−W+)2 (2c)
−G−P(O)O−W+−E (2d)
(式中、Gは水素の一部または全部がフッ素置換されたアルキレン基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキレン基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリーレン基を表わし、W+は陽イオンを表し、Eは水素の一部または全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキル基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリール基を表わす。)
【0019】
ここで、W+の代表例しては、例えば水素イオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオン等が挙げられる。燃料電池用に使用する場合には水素イオンであることが好ましい。
またGにおけるアルキレン基は、通常炭素数1〜6程度、アラルキレン基は、通常炭素数7〜12の程度、アリーレン基は、通常炭素数6〜10程度である。なかでもGは、水素の全部がフッ素で置換されたアルキレン基、水素の全部がフッ素置換されたアラルキレン基、または水素の全部がフッ素置換されたアリーレン基であることが好ましい。Gの好ましい例としては、例えばジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、ヘキサフルオロベンジレン基、テトラフルオロフェニレン基、ヘキサフルオロナフチレン基などが挙げられる。
【0020】
Eにおけるアルキル基は、通常炭素数1〜6程度、アラルキル基は、通常炭素数7〜12程度、アリール基は、通常炭素数6〜10程度である。なかでもEは、水素の全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の全部がフッ素置換されたアラルキル基、または水素の全部がフッ素置換されたアリール基であることが好ましい。Eの好ましい例としては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロベンジル基、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロナフチル基などが挙げられる。
【0021】
上記(2a)の超強酸基の好ましい例としては、例えばL-1〜L-5等が挙げられる。
【0022】
また上記(2b)の超強酸基の好ましい例としては、例えばL-6〜L-30等が挙げられる。
【0023】
【0024】
【0025】
また上記(2c)の超強酸基の好ましい例としては、例えばL-31〜L-35等が挙げられる。
【0026】
また上記(2d)の超強酸基の好ましい例としては、例えばL-36〜L-60等が挙げられる。
【0027】
上記のようなL-1〜L-60のなかでは、L-1〜L−30が好ましく使用される。
【0028】
本発明における(ロ)は、主鎖が前記のような芳香族系高分子からなるものであって、側鎖に上記のような超強酸基を有するものである。かかる高分子の代表例としては、例えば下記一般式(1)で表される構造を含む高分子が挙げられる。
−(A−Z)m−(A’−Z’)n− (1)
(式中、Aは2価の芳香族基を、A’は超強酸基が置換している2価の芳香族基を表す。Z、Z’はそれぞれ独立に直接結合または2価の基を表わす。m、nは繰返し単位の数を表し、nは10〜100000の範囲であり、n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜100000の範囲でありm個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよい。)
【0029】
ここで、Aは、2価の芳香族基を表し、その代表例としては、例えば下記式(3a)〜(3c)より選ばれる2価の芳香族基が挙げられる。
(式中、Rは、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、アリール基、ハロゲンを表す。p、r、s、tはそれぞれ独立に0〜4の、qは0〜6の数を表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。jは0または1の数を表わす。Yは直接結合または2価の基を表し、Yが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。)
【0030】
Rにおける炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が、炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、トルイル基等が、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が、ハロゲンとしては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
またYは、直接結合または2価の基を表すが、Yとして具体的には、例えば、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンジオキシ基等が挙げられる。好ましくは、直接結合、−O−、−S−、−SO2−、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンジオキシ基等である。Yが複数ある場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。ここで、炭素数1〜20のアルキレン基としては例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。炭素数1〜20のアルキレンジオキシ基としては例えばメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基などが挙げられる。
【0031】
また式(1)におけるA’は超強酸基が置換している2価の芳香族基を表し、その代表例としては、例えば下記式(3d)〜(3g)より選ばれる2価の芳香族基が挙げられる。
(式中、Rは、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、アリール基又はハロゲンを表す。Z''およびYは互いに独立に直接結合または2価の基を表わし、Z''が複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよく、Yが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。Dは、超強酸基を表し、Dが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良い。h、h''、h'''はそれぞれ独立に1〜4の、h'は1〜6の、(p'+h)、(r'+h'')、(s''+h''')はそれぞれ独立に1〜4の、s'、t'、r''、t''はそれぞれ独立に0〜4の、(q’+h’)は1〜6のの数を表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。jは0または1の数を表わす。)
【0032】
ここで、R、Yは、前記Aにおいて記載したとおりである。Dは、超強酸基を表し、かかる超強酸基としては、例えば前記(2a)〜(2d)から選ばれる超強酸基が挙げられる。またZ''は、直接結合または2価の基を表すが、Z''として具体的には、例えば、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、炭素数1〜20程度のアルキレン基、または炭素数1〜20程度のアルキレンジオキシ基等のYと同様な2価の基のほかに、フッ素で置換されている炭素数1〜20程度のアルキレン基、フッ素で置換されている炭素数1〜20程度のアルキレンジオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレン基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレンオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレンオキシ基等が挙げられる。
好ましくは、直接結合、−O−、−S−、−SO2−、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンジオキシ基、フッ素で置換されている炭素数1〜10のアルキレン基、フッ素で置換されている炭素数1〜10のアルキレンジオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜10のアリーレン基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜10のアリーレンオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜10のアルキレンオキシ基が挙げられる。
【0033】
ここで、炭素数1〜20のアルキレン基としては例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。炭素数1〜20のアルキレンジオキシ基としては例えばメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基等が挙げられる。フッ素で置換されている炭素数1〜20程度のアルキレン基としては例えば、ジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクラフルオロブチレン基が挙げられる。フッ素で置換されている炭素数1〜20のアルキレンジオキシ基としては2,2,3,3−テトラフルオロブチレンジオキシ基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピレンジオキシ基等が挙げられる。フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレン基としては例えばフェニレン基、テトラフルオロフェニレン基等が挙げられる。フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレンオキシ基としては例えばフェニレンオキシ基、テトラフルオロフェニレンオキシ基等が挙げられる。フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレンオキシ基としては、例えば、メチレンオキシ基、ジフルオロメチレンオキシ基、エチレンオキシ基、テトラフルオロエチレンオキシ基等が挙げられる。
【0034】
また式(1)におけるZ、Z’は、それぞれ独立に直接結合または2価の基を表わすが、Z、Z’としては、例えば前記Yと同様な2価の基が挙げられる。m、nは繰返し単位の数を表し、nは通常10〜100000の範囲であり、n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、mは通常0〜100000の範囲であり、m個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよい。好ましくはnが15〜50000の範囲、mが0〜50000の範囲、特に好ましくはnが20〜10000の範囲、mが0〜10000の範囲である。n個ずつある繰り返し単位とm個ずつある繰り返し単位は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、またはグラフト共重合体のいずれの結合様式であってもよい。
本発明における側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子の分子量は、数平均分子量で通常5000〜500000、好ましくは10000〜300000の範囲、特に好ましくは15000〜100000である。
【0035】
上記のような側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子は、例えば、下記一般式(4)
−(A−Z)m−(A''−Z')n− (4)
(式中、A、Z、Z’、m、nは前記と同じ意味を有し、A’’は下記一般式(4a)〜(4d)から選ばれる基を示す。)
および下記一般式(5)
E−D (5)
(式中、Dは、前記と同じ意味を有し、Eは、Z'''と反応して、前記Z''を形成する基を表わす。)
を反応させることにより得ることができる。
(上記式中、R、Z''、Y、p’、q’、r’、s’、t’、r''、s''、t''、h、h’、h''、h'''、jは前述と同じ意味を表わす。Z'''は、Eと反応することにより前記Z''を形成する基を表わす。)
【0036】
上記の方法としては特に制限を受けることはないが例えば、Eがハロゲン、Z'''がハロゲンである組み合わせを金属存在下において反応させて、直接結合を形成する方法などが挙げられる。ハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。この反応は通常、溶媒を用いない状態でも行うことは可能であるが、適当な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒などを用いることができる。テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等が好ましく用いられる。金属としては銅、ナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、鉄、クロム、ニッケル、マグネシウムなどが挙げられ、好ましくは銅、亜鉛またはナトリウムである。用いる金属の量はハロゲン化アルキルおよび/またはハロゲン化アリールの合計の1/2当量以上が用いられる。反応温度は−10℃〜250℃が好ましく、より好ましくは0℃〜200℃である。
【0037】
本発明における一般式(4)で表わされる高分子、すなわちZ'''を有する芳香族系高分子は、例えば、芳香族系高分子に、高分子反応でZ'''を導入する方法等で得ることができる。
この方法としては例えば、N−ブロモスクシンイミドを作用させて臭素を導入する方法、塩素ガス、臭素、ヨウ素などを直接作用させてハロゲンを導入する方法、三臭化リンを用いて水酸基を臭素基に変換する方法、塩化チオニルを用いて水酸基を塩素化する方法などが挙げられる。(マクマリー有機化学(上)、291〜296ページ、東京化学同人、1992年)
【0038】
ここで、高分子反応により、Z'''が導入される芳香族系高分子としては、前述のように主鎖が主として芳香族環で構成されているものであれば特に限定はなく、例えば、ポリフェニレンエーテル系、ポリナフチレン系、ポリフェニレン系、ポリエーテルスルホン系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリエーテルエーテルケトン系、ポリエーテルエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリエーテルケトン系、ポリベンズイミダゾール系などの高分子が挙げられる。この中でも特にポリフェニレンエーテル系、ポリナフチレン系、ポリフェニレン系、ポリエーテルスルホン系高分子が好ましく使用される。これらの高分子は任意の2種類以上の高分子からなる、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、またはグラフト共重合体などの共重合体であってもよい。
これらの高分子はAldrich社、住友化学工業株式会社などのメーカーなどから入手することができる。例えば、住友化学工業株式会社からはスミカエクセル PES3600P 、PES4100P、PES4800P、PES5200P、PES5003P(いずれも住友化学工業株式会社の登録商標、以下同様)の商品名で市販されているポリエーテルスルホン類を入手することができる。
【0039】
上記のような側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子を製膜することにより、(ロ)の側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子膜を製造し得る。その製法としては、例えば溶媒キャスト法等を使用することができる。具体的には、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子の溶液を基材に流延製膜した後、溶媒を除去する方法、例えば、前記(イ)の高分子電解質で示したと同様な方法が挙げられる。
【0040】
本発明の積層膜は、上記のような(イ)高分子電解質膜と(ロ)側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子膜とを積層してなることを特徴とするものであるが、その方法としては、(イ)の膜と(ロ)の膜を接合させる方法の他に、例えば(イ)の膜に側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子の溶液を塗布・乾燥する方法、(ロ)の膜に高分子電解質の溶液を塗布・乾燥する方法、(イ)の膜を側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子の溶液に浸漬し乾燥させる方法、(ロ)の膜を高分子電解質の溶液に浸漬し乾燥させる方法等があげられる。
これらの中では、(イ)の膜に(ロ)の溶液を塗布・乾燥する方法が好ましく用いられる。塗布・乾燥する方法としては、前記溶媒キャスト法が好ましく用いられる。
【0041】
なお、高分子電解質や側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子を含む溶液には、必要に応じ、高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤を、プロトン伝導能を著しく妨げない範囲内で含有しているものも使用し得る。また、高分子電解質や側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子は、機械的強度向上等の目的で任意の多孔膜と複合化して用いることもできる。さらに、膜の機械的強度の向上などを目的として、電子線・放射線などを照射して架橋する方法が知られており、(イ)の膜や(ロ)の膜、およびこれらの積層膜に対してこの方法をも使用することが可能である。
【0042】
本発明の積層膜は前記のように(イ)の膜と(ロ)の膜とを積層してなることを特徴とするものであるが、上記の積層方法を任意に組み合わせることによって三層以上積層させることもできる。具体的には(イ)と(ロ)の層が交互に三層以上積層された膜、2種類以上の(イ)を積層させた層と(ロ)の層からなる積層膜、2種類以上の(ロ)を積層させた層と(イ)の層からなる積層膜、2種類以上の(イ)の層と2種類以上の(ロ)の層からなる積層膜、およびこれらを組み合わせた積層膜などが挙げられる。
また、本発明の積層膜を燃料電池用の高分子電解質膜として使用する場合には、発電性能を向上させる観点から、(ロ)の膜が少なくとも片面において表層となっていることが好ましく、両面において表層となっていることがさらに好ましい。
本発明の積層膜において、(ロ)の膜の積層量は、全体の複合膜の重量に対して通常0.1wt%〜50wt%であり、好ましくは0.2wt%〜40wt%であり、特に好ましくは0.3wt%〜30wt%である。
【0043】
次に本発明の燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、積層膜の両面に、集電体として、触媒が固定された電極材料を接合することにより製造することができる。
電極材料としては公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
【0044】
触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。白金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられ、好ましく用いられる。また、カーボンに担持された白金をパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂のアルコール溶液と共に混合してペースト化したものを、電極材料および/または高分子電解質膜に塗布・乾燥することにより、電極材料、高分子電解質、および燃料気体の三者が接触する、いわゆる三相界面が効率よく構築されるために好ましく用いられる。具体的な方法としては例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
【0045】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、特に断りのない限り膜の特性評価は以下の方法で行った。
燃料電池特性評価
カーボンに担持された白金触媒をNafion(デュポン社の登録商標)の低級アルコール溶液(10wt%含水)(Aldrich社製)と混合してペースト状とし、電極材料としての多孔質性のカーボン織布に塗布・乾燥し、触媒が固定された電極材料としての集電体を得た。この集電体を膜の両面に重ね合せ、集電体−膜接合体を得た。該接合体の一面に加湿酸素ガス、他面に加湿水素ガスを流し、該接合体を80℃に保ち、その発電特性を測定することによって行った。
接合特性評価
燃料電池特性評価後、集電体−膜接合体を取出し、カーボン織布と膜を剥離させて触媒層がカーボン織布に接合しているか、膜に接合しているかを調べた。
【0046】
参考例1 側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子の合成
フラスコに、市販のポリ(オキシ−4,4’−ビフェニレンオキシ−4,4’−ジフェニルスルホン)40gと塩化メチレン500mlを入れ、これにN−ブロモスクシンイミド37.4g(210mmol)を加え、フラスコを0℃に保ち、攪拌しながら濃硫酸65.4gを30分かけて滴下した。室温で4時間攪拌した後、反応液を氷水に注ぎ、Na2SO37.56g(60mmol)加えた。その後、NaOH水溶液を系のpHが10となるまで加えた後、塩化メチレンを減圧留去、ろ過、乾燥を行うことにより、重合体(a)63.1gを得た。元素分析、1H−NMR、13C−NMR測定を行った結果、得られた重合体(a)のフェニル環にはブロモ基が導入されていることがわかった。重合体(a)中にブロモ基は27重量%導入されていた。DMAcを展開溶媒としたGPC測定による分子量の測定結果、数平均分子量はポリスチレン換算で34000であった。
【0047】
フラスコに5−ヨード−オクタフルオロペンチル−3−オキサペンタンスルホニルフルオリド15.01g、水5ml、塩化メチレン5ml、2,6−ルチジン4.80g、テトラn−ブチルアンモニウムフルオリドの1MTHF溶液を0.1ml入れ、室温で4日間反応させた。塩化メチレンで3回抽出し、溶媒を減圧留去した後、THF30ml、炭酸カリウム2.82gを入れて室温で10h攪拌した。固体をろ別し、ろ液を濃縮したところ白色固体が析出した。白色固体をTHF/トルエン混合溶媒より再結晶して白色固体12.3g得た。得られた白色固体は19F−NMR、元素分析の結果より5−ヨード−オクタフルオロ−3−オキサペンタンスルホン酸カリウム(b)であることが確認された。
窒素置換したフラスコに重合体(a)0.500g、銅紛末0.500g(7.87mmol)、N,N−ジメチルスルホキシド10mlを入れ、120℃で2時間攪拌した。次いで120℃に保ったまま(b)1.00g(2.16mmol)のN,N−ジメチルスルホキシド10ml溶液を加えた。120℃で40時間反応を行った後に1N‐HCl水溶液100mlに加えて重合体を沈殿させた。沈殿したポリマーを乾燥させて側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子(c)を得た。
【0048】
参考例2 スルホン化芳香族系高分子の合成
無水塩化第一銅99mgと2−メチルベンズオキサゾール266mgをトルエン1ml中で大気下室温で15分撹拌した。これに2−フェニルフェノール8.5gとトルエン30mlを加え、酸素雰囲気下50℃で5時間撹拌した。反応終了後、塩酸を含むメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ過、乾燥してポリ(2−フェニルフェニレンエーテル)(以下PE1と呼ぶ)を得た。
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、スミカエクセルPES5003P(住友化学工業製、水酸基末端ポリエーテルスルホン)を3.0g、PE1を0.75g、炭酸カリウム0.04g、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと呼ぶ)15mlおよびトルエン3mlを加え、加熱撹拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。ここに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン0.05gを添加し、160℃にて5時間加熱攪拌した。反応液を大量の塩酸酸性メタノールに滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、80℃にて減圧乾燥して3.8gのブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体2gを98%硫酸20mlとともに室温下にて攪拌し、均一溶液とした後さらに2時間攪拌を継続した。得られた溶液を大量の氷水中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収した。さらに洗液が中性になるまでイオン交換水によるミキサー洗浄を繰り返した後、40℃にて減圧乾燥してスルホン化した芳香族系高分子(d)を得た。
【0049】
参考例3 スルホン化した芳香族系高分子とポリエチレン製多孔膜とを複合化してなる高分子電解質膜の製造
(d)を15質量%の濃度でN,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略記する事がある)に溶解し、ガラス板上に固定したポリエチレン製多孔膜(膜厚15μm、空隙率48%、孔径0.05μm)上に塗布した。常圧下で溶媒を乾燥させ、スルホン化した芳香族系高分子とポリエチレン製多孔膜の複合膜(e)を得た。膜厚は27μmであった。
【0050】
実施例1 スピンコーターを用いた積層膜の製造および燃料電池特性試験
(e)を4cm四方に切り出し、スピンコーターのガラス板上に固定した。ガラス板を1000rpmで回転させながら、上記(c)の塩化メチレン/メタノール(15vol%/85vol%)溶液(3wt%)2mlを2秒間かけて回転の中心に滴下してスピンコートした。60℃の乾燥機で10分間乾燥させた後に残りの面も同様にスピンコートし、目的の積層膜(f)を得た。膜厚は28μmであった。膜の特性評価結果を表1に示す。燃料電池特性試験結果は電流密度が0.50(A/cm2)の時のセル電圧を示した。
【0051】
比較例1 積層を行わない膜の燃料電池特性試験
(e)の膜の特性評価結果を表1に示す。燃料電池特性試験結果は電流密度が0.50(A/cm2)の時のセル電圧を示した。
【0052】
【表1】
側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子を高分子電解質膜の表層にコートすることにより集電体と電解質膜界面の接合性が改善され、燃料電池の発電特性が向上する。
【0053】
【発明の効果】
本発明の積層膜は、高分子電解質膜と側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子膜とを積層することにより、発電性能等に優れた電解質膜となり得る。
Claims (12)
- (イ)高分子電解質膜と(ロ)側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子膜とを積層してなり、両面に表層として(ロ)を有することを特徴とする積層膜。
- (ロ)の膜が、下記一般式(1)
−(A−Z)m−(A’−Z’)n− (1)
(式中、Aは2価の芳香族基を、A’は超強酸基が置換している2価の芳香族基を表す。Z、Z’はそれぞれ独立に直接結合または2価の基を表わす。m、nは繰返し単位の数を表し、nは10〜100000の範囲であり、n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜100000の範囲でありm個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよい。)で示される芳香族系高分子からなることを特徴とする請求項1記載の積層膜。 - Aが下記一般式(3a)〜(3c)より選ばれる2価の芳香族基、A’が(3d)〜(3g)より選ばれる2価の芳香族基であることを特徴とする請求項2記載の積層膜。
(式中、Rは、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、アリール基、ハロゲンを表す。p、r、s、tはそれぞれ独立に0〜4の、qは0〜6の数を表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。jは0または1の数を表わす。Yは直接結合または2価の基を表し、Yが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。Z’’およびYは互いに独立に直接結合または2価の基を表わし、Z’’が複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよく、Yが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。Dは、超強酸基を表し、Dが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良い。h、h’’、h’’’はそれぞれ独立に1〜4の、h’は1〜6の、(p’+h)、(r’+h’’)、(s’’+h’’’)はそれぞれ独立に1〜4の、s’、t’、r’’、t’’はそれぞれ独立に0〜4の、(q’+h’)は1〜6の数を表わし、jは0または1の数を表わす。) - Z、Z’およびYが、互いに独立に、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数1〜12のアルキレンジオキシ基から選ばれる基であり、Z’’が、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレン基、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレンジオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレン基、フッ素で置換されていることもある炭素数6〜12程度のアリーレンオキシ基、フッ素で置換されていることもある炭素数1〜20程度のアルキレンオキシ基から選ばれる基であることを特徴とする請求項3記載の積層膜。
- 超強酸基が、下記一般式(2a)〜(2d)
−G−SO3−W+ (2a)
−G−SO2N−W+SO2−E (2b)
−G−P(O)(O−W+)2 (2c)
−G−P(O)O−W+−E (2d)
(式中、Gは水素の一部または全部がフッ素置換されたアルキレン基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキレン基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリーレン基を表わし、W+は陽イオンを表し、Eは水素の一部または全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキル基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリール基を表わす。)で示される基から選ばれることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の積層膜。 - Wが水素イオンであることを特徴とする請求項5記載の積層膜。
- (ロ)の膜が、少なくとも片面の表層として存在することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の積層膜。
- 積層膜中に、(ロ)の膜が、0.1wt%〜50wt%存在することを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の積層膜。
- (イ)の高分子電解質膜が、芳香族系高分子電解質からなる膜であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の積層膜。
- (イ)の高分子電解質膜に、側鎖に超強酸基を有する芳香族系高分子の溶液を塗布し、これを乾燥することを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の積層膜の製造方法。
- 請求項1〜9いずれかに記載の積層膜を用いてなることを特徴とする燃料電池。
- 集電体として、触媒が担持されたカーボンとパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂との混合物を電極材料に固定したものを用いてなることを特徴とする請求項11記載の燃料電池。
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