JP2008208193A - 芳香族系高分子、およびその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、超強酸基およびフルオロアルキル基を有する芳香族系高分子、該芳香族系高分子を用いてなる電池に関するものである。
一次電池、二次電池あるいは固体高分子型燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜(プロトン伝導膜)を構成する材料として、プロトン伝導性を有する高分子すなわち高分子電解質が用いられている。例えば、側鎖に超強酸としてのパーフルオロアルキルスルホン酸を有し、主鎖がパーフルオロアルキルである脂肪族系高分子が、燃料電池としての特性に優れることから従来主に使用されている。しかしながらこの材料は非常に高価であること、耐熱性が低いこと、膜強度が低く何らかの補強をしないと実用的でないことなどの問題が指摘されている。
こうした状況において、上記高分子電解質に替わり得る安価な高分子電解質の開発が近年活発化してきている。なかでも耐熱性に優れフィルム強度の高い芳香族ポリエーテルにスルホン酸基を導入した高分子に代表される、側鎖にスルホン酸基を有する芳香族系高分子が有望視されており、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン(例えば、特許文献1参照)、スルホン化ポリエーテルスルホン(例えば、特許文献2または3参照)が提案されている。しかしながら、これらはプロトン伝導性が十分ではなく、固体高分子型燃料電池の隔膜として使用したとき、発電性能が必ずしも十分満足し得るものではなかった。かかる状況下、本発明者は超強酸基を有する芳香族系高分子からなる膜と、スルホン化芳香族系高分子からなる膜を積層させた積層膜が固体高分子型燃料電池用プロトン伝導膜として高い発電性能を有することを見出している。
固体高分子型燃料電池に適用される部材は、かかる燃料電池のより一層の特性向上、とりわけ発電性能の向上を達成し得る部材が求められている。本発明の目的は、より高度の発電性能を達成し得る高分子電解質、並びに該高分子電解質を用いてなるプロトン伝導膜並びに該プロトン伝導膜を有する電池を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決し得る高分子電解質を見出すべく鋭意検討したところ、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
[1]芳香族環を有する繰返し単位からなる芳香族系高分子であって、該繰返し単位の芳香環の一部または全部に超強酸基を有し、且つ該繰返し単位の芳香環の一部または全部に、2価の基で中断されていてもよいフルオロアルキル基を有する芳香族系高分子
を提供するものである。
[1]芳香族環を有する繰返し単位からなる芳香族系高分子であって、該繰返し単位の芳香環の一部または全部に超強酸基を有し、且つ該繰返し単位の芳香環の一部または全部に、2価の基で中断されていてもよいフルオロアルキル基を有する芳香族系高分子
を提供するものである。
さらに本発明は、[1]に係る好適な実施態様として、下記の[2]〜[9]の芳香族系高分子を提供するものである。
[2]超強酸基が、下記一般式(1a)〜(1d)
−G−SO3 -W+ (1a)
−G−SO2N-W+SO2−E (1b)
−G−P(O)(O-W+)2 (1c)
−G−P(O)O-W+−E (1d)
(式中、Gは水素の一部または全部がフッ素置換されたアルキレン基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキレン基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリーレン基を表わし、W+は陽イオンを表し、Eは水素の一部または全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキル基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリール基を表わす。)
で示される基から選ばれることを特徴とする[1]に記載の芳香族系高分子
[3]一般式(1a)〜(1d)においてWが水素イオンであることを特徴とする[2]の芳香族系高分子
[4]フルオロアルキル基が下記一般式(2)
(式中、aは1〜20の整数を表し、Vは水素原子またはフッ素原子を表し、V1、V2は互いに独立にフッ素原子、水素原子、またはトリフルオロメチル基を表わす。aが2以上の場合、複数あるV1、複数あるV2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。V、a個あるV1、a個あるV2のうち少なくとも一つはフッ素原子である。Uは直接結合または2価の基を表わし、Uが複数ある場合、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で示されることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの芳香族系高分子
[5]Uが、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−CO2−、−SO2−、−SO3−、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ターフェニルジイル基、ナフチレン基から選ばれることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの芳香族系高分子
[6]フルオロアルキル基が下記一般式(A−1)〜(A−16)からなる群から選ばれることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの芳香族系高分子
(式中、bは1〜20の整数、cは1〜18の整数、dは1〜17の整数、eは1〜6の整数、fは1〜9の整数、gは1〜5の整数、hは2〜20の整数を表す。)
[7]フルオロアルキル基が、芳香族系高分子における芳香環と直接結合しているか、あるいは−O−、−S−、−CO−、−CO2−、−SO2−、−SO3−から選ばれる基を介して結合していることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの芳香族系高分子、
[8]芳香族高分子における芳香環1個当り、フルオロアルキル基が0.01〜4個存在することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの芳香族系高分子
[9]芳香族系高分子における主鎖が、ポリフェニレンエーテル類、ポリナフチレン類、ポリフェニレン類、ポリエーテルスルホン類またはポリエーテルエーテルスルホン類からなることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの芳香族系高分子
[2]超強酸基が、下記一般式(1a)〜(1d)
−G−SO3 -W+ (1a)
−G−SO2N-W+SO2−E (1b)
−G−P(O)(O-W+)2 (1c)
−G−P(O)O-W+−E (1d)
(式中、Gは水素の一部または全部がフッ素置換されたアルキレン基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキレン基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリーレン基を表わし、W+は陽イオンを表し、Eは水素の一部または全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキル基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリール基を表わす。)
で示される基から選ばれることを特徴とする[1]に記載の芳香族系高分子
[3]一般式(1a)〜(1d)においてWが水素イオンであることを特徴とする[2]の芳香族系高分子
[4]フルオロアルキル基が下記一般式(2)
(式中、aは1〜20の整数を表し、Vは水素原子またはフッ素原子を表し、V1、V2は互いに独立にフッ素原子、水素原子、またはトリフルオロメチル基を表わす。aが2以上の場合、複数あるV1、複数あるV2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。V、a個あるV1、a個あるV2のうち少なくとも一つはフッ素原子である。Uは直接結合または2価の基を表わし、Uが複数ある場合、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で示されることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの芳香族系高分子
[5]Uが、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−CO2−、−SO2−、−SO3−、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ターフェニルジイル基、ナフチレン基から選ばれることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの芳香族系高分子
[6]フルオロアルキル基が下記一般式(A−1)〜(A−16)からなる群から選ばれることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの芳香族系高分子
(式中、bは1〜20の整数、cは1〜18の整数、dは1〜17の整数、eは1〜6の整数、fは1〜9の整数、gは1〜5の整数、hは2〜20の整数を表す。)
[7]フルオロアルキル基が、芳香族系高分子における芳香環と直接結合しているか、あるいは−O−、−S−、−CO−、−CO2−、−SO2−、−SO3−から選ばれる基を介して結合していることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの芳香族系高分子、
[8]芳香族高分子における芳香環1個当り、フルオロアルキル基が0.01〜4個存在することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの芳香族系高分子
[9]芳香族系高分子における主鎖が、ポリフェニレンエーテル類、ポリナフチレン類、ポリフェニレン類、ポリエーテルスルホン類またはポリエーテルエーテルスルホン類からなることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの芳香族系高分子
また、本発明は前記のいずれかの芳香族系高分子を用いてなる下記の[11]〜[13]を提供する。
[10]前記いずれかの高分子を有効成分とする高分子電解質
[11][12]の高分子電解質を用いることを特徴とする高分子電解質膜
[12][10]の高分子電解質、[11]の高分子電解質膜から選ばれる少なくとも一つを用いることを特徴とする膜−電極接合体
[13][10]の高分子電解質、[11]の高分子電解質膜、[12]の高分子電解質膜−電極接合体の少なくとも一つを用いることを特徴とする電池
[10]前記いずれかの高分子を有効成分とする高分子電解質
[11][12]の高分子電解質を用いることを特徴とする高分子電解質膜
[12][10]の高分子電解質、[11]の高分子電解質膜から選ばれる少なくとも一つを用いることを特徴とする膜−電極接合体
[13][10]の高分子電解質、[11]の高分子電解質膜、[12]の高分子電解質膜−電極接合体の少なくとも一つを用いることを特徴とする電池
本発明は、超強酸基およびフルオロアルキル基を有する新規な芳香族系高分子を提供し、該芳香族系高分子は高分子電解質、とりわけ燃料電池のプロトン伝導膜として優れた発電特性を示し、工業的に極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の芳香族系高分子は、その側鎖に超強酸基を有することを特徴の一つとするものである。ここで超強酸基とは、100%硫酸よりも実質的に強い酸を意味する(改定4版 化学便覧基礎編(II)、324頁、日本化学会編(丸善株式会社))。
このような超強酸基として好適な基は、例えば下記一般式(1a)、(1b)、(1c)および(1d)(前記のように「(1a)〜(1d)」と呼ぶこともある)で示される基が挙げられる。
−G−SO3 -W+ (1a)
−G−SO2N-W+SO2−E (1b)
−G−P(O)(O-W+)2 (1c)
−G−P(O)O-W+−E (1d)
(式中、Gは水素の一部または全部がフッ素置換されたアルキレン基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキレン基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリーレン基を表わし、W+は陽イオンを表し、Eは水素の一部または全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキル基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリール基を表わす。)
本発明の芳香族系高分子は、その側鎖に超強酸基を有することを特徴の一つとするものである。ここで超強酸基とは、100%硫酸よりも実質的に強い酸を意味する(改定4版 化学便覧基礎編(II)、324頁、日本化学会編(丸善株式会社))。
このような超強酸基として好適な基は、例えば下記一般式(1a)、(1b)、(1c)および(1d)(前記のように「(1a)〜(1d)」と呼ぶこともある)で示される基が挙げられる。
−G−SO3 -W+ (1a)
−G−SO2N-W+SO2−E (1b)
−G−P(O)(O-W+)2 (1c)
−G−P(O)O-W+−E (1d)
(式中、Gは水素の一部または全部がフッ素置換されたアルキレン基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキレン基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリーレン基を表わし、W+は陽イオンを表し、Eは水素の一部または全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキル基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリール基を表わす。)
前記の一般式(1a)〜(1d)において、W+の代表例しては、例えば水素イオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンが挙げられるが、燃料電池用部材として使用する場合には水素イオンであることが好ましい。
またGは、炭素数1〜6程度のアルキレン基、炭素数7〜12程度のアラルキレン基または炭素数6〜10程度アリーレン基であり、なかでも水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアルキレン基、水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアラルキレン基、または水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアリーレン基であることが好ましい。特に好ましいGとしては、例えばジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、ヘキサフルオロベンジレン基、テトラフルオロフェニレン基、ヘキサフルオロナフチレン基が挙げられる。
またGは、炭素数1〜6程度のアルキレン基、炭素数7〜12程度のアラルキレン基または炭素数6〜10程度アリーレン基であり、なかでも水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアルキレン基、水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアラルキレン基、または水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアリーレン基であることが好ましい。特に好ましいGとしては、例えばジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、ヘキサフルオロベンジレン基、テトラフルオロフェニレン基、ヘキサフルオロナフチレン基が挙げられる。
またEは、前記の、アルキル基、アラルキル基およびアリール基から選ばれるが、なかでも水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアルキル基、水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアラルキル基、または水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアリール基であることが好ましい。特に好ましいEとしては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロベンジル基、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロナフチル基が挙げられる。
次に前記一般式(1a)〜(1d)において好ましい基を具体的に例示する。
前記(1a)の好ましい例としては、例えばL-1〜L-5が挙げられる。なお、芳香環に「F」を付した表記は、当該芳香環の水素原子の全てがフッ素原子で置換されてなる芳香環であることを意味する。
−CF2SO3H −CF2CF2SO3H −CF2CF2CF2SO3H
L-1 L-2 L-3
前記(1a)の好ましい例としては、例えばL-1〜L-5が挙げられる。なお、芳香環に「F」を付した表記は、当該芳香環の水素原子の全てがフッ素原子で置換されてなる芳香環であることを意味する。
−CF2SO3H −CF2CF2SO3H −CF2CF2CF2SO3H
L-1 L-2 L-3
また、前記(1b)の好ましい例としては、例えばL-6〜L-30が挙げられる。
-CF2SO2NHSO2CF3 -CF2SO2NHSO2CF2CF3 -CF2SO2NHSO2(CF2)2CF3
L-6 L-7 L-8
-CF2CF2SO2NHSO2CF3 -CF2CF2SO2NHSO2CF2CF3 -CF2CF2SO2NHSO2(CF2)2CF3
L-9 L-10 L-11
-(CF2)3SO2NHSO2CF3 -(CF2)3SO2NHSO2CF2CF3 -(CF2)3SO2NHSO2CF2CF2CF3
L-12 L-13 L-14
-CF2SO2NHSO2CF3 -CF2SO2NHSO2CF2CF3 -CF2SO2NHSO2(CF2)2CF3
L-6 L-7 L-8
-CF2CF2SO2NHSO2CF3 -CF2CF2SO2NHSO2CF2CF3 -CF2CF2SO2NHSO2(CF2)2CF3
L-9 L-10 L-11
-(CF2)3SO2NHSO2CF3 -(CF2)3SO2NHSO2CF2CF3 -(CF2)3SO2NHSO2CF2CF2CF3
L-12 L-13 L-14
また前記(1c)の好ましい例としては、例えばL-31〜L-35が挙げられる。
-CF2P(O)(OH)2 -CF2CF2P(O)(OH)2 -CF2CF2CF2P(O)(OH)2
L-31 L-32 L-33
-CF2P(O)(OH)2 -CF2CF2P(O)(OH)2 -CF2CF2CF2P(O)(OH)2
L-31 L-32 L-33
また前記(1d)の好ましい例としては、例えばL-36〜L-60が挙げられる。
-CF2P(O)(OH)CF3 -CF2P(O)(OH)CF2CF3 -CF2P(O)(OH)CF2CF2CF3
L-36 L-37 L-38
-CF2CF2P(O)(OH)CF3 -CF2CF2P(O)(OH)CF2CF3 -CF2CF2P(O)(OH)CF2CF2CF3
L-39 L-40 L-41
-(CF2)3P(O)(OH)CF3 -(CF2)3P(O)(OH)CF2CF3 -(CF2)3P(O)(OH)CF2CF2CF3
L-42 L-43 L-44
-CF2P(O)(OH)CF3 -CF2P(O)(OH)CF2CF3 -CF2P(O)(OH)CF2CF2CF3
L-36 L-37 L-38
-CF2CF2P(O)(OH)CF3 -CF2CF2P(O)(OH)CF2CF3 -CF2CF2P(O)(OH)CF2CF2CF3
L-39 L-40 L-41
-(CF2)3P(O)(OH)CF3 -(CF2)3P(O)(OH)CF2CF3 -(CF2)3P(O)(OH)CF2CF2CF3
L-42 L-43 L-44
本発明の高分子は上記の超強酸基を有することの他にフルオロアルキル基を有することを特徴とする。該フルオロアルキル基は、2価の基で中断されていてもよい。
前記フルオロアルキル基としては、例えば下記一般式(2)
(式中、aは1〜20の整数を表し、Vは水素原子またはフッ素原子を表し、V1、V2は互いに独立にフッ素原子、水素原子、またはトリフルオロメチル基を表わす。aが2以上の場合、複数あるV1、複数あるV2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。V、a個あるV1、a個あるV2のうち少なくとも一つはフッ素原子である。Uは直接結合または2価の基を表わし、Uが複数ある場合、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表わされる基が挙げられる。
(式中、aは1〜20の整数を表し、Vは水素原子またはフッ素原子を表し、V1、V2は互いに独立にフッ素原子、水素原子、またはトリフルオロメチル基を表わす。aが2以上の場合、複数あるV1、複数あるV2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。V、a個あるV1、a個あるV2のうち少なくとも一つはフッ素原子である。Uは直接結合または2価の基を表わし、Uが複数ある場合、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表わされる基が挙げられる。
ここで、aは1〜20の整数を表わすが、好ましくは2〜18の範囲であり、より好ましくは4〜14の範囲であり、特に好ましくは6〜12の範囲である。
Uは、直接結合または2価の基を表わす。なお、該2価の基としては、例えば、−O−、−S−、−CO−、−CO2−、−SO2−、−SO3−、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ターフェニルジイル基、ナフチレン基が好ましく、より好ましいUとしては、直接結合、−O−または−S−である。
前記一般式(2)で表されるフルオロアルキル基の中でも、下記一般式(A−1)〜(A−16)から選ばれるフルオロアルキル基が好ましい。
(式中、bは1〜20の整数、cは1〜18の整数、dは1〜17の整数、eは1〜6の整数、fは1〜9の整数、gは1〜5の整数、hは2〜20の整数を表す。)
(式中、bは1〜20の整数、cは1〜18の整数、dは1〜17の整数、eは1〜6の整数、fは1〜9の整数、gは1〜5の整数、hは2〜20の整数を表す。)
ここで、(A−1)の具体例としては、例えば−CF3、−(CF2)2F、−(CF2)3F、−(CF2)4F、−(CF2)5F、−(CF2)6F、−(CF2)7F、−(CF2)8F、−(CF2)9F、−(CF2)10F、−(CF2)11F、−(CF2)12F、−(CF2)13F、−(CF2)14F、−(CF2)15F、−(CF2)16F等が挙げられる。
(A−2)の具体例としては、例えば−CH2F、−CH2CF3、−CH2(CF2)2F、−CH2(CF2)3F、−CH2(CF2)4F、−CH2(CF2)5F、−CH2(CF2)6F、−CH2(CF2)7F、、−CH2(CF2)8F、−CH2(CF2)9F、−CH2(CF2)10F、−CH2(CF2)11F、−CH2(CF2)12F、−CH2(CF2)13F、−CH2(CF2)14F、−CH2(CF2)15F、−CH2(CF2)16F等が挙げられる。
(A−3)の具体例としては、例えば−CF2H、−(CF2)2H、−(CF2)3H、−(CF2)4H、−(CF2)5H、−(CF2)6H、−(CF2)7H、−(CF2)8H、−(CF2)9H、−(CF2)10H、−(CF2)11H、−(CF2)12H、−(CF2)13H、−(CF2)14H、−(CF2)15H、−(CF2)16H等が挙げられる。
(A−4)の具体例としては、例えば−CH2CF2H、−CH2(CF2)2H、−CH2(CF2)3H、−CH2(CF2)4H、−CH2(CF2)5H、−CH2(CF2)6H、−CH2(CF2)7H、−CH2(CF2)8H、−CH2(CF2)9H、−CH2(CF2)10H、−CH2(CF2)11H、−CH2(CF2)12H、−CH2(CF2)13H、−CH2(CF2)14H、−CH2(CF2)15H、−CH2(CF2)16H等が挙げられる。
(A−5)の具体例としては、例えば−(CH2)2CF3、−(CH2)2(CF2)2F、−(CH2)2(CF2)3F、−(CH2)2(CF2)4F、−(CH2)2(CF2)5F、−(CH2)2(CF2)6F、−(CH2)2(CF2)7F、−(CH2)2(CF2)8F、−(CH2)2(CF2)9F、−(CH2)2(CF2)10F、−(CH2)2(CF2)11F、−(CH2)2(CF2)12F、−(CH2)2(CF2)13F、−(CH2)2(CF2)14F、−(CH2)2(CF2)15F、−(CH2)2(CF2)16F等が挙げられる。
(A−6)の具体例としては、例えば−CF2CF(CF3)CF3、−(CF2)2CF(CF3)CF3、−(CF2)3CF(CF3)CF3、−(CF2)4CF(CF3)CF3、−(CF2)5CF(CF3)CF3、−(CF2)6CF(CF3)CF3、−(CF2)7CF(CF3)CF3、−(CF2)8CF(CF3)CF3、−(CF2)9CF(CF3)CF3、−(CF2)10CF(CF3)CF3、−(CF2)11CF(CF3)CF3、−(CF2)12CF(CF3)CF3、−(CF2)13CF(CF3)CF3、−(CF2)14CF(CF3)CF3等が挙げられる。
(A−7)の具体例としては、例えば−CF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2}2F、−{CF(CF3)CF2}3F、−{CF(CF3)CF2}4F、−{CF(CF3)CF2}5F、−{CF(CF3)CF2}6F等が挙げられる。
(A−8)のタイプの具体例としては、例えば−CF2CF(CF3)CF3、−CF2{CF(CF3)CF2}2F、−CF2{CF(CF3)CF2}3F、−CF2{CF(CF3)CF2}4F、−CF2{CF(CF3)CF2}5F、−CF2{CF(CF3)CF2}6F等が挙げられる。
(A−9)の具体例としては、例えば−CF2CF2OCF2CF3、−CF2CF2OCF2CF3、−(CF2CF2O)2CF2CF3、−(CF2CF2O)3CF2CF3、−(CF2CF2O)4CF2CF3、−(CF2CF2O)5CF2CF3、−(CF2CF2O)6CF2CF3、−(CF2CF2O)7CF2CF3等が挙げられる。
(A−10)の具体例としては、例えば−CF2CF2OCF3、−(CF2CF2O)2CF3、−(CF2CF2O)3CF3、−(CF2CF2O)4CF3、−(CF2CF2O)5CF3、−(CF2CF2O)6CF3、−(CF2CF2O)7CF3等が挙げられる。
(A−11)の具体例としては、例えば−CF(CF3)CF2OCF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2O}2CF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2O}3CF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2O}4CF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2O}5CF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2O}6CF(CF3)CF3等が挙げられる。
(A−12)の具体例としては、例えば−CF2OCF(CF3)CF3、−{CF2OCF(CF3)}2CF3、−{CF2OCF(CF3)}3CF3、−{CF2OCF(CF3)}4CF3、−{CF2OCF(CF3)}5CF3、−{CF2OCF(CF3)}6CF3等が挙げられる。
(A−13)の具体例としては、例えば−CF2CF2SCF2CF3、−(CF2CF2S)2CF2CF3、−(CF2CF2S)3CF2CF3、−(CF2CF2S)4CF2CF3、−(CF2CF2S)5CF2CF3、−(CF2CF2S)6CF2CF3、−(CF2CF2S)7CF2CF3等が挙げられる。
(A−14)の具体例としては、例えば−CF2CF2SCF3、−(CF2CF2S)2CF3、−(CF2CF2S)3CF3、−(CF2CF2S)4CF3、−(CF2CF2S)5CF3、−(CF2CF2S)6CF3、−(CF2CF2S)7CF3等が挙げられる。
(A−15)の具体例としては、例えば−CF(CF3)CF2SCF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2S}2CF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2S}3CF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2S}4CF(CF3)CF3、−{CF(CF3)CF2S}5CF(CF3)CF3等が挙げられる。
(A−16)の具体例としては、例えば−CF2SCF(CF3)CF3、−{CF2SCF(CF3)}2CF3、−{CF2SCF(CF3)}3CF3、−{CF2SCF(CF3)}4CF3、−{CF2SCF(CF3)}5CF3、−{CF2SCF(CF3)}6CF3等が挙げられる。
これらの中では、(A−1)〜(A−4)で表される基がより好ましく、特に好ましくは(A−1)で表される基である。
本発明におけるフルオロアルキル基は、その炭素数は1〜20であるが、好ましくは炭素数2〜16であり、より好ましくは炭素数3〜12である。
また、フルオロアルキル基は、前記のように芳香族系高分子の側鎖に存在するものであるが、芳香環に直接結合していてもよいし、2価の基を介して結合していてもよい。かかる2価の基としては、−O−、−S−、−CO−、−CO2−、−SO2−、−SO3−が好ましい。より好ましくは、該フルオロアルキル基が芳香環に直接結合するか、−O−または−S−を介して結合しているものである。
本発明におけるフルオロアルキル基は、その炭素数は1〜20であるが、好ましくは炭素数2〜16であり、より好ましくは炭素数3〜12である。
また、フルオロアルキル基は、前記のように芳香族系高分子の側鎖に存在するものであるが、芳香環に直接結合していてもよいし、2価の基を介して結合していてもよい。かかる2価の基としては、−O−、−S−、−CO−、−CO2−、−SO2−、−SO3−が好ましい。より好ましくは、該フルオロアルキル基が芳香環に直接結合するか、−O−または−S−を介して結合しているものである。
かかるフルオロアルキル基は、芳香族環高分子における芳香環1個当り、通常0.01〜4個存在する。好ましくは芳香環1個当り0.02〜3個であり、0.03〜2個であると、0.04〜1個であると特に好ましい。
本発明における芳香族系高分子とは、高分子を構成する最長の分子鎖を主鎖としたとき、該主鎖を構成する繰返し単位中に芳香環を一つ以上含む。かかる芳香環としては、例えばベンゼンなどの単環式芳香環、ナフタレン、ビフェニルなどの多環式芳香環、ピリジン基などの複素環式芳香環、ベンズイミダゾールなどの多環複素環式芳香環などが挙げられる。
芳香族系高分子の具体例としては、例えば、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテルケトン類、ポリアリーレン類、ポリアリーレンスルホン類、ポリアリーレンケトン類、ポリナフチレン類、芳香族ポリアミド類、ポリオキサゾール類、ポリベンズチアゾール類、ポリイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、芳香族ポリイミド類、ポリアリーレンスルフィド類、ポリフタラジノン類などの主鎖が主として芳香環から構成される芳香族系芳香族系高分子、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類などの主鎖が主として脂肪族鎖からなり、側鎖に芳香環を有する基をもつ高分子、芳香族ポリホスファゼン類等の無機の主鎖からなる芳香族系高分子等が挙げられる。また、前記芳香族系高分子はホモ重合体であってもよく、該芳香族系高分子を構成する構造単位が複数ある共重合体の場合は、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
前記超強酸基と前記フルオロアルキル基をともに有するポリエーテルスルホン類としては、例えば下記の繰り返し単位に超強酸基とフルオロアルキル基が結合した繰り返し単位を有する芳香族系高分子が挙げられ、超強酸基とフルオロアルキル基は下記繰り返し単位の置換可能な水素のいずれかを置換している。超強酸基とフルオロアルキル基は同じ繰り返し単位にそれぞれ一つずつ以上置換されていてもよいし、異なる繰り返し単位に独立に置換されていてもよい。また、超強酸基やフルオロアルキル基が導入されていない繰り返し単位が存在し、共重合体を形成していてもよい。
ここで、mは1または2を表す。
ここで、mは1または2を表す。
前記超強酸基と前記フルオロアルキル基をともに有するポリエーテルケトン類としては、例えば下記の繰返し単位に超強酸基とフルオロアルキル基が結合した繰り返し単位を有する高分子が挙げられ、超強酸基とフルオロアルキル基は下記繰返し単位の置換可能な水素のいずれかを置換している。超強酸基とフルオロアルキル基は同じ繰返し単位にそれぞれ一つずつ以上置換されていてもよいし、異なる繰返し単位に独立に置換されていてもよい。また、超強酸基やフルオロアルキル基が導入されていない繰り返し単位が存在し、共重合体を形成していてもよい。
ここで、mは前記と同義である。
ここで、mは前記と同義である。
前記超強酸基と前記フルオロアルキル基をともに有する、ポリアリーレン類、ポリアリーレンスルホン、ポリアリーレンケトンまたはポリナフチレンとしては、例えば下記の繰り返し単位に超強酸基とフルオロアルキル基が結合した繰返し単位を有する高分子が挙げられ、超強酸基とフルオロアルキル基は下記繰返し単位の置換可能な水素のいずれかを置換している。超強酸基とフルオロアルキル基は同じ繰返し単位にそれぞれ一つずつ以上置換されていてもよいし、異なる繰返し単位に独立に置換されていてもよい。また、超強酸基やフルオロアルキル基が導入されていない繰返し単位が存在し、共重合体を形成していてもよい。
前記超強酸基と前記フルオロアルキル基をともに有する、芳香族ポリアミド類、ポリオキサゾール類、ポリベンズチアゾール類、ポリイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類としては、例えば下記の繰返し単位に超強酸基とフルオロアルキル基が結合した繰返し単位を有する高分子が挙げられ、超強酸基とフルオロアルキル基は下記繰返し単位の置換可能な水素のいずれかを置換している。超強酸基とフルオロアルキル基は同じ繰返し単位にそれぞれ一つずつ以上置換されていてもよいし、異なる繰返し単位に独立に置換されていてもよい。また、超強酸基やフルオロアルキル基が導入されていない繰り返し単位が存在し、共重合体を形成していてもよい。
前記超強酸基と前記フルオロアルキル基をともに有する芳香族ポリイミド類としては、例えば下記の繰返し単位に超強酸基とフルオロアルキル基が結合した繰返し単位を有する高分子が挙げられ、超強酸基とフルオロアルキル基は下記繰返し単位の置換可能な水素のいずれかを置換している。超強酸基とフルオロアルキル基は同じ繰返し単位にそれぞれ一つずつ以上置換されていてもよいし、異なる繰り返し単位に独立に置換されていてもよい。また、超強酸基やフルオロアルキル基が導入されていない繰り返し単位が存在し、共重合体を形成していてもよい。
前記超強酸基と前記フルオロアルキル基をともに有する、ポリアリーレンスルフィド類、ポリフタラジノン類としては、例えば下記の繰返し単位に超強酸基とフルオロアルキル基が結合した繰返し単位を有する高分子が挙げられ、超強酸基とフルオロアルキル基は下記繰り返し単位の置換可能な水素のいずれかを置換している。超強酸基とフルオロアルキル基は同じ繰返し単位にそれぞれ一つずつ以上置換されていてもよいし、異なる繰り返し単位に独立に置換されていてもよい。また、超強酸基やフルオロアルキル基が導入されていない繰り返し単位が存在し、共重合体を形成していてもよい。
前記超強酸基と前記フルオロアルキル基をともに有する、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、ポリホスファゼン類としては、例えば下記の繰返し単位に超強酸基とフルオロアルキル基が結合した繰返し単位を有する高分子が挙げられ、超強酸基とフルオロアルキル基は下記繰返し単位の置換可能な水素のいずれかを置換している。超強酸基とフルオロアルキル基は同じ繰り返し単位にそれぞれ一つずつ以上置換されていてもよいし、異なる繰り返し単位に独立に置換されていてもよい。また、超強酸基やフルオロアルキル基が導入されていない繰返し単位が存在し、共重合体を形成していてもよい。
これらの中でも芳香族系主鎖からなるの芳香族系高分子が好ましく、ポリフェニレンエーテル類、ポリナフチレン類、ポリフェニレン類、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテルエーテルスルホン類高分子がさらに好ましく、ポリエーテルスルホン類が特に好ましく使用される。
これらの高分子における芳香環は、前述の超強酸側鎖とフルオロアルキル側鎖の他に、置換基を有していてもよく、例えば、水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、ベンジル基などの炭素数7〜12のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等炭素数6〜10のアリール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。置換基は複数有していてもよく、その場合は、これら置換基は同一でも異なっていてもよい。
本発明の高分子は上記のような構造を有するものであり、その分子量は特に制限されるものではないが、5000〜1000000程度が好ましく、10000〜500000程度がさらに好ましく、20000〜300000程度が特に好ましい。5000未満であると膜の形状で使用する場合には膜形状を保つことが難しくなる傾向に有り、また、1000000を超えると膜形状に成型することが難しくなる傾向にある。
また、本発明の芳香族系高分子のイオン交換容量は0.2meq/g〜5.0meq/gであることが好ましい。該イオン交換容量が前記の範囲であると、プロトン伝導膜として高度の発電性能を有するとともに、高度の耐水性を両立し得るので好ましい。特にイオン交換容量が低すぎると、本発明の目的である発電性能を損なう傾向がある。該イオン交換容量は、好ましくは0.4〜4.0meq/gであり、さらに好ましくは0.6〜3.0meq/gであり、特に好ましくは0.8〜2.0meq/gである。
次に本発明の芳香族系高分子の製造方法を説明する。
該芳香族系高分子の製造方法に関しては種々の方法を例示できるが、例えば、
(A)予め芳香族環を有する高分子を製造し、該芳香環に超強酸基およびフルオロアルキル基を導入する方法、
(B)超強酸基および/またはフルオロアルキル基を含むモノマーを(共)重合して得る方法
などが挙げられる。
該芳香族系高分子の製造方法に関しては種々の方法を例示できるが、例えば、
(A)予め芳香族環を有する高分子を製造し、該芳香環に超強酸基およびフルオロアルキル基を導入する方法、
(B)超強酸基および/またはフルオロアルキル基を含むモノマーを(共)重合して得る方法
などが挙げられる。
前記の(A)、(B)いずれの方法においても、
(I)芳香環に結合しているハロゲン原子に、ハロゲン化フルオロアルキルを金属試薬存在下でカップリングさせて、フルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法
(II)芳香環に結合している水酸基に、ハロゲン化フルオロアルキルを塩基存在下でカップリングさせて[Williamson反応(マクマリー有機化学(中)第1版、636ページ、1987年、東京化学同人)]、フルオロアルキル基を芳香環に酸素原子を介して結合させる方法
(III)ハロゲン化フルオロアルキル、ハロゲン化フルオロアルカノイルまたはハロゲン化フルオロアルキルスルホニルをルイス酸存在下で芳香環に直接反応させて[Friedel−Crafts反応(マクマリー有機化学(中)第1版、557ページ、1987年、東京化学同人)]、フルオロアルキル基を芳香環に直接結合させる、フルオロアルキル基をカルボニル基を介して芳香環に結合させる、またはフルオロアルキル基をスルホニル基を介して芳香環に結合させる方法
などを利用して合成することができる。なお、超強酸基を芳香環に結合させる場合、(I)、(II)または(III)の方法において、ハロゲン化フルオロアルキルを下記の一般式(1a’)、(1b’)、(1c’)または(1d’)[以下、「(1a’)〜(1d’)」と呼ぶ]に置き換えて実施すればよい。
X−G−SO3 -W+ (1a’)
X−G−SO2N-W+SO2−E (1b’)
X−G−P(O)(O-W+)2 (1c’)
X−G−P(O)O-W+−E (1d’)
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
(I)芳香環に結合しているハロゲン原子に、ハロゲン化フルオロアルキルを金属試薬存在下でカップリングさせて、フルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法
(II)芳香環に結合している水酸基に、ハロゲン化フルオロアルキルを塩基存在下でカップリングさせて[Williamson反応(マクマリー有機化学(中)第1版、636ページ、1987年、東京化学同人)]、フルオロアルキル基を芳香環に酸素原子を介して結合させる方法
(III)ハロゲン化フルオロアルキル、ハロゲン化フルオロアルカノイルまたはハロゲン化フルオロアルキルスルホニルをルイス酸存在下で芳香環に直接反応させて[Friedel−Crafts反応(マクマリー有機化学(中)第1版、557ページ、1987年、東京化学同人)]、フルオロアルキル基を芳香環に直接結合させる、フルオロアルキル基をカルボニル基を介して芳香環に結合させる、またはフルオロアルキル基をスルホニル基を介して芳香環に結合させる方法
などを利用して合成することができる。なお、超強酸基を芳香環に結合させる場合、(I)、(II)または(III)の方法において、ハロゲン化フルオロアルキルを下記の一般式(1a’)、(1b’)、(1c’)または(1d’)[以下、「(1a’)〜(1d’)」と呼ぶ]に置き換えて実施すればよい。
X−G−SO3 -W+ (1a’)
X−G−SO2N-W+SO2−E (1b’)
X−G−P(O)(O-W+)2 (1c’)
X−G−P(O)O-W+−E (1d’)
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
前記(I)について、フルオロアルキル基を芳香環に結合させるうえでの、典型的な例を詳述する。
(I)のより具体的な方法としては
(I−1)芳香環に結合している臭素原子またはヨウ素原子に、フルオロアルキルブロミドやフルオロアルキルヨージドを、金属存在下でカップリングさせて、フルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法
(I−2)リチウム試薬を用いて、芳香環をリチオ化し、次いでハロゲン化フルオロアルキルを反応させてフルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法、あるいはリチウム試薬を用いて、ハロゲン化フルオロアルキルをリチオ化フルオロアルキルに転換し、該リチオ化フルオロアルキルと芳香環に結合しているハロゲン原子に反応させて、フルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法
(I−3)芳香環に結合しているハロゲン原子にマグネシウムを反応させて、マグネシウムハロゲン化物とし、ハロゲン化フルオロアルキルを反応させてフルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法、または芳香環に結合しているハロゲン原子にフルオロアルキルマグネシウムハライドを反応させてフルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法
などが挙げられる。
(I)のより具体的な方法としては
(I−1)芳香環に結合している臭素原子またはヨウ素原子に、フルオロアルキルブロミドやフルオロアルキルヨージドを、金属存在下でカップリングさせて、フルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法
(I−2)リチウム試薬を用いて、芳香環をリチオ化し、次いでハロゲン化フルオロアルキルを反応させてフルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法、あるいはリチウム試薬を用いて、ハロゲン化フルオロアルキルをリチオ化フルオロアルキルに転換し、該リチオ化フルオロアルキルと芳香環に結合しているハロゲン原子に反応させて、フルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法
(I−3)芳香環に結合しているハロゲン原子にマグネシウムを反応させて、マグネシウムハロゲン化物とし、ハロゲン化フルオロアルキルを反応させてフルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法、または芳香環に結合しているハロゲン原子にフルオロアルキルマグネシウムハライドを反応させてフルオロアルキル基を芳香環に結合させる方法
などが挙げられる。
これらの中でも(I−1)の方法が、反応効率が良好であるために好ましい。(I−1)のさらに具体的な方法として、ブロモ化芳香族系高分子とヨウ素化フルオロアルキルを金属存在下でカップリングさせる方法について述べる。
ブロモ化芳香族系高分子は、前述のポリエーテルスルホン類、ポリエーテルケトン類、ポリアリーレン類、ポリアリーレンスルホン、ポリアリーレンケトン、ポリナフチレン、芳香族ポリアミド類、ポリオキサゾール類、ポリベンズチアゾール類、ポリイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、芳香族ポリイミド類、ポリアリーレンスルフィド類、ポリフタラジノン類、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、芳香族ポリホスファゼン類を直接臭素と接触させることによって容易にブロモ化することができる(特開平5−186586)。必要に応じて公知の助触媒である鉄や臭化鉄(II)等を用いてもよい。また、N−ブロモスクシンイミドを作用させて臭素を芳香環に導入するといった公知の方法を用いてもよい。
ブロモ化芳香族系高分子は、前述のポリエーテルスルホン類、ポリエーテルケトン類、ポリアリーレン類、ポリアリーレンスルホン、ポリアリーレンケトン、ポリナフチレン、芳香族ポリアミド類、ポリオキサゾール類、ポリベンズチアゾール類、ポリイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、芳香族ポリイミド類、ポリアリーレンスルフィド類、ポリフタラジノン類、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、芳香族ポリホスファゼン類を直接臭素と接触させることによって容易にブロモ化することができる(特開平5−186586)。必要に応じて公知の助触媒である鉄や臭化鉄(II)等を用いてもよい。また、N−ブロモスクシンイミドを作用させて臭素を芳香環に導入するといった公知の方法を用いてもよい。
ブロモ化芳香族系高分子とヨウ素化フルオロアルキルを反応させる場合には、溶媒を用いない状態で行うことも可能であるが、通常溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒などを用いることができる。中でもテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等が好ましく用いられる。金属としては、例えば銅、ナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、鉄、クロム、ニッケル、マグネシウムなどが挙げられ、好ましくは銅、亜鉛またはナトリウム、特に好ましくは銅である。用いる金属の量はヨウ素化フルオロアルキルの1/2当量以上が通常用いられる。反応温度は−10℃〜250℃が好ましく、より好ましくは0℃〜200℃である。
これらの方法によりフルオロアルキル基を高分子の芳香環に導入し、同様にして前記の一般式(1a’)〜(1d’)で表される化合物を用いて超強酸基を芳香環に導入することにより本発明の芳香族系高分子を製造することが可能であるが、超強酸基とフルオロアルキル基は同時に導入してもよいし、先に超強酸基を導入してからフルオロアルキル基を導入してもよいし、先にフルオロアルキル基を導入してから超強酸基を導入してもよい。また、(A)〜(B)、(I)〜(III)などの方法を併用して本発明の高分子を製造してもよい。その場合、フルオロアルキル基を有するモノマーを重合してフルオロアルキル基を有する高分子を製造した後、超強酸基を導入する方法や、超強酸基を有するモノマーを重合して超強酸基を有する高分子を製造した後、フルオロアルキル基を導入する(方法など上記の方法を複数組み合わせて用いることも可能である。
次に、本発明の高分子を燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜として使用する場合について説明する。
この場合は、本発明の芳香族系高分子は、通常フィルムの形態(高分子電解質膜)で使用されるが、フィルムへ転化する製膜方法に特に制限はなく、例えば溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましく使用される。
この場合は、本発明の芳香族系高分子は、通常フィルムの形態(高分子電解質膜)で使用されるが、フィルムへ転化する製膜方法に特に制限はなく、例えば溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましく使用される。
具体的には、前記芳香族系高分子を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜して高分子電解質膜を得る。製膜に用いる溶媒は、適用する芳香族系高分子を溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、クラウンエーテル類等のエーテル系溶媒が好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。
中でも、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランが芳香族系高分子の溶解性が高く好ましい。
中でも、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランが芳香族系高分子の溶解性が高く好ましい。
高分子電解質膜の厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましく、20〜100μmが特に好ましい。10μmより薄い膜では実用的な強度が十分でない場合があり、300μmより厚い膜では膜抵抗が大きくなり電気化学デバイスの特性が低下する傾向にある。膜厚は溶液の濃度および基板上への塗布厚により制御できる。
また高分子電解質膜の各種物性改良を目的として、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等を本発明の高分子に添加することができる。また、同一溶剤に混合共キャストするなどの方法により、他のポリマーを本発明の高分子と複合アロイ化することも可能である。
燃料電池用途では水の量を制御するために、無機あるいは有機の微粒子を保水剤として添加することも知られている。これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。
また、高分子電解質膜の機械的強度の向上などを目的として、電子線・放射線などを照射して架橋することもできる。さらには、多孔性のフィルムやシートに含浸複合化したり、ファイバーやパルプを混合して膜を補強する方法などが知られており、これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。
燃料電池用途では水の量を制御するために、無機あるいは有機の微粒子を保水剤として添加することも知られている。これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。
また、高分子電解質膜の機械的強度の向上などを目的として、電子線・放射線などを照射して架橋することもできる。さらには、多孔性のフィルムやシートに含浸複合化したり、ファイバーやパルプを混合して膜を補強する方法などが知られており、これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。
次に本発明の燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、高分子電解質膜の両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。白金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられ、好ましく用いられる。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
本発明の燃料電池は、高分子電解質膜の両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。白金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられ、好ましく用いられる。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーに白金微粒子または白金微粒子を担持したカーボンを接合させる方法、およびそれを高分子電解質膜と接合させる方法については、例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9),2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
また、本発明の芳香族系高分子は、固体高分子形燃料電池の触媒層を構成する触媒組成物の一成分であるプロトン伝導材料としても使用可能である。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノール、ジメチルエーテル等を用いる各種の形式で使用可能である。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
また、本発明の芳香族系高分子は、固体高分子形燃料電池の触媒層を構成する触媒組成物の一成分であるプロトン伝導材料としても使用可能である。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノール、ジメチルエーテル等を用いる各種の形式で使用可能である。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
(1)イオン交換容量(IEC)測定
酸塩基逆滴定法を用いて求めた。
(1)イオン交換容量(IEC)測定
酸塩基逆滴定法を用いて求めた。
(2)燃料電池特性評価
カーボンに担持された白金触媒をNafion(デュポン社の登録商標)の低級アルコール溶液(10重量%含水品)(Aldrich社製)と混合してペースト状とし、電極材料としての多孔質性のカーボン織布に塗布・乾燥し、触媒が固定された電極材料としての集電体を得た。この集電体を膜の両面に重ね合せ、集電体−膜接合体を得た。該接合体の一面に加湿酸素ガス、他面に加湿水素ガスを流し、該接合体を80℃に保ち、その発電特性を測定することによって行った。
カーボンに担持された白金触媒をNafion(デュポン社の登録商標)の低級アルコール溶液(10重量%含水品)(Aldrich社製)と混合してペースト状とし、電極材料としての多孔質性のカーボン織布に塗布・乾燥し、触媒が固定された電極材料としての集電体を得た。この集電体を膜の両面に重ね合せ、集電体−膜接合体を得た。該接合体の一面に加湿酸素ガス、他面に加湿水素ガスを流し、該接合体を80℃に保ち、その発電特性を測定することによって行った。
参考例1
フラスコに、ポリ(オキシ−4,4’−ビフェニリレンオキシ−4,4’−ジフェニルスルホン)(Aldrich社製、略称PES−DOD)15gと塩化メチレン80mlを入れ、撹拌して均一溶液とした。この溶液を0℃に保ったまま、臭素46.5g(291mmol)を10分かけて加え、滴下終了後、室温で4時間反応させた。その後、反応液を亜硫酸ナトリウム水溶液(Na2SO3:75.6g(600mmol)、水:1000ml)に加えてポリマーを析出させ、水とメタノールで繰り返して洗浄した後、室温で乾燥してブロモ化PES−DODを得た。元素分析、1H−NMR測定を行った結果、得られた重合体(a)のビフェニルジイル単位にブロモ基が導入されていることがわかった。重合体(a)中にブロモ基は27重量%導入されていた。DMAcを展開溶媒としたGPC測定による分子量の測定結果、数平均分子量はポリスチレン換算で34000であった。
フラスコに、ポリ(オキシ−4,4’−ビフェニリレンオキシ−4,4’−ジフェニルスルホン)(Aldrich社製、略称PES−DOD)15gと塩化メチレン80mlを入れ、撹拌して均一溶液とした。この溶液を0℃に保ったまま、臭素46.5g(291mmol)を10分かけて加え、滴下終了後、室温で4時間反応させた。その後、反応液を亜硫酸ナトリウム水溶液(Na2SO3:75.6g(600mmol)、水:1000ml)に加えてポリマーを析出させ、水とメタノールで繰り返して洗浄した後、室温で乾燥してブロモ化PES−DODを得た。元素分析、1H−NMR測定を行った結果、得られた重合体(a)のビフェニルジイル単位にブロモ基が導入されていることがわかった。重合体(a)中にブロモ基は27重量%導入されていた。DMAcを展開溶媒としたGPC測定による分子量の測定結果、数平均分子量はポリスチレン換算で34000であった。
参考例2
フラスコに1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヨードエトキシ)エタンスルホニルフルオリド15.0g、水5ml、塩化メチレン5ml、2,6−ルチジン4.80g、テトラn−ブチルアンモニウムフルオリドの1Mテトラヒドロフラン溶液を0.1ml入れ、室温で4日間反応させた。塩化メチレンで3回抽出し、溶媒を減圧留去した後、テトラヒドロフラン30ml、炭酸カリウム2.82gを入れて室温で10h攪拌した。固体をろ別し、ろ液を濃縮したところ白色固体が析出した。白色固体をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒より再結晶して白色固体12.3g得た。得られた白色固体は19F−NMR、元素分析の結果より1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヨードエトキシ)エタンスルホン酸(b)であることが確認された。
フラスコに1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヨードエトキシ)エタンスルホニルフルオリド15.0g、水5ml、塩化メチレン5ml、2,6−ルチジン4.80g、テトラn−ブチルアンモニウムフルオリドの1Mテトラヒドロフラン溶液を0.1ml入れ、室温で4日間反応させた。塩化メチレンで3回抽出し、溶媒を減圧留去した後、テトラヒドロフラン30ml、炭酸カリウム2.82gを入れて室温で10h攪拌した。固体をろ別し、ろ液を濃縮したところ白色固体が析出した。白色固体をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒より再結晶して白色固体12.3g得た。得られた白色固体は19F−NMR、元素分析の結果より1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヨードエトキシ)エタンスルホン酸(b)であることが確認された。
実施例1
窒素置換したフラスコに(a)4.00gと銅4.00g(15.7mmol)を120℃真空下で2時間乾燥させ、脱水DMSOに溶解させた。120℃で2時間攪拌後、(b)3.74g(8.10mmol)、I−(CF2)5−CF3 (Aldrich社製)3.01g(6.76mmol)を加えて120℃で35時間反応を行った。反応後、重合液を5N塩酸水溶液に加えてポリマーを沈殿させた。DMAcに溶解、5N塩酸水溶液に投入してポリマーを沈殿させる操作を繰り返してポリマーを精製し、水洗、乾燥して超強酸基とフルオロアルキル基が側鎖に導入された芳香族系高分子(c)を得た。(c)のIECは1.04meq/gであり、元素分析の結果、フッ素含量は28.4重量%であった。これらより、高分子(c)には、フルオロアルキル基がビフェニルジイル単位1個当たり平均約0.38個、超強酸基として−CF2CF2OCF2CF2SO3Hがビフェニルジイル単位1個当たり平均約0.79個導入されていることがわかった。得られた芳香族系高分子(c)をDMAcに溶解し、不溶分をろ別後、溶液をシャーレ上に広げて80℃でキャスト製膜を行い、膜厚31μmの高分子電解質膜(C)を得た。表1に高分子電解質膜(C)の燃料電池特性試験の結果を示す。燃料電池特性試験結果は電流密度が0.50、1.00、1.50(A/cm2)の時のセル電圧を示した。結果を表1に示す。
窒素置換したフラスコに(a)4.00gと銅4.00g(15.7mmol)を120℃真空下で2時間乾燥させ、脱水DMSOに溶解させた。120℃で2時間攪拌後、(b)3.74g(8.10mmol)、I−(CF2)5−CF3 (Aldrich社製)3.01g(6.76mmol)を加えて120℃で35時間反応を行った。反応後、重合液を5N塩酸水溶液に加えてポリマーを沈殿させた。DMAcに溶解、5N塩酸水溶液に投入してポリマーを沈殿させる操作を繰り返してポリマーを精製し、水洗、乾燥して超強酸基とフルオロアルキル基が側鎖に導入された芳香族系高分子(c)を得た。(c)のIECは1.04meq/gであり、元素分析の結果、フッ素含量は28.4重量%であった。これらより、高分子(c)には、フルオロアルキル基がビフェニルジイル単位1個当たり平均約0.38個、超強酸基として−CF2CF2OCF2CF2SO3Hがビフェニルジイル単位1個当たり平均約0.79個導入されていることがわかった。得られた芳香族系高分子(c)をDMAcに溶解し、不溶分をろ別後、溶液をシャーレ上に広げて80℃でキャスト製膜を行い、膜厚31μmの高分子電解質膜(C)を得た。表1に高分子電解質膜(C)の燃料電池特性試験の結果を示す。燃料電池特性試験結果は電流密度が0.50、1.00、1.50(A/cm2)の時のセル電圧を示した。結果を表1に示す。
比較例1
窒素置換したフラスコに(a)2.00g、銅紛末1.50g(23.6mmol)、DMSO10mlを入れ、120℃で2時間攪拌した。次いで120℃に保ったまま(b)1.50g(3.25mmol)を加え、120℃で6時間反応を行った。反応後、重合液を5NHClに加えてポリマーを沈殿させた。DMAcに溶解、5NHClに沈殿の操作を繰り返してポリマーを精製し、水洗、乾燥して超強酸基のみが側鎖に導入された高分子(d)を得た。IECは1.05meq/gであった。これより、高分子(d)には超強酸基として−CF2CF2OCF2CF2SO3Hがビフェニルジイル単位1個当たり平均約0.58個導入されていることがわかった。DMAcに溶解し、不溶分をろ別後、溶液をシャーレ上に広げて80℃でキャスト製膜を行い、膜厚40μmの強靭な膜(D)を得た。表1に燃料電池特性試験の結果を示す。燃料電池特性試験結果は電流密度が0.50、1.00、1.50(A/cm2)の時のセル電圧を示した。結果を表1に示す。
窒素置換したフラスコに(a)2.00g、銅紛末1.50g(23.6mmol)、DMSO10mlを入れ、120℃で2時間攪拌した。次いで120℃に保ったまま(b)1.50g(3.25mmol)を加え、120℃で6時間反応を行った。反応後、重合液を5NHClに加えてポリマーを沈殿させた。DMAcに溶解、5NHClに沈殿の操作を繰り返してポリマーを精製し、水洗、乾燥して超強酸基のみが側鎖に導入された高分子(d)を得た。IECは1.05meq/gであった。これより、高分子(d)には超強酸基として−CF2CF2OCF2CF2SO3Hがビフェニルジイル単位1個当たり平均約0.58個導入されていることがわかった。DMAcに溶解し、不溶分をろ別後、溶液をシャーレ上に広げて80℃でキャスト製膜を行い、膜厚40μmの強靭な膜(D)を得た。表1に燃料電池特性試験の結果を示す。燃料電池特性試験結果は電流密度が0.50、1.00、1.50(A/cm2)の時のセル電圧を示した。結果を表1に示す。
本発明の超強酸基とフルオロアルキル基をともに有する芳香族系高分子は、特許文献4が開示した超強酸基を有し、フルオロアルキル基を有しないものと比して、燃料電池に係る発電特性が優れることが判明した。
Claims (13)
- 芳香族環を有する繰返し単位からなる芳香族系高分子であって、該繰返し単位の芳香環の一部または全部に超強酸基を有し、且つ該繰返し単位の芳香環の一部または全部に、2価の基で中断されていてもよいフルオロアルキル基を有する芳香族系高分子。
- 超強酸基が、下記一般式(1a)〜(1d)
−G−SO3 -W+ (1a)
−G−SO2N-W+SO2−E (1b)
−G−P(O)(O-W+)2 (1c)
−G−P(O)O-W+−E (1d)
(式中、Gは水素の一部または全部がフッ素置換されたアルキレン基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキレン基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリーレン基を表わし、W+は陽イオンを表し、Eは水素の一部または全部がフッ素で置換されたアルキル基、水素の一部または全部がフッ素で置換されたアラルキル基、または水素の一部または全部がフッ素で置換されたアリール基を表わす。)
で示される基から選ばれることを特徴とする請求項1記載の芳香族系高分子。 - 一般式(1a)〜(1d)においてW+が水素イオンであることを特徴とする請求項2記載の芳香族系高分子。
- 一般式(2)におけるUが、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−CO2−、−SO2−、−SO3−、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ターフェニルジイル基及びナフチレン基から選ばれることを特徴とする請求項4記載の芳香族系高分子。
- フルオロアルキル基が、芳香族系高分子における芳香環と直接結合しているか、あるいは−O−、−S−、−CO−、−CO2−、−SO2−および−SO3−から選ばれる基を介して結合していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族系高分子。
- 芳香族系高分子における芳香環1個当り、フルオロアルキル基が0.01〜4個存在することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の芳香族系高分子。
- 芳香族系高分子における主鎖が、ポリフェニレンエーテル類、ポリナフチレン類、ポリフェニレン類、ポリエーテルスルホン類またはポリエーテルエーテルスルホン類からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の芳香族系高分子。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の芳香族系高分子を有効成分とする高分子電解質。
- 請求項10記載の高分子電解質を用いてなることを特徴とする高分子電解質膜。
- 請求項10に記載の高分子電解質および/または請求項11に記載の高分子電解質膜を用いることを特徴とする膜−電極接合体。
- 請求項10に記載の高分子電解質、請求項11に記載の高分子電解質膜、請求項12記載の膜−電極接合体のうち、少なくとも一つを用いることを特徴とする電池。
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KR20170112535A (ko) * | 2016-03-31 | 2017-10-12 | 주식회사 엘지화학 | 화합물, 이를 이용한 고분자 및 이를 이용한 전해질막 |
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-
2007
- 2007-02-26 JP JP2007045156A patent/JP2008208193A/ja active Pending
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