JP2003147075A - スルホン化フッ素含有重合体、それを含有する樹脂組成物および高分子電解質膜 - Google Patents

スルホン化フッ素含有重合体、それを含有する樹脂組成物および高分子電解質膜

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JP2003147075A
JP2003147075A JP2001352042A JP2001352042A JP2003147075A JP 2003147075 A JP2003147075 A JP 2003147075A JP 2001352042 A JP2001352042 A JP 2001352042A JP 2001352042 A JP2001352042 A JP 2001352042A JP 2003147075 A JP2003147075 A JP 2003147075A
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敏 ▲高▼瀬
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Tomonori Gomi
知紀 五味
Yasunori Okumura
康則 奥村
Kazuyuki Omote
和志 表
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スルホン酸基の導入量が制御されており、高
分子電解質膜の材質として用いた際に高温でも優れた性
質を示すスルホン化フッ素含有重合体を提供する。 【解決手段】 下記の式(6)で表される繰返し単位を
含有するスルホン化フッ素含有重合体。ここで、前記ス
ルホン化フッ素含有重合体の対数粘度は0.1以上であ
ることが好ましい。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スルホン化フッ素
含有重合体に関する。さらに詳しくは、本発明は、燃料
電池における高分子電解質膜の素材として有用なスルホ
ン化フッ素含有重合体に関する。
【0002】また、本発明は、前記のスルホン化フッ素
含有重合体を含有する樹脂組成物に関する。さらに、本
発明は、該樹脂組成物を含有する高分子電解質膜に関す
る。
【0003】
【従来の技術】現在、火力発電に代替する地球環境に優
しい発電システムの候補として、燃料電池が注目を集め
ている。燃料電池は、“電池”という名前がついている
ものの、いわゆる電気を蓄えて使用するタイプの乾電池
や蓄電池のようなものではない。電気を通して水を加水
分解すると、水素と酸素が発生するが、この逆の原理を
利用したものが燃料電池である。すなわち、燃料電池と
は、触媒などを介した水素と酸素の電気化学反応によ
り、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する、
新しい発電システムのことをいう。
【0004】ここで、燃料電池は、化学エネルギーを電
気エネルギーに直接変換する発電システムであるため、
カルノーサイクルの制限を受けず、また、伝熱ロスや機
械ロスなども発生しないため、理論的には、火力発電に
比べ顕著に優れた発電効率を有する。しかし、燃料電池
においても、燃焼において得られる熱エネルギー、すな
わちエンタルピーの変化量(ΔHで表わす)をすべて電
気エネルギーに変換できるわけではなく、ギブス自由エ
ネルギーの変化量(ΔGで表わす)を電気エネルギーに
変換できるにすぎない。
【0005】実際、水素を燃料とする燃料電池の理論的
に可能な最大効率(理論効率)は、 H2(gas)+1/2O2(gas)→H2O(liq
uid) ΔH=−285.83kJ/mol ΔG=−237.13kJ/mol であるから、ΔG/ΔH×100=82.9%となる。
【0006】このように、燃料電池の理論効率は、カル
ノーサイクルで示される熱機関の理論効率を遥かにしの
ぐ高い値となる。同様に、メタンやアルコールを燃料と
する場合にも、理論効率は90%を超える値となる。
【0007】ただし、実際の燃料電池で理論効率に近い
効率を実現することは現段階では難しい。その理由は、
燃料電池内部および燃料電池の付帯装置においてさまざ
まなエネルギー損失が発生し、熱エネルギーとして外部
に放出されるためである。
【0008】燃料電池内部で発生するエネルギー損失の
原因としては、抵抗分極、活性化分極、拡散分極などが
挙げられる。
【0009】ここで、抵抗分極とは、電極と高分子電解
質膜との間の接触抵抗、電極に挟まれた高分子電解質膜
の有する電気抵抗、電極やセパレータの有する電気抵抗
などにより生じる現象を指す。この時、抵抗の存在によ
り、燃料電池の起電力の一部が電流に比例したIR損と
して消費され、熱として外部に放出される。
【0010】また、活性化分極とは、燃料極での水素な
どの燃料の酸化、空気極での酸素の還元が進む際に、水
素などの燃料や酸素が基底状態から一旦励起状態を経由
する必要があるが、この際、励起のための活性化エネル
ギーが電位のシフトにより低くなり、反応が起こりやす
くなることにより生じる現象を指す。この時、燃料電池
の起電力の一部は活性化過電圧として消費され、熱とし
て外部に放出される。
【0011】そして、拡散分極とは、電極上での反応に
よって平衡がずれ、反応系、生成系が共に濃度差を生
じ、拡散移動を起こすことにより生じる現象を指す。こ
の時、拡散のためのエネルギーとして、燃料電池の起電
力の一部が消費され、熱として放出される。
【0012】また、燃料電池の付帯装置でも、改質器な
どでの伝熱ロスや、大気への放熱、吸水ポンプ、送風機
などの所内動力による損失、インバータによる直交変換
による損失など、さまざまな損失が存在する。
【0013】現在のところ、燃料電池による発電システ
ムにおいて最も損失として大きいのは燃料電池内部にお
ける損失であり、これを低減することにより、燃料電池
の発電効率を大きく向上することができる。また、燃料
電池の付帯装置における損失を最小限に抑えることも、
燃料電池による発電システム全体の発電効率を向上させ
る上では重要である。
【0014】燃料電池の利点としては、ボイラーやエン
ジンによる燃焼を必要としないので、酸性雨の主な原因
といわれる窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SO
x)をほとんど排出しないことが挙げられる。さらに、
地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)について
も、高いエネルギー利用効率が得られるため、生成され
るエネルギーに対して、その発生量を非常に少なくする
ことができるという利点がある。また、タービンやエン
ジンなどを用いる従来の発電方式と異なり、静止型発電
装置であるため、騒音や振動が極めて少ないという利点
もある。
【0015】また、燃料電池には、発電効率の向上以外
にも多くの利点が存在する。前述の例として、たとえ
ば、資源の有効利用の面での利点が挙げられる。まず、
燃料電池での発電に必要な燃料の酸素は、空気中にほぼ
無尽蔵に存在する。そして、水素は自然界に微量しか存
在しないが、安定供給可能な都市ガスなどに含まれる炭
化水素化合物を改質器に通し、そこから水素を取出して
燃料にするシステムを用いることにより供給可能であ
る。このシステムはさまざまな炭化水素化合物に応用で
きるので、天然ガスをはじめメタノールやLPG、ナフ
サなど、多くのものが水素発生源として利用可能とな
る。また、最近では、下水処理施設での汚泥から発生す
る消化ガス(メタンが主成分の発酵ガス)より水素を発
生させ、発電に利用するシステムも開発されている。
【0016】また、燃料電池は小型化が可能であるた
め、各施設ごとに設置が可能であり、電力会社から長大
な電線を通じて電力を供給する場合に比べて送電ロスを
低減することができる。さらに、燃料電池を発電の際に
発生する熱も利用するコジェネレーションシステムと組
合わせて用いた場合には、さらなるエネルギー利用効率
の向上が実現可能である。
【0017】上記の理由より、燃料電池の効率を理論効
率に近づけるため、各方面において活発な研究開発が行
なわれ、リン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体
電解質型、などのさまざまな種類の燃料電池が開発され
ている。
【0018】これらの燃料電池の中でも、固体高分子型
燃料電池(PEFCとも呼称される)は、他のタイプの
燃料電池に比較して低温で作動することから、使用材料
に対する制約が小さく、プラスチック、カーボン、ステ
ンレスなどの安価な材料が使用可能であり、低コスト化
を図りやすく、注目を集めている。また、PEFCは、
他のタイプの燃料電池に比較して小型化が可能であるた
め、移動用動力源または小容量電力源に適している。
【0019】ここで、PEFCの開発の歴史は、195
0年代後半に米国ゼネラルエレクトリック社で初めて開
発が開始され、1960年代前半には、出力1kWの水
素/酸素を利用する燃料電池がジェミニ宇宙船に搭載さ
れることからスタートした。当初使用した高分子電解質
膜はポリスチレン系の膜であり、化学的に耐久性が乏し
いものであったが、米国デュポン社がNASA宇宙計画
用燃料電池のために開発したフッ素樹脂系の高分子電解
質膜「ナフィオン(R)」の登場により、PEFCの化
学的な耐久性は飛躍的に向上し、PEFCの開発が盛ん
となった。現在では、PEFCは、従来の宇宙用、軍事
用としての利用よりもむしろ、主に自動車搭載用または
家庭用としての利用が検討されている。
【0020】PEFCの心臓部である高分子電解質膜
は、一種のイオン交換膜として働き、優れたイオン伝導
性、物理強度、ガスバリア性、化学的安定性、電気化学
的安定性、熱的安定性、が要求される。このため、長期
にわたり使用できる高分子電解質膜としては、主に米国
デュポン社製の「ナフィオン(R)」を代表例とするパ
ーフルオロカーボンスルホン酸膜が使用されてきた。一
般に、パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、フッ素系
の主鎖とプロトンを付加することのできるスルホン酸基
を側鎖とを有する構造をしている。
【0021】しかしながら、一般的なパーフルオロカー
ボンスルホン酸膜は、100℃を超える条件で運転する
と膜の含水率が急激に落ち、膜の軟化も顕著となる。こ
のため、メタノールを燃料とする燃料電池においては、
膜内のメタノール透過による性能低下がおこり、十分な
性能を発揮することはできない。また、水素を燃料とし
て80℃付近で運転する燃料電池においても、パーフル
オロカーボンスルホン酸膜の製造コストが高価であるた
め、燃料電池の実用化に向けての障害となっている。さ
らに、パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、膜厚、イ
オン交換能力などのパラメータが限定されたものしか入
手することができないため、燃料電池の設計をする上で
制約となっているという問題もある。
【0022】このようなパーフルオロカーボンスルホン
酸膜の有する欠点を克服するため、非フッ素系芳香族環
含有ポリマーにスルホン酸基を導入した高分子電解質膜
が種々検討されている。たとえば、ポリアリールエーテ
ルスルホンをスルホン化したもの(Journal of Membran
e Science,83,P.211(1993))、ポリエーテルエーテルケ
トンをスルホン化したもの(特開平6−93114号公
報)、スルホン化ポリスチレン、などである。しかしな
がら、ポリマーを原料として芳香族環上にスルホン酸基
を導入するスルホン化反応の制御は一般に困難であり、
適切な性能を示すように、スルホン酸基の量を自由に制
御して芳香族環含有ポリマーをスルホン化することがで
きない場合が多い。
【0023】スルホン酸基の量を自由に制御して芳香族
環含有ポリマーをスルホン化する方法としては、スルホ
ン酸基含有モノマーとスルホン酸基非含有モノマーとを
用い、それら仕込量の比を制御することにより、重合し
て得られる芳香族環含有ポリマーのスルホン酸基の量を
制御することが考えられる。たとえば、スルホン酸基含
有ポリベンズチアゾールとしては、2,5−ジアミノ−
1,4−ベンゼンジチオールと、5−スルホイソフタル
酸と、2−スルホテレフタル酸と、4,6−ジスルホイ
ソフタル酸と、などから合成するものが報告されている
(J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,34,481(1996))。しかし
この報告では、特にスルホイソフタル酸の場合に重合時
の脱スルホン酸反応がおこるという問題がある。
【0024】また、ポリスルホン類、ポリエーテルケト
ン類などを合成する一般的な方法である、芳香族求核置
換反応による芳香族エーテル結合形成によるポリマー合
成についても、加熱条件で重合反応が行われるため、ス
ルホン酸基を含むモノマーを用いて重合しようとする
と、脱スルホン酸反応が起こる可能性がある。
【0025】以上のように非フッ素系芳香族ポリマー骨
格にスルホン酸基を導入するには、合成上の問題を抱え
ているが、仮に合成上の問題を克服したとしても、燃料
電池用高分子電解質膜として使用する場合には、別の問
題が生じる。
【0026】また、燃料電池用高分子電解質膜は、一般
に触媒を担持したカーボン層を表面に被覆した、膜−電
極複合体の形で使用される。このため、カーボン層と高
分子電解質膜とを接着させるためには、イオン伝導性を
有すると同時に電極での化学反応や熱に耐える安定な接
着剤用バインダーが必要となり、現状では前述のフッ素
系ポリマーであるナフィオンが接着剤用バインダーとし
ても優れている。
【0027】しかしこのようなポリマーを接着剤用バイ
ンダーとして用いる場合、非フッ素系ポリマーとの接着
性が一般に悪く、膜−電極複合体が十分な性能を発揮で
きないという問題がある。したがって、この点から、基
本的には非フッ素系芳香族ポリマーでありながら、部分
的にフッ素含有構造を有するポリマーであれば、接着性
の改良が期待されるとともに、非フッ素系およびフッ素
系の高分子電解質ポリマーの両方の長所を取り入れた材
料となることが期待される。
【0028】このようなポリマーとしては、たとえば、
WO01/01510号公報、WO01/01506号
公報におけるスルホン酸基含有フッ素系芳香族ポリマー
の報告が見られる。しかし、ここで報告されているポリ
マー構造は、繁雑な合成ルートにより合成されるポリマ
ー主鎖骨格に直接スルホン酸基が導入されているもので
あるため、現在のパーフルオロカーボンスルホン酸膜と
同様に、製造コストが高価格となる問題がある。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】上記の現状に基づき、
本発明の課題は、スルホン酸基の導入量が制御されてお
り、高分子電解質膜の材質として用いた際に高温でも優
れた性質を示すスルホン化フッ素含有重合体を提供する
ことである。
【0030】また、本発明の別の課題は、該スルホン化
フッ素含有重合体を含有し、高分子電解質膜の材質とし
て用いた際に高温でも優れた性質を示す樹脂組成物を提
供することである。
【0031】そして、本発明のもう一つの課題は、優れ
たイオン伝導性、物理強度、耐久性、耐熱性および加工
性、を有し、かつ、品質が安定しており、製造コストの
低い高分子電解質膜を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するには、スルホン酸基の量を制御して芳香族
環含有ポリマーをスルホン化すればよいとの着想を得、
さまざまな芳香族環含有ポリマーを用いて鋭意検討を重
ねた。そして、検討の末に、特定のフッ素含有重合体を
特定の条件でスルホン化することにより、スルホン酸基
の量を制御して芳香族環含有ポリマーをスルホン化する
ことができることを見出し、本発明を完成させた。
【0033】すなわち本発明は、下記の式(1)で表さ
れる繰返し単位を含有するスルホン化フッ素含有重合体
である。
【0034】
【化9】
【0035】(式(1)において、m,m’は芳香族環
あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜
4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である。X,
X’はハロゲン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキル
基または炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基を表
し、q,q’は芳香族環あたりのX,X’の配位数を表
わし、q,q’は0〜4の整数である。Rは下記の式
(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位であ
る。)
【0036】
【化10】
【0037】(式(2a)〜(2j)のいずれかにおい
て、n1〜n29は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位
数を表わし、n1〜n29は0〜2の整数であり、n1+n
2,n3+n4,n5+n6,n7+n8,n9+n10,は1〜
4の整数であり、n11+n12+n13は1〜6の整数であ
り、n14+n15+n16+n17,n18+n19+n20
21,n22+n23+n24+n25,n26+n27+n28+n
29は1〜8の整数である。Z 1〜Z29は、炭素原子数1
〜6の低級アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコ
キシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭
素原子数1〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ
基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、よりなる群から選
ばれる一種または二種以上の官能基であり、r1〜r29
は、芳香族環あたりのZ1〜Z29で表わされる官能基の
配位数を表わし、r1〜r29は0〜5の整数であり、nk
+rk≦4(k=1〜10,12〜13,15〜16,
18〜23,26〜29)、nk+rk≦5(k=11、
14、17)、nk+rk≦3(k=24、25)であ
る。) ここで、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式
(3)で表される繰返し単位であることが好ましい。
【0038】
【化11】
【0039】(式(3)において、m,m’は芳香族環
あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜
4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である。Rは
式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位で
ある。) また、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式
(4)で表される繰返し単位であることが望ましい。
【0040】
【化12】
【0041】(式(4)において、m,m’は芳香族環
あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’はとも
に4である。Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示
される結合単位である。) また、式(1)で表わされる繰返し単位は、下記の式
(5)で表される繰返し単位であることが望ましい。
【0042】
【化13】
【0043】(式(5)において、Rは式(2a)〜
(2j)のいずれかで示される結合単位である。) さらに、式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結
合単位であるRにおいて、r1〜r29は0であることが
好ましい。
【0044】そして、式(2a)〜(2j)のいずれか
で示される結合単位であるRにおいて、n1〜n29は0
〜2の整数であり、n1+n2,n3+n4,n5+n6,n
7+n 8,n9+n10,,n14+n15+n16+n17,n18
+n19+n20+n21,n22+n 23+n24+n25,n26
27+n28+n29は2であり、n11+n12+n13は1ま
たは2であることが望ましい。
【0045】さらに、式(2a)〜(2j)のいずれか
で示される結合単位であるRにおいて、n1〜n11,n
14,n17〜n19,n22,n23,n26,n27は1であり、
12,n13,n15,n16,n20,n21,n24,n25,n
28,n29は0であることが好ましい。
【0046】そして、Rは式(2f)、(2g)、(2
h)、(2i)、(2j)で示される結合単位のうちの
一種または二種以上であることが望ましい。
【0047】さらに、式(1)で表わされる繰返し単位
は、下記の式(6)で表される繰返し単位であることが
好ましい。
【0048】
【化14】
【0049】そして、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。
【0050】また、式(1)で表わされる繰り返し単位
のモル数の合計は、重合体全体に含まれる繰返し単位の
うち、50〜100モル%であることが望ましい。
【0051】そして、本発明は、下記の式(7)で表さ
れる繰返し単位を含有するスルホン化フッ素含有重合体
を含む。
【0052】
【化15】
【0053】(式(7)において、pは芳香族環あたり
のフッ素原子の配位数を表わし、pは1または2であ
る。Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結
合単位である。式(2a)〜(2j)および式(7)に
おいて、n1〜n30は芳香族環あたりのスルホン酸基の
配位数を表わし、n1〜n30は0〜2の整数であり、n1
+n2+n30,n3+n4+n30,n5+n6+n30,n7
8+n30,n9+n10+n 30,は1〜6の整数であり、
11+n12+n13+n30は1〜8の整数であり、n 14
15+n16+n17+n30,n18+n19+n20+n21+n
30,n22+n23+n 24+n25+n30,n26+n27+n28
+n29+n30は1〜10の整数である。) ここで、式(7)で表わされる繰返し単位は、下記の式
(8)で表される繰返し単位であることが望ましい。
【0054】
【化16】
【0055】(式(8)において、Rは式(2a)〜
(2j)のいずれかで示される結合単位である。式(2
a)〜(2j)および式(8)において、n1〜n29
31は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わ
し、n1〜n29,n31は0〜2の整数であり、n1+n2
+n31,n3+n4+n31,n5+n6+n31,n7+n8
31,n9+n10+n31,は1〜6の整数であり、n11
+n12+n13+n31は1〜8の整数であり、n14+n15
+n16+n17+n31,n18+n19+n20+n21+n31
22+n23+n24+n25+n31,n26+n27+n28+n
29+n31は1〜10の整数である。) さらに、本発明は、式(1)で表わされる繰り返し単位
と、式(7)で表わされる繰り返し単位とを含有するス
ルホン化フッ素含有重合体を含む。
【0056】ここで、式(7)で表される繰返し単位を
含有するスルホン化フッ素含有重合体および式(1)で
表わされる繰り返し単位と、式(7)で表わされる繰り
返し単位とを含有するスルホン化フッ素含有重合体は、
対数粘度が0.1以上であることが好ましい。
【0057】また、式(1)で表わされる繰り返し単位
と、式(7)で表わされる繰り返し単位とのモル数の合
計は、重合体全体に含まれる繰返し単位のうち、50〜
100モル%であることが好ましい。
【0058】そして、本発明は、本発明のスルホン化フ
ッ素含有重合体を含有する樹脂組成物を含む。さらに、
本発明は、本発明の樹脂組成物を含有する高分子電解質
膜を含む。
【0059】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示して本発明
をより詳細に説明する。
【0060】<本発明のスルホン化フッ素含有重合体>
本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、下記の式
(1)で表わされる繰返し単位を含有する。
【0061】
【化17】
【0062】ここで、式(1)において、m,m’は芳
香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’
は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である
必要がある。すなわち、式(1)で表わされる繰返し単
位は、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個のフッ素
原子を含有している必要がある。
【0063】なぜなら、m+m’が0であると、重合体
の骨格ポリマーを構成する繰返し単位にフッ素原子が含
まれないこととなってしまい、重合体の耐熱性、化学的
安定性が低下してしまうという問題が生じるからであ
る。
【0064】また、X,X’はハロゲン原子、炭素原子
数1〜6の低級アルキル基または炭素原子数1〜6の低
級アルコキシル基を表し、q,q’は芳香族環あたりの
X,X’の配位数を表わし、q,q’は0〜4の整数で
ある必要がある。
【0065】すなわち、式(1)で表わされる繰返し単
位には、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキ
ル基または炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基が、
式(1)で示される芳香族環に付加していてもよい。
【0066】さらに、Rは下記の式(2a)〜(2j)
のいずれかで示される結合単位である。
【0067】
【化18】
【0068】ここで、式(2a)〜(2j)のいずれか
において、n1〜n29は芳香族環あたりのスルホン酸基
の配位数を表わし、n1〜n29は0〜2の整数であり、
1+n2,n3+n4,n5+n6,n7+n8,n9
10,は1〜4の整数であり、n11+n12+n13は1〜
6の整数であり、n14+n15+n16+n17,n18+n19
+n 20+n21,n22+n23+n24+n25,n26+n27
28+n29は1〜8の整数である必要がある。
【0069】すなわち、式(1)で表わされる繰返し単
位には、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個のスル
ホン酸基が導入されている必要があり、さらに、芳香族
環1環あたりのスルホン酸基の導入数は2個以内である
必要がある。
【0070】なぜなら、式(1)で表わされる繰返し単
位にスルホン酸基が導入されていない場合、すなわちn
1〜n29が0である場合は、十分な量のイオン伝導性を
有する重合体が得られないからである。
【0071】また、芳香族環1環あたり3個以上のスル
ホン酸基を導入した場合、すなわちn1〜n29が3以上
の整数である場合には、高温時における水による膨潤な
どの耐水性の低下という問題が生じるからである。
【0072】さらに、Z1〜Z29は、炭素原子数1〜6
の低級アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシ
ル基、炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原
子数1〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、
ヒドロキシル基、ハロゲン原子、よりなる群から選ばれ
る一種または二種以上の官能基であり、r1〜r29は、
芳香族環あたりのZ1〜Z29で表わされる官能基の配位
数を表わし、r1〜r29は0〜5の整数であり、nk+r
k≦4(k=1〜10,12〜13,15〜16,18
〜23,26〜29)、nk+rk≦5(k=11、1
4、17)、nk+rk≦3(k=24、25)である必
要がある。
【0073】すなわち、Rの芳香族環には、スルホン酸
基以外に、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原
子数1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の
低級カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニ
ル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン
原子、よりなる群から選ばれる一種または二種以上の官
能基が付加されていてもよい。
【0074】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体中に含有される、式(1)で表わされる繰返し単位
の構造は必ずしも一種類に限定されるものではなく、二
種類以上の構造からなる式(1)で表わされる繰返し単
位が同じ重合体中に含有されていてもよい。
【0075】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対
数粘度が0.1以上の場合には、高分子電解質材料とし
て燃料電池などに好適に用いることができるが、対数粘
度が0.1未満の場合には、取扱性や加工性が不十分と
なる傾向があり、高分子電解質材料として燃料電池など
に用いるには適さない場合がある。
【0076】そして、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体は、数平均分子量が2,000から200,000
の範囲にあることが好ましい。数平均分子量が2,00
0未満の場合には、高分子電解質材料として十分な強度
を示さない傾向があり、数平均分子量が200,000
を超える場合には、高分子電解質材料としての加工が困
難となる傾向がある。
【0077】さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体において、式(1)で表わされる繰返し単位は、下
記の式(3)で表される繰返し単位であることが好まし
い。
【0078】
【化19】
【0079】ここで、式(3)において、m,m’は芳
香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’
は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数である
必要がある。また、Rは式(2a)〜(2j)のいずれ
かで示される結合単位である。
【0080】すなわち、本発明のスルホン化フッ素含有
重合体において、式(1)で表わされる繰返し単位に
は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキル基
または炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基が、芳香
族環に付加していないことが好ましい。
【0081】また、式(1)で表わされる繰返し単位
は、下記の式(4)で表される繰返し単位であることが
望ましい。
【0082】
【化20】
【0083】(式(4)において、m,m’は芳香族環
あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’はとも
に4である。Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示
される結合単位である。) すなわち、式(1)で表わされる繰返し単位は、式
(4)で示されるように繰返し単位あたり8個のフッ素
原子を有することが好ましい。式(1)で表わされる繰
返し単位がこのような構造を有することによって、重合
体の耐熱性、化学的安定性が向上するからである。
【0084】そして、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体において、式(1)で表わされる繰返し単位は、下
記の式(5)で表される繰返し単位であれば、さらに好
ましい。
【0085】
【化21】
【0086】ここで、式(4)において、Rは式(2
a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。
【0087】すなわち、式(1)で表わされる繰返し単
位は、式(5)で示される特定の位置にフッ素原子を有
することが好ましい。式(1)で表わされる繰返し単位
がこのような構造を有することによって、重合体の耐熱
性、化学的安定性がさらに向上するからである。
【0088】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体において、式(2a)〜(2j)のいずれかで示され
る結合単位であるRにおいて、r1〜r29は0であるこ
とが好ましい。
【0089】すなわち、Rの芳香族環には、スルホン酸
基以外に、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原
子数1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の
低級カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニ
ル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン
原子、が付加されていないことが好ましい。
【0090】そして、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体において、式(2a)〜(2j)のいずれかで示さ
れる結合単位であるRにおいて、n1〜n29は0〜2の
整数であり、n1+n2,n3+n4,n5+n6,n7
8,n9+n10,n14+n15+n16+n17,n18+n19
+n20+n21,n22+n23+n24+n25,n26+n27
28+n29は2であり、n11+n12+n13は1または2
であることが望ましい。
【0091】すなわち、式(2a)〜(2j)のいずれ
かで示される結合単位であるRにおいては、結合単位1
単位あたり1個または2個のスルホン酸基が導入されて
いることが好ましい。
【0092】このように、導入されるスルホン酸基の数
を1個または2個に制御することによって、好適なイオ
ン伝導性を有する重合体を得ることができ、燃料電池に
好ましく用いることができる。
【0093】そして、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体において、式(2a)〜(2j)のいずれかで示さ
れる結合単位であるRにおいては、n1〜n11,n14
17〜n19,n22,n23,n26,n27は1であり、
12,n13,n15,n16,n20,n21,n24,n25,n
28,n29は0であればなお一層のこと好ましい。
【0094】すなわち、式(2a)〜(2j)のいずれ
かで示される結合単位であるRにおいては、結合単位1
単位あたり1個または2個のスルホン酸基が導入されて
おり、かつ、該1個または2個のスルホン酸基は別々の
芳香族環に1個ずつ導入されており、かつ、該1個また
は2個のスルホン酸基は特定の芳香族環に導入されてい
ることが好ましい。
【0095】このように、スルホン酸基を特定の別々の
芳香族環に1個ずつ、合計1個または2個導入されるよ
うにスルホン酸基の数を制御することにより、さらに一
層好適なイオン伝導性を有する重合体を得ることがで
き、燃料電池に好ましく用いることができる。
【0096】そして、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体において、Rは式(2f),(2g),(2h),
(2i),(2j)で示される結合単位のうちの一種ま
たは二種以上であることが望ましい。すなわち、Rは主
鎖を形成する芳香環以外の芳香環を有することが好まし
い。
【0097】このように、Rが主鎖を形成する芳香環以
外の芳香環を有することにより、該重合体中のスルホン
酸基量の制御がさらに容易となり、該重合体を含有する
高分子電解質膜の特性がさらに好ましいものとなる。
【0098】さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体において、式(1)で表わされる繰返し単位は、下
記の式(6)で表される繰返し単位であることが好まし
い。
【0099】
【化22】
【0100】すなわち、式(1)で表わされる繰返し単
位の構造およびスルホン酸基の導入される位置は、特定
されていることが好ましい。
【0101】このように、式(1)で表わされる繰返し
単位の構造およびスルホン酸基の導入される位置が特定
されていることにより、該重合体を含有する高分子電解
質膜の特性がさらに好ましいものとなる。
【0102】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体は、式(1)で表わされる繰返し単位と他の繰返し単
位で構成され得るが、この場合式(1)で表わされる繰
り返し単位のモル数の合計は、重合体全体に含まれる繰
返し単位のうち、50〜100モル%の範囲にあること
が好ましく、70〜100モル%の範囲にあればさらに
好ましい。
【0103】式(1)で表わされる繰返し単位のモル数
の合計が50モル%未満であり、かつ、後述するように
式(1)で表わされる繰り返し単位と式(7)で表わさ
れる繰り返し単位とのモル数の合計が50モル%未満の
場合には、十分なイオン伝導性が発現しないという問題
が生じる傾向がある。
【0104】<本発明のシアノ基を含むスルホン化フッ
素含有重合体>また、本発明は、下記の式(7)で表さ
れる繰返し単位を含有し、スルホン化フッ素含有重合体
を含む。
【0105】
【化23】
【0106】ここで、式(7)において、pは芳香族環
あたりのフッ素原子の配位数を表わし、pは1または2
である。
【0107】すなわち、式(7)で表わされる繰返し単
位は、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個のフッ素
原子を含有している必要がある。
【0108】なぜなら、pが0であると、重合体の骨格
ポリマーを構成する繰返し単位にフッ素原子が含まれな
いこととなってしまい、重合体の耐熱性、化学的安定性
が低下してしまうという問題が生じるからである。
【0109】また、Rは式(2a)〜(2j)のいずれ
かで示される結合単位である。そして、式(2a)〜
(2j)のいずれかおよび式(7)において、n1〜n
30は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、
1〜n30は0〜2の整数であり、n1+n2+n30,n3
+n4+n30,n5+n6+n30,n7+n8+n30,n9
10+n30,は1〜6の整数であり、n11+n12+n13
+n30は1〜8の整数であり、n14+n15+n16+n17
+n30,n18+n19+n20+n21+n30,n22+n23
24+n25+n30,n26+n27+n28+n29+n30は1
〜10の整数である。
【0110】すなわち、式(7)で表わされる繰返し単
位には、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個のスル
ホン酸基が導入されている必要があり、さらに、芳香族
環1環あたりのスルホン酸基の導入数は2個以内である
必要がある。
【0111】なぜなら、式(7)で表わされる繰返し単
位にスルホン酸基が導入されていない場合、すなわちn
1〜n30が0である場合は、十分な量のイオン伝導性を
有する重合体が得られないからである。
【0112】また、芳香族環1環あたり3個以上のスル
ホン酸基を導入した場合、すなわちn1〜n30が3以上
の整数である場合には、高温時における水による膨潤な
どの耐水性の低下の問題が生じるからである。
【0113】そして、式(2a)〜(2j)のいずれか
におけるZ1〜Z29およびr1〜r29に関しては、前述の
説明の通りである。
【0114】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体中に含有される、式(7)で表わされる繰返し単位
の構造は必ずしも一種類に限定されるものではなく、二
種類以上の構造からなる式(7)で表わされる繰返し単
位が同じ重合体中に含有されていてもよい。
【0115】ここで、本発明のシアノ基を有するスルホ
ン化フッ素含有重合体は、対数粘度が0.1以上である
ことが好ましい。対数粘度が0.1以上の場合には、高
分子電解質材料として燃料電池などに好適に用いること
ができるが、対数粘度が0.1未満の場合には、取扱性
や加工性が不十分となる傾向があり、高分子電解質材料
として燃料電池などに用いるには適さない場合がある。
【0116】そして、本発明のシアノ基を有するスルホ
ン化フッ素含有重合体は、数平均分子量が2,000か
ら200,000の範囲にあることが好ましい。数平均
分子量が2,000未満の場合には、高分子電解質材料
として十分な強度を示さない傾向があり、数平均分子量
が200,000を超える場合には、高分子電解質材料
としての加工が困難となる傾向がある。
【0117】また、本発明のシアノ基を有するスルホン
化フッ素含有重合体において、式(7)で表わされる繰
返し単位は、下記の式(8)で表される繰返し単位であ
ることが望ましい。
【0118】
【化24】
【0119】ここで、式(8)において、Rは式(2
a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。
そして、式(2a)〜(2j)および式(8)におい
て、n1〜n29,n31は芳香族環あたりのスルホン酸基
の配位数を表わし、n1〜n29,n3 1は0〜2の整数で
あり、n1+n2+n31,n3+n4+n31,n5+n6+n
31,n7+n8+n31,n9+n10+n31,は1〜6の整
数であり、n11+n12+n13+n31は1〜8の整数であ
り、n14+n15+n16+n17+n31,n18+n19+n 20
+n21+n31,n22+n23+n24+n25+n31,n26
27+n28+n29+n 31は1〜10の整数である。
【0120】すなわち、式(7)で表わされる繰返し単
位は、式(8)で示される特定の位置にフッ素原子を有
することが好ましい。式(7)で表わされる繰返し単位
がこのような構造を有することによって、重合体の耐熱
性、化学的安定性が向上するからである。
【0121】また、この場合、式(8)で表わされる繰
返し単位には、繰返し単位1単位あたり少なくとも1個
のスルホン酸基が導入されている必要があり、さらに、
芳香族環1環あたりのスルホン酸基の導入数は2個以内
である必要がある。
【0122】なぜなら、式(8)で表わされる繰返し単
位にスルホン酸基が導入されていない場合、すなわちn
1〜n29,n31が0である場合は、十分な量のイオン伝
導性を有する重合体が得られないからである。
【0123】また、芳香族環1環あたり3個以上のスル
ホン酸基を導入した場合、すなわちn1〜n29,n31
3以上の整数である場合には、高温時における水による
膨潤などの耐水性の低下の問題が生じるからである。
【0124】そして、式(2a)〜(2j)のいずれか
におけるZ1〜Z29およびr1〜r29に関しては、前述の
説明の通りである。
【0125】さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体は、式(1)で表わされる繰り返し単位と、式
(7)で表わされる繰り返し単位とを含有する重合体で
あってもよい。
【0126】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。
対数粘度が0.1以上の場合には、高分子電解質材料と
して燃料電池などに好適に用いることができるが、対数
粘度が0.1未満の場合には、取扱性や加工性が不十分
となる傾向があり、高分子電解質材料として燃料電池な
どに用いるには適さない場合がある。
【0127】そして、本発明のシアノ基を有するスルホ
ン化フッ素含有重合体は、数平均分子量が2,000か
ら200,000の範囲にあることが好ましい。数平均
分子量が2,000未満の場合には、高分子電解質材料
として十分な強度を示さない傾向があり、数平均分子量
が200,000を超える場合には、高分子電解質材料
としての加工が困難となる傾向がある。
【0128】さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体は、式(1)で表わされる繰り返し単位と、式
(7)で表わされる繰り返し単位以外にも、さらに他の
構成成分を含有していてもよい。その場合、本発明のス
ルホン化フッ素含有重合体の構成成分となりうる化合物
は、特に限定されず、一般的な重合体の構成成分を用い
ることができるが、好ましい具体例として、スルホン酸
基を有しない、含フッ素ポリアリールエーテルケトン系
化合物、含フッ素ポリシアノアリールエーテル系化合
物、フッ素非含有ポリアリールエーテルケトン系化合
物、フッ素非含有ポリシアノアリールエーテル系化合
物、などが挙げられる。
【0129】これらの化合物は、一種または二種以上を
組合わせて用いることができ、ランダム共重合やブロッ
ク共重合などの反応により、本発明のスルホン化フッ素
含有重合体に構成成分として組込むことができる。
【0130】上記の場合において、本発明のスルホン化
フッ素含有重合体において、式(1)で表わされる繰り
返し単位と、式(7)で表わされる繰り返し単位とのモ
ル数の合計は、重合体全体に含まれる繰返し単位のう
ち、50〜100モル%の範囲にあることが好ましく、
70〜100モル%の範囲にあればさらに好ましい。
【0131】なぜなら、式(1)で表わされる繰り返し
単位と式(7)で表わされる繰り返し単位とのモル数の
合計が50モル%未満の場合には、十分なイオン伝導性
が発現しないという問題が生じる傾向があるからであ
る。
【0132】<本発明におけるスルホン化フッ素含有重
合体の製造方法>式(1)で表わされる繰返し単位を含
有する、本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、下記
の式(9)で表わされる繰返し単位を含有するフッ素含
有重合体にスルホン酸基を導入することによって得るこ
とができる。
【0133】
【化25】
【0134】ここで、式(9)において、m,m’は芳
香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,m’
は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数であ
る。また、X,X’はハロゲン原子、炭素原子数1〜6
の低級アルキル基または炭素原子数1〜6の低級アルコ
キシル基を表し、q,q’は芳香族環あたりのX,X’
の配位数を表わし、q,q’は0〜4の整数である。さ
らに、R’は下記の式(10a)〜(10j)のいずれ
かで示される結合単位である。
【0135】
【化26】
【0136】ここで、式(10a)〜(10j)のいず
れかにおいて、Z1〜Z29は、炭素原子数1〜6の低級
アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基、
炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原子数1
〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロ
キシル基、ハロゲン原子、よりなる群から選ばれる一種
または二種以上の官能基であり、r1〜r29は、芳香族
環あたりのZ1〜Z29で表わされる官能基の配位数を表
わし、r1〜r29は0〜5の整数であり、rk≦3(k=
24、25)、rk≦4(k=1〜10,12〜13,
15〜16,18〜23,26〜29)、rk≦5(k
=11、14、17)である。
【0137】ここで、式(9)で表わされる繰返し単位
を含有するフッ素含有重合体にスルホン酸基を導入する
ためには、式(9)で示されるフッ素含有重合体に対し
て、適当なスルホン化剤を反応させることにより、本発
明のスルホン化フッ素含有重合体を得ることができる。
【0138】また、式(7)で表わされる繰返し単位を
含有する、本発明のシアノ基を有するスルホン化フッ素
含有重合体は、下記の式(11)で示されるシアノ基を
有するフッ素含有重合体にスルホン酸基を導入すること
により得られる。
【0139】
【化27】
【0140】ここで、式(11)において、pは芳香族
環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、pは1または
2である。R’は式(10a)〜(10j)のいずれか
で示される結合単位である。
【0141】式(7)で表わされる繰返し単位を含有す
る、本発明のシアノ基を有するスルホン化フッ素含有重
合体は、たとえば、第49回高分子学会年次大会要旨集
P.231(2000)で開示される方法により合成す
ることができるスルホン酸基を含まないフッ素含有重合
体を、適当なスルホン化剤と反応させることにより得る
ことができる。
【0142】すなわち、本発明のスルホン化フッ素含有
重合体(シアノ基を有するスルホン化フッ素含有重合体
を含む、以下同じ)は、式(9)および/または式(1
1)で表わされる繰返し単位を有する重合体(以下、単
にフッ素含有重合体と呼称する)と、スルホン化剤とを
混合して、一定時間、一定温度の条件で反応させること
により得ることができる。この際、有機溶媒中で反応を
進めることもできる。
【0143】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体を製造するために用いられるスルホン化剤として
は、特に限定されるものではないが、たとえば、濃硫酸
や発煙硫酸(たとえば、Solid State Ionics,106,P.219
(1998)に開示)、クロロ硫酸(たとえば、J.Polym.Sc
i.,Polym.Chem.,22,P.295(1984)に開示)、無水硫酸錯
体(たとえば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.721(19
84)、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,23,P.1231(1985)など
に開示)などを好適に使用することができる。
【0144】また、該周知のスルホン化剤に加えて、特
許第2884189号公報に記載のスルホン化剤、すな
わち、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン
酸、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4−ジスル
ホン酸、1,2,4−トリメチルベンゼン−5−スルホ
ン酸、1,2,4−トリメチルベンゼン−3−スルホン
酸、1,2,3−トリメチルベンゼン−4−スルホン
酸、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン−5−スル
ホン酸、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン−4−
スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−
3−スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼ
ン−3,6−ジスルホン酸、1,2,3,4,5−ペン
タメチルベンゼン−6−スルホン酸、1,3,5−トリ
エチルベンゼン−2−スルホン酸、1−エチル−3,5
−ジメチルベンゼン−2−スルホン酸、1−エチル−
3,5−ジメチルベンゼン−4−スルホン酸、1−エチ
ル−3,4−ジメチルベンゼン−6−スルホン酸、1−
エチル−2,5−ジメチルベンゼン−3−スルホン酸、
1,2,3,4−テトラエチルベンゼン−5−スルホン
酸、1,2,4,5−テトラエチルベンゼン−3−スル
ホン酸、1,2,3,4,5−ペンタエチルベンゼン−
6−スルホン酸、1,3,5−トリイソプロピルベンゼ
ン−2−スルホン酸、1−プロピル−3,5−ジメチル
ベンゼン−4−スルホン酸などを用いることも可能であ
る。
【0145】上記のスルホン化剤の中でも、スルホン酸
基の両側のオルソ位に低級アルキルが置換された化合
物、たとえば、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−
スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−
3−スルホン酸、1,2,3,5−テトラメチルベンゼ
ン−4−スルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタメチ
ルベンゼン−6−スルホン酸、1,3,5−トリメチル
ベンゼン−2,4−ジスルホン酸、1,3,5−トルエ
チルベンゼン−2−スルホン酸、などが特に好ましく、
さらには、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スル
ホン酸が最も好ましい。
【0146】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体を製造する際は、フッ素含有重合体100質量部に
対して、これらのスルホン化剤は、30〜50,000
質量部の範囲で加えることが好ましく、50〜10,0
00質量部の範囲で加えればさらに好ましい。
【0147】スルホン化剤の添加量が30質量部未満の
場合には、スルホン化反応が十分に進行しない傾向があ
り、スルホン化剤の添加量が50,000質量部を超え
る場合には、反応後のスルホン化剤処理に多くの労力が
必要となる傾向がある。
【0148】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体を製造するために用いられる有機溶媒としては、特に
限定されるものではなく、フッ素含有重合体およびスル
ホン化剤を溶解し、スルホン化反応に悪影響を及ぼさな
いものであれば従来公知のものを使用することができ
る。具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、
1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラク
ロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレ
ン、などのハロゲン化脂肪族炭化水素類、ジクロロベン
ゼン、トリクロロベンゼン、などのハロゲン化芳香族炭
化水素類、ニトロメタン、ニトロベンゼン、などのニト
ロ化合物類、トリメチルベンゼン、トリブチルベンゼ
ン、テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、な
どのアルキルベンゼン類、スルホラン、などの複素環化
合物類、オクタン、デカン、シクロヘキサン、などの直
鎖、分枝鎖または環状の脂肪族飽和炭化水素類が挙げら
れる。
【0149】これらの溶剤は、一種または二種以上を混
合して使用してもよく、その使用量は、フッ素含有重合
体およびスルホン化剤の種類により異なり適宜選択され
るが、通常はスルホン化剤100質量部に対して100
〜2,000質量部の範囲にあることが好ましい。
【0150】溶剤の量が100質量部未満の場合には、
均一なスルホン化反応を進めるのが困難となる傾向があ
り、溶剤の量が2,000質量部を超える場合には、反
応後の溶剤とスルホン化剤との分離、溶剤の回収に多く
の労力が必要となる傾向がある。
【0151】さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体を得るためには、これらのスルホン化剤を用い、そ
れぞれのフッ素含有重合体および導入したいスルホン酸
基の量に応じた反応条件により、フッ素含有重合体のス
ルホン化を行なう必要がある。
【0152】従来、ポリマーのスルホン化反応は、一般
にスルホン化部位およびスルホン化量の制御が難しかっ
た。しかし、本発明においては、式(10a)〜(10
j)のいずれかで示されるR’のような結合単位を有す
る、式(9)および式(11)で表わされる繰返し単位
を含有するフッ素含有重合体を、前記のようなスルホン
化剤を用いて特定の条件でスルホン化することにより、
従来は困難であったスルホン化部位およびスルホン化量
の制御が可能となったものである。
【0153】本発明のように、制御された形でスルホン
酸基を導入するには、式(9)および/または式(1
1)で表わされる繰返し単位を有する重合体のような特
定のポリマー構造を選択する必要があり、式(9)およ
び/または式(11)の繰返し単位中に含まれるR’と
して、式(10a)〜(10j)のいずれかで示される
結合単位の中から選ぶことが必要となる。
【0154】このとき、R’を含む繰返し単位あたり実
質的に1個以上のスルホン酸基を導入するようにスルホ
ン化の条件を制御すると、得られるスルホン化フッ素含
有重合体は、高分子電解質膜として用いた際の特性が特
に好ましいものとなる。さらに、R’を含む繰返し単位
あたり実質的に2個のスルホン酸基を導入するようにス
ルホン化の条件を制御すると、得られるスルホン化フッ
素含有重合体は、高分子電解質膜として用いた際の特性
がきわめて好ましいものとなる。
【0155】ここで、「R’を含む繰返し単位あたり実
質的に1個以上のスルホン酸基を導入する」とは、すべ
てのR’を含む繰返し単位に1個以上のスルホン酸基が
導入されなければならないことを意味するものではな
い。すなわち、大部分のR’を含む繰返し単位に1個以
上のスルホン酸基が導入され、かつ、重合体全体として
見た場合、R’を含む繰返し単位に平均して1個以上の
スルホン酸基が導入されることを意味するものである。
【0156】同様に、「R’を含む繰返し単位あたり実
質的に2個のスルホン酸基を導入する」とは、すべての
R’を含む繰返し単位に2個のスルホン酸基が導入され
なければならないことを意味するものではない。すなわ
ち、大部分のR’を含む繰返し単位に2個のスルホン酸
基が導入され、かつ、重合体全体として見た場合、R’
を含む繰返し単位に平均してほぼ2個のスルホン酸基が
導入されることを意味するものである。
【0157】そして、本明細書において、繰返し単位あ
たりのフッ素原子、スルホン酸基、官能基、置換基など
の数値を限定する場合も、その数値はすべての繰返し単
位において厳密に成立しなければならないものではな
く、大部分の繰返し単位において成立し、かつ、重合体
全体として見た場合、各繰返し単位において平均してほ
ぼその数値限定が成立していることを意味するものであ
る。
【0158】本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得
るため、フッ素含有重合体をスルホン化する際に、R’
を含む繰返し単位あたり実質的に1個以上のスルホン酸
基を導入するようにスルホン化の条件を制御するために
は、反応温度−20〜150℃の範囲、反応時間0.1
〜100時間の範囲でスルホン化反応を行なう必要があ
る。
【0159】ここで、反応温度が−20℃未満では、ス
ルホン化反応の反応速度が遅くなり、反応温度が150
℃を超えると、スルホン化の制御が困難となってしまう
という問題がある。
【0160】本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得
るため、フッ素含有重合体をスルホン化する際に、R’
を含む繰返し単位あたり実質的に2個のスルホン酸基を
導入するようにスルホン化の条件を制御するためには、
反応温度−20〜120℃の範囲、反応時間0.1〜1
00時間の範囲でスルホン化反応を行なう必要がある。
【0161】ここで、反応温度が−20℃未満では、ス
ルホン化反応の反応速度が遅く、反応が十分進まなくな
り、反応温度が120℃を超えると、繰返し単位あたり
のスルホン化量が2個以上となってしまうという問題が
ある。
【0162】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体を得るためには、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活
性ガス雰囲気下でスルホン化を行なうことが好ましい。
得られる重合体が酸化劣化することを防止するためであ
る。
【0163】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体を得るための原料となるフッ素含有重合体において
は、式(9)および/または式(11)で表わされる繰
返し単位として、式(10a)〜(10j)のいずれか
で示される結合単位R’のうち、主鎖を形成する芳香環
以外の芳香環が存在する、(10f),(10g),
(10h),(10i),(10j)の5種よりなる群
から選ばれる一種または二種以上を含有するものを用い
ることが好ましい。このようなフッ素含有重合体を用い
た場合には、スルホン化の際に、スルホン酸基量の制御
が容易となり、得られる重合体を高分子電解質膜として
用いた際の特性が好ましいものとなるためである。
【0164】また、式(1)で表わされるスルホン化フ
ッ素含有重合体を得るには、式(9)中のR’を含むジ
オール構造を持つモノマーに対して、上記のフッ素含有
重合体のスルホン化反応と同様のスルホン化反応を行な
う工程と、得られたスルホン酸基含有ジオールを用いて
特開2001−49110公報に開示されている重合反
応と同様の重合反応を行なう工程を経て、式(9)で示
される繰返し単位を含有するフッ素含有重合体のR’上
にスルホン酸基を導入する方法を用いてもよい。
【0165】ここで、特開2001−49110公報に
開示されている重合反応とは、具体的には、下記の式
(12)で示される化合物を、塩基性化合物の存在下で
有機溶媒中において、式(8)中のR’を含むジオール
構造を持つモノマーとともに加熱することによって、式
(1)で示されるスルホン化フッ素含有重合体を得る反
応である。
【0166】
【化28】
【0167】ここで、式(12)において、m,m’は
芳香族環あたりのフッ素原子の配位数を表わし、m,
m’は0〜4の整数であり、m+m’は1〜8の整数で
ある。また、X,X’はハロゲン原子、炭素原子数1〜
6の低級アルキル基または炭素原子数1〜6の低級アル
コキシル基を表し、q,q’は芳香族環あたりのX,
X’の配位数を表わし、q,q’は0〜4の整数であ
る。
【0168】ここで、上記の重合反応においては、反応
温度は20〜150℃である必要があり、50〜120
℃であることが好ましい。この際、このように低温度で
反応することで副反応を抑制し、得られる重合体のゲル
化をある程度は抑制することができる。上記の重合反応
において、反応温度が20℃未満の場合には、反応が十
分には進行しなくなり、反応温度が150℃を超える
と、ゲル化が抑制できなくなるという問題がある。
【0169】また、上記の重合反応においては、式
(9)中のR’を含むジオール構造を持つモノマー中の
スルホン酸基は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニ
ウム塩などの塩構造の形で重合に用いることが好まし
い。
【0170】上記の重合反応においては、通常の芳香族
求核反応の重合条件に比べかなり低い温度での反応が可
能であるので、重合時の脱スルホン酸反応はかなりおさ
えられる。ただし、多少とも脱スルホン酸反応が起こる
可能性はあるので、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体を得るには、上記のフッ素含有重合体のスルホン化反
応による製造方法を使用する方が好ましい。
【0171】なお、上記のスルホン化反応および/また
は重合反応により得られた本発明のスルホン化フッ素含
有重合体の精製方法は、従来公知の重合体の精製方法を
好適に使用可能であるが、たとえば、得られた本発明の
スルホン化フッ素含有重合体が固体状の場合には濾過後
に溶剤で洗浄して乾燥することにより、オイル状の場合
には分液することにより、反応溶液に溶解している場合
には有機溶媒を蒸発除去することにより、精製すること
ができる。
【0172】あるいは、本発明のスルホン化フッ素含有
重合体が含まれる反応液に水を加え、必要に応じてアル
カリ成分を加えて重合体を溶解し、溶剤相と水相に分離
した後に、水相より酸析や塩析などの方法により沈殿さ
せ、濾過後に溶剤で洗浄して乾燥させることにより精製
することもできる。
【0173】また、濃硫酸などのスルホン化剤のみで反
応を行なう場合には、反応液を水中に注ぐことによりポ
リマーの沈殿として回収および精製することも有効であ
る。
【0174】<本発明の樹脂組成物>本発明は、本発明
のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物を
含む。
【0175】ここで、本発明の樹脂組成物は、本発明の
スルホン化フッ素含有重合体一種のみからなる樹脂組成
物であってもよいが、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体を一種または二種以上含有していてもよい。また、
本発明の樹脂組成物は、本発明のスルホン化フッ素含有
重合体のみからなる樹脂組成物であってもよいが、その
特性を著しく低下しない範囲で、構造の異なる他の種類
の樹脂を含有していてもよい。
【0176】この際、本発明の樹脂組成物に配合され得
る他の樹脂としては、特に限定されるものではないが、
具体例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレ
ン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)、ABS樹脂およびAS樹脂など
の汎用樹脂や、ポリアセテート(POM)、ポリカーボ
ネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレン
テレフタレート(PBT)などのエンジニアリングプラ
スチックや、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポ
リエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、
ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノール
テレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)
および各種液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂
や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂な
どの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
【0177】本発明の樹脂組成物に、本発明のスルホン
化フッ素含有重合体以外の樹脂成分を配合する場合であ
っても、本発明のスルホン化フッ素含有重合体の配合量
は、全配合成分に対して50〜100質量%であること
が好ましく、70〜100質量%であればさらに好まし
い。
【0178】本発明のスルホン化フッ素含有重合体の配
合量が50質量%未満の場合には、良好なイオン伝導性
が得られなくなる傾向があるからである。
【0179】なお、本発明の樹脂組成物には、必要に応
じて、たとえば、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付
与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗
菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、などの各種添加剤
を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加することが
できる。
【0180】本発明のスルホン化フッ素含有重合体を含
有する樹脂組成物は、イオン伝導性に優れているため、
フィルム状あるいは膜状にして、燃料電池などの高分子
電解質膜として使用するのに適している。さらに、本発
明のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物
を主成分にする接着剤は、本発明の高分子電解質膜と電
極との接合体を作製するときの接着剤として利用するこ
ともできる。
【0181】<本発明の高分子電解質膜>本発明の高分
子電解質膜は、本発明の樹脂組成物を含有する。ここ
で、本発明の樹脂組成物は、本発明のスルホン化フッ素
含有重合体のみからなる樹脂組成物であってもよく、本
発明のスルホン化フッ素含有重合体以外の成分を含んで
いてもよい。
【0182】本発明の高分子電解質膜は、本発明のスル
ホン化フッ素含有重合体の重合反応溶液、スルホン化反
応溶液または精製したスルホン化フッ素含有重合体を含
有する樹脂組成物を素材として用いて、押し出し法、紡
糸法、圧延法、キャスト法などの従来公知の成形方法
で、膜状に成形することにより得られる。また、同様の
方法を用いて、膜形状だけではなく、繊維状、ペレット
状、プレート状、ロッド状、パイプ状、ボール状、ブロ
ック状、などのさまざまな形状に成形することも可能で
ある。
【0183】本発明の高分子電解質膜の成形に用いる素
材としては、前記の素材のなかでも、本発明の樹脂組成
物を適当な溶媒に溶解した溶液が特に好ましい。この場
合に、本発明の樹脂組成物を溶解する溶媒としては、特
に限定されるものではないが、たとえば、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘ
キサメチルホスホンアミド、などの非プロトン極性溶媒
や、メタノール、エタノール、などのアルコール類など
から適切なものを選ぶことができる。
【0184】これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合
して使用してもよい。また、溶液中の樹脂組成物の濃度
は、溶液全体の質量の0.1〜50質量%の範囲である
ことが好ましい。濃度が0.1質量%未満の場合は高分
子電解質膜の成形性が低下する傾向があり、濃度が50
質量%を超える場合は高分子電解質膜の加工性が低下す
る傾向がある。
【0185】また、本発明の高分子電解質膜の成形方法
としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いるこ
とができる。たとえば、本発明の樹脂組成物の加熱、減
圧乾燥、本発明の樹脂組成物を溶解し得る溶媒と混和可
能な、本発明の樹脂組成物を溶解し得ない溶媒への、本
発明の樹脂組成物の浸漬などによって、溶媒を除去し、
本発明の高分子電解質膜を得ることができる。また、同
様の方法を用いて、他のさまざまな形状にも成形可能で
ある。
【0186】ここで、本発明の樹脂組成物を溶解または
分散する溶媒が有機溶媒の場合は、加熱または減圧乾燥
で溶媒を留去させて成形することが好ましい。この際、
必要に応じて、他の樹脂組成物と複合された形で、本発
明の高分子電解質膜に成形することもできる。用いる溶
媒への溶解性挙動が、本発明の樹脂組成物と類似する樹
脂組成物と組み合わせて成形すると、本発明の高分子電
解質膜を良好な状態で成形をすることができるので都合
がよい。
【0187】本発明の高分子電解質膜を成形するには、
本発明の樹脂組成物を溶解または分散する溶液をキャス
ト法を用いて成形することが特に好ましい。そして、キ
ャスト法によりキャストした溶液から膜を成形するに
は、上記のように加熱または減圧乾燥で溶媒を除去する
ことが好ましい。
【0188】また、この場合、溶媒の除去は、加熱では
なく乾燥によることが、得られる本発明の高分子電解質
膜の均一性の面からは好ましい。さらに、本発明の樹脂
組成物や溶媒の分解や変質をさけるため、減圧下ででき
るだけ低い温度で乾燥することが好ましい。
【0189】そして、本発明の樹脂組成物を溶解または
分散する溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱
して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易に
キャストすることができる。この際、溶液の温度が50
〜150℃の範囲にある状態でキャストすることが好ま
しい。溶液の温度が50℃未満の場合は、十分に溶液の
粘度を下げることが困難となる傾向があり、溶液の温度
が150℃を超えると、ポリマー溶液の変質が生じるお
それがでる場合がある。
【0190】本発明の樹脂組成物を溶解または分散する
溶液をキャストする際、該溶液の厚みは、特に制限され
るものではないが、10〜1000μmの範囲であるこ
とが好ましく、50〜500μmの範囲であればさらに
好ましい。厚みが10μm未満の場合は膜としての形態
を保てなくなる傾向があり、厚みが1000μmを超え
ると不均一な膜ができやすくなる傾向がある。
【0191】また、本発明の樹脂組成物を溶解または分
散する溶液のキャスト厚を制御する方法は、特に限定さ
れず、従来公知の方法を用いることができる。たとえ
ば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一
定の厚みにしたり、ガラスシャーレなどを用いてキャス
ト面積を一定にして溶液の量や濃度で厚みを制御するこ
とができる。
【0192】本発明の樹脂組成物を溶解または分散する
溶液をキャストする際、溶媒の除去速度すなわち樹脂組
成物の凝固速度を調整することでより均一な高分子電解
質膜を得ることができる。たとえば、加熱して溶媒を除
去する場合には、最初の段階では低温にして蒸発速度を
下げることにより溶媒の除去速度を調整することができ
る。また、水などの非有機溶媒に浸漬して有機溶媒を除
去する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な
時間放置しておくなどして有機溶媒の除去速度を調整す
ることができる。
【0193】本発明の高分子電解質膜は、目的に応じて
任意の膜厚にすることができるが、イオン伝導性の面か
らはできるだけ薄いことが好ましい。具体的には、膜厚
が5〜200μmの範囲にあることが好ましく、5〜5
0μmの範囲にあればさらに好ましく、5〜20μmの
範囲にあれば最も好ましい。
【0194】ここで、膜厚が5μm未満の場合には、燃
料電池を作製した場合に短絡などが起こりやすくなる傾
向があり、膜厚が200μmを超えると、高分子電解質
膜の電気抵抗値が大となる傾向がある。
【0195】なお、本発明の高分子電解質膜は、イオン
伝導性に加え、加工性、耐熱性、耐久性などにも優れて
いる。たとえば、本発明の高分子電解質膜は、該主成分
である本発明の樹脂組成物が優れた溶解性を有するた
め、フィルム状や膜状に成形しやすいことから、加工性
に優れていると言える。
【0196】また、本発明の高分子電解質膜とパーフル
オロカーボンスルホン酸を主成分とする接着剤とは接着
の際の相性が優れるため、本発明の高分子電解質膜を用
いた膜−電極複合体の作成時に、触媒担持カーボンのバ
インダとしてパーフルオロカーボンスルホン酸を主成分
とする接着剤を用いても、高分子電解質膜とカーボン層
との良い接着状態がえられる。この点からも、本発明の
高分子電解質膜は加工性に優れていると言える。
【0197】さらに、本発明の高分子電解質膜は、膜厚
の薄い状態でも膜の取扱性の際に破断などの心配が少な
い上に、長時間高分子電解質膜として用いても劣化が少
ないため、耐久性に優れていると言える。
【0198】加えて、本発明の高分子電解質膜は、80
℃の熱水中に長時間浸漬しても変質や変形が起こりにく
いことから、耐熱性にも優れていると言える。
【0199】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0200】<実施例1>まず、特開2001−491
10公報に記載の方法に準じて4,4’−ビス(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニ
ルエーテル(BPDE)を合成した。
【0201】次に、トルエンに溶解した状態から再結晶
により精製された9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレン(HF、アルドリッチ社製)1.25g
(3.57mmolに相当)と、炭酸カリウム0.57
g(4.12mmolに相当)と、N,N−ジメチルア
セトアミド(DMAc)13mlと、トルエン10ml
とを、ディーンスタークトラップ、コンデンサー、マグ
ネティック撹拌機および窒素供給管を備えた100ml
容の三つ口丸底フラスコに仕込んだ。
【0202】続いて、この混合物を160℃に加熱し、
2時間還流に供し、ついでトルエンを留去した。さら
に、BPDE2.0g(3.58mmolに相当)をこ
の混合物に添加し、温度80℃で21時間重合を行なっ
た。
【0203】重合反応後、反応液を冷却して、この溶液
を急速撹拌下に1%酢酸を含有する水中に注加した。そ
して、その結果析出した重合体を濾過により捕集し、水
洗した後、乾燥した。
【0204】上記の一連の操作の収率は、93%であ
り、得られた重合体のガラス転移温度は243℃であ
り、対数粘度は0.53dl/gであった。この重合体
の1H−NMR,13C−NMRのチャート図および該
チャート図から予測される重合体の繰返し単位の構造式
を図1および図2に示す。図1および図2の上部に示さ
れる繰返し単位の構造式は、得られたNMRのチャート
図のピークに対応する化学構造の組合わせおよび重合反
応に用いた単量体の構造式から予測された繰返し単位の
構造式である。また、図1および図2においては、それ
ぞれのピークと、そのピークから予測される化学構造と
には、同一の番号が付してある。
【0205】次に、この重合体200mgを濃硫酸20
mlとともに30℃で2時間撹拌した。そして、反応
後、過剰の水中に注いで生成した沈殿を濾取した。さら
に、沈殿の水洗を繰り返した後、生成物を乾燥すること
でスルホン化重合体を得た。
【0206】その結果、この際の収率は、89%であ
り、得られたスルホン化重合体の対数粘度は0.51d
l/gであった。この重合体の1H−NMR,13C−
NMRのチャート図および該チャート図から予測される
重合体の繰返し単位の構造式を図3および図4に示す。
図3および図4の上部に示される繰返し単位の構造式
は、得られたNMRのチャート図のピークに対応する化
学構造の組合わせおよび重合反応に用いた単量体の構造
式から予測された繰返し単位の構造式である。また、図
3および図4においては、それぞれのピークと、そのピ
ークから予測される化学構造とには、同一の番号が付し
てある。上記のNMRの結果より、得られたスルホン化
重合体は、フルオレン環あたり実質2個のスルホン酸基
が導入された重合体であることが確認される。
【0207】そして、このスルホン化重合体200mg
をN−メチルピロリドン2mlに溶解し、ガラス板上に
流延した後、溶媒を留去することで、厚さ約15μmの
強靱な高分子膜が得られた。さらに、この高分子膜を8
0℃の蒸留水中で1時間浸漬処理した後、イオン伝導性
測定を行なったところ、0.10S/cmの値を得た。
また、得られた膜を80℃の熱水中で耐久性試験を行な
ったが、膜の形態に明らかな変化は認められなかった。
さらに、得られた膜に触媒層を転写する加工性テストを
したところ、触媒層は均一にコートされ、はがれは認め
られなかった。加えて、(株)島津製作所製、TGA−
50を用いてアルゴン雰囲気中で昇温速度10℃/分の
条件で耐熱性試験を行なったところ、3%質量減少温度
は310℃という結果となった。
【0208】<実施例2>まず、HFのかわりに、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,
3,3,3−へキサフルオロプロパン(6FBA、東京
化成工業(株)製)0.6g(1.78mmolに相
当)とHF0.62g(1.77mmolに相当)の混
合物を用いる以外は、実施例1と同様の条件で、重合体
を合成した。
【0209】その結果、この際の収率は、92%であ
り、得られた重合体のガラス転移温度は207℃であ
り、得られた重合体の対数粘度は0.57dl/gであ
った。
【0210】続いて、実施例1と同様の条件で得られた
重合体のスルホン化反応を行なったところ、この際の収
率は、88%であり、対数粘度が0.64dl/gのス
ルホン化重合体が得られた。また、得られたスルホン化
重合体を1H−NMRを用いて分析した結果より、選択
的にフルオレン環に対してスルホン化がおこり、フルオ
レン環あたり実質2個のスルホン酸が導入されたスルホ
ン化重合体であることが確認された。
【0211】続いて、得られたスルホン化重合体を用い
て、実施例1と同様の条件で、厚さ約15μmの強靱な
膜を得、イオン伝導性測定を行なったところ、0.06
S/cmの値を得た。また、得られた膜を80℃の熱水
中で耐久性試験を行なったが、膜の形態に明らかな変化
は認められなかった。さらに、得られた膜に触媒層を転
写する加工性テストをしたところ、触媒層は均一にコー
トされ、はがれは認められなかった。加えて、実施例1
と同様の条件で耐熱性試験を行なったところ、3%質量
減少温度は328℃という結果となった。
【0212】<比較例1>まず、HFのかわりに6FB
Aを1.2g(3.57mmolに相当)を用いる以外
は、実施例1と同様の条件で、重合体を合成した。その
結果、この際の収率は94%であり、得られた重合体の
ガラス転移温度は176℃であり、得られた重合体の対
数粘度は、0.49dl/gであった。
【0213】続いて、実施例1と同様の条件で得られた
重合体のスルホン化反応を行なったところ、図5および
図6に示すように、得られた重合体のNMRスペクトル
の結果と、反応前の結果との差は認められず、得られた
重合体ではスルホン化反応がおこっていないことが分か
った。
【0214】<実施例3>まず、還流管およびディーン
スタークトラップを備えた25ml容のフラスコに、ト
ルエンに溶解した状態から再結晶により精製された9,
9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(H
F、アルドリッチ社製)0.394g(1.12mmo
lに相当)、炭酸カリウム0.171g(1.24mm
olに相当)、N−メチルピロリドン2.5mlおよび
トルエン2.5mlを仕込んだ。
【0215】次に、この混合液を窒素気流下において、
130℃で2時間共沸脱水を行い、HFのカリウム塩を
合成した。得られたHFのカリウム塩に量論量(約0.
04ml)の水が含まれていることを確認した後、トル
エンを留去し放冷した。
【0216】続いて、反応液の温度が80℃に到達した
ところで、4−フェノキシ−2,3,5,6−テトラフ
ルオロベンゾニトリル(PTFBN)0.300g
(1.12mmolに相当)を反応液に添加し、この温
度を維持しながら20時間反応させた。
【0217】そして、反応終了後、この溶液をブレンダ
ーで激しく撹拌しながら1%酢酸水溶液中に注加した。
その結果析出したポリマーを濾別し、蒸留水、メタノー
ルで洗浄した後、減圧乾燥した。
【0218】このようにして回収された重合体を30w
t/vol%の濃度になるようにN,N−ジメチルアセ
トアミド(DMAc)に溶解し、この溶液をメタノール
中に撹拌下でゆっくり注加し再沈殿法により精製した。
その後、完全に固化するまで放置した後、沈殿、固化し
た重合体を濾別し、減圧乾燥した。
【0219】この際の収率は、94%であり、得られた
重合体のガラス転移温度は232℃であり、対数粘度は
0.35dl/gであった。この重合体の1H−NMR
および該スペクトルより同定される化学構造を図7に示
す。
【0220】図7の上部に示される繰返し単位の構造式
は、得られたNMRのチャート図のピークに対応する化
学構造の組合わせおよび重合反応に用いた単量体の構造
式から予測された繰返し単位の構造式である。また、図
7においては、それぞれのピークと、そのピークから予
測される化学構造とには、同一の番号が付してある。
【0221】続けて、この重合体1gを濃硫酸10ml
とともに30℃で7時間撹拌した。反応後、該反応液を
過剰の水中に注いで生成した沈殿を濾取した。水洗を繰
り返した後、生成物を乾燥することでスルホン化重合体
を得た。この際の収率は、85%であり、得られたスル
ホン化重合体の対数粘度は0.40dl/gであった。
このポリマーの1H−NMRおよび該スペクトルより同
定される化学構造を図8に示す。
【0222】図8の上部に示される繰返し単位の構造式
は、得られたNMRのチャート図のピークに対応する化
学構造の組合わせおよび重合反応に用いた単量体の構造
式から予測された繰返し単位の構造式である。また、図
8においては、それぞれのピークと、そのピークから予
測される化学構造とには、同一の番号が付してある。上
記のNMRの結果より、得られたスルホン化重合体は、
選択的にフェノキシ環およびフルオレン環に対してスル
ホン化がおこり、フェノキシ環あたり実質1個、フルオ
レン環あたり実質2個のスルホン酸基が導入された重合
体であることが確認された。
【0223】続いて、得られたスルホン化重合体と未ス
ルホン化重合体を1:1で混合し、実施例1と同様の条
件で、厚さ約15μmの強靱な膜を作製し、イオン伝導
性測定を行なったところ、0.09S/cmの値を得
た。また、得られた膜を80℃の熱水中で耐久性試験を
行なったが、膜の形態に明らかな変化は認められなかっ
た。さらに、得られた膜に触媒層を転写する加工性テス
トをしたところ、触媒層は均一にコートされ、はがれは
認められなかった。加えて、実施例1と同様の条件で耐
熱性試験を行なったところ、3%質量減少温度は287
℃という結果となった。
【0224】<実施例4>まず、BPDEの代わりに、
BPDEにその異性体4,2−ビス(2,3,4,5,
6−ペンタフルオロベンゾイル)を約10%含む混合物
を用いる以外は、実施例1と同様の条件で、重合体を合
成した。
【0225】その結果、この際の収率は95%であり、
得られた重合体のガラス転移温度は239℃であり、得
られた重合体の対数粘度は0.81であった。
【0226】この重合体の1H−NMRスペクトルを図
9に示す。図9は、図1と同様のスペクトルパターンを
示しているが、異性体モノマーの影響により図1には見
られない小さなシグナルも認められる。
【0227】次に、実施例1と同様の条件で得られた重
合体のスルホン化反応を行なったところ、この際の収率
は86%であり、対数粘度が0.86dl/gのスルホ
ン化重合体が得られた。ここで、得られたスルホン化重
合体を1H−NMRを用いて分析した結果を図10に示
す。図10に示すように、実施例1の場合と同様にほぼ
選択的にフルオレン環に対してスルホン化が起こり、フ
ルオレン環あたり実質2個のスルホン酸が導入されたス
ルホン化重合体であることが確認された。
【0228】続いて、得られたスルホン化重合体を用い
て、実施例1と同様の条件で、厚さ約15μmの強靭な
膜を得、イオン伝導性測定を行なったところ、0.10
S/cmの値を得た。また、得られた膜を80℃の熱水
中で耐久性試験を行なったが、膜の形態に明らかな変化
は認められなかった。さらに、得られた膜に触媒層を転
写する加工性テストをしたところ、触媒層は均一にコー
トされ、はがれは認められなかった。加えて、実施例1
と同様の条件で耐熱性試験を行なったところ、3%質量
減少温度は308℃という結果となった。
【0229】<分析結果および性能評価>ここで、実施
例1〜4および比較例1において得られた重合体につい
て実施した、(i)溶液粘度、(ii)ガラス転移温
度、(iii)NMRスペクトル、などの測定は、下記
の測定方法に従った。NMRスペクトルを除く測定結果
を表1にまとめる。NMRスペクトルの測定結果は、図
1〜図10に示す。
【0230】また、実施例1〜4および比較例1におい
て得られた高分子電解質膜について実施した、(iv)
イオン伝導性測定、(v)加工性、(vi)耐久性、
(vii)耐熱性、などの測定あるいは評価は、下記の
測定方法あるいは評価方法に従った。結果を表1にまと
める。 <測定方法および評価方法> (i)溶液粘度の測定 得られた重合体の粉末を、0.5g/dlの濃度となる
ようにN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽
中でウベローデ粘度計を用いて粘度測定を行なった。測
定した溶液粘度は、対数粘度({ln(ta/tb)}
/c、taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落
下秒数、cはポリマー濃度(単位g/dl))で評価し
た。
【0231】(ii)ガラス転移温度の測定 (株)島津製作所製、DSC−50を用い、試料10m
gについてアルゴン雰囲気中昇温速度20℃/分で測定
した。
【0232】(iii)NMRスペクトルの測定 得られた重合体からなる試料を、重水素化DMSOに溶
解し、Varian社製、Unity−500(1H−
NMR、温度80℃)およびGemini−200(1
3C−NMR、温度60℃)を用いて測定した。次に、
測定スペクトルを分析し、重合体の化学構造を推測し
た。
【0233】(iv)イオン伝導性の測定 自作測定用プローブ(テフロン(R)製)上で、得られ
た高分子電解質膜からなる短冊状膜試料の表面に白金線
(直径:0.2mm)を押しあて、80℃、95%RH
の恒温、恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所
製、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間の
インピーダンスをSOLARTRON社製、1250F
REQUENCY RESPONSE ANALYSE
Rにより測定した。
【0234】測定の際には、極間距離を変化させて測定
し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測
定値をプロットした勾配から、下記の式により膜と白金
線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出し、該高
分子電解質膜のイオン伝導性とした。
【0235】導電率の計算式:導電率[S/cm]=1
/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/c
m] (v)加工性の評価 白金担持量が20wt%であるカーボンブラック0.7
2gと、ナフィオン(R)溶液(デュポン社製、「ナフ
ィオン(R)」溶液20%)1gとを、均一になるよう
にグリセリン5gに混合分散することによって、ペース
トを調整した。次いで、テフロン(R)フィルム(FE
P)の一方の面に、このペーストをアプリケーターを用
いて塗布、減圧乾燥することにより、テフロン(R)フ
ィルム上に触媒層を形成した。
【0236】続けて、平板プレスのプレス板の間に、触
媒層が高分子電解質膜と接触するようにして、テフロン
(R)フィルムと高分子電解質膜とを180℃、5MP
aの条件で3分間挟持した後に、テフロン(R)フィル
ムを高分子電解質膜から剥離することにより、触媒層を
固体高分子電解質膜に転写した。その際の触媒層の接着
状況を観察して、下記の基準に従って評価した。 ◎:均一に転写されている ○:ほぼ均一に転写されているが、極一部に未転写部が
存在する △:部分的に未転写部が存在する ×:未転写部が多い (vi)耐久性の評価 高分子電解質膜からなるフィルム試料を、溶封したアン
プル中で、80℃の水中に浸漬して3日間放置した。処
理前後のフィルム形態の変化を目視で観察し、下記の基
準に従って耐久性の評価を行なった。 ◎:形態変化なし ○:わずかに膨潤が認められる △:形態の崩れが認められる ×:溶解してしまっている (vii)耐熱性の評価 高分子電解質膜からなるフィルム試料を、(株)島津製
作所製、TGA−50を用いて、アルゴン雰囲気中にて
昇温速度10℃/分で3%質量減少温度を測定した。
【0237】
【表1】
【0238】表1および図1〜図10の結果より、本発
明のスルホン化フッ素含有重合体を含有する高分子電解
質膜は、イオン伝導性、加工性、耐久性、耐熱性に優れ
たものであることがわかる。
【0239】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0240】
【発明の効果】本発明のスルホン化フッ素含有重合体
は、スルホン酸基の導入量を高度に制御できるため、優
れたイオン伝導性に加え、物理強度、耐久性、耐熱性、
加工性にも優れた高分子電解質膜の素材として好適に用
いることが可能である。また、本発明のスルホン化フッ
素含有重合体は、製造工程が簡便であるため、品質が安
定しており、製造コストが低いという優れた性質を有す
る。
【0241】同様に、本発明の樹脂組成物も、優れたイ
オン伝導性に加え、物理強度、耐久性、耐熱性、加工性
にも優れた高分子電解質膜の素材として好適に用いるこ
とが可能である。また、本発明の樹脂組成物も、品質が
安定しており、製造コストが低いという優れた性質を有
する。
【0242】さらに、本発明の高分子電解質膜も同様
に、優れたイオン伝導性、物理強度、耐久性、耐熱性、
および加工性、を有し、かつ、品質が安定しており、製
造コストが低いため、燃料電池などの素材として好適に
用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 BPDEとHFから合成したフッ素含有重合
体の1H−NMRスペクトルおよび該スペクトルより同
定される化学構造を表わす図である。
【図2】 BPDEとHFから合成したフッ素含有重合
体の13C−NMRスペクトルおよび該スペクトルより
同定される化学構造を表わす図である。
【図3】 BPDEとHFから合成したフッ素含有重合
体より得たスルホン化フッ素含有重合体の1H−NMR
スペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構造
を表わす図である。
【図4】 BPDEとHFから合成したフッ素含有重合
体より得たスルホン化フッ素含有重合体の13C−NM
Rスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構
造を表わす図である。
【図5】 BPDEと6FBAから合成したフッ素含有
重合体の1H−NMRスペクトルおよび該スペクトルよ
り同定される化学構造を表わす図である。
【図6】 BPDEと6FBAから合成したフッ素含有
重合体より得たスルホン化フッ素含有重合体の1H−N
MRスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学
構造を表わす図である。
【図7】 PTFBNとHFから合成したフッ素含有重
合体の1H−NMRスペクトルおよび該スペクトルより
同定される化学構造を表わす図である。
【図8】 PTFBNとHFから合成したフッ素含有重
合体より得たスルホン化フッ素含有重合体の1H−NM
Rスペクトルおよび該スペクトルより同定される化学構
造を表わす図である。
【図9】 異性体混合BPDEとHFから合成したフッ
素含有重合体の1H−NMRスペクトルを表わす図であ
る。
【図10】 異性体混合BPDEとHFから合成したフ
ッ素含有重合体より得たスルホン化フッ素含有重合体の
1H−NMRスペクトルを表わす図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加地 篤 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 ▲高▼瀬 敏 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 木村 邦生 岡山県岡山市津高台1丁目2007−4 (72)発明者 五味 知紀 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 株 式会社日本触媒内 (72)発明者 奥村 康則 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12 株 式会社日本触媒内 (72)発明者 表 和志 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4J005 AA23 BD06 5G301 CA30 CD01 5H026 AA06 CX05 EE19

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(1)で表される繰返し単位を
    含有するスルホン化フッ素含有重合体。 【化1】 (式(1)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ
    素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜4の整数であ
    り、m+m’は1〜8の整数である。X,X’はハロゲ
    ン原子、炭素原子数1〜6の低級アルキル基または炭素
    原子数1〜6の低級アルコキシル基を表し、q,q’は
    芳香族環あたりのX,X’の配位数を表わし、q,q’
    は0〜4の整数である。Rは下記の式(2a)〜(2
    j)のいずれかで示される結合単位である。) 【化2】 (式(2a)〜(2j)のいずれかにおいて、n1〜n
    29は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、
    1〜n29は0〜2の整数であり、n1+n2,n3
    4,n5+n6,n7+n8,n9+n10,は1〜4の整数
    であり、n11+n12+n13は1〜6の整数であり、n14
    +n15+n16+n17,n18+n19+n20+n21,n22
    23+n24+n25,n26+n27+n28+n29は1〜8の
    整数である。Z 1〜Z29は、炭素原子数1〜6の低級ア
    ルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基、炭
    素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原子数1〜
    6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキ
    シル基、ハロゲン原子、よりなる群から選ばれる一種ま
    たは二種以上の官能基であり、r1〜r29は、芳香族環
    あたりのZ1〜Z29で表わされる官能基の配位数を表わ
    し、r1〜r29は0〜5の整数であり、nk+rk≦4
    (k=1〜10,12〜13,15〜16,18〜2
    3,26〜29)、nk+rk≦5(k=11、14、1
    7)、nk+rk≦3(k=24、25)である。)
  2. 【請求項2】 式(1)で表わされる繰返し単位が、式
    (3)で表される繰返し単位であることを特徴とする、
    請求項1に記載のスルホン化フッ素含有重合体。 【化3】 (式(3)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ
    素原子の配位数を表わし、m,m’は0〜4の整数であ
    り、m+m’は1〜8の整数である。Rは式(2a)〜
    (2j)のいずれかで示される結合単位である。)
  3. 【請求項3】 式(1)で表わされる繰返し単位が式
    (4)で表される繰返し単位であることを特徴とする請
    求項1に記載のスルホン化フッ素含有重合体。 【化4】 (式(4)において、m,m’は芳香族環あたりのフッ
    素原子の配位数を表わし、m,m’はともに4である。
    Rは式(2a)〜(2j)のいずれかで示される結合単
    位である。)
  4. 【請求項4】 式(1)で表わされる繰返し単位が式
    (5)で表される繰返し単位であることを特徴とする請
    求項1に記載のスルホン化フッ素含有重合体。 【化5】 (式(5)において、Rは式(2a)〜(2j)のいず
    れかで示される結合単位である。)
  5. 【請求項5】 式(2a)〜(2j)のいずれかで示さ
    れる結合単位であるRにおいて、r1〜r29は0である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスル
    ホン化フッ素含有重合体。
  6. 【請求項6】 式(2a)〜(2j)のいずれかで示さ
    れる結合単位であるRにおいて、n1〜n29は0〜2の
    整数であり、n1+n2,n3+n4,n5+n6,n7
    8,n9+n10,n14+n15+n16+n17,n18+n19
    +n20+n21,n22+n23+n24+n25,n26+n27
    28+n29は2であり、n11+n12+n 13は1または2
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
    のスルホン化フッ素含有重合体。
  7. 【請求項7】 式(2a)〜(2j)のいずれかで示さ
    れる結合単位であるRにおいて、n1〜n11,n14,n
    17〜n19,n22,n23,n26,n27は1であり、n12
    13,n15,n16,n20,n21,n24,n25,n28,n
    29は0であることを特徴とする請求項6に記載のスルホ
    ン化フッ素含有重合体。
  8. 【請求項8】 Rが式(2f),(2g),(2h),
    (2i),(2j)で示される結合単位のうちの一種ま
    たは二種以上であることを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれかに記載のスルホン化フッ素含有重合体。
  9. 【請求項9】 式(1)で表わされる繰返し単位が式
    (6)で表される繰返し単位であることを特徴とする請
    求項1に記載のスルホン化フッ素含有重合体。 【化6】
  10. 【請求項10】 対数粘度が0.1以上であることを特
    徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のスルホン化フ
    ッ素含有重合体。
  11. 【請求項11】 式(1)で表わされる繰り返し単位の
    モル数の合計が、重合体全体に含まれる繰返し単位のう
    ち、50〜100モル%であることを特徴とする請求項
    1〜10のいずれかに記載のスルホン化フッ素含有重合
    体。
  12. 【請求項12】 下記の式(7)で表される繰返し単位
    を含有するスルホン化フッ素含有重合体。 【化7】 (式(7)において、pは芳香族環あたりのフッ素原子
    の配位数を表わし、pは1または2である。Rは式(2
    a)〜(2j)のいずれかで示される結合単位である。
    式(2a)〜(2j)および式(7)において、n1
    30は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わ
    し、n1〜n30は0〜2の整数であり、n1+n2
    30,n3+n4+n30,n5+n6+n30,n7+n8+n
    30,n9+n10+n 30,は1〜6の整数であり、n11
    12+n13+n30は1〜8の整数であり、n 14+n15
    16+n17+n30,n18+n19+n20+n21+n30,n
    22+n23+n 24+n25+n30,n26+n27+n28+n29
    +n30は1〜10の整数である。)
  13. 【請求項13】 式(7)で表わされる繰返し単位が式
    (8)で表される繰返し単位であることを特徴とする請
    求項12に記載のスルホン化フッ素含有重合体。 【化8】 (式(8)において、Rは式(2a)〜(2j)のいず
    れかで示される結合単位である。式(2a)〜(2j)
    および式(8)において、n1〜n29,n31は芳香族環
    あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、n1〜n29
    31は0〜2の整数であり、n1+n2+n31,n3+n4
    +n31,n5+n6+n31,n7+n8+n31,n9+n10
    +n31,は1〜6の整数であり、n11+n12+n13+n
    31は1〜8の整数であり、n14+n15+n16+n17+n
    31,n18+n19+n20+n21+n31,n22+n23+n24
    +n25+n31,n26+n27+n28+n29+n31は1〜1
    0の整数である。)
  14. 【請求項14】 式(1)で表わされる繰り返し単位
    と、式(7)で表わされる繰り返し単位とを含有するス
    ルホン化フッ素含有重合体。
  15. 【請求項15】 対数粘度が0.1以上であることを特
    徴とする請求項12〜14のいずれかに記載のスルホン
    化フッ素含有重合体。
  16. 【請求項16】 式(1)で表わされる繰り返し単位
    と、式(7)で表わされる繰り返し単位とのモル数の合
    計が、重合体全体に含まれる繰返し単位のうち、50〜
    100モル%であることを特徴とする請求項14に記載
    のスルホン化フッ素含有重合体。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれかに記載のス
    ルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の樹脂組成物を含有
    する高分子電解質膜。
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