JP2003147076A - スルホン化フッ素含有重合体、それを含有する樹脂組成物および高分子電解質膜 - Google Patents

スルホン化フッ素含有重合体、それを含有する樹脂組成物および高分子電解質膜

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JP2003147076A
JP2003147076A JP2001352043A JP2001352043A JP2003147076A JP 2003147076 A JP2003147076 A JP 2003147076A JP 2001352043 A JP2001352043 A JP 2001352043A JP 2001352043 A JP2001352043 A JP 2001352043A JP 2003147076 A JP2003147076 A JP 2003147076A
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Yoshimitsu Sakaguchi
佳充 坂口
敏 ▲高▼瀬
Satoshi Takase
Juji Konagaya
重次 小長谷
Tomonori Gomi
知紀 五味
Yasunori Okumura
康則 奥村
Kazuyuki Omote
和志 表
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Nippon Shokubai Co Ltd
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スルホン酸基の導入量が制御されており、高
分子電解質膜の材質として用いた際に高温でも優れた性
質を示すスルホン化フッ素含有重合体を提供する。 【解決手段】 繰返し単位に含まれる結合単位中の芳香
族環に選択的に、芳香族環1環あたり1個ずつスルホン
酸基が導入されるように、スルホン酸基の数を制御しな
がらスルホン化されたスルホン化フッ素含有重合体。こ
こで、前記結合単位は、特定の構造を有する結合単位の
群の中から選ばれる。また、前記スルホン化フッ素含有
重合体は、対数粘度が0.1以上であることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スルホン化フッ素
含有重合体に関する。さらに詳しくは、本発明は、燃料
電池における高分子電解質膜の素材として有用なスルホ
ン化フッ素含有重合体に関する。
【0002】また、本発明は、前記のスルホン化フッ素
含有重合体を含有する樹脂組成物に関する。さらに、本
発明は、当該樹脂組成物を含有する高分子電解質膜に関
する。
【0003】
【従来の技術】現在、火力発電に代替する地球環境に優
しい発電システムの候補として、燃料電池が注目を集め
ている。燃料電池は、“電池”という名前がついている
ものの、いわゆる電気を蓄えて使用するタイプの乾電池
や蓄電池のようなものではない。電気を通して水を加水
分解すると、水素と酸素が発生するが、この逆の原理を
利用したものが燃料電池である。すなわち、燃料電池と
は、触媒などを介した水素と酸素の電気化学反応によ
り、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する、
新しい発電システムのことをいう。
【0004】ここで、燃料電池は、化学エネルギーを電
気エネルギーに直接変換する発電システムであるため、
カルノーサイクルの制限を受けず、また、伝熱ロスや機
械ロスなども発生しないため、理論的には、火力発電に
比べ顕著に優れた発電効率を有する。しかし、燃料電池
においても、燃焼において得られる熱エネルギー、すな
わちエンタルピーの変化量(ΔHで表わす)をすべて電
気エネルギーに変換できるわけではなく、ギブス自由エ
ネルギーの変化量(ΔGで表わす)を電気エネルギーに
変換できるにすぎない。
【0005】実際、水素を燃料とする燃料電池の理論的
に可能な最大効率(理論効率)は、 H2(gas)+1/2O2(gas)→H2O(liq
uid) ΔH=−285.83kJ/mol ΔG=−237.13kJ/mol であるから、ΔG/ΔH×100=82.9%となる。
【0006】このように、燃料電池の理論効率は、カル
ノーサイクルで示される熱機関の理論効率を遥かにしの
ぐ高い値となる。同様に、メタンやアルコールを燃料と
する場合にも、理論効率は90%を超える値となる。
【0007】ただし、実際の燃料電池で理論効率に近い
効率を実現することは現段階では難しい。その理由は、
燃料電池内部および燃料電池の付帯装置においてさまざ
まなエネルギー損失が発生し、熱エネルギーとして外部
に放出されるためである。
【0008】燃料電池内部で発生するエネルギー損失の
原因としては、抵抗分極、活性化分極、拡散分極などが
挙げられる。
【0009】ここで、抵抗分極とは、電極と高分子電解
質膜との間の接触抵抗、電極に挟まれた高分子電解質膜
の有する電気抵抗、電極やセパレータの有する電気抵抗
などにより生じる現象を指す。この時、抵抗の存在によ
り、燃料電池の起電力の一部が電流に比例したIR損と
して消費され、熱として外部に放出される。
【0010】また、活性化分極とは、燃料極での水素な
どの燃料の酸化、空気極での酸素の還元が進む際に、水
素などの燃料や酸素が基底状態から一旦励起状態を経由
する必要があるが、この際、励起のための活性化エネル
ギーが電位のシフトにより低くなり、反応が起こりやす
くなることにより生じる現象を指す。この時、燃料電池
の起電力の一部は活性化過電圧として消費され、熱とし
て外部に放出される。
【0011】そして、拡散分極とは、電極上での反応に
よって平衡がずれ、反応系、生成系が共に濃度差を生
じ、拡散移動を起こすことにより生じる現象を指す。こ
の時、拡散のためのエネルギーとして、燃料電池の起電
力の一部が消費され、熱として放出される。
【0012】また、燃料電池の付帯装置でも、改質器な
どでの伝熱ロスや、大気への放熱、吸水ポンプ、送風機
などの所内動力による損失、インバータによる直交変換
による損失など、さまざまな損失が存在する。
【0013】現在のところ、燃料電池による発電システ
ムにおいて最も損失として大きいのは燃料電池内部にお
ける損失であり、これを低減することにより、燃料電池
の発電効率を大きく向上することができる。また、燃料
電池の付帯装置における損失を最小限に抑えることも、
燃料電池による発電システム全体の発電効率を向上させ
る上では重要である。
【0014】燃料電池の利点としては、ボイラーやエン
ジンによる燃焼を必要としないので、酸性雨の主な原因
といわれる窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SO
x)をほとんど排出しないことが挙げられる。さらに、
地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)について
も、高いエネルギー利用効率が得られるため、生成され
るエネルギーに対して、その発生量を非常に少なくする
ことができるという利点がある。また、タービンやエン
ジンなどを用いる従来の発電方式と異なり、静止型発電
装置であるため、騒音や振動が極めて少ないという利点
もある。
【0015】また、燃料電池には、発電効率の向上以外
にも多くの利点が存在する。前述の例として、たとえ
ば、資源の有効利用の面での利点が挙げられる。まず、
燃料電池での発電に必要な燃料の酸素は、空気中にほぼ
無尽蔵に存在する。そして、水素は自然界に微量しか存
在しないが、安定供給可能な都市ガスなどに含まれる炭
化水素化合物を改質器に通し、そこから水素を取出して
燃料にするシステムを用いることにより供給可能であ
る。このシステムはさまざまな炭化水素化合物に応用で
きるので、天然ガスをはじめメタノールやLPG、ナフ
サなど、多くのものが水素発生源として利用可能とな
る。また、最近では、下水処理施設での汚泥から発生す
る消化ガス(メタンが主成分の発酵ガス)より水素を発
生させ、発電に利用するシステムも開発されている。
【0016】また、燃料電池は小型化が可能であるた
め、各施設ごとに設置が可能であり、電力会社から長大
な電線を通じて電力を供給する場合に比べて送電ロスを
低減することができる。さらに、燃料電池を発電の際に
発生する熱も利用するコジェネレーションシステムと組
合わせて用いた場合には、さらなるエネルギー利用効率
の向上が実現可能である。
【0017】上記の理由より、燃料電池の効率を理論効
率に近づけるため、各方面において活発な研究開発が行
なわれ、リン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体
電解質型、などのさまざまな種類の燃料電池が開発され
ている。
【0018】これらの燃料電池の中でも、固体高分子型
燃料電池(PEFCとも呼称される)は、他のタイプの
燃料電池に比較して低温で作動することから、使用材料
に対する制約が小さく、プラスチック、カーボン、ステ
ンレスなどの安価な材料が使用可能であり、低コスト化
を図りやすく、注目を集めている。また、PEFCは、
他のタイプの燃料電池に比較して小型化が可能であるた
め、移動用動力源または小容量電力源に適している。
【0019】ここで、PEFCの開発の歴史は、195
0年代後半に米国ゼネラルエレクトリック社で初めて開
発が開始され、1960年代前半には、出力1kWの水
素/酸素を利用する燃料電池がジェミニ宇宙船に搭載さ
れることからスタートした。当初使用した高分子電解質
膜はポリスチレン系の膜であり、化学的に耐久性が乏し
いものであったが、米国デュポン社がNASA宇宙計画
用燃料電池のために開発したフッ素樹脂系の高分子電解
質膜「ナフィオン(R)」の登場により、PEFCの化
学的な耐久性は飛躍的に向上し、PEFCの開発が盛ん
となった。現在では、PEFCは、従来の宇宙用、軍事
用としての利用よりもむしろ、主に自動車搭載用または
家庭用としての利用が検討されている。
【0020】PEFCの心臓部である高分子電解質膜
は、一種のイオン交換膜として働き、優れたイオン伝導
性、物理強度、ガスバリア性、化学的安定性、電気化学
的安定性、熱的安定性、が要求される。このため、長期
にわたり使用できる高分子電解質膜としては、主に米国
デュポン社製の「ナフィオン(R)」を代表例とするパ
ーフルオロカーボンスルホン酸膜が使用されてきた。一
般に、パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、フッ素系
の主鎖とプロトンを付加することのできるスルホン酸基
を側鎖とを有する構造をしている。
【0021】しかしながら、一般的なパーフルオロカー
ボンスルホン酸膜は、100℃を超える条件で運転する
と膜の含水率が急激に落ち、膜の軟化も顕著となる。こ
のため、メタノールを燃料とする燃料電池においては、
膜内のメタノール透過による性能低下がおこり、十分な
性能を発揮することはできない。また、水素を燃料とし
て80℃付近で運転する燃料電池においても、パーフル
オロカーボンスルホン酸膜の製造コストが高価であるた
め、燃料電池の実用化に向けての障害となっている。さ
らに、パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、膜厚、イ
オン交換能力などのパラメータが限定されたものしか入
手することができないため、燃料電池の設計をする上で
制約となっているという問題もある。
【0022】このようなパーフルオロカーボンスルホン
酸膜の有する欠点を克服するため、非フッ素系芳香族環
含有ポリマーにスルホン酸基を導入した高分子電解質膜
が種々検討されている。たとえば、ポリアリールエーテ
ルスルホンをスルホン化したもの(Journal of Membran
e Science,83,P.211(1993))、ポリエーテルエーテルケ
トンをスルホン化したもの(特開平6−93114号公
報)、スルホン化ポリスチレン、などである。しかしな
がら、ポリマーを原料として芳香族環上にスルホン酸基
を導入するスルホン化反応の制御は一般に困難であり、
適切な性能を示すように、スルホン酸基の量を自由に制
御して芳香族環含有ポリマーをスルホン化することがで
きない場合が多い。
【0023】スルホン酸基の量を自由に制御して芳香族
環含有ポリマーをスルホン化する方法としては、スルホ
ン酸基含有モノマーとスルホン酸基非含有モノマーとを
用い、それら仕込量の比を制御することにより、重合し
て得られる芳香族環含有ポリマーのスルホン酸基の量を
制御することが考えられる。たとえば、スルホン酸基含
有ポリベンズチアゾールとしては、2,5−ジアミノ−
1,4−ベンゼンジチオールと、5−スルホイソフタル
酸と、2−スルホテレフタル酸と、4,6−ジスルホイ
ソフタル酸と、などから合成するものが報告されている
(J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,34,481(1996))。しかし
この報告では、特にスルホイソフタル酸の場合に重合時
の脱スルホン酸反応がおこるという問題がある。
【0024】また、ポリスルホン類、ポリエーテルケト
ン類などを合成する一般的な方法である、芳香族求核置
換反応による芳香族エーテル結合形成によるポリマー合
成についても、加熱条件で重合反応が行われるため、ス
ルホン酸基を含むモノマーを用いて重合しようとする
と、脱スルホン酸反応が起こる可能性がある。
【0025】以上のように非フッ素系芳香族ポリマー骨
格にスルホン酸基を導入するには、合成上の問題を抱え
ているが、仮に合成上の問題を克服したとしても、燃料
電池用高分子電解質膜として使用する場合には、別の問
題が生じる。
【0026】また、燃料電池用高分子電解質膜は、一般
に触媒を担持したカーボン層を表面に被覆した、膜−電
極複合体の形で使用される。このため、カーボン層と高
分子電解質膜とを接着させるためには、イオン伝導性を
有すると同時に電極での化学反応や熱に耐える安定な接
着剤用バインダーが必要となり、現状では前述のフッ素
系ポリマーであるナフィオンが接着剤用バインダーとし
ても優れている。
【0027】しかしこのようなポリマーを接着剤用バイ
ンダーとして用いる場合、非フッ素系ポリマーとの接着
性が一般に悪く、膜−電極複合体が十分な性能を発揮で
きないという問題がある。したがって、この点から、基
本的には非フッ素系芳香族ポリマーでありながら、部分
的にフッ素含有構造を有するポリマーであれば、接着性
の改良が期待されるとともに、非フッ素系およびフッ素
系の高分子電解質ポリマーの両方の長所を取り入れた材
料となることが期待される。
【0028】このようなポリマーとしては、たとえば、
WO01/01510号公報、WO01/01506号
公報におけるスルホン酸基含有フッ素系芳香族ポリマー
の報告が見られる。しかし、ここで報告されているポリ
マー構造は、繁雑な合成ルートにより合成されるポリマ
ー主鎖骨格に直接スルホン酸基が導入されているもので
あるため、現在のパーフルオロカーボンスルホン酸膜と
同様に、製造コストが高価格となる問題がある。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】上記の現状に基づき、
本発明の課題は、スルホン酸基の導入量が制御されてお
り、高分子電解質膜の材質として用いた際に高温でも優
れた性質を示すスルホン化フッ素含有重合体を提供する
ことである。
【0030】また、本発明の別の課題は、当該スルホン
化フッ素含有重合体を含有し、高分子電解質膜の材質と
して用いた際に高温でも優れた性質を示す樹脂組成物を
提供することである。
【0031】そして、本発明のもう一つの課題は、優れ
たイオン伝導性、物理強度、耐久性、耐熱性および加工
性を有し、かつ品質が安定しており、製造コストの低い
高分子電解質膜を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するには、スルホン酸基の量を制御して芳香族
環含有ポリマーをスルホン化すればよいとの着想を得、
さまざまな芳香族環含有ポリマーを用いて鋭意検討を重
ねた。そして、検討の末に、特定のフッ素含有重合体を
特定の条件でスルホン化することにより、スルホン酸基
の量を制御して芳香族環含有ポリマーをスルホン化こと
ができることを見出し、本発明を完成させた。
【0033】すなわち本発明は、下記の式(1)で表わ
される繰返し単位と、下記の式(2)で表わされる繰返
し単位とを含有するスルホン化フッ素含有重合体であ
る。 −Ar1−O−Ar2−O−・・・(1) (式(1)において、Ar1は下記の式(3)で表わさ
れる結合単位を示し、Ar2は下記の式(4)で表わさ
れる結合単位を示す。) −Ar1−O−Ar3−O−・・・(2) (式(2)において、Ar1は下記の式(3)で表わさ
れる結合単位を示し、Ar3は下記の式(5a)〜(5
e)のいずれかで表わされる結合単位を示す。)
【0034】
【化4】
【0035】(式(3)においては、Aはケトン基また
はスルホン基を示す。C〜GまたはH〜Lよりなる各群
から選ばれる各1個の部位は、ポリマー鎖を形成する結
合を構成し、残りの部位は水素またはハロゲン原子、低
級アルキル基または低級アルコキシル基である。さら
に、式(3)および式(4)においては、C〜G、H〜
L、M〜QおよびR〜Vよりなる群から選ばれる少なく
とも1個の部位はフッ素原子である。)
【0036】
【化5】
【0037】(式(4)においては、Bは直接結合、ス
ルホン基、ケトン基、エーテル基または炭素数1〜6の
アルキリデン基を示す。また、M〜QまたはR〜Vより
なる各群から選ばれる各1個の部位は、ポリマー鎖を形
成する結合を構成し、残りの部位は水素またはハロゲン
原子、低級アルキル基または低級アルコキシル基であ
る。さらに、式(3)および式(4)においては、C〜
G、H〜L、M〜QおよびR〜Vよりなる群から選ばれ
る少なくとも1個の部位はフッ素原子である。)
【0038】
【化6】
【0039】(式(5a)〜(5e)のいずれかにおい
て、n1〜n19は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位
数を表わし、n1〜n19は0〜2の整数であり、n1+n
2+n3は1〜6の整数であり、n4+n5+n6+n7,n
8+n9+n10+n11,n12+n 13+n14+n15,n16
17+n18+n19は1〜8の整数である。Z1〜Z
19は、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数
1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の低級
カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニル
基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原
子、よりなる群から選ばれる一種または二種以上の官能
基であり、r1〜r19は、芳香族環あたりのZ1〜Z19
表わされる官能基の配位数を表わし、rk(k=14、
15)は0〜3の整数であり、rk(k=2,3,5,
6,8〜11,12〜13,16〜19)は0〜4の整
数であり、rk(k=1,4,7)は0〜5の整数であ
る。また、nk+rk≦3(k=14、15)、nk+rk
≦4(k=2,3,5,6,8〜13,16〜19)、
k+rk≦5(k=1,4,7)である。) ここで、式(5a)〜(5e)のいずれかで示されるA
3においては、r1〜r19は0であることが好ましい。
また、式(5a)〜(5e)のいずれかで示されるAr
3においては、n1〜n19は1であることが望ましい。
【0040】そして、式(1)および式(2)で表わさ
れる繰返し単位のモル数の合計に対しては、式(1)で
表わされる繰返し単位のモル比をαとし、式(2)で表
わされる繰返し単位のモル比を1−αとした場合、両者
のモル比が0.5≦α/1−α≦10の式を満たすこと
が好ましい。
【0041】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。
【0042】さらに、式(1)および式(2)で表わさ
れる繰り返し単位のモル数の合計は、重合体全体に含ま
れる繰返し単位のうち50〜100モル%であることが
望ましい。
【0043】また、本発明は、本発明のスルホン化フッ
素含有重合体を含有する樹脂組成物を含む。さらに、本
発明は、本発明の樹脂組成物を含有する高分子電解質膜
を含む。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示して本発明
をより詳細に説明する。
【0045】<本発明のスルホン化フッ素含有重合体>
本発明のスルホン化フッ素含有重合体は、下記の式
(1)で表わされる繰返し単位と、下記の式(2)で表
わされる繰返し単位とを含有する。 −Ar1−O−Ar2−O−・・・(1) ここで、式(1)において、Ar1は下記の式(3)で
表わされる結合単位を示し、Ar2は下記の式(4)で
表わされる結合単位を示す。 −Ar1−O−Ar3−O−・・・(2) また、式(2)において、Ar1は下記の式(3)で表
わされる結合単位を示し、Ar3は下記の式(5a)〜
(5e)のいずれかで表わされる結合単位を示す。
【0046】
【化7】
【0047】ここで、式(3)においては、Aはケトン
基またはスルホン基を示す。また、C〜GまたはH〜L
よりなる各群から選ばれる各1個の部位は、ポリマー鎖
を形成する結合を構成し、残りの部位は水素またはハロ
ゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシル基で
ある。さらに、式(3)および式(4)においては、C
〜G、H〜L、M〜QおよびR〜Vよりなる群から選ば
れる少なくとも1個の部位はフッ素原子である。
【0048】なぜなら、C〜G、H〜L、M〜Qおよび
R〜Vよりなる群から選ばれる少なくとも1個の部位は
フッ素原子でないと、重合体の骨格ポリマーを構成する
繰返し単位中に含まれる結合単位に十分な量のフッ素原
子が含まれないこととなってしまい、重合体の耐熱性、
化学的安定性が低下してしまうという問題が生じるから
である。
【0049】
【化8】
【0050】ここで、式(4)においては、Bは直接結
合、スルホン基、ケトン基、エーテル基または炭素数1
〜6のアルキリデン基を示す。また、M〜QまたはR〜
Vよりなる各群から選ばれる各1個の部位は、ポリマー
鎖を形成する結合を構成し、残りの部位は水素またはハ
ロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシル基
である。
【0051】
【化9】
【0052】ここで、式(5a)〜(5e)のいずれか
において、n1〜n19は芳香族環あたりのスルホン酸基
の配位数を表わし、n1〜n19は0〜2の整数であり、
1+n2+n3は1〜6の整数であり、n4+n5+n6
7,n8+n9+n10+n11,n12+n13+n14
15,n16+n17+n18+n19は1〜8の整数である。
【0053】すなわち、式(5a)〜(5e)のいずれ
かで表わされる結合単位には、結合単位1単位あたり少
なくとも1個のスルホン酸基が導入されている必要があ
り、さらに、芳香族環1環あたりのスルホン酸基の導入
数は2個以内である必要がある。
【0054】なぜなら、式(5a)〜(5e)のいずれ
かで表わされる繰返し単位にスルホン酸基が導入されて
いない場合、すなわちn1〜n19が0である場合は、十
分な量のイオン伝導性を有する重合体が得られないから
である。
【0055】また、芳香族環1環あたり3個以上のスル
ホン酸基を導入した場合、すなわちn1〜n19が3以上
の整数である場合には、高温時における水による膨潤な
どの耐水性の低下の問題が生じるからである。
【0056】また、Z1〜Z19は、炭素原子数1〜6の
低級アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシル
基、炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原子
数1〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒ
ドロキシル基、ハロゲン原子、よりなる群から選ばれる
一種または二種以上の官能基であり、r1〜r19は、芳
香族環あたりのZ1〜Z19で表わされる官能基の配位数
を表わし、rk(k=14、15)は0〜3の整数であ
り、rk(k=2,3,5,6,8〜11,12〜1
3,16〜19)は0〜4の整数であり、rk(k=
1,4,7)は0〜5の整数である。また、nk+rk
3(k=14、15)、nk+rk≦4(k=2,3,
5,6,8〜13,16〜19)、nk+rk≦5(k=
1,4,7)である。
【0057】すなわち、式(5a)〜(5e)のいずれ
かで表わされる結合単位の芳香族環には、スルホン酸基
以外に、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子
数1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の低
級カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニル
基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原
子、よりなる群から選ばれる一種または二種以上の官能
基が付加されていてもよい。
【0058】そして、式(1)で表わされる繰返し単位
と、式(2)で表わされる繰返し単位との両端の結合部
位に下記の式(1−1)および式(2−1)のように番
号をつけた場合、 a−Ar1−O−Ar2−O−b・・・(1−1) c−Ar1−O−Ar3−O−d・・・(2−1) 式(1)および式(2)で表わされる繰返し単位が結合
する場合には、aとb、aとd、cとb、cとdのう
ち、いずれの結合部位同士の組合わせで結合してもよ
い。
【0059】ここで、結合単位Ar1の構造は式(3)
で表わされる構造であればどのような構造であってもよ
い。また、本発明のスルホン化フッ素含有重合体中に含
有される結合単位Ar1の構造は必ずしも一種類に限定
されるものではなく、二種類以上の構造からなるAr1
が同じ重合体中に含有されていてもよい。
【0060】同様に、結合単位Ar2の構造は式(4)
で表わされる構造であればどのような構造であってもよ
い。また、本発明のスルホン化フッ素含有重合体中に含
有される結合単位Ar2の構造は必ずしも一種類に限定
されるものではなく、二種類以上の構造からなるAr2
が同じ重合体中に含有されていてもよい。
【0061】さらに、結合単位Ar3の構造は式(5
a)〜(5e)のいずれかで表わされる構造であればど
のような構造であってもよい。また、本発明のスルホン
化フッ素含有重合体中に含有される結合単位Ar3の構
造は必ずしも一種類に限定されるものではなく、二種類
以上の構造からなるAr3が同じ重合体中に含有されて
いてもよい。
【0062】そして、式(1)で表わされる繰返し単位
と、式(2)で表わされる繰返し単位とが結合する場合
には、ランダム共重合の形で結合していてもよく、ブロ
ック共重合の形で結合していてもよい。
【0063】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体は、対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対
数粘度が0.1以上の場合には、高分子電解質材料とし
て燃料電池などに好適に用いることができるが、対数粘
度が0.1未満の場合には、取扱性や加工性が不十分で
ある傾向があり、高分子電解質材料として燃料電池など
に用いるには適さない場合がある。
【0064】そして、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体は、数平均分子量が2,000から200,000
の範囲にあることが好ましい。数平均分子量が2,00
0未満の場合には、高分子電解質膜の材料として十分な
強度を示さない傾向があり、数平均分子量が200,0
00を超える場合には、高分子電解質膜の材料としての
加工が困難となる傾向がある。
【0065】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体においては、式(5a)〜(5e)のいずれかで示
されるAr3において、r1〜r19は0であることが好ま
しい。すなわち、Ar3の芳香族環には、スルホン酸基
以外に、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子
数1〜6の低級アルコキシル基、炭素原子数1〜6の低
級カルボキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボニル
基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原
子、が付加されていないことが好ましい。
【0066】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体においては、式(5a)〜(5e)のいずれかで示さ
れるAr3において、n1〜n19は1であることが望まし
い。すなわち、式(5a)〜(5e)のいずれかで示さ
れるAr3においては、結合単位中の芳香族環1環あた
り1個のスルホン酸基が導入されていることが好まし
い。
【0067】このように、式(5a)〜(5e)のいず
れかで示される結合単位中の芳香族環に選択的に、芳香
族環1環あたり1個ずつスルホン酸基が導入されるよう
に、スルホン酸基の数を制御することにより、好適なイ
オン伝導性を有する重合体を得ることができ、燃料電池
に好ましく用いることができる。
【0068】さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体においては、式(1)および式(2)で表わされる
繰返し単位のモル数の合計に対する、式(1)で表わさ
れる繰返し単位のモル比がαであり、式(2)で表わさ
れる繰返し単位のモル比が1−αであり、かつ、両者の
モル比が0.5≦α/1−α≦10の式を満たすことが
好ましい。すなわち、式(1)で表わされる繰返し単位
のモル数と、式(2)で表わされる繰返し単位のモル数
との比が、一定の範囲内にあることが好ましい。
【0069】ここで、両者のモル比(α/1−α)<
0.5の場合には、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体を用いた高分子電解質膜の耐水性が低下する傾向があ
り、両者のモル比(α/1−α)>10の場合には、本
発明のスルホン化フッ素含有重合体を用いた高分子電解
質膜のイオン伝導性が不十分となる傾向がある。
【0070】さらに、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体は、式(1)で表わされる繰り返し単位と、式
(2)で表わされる繰り返し単位以外にも、さらに他の
構成成分を含有していてもよい。その場合、本発明のス
ルホン化フッ素含有重合体の構成成分となり得る化合物
は、特に限定されず、一般的な重合体の構成成分を用い
ることができるが、好ましい具体例として、スルホン酸
基を有しない、含フッ素ポリアリールエーテルケトン系
化合物、含フッ素ポリシアノアリールエーテル系化合
物、フッ素非含有ポリアリールエーテルケトン系化合
物、フッ素非含有ポリシアノアリールエーテル系化合
物、などが挙げられる。
【0071】これらの化合物は、一種または二種以上を
組合わせて用いることができ、ランダム共重合やブロッ
ク共重合などの反応により、本発明の重合体に構成成分
として組込むことができる。
【0072】そして、上記の場合において、本発明のス
ルホン化フッ素含有重合体においては、式(1)および
式(2)で表わされる繰り返し単位のモル数の合計が、
重合体全体に含まれる繰返し単位のうち50〜100モ
ル%の範囲にあることが好ましく、70〜100モル%
の範囲にあればさらに好ましい。
【0073】式(1)および式(2)で表わされる繰り
返し単位のモル数の合計が50モル%未満である場合に
は、十分なイオン伝導性が発現しないという問題が生じ
る傾向がある。
【0074】<本発明におけるスルホン化フッ素含有重
合体の製造方法>式(1)で表わされる繰返し単位と、
式(2)で表わされる繰返し単位とを含有する、本発明
のスルホン化フッ素含有重合体は、式(1)で表わされ
る繰返し単位と、下記の式(6)で表わされる繰返し単
位とを含有するフッ素含有重合体にスルホン酸基を導入
することによって得ることができる。 −Ar1−O−Ar3A−O−・・・(6) ここで、式(6)において、Ar1は式(3)で表わさ
れる結合単位を示し、Ar3Aは下記の式(7a)〜(7
e)のいずれかで表わされる結合単位を示す。
【0075】
【化10】
【0076】ここで、式(7a)〜(7e)のいずれか
において、Z1〜Z19は、炭素原子数1〜6の低級アル
キル基、炭素原子数1〜6の低級アルコキシル基、炭素
原子数1〜6の低級カルボキシル基、炭素原子数1〜6
の低級カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン原子、よりなる群から選ばれる一種また
は二種以上の官能基であり、r1〜r19は、芳香族環あ
たりのZ1〜Z19で表わされる官能基の配位数を表わ
し、rk(k=14、15)は0〜3の整数であり、rk
(k=2,3,5,6,8〜11,12〜13,16〜
19)は0〜4の整数であり、rk(k=1,4,7)
は0〜5の整数である。また、nk+rk≦3(k=1
4、15)、nk+rk≦4(k=2,3,5,6,8〜
13,16〜19)、nk+rk≦5(k=1,4,7)
である。
【0077】ここで、繰返し単位中に式(7a)〜(7
e)のいずれかで表わされる結合単位を含有するフッ素
含有重合体に対して、適当なスルホン化剤を反応させる
ことにより、繰返し単位中に式(7a)〜(7e)のい
ずれかで表わされる結合単位を含有するフッ素含有重合
体にスルホン酸基を導入することができる。
【0078】すなわち、本発明のスルホン化フッ素含有
重合体は、式(1)で表わされる繰返し単位と、式
(6)で表わされる繰返し単位とを含有するフッ素含有
重合体(以下単にフッ素含有重合体と呼称する)と、ス
ルホン化剤とを混合して、一定時間、一定温度の条件で
反応させることにより得ることができる。この際、有機
溶媒中で反応を進めることもできる。
【0079】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体を製造するために用いられるスルホン化剤として
は、特に限定されるものではないが、たとえば、濃硫酸
や発煙硫酸(たとえば、Solid State Ionics,106,P.219
(1998)に開示)、クロロ硫酸(たとえば、J.Polym.Sc
i.,Polym.Chem.,22,P.295(1984)に開示)、無水硫酸錯
体(たとえば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.721(19
84)、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,23,P.1231(1985)など
に開示)などを好適に使用することができる。 また、
当該周知のスルホン化剤に加えて、特許第288418
9号公報に記載のスルホン化剤、すなわち、1,3,5
−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸、1,3,5−
トリメチルベンゼン−2,4−ジスルホン酸、1,2,
4−トリメチルベンゼン−5−スルホン酸、1,2,4
−トリメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3−
トリメチルベンゼン−4−スルホン酸、1,2,3,4
−テトラメチルベンゼン−5−スルホン酸、1,2,
3,5−テトラメチルベンゼン−4−スルホン酸、1,
2,4,5−テトラメチルベンゼン−3−スルホン酸、
1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−3,6−ジス
ルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタメチルベンゼン
−6−スルホン酸、1,3,5−トリエチルベンゼン−
2−スルホン酸、1−エチル−3,5−ジメチルベンゼ
ン−2−スルホン酸、1−エチル−3,5−ジメチルベ
ンゼン−4−スルホン酸、1−エチル−3,4−ジメチ
ルベンゼン−6−スルホン酸、1−エチル−2,5−ジ
メチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3,4−テ
トラエチルベンゼン−5−スルホン酸、1,2,4,5
−テトラエチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,
3,4,5−ペンタエチルベンゼン−6−スルホン酸、
1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2−スルホン
酸、1−プロピル−3,5−ジメチルベンゼン−4−ス
ルホン酸などを用いることも可能である。
【0080】上記のスルホン化剤の中でも、スルホン酸
基の両側のオルソ位に低級アルキルが置換された化合
物、たとえば、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−
スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−
3−スルホン酸、1,2,3,5−テトラメチルベンゼ
ン−4−スルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタメチ
ルベンゼン−6−スルホン酸、1,3,5−トリメチル
ベンゼン−2,4−ジスルホン酸、1,3,5−トルエ
チルベンゼン−2−スルホン酸、などが特に好ましく、
さらには、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スル
ホン酸が最も好ましい。
【0081】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体を製造する際は、フッ素含有重合体100質量部に
対して、これらのスルホン化剤は、30〜50,000
質量部の範囲で加えることが好ましく、50〜10,0
00質量部の範囲で加えればさらに好ましい。
【0082】スルホン化剤の添加量が30質量部未満の
場合には、スルホン化反応が十分に進行しない傾向があ
り、スルホン化剤の添加量が50,000質量部を超え
る場合には、反応後のスルホン化剤処理に多くの労力が
必要となる傾向がある。
【0083】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体を製造するために用いられる有機溶媒としては、特に
限定されるものではなく、フッ素含有重合体およびスル
ホン化剤を溶解し、スルホン化反応に悪影響を及ぼさな
いものであれば従来公知のものを使用することができ
る。具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、
1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラク
ロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレ
ン、などのハロゲン化脂肪族炭化水素類、ジクロロベン
ゼン、トリクロロベンゼン、などのハロゲン化芳香族炭
化水素類、ニトロメタン、ニトロベンゼン、などのニト
ロ化合物類、トリメチルベンゼン、トリブチルベンゼ
ン、テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、な
どのアルキルベンゼン類、スルホラン、などの複素環化
合物類、オクタン、デカン、シクロヘキサン、などの直
鎖、分枝鎖または環状の脂肪族飽和炭化水素類が挙げら
れる。
【0084】これらの溶剤は、一種または二種以上を混
合して使用してもよく、その使用量は、フッ素含有重合
体およびスルホン化剤の種類により異なり適宜選択され
るが、通常はスルホン化剤100質量部に対して100
〜2,000質量部の範囲にあることが好ましい。
【0085】溶剤の量が100質量部未満の場合には、
均一なスルホン化反応を進めるのが困難となる傾向があ
り、溶剤の量が2,000質量部を超える場合には、反
応後の溶剤とスルホン化剤との分離、溶剤の回収に多く
の労力が必要となる傾向がある。
【0086】ここで、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体においては、式(7a)〜(7e)のいずれかで表
わされる結合単位を構成する芳香族環のすべてが各1個
ずつのスルホン酸基を実質的に有しており、他の芳香族
環上にはスルホン酸基が実質的に導入されていないこと
が好ましい。
【0087】そのため、前記のような本発明のスルホン
化フッ素含有重合体を得るためには、前記のスルホン化
剤を用い、それぞれのフッ素含有重合体の種類および導
入したいスルホン酸基の量に応じた反応条件により、フ
ッ素含有重合体のスルホン化を行なう必要がある。
【0088】しかし、これまで、フッ素含有重合体のス
ルホン化反応によりスルホン化フッ素含有重合体を得る
ことは、上述したようにその反応の制御が困難であるた
めに、希望した構造やスルホン酸基導入量を持つスルホ
ン化フッ素含有重合体を得ることは難しかった。
【0089】たとえば、求電子置換反応であるスルホン
化反応を制御するために、エーテル結合で挟まれた活性
の高い芳香族環と、ケトン基やスルホン基などが結合し
た活性の低い芳香族環との存在比をコントロールした重
合体などで、スルホン酸基導入量を制御しようとする試
みが行われてきたが、十分な効果は得られていなかっ
た。
【0090】本発明においては、上述の特定の結合単位
を有する繰返し単位を含有するフッ素含有重合体をスル
ホン化することにより、特定の芳香族環上に定量的にス
ルホン化できることを見いだした。このため、本発明の
ように、制御された形でスルホン酸基を導入するには、
上述の式(1)で表される繰返し単位と、上述の式
(6)で表わされる繰返し単位を含有するフッ素含有重
合体においては、式(6)で表わされる繰返し単位中に
上述の式(7a)〜(7e)のいずれかで示される特定
の構造の繰返し単位(Ar3A)が存在することが必要で
ある。
【0091】このとき、Ar3Aを含む繰返し単位あたり
実質的に1個以上のスルホン酸基を導入するようにスル
ホン化の条件を制御すると、得られるスルホン化フッ素
含有重合体は、高分子電解質膜として用いた際の特性が
特に好ましいものとなる。さらに、Ar3Aを構成する芳
香族環のすべてに各1個ずつのスルホン酸基を実質的に
導入するようにスルホン化の条件を制御すると、得られ
るスルホン化フッ素含有重合体は、高分子電解質膜とし
て用いた際の特性がきわめて好ましいものとなる。
【0092】ここで、「Ar3Aを含む繰返し単位あたり
実質的に1個以上のスルホン酸基を導入する」とは、す
べてのAr3Aを含む繰返し単位に1個以上のスルホン酸
基が導入されなければならないことを意味するものでは
ない。すなわち、大部分のAr3Aを含む繰返し単位に1
個以上のスルホン酸基が導入され、かつ、重合体全体と
して見た場合、Ar3Aを含む繰返し単位に平均して1個
以上のスルホン酸基が導入されることを意味するもので
ある。
【0093】同様に、「Ar3Aを構成する芳香族環のす
べてに各1個ずつのスルホン酸基を実質的に導入する」
とは、すべてのAr3Aを構成する芳香族環のすべてに各
1個ずつのスルホン酸基が導入されていなければならな
いことを意味するものではない。すなわち、大部分のA
3Aを含む繰返し単位において、Ar3Aを構成する芳香
族環のすべてに各1個ずつのスルホン酸基が導入され、
かつ、重合体全体として見た場合、Ar3Aを含む繰返し
単位において、Ar3Aを構成する芳香族環のすべてに平
均してほぼ1個のスルホン酸基が導入されることを意味
するものである。
【0094】そして、本明細書において、繰返し単位あ
たりのフッ素原子、スルホン酸基、官能基、置換基など
の数値を限定する場合も、その数値はすべての繰返し単
位において厳密に成立しなければならないものではな
く、大部分の繰返し単位において成立し、かつ、重合体
全体として見た場合、各繰返し単位において平均してほ
ぼその数値限定が成立していることを意味するものであ
る。
【0095】本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得
るため、フッ素含有重合体をスルホン化する際に、Ar
3Aを含む繰返し単位あたり実質的に1個以上のスルホン
酸基を導入するようにスルホン化の条件を制御するため
には、反応温度−20〜150℃の範囲、反応時間0.
1〜100時間の範囲でスルホン化反応を行なう必要が
ある。
【0096】ここで、反応温度が−20℃未満では、ス
ルホン化反応の反応速度が遅くなり、反応温度が150
℃を超えると、スルホン化反応の制御が困難となってし
まうという問題がある。
【0097】本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得
るため、フッ素含有重合体をスルホン化する際に、Ar
3Aを構成する芳香族環のすべてに各1個ずつのスルホン
酸基を実質的に導入するようにスルホン化の条件を制御
するためには、反応温度−20〜120℃の範囲、反応
時間0.1〜100時間の範囲でスルホン化反応を行な
う必要がある。
【0098】ここで、反応温度が−20℃未満では、ス
ルホン化反応の反応速度が遅いためスルホン化反応が十
分に進まなくなり、反応温度が120℃を超えると、芳
香族環あたりのスルホン化量が2個以上となってしまう
という問題がある。
【0099】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体を得るためには、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活
性ガス雰囲気下でスルホン化を行なうことが好ましい。
得られる重合体が酸化劣化することを防止するためであ
る。
【0100】ここで、上述の式(7a)〜(7e)のい
ずれかで表わされる結合単位のうち一部の種類のものを
含有するフッ素含有重合体をスルホン化することについ
ては、WO00/15691号公報にごく簡潔な記載が
存在する。しかしながら、そこでは上述の式(7a)〜
(7e)のいずれかで表わされる結合単位のうち一部の
種類のものは、スルホン酸基が導入される一般候補のリ
ストに上がっているが、どのような形でスルホン酸基が
導入されるかについての議論はない。
【0101】実際、そこで述べられているスルホン化条
件においては、上述の式(7a)〜(7e)のいずれか
で表わされる結合単位のうち一部の種類のものを含有す
るフッ素含有重合体の特定の位置のみに選択的にスルホ
ン酸基を導入することは困難である。本発明は、フッ素
含有重合体を構成する特定のモノマー構造の組み合わせ
と、より穏和なスルホン化条件とについて、鋭意検討を
進めることにより初めて完成したものである。
【0102】また、本発明のスルホン化フッ素含有重合
体を合成する手法は、上記のようなフッ素含有重合体の
スルホン化反応だけに限定されるものではない。たとえ
ば、上記の式(7a)〜(7e)のいずれかの結合単位
を含むジオール構造を持つモノマーに対して、上述のフ
ッ素含有重合体に対するのと同様にスルホン化反応を行
い、上記の式(5a)〜(5e)のいずれかの結合単位
を含むジオール構造を持つモノマー(すなわち結合単位
Ar3)を合成してから、結合単位Ar1を含むモノマー
や結合単位Ar2を含むモノマーとともに上述の溶剤中
で混合し、芳香族求核置換反応による重合反応を適用し
ても、本発明のスルホン化フッ素含有重合体を得ること
ができる。
【0103】この際、ジオール構造を持つモノマーのス
ルホン酸基は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウ
ム塩等の塩構造として重合に用いることが好ましい。た
だし、重合時の脱スルホン酸反応の可能性が残るので、
上述のフッ素含有重合体のスルホン化反応を使用する方
が好ましい。
【0104】なお、上記のスルホン化反応および/また
は重合反応により得られた本発明のスルホン化フッ素含
有重合体の精製方法は、従来公知の重合体の精製方法を
好適に使用可能であるが、たとえば、得られた本発明の
スルホン化フッ素含有重合体が固体状の場合には濾過後
に溶剤で洗浄して乾燥することにより、オイル状の場合
には分液することにより、反応溶液に溶解している場合
には有機溶媒を蒸発除去することにより、精製すること
ができる。
【0105】あるいは、本発明のスルホン化フッ素含有
重合体が含まれる反応液に水を加え、必要に応じてアル
カリ成分を加えて重合体を溶解し、溶剤相と水相に分離
した後に、水相より酸析や塩析などの方法により沈殿さ
せ、濾過後に溶剤で洗浄して乾燥させることにより精製
することもできる。また、濃硫酸などのスルホン化剤の
みで反応を行なう場合には、反応液を水中に注ぐことに
よりポリマーの沈殿として回収および精製することも有
効である。
【0106】<本発明の樹脂組成物>本発明は、本発明
のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物を
含む。
【0107】ここで、本発明の樹脂組成物は、本発明の
スルホン化フッ素含有重合体一種のみからなる樹脂組成
物であってもよいが、本発明のスルホン化フッ素含有重
合体を一種または二種以上含有していてもよい。また、
本発明の樹脂組成物は、本発明のスルホン化フッ素含有
重合体のみからなる樹脂組成物であってもよいが、その
特性を著しく低下しない範囲で、構造の異なる他の種類
の樹脂を含有していてもよい。
【0108】この際、本発明の樹脂組成物に配合され得
る他の樹脂としては、特に限定されるものではないが、
具体例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレ
ン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)、ABS樹脂およびAS樹脂など
の汎用樹脂や、ポリアセテート(POM)、ポリカーボ
ネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレン
テレフタレート(PBT)などのエンジニアリングプラ
スチックや、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポ
リエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、
ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノール
テレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)
および各種液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂
や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂な
どの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
【0109】本発明の樹脂組成物に、本発明のスルホン
化フッ素含有重合体以外の樹脂成分を配合する場合であ
っても、本発明のスルホン化フッ素含有重合体の配合量
は、全配合成分に対して50〜100質量%であること
が好ましく、70〜100質量%であればさらに好まし
い。
【0110】本発明のスルホン化フッ素含有重合体の配
合量が50質量%未満の場合には、良好なイオン伝導性
が得られなくなる傾向があるからである。
【0111】なお、本発明の樹脂組成物には、必要に応
じて、たとえば、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付
与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗
菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、などの各種添加剤
を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加することが
できる。
【0112】本発明のスルホン化フッ素含有重合体を含
有する樹脂組成物は、イオン伝導性に優れているため、
フィルム状あるいは膜状にして、燃料電池などの高分子
電解質膜として使用するのに適している。さらに、本発
明のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物
を主成分にする接着剤は、本発明の高分子電解質膜と電
極との接合体を作製するときの接着剤として利用するこ
ともできる。
【0113】<本発明の高分子電解質膜>本発明の高分
子電解質膜は、本発明の樹脂組成物を含有する。ここ
で、本発明の樹脂組成物は、本発明のスルホン化フッ素
含有重合体のみからなる樹脂組成物であってもよく、本
発明のスルホン化フッ素含有重合体以外の成分を含んで
いてもよい。
【0114】本発明の高分子電解質膜は、本発明のスル
ホン化フッ素含有重合体の重合反応溶液、スルホン化反
応溶液または精製したスルホン化フッ素含有重合体を含
有する樹脂組成物を素材として用いて、押し出し法、紡
糸法、圧延法、キャスト法などの従来公知の成形方法
で、膜状に成形することにより得られる。また、同様の
方法を用いて、膜形状だけではなく、繊維状、ペレット
状、プレート状、ロッド状、パイプ状、ボール状、ブロ
ック状、などのさまざまな形状に成形することも可能で
ある。
【0115】本発明の高分子電解質膜の成形に用いる素
材としては、前記の素材のなかでも、本発明の樹脂組成
物を適当な溶媒に溶解した溶液が特に好ましい。この場
合に、本発明の樹脂組成物を溶解する溶媒としては、特
に限定されるものではないが、たとえば、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘ
キサメチルホスホンアミド、などの非プロトン極性溶媒
や、メタノール、エタノール、などのアルコール類など
から適切なものを選ぶことができる。
【0116】これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合
して使用してもよい。また、溶液中の樹脂組成物の濃度
は、溶液全体の質量の0.1〜50質量%の範囲である
ことが好ましい。濃度が0.1質量%未満の場合は高分
子電解質膜の成形性が低下する傾向があり、濃度が50
質量%を超える場合は高分子電解質膜の加工性が低下す
る傾向がある。
【0117】また、本発明の高分子電解質膜の成形方法
としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いるこ
とができる。たとえば、本発明の樹脂組成物の加熱、減
圧乾燥、本発明の樹脂組成物を溶解し得る溶媒と混和可
能な、本発明の樹脂組成物を溶解し得ない溶媒への、本
発明の樹脂組成物の浸漬などによって、溶媒を除去し、
本発明の高分子電解質膜を得ることができる。また、同
様の方法を用いて、他のさまざまな形状にも成形可能で
ある。
【0118】ここで、本発明の樹脂組成物を溶解または
分散する溶媒が有機溶媒の場合は、加熱または減圧乾燥
で溶媒を留去させて成形することが好ましい。この際、
必要に応じて、他の樹脂組成物と複合された形で、本発
明の高分子電解質膜に成形することもできる。用いる溶
媒への溶解性挙動が、本発明の樹脂組成物と類似する樹
脂組成物と組み合わせて成形すると、本発明の高分子電
解質膜を良好な状態で成形をすることができるので都合
がよい。
【0119】本発明の高分子電解質膜を成形するには、
本発明の樹脂組成物を溶解または分散する溶液をキャス
ト法を用いて成形することが特に好ましい。そして、キ
ャスト法によりキャストした溶液から膜を成形するに
は、上記のように加熱または減圧乾燥で溶媒を除去する
ことが好ましい。
【0120】また、この場合、溶媒の除去は、加熱では
なく乾燥によることが、得られる本発明の高分子電解質
膜の均一性の面からは好ましい。さらに、本発明の樹脂
組成物や溶媒の分解や変質をさけるため、減圧下ででき
るだけ低い温度で乾燥することが好ましい。
【0121】そして、本発明の樹脂組成物を溶解または
分散する溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱
して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易に
キャストすることができる。この際、溶液の温度が50
〜150℃の範囲にある状態でキャストすることが好ま
しい。溶液の温度が50℃未満の場合は、十分に溶液の
粘度を下げることが困難となる傾向があり、溶液の温度
が150℃を超えると、ポリマー溶液の変質が生じるお
それがでる場合がある。
【0122】本発明の樹脂組成物を溶解または分散する
溶液をキャストする際、当該溶液の厚みは、特に制限さ
れるものではないが、10〜1000μmの範囲である
ことが好ましく、50〜500μmの範囲であればさら
に好ましい。厚みが10μm未満の場合は膜としての形
態を保てなくなる傾向があり、厚みが1000μmを超
えると不均一な膜ができやすくなる傾向がある。
【0123】また、本発明の樹脂組成物を溶解または分
散する溶液のキャスト厚を制御する方法は、特に限定さ
れず、従来公知の方法を用いることができる。たとえ
ば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一
定の厚みにしたり、ガラスシャーレなどを用いてキャス
ト面積を一定にして溶液の量や濃度で厚みを制御するこ
とができる。
【0124】本発明の樹脂組成物を溶解または分散する
溶液をキャストする際、溶媒の除去速度すなわち樹脂組
成物の凝固速度を調整することでより均一な高分子電解
質膜を得ることができる。たとえば、加熱して溶媒を除
去する場合には、最初の段階では低温にして蒸発速度を
下げることにより溶媒の除去速度を調整することができ
る。また、水などの非有機溶媒に浸漬して有機溶媒を除
去する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な
時間放置しておくなどして有機溶媒の除去速度を調整す
ることができる。
【0125】本発明の高分子電解質膜は、目的に応じて
任意の膜厚にすることができるが、イオン伝導性の面か
らはできるだけ薄いことが好ましい。具体的には、膜厚
が5〜200μmの範囲にあることが好ましく、5〜5
0μmの範囲にあればさらに好ましく、5〜20μmの
範囲にあれば最も好ましい。
【0126】ここで、膜厚が5μm未満の場合には、燃
料電池を作製した場合に短絡などが起こりやすくなる傾
向があり、膜厚が200μmを超えると、高分子電解質
膜の電気抵抗値が大となる傾向がある。
【0127】なお、本発明の高分子電解質膜は、イオン
伝導性に加え、加工性、耐熱性、耐久性などにも優れて
いる。たとえば、本発明の高分子電解質膜は、当該主成
分である本発明の樹脂組成物が優れた溶解性を有するた
め、フィルム状や膜状に成形しやすいことから、加工性
に優れていると言える。
【0128】また、本発明の高分子電解質膜とパーフル
オロカーボンスルホン酸を主成分とする接着剤とは接着
の際の相性が優れるため、本発明の高分子電解質膜を用
いた膜−電極複合体の作成時に、触媒担持カーボンのバ
インダとしてパーフルオロカーボンスルホン酸を主成分
とする接着剤を用いても、高分子電解質膜とカーボン層
との良い接着状態がえられる。この点からも、本発明の
高分子電解質膜は加工性に優れていると言える。
【0129】さらに、本発明の高分子電解質膜は、膜厚
の薄い状態でも膜の取り扱いの際に破断などの心配が少
ない上に、長時間高分子電解質膜として用いても劣化が
少ないため、耐久性に優れていると言える。
【0130】加えて、本発明の高分子電解質膜は、10
0℃の熱水中に長時間浸漬しても変質や変形が起こりに
くいことから、耐熱性にも優れていると言える。
【0131】本発明のスルホン酸基含有フッ素系芳香族
ポリアリーレンエーテル化合物は、イオン伝導性に優れ
ているため、フィルム、膜状にして燃料電池などのイオ
ン交換膜として使用するのに適している。さらに、本発
明のポリマー構造を主成分にすることにより、本発明の
イオン交換膜と電極との接合体を作製するときのバイン
ダー樹脂等の塗料として利用することもできる。本発明
のスルホン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物
は、その構造的特徴により、物理強度、イオン伝導性、
加工性、耐久性、耐熱性、にすぐれた高分子電解質膜に
好適に使用可能な高分子材料である。
【0132】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0133】<実施例1>まず、トルエンに溶解した状
態から再結晶により精製された9,9−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)フルオレン(HF、アルドリッチ社
製)0.50g(1.43mmolに相当)、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホン(略称BS、東京化成
工業(株)製)0.54g(2.16mmolに相
当)、炭酸カリウム0.57g(4.12mmolに相
当)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)13
mlおよびトルエン10mlを、ディーンスタークトラ
ップ、コンデンサー、マグネティック撹拌機および窒素
供給管を備えた100ml容の三つ口丸底フラスコに仕
込んだ。
【0134】続いて、この混合物を160℃に加熱し、
2時間還流に供し、ついでトルエンを留去した。さら
に、ビス(ペンタフルオロフェニル)ケトン(略称PF
K、アルドリッチ社製)1.30g(3.59mmol
に相当)をこの混合物に添加し、温度80℃で40時間
重合を行なった。
【0135】重合反応後、反応液を冷却して、この溶液
を急速撹拌下に1%酢酸を含有する水中に注加した。そ
して、その結果析出した重合体を濾過により捕集し、水
洗した後、乾燥した。
【0136】上記の一連の操作の収率は、91%であ
り、得られた重合体の対数粘度は0.43dl/gであ
った。
【0137】次に、この重合体200mgを濃硫酸10
mlとともに60℃で8時間撹拌した。そして、反応
後、過剰の水中に注いで生成した沈殿を濾取した。さら
に、沈殿の水洗を繰り返した後、生成物を乾燥すること
でスルホン化重合体を得た。
【0138】その結果、この際の収率は、87%であ
り、得られたスルホン化重合体の対数粘度は0.47d
l/gであった。また、スルホン化反応前後の1H−N
MR測定の結果より、得られたスルホン化重合体は、フ
ルオレン環あたり実質4個のスルホン酸が導入された重
合体であることが確認された。
【0139】そして、このスルホン化ポリマー200m
gをN−メチルピロリドン2mlに溶解し、ガラス板上
に流延した後、溶媒を留去することで、厚さ約15μm
の強靱な高分子膜が得られた。さらに、この高分子膜を
80℃の蒸留水中で1時間浸漬処理した後、イオン伝導
性測定を行ったところ、0.12S/cmの値を得た。
また、この高分子膜を80℃の熱水中で耐久性試験を行
ったが、膜の形態に明らかな変化は認められなかった。
さらに、この高分子膜に触媒層を転写する加工性テスト
をしたところ、触媒層は均一にコートされ、はがれは認
められなかった。加えて、(株)島津製作所製、TGA
−50を用い、アルゴン雰囲気中で昇温速度10℃/分
の条件で耐熱性試験を行なったところ、3%質量減少温
度は301℃という結果となった。
【0140】<実施例2>まず、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホンの代わりに、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−2,2−ヘキサフルオロプロパン(略称6
FBA、東京化成工業(株)製)0.73g(2.17
mmolに相当)を用いる以外は、実施例1と同様の条
件で、重合体を合成した。
【0141】その結果、この際の収率は、92%であ
り、得られた重合体の対数粘度は、0.56dl/gで
あった。
【0142】続いて、反応温度を50℃とする以外は、
実施例1と同様の条件で得られた重合体のスルホン化反
応を行ったところ、この際の収率は84%であり、得ら
れたスルホン化重合体の対数粘度は0.59dl/gで
あった。また、当該重合体のスルホン化前後の1H−N
MRを比較することにより、得られたスルホン化重合体
は、フルオレン環に4個のスルホン酸基が定量的に導入
された重合体であることが確認された。
【0143】続いて、このスルホン化重合体200mg
をN−メチルピロリドン12mlに溶解し、ガラス板上
に流延した後、溶媒を留去することで、厚さ約15μm
の強靱な高分子膜が得られた。そして、この高分子膜を
80℃の蒸留水中で1時間浸漬処理した後、イオン伝導
性測定を行ったところ、0.11S/cmの値を得た。
また、この高分子膜を80℃の熱水中で耐久性試験を行
ったが、膜の形態に明らかな変化は認められなかった。
さらに、得られた膜に触媒層を転写する加工性テストを
したところ、触媒層は均一にコートされ、はがれは認め
られなかった。また、(株)島津製作所製TGA−50
を用い、アルゴン雰囲気中で昇温速度10℃/分の条件
で耐熱性試験を行なったところ、3%質量減少温度は2
95℃という結果となった。
【0144】<比較例1>ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホンの代わりに、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−2,2−プロパン(略称BA、ナカライテスク
製)0.50gを用いること以外は、実施例1と同様に
して重合体を合成した。その結果、この際の収率は、9
4%であり、得られた重合体の対数粘度は0.62dl
/gを示した。
【0145】続いて、このポリマーを反応温度を30℃
とすること以外は、実施例1と同様の条件でスルホン化
したところ、この際の収率は、85%であり、得られた
スルホン化重合体の対数粘度は0.61dl/gであっ
た。また、当該重合体のスルホン化前後の1H−NMR
の測定結果を比較することにより、得られたスルホン化
重合体は、フルオレン環に2個のスルホン酸基が定量的
に導入されるとともに、BA芳香族環にもスルホン酸基
が導入されていることが認められた。
【0146】次に、このスルホン化重合体200mgを
N−メチルピロリドン12mlに溶解し、ガラス板上に
流延した後、溶媒を留去することで、厚さ約15μmの
高分子膜を作製した。そして、この高分子膜のイオン伝
導性測定を行ったところ、測定中に膜が変形して測定で
きなかった。また、この高分子膜を80℃の熱水中で耐
久性試験を行ったが、膨潤とともに膜の形態に崩れが認
められた。さらに、得られた膜に触媒層を転写する加工
性テストをしたところ、均一に転写するが、極一部に未
転写部が見られるという結果を得た。また、(株)島津
製作所製、TGA−50を用い、アルゴン雰囲気中で昇
温速度10℃/分の条件で耐熱性試験を行なったとこ
ろ、3%質量減少温度は279℃という結果となった。
【0147】<分析結果および性能評価>ここで、実施
例1〜2および比較例1において得られた重合体につい
て実施した、(i)溶液粘度、(ii)NMRスペクト
ルなどの測定は、下記の測定方法に従った。NMRスペ
クトルを除く測定結果を表1にまとめる。NMRスペク
トルの測定結果は、本明細書においては省略するものと
する。
【0148】また、実施例1〜2および比較例1におい
て得られた高分子電解質膜について実施した、(ii
i)イオン伝導性測定、(iv)加工性、(v)耐久
性、(vi)耐熱性などの測定あるいは評価は、下記の
測定方法あるいは評価方法に従った。結果を表1にまと
める。 <測定方法および評価方法> (i)溶液粘度の測定 得られた重合体の粉末を、0.5g/dlの濃度となる
ようにN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽
中でウベローデ粘度計を用いて粘度測定を行なった。測
定した溶液粘度は、対数粘度({ln(ta/tb)}
/c、taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落
下秒数、cはポリマー濃度(単位g/dl))で評価し
た。
【0149】(ii)NMRスペクトルの測定 得られた重合体からなる試料を、重水素化DMSOに溶
解し、Varian社製、Unity−500(1H−
NMR、温度80℃)およびGemini−200(1
3C−NMR、温度60℃)を用いて測定した。次に、
測定スペクトルを分析し、重合体の化学構造を推測し
た。
【0150】(iii)イオン伝導性の測定 自作測定用プローブ(テフロン(R)製)上で、得られ
た高分子電解質膜からなる短冊状膜試料の表面に白金線
(直径:0.2mm)を押しあて、80℃、95%RH
の恒温、恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所
製、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間の
インピーダンスをSOLARTRON社製、1250F
REQUENCY RESPONSE ANALYSE
Rにより測定した。
【0151】測定の際には、極間距離を変化させて測定
し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測
定値をプロットした勾配から、下記の式により膜と白金
線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出し、当該
高分子電解質膜のイオン伝導性とした。
【0152】導電率の計算式:導電率[S/cm]=1
/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/c
m] (iv)加工性の評価 白金担持量が20wt%であるカーボンブラック0.7
2gと、ナフィオン(R)溶液(デュポン社製、「ナフ
ィオン(R)」溶液20%)1gとを、均一になるよう
にグリセリン5gに混合分散することによって、ペース
トを調整した。次いで、テフロン(R)フィルム(FE
P)の一方の面に、このペーストをアプリケーターを用
いて塗布、減圧乾燥することにより、テフロン(R)フ
ィルム上に触媒層を形成した。
【0153】続けて、平板プレスのプレス板の間に、触
媒層が高分子電解質膜と接触するようにして、テフロン
(R)フィルムと高分子電解質膜とを180℃、5MP
aの条件で3分間挟持した後に、テフロン(R)フィル
ムを高分子電解質膜から剥離することにより、触媒層を
固体高分子電解質膜に転写した。その際の触媒層の接着
状況を観察して、下記の基準に従って評価した。 ◎:均一に転写されている ○:均一に転写されているが、極一部に未転写部が認め
られる △:部分的に未転写部が認められる ×:未転写部が多い (v)耐久性の評価 高分子電解質膜からなるフィルム試料を、溶封したアン
プル中で、80℃の水中に浸漬して3日間放置した。処
理前後のフィルム形態の変化を目視で観察し、下記の基
準に従って耐久性の評価を行った。 ◎:形態変化なし ○:わずかに膨潤が認められる △:形態の崩れが認められる ×:溶解してしまっている (vi)耐熱性の評価 高分子電解質膜からなるフィルム試料を、(株)島津製
作所製、TGA−50を用いてアルゴン雰囲気中で昇温
速度10℃/分で、3%質量減少温度を測定した。
【0154】
【表1】
【0155】表1の結果より、本発明のスルホン化フッ
素含有重合体を含有する高分子電解質膜は、イオン伝導
性、加工性、耐久性、耐熱性に優れたものであることが
わかる。
【0156】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0157】
【発明の効果】本発明のスルホン化フッ素含有重合体
は、スルホン酸基の導入量を高度に制御できるため、優
れたイオン伝導性に加え、物理強度、耐久性、耐熱性、
加工性にも優れた高分子電解質膜の素材として好適に用
いることが可能である。また、本発明のスルホン化フッ
素含有重合体は、製造工程が簡便であるため、品質が安
定しており、製造コストが低いという優れた性質を有す
る。
【0158】同様に、本発明の樹脂組成物も、優れたイ
オン伝導性に加え、物理強度、耐久性、耐熱性、加工性
にも優れた高分子電解質膜の素材として好適に用いるこ
とが可能である。また、本発明の樹脂組成物も、品質が
安定しており、製造コストが低いという優れた性質を有
する。
【0159】さらに、本発明の高分子電解質膜も同様
に、優れたイオン伝導性、物理強度、耐久性、耐熱性、
および加工性、を有し、かつ、品質が安定しており、製
造コストが低いため、燃料電池などの素材として好適に
用いることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // H01M 8/10 H01M 8/10 C08L 71:00 C08L 71:00 Z (72)発明者 ▲高▼瀬 敏 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 小長谷 重次 東京都中央区日本橋小網町17−9 東洋紡 績株式会社東京支社内 (72)発明者 五味 知紀 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 株 式会社日本触媒内 (72)発明者 奥村 康則 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12 株 式会社日本触媒内 (72)発明者 表 和志 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4F071 AA51 AA78 AA88 AH15 4J005 AA24 BD04 BD06 5G301 CA30 CD01 5H026 AA06 CX05 EE19 HH00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(1)で表わされる繰返し単位
    と、下記の式(2)で表わされる繰返し単位とを含有す
    るスルホン化フッ素含有重合体。 −Ar1−O−Ar2−O−・・・(1) (式(1)において、Ar1は下記の式(3)で表わさ
    れる結合単位を示し、Ar2は下記の式(4)で表わさ
    れる結合単位を示す。) −Ar1−O−Ar3−O−・・・(2) (式(2)において、Ar1は下記の式(3)で表わさ
    れる結合単位を示し、Ar3は下記の式(5a)〜(5
    e)のいずれかで表わされる結合単位を示す。) 【化1】 (式(3)においては、Aはケトン基またはスルホン基
    を示す。C〜GまたはH〜Lよりなる各群から選ばれる
    各1個の部位は、ポリマー鎖を形成する結合を構成し、
    残りの部位は水素またはハロゲン原子、低級アルキル基
    または低級アルコキシル基である。さらに、式(3)お
    よび式(4)においては、C〜G、H〜L、M〜Qおよ
    びR〜Vよりなる群から選ばれる少なくとも1個の部位
    はフッ素原子である。) 【化2】 (式(4)においては、Bは直接結合、スルホン基、ケ
    トン基、エーテル基または炭素数1〜6のアルキリデン
    基を示す。また、M〜QまたはR〜Vよりなる各群から
    選ばれる各1個の部位は、ポリマー鎖を形成する結合を
    構成し、残りの部位は水素またはハロゲン原子、低級ア
    ルキル基または低級アルコキシル基である。さらに、式
    (3)および式(4)においては、C〜G、H〜L、M
    〜QおよびR〜Vよりなる群から選ばれる少なくとも1
    個の部位はフッ素原子である。) 【化3】 (式(5a)〜(5e)のいずれかにおいて、n1〜n
    19は芳香族環あたりのスルホン酸基の配位数を表わし、
    1〜n19は0〜2の整数であり、n1+n2+n3は1〜
    6の整数であり、n4+n5+n6+n7,n8+n9+n10
    +n11,n12+n 13+n14+n15,n16+n17+n18
    19は1〜8の整数である。Z1〜Z19は、炭素原子数
    1〜6の低級アルキル基、炭素原子数1〜6の低級アル
    コキシル基、炭素原子数1〜6の低級カルボキシル基、
    炭素原子数1〜6の低級カルボニル基、ニトロ基、アミ
    ノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、よりなる群から
    選ばれる一種または二種以上の官能基であり、r1〜r
    19は、芳香族環あたりのZ1〜Z19で表わされる官能基
    の配位数を表わし、rk(k=14、15)は0〜3の
    整数であり、rk(k=2,3,5,6,8〜11,1
    2〜13,16〜19)は0〜4の整数であり、r
    k(k=1,4,7)は0〜5の整数である。また、nk
    +rk≦3(k=14、15)、nk+rk≦4(k=
    2,3,5,6,8〜13,16〜19)、nk+rk
    5(k=1,4,7)である。)
  2. 【請求項2】 式(5a)〜(5e)のいずれかで示さ
    れるAr3において、r1〜r19は0であることを特徴と
    する請求項1に記載のスルホン化フッ素含有重合体。
  3. 【請求項3】 式(5a)〜(5e)のいずれかで示さ
    れるAr3において、n1〜n19は1であることを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載のスルホン化フッ素
    含有重合体。
  4. 【請求項4】 式(1)および式(2)で表わされる繰
    返し単位のモル数の合計に対する、式(1)で表わされ
    る繰返し単位のモル比がαであり、式(2)で表わされ
    る繰返し単位のモル比が1−αであり、かつ、両者のモ
    ル比が0.5≦α/1−α≦10の式を満たすことを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスルホン化フ
    ッ素含有重合体。
  5. 【請求項5】 対数粘度が0.1以上であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載のスルホン化フッ
    素含有重合体。
  6. 【請求項6】 式(1)および式(2)で表わされる繰
    り返し単位のモル数の合計が、重合体全体に含まれる繰
    返し単位のうち50〜100モル%であることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載のスルホン化フッ素
    含有重合体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のスルホ
    ン化フッ素含有重合体を含有する樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の樹脂組成物を含有する
    高分子電解質膜。
JP2001352043A 2001-11-16 2001-11-16 スルホン化フッ素含有重合体、それを含有する樹脂組成物および高分子電解質膜 Withdrawn JP2003147076A (ja)

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