JP5649017B2 - 芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、芳香族ポリエーテル系重合体およびその製造方法、さらに詳細には高出力、高エネルギー容量および高耐久性を達成することができる実用性に優れた高分子電解質材料として有用な芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法に関するものである。
燃料電池は、排出物が少なく、かつ高エネルギー効率で環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に替わり、携帯電話やパソコンなどへの搭載が期待されている。
高分子電解質型燃料電池においては、水素ガスを燃料とする従来の高分子電解質型燃料電池(以下、PEFCと記載する)に加えて、メタノールを直接供給するダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFCと記載する)も注目されている。DMFCは、従来のPEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器を用いないために、エネルギー密度が高くなり、一充填あたりの携帯機器の使用時間が長時間になるという利点がある。
燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソード間のイオン伝導体となる電解質膜とが、膜―電極複合体(以降、MEA略称することがある。)を構成し、このMEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、実際に電気化学的反応場となる電極触媒層とから構成されている。たとえば、高分子電解質型燃料電池のアノード電極では、水素ガスなどの燃料がアノード電極の触媒層で反応して、プロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは高分子電解質膜へと伝導する。このため、アノード電極には、ガスの拡散性、電子伝導性、イオン伝導性が良好なことが要求される。一方、カソード電極では、酸素や空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、高分子電解質膜から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソード電極においては、ガス拡散性、電子伝導性、イオン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
特に、高分子電解質型燃料電池の中でも、メタノールなどの有機溶媒を燃料とするDMFC用高分子電解質膜においては、水素ガスを燃料とする従来のPEFC用の高分子電解質膜に要求される性能に加えて、メタノールなどの燃料透過抑制も要求される。高分子電解質膜のメタノール透過は、メタノールクロスオーバー(以降、MCOと略称することがある。)、ケミカルショートとも呼ばれ、電池出力およびエネルギー効率が低下するという問題を引き起こす。
これまで高分子電解質型燃料電池の電解質膜においては、例えばパーフルオロスルホン酸系ポリマーであるナフィオン(登録商標)(Nafion(登録商標))が用いられてきた。しかし、ナフィオン(登録商標)は多段階合成を経て製造されるパーフルオロ系ポリマーであるため非常に高価なものとなっており、かつ、クラスター構造を形成するために水と親和性の高いメタノールなどの燃料が電解質膜を透過しやすい、すなわち燃料クロスオーバーが大きいという課題があった。また、耐熱水性や耐熱メタノール性が不足するため、膨潤によって膜の機械的強度が低下するという問題、さらに、使用後の廃棄処理の問題や、材料のリサイクルが困難といった課題もあった。そこで、これら高分子電解質型燃料電池の実用化のためには安価で、耐熱水性、耐熱メタノール性、機械特性に優れた高分子電解質材料が市場から望まれていた。
ここで、耐熱水性、耐熱メタノール性に優れるとは、それぞれ高温水中、高温メタノール中での寸法変化(膨潤)が小さいことを意味する。この寸法変化が大きい場合には、高分子電解質膜として使用している途中に膜が破損してしまったり、膨潤で電極触媒層と剥離し、抵抗が大きくなるので好ましくない。また、機械特性に劣る高分子電解質材料を使用した場合には、長時間発電を行うと膜が破損したり、ピンホールが生成したりなどして好ましくない。これら耐熱水性、耐熱メタノール性、機械特性などの性能はいずれも高分子電解質型燃料電池に使用される高分子電解質材料に要求される重要な性質である。
このような欠点を克服するために非パーフルオロ系の炭化水素系ポリマーをベースとした高分子電解質材料についても既にいくつかの取り組みがなされている。ポリマー骨格としては、耐熱性、化学的安定性の点から芳香族ポリエーテルケトンや芳香族ポリエーテルスルホンについて特に活発に検討がなされてきた。例えば、難溶性の芳香族ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス(登録商標)PEEK(登録商標)(ビクトレックス社製)等が挙げられる+)のスルホン化物(例えば、非特許文献1参照。)、芳香族ポリエーテルスルホンであるポリスルホン(以降、PSFと略称することがある。)(UDEL P−1700(アモコ社製)等があげられる)やポリエーテルスルホン(以降、PESと略称することがある。)(スミカエクセルPES(住友化学社製)等があげられる)のスルホン化物(例えば、非特許文献2)等が報告されたが、高温高湿下でポリマーが膨潤する問題を抱えており、特にメタノールなど燃料水溶液中やスルホン酸基密度が高くなる組成においてはその傾向が顕著であった。また、これらポリマーのスルホン化反応(高分子反応)により芳香環上にスルホン酸基を導入する方法ではポリマー中に導入するスルホン酸基の量および位置を精密に制御できないという問題点を有していた。
これを改善する方法としてスルホン酸基を導入したモノマーを用いた重合により得た、スルホン酸基量が制御されたスルホン化芳香族ポリエーテルの報告がなされ(例えば、特許文献1、非特許文献3参照)、また重合する際のビスフェノール、スルホン酸基含有芳香族ジハライドおよびスルホン酸基を含有しない芳香族ジハライドの仕込み比についての記載がある。しかしながら、ここにおいて前記仕込み比は、(ビスフェノールのモル数)=(スルホン酸基含有芳香族ジハライドのモル数)+(スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライドのモル数)であり、我々の追試ではこういった条件で十分な高分子量体を得ることは不可能であり、得られたポリマーからなる高分子電解質材料は耐熱水性、耐熱メタノール性、機械強度が不十分であった。特に、スルホン酸基含有芳香族ジハライドおよびスルホン酸基を含有しない芳香族ジハライドの仕込み比についても、(スルホン酸基含有芳香族ジハライド)/(スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド)比が4/6を越える領域では十分な高分子量体を得る技術は見出されていなかった。
このように、これまで知られる製造方法で得られる高分子電解質材料はいずれも上述した高プロトン伝導性、耐熱水性、耐熱メタノール性、機械特性、経済性の全てを同時に満たすものではなく、更に高度な要求を満たす高分子電解質材料の製造方法の開発が待ち望まれていた。
「ポリマー」(Polymer), 1987, vol. 28, 1009. 「ジャーナル オブ メンブレン サイエンス」(Journal of Membrane Science), 83 (1993) 211-220. 「マクロモル ケム フィズ」(Macromol. Chem. Phys.), 199, 1421-1426 (1998). 特表2004−509224号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、高プロトン伝導性、耐熱水性、耐熱メタノール性、機械特性に優れた芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法は少なくともビスフェノール(A1)、スルホン酸基含有芳香族ジハライド(B1)、スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド(C1)から得られる、重量平均分子量が10万以上、100万以下の、高分子電解質材料として使用される芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法において、前記(A1)、(B1)および(C1)をそれぞれ下記比率で重合せしめることを特徴とするものである。
A1:1モル
B1:b×cモル(ただし、b=0.3〜0.99、c=1.035〜1.2)
C1:(1−b)モル
本発明によれば、高プロトン伝導度、耐熱水性、耐熱メタノール性、機械特性に優れた芳香族ポリエーテル系重合体、さらには高出力、高エネルギー容量および高耐久性を達成することができる実用性に優れた高分子電解質材料を、安定して提供することができる。該芳香族ポリエーテル系重合体は高分子電解質型燃料電池としたときに高出力、高エネルギー密度、高耐久性を達成することができる高分子電解質材料として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、前記課題、つまり高プロトン伝導性、耐熱水性、耐熱メタノール性、機械特性に優れる上に、高分子電解質型燃料電池としたときに高出力、高エネルギー密度、高耐久性を達成することができる高分子電解質材料として好適な芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法について、鋭意検討し、少なくともビスフェノール(A1)、スルホン酸基含有芳香族ジハライド(B1)、スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド(C1)から得られる芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法において、前記(A1)、(B1)および(C1)をそれぞれ下記比率、すなわち、スルホン酸基を含有する芳香族ジハライド(B1)、およびスルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド(C1)の和を(A1)に比べてやや多めに配合する特定な条件で重合せしめてみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
A1:1モル
B1:b×cモル(ただし、b=0.3〜0.99、c=1.035〜1.2)
C1:(1−b)モル
従来の芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法を用いた場合、すなわち、前記(A1)、(B1)および(C1)を理論量どおり、それぞれ下記比率で重合せしめた場合には、十分な高分子量化が困難であるため、機械特性が不足して長期間使用した場合に膜が破損したり、耐熱水性が不足して高温高湿度下で膨潤したり、耐熱メタノール性が不足して燃料クロスオーバー抑制効果が不足し、実用的な高分子電解質材料として使用することは困難であった。
A1:1モル
B1:bモル(ただし、b=0.01〜0.99)
C1:(1−b)モル
これに対し、本発明によって得られた芳香族ポリエーテル系重合体は、従来の方法と比較してc倍モル量の(B1)を使用することにより、芳香族ポリエーテル系重合体の十分な高分子量体が得られ、実用性に優れた高分子電解質材料を提供することができたものである。また、本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体の高分子量体からなる高分子電解質材料は、耐熱水性、耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果ならびに機械特性を完全に両立するという優れた特徴を有する。さらに、高分子量化が不十分であるために、これまで使用することができなかった高いスルホン酸基密度を有する芳香族ポリエーテル系重合体を使用しても、プロトン伝導性と耐熱水性、耐熱メタノール性を両立し、かつ、機械特性にも優れた高分子電解質材料を提供することに成功したものである。
本発明で採用する前記(B1)の比率としては、高分子量化の点から係数cが、1.035〜1.2であることが重要であり、好ましくは1.035〜1.10、より好ましくは1.035〜1.08、最も好ましくは1.04〜1.07である。係数cが1.035未満あるいは1.2を越える場合には、得られるポリマーの重量平均分子量が不足するので好ましくない。
また、得られる芳香族ポリエーテル系重合体の耐熱水性と耐熱メタノール性の点から、bが0.3〜0.99であることが重要であり、好ましくは0.3以上0.8以下、より好ましくはbが0.3以上0.6以下である。bが0.3未満では伝導性が不足する場合があり、0.8を越える場合には耐熱水性が不足する場合があり、好ましくない。
前記(C1)の比率としては、(B1)のbを1から差し引いた、つまり(1−b)モルが採用される。
なお、本発明において、得られる芳香族ポリエーテル系重合体の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定するものとする。展開溶媒として臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒を使用し、検出器は紫外検出器を用い、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を求めるものとする。
本発明において、芳香族ポリエーテル系重合体とは主として芳香環から構成される重合体において、芳香環ユニットが連結する様式としてエーテル結合が含まれているものをいう。エーテル結合以外に、直接結合、ケトン、スルホン、スルフィド、各種アルキレン、イミド、アミド、エステル、ウレタン等、芳香族系ポリマーの形成に一般的に使用される結合様式が存在していても良い。エーテル結合は主構成成分の繰り返し単位あたり1個以上あることが好ましい。芳香環は炭化水素系芳香環だけでなく、ヘテロ環などを含んでいても良い。また、芳香環ユニットと共に一部脂肪族系ユニットがポリマーを構成していてもかまわない。芳香族ユニットは、アルキル基、アルコキシ基、芳香族基、アリーロキシ基等の炭化水素系基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基、カルボキシル基、ホスホン酸基、水酸基等、任意の置換基を有していても良い。
また、本発明において耐熱水性、耐熱メタノール性に優れるとは、それぞれ高温水中、高温メタノール中での寸法変化(膨潤)が小さいことを意味する。この寸法変化が大きい場合には、高分子電解質材料として長期間使用している途中に膜が破損したり、ピンホールができたり、膨潤で電極触媒層と剥離し、抵抗が大きくなるので好ましくない。これら耐熱水性、耐熱メタノール性の特性はいずれも高分子電解質型燃料電池に使用される高分子電解質材料に要求される重要な特性である。
本発明に使用される芳香族ポリエーテル系重合体の合成方法としては、例えばビスフェノール、スルホン酸基含有芳香族ジハライドおよびスルホン酸基を含有しない芳香族ジハライドの芳香族求核置換反応を利用して合成することができる。
本発明に使用されるスルホン酸基含有芳香族ジハライドとしては、ビスフェノールとの芳香族求核置換反応により高分子量化が可能なスルホン酸基芳香族ジハライドであれば、特に限定されるものではない。なかでも重合活性および得られる高分子電解質材料の機械特性の点から、下記一般式(B2)で表される化合物および下記一般式(B3)で表される化合物がより好ましく使用される。なかでもコストの点から、下記一般式(B2)で表される化合物がさらに好ましく使用される。
Figure 0005649017
(式(B2)中、Xはハロゲン、Yは−CO−、−SO−および−PORp−(Rpは任意の有機基)から選ばれた基、MおよびMはH、金属カチオン、アンモニウムカチオンから選ばれた基、a1およびa2は1〜4の整数を表す。式(B2)で表される化合物はさらに置換されていてもよい。)
Figure 0005649017
(式(B3)中、Xはハロゲン、RfおよびRfは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、Arは芳香環を有する2価の基、M〜MはH、金属カチオン、アンモニウムカチオンから選ばれた基、a3〜a5は同時に0ではない0〜4の整数を表す。式(B3)で表される化合物はさらに置換されていてもよい。)
前記式(B2)で表されるスルホン酸基含有芳香族ジハライドのより好適な具体例としては、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、等を挙げることができる。なかでも耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点から3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンがより好ましく、重合活性の点から3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが最も好ましい。
これらのスルホン酸基は、重合の際には、スルホン酸基が1価カチオン種との塩になっていることが好ましい。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類等でも良く、これらに制限される訳ではない。これら芳香族活性ジハライド化合物は、単独で使用することができるが、複数の芳香族活性ジハライド化合物を併用することも可能である。
本発明において2種以上のビスフェノールを併用する場合、ビスフェノールの合計モル量を1モルとして、前記(B1)および(C1)の比率を算出することとする。
また、スルホン酸基を含有しない前記芳香族ジハライドとしては、ビスフェノールとの芳香族求核置換反応により、高分子量化が可能な芳香族ジハライドであれば、特に限定されるものではない。なかでも重合活性および得られるポリマーの機械特性の点から、下記一般式(C2)で表される化合物、下記一般式(C3)で表される化合物、2,6−ジクロロベンゾニトリルおよび2,6−ジフルオロベンゾニトリル等がより好ましい。なかでもコストの点から、下記一般式(C2)で表される化合物がさらに好ましい。
Figure 0005649017
(式(C2)中、Xはハロゲン、Yは−CO−、−SO−および−PORp−(Rpは任意の有機基)から選ばれた基を表す。式(C2)で表される化合物は置換されていてもよいが、スルホン酸基は含有しない。)
Figure 0005649017
(式(C3)中、Xはハロゲン、RfおよびRfは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、Arは芳香環を有する2価の基を表す。式(C3)で表される化合物はさらに置換されていてもよいが、スルホン酸基は含有しない。)
前記式(C2)で表される芳香族ジハライドのより好適な具体例としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルケトン、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、等を挙げることができる。中でも4,4’−ジクロロジフェニルケトン、4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが耐熱メタノール性、耐熱水性の点からより好ましく、重合活性の点から4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが最も好ましい。これら芳香族ジハライド化合物は、単独で使用することができるが、複数の芳香族活性ジハライド化合物を併用することも可能である。
本発明において2種以上のビスフェノールを併用する場合、ビスフェノールの合計モル量を1モルとして前記(B1)および(C1)の比率を算出することとする。
これらのなかでも、スルホン酸基含有芳香族ジハライド(B1)として一般式(B2)、スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド(C1)として一般式(C2)で表されるモノマーを使用することが、得られるポリマーの耐熱水性、耐熱メタノール性の点からさらに好ましい。なかでも式(B2)中のYおよび式(C2)中のYがともに−CO−であるモノマーが最も好ましく使用される。
また、本発明に使用されるビスフェノールとしては、芳香族ジハライドとの芳香族求核置換反応により高分子量化が可能なものであれば、特に限定されるものではなく、2種以上のビスフェノールを併用することも可能である。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物にイオン性基が導入されたものをモノマーとして用いることもできる。本発明において、2種以上のビスフェノールを併用する場合、ビスフェノールの合計モル量を1モルとして前記(B1)および(C1)の比率を算出することとする。
「本発明において、ビスフェノール(A1)、スルホン酸基含有芳香族ジハライド(B1)、スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド(C1)以外に、必要に応じてハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物を使用することも可能である。該ハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物は分子内にハロゲンとヒドロキシル基を両方有しているため、本発明で規定している(A1)、(B1)および(C1)の存在比に影響を与えることはなく、必要に応じて添加することができる。
ハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物の具体例としては、4−ヒドロキシ−4’−クロロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−クロロジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロジフェニルスルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−クロロフェニル)スルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−フルオロフェニル)スルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−クロロフェニル)ケトン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−フルオロフェニル)ケトン、等を例として挙げることができる。これらは、単独で使用することができるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。さらに、活性化ジハロゲン化芳香族化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物の反応においてこれらのハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物を共に反応させて芳香族ポリエーテル系化合物を合成しても良い。ただし、本発明においてハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物の使用モル数は前記(A1)、(B1)および(C1)の使用モル数には含まれないこととする。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体は、耐熱水性、耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点から、ビスフェノール残査として少なくとも下記一般式(P6)〜(P8)から選ばれた構成単位を有することがより好ましい。
Figure 0005649017
(式(P6)〜(P8)中、ZはH、アルキル基およびアリール基から選ばれた基、Zは直接結合、メチレン基、−CO−、−SO−、OおよびSから選ばれた基、Zは−CO−または−SO−、ZはO、SおよびNR(Rは任意の有機基)を表す。式(P6)〜(P8)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
なかでも、最も好ましくは式(P6)または(P7)から選ばれ、前記Zがフェニル基、前記Zが直接結合である基を有するものがさらに好ましい。
ビスフェノール残査の好適な具体例としては、ハイドロキノン系化合物残査、ジヒドロキシナフタレン系化合物残査、ならびに下記一般式(X−1)〜(X−16)で示されるビスフェノール残査を例示できる。これらは置換基を有していてもよい。これらの中でも一般式(X−6)〜(X−13)で示されるビスフェノール残査は、燃料透過抑制効果が大きく、燃料中での寸法安定性向上に有効であるため、かかるビスフェノール残査のうち少なくとも1種類を芳香族ポリエーテル系重合体に含有させることが好ましい。かかる一般式(X−6)〜(X−13)で示されるビスフェノール残査の中でも、より好ましいのは一般式(X−7)および一般式(X−8)で示されるものであり、最も好ましいのは一般式(X−7)で示されるビスフェノール残査である。
Figure 0005649017
本発明において行う芳香族求核置換反応による重合は、上記モノマー混合物を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合反応は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。重合反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際はトルエンなどを反応系に共存させて、共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水剤を使用することもできる。
芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50重量%となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、50重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体のGPC法による重量平均分子量は、好ましくは10万から100万、より好ましくは20万から80万、さらに好ましくは30万から60万である。かかる重量平均分子量が、10万未満では、電解質膜を長期間使用した場合にクラックやピンホールが発生するなど機械特性が不十分な場合がある。一方、100万を越えると、溶解性が不十分となり、また溶液粘度が高すぎて加工性に劣る場合がある。
本発明に使用されるビスフェノール、スルホン酸基含有芳香族ジハライドおよびスルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド等の原料モノマーの純度は、本発明の目的を損なわない程度に高純度であれば問題ないが、98%以上であることが好ましく、さらに好ましくは99%以上である。
ビスフェノールやスルホン酸基を含有しない芳香族ジハライドの純度は、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により分析することが可能である。また、
スルホン酸基含有ジハライドの純度分析については特に限定されるものではないが、有機物についてはキャピラリー電気泳動(CE)あるいは液体クロマトグラフィー、無機物についてはイオンクロマトグラフ法(IC)等により純度を測定することが可能である。スルホン酸基含有芳香族ジハライドについては、吸湿性の高い化合物であることから水分率を確認する必要があり、水分率測定方法としてはカールフィッシャー法等が挙げられる。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体は、イオン性基としてスルホン酸基を含む必要があるが、その他のイオン性基を併用することもできる。併用することができるイオン性基としては、負電荷を有する原子団であれば特に限定されるものではないが、プロトン交換能を有するものが好ましく使用される。このようなイオン性基としては、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基が好ましく用いられる。
ここで、スルホン酸基は下記一般式(f1)で表される基、スルホンイミド基は下記一般式(f2)で表される基[式中Rは任意の原子団を表す。]、硫酸基は下記一般式(f3)で表される基、ホスホン酸基は下記一般式(f4)で表される基、リン酸基は下記一般式(f5)または(f6)で表される基、カルボン酸基は下記一般式(f7)で表される基を、それぞれ意味する。
Figure 0005649017
かかるイオン性基は、前記官能基(f1)〜(f7)が塩となっている場合を含むものとする。前記塩を形成するカチオンとしては、任意の金属カチオン、NR (Rは任意の有機基)等を例として挙げることができる。金属カチオンの場合、その価数等特に限定されるものではなく、使用することができる。好ましい金属イオンの具体例を挙げるとすれば、Li、Na、K、Rh、Mg、Ca、Sr、Ti、Al、Fe、Pt、Rh、Ru、Ir、Pd等が挙げられる。中でも、高分子電解質膜としては、安価で、溶解性に悪影響を与えず、容易にプロトン置換可能なNa、Kがより好ましく使用される。
これらのイオン性基は、前記芳香族ポリエーテル系重合体中に2種類以上含むことができ、組み合わせることにより好ましくなる場合がある。組み合わせはポリマーの構造などにより適宜決められる。中でも、高プロトン伝導度の点から少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基を有することがより好ましく、耐加水分解性の点から少なくともスルホン酸基を有することが必要である。
芳香族ポリエーテル系重合体中のスルホン酸基の量は、スルホン酸基密度(mmol/g)の値として示すことができる。本発明における芳香族ポリエーテル系重合体のスルホン酸基密度は、プロトン伝導性、燃料クロスオーバーおよび機械強度の点から0.1〜5.0mmol/gであることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜3.0mmol/g、燃料クロスオーバーの点から最も好ましくは0.8〜2.0mmol/gである。スルホン酸基密度が、0.1mmol/gより低いと、プロトン伝導性が低いため十分な発電特性が得られないことがあり、5.0mmol/gより高いと燃料電池用電解質膜として使用する際に、十分な耐水性および含水時の機械的強度が得られないことがある。
ここで、スルホン酸基密度とは、乾燥した高分子電解質膜1グラムあたりに導入されたスルホン酸基のモル数であり、値が大きいほどスルホン酸基の量が多いことを示す。スルホン酸基密度は、中和滴定により求めることが可能である。
中和滴定の手順は下記のとおりである。測定は3回以上行ってその平均をとるものとする。
(1) 試料をミルにより粉砕し、粒径を揃えるため、目50メッシュの網ふるいにかけ、ふるいを通過したものを測定試料とする。
(2) サンプル管(蓋付き)を精密天秤で秤量する。
(3) 前記(1)の試料 約0.1gをサンプル管に入れ、40℃で16時間、真空乾燥する。
(4) 試料入りのサンプル管を秤量し、試料の乾燥重量を求める。
(5) 塩化ナトリウムを30重量%メタノール水溶液に溶かし、飽和食塩溶液を調製する。
(6) 試料に前記(5)の飽和食塩溶液を25mL加え、24時間撹拌してイオン交換する。
(7) 生じた塩酸を0.02mol/L水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液(0.1体積%)を2滴加え、薄い赤紫色になった点を終点とする。
(8) スルホン酸基密度は下記の式により求める。
スルホン酸基密度(mmol/g)=
〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/ml)×滴下量(ml)〕/試料の乾燥重量(g)
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体には、本発明の目的を阻害しない範囲において、他の成分、例えば導電性若しくはイオン伝導性を有さない不活性なポリマーや有機あるいは無機の化合物、が含有されていても構わない。
これら芳香族ポリエーテル系重合体に対してイオン性基を導入する方法としては、イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法と、高分子反応でイオン性基を導入する方法が挙げられる。本発明では、前記方法を用いてスルホン酸基を導入しているが、いずれの方法によりイオン性基を導入してもかまわない。
すなわち、イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法としては、繰り返し単位中にイオン性基を有したモノマーを用いれば良く、必要により適当な保護基を導入して重合後脱保護基を行えばよい。かかる方法としては、例えば Journal of Membrane Science,197(2002) 231-242 に記載された手段を採用することができる。
また、高分子反応でイオン性基を導入する方法について例を挙げて説明すると、芳香族系高分子へのホスホン酸基の導入は、例えばPolymer Preprints,Japan , 51, 750 (2002) 等に記載の方法によって可能である。芳香族系高分子へのリン酸基の導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子のリン酸エステル化によって可能である。芳香族系高分子へのカルボン酸基の導入は、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基を有する芳香族系高分子を酸化することによって可能である。芳香族系高分子への硫酸基の導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子の硫酸エステル化によって可能である。芳香族系高分子をスルホン化する方法、すなわちスルホン酸基を導入する方法としては、たとえば特開平2−16126号公報あるいは特開平2−208322号公報等に記載の方法を採用することができる。具体的には、例えば、芳香族系高分子をクロロホルム等の溶媒中でクロロスルホン酸のようなスルホン化剤と反応させたり、濃硫酸や発煙硫酸中で反応することによりスルホン化することができる。スルホン化剤には芳香族系高分子をスルホン化するものであれば特に制限はなく、上記以外にも三酸化硫黄等を使用することができる。この方法により芳香族系高分子をスルホン化する場合には、スルホン化の度合いはスルホン化剤の使用量、反応温度および反応時間により、容易に制御できる。芳香族系高分子へのスルホンイミド基の導入は、例えばスルホン酸基とスルホンアミド基を反応させる方法によって可能である。
本発明によって得られる高分子電解質材料を燃料電池用として使用する際には、通常膜の状態で使用される。しかしながら、本発明の高分子電解質材料は、膜状に限定されるものではなく、その形状としては、前述の膜状の他、板状、繊維状、中空糸状、粒子状、塊状など、使用用途によって様々な形態をとりうる。本発明の高分子電解質材料を膜状に成型する方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法あるいは溶融状態より製膜する方法等が可能である。
前者では、たとえば、該高分子電解質材料をN,N−ジメチルアセトアミド等の溶媒に溶解し、その溶液をガラス板等の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜する方法が例示できる。
製膜に用いる溶媒としては、芳香族ポリエーテル系重合体を溶解し、その後に除去し得るものであればよく、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはイソプロパノールなどのアルコール系溶媒、水およびこれらの混合物が用いられるが、非プロトン性極性溶媒が最も溶解性が高く好ましく採用される。
次いで、本発明によって得られた芳香族ポリエーテル系重合体は、スルホン酸基の少なくとも一部を金属塩の状態にしてから熱処理することが好ましい。かかる金属塩の金属はスルホン酸と塩を形成しうるものであればよいが、価格および環境負荷の点からはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Wなどが好ましく、これらの中でもLi、Na、K、Ca、Sr、Baがより好ましく、Li、Na、Kがさらに好ましい。この熱処理の温度は好ましくは150〜550℃、さらに好ましくは160〜400℃、特に好ましくは180〜350℃である。熱処理時間は、好ましくは10秒〜12時間、さらに好ましくは30秒〜6時間、特に好ましくは1時間前後である。熱処理温度が低すぎると、燃料透過性の抑制効果が不足する。一方、高すぎると膜材料の劣化を生じやすくなる。熱処理時間が10秒未満であると燃料透過性の抑制効果が不足する。一方、12時間を超えると膜材料の劣化を生じやすくなる。
かかる熱処理により得られた高分子電解質膜は、必要に応じて酸性水溶液に浸漬することによりプロトン置換することができる。この方法で成形することによって本発明の芳香族ポリエーテル系重合体からなる高分子電解質膜はプロトン伝導度と燃料遮断性をより良好なバランスで両立することが可能となる。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体からなる高分子電解質膜は、さらに必要に応じて放射線照射などの手段によって高分子構造を架橋せしめることもできる。かかる高分子電解質膜を架橋せしめることにより、燃料クロスオーバーおよび燃料に対する膨潤をさらに抑制する効果が期待でき、機械的強度が向上し、より好ましくなる場合がある。かかる放射線照射の種類としては例えば、電子線照射やγ線照射を採用することができる。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体からなる高分子電解質膜の膜厚としては、好ましくは1〜2000μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の強度を得るには1μmより厚い方がより好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには2000μmより薄い方が好ましい。かかる膜厚のさらに好ましい範囲は3〜500μm、特に好ましい範囲は5〜250μmである。かかる膜厚は、溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御することができる。
また、本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体からなる高分子電解質膜には、通常の高分子化合物に使用される可塑剤、安定剤あるいは離型剤等の添加剤を、本発明の目的に反しない範囲内で添加することができる。
また、本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体からなる高分子電解質膜には、前述の諸特性に悪影響をおよぼさない範囲内で機械的強度、熱安定性、加工性などの向上を目的に、各種ポリマー、エラストマー、フィラー、微粒子、各種添加剤などを含有させてもよい。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体からなる高分子電解質膜は、その20℃の条件下、30重量%メタノール水溶液に対する単位面積当たりのメタノール透過量が40μmol・min−1・cm−2以下であることが好ましい。該高分子電解質膜を用いた燃料電池において、燃料濃度が高い領域において高出力および高エネルギー容量が得られるという観点から、高濃度の燃料を用いることが望まれ、燃料透過量が小さいことが望まれるからである。
かかるメタノール透過量は、25℃の純水に高分子電解質膜を24時間浸漬した後で測定する。
かかる観点からは、0μmol・min−1・cm−2が最も好ましいが、プロトン伝導性を確保する観点からは0.01μmol・min−1・cm−2以上が好ましい。
なおかつ、本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体からなる高分子電解質膜は、単位面積当たりのプロトン伝導度が1S・cm−2以上であることが好ましく、2S・cm−2以上がより好ましい。プロトン伝導度は、25℃の純水に高分子電解質膜を24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、できるだけ素早く行う定電位交流インピーダンス法により測定することができる。
単位面積当たりのプロトン伝導度を1S・cm−2以上とすることにより、燃料電池用高分子電解質膜として使用する際に、十分なプロトン伝導性、すなわち十分な電池出力を得ることができる。プロトン伝導度は高い方が好ましいが、高プロトン伝導度の膜はメタノール水などの燃料により溶解や崩壊しやすくなり、また燃料透過量も大きくなる傾向があるので、現実的な上限は50S・cm−2である。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体からなる高分子電解質膜は、上記したような低メタノール透過量と高プロトン伝導度を同時に達成することが、高出力と高エネルギー容量を両立させる上から好ましい。
かかる高分子電解質膜を燃料電池として用いる際の高分子電解質膜と電極の接合法については特に制限はなく、公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, 269.記載の化学メッキ法、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology,1988, 135(9), 2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体は、種々の用途、例えば、体外循環カラム、人工皮膚などの医療用途、ろ過用用途、イオン交換樹脂用途、各種構造材用途、電気化学用途などに適用可能である。中でも種々の電気化学用途により好ましく利用することができる。かかる電気化学用途としては、例えば、燃料電池、レドックスフロー電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等が挙げられるが、中でも燃料電池が最も好ましい用途である。さらに燃料電池のなかでも、特に高分子電解質型燃料電池に好適に使用することができ、これには水素を燃料とするものとメタノールなどの有機化合物を燃料とするものがあり、炭素数1〜6の有機化合物およびこれらと水の混合物から選ばれた少なくとも1種を燃料とする直接型燃料電池に特に好ましく用いられる。かかる炭素数1〜6の有機化合物としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルが好ましく、メタノールが最も好ましく使用される。
さらに、本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体を使用した高分子電解質型燃料電池の用途としては、特に限定されないが、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDA、テレビ、ラジオ、ミュージックプレーヤー、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ゲーム機、ヘッドセット、DVDプレーヤーなどの携帯機器、産業用などの人型、動物型の各種ロボット、掃除機等の家電、乗用車、バス、トラックなどの自動車や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源として好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各物性の測定条件は次の通りである。
(1)プロトン伝導度
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、できるだけ素早く定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
測定装置としては、Solartron製電気化学測定システム(Solartron 1287 Electrochemical InterfaceおよびSolartron 1255B Frequency ResponseAnalyzer)を使用した。サンプルは、Φ2mmおよびΦ10mmの2枚の円形電極(ステンレス製)間に加重1kgをかけて挟持した。有効電極面積は0.0314cmである。サンプルと電極の界面には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15wt%水溶液を塗布した。25℃において、交流振幅50mVの定電位インピーダンス測定を行い、膜厚方向のプロトン伝導度を求めた。
(2)重量平均分子量
ポリマーの重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒)にて、40℃、流量0.2mL/minで測定し、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を求めた。
(3)耐熱水性および耐熱メタノール性
電解質膜の耐熱水性および耐熱メタノール性は60℃、30wt%メタノール水溶液中での寸法変化率を測定することにより評価した。電解質膜を長さ約5cm、幅約1cmの短冊状に切り取り、25℃の水中に24時間浸漬後、ノギスで長さ(L1)を測長した。該電解質膜を60℃の30wt%メタノール水溶液中に12時間浸漬後、再度ノギスで長さ(L2)を測長し、その寸法変化の大きさを目視で観察した。
(4)膜厚
ミツトヨ製グラナイトコンパレータスタンドBSG−20にセットしたミツトヨ製ID−C112型を用いて測定した。
(5)スルホン酸基含有ジハライドの純度分析
スルホン酸基含有ジハライドの純度分析をキャピラリー電気泳動(CE)およびイオンクロマトグラフ法(IC)により測定し、純度を算出した。CE分析はUV検出器、キャピラリーとしてヒューズドシリカを使用し、泳動液ホウ酸(pH9)、印加電圧ポジティブの条件で測定を行い、純度は検出ピークの面積百分率(%)で算出した。また、IC分析はDIONEX製DX−500を用い、アニオンは溶離液KOHグラジエントで、カチオンは溶離液メタンスルホン酸で測定した。水分率測定は三菱化成工業微量水分測定装置CA−05型を用いてカールフィッシャー法により測定した。
合成例1
下記式(G1)で表されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの合成
Figure 0005649017
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(アルドリッチ社試薬、純度99.9%)109.1gを発煙硫酸(50%SO)(和光純薬社試薬)150mL中、100℃で10h反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、上記式(G1)で示されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを得た。得られた化合物の純度は、CEおよびICから99.3%であった。水分率は0.1wt%であった。
実施例1
下記式(G2)で表されるポリマーの合成
Figure 0005649017
(式中、*はその位置で上式の右端と下式の左端とが結合していることを表す。)
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1L三口フラスコに、炭酸カリウム34.55g(アルドリッチ社製試薬、250mmol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン70.08g(大阪ガスケミカル社製、純度98.5%、200mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン21.82g(アルドリッチ社試薬、純度99.9%、100mmol)、および前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン44.97g(106.5mmol、係数c=1.065)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)300mL、トルエン150mL中、200℃で20時間重合を行った。多量の水で再沈殿することで精製を行い、上記式(G2)で示される芳香族ポリエーテル系重合体を得た。重量平均分子量は51万と大きかった。
得られた式(G2)の芳香族ポリエーテル系重合体を溶解させた20wt%N−メチルピロリドン(NMP)溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4h乾燥後、窒素下350℃で10分間熱処理し、高分子電解質膜を得た。該芳香族ポリエーテル系重合体の溶解性は極めて良好であった。25℃で1N塩酸に24時間浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄した。
得られた膜は膜厚41μm、体積当たりのプロトン伝導度は37mS/cmであった。また、60℃、30wt%メタノール水溶液中で9%寸法変化(膨潤)が認められた。伝導度が高く、耐熱メタノール性に優れていた。また、折り曲げても割れることはなく、機械特性に優れていた。
実施例2
下記式(G3)で表されるポリマーの合成
Figure 0005649017
(式中、*はその位置で上式の右端と下式の左端とが結合していることを表す。)
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン70.08g(大阪ガスケミカル社製、純度98.5%、200mmol)を4,4’−ジヒドロキシテトラフェルメタン70.49g(サンケミカル社製、純度100%、200mmol)、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン44.97g(106.5mmol、係数c=1.065)を43.71g(103.5mmol、係数c=1.035)に変えた以外は実施例1に記載の方法で、上記式(G3)で示される芳香族ポリエーテル系重合体を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は32万と大きかった。
式(G2)のポリマーを式(G3)のポリマーに変えた以外は実施例1に記載の方法で膜の作製を行った。ポリマーの溶解性は極めて良好であった。
得られた膜は膜厚43μm、体積当たりのプロトン伝導度は35mS/cmであった。また、60℃、30wt%メタノール水溶液中で10%寸法変化(膨潤)が認められた。伝導度が高く、耐熱メタノール性に優れていた。また、折り曲げても割れることはなく、機械特性に優れていた。
実施例3
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン21.82g(100mmol)を30.55g(140mmol)、および前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン44.97g(106.5mmol、係数c=1.065)を26.98g(63mmol、係数c=1.05)に変えた以外は実施例1に記載の方法で芳香族ポリエーテル系重合体を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は43万と大きかった。
式(G2)のポリマーを本実施例で得たポリマーに変えた以外は実施例1に記載の方法で膜の作製を行った。ポリマーの溶解性は極めて良好であった。
得られた膜は膜厚40μm、体積当たりのプロトン伝導度は10mS/cmであった。また、60℃、30wt%メタノール水溶液中で2%寸法変化(膨潤)が認められた。伝導度が低いものの、耐熱メタノール性に極めて優れていた。また、折り曲げても割れることはなく、機械特性に優れていた。
実施例4
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン21.82g(100mmol)を13.09g(60mmol)、および前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン44.97g(106.5mmol、係数c=1.065)を62.96g(149.1mmol、係数c=1.065)に変えた以外は、実施例1に記載の方法で芳香族ポリエーテル系重合体を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は24万と大きかった。
式(G2)のポリマーを本実施例で得たポリマーに変えた以外は実施例1に記載の方法で膜の作製を行った。ポリマーの溶解性は良好であった。
得られた膜は膜厚45μm、体積当たりのプロトン伝導度は89mS/cmであった。また、60℃、30wt%メタノール水溶液中で80%寸法変化(膨潤)が認められた。伝導度が高く、高いスルホン酸基量を有するにもかかわらず耐熱メタノール性も比較的良好であった。また、折り曲げても割れることはなく、機械特性に優れていた。
比較例1
市販のナフィオン(登録商標)117膜(デュポン社製)を用い、イオン伝導度、MCOおよび耐熱メタノール性を評価した。ナフィオン(登録商標)117膜は100℃の5%過酸化水素水中にて30分、続いて100℃の5wt%希硫酸中にて30分浸漬した後、100℃の脱イオン水でよく洗浄した。
膜厚209μm、面積当たりのプロトン伝導度は5.0S/cmであった。また、60℃、30wt%メタノール水溶液中で20%寸法変化(膨潤)が認められた。伝導度は高いが、耐熱メタノール性が不十分であった。また、折り曲げても割れることはなく、機械特性に優れていた。
比較例2
ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン44.97g(106.5mmol、係数c=1.065)を42.29g(100mmol、係数c=1.00)に変えた以外は、実施例1に記載の方法で芳香族ポリエーテル系重合体の合成を行った。得られたポリマーの重量平均分子量は11万と小さかった。
実施例1で得たポリマーを本比較例1で得たポリマーに変えた以外は実施例1に記載の方法で膜の作製を行った。ポリマーの溶解性は極めて良好であった。
得られた膜は膜厚43μm、体積当たりのプロトン伝導度は36mS/cmであった。60℃、30wt%メタノール水溶液中で15%寸法変化(膨潤)が認められた。伝導度は高いが、耐熱メタノール性がやや不足であった。また、得られた膜を折り曲げると割れてしまい、機械特性に劣っていた。
比較例3
ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン44.97g(106.5mmol、係数c=1.065)を42.29g(121mmol、係数c=1.21)に変えた以外は、実施例1に記載の方法で芳香族ポリエーテル系重合体の合成を行った。得られたポリマーの重量平均分子量は5万と小さく、ポリマーの回収ができなかった。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体は、種々の電気化学装置(例えば、燃料電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等)に適用可能である。これら装置の中でも、燃料電池用に好適であり、特にメタノール水溶液を燃料とする燃料電池に好適である。
本発明によって得られる芳香族ポリエーテル系重合体を用いた高分子電解質型燃料電池の用途としては、特に限定されないが、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ、デジタルカメラ、テレビ、ラジオ、ミュージックプレーヤー、ゲーム機、ヘッドセット、DVDプレーヤーなどの携帯機器、産業用などの人型、動物型の各種ロボット、コードレス掃除機等の家電、玩具類、電動自転車、自動二輪、自動車、バス、トラックなどの車両や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源、据え置き型の発電機など従来の一次電池、二次電池の代替、もしくはこれらとのハイブリット電源として好ましく用いられる。

Claims (6)

  1. 少なくともビスフェノール(A1)、スルホン酸基含有芳香族ジハライド(B1)、スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド(C1)から得られる、重量平均分子量が、10万以上、100万以下の、高分子電解質材料として使用される芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法において、前記(A1)、(B1)および(C1)をそれぞれ下記比率で重合せしめることを特徴とする芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法。
    A1:1モル
    B1:b×cモル(ただし、b=0.3〜0.99、c=1.035〜1.2)
    C1:(1−b)モル
  2. 該スルホン酸基含有芳香族ジハライド(B1)が、下記一般式(B2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法。
    Figure 0005649017
    (式(B2)中、Xはハロゲン、Yは−CO−、−SO−および−PORp−(Rpは任意の有機基)から選ばれた基、MおよびMはH、金属カチオン、アンモニウムカチオンから選ばれた基、a1およびa2は1〜4の整数を表す。式(B2)で表される化合物はさらに置換されていてもよい。)
  3. 該スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド(C1)が、下記一般式(C2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法。
    Figure 0005649017
    (式(C2)中、Xはハロゲン、Yは−CO−、−SO−および−PORp−(Rpは任意の有機基)から選ばれた基を表す。式(C2)で表される化合物は置換されていてもよいが、スルホン酸基は含有しない。)
  4. 該スルホン酸基含有芳香族ジハライド(B1)が下記一般式(B2)、該スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド(C1)が下記一般式(C2)で表されることを特徴する請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法。
    Figure 0005649017
    (式(B2)中、Xはハロゲン、Yは−CO−、−SO−および−PORp−(Rpは任意の有機基)から選ばれた基、MおよびMはH、金属カチオン、アンモニウムカチオンから選ばれた基、a1およびa2は1〜4の整数を表す。式(B2)で表される化合物はさらに置換されていてもよい。)
    Figure 0005649017
    (式(C2)中、Xはハロゲン、Yは−CO−、−SO−および−PORp−(Rpは任意の有機基)から選ばれた基を表す。式(C2)で表される化合物は置換されていてもよいが、スルホン酸基は含有しない。)
  5. 該一般式(B2)中のYおよび一般式(C2)中のYが、−CO−であることを特徴する請求項4に記載の芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法。
  6. 該芳香族ポリエーテル系重合体が、燃料電池用の高分子電解質材料として使用されるものであることを特徴する請求項1〜のいずれかに記載の芳香族ポリエーテル系重合体の製造方法。
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