JP2016040341A - ブロック共重合体、およびそれを用いた高分子電解質材料、高分子電解質成型体および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

ブロック共重合体、およびそれを用いた高分子電解質材料、高分子電解質成型体および固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】
低加湿条件下においても優れたプロトン伝導性を有し、なおかつ機械強度および化学的安定性に優れ、固体高分子型燃料電池としたときに高出力、優れた物理的耐久性を達成することが可能となるブロック共重合体、高分子電解質材料、ならびにそれを用いた高分子電解質成型体および固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】
イオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)をそれぞれ1個以上有する芳香族ブロック共重合体であって、イオン性基を含有するセグメント(A1)がその主鎖中にニトリル基を含有する構成単位を有し、かつイオン性基とニトリル基のモル濃度比が下記式(F1)の関係を満たす芳香族ブロック共重合体。
0.1≦q/p×100≦20 ・・・・・・(F1)
p:重合体1g当りに含有されるイオン性基のモル濃度(mmol/g)
q:重合体1g当りに含有されるニトリル基のモル濃度(mmol/g)
【選択図】なし

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池等に用いられる高分子電解質材料に関する。

燃料電池は、水素、メタノールなどの燃料を電気化学的に酸化することによって、電気エネルギーを取り出す一種の発電装置であり、近年、クリーンなエネルギー供給源として注目されている。なかでも固体高分子型燃料電池は、標準的な作動温度が100℃前後と低く、かつ、エネルギー密度が高いことから、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として幅広い応用が期待されている。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に替わり、携帯電話やパソコンなどへの搭載が期待されている。
燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソード間のプロトン伝導体からなる高分子電解質膜とが、膜電極複合体(以降、MEAと略称することがある。)を構成し、このMEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。具体的には、アノード電極においては、触媒層で燃料ガスが反応してプロトン及び電子を生じ、電子は電極を経て外部回路に送られ、プロトンは電極電解質を介して高分子電解質膜へと伝導する。一方、カソード電極では、触媒層で、酸化ガスと、高分子電解質膜から伝導してきたプロトンと、外部回路から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。
従来、パーフルオロスルホン酸系ポリマーであるナフィオン(登録商標)(デュポン社製)が高分子電解質膜に広く用いられてきた。ナフィオン(登録商標)はクラスター構造に起因するプロトン伝導チャネルを通じて、低加湿で高いプロトン伝導性を示す一方で、多段階合成を経て製造されるため非常に高価であり、加えて、前述のクラスター構造により燃料クロスオーバーが大きいという課題があった。また、膨潤乾燥によって膜の機械強度や物理的耐久性が失われるという問題、軟化点が低く高温で使用できないという問題、さらには、使用後の廃棄処理の問題や材料のリサイクルが困難といった課題が指摘されてきた。
このような欠点を克服するために、ナフィオン(登録商標)に替わり得る、安価で、燃料クロスオーバーを抑制し、機械強度に優れ、軟化点が高く高温での使用に耐える、炭化水素系高分子電解質膜の開発が近年活発化している。なかでも特に、低加湿プロトン伝導性向上に向け、疎水性セグメントと親水性セグメントからなる、ブロック共重合体を用いて、ミクロ相分離構造を形成させる試みがいくつかなされている。このような構造のポリマーを用いることで、疎水性セグメント同士の疎水性相互作用や凝集等により機械強度向上すると共に、親水性セグメントのイオン性基同士の静電相互作用等によりクラスター化し、イオン伝導チャネルを形成することで低加湿条件下におけるプロトン伝導性が向上させることが出来る。特許文献1では、スルホン酸基が導入されていないセグメントおよびスルホン酸基が導入されたセグメントを有するブロック共重合体であって、その相分離構造が共連続様の構造を示す一連のポリマーが提案されている。
ところで、これらの固体高分子型燃料電池においては、電池反応によって高分子電解質膜と電極の界面に形成された触媒層において過酸化物(多くの場合、水素あるいはプロトンと酸素との副反応により電極上で発生する過酸化水素)が生成し、生成した過酸化物が拡散しながら過酸化物ラジカルとなって電解質を劣化させることが知られている。この過酸化水素は酸化力の強い物質であり、電解質を構成する多くの有機化合物を酸化する。 一般に炭化水素系高分子電解質の場合、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質と比較して、過酸化水素による主鎖切断を受けやすく、ラジカル耐性が低いため長期耐久性が低いという問題を有している。そこで、炭化水素系高分子電解質組成物に優れたラジカル耐性を付与するために様々な方法が提案されている。
特許文献2ではスルホン酸基が導入されていないセグメント、及びスルホン酸基が導入されたセグメントを有するブロック共重合体であって、そのスルホン酸の一部のプロトンがセリウムなどの多価遷移金属イオンで置換されている高分子電解質が提案されている。
特許文献3では、スルホン酸基が導入されていないセグメント、及びスルホン酸基が導入されたセグメントを有するブロック共重合体であって、スルホン基が導入されていないセグメントにベンゾニトリル構造を含むポリマーが提案されている。
特許文献4では、スルホン酸基が導入されていないセグメント、及びスルホン酸基が導入されたポリアリーレンからなるセグメントを有するブロック共重合体であって、スルホン酸基が導入されたセグメント中に酸化防止剤として働きうるポリアリーレン系化合物を含有することを特徴とする高分子電解質が提案されている。
特開2011−023308号公報 特開2011−028990号公報 特開2011−241299号公報 特開2012−49118号公報
特許文献1記載の電解質等における長期耐久性低下の原因は、次のように考えられた。ブロック共重合体においては、親水性ドメインと疎水性ドメインが明確に相分離しているがゆえに、親水性化合物である過酸化水素は大部分が水と共に親水性ドメインに拡散する。その結果、親水性ドメイン中の親水性セグメントが集中的に過酸化水素と反応することで、ポリマー鎖の切断や生成オリゴマーの溶出が、ランダム共重合体の場合と比べより激しく進行する。

特許文献2記載の組成物は、ブロック共重合体のスルホン酸基の一部のプロトンを遷移金属イオンにて置換することにより、親水性セグメント自身が遷移金属イオンを有し、過酸化水素を分解することで、親水性セグメントの耐久性を向上させ得るものであるが、遷移金属イオンが水溶性であるために作動中に系外に溶出してしまい、十分に親水性セグメントを保護することができない。
特許文献3記載の電解質は過酸化水素を分解しうるベンゾニトリル構造をブロック共重合体中に含むため、作動中の系外への溶出なくブロック共重合体を保護し得るものであるが、ベンゾニトリル構造が疎水性セグメント中に含まれるため、親水性セグメントの保護には不十分である。
特許文献4記載の電解質は、親水性セグメント中に酸化防止剤として働きうるフェノチアジン骨格を導入したブロック共重合体であるが、親水性セグメントの主鎖骨格がポリアリーレンの重合には合成に高価なニッケル触媒が必要となるため、コストが高くなる問題点がある。
本発明は、燃料電池等に用いられる高分子電解質材料として、化学的安定性に優れ、かつ低コストでの製造が可能な芳香族ポリエーテル系重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは燃料電池等の高分子電解質材料として、前期課題を克服すべく、誠意検討を重ねた結果、イオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)をそれぞれ1個以上含有する芳香族ポリエーテル系ブロック共重合体であって、イオン性基を含有するセグメント(A1)中に酸化防止剤として働きうる成分を含んだブロック共重合体が、高分子電解質材料、特に燃料電池用電解質膜として、低加湿条件下におけるプロトン伝導性および発電性能、経済性、製膜性などの加工性、耐酸化性、耐ラジカル性、化学的安定性、膜の機械強度、耐熱水性などの物理的耐久性において優れた性能を発現でき、かかる課題を一挙に解決できることを究明するとともに、さらに種々の検討を加え、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
イオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)をそれぞれ1個以上有する芳香族ブロック共重合体であって、イオン性基を含有するセグメント(A1)がその主鎖中にニトリル基を含有する構成単位を有し、かつイオン性基とニトリル基のモル濃度比が下記式(F1)の関係を満たす芳香族ブロック共重合体。
0.1≦q/p×100≦20 ・・・・・・(F1)
p:重合体1g当りに含有されるイオン性基のモル濃度(mmol/g)
q:重合体1g当りに含有されるニトリル基のモル濃度(mmol/g)
である。
本発明によれば、燃料電池等の高分子電解質材料として用いることのできる、化学的安定性に優れ、かつ低コストでの製造が可能な芳香族ポリエーテル系重合体を提供することができる。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のブロック共重合体は、イオン性基を含有するセグメント(A1)とともに、イオン性基を含有しないセグメント(A2)を含有する。なお本発明において、イオン性基を含有しないセグメント(A2)は本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲でイオン性基を少量含んでいても構わない。以下「イオン性基を含有しない」は同様の意味で用いる。また、以下、イオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)を、それぞれ単にセグメント(A1)、セグメント(A2)と記載する場合がある。
セグメント(A1)が含有するイオン性基は、負電荷を有する原子団が好ましく、プロトン交換能を有するものが好ましい。このようなイオン性基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基が好ましい。中でも、高プロトン伝導度の点からスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基がより好ましく、原料コストの点からスルホン酸基を有することが最も好ましい。セグメント(A1)は、これらのイオン性基を2種類以上含有してもよい。
ここで、本発明におけるイオン性基には塩となっているものを含むものとする。塩を形成するカチオンとしては、任意の金属カチオン、NR (Rは任意の有機基)等を例として挙げることができる。金属カチオンの場合、その価数等は特に限定されず、Li、Na、K、Rb、Mg、Ca、Sr、Ti、Al、Fe、Pt、Rh、Ru、Ir、Pd等のカチオンが用いることができるが、中でも、安価でかつ容易にプロトン置換可能なNa、K、Liが好ましく用いられる。
また、耐ラジカル性を高める観点から、セグメント(A1)において、イオン性基は電子密度の低い芳香環上に存在することが好ましい。ここで、電子密度の低い芳香環とは、−CO−、−SO−等、電子吸引性基が直結した芳香環のことである。
特に、セグメント(A1)は、その主鎖中に、下記一般式(S1)で表される構成単位を含有することが好ましい。
Figure 2016040341
(一般式(S1)中、Xは−CO−および−SO−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を表す。ArおよびArはアリーレン基を表し、ArおよびArの少なくとも一方はイオン性基を含有する。*は他の構成単位との結合部位を表す。)
一般式(S1)で表される構成単位の好ましい具体例としては、下記一般式(P1)で表される構成単位が挙げられる。中でも、原料入手性の点から、下記式(P2)で表される構成単位がより好ましい
Figure 2016040341
(式(P1)(P2)中、M、Mは、水素、金属カチオン、アンモニウムカチオンを表し、M、Mはそれぞれ2種類以上の基を表しても良い。また、r1〜r2は、各式独立に0〜2の整数を表し、r1+r2は1〜4である。r1〜r2は各構成単位で異なっていてもよい。pはそれぞれ独立に正の整数を表す。)
セグメント(A1)は、下記一般式(B1)または(B2)で表される構成単位を含有する。
Figure 2016040341
(一般式(B1)中、W〜WはCN基またはCN基を有する任意の有機基である。r0〜r2は0以上4以下の整数を表し、1≦r0+r1+r2の関係を満たす。s1およびs2は0または1を表す。また、V、Vは直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(iは1以上10以下の整数である)、−(CH−(jは1以上10以下の整数である)、−CR−(Rは任意の2価の脂肪族炭化水素基、任意の2価の芳香族炭化水素基または任意の2価のハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、またはフルオレニリデン基である。一般式(B2)中、W〜WはCN基またはCN基を有する任意の有機基である。r3は0以上2以下の整数を表し、r4は0以上4以下の整数を表し、1≦r3+r4≦6の関係を満たす。*は(S1)または他の構成単位との結合部位を表す。)
セグメント(A1)は、一般式(B1)または(B2)で表される構成単位の一方のみを含有してもよく、両方を含有してもよい。また、ブロック共重合体中において、セグメント(A1)として、一般式(B1)または(B2)の一方のみ含有するセグメントと、これらの両方を含有するセグメントの両者が存在していてもよい。
ここで、CN基を有する任意の有機基の例としては、CN基で置換された炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基および、アリールオキシ基が挙げられ、これらの水素の一部はF、Cl、Br、I、NH2、NO2、SO3H、COOH、CHO、OH、SH等の任意の置換基によって置換されていても良い。
一般式(B1)で表される構成単位の好ましい具体例としては、下記一般式(V1)〜(V4)および(V6)が挙げられる。一般式(B2)で表される構成単位の好ましい具体例としては、下記一般式(V5)が挙げられる。中でも、機械強度、寸法安定性、物理的耐久性に優れたブロック共重合体を得ることができることから下記一般式(V4)であらわされる構成単位が特に好ましい。
Figure 2016040341
(t1およびt2は各式独立に0以上4以下の整数を表し、1≦t1+t2≦8を満たす。t3は1以上4以下の整数を表す。t4およびt5は各式独立に0以上3以下の整数を表し、1≦t4+t5≦6を満たす。*は他のセグメントとの結合部位を表す。)
一般式(B1)または(B2)で表される構成単位の含有量は、セグメント(A1)中に含まれるイオン性基とニトリル基のモル濃度比が下記式(F1)の関係を満たす必要がある。
0.1≦q/p×100≦20 ・・・・・・(F1)
p:重合体1g当りに含有されるイオン性基のモル濃度(mmol/g)
q:重合体1g当りに含有されるニトリル基のモル濃度(mmol/g)
q/p×100>20の場合、高分子電解質材料のプロトン伝導度を低下させることがある。また、q/p×100<0.1の場合、十分な過酸化水素除去効果が得られないことがある。また、q/p×100≦10であることが好ましく、q/p×100≦5であることがさらに好ましい。q/p×100の値はブロック共重合体の1H−NMRの測定を行い、(B1)または(B2)で表される構成単位の芳香族プロトン由来のピークと、イオン性基を含有するセグメント(A1)の芳香族プロトン由来のピークの積分値から算出することができる。
本発明のブロック共重合体は、機械強度、物理的耐久性および化学的安定性などの点から、炭化水素系ポリマーの中でも主鎖に芳香環を有する芳香族ブロック共重合体である。主鎖構造は、芳香環を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばエンジニアリングプラスチックとして使用されるような十分な機械強度、物理的耐久性を有するものが好ましい。本発明のブロック共重合体の具体例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンポリパラフェニレン、ポリアリーレン、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンホスフィンオキシド、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミドスルホン等が挙げられる。
なお、ここでいうポリスルホンとはその分子鎖にスルホン結合を有する重合体の総称であり、ポリエーテルスルホン等は、その分子鎖にそれぞれエーテル結合とスルホン結合の両方を有している重合体の総称である。同様に、ポリエーテルケトンは、その分子鎖にエーテル結合とケトン結合の両方を有する重合体の総称であり、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンスルホンなどを含む概念である。 前記主鎖に芳香環を有するポリマーのなかでも、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンホスフィンオキシド、ポリエーテルホスフィンオキシド等の芳香族ポリエーテル系共重合体およびポリアリーレン系共重合体が、機械的強度、物理的耐久性、加工性および耐加水分解性の面から好ましく、さらに機械強度、物理的耐久性、製造コストの面からポリエーテルケトン系共重合体が好ましい。
セグメント(A1)を構成するオリゴマー(以下、単に「A1オリゴマー」という場合がある。)の合成方法は、十分な分子量が得られる方法であれば特に限定されないが、例えばポリエーテルケトン系のオリゴマーを合成する場合、芳香族活性ジハライド化合物と2価フェノール化合物の芳香族求核置換反応やハロゲン化芳香族フェノール化合物の芳香族求核置換反応を利用して合成することができる。以下では、主として芳香族活性ジハライド化合物と2価フェノール化合物の芳香族求核置換反応を用いて合成する場合について説明する。
A1オリゴマーは、イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法、あるいはモノマーを重合後に高分子反応でイオン性基を導入する方法により合成することができるが、得られるブロック共重合体の化学的安定性が向上する点やイオン性基の量を精密制御が可能な点から、イオン性基を有するモノマーを重合させる方法を用いることが好ましい。かかる方法は例えば、ジャーナル オブ メンブレン サイエンス(Journal of Membrane Science),197,2002,p.231-242に記載がある。
上記一般式(S1)で表される構成単位を含有するセグメント(A1)を合成するために用いられるモノマー(芳香族活性ジハライド化合物)の好適な具体例としては、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、等を挙げることができるが、化学的安定性と物理的耐久性の点から、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンがより好ましく、重合活性の点から3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが最も好ましい。
イオン性基を有するモノマーを用いてA1オリゴマーを合成する場合、重合時においてイオン性基は1価カチオン種との塩になっていることが好ましい。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類を用いることができるが、これらに制限される訳ではない。
なお、高分子反応でイオン性基を導入する方法としては、以下のような公知の方法を特に限定なく用いることができる。ホスホン酸基導入は、例えば、ポリマープレプリンツ(Polymer Preprints, Japan),51,2002,p.750等に記載の方法によって可能である。リン酸基導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子のリン酸エステル化によって可能である。カルボン酸基導入は、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基を有する芳香族系高分子を酸化することによって可能である。硫酸基導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子の硫酸エステル化によって可能である。スルホン酸基導入は、例えば日本国特開平2−16126号公報あるいは日本国特開平2−208322号公報等に記載の方法を用いることができる。
高分子反応でスルホン酸基を導入する場合について具体的に説明すると、例えば、合成されたオリゴマーをクロロホルム等の溶媒中でクロロスルホン酸のようなスルホン化剤と反応させる、あるいは濃硫酸や発煙硫酸中で反応させることによりスルホン化することができる。スルホン化剤には芳香族系高分子をスルホン化するものであれば特に制限はなく、上記以外にも三酸化硫黄等を使用することができる。この方法により芳香族系高分子をスルホン化する場合には、スルホン化の度合いはスルホン化剤の使用量、反応温度および反応時間により、制御することができる。芳香族系高分子へのスルホンイミド基の導入は、例えばスルホン酸基とスルホンアミド基を反応させる方法によって可能である。
A1オリゴマーに一般式(B1)または(B2)で表される構成単位を導入するための、ニトリル基を有するモノマーとしては、一般式(B1)または(B2)の両末端の*がハロゲンである化合物を用いることができる。これらの好適な具体例としては、2,4-ジクロロベンゾニトリル、2,5-ジクロロベンゾニトリル、2,6-ジクロロベンゾニトリル3,5-ジクロロベンゾニトリル、2,6-ジクロロテレフタロニトリル、2,5-ジクロロイソフタロニトリル、2,4-ジクロロイソフタロニトリル、2,4-ジフルオロベンゾニトリル、2,5-ジフルオロベンゾニトリル、2,6-ジフルオロベンゾニトリル3,5-ジフルオロベンゾニトリル、2,6-ジフルオロテレフタロニトリル、2,5-ジフルオロイソフタロニトリル、2,4-ジフルオロイソフタロニトリル等を上げる事ができるが、これらに限定されるものではない。
また、A1オリゴマーに、イオン性基を持たないモノマーを共重合することで、イオン性基密度を調整することが可能である。しかしながら、セグメント(A1)のプロトン伝導パスの連続性確保の観点から、本発明においてはイオン性基を持たない芳香族活性ジハライド化合物の使用量は少ないことが好ましく、ニトリル基を有するモノマー以外にイオン性基を持たないモノマーを共重合しないことが好ましい。
発明のブロック共重合体において、セグメント(A2)は、下記一般式(S2)で表される構成単位を含有することが好ましい。
Figure 2016040341
(一般式(S2)中、Zはそれぞれ独立して直接結合または−CO−、−SO−からなる群より選ばれた1種の構造を表し、Ar〜Arは任意の2価のアリーレン基を表し、任意に置換されていても良いが、イオン性基を含有しない。*は一般式(S2)または他の構成単位との結合部位を表す。)
ここで、Ar〜Arとして好ましい2価のアリーレン基は、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレンジイル基などの炭化水素系アリーレン基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイルなどのヘテロアリーレン基などが挙げられ、好ましくはフェニレン基、最も好ましくはp−フェニレン基である。
また、Ar〜Arはイオン性基以外の基で置換されていてもよいが、無置換である方がプロトン伝導性、化学的安定性、物理的耐久性の点で好ましい。
一般式(S2)で表される構成単位の好ましい具体例としては、原料入手性の点で、下記一般式(P3)で表される構成単位が挙げられ、特に結晶性による機械強度、寸法安定性、物理的耐久性の点から、下記式(P4)で表される構成単位がより好ましい。
Figure 2016040341
セグメント(A2)中の一般式(S2)で表される構成単位の含有量としては、より多い方が好ましく、20重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上が最も好ましい。含有量が20モル%未満である場合には、化学的安定性と低加湿条件下でのプロトン伝導性に対する本発明の効果が不足する場合がある。
イオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)の数平均分子量は、相分離構造のドメインサイズに関係し、低加湿でのプロトン伝導性と物理的耐久性のバランスから、いずれも0.5万以上がより好ましく、さらに好ましくは1万以上、最も好ましくは1.5万以上である。また、5万以下がより好ましく、さらに好ましくは、4万以下、最も好ましくは3万以下である。
本発明のブロック共重合体は高分子電解質材料として好適であり、特に固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜および電極触媒層などに特に好ましく用いることができる。
本発明に使用されるセグメントを得るために行う芳香族求核置換反応によるオリゴマー合成は、上記モノマー混合物を塩基性化合物の存在下で反応させることで行うことができる。重合は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。また、一般には、反応は不活性雰囲気下に酸素が存在しない状態で実施するのが望ましい。
オリゴマー合成反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒などを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。
オリゴマー合成反応に用いる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造に変換しうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。
また、フェノキシドの求核性を高めるために、18−クラウン−6などのクラウンエーテルを添加することも好適である。これらクラウンエーテル類は、イオン性基のナトリウムイオンやカリウムイオンに配位して有機溶媒に対する溶解性が向上する場合があり、好ましく使用できる。
芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際は、重合溶媒とは関係なく、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することもできる。共沸剤は、一般に、重合を実質上妨害せず、水と共蒸留し且つ約25℃〜約250℃の間で沸騰する任意の不活性化合物である。このような共沸剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、塩化メチレン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、シクロヘキサンなどを用いることができる。なお、高い反応温度、例えば200℃以上の温度が用いられるとき、特に反応混合物に不活性ガスを連続的に散布させるときには共沸剤は必ずしも必要ではない。また、水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水剤を使用することもできる。
芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるオリゴマー濃度が5〜50重量%となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、50重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。
所望の分子量が得られたならば、ハライドあるいはフェノキシド末端基は場合によっては安定な末端基を形成させるハライド末端封止剤またはフェノキシド末端封止剤を導入することにより反応させることができる。
重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のオリゴマーが得られる。また、反応溶液を、オリゴマーの溶解度が低く、副生する無機塩の溶解度が高い溶媒中に加えることによって、無機塩を除去、オリゴマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりオリゴマーを得ることもできる。回収されたオリゴマーは場合により水やアルコール又は他の溶媒で洗浄され、乾燥される。
本発明のブロック共重合体は、A1オリゴマーとA2オリゴマーを用いて、以下のいずれかの方法により合成することが可能である。
方法a.A1オリゴマーと、A2オリゴマーの各両末端に−OM基を導入し、これらの一方をジハライドリンカーと結合させた後、もう一方のセグメントと交互的に重合させてブロック共重合体を製造する方法
方法b.A1オリゴマーと、A2オリゴマーの各両末端に−OM基を導入し、ジハライドリンカーとをランダム的に重合させてブロック共重合体を製造する方法
方法c.A1オリゴマー前駆体である未スルホン化物(A1’オリゴマー)と、A2オリゴマーを用いて、上記方法aまたはbに記載の方法でブロック共重合体を製造した後、A1’オリゴマー由来部分に選択的にイオン性基を導入する方法。
また、上記方法a〜方法cを適宜組み合わせた方法も用いることができる。
ここで、−OM基のOは酸素、MはH、金属カチオンまたはアンモニウムカチオンを表す。金属カチオンの場合、その価数等特に限定されるものではなく、使用することができる。好ましい金属カチオンの具体例を挙げるとすれば、Li、Na、K、Rh、Mg、Ca、Sr、Ti、Al、Fe、Pt、Rh、Ru、Ir、Pd等が挙げられる。中でも、Na、K、Liがより好ましい。−OM基としては、例えばヒドロキシル基(−OH基)、−ONR 基(RはHまたは有機基)、−ONa基、−OK基、−OLi基等が例示される。
なかでも、高分子量化による機械強度と耐久性の向上を達成でき、かつ、両セグメントの交互導入によって、相分離構造やドメインサイズが厳密に制御された低加湿プロトン伝導性に優れたブロック共重合体を得ることが出来る点から、方法aが最も好ましい。
本発明において、リンカーとは、セグメント(A1)とセグメント(A2)との間を連結する部位であって、セグメント(A1)やセグメント(A2)とは異なる化学構造を有する部位と定義する。リンカーを用いることにより、エーテル交換反応によるランダム化、セグメント切断、副反応の進行を抑制しながら、異なるセグメントを連結することができる。
リンカー部位としては、セグメント切断なくブロック共重合することができるものであれば特に限定されるものではないが、その好適な具体例としては、オクタフルオロビフェニレン(−C−C−)、テトラフルオロフェニレン(−C−)、および下記一般式(L1)〜(L7)のいずれかで表される構成単位が挙げられる。
Figure 2016040341
(一般式(L1)中、Xは、それぞれ独立にH、NO、CN、CF、Cl、Br、Iから選ばれた電子吸引性基、一般式(L2)中、Yは、それぞれ独立にNO、CN、CF、Cl、Br、Iから選ばれた電子吸引性基、一般式(L3)中、Zは、それぞれ独立にNO、CN、CF、Cl、Br、Iから選ばれた電子吸引性基、一般式(L5)中、Rは任意の有機基、一般式(L6)中、Arは任意のアリーレン基、一般式(L7)中、Eは酸素または硫黄を表す。一般式(L1)〜(L7)は、電子吸引性基でさらに置換されていても良い。*はセグメント(A1)またはセグメント(A2)との結合部位を表す。)
本発明のブロック共重合体を重合するために用いるリンカー化合物としては、エーテル交換反応によるランダム化、セグメント切断を抑制しながら、異なるセグメントを連結できるような反応性の高い化合物であれば特に限定されるものではないが、好適な具体例としては、デカフルオロビフェニル、ヘキサフルオロベンゼン、下記一般式(M1)〜(M7)から選ばれた少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
Figure 2016040341
(一般式(M1)〜(M7)中、W1は、ClまたはFを表す。一般式(M1)中、X1は、それぞれ独立にH、NO、CN、CF、Cl、Br、Iから選ばれた電子吸引性基、一般式(M2)中、Y1は、それぞれ独立にNO、CN、CF、Cl、Br、Iから選ばれた電子吸引性基、一般式(M3)中、Z1は、それぞれ独立にNO、CN、CF、Cl、Br、Iから選ばれた電子吸引性基、一般式(M5)中、R1は任意の有機基、一般式(L6)中、Arは任意のアリーレン基、一般式(M7)中、E1は酸素または硫黄を表す。一般式(M1)〜(M7)は、電子吸引性基でさらに置換されていても良い。)
前記一般式(M1)〜(M7)で表されるリンカー化合物を用いた場合には、架橋反応や分岐反応が進行しないので、製膜性が良好で、分子間相互作用が強く、強靱で物理的耐久性を同時に実現することができる。
本発明のブロック共重合体は、リンカー化合物を使用することにより、ブロック共重合体の相分離構造を厳密に制御し、優れた低加湿プロトン伝導性を実現できる。例えば、デカフルオロビフェニル、ヘキサフルオロベンゼンなどの多官能性のポリハライドリンカーを用いた場合、反応条件を制御することで分岐構造を有するブロック共重合体を製造することができる。この時、(A1)オリゴマーと(A2)オリゴマーの仕込み組成を変えることによって、直鎖構造のブロック共重合体と分岐構造を有するブロック共重合体とを作り分けることもできる。
方法aにおいて、A1オリゴマー、A2オリゴマーの具体例としては、それぞれ下記一般式(H3−1)、(H3−2)が挙げられ、ジハライドリンカーと反応させた後のA1オリゴマー、A2オリゴマーの具体例としては、それぞれ下記一般式(H3−3)、(H3−4)が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2016040341
(式(H3−1)〜(H3−4)において、N、N、N、N4、5、Nは1以上150以下の整数を表す。)
前記一般式(H3−1)〜(H3−4)において、ハロゲン原子はF、末端−OM基は−OK基、アルカリ金属はNaおよびKで示しているが、これらに限定されるものではない。
また、前記式(H3−1)〜(H3−4)ではケトン基の保護基としてケタール基を導入しているが、保護基はオリゴマーの結晶性が高く溶解性が低い場合に導入すればよく、必ずしも必要ではない。
リンカーを用いたブロック共重合の反応温度としては、140℃以下の加温条件下が好ましい。より好ましくは、80℃以上、120℃以下である。反応温度を120℃以下とすることにより、反応時のエーテル交換反応による高分子構造のランダム化を十分に抑制することができる。一方、140℃以上とすれば、ランダムな高分子構造をもつポリマーが得られる。
本発明のブロック共重合体としては、セグメント(A1)とセグメント(A2)のモル組成比(A1/A2)が、0.2以上であることがより好ましく、0.33以上がさらに好ましく、0.5以上が最も好ましい。また、モル組成比(A1/A2)は5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、2以下が最も好ましい。モル組成比A1/A2が、0.2未満あるいは5を越える場合には低加湿条件下でのプロトン伝導性が不足する場合や、耐熱水性や物理的耐久性が不足する場合がある。
セグメント(A1)のイオン交換容量は、低加湿条件下でのプロトン伝導性の点から高いことが好ましく、好ましくは2.5meq/g以上、さらに好ましくは、3meq/g以上、最も好ましくは3.5meq/g以上である。また、6.5meq/g以下がより好ましく、5meq/g以下がさらに好ましく、最も好ましいのは4.5meq/g以下である。イオン性基を含有するセグメント(A1)のイオン交換容量が2.5meq/g未満の場合には、低加湿条件下でのプロトン伝導性が不足する場合があり、6.5meq/gを越える場合には、耐熱水性や物理的耐久性が不足する場合がある。
セグメント(A2)のイオン交換容量は、耐熱水性、機械強度、寸法安定性、物理的耐久性の点から、低いことが好ましく、より好ましくは1meq/g以下、さらに好ましくは0.5meq/g、最も好ましくは0.1meq/g以下である。イオン性基を含有しないセグメント(A2)のイオン交換容量が1meq/gを越える場合には、耐熱水性、機械強度、寸法安定性、物理的耐久性が不足する場合がある。
本発明のブロック共重合体のイオン交換容量は、プロトン伝導性と耐水性のバランスの点から、0.1meq/g以上5meq/g以下が好ましく、より好ましくは1.5meq/g以上、さらに好ましくは1.8meq/g以上、最も好ましくは2.1meq/g以上である。また、ブロック共重合体のイオン交換容量は3.5meq/g以下がより好ましく、より好ましくは2.9meq/g以下、さらに好ましくは2.6meq/g以下、最も好ましくは2.3meq/g以下である。イオン交換容量が0.1meq/gより小さい場合には、プロトン伝導性が不足する場合があり、5meq/gより大きい場合には、耐水性が不足する場合がある。
ここで、イオン交換容量とは、ブロック共重合体、高分子電解質材料、および高分子電解質膜の単位乾燥重量当たりに交換可能なイオン性基のモル量であり、この値が大きいほどイオン性基の密度が高いことを示す。イオン交換容量は、元素分析、中和滴定法等により測定が可能である。イオン性基としてスルホン酸を含む場合には、元素分析法を用い、S/C比から算出することもできるが、スルホン酸基以外の硫黄源を含む場合などは測定することが難しい。従って、本発明においては、イオン交換容量は、中和滴定法により求めた値と定義する。本発明の高分子電解質材料、および高分子電解質膜は、後述するように本発明のブロック共重合体とそれ以外の成分からなる複合体である態様を含むが、その場合もイオン交換容量は複合体の全体量を基準として求めるものとする。
イオン性基がスルホン酸基で有る場合の中和滴定の測定例は、以下のとおりである。
(1)プロトン置換し、純水で十分に洗浄した電解質膜の膜表面の水分を拭き取った後、100℃にて12時間以上真空乾燥し、乾燥重量を求める。
(2)電解質に5重量%硫酸ナトリウム水溶液を50mL加え、12時間静置してイオン交換する。
(3)0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて、生じた硫酸を滴定する。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液0.1w/v%を加え、薄い赤紫色になった点を終点とする。
(4)イオン交換容量は下記の式により求める。
イオン交換容量(meq/g)=〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/mL)×滴下量(mL)〕/試料の乾燥重量(g)
本発明のブロック共重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、10万〜100万であることが好ましく、好ましくは10万〜50万である。10万未満では、成型した膜にクラックが発生するなど機械強度、物理的耐久性、耐溶剤性のいずれかが不十分な場合がある。一方、100万を超えると、溶解性が不充分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題がある。また、本発明のブロック共重合体の平均分子量/数平均分子量は4.0以下であることが好ましい。4.0を超えると、低分子量体の割合が高まり、成型した膜にクラックが発生するなど機械強度、物理的耐久性、耐溶剤性のいずれかが不十分な場合がある。
なお、本発明のブロック共重合体の化学構造は、赤外線吸収スペクトルによって、1,030〜1,045cm-1、1,160〜1,190cm-1のS=O吸収、1,130〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、これらの組成比は、イオン性基の中和滴定や、元素分析により知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により、例えば6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。また、溶液13C−NMRや固体13C−NMRによって、イオン性基の付く位置や並び方を確認することができる。
本発明のブロック共重合体を高分子電解質膜に成型する方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法あるいは溶融状態より製膜する方法等が可能である。前者では、たとえば、該高分子電解質材料をN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解し、その溶液をガラス板等の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜する方法が例示できる。
製膜に用いる溶媒としては、高分子電解質材料を溶解し、その後に除去し得るものであればよく、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはイソプロパノールなどのアルコール系溶媒、水およびこれらの混合物が好適に用いられるが、非プロトン性極性溶媒が最も溶解性が高く好ましい。また、イオン性基を含有するセグメント(A1)の溶解性を高めるために、18−クラウン−6などのクラウンエーテルを添加することも好適である。
また、本発明において、ブロック共重合体を使用して溶液製膜する場合には、溶媒の選択は相分離構造に対して重要であり、非プロトン性極性溶媒と極性の低い溶媒を混合して使用することも好適な方法である。
成膜前に、必要な固形分濃度に調製したポリマー溶液を常圧の濾過もしくは加圧濾過などに供し、高分子電解質溶液中に存在する異物を除去することは強靱な膜を得るために好ましい方法である。ここで用いる濾材は特に限定されるものではないが、ガラスフィルターや金属性フィルターが好適である。該濾過で、ポリマー溶液が通過する最小のフィルターの孔径は、1μm以下が好ましい。
成膜により得られた高分子電解質膜には熱処理を行うことが好ましい。この熱処理の温度は好ましくは80℃以上350℃以下、さらに好ましくは100℃以上200℃以下、特に好ましくは120℃以上150℃以下である。熱処理時間は、好ましくは10秒以上12時間以下、さらに好ましくは30秒以上6時間以下、特に好ましくは1分以上1時間以下である。熱処理温度が低すぎると、機械強度や物理的耐久性が不足する場合がある。一方、高すぎると膜材料の化学的分解が進行する場合がある。熱処理時間が10秒未満であると熱処理の効果が不足する。一方、12時間を超えると膜材料の劣化を生じやすくなる。熱処理により得られた高分子電解質膜は必要に応じて酸性水溶液に浸漬することによりプロトン置換することができる。この方法で成形することによって本発明の高分子電解質膜はプロトン伝導度と物理的耐久性をより良好なバランスで両立することが可能となる。
また、熱処理はイオン性基の少なくとも一部を金属塩の状態で行うことが好ましい。金属塩の状態で重合させたものであれば、そのまま製膜、熱処理することが好ましい。
また、本発明によって得られる高分子電解質膜には、通常の高分子化合物に使用される結晶化核剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤あるいは離型剤等の添加剤を、本発明の目的に反しない範囲内で添加することができる。
また、本発明によって得られる高分子電解質膜には、前述の諸特性に悪影響をおよぼさない範囲内で機械的強度、熱安定性、加工性などの向上を目的に、各種ポリマー、エラストマー、フィラー、微粒子、各種添加剤などを含有させてもよい。また、微多孔膜、不織布、メッシュ等で補強しても良い。
かかる高分子電解質膜を燃料電池として用いる際の高分子電解質膜と電極の接合法については特に制限はなく、公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, p.269.記載の化学メッキ法、電気化学協会編(J. Electrochem. Soc.)、エレクトロケミカル サイエンス アンド テクノロジー (Electrochemical Science and Technology),1988, 135, 9, p.2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。
固体高分子型燃料電池は、電解質膜として水素イオン伝導性高分子電解質膜を用い、その両面に触媒層、電極基材及びセパレータが順次積層された構造となっている。このうち、電解質膜の両面に触媒層を積層させたもの(即ち触媒層/電解質膜/触媒層の層構成のもの)は触媒層付電解質膜(CCM)と称され、さらに電解質膜の両面に触媒層及びガス拡散基材を順次積層させたもの(即ち、ガス拡散基材/触媒層/電解質膜/触媒層/ガス拡散基材の層構成のもの)は、電極−電解質膜接合体(MEA)と称されている。
CCMの製造方法としては、電解質膜表面に、触媒層を形成するための触媒層ペースト組成物を塗布及び乾燥させるという塗布方式や、触媒層を転写することにより、触媒層を電解質膜上に積層させる方法(転写法)が挙げられる。
加熱プレスにより、MEAを作製する場合は、その温度や圧力は、電解質膜の厚さ、水分率、触媒層や電極基材により適宜選択すればよい。また、本発明では電解質膜が乾燥した状態または吸水した状態でもプレスによる複合化が可能である。具体的なプレス方法としては圧力やクリアランスを規定したロールプレスや、圧力を規定した平板プレスなどが挙げられ、工業的生産性やイオン性基を有する高分子材料の熱分解抑制などの観点から0℃〜250℃の範囲で行うことが好ましい。加圧は電解質膜や電極保護の観点からできる限り弱い方が好ましく、平板プレスの場合、10MPa以下の圧力が好ましく、加熱プレス工程による複合化を実施せずに電極と電解質膜を重ね合わせ燃料電池セル化することもアノード、カソード電極の短絡防止の観点から好ましい選択肢の一つである。この方法の場合、燃料電池として発電を繰り返した場合、短絡箇所が原因と推測される電解質膜の劣化が抑制される傾向があり、燃料電池として耐久性が良好となる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例および比較例における評価結果は表1にまとめる。なお、各物性の測定条件は次の通りである。
(1)イオン交換容量
中和滴定法により測定した。測定は3回行って、その平均値を取った。
(i)プロトン置換し、純水で十分に洗浄した電解質膜の膜表面の水分を拭き取った後、100℃にて12時間以上真空乾燥し、乾燥重量を求めた。
(ii)電解質に5wt%硫酸ナトリウム水溶液を50mL加え、12時間静置してイオン交換した。
(iii)0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて、生じた硫酸を滴定した。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液0.1w/v%を加え、薄い赤紫色になった点を終点とした。
(iv)イオン交換容量は下記の式により求めた。
イオン交換容量(meq/g)=
〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/ml)×滴下量(ml)〕/
試料の乾燥重量(g)
(2)プロトン伝導度
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、80℃、相対湿度25〜95%の恒温恒湿槽中にそれぞれのステップで30分保持し、定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
測定装置としては、Solartron製電気化学測定システム(Solartron 1287 Electrochemical InterfaceおよびSolartron 1255B Frequency Response Analyzer)を使用し、2端子法で定電位インピーダンス測定を行い、プロトン伝導度を求めた。交流振幅は、50mVとした。サンプルは幅10mm、長さ50mmの膜を用いた。測定治具はフェノール樹脂で作製し、測定部分は開放させた。電極として、白金板(厚さ100μm、2枚)を使用した。電極は電極間距離10mm、サンプル膜の表側と裏側に、互いに平行にかつサンプル膜の長手方向に対して直交するように配置した。
(3)数平均分子量、重量平均分子量
ポリマーの数平均分子量、重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒)にて、サンプル濃度0.1wt%、流量0.2mL/min、温度40℃で測定し、標準ポリスチレン換算により数平均分子量、重量平均分子量を求めた。
(4)膜厚
ミツトヨ製グラナイトコンパレータスタンドBSG−20にセットしたミツトヨ製ID−C112型を用いて測定した。
(5)透過電子顕微鏡(TEM)による相分離構造の観察
染色剤として2wt%酢酸鉛水溶液中に試料片を浸漬させ、25℃下で24時間放置した。染色処理された試料を取りだし、可視硬化樹脂で包埋し、可視光を30秒照射し固定した。
ウルトラミクロトームを用いて室温下で薄片100nmを切削し、得られた薄片をCu グリッド上に回収しTEM観察に供した。観察は加速電圧100kVで実施し、撮影は、写真倍率として×8,000、×20,000、×100,000になるように撮影を実施した。機器としては、TEM H7100FA(日立製作所社製)を使用した。
(6)エネルギー分散型X線分析(EDX)
上記TEMを測定する際に、EDXを用いて元素分析を行った。親水性ドメイン、疎水性ドメイン、各々について50点において分析を行った平均値を求め、ブロックコポリマーの寄与を除いた上で、添加剤に含まれる元素の存在比率から各ドメインにおける添加剤の存在量を算出した。機器としては、rTEM検出器(アメテック製)を上記TEMに接続して使用した。
(7)純度の測定方法
下記条件のガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析した。
カラム:DB−5(J&W社製) L=30m Φ=0.53mm D=1.50μm
キャリヤー:ヘリウム(線速度=35.0cm/sec)
分析条件
Inj.temp. 300℃
Detct.temp. 320℃
Oven 50℃×1min
Rate 10℃/min
Final 300℃×15min
SP ratio 50:1
(8)耐熱水性
電解質膜の耐熱水性は95℃、熱水中での寸法変化率を測定することにより評価した。電解質膜を長さ約5cm、幅約1cmの短冊に切り取り、25℃の水中に24時間浸漬後、ノギスで長さ(L1)を測長した。該電解質膜を95℃の熱水中に8時間浸漬後、再度ノギスで長さ(L2)を測長し、その寸法変化の大きさを目視で観察した。
(9)核磁気共鳴スペクトル(NMR)
下記の測定条件で、1H−NMRの測定を行い、構造確認、およびイオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)のモル組成比の定量を行った。該モル組成比は、8.2ppm(ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン由来)と6.5〜8.0ppm(ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを除く全芳香族プロトン由来)に認められるピークの積分値から算出した。
装置 :日本電子社製EX−270
共鳴周波数 :270MHz(1H−NMR)
測定温度 :室温
溶解溶媒 :DMSO−d6
内部基準物質:TMS(0ppm)
積算回数 :16回
また、下記の測定条件で、固体13C−CP/MASスペクトルの測定を行い、ケタール基の残存有無確認を行った。
装置 :Chemagnetics社製CMX−300Infinity
測定温度 :室温
内部基準物質:Siゴム(1.56ppm)
測定核 :75.188829MHz
パルス幅 :90°パルス、4.5μsec
パルス繰り返し時間:ACQTM=0.03413sec、PD=9sec
スペクトル幅:30.003kHz
試料回転 :7kHz
コンタクトタイム:4msec
(10)化学的安定性
電解質膜の化学的安定性は、約10mgのサンプルを80℃で、大過剰の1wt%の過酸化水素水に浸漬することにより評価した。浸漬前、100時間後の80℃、相対湿度25%でのプロトン伝導度を測定すると共に重量平均分子量を測定し、分子量保持率を計算した。
[合成例1]
下記一般式(G1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン(K−DHBP)の合成
Figure 2016040341
攪拌器、温度計及び留出管を備えた500mLフラスコに、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン49.5g、エチレングリコール134g、オルトギ酸トリメチル96.9g及びp−トルエンスルホン酸1水和物0.50gを仕込み溶解する。その後78〜82℃で2時間保温攪拌した。更に、内温を120℃まで徐々に昇温、ギ酸メチル、メタノール、オルトギ酸トリメチルの留出が完全に止まるまで加熱した。この反応液を室温まで冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を5%炭酸カリウム水溶液100mLで洗浄し分液後、溶媒を留去した。残留物にジクロロメタン80mLを加え結晶を析出させ、濾過し、乾燥して2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン52.0gを得た。この結晶をGC分析したところ99.8%の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランと0.2%の4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンであった。
[合成例2]
下記一般式(G2)で表されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの合成
Figure 2016040341
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン109.1g(アルドリッチ試薬)を発煙硫酸(50%SO3)150mL(和光純薬試薬)中、100℃で10h反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、上記一般式(G2)で示されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを得た。純度は99.3%であった。構造は1H−NMRで確認した。不純物はキャピラリー電気泳動(有機物)およびイオンクロマトグラフィー(無機物)で定量分析を行った。
[合成例3]
(下記一般式(G3)で表されるイオン性基を含有しないオリゴマーA2aの合成)
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム16.59g(アルドリッチ試薬、120mmol)、前記合成例1で得たK−DHBP25.8g(100mmol)および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン20.3g(アルドリッチ試薬、93mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)300mL、トルエン100mL中にて160℃で脱水後、昇温してトルエン除去、180℃で1時間重合を行った。多量のメタノールで再沈殿することで精製を行い、イオン性基を含有しないオリゴマー(末端ヒドロキシル基)を得た。数平均分子量は10000であった。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム1.1g(アルドリッチ試薬、8mmol)と、得られたイオン性基を含有しないオリゴマー(末端ヒドロキシル基)20.0g(2mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中にて100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、デカフルオロビフェニル4.0g(アルドリッチ試薬、12mmol)を入れ、105℃で1時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、下記式(G3)で示されるイオン性基を含有しないオリゴマーA2a(末端フルオロ基)を得た。数平均分子量は11000であった。
Figure 2016040341
[実施例1]
(下記一般式(G4)で表されるニトリル基およびイオン性基を含有するオリゴマーA1aの合成: q/p×100=16)
Figure 2016040341
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム27.6g(アルドリッチ試薬、200mmol)、前記合成例1で得たK−DHBP12.9g(50mmol)および4,4’−ビフェノール9.3g(アルドリッチ試薬、50mmol)、前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン39.3g(70mmol)、2,6-ジフルオロベンゾニトリル(23mmol)および18−クラウン−6、17.9g(和光純薬82mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)300mL、トルエン100mL中にて170℃で脱水後、昇温してトルエン除去、180℃で1時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、上記式(G4)で示されるイオン性基を含有するオリゴマーA1aを得た。数平均分子量は16000であった。(イオン性基を含有するセグメント(A1)としてオリゴマーA1a、イオン性基を含有しないセグメント(A2)としてオリゴマーA2a、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを含有するブロックコポリマーb1の合成)
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム0.56g(アルドリッチ試薬、4mmol)、イオン性基を含有するオリゴマーA1A16g(1mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中にて100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、イオン性基を含有しないオリゴマーA2a(末端フルオロ基)11g(1mmol)を入れ、105℃で24時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、ブロックコポリマーb1を得た。重量平均分子量は32万であった。
ブロックコポリマーb1は、イオン性基を含有するセグメント(A1)に前記一般式(S1)で表される構成単位を50モル%、イオン性基を含有しないセグメント(A2)に前記一般式(S2)で表される構成単位を100モル%含有していた。
ブロックコポリマーb1そのものを高分子電解質膜としたときの、1H−NMRから求めたモル組成比(A1/A2)は、56モル/44モル=1.27、ケタール基の残存は認められなかった。
(高分子電解質膜の製造)
20gのブロックコポリマーb1を60gのN−メチルピロリドン(NMP)に溶解した。ポリマーの溶解性は極めて良好であった。得られた溶液を、ガラス繊維フィルターを用いて加圧ろ過後、ガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4h乾燥後、窒素下150℃で10分間熱処理し、ポリケタールケトン膜(膜厚25μm)を得た。
95℃で10重量%硫酸水溶液に24時間浸漬してプロトン置換およびケトン基の脱保護を行った後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子電解質膜を得た。中和滴定から求めたイオン交換容量は1.4meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で190mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.1mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。化学安定性試験後の、80℃、相対湿度25%でのプロトン伝導度は1.6mS/cm、分子量保持率は82%と化学的安定性に優れていた。
[実施例2]
(上記一般式(G4)で表されるニトリル基およびイオン性基を含有するオリゴマーA1bの合成: q/p×100=5)
ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの量を85mmol、2,6-ジフルオロベンゾニトリルの量を8mmolとした以外は実施例1と同様にして、 上記式(G4)で示されるイオン性基を含有するオリゴマーA1bを得た。数平均分子量は16500であった。
(イオン性基を含有するセグメント(A1)としてオリゴマーA1b、イオン性基を含有しないセグメント(A2)としてオリゴマーA2a、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを含有するブロックコポリマーb2の合成)
イオン性基を含有するオリゴマーとしてA1aに代えてA1bを用いた以外は実施例1と同様にして、ブロックコポリマーb2を得た。重量平均分子量は34万であった。
ブロックコポリマーb2は、イオン性基を含有するセグメント(A1)に前記一般式(S1)で表される構成単位を50モル%、イオン性基を含有しないセグメント(A2)に前記一般式(S2)で表される構成単位を100モル%含有していた。
ブロックコポリマーb2そのものを高分子電解質膜としたときの、1H−NMRから求めたモル組成比(A1/A2)は、57モル/43モル=1.33、ケタール基の残存は認められなかった。
(高分子電解質膜の製造)
ブロックポリマーb1に代えてブロックポリマーb2を用いた以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を得た。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.7meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で230mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.6mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。化学安定性試験後の、80℃、相対湿度25%でのプロトン伝導度は1.9mS/cm、分子量保持率は78%と化学的安定性に優れていた。
[実施例3]
(下記一般式(G5)で表されるニトリル基およびイオン性基を含有するオリゴマーA1cの合成:q/p×100=9)
Figure 2016040341
2,6-ジフルオロベンゾニトリルに代えて2,6-ジフルオロテレフタロニトリルを用い、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの量を85mmol、2,6-ジフルオロテレフタロニトリルの量を8mmolとした以外は実施例1と同様にして、上記式(G5)で示されるイオン性基を含有するオリゴマーA1cを得た。数平均分子量は16100であった。
(イオン性基を含有するセグメント(A1)としてオリゴマーA1c、イオン性基を含有しないセグメント(A2)としてオリゴマーA2a、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを含有するブロックコポリマーb3の合成)
イオン性基を含有するオリゴマーとしてA1aに代えてA1cを用いた以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーb3を得た。重量平均分子量は35万であった。
ブロックコポリマーb3は、イオン性基を含有するセグメント(A1)、イオン性基を含有しないセグメント(A2)として、前記一般式(S1)および(S2)で表される構成単位をそれぞれ50モル%、100モル%含有していた。
ブロックコポリマーb3そのものを高分子電解質膜としたときの、1H−NMRから求めたモル組成比(A1/A2)は、56モル/44モル=1.27、ケタール基の残存は認められなかった。
(高分子電解質膜の製造)
ブロックポリマーb1に代えてブロックポリマーb3を用いた以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を得た。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.8meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で220mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.5mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。化学安定性試験後の、80℃、相対湿度25%でのプロトン伝導度は2.0mS/cm、分子量保持率は80%と化学的安定性に優れていた。
[実施例4]
(上記一般式(G5)で表されるニトリル基およびイオン性基を含有するオリゴマーA1dの合成: q/p×100=4)
3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの量を89mmol、2,6-ジフルオロテレフタロニトリルの量を4mmolとしたとした以外は実施例3と同様にして上記式(G5)で示されるイオン性基を含有するオリゴマーA1dを得た。数平均分子量は15800であった。
(イオン性基を含有するセグメント(A1)としてオリゴマーA1d、イオン性基を含有しないセグメント(A2)としてオリゴマーA2a、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを含有するブロックコポリマーb4の合成)
イオン性基を含有するオリゴマーとしてA1cに代えてA1dを用いた以外は実施例3と同様にしてブロックコポリマーb4を得た。重量平均分子量は31万であった。
ブロックコポリマーb4は、イオン性基を含有するセグメント(A1)に前記一般式(S1)で表される構成単位をそれぞれ50モル%、イオン性基を含有しないセグメント(A2)に前期一般式(S2)で表される構成単位を100モル%含有していた。
ブロックコポリマーb4そのものを高分子電解質膜としたときの、1H−NMRから求めたモル組成比(A1/A2)は、57モル/43モル=1.33、ケタール基の残存は認められなかった。
(高分子電解質膜の製造)
ブロックポリマーb3に代えてブロックポリマーb4を用いた以外は実施例3と同様にして高分子電解質膜を得た。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.9meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で250mS/cm、80℃、相対湿度25%で2.9mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。化学安定性試験後の、80℃、相対湿度25%でのプロトン伝導度は2.2mS/cm、分子量保持率は77%と化学的安定性に優れていた。
[比較例1]
(下記一般式(G6)で表される、ニトリル構造を含有せず、イオン性基を含有するオリゴマーA1eの合成)
2,6-ジフルオロベンゾニトリルを加えなかった以外は実施例1と同様にして、下記式(G6)で示されるイオン性基を含有するオリゴマーA1eを得た。数平均分子量は16200であった。
Figure 2016040341
(式(G6)において、Mは、NaまたはKを表す。)
オリゴマーA1aに代えて(イオン性基を含有するセグメント(A1)としてオリゴマーA1e、イオン性基を含有しないセグメント(A2)としてオリゴマーA2a、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを含有するブロックコポリマーb’1の合成)
オリゴマーA1aに代えてオリゴマーA1eを‘用いた以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーb’1を得た。重量平均分子量は36万であった。
(高分子電解質膜の製造)
ブロックポリマーb1に代えてブロックポリマーb’1を用いた以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を得た。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.8meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で250mS/cm、80℃、相対湿度25%で3mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。化学安定性試験後の、80℃、相対湿度25%でのプロトン伝導度は1.3mS/cm、分子量保持率は55%とやや低下していた。
[比較例2]
(ニトリル基含有構成単位としてモノシアノフェニレンを、イオン性基を含有しないセグメント(A2)中に有する高分子電解質膜の製造)
(下記一般式(G7)で表されるイオン性基を含有しないオリゴマーA2bの合成: ニトリル基含有構成単位としてモノシアノフェニレンを含有)
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた1000mL三口フラスコに、炭酸カリウム16.59g(アルドリッチ試薬、120mmol)、前記合成例1で得たK−DHBP25.8g(100mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン20.3g(アルドリッチ試薬、70mmol)および2,6−ジフルオロベンゾニトリル(アルドリッチ試薬、23mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)300mL、トルエン100mL中にて160℃で脱水後、昇温してトルエン除去、180℃で1時間重合を行った。多量のメタノールで再沈殿することで精製を行い、イオン性基を含有しないオリゴマーを得た。数平均分子量は9800であった。
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム1.1g(アルドリッチ試薬、8mmol)と、得られたオリゴマーを20.0g(2mmol)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)100mL、シクロヘキサン30mL中にて100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサン除去し、デカフルオロビフェニル4.0g(アルドリッチ試薬、12mmol)を入れ、105℃で1時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿することで精製を行い、下記式(G7)で示されるイオン性基を含有しないオリゴマーA2b(末端フルオロ基)を得た。数平均分子量は10700であった。
Figure 2016040341
(イオン性基を含有するセグメント(A1)としてオリゴマーA1e、イオン性基を含有しないセグメント(A2)としてモノシアノフェニレンを含有するオリゴマーA2b、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを含有するブロックコポリマーb’2の合成)
オリゴマーA1aに代えてオリゴマーA1e、オリゴマーA2aに代えてオリゴマーA2bを用いた以外は実施例1と同様にして、ブロックコポリマーb’2を得た。重量平均分子量は32万であった。
(高分子電解質膜の製造)
ブロックポリマーb1に代えてブロックポリマーb’2を用いた以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を得た。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.8meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で250mS/cm、80℃、相対湿度25%で3mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。化学安定性試験後の、80℃、相対湿度25%でのプロトン伝導度は1.4mS/cm、分子量保持率は57%とやや低下していた。
[比較例3]
(ニトリル基含有構成単位として、ジシアノフェニレンをイオン性基を含有しないセグメント(A2)中に有する高分子電解質膜の製造)
(下記一般式(G8)で表されるイオン性基を含有しないオリゴマーA2cの合成: ニトリル基含有構成単位としてジシアノフェニレンを含有)
2,6−ジフルオロベンゾニトリルに代えて2,6−ジフルオロテレフタロニトリル(アルドリッチ試薬、23mmol)を用いた以外は比較例2と同様にしてイオン性基を含有しないオリゴマーA2c(末端フルオロ基)を得た。数平均分子量は10300であった。
Figure 2016040341
(イオン性基を含有するセグメント(A1)としてオリゴマーA1e、イオン性基を含有しないセグメント(A2)としてオリゴマーA2c、リンカー部位としてオクタフルオロビフェニレンを含有するブロックコポリマーb’3の合成)
オリゴマーA2bに代えてオリゴマーA2cを用いた以外は比較例2と同様にしてブロックコポリマーb’3を得た。重量平均分子量は30万であった。
(高分子電解質膜の製造)
ブロックポリマーb1に代えてブロックポリマーb’3を用いた以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を得た。
中和滴定から求めたイオン交換容量は1.9meq/gであった。極めて強靱な電解質膜であり、目視では透明で均一な膜であった。プロトン伝導度は、80℃、相対湿度85%で240mS/cm、80℃、相対湿度25%で3mS/cmであり、低加湿プロトン伝導性に優れていた。また、寸法変化率は10%と小さく、耐熱水性にも優れていた。さらに、TEM観察において、ドメインサイズ20nmの共連続様の相分離構造が確認できた。イオン性基を含有するドメイン、イオン性基を含有しないドメインともに連続相を形成していた。化学安定性試験後の、80℃、相対湿度25%でのプロトン伝導度は1.3mS/cm、分子量保持率は54%とやや低下していた。
Figure 2016040341

Claims (10)

  1. イオン性基を含有するセグメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)をそれぞれ1個以上有する芳香族ブロック共重合体であって、イオン性基を含有するセグメント(A1)がその主鎖中にニトリル基を含有する構成単位を有し、かつイオン性基とニトリル基のモル濃度比が下記式(F1)の関係を満たす芳香族ブロック共重合体。
    0.1≦q/p×100≦20 ・・・・・・(F1)
    p:重合体1g当りに含有されるイオン性基のモル濃度(mmol/g)
    q:重合体1g当りに含有されるニトリル基のモル濃度(mmol/g)
  2. 前記ニトリル基を含有する構成単位が、下記一般式(B1)または(B2)で表される構成単位である、請求項1に記載の芳香族ブロック共重合体。
    Figure 2016040341
    (一般式(B1)中、W〜WはCN基またはCN基を有する任意の有機基である。r0〜r2は0以上4以下の整数を表し、1≦r0+r1+r2の関係を満たす。s1およびs2は0または1を表す。また、V、Vは直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(iは1以上10以下の整数)、−(CH−(jは1以上10以下の整数)、−CR−(Rは任意の2価の脂肪族炭化水素基、任意の2価の芳香族炭化水素基または任意の2価のハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、またはフルオレニリデン基である。一般式(B2)中、W〜WはCN基またはCN基を有する任意の有機基である。r3は0以上2以下の整数を表し、r4は0以上4以下の整数を表し、1≦r3+r4≦6の関係を満たす。*は他の構成単位との結合部位を表す。)
  3. イオン性基を含有するセグメント(A1)がさらに下記一般式(S1)で表される構成単位を含有する、請求項1または請求項2に記載の芳香族ブロック共重合体。
    Figure 2016040341
    (一般式(S1)中、Xは−CO−および−SO−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を表す。ArおよびArはアリーレン基を表し、ArおよびArの少なくとも一方はイオン性基を含有する。*は他の構成単位との結合部位を表す。)
  4. 芳香族ポリエーテル系重合体である、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の芳香族ブロック共重合体
  5. ポリアリーレン系重合体である、請求項1または2に記載の芳香族ブロック共重合体。
  6. 前記セグメント(A1)と(A2)を連結するリンカー部位を有する、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のブロック共重合体。
  7. 前記イオン性基がスルホン酸基である、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のブロック共重合体。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載のブロック共重合体を含む高分子電解質材料。
  9. 請求項8に記載の高分子電解質材料からなる高分子電解質成型体。
  10. 請求項8に記載の高分子電解質材料を用いて構成された固体高分子型燃料電池。
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